5. 詳細な説明
本発明は、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体を作製するための方法に関する。本発明の方法を使用して、抗ICOS親抗体を改変して、増強されたエフェクター機能、例えば、非限定的に、増強されたADCC、増強されたCDC、および増強された抗体依存性食作用を示す抗ICOS抗体を得る。ヒトICOS抗原に特異的に結合する任意の抗ICOS抗体は、本発明の方法を実施するために、親抗体として有用である。一実施形態では、米国特許第6,803,039号に開示されている抗ICOS抗体が親抗体となる。特定の実施形態では、JMAb-136 (IgG2)抗ICOS抗体が親抗体となる。
本発明は、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体を提供する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は親抗ICOS抗体より効率的に抗体依存性エフェクター機能を媒介する。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体はJMAb-136より効率的に抗体依存性エフェクター機能を媒介する(米国特許第6,803,039号を参照のこと)。
一実施形態では、本明細書中に記載の抗ICOS抗体は、親抗ICOS抗体より効率的に抗体依存性エフェクター機能を媒介し、該エフェクター機能は、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)、補体媒介性細胞傷害(CDC)、抗体依存性食作用からなる群から選択される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は親抗ICOS抗体より効率的に抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を媒介する。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は親抗ICOS抗体より効率的に補体媒介性細胞傷害(CDC)を媒介する。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は親抗ICOS抗体より効率的に抗体依存性食作用を媒介する。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は親抗ICOS抗体より効率的に抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を媒介し、該ADCC活性はin vitro細胞傷害アッセイを使用して決定される。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、in vitro ADCCアッセイにおいて、親抗ICOS抗体より少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高い最大細胞傷害を媒介する。別の特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、in vitro ADCCアッセイにおいて、親抗ICOS抗体より少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍または少なくとも10倍高い最大細胞傷害を媒介する。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体はJMab-136抗ICOS抗体より効率的に抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を媒介し、該ADCC活性はin vitro細胞傷害アッセイを使用して決定される。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、in vitro ADCCアッセイにおいて、JMab-136抗ICOS抗体より少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高い最大細胞傷害を媒介する。別の特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、in vitro ADCCアッセイにおいて、JMab-136抗ICOS抗体より少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍または少なくとも10倍高い最大細胞傷害を媒介する。
一実施形態では、in vitro ADCCアッセイにおける本発明の抗ICOS抗体のEC50は、親抗ICOS抗体のEC50より少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、in vitro ADCCアッセイにおける本発明の抗ICOS抗体のEC50は、JMab-136抗ICOS抗体のEC50より少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は親抗ICOS抗体より効率的に抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を媒介し、該ADCC活性はin vivo細胞傷害アッセイを使用して決定される。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、in vivo ADCCアッセイにおいて、親抗ICOS抗体より少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高い最大細胞傷害を媒介する。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体はJMab-136抗ICOS抗体より効率的に抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を媒介し、該ADCC活性はin vivo細胞傷害アッセイを使用して決定される。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、in vivo ADCCアッセイにおいて、JMab-136抗ICOS抗体より少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高い最大細胞傷害を媒介する。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は親抗ICOS抗体より効率的に補体依存性細胞傷害(CDC)を媒介し、該CDC活性はin vitro細胞傷害アッセイを使用して決定される。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、in vitro CDCアッセイにおいて、親抗ICOS抗体より少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高い最大細胞傷害を媒介する。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体はJMab-136抗ICOS抗体より効率的に補体依存性細胞傷害(CDC)を媒介し、該CDC活性はin vitro細胞傷害アッセイを使用して決定される。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、in vitro CDCアッセイにおいて、JMab-136抗ICOS抗体より少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高い最大細胞傷害を媒介する。
一実施形態では、in vitro CDCアッセイにおける本発明の抗ICOS抗体のEC50は、親抗ICOS抗体のEC50より少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、in vitro CDCアッセイにおける本発明の抗ICOS抗体のEC50は、JMab-136抗ICOS抗体のEC50より少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は親抗ICOS抗体より効率的に抗体依存性食作用を媒介し、該抗体依存性食作用活性はin vitro細胞傷害アッセイを使用して決定される。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、in vitro抗体依存性食作用アッセイにおいて、親抗ICOS抗体より少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高い最大細胞傷害を媒介する。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体はJMab-136抗ICOS抗体より効率的に抗体依存性食作用を媒介し、該抗体依存性食作用活性はin vitro細胞傷害アッセイを使用して決定される。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、in vitro抗体依存性食作用アッセイにおいて、JMab-136抗ICOS抗体より少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高い最大細胞傷害を媒介する。
一実施形態では、in vitro抗体依存性食作用アッセイにおける本発明の抗ICOS抗体のEC50は、親抗ICOS抗体のEC50より少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、in vitro抗体依存性食作用アッセイにおける本発明の抗ICOS抗体のEC50は、JMab-136抗ICOS抗体のEC50より少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は変異Fc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、Fcリガンドタンパク質に対する改変された親和性を有する変異Fc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、FcγRIA、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA、FcγRIIIB、FcγRIV、およびC1qからなる群から選択されるFcリガンドに対する改変された親和性を有する変異Fc領域を含む。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、FcγRIIIAタンパク質に対する改変された親和性を有する変異Fc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、C1qタンパク質に対する改変された親和性を有する変異Fc領域を含む。特定の実施形態では、Fcリガンドタンパク質は、マウス、ヒトまたは霊長類(例えばカニクイザル) Fcリガンドタンパク質であってよい。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、Fcリガンドタンパク質に対する増加した親和性を有する変異Fc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、FcγRIA、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA、FcγRIIIB、FcγRIV、およびC1qからなる群から選択されるFcリガンドに対する増加した親和性を有する変異Fc領域を含む。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、FcγRIIIAタンパク質に対する増加した親和性を有する変異Fc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、C1qタンパク質に対する増加した親和性を有する変異Fc領域を含む。特定の実施形態では、Fcリガンドタンパク質は、マウス、ヒトまたは霊長類(例えばカニクイザル) Fcリガンドタンパク質であってよい。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、少なくとも1個のアミノ酸置換、挿入または欠失を含む変異Fc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、少なくとも1個のアミノ酸置換、挿入または欠失を含む変異Fc領域を含み、該少なくとも1個のアミノ酸残基置換(sunstitution)、挿入または欠失は、FcγRIA、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA、FcγRIIIB、FcγRIV、およびC1qからなる群から選択されるFcリガンドに対する増加した親和性を生じさせる。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、少なくとも1個のアミノ酸置換、挿入または欠失を含む変異Fc領域を含み、該少なくとも1個のアミノ酸残基置換、挿入または欠失はFcγRIIIAタンパク質に対する増加した親和性を生じさせる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、少なくとも1個のアミノ酸置換、挿入または欠失を含む変異Fc領域を含み、該少なくとも1個のアミノ酸残基置換、挿入または欠失はC1qタンパク質に対する増加した親和性を生じさせる。特定の実施形態では、Fcリガンドタンパク質は、マウス、ヒトまたは霊長類(例えばカニクイザル) Fcリガンドタンパク質であってよい。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、少なくとも1個のアミノ酸置換、挿入または欠失を含む変異Fc領域を含み、該少なくとも1個のアミノ酸残基は、残基239、330、および332 (アミノ酸残基はEUインデックスにしたがって番号付けされている)からなる群から選択される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、少なくとも1個のアミノ酸置換、挿入または欠失を含む変異Fc領域を含み、該少なくとも1個の置換、挿入または欠失アミノ酸残基は、残基239、330、および332 (アミノ酸残基はEUインデックスにしたがって番号付けされている)からなる群から選択される。別の実施形態では、本明細書中に記載の抗ICOS抗体は、少なくとも1個のアミノ酸置換を含む変異Fc領域を含み、該少なくとも1個の置換アミノ酸残基は、残基239、330、および332 (アミノ酸残基はEUインデックスにしたがって番号付けされている)からなる群から選択される。別の実施形態では、本明細書中に記載の抗ICOS抗体は、少なくとも1個のアミノ酸置換を含む変異Fc領域を含み、該少なくとも1個のアミノ酸置換は、S239D、A330L、A330Y、およびI332E (アミノ酸残基はEUインデックスにしたがって番号付けされている)からなる群から選択される。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、S239D、A330L、およびI332Eアミノ酸置換(アミノ酸残基はEUインデックスにしたがって番号付けされている)を含む変異Fc領域を含む。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、残基239のD、残基239のE、残基330のL、残基330のY、残基332のE、および残基332のD (アミノ酸残基はEUインデックスにしたがって番号付けされている)からなる群から選択される少なくとも1個のアミノ酸残基を含む変異Fc領域を含む。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、残基239のD、残基330のL、および残基332のE (アミノ酸残基はEUインデックスにしたがって番号付けされている)を含む変異Fc領域を含む。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、親抗ICOS抗体の翻訳後修飾と異なる翻訳後修飾を含む、改変されたFc領域を含む。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、フコースが糖鎖の還元末端においてN-アセチルグルコサミンに結合していない複合型N-グリコシド結合糖鎖を含む、改変されたFc領域を含む。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、Fcリガンドタンパク質に対する改変された親和性を有する、改変されたFc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、FcγRIA、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA、FcγRIIIB、FcγRIV、およびC1qからなる群から選択されるFcリガンドに対する改変された親和性を有する、改変されたFc領域を含む。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、FcγRIIIAタンパク質に対する改変された親和性を有する、改変されたFc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、C1qタンパク質に対する改変された親和性を有する、改変されたFc領域を含む。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、Fcリガンドタンパク質に対する増加した親和性を有する、改変されたFc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、FcγRIA、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA、FcγRIIIB、FcγRIV、およびC1qからなる群から選択されるFcリガンドに対する増加した親和性を有する、改変されたFc領域を含む。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、FcγRIIIAタンパク質に対する増加した親和性を有する、改変されたFc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、C1qタンパク質に対する増加した親和性を有する、改変されたFc領域を含む。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、ネイティブ抗体と比較して低レベルのフコースしか含まない、改変されたFc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、低レベルのフコースしか含まない、改変されたFc領域を含み、該フコースレベルの減少は、FcγRIA、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA、FcγRIIIB、FcγRIV、およびC1qからなる群から選択されるFcリガンドに対する増加した親和性を生じさせる。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、低レベルのフコースしか含まない、改変されたFc領域を含み、該フコースレベルの減少はFcγRIIIAタンパク質に対する増加した親和性を生じさせる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、低レベルのフコースしか含まない、改変されたFc領域を含み、該フコースレベルの減少はC1qタンパク質に対する増加した親和性を生じさせる。
本明細書中に記載の抗ICOS抗体は、ヒトFcγRIIIAタンパク質に対する高い結合親和性を有するFc領域を含む。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、少なくともl03 M-1、少なくとも5 X 103 M-1、少なくとも104 M-1、少なくとも5 X 104 M-1、少なくとも105 M-1、少なくとも5 X 105 M-1、少なくとも106 M-1、少なくとも5 X 106 M-1、少なくとも107 M-1、少なくとも5 X 107 M-1、少なくとも108 M-1、少なくとも5 X 108 M-1、少なくともl09 M-1、少なくとも5 X l09 M-1、少なくとも1010 M-1、少なくとも5 X 1010 M-1、少なくとも1011 M-1、少なくとも5 X 1011 M-1、少なくとも1012 M-1、または少なくとも5 X 1012 M-1の親和性定数、すなわちKa (kon/koff)を有するFc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、5xl0-3 M未満、l0-3 M未満、5x10-4 M未満、10-4 M未満、5x10-5 M未満、10-5 M未満、5x10-6 M未満、10-6 M未満、5x10-7 M未満、10-7 M未満、5x10-8 M未満、10-8 M未満、5xl0-9 M未満、l0-9 M未満、5x10-10 M未満、10-10 M未満、5x10-11 M未満、10-11 M未満、5x10-12 M未満、または10-12 M未満の解離定数、すなわちKd (koff/kon)を有するFc領域を含む。
本明細書中に記載の方法にしたがって使用される抗体は、本明細書中に記載の方法または当業者に公知の方法(例えばBIAcoreアッセイ, ELISA) (Biacore International AB, Uppsala, Sweden)を使用して評価された場合に、3000 nM未満、2500 nM未満、2000 nM未満、1500 nM未満、1000 nM未満、750 nM未満、500 nM未満、250 nM未満、200 nM未満、150 nM未満、100 nM未満、75 nM未満、50 nM未満、25 nM未満、10 nM未満、5 nM未満、1 nM未満の解離定数(Kd)でヒトFcγRIIIAに結合するFc領域を含んでよい。特定の実施形態では、本明細書中に記載の方法にしたがって使用される抗体は、本明細書中に記載の方法または当業者に公知の方法(例えばBIAcoreアッセイ, ELISA)を使用して評価された場合に、1〜3000 nM、1〜3000 nM、1〜2000 nM、1〜1500 nM、1〜1000 nM、1〜750 nM、1〜500 nM、1〜250 nM、1〜100 nM、1〜50 nM、1〜25 nM、1〜10 nMの範囲の解離定数(Kd)でヒトFcγRIIIAに結合するFc領域を含んでよい。別の実施形態では、本明細書中に記載の方法にしたがって使用される抗ICOS抗体は、本明細書中に記載の方法または当業者に公知の方法(例えばBIAcoreアッセイ, ELISA)を使用して評価された場合に、500 nM、250 nM、100 nM、75 nM、50 nM、25 nM、10 nMまたは1 nMの解離定数(Kd)でヒトFcγRIIIAに結合するFc領域を含んでよい。
本明細書中に記載の抗ICOS抗体は、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル) FcγRIIIAタンパク質に対する高い結合親和性を有するFc領域を含む。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、少なくともl03 M-1、少なくとも5 X 103 M-1、少なくとも104 M-1、少なくとも5 X 104 M-1、少なくとも105 M-1、少なくとも5 X 105 M-1、少なくとも106 M-1、少なくとも5 X 106 M-1、少なくとも107 M-1、少なくとも5 X 107 M-1、少なくとも108 M-1、少なくとも5 X 108 M-1、少なくともl09 M-1、少なくとも5 X l09 M-1、少なくとも1010 M-1、少なくとも5 X 1010 M-1、少なくとも1011 M-1、少なくとも5 X 1011 M-1、少なくとも1012 M-1、または少なくとも5 X 1012 M-1の親和性定数、すなわちKa (kon/koff)を有するFc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、5xl0-3 M未満、l0-3 M未満、5x10-4 M未満、10-4 M未満、5x10-5 M未満、10-5 M未満、5x10-6 M未満、10-6 M未満、5x10-7 M未満、10-7 M未満、5x10-8 M未満、10-8 M未満、5xl0-9 M未満、l0-9 M未満、5x10-10 M未満、10-10 M未満、5x10-11 M未満、10-11 M未満、5x10-12 M未満、または10-12 M未満の解離定数、すなわちKd (koff/kon)を有するFc領域を含む。
本明細書中に記載の方法にしたがって使用される抗体は、本明細書中に記載の方法または当業者に公知の方法(例えばBIAcoreアッセイ, ELISA) (Biacore International AB, Uppsala, Sweden)を使用して評価された場合に、3000 nM未満、2500 nM未満、2000 nM未満、1500 nM未満、1000 nM未満、750 nM未満、500 nM未満、250 nM未満、200 nM未満、150 nM未満、100 nM未満、75 nM未満、50 nM未満、25 nM未満、10 nM未満、5 nM未満、1 nM未満の解離定数(Kd)で非ヒト霊長類(例えばカニクイザル) FcγRIIIAに結合するFc領域を含んでよい。特定の実施形態では、本明細書中に記載の方法にしたがって使用される抗体は、本明細書中に記載の方法または当業者に公知の方法(例えばBIAcoreアッセイ, ELISA)を使用して評価された場合に、1〜3000 nM、1〜3000 nM、1〜2000 nM、1〜1500 nM、1〜1000 nM、1〜750 nM、1〜500 nM、1〜250 nM、1〜100 nM、1〜50 nM、1〜25 nM、1〜10 nMの範囲の解離定数(Kd)で非ヒト霊長類(例えばカニクイザル) FcγRIIIAに結合するFc領域を含んでよい。別の実施形態では、本明細書中に記載の方法にしたがって使用される抗ICOS抗体は、本明細書中に記載の方法または当業者に公知の方法(例えばBIAcoreアッセイ, ELISA)を使用して評価された場合に、500 nM、250 nM、100 nM、75 nM、50 nM、25 nM、10 nMまたは1 nMの解離定数(Kd)で非ヒト霊長類(例えばカニクイザル) FcγRIIIAに結合するFc領域を含んでよい。
本明細書中に記載の抗ICOS抗体は、マウスFcγRIIIAタンパク質に対する高い結合親和性を有するFc領域を含む。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、少なくともl03 M-1、少なくとも5 X 103 M-1、少なくとも104 M-1、少なくとも5 X 104 M-1、少なくとも105 M-1、少なくとも5 X 105 M-1、少なくとも106 M-1、少なくとも5 X 106 M-1、少なくとも107 M-1、少なくとも5 X 107 M-1、少なくとも108 M-1、少なくとも5 X 108 M-1、少なくともl09 M-1、少なくとも5 X l09 M-1、少なくとも1010 M-1、少なくとも5 X 1010 M-1、少なくとも1011 M-1、少なくとも5 X 1011 M-1、少なくとも1012 M-1、または少なくとも5 X 1012 M-1の親和性定数、すなわちKa (kon/koff)を有するFc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、5xl0-3 M未満、l0-3 M未満、5x10-4 M未満、10-4 M未満、5x10-5 M未満、10-5 M未満、5x10-6 M未満、10-6 M未満、5x10-7 M未満、10-7 M未満、5x10-8 M未満、10-8 M未満、5xl0-9 M未満、l0-9 M未満、5x10-10 M未満、10-10 M未満、5x10-11 M未満、10-11 M未満、5x10-12 M未満、または10-12 M未満の解離定数、すなわちKd (koff/kon)を有するFc領域を含む。
本明細書中に記載の方法にしたがって使用される抗体は、本明細書中に記載の方法または当業者に公知の方法(例えばBIAcoreアッセイ, ELISA) (Biacore International AB, Uppsala, Sweden)を使用して評価された場合に、3000 nM未満、2500 nM未満、2000 nM未満、1500 nM未満、1000 nM未満、750 nM未満、500 nM未満、250 nM未満、200 nM未満、150 nM未満、100 nM未満、75 nM未満、50 nM未満、25 nM未満、10 nM未満、5 nM未満、1 nM未満の解離定数(Kd)でマウスFcγRIIIAに結合するFc領域を含んでよい。特定の実施形態では、本明細書中に記載の方法にしたがって使用される抗体は、本明細書中に記載の方法または当業者に公知の方法(例えばBIAcoreアッセイ, ELISA)を使用して評価された場合に、1〜3000 nM、1〜3000 nM、1〜2000 nM、1〜1500 nM、1〜1000 nM、1〜750 nM、1〜500 nM、1〜250 nM、1〜100 nM、1〜50 nM、1〜25 nM、1〜10 nMの範囲の解離定数(Kd)でマウスFcγRIIIAに結合するFc領域を含んでよい。別の実施形態では、本明細書中に記載の方法にしたがって使用される抗ICOS抗体は、本明細書中に記載の方法または当業者に公知の方法(例えばBIAcoreアッセイ, ELISA)を使用して評価された場合に、500 nM、250 nM、100 nM、75 nM、50 nM、25 nM、10 nMまたは1 nMの解離定数(Kd)でマウスFcγRIIIAに結合するFc領域を含んでよい。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、JMAb-136の1、2、3、4、5、または全6個のCDRを含む(米国特許第6,803,039号を参照のこと)。
Kabatにしたがって規定されるJMAb-136の重鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号8、配列番号9、および配列番号10として特定される。Kabatにしたがって規定されるJMAb-136の軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号3、配列番号4、および配列番号5として特定される。
Kabatナンバリングは、Kabat et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Publication No. 91-3242 (National Institutes of Health, National Technical Information Serviceによって3巻セットで刊行されている)(以後、「Kabat」)の根本的な成果に基づく。Kabatは多数の種の抗体アイソタイプ由来の免疫グロブリン鎖のマルチ配列アライメントを提供する。アライメントされた配列は単一のナンバリング系であるKabatナンバリング系にしたがって番号付けされる。Kabat配列は1991の刊行から更新されており、電子配列データベースとして利用可能である(最新のダウンロード可能バージョン1997)。Kabat参照配列とのアライメントを実施することによって任意の免疫グロブリン配列をKabatにしたがって番号付けすることができる。したがって、Kabatナンバリング系は免疫グロブリン鎖のナンバリングに関する統一系を提供する。特に指定されない限り、本明細書中に記載のすべての免疫グロブリンアミノ酸配列はKabatナンバリング系にしたがって番号付けされる。同様に、本明細書中で参照されるすべての単一のアミノ酸位置はKabatナンバリング系にしたがって番号付けされる。
特定の実施形態では、本明細書中に記載の抗ICOS抗体は、配列番号8、配列番号9、および配列番号10からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1個のCDRを含む重鎖可変領域、VHを含んでよい。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有するVHドメインを含んでよい。
特定の実施形態では、本明細書中に記載の抗ICOS抗体は、配列番号3、配列番号4、および配列番号5からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1個のCDRを含む軽鎖可変領域、VKを含んでよい。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を有するVKドメインを含んでよい。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を有するVKドメインを含み、かつ配列番号7のアミノ酸配列を有するVHドメインをさらに含む。
本発明は、ヒトICOSに結合する抗体であって、ヒトICOSに結合する本明細書中に記載のVHドメイン、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VKドメイン、VK CDR1、VK CDR2、またはVK CDR3の誘導体を含む抗体を包含する。当業者に公知の標準的技術を使用して、抗体をコードするヌクレオチド配列に突然変異(例えば付加、欠失、および/または置換)を導入することができる。該技術には、例えば、アミノ酸置換の作製に通常使用される部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発が含まれる。一実施形態では、VHおよび/またはVK CDR誘導体は、JMab-136抗ICOS抗体の元のVHおよび/またはVK CDRと比べて、25個未満のアミノ酸置換、20個未満のアミノ酸置換、15個未満のアミノ酸置換、10個未満のアミノ酸置換、5個未満のアミノ酸置換、4個未満のアミノ酸置換、3個未満のアミノ酸置換、2個未満のアミノ酸置換、または1個のアミノ酸置換を含んでよい。別の実施形態では、VHおよび/またはVK CDR誘導体は、1個以上の推定非必須アミノ酸残基(すなわち抗体がヒトICOSに特異的に結合するために重大でないアミノ酸残基)の位置で施された保存的アミノ酸置換(例えば上記)を有してよい。例えば飽和突然変異誘発によって、VHおよび/またはVK CDRコード配列の全体または部分に沿ってランダムに突然変異を導入することもでき、得られた突然変異体を生物学的活性に関してスクリーニングして活性を保持している突然変異体を特定することができる。突然変異誘発後、コードされる抗体を発現させて、該抗体の活性を決定することができる。
本発明はさらに、ヒトICOSに結合する抗体であって、該抗体または抗体断片が、JMab-136抗ICOS抗体の1個以上のCDRのアミノ酸配列と、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む1個以上のCDRを含む、抗体を包含する。2つのアミノ酸配列の同一性パーセントは当業者に公知の任意の方法によって決定することができ、該方法には、非限定的に、BLASTタンパク質検索が含まれる。
本発明はさらに、ヒトICOSに結合する抗体であって、該抗体または抗体断片が、JMab-136抗ICOS抗体のVHおよびVKドメインのアミノ酸配列と、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含むVHおよび/またはVKドメインを含む、抗体を包含する。2つのアミノ酸配列の同一性パーセントは当業者に公知の任意の方法によって決定することができ、該方法には、非限定的に、BLASTタンパク質検索が含まれる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、JMab-136抗ICOS抗体の親和性に匹敵する親和性でヒトICOSに結合することができる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体はJMab-136抗ICOS抗体と同じICOSエピトープに特異的に結合する。
一実施形態では、抗ICOS抗体はICOS結合に関してJMab-136抗ICOS抗体と特異的に競合する。当技術分野において公知の任意の結合アッセイを使用して競合アッセイを実施することができ、該アッセイは、例えば、非限定的に、ELISAアッセイ、ラジオイムノアッセイ、フローサイトメトリーである。
本発明はさらに、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体をコードするポリヌクレオチドに対して、本明細書中で定義されるストリンジェントまたは低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを包含する。
一実施形態では、本明細書中に記載のエフェクター機能が増強された抗ICOS抗体をコードする本発明のポリヌクレオチドは、最適化されたポリヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本明細書中に記載の抗体のVHドメインをコードする本発明のポリヌクレオチドは配列番号28のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本明細書中に記載の抗体のVKドメインをコードする本発明のポリヌクレオチドは配列番号29のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本明細書中に記載の抗体の重鎖をコードする本発明のポリヌクレオチドは配列番号30のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本明細書中に記載の抗体の軽鎖をコードする本発明のポリヌクレオチドは配列番号31のヌクレオチド配列を含む。
本発明の別の実施形態は、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体をコードする1種以上のヌクレオチド配列を含むベクターである。
一実施形態では、本発明のベクターは、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体をコードする1種以上のヌクレオチド配列を含み、該ヌクレオチド配列は最適化されたヌクレオチド配列である。特定の実施形態では、本発明のベクターは配列番号28のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本発明のベクターは配列番号29のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本発明のベクターは配列番号30のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、本発明のベクターは配列番号31のヌクレオチド配列を含む。別の特定の実施形態では、本発明のベクターは、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体をコードする1種以上のヌクレオチド配列を含み、該ヌクレオチド配列は配列番号28〜31を含む群から選択される。別の特定の実施形態では、本発明のベクターは、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体をコードする1種以上のヌクレオチド配列を含み、該ヌクレオチド配列は配列番号28〜31からなる群から選択される。
本発明はさらに、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体をコードする1種以上のヌクレオチド配列を含むベクターを含む単離された細胞に関する。特定の実施形態では、本発明の単離された細胞は、配列番号28〜31を含む群から選択されるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む。別の特定の実施形態では、本発明の単離された細胞は、配列番号28〜31からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む。
本発明の抗ICOS抗体には、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4ヒトアイソタイプの抗ICOS抗体が含まれる。
本発明はさらに、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体を含む医薬組成物に関する。
さらに別の他の態様では、本発明は、非限定的に、慢性感染、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、移植片対宿主病(GVHD)、移植拒絶、およびT細胞増殖性疾患等のT細胞媒介性疾患および障害の治療および予防方法であって、それを必要としているヒトに、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体の治療有効量を投与するステップを含む方法に関する。
本発明は、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体、ならびに該抗体を含む組成物に関する。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は抗原依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を媒介する。他の実施形態では、本発明は、IgG1および/またはIgG3ヒトアイソタイプの抗ICOS抗体を含む組成物、ならびにIgG2および/またはIgG4ヒトアイソタイプの抗ICOS抗体(ヒトADCC、CDC、および/または抗体依存性食作用を媒介する)に関する。
本明細書中に記載の抗ICOS抗体はヒトICOS抗原に対する高い結合親和性を有する。例えば、本明細書中に記載の抗体は、少なくとも2 X 105 M-1s-1、少なくとも5 X 105 M-1s-1、少なくとも106 M-1s-1、少なくとも5 X 106 M-1s-1、少なくとも107 M-1s-1、少なくとも5 X 107 M-1s-1、または少なくとも108 M-1s-1の会合速度定数、すなわちkon速度(抗体(Ab) + 抗原(Ag)k-on →Ab-Ag)を有する。
別の実施形態では、抗ICOS抗体は、5x10-1 s-1未満、10-1 s-1未満、5x10-2 s-1未満、10-2 s-1未満、5x10-3 s-1未満、10-3 s-1未満、5x10-4 s-1未満、または10-4 s-1未満のkoff速度((Ab-Ag)k-off →抗体(Ab) + 抗原(Ag))を有する。別の実施形態では、本発明の抗体は、5x10-5 s-1未満、10-5 s-1未満、5x10-6 s-1未満、10-6 s-1未満、5x10-7 s-1未満、10-7 s-1未満、5x10-8 s-1未満、10-8 s-1未満、5x10-9 s-1未満、10-9 s-1未満、または10-10 s-1未満のkoffを有する。
別の実施形態では、抗ICOS抗体は、少なくとも102 M-1、少なくとも5 X 102 M-1、少なくともl03 M-1、少なくとも5 X 103 M-1、少なくとも104 M-1、少なくとも5 X 104 M-1、少なくとも105 M-1、少なくとも5 X 105 M-1、少なくとも106 M-1、少なくとも5 X 106 M-1、少なくとも107 M-1、少なくとも5 X 107 M-1、少なくとも108 M-1、少なくとも5 X 108 M-1、少なくともl09 M-1、少なくとも5 X l09 M-1、少なくとも1010 M-1、少なくとも5 X 1010 M-1、少なくとも1011 M-1、少なくとも5 X 1011 M-1、少なくとも1012 M-1、少なくとも5 X 1012 M-1、少なくとも1013 M-1、少なくとも5 X l013 M-1、少なくとも1014 M-1、少なくとも5 X 1014 M-1、少なくともl015 M-1、または少なくとも5 X l015 M-1の親和性定数、すなわちKa (kon/koff)を有する。さらに別の実施形態では、抗ICOS抗体は、5x10-2 M未満、10-2 M未満、5xl0-3 M未満、l0-3 M未満、5x10-4 M未満、10-4 M未満、5x10-5 M未満、10-5 M未満、5x10-6 M未満、10-6 M未満、5x10-7 M未満、10-7 M未満、5x10-8 M未満、10-8 M未満、5xl0-9 M未満、l0-9 M未満、5x10-10 M未満、10-10 M未満、5x10-11 M未満、10-11 M未満、5x10-12 M未満、10-12 M未満、5x10-13 M未満、l0-13 M未満、5x10-14 M未満、10-14 M未満、5xl0-15 M未満、またはl0-15 M未満の解離定数、すなわちKd (koff/kon)を有する。
本明細書中に記載の方法にしたがって使用される抗体はICOSに免疫特異的に結合してよく、本明細書中に記載の方法または当業者に公知の方法(例えばBIAcoreアッセイ, ELISA) (Biacore International AB, Uppsala, Sweden)を使用して評価された場合に、3000 pM未満、2500 pM未満、2000 pM未満、1500 pM未満、1000 pM未満、750 pM未満、500 pM未満、250 pM未満、200 pM未満、150 pM未満、100 pM未満、75 pM未満の解離定数(Kd)を有してよい。特定の実施形態では、本明細書中に記載の方法にしたがって使用される抗体はヒトICOS抗原に免疫特異的に結合してよく、本明細書中に記載の方法または当業者に公知の方法(例えばBIAcoreアッセイ, ELISA)を使用して評価された場合に、25〜3400 pM、25〜3000 pM、25〜2500 pM、25〜2000 pM、25〜1500 pM、25〜1000 pM、25〜750 pM、25〜500 pM、25〜250 pM、25〜100 pM、25〜75 pM、25〜50 pMの範囲の解離定数(Kd)を有してよい。別の実施形態では、本明細書中に記載の方法にしたがって使用される抗ICOS抗体はICOSに免疫特異的に結合してよく、本明細書中に記載の方法または当業者に公知の方法(例えばBIAcoreアッセイ, ELISA)を使用して評価された場合に、500 pM、100 pM、75 pMまたは50 pMの解離定数(Kd)を有してよい。
本発明はさらに、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体をコードするポリヌクレオチドに対して、例えば本明細書中で定義されるストリンジェントまたは低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを包含する。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、非限定的に、6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中で約45℃でのフィルター結合DNAに対するハイブリダイゼーションおよびその後の0.2X SSC/0.1% SDS中で約50〜65℃での1回以上の洗浄、高度にストリンジェントな条件、例えば6X SSC中で約45℃でのフィルター結合DNAに対するハイブリダイゼーションおよびその後の0.1X SSC/0.2% SDS中で約60℃での1回以上の洗浄、または当業者に公知の任意の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が含まれる(例えばAusubel, F.M. et al., eds. 1989 Current Protocols in Molecular Biology, vol. 1, Green Publishing Associates, Inc. and John Wiley and Sons, Inc., NY at pages 6.3.1 to 6.3.6 and 2.10.3を参照のこと)。
当技術分野において公知の任意の方法によって、ポリヌクレオチドを取得し、該ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定してよい。例えば、抗体のヌクレオチド配列が既知である場合、抗体をコードするポリヌクレオチドを、(例えばKutmeier et al., BioTechniques 17:242 (1994)に記載されるように)化学的に合成されたオリゴヌクレオチドから組み立ててよい。該方法は、簡潔に言えば、抗体をコードする配列の部分を含有するオーバーラップオリゴヌクレオチドの合成、該オリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーション、およびライゲートされたオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅を含む。
抗体をコードするポリヌクレオチドを好適な供給源由来の核酸から作製してもよい。特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンは入手できないが、該抗体分子の配列が既知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸を化学的に合成するか、または、配列の3'および5'末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを使用するPCR増幅によって、または例えば抗体をコードするcDNAライブラリー由来のcDNAクローンを特定するための特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを使用するクローニングによって、好適な供給源(例えば抗体cDNAライブラリー、または抗体を発現する任意の組織もしくは細胞、例えば抗体を発現するように選択されたハイブリドーマ細胞から作製されたcDNAライブラリーまたは該任意の組織もしくは細胞から単離された核酸、好ましくはポリA+RNA)から取得してよい。当技術分野において周知の任意の方法を使用して、PCRによって作製された増幅核酸を複製可能クローニングベクターにクローニングしてよい。
本発明はさらに、マウス異種移植モデル系においてICOS発現細胞を効率的に枯渇させる抗体を提供する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、マウス異種移植モデル系において、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%のICOS発現細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、マウス異種移植モデルにおいて、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的にICOS発現細胞を枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、マウス異種移植モデルにおいて、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より効率的にICOS発現細胞を枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、マウス異種移植モデルにおいて、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、マウス異種移植モデルにおいて、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、マウス異種移植モデルにおけるICOS発現細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、マウス異種移植モデルにおけるICOS発現細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、マウス異種移植モデルにおいて、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、マウス異種移植モデルにおいて、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、マウス異種移植モデルにおいて、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、マウス異種移植モデルにおいて、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。
本発明はさらに、トランスジェニックマウスモデル系においてICOS発現細胞を効率的に枯渇させる抗体を提供する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、トランスジェニックマウスモデル系において、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%のICOS発現細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、トランスジェニックマウスモデルにおいて、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的にICOS発現細胞を枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、トランスジェニックマウスモデルにおいて、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より効率的にICOS発現細胞を枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、トランスジェニックマウスモデルにおいて、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、トランスジェニックマウスモデルにおいて、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、トランスジェニックマウスモデルにおけるICOS発現細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、トランスジェニックマウスモデルにおけるICOS発現細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、トランスジェニックマウスモデルにおいて、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、トランスジェニックマウスモデルにおいて、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、トランスジェニックマウスモデルにおいて、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、トランスジェニックマウスモデルにおいて、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。
本発明はまた、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)においてICOS発現細胞を効率的に枯渇させる抗体を提供する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%のICOS発現細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的にICOS発現細胞を枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より効率的にICOS発現細胞を枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現細胞の枯渇が達成される。
本発明はまた、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)においてICOS発現T細胞を効率的に枯渇させる抗体を提供する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%のICOS発現T細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的にICOS発現T細胞を枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より効率的にICOS発現T細胞を枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現T細胞の枯渇が達成される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現T細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現T細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現T細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現T細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現T細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現T細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現T細胞の枯渇が達成される。
本発明はまた、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)においてICOS発現Tヘルパー細胞を効率的に枯渇させる抗体を提供する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%のICOS発現Tヘルパー細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的にICOS発現Tヘルパー細胞を枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より効率的にICOS発現Tヘルパー細胞を枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現Tヘルパー細胞の枯渇が達成される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現Tヘルパー細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現Tヘルパー細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現Tヘルパー細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現Tヘルパー細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現Tヘルパー細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現Tヘルパー細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現Tヘルパー細胞の枯渇が達成される。
本発明はまた、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)においてICOS発現Th1細胞を効率的に枯渇させる抗体を提供する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%のICOS発現Th1細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的にICOS発現Th1細胞を枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より効率的にICOS発現Th1細胞を枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現Th1細胞の枯渇が達成される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現Th1細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現Th1細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現Th1細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現Th1細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現Th1細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現Th1細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現Th1細胞の枯渇が達成される。
本発明はまた、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)においてICOS発現Th2細胞を効率的に枯渇させる抗体を提供する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%のICOS発現Th2細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的にICOS発現Th2細胞を枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より効率的にICOS発現Th2細胞を枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現Th2細胞の枯渇が達成される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現Th2細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現Th2細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現Th2細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現Th2細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現Th2細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現Th2細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現Th2細胞の枯渇が達成される。
本発明はまた、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)においてICOS発現Th17細胞を効率的に枯渇させる抗体を提供する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%のICOS発現Th17細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的にICOS発現Th17細胞を枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より効率的にICOS発現Th17細胞を枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現Th17細胞の枯渇が達成される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現Th17細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現Th17細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現Th17細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現Th17細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現Th17細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現Th17細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現Th17細胞の枯渇が達成される。
本発明はまた、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)においてICOS発現記憶ヘルパーT細胞を効率的に枯渇させる抗体を提供する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%のICOS発現記憶ヘルパーT細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的にICOS発現記憶ヘルパーT細胞を枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より効率的にICOS発現記憶ヘルパーT細胞を枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現記憶ヘルパーT細胞の枯渇が達成される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いICOS発現記憶ヘルパーT細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現記憶ヘルパーT細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現記憶ヘルパーT細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現記憶ヘルパーT細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いICOS発現記憶ヘルパーT細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現記憶ヘルパーT細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いICOS発現記憶ヘルパーT細胞の枯渇が達成される。
特定の細胞タイプの枯渇は該細胞タイプの分泌産物の枯渇を生じさせる。例えば、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体を使用してTh17細胞を枯渇させると、IL-17が枯渇する。本発明はまた、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)においてIL-17を効率的に枯渇させる抗体を提供する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%のIL-17の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的にIL-17を枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より効率的にIL-17を枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いIL-17の枯渇が達成される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いIL-17の枯渇が達成される。
一実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるIL-17の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるIL-17の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いIL-17の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いIL-17の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いIL-17の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いIL-17の枯渇が達成される。
本発明はまた、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)においてIL-2を効率的に枯渇させる抗体を提供する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%のIL-2の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的にIL-2を枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より効率的にIL-2を枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いIL-2の枯渇が達成される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高いIL-2の枯渇が達成される。
一実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるIL-2の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるIL-2の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いIL-2の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高いIL-2の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いIL-2の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高いIL-2の枯渇が達成される。
ICOS発現T細胞はマウスモデル系における胚中心形成に関係があるとされている。本明細書中で開示されるデータは、ICOS発現細胞が、すでに形成された胚中心の構造的統合性およびB細胞区画の維持にも関与することを示す。特定のモデルによって拘束されることなく、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量を投与することによる霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)におけるICOS発現T細胞の枯渇は、胚中心の形成を妨げ、すでに形成された胚中心の構造を崩壊させ、二次リンパ器官から胚中心B細胞を枯渇させ、かつ/または循環クラススイッチB細胞を枯渇させることができる。当技術分野において公知の任意の方法によって胚中心形成をモニターすることができる。該方法は、例えば、非限定的に、二次リンパ器官の組織学的検査または二次リンパ組織から単離されたリンパ球のフローサイトメトリーによる分析である。当技術分野において公知の任意の方法によって胚中心構造の崩壊をモニターすることができる。該方法は、例えば、非限定的に、二次リンパ器官の組織学的検査である。当技術分野において公知の任意の方法によって二次リンパ器官からの胚中心B細胞の枯渇をモニターすることができる。該方法は、例えば、非限定的に、二次リンパ器官の組織学的検査または二次リンパ組織から単離されたリンパ球のフローサイトメトリーによる分析である。当技術分野において公知の任意の方法によって循環クラススイッチB細胞の枯渇をモニターすることができる。該方法は、例えば、非限定的に、循環リンパ球のフローサイトメトリーによる分析である。細胞表面マーカーの特異的発現またはその欠如に基づいてクラススイッチB細胞を特定することができる。例えば、非限定的に、循環クラススイッチB細胞をCD27+IgM-IgD- B細胞として特定することができる。
本発明は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官における胚中心形成を効率的に妨げる抗体を提供する。一実施形態では、二次リンパ器官はリンパ節である。別の実施形態では、二次リンパ器官は脾臓である。別の実施形態では、二次リンパ器官は扁桃腺である。一実施形態では、二次リンパ器官は腸間膜リンパ節である。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官において、少なくとも1日、少なくとも2日 少なくとも5日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも9か月、胚中心形成を妨げる。特定の実施形態では、二次リンパ器官は脾臓である。別の特定の実施形態では、二次リンパ器官は扁桃腺である。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官における胚中心形成を、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より長期間妨げる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官における胚中心形成を、フコシル化JMAb-136抗ICOS抗体の投与より長期間妨げる。特定の実施形態では、二次リンパ器官は脾臓である。別の特定の実施形態では、二次リンパ器官は扁桃腺である。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官における胚中心形成を、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的に妨げる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官における胚中心形成を、フコシル化JMAb-136抗ICOS抗体の投与より効率的に妨げる。
本発明はまた、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官において胚中心構造を効率的に崩壊させる抗体を提供する。一実施形態では、二次リンパ器官はリンパ節である。別の実施形態では、二次リンパ器官は脾臓である。別の実施形態では、二次リンパ器官は扁桃腺である。一実施形態では、二次リンパ器官は腸間膜リンパ節である。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官において、少なくとも1日、少なくとも2日 少なくとも5日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも9か月、胚中心構造を崩壊させる。特定の実施形態では、二次リンパ器官は脾臓である。別の特定の実施形態では、二次リンパ器官は扁桃腺である。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より長期間、胚中心構造を崩壊させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官において、フコシル化JMAb-136抗ICOS抗体の投与より長期間、胚中心構造を崩壊させる。特定の実施形態では、二次リンパ器官は脾臓である。別の特定の実施形態では、二次リンパ器官は扁桃腺である。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的に胚中心構造を崩壊させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官において、フコシル化JMAb-136抗ICOS抗体の投与より効率的に胚中心構造を崩壊させる。
本発明はまた、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官由来の胚中心B細胞を効率的に枯渇させる抗体を提供する。一実施形態では、二次リンパ器官はリンパ節である。別の実施形態では、二次リンパ器官は脾臓である。別の実施形態では、二次リンパ器官は扁桃腺である。一実施形態では、二次リンパ器官は腸間膜リンパ節である。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、少なくとも1日、少なくとも2日 少なくとも5日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも9か月、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官由来の胚中心B細胞を枯渇させる。特定の実施形態では、二次リンパ器官は脾臓である。別の特定の実施形態では、二次リンパ器官は扁桃腺である。胚中心B細胞の数が抗体処置サンプル中で、無処置コントロールサンプル中の胚中心B細胞の数より、少なくとも10%少ない場合に、胚中心B細胞の枯渇は、抗ICOS抗体の1回以上の用量の投与後の期間中に「実質的に持続する」とみなされる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官由来の胚中心B細胞を、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より長期間枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官由来の胚中心B細胞を、フコシル化JMAb-136抗ICOS抗体の投与より長期間枯渇させる。特定の実施形態では、二次リンパ器官は脾臓である。別の特定の実施形態では、二次リンパ器官は扁桃腺である。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%の二次リンパ器官由来の胚中心B細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官由来の胚中心B細胞を、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的に枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)の二次リンパ器官由来の胚中心B細胞を、フコシル化JMAb-136抗ICOS抗体の投与より効率的に枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高い二次リンパ器官由来の胚中心B細胞の枯渇が達成される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高い二次リンパ器官由来の胚中心B細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)における二次リンパ器官由来の胚中心B細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)における二次リンパ器官由来の胚中心B細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高い二次リンパ器官由来の胚中心B細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高い二次リンパ器官由来の胚中心B細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高い二次リンパ器官由来の胚中心B細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高い二次リンパ器官由来の胚中心B細胞の枯渇が達成される。
本発明はまた、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において循環クラススイッチB細胞を効率的に枯渇させる抗体を提供する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、少なくとも1日、少なくとも2日 少なくとも5日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも9か月、循環クラススイッチB細胞を枯渇させる。循環クラススイッチB細胞の数が抗体処置サンプル中で、無処置コントロールサンプル中の循環クラススイッチB細胞の数より、少なくとも10%少ない場合に、循環クラススイッチB細胞の枯渇は、抗ICOS抗体の1回以上の用量の投与後の期間中に「実質的に持続する」とみなされる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より長期間、循環クラススイッチB細胞を枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMAb-136抗ICOS抗体の投与より長期間、循環クラススイッチB細胞を枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%の循環クラススイッチB細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、末梢血リンパ球(PBL)の2%未満、1.5%未満、1%未満、0.9%未満、0.8%未満、07%未満、0.6%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満または0.1%未満に循環クラススイッチB細胞を枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より効率的に循環クラススイッチB細胞を枯渇させる。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与は、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMAb-136抗ICOS抗体の投与より効率的に循環クラススイッチB細胞を枯渇させる。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高い循環クラススイッチB細胞の枯渇が達成される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、または少なくとも約10倍高い循環クラススイッチB細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)における循環クラススイッチB細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。別の実施形態では、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)における循環クラススイッチB細胞の枯渇に関する本発明の抗ICOS抗体のEC50値は、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)のEC50値より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍低い。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高い循環クラススイッチB細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%高い循環クラススイッチB細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、親抗ICOS抗体(例えば、同一の可変ドメインアミノ酸配列を含むが、1) フコシル化Fcドメインまたは2) ADCCを増加させるように改変されていないFcドメインアミノ酸配列を有する抗体)の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高い循環クラススイッチB細胞の枯渇が達成される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体の1回以上の治療量の投与により、霊長類(非ヒト霊長類またはヒト)において、フコシル化JMab-136抗ICOS抗体の投与より、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍高い循環クラススイッチB細胞の枯渇が達成される。
一実施形態では、本明細書中に記載の抗ICOS抗体は、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞性細胞傷害(CDC)、および/または抗体依存性食作用を媒介する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)および/または抗体依存性食作用を媒介する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は増強された抗体依存性細胞性細胞傷害性(ADCC)を有する。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、増強された抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を媒介する変異Fc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、残基239、330、および332 (アミノ酸残基の位置はEU慣行にしたがって決定される)からなる群から選択されるアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む変異Fc領域を含む。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、S239D、A330L、およびI332Eからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む変異Fc領域を含む; アミノ酸残基の位置はEU慣行にしたがって決定される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、位置239のD、位置330のL、および位置332のEからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を含む; アミノ酸残基の位置はEU慣行にしたがって決定される。
一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、少なくとも1つの改変されたグリコフォームを含む改変されたFc領域を含み、該改変されたFc領域は増強された抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を媒介する。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、グリコシル化を欠いている改変されたFc領域を含む。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、フコースが還元末端においてN-アセチルグルコサミンに結合していない、Asn297に連結された複合型N-グリコシド結合糖鎖を有する改変されたFc領域を含む。
特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、Fc結合タンパク質、例えば、非限定的に、Fc受容体、C1qに対して、野生型Fc領域より高い親和性を有する変異Fc領域を含む。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、FcγRIIIA受容体タンパク質に対して、野生型Fc領域より高い親和性を有する変異Fc領域を含む。
特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、Fc結合タンパク質、例えば、非限定的に、Fc受容体、C1qに対して、野生型Fc領域より高い親和性を有する、少なくとも1つの改変されたグリコフォームを含む改変されたFc領域を含む。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、FcγRIIIA受容体タンパク質に対して、野生型Fc領域より高い親和性を有する、少なくとも1つの改変されたグリコフォームを含む改変されたFc領域を含む。
本発明はまた、ヒトにおけるT細胞媒介性疾患および障害、例えば、非限定的に、慢性感染、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、移植片対宿主病(GVHD)、移植拒絶、およびT細胞増殖性疾患の治療および予防方法であって、それを必要としているヒトに、増強されたエフェクター機能(例えば、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞性細胞傷害(CDC)、および/または抗体依存性食作用)を有する抗ICOS抗体を、循環ICOS発現細胞を枯渇させるために十分な量で投与するステップを含む方法に関する。特定の態様では、本発明はまた、ヒトにおけるT細胞媒介性疾患および障害、例えば、非限定的に、慢性感染、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、移植片対宿主病(GVHD)、移植拒絶、およびT細胞増殖性疾患の治療および予防方法であって、IgG1またはIgG3ヒトアイソタイプの抗体である増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体の治療的に有効な療法を施すステップを含む方法に関する。
本発明は、患者の疾患進行を特定、診断、治療、およびモニターする方法を包含する。患者は、実験的研究の結果である疾患、障害、または症状を有してよく、例えば、それは疾患、障害、または症状に関して開発された実験モデルであってよい。あるいは、患者は実験操作の不存在下で疾患、障害、または症状を有してよい。患者には、ヒト、マウス、ラット、ウマ、ブタ、ネコ、イヌ、および研究に使用される任意の動物が含まれる。
患者は、示差的に制御されたICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101レベルを含んでよい。示差的に制御されたICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101レベルは、患者の組織サンプルが該患者のコントロール組織サンプルまたは健康なコントロール個体と比較してICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101の増加した発現を示す、レベルであってよい。示差的に制御されたICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101レベルは、患者の組織サンプルが該患者のコントロールサンプルまたは健康なコントロール個体と比較してICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101の減少した発現を示す、レベルであってよい。示差的な発現増加または減少は、コントロールサンプルの約10%〜500%、コントロールサンプルの約10%〜400%、コントロールサンプルの約10%〜300%、コントロールサンプルの約10%〜250%、コントロールサンプルの約10%〜200%、コントロールサンプルの約10%〜150%、コントロールサンプルの約10%〜100%、コントロールサンプルの約10%〜50%、コントロールサンプルの約100%〜500%、コントロールサンプルの約200%〜500%、コントロールサンプルの約300%〜500%、コントロールサンプルの約400%〜500%、コントロールサンプルの約50%〜100%、コントロールサンプルの約100%〜200%、コントロールサンプルの約100%〜400%、コントロールサンプルの約200%〜400%、コントロールサンプルの約10%〜50%、コントロールサンプルの約20%〜100%、コントロールサンプルの約25%〜75%、またはコントロールサンプルの約50%〜100%であってよい。それは、コントロールサンプルの10、20、25、30、40、50、75、100、125、150、175、200、250、300、400、または500パーセントであってよい。
本発明の抗ICOS抗体の投与は、示差的に制御されたICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101レベルの中和を生じさせてよい。示差的に制御されたICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101レベルの中和は、ICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101レベルの、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも90%の減少であってよい。あるいは、示差的に制御されたICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101レベルの中和とは、コントロールサンプル中のICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101レベルの発現レベルの、多くとも50%、多くとも45%、多くとも40%、多くとも35%、多くとも30%、多くとも25%、多くとも20%、多くとも15%、多くとも10%、多くとも5%、多くとも4%、多くとも3%、多くとも2%、または多くとも1%以内である、上方制御されたICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101の発現の減少を表す。
患者におけるICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101の上方制御または下方制御は、コントロール由来のサンプル(患者の病的組織ではないサンプル(例えばSLE患者の非損傷皮膚)由来であるか、または疾患または障害に罹患していない健康な人由来であってよい)と比較して任意の程度の上方制御または下方制御であってよい。上方制御または下方制御の程度は、コントロールまたはコントロールサンプルの、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、または少なくとも200%、または少なくとも300%、または少なくとも400%、または少なくとも500%であってよい。
患者の疾患進行のモニタリングまたは予知方法では、物質の投与前および投与後に患者由来のサンプルを取得してよい。
サンプルには、任意の生体液または組織が含まれ、例えば全血、血清、筋肉、唾液、尿、滑液、骨髄、脳脊髄液、鼻汁、痰、羊水、気管支肺胞洗浄液、末梢血単核細胞、総白血球、リンパ節細胞、脾臓細胞、扁桃腺細胞、または皮膚である。サンプルは当技術分野において公知の任意の手段によって取得してよい。
ICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101レベルは、(物質投与前および投与後に)サンプル中で取得される。サンプル中のICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101レベルが比較される。
患者から取得されるサンプルは、物質の最初の投与前に、すなわち患者が該物質の投薬を受けたことがない時点で、取得してよい。あるいは、患者から取得されるサンプルは治療の経過中に物質の投与後に生じてよい。例えば、物質はモニタリングプロトコルの開始前に投与されていてよい。物質の投与後、追加のサンプルを患者から取得してよい。サンプルは同一または異なるタイプのサンプルであってよく、例えば、各取得サンプルは血液サンプルであるか、または各取得サンプルは血清サンプルであってよい。各サンプル中で検出されるICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101レベルは同一であるか、実質的にオーバーラップするか、または類似であってよい。
サンプルは治療物質の投与前および投与後の任意の時点で取得してよい。治療物質の投与後に取得されるサンプルは、治療物質の投与の、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも12日、または少なくとも14日後に取得してよい。治療物質の投与後に取得されるサンプルは、治療物質の投与の、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、または少なくとも8週間後に取得してよい。治療物質の投与後に取得されるサンプルは、治療物質の投与の、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、または少なくとも6か月後に取得してよい。
治療物質の投与後に患者から追加のサンプルを取得してよい。疾患または障害の進行または退行を経時的にモニターするために、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25サンプルを患者から取得してよい。疾患進行は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも4か月、少なくとも5か月、少なくとも6か月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、少なくとも5年、少なくとも10年の期間、または患者の生涯にわたってモニターしてよい。定期的に、例えば、毎月、2か月に1回、四半期に1回、年2回、または毎年の間隔で、患者から追加のサンプルを取得してよい。定期的な物質の投与後に患者からサンプルを取得してよい。例えば、物質の各投与の1週間後、または物質の各投与の2週間後、または物質の各投与の3週間後、または物質の各投与の1か月後、または物質の各投与の2か月後に、患者からサンプルを取得してよい。あるいは、物質の各投与後に患者から複数のサンプルを取得してよい。
本発明はまた、ICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101レベルを用いて、筋炎を治療、診断、予知、およびモニターする方法を包含する。ICOS mRNAまたはICOSL mRNAまたはmiR-101レベルを使用して、筋炎患者の用量および治療または筋炎疾患のモデルを導くこともできる。
5.1. モノクローナル抗ICOS抗体
モノクローナル抗ICOS抗体はヒトICOS抗原に対する結合特異性を示し、ヒトADCC、CDCおよび/または抗体依存性食作用を媒介することができる。そのような抗体は、当技術分野において公知の多種多様な技術を使用して作製することができ、該技術には、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイテクノロジー、またはその組み合わせの使用が含まれる。抗体は非常に特異的であり、単一の抗原性部位を標的にする。改変された抗ICOS抗体は、当技術分野において公知の任意の手段によって製造することができ、該手段には、非限定的に、下記技術およびその改良技術が含まれる。大量高収率生産は、典型的に、改変された抗ICOS抗体を生産する宿主細胞を培養するステップおよび宿主細胞培養物から抗ICOS抗体を回収するステップを含む。
5.1.1. ハイブリドーマ技術
モノクローナル抗体はハイブリドーマ技術を使用して製造することができる。ハイブリドーマ技術には、当技術分野において公知の技術および、例えば、Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988); Hammerling et al., Monoclonal Antibodies and T Cell Hybridomas, 563-681 (Elsevier, N.Y., 1981) (該参考文献は参照によりその全体がここに組み入れられる)で教示されている技術が含まれる。例えば、ハイブリドーマ法では、マウスまたは他の適切な宿主動物、例えばハムスターまたはマカクザルを免疫して、免疫化に使用されたタンパク質に特異的に結合する抗体を生産するかまたは生産可能なリンパ球を誘発する。リンパ球をin vitroで免疫してもよい。そして、好適な融合物質、例えばポリエチレングリコールを使用して、リンパ球を骨髄腫細胞と融合し、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103 (Academic Press, 1986))。
こうして調製されたハイブリドーマ細胞を播種し、未融合の親骨髄腫細胞の生育または生存を阻害する1種以上の物質を含有する好適な培養培地中で培養する。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ用の培養培地は、典型的に、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(該物質はHGPRT欠損細胞の生育を妨げる)を含む(HAT培地)。
特定の実施形態では、効率的に融合し、選択抗体産生細胞による抗体の安定な高レベル生産を支持し、かつHAT培地等の培地に感受性の骨髄腫細胞を用いる。これらの骨髄腫細胞セルラインには、Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, CA, USAから入手可能なMOPC-21およびMPC-11マウス腫瘍、およびAmerican Type Culture Collection, Rockville, MD, USAから入手可能なSP-2またはX63-Ag8.653細胞由来のセルライン等のマウス骨髄腫細胞セルラインが含まれる。また、ヒトモノクローナル抗体の製造のためのヒト骨髄腫およびマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞セルラインが報告されている(Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。
ハイブリドーマ細胞が生育中である培養培地を、ヒトICOS抗原を標的にするモノクローナル抗体の生産に関してアッセイする。ハイブリドーマ細胞によって生産されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降またはin vitro結合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸収アッセイ(enzyme-linked immunoabsorbent assay)(ELISA)によって決定することができる。
所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を生産するハイブリドーマ細胞を特定した後、限界希釈法によってクローンをサブクローニングし、標準的方法によって培養してよい(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103 (Academic Press, 1986))。このために好適な培地には、例えば、D-MEMまたはRPMI 1640培地が含まれる。さらに、ハイブリドーマ細胞を動物中の腹水腫瘍としてin vivoで培養してよい。
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、慣用の免疫グロブリン精製法、例えば、プロテインA-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーによって、培養培地、腹水、または血清から好適に分離される。
5.1.2. 組換えDNA技術
本明細書中に記載の抗ICOS抗体をコードするDNAは、慣用の手順を使用して(例えば、抗ICOS抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離およびシークエンシングすることができる。ハイブリドーマ細胞はそのようなDNAの供給源となる。単離後、DNAを発現ベクターに入れ、さもなければ免疫グロブリンタンパク質を生産しない宿主細胞、例えば大腸菌(E. coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞に該ベクターをトランスフェクトし、組換え宿主細胞における抗ICOS抗体の合成を達成することができる。
ファージディスプレイ法では、機能的抗体ドメインを、それをコードするポリヌクレオチド配列を保持するファージ粒子の表面にディスプレイする。特に、動物のcDNAライブラリー(例えばヒトまたはマウス罹患組織cDNAライブラリー)からVHおよびVLドメインをコードするDNA配列を増幅する。VHおよびVLドメインをコードするDNAをPCRによってscFvリンカーとともに再結合し、ファージミドベクターにクローニングする。ベクターをエレクトローポレーションによって大腸菌に入れ、該大腸菌をヘルパーファージで感染させる。前記方法で使用されるファージは、典型的に、fdおよびM13を含む線状ファージであり、VHおよびVLドメインは、通常、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIに組換えによって融合される。特定の抗原に結合する抗原結合性ドメインを発現するファージは、抗原を用いて、例えば、標識抗原または固体表面またはビーズに結合しているかまたは捕獲されている抗原を使用して、選択または同定することができる。本発明の抗体の作製に使用できるファージディスプレイ法の例には、Brinkman et al., 1995, J. Immunol. Methods, 182:41-50; Ames et al., 1995, J. Immunol. Methods, 184:177-186; Kettleborough et al., 1994, Eur. J. Immunol., 24:952-958; Persic et al., 1997, Gene, 187:9-18; Burton et al., 1994, Advances in Immunology, 57:191-280; 国際出願第PCT/GB91/O1 134号; 国際公開第WO 90/02809号, 第WO 91/10737号, 第WO 92/01047号, 第WO 92/18619号, 第WO 93/11236号, 第WO 95/15982号, 第WO 95/20401号, および第WO97/13844号; および米国特許第5,698,426号, 第5,223,409号, 第5,403,484号, 第5,580,717号, 第5,427,908号, 第5,750,753号, 第5,821,047号, 第5,571,698号, 第5,427,908号, 第5,516,637号, 第5,780,225号, 第5,658,727号, 第5,733,743号, および第5,969,108号(各文献は参照によりその全体がここに組み入れられる)で開示されている方法が含まれる。
上記参考文献に記載されるように、ファージ選択後、ファージ由来の抗体コード領域を単離し、それを使用して、ヒト抗体を含む完全抗体または任意の他の所望の抗原結合フラグメントを作製し、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含む任意の所望の宿主中で発現させることができる。例えば下記の通りである。当技術分野において公知の方法、例えばPCT公開第WO 92/22324号; Mullinax et al., 1992, BioTechniques, 12(6):864-869; Sawai et al., 1995, AJRI, 34:26-34; およびBetter et al., 1988, Science, 240:1041-1043 (該参考文献は参照によりその全体が組み入れられる)で開示されている方法を使用して、Fab、Fab'およびF(ab')2断片を組換え生産する技術を用いることもできる。
McCafferty et al., Nature, 348:552-554 (1990)に記載の技術を使用して作製された抗体ファージライブラリーから抗体を単離してもよい。Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991). Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)には、ファージライブラリーを使用する、それぞれ、マウスおよびヒト抗体の単離が記載されている。高親和性(nMレンジ)ヒト抗体の製造に鎖混合を使用することができ(Marks et al., Bio/Technology, 10:779-783 (1992))、ならびに、非常に大きいファージライブラリーを構築するためのストラテジーとして、組み合わせ感染(combinatorial infection)およびin vivo組換えを使用することができる(Waterhouse et al., Nuc. Acids. Res., 21:2265-2266 (1993))。ゆえに、これらの技術は、抗ICOS抗体の単離のための、従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術に代わる実行可能な技術である。
完全抗体を作製するために、VHまたはVLヌクレオチド配列を含むPCRプライマー、制限部位、および制限部位を保護するためのフランキング配列を使用して、scFvクローン中のVHまたはVL配列を増幅することができる。当業者に公知のクローニング技術を利用して、PCR増幅されたVHドメインを、重鎖定常領域、例えばヒトガンマ4定常領域を発現するベクターにクローニングすることができ、PCR増幅されたVLドメインを、軽鎖定常領域、例えばヒトカッパまたはラムダ定常領域を発現するベクターにクローニングすることができる。VHまたはVLドメインを発現するためのベクターには、EF-1αプロモーター、分泌シグナル、可変ドメイン用のクローニング部位、定常ドメイン、および選択マーカー、例えばネオマイシンを含ませてよい。VHおよびVLドメインを、必要な定常領域を発現する1ベクターにクローニングしてもよい。そして、重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターをセルラインに同時トランスフェクトして、当業者に公知の技術を使用して、完全長抗体、例えばIgGを発現する安定なまたは一時的なセルラインを作製する。
例えば、ヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列を、相同マウス配列の代わりに用いることによって(米国特許第4,816,567号; Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851 (1984))、または非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全体または部分を共有結合によって免疫グロブリンコード配列に連結することによって、DNAを改変してもよい。
5.2. キメラ抗体
本明細書中の抗ICOS抗体は、特に、重鎖および/または軽鎖の一部分が、特定の種由来のまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるかまたは相同であるが、鎖(群)の別の部分が、別の種由来のまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同である、キメラ抗体(免疫グロブリン)、ならびにそのような抗体の断片を、それらが所望の生物学的活性を示す限り、含む(米国特許第4,816,567号; Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984))。本明細書中の目的のキメラ抗体は、非ヒト霊長類(例えばヒヒ、アカゲザルまたはカニクイザル等の旧世界ザル(Old World Monkey))由来の可変ドメイン抗原結合配列およびヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む(米国特許第5,693,780号)。
5.3. 改変/突然変異型抗体
本明細書中に記載の組成物および方法の抗ICOS抗体は突然変異型抗体であってよい。本明細書中で使用される「抗体突然変異体」または「改変抗体」とは、抗ICOS抗体の1個以上のアミノ酸残基が改変されている、抗ICOS抗体のアミノ酸配列変異体を表す。抗ICOS抗体のアミノ酸配列の改変には、抗原に対する抗体の親和性またはアビディティーを改良する、配列に対する改変、および/またはエフェクター機能を改良する、抗体のFc部分に対する改変が含まれる。
したがって本発明は、本明細書中で開示される増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体ならびにその改変/突然変異型誘導体に関する。該誘導体には、非限定的に、改変されたヒトICOS結合特性; 例えば改変された会合定数kON、解離定数kOFF、および/または平衡定数または結合親和性KDを示すものが含まれる。特定の実施形態では、ヒトICOSに関する本明細書中に記載の抗ICOS抗体、またはその改変/突然変異型誘導体のKDは、わずかに約10-6M、10-7M、10-8M、または10-9Mであってよい。本発明の抗体、またはその改変/突然変異型誘導体のそのような結合特性の決定に好適な方法および試薬は当技術分野において公知であり、かつ/または市販されている(上記および例えば米国特許第6,849,425号, 米国特許第6,632,926号, 米国特許第6,294,391号, および米国特許第6,143,574号(各文献は参照によりその全体がここに組み入れられる)を参照のこと)。さらに、そのような動態解析用に設計された装置およびソフトウェアが市販されている(例えばBiacore(登録商標) A100, およびBiacore(登録商標) 2000機器; Biacore International AB, Uppsala, Sweden)。
任意の公知の抗ICOS抗体または本明細書中で記載されるように特定された抗ICOS抗体に改変を施すことができる。そのような改変抗体は、必然的に、公知の抗ICOS抗体と100%未満の配列同一性または類似性を有する。一例として、改変抗体は、本明細書中に記載の抗ICOS抗体の重鎖または軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列に対して約25%〜約95%同一または類似の範囲内のアミノ酸配列を有してよい。改変抗体は、本明細書中に記載の抗ICOS抗体の重鎖または軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列と、少なくとも25%、35%、45%、55%、65%、75%、80%、85%、90%、または95%のアミノ酸配列同一性または類似性を有するアミノ酸配列を有してよい。別の実施形態では、改変抗体は、本明細書中に記載の抗ICOS抗体の重鎖CDR1、CDR2、またはCDR3のアミノ酸配列と、少なくとも25%、35%、45%、55%、65%、75%、80%、85%、90%、または95%のアミノ酸配列同一性または類似性を有するアミノ酸配列を有してよい。一実施形態では、改変抗体はヒトICOS結合能力を維持する。特定の実施形態では、本明細書中に記載の抗ICOS抗体は、配列番号7のアミノ酸配列に対して、少なくともまたは約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上同一のVHを含んでよい。
別の実施形態では、改変抗体は、本明細書中に記載の抗ICOS抗体の軽鎖CDR1、CDR2、またはCDR3のアミノ酸配列と、少なくとも25%、35%、45%、55%、65%、75%、80%、85%、90%、または95%のアミノ酸配列同一性または類似性を有するアミノ酸配列を有してよい。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、配列番号2のアミノ酸配列に対して、少なくともまたは約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上同一のVLを含んでよい。
配列に関する同一性または類似性は、配列のアライメントおよび必要であれば、最大配列同一性パーセントを達成するためのギャップの導入後に、抗ICOS抗体残基と同一(すなわち同一残基)または類似(すなわち、共通の側鎖特性に基づく同じ群由来のアミノ酸残基、下記参照のこと)である、候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして本明細書中で定義される。可変ドメインの外側の抗体配列へのN末端、C末端、もしくは内部伸長、欠失、または挿入はいずれも、配列同一性または類似性に影響すると解釈されないものとする。
「同一性%」は、当技術分野において公知であるように、配列を比較することによって決定される、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド間の関係の尺度である。一般に、比較対象の2つの配列をアライメントして、配列間の最大相関を得る。2つの配列のアライメントを調査し、2つの配列間でアミノ酸またはヌクレオチドの厳密な一致をもたらす位置の数を決定し、アライメントのトータルの長さによって除算し、100を乗算して、同一性%の数値を得る。この同一性%の数値は、比較対象の配列の全長にわたって決定することができ、それは、同一または非常に類似の長さの配列および非常に相同な配列に特に好適であり、または該数値を、短い限定された長さにわたって決定することができ、それは、不均等な長さの配列または低いレベルのホモロジーしか有さない配列に、より好適である。
例えば、Unix(登録商標)環境下でソフトウェアclustalwを用いて配列をアライメントすることができる。clustalwは「.aln」拡張子を有するファイルを生成する。このファイルをBioeditプログラムにインポートすることができる(Hall, T.A. 1999, BioEdit: a user-friendly biological sequence alignment editor and analysis program for Windows(登録商標) 95/98/NT. Nucl. Acids. Symp. Ser. 41:95-98)。Bioeditプログラムは.alnファイルを開く。Bioeditウインドウでは、個別の配列を(一度に2つ)選択し、それらをアライメントすることができる。この方法は配列全体の比較を可能にする。
2つ以上の配列の同一性を比較するための方法は当技術分野において周知である。例えば、Wisconsin配列解析パッケージ バージョン9.1のプログラムが利用可能である(Devereux J. et al., Nucleic Acids Res., 12:387-395, 1984, Genetics Computer Group, Madison, WI, USAから入手可能)。2つの配列間の同一性パーセントの決定は数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。例えば、プログラムBESTFITおよびGAPを使用して、2つのポリヌクレオチド間の同一性%および2つのポリペプチド配列間の同一性%を決定してよい。BESTFITでは、SmithおよびWatermanの「ローカルホモロジー」アルゴリズム(Advances in Applied Mathematics, 2:482-489, 1981)を使用し、2つの配列間の最も類似する単一領域を見出す。BESTFITは、長さが類似していない2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド配列の比較に適している。該プログラムは、短い方の配列が長い方の配列の部分であると仮定する。それに対して、GAPは2つの配列をアライメントし、NeddlemanおよびWunschのアルゴリズムにしたがって「最大類似性」を見出す(J. Mol. Biol., 48:443-354, 1970)。GAPは、ほぼ同じ長さの配列の比較に適している。そして、アライメントは全長にわたって予測される。好ましくは、各プログラムで使用されるパラメータ「Gap Weight」および「Length Weight」は、それぞれ、ポリヌクレオチドに関して50および3ならびにポリペプチドに関して12および4である。好ましくは、比較される2つの配列が最適にアライメントされた場合の同一性および類似性%を決定する。
配列間の同一性および/または類似性を決定するための他のプログラム、例えばBLASTファミリーのプログラム(Karlin & Altschul, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:2264-2268, Karlin & Altschul, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:5873-5877のように改変され, National Center for Biotechnology Information (NCB), Bethesda, MD, USAから入手可能で、NCBIのホームページwww.ncbi.nlm.nih.gov経由でアクセス可能である)もまた当技術分野において公知である。これらのプログラムは、2つの配列の比較に利用できる数学的アルゴリズムの非限定的な例である。そのようなアルゴリズムはAltschul et al., 1990, J. Mol. Biol., 215:403-410のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み入れられている。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラムで、score = 100、wordlength = 12で実施して、本発明の抗ICOS抗体の全体または部分をコードする核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラムで、score = 50、wordlength = 3で実施して、本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的でギャップアライメントを取得するために、Altschul et al., 1997, Nucleic Acids Res., 25:3389-3402に記載されるようにGapped BLASTを利用することができる。また、PSI-Blastを使用して、分子間の遠縁の関係性を検出する反復検索を実施することもできる(同文献)。BLAST、Gapped BLAST、およびPSI-Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えばXBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。
当技術分野において公知の、配列間の同一性および/または類似性を決定するためのプログラムの別の非限定的な例はFASTA (Pearson W.R. and Lipman D.J., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:2444-2448, 1988, Wisconsin配列解析パッケージの部分として入手可能)である。好ましくは、BLOSUM62アミノ酸置換マトリックス(Henikoff S. and Henikoff J.G., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:10915-10919, 1992)をポリペプチド配列比較において使用し、それには、ヌクレオチド配列が比較前にまずアミノ酸配列に翻訳される場合が含まれる。
アミノ酸配列間の同一性および/または類似性を決定するための当技術分野において公知のプログラムのさらに別の非限定的な例はSeqWebソフトウェア(GCG Wisconsinパッケージ: Gapプログラムへのウェブベースのインターフェース)であり、それを、プログラムのデフォルトアルゴリズムおよびパラメータ設定: blosum62, gap weight 8, length weight 2で利用する。
2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップを許容するか許容せずに、上記技術と類似の技術を使用して決定することができる。同一性パーセントの計算では、典型的に厳密な適合がカウントされる。
好ましくはプログラムBESTFITを使用して、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列に対するクエリポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の同一性%を決定し、クエリおよび参照配列は最適にアライメントされ、プログラムのパラメータはデフォルト値で設定される。
改変抗体を作製するために、種依存性抗体の1つ以上の超可変領域に1つ以上のアミノ酸改変(例えば置換)が導入される。フレームワーク領域残基の1つ以上の改変(例えば置換)を抗ICOS抗体に導入してもよく、これらの改変は、第二の哺乳類種由来の抗原に対する抗体突然変異体の結合親和性の改良をもたらす。改変対象のフレームワーク領域残基の例には、非共有結合によって抗原に直接結合している残基(Amit et al., Science, 233:747-753 (1986)); CDRのコンフォメーションと相互作用し/CDRのコンフォメーションを生じさせる残基(Chothia et al., J. Mol. Biol., 196:901-917 (1987)); および/またはVL-VH界面に関与する残基(EP 239 400B1)が含まれる。特定の実施形態では、1個以上のそのようなフレームワーク領域残基の改変は、第二の哺乳類種由来の抗原に対する抗体の結合親和性の増強を生じさせる。例えば、約1〜約5個のフレームワーク残基を本発明のこの実施形態において改変してよい。時には、このことは、超可変領域残基がまったく改変されていない場合でさえ、前臨床試験での使用に好適な抗体突然変異体を得るために十分である。しかし、通常は、改変抗体は追加の超可変領域改変(群)を含む。
改変される超可変領域残基はランダムに変化させてよく、特に、第二の哺乳類種由来の抗原に対する抗ICOS抗体の出発結合親和性が、該ランダムに製造された改変抗体を容易にスクリーニングできるような出発結合親和性である場合にはそうである。
そのような改変抗体を作製するための有用な一手順は「アラニン置換突然変異誘発(alanine scanning mutagenesis)」と称される(Cunningham and Wells, Science, 244:1081-1085 (1989))。ここでは、1個以上の超可変領域残基(群)をアラニンまたはポリアラニン残基(群)によって置換して、アミノ酸と第二の哺乳類種由来の抗原の相互作用に影響を与える。そして、置換に対する機能的感受性を示すその超可変領域残基(群)を、置換部位でのまたは置換部位に関する追加または他の突然変異の導入によって絞り込む。ゆえに、アミノ酸配列変異を導入するための部位をあらかじめ決定するが、突然変異の性質そのものをあらかじめ決定する必要はない。このように製造されたAla突然変異体を、本明細書中に記載されるように、その生物学的活性に関してスクリーニングする。
そのような改変抗体を作製するための別の手順には、ファージディスプレイを使用する親和性成熟が含まれる(Hawkins et al., J. Mol. Biol., 254:889-896 (1992) およびLowman et al., Biochemistry, 30(45):10832-10837 (1991))。簡潔に言えば、いくつかの超可変領域部位(例えば6-7部位)を突然変異させて、各部位ですべての可能なアミノ酸置換を得る。このように作製された抗体突然変異体を、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III産物に対する融合物として線状ファージ粒子から一価様式でディスプレイする。ファージによってディスプレイされた突然変異体を、本明細書中で開示されるように、その生物学的活性(例えば結合親和性)に関してスクリーニングする。
抗体配列中の突然変異は、アミノ酸配列内のおよび/またはそれに隣接するアミノ酸残基の置換、欠失(内部欠失を含む)、付加(融合タンパク質を生じさせる付加を含む)、または保存的置換であるが、変化が機能的に等価な抗ICOS抗体を生じさせる点において「サイレント」変化を生じさせるものを含んでよい。保存的アミノ酸置換は、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性の類似性に基づいて施してよい。例えば、無極性(疎水性)アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンが含まれ; 極性中性アミノ酸には、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれ; 正電荷(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リシン、およびヒスチジンが含まれ; 負電荷(酸性)アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。さらに、グリシンおよびプロリンは鎖の向きに影響しうる残基である。非保存的置換は、前記クラスの1つのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することを含む。さらにまた、所望であれば、非従来型アミノ酸または化学的アミノ酸アナログを置換または付加として抗体配列に導入することができる。非従来型アミノ酸には、非限定的に、通常アミノ酸のD異性体、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロ-アミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えばβ-メチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、Nα-メチルアミノ酸、およびアミノ酸アナログが概して含まれる。
別の実施形態では、改変のために選択される部位をファージディスプレイを使用して親和性成熟させる(上記参照のこと)。
当技術分野において公知の突然変異誘発のための任意の技術を使用して、抗体配列中でアミノ酸置換(群)を施すために、または制限部位を創出し/欠失させて以後の改変を容易にするために、DNA配列中の個別のヌクレオチドを改変することができる。そのような技術には、非限定的に、化学的突然変異誘発、in vitro部位特異的突然変異誘発(Kunkel, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:488 (1985); Hutchinson, C. et al., J. Biol. Chem., 253:6551 (1978))、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発(oligonucleotide-directed mutagenesis) (Smith, Ann. Rev. Genet., 19:423-463 (1985); Hill et al., Methods Enzymol., 155:558-568 (1987))、PCRベースの重複伸長(Ho et al., Gene, 77:51-59 (1989))、PCRベースのメガプライマー突然変異誘発(megaprimer mutagenesis) (Sarkar et al., Biotechniques, 8:404-407 (1990))、等が含まれる。改変は二本鎖ジデオキシDNAシークエンシングによって確認することができる。
本発明の特定の実施形態では、抗ICOS抗体を改変して、融合タンパク質; すなわち、異種タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドに融合された抗体、またはその断片を得ることができる。特定の実施形態では、抗ICOS抗体の部分に融合されるタンパク質は抗体誘導酵素プロドラッグ療法(Antibody-Directed Enzyme Prodrug Therapy) (ADEPT)の酵素成分である。抗ICOS抗体との融合タンパク質として改変できる他のタンパク質またはポリペプチドの例には、非限定的に、毒素、例えばリシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシンA、ポークウィード抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリン(diphtherin)毒素、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素が含まれる。例えば、Pastan et al., Cell, 47:641 (1986), およびGoldenberg et al., Cancer Journal for Clinicians, 44:43 (1994)を参照のこと。使用できる酵素活性毒素およびその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin) A鎖、アルファ-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、momordica charantiaインヒビター、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalisインヒビター、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)およびトリコテセン(tricothecenes)が含まれる。例えば、1993年10月28日公開のWO 93/21232を参照のこと。
遺伝子シャフリング、モチーフシャフリング、エキソンシャフリング、および/またはコドンシャフリング(包括的に「DNAシャフリング」と称される)の技術によって、追加の融合タンパク質を作製することができる。DNAシャフリングを用いて、抗ICOS抗体またはその断片の活性を改変することができる(例えば、高い親和性および低い解離速度を有する抗体またはその断片)。概して、米国特許第5,605,793号; 第5,811,238号; 第5,830,721号; 第5,834,252号; および第5,837,458号, およびPatten et al., 1997, Curr. Opinion Biotechnol., 8:724-33 ; Harayama, 1998, Trends Biotechnol. 16(2):76-82; Hansson et al., 1999, J. Mol. Biol., 287:265-76; およびLorenzo and Blasco, 1998, Biotechniques 24(2):308- 313 (前記特許および刊行物のそれぞれは、参照によりその全体がここに組み入れられる)を参照のこと。抗体はさらに、すべてLedbetter et al.の米国公開20030118592, 米国公開200330133939, およびPCT公開WO 02/056910 (該文献は参照によりその全体がここに組み入れられる)に記載される結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質であってよい。
5.4. ドメイン抗体
本発明の組成物および方法の抗ICOS抗体は、ドメイン抗体、例えば、ヒト抗体の重鎖(VH)または軽鎖(VL)の可変領域に相当する、抗体の小さい機能的結合単位を含有する抗体であってよい。ドメイン抗体の例には、非限定的に、治療標的に特異的なDomantis Limited (Cambridge, UK)およびDomantis Inc. (Cambridge, MA, USA)から入手可能なドメイン抗体が含まれる(例えば、WO04/058821; WO04/003019; 米国特許第6,291,158号; 第6,582,915号; 第6,696,245号; および第6,593,081号を参照のこと)。市販のドメイン抗体ライブラリーを使用して、抗ICOSドメイン抗体を特定することができる。特定の実施形態では、抗ICOS抗体はICOS機能的結合単位およびFcガンマ受容体機能的結合単位を含む。
一実施形態では、抗ICOSドメイン抗体は、JMab-136モノクローナル抗体の重鎖または軽鎖のCDRのいずれか1つ、またはいずれかの組み合わせを含んでよい。
別の実施形態では、抗ICOSドメイン抗体は、JMab-136のVH CDR3を、JMab-136モノクローナル抗体の重鎖または軽鎖可変領域に含まれるCDRの任意の組み合わせとともに含んでよい。抗ICOSドメイン抗体は、JMab-136のVK CDR3を、JMab-136モノクローナル抗体の重鎖または軽鎖可変領域に含まれるCDRの任意の組み合わせとともに含んでもよい。
さらに別の実施形態では、抗ICOSドメイン抗体はJMab-136のVH CDR3を含んでよい。抗ICOSドメイン抗体はJMab-136のVK CDR3を含んでもよい。
5.5. ダイアボディー
本発明の特定の実施形態では、抗ICOS抗体は「ダイアボディー」である。用語「ダイアボディー」とは、2つの抗原結合部位を有する小さい抗体断片であって、同一ポリペプチド鎖中で軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH) (VH-VL)を含む断片を表す。同一鎖上の2つのドメイン間の対合を許容しないほど短いリンカーを使用することによって、ドメインが別の鎖の相補ドメインと対合するように強制し、2つの抗原結合部位を創出する。ダイアボディーは、例えば、EP 404,097; WO 93/11161; およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)にさらに完全に記載されている。
5.6. ワクチボディー
本発明の特定の実施形態では、抗ICOS抗体はワクチボディーである。ワクチボディーは二量体ポリペプチドである。ワクチボディーの各モノマーは、ヒンジ領域およびCγ3ドメインによって第二のscFvに連結されたAPC上の表面分子に対する特異性を有するscFvからなる。本発明の他の実施形態では、scFvの1つとして抗ICOS抗体断片を含有するワクチボディーを使用して、破壊対象のICOS発現細胞およびADCCを媒介するエフェクター細胞を並列することができる。例えば、Bogen et al., 米国特許出願公開第20040253238号を参照のこと。
5.7. 線状抗体
本発明の特定の実施形態では、抗ICOS抗体は線状抗体である。線状抗体は、抗原結合領域のペアを形成する直列のFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)ペアを含む。線状抗体は二重特異性または単一特異性であってよい。Zapata et al., Protein Eng., 8(10):1057-1062 (1995)を参照のこと。
5.8. 親抗体
本発明の特定の実施形態では、抗ICOS抗体は親抗体である。「親抗体」は、本明細書中で開示される改変/突然変異型抗体と比較して、1個以上のその超可変領域中のまたはそれに隣接する1個以上のアミノ酸残基を欠いているか、またはその残基において欠損しているアミノ酸配列を含む抗体である。ゆえに、親抗体は、本明細書中で開示される抗体突然変異体の対応する超可変領域より短い超可変領域を有するかもしれない。親ポリペプチドは、ネイティブ抗体配列(すなわち、天然に存在する対立遺伝子変異体を含む天然に存在する配列)または天然に存在する配列の、既存のアミノ酸配列改変(例えば、他の挿入、欠失および/または置換)を有する抗体配列を含んでよい。親抗体はヒト化抗体またはヒト抗体であってよい。
5.9. 抗体断片
「抗体断片」は、完全長抗体の部分、概してその抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2、およびFv断片; ダイアボディー; 線状抗体; 単鎖抗体分子; および多重特異性抗体であって、抗体断片から形成されるものが含まれる。
伝統的に、これらの断片は、タンパク質分解によるインタクト抗体の消化によって生成された(例えば、Morimoto et al., Journal of Biochemical and Biophysical Methods, 24:107-117 (1992) およびBrennan et al., Science, 229:81 (1985)を参照のこと)。しかし、現在は、これらの断片を組換え宿主細胞によって直接製造することができる。例えば、上で考察される抗体ファージライブラリーから抗体断片を単離することができる。Fab'-SH断片を大腸菌から直接回収し、化学的に結合させてF(ab')2断片を形成させることもできる(Carter et al., Bio/Technology, 10:163-167 (1992))。別のアプローチでは、F(ab')2断片を組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。抗体断片を製造するための他の技術は当業者に自明である。他の実施形態では、選択抗体は単鎖Fv断片(scFv)である。例えば、WO 93/16185を参照のこと。特定の実施形態では、抗体はFab断片ではない。
5.10. 二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。典型的な二重特異性抗体はICOS発現T細胞表面マーカーの2つの異なるエピトープに結合することができる。他のそのような抗体は第一のICOS発現T細胞マーカーに結合し、かつ第二のICOS発現T細胞表面マーカーにさらに結合する。抗ICOS発現T細胞マーカー結合アームは、ICOS発現T細胞に細胞性防御機構を集中させるために、白血球上のトリガー分子、例えばT細胞受容体分子(例えばCD2またはCD3)、またはIgGに関するFc受容体(FcγR)に結合するアームと組み合わせてもよい。二重特異性抗体を使用して、ICOS発現T細胞に細胞傷害性物質を局在化させてもよい。これらの抗体は、ICOS発現T細胞マーカー結合アームおよび細胞傷害性物質(例えば、サポリン(saporin)、抗インターフェロンα、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトラエキサート(methola-exate)または放射性同位体ハプテン)に結合するアームを有する。二重特異性抗体は完全長抗体または抗体断片(例えばF(ab'): 二重特異性抗体)として製造することができる。
二重特異性抗体を作製するための方法は当技術分野において公知である。(例えば、Millstein et al., Nature, 305:537-539 (1983); Traunecker et al., EMBO J., 10:3655-3659 (1991); Suresh et al., Methods in Enzymology, 121:210 (1986); Kostelny et al., J. Immunol., 148(5):1547-1553 (1992); Hollinger et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 90:6444-6448 (1993); Gruber et al., J. Immunol., 152:5368 (1994); 米国特許第4,474,893号; 第4,714,681号; 第4,925,648号; 第5,573,920号; 第5,601,81号; 第95,731,168号; 第4,676,980号; および第4,676,980号, WO 94/04690; WO 91/00360; WO 92/200373; WO 93/17715; WO 92/08802; およびEP 03089を参照のこと)。
一実施形態では、本発明の組成物および方法の抗ICOS抗体が二重特異性である場合、抗ICOS抗体はヒトまたはヒト化抗体であるか、ヒトICOSおよびT細胞上のエピトープに対する特異性を有するか、または細胞死を生じさせるヒトエフェクター細胞、例えば、単球/マクロファージおよび/またはナチュラルキラー細胞に結合可能であってよい。
5.11. 変異Fc領域
本発明は、変異Fc領域を含むタンパク質の製剤を提供する。すなわち、天然に存在しないFc領域、例えば1個以上の天然に存在しないアミノ酸残基を含むFc領域である。また、本発明の変異Fc領域には、アミノ酸欠失、付加および/または改変を含むFc領域が包含される。
本明細書中で使用されるFc領域には、第一の定常領域免疫グロブリンドメインを除く抗体の定常領域を含むポリペプチドが含まれることが理解される。ゆえに、Fcとは、IgA、IgD、およびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、およびIgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、および前記ドメインのN末端の可動性ヒンジを表す。IgAおよびIgMでは、FcはJ鎖を含んでよい。IgGでは、Fcは免疫グロブリンドメインCガンマ2およびCガンマ3 (Cγ2およびCγ3)ならびにCガンマ1 (Cγ1)とCガンマ2 (Cγ2)の間のヒンジを含む。Fc領域の境界は変動するが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、残基C226またはP230〜そのカルボキシル末端を含むと定義される(この番号付けはKabat et al. (1991, NIH Publication 91-3242, National Technical Information Service, Springfield, VA)に見られるようなEUインデックスにしたがう)。「Kabatに記載のEUインデックス」とは、Kabat et al. 上記に記載のヒトIgG1 EU抗体の残基の番号付けを表す。Fcとは、単離状態のこの領域、または抗体、抗体断片、もしくはFc融合タンパク質中のこの領域を表す。Fc変異タンパク質は、Fc領域を含む抗体、Fc融合物、または任意のタンパク質またはタンパク質ドメインであってよく、それには、非限定的に、天然に存在しないFc変異体である変異Fc領域を含むタンパク質が含まれる。注記: いくつかのFc位置で多型が観察されており、該位置には、非限定的に、Kabat 270、272、312、315、356、および358が含まれ、ゆえに提示される配列と先行技術中の配列の間にわずかな差異が存在することもある。
本発明は、同等の分子(例えば、野生型Fc領域を有することを除いて同一のアミノ酸配列を有するタンパク質)と比べてFcリガンド(例えばFc受容体、C1q)に対する改変された結合特性を有するFc変異体タンパク質を包含する。結合特性の例には、非限定的に、結合特異性、平衡解離定数(KD)、解離および会合速度(それぞれkoffおよびkon)、結合親和性および/またはアビディティーが含まれる。一般に、低いKDを有する結合分子(例えば、抗体等のFc変異体タンパク質)が高いKDを有する結合分子より好ましいことが理解される。しかし、場合によっては、konまたはkoffの値がKDの値より実際的な重要性を有する。当業者は、所定の抗体適用に関してどの動態パラメータが最も重要であるかを決定することができる。
Fcドメインのそのリガンドに対する親和性および結合特性は、Fc-FcγR相互作用、すなわちFcγRに対するFc領域の特異的結合を決定するための当技術分野において公知の種々のin vitroアッセイ法(生化学または免疫学ベースのアッセイ)によって決定することができる。該方法には、非限定的に、平衡法(例えば、酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)、またはラジオイムノアッセイ(RIA))、または速度論(例えばBIACORE(登録商標)解析)、および他の方法、例えば間接結合アッセイ、競合阻害アッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、ゲル電気泳動およびクロマトグラフィー(例えばゲルろ過)が含まれる。前記および他の方法では、検査される1種以上の成分に対する標識を利用し、かつ/または種々の検出方法を用いることができる。それには、非限定的に、色素生産、蛍光、発光、または同位体標識が含まれる。結合親和性および速度論についての詳細な説明はPaul, W.E., ed., Fundamental Immunology, 4th Ed., Lippincott-Raven, Philadelphia (1999)に見出せる。該文献は、抗体免疫原相互作用を中心に扱う。
一実施形態では、Fc変異体タンパク質は同等の分子と比べて1種以上のFcリガンドに対する増強された結合性を有する。別の実施形態では、Fc変異体タンパク質は、同等の分子の親和性より、少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも7倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも30倍、または少なくとも40倍、または少なくとも50倍、または少なくとも60倍、または少なくとも70倍、または少なくとも80倍、または少なくとも90倍、または少なくとも100倍、または少なくとも200倍高いFcリガンドに対する親和性を有する。特定の実施形態では、Fc変異体タンパク質はFc受容体に対する増強された結合性を有する。別の特定の実施形態では、Fc変異体タンパク質はFc受容体FcγRIIIAに対する増強された結合性を有する。さらに別の特定の実施形態では、Fc変異体タンパク質はFc受容体FcRnに対する増強された結合性を有する。さらに別の特定の実施形態では、Fc変異体タンパク質は同等の分子と比べてC1qに対する増強された結合性を有する。
Fc領域を含むタンパク質の血清半減期は、FcRnに対するFc領域の結合親和性を増加させることによって増加させることができる。一実施形態では、Fc変異体タンパク質は同等の分子と比べて増加した血清半減期を有する。
「抗体依存性細胞性細胞傷害」または「ADCC」とは、特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合している分泌Igによって、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原保持標的細胞に特異的結合し、その後、細胞毒で該標的細胞を死滅させることが可能になる、細胞傷害性の形式を表す。標的細胞の表面に対する特異的高親和性IgG抗体は細胞傷害性細胞を「アーム」し、そのような死滅に絶対的に必要とされる。標的細胞の溶解は細胞外性であり、直接の細胞間接触を必要とし、補体が関与しない。抗体に加えて、抗原保持標的細胞に特異的に結合する能力を有するFc領域を含む他のタンパク質、特にFc融合タンパク質は細胞性細胞傷害を達成することができると想定される。簡単にするために、Fc融合タンパク質の活性から生じる細胞性細胞傷害もまた、本明細書中でADCC活性と称される。
任意の特定のFc変異体タンパク質がADCCによって標的細胞の溶解を媒介する能力をアッセイすることができる。ADCC活性を評価するために、目的のFc変異体タンパク質を免疫エフェクター細胞とともに標的細胞に加えると、それは抗原抗体複合体によって活性化されて、標的細胞の細胞溶解を生じさせる。細胞溶解は、一般に、溶解細胞からの標識(例えば、放射性基質、蛍光色素または天然細胞内タンパク質)の放出によって検出される。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。in vitro ADCCアッセイの具体例は、Wisecarver et al., 1985 79:277-282; Bruggemann et al., 1987, J Exp Med 166:1351-1361; Wilkinson et al., 2001, J Immunol Methods 258:183-191; Patel et al., 1995 J Immunol Methods 184:29-38に記載されている。また、目的のFc変異体タンパク質のADCC活性は、例えばClynes et al., 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:652-656で開示されているような動物モデルにおいて、in vivoで評価してもよい。
一実施形態では、Fc変異体タンパク質は同等の分子と比べて増強されたADCC活性を有する。特定の実施形態では、Fc変異体タンパク質は、同等の分子のADCC活性より、少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍または少なくとも10倍または少なくとも50倍または少なくとも100倍高いADCC活性を有する。別の特定の実施形態では、Fc変異体タンパク質は同等の分子と比べてFc受容体FcγRIIIAに対する増強された結合性を有し、かつ増強されたADCC活性を有する。他の実施形態では、Fc変異体タンパク質は同等の分子と比べて増強されたADCC活性および増加した血清半減期をともに有する。
「補体依存性細胞傷害」および「CDC」とは、補体の存在下での標的細胞の溶解を表す。補体活性化経路は、同族の抗原と複合体形成した分子(例えば抗体)に対する補体系の第一成分(C1q)の結合によって惹起される。補体活性化を評価するために、例えばGazzano-Santoro et al., 1996, J. Immunol. Methods, 202:163に記載のCDCアッセイを実施することができる。一実施形態では、Fc変異体タンパク質は同等の分子と比べて増強されたCDC活性を有する。特定の実施形態では、Fc変異体タンパク質は、同等の分子のCDC活性より、少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍または少なくとも10倍または少なくとも50倍または少なくとも100倍高いCDC活性を有する。他の実施形態では、Fc変異体タンパク質は同等の分子と比べて増強されたCDC活性および増加した血清半減期をともに有する。
一実施形態では、本発明は、Kabatに記載のEUインデックスによって番号付けされた場合、234、235、236、237、238、239、240、241、243、244、245、247、251、252、254、255、256、262、263、264、265、266、267、268、269、279、280、284、292、296、297、298、299、305、313、316、325、326、327、328、329、330、332、333、334、339、341、343、370、373、378、392、416、419、421、440および443からなる群から選択される1個以上の位置で、Fc領域が、天然に存在しないアミノ酸残基を含む組成物を提供する。場合により、Fc領域は、当業者に公知の追加および/または代替の位置で天然に存在しないアミノ酸残基を含んでよい(例えば、米国特許5,624,821; 6,277,375; 6,737,056; PCT特許公開WO 01/58957; WO 02/06919; WO 04/016750; WO 04/029207; WO 04/035752; WO 04/074455; WO 04/099249; WO 04/063351; WO 05/070963; WO 05/040217, WO 05/092925およびWO 06/020114を参照のこと)。
特定の実施形態では、本発明は、Kabatに記載のEUインデックスによって番号付けされた場合、234D、234E、234N、234Q、234T、234H、234Y、234I、234V、234F、235A、235D、235R、235W、235P、235S、235N、235Q、235T、235H、235Y、235I、235V、235F、236E、239D、239E、239N、239Q、239F、239T、239H、239Y、240I、240A、240T、240M、241W、241 L、241Y、241E、241 R. 243W、243L 243Y、243R、243Q、244H、245A、247L、247V、247G、251F、252Y、254T、255L、256E、256M、262I、262A、262T、262E、263I、263A、263T、263M、264L、264I、264W、264T、264R、264F、264M、264Y、264E、265G、265N、265Q、265Y、265F、265V、265I、265L、265H、265T、266I、266A、266T、266M、267Q、267L、268E、269H、269Y、269F、269R、270E、280A、284M、292P、292L、296E、296Q、296D、296N、296S、296T、296L、296I、296H、269G、297S、297D、297E、298H、298I、298T、298F、299I、299L、299A、299S、299V、299H、299F、299E、305I、313F、316D、325Q、325L、325I、325D、325E、325A、325T、325V、325H、327G、327W、327N、327L、328S、328M、328D、328E、328N、328Q、328F、328I、328V、328T、328H、328A、329F、329H、329Q、330K、330G、330T、330C、330L、330Y、330V、330I、330F、330R、330H、332D、332S、332W、332F、332E、332N、332Q、332T、332H、332Y、332A、339T、370E、370N、378D、392T、396L、416G、419H、421K、440Yおよび434Wからなる群から選択される少なくとも1個の天然に存在しないアミノ酸残基をFc領域が含むFc変異体タンパク質組成物を提供する。場合により、Fc領域は、当業者に公知の追加および/または代替の天然に存在しないアミノ酸残基を含んでよい(例えば、米国特許5,624,821; 6,277,375; 6,737,056; PCT特許公開WO 01/58957; WO 02/06919; WO 04/016750; WO 04/029207; WO 04/035752およびWO 05/040217を参照のこと)。
別の実施形態では、本発明は、Kabatに記載のEUインデックスによって番号付けされた場合、239、330および332からなる群から選択される1個以上の位置でFc領域が少なくとも1個の天然に存在しないアミノ酸を含む、Fc変異体タンパク質組成物を提供する。特定の実施形態では、本発明は、Kabatに記載のEUインデックスによって番号付けされた場合、239D、330Lおよび332Eからなる群から選択される少なくとも1個の天然に存在しないアミノ酸をFc領域が含む、Fc変異体タンパク質製剤を提供する。場合により、Fc領域は、Kabatに記載のEUインデックスによって番号付けされた場合、252、254、および256からなる群から選択される1個以上の位置で追加の天然に存在しないアミノ酸をさらに含んでよい。特定の実施形態では、本発明は、Kabatに記載のEUインデックスによって番号付けされた場合、239D、330Lおよび332Eからなる群から選択される少なくとも1個の天然に存在しないアミノ酸をFc領域が含み、かつ1個以上の位置の少なくとも1個の天然に存在しないアミノ酸が、Kabatに記載のEUインデックスによって番号付けされた場合、252Y、254Tおよび256Eからなる群から選択される、Fc変異体タンパク質製剤を提供する。
一実施形態では、本発明のFc変異体を他の公知のFc変異体と組み合わせてよく、該公知のFc変異体は、例えば、Ghetie et al., 1997, Nat Biotech. 15:637-40; Duncan et al, 1988, Nature 332:563-564; Lund et al., 1991, J. Immunol 147:2657-2662; Lund et al, 1992, Mol Immunol 29:53-59; Alegre et al, 1994, Transplantation 57:1537-1543; Hutchins et al., 1995, Proc Natl. Acad Sci U S A 92:11980-11984; Jefferis et al, 1995, Immunol Lett. 44:111-117; Lund et al., 1995, Faseb J 9:115-119; Jefferis et al, 1996, Immunol Lett 54:101-104; Lund et al, 1996, J Immunol 157:4963-4969; Armour et al., 1999, Eur J Immunol 29:2613-2624; Idusogie et al, 2000, J Immunol 164:4178-4184; Reddy et al, 2000, J Immunol 164:1925-1933; Xu et al., 2000, Cell Immunol 200:16-26; Idusogie et al, 2001, J Immunol 166:2571-2575; Shields et al., 2001, J Biol Chem 276:6591-6604; Jefferis et al, 2002, Immunol Lett 82:57-65; Presta et al., 2002, Biochem Soc Trans 30:487-490); 米国特許第5,624,821号; 第5,885,573号; 第5,677,425号; 第6,165,745号; 第6,277,375号; 第5,869,046号; 第6,121,022号; 第5,624,821号; 第5,648,260号; 第6,528,624号; 第6,194,551号; 第6,737,056号; 第6,821,505号; 第6,277,375号; 米国特許公開第2004/0002587号およびPCT公開WO 94/29351; WO 99/58572; WO 00/42072; WO 02/060919; WO 04/029207; WO 04/099249; WO 04/063351で開示されているFc変異体である。欠失、付加および/または改変を含むFc領域もまた、本発明によって包含される。Fcドメインのさらに他の改変/置換/付加/欠失は当業者に自明である。
天然に存在しないFc領域を作製するための方法は当技術分野において公知である。例えば、アミノ酸置換および/または欠失は突然変異誘発法によって作製することができ、該方法には、非限定的に、部位特異的突然変異誘発(Kunkel, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488-492 (1985) )、PCR突然変異誘発(Higuchi, PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press, San Diego, pp. 177-183 (1990))、およびカセット突然変異誘発(Wells et al., Gene 34:315-323 (1985))が含まれる。好ましくは、部位特異的突然変異誘発は重複伸長PCR法によって実施される(Higuchi, PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification, Stockton Press, New York, pp. 61-70 (1989))。重複伸長PCR (Higuchi, 同書)の技術を使用して、任意の所望の突然変異(群)を標的配列(出発DNA)に導入することもできる。例えば、重複伸長法のPCRの第一ラウンドは、外部プライマー(プライマー1)と内部突然変異誘発プライマー(プライマー3)を用い、また別途、第二の外部プライマー(プライマー4)と内部プライマー(プライマー2)を用いて、標的配列を増幅して、2つのPCRセグメント(セグメントAおよびB)を得ることを含む。内部突然変異誘発プライマー(プライマー3)は、所望の突然変異(群)を指定する、標的配列に対するミスマッチを含有するように設計される。PCRの第二ラウンドでは、2つの外部プライマー(プライマー1および4)を使用するPCRによって、PCRの第一ラウンドの産物(セグメントAおよびB)を増幅する。得られた完全長PCRセグメント(セグメントC)を制限酵素で消化し、得られた制限酵素断片を適切なベクターにクローニングする。突然変異誘発の第一ステップとして、出発DNA (例えば、Fc融合タンパク質、抗体、または単にFc領域をコードするDNA)を、突然変異誘発ベクターに作動可能にクローニングする。所望のアミノ酸置換を反映するようにプライマーを設計する。変異Fc領域の作製に有用な他の方法は当技術分野において公知である(例えば、米国特許第5,624,821号; 第5,885,573号; 第5,677,425号; 第6,165,745号; 第6,277,375号; 第5,869,046号; 第6,121,022号; 第5,624,821号; 第5,648,260号; 第6,528,624号; 第6,194,551号; 第6,737,056号; 第6,821,505号; 第6,277,375号; 米国特許公開第2004/0002587号およびPCT公開WO 94/29351; WO 99/58572; WO 00/42072; WO 02/060919; WO 04/029207; WO 04/099249; WO 04/063351を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、Fc変異体タンパク質は、1つ以上の改変されたグリコフォーム、すなわち、Fc領域を含む分子に共有結合によって取り付けられている炭水化物組成物を含む。改変されたグリコフォームは種々の目的のために有用であり、該目的には、非限定的に、エフェクター機能の増強または低減が含まれる。改変されたグリコフォームは当業者に公知の任意の方法によって作製してよく、例えば、改変されたまたは変異発現菌株を使用することによって、1種以上の酵素、例えばDI N-アセチルグルコサミン転移酵素III (GnTI11)との共発現によって、種々の生物または種々の生物由来のセルライン中でFc領域を含む分子を発現させることによって、またはFc領域を含む分子が発現された後に炭水化物(群)を改変することによって、作製してよい。改変されたグリコフォームを作製するための方法は当技術分野において公知であり、非限定的に、Umana et al, 1999, Nat. Biotechnol 17:176-180; Davies et al., 20017 Biotechnol Bioeng 74:288-294; Shields et al, 2002, J Biol Chem 277:26733-26740; Shinkawa et al., 2003, J Biol Chem 278:3466-3473) U.S. Pat. No. 6,602,684; U.S. Ser. No. 10/277,370; U.S. Ser. No. 10/113,929; PCT WO 00/61739A1; PCT WO 01/292246A1; PCT WO 02/311140A1; PCT WO 02/30954A1に記載の方法; PotillegentTMテクノロジー(Biowa, Inc. Princeton, N.J.); GlycoMAbTMグリコシル化改変テクノロジー(GLYCART biotechnology AG, Zurich, Switzerland)が含まれる。例えば、WO 00061739; EA01229125; US 20030115614; Okazaki et al., 2004, JMB, 336: 1239-49を参照のこと。
5.12. 抗体のグリコシル化
さらに別の実施形態では、本発明にしたがって利用される抗体のグリコシル化が改変される。例えば、無グリコシル化(aglycoslated)抗体を作製することができる(すなわち、該抗体はグリコシル化を欠いている)。グリコシル化は、例えば標的抗原に対する抗体の親和性を増加させるように改変することができる。そのような炭水化物改変は、例えば抗体配列内の1つ以上のグリコシル化部位を改変することによって達成することができる。例えば、1つ以上の可変領域フレームワークグリコシル化部位の排除を生じさせる1つ以上のアミノ酸置換を施して、該部位のグリコシル化を排除することができる。そのような無グリコシル化は抗原に対する抗体の親和性を増加させるかもしれない。そのようなアプローチは米国特許第5,714,350号および第6,350,861号にさらに詳細に記載されている。Fc領域中に存在するグリコシル化部位(例えばIgGのアスパラギン297)の排除を生じさせる1つ以上のアミノ酸置換を施すこともできる。さらにまた、必要なグリコシル化機構を欠いている細菌細胞中で無グリコシル化抗体を製造することができる。
改変されたタイプのグリコシル化を有する抗体、例えば減少した量のフコシル残基しか有さない低フコシル化(hypofucosylated)抗体または増加した二分(bisecting) GlcNAc構造を有する抗体を作製することもできる。そのような改変グリコシル化パターンは、抗体のADCC能を増加させることが実証されている。そのような炭水化物改変は、例えば改変されたグリコシル化機構を有する宿主細胞中で抗体を発現させることによって達成することができる。改変されたグリコシル化機構を有する細胞が当技術分野において報告されており、本発明の組換え抗体を発現するための宿主細胞としてそれを使用して、改変されたグリコシル化を有する抗体を得ることができる。例えば、Shields, R.L. et al. (2002) J. Biol. Chem. 277:26733-26740; Umana et al. (1999) Nat. Biotech. 17:176-1, ならびに, 米国特許第US 6,946,292号; 欧州特許第EP 1,176,195号; PCT公開WO 03/035835; WO 99/54342 (各文献は参照によりその全体がここに組み入れられる)を参照のこと。
改変されたグリコシル化パターンを有する抗体は、米国特許第US7029872号, 米国特許公開US20060148035A1 (各文献は参照によりその全体がここに組み入れられる)に記載のように、改変されたグリコシル化機構を含む下等真核生物宿主細胞を使用して作製してもよい。
5.13. エフェクター機能の改変
本発明の抗ICOS抗体を、例えばT細胞媒介性疾患の治療における該抗体の有効性を増強するように、エフェクター機能に関して改変することが望ましい。例えば、Fc領域にシステイン残基(群)を導入して、この領域における鎖間ジスルフィド結合の形成を可能にすることができる。こうして生成されたホモ二量体抗体は、改良された内在化能力および/または増加した補体媒介性細胞死滅および/または抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)および/または抗体依存性食作用を有する。Caron et al., J. Exp Med., 176:1191-1195 (1992) およびShopes, B., J. Immunol., 148:2918-2922 (1992)を参照のこと。増強された抗腫瘍活性を有するホモ二量体抗体は、Wolff et al., Cancer Research, 53:2560-2565 (1993)に記載のヘテロ二官能性クロスリンカーを使用して製造してもよい。二重Fc領域を有し、それによって、増強された補体溶解、抗体依存性食作用および/またはADCC能を有する抗体を改変することもできる。Stevenson et al., Anti-Cancer Drug Design, 3:219-230 (1989)を参照のこと。
エフェクター機能を改変するように抗体のFc領域を改変する他の方法は当技術分野において公知である(例えば、ともにKoenig et al.の米国特許公開第20040185045号およびPCT公開第WO 2004/016750号, 該文献は、FCγRIIAに対する結合親和性と比較してFcγRIIBに対する結合親和性を増強するためのFc領域の改変を記載する; また、Armour et al.のPCT公開第WO 99/58572号, Idusogie et al.の第WO 99/51642号, およびDeo et al.の第U.S. 6,395,272号を参照のこと; 該文献の開示内容はその全体がここに組み入れられる)。FcγRIIBに対する結合親和性を減少させるようにFc領域を改変する方法もまた当技術分野において公知である(例えば、ともにRavetch et al.の米国特許公開第20010036459号およびPCT公開第WO 01/79299号, 該文献の開示内容はその全体がここに組み入れられる)。野生型Fc領域と比較してFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する増強された結合親和性を有する変異Fc領域を有する改変抗体もまた報告されている(例えば、Stavenhagen et al.のPCT公開第WO 2004/063351号, 該文献の開示内容はその全体がここに組み入れられる)。
当技術分野において公知のin vitroアッセイを使用して、本発明の組成物および方法で使用される抗ICOS抗体が、本明細書中に記載されるようなADCC、CDC、および/または抗体依存性食作用を媒介可能であるかどうかを決定することができる。
5.14. 抗ICOS抗体の製造/生産
所望の抗ICOS抗体を改変した後、当技術分野において周知の抗体の大規模製造のための方法を使用して工業規模で抗ICOS抗体を製造することができる。例えば、非限定的に下記の系等の組換え発現系を使用してこれを達成することができる。
5.15. 組換え発現系
抗体またはその変異体の組換え発現は、一般に、該抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を必要とする。抗体分子または抗体の重鎖もしくは軽鎖、またはその部分をコードするポリヌクレオチドが得られた後、抗体分子を生産するためのベクターを、当技術分野において周知の技術を使用する組換えDNAテクノロジーによって製造することができる。例えば、米国特許第6,331,415号 (該文献は参照によりその全体がここに組み入れられる)を参照のこと。そして、抗体をコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを発現させることによってタンパク質を製造する方法が本明細書中に記載される。当業者に周知の方法を使用して、抗体コード配列および適切な転写および翻訳調節シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換えが含まれる。ゆえに、本発明は、プロモーターに作動可能に連結された抗体分子、抗体の重鎖もしくは軽鎖、抗体の重鎖もしくは軽鎖可変ドメインまたはその部分、または重鎖もしくは軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能ベクターを提供する。そのようなベクターは、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含んでよく(例えば、国際公開第WO 86/05807号および第WO 89/01036号; および米国特許第5,122,464号を参照のこと)、重鎖全体、軽鎖全体、または重鎖および軽鎖の全体の発現のために抗体の可変ドメインをそのようなベクターにクローニングしてよい。
別の実施形態では、標的化相同組換えを使用して抗ICOS抗体を作製し、抗ICOS抗体の全体または部分を得ることができる(米国特許第6,063,630号, 第6,187,305号, および第6,692,737号を参照のこと)。特定の実施形態では、ランダム組換え技術を使用して抗ICOS抗体を作製し、抗ICOS抗体の全体または部分を得ることができる(米国特許第6,361,972号, 第6,524,818号, 第6,541,221号, および第6,623,958号を参照のこと)。抗体を発現する細胞中で、Cre媒介性部位特異的相同組換えを使用して改変された免疫グロブリン遺伝子座を含む細胞のゲノム配列から抗ICOS抗体を製造することもできる(米国特許第6,091,001号を参照のこと)。宿主セルラインは、ヒトまたは非ヒト種由来であってよく、非ヒト種には、非限定的に、マウス、およびチャイニーズハムスターが含まれる。ヒトまたはヒト化抗体生産が所望である場合、宿主セルラインはヒトセルラインであるべきであろう。これらの方法を有益に使用して、抗体分子を恒久的に発現する安定なセルラインを操作することができる。
慣用の技術によって発現ベクターを宿主細胞に導入した後、慣用の技術によってトランスフェクト細胞を培養して抗体を製造する。ゆえに、本発明は、異種プロモーターに作動可能に連結された本発明の抗体またはその断片、またはその重鎖もしくは軽鎖、またはその部分、または本発明の単鎖抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞を含む。二本鎖(double-chained)抗体の発現のための特定の実施形態では、以下で詳説されるように、免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞において重鎖および軽鎖をともにコードするベクターを共発現させることができる。
種々の宿主発現ベクター系を利用して、抗ICOS抗体またはその部分を発現させることができ、それを抗ICOS抗体の改変および作製に使用することができる(例えば米国特許第5,807,715号を参照のこと)。例えば、哺乳類細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)は、ベクター、例えばヒトサイトメガロウイルス由来の主要中初期(intermediate early)遺伝子プロモーター要素とともに、有効な抗体発現系である(Foecking et al., Gene, 45:101 (1986); およびCockett et al., Bio/Technology, 8:2 (1990))。さらに、所望の特定様式で、挿入抗体配列の発現をモジュレートするかまたは抗体遺伝子産物を改変およびプロセシングする宿主細胞株を選択してよい。タンパク質産物のそのような改変(例えばグリコシル化)およびプロセシング(例えば切断)はタンパク質の機能に関して重要である。種々の宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび改変に関して特徴的かつ特有の機構を有する。適切なセルラインまたは宿主系を選択して、発現される抗体またはその部分の正確な改変およびプロセシングを保証することができる。この目的を達成するために、一次転写物の適正なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化、およびリン酸化のための細胞性機構を有する真核生物宿主細胞を使用することができる。そのような哺乳類宿主細胞には、非限定的に、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2OおよびT47D、NS0 (いかなる機能的免疫グロブリン鎖をも内因的に生産しないマウス骨髄腫セルライン)、CRL7O3OおよびHsS78Bst細胞が含まれる。
一実施形態では、ヒトリンパ球を不死化することによって開発されたヒトセルラインを使用して、モノクローナルヒト抗ICOS抗体を組換え生産することができる。一実施形態では、ヒトセルラインPER.C6. (Crucell, Netherlands)を使用してモノクローナルヒト抗ICOS抗体を組換え生産することができる。
細菌系では、発現される抗体分子に関して意図される用途に応じていくつかの発現ベクターを有益に選択することができる。例えば、抗ICOS抗体を含む医薬組成物の製造のためにそのような抗体を大量に生産しようとする場合、容易に精製できる高レベルの融合タンパク質産物の発現を導くベクターが望ましい。そのようなベクターには、非限定的に、大腸菌発現ベクターpUR278 (Ruther et al., EMBO, 12:1791 (1983)), (該ベクターでは、融合タンパク質が生産されるように、抗体コード配列をlac Zコード領域とインフレームでベクターに個別にライゲートする); pINベクター(Inouye & Inouye, 1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109 (1985); Van Heeke & Schuster, 1989, J. Biol. Chem., 24:5503-5509 (1989)); 等が含まれる。pGEXベクターを使用して、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来性ポリペプチドを発現させてもよい。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、グルタチオン-アガロース親和性マトリックスへの吸着および結合ならびにその後の遊離グルタチオンの存在下での溶出によって、溶解細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、アトロンビン(athrombin)および/または因子Xaプロテアーゼ切断部位を発現ポリペプチドに導入して、クローニングされた標的遺伝子産物がGST部分から放出可能であるように設計される。
昆虫系では、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして使用して外来遺伝子を発現させる。該ウイルスはSpodoptera frugiperda細胞中で増殖する。抗体コード配列をウイルスの非必須領域(例えばポリヘドリン遺伝子)に個別にクローニングし、AcNPVプロモーター(例えばポリヘドリンプロモーター)のコントロール下に置くことができる。
哺乳類宿主細胞では、いくつかのウイルスベースの発現系を利用することができる。発現ベクターとしてアデノウイルスを使用する場合、アデノウイルス転写/翻訳コントロール複合体、例えば後期プロモーターおよびトリパータイト(tripartite)リーダー配列に目的の抗体コード配列をライゲートすることができる。そして、このキメラ遺伝子をin vitroまたはin vivo組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば領域ElまたはE3)への挿入により、感染宿主中で生存可能でかつ抗体分子を発現可能な組換えウイルスが得られる(例えばLogan & Shenk, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:355-359 (1984)を参照のこと)。挿入された抗体コード配列の効率的翻訳には、特定の開始シグナルが必要とされることもある。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる。さらにまた、開始コドンは、挿入物全体の翻訳を保証するために、概して、所望のコード配列のリーディングフレームとインフレームであるべきであろう。これらの外因性翻訳調節シグナルおよび開始コドンは種々の起源であってよく、天然および合成のいずれであってもよい。適切な転写エンハンサー要素、転写ターミネーター、等を含ませることによって発現効率を高めることができる(例えばBittner et al., Methods in Enzymol., 153:51-544(1987)を参照のこと)。
長期間の高収率の組換えタンパク質生産のために安定な発現を使用することができる。例えば、抗体分子を安定に発現するセルラインを作製することができる。発現調節要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位、等)、および選択マーカー遺伝子を含む適切に改変されたベクターで宿主細胞を形質転換することができる。外来性DNAの導入後、細胞を強化培地中で1〜2日間生育させ、次いで選択培地に切り換える。組換えプラスミド中の選択マーカーは選択に対する耐性を付与し、プラスミドを染色体に安定に組み込んだ細胞の増殖および増殖巣形成を可能にする。そして、該増殖巣をクローニングし、セルライン中にエクスパンドすることができる。抗ICOS抗体をコードするプラスミドを使用して、培養物中での生産に好適な任意のセルラインに遺伝子/cDNAを導入することができる。
いくつかの選択系を使用することができ、それには、非限定的に、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al., Cell, 11:223 (1977))、ヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 48:202 (1992))、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al., Cell, 22:8-17 (1980))遺伝子が含まれ、それぞれtk-、hgprt-またはaprT-細胞中で用いることができる。また、以下の遺伝子に関する選択の基礎として代謝拮抗剤耐性を使用することができる: dhfr (メトトレキセートに対する耐性を付与する) (Wigler et al., Natl. Acad. Sci. USA, 77:357 (1980); O'Hare et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78:1527 (1981)); gpt (ミコフェノール酸に対する耐性を付与する) (Mulligan & Berg, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78:2072 (1981)); neo (アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与する) (Wu and Wu, Biotherapy 3:87-95 (1991); Tolstoshev, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573-596 (1993); Mulligan, Science 260:926-932 (1993); およびMorgan and Anderson, Ann. Rev. Biochem. 62:191-217 (1993); May, TIB TECH 11(5):l55-2 15 (1993)); およびhygro (ハイグロマイシンに対する耐性を付与する) (Santerre et al., Gene, 30:147 (1984))。組換えDNAテクノロジーについての当技術分野において一般に公知の方法を通常通り適用して、所望の組換えクローンを選択することができる。そのような方法は、例えば、Ausubel et al. (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY (1993); Kriegler, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY (1990); およびin Chapters 12 and 13, Dracopoli et al. (eds.), Current Protocols in Human Genetics, John Wiley & Sons, NY (1994); Colberre-Garapin et al., 1981, J. Mol. Biol., 150:1 (該文献は参照によりその全体がここに組み入れられる)に記載されている。
抗体分子の発現レベルはベクター増幅によって増加させることができる(レビューに関しては、Bebbington and Hentschel, The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning, Vol. 3. Academic Press, New York (1987)を参照のこと)。抗体を発現するベクター系においてマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物中に存在するインヒビターのレベルの増加によりマーカー遺伝子のコピー数が増加する。増幅領域は抗体遺伝子を伴うため、抗体の生産もまた増加する(Crouse et al., Mol. Cell. Biol., 3:257 (1983))。抗体発現レベルは、組換えタンパク質生産についての当業者に公知の組換え法およびツールの使用によって増幅することができる。該方法およびツールには、周囲クロマチンを再構築しかつ活発な人工転写ドメイン(active artificial transcriptional domain)の形式で導入遺伝子発現を増強するテクノロジーが含まれる。
重鎖由来のポリペプチドをコードする第一ベクターおよび軽鎖由来のポリペプチドをコードする第二ベクターの2つの発現ベクターで宿主細胞を同時トランスフェクトすることができる。2つのベクターは同一のまたは異なる選択マーカーを含有してよい。重鎖および軽鎖ポリペプチドをともにコードし、それらを発現可能な単一ベクターを使用してもよい。そのような状況では、軽鎖を重鎖の5'側に配置して、過剰の有毒な遊離重鎖を回避するべきであろう(Proudfoot, Nature 322:562-65 (1986); およびKohler, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:2197 (1980))。重鎖および軽鎖のコード配列はcDNAまたはゲノムDNAを含んでよい。
組換え発現によって抗体分子が生産された後、免疫グロブリン分子の精製に関して当技術分野において公知の任意の方法によってそれを精製することができ、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー(特に特異抗原プロテインAまたはプロテインGに関する親和性に基づく)、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差(differential solubility)、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的技術によって精製することができる。さらに、精製を容易にするための本明細書中に記載のまたはさもなければ当技術分野において公知の異種ポリペプチド配列に本発明の抗体またはその断片を融合させることができる。
5.15.1. 抗体精製および単離
組換え技術を使用する場合、細胞内で、ペリプラズム間隙で、抗体を生産させるか、または培地に直接分泌させることができる。抗体を細胞内で生産させる場合、第一ステップとして、宿主細胞または溶解断片のいずれかである粒状細片を例えば遠心分離または限外ろ過によって除去する。Carter et al., Bio/Technology, 10:163-167 (1992)は、大腸菌のペリプラズム間隙中に分泌された抗体を単離するための手順を記載する。簡潔に言えば、酢酸ナトリウム(pH 3.5)、EDTA、およびフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)の存在下で約30分間かけて細胞ペーストを戻す。遠心分離によって細胞片を除去することができる。抗体突然変異体を培地中に分泌させる場合、一般に、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmiconまたはMillipore Pellicon限外ろ過ユニットを使用して、そのような発現系由来の上清をまず濃縮する。プロテアーゼインヒビター、例えばPMSFを任意の前記ステップにおいて加えてタンパク質分解を阻害することができ、抗生物質を加えて外来混入物の増殖を妨げることができる。
細胞から製造された抗体組成物を、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、および/またはアフィニティークロマトグラフィーをいずれか単独でまたは他の精製ステップと組み合わせて使用して精製することができる。親和性リガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体突然変異体中に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種およびアイソタイプに依存する。プロテインAを使用してヒトγ1、γ2、またはγ4重鎖に基づく抗体を精製することができる(Lindmark et al., J. Immunol. Methods, 62:1-13 (1983))。プロテインGはすべてのマウスアイソタイプおよびヒトγ3に関して推奨される(Guss et al., EMBO J., 5:15671575 (1986))。親和性リガンドが取り付けられているマトリックスは、ほとんどの場合、アガロースであるが、他のマトリックスも利用可能である。機械的に安定なマトリックス、例えば制御細孔ガラス(controlled pore glass)またはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンは、アガロースを用いて達成できるよりも速い流速および短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX樹脂(J.T. Baker, Phillipsburg, NJ)が精製に有用である。タンパク質精製に関する他の技術、例えばイオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンでのクロマトグラフィー、アニオンまたはカチオン交換樹脂(例えばポリアスパラギン酸カラム)でのセファロースクロマトグラフィー、等電点電気泳動、SDS-PAGE、および硫安塩析もまた、回収対象の抗体に応じて利用可能である。
任意の予備精製ステップ(群)の後、約2.5〜4.5の範囲のpHの溶出バッファーを使用し、かつ低い塩濃度(例えば約0〜0.25 M塩)で実施される低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに、目的の抗体および混入物を含む混合物を付することができる。
5.16. 治療用抗ICOS抗体
本発明の組成物および方法で使用される抗ICOS抗体は、T細胞系統ADCC、抗体依存性食作用および/またはCDCを媒介するヒト抗体またはヒト化抗体であるか、またはT系統細胞ADCC、抗体依存性食作用および/またはCDCを媒介する公知の抗ICOS抗体から選択することができる。特定の実施形態では、抗ICOS抗体はキメラ抗体であってよい。特定の実施形態では、抗ICOS抗体はモノクローナルヒト、ヒト化、またはキメラ抗ICOS抗体であってよい。本発明の組成物および方法で使用される抗ICOS抗体は、IgG1またはIgG3ヒトアイソタイプまたはヒト集団中で見出される任意のIgG1またはIgG3対立遺伝子のヒト抗体またはヒト化抗体であってよい。別の実施形態では、本発明の組成物および方法で使用される抗ICOS抗体は、IgG2またはIgG4ヒトアイソタイプまたはヒト集団中で見出される任意のIgG2またはIgG4対立遺伝子のヒト抗体またはヒト化抗体であってよい。
該抗体は上記技術を使用して製造することができるが、本発明の他の実施形態では、ヒトJMab-136抗ICOS抗体(米国特許6,803,039を参照のこと)を改変して、増強されたエフェクター機能、例えば、非限定的に、ADCC、抗体依存性食作用および/またはCDCを有する抗ICOS抗体を製造することができる。例えば、使用できる公知の抗ICOS抗体には、非限定的に、米国特許6,803,039で開示されている抗ヒトICOSモノクローナル抗体、およびクローンISA-3 (eBioscience, US)が含まれる。
特定の実施形態では、抗体は、上記のような公知の抗体の(例えばIgG1またはIgG3ヒトアイソタイプへの)アイソタイプスイッチ変異体(isotype switched variant)である。
本発明の組成物および方法で使用される抗ICOS抗体は、裸の抗体、免疫複合体または融合タンパク質であってよい。本発明の組成物および方法での使用のための上記抗ICOS抗体は、治療対象のヒトにおけるICOS発現T細胞および循環免疫グロブリンを低減または枯渇させることができる。T細胞の枯渇は、循環T細胞の枯渇、または特定の組織、例えば、非限定的に、骨髄、脾臓、消化管関連リンパ組織、および/またはリンパ節における枯渇であってよい。そのような枯渇は、種々の機構、例えば抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)、および/または抗体依存性食作用、および/またはICOSとその対象となるリガンドとの相互作用をブロックすることによって、および/または補体依存性細胞傷害(CDC)によって達成することができる。T細胞の「枯渇」とは、循環ICOS発現T細胞および/または特定の組織(群)におけるICOS発現T細胞の、少なくとも約25%、40%、50%、65%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上の減少を意味する。特定の実施形態では、実質的にすべての検出可能なICOS発現T細胞が循環および/または特定の組織(群)から枯渇される。循環免疫グロブリン(Ig)の「枯渇」とは、少なくとも約25%、40%、50%、65%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上の減少を意味する。特定の実施形態では、実質的にすべての検出可能なIgが循環から枯渇される。
5.16.1. ヒトICOS結合に関する抗体のスクリーニング
結合アッセイを使用して、ヒトICOS抗原に結合する抗体を特定することができる。結合アッセイは直接結合アッセイまたは競合結合アッセイとして実施してよい。結合は標準ELISAまたは標準フローサイトメトリーアッセイを使用して検出することができる。直接結合アッセイでは、ヒトICOS抗原に対する結合に関して候補抗体を試験する。特定の実施形態では、スクリーニングアッセイは、第二ステップにおいて、抗体が、ヒトICOSを発現するT細胞における下流のシグナル伝達イベントを誘発する能力を決定するステップを含む。一方、競合結合アッセイでは、候補抗体が、公知の抗ICOS抗体または、ヒトICOSに結合する他の化合物と競合する能力を評価する。
直接結合アッセイでは、ヒトICOS抗原に対する候補抗体の結合を許容する条件下でヒトICOS抗原を候補抗体と接触させる。結合は溶液中または固体表面上で行ってよい。検出のために候補抗体をあらかじめ標識しておいてよい。任意の検出可能な化合物を標識化に使用することができ、該化合物は、例えば、非限定的に、発光、蛍光、または放射性同位体またはそれを含有する基、または酵素もしくは色素等の非同位体標識である。結合が生じるために十分なインキュベーション期間の後、過剰のまたは非特異的に結合した抗体を除去する条件および操作に反応物を付する。典型的に、それは適切なバッファーでの洗浄ステップを含む。最後に、ICOS-抗体複合体の存在を検出する。
競合結合アッセイでは、候補抗体を、ヒトICOS抗原に対する公知の抗ICOS抗体(または他の化合物)の結合を阻害または置換するその能力に関して評価する。標識された公知のICOS結合剤を候補抗体と混合し、候補抗体を加えておよび加えずにそれらの間の相互作用が通常生じる条件下に置く。ヒトICOSに結合する標識された公知のICOS結合剤の量を、候補抗体の存在または不存在下での結合量と比較してよい。
一実施形態では、抗体抗原複合体の形成および検出を容易にするために、固体表面に固定された1種以上の成分を用いて結合アッセイを実行する。種々の実施形態では、固体支持体は、非限定的に、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボナート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ガラス、ニトロセルロース、デキストラン、ナイロン、ポリアクリルアミドおよびアガロースであってよい。支持体形状には、ビーズ、メンブレン、微粒子、反応容器の内面、例えばマイクロタイタープレート、試験管または他の反応容器の内面が含まれる。ヒトICOS、または他の成分の固定化は共有結合または非共有結合性の付着によって達成することができる。一実施形態では、付着は間接的であってよく、すなわち付着抗体経由であってよい。別の実施形態では、ヒトICOS抗原およびネガティブコントロールにエピトープ、例えばグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)をタグ付けし、市販の抗体、例えば抗GST (Santa Cruz Biotechnology)によって固体表面への付着を媒介できるようにする。
例えば、固体支持体に固定されたヒトICOS抗原を使用してそのような親和性結合アッセイを実施してよい。典型的に、結合反応の非流動(non-mobilized)成分、この場合は候補抗ICOS抗体を標識して、検出を可能にする。種々の標識化法が利用可能であり、それを使用することができる。該方法は、例えば、発光、発色団、蛍光、または放射性同位体またはそれを含有する基、および酵素または色素等の非同位体標識である。一実施形態では、候補抗ICOS抗体をフルオロフォア、例えばフルオレセインイソチオシアネート(FITC, Sigma Chemicals, St. Louisから入手可能)で標識する。そのような親和性結合アッセイは、固体表面に固定されたヒトICOS抗原を使用して実施してよい。そして抗ICOS抗体を抗原とインキュベートし、当技術分野において公知の方法によって抗体の特異的結合を検出する。該方法には、非限定的に、BiaCore解析、ELISA、FMETおよびRIA法が含まれる。
最後に、当技術分野において公知の任意の検出方法によって固体表面に残留する標識を検出してよい。例えば、候補抗ICOS抗体がフルオロフォアで標識されている場合、蛍光計(fluorimeter)を使用して複合体を検出することができる。
ヒトICOS抗原を、ヒトICOS抗原を発現するインタクト細胞、またはヒトICOS抗原を含有する単離されたメンブレンの形式で結合アッセイに加えることができる。ゆえに、ヒトICOS抗原に対する直接結合を、候補抗ICOS抗体の存在および不存在下で培養物または動物モデルにおいてインタクト細胞中でアッセイすることができる。標識された候補抗ICOS抗体を、ヒトICOS抗原を発現する細胞、または該細胞から得られた粗製抽出物と混合し、候補抗ICOS抗体を加えることができる。単離されたメンブレンを使用して、ヒトICOSと相互作用する候補抗ICOS抗体を特定してもよい。例えば、単離されたメンブレンを使用する典型的実験では、ヒトICOS抗原を発現するように細胞を遺伝子改変することができる。メンブレンを標準的技術によって回収し、in vitro結合アッセイにおいて使用することができる。標識された候補抗ICOS抗体(例えば蛍光標識抗体)をメンブレンに結合させ、比活性に関してアッセイする; 過剰の非標識(コールド)候補抗ICOS抗体の存在下で実施された結合アッセイとの比較によって特異的結合を決定する。可溶性ヒトICOS抗原を組換え発現させ、非細胞ベースのアッセイにおいて利用して、ヒトICOS抗原に結合する抗体を特定してもよい。組換え発現されたヒトICOSポリペプチドを非細胞ベースのスクリーニングアッセイにおいて使用することができる。ヒトICOS抗原の1つ以上の結合部分に対応するペプチド、またはヒトICOS抗原の1つ以上の結合部分を含有する融合タンパク質を非細胞ベースのアッセイ系において使用して、ヒトICOS抗原の部分に結合する抗体を特定することもできる。非細胞ベースのアッセイでは、組換え発現されたヒトICOSを、当業者に周知の手段によって固体基質、例えば試験管、マイクロタイターウェルまたはカラムに付着させる(Ausubel et al., 上記を参照のこと)。そして試験抗体を、ヒトICOS抗原に結合するその能力に関してアッセイする。
結合反応を溶液中で実行してもよい。このアッセイでは、標識された成分を溶液中でその結合パートナー(群)と相互作用させる。標識された成分とその結合パートナー(群)の間のサイズ差が該分離を可能にする場合、結合反応の産物を、標識された未結合成分の通過を許容するが、その結合パートナー(群)またはそのパートナー(群)に結合した標識された成分の通過を許容しない孔を有する限外ろ過膜に通過させることによって分離を達成することができる。標識された成分の結合パートナーを溶液から捕獲可能な任意の試薬、例えば結合パートナーに対する抗体等を使用して分離を達成することもできる。
別の特定の実施形態では、固体支持体は、マイクロタイター皿に付着したヒトICOS抗原を含有するメンブレンである。例えば、候補抗体は、マイクロタイター皿中でライブラリーメンバーの発現を許容する条件下で培養されたライブラリー抗体を発現する細胞に結合することができる。ヒトICOSに結合するライブラリーメンバーを回収する。そのような方法は、概して、一例として、Parmley and Smith, 1988, Gene, 73:305-318; Fowlkes et al., 1992, BioTechniques, 13:422-427; PCT公開第WO94/18318号; および本明細書中で上で引用されている参考文献に記載されている。ヒトICOS抗原に結合すると特定される抗体は上記抗体の任意のタイプまたは改変抗体であってよい。
5.16.2. ヒトADCCエフェクター機能に関する抗体のスクリーニング
機能的特性、例えば、長い血清半減期および種々のエフェクター機能を媒介する能力を有するヒトIgGクラスの抗体を本発明の特定の実施形態において使用する(Monoclonal Antibodies: Principles and Applications, Wiley-Liss, Inc., Chapter 1 (1995))。ヒトIgGクラス抗体は以下の4つのサブクラス: IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4にさらに分類される。IgGクラス抗体のエフェクター機能としてのADCCおよびCDCに関して現在までに多数の研究が行われ、ヒトIgGクラスの抗体のうち、IgG1サブクラスがヒトにおいて最も高いADCC活性およびCDC活性を有することが報告されている(Chemical Immunology, 65, 88 (1997))。
ヒトIgG1サブクラス抗体のADCC活性およびCDC活性の発現には、概して、エフェクター細胞、例えばキラー細胞、ナチュラルキラー細胞または活性化マクロファージの表面上に存在する抗体受容体(以後「FcγR」と称される)に対する抗体のFc領域の結合が関与する。種々の補体成分を結合させることができる。結合に関して、抗体のヒンジ領域およびC領域の第二ドメイン(以後「Cγ2ドメイン」と称される)のいくつかのアミノ酸残基が重要であること(Eur. J. Immunol., 23, 1098 (1993), Immunology, 86, 319 (1995), Chemical Immunology, 65, 88 (1997))およびCγ2ドメイン中の糖鎖(Chemical Immunology, 65, 88 (1997))もまた重要であることが示唆されている。
抗ICOS抗体をエフェクター機能に関して、例えば、抗体のADCCおよび/または補体依存性細胞傷害(CDC)を増強するように改変することができる。これは、1つ以上のアミノ酸置換を抗体のFc領域に導入することによって達成することができる。Fc領域にシステイン残基(群)を導入して、この領域における鎖間ジスルフィド結合の形成を可能にしてもよい。このように、改良された内在化能力およびまたは増加した補体媒介性細胞死滅およびADCCを有するホモ二量体抗体を製造することができる(Caron et al., J. Exp. Med., 176:1191-1195 (1992) およびShopes, J. Immunol., 148:2918-2922 (1992))。ヘテロ二官能性クロスリンカーを使用して、増強された抗腫瘍活性を有するホモ二量体抗体を製造することもできる(Wolff et al., Cancer Research, 53:2560-2565 (1993))。2つ以上のFc領域を有するように抗体を改変して、補体溶解およびADCC能の増強を生じさせることもできる(Stevenson et al., Anti-Cancer Drug Design, (3)219-230 (1989))。
エフェクター機能を改変するように抗体のFc領域を改変する他の方法は当技術分野において公知である(例えば、ともにKoenig et al.の米国特許公開第20040185045号およびPCT公開第WO 2004/016750号, 該文献は、FCγRIIAに対する結合親和性と比較してFcγRIIBに対する結合親和性を増強するためのFc領域の改変を記載する; また、Armour et al.のPCT公開第WO 99/58572号, Idusogie et al.の第WO 99/51642号, およびDeo et al.の第U.S. 6,395,272号を参照のこと; 該文献の開示内容はその全体がここに組み入れられる)。FcγRIIBに対する結合親和性を減少させるようにFc領域を改変する方法もまた当技術分野において公知である(例えば、ともにRavetch et al.の米国特許公開第20010036459号およびPCT公開第WO 01/79299号, 該文献の開示内容はその全体がここに組み入れられる)。野生型Fc領域と比較してFcγRIIIAおよび/またはFcγRIIAに対する増強された結合親和性を有する変異Fc領域を有する改変抗体もまた報告されている(例えば、Stavenhagen et al.のPCT公開第WO 2004/063351号; 該文献の開示内容はその全体がここに組み入れられる)。
少なくとも4つの異なるタイプのFcγRが発見されており、それぞれFcγRI (CD64)、FcγRII (CD32)、FcγRIII (CD16)、およびFcγRIVと称される。ヒトでは、FcγRIIおよびFcγRIIIが、それぞれ、FcγRIIaおよびFcγRIIb、ならびにFcγRIIIaおよびFcγRIIIbにさらに分類される。FcγRは免疫グロブリンスーパーファミリーに属する膜タンパク質であり、FcγRII、FcγRIII、およびFcγRIVは、2つの免疫グロブリン様ドメインを含有する細胞外領域を有するα鎖を有し、FcγRIは、構成成分として、3つの免疫グロブリン様ドメインを含有する細胞外領域を有するα鎖を有し、該α鎖はIgG結合活性に関与する。さらに、FcγRIおよびFcγRIIIは、α鎖と共同してシグナル伝達機能を有する構成成分としてγ鎖またはζ鎖を有する(Annu. Rev. Immunol., 18, 709 (2000), Annu. Rev. Immunol., 19, 275 (2001))。FcγRIVはBruhns et al., Clin. Invest. Med., (Canada) 27:3D (2004)によって報告されている。
目的の抗ICOS抗体のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または第5,821,337号に記載のようなin vitro ADCCアッセイを使用することができる。アッセイは、市販のキット、例えばCytoTox 96 (登録商標) (Promega)を使用して実施してもよい。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、非限定的に、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、およびNK細胞セルラインが含まれる。トランスジェニックFc受容体(例えばCD16)および関連シグナル伝達ポリペプチド(例えばFCεRI-γ)を発現するNK細胞セルラインもまたエフェクター細胞として働く(例えばCampbellのWO 2006/023148 A2を参照のこと)。例えば、補体活性化および/またはADCCによる標的細胞の溶解を媒介する任意の特定の抗体の能力をアッセイすることができる。目的の細胞を培養し、in vitroで標識し; 抗原抗体複合体によって活性化される免疫細胞、すなわちADCC応答に関与するエフェクター細胞とともに抗体を細胞培養物に加える。抗体を補体活性化に関して試験することもできる。いずれにせよ、溶解細胞からの標識の放出によって標的細胞の細胞溶解を検出する。細胞質タンパク質(例えばLDH)の上清への放出を検出することによって標的細胞溶解の程度を決定してもよい。実際、補体および/または免疫細胞の供給源として患者自身の血清を使用して抗体をスクリーニングすることができる。そして、in vitro試験においてヒトADCCを媒介可能な抗体を該特定の患者において治療的に使用することができる。目的の分子のADCC活性を、例えばClynes et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 95:652-656 (1998)で開示されているような動物モデルにおいてin vivoで評価してもよい。さらに、抗体のADCCのレベル、および場合によりCDC活性、をモジュレートする(すなわち増加または減少させる)技術は当技術分野において周知である。例えば米国特許第6,194,551号を参照のこと。本発明の抗体はADCCおよび/またはCDCを誘発可能であるか、またはADCCおよび/またはCDCを誘発する能力を有するように改変されていてよい。ヒトADCC機能を評価するためにヒトエフェクター細胞を使用してADCC機能を決定するためのアッセイを実施することができる。そのようなアッセイには、壊死および/またはアポトーシス機構による細胞死を誘発、媒介、増強、ブロックする抗体に関してスクリーニングするためのアッセイも含まれる。生存性色素(viable dyes)を利用するアッセイ、カスパーゼを検出および解析する方法、およびDNA切断を測定するアッセイを含む上記方法を使用して、目的の抗ICOS抗体とともにin vitroで培養された細胞のアポトーシス活性を評価することができる。
例えば、アネキシンVまたはTdT媒介性dUTPニック末端標識(TdT-mediated dUTP nick-end labeling) (TUNEL)アッセイをDecker et al., Blood (USA) 103:2718-2725 (2004)に記載のように実行して、アポトーシス活性を検出することができる。TUNELアッセイは、DNA鎖切断への取り込みのためのフルオレセイン標識dUTPとともに目的の細胞を培養するステップを含む。そしてフローサイトメトリーによる解析のために細胞をプロセシングする。アネキシンVアッセイでは、曝露されたPS分子を特異的に認識するフルオレセインコンジュゲートアネキシンVを使用してアポトーシス細胞の原形質膜の外側でホスファチジルセリン(PS)の出現を検出する。同時に、生存性色素、例えばヨウ化プロピジウムを使用して、後期アポトーシス細胞を排除することができる。標識されたアネキシンVで細胞を染色し、フローサイトメトリーによって解析する。
5.16.3. 免疫複合体および融合タンパク質
本発明の特定の態様では、本発明の組成物および方法で使用するための抗ICOS抗体に治療物質または毒素をコンジュゲートすることができる。特定の実施形態では、これらのコンジュゲートを融合タンパク質として製造することができる。治療物質および毒素の例には、非限定的に、エネジインファミリーの分子のメンバー、例えばカリチアマイシンおよびエスペラミシンが含まれる。化学毒素を、デュオカルマイシン(duocarmycin) (例えば米国特許第5,703,080号および米国特許第4,923,990号を参照のこと)、メトトレキセート、ドキソルビシン、メルファラン、クロランブシル、ARA-C、ビンデシン、マイトマイシンC、シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシンおよび5-フルオロウラシルからなる群から選択することもできる。化学療法剤の例には、アドリアマイシン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(Ara-C)、シクロホスファミド、チオテパ、タキソテール(ドセタキセル)、ブスルファン、サイトキシン(Cytoxin)、タキソール、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イホスファミド、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ビンクレイスチン(Vincreistine)、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラミシン(米国特許第4,675,187号を参照のこと)、メルファラン、および他の関連ナイトロジェンマスタードも含まれる。
特定の実施形態では、抗ICOS抗体を、細胞増殖抑制物質、細胞傷害性物質または免疫抑制物質にコンジュゲートする。該細胞傷害性物質は、エネジイン、レキシトロプシン(lexitropsin)、デュオカルマイシン、タキサン、ピューロマイシン、ドラスタチン、マイタンシノイド、およびビンカアルカロイドからなる群から選択される。特定のさらに具体的な実施形態では、細胞傷害性物質は、パクリタキセル、ドセタキセル、CC-1065、SN-38、トポテカン、モルホリノドキソルビシン、リゾキシン(rhizoxin)、シアノモルホリノドキソルビシン、ドラスタチン-10、エキノマイシン、コンブレタスタチン(combretastatin)、カリチアマイシン、マイタンシン、DM-1、アウリスタチンE、AEB、AEVB、AEFP、MMAE (米国特許出願第10/983,340号を参照のこと)、またはネトロプシンである。
特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体-細胞傷害性物質コンジュゲートの細胞傷害性物質は抗チューブリン物質である。特定の実施形態では、該細胞傷害性物質は、ビンカアルカロイド、ポドフィロトキシン、タキサン、バッカチン(baccatin)誘導体、クリプトフィシン(cryptophysin)、マイタンシノイド、コンブレタスタチン、およびドラスタチンからなる群から選択される。他の実施形態では、細胞傷害性物質は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、VP-16、カンプトセシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エピチロン(epithilone) A、エピチロンB、ノコダゾール、コイチシン(coichicine)、コルシミド(colcimid)、エストラムスチン、セマドチン(cemadotin)、ジスコデルモリド(discodermolide)、マイタンシン、DM-1、AEFP、アウリスタチンE、AEB、AEVB、AEFP、MMAEまたはエリュテロビンである。
特定の実施形態では、抗ICOS抗体を、リンカーを介して細胞傷害性物質にコンジュゲートする。該リンカーはペプチドリンカーである。他の実施形態では、抗ICOS抗体を、リンカーを介して細胞傷害性物質にコンジュゲートする。該リンカーは、val-citリンカー、phe-lysリンカー、ヒドラゾンリンカー、またはジスルフィドリンカーである。
特定の実施形態では、抗ICOS抗体-細胞傷害性物質コンジュゲートの抗ICOS抗体を、リンカーを介して細胞傷害性物質にコンジュゲートする。該リンカーは5.5未満のpHで加水分解可能である。特定の実施形態では、リンカーは5.0未満のpHで加水分解可能である。
特定の実施形態では、抗ICOS抗体-細胞傷害性物質コンジュゲートの抗ICOS抗体を、リンカーを介して細胞傷害性物質にコンジュゲートする。該リンカーはプロテアーゼによって切断可能である。特定の実施形態では、プロテアーゼはリソソームプロテアーゼである。他の実施形態では、プロテアーゼは、とりわけ、膜結合プロテアーゼ、細胞内プロテアーゼ、またはエンドソームプロテアーゼである。
本発明の免疫複合体中で使用できる他の毒素には、有毒なレクチン、植物毒素、例えばリシン、アブリン、モデシン(modeccin)、ボツリナ(botulina)、およびジフテリア毒素が含まれる。当然、種々の毒素の組み合わせを1抗体分子にカップリングさせて、可変性の細胞傷害性に対応することもできる。本発明の併用療法において好適に用いられる毒素の例は、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシンA、ポークウィード抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリン毒素、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素である。例えば、Pastan et al., Cell, 47:641 (1986), およびGoldenberg et al., Cancer Journal for Clinicians, 44:43 (1994)を参照のこと。使用できる酵素活性毒素およびその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、Momordica charantiaインヒビター、クルシン、クロチン、Sapaonaria officinalisインヒビター、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンが含まれる。例えば、1993年10月28日公開のWO 93/21232を参照のこと。
好適な毒素および化学療法剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 19th Ed. (Mack Publishing Co. 1995)、およびGoodman And Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 7th Ed. (MacMillan Publishing Co. 1985)に記載されている。他の好適な毒素および/または化学療法剤は当業者に公知である。
本発明はさらに、診断目的に好適な放射性物質を含むかまたは該放射性物質にコンジュゲートされている抗体(その抗体断片または変異体を含む)を包含する。好適な放射性物質の例には、非限定的に、ヨウ素(121I, 123I, 125I, 131I), 炭素(14C), 硫黄(35S), トリチウム(3H), インジウム(111In, 112In, 113mIn, 115mIn), テクネチウム(99Tc, 99mTc), タリウム(201Ti), ガリウム(68Ga, 67Ga), パラジウム(103Pd), モリブデン(99Mo), キセノン(135Xe), フッ素(18F), 153Sm, 177Lu, 159Gd, 149Pm, 140La, 175Yb, 166Ho, 90Y, 47Sc, 186Re, 188Re, 142Pr, 105Rh, および97Ruが含まれる。
さらに、本発明の抗ICOS抗体(その抗体断片または変異体を含むかあるいはそれからなるscFvまたは他の分子を含む)を、治療目的で利用される放射性金属イオンにカップリングさせるかまたはコンジュゲートすることができる。好適な放射性イオンの例には、非限定的に、アルファ放射体、例えば213Bi、または他の放射性同位体、例えば、103Pd, 135Xe, 131I, 68Ge, 57Co, 65Zn, 85Sr, 32P, 35S, 90Y, 153Sm, 153Gd, 169Yb, 51Cr, 54Mn, 75Se, 113 Sn, 90Y, 117Tin, 186Re, 188Reおよび166Hoが含まれる。特定の実施形態では、放射性金属(radiometal)イオンをポリペプチドにキレートさせる大環状キレート剤に抗体またはその断片を取り付ける。該イオンには、非限定的に、177Lu, 90Y, 166Ho, および153Smが含まれる。特定の実施形態では、大環状キレート剤は1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N",N'"-四酢酸(DOTA)である。他の特定の実施形態では、本発明の抗体またはその断片にリンカー分子を介してDOTAを取り付ける。DOTAをポリペプチドにコンジュゲートするために有用なリンカー分子の例は一般に当技術分野において公知である--例えば、DeNardo et al., Clin Cancer Res 4(10):2483-90, 1998; Peterson et al., Bioconjug Chem 10(4):553-7, 1999; およびZimmerman et al., Nucl Med Biol 26(8):943-50, 1999 (該文献は参照によりその全体がここに組み入れられる)を参照のこと。
抗体をプロドラッグ活性化酵素にコンジュゲートすることによって、本発明の抗ICOS抗体をADEPTにおいて使用してもよい。該酵素は、プロドラッグ(例えばペプチジル化学療法剤, WO81/01145を参照のこと)を活性な抗癌剤に変換する。例えば、WO 88/07378および米国特許第4,975,278号を参照のこと。ADEPTに有用な免疫複合体の酵素成分には、プロドラッグをより活性なその細胞傷害性形式に変換するような様式で該プロドラッグに作用可能な任意の酵素が含まれる。
本発明の方法において有用な酵素には、非限定的に、リン酸含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用なアルカリホスファターゼ; 硫酸含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用なアリルスルファターゼ; 無毒の5-フルオロシトシンを抗癌剤である5-フルオロウラシルに変換するために有用なシトシンデアミナーゼ; ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用なプロテアーゼ、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼおよびカテプシン(例えばカテプシンBおよびL); D-アミノ酸置換基を含有するプロドラッグの変換に有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ; グリコシル化プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用な炭水化物切断酵素、例えばβ-ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼ; α-ラクタムで誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するために有用なβ-ラクタマーゼ; およびアミン窒素がそれぞれフェノキシアセチルまたはフェニルアセチル基で誘導体化されている薬物を遊離薬物に変換するために有用なペニシリンアミダーゼ、例えばペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼが含まれる。当技術分野において「抗体酵素」としても知られている、酵素活性を有する抗体を同様に使用してプロドラッグを遊離活性薬物に変換することができる(例えばMassey, Nature 328:457-458 (1987)を参照のこと)。ICOS発現T細胞悪性腫瘍に罹患しているヒト部分に所望の抗体酵素を送達するために、本明細書中で記載されるように抗体-抗体酵素コンジュゲートを製造することができる。
本発明の抗体を、当技術分野において周知の技術によって、例えば上で考察されるヘテロ二官能性架橋試薬の使用によって、酵素に共有結合させることができる。当技術分野において周知の組換えDNA技術を使用して、酵素の少なくとも機能的活性部分に連結された、抗ICOS抗体の少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質を構築してもよい(例えばNeuberger et al., Nature, 312:604-608 (1984)を参照のこと)。
抗ICOS抗体の共有結合による改変は本発明の範囲内に含まれる。それらは、適用可能であれば、抗体の化学合成または酵素的もしくは化学的切断によって作製することができる。抗ICOS抗体の他のタイプの共有結合による改変は、抗体の標的となるアミノ酸残基を、選択側鎖またはNもしくはC末端残基と反応可能な有機誘導体化剤と反応させることによって分子に導入される。
通常、システイニル残基をα-ハロアセテート(および対応するアミン)、例えばクロロ酢酸またはクロロアセトアミドと反応させて、カルボキシメチルまたはカルボキシアミドメチル誘導体を得る。同様に、ヨード試薬を使用してもよい。システイニル残基はまた、ブロモトリフルオロアセトン、α-ブロモ-β-(5-イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスファート、N-アルキルマレイミド、3-ニトロ-2-ピリジルジスルフィド、メチル2-ピリジルジスルフィド、p-クロロマーキュリ安息香酸、2-クロロマーキュリ-4-ニトロフェノール、またはクロロ-7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾールと反応させることによって誘導体化される。
ヒスチジル残基は、pH 5.5〜7.0でジエチルピロカルボナートと反応させることによって誘導体化される。その理由は、この物質がヒスチジル側鎖に比較的特異的であるからである。パラ-ブロモフェナシルブロミドもまた有用である; 0.1 M カコジル酸ナトリウム中でpH 6.0で反応を実施することができる。
リシルおよびアミノ末端残基は、コハク酸または他のカルボン酸無水物と反応させる。これらの物質での誘導体化は、リシニル残基(lysinyl residues)の電荷を反転させる効果を有する。α-アミノ含有残基および/またはε-アミノ含有残基を誘導体化するための他の好適な試薬には、イミドエステル、例えばメチルピコリンイミダート(methyl picolinimidate)、ピリドキサールホスファート、ピリドキサール、クロロボロハイドライド(chloroborohydride)、トリニトロベンゼンスルホン酸、0-メチルイソ尿素、2,4-ペンタンジオン、およびトランスアミナーゼによって触媒される、グリオキシル酸との反応が含まれる。
アルギニル残基は、1つまたはいくつかの慣用の試薬、とりわけ、フェニルグリオキサール、2,3-ブタンジオン、1,2-シクロヘキサンジオン、およびニンヒドリンと反応させることによって改変される。アルギニル残基の誘導体化には、概して、グアニジン官能基の高いpKaのせいで、アルカリ条件で反応を実施することが必要とされる。さらにまた、これらの試薬をリシンのε-アミノ基ならびにアルギニンイプシロン-アミノ基と反応させてよい。
チロシル残基の特異的改変は、スペクトル標識をチロシル残基に導入する特定の目的で、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンと反応させることによって施すことができる。通常、N-アセチルイミジゾール(N-acetylimidizole)およびテトラニトロメタンを使用して、それぞれ、O-アセチルチロシル種および3-ニトロ誘導体を形成させる。125Iまたは131Iを使用してチロシル残基をヨウ素化し、ラジオイムノアッセイで使用するための標識タンパク質を調製する。
カルボキシル側鎖(アスパルチルまたはグルタミル)は、カルボジイミド(R--N=C=N--R') (式中、RおよびR'は異なるアルキル基である)、例えば1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル-- 4-エチル)カルボジイミドまたは1-エチル-3-(4-アゾニア-4,4-ジメチルペンチル)カルボジイミドと反応させることによって選択的に改変される。さらにまた、アスパルチルおよびグルタミル残基は、アンモニウムイオンと反応させることによってアスパラギニルおよびグルタミニル残基に変換される。
グルタミニルおよびアスパラギニル残基は、それぞれ対応するグルタミルおよびアスパルチル残基に脱アミド化されることが多い。これらの残基は中性または塩基性条件下で脱アミド化される。これらの残基の脱アミド化型は本発明の範囲内に入る。
他の改変には、プロリンおよびリシンのヒドロキシル化、セリルまたはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン、およびヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化(T.E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp. 79-86 (1983))、N末端アミンのアセチル化、および任意のC末端カルボキシル基のアミド化が含まれる。
別のタイプの共有結合による改変は、抗体にグリコシドを化学的または酵素的にカップリングさせることを含む。これらの手順は、N-またはO-結合型グリコシル化に関するグリコシル化能を有する宿主細胞での抗体の生産を必要としない点において有益である。使用されるカップリング様式に応じて、糖(群)を、(a) アルギニンおよびヒスチジン、(b) 遊離カルボキシル基、(c) 遊離スルフヒドリル基、例えばシステインの遊離スルフヒドリル基、(d) 遊離ヒドロキシル基、例えばセリン、スレオニン、またはヒドロキシプロリンの遊離ヒドロキシル基、(e) 芳香族残基、例えばフェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンの芳香族残基、または(f) グルタミンのアミド基に結合させてよい。これらの方法は、1987年9月11日公開のWO 87/05330, およびAplin and Wriston, CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 259-306 (1981)に記載されている。
5.17. 化学療法の組み合わせ
本発明にしたがって、1種以上の治療、例えば、非限定的に、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、および/または生物療法/免疫療法の適用と組み合わせて抗ICOS mAbを投与することによって、癌または1種以上のその症状を、予防、治療、管理または軽減することができる。
特定の実施形態では、本発明の方法は1種以上の血管新生アンタゴニストの投与を包含し、該血管新生アンタゴニストは、例えば、非限定的に: アンジオスタチン(プラスミノーゲン断片); 抗血管新生抗トロンビンIII; アンジオザイム(Angiozyme); ABT-627; Bay 12-9566; ベネフィン; ベバシズマブ; BMS-275291; 軟骨由来インヒビター(CDI); CAI; CD59補体断片; CEP-7055; Col 3; コンブレタスタチンA-4; エンドスタチン(コラーゲンXVIII断片); フィブロネクチン断片; Gro-ベータ; ハロフギノン; ヘパリナーゼ; ヘパリン六糖断片; HMV833; ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG); IM-862; インターフェロンアルファ/ベータ/ガンマ; インターフェロン誘導性タンパク質(IP-10); インターロイキン-12; クリングル5 (プラスミノーゲン断片); マリマスタット; メタロプロテイナーゼインヒビター(TIMP); 2-メトキシエストラジオール; MMI 270 (CGS 27023A); MoAb IMC-1C11; ネオバスタット; NM-3; パンゼム; PI-88; 胎盤リボヌクレアーゼインヒビター; プラスミノーゲンアクチベータインヒビター; 血小板因子-4 (PF4); プリノマスタット; プロラクチン16kD断片; プロリフェリン(Proliferin)関連タンパク質(PRP); PTK 787/ZK 222594; レチノイド; ソリマスタット(Solimastat); スクワラミン; SS 3304; SU 5416; SU6668; SU11248; テトラヒドロコルチゾール-S; テトラチオモリブダート; サリドマイド; トロンボスポンジン-1 (TSP-1); TNP-470; トランスフォーミング成長因子-ベータ(TGF-b); バスキュロスタチン(Vasculostatin); バソスタチン(Vasostatin) (カルレティキュリン断片); ZD6126; ZD 6474; ファルネシルトランスフェラーゼインヒビター(FTI); およびビホスホナート(例えば、非限定的に、アレンドロナート、クロドロナート、エチドロナート、イバンドロナート、パミドロナート、リセドロナート、チルドロナート、およびゾレドロナート)である。
特定の実施形態では、本発明の方法は1種以上の免疫調節剤の投与を包含し、該免疫調節剤は、例えば、非限定的に、化学療法剤および化学療法剤以外の免疫調節剤である。化学療法剤の非限定的な例には、メトトレキセート、シクロスポリンA、レフルノミド、シスプラチン、イホスファミド、タキサン、例えばタキソールおよびパクリタキソール、トポイソメラーゼIインヒビター(例えば、CPT-11、トポテカン、9-AC、およびGG-211)、ゲムシタビン、ビノレルビン、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル(5-FU)、ロイコボリン、ビノレルビン、テモダール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン(colchicin)、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシン(anthracin)ジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシンホモログ、およびシトキサンが含まれる。化学療法剤以外の免疫調節剤の例には、非限定的に、抗T細胞受容体抗体(例えば、抗CD4抗体(例えば、cM-T412 (Boeringer)、IDEC-CE9.1(登録商標) (IDEC and SKB)、mAB 4162W94、オルソクローンおよびOKTcdr4a (Janssen-Cilag))、抗CD3抗体(例えば、Nuvion (Product Design Labs)、OKT3 (Johnson & Johnson)、またはリツキサン(IDEC))、抗CD5抗体(例えば抗CD5リシン結合免疫複合体)、抗CD7抗体(例えばCHH-380 (Novartis))、抗CD8抗体、抗CD40リガンドモノクローナル抗体(例えばIDEC-131 (IDEC))、抗CD52抗体(例えばCAMPATH 1H (Ilex))、抗CD2抗体(例えばMEDI-507 (MedImmune, Inc., 国際公開第WO 02/098370号および第WO 02/069904号)、抗CD11a抗体(例えばザネリム(Xanelim) (Genentech))、および抗B7抗体(例えばIDEC-114) (IDEC)); 抗サイトカイン受容体抗体(例えば、抗IFN受容体抗体、抗IL-2受容体抗体(例えばゼナパックス(Zenapax) (Protein Design Labs))、抗IL-4受容体抗体、抗IL-6受容体抗体、抗IL-10受容体抗体、および抗IL-12受容体抗体)、抗サイトカイン抗体(例えば、抗IFN抗体、抗TNF-α抗体、抗IL-1β抗体、抗IL-6抗体、抗IL-8抗体(例えばABX-IL-8 (Abgenix))、抗IL-12抗体および抗IL-23抗体)); CTLA4-免疫グロブリン; LFA-3TIP (Biogen, 国際公開第WO 93/08656号および米国特許第6,162,432号); 可溶性サイトカイン受容体(例えば、TNF-α受容体の細胞外ドメインまたはその断片、IL-1β受容体の細胞外ドメインまたはその断片、およびIL-6受容体の細胞外ドメインまたはその断片); サイトカインまたはその断片(例えば、インターロイキン(IL)-2, IL-3, IL-4, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-11, IL-12, IL-15, IL-23, TNF-α, TNF-β, インターフェロン(IFN)-α, IFN-β, IFN-γ, およびGM-CSF); および抗サイトカイン抗体(例えば、抗IL-2抗体、抗IL-4抗体、抗IL-6抗体、抗IL-10抗体、抗IL-12抗体、抗IL-15抗体、抗TNF-α抗体、および抗IFN-γ抗体)、および腫瘍関連抗原に免疫特異的に結合する抗体(例えばHerceptin(登録商標))が含まれる。特定の実施形態では、免疫調節剤は化学療法剤以外の免疫調節剤である。他の実施形態では、免疫調節剤は、IL-1、IL-2、IL-4、IL-12、IL-15、TNF、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、M-CSF、G-CSF、IL-3またはエリスロポエチン等のサイトカインまたは造血因子(hemapoietic)以外の免疫調節剤である。さらに他の実施形態では、免疫調節剤は、化学療法剤およびサイトカインまたは造血因子以外の物質である。
特定の実施形態では、本発明の方法は、1種以上の抗炎症剤、例えば、非限定的に、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、ステロイド性抗炎症剤、ベータ-アゴニスト、抗コリン作用性物質、およびメチルキサンチンの投与を包含する。NSAIDの例には、非限定的に、アスピリン、イブプロフェン、セレコキシブ(CELEBREXTM)、ジクロフェナク(VOLTARENTM)、エトドラク(LODINETM)、フェノプロフェン(NALFONTM)、インドメタシン(INDOCINTM)、ケトララク(ketoralac) (TORADOLTM)、オキサプロジン(DAYPROTM)、ナブメントン(nabumentone) (RELAFENTM)、スリンダク(CLINORILTM)、トルメンチン(tolmentin) (TOLECTINTM)、ロフェコキシブ(VIOXXTM)、ナプロキセン(ALEVETM, NAPROSYNTM)、ケトプロフェン(ACTRONTM)およびナブメトン(RELAFENTM)が含まれる。そのようなNSAIDはシクロオキシゲナーゼ酵素(例えば、COX-1および/またはCOX-2)を阻害することによって機能する。ステロイド性抗炎症剤の例には、非限定的に、糖質コルチコイド、デキサメタゾン(DECADRONTM)、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン(DELTASONETM)、プレドニゾロン、トリアムシノロン、アザルフィジン、およびエイコサノイド、例えばプロスタグランジン、トロンボキサン、およびロイコトリエンが含まれる。
別の特定の実施形態では、本発明の方法は、1種以上の抗ウイルス剤(例えば、アマンタジン、リバビリン、リマンタジン、アシクロビル、ファムシクロビル、フォスカーネット、ガンシクロビル、トリフルリジン、ビダラビン、ジダノシン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、インターフェロン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(元アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、制吐剤(例えば、アルプラゾラム、デキサメトアゾン(dexamethoasone)、ドンペリドン、ドロナビノール、ドロペリドール、グラニセトロン、ハロペリドール、ハロペリドール、イオラゼパム(iorazepam)、メチルプレドニゾロン、メトクロプラミド、ナビロン、オンダンセトロン、プロクロルペラジン)、抗真菌剤(例えば、アンホテリシン、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾールおよびニスタチン)、抗寄生虫剤(例えば、デヒドロエメチン、ジロキサニドフロアート、エメチン、メフロキン、メラルソプロール、メトロニダゾール、ニフルチモックス、パロモマイシン、ペンタビジン(pentabidine)、ペンタミジンイセチオナート、プリマキン、キナクリン、キニジン)またはそれらの組み合わせの投与を包含する。
医薬組成物および剤形およびキットを含む本発明の種々の実施形態において使用できる抗癌剤の具体例には、非限定的に、以下の抗癌剤が含まれる: アシビシン; アクラルビシン; 塩酸アコダゾール; アクロニン; アドゼレシン; アルデスロイキン; アルトレタミン; アンボマイシン; 酢酸アメタントロン; アミノグルテチミド; アムサクリン; アナストロゾール; アントラマイシン; アスパラギナーゼ; アスペルリン; アザシチジン; アゼテパ; アゾトマイシン; バチマスタット; ベンゾデパ; ビカルタミド; 塩酸ビサントレン; ビスナフィドジメシラート; ビゼレシン; 硫酸ブレオマイシン; ブレキナールナトリウム; ブロピリミン; ブスルファン; カクチノマイシン; カルステロン; カラセミド; カルベチマー; カルボプラチン; カルムスチン; 塩酸カルビシン; カルゼレシン; セデフィンゴール; クロランブシル; シロレマイシン; シスプラチン; クラドリビン; クリスナトールメシラート; シクロホスファミド; シタラビン; ダカルバジン; ダクチノマイシン; 塩酸ダウノルビシン; デシタビン; デキソルマプラチン; デザグアニン; デザグアニンメシラート; ジアジクオン; ドセタキセル; ドキソルビシン; 塩酸ドキソルビシン; ドロロキシフェン; クエン酸ドロロキシフェン; プロピオン酸ドロモスタノロン; デュアゾマイシン; エダトレキサート; 塩酸エフロルニチン; エルサミトルシン; エンロプラチン; エンプロマート; エピプロピジン; 塩酸エピルビシン; エルブロゾール; 塩酸エソルビシン; エストラムスチン; リン酸エストラムスチンナトリウム; エタニダゾール; エトポシド; リン酸エトポシド; エトプリン; 塩酸ファドロゾール; ファザラビン; フェンレチニド; フロクスウリジン; リン酸フルダラビン; フルオロウラシル; フルロシタビン; フォスキドン; フォストリエシンナトリウム; ゲムシタビン; 塩酸ゲムシタビン; ヒドロキシ尿素; 塩酸イダルビシン; イホスファミド; イルモフォシン; インターロイキンII (組換えインターロイキンII、またはrIL2を含む)、インターフェロンアルファ-2a; インターフェロンアルファ-2b; インターフェロンアルファ-n1 ; インターフェロンアルファ-n3; インターフェロンベータ-I a; インターフェロンガンマ-I b; イプロプラチン; 塩酸イリノテカン; 酢酸ランレオチド; レトロゾール; 酢酸ロイプロリド; 塩塩リアロゾール; ロメトレキソールナトリウム; ロムスチン; 塩酸ロソキサントロン; マソプロコール; マイタンシン; 塩酸メクロレタミン; 酢酸メゲストロール; 酢酸メレンゲストロール; メルファラン;
メノガリル; メルカプトプリン; メトトレキセート; メトトレキセートナトリウム; メトプリン; メツレデパ; ミチンドミド; ミトカルシン; ミトクロミン; ミトギリン; ミトマルシン; マイトマイシン; ミトスパー(mitosper); ミトタン; 塩酸ミトキサントロン; ミコフェノール酸; ノコダゾール; ノガラマイシン; オルマプラチン; オキシスラン; パクリタキセル; ペガスパルガーゼ; ペリオマイシン; ペンタムスチン; 硫酸ペプロマイシン; ペルホスファミド; ピポブロマン; ピポスルファン; 塩酸ピロキサントロン; プリカマイシン; プロメスタン; ポルフィマーナトリウム; ポルフィロマイシン; プレドニムスチン; 塩酸プロカルバジン; ピューロマイシン; 塩酸ピューロマイシン; ピラゾフリン; リボプリン; ログレチミド; サフィンゴール; 塩酸サフィンゴール; セムスチン; シムトラゼン; スパルフォサートナトリウム; スパルソマイシン; 塩酸スピロゲルマニウム; スピロムスチン; スピロプラチン; ストレプトニグリン; ストレプトゾシン; スロフェヌル; タリソマイシン; テコガランナトリウム; テガフール; 塩酸テロキサントロン; テモポルフィン; テニポシド; テロキシロン; テストラクトン; チアミプリン; チオグアニン; チオテパ; チアゾフリン; チラパザミン; クエン酸トレミフェン; 酢酸トレストロン; リン酸トリシリビン; トリメトレキセート; グルクロン酸トリメトレキセート; トリプトレリン; 塩酸ツブロゾール; ウラシルマスタード; ウレデパ; バプレオチド; ベルテポルフィン; 硫酸ビンブラスチン; 硫酸ビンクリスチン; ビンデシン; 硫酸ビンデシン; 硫酸ビネピジン; 硫酸ビングリシナート; 硫酸ビンロイロシン; 酒石酸ビノレルビン; 硫酸ビンロシジン; 硫酸ビンゾリジン; ボロゾール; ゼニプラチン; ジノスタチン; 塩酸ゾルビシン。他の抗癌剤には、非限定的に、以下の抗癌剤が含まれる: 20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3; 5-エチニルウラシル; アビラテロン; アクラルビシン; アシルフルベン; アデシペノール; アドゼレシン; アルデスロイキン; ALL-TKアンタゴニスト; アルトレタミン; アンバムスチン; アミドックス; アミフォスチン; アミノレブリン酸; アムルビシン; アムサクリン; アナグレリド; アナストロゾール; アンドログラホリド; 血管新生インヒビター; アンタゴニストD; アンタゴニストG; アンタレリックス; 抗背方化形態形成タンパク質-1; 抗アンドロゲン抗前立腺癌剤; 抗エストロゲン剤; 抗新生物剤; アンチセンスオリゴヌクレオチド; アフィディコリングリシナート; アポトーシス遺伝子モジュレーター; アポトーシス調節因子; アプリン酸; ara-CDP-DL-PTBA; アルギニンデアミナーゼ; アスラクリン; アタメスタン; アトリムスチン; アキシナスタチン1; アキシナスタチン2; アキシナスタチン3; アザセトロン; アザトキシン; アザチロシン; バッカチンIII誘導体; バラノール; バチマスタット; BCR/ABLアンタゴニスト; ベンゾクロリン類; ベンゾイルスタウロスポリン; ベータラクタム誘導体; ベータ-アレチン; ベータクラマイシンB; ベツリン酸; bFGFインヒビター; ビカルタミド; ビサントレン; ビスアジリジニルスペルミン; ビスナフィド; ビストラテンA; ビゼレシン; ブレフラート; ブロピリミン; ブドチタン; ブチオニンスルホキシイミン; カルシポトリオール; カルフォスチンC; カンプトセシン誘導体; カナリア痘IL-2; カペシタビン; カルボキサミド-アミノ-トリアゾール; カルボキシアミドトリアゾール; CaRest M3; CARN 700; 軟骨由来インヒビター; カルゼレシン; カゼインキナーゼインヒビター(ICOS); カスタノスペルミン; セクロピンB; セトロレリックス; クロリン類(chlorlns); クロロキノキサリンスルホンアミド; シカプロスト; シス-ポルフィリン; クラドリビン; クロミフェンアナログ; クロトリマゾール; コリスマイシンA; コリスマイシンB; コンブレタスタチンA4; コンブレタスタチンアナログ; コナゲニン; クランベシジン816; クリスナトール; クリプトフィシン8; クリプトフィシンA誘導体; クラシンA; シクロペントアトラキノン類(cyclopentanthraquinones); シクロプラタム; シペマイシン; シタラビンオクホスファート; 細胞溶解因子; サイトスタチン; ダクリキシマブ; デシタビン; デヒドロジデムニンB; デスロレリン; デキサメタゾン; デキシホスファミド; デクスラゾキサン; デクスベラパミル; ジアジクオン; ジデムニンB; ジドックス; ジエチルノルスペルミン; ジヒドロ-5-アザシチジン; ジヒドロタキソール, 9-; ジオキサマイシン; ジフェニルスピロムスチン; ドセタキセル; ドコサノール; ドラセトロン; ドキシフルリジン; ドロロキシフェン; ドロナビノール; デュオカルマイシンSA; エブセレン; エコムスチン; エデルホシン; エドレコロマブ; エフロルニチン; エレメン; エミテフール; エピルビシン; エプリステリド; エストラムスチンアナログ; エストロゲンアゴニスト; エストロゲンアンタゴニスト; エタニダゾール; リン酸エトポシド; エキセメスタン; ファドロゾール; ファザラビン; フェンレチニド; フィルグラスチム; フィナステリド; フラボピリドール; フレゼラスチン; フルアステロン; フルダラビン; 塩酸フルオロダウノルニシン(fluorodaunorunicin hydrochloride); フォルフェニメックス; フォルメスタン; フォストリエシン; フォテムスチン; ガドリニウムテキサフィリン; 硝酸ガリウム; ガロシタビン; ガニレリックス; ゼラチナーゼインヒビター; ゲムシタビン; グルタチオンインヒビター; ヘプスルファム; ヘレグリン; ヘキサメチレンビスアセトアミド; ヒペリシン; イバンドロン酸; イダルビシン; イドキシフェン; イドラマントン; イルモホシン; イロマスタット; イミダゾアクリドン類; イミキモド; 免疫賦活ペプチド; インスリン様成長因子-1受容体インヒビター; インターフェロンアゴニスト; インターフェロン; インターロイキン; イオベングアン; ヨードドキソルビシン; イポメアノール, 4-; イロプラクト; イルソグラジン; イソベンガゾール; イソホモハリコンドリンB; イタセトロン; ジャスプラキノリド; カハラリドF; 三酢酸ラメラリン-N; ランレオチド; レイナマイシン; レノグラスチム; 硫酸レンチナン; レプトルスタチン; レトロゾール; 白血病阻害因子; 白血球アルファインターフェロン; ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン; ロイプロレリン; レバミゾール; リアロゾール; 線状ポリアミンアナログ; 親油性二糖ペプチド; 親油性白金化合物; リッソクリナミド7; ロバプラチン; ロンブリシン; ロメトレキソール; ロニダミン; ロソキサントロン; HMG-CoAレダクターゼインヒビター(例えば、非限定的に、ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、スタチン、シンバスタチン、およびアトルバスタチン); ロキソリビン; ルルトテカン; ルテチウムテキサフィリン; リソフィリン; 細胞溶解性ペプチド; マイタンシン; マンノスタチンA; マリマスタット; マソプロコール; マスピン; マトリリシンインヒビター; マトリックスメタロプロテイナーゼインヒビター; メノガリル; メルバロン; メテレリン; メチオニナーゼ; メトクロプラミド; MIFインヒビター; ミフェプリストーン; ミルテフォシン; ミリモスチム; ミスマッチ二本鎖RNA; ミトグアゾン; ミトラクトール; マイトマイシンアナログ; ミトナフィド; ミトトキシン線維芽細胞成長因子-サポリン; ミトキサントロン; モファロテン; モルグラモスチム; モノクローナル抗体, ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン; モノホスホリルリピドA+マイコバクテリウム細胞壁sk; モピダモール; 多剤耐性遺伝子インヒビター; 多重腫瘍サプレッサー(multiple tumor suppressor) 1ベースの治療; マスタード抗癌剤; ミカペルオキシドB; マイコバクテリア細胞壁抽出物; ミリアポロン; N-アセチルジナリン; N-置換ベンズアミド; ナファレリン; ナグレスチップ; ナロキソン+ペンタゾシン; ナパビン; ナフテルピン; ナルトグラスチム; ネダプラチン; ネモルビシン; ネリドロン酸; 中性エンドペプチダーゼ; ニルタミド; ニサマイシン; 一酸化窒素モジュレーター; 窒素酸化物酸化防止剤; ニトルリン; O6-ベンジルグアニン; オクトレオチド; オキセノン; オリゴヌクレオチド; オナプリストン; オンダンセトロン; オンダンセトロン; オラシン; 経口サイトカインインデューサー; オルマプラチン; オサテロン; オキサリプラチン; オキサウノマイシン; パクリタキセル; パクリタキセルアナログ; パクリタキセル誘導体; パラウアミン; パルミトイルリゾキシン; パミドロン酸; パナキシトリオール; パノミフェン; パラバクチン; パゼリプチン; ペガスパルガーゼ; ペルデシン; ポリ硫酸ペントサンナトリウム; ペントスタチン; ペントロゾール; ペルフルブロン; ペルホスファミド; ペリリルアルコール; フェナジノマイシン; フェニルアセテート; ホスファターゼインヒビター; ピシバニール; 塩酸ピロカルピン; ピラルビシン; ピリトレキシム; プラセチンA; プラセチンB; プラスミノーゲンアクチベータインヒビター; 白金錯体; 白金化合物; 白金-トリアミン錯体; ポルフィマーナトリウム; ポルフィロマイシン; プレドニゾン; プロピルビス-アクリドン; プロスタグランジンJ2; プロテアソームインヒビター; プロテインAベースの免疫モジュレーター; プロテインキナーゼCインヒビター; プロテインキナーゼCインヒビター, 微細藻類;
プロテインチロシンホスファターゼインヒビター; プリンヌクレオシドホスホリラーゼインヒビター; プルプリン類; ピラゾロアクリジン; ピリドキシ化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート; rafアンタゴニスト; ラルチトレキセド; ラモセトロン; rasファルネシルプロテイントランスフェラーゼインヒビター; rasインヒビター; ras-GAPインヒビター; 脱メチル化レテリプチン; エチドロン酸レニウムRe 186; リゾキシン; リボザイム; RIIレチナミド; ログレチミド; ロヒツキン; ロムルチド; ロキニメックス; ルビギノンB1; ルボキシル; サフィンゴール; サイントピン; SarCNU; サルコフィトールA; サルグラモスチム; Sdi 1模擬体; セムスチン; 老化由来インヒビター1; センスオリゴヌクレオチド; シグナル伝達インヒビター; シグナル伝達モジュレーター; 単鎖抗原結合タンパク質; シゾフィラン; ソブゾキサン; ナトリウムボロカプタート; フェニル酢酸ナトリウム; ソルベロール; ソマトメジン結合タンパク質; ソネルミン; スパルフォシン酸; スピカマイシンD; スピロムスチン; スプレノペンチン; スポンギスタチン1; スクアラミン; 幹細胞インヒビター; 幹細胞分裂インヒビター; スチピアミド; ストロメリシンインヒビター; スルフィノシン; 過活性血管作用性腸ペプチドアンタゴニスト; スラジスタ; スラミン; スワインソニン; 合成グリコサミノグリカン; タリムスチン; タモキシフェンメチオジド; タウロムスチン; タザロテン; テコガランナトリウム; テガフール; テルラピリリウム; テロメラーゼインヒビター; テモポルフィン; テモゾロマイド; テニポシド; テトラクロロデカオキシド; テトラゾミン; タリブラスチン; チオコラリン; トロンボポエチン; トロンボポエチン模擬体; チマルファシン; サイモポエチン受容体アゴニスト; チモトリナン; 甲状腺刺激ホルモン; スズエチルエチオプルプリン; チラパザミン; 二塩化チタノセン; トプセンチン; トレミフェン; 全能性幹細胞因子; 翻訳インヒビター; トレチノイン; トリアセチルウリジン; トリシリビン; トリメトレキセート; トリプトレリン; トロピセトロン; ツロステリド; チロシンキナーゼインヒビター; チルホスチン類; UBCインヒビター; ウベニメクス; 尿生殖洞由来成長阻害因子; ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト; バプレオチド; バリオリンB; ベクター系、赤血球遺伝子治療; ベラレソール; ベラミン; ベルジン類; ベルテポルフィン; ビノレルビン; ビンキサルチン; ビタキシン(Vitaxin)(登録商標); ボロゾール; ザノテロン; ゼニプラチン; ジラスコルブ; およびジノスタチンスチマラマー。追加の抗癌剤は5-フルオロウラシルおよびロイコボリンである。これらの2つの物質は、サリドマイドおよびトポイソメラーゼインヒビターを用いる方法で使用された場合に有用である。特定の実施形態では、抗癌剤は化学療法剤ではない。
さらに特定の実施形態では、本発明はまた、上記の乳癌、卵巣癌、黒色腫、前立腺癌、大腸癌および肺癌の治療のために、1種以上の治療物質、例えば、非限定的に、表1に開示される抗癌剤等の抗癌剤の投与と組み合わせて抗ICOS mAbを投与することを含む。併用療法において使用される場合、表1に列挙される投与の用量および/または頻度は減少する。
本発明はまた、癌細胞を破壊するためのX線、ガンマ線および他の放射線源の使用を含む放射線療法と組み合わせて抗ICOS mAbを投与することを包含する。特定の実施形態では、照射が遠隔供給源から導かれる外部ビーム照射または遠隔照射治療として照射治療を施す。他の実施形態では、放射線源が癌細胞または腫瘤に近接して体内に配置される内部療法または近接照射療法として照射治療を施す。
癌治療およびその用量、投与経路および推奨される使用は当技術分野において公知であり、Physician's Desk Reference (56th ed., 2002)等の文献で報告されている。
5.18. 医薬組成物
本発明はまた、ICOS抗原に結合しかつヒトADCCを媒介する治療用抗体を使用して、ヒト被験体のT細胞媒介性疾患および障害を治療するための免疫治療用組成物および方法に関し、該T細胞媒介性疾患および障害は、例えば、非限定的に、ヒト被験体における慢性感染、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、移植片対宿主病(GVHD)、移植拒絶、およびT細胞増殖性疾患である。
本発明は、エフェクター機能が増強された、IgG1またはIgG3ヒトアイソタイプの抗ICOS抗体を含む医薬組成物に関する。本発明はまた、ヒトADCCを媒介するIgG2またはIgG4ヒトアイソタイプのヒトまたはヒト化抗ICOS抗体を含む医薬組成物に関する。特定の実施形態では、本発明はまた、当技術分野において公知の手段によって製造できる、増強されたエフェクター(effectro)機能を有するモノクローナル抗ICOS抗体を含む医薬組成物に関する。
治療用製剤および治療方式は、自己免疫疾患、例えば、非限定的に、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosis)、関節リウマチ、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、糖尿病、乾癬、および過敏性反応(例えば、アレルギー、枯草熱、喘息、および急性浮腫はI型過敏性反応を生じさせる)と診断されたヒト被験体の治療に関して説明される。本発明はまた、慢性炎症性疾患、例えば、非限定的に、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎)、グレーヴス病、橋本甲状腺炎、および糖尿病と診断されたヒト被験体の治療のための製剤および治療方式に関する。
治療用製剤および治療方式は、ICOS発現T細胞およびその前駆体に由来するT細胞悪性腫瘍と診断されたヒト被験体の治療に関して説明される。
特定の実施形態では、抗ICOS抗体は、ADCC、補体依存性細胞性細胞傷害(cytoxicity)、または抗体依存性食作用を媒介する。本発明の組成物および方法はまた、他のT細胞特異的免疫療法より限られたT細胞集団を標的にする利点を有する。例えば、本発明の抗ICOS抗体は、活性化T細胞、例えば、非限定的に、活性化T細胞を特異的に標的にするために有効である。したがって、本発明の方法および組成物は循環活性化CD4+ T細胞ならびに活性化CD8+ T細胞を減少または枯渇させるために有効である。
したがって、一態様では、本発明は、GVHDおよび移植片拒絶の治療および予防のための組成物および方法であって、低標的化の治療物質および治療方式より少ないおよび/または重篤度が低い合併症しか伴わない方法を提供する。一実施形態では、本発明の方法および組成物の不存在下で推定される用量より少ない用量の従来の治療物質とともに本発明の組成物および方法を使用する。別の実施形態では、本発明の組成物および方法は、より過酷な治療形式、例えば放射線療法、高用量化学療法、または脾臓摘出の必要性を取り除く。
特定の実施形態では、GVHDおよび移植片拒絶の治療または予防のために、移植前または移植後の移植レシピエント患者に、抗ICOS抗体および組成物を、単独でまたは他の治療物質または治療方式と組み合わせて投与することができる。例えば、抗ICOS抗体および組成物を使用して、同種間移植片の移植前または移植後に、移植レシピエントから活性化T細胞を枯渇させることができる。抗ICOS抗体および組成物を使用して、移植前のex vivo移植片から、またはドナー中で、またはGVHDおよび移植片拒絶に対する予防として、活性化T細胞を枯渇させてもよい。
5.19. 医薬製剤、処方および投薬
本発明の医薬製剤は、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体を活性成分として含有する。製剤は、ヒト患者への投与に好適な重量または容積単位中に、所望の応答を生じさせるために有効な量の裸の抗体、免疫複合体、または融合タンパク質を含有し、好ましくは滅菌されている。応答は、例えば、抗ICOS抗体組成物の生理学的効果、例えば、非限定的に、T細胞枯渇、IL-17枯渇、T細胞悪性腫瘍の退行、または疾患症状の減少を決定することによって測定することができる。他のアッセイは当業者に公知であり、応答レベルの測定に用いることができる。
5.19.1. 医薬製剤
増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体を含む組成物は、製薬的に許容される担体とともに製剤化することができる。用語「製薬的に許容される」とは、活性成分の生物学的活性の有効性を妨害しない1種以上の無毒の物質を意味する。そのような調製物は、通常、塩、緩衝剤、保存剤、適合性担体、および場合により他の治療物質を含有してよい。そのような製薬的に許容される調製物は、通常、ヒトへの投与に好適な適合性固体または液体充填剤、希釈剤またはカプセル化物質を含有してもよい。医薬において使用される場合、塩は製薬的に許容されるべきであろうが、製薬的に許容されない塩を好都合に使用してその製薬的に許容される塩を調製してよく、製薬的に許容されない塩は本発明の範囲から除外されない。そのような薬理学的および製薬的に許容される塩には、非限定的に、以下の酸: 塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ホウ酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、等から調製される塩が含まれる。また、製薬的に許容される塩を、アルカリ金属またはアルカリ土類塩、例えばナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩として調製することができる。用語「担体」とは、適用を容易にするために活性成分を組み合わせる対象の天然または合成の有機または無機成分を意味する。医薬組成物の成分はまた、本発明の抗体と、および互いに、所望の医薬的効力を実質的に損なう相互作用が存在しないような様式で混合可能である。
本発明の特定の態様にしたがって、所望の程度の純度を有する抗体または免疫複合体を、場合により、生理的に許容される担体、賦形剤または安定剤(Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition, Osol, A. Ed. (1999))と混合することによって凍結乾燥製剤または水性溶液の形式で、抗ICOS抗体組成物を保存用に調製することができる。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる用量および濃度でレシピエントに無毒であり、それには、バッファー、例えばヒスチジン、リン酸、クエン酸、および他の有機酸; 酸化防止剤、例えばアスコルビン酸およびメチオニン; 保存剤(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド; ヘキサメトニウムクロライド; ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド; フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール; アルキルパラベン、例えばメチルまたはプロピルパラベン; カテコール; レゾルシノール; シクロヘキサノール; 3-ペンタノール; およびm-クレゾール); 低分子量(約10残基未満)ポリペプチド; タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン; 親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン; アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリシン; 単糖、二糖、および他の炭水化物、例えばトレハロース、グルコース、マンノース、またはデキストリン; キレート剤、例えばEDTA; 糖、例えばショ糖、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール; 塩形成対イオン、例えばナトリウム; 金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体); および/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN、ポリソルベート80、PLURONICSTMまたはポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。
抗ICOS抗体組成物はまた、場合により、好適な保存剤、例えば: ベンザルコニウムクロライド; クロロブタノール; パラベン類およびチメロサールを含有してよい。
抗ICOS抗体組成物は単位投与剤形で好都合に提供してよく、製薬技術分野で周知の任意の方法によって調製してよい。すべての方法は、1種以上の副成分を構成する担体と活性物質を混合するステップを含む。一般に、活性化合物を液体担体、微粉化された固体担体、または両者と均質かつ密に混合し、次いで、必要であれば、生成物を成形することによって、抗ICOS抗体組成物を調製する。
非経口投与に好適な組成物は、好都合には、レシピエントの血液と等張性の、抗ICOS抗体の滅菌水性または非水性調製物を含む。この調製物は公知の方法にしたがって好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して製剤化してよい。また、滅菌注射用調製物は、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液としての、滅菌注射用溶液または懸濁液であってよい。用いることができる許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル液、および等張性塩化ナトリウム溶液が含まれる。さらに、滅菌固定油が溶媒または懸濁媒体として慣習的に用いられる。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激(bland)の固定油を用いてよい。さらに、注射剤の調製に脂肪酸、例えばオレイン酸を使用してよい。経口、皮下、静脈内、筋肉内、等の投与に好適な担体製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PAに見出すことができる。特定の実施形態では、種々の投与経路に好適な担体製剤は、RITUXANTMに関して記載されるものと同一または類似であってよい。Physicians' Desk Reference (Medical Economics Company, Inc., Montvale, NJ, 2005), pp. 958-960および1354-1357 (該文献は参照によりその全体がここに組み入れられる)を参照のこと。本発明の特定の実施形態では、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、ポリソルベート80、および滅菌水とともに抗ICOS抗体組成物を静脈内投与用に製剤化し、その場合、組成物のpHを約6.5に調節する。静脈内注射が、抗体の高速分散における十分な循環のおかげで有用な投与様式を提供することを当業者は承知している。しかし、静脈内投与は、血管構造および内皮下基質の内皮細胞を含む血管障壁によって制限を受ける。依然として、血管障壁は、固形腫瘍による治療用抗体の取り込みに関して非常に注目すべき問題である。リンパ腫は比較的高い血流速度を有し、有効な抗体送達に寄与する。皮下または筋肉内注射等、またはリンパ管のカテーテル法によるリンパ管内投与経路もまた、T細胞媒介性疾患および障害を治療する有用な手段を提供する。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法の抗ICOS抗体は皮下に自己投与される。そのような実施形態では、凍結乾燥薬物としてまたは液体バッファー(例えば、ヒスチジンバッファー、PBS、クエン酸)中で約50 mg/mLで組成物を製剤化する。
本明細書中の製剤は、標的になる特定の徴候に必要な、好ましくは互いに悪影響を与えない相補的活性を有する2種以上の活性化合物を含有してもよい。例えば、免疫抑制物質をさらに提供することが望ましい。そのような分子は、意図される目的のために有効な量で組み合わせて好適に提供される。
活性成分は、例えば、コアセルベーション技術によって、または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョン中の、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタシラート) (poly-(methylmethacylate))マイクロカプセル中に取り込んでもよい。そのような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示されている。
in vivo投与に使用される製剤は典型的に滅菌製剤である。これは滅菌ろ過膜に通すろ過によって容易に達成できる。
持続放出製剤を調製することができる。持続放出製剤の好適な例には、抗ICOS抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、該マトリックスは造形品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形式である。持続放出マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリラート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγ-エチル-L-グルタミン酸のコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOTTM (乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドから構成される注射用ミクロスフェア)、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。ポリマー、例えばエチレン-酢酸ビニルおよび乳酸-グリコール酸は、100日を超える期間の分子の放出を可能にするが、特定のヒドロゲルはそれより短い期間にタンパク質を放出する。カプセル化抗体が長期間体内に残留すると、37℃の水分への曝露の結果としてそれらは変性または凝集し、生物学的活性の損失および免疫原性の変化の可能性が生じる。関与する機構に応じて、安定化のための合理的ストラテジーを仕組む(devized)ことができる。例えば、凝集機構がチオ-ジスルフィド交換による分子間S-S結合形成であることが見出されれば、スルフヒドリル残基を改変し、酸性溶液から凍結乾燥し、含水量を調節し、適切な添加物を使用し、かつ特定のポリマーマトリックス組成物を開発することによって安定化を達成することができる。特定の実施形態では、本発明の組成物において使用される製薬的に許容される担体はヒトADCCまたはCDCに影響しない。
本明細書中で開示される抗ICOS抗体組成物を免疫リポソームとして製剤化してもよい。「リポソーム」は種々のタイプの脂質、リン脂質および/または界面活性剤から構成される小胞であり、ヒトへの薬物(例えば本明細書中で開示される抗ICOS抗体)の送達に有用である。リポソームの成分は、一般に、生体膜の脂質配置に類似の二重層構成で配置される。本発明の抗体を含有するリポソームは当技術分野において公知の方法によって調製される。該方法は、例えばEpstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:3688 (1985); Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4030 (1980); および米国特許第4,485,045号および第4,544,545号に記載の方法である。長い循環期間を有するリポソームが米国特許第5,013,556号に開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いる逆相蒸発法によって製造することができる。リポソームを規定の孔サイズのフィルターに通して押し出し、所望の直径を有するリポソームを得る。Martin et al., J. Biol. Chem., 257:286-288 (1982)に記載されるように、ジスルフィド交換反応をよって本発明の抗体をリポソームにコンジュゲートすることができる。治療物質をリポソーム内に含有させることもできる。Gabizon et al., J. National Cancer Inst., (19)1484 (1989)を参照のこと。
いくつかの医薬製剤には、非限定的に、以下のものが含まれる。
(a) 100 mg (10 mL)または500 mg (50 mL)の使い捨てバイアル中で10 mg/mlの濃度で供給される、抗ICOS抗体を静脈内(i.v.)投与するための、保存剤を含まない滅菌液体濃縮物。塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、ポリソルベートおよび注射用滅菌水を使用して、製品をi.v.投与用に製剤化することができる。例えば、9.0 mg/mL 塩化ナトリウム、7.35 mg/mL クエン酸ナトリウム二水和物、0.7 mg/mL ポリソルベート80、および注射用滅菌水中で製品を製剤化することができる。pHを6.5に調整する。
(b) 皮下(s.c.)注射用の使い捨てガラスバイアル中の滅菌凍結乾燥粉末。ショ糖、塩酸L-ヒスチジン一水和物、L-ヒスチジンおよびポリソルベート20を用いて製品を製剤化することができる。例えば、各使い捨てバイアルは、抗ICOS抗体150 mg、ショ糖123.2 mg、塩酸L-ヒスチジン一水和物6.8 mg、L-ヒスチジン4.3 mg、およびポリソルベート20 3 mgを含有してよい。使い捨てバイアルを注射用滅菌水1.3 mlで再組成すると、1.25 mlあたり125 mg (100 mg/ml)の抗体を送達するための溶液約1.5 mlが得られる。
(c) 静脈内(i.v.)投与用の、保存剤を含まない滅菌凍結乾燥粉末。α-トレハロース二水和物、L-ヒスチジンHCl、ヒスチジンおよびポリソルベート20 (USP)を用いて製品を製剤化することができる。例えば、各バイアルは、抗ICOS抗体440 mg、α,α-トレハロース二水和物400 mg、L-ヒスチジンHCl 9.9 mg、L-ヒスチジン6.4 mg、およびポリソルベート20 (USP) 1.8 mgを含有してよい。1.1%ベンジルアルコールを保存剤として含有する注射用静菌水(BWFI) (USP) 20 mlで再組成すると、pH約6の21 mg/mlの抗体を含有する複数回投与溶液が得られる。
(d) 抗ICOS抗体が、ショ糖、ポリソルベート、リン酸二水素ナトリウム一水和物、およびリン酸水素二ナトリウム二水和物を用いて製剤化されている、静脈内注入用の滅菌凍結乾燥粉末。例えば、各使い捨てバイアルは、抗体100 mg、ショ糖500 mg、ポリソルベート80 0.5 mg、リン酸二水素ナトリウム一水和物2.2 mg、およびリン酸水素二ナトリウム二水和物6.1 mgを含有してよい。保存剤は存在しない。注射用滅菌水 (USP) 10 mlで再組成すると、得られるpHは約7.2である。
(e) 使い捨て1 ml充填済みシリンジ中で供給される皮下投与用の、保存剤を含まない滅菌溶液。塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム二水和物、リン酸水素二ナトリウム二水和物、クエン酸ナトリウム、クエン酸一水和物、マンニトール、ポリソルベート80および注射用水(USP)を用いて製品を製剤化することができる。水酸化ナトリウムを加えてpHを約5.2に調整してよい。
例えば、製剤0.8 ml (40 mg)を送達するように各シリンジを製剤化することができる。各0.8 mlは、抗ICOS抗体40 mg、塩化ナトリウム4.93 mg、リン酸二水素ナトリウム二水和物0.69 mg、リン酸水素二ナトリウム二水和物1.22 mg、クエン酸ナトリウム0.24 mg、クエン酸一水和物1.04、マンニトール9.6 mg、ポリソルベート80 0.8 mgおよび注射用水(USP)を含有する。
(f) 使い捨てバイアルに含有された、保存剤を含まない滅菌凍結乾燥粉末。注射用滅菌水(SWFI) (USP)で再組成され、皮下(s.c.)注射として投与される。ショ糖、塩酸ヒスチジン一水和物、L-ヒスチジン、およびポリソルベートを用いて製品を製剤化することができる。例えば、75 mgバイアルは、129.6 mgまたは112.5 mgの抗ICOS抗体、ショ糖93.1 mg、塩酸L-ヒスチジン一水和物1.8 mg、L-ヒスチジン1.2 mg、およびポリソルベート20 0.3 mgを含有してよく、SWFI (USP) 0.9 mlで再組成された後に0.6 ml中で75 mgの抗体を送達するように設計される。150 mgバイアルは、抗ICOS抗体202.5 mgまたは175 mg、ショ糖145.5 mg、塩酸L-ヒスチジン一水和物2.8 mg、L-ヒスチジン1.8 mg、およびポリソルベート20 0.5 mgを含有してよく、SWFI (USP) 1.4 mlで再組成された後に1.2 ml中で150 mgの抗体を送達するように設計される。
(g) 注射用滅菌水で再組成するための滅菌凍結乾燥(hyophilized)製品。マンニトール、ヒスチジンおよびグリシンを使用して筋肉内(IM)注射用の使い捨てバイアルとして製品を製剤化することができる。例えば、各使い捨てバイアルは、抗ICOS抗体100 mg、マンニトール67.5 mg、ヒスチジン8.7 mgおよびグリシン0.3 mgを含有してよく、注射用滅菌水1.0 mlで再組成されると1.0 ml中で抗体100 mgを送達するように設計される。別の例として、各使い捨てバイアルは、抗ICOS抗体50 mg、マンニトール40.5 mg、ヒスチジン5.2 mgおよびグリシン0.2 mgを含有してよく、注射用滅菌水0.6 mlで再組成されると抗体50 mgを送達するように設計される。
(h) 100 mg/mlの濃度で供給される、筋肉内(IM)注射用の、保存剤を含まない滅菌溶液。使い捨てバイアル中で、ヒスチジン、グリシン、および注射用滅菌水を用いて製品を製剤化することができる。例えば、各使い捨てバイアルは、1.2 mlの容量中に抗体100 mg、ヒスチジン4.7 mg、およびグリシン0.1 mgを有するように製剤化することができ、1 ml中で抗体100 mgを送達するように設計される。別の例として、各使い捨てバイアルは、0.7 mlまたは0.5 mlの容量中に抗体50 mg、ヒスチジン2.7 mg、およびグリシン0.08 mgを有するように製剤化することができ、0.5 ml中で抗体50 mgを送達するように設計される。
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は4℃で安定である。特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は室温で安定である。
一実施形態では、本発明の液体製剤は水性製剤である。特定の実施形態では、本発明の液体製剤は水性担体が蒸留水である水性製剤である。
一実施形態では、本発明の製剤は滅菌製剤である。一実施形態では、本発明の製剤は均質製剤である。一実施形態では、本発明の製剤は等張製剤である。
一実施形態では、本発明の製剤は、少なくとも約1 mg/ml、少なくとも約5 mg/ml、少なくとも約10 mg/ml、少なくとも約20 mg/ml、少なくとも約30 mg/ml、少なくとも約40 mg/ml、少なくとも約50 mg/ml、少なくとも約60 mg/ml、少なくとも約70 mg/ml、少なくとも約80 mg/ml、少なくとも約90 mg/ml、少なくとも約100 mg/ml、少なくとも約110 mg/ml、少なくとも約120 mg/ml、少なくとも約130 mg/ml、少なくとも約140 mg/ml、少なくとも約150 mg/ml、少なくとも約160 mg/ml、少なくとも約170 mg/ml、少なくとも約180 mg/ml、少なくとも約190 mg/ml、少なくとも約200 mg/ml、または少なくとも約300 mg/mlの抗ICOS抗体またはその断片を含む。
場合により、本発明の製剤は、一般的な賦形剤および/または添加物、例えば緩衝剤、糖類、塩および界面活性剤を含んでよい。さらにまたはあるいは、本発明の製剤は、一般的な賦形剤および/または添加物、例えば、非限定的に、可溶化剤、希釈剤、結合剤、安定剤、塩、親油性溶媒、アミノ酸、キレート剤、保存剤、等をさらに含んでよい。
特定の実施形態では、緩衝剤は、ヒスチジン、クエン酸、リン酸、グリシン、および酢酸からなる群から選択される。他の実施形態では、糖賦形剤は、トレハロース、ショ糖、マンニトール、マルトースおよびラフィノースからなる群から選択される。さらに他の実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート80、およびPluronic F68からなる群から選択される。さらに他の実施形態では、塩は、NaCl、KCl、MgCl2、およびCaCl2からなる群から選択される。
場合により、本発明の製剤は、他の一般的な補助成分、例えば、非限定的に、好適な賦形剤、ポリオール、可溶化剤、希釈剤、結合剤、安定剤、親油性溶媒、キレート剤、保存剤、等をさらに含んでよい。
本発明の製剤は、向上したpH調整を提供するための緩衝剤またはpH調整剤を含む。一実施形態では、本発明の製剤は、約3.0〜約9.0の範囲、約4.0〜約8.0の範囲、約5.0〜約8.0の範囲、約5.0〜約7.0の範囲、約5.0〜約6.5の範囲、約5.5〜約8.0の範囲、約5.5〜約7.0の範囲、または約5.5〜約6.5の範囲のpHを有する。別の実施形態では、本発明の製剤は、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6.0、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、または約9.0のpHを有する。特定の実施形態では、本発明の製剤は約6.0のpHを有する。
製剤のpHは、概して、製剤中で使用される特定の抗体(その抗体断片を含む)の等電点(例えば、非限定的に、13H5、13H7または7H9の等電点)と等しくないべきであり、かつ約4.0〜約8.0の範囲であるか、または約5.5〜約6.5の範囲であってよい。
典型的に、緩衝剤は有機または無機の酸または塩基から調製された塩である。代表的な緩衝剤には、非限定的に、有機酸塩、例えばクエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、またはフタル酸の塩; Tris、塩酸トロメタミン、またはリン酸バッファーが含まれる。さらに、アミノ酸成分も緩衝化能において機能しうる。本発明の製剤において緩衝剤として利用することができる代表的なアミノ酸成分には、非限定的に、グリシンおよびヒスチジンが含まれる。特定の実施形態では、緩衝剤は、ヒスチジン、クエン酸、リン酸、グリシン、および酢酸からなる群から選択される。特定の実施形態では、緩衝剤はヒスチジンである。別の特定の実施形態では、緩衝剤はクエン酸である。緩衝剤の純度は、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%であるべきであろう。本明細書中で使用される用語「純度」とは、ヒスチジンの関連で、例えばThe Merck Index, 13th ed., O'Neil et al. ed. (Merck & Co., 2001)に記載されるように当技術分野において理解されるヒスチジンの化学純度を表す。
緩衝剤は、典型的に、所望のイオン強度および必要とされる緩衝化能に応じて、約1 mM〜約200 mMの範囲またはその範囲内の任意の範囲もしくは値の濃度で使用される。非経口製剤中で用いられる慣用の緩衝剤の通常の濃度は: Pharmaceutical Dosage Form: Parenteral Medications, Volume 1, 2nd Edition, Chapter 5, p. 194, De Luca and Boylan, 「Formulation of Small Volume Parenterals」, Table 5: Commonly used additives in Parenteral Productsに見出せる。特定の実施形態では、本発明の製剤は緩衝剤を含む。一実施形態では、該緩衝剤は、ヒスチジン、クエン酸、リン酸、グリシン、および酢酸からなる群から選択される。特定の実施形態では、本発明の製剤は緩衝剤としてヒスチジンを含む。別の実施形態では、本発明の製剤はクエン酸バッファーを含む。
一実施形態では、本発明の製剤は、少なくとも約1 mM、少なくとも約5 mM、少なくとも約10 mM、少なくとも約20 mM、少なくとも約30 mM、少なくとも約40 mM、少なくとも約50 mM、少なくとも約75 mM、少なくとも約100 mM、少なくとも約150 mM、または少なくとも約200 mMの緩衝剤を含む。
特定の実施形態では、本発明の製剤は炭水化物賦形剤を含む。炭水化物賦形剤は、例えば、粘性増強剤、安定剤、増量剤、可溶化剤、および/または同様の賦形剤として機能しうる。炭水化物賦形剤は、概して、約1重量または容量%〜約99重量または容量%の範囲で存在する。一実施形態では、炭水化物賦形剤は約0.1%〜約20%の範囲で存在する。別の実施形態では、炭水化物賦形剤は約0.1%〜約15%の範囲で存在する。特定の実施形態では、炭水化物賦形剤は、約0.1%〜約5%の範囲、または約1%〜約20%の範囲、または約5%〜約15%の範囲、または約8%〜約10%の範囲、または約10%〜約15%の範囲、または約15%〜約20%の範囲で存在する。別の特定の実施形態では、炭水化物賦形剤は、0.1%〜20%の範囲、または5%〜15%の範囲、または8%〜10%の範囲、または10%〜15%の範囲、または15%〜20%の範囲で存在する。さらに別の特定の実施形態では、炭水化物賦形剤は約0.1%〜約5%の範囲で存在する。さらに別の特定の実施形態では、炭水化物賦形剤は約5%〜約10%の範囲で存在する。さらに別の特定の実施形態では、炭水化物賦形剤は約15%〜約20%の範囲で存在する。さらに他の特定の実施形態では、炭水化物賦形剤は、1%、または1.5%、または2%、または2.5%、または3%、または4%、または5%、または10%、または15%、または20%で存在する。
本発明の製剤中での使用に好適な炭水化物賦形剤には、例えば、単糖、例えばフルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボース、等; 二糖、例えばラクトース、ショ糖、トレハロース、セロビオース、等; 多糖、例えばラフィノース、メレジトース、バクガデキストリン、デキストラン、デンプン、等; およびアルジトール、例えばマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)等が含まれる。一実施形態では、本発明で使用するための炭水化物賦形剤は、ショ糖、トレハロース、ラクトース、マンニトール、およびラフィノースからなる群から選択される。特定の実施形態では、炭水化物賦形剤はトレハロースである。別の特定の実施形態では、炭水化物賦形剤はマンニトールである。さらに別の特定の実施形態では、炭水化物賦形剤はショ糖である。さらに別の特定の実施形態では、炭水化物賦形剤はラフィノースである。炭水化物賦形剤の純度は、少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%であるべきであろう。
一実施形態では、本発明の製剤は賦形剤を含む。特定の実施形態では、本発明の製剤は、糖、塩、界面活性剤、アミノ酸、ポリオール、キレート薬、乳化剤および保存剤からなる群から選択される少なくとも1つの賦形剤を含む。一実施形態では、本発明の製剤は塩を含む。一実施形態では、本発明の製剤は、NaCl、KCl、CaCl2、およびMgCl2からなる群から選択される塩を含む。特定の実施形態では、本発明の製剤はNaClを含む。
一実施形態では、本発明の製剤は、少なくとも約10 mM、少なくとも約25 mM、少なくとも約50 mM、少なくとも約75 mM、少なくとも約100 mM、少なくとも約125 mM、少なくとも約150 mM、少なくとも約175 mM、少なくとも約200 mM、または少なくとも約300 mMの塩化ナトリウムを含む。
本発明の製剤は界面活性剤をさらに含んでよい。本明細書中で使用される用語「界面活性剤」とは、両親媒性構造を有する有機物質を表す; すなわち、それらは相反する溶解度傾向の基、典型的に油溶性炭化水素鎖および水溶性イオン基から構成される。界面活性剤は、界面活性部分の荷電に応じて、アニオン性、カチオン性、および非イオン性界面活性剤に分類することができる。界面活性剤は、種々の医薬組成物および生物学的材料の調製物のための湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、および分散剤として使用されることがよくある。製薬的に許容される界面活性剤、例えばポリソルベート(例えばポリソルベート20または80); ポリオキサマー(例えばポロキサマー188); トリトン(Triton); ナトリウムオクチルグリコシド; ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-スルホベタイン; ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-またはステアリル-サルコシン; リノレイル-、ミリスチル-、またはセチル-ベタイン; ラウロアミドプロピル-、コカミドプロピル-、リノレアミドプロピル-、ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアラミドプロピル-ベタイン(例えばラウロアミドプロピル); ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアラミドプロピル-ジメチルアミン; ナトリウムメチルココイル-、または二ナトリウムメチルオレイル-タウラート; およびMONAQUA.TM.シリーズ(Mona Industries, Inc., Paterson, N.J.)、ポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコール、およびエチレンとプロピレングリコールのコポリマー(例えばPluronics、PF68等)を、場合により、本発明の製剤に加えて凝集を低減させることができる。界面活性剤は、製剤を投与するためにポンプまたはプラスチック容器が使用される場合に特に有用である。製薬的に許容される界面活性剤が存在すると、タンパク質が凝集する傾向が緩和される。特定の実施形態では、本発明の製剤は、約0.001%〜約1%、または約0.001%〜約0.1%、または約0.01%〜約0.1%の範囲の濃度のポリソルベートを含む。他の特定の実施形態では、本発明の製剤は、0.001%、または0.002%、または0.003%、または0.004%、または0.005%、または0.006%、または0.007%、または0.008%、または0.009%、または0.01%、または0.015%、または0.02%の濃度のポリソルベートを含む。別の特定の実施形態では、ポリソルベートはポリソルベート-80である。
一実施形態では、本発明の製剤は界面活性剤を含む。一実施形態では、本発明の製剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、またはポリソルベート80を含む。特定の実施形態では、本発明の製剤はポリソルベート80を含む。
場合により、本発明の製剤は、他の一般的な賦形剤および/または添加物、例えば、非限定的に、希釈剤、結合剤、安定剤、親油性溶媒、保存剤、アジュバント、等をさらに含んでよい。製薬的に許容される賦形剤および/または添加物を本発明の製剤中で使用してよい。一般に使用される賦形剤/添加物、例えば製薬的に許容されるキレート剤(例えば、非限定的に、EDTA、DTPAまたはEGTA)を、場合により、本発明の製剤に加えて凝集を低減させることができる。これらの添加物は、製剤を投与するためにポンプまたはプラスチック容器が使用される場合に特に有用である。
保存剤、例えばフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、非限定的に、六水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)、ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサール、またはそれらの混合物を、場合により、任意の好適な濃度、例えば約0.001%〜約5%の範囲、またはその範囲内の任意の範囲もしくは値で本発明の製剤に加えることができる。本発明の製剤中で使用される保存剤の濃度は微生物効果を得るために十分な濃度である。そのような濃度は選択される保存剤次第であり、当業者は該濃度を容易に決定することができる。
本発明の製剤中で利用することができる他の想定される賦形剤/添加物には、例えば、香味物質、抗菌剤、甘味料、酸化防止剤、帯電防止剤、脂質、例えばリン脂質または脂肪酸、ステロイド、例えばコレステロール、タンパク質賦形剤、例えば血清アルブミン(ヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒトアルブミン(rHA))、ゼラチン、カゼイン、塩形成対イオン、例えばナトリウム等が含まれる。本発明の製剤中での使用に好適な前記および追加の公知の医薬賦形剤および/または添加物は当技術分野において公知であり、例えば「Remington: The Science & Practice of Pharmacy」, 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, (2005), および「Physician's Desk Reference」, 60th ed., Medical Economics, Montvale, N.J. (2005)に列挙されている。投与様式、Fc変異体タンパク質の溶解度および/または安定性に好適な製薬的に許容される担体は、当技術分野において周知のように、または本明細書中に記載されるように、慣例的に選択することができる。
本発明の製剤はヒト血液と等張であってよく、すなわち、本発明の製剤はヒト血液と本質的に同じ浸透圧を有してよいことを当業者は理解する。そのような等張製剤は、概して、約250 mOSm〜約350 mOSmの浸透圧を有する。等張性は、例えば蒸気圧または氷-凍結(ice-freezing)型浸透圧計を使用することによって測定することができる。製剤の張性(tonicity)は張性調節剤(tonicity modifiers)の使用によって調節される。「張性調節剤」は、製剤の等張性(isotonity)を提供するために製剤に加えることができる製薬的に許容される不活性物質である。本発明に好適な張性調節剤には、非限定的に、糖類、塩およびアミノ酸が含まれる。
特定の実施形態では、本発明の製剤は、約100 mOSm〜約1200 mOSm、または約200 mOSm〜約1000 mOSm、または約200 mOSm〜約800 mOSm、または約200 mOSm〜約600 mOSm、または約250 mOSm〜約500 mOSm、または約250 mOSm〜約400 mOSm、または約250 mOSm〜約350 mOSmの浸透圧を有する。
本発明の製剤の種々の成分のいずれか1つまたは任意の組み合わせの濃度を調節して、最終製剤の所望の張性を達成する。例えば、当技術分野において公知の方法(例えば米国特許第6,685,940号)にしたがって炭水化物賦形剤対抗体の比を調節することができる。特定の実施形態では、炭水化物賦形剤対抗体のモル比は、約100モル〜約1000モルの炭水化物賦形剤対約1モルの抗体、または約200モル〜約6000モルの炭水化物賦形剤対約1モルの抗体、または約100モル〜約510モルの炭水化物賦形剤対約1モルの抗体、または約100モル〜約600モルの炭水化物賦形剤対約1モルの抗体であってよい。
製剤の塩濃度を調節することによって最終製剤の所望の等張性を達成してもよい。張性調節剤として本発明に好適な製薬的に許容される塩には、非限定的に、塩化ナトリウム、コハク酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、および塩化カルシウムが含まれる。特定の実施形態では、本発明の製剤は、NaCl、MgCl2、および/またはCaCl2を含む。一実施形態では、NaClの濃度は約75 mM〜約150 mMの範囲である。別の実施形態では、MgCl2の濃度は約1 mM〜約100 mMの範囲である。張性調節剤として本発明に好適な製薬的に許容されるアミノ酸には、非限定的に、プロリン、アラニン、L-アルギニン、アスパラギン、L-アスパラギン酸、グリシン、セリン、リシン、およびヒスチジンが含まれる。
一実施形態では、本発明の製剤は、内毒素および/または関連発熱物質を実質的に含まない、パイロジェンを含まない製剤である。内毒素には、微生物内部に閉じ込められていて、微生物が破壊されるかまたは死滅した場合にのみ放出される毒素が含まれる。発熱物質には、細菌および他の微生物の外膜由来の発熱誘発性の熱安定物質(糖タンパク質)も含まれる。これらの物質はともに、ヒトに投与されると、発熱、低血圧およびショックを引き起こしうる。潜在的有害性のせいで、少量の内毒素さえ、静脈内投与される医薬用薬液から除去されねばならない。Food & Drug Administration (「FDA」)は、静脈内薬物適用に関する1時間の単一期間中に体重キログラムあたり用量あたり5内毒素単位(EU)の上限を設定している(The United States Pharmacopeial Convention, Pharmacopeial Forum 26 (1):223 (2000))。治療用タンパク質が、抗体の場合のように、体重キログラムあたり数百または数千ミリグラムの量で投与される場合、有害かつ危険な内毒素は微量でさえ除去されねばならない。特定の実施形態では、組成物中の内毒素およびパイロジェンレベルは、10 EU/mg未満、または5 EU/mg未満、または1 EU/mg未満、または0.1 EU/mg未満、または0.01 EU/mg未満、または0.001 EU/mg未満である。
in vivo投与に使用される場合、本発明の製剤は滅菌製剤であるべきであろう。本発明の製剤は、滅菌ろ過、放射線照射、等を含む種々の滅菌法によって滅菌することができる。一実施形態では、抗体製剤を滅菌済み0.22-ミクロンフィルターでろ過滅菌する。滅菌注射用組成物は、「Remington: The Science & Practice of Pharmacy」, 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, (2005)に記載されるように慣用の薬務にしたがって製剤化することができる。本明細書中で開示される製剤等の抗体を含む製剤は、通常、凍結乾燥形式または溶液で保存される。滅菌取り出し口を有する容器、例えば、皮下注射針によって穴をあけることができるストッパー等の製剤の取り出しを可能にするアダプタを有する静脈内溶液袋またはバイアルに、抗体を含む滅菌組成物を入れることが想定される。
本明細書中で使用される用語「安定性」および「安定な」とは、本発明の抗ICOS抗体を含む製剤の関連で、所定の製造、調製、輸送および保存条件下での凝集、分解または断片化に対する製剤中の抗体の抵抗性を表す。本発明の「安定な」製剤は、所定の製造、調製、輸送および保存条件下で生物学的活性を保持する。該抗体の安定性は、HPSEC、静的光散乱(SLS)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、円偏光二色性(CD)、尿素変性技術、固有トリプトファン蛍光(intrinsic tryptophan fluorescence)、示差走査熱量測定、および/またはANS結合技術によって測定される凝集、分解または断片化の程度によって、リファレンス製剤と比較して評価することができる。例えば、リファレンス製剤は、PBS中の10 mg/mlの本発明の抗ICOS抗体からなる、-70℃で凍結されたリファレンス標準であってよい。本発明の抗ICOS抗体を含む製剤のトータルの安定性は種々のアッセイによって評価することができ、該アッセイには、例えば、ELISAアッセイ、ラジオイムノアッセイおよびADCCアッセイが含まれる。本発明の抗ICOS抗体を含む製剤のトータルの安定性はin vivoアッセイによって評価することもでき、該アッセイには、例えば、in vivo枯渇アッセイが含まれる。
一実施形態では、本発明の製剤は抗ICOS抗体を含む。一実施形態では、本発明の製剤は抗ICOS抗体またはその断片の凝集を低減させる。別の実施形態では、本発明の製剤は抗ICOS抗体またはその断片の断片化を低減させる。別の実施形態では、本発明の製剤は抗ICOS抗体またはその断片の脱アミドを低減させる。
一実施形態では、本発明の製剤は本発明の抗ICOS抗体を含み、約40℃での保存時に、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、または少なくとも約4週間安定である。一実施形態では、本発明の製剤は約40℃での保存時に、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、または少なくとも約6か月安定である。
一実施形態では、本発明の製剤は本発明の抗ICOS抗体を含み、約5℃での保存時に、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、または少なくとも約12か月安定である。一実施形態では、本発明の製剤は、約5℃での保存時に、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、少なくとも約5年、少なくとも約6年、少なくとも約7年、少なくとも約8年、少なくとも約9年、少なくとも約10年、少なくとも約11年、または少なくとも約12年安定である。
特定の実施形態では、本発明の製剤は少なくとも約50 mg/mlの、本明細書中に記載の抗ICOS抗体を含み、該製剤は、約40℃での保存時に、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、または少なくとも約6か月安定である。
特定の実施形態では、本発明の製剤は少なくとも約50 mg/mlの、本明細書中に記載の抗ICOS抗体を含み、該製剤は、約5℃での保存時に、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、または少なくとも約3年安定である。
特定の実施形態では、本発明の製剤は少なくとも約100 mg/mlの、本明細書中に記載の抗ICOS抗体を含み、該製剤は、約40℃での保存時に、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、または少なくとも約6か月安定である。
特定の実施形態では、本発明の製剤は少なくとも約100 mg/mlの、本明細書中に記載の抗ICOS抗体を含み、該製剤は、約5℃での保存時に、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、または少なくとも約3年安定である。
特定の実施形態では、本発明の製剤は少なくとも約110 mg/mlの、本明細書中に記載の抗ICOS抗体を含み、該製剤は、約40℃での保存時に、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、または少なくとも約6か月安定である。
特定の実施形態では、本発明の製剤は少なくとも約110 mg/mlの、本明細書中に記載の抗ICOS抗体を含み、該製剤は、約5℃での保存時に、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、または少なくとも約3年安定である。
特定の実施形態では、本発明の製剤は少なくとも約150 mg/mlの、本明細書中に記載の抗ICOS抗体を含み、該製剤は、約40℃での保存時に、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、または少なくとも約6か月安定である。
特定の実施形態では、本発明の製剤は少なくとも約150 mg/mlの、本明細書中に記載の抗ICOS抗体を含み、該製剤は、約5℃での保存時に、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、または少なくとも約3年安定である。
5.19.2. 抗体半減期
特定の実施形態では、本発明の組成物および方法の抗ICOS抗体の半減期は少なくとも約4〜7日である。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法の抗ICOS抗体の平均半減期は、少なくとも約2〜5日、3〜6日、4〜7日、5〜8日、6〜9日、7〜10日、8〜11日、8〜12、9〜13、10〜14、11〜15、12〜16、13〜17、14〜18、15〜19、または16〜20日である。他の実施形態では、本発明の組成物および方法の抗ICOS抗体の平均半減期は、少なくとも約17〜21日、18〜22日、19〜23日、20〜24日、21〜25日、22〜26日、23〜27日、24〜28日、25〜29日、または26〜30日である。さらに別の実施形態では、本発明の組成物および方法の抗ICOS抗体の半減期は約50日まででありうる。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法の抗体の半減期を当技術分野において公知の方法によって延長することができる。そして、そのような延長により、抗体組成物の投薬の量および/または頻度が減少する。向上したin vivo半減期を有する抗体およびその製造方法は、米国特許第6,277,375号; および国際公開第WO 98/23289号および第WO 97/3461号に開示されている。
抗ICOS抗体のin vivo血清循環は、抗体のNまたはC末端に対するPEGの部位特異的コンジュゲーションによって、またはリシル残基上に存在するイプシロン-アミノ基を介して、多官能性リンカーを用いるか用いずに不活性ポリマー分子、例えば高分子量ポリエチレングリコール(PEG)を抗体に取り付けることによって延長してもよい。生物学的活性の最小の損失しか生じさせない直鎖または分岐鎖ポリマーの誘導体化が使用される。コンジュゲーションの程度をSDS-PAGEおよび質量分析によって厳密にモニターして、抗体に対するPEG分子の適正なコンジュゲーションを保証することができる。サイズ排除またはイオン交換クロマトグラフィーによって抗体-PEGコンジュゲートから未反応PEGを分離することができる。当業者に公知の方法を使用して、例えば、本明細書中に記載のイムノアッセイによって、結合活性ならびにin vivo効力に関してPEG誘導体化抗体を検査することができる。
さらに、抗体をin vivoでさらに安定にするかまたはin vivoでさらに長い半減期を有するようにするために本発明の組成物および方法の抗体をアルブミンにコンジュゲートすることができる。該技術は当技術分野において周知である。例えば、国際公開第WO 93/15199号, 第WO 93/15200号, および第WO 01/77137号; および欧州特許第EP 413, 622号(該文献はすべて、参照によりここに組み入れられる)を参照のこと。
さらに、増加したin vivo半減期を抗体に付与する変異Fc領域が報告されている(米国特許公開第: US2003/0190311 A1号を参照のこと)。長期のin vivo半減期を有するFc変異体を本発明の組成物および方法と組み合わせて使用することが想定される。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、増加したin vivo半減期を有する変異Fc領域を含む。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、残基252、254、および256 (アミノ酸残基の位置はEU慣行にしたがって決定される)からなる群から選択されるアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含む変異Fc領域を含む。特定の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、M252Y、S254T、およびT256Eからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む変異Fc領域を含む; アミノ酸残基の位置はEU慣行にしたがって決定される。別の実施形態では、本発明の抗ICOS抗体は、位置252のY、位置254のT、および位置256のEからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を含む変異Fc領域を含む; アミノ酸残基の位置はEU慣行にしたがって決定される。
5.19.3. 投与および投薬
本発明の組成物のヒト患者への投与は任意の経路による投与であってよく、該経路には、非限定的に、静脈内、皮内、経皮、皮下、筋肉内、吸入(例えばエアロゾルによる吸入)、口腔(例えば舌下)、局所(すなわち気道表面を含む皮膚および粘膜表面の両者)、くも膜下腔内、関節内、胸膜内(intraplural)、脳内、動脈内、腹腔内、経口、リンパ管内、鼻腔内、経直腸または経膣投与、局所カテーテル経由の潅流による投与、または病巣内直接注射による投与が含まれる。一実施形態では、規定の期間(例えば0.5〜2時間)で供給される静注(intravenous push)または静脈内注入によって本発明の組成物を投与する。本発明の組成物は、ぜん動手段によってまたは貯留物の形式で送達することができるが、任意の所定の場合において最も好適な経路は、当技術分野において周知であるように、被験体の種、年齢、性別および全般的健康状態、治療対象の症状の性質および重症度等の要因、および/または投与される特定の組成物の性質(すなわち、用量、製剤)に依存する。特定の実施形態では、投与経路は、1週間に1回または2回のボーラスまたは一定期間にわたる持続注入である。他の特定の実施形態では、投与経路は場合により毎週1回または2回の皮下注射による経路である。一実施形態では、本発明の組成物、および/または方法を外来患者ベースで投与/適用する。
特定の実施形態では、抗ICOS抗体を含む組成物の用量をmg/患者の体重kgの単位で測定する。他の実施形態では、抗ICOS抗体を含む組成物の用量をmg/患者の除脂肪体重kgの単位で測定する(除脂肪体重は、すなわち体重マイナス体脂肪量である)。さらに他の実施形態では、抗ICOS抗体を含む組成物の用量をmg/患者の体表面積m2の単位で測定する。さらに他の実施形態では、抗ICOS抗体を含む組成物の用量を患者に投与される用量あたりのmgの単位で測定する。本発明の組成物および方法と組み合わせて任意の用量測定法を使用することができ、用量単位は当技術分野の標準的手段によって変換することができる。
用量は、被験体の年齢、性、生物種および症状(例えば病期)、細胞枯渇の所望の程度、治療対象の疾患および/または使用される特定の抗体または抗原結合断片を含むいくつかの要因に基づいて選択することができ、それは当業者が決定することができることを当業者は認識する。例えば、本発明の組成物の有効量をin vitro試験系または動物モデル(例えばコットンラットまたはサル)試験系から得られた用量応答曲線から外挿することができる。抗体の効果を評価するためのモデルおよび方法は当技術分野において公知である(Wooldridge et al., Blood, 89(8): 2994-2998 (1997) (該文献は参照によりその全体がここに組み入れられる))。特定の実施形態では、特定のICOS発現T細胞悪性腫瘍に関して、抗体治療についての当技術分野で標準的な治療方式を本発明の組成物および方法とともに使用することができる。
本発明の方法で使用できる投薬計画の例には、非限定的に、毎日、週3回(間欠投与)、毎週、または14日毎が含まれる。特定の実施形態では、投薬計画には、非限定的に、毎月の投薬または6〜8週毎の投薬が含まれる。
概して、維持治療方式と比較して初期治療では用量が多く、かつ/または投与頻度が高いことを当業者は認識する。
本発明のいくつかの実施形態では、抗ICOS抗体はICOS発現T細胞に結合し、効率的な(すなわち低用量での) ICOS発現T細胞の枯渇を生じさせる(本明細書中に記載される通りである)。特定の実施形態では、抗体(場合により、医薬組成物の部分としての製薬的に許容される担体中の抗体)の用量は、少なくとも約0.0005、0.001、0.05、0.075、0.1、0.25、0.375、0.5、1、2.5、5、10、20、37.5、または50 mg/m2および/または約500、475、450、425、400、375、350、325、300、275、250、225、200、175、150、125、100、75、60、50、37.5、20、15、10、5、2.5、1、0.5、0.375、0.1、0.075または0.01 mg/m2未満である。特定の実施形態では、用量は、約0.0005〜約200 mg/m2の範囲、約0.001〜150 mg/m2の範囲、約0.075〜125 mg/m2の範囲、約0.375〜100 mg/m2の範囲、約2.5〜75 mg/m2の範囲、約10〜75 mg/m2の範囲、および約20〜50 mg/m2の範囲である。関連の実施形態では、使用される抗ICOS抗体の用量は、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5 mg/患者の体重kgである。特定の実施形態では、使用される裸の抗ICOS抗体の用量は、少なくとも約1〜10、5〜15、10〜20、または15〜25 mg/患者の体重kgである。特定の実施形態では、使用される抗ICOS抗体の用量は、少なくとも約1〜20、3〜15、または5〜10 mg/患者の体重kgである。他の実施形態では、使用される抗ICOS抗体の用量は、少なくとも約5、6、7、8、9、または10 mg/患者の体重kgである。特定の実施形態では、抗体(場合により、医薬組成物の部分としての製薬的に許容される担体中の抗体)の一回量単位は、少なくとも約0.5、1、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190、192、194、196、198、200、204、206、208、210、212、214、216、218、220、222、224、226、228、230、232、234、236、238、240、242、244、246、248、または250マイクログラム/m2であってよい。他の実施形態では、用量は一回量単位あたり1 gまでである。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、本発明の抗体および/または組成物を、約375 mg/m2より低用量で; 約37.5 mg/m2より低用量で; 約0.375 mg/m2より低用量で; および/または約0.075 mg/m2〜約125 mg/m2の範囲の用量で投与することができる。本発明の方法の特定の実施形態では、投与方式は低用量しか含まず、反復した間隔で投与される。例えば、一実施形態では、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、125、150、175、または200日毎の間隔で約375 mg/m2より低用量で本発明の組成物を投与することができる。
指定用量は、少なくとも約1、2、3、5、7、10、14、20、30、45、60、75、90、120、150または180日またはそれ以上の期間、本発明の組成物および方法を使用して治療されたヒトにおいてICOS発現T細胞の枯渇を生じさせうる。本発明の方法の特定の実施形態では、本発明の組成物および方法の使用前の治療対象の患者中のICOS発現T細胞レベルと比較して、ICOS発現T細胞を、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%枯渇させる。本発明の方法の他の実施形態では、ヒトに関する典型的な標準ICOS発現T細胞レベルと比較して、ICOS発現T細胞を、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%枯渇させる。関連の実施形態では、年齢、性、体重、および他の要因に関して治療対象の患者と同等の患者を使用してヒトに関する典型的な標準ICOS発現T細胞レベルを決定する。
本発明の特定の実施形態では、約125 mg/m2以下の用量の抗体または抗原結合断片により、少なくとも約7、14、21、30、45、60、90、120、150、または200日の期間、ICOS発現T細胞の枯渇が生じる。別の代表的な実施形態では、約37.5 mg/m2以下の用量により、少なくとも約7、14、21、30、45、60、90、120、150、または200日の期間、ICOS発現T細胞が枯渇する。さらに他の実施形態では、約0.375 mg/m2以下の用量により、少なくとも約7、14、21、30、45または60日間、ICOS発現T細胞の枯渇が生じる。別の実施形態では、約0.075 mg/m2以下の用量により、少なくとも約7、14、21、30、45、60、90、120、150、または200日の期間、ICOS発現T細胞の枯渇が生じる。さらに他の実施形態では、約0.01 mg/m2、0.005 mg/m2またはさらに0.001 mg/m2以下の用量により、少なくとも約3、5、7、10、14、21、30、45、60、90、120、150、または200日間、ICOS発現T細胞の枯渇が生じる。これらの実施形態では、任意の好適な経路で用量を投与することができるが、場合により、皮下経路によって用量を投与する。
別の態様として、本発明は、ICOS発現T細胞の枯渇および/またはT細胞媒介性障害の治療が、現在利用可能な方法を用いるより低用量の抗体または抗体断片で達成できるという発見を提供する。ゆえに、別の実施形態では、本発明は、ICOS発現T細胞の枯渇および/またはT細胞媒介性障害の治療方法であって、ICOSに特異的に結合する抗体の有効量をヒトに投与するステップを含み、約500、475、450、425、400、375、350、325、300、275、250、225、200、175、150、125、100、75、60、50、37.5、20、10、5、2.5、1、0.5、0.375、0.25、0.1、0.075、0.05、0.001、0.0005 mg/m2またはそれ以下の用量により、少なくとも約3、5、7、10、14、21、30、45、60、75、90、120、150、180、または200日またはそれ以上の期間、ICOS発現T細胞(循環および/または組織ICOS発現T細胞)の25%、35%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、98%またはそれ以上の枯渇が生じる、方法を提供する。代表的な実施形態では、約125 mg/m2または75 mg/m2またはそれ以下の用量により、少なくとも約7、14、21、30、60、75、90、120、150または180日間、ICOS発現T細胞の少なくとも約50%、75%、85%または90%の枯渇が生じる。他の実施形態では、約50、37.5または10 mg/m2の用量により、少なくとも約7、14、21、30、60、75、90、120または180日間、ICOS発現T細胞の少なくとも約50%、75%、85%または90%の枯渇が生じる。さらに他の実施形態では、約0.375または0.1 mg/m2の用量により、少なくとも約7、14、21、30、60、75または90日間、ICOS発現T細胞の少なくとも約50%、75%、85%または90%の枯渇が生じる。別の実施形態では、約0.075、0.01、0.001、または0.0005 mg/m2の用量により、少なくとも約7、14、21、30または60日間、ICOS発現T細胞の少なくとも約50%、75%、85%または90%の枯渇が生じる。
本発明の特定の実施形態では、血液中または組織、例えば、非限定的に、骨髄中で一定用量を維持するために用量を増加または減少させることができる。関連の実施形態では、本発明の組成物および方法の抗体の所望のレベルを維持するために、用量を、約2%、5%、8%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、および95%増加または減少させる。
特定の実施形態では、本発明の組成物および方法に対する患者の免疫原性応答に基づいて、用量を調節することができ、かつ/または注入速度を低下させることができる。
5.19.4. 毒性検査
本発明の組成物および/または治療計画の耐性、毒性および/または効力は、例えばLD50 (集団の50%に対して致死の用量)、ED50 (集団の50%において治療的に有効な用量)、およびIC50 (50%阻害を達成するために有効な用量)を決定するための、細胞培養物または実験動物における標準的製薬手順によって決定することができる。一実施形態では、用量は、循環ICOS発現T細胞の少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、または99%の枯渇を達成するために有効な用量である。毒作用と治療効果の間の用量比が治療係数であり、LD50/ED50の比として表記することができる。大きい治療係数を示す治療が好ましい。有毒な副作用を示す治療を使用する限りは、ICOS陰性細胞に対する潜在的損傷を最小にし、それにより副作用を減少させるために、該物質をICOS発現細胞にターゲティングする送達系を設計するよう注意を払うべきであろう。
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータを、ヒトでの使用のための組成物および/または治療計画の用量範囲の処方に使用することができる。そのような物質の用量は、毒性をほとんど有さないかまたはまったく有さないED50を含む循環濃度の範囲内であってよい。用いられる剤形および利用される投与経路に応じて、用量はこの範囲内で変動する。本発明の方法で使用される任意の療法では、適切な動物モデルによって治療有効量を見積もることができる。動物モデルの種に応じて、当技術分野において確立されている式にしたがってヒトでの使用のために用量をスケーリングすることができる。該式は、例えば、Freireich et al., Quantitative comparison of toxicity of anticancer agents in mouse, rat, monkey, dog, and human, Cancer Chemotherapy Reports, NCI 1966 40:219-244によって提供される。細胞培養アッセイから得られたデータは潜在的毒性の予測に有用でありうる。動物試験を使用して、細胞培養において決定されたIC50 (すなわち、症状の最大阻害の1/2を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿中濃度範囲を達成するための具体的用量を処方することができる。そのような情報を使用して、ヒトにおいて有用な用量を、より正確に決定することができる。血漿薬物レベルは、例えば、高性能液体クロマトグラフィー、ELISA、または細胞ベースのアッセイによって測定することができる。
5.20. 治療上の使用
増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体を含む組成物は、自己免疫疾患、例えば全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性硬化症、糖尿病(diabetes)、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、および乾癬; 慢性炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎)、グレーヴス病、橋本甲状腺炎、および糖尿病(diabetes mellitis)の治療に使用することができる。本明細書中に記載の抗ICOS組成物を使用して、中毒性ショック症候群、炎症性腸疾患、輸血に起因する同種感作(allosensitization)、T細胞依存性B細胞媒介性疾患、および移植片対宿主病の治療を軽減してもよい。さらに、本発明の組成物および方法は、抗体生産の阻害または増強を必要とする治療適応において有用である。
増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体を含む組成物を免疫抑制物質として骨髄および器官移植に使用してもよく、該組成物を使用して移植片の生存を延長してもよい。そのような組成物は既存の治療より優れた重要な利点を提供する。骨髄および器官移植療法は、宿主による外来性細胞または組織のT細胞媒介性拒絶と格闘しなければならない。T細胞媒介性拒絶を阻害するための現在の治療方式は、薬物、シクロスポリンまたはFK506での治療を含む。薬物は有効であるが、患者は、肝毒性、腎毒性、および神経毒性を含む深刻な副作用を被る。シクロスポリン/FK506クラスの治療薬の標的は、遍在的に発現されるホスファターゼであるカルシニュリンである。ICOS発現はT細胞に制限されるため、ICOS発現T細胞の枯渇は、現在の免疫治療物質を使用した場合に観察される深刻な副作用を有さない。
過敏症は、過剰または不適切な、通常は有益な免疫応答であり、炎症性反応および組織損傷を生じさせる。抗体媒介性の過敏性反応は、ICOS発現細胞の枯渇による拮抗作用に特に感受性である。アレルギー、枯草熱、喘息、および急性浮腫はI型過敏性反応を引き起こし、これらの反応はICOS発現細胞の枯渇によって抑制される。
抗体媒介性過敏性反応を引き起こす疾患、例えば全身性エリテマトーデス、関節炎(関節リウマチ、反応性関節炎、乾癬性関節炎)、腎症(糸球体腎炎、膜性、膜性増殖性、巣状分節性、巣状壊死性、半月体性、増殖性--腎尿細管疾患(tubulopathies))、皮膚障害(天疱瘡および類天疱瘡、結節性紅斑)、内分泌疾患(甲状腺炎--グレーヴス、橋本--インスリン依存性糖尿病)、種々の肺臓疾患(特に外因性肺胞炎)、種々の血管症、セリアック病(IgAの異常生産を伴う)、多数の貧血および血小板減少症、ギラン・バレー症候群、および重症筋無力症を、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体を含む組成物を使用して治療することができる。
さらに、リンパ球増殖性疾患、例えば多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、およびクリオグロブリン血症(crioglobulinemias)を、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体を含む組成物を投与することによって阻害することができる。さらに、移植片対宿主病、「人工的」免疫不全は、ICOS発現細胞の枯渇から恩恵を受ける。
ICOS依存性共刺激経路はIgE生産の制御に関与する。IgEは、喘息、食物アレルギー、枯草熱、1型過敏症および副鼻腔の炎症等のアレルギー応答の媒介に特に関与する免疫グロブリンアイソタイプである。アレルゲンに曝露されると、T細胞とB細胞のコラボレーションを含むプロセスにより、B細胞によるアレルゲン特異的IgE生産が生じる。B細胞によって循環中に放出されたアレルゲン特異的IgEは高親和性IgE受容体(FceRI)経由で肥満細胞および好塩基球に結合する。IgEが結合した肥満細胞および好塩基球は感作され、アレルゲンに対する以後の曝露は表面受容体の架橋およびヒスタミンの放出を生じさせる。
本発明は、IgE生産を制御し、かつIgE媒介性障害を予防または治療するための抗ICOS抗体の使用を提供する。一例として、そのような障害には、アレルギー応答、例えば喘息、食物アレルギー、枯草熱、過敏症(hypersensivity)、および副鼻腔の炎症が含まれる。一実施形態では、本発明の抗ICOS抗体を使用して、IgE生産を部分的または完全に阻害する。本発明の抗ICOS抗体は、IgEレベルを減少させるための治療方式において、別々に、または組み合わせて使用することができる。
本発明はまた、IgE生産を部分的または完全に阻害し、かつ過剰のまたは不適切なIgE生産によって特徴付けられる障害を予防および/または治療するためのIgEアンタゴニストと組み合わせた抗ICOS抗体の使用を提供する。本明細書中で使用される用語「IgEアンタゴニスト」とは、アレルゲン刺激に対する応答を減弱または排除するように、IgEと、細胞上のその高親和性受容体FceRIとの相互作用を崩壊させるかまたはブロックすることが可能な化合物を表す。アンタゴニストには、抗IgE抗体およびその断片、可溶性FceRI受容体およびその断片、抗FceRI抗体およびその断片、IgE変異体およびその断片、IgE結合ペプチド、FceRI受容体結合ペプチド、およびIgEに結合可能な小分子またはFceRI受容体に対する結合に関してIgEと競合する小分子が含まれる。本発明の抗ICOS抗体は、アレルギー性障害の治療のために、抗ヒスタミン剤、アレルゲン脱感作、アレルゲンへの曝露の減少等と組み合わせて使用してもよい。
本発明はまた、喘息の予防および/または治療であって、本発明の抗ICOS抗体を、単独でまたは喘息を治療するための1種以上の物質と組み合わせて投与するステップを含む予防および/または治療を提供する。そのような物質の例には、気管支拡張剤(抗コリン作動性物質、ベータ-2アドレナリン受容体アゴニスト、レンコトリエン(lenkotriene) D-4アンタゴニスト、ニューロキニンアンタゴニスト、カリウムチャネルオープナー、サブスタンスPアンタゴニスト、トロンボキサンA-2アンタゴニスト、およびキサンチン)、抗炎症剤(5-リポキシゲナーゼインヒビター、5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質インヒビター、ホスホジエステラーゼIVインヒビター、血小板活性化因子アンタゴニスト、呼吸器NSAID、ステロイド、およびチロシンキナーゼインヒビター)、サイトカインインヒビター(CD4、IL-4およびIL-5インヒビター)および上記IgEアンタゴニストが含まれる。
本発明の組成物および方法は、ICOS発現細胞の増殖またはICOS発現細胞によるサイトカイン(例えばIL-17)の生産を調節(抑制または刺激)することができ、それにより、ICOSによって媒介されるシグナル伝達に関連する多様な生理現象によって引き起こされる、種々の病的状態の抑制および種々の障害の治療または予防を可能にする。
本発明の抗ICOS抗体を含む組成物は、例えば、非限定的に、関節リウマチ、多発性硬化症、自己免疫性甲状腺炎、アレルギー性接触型皮膚炎、慢性炎症性皮膚疾患(例えば扁平苔癬)、全身性エリテマトーデス、インスリン依存性糖尿病、乾癬、自己免疫性またはアレルギー性障害、自己免疫疾患および、細胞性免疫によって引き起こされる遅延型アレルギー; 関節症(例えば、非限定的に、関節リウマチ(RA)および骨関節炎(OA))、炎症(例えば肝炎)、移植片対宿主反応(GVH反応)、移植片対宿主病(GVHD)、組織(例えば、皮膚、角膜、骨)または器官(例えば、肝臓、心臓、肺、腎臓、膵臓)の移植に伴う免疫拒絶、外来抗原または自己抗原よって引き起こされる免疫応答(例えば、該抗原に対する抗体の生産、細胞増殖、サイトカインの生産)、および異常な腸免疫によって引き起こされる障害(例えば、炎症性腸障害、クローン病、潰瘍性大腸炎、食物アレルギー)の抑制、予防および/または治療を可能にする。
さらにまた、本明細書中に記載の組成物および方法は、公知の免疫抑制物質、例えばサイトカイン転写(例えば、シクロスポリンA、タクロリムス)、ヌクレオチド合成(例えば、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル)、成長因子シグナル伝達(例えば、シロリムス、ラパマイシン)、およびT細胞インターロイキン2受容体(例えば、ダクリズマブ、バシリキシマブ)のインヒビターと組み合わせて、移植拒絶またはGVHDの抑制/治療に利用することができる。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法と組み合わせて使用される免疫抑制物質には、1種以上の以下の物質: アドリアマイシン、アザチオプリン、ブスルファン、シクロホスファミド、シクロスポリンA (「CyA」)、サイトキシン、フルダラビン、5-フルオロウラシル、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル(MOFETIL)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、ラパマイシン、およびタクロリムス(FK506)が含まれる。
本発明の組成物および方法は、炎症性疾患、例えば種々の関節炎に伴う炎症(例えば、関節リウマチ、骨関節炎)、肺炎、肝炎(ウイルス性肝炎を含む)、感染症に伴う炎症、炎症性腸疾患、腸炎、腎炎(例えば、糸球体腎炎、腎線維症(nephrofibrosis))、胃炎、脈管炎、膵炎、腹膜炎、気管支炎、心筋炎、脳炎、虚血後再潅流傷害(心筋虚血性再潅流傷害)における炎症、組織および器官の移植後の免疫拒絶に起因する炎症、やけど、種々の皮膚炎症(乾癬、アレルギー性接触型皮膚炎、扁平苔癬)、多臓器不全における炎症、PTCAまたはPTCRの手術後の炎症、および動脈硬化症に伴う炎症、および自己免疫性甲状腺炎に適用することができる。
増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体を活性成分として含む本発明の組成物を使用して、種々の疾患、例えば、非限定的に、関節リウマチ、多発性硬化症、自己免疫性甲状腺炎、アレルギー性接触皮膚炎、扁平苔癬、全身性エリテマトーデス、インスリン依存性糖尿病、乾癬、自己免疫疾患またはアレルギー疾患、細胞性免疫によって媒介される遅延型アレルギー; 関節症(例えば、関節リウマチ(RA)、骨関節炎(OA))、炎症(例えば肝炎)、移植片対宿主反応(GVH反応)、移植片対宿主病(GVHD)、組織(例えば、皮膚、角膜および骨)または器官(例えば、肝臓、心臓、肺、腎臓、膵臓)の移植に伴う免疫拒絶、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、および食物アレルギーを阻害、治療および/または予防することができる。
本発明の組成物は、種々のステロイド薬物が抗炎症薬として使用される対象のいくつかの炎症、例えば、種々の関節炎症に伴う炎症(例えば、関節リウマチ、骨関節炎)、肺炎、肝炎(ウイルス性肝炎を含む)、感染症に伴う炎症、炎症性腸疾患、腸炎、腎炎、糸球体腎炎、腎線維症(kidney fibrosis)に伴う炎症、胃炎、血管炎、膵炎、腹膜炎、気管支炎、心筋炎、脳炎、虚血再潅流傷害に伴う炎症、心筋虚血再潅流傷害、組織または器官の移植後の免疫拒絶に伴う炎症、乾癬、アレルギー性接触皮膚炎、扁平苔癬、多臓器不全に伴う炎症、PTCAまたはPTCRの手術後の炎症、アテローム性動脈硬化症に伴う炎症、および自己免疫性甲状腺炎を治療または予防することを可能にする。
5.21. 移植
本発明の特定の態様では、本発明の組成物および方法とともに使用される治療方式および用量を、例えば、移植拒絶を発症するリスクに患者をさらす臨床症状、またはそのような拒絶が発症している臨床証拠を含むいくつかの要因に基づいて選択する。
本発明は、GVHD、拒絶発症、または移植後リンパ球増殖性疾患の発生率、重症度、または持続時間を減少させるために有効な組成物、治療用製剤、方法および治療方式を提供する。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法は、固形組織または器官移植片の虚血性再潅流傷害に対する宿主応答を減弱するために有効である。一実施形態では、本発明の組成物および方法は、移植レシピエント中での移植片の生存を延長するために有効である。
本発明は、レシピエントに対して自己、同種、または異種である移植片を包含する。本発明によって包含される移植片のタイプには、組織および器官移植片が含まれ、それには、非限定的に、骨髄移植片、末梢血幹細胞移植片(peripheral stem cell grafts)、皮膚移植片、動脈および静脈移植片、膵島細胞移植片、および腎臓、肝臓、膵臓、甲状腺、および心臓の移植が含まれる。用語「移植片(graft)」および「移植(transplant)」は本明細書中で交換可能に使用される。一実施形態では、自己移植片は、骨髄移植片、動脈移植片、静脈移植片または皮膚移植片である。一実施形態では、同種移植片は、骨髄移植片、角膜移植片、腎臓移植、膵島細胞移植、または腎臓および膵臓の複合移植である。一実施形態では、移植片は異種移植片であり、動物ドナー候補には、非限定的にブタが含まれる。本発明の組成物および方法を使用して、非生体移植片またはインプラントに対する有害な免疫応答を抑制してもよい。該非生体移植片またはインプラントには、非限定的に、人工関節、ステント、またはペースメーカーデバイスが含まれる。
本発明の抗ICOS抗体、組成物、および方法を使用して、移植の必要性を最初に生じさせる具体的徴候または移植される組織の具体的なタイプに関係なく、GVHD、拒絶、または移植後リンパ球増殖性疾患を治療または予防することができる。
本発明の治療用製剤および治療方式は、関節リウマチ、SLE、ITP、天疱瘡関連障害、糖尿病、および強皮症を非限定的に含む自己免疫疾患または障害と診断されたヒト被験体の治療に関して説明される。
当業者は特定の患者または患者集団に適切な治療方式を決定することができる。特定の実施形態では、治療方式は、急性または慢性拒絶反応に関する移植前条件付け方式、移植後維持方式、または移植後治療方式である。特定の実施形態では、低い拒絶リスクにしかさらされていないと評価された患者に関する治療方式と比較して、拒絶応答を発症する高いリスクまたは中間のリスクにさらされていると評価された患者に関する具体的な治療方式は変動する。
特定の実施形態では、拒絶の段階にしたがって具体的な治療方式が変動し、より後期の拒絶段階の患者では、より攻撃的な治療が適応される。体液性拒絶の段階は当技術分野の知識および技術したがって分類される。例えば、体液性拒絶の段階は、以下の基準にしたがってI〜IV期の1段階として分類することができる: I期 潜在的応答, 循環抗ドナー同種抗体、特に抗HLA抗体によって特徴付けられる; II期 サイレント反応, 循環抗ドナー同種抗体、特に抗HLA抗体、およびC4d蓄積によって特徴付けられるが、組織学的変化または移植片機能障害を有さない; III期 準臨床拒絶: 循環抗ドナー同種抗体、特に抗HLA抗体、C4d蓄積、および組織病変によって特徴付けられるが、移植片機能障害を有さない; IV期 体液性拒絶: 循環抗ドナー同種抗体、特に抗HLA抗体、C4d蓄積、組織病変、および移植片機能障害によって特徴付けられる。
本発明の抗ICOS抗体、組成物および方法を、単独で、または他の治療物質または治療方式と組み合わせて実施して、GVHD、拒絶、または移植後リンパ球増殖性疾患を治療または予防することができる。GVHD、拒絶、または移植後リンパ球増殖性疾患を治療または予防するための他の治療方式は、例えば、1種以上の抗リンパ球治療、ステロイド療法、抗体枯渇治療、免疫抑制治療、および血漿分離交換法を含んでよい。
抗リンパ球治療は、チモグロブリン(thymoglobulin)とも称される抗胸腺細胞グロブリンを移植レシピエントに投与するステップを含んでよい。抗リンパ球治療は、T細胞表面抗原を標的にする1種以上のモノクローナル抗体を投与するステップを含んでもよい。そのような抗体の例には、非限定的に、OKT3TM (ムロモナブ-CD3)、CAMPATHTM-1H (アレムツズマブ)、CAMPATHTM-1G、CAMPATHTM-1M、SIMULECTTM (バシリキシマブ)、およびZENAPAXTM (ダクリズマブ)が含まれる。特定の実施形態では、抗リンパ球治療は、RITUXANTM (リツキシマブ)を非限定的に含む、B細胞を標的にする1種以上の抗体を含む。
ステロイド療法は、コルチゾール、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン(dexamethazone)、およびインドメタシンからなる群から選択される1種以上のステロイドを移植レシピエントに投与するステップを含んでよい。1種以上のステロイドはコルチコステロイドであってよく、それには、非限定的に、コルチゾール、プレドニゾン、およびメチルプレドニゾロンが含まれる。
抗体枯渇治療には、例えば、静脈内免疫グロブリンを移植レシピエントに投与することが含まれる。抗体枯渇治療は、移植前にex vivo移植片に適用される免疫吸着療法を含んでもよい。免疫吸着は、任意の好適な技術、例えば、プロテインA親和性、またはT細胞またはB細胞表面マーカーを標的にする抗体、例えば抗CD3抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、および抗CD22抗体を使用する抗体ベースの親和性技術を使用して達成することができる。
免疫抑制治療は、1種以上の免疫抑制物質、例えばサイトカイン転写(例えば、シクロスポリンA、タクロリムス)、ヌクレオチド合成(例えば、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル)、成長因子シグナル伝達(例えば、シロリムス、ラパマイシン)、およびT細胞インターロイキン2受容体(例えば、ダクリズマブ、バシリキシマブ)のインヒビターを投与するステップを含んでよい。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法と組み合わせて使用される免疫抑制物質には、1種以上の下記物質: アドリアマイシン、アザチオプリン、ブスルファン、シクロホスファミド、シクロスポリンA (「CyA」)、サイトキシン、フルダラビン、5-フルオロウラシル、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル(MOFETIL)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、ラパマイシン、およびタクロリムス(FK506)が含まれる。免疫抑制物質は、例えばBuerke et al. (J. Immunol., 167:5375-80 (2001))に記載されるように、補体のインヒビター、例えば、可溶性補体受容体-1、抗C5抗体、またはC1sの小分子インヒビターを含んでもよい。
一実施形態では、本発明の組成物および方法を、拒絶を抑制するための1種以上の治療方式と組み合わせて使用する。該治療方式には、非限定的に、タクロリムスおよびミコフェノール酸モフェチル療法、免疫吸着、静脈内免疫グロブリン療法、および血漿分離交換法が含まれる。
5.22. 炎症性疾患
本発明の抗ICOS抗体を、それを必要としている被験体に投与して、炎症性疾患(例えば喘息)または1種以上のその症状を予防、管理、治療または改善することができる。本発明の組成物を、1種以上の他の治療薬(therapies)、好ましくは炎症性疾患の予防、管理、治療または改善に有用な治療薬(非限定的に本明細書中で列挙される予防または治療物質を含む)と組み合わせて、それを必要としている被験体に投与し、炎症性疾患または1種以上のその症状を予防、管理、治療または改善してもよい。特定の実施形態では、本発明は、炎症性疾患または1種以上のその症状の予防、管理、治療または改善方法であって、それを必要としている被験体に、本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量の用量を投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、炎症性疾患または1種以上のその症状の予防、管理、治療または改善方法であって、それを必要としている被験体に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量の用量およびICOSポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体(その抗体断片を含む)以外の1種以上の治療薬(例えば予防または治療物質)の予防または治療有効量の用量を投与するステップを含む方法を提供する。
本発明は、そのような炎症性疾患に関する慣用の治療薬(例えばメトトレキセートおよびTNF-アルファアンタゴニスト(例えばREMICADETMまたはENBRELTM))に不応性の被験体における炎症性疾患の1種以上の症状を管理、治療または改善するための方法であって、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量の用量を該被験体に投与するステップを含む方法を提供する。本発明はまた、そのような炎症性疾患の既存の単一物質治療に不応性の被験体における炎症性疾患の1種以上の症状を管理、治療または改善するための方法であって、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量の用量およびICOSポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体(その抗体断片を含む)以外の1種以上の治療薬(例えば予防または治療物質)の予防または治療有効量の用量を該被験体に投与するステップを含む方法を提供する。本発明はまた、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体を、任意の他の治療と組み合わせて、他の治療に不応性であることが判明しているが、もはやこれらの治療を受けていない患者に投与することによって炎症性疾患を管理または治療するための方法を提供する。本発明はまた、炎症性疾患を治療するための代替法であって、別の治療が、処置対象の被験体にとって、非常に有毒であることが判明しているかまたは判明するかもしれない、すなわち、容認できないかまたは耐え難い副作用を生じさせる場合の代替法を提供する。例えば、被験体がTNFアンタゴニストまたはメトトレキセートに不応性である場合に本発明の組成物を被験体に投与してよい。さらに、本発明は、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体を投与することによって、治療済みでかつ疾患活性を有さない患者における炎症性疾患の再発を予防するための方法を提供する。
本発明によって包含される方法によって治療することができる炎症性疾患には、非限定的に、喘息、脳炎(encephilitis)、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性障害、敗血性ショック、肺線維症、未分化型(undifferentitated)脊椎関節症、未分化型関節症、関節炎、骨関節炎、脊椎関節症(例えば、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、ライター症候群(反応性関節炎)、炎症性骨溶解、ウィルソン病および、慢性ウイルスまたは細菌感染に起因する慢性炎症が含まれる。本明細書中に記載されるように、いくつかの自己免疫性障害は炎症症状と関連している。
抗炎症治療およびその用量、投与経路および推奨される使用は当技術分野において公知であり、Physician's Desk Reference (61th ed., 2007)等の文献で報告されている。
5.22.1. 抗炎症性治療
本発明は、炎症性疾患または1種以上のその症状の予防、管理、治療または改善方法であって、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体および、ICOSポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体(その抗体断片を含む)以外の1種以上の治療薬(例えば予防または治療物質)を、それを必要としている被験体に投与するステップを含む方法を提供する。炎症性疾患または1種以上のその症状の予防、管理、治療または改善に有用であることが知られているか、またはそのために使用されていたかもしくは現在使用されている任意の物質または治療を、本明細書中に記載の発明にしたがって、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体と組み合わせて使用することができる。
当業者に周知の、炎症性疾患の治療に有用な物質を含む任意の抗炎症剤を本発明の組成物および方法において使用することができる。抗炎症剤の非限定的な例には、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、ステロイド性抗炎症剤、抗コリン薬(例えば、硫酸アトロピン、硝酸メチルアトロピン、およびイプラトロピウムブロミド(ATROVENTTM))、ベータ2-アゴニスト(例えば、アブテロール(VENTOLINTMおよびPROVENTILTM)、ビトルテロール(TORNALATETM)、レバルブテロール(XOPONEXTM)、メタプロテレノール(ALUPENTTM)、ピルブテロール(MAXAIRTM)、テルブタリン(terbutlaine) (BRETHAIRETMおよびBRETHINETM)、アルブテロール(PROVENTILTM、REPETABSTM、およびVOLMAXTM)、フォルモテロール(FORADIL AEROLIZERTM)、およびサルメテロール(SEREVENTMおよびSEREVENT DISKUSTM))、およびメチルキサンチン(例えばテオフィリン(UNIPHYLTM、THEO-DURTM、SLO-BIDTM、AND TEHO-42TM))が含まれる。NSAIDの例には、非限定的に、アスピリン、イブプロフェン、セレコキシブ(CELEBREXTM)、ジクロフェナク(VOLTARENTM)、エトドラク(LODINETM)、フェノプロフェン(NALFONTM)、インドメタシン(INDOCINTM)、ケトララク(ketoralac) (TORADOLTM)、オキサプロジン(DAYPROTM)、ナブメントン(nabumentone) (RELAFENTM)、スリンダク(CLINORILTM)、トルメンチン(tolmentin) (TOLECTINTM)、ロフェコキシブ(VIOXXTM)、ナプロキセン(ALEVETM、NAPROSYNTM)、ケトプロフェン(ACTRONTM)およびナブメトン(RELAFENTM)が含まれる。そのようなNSAIDはシクロオキシゲナーゼ(cyclooxgenase)酵素(例えばCOX-1および/またはCOX-2)を阻害することによって機能する。ステロイド性抗炎症剤の例には、非限定的に、糖質コルチコイド、デキサメタゾン(DECADRONTM)、コルチコステロイド(例えばメチルプレドニゾロン(MEDROLTM))、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン(PREDNISONETMおよびDELTASONETM)、プレドニゾロン(PRELONETMおよびPEDIAPREDTM)、トリアムシノロン、アザルフィジン、およびエイコサノイド(例えば、プロスタグランジン、トロンボキサン、およびロイコトリエン)のインヒビターが含まれる。
一実施形態では、炎症性疾患のリスクにさらされているかまたは炎症性疾患を有する被験体に、肥満細胞プロテアーゼインヒビターと組み合わせて本発明の1種以上の組成物の有効量を投与する。別の実施形態では、肥満細胞プロテアーゼインヒビターはトリプターゼキナーゼインヒビターであり、例えば、非限定的に、GW-45、GW-58、およびゲニステインである。特定の実施形態では、肥満細胞プロテアーゼインヒビターはホスファチジルイノシチド-3' (PI3)-キナーゼインヒビターであり、例えば、非限定的にカルフォスチンCである。別の実施形態では、肥満細胞プロテアーゼインヒビターはプロテインキナーゼインヒビターであり、例えば、非限定的にスタウロスポリンである。一実施形態では、肥満細胞プロテアーゼインヒビターを患部に局所的に投与する。
炎症性疾患を有する被験体に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体と組み合わせて投与することができる免疫調節剤の具体例には、非限定的に、以下の免疫調節剤が含まれる: メトトレキセート(methothrexate)、レフルノミド、シクロホスファミド、シトキサン、イムラン(Immuran)、シクロスポリンA、ミノサイクリン、アザチオプリン、抗生物質(例えばFK506 (タクロリムス))、メチルプレドニゾロン(MP)、コルチコステロイド、ステロイド、ミコフェノール酸モフェチル、ラパマイシン(シロリムス)、ミゾリビン、デオキシスペルグアリン、ブレキナール、マロノニトリロアミド(例えばレフルナミド)、抗T細胞受容体抗体(例えば、抗CD4抗体(例えば、cM-T412 (Boeringer)、IDEC-CE9.1.RTM. (IDEC and SKB)、mAB 4162W94、オルソクローンおよびOKTcdr4a (Janssen-Cilag))、抗CD3抗体(例えば、Nuvion (Product Design Labs)、OKT3 (Johnson & Johnson)、またはリツキサン(IDEC))、抗CD5抗体(例えば抗CD5リシン結合免疫複合体)、抗CD7抗体(例えばCHH-380 (Novartis))、抗CD8抗体、抗CD40リガンドモノクローナル抗体(例えばIDEC-131 (IDEC))、抗CD52抗体(例えばCAMPATH 1H (Ilex))、抗CD2抗体(例えば、MEDI-507 (Medlmmune, Inc., 国際公開第WO 02/098370号および第WO 02/069904号)、抗CD11a抗体(例えばザネリム(Genentech))、および抗B7抗体(例えばIDEC-114) (IDEC)); 抗サイトカイン受容体抗体(例えば、抗IFN受容体抗体、抗IL-2受容体抗体(例えばゼナパックス(Protein Design Labs))、抗IL-4受容体抗体、抗IL-6受容体抗体、抗IL-10受容体抗体、および抗IL-12受容体抗体)、抗サイトカイン抗体(例えば、抗IFN抗体、抗TNF-アルファ抗体、抗IL-1ベータ抗体、抗IL-6抗体、抗IL-8抗体(例えばABX-IL-8 (Abgenix))、および抗IL-12抗体)); CTLA4-免疫グロブリン; LFA-3TIP (Biogen, 国際公開第WO 93/08656号および米国特許第6,162,432号); 可溶性サイトカイン受容体(例えば、TNF-アルファ受容体の細胞外ドメインまたはその断片、IL-1ベータ受容体の細胞外ドメインまたはその断片、およびIL-6受容体の細胞外ドメインまたはその断片); サイトカインまたはその断片(例えば、インターロイキン(IL)-2, IL-3, IL-4, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-9, IL-10, IL-11, IL-112, IL-15, TNF-アルファ, TNF-ベータ, インターフェロン(IFN)-アルファ, IFN-ベータ, IFN-ガンマ, およびGM-CSF); および抗サイトカイン抗体(例えば、抗IL-2抗体、抗IL-4抗体、抗IL-6抗体、抗IL-9抗体、抗IL-10抗体、抗IL-12抗体、抗IL-15抗体、抗IL17抗体、抗TNF-アルファ抗体、および抗IFN-ガンマ抗体)。
当業者に周知の任意のTNF-アルファアンタゴニストを本発明の組成物および方法において使用することができる。炎症性疾患を有する被験体に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体と組み合わせて投与することができるTNF-アルファアンタゴニストの非限定的な例には、TNF-アルファの機能、活性および/または発現をブロック、低減、阻害または中和するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質、抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fv、ScFv、Fab断片、F(ab)2断片、およびその抗原結合フラグメント)、例えばTNF-アルファに免疫特異的に結合する抗体、核酸分子(例えばアンチセンス分子または三重ヘリックス)、有機分子、無機分子、および小分子が含まれる。種々の実施形態では、TNF-アルファアンタゴニストは、TNF-アルファの機能、活性および/または発現を、コントロール、例えばリン酸緩衝食塩水(PBS)と比べて、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%減少させる。TNF-アルファに免疫特異的に結合する抗体の例には、非限定的に、インフリキシマブ(REMICADETM; Centacor)、D2E7 (Abbott Laboratories/Knoll Pharmaceuticals Co., Mt. Olive, N.J.)、CDP571 (HUMICADETMとしても知られる)およびCDP-870 (ともにCelltech/Pharmacia, Slough, U.K.)、およびTN3-19.12 (Williams et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 2762-2766; Thorbecke et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7375-7379)が含まれる。本発明はまた、以下の米国特許: 5,136,021; 5,147,638; 5,223,395; 5,231,024; 5,334,380; 5,360,716; 5,426,181; 5,436,154; 5,610,279; 5,644,034; 5,656,272; 5,658,746; 5,698,195; 5,736,138; 5,741,488; 5,808,029; 5,919,452; 5,958,412; 5,959,087; 5,968,741; 5,994,510; 6,036,978; 6,114,517; および6,171,787 (各文献は参照によりその全体がここに組み入れられる)で開示されているTNF-アルファに免疫特異的に結合する抗体の、本発明の組成物および方法における使用を包含する。可溶性TNF-アルファ受容体の例には、非限定的に、sTNF-R1 (Amgen)、エタネルセプト(ENBRELTM; Immunex)およびそのラットホモログRENBRELTM、TNFrI, TNFrII由来のTNF-アルファの可溶性インヒビター(Kohno et al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:8331-8335)、およびTNF-アルファInh (Seckinger et al, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:5188-5192)が含まれる。
本発明によって包含される他のTNF-アルファアンタゴニストには、非限定的に、IL-10 (インターフェロンガンマ活性化マクロファージを介してTNF-アルファ生産をブロックすることが知られている) (Oswald et al. 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:8676-8680)、TNFR-IgG (Ashkenazi et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:10535-10539)、マウス産物TBP-1 (Serono/Yeda)、ワクチンCytoTAb (Protherics)、アンチセンス分子104838 (ISIS)、ペプチドRDP-58 (SangStat)、サリドマイド(Celgene)、CDC-801 (Celgene)、DPC-333 (Dupont)、VX-745 (Vertex)、AGIX-4207 (AtheroGenics)、ITF-2357 (Italfarmaco)、NPI-13021-31 (Nereus)、SCIO-469 (Scios)、TACEターゲッター(Immunix/AHP)、CLX-120500 (Calyx)、Thiazolopyrim (Dynavax)、オーラノフィン(Ridaura) (SmithKline Beecham Pharmaceuticals)、キナクリン(メパクリンジクロロハイドレート)、テニダップ(Enablex)、Melanin (Large Scale Biological)、および抗p38 MAPK物質(Uriach)が含まれる。
炎症性疾患を有する被験体に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体と組み合わせて投与することができる抗炎症剤の非限定的な例には、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、ステロイド性抗炎症剤、ベータ-アゴニスト、抗コリン作用性(anticholingeric)物質、およびメチルキサンチンが含まれる。NSAIDの例には、非限定的に、アスピリン、イブプロフェン、セレコキシブ(CELEBREXTM)、ジクロフェナク(VOLTARENTM)、エトドラク(LODINETM)、フェノプロフェン(NALFONTM)、インドメタシン(INDOCINTM)、ケトララク(TORADOLTM)、オキサプロジン(DAYPROTM)、ナブメントン(RELAFENTM)、スリンダク(CLINORILTM)、トルメンチン(TOLECTINTM)、ロフェコキシブ(VIOXXTM)、ナプロキセン(ALEVETM、NAPROSYNTM)、ケトプロフェン(ACTRONTM)およびナブメトン(RELAFENTM)が含まれる。そのようなNSAIDはシクロオキシゲナーゼ酵素(例えばCOX-1および/またはCOX-2)を阻害することによって機能する。ステロイド性抗炎症剤の例には、非限定的に、糖質コルチコイド、デキサメタゾン(DECADRONTM)、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン(DELTASONETM)、プレドニゾロン、トリアムシノロン、アザルフィジン、およびエイコサノイド、例えばプロスタグランジン、トロンボキサン、およびロイコトリエンが含まれる。
特定の実施形態では、骨関節炎を有する患者に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量を、非限定的に以下の物質または治療を含む骨関節炎の予防、治療、管理または改善に有用な他の物質または治療と組み合わせて投与する: 鎮痛薬(非限定的な例はアセトアミノフェン(4000 mg/dまでの用量); フェナセチン; およびトラマドール(200〜300 mgの範囲の一日量); NSAID (非限定的な例には、非限定的に、アスピリン、ジフルニサル、ジクロフェナク、エトドラク、フェナメート、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メチルサリチラート、ネブメトン(nebumetone)、ナプロキシン(naproxin)、オキサプラジン(oxaprazin)、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、およびトルメチンが含まれる。低用量NSAID、例えば、1200 mg/dのイブプロフェン、500 mg/dのナプロキセンが好ましい。胃保護剤、例えば、ミソプロストール、ファモチジンまたはオメプラゾールをNSAIDと同時に使用することが好ましい); 非アセチル化サリチル酸(非限定的にサルサラートを含む); シクロオキシゲナーゼ(Cox)-2-特異的インヒビター(CSI) (非限定的にセレコキシブおよびロフェコキシブを含む); デポー糖質コルチコイド製剤の関節内または関節周囲注射; ヒアルロン酸の関節内注射; カプサイシンクリーム; フィブリン、軟骨破片および他の細片を流し出すための骨関節炎(osteroarthritis)膝の多量の洗浄; および関節置換術。本発明の組成物および方法は、非限定的に、関節荷重の低減(非限定的な例は、不十分な姿勢の矯正、過剰の腰部前弯の支持、病変関節の過剰荷重の回避、長期間の立位、膝座(kneeling)およびしゃがみ込みの回避); 罹患関節への熱の適用; 有酸素運動および他の理学療法を含む骨関節炎の予防、治療、管理および改善において、他の非薬物的手段と組み合わせて使用することもできる。
特定の実施形態では、関節リウマチを有する患者に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量を、非限定的に以下の物質または治療を含む関節リウマチの予防、治療、管理および改善に有用な他の物質または治療と組み合わせて投与する: NSAID (非限定的な例には、非限定的に、アスピリン、ジフルニサル、ジクロフェナク、エトドラク、フェナメート、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メチルサリチラート、ネブメトン、ナプロキシン、オキサプラジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、およびトルメチンが含まれる); 鎮痛薬(非限定的な例は、アセトアミノフェン、フェナセチンおよびトラマドールである); CSI (非限定的にセレコキシブおよびロフェコキシブが含まれる); 糖質コルチコイド(好ましくは低用量経口糖質コルチコイド、例えば、<7.5 mg/d プレドニゾン、または高用量糖質コルチコイドの月一回のパルス、または関節内糖質コルチコイド); 疾患修飾性抗リウマチ剤(DMARD) (非限定的に、メトトレキセート(好ましくは間欠性低用量、例えば週一回7.5〜30 mgが投与される)、金化合物(例えば金塩)、D-ペニシラミン、抗マラリア剤(例えばクロロキン)、およびスルファサラジンが含まれる); TNF-アルファ中和剤(非限定的にエタネルセプトおよびインフリキシマブが含まれる); 免疫抑制性および細胞傷害性物質(その例には、非限定的に、アザチオプリン、レフルノミド、シクロスポリン、およびシクロホスファミドが含まれる)、および外科手術(その例には、非限定的に、関節形成術、全関節置換術、手の再建手術、観血または関節鏡視下滑膜切除術、および早期の手関節の腱鞘切除術が含まれる)。本発明の組成物および方法は、非限定的に、安静、炎症性関節の望ましくない運動を低減させるための副子装着、運動、種々の装具用装置および日常生活用具の使用、および他の理学療法を含む、関節リウマチの予防、治療、管理および改善における他の手段と組み合わせて使用してもよい。本発明の組成物および方法は、非限定的に、食事(例えば、食肉中に見出される食事性オメガ-6必須脂肪酸の代わりにオメガ-3脂肪酸、例えば特定の魚油中に見出されるエイコサペンタエン酸を使用した食事)、ワクチン、ホルモンおよび局所製剤を含む、関節リウマチの予防、治療、管理および改善におけるいくつかの非従来型アプローチと組み合わせて使用してもよい。
特定の実施形態では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する患者に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量を、非限定的に以下の物質または治療を含むCOPDの予防、治療、管理および改善に有用な他の物質または治療と組み合わせて投与する: 気管支拡張剤(例えば、非限定的に、短期および長期作用ベータ2-アドレナリン作動性アゴニスト(短期作用ベータ2アゴニストの例には、非限定的に、アルブテロール、ピルブテロール、テルブタリン、およびメタプロテレノールが含まれ; 長期作用ベータ2アゴニストの例には、非限定的に、経口持続放出性アルブテロールおよび吸入サルメテロールが含まれる)、抗コリン薬(その例には、非限定的に臭化イプラトロピウムが含まれる)、およびテオフィリンおよびその誘導体(テオフィリンの治療範囲は好ましくは10〜20 .mu.g/mLである); 糖質コルチコイド; 外因性アルファ1AT (例えば、60 mg/kgの週用量で静脈内投与される、プールされたヒト血漿由来のアルファ1AT); 酸素; 肺移植; 肺容積減少手術; 気管内挿管、換気支持; 年一度のインフルエンザワクチンおよび23価多糖を有する肺炎球菌ワクチン接種; 運動; および禁煙。
特定の実施形態では、喘息を有する患者に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量を、喘息治療に有用な1種以上の他の物質の有効量と組み合わせて投与する。そのような物質の非限定的な例には、以下の物質が含まれる: アドレナリン作動性刺激薬(例えば、カテコールアミン(例えば、エピネフリン、イソプロテレノール、およびイソエタリン)、レゾルシノール(例えば、メタプロテレノール、テルブタリン、およびフェノテロール)、およびサリゲニン(例えばサルブタモール))、アドレノコルチコイド(adrenocorticoids)、ブルココルチコイド(blucocorticoids)、コルチコステロイド(例えば、ベクロメタドンス(beclomethadonse)、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、およびプレドニゾン)、他のステロイド、ベータ2-アゴニスト(例えば、アルブツエロール(albtuerol)、ビトルテロール、フェノテロール、イソエタリン、メタプロテレノール、ピルブテロール、サルブタモール、テルブタリン、フォルモテロール、サルメテロール、およびアルブタモール テルブタリン)、抗コリン薬(例えば、臭化イプラトロピウムおよび臭化オキシトロピウム)、IL-4アンタゴニスト(抗体を含む)、IL-5アンタゴニスト(抗体を含む)、IL-9アンタゴニスト(抗体を含む)、IL-13アンタゴニスト(抗体を含む)、IL_17アンタゴニスト(抗体を含む)、PDE4-インヒビター、NF-カッパ-ベータインヒビター、VLA-4インヒビター、CpG、抗CD23、セレクチンアンタゴニスト(TBC 1269)、肥満細胞プロテアーゼインヒビター(例えば、トリプターゼキナーゼインヒビター(例えば、GW-45、GW-58、およびゲニステイン)、ホスファチジルイノシチド-3' (PI3)-キナーゼインヒビター(例えば、カルフォスチンC)、および他のキナーゼインヒビター(例えばスタウロスポリン) (Temkin et al., 2002 J Immunol 169(5):2662-2669; Vosseller et al., 1997 Mol. Biol. Cell 8(5):909-922; およびNagai et al., 1995 Biochem Biophys Res Commun 208(2):576-581)を参照のこと)、C3受容体アンタゴニスト(抗体を含む)、免疫抑制物質(例えばメトトレキセートおよび金塩)、肥満細胞モジュレーター(例えばクロモリンナトリウム(INTALTM)およびネドクロミルナトリウム(TILADETM))、および粘液溶解物質(例えばアセチルシステイン))。特定の実施形態では、抗炎症剤はロイコトリエンインヒビター(例えば、モンテルカスト(SINGULAIRTM)、ザフィルルカスト(ACCOLATETM)、プランルカスト(ONONTM)、またはジロイトン(ZYFLOTM))である。
特定の実施形態では、アレルギーを有する患者に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量を、アレルギー治療に有用な1種以上の他の物質の有効量と組み合わせて投与する。そのような物質の非限定的な例には、抗メディエーター薬(例えば抗ヒスタミン剤)、コルチコステロイド、充血除去薬、交感神経興奮薬(例えばアルファ-アドレナリン作動薬およびベータ-アドレナリン作動薬)、TNX901 (Leung et al., N Engl J Med 348(11):986-993 (2003))、IgEアンタゴニスト(例えば、抗体rhuMAb-E25 オマリズマブ(Finn et al., 2003 J Allergy Clin Immuno 111(2):278-284; Corren et al., 2003 J Allergy Clin Immuno 111(1):87-90; Busse and Neaville, 2001 Curr Opin Allergy Clin Immuno 1(1):105-108; およびTang and Powell, 2001, Eur J Pediatr 160(12): 696-704を参照のこと)、HMK-12および6HD5 (Miyajima et al., 2202 Int Arch Allergy Immuno 128(1):24-32を参照のこと)、およびmAB Hu-901 (van Neerven et al., 2001 Int Arch Allergy Immuno 124(1-3):400を参照のこと)、テオフィリンおよびその誘導体、糖質コルチコイド、および免疫療法(例えばアレルゲンの長期反復注射、短期間の脱感作、および蛇毒免疫療法)が含まれる。
5.23. 自己免疫疾患
本発明の特定の態様では、非限定的に治療対象の自己免疫疾患または障害の段階を含むいくつかの要因に基づいて、本発明の組成物および方法とともに使用される治療方式および用量を選択する。当業者は、患者または患者集団の自己免疫疾患または障害の具体的段階に適切な治療方式を決定することができる。当技術分野の標準プロトコルを使用して用量反応曲線を作製し、異なる段階の自己免疫疾患または障害を有する患者を治療するための本発明の組成物の有効量を決定することができる。一般に、より活性な自己免疫疾患または障害を有する患者ほど、低活性の自己免疫疾患または障害を有する患者と比較して、より高用量および/またはより頻繁な投与を必要とし、該用量は、より長期間にわたって投与される。
抗ICOS抗体、組成物および方法を実施して自己免疫疾患または障害を治療することができる。用語「自己免疫疾患または障害」とは、自身の細胞、組織および/または器官に対する被験体の免疫反応によって引き起こされる細胞、組織および/または器官傷害を特徴とする、被験体の症状を表す。用語「炎症性疾患」は、用語「炎症性障害」と互換的に使用され、非限定的に慢性炎症を含む炎症を特徴とする、被験体の症状を表す。自己免疫疾患は炎症と関連してもしなくてもよい。さらに、自己免疫疾患によって炎症が生じても生じなくてもよい。ゆえに、特定の障害は自己免疫性および炎症性疾患の両者として特徴付けられる。典型的な自己免疫疾患または障害には、非限定的に以下の疾患または障害が含まれる: 円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および睾丸炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー-皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素病、クローン病、円板状狼蒼、本態性混合クリオグロブリン血症、糖尿病、好酸球性筋膜炎(eosinophilic fascites)、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーヴス病、ギラン・バレー、橋本甲状腺炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、特発性肺線維症、特発性/自己免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA神経障害、若年性関節炎、扁平苔癬、エリテマトーデス(lupus erthematosus)、メニエール病、混合結合組織病、多発性硬化症、1型または免疫介在性糖尿病、重症筋無力症、天疱瘡関連障害(例えば尋常性天疱瘡)、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎(polychrondritis)、多腺症候群、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosis) (SLE)、スウィート症候群、スチル病、エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎(temporal arteristis)/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎(vasculitides)、例えば疱疹性皮膚炎血管炎、白斑、およびウェゲナー肉芽腫症。炎症性疾患の例には、非限定的に、喘息、脳炎(encephilitis)、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性障害、敗血性ショック、肺線維症、未分化型脊椎関節症、未分化型関節症、関節炎、炎症性骨溶解、移植片対宿主病、じんま疹、フォークト・小柳・原田症候群および、慢性ウイルスまたは細菌感染に起因する慢性炎症が含まれる。
5.23.1. 自己免疫疾患の治療
エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体を、それを必要としている被験体に投与して、自己免疫疾患または1種以上のその症状を予防、管理、治療または改善することができる。本発明の組成物を、1種以上の他の治療、好ましくは自己免疫疾患の予防、管理または治療に有用な治療(非限定的に予防または治療物質を含む)と組み合わせて、それを必要としている被験体に投与し、自己免疫疾患または1種以上のその症状を予防、管理、治療または改善してもよい。特定の実施形態では、本発明は、自己免疫疾患または1種以上のその症状の予防、管理、治療または改善方法であって、それを必要としている被験体に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量の用量を投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、自己免疫疾患または1種以上のその症状の予防、管理、治療または改善方法であって、それを必要としている被験体に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量の用量およびICOSポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体(その抗体断片を含む)以外の1種以上の治療薬(例えば予防または治療物質)の予防または治療有効量の用量を投与するステップを含む方法を提供する。
本発明は、そのような自己免疫疾患に関する慣用の治療に不応性の被験体における自己免疫疾患または1種以上のその症状を管理、治療または改善するための方法であって、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量の用量を該被験体に投与するステップを含む方法を提供する。本発明はまた、そのような自己免疫疾患の既存の単一物質治療に不応性の被験体における自己免疫疾患または1種以上のその症状を管理、治療または改善するための方法であって、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量の用量およびICOSポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体(その抗体断片を含む)以外の1種以上の治療薬(例えば予防または治療物質)の予防または治療有効量の用量を該被験体に投与するステップを含む方法を提供する。本発明はまた、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体を、任意の他の治療と組み合わせて、他の治療に不応性であることが判明しているが、もはやこれらの治療を受けていない患者に投与することによって、自己免疫疾患または1種以上のその症状を管理、治療、または改善するための方法を提供する。本発明はまた、自己免疫疾患を管理または治療するための代替法であって、別の治療が、治療対象の被験体にとって、非常に有毒であることが判明しているかまたは判明するかもしれない、すなわち、許容できないかまたは耐え難い副作用を生じさせる場合の代替法を提供する。特に、本発明は、患者が他の治療に不応性の場合に自己免疫疾患を管理または治療するための代替法を提供する。さらに、本発明は、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体を投与することによって、治療済みでかつ疾患活性を有さない患者における自己免疫疾患の再発を予防するための方法を提供する。
本発明の方法によって治療することができる自己免疫疾患の例には、非限定的に以下の障害が含まれる: 円形脱毛症(alopecia greata)、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および睾丸炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー-皮膚炎、慢性疲労免疫機能障害症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素病、クローン病、円板状狼蒼、本態性混合クリオグロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーヴス病、ギラン・バレー、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA神経障害、若年性関節炎、扁平苔癬、エリテマトーデス(lupus erthematosus)、メニエール病(Mnire's disease)、混合結合組織病、多発性硬化症、1型または免疫介在性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎(polychrondritis)、多腺症候群、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎(temporal arteristis)/巨細胞動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎(vasculitides)、例えば疱疹性皮膚炎血管炎、白斑、およびウェゲナー肉芽腫症。
自己免疫治療およびその用量、投与経路および推奨される使用は当技術分野において公知であり、Physician's Desk Reference (61th ed., 2007)等の文献で報告されている。
5.23.2. 自己免疫疾患の治療
本発明は、自己免疫疾患または1種以上のその症状の予防、管理、治療または改善方法であって、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体および、ICOSポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体(その抗体断片を含む)以外の1種以上の治療(例えば予防または治療物質)を、それを必要としている被験体に投与するステップを含む方法を提供する。自己免疫疾患または1種以上のその症状の予防、管理、治療または改善に有用であることが知られているか、またはそのために使用されていたかもしくは現在使用されている任意の物質または治療を、本明細書中に記載の発明にしたがって、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体と組み合わせて使用することができる。そのような物質の例には、非限定的に、免疫調節剤、抗炎症剤およびTNF-アルファアンタゴニストが含まれる。エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体と組み合わせて自己免疫疾患の予防、管理、治療または改善に使用することができる免疫調節剤、抗炎症剤およびTNF-アルファアンタゴニストの具体例は本明細書中で開示されている。
特定の実施形態では、多発性硬化症(MS)を有する患者に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量を、非限定的に以下の物質または治療を含むMSの予防、治療、管理および改善に有用な他の物質または治療と組み合わせて投与する: IFN-ベータ1b (Betaseron) (例えば8.0百万国際単位(MIU)を皮下注射によって1日おきに投与する); IFN-ベータ1a (Avonex) (例えば6.0 MIUを筋肉内注射によって毎週1回投与する); 酢酸グラチラメル(glatiramer acetate) (Copaxone) (例えば20 mgを皮下注射によって毎日投与する); ミトキサントロン(例えば12 mg/m2を静脈内注入によって2か月おきに投与する); アザチオプリン(例えば2〜3 mg/体重kgを毎日経口投与する); メトトレキセート(例えば7.5 mgを毎週1回経口投与する); シクロホスファミド; 静脈内免疫グロブリン(例えば0.15〜0.2 g/体重kgを2年まで毎月投与する); 糖質コルチコイド; メチルプレドニゾロン(例えば2か月に1回のサイクルで高用量で投与される); 2-クロロデオキシアデノシン(クラドリビン); バクロフェン(例えば、分割用量中で15〜80 mg/d、または240 mg/dまでの高用量で経口で、または留置カテーテルを介してくも膜下腔内に投与される); 塩酸シクロエンザプリン(cycloenzaprine hydrochloride) (例えば5〜10 mg bidまたはtid); クロナゼパム(例えば0.5〜1.0 mg tid, 就寝時の用量を含む); 塩酸クロニジン(例えば0.1〜0.2 mg tid, 就寝時の投与を含む); カルバマゼピン(例えば分割された増加用量中の100〜1200 mg/d); ガバペンチン(例えば300〜3600 mg/d); ジランチン(例えば300〜400 mg/d); アミトリプチリン(例えば25〜150 mg/d); バクロフェン(例えば10〜80 mg/d); プリミドン(例えば125〜250 mg bidまたはtid); オンダンセトロン(例えば4〜8 mg bidまたはtid); イソニアジド(例えば分割用量中の1200 mgまで); オキシブチニン(例えば5 mg bidまたはtid); トルテロジン(例えば1〜2 mg bid); プロパンテリン(例えば7.5〜15 mg qid); ベタネコール(例えば10〜50 mg tidまたはqid); 塩酸テラゾシン(例えば就寝時の1〜5 mg); クエン酸シルデナフィル(例えば50〜100 mg po prn); アマンタジン(amantading) (例えば100 mg bid); ペモリン(例えば37.5 mg bid); 高用量ビタミン; オロト酸カルシウム; ガンシクロビル; 抗生物質; および血漿交換法。
特定の実施形態では、乾癬を有する患者に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量を、非限定的に以下の物質または治療を含む乾癬の予防、治療、管理および改善に有用な他の物質または治療と組み合わせて投与する: 局所ステロイドクリームまたは軟膏; タール(その例には、非限定的に、Estar、Psorigel、Fototarクリーム、およびNutradermローション中の、またはトリアムシノロン0.1%クリームと直接混合されたLCD 10%が含まれる); 閉塞; 局所ビタミンDアナログ(非限定的な例はカルシポトリエン軟膏である); 紫外線; PUVA (ソラレンプラス紫外線A); メトトレキセート(例えば週1回25 mgまで、または週1回の3用量に関して12時間毎の分割用量中で25 mgまで); 合成レチノイド(非限定的な例は、例えば0.5〜1 mg/kg/dの用量中のエトレチナートである); 免疫調節療法(非限定的な例はシクロスポリンである); スルファサラジン(例えば1日3回の1 gの用量中で)。
特定の実施形態では、クローン病を有する患者に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量を、非限定的に以下の物質または治療を含むクローン病の予防、治療、管理および改善に有用な他の物質または治療と組み合わせて投与する: 止瀉薬(例えば、1日4回までのロペラミド2〜4 mg、1日4回までのジフェノキシラートとアトロピン1錠、1日4回までのアヘンチンキ8〜15滴、1日1回または2回のコレスチラミン2〜4 gまたはコレスチポール5 g)、鎮痙薬(例えばプロパンテリン15 mg、ジサイクロミン10〜20 mg、またはヒヨスチアミン0.125 mg、食前に投与される)、5-アミノサリチル酸物質(例えば1日2回のスルファサラジン1.5〜2 g、特に高用量の、メサラミン(ASACOLTM)およびその徐放型(PENTASATM)、例えば1日4回のPENTASATM 1 gおよび1日4回のASACOLTM 0.8〜1.2 g)、コルチコステロイド、免疫調節薬(例えば、アザチオプリン(1〜2 mg/kg)、メルカプトプリン(50〜100 mg)、シクロスポリン、およびメトトレキセート)、抗生物質、TNFインヒビター(例えばインフリキシマブ(inflixmab) (REMICADETM))、免疫抑制物質(例えば、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、およびサリドマイド)、抗炎症性サイトカイン(例えばIL-10およびIL-11)、栄養療法、成分栄養による腸管療法(例えば4週間のVivonex)、および完全静脈栄養。
特定の実施形態では、エリテマトーデスを有する患者に、エフェクター機能が増強された本発明の抗ICOS抗体の予防または治療有効量を、非限定的に以下の物質または治療を含むエリテマトーデスの予防、治療、管理および改善に有用な他の物質または治療と組み合わせて投与する: 抗マラリア薬(非限定的にヒドロキシクロロキンを含む); 糖質コルチコイド(例えば、低用量、高用量、または高用量静脈内パルス療法を使用することができる); 免疫抑制物質(非限定的に、シクロホスファミド、クロランブシル、およびアザンチオプリン(azanthioprine)を含む); 細胞傷害性物質(非限定的にメトトレキセートおよびミコフェノール酸モフェチルを含む); アンドロゲン性ステロイド(非限定的にダナゾールを含む); および抗凝血薬(非限定的にワルファリンを含む)。
本発明の抗体製剤または本発明の併用療法を第1、第2、第3、第4、または第5の治療として使用して、自己免疫疾患または1種以上のその症状を予防、管理、治療、および/または改善することができる。本発明はまた、他の疾患または障害の治療を受けている患者における自己免疫疾患または1種以上のその症状の予防、治療、管理、および/または改善方法を含む。本発明は、本発明の抗体以外の治療に対する任意の悪影響または不耐性が発生する前の患者の自己免疫疾患または1種以上のその症状の予防、管理、治療、および/または改善方法を包含する。本発明はまた、不応性患者における自己免疫疾患またはその症状の予防、治療、管理、および/または改善方法を包含する。本発明は、本発明の抗体、組成物、または併用療法以外の治療に不応性であることが判明している患者の増殖性疾患またはその症状を予防、治療、管理、および/または改善するための方法を包含する。患者が不応性であるかどうかの決定は、当技術分野で確立されている、その関連での「不応性」の意義を使用して、自己免疫疾患の治療の有効性をアッセイするための、当技術分野において公知の任意の方法によってin vivoまたはin vitroで行うことができる。特定の実施形態では、自己免疫疾患を有する患者は、自己免疫疾患の1種以上の症状が予防、管理、および/または改善されない場合に、治療に不応性である。本発明はまた、慣用の治療に対する有害反応に感受性の患者における自己免疫疾患またはその症状の予防、管理、治療、および/または改善方法を包含する。
本発明は、他の慣用の治療の代替法としての、自己免疫疾患または1種以上のその症状を予防、治療、管理、および/または改善するための方法を包含する。特定の実施形態では、本発明の方法にしたがって管理または治療される患者は、他の治療に不応性であるか、またはそのような治療から生じる有害反応に感受性である。患者は、抑制された免疫系を有するヒト(例えば、術後患者、化学療法患者、および免疫不全疾患の患者、気管支肺異形成の患者、先天性心疾患の患者、嚢胞性線維症の患者、後天性または先天性心疾患の患者、および感染を患っている患者)、腎または肝機能障害を有するヒト、高齢者、子供、乳児、未熟児、神経精神医学的障害を有するヒトまたは向精神薬を服用しているヒト、発作歴を有するヒト、または自己免疫疾患または障害を予防、管理、治療、または改善するために使用される慣用の物質と負に相互作用する薬物治療を受けているヒトであってよい。
自己免疫の治療およびその投与量、投与経路および推奨される使用は当技術分野において公知であり、Physician's Desk Reference (61th ed., 2007)等の文献で報告されている。
5.23.3. 自己免疫疾患または障害の診断
自己免疫疾患または障害の診断は、各タイプの自己免疫疾患または障害が患者間で異なって現れる点において複雑である。症状のこの多様性は、臨床診断に到達するために多因子が典型的に使用されることを意味する。一般に、臨床家は、非限定的に、自己抗体、サイトカインレベルの上昇、特定器官の機能障害、皮膚発疹、関節腫脹、疼痛、骨改築、および/または運動の喪失の存在等の因子を、自己免疫疾患または障害の主な指標として使用する。特定の自己免疫疾患または障害、例えばRAおよびSLEに関しては、当技術分野において診断基準が公知である。特定の自己免疫疾患または障害に関しては、病期が特徴付けられており、かつ当技術分野において周知である。自己免疫疾患および障害を診断するためのこれらの当技術分野において認められている方法ならびに当技術分野において周知の病期および疾患の活性および/または重症度のスケールを使用して、本発明の組成物および方法を使用する自己免疫疾患または障害の治療を必要としている患者および患者集団を特定することができる。
5.23.4. 自己免疫疾患または障害を診断するための臨床基準
種々の自己免疫疾患または障害に関する診断基準が当技術分野において公知である。歴史的には、診断は典型的に身体症状の組み合わせに基づく。最近になって、分子技術、例えば遺伝子発現プロファイリングが自己免疫疾患または障害の分子定義を開発するために適用されている。特定の自己免疫疾患または障害の臨床診断に関する典型的な方法を以下に挙げる。他の好適な方法は当業者に自明である。
特定の実施形態では、低レベルの自己免疫疾患活性しか有さない患者または初期の自己免疫疾患を有する患者(病期が認識されている疾患に関して)を、抗ICOS抗体組成物および方法を使用する治療に関して特定することができる。疾患の間で症状が一般的でかつ重複するせいで、自己免疫疾患の早期診断は困難である。そのような実施形態では、初期に治療されるかまたは低レベルの自己免疫疾患活性しか有さない患者は自己免疫疾患または障害の少なくとも1種の症状を含む症状を有する。関連の実施形態では、初期に治療されるかまたは低レベルの自己免疫疾患しか有さない患者は、自己免疫疾患または障害の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15症状を含む症状を有する。該症状は任意の自己免疫疾患および障害の症状またはその組み合わせであってよい。自己免疫疾患および障害の症状の例を以下に記載する。
5.24. 免疫治療プロトコル
本明細書中で「抗ICOS免疫療法」と称される治療方式/プロトコルで使用される抗ICOS抗体組成物は、裸の抗体、免疫複合体および/または融合タンパク質であってよい。本発明の組成物は、単一物質治療としてまたは他の治療物質または治療方式と組み合わせて使用することができる。抗ICOS抗体または免疫複合体は、1種以上の治療物質の投与前に、その投与と同時に、またはその投与後に投与することができる。本発明の組成物との組み合わせ治療方式で使用することができる治療物質には、細胞の機能を阻害または妨害し、かつ/または細胞の破壊を生じさせる任意の物質が含まれる。その例には、非限定的に、放射性同位体、化学療法剤、および毒素、例えば細菌、真菌、植物または動物起源の酵素的に活性な毒素、またはその断片が含まれる。
ネイティブICOS抗原の代わりにヒトICOS抗原を発現するトランスジェニック動物モデルを使用して、本明細書中に記載の治療方式、または任意の所望の治療方式の効力を試験することができる。ゆえに、抗ICOS抗体治療方式を動物モデルにおいて試験して、ヒトへの適用前に効力を決定することができる。
5.25. 抗ICOS免疫療法
本発明では、「抗ICOS免疫療法」は、本明細書中に記載の任意の治療方式にしたがって本発明の任意の抗ICOS抗体を投与することを包含する。抗ICOS抗体は、裸の抗体、または免疫複合体もしくは融合タンパク質として投与することができる。一実施形態では、ヒトADCCを媒介可能な抗ICOS抗体を投与することによってT細胞媒介性疾患または障害を有するヒト被験体を治療することができる。
場合により、IgG1またはIgG3ヒトアイソタイプの抗体が治療に好ましい。しかし、適切なエフェクター機能、例えばヒトADCCを有すれば、IgG2またはIgG4ヒトアイソタイプを同様に使用することができる。そのようなエフェクター機能は、in vitroまたはin vivoでエフェクター細胞による標的細胞溶解を媒介する候補抗体の能力を測定することによって評価することができる。
一実施形態では、使用される抗体の用量は、循環ICOS発現T細胞を枯渇させるために十分であるべきであろう。血液サンプルを分析することによって患者の治療の進捗をモニターすることができる。他の臨床改善の徴候を使用して治療をモニターしてもよい。
本発明の組成物および方法と組み合わせて使用することができるICOS発現T細胞の枯渇を測定するための方法は当技術分野において周知であり、それには、非限定的に以下の実施形態が含まれる。一実施形態では、ICOS発現T細胞の量を規定するためにICOS発現T細胞に結合する抗ICOS抗体以外の試薬を使用するフローサイトメトリーで循環ICOS発現T細胞の枯渇を測定することができる。別の実施形態では、ICOS発現T細胞を特定するための免疫化学的染色によってICOS発現T細胞の枯渇を測定することができる。そのような実施形態では、患者から抽出されたICOS発現T細胞またはICOS発現T細胞を含む組織もしくは血清を顕微鏡スライドに置き、標識し、存在または不存在に関して検査することができる。関連の実施形態では、治療前および治療後に抽出されたICOS発現T細胞間で比較を行い、ICOS発現T細胞の存在の差異を決定する。
抗ICOS抗体を単一物質治療として投与する本発明の実施形態では、本発明は、種々の治療方式の使用を想定する。
本発明の特定の態様では、本発明の組成物および方法で使用される抗ICOS抗体は裸の抗体である。関連の実施形態では、使用される裸の抗ICOS抗体の用量は、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5 mg/患者の体重kgである。特定の実施形態では、使用される裸の抗ICOS抗体の用量は、少なくとも約1〜10、5〜15、10〜20、または15〜25 mg/患者の体重kgである。特定の実施形態では、使用される裸の抗ICOS抗体の用量は、少なくとも約1〜20、3〜15、または5〜10 mg/患者の体重kgである。他の実施形態では、使用される裸の抗ICOS抗体の用量は、少なくとも約5、6、7、8、9、または10 mg/患者の体重kgである。
特定の実施形態では、用量は、約1、2、3、4、5、6、7または8週間連続で毎週投与される約375 mg/m2の抗ICOS抗体を含む。特定の実施形態では、用量は、約1、2、3、4、5、6、7または8週間連続で毎週投与される、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15 mg/患者の体重kgである。
上記抗ICOS抗体の典型的な用量を、本明細書中で記載されるように投与することができる。一実施形態では、上記用量は一回量注射の用量である。他の実施形態では、一定期間にわたって該用量を投与する。他の実施形態では、一定期間にわたって該用量を複数回投与する。日、週、または月単位で期間を測定してよい。有毒な副作用とバランスを保ちながら治療上の利益を達成するために好適な間隔で抗ICOS抗体の複数回用量を投与することができる。例えば、複数回用量を使用する場合、抗体での反復治療の前に患者の単球数の回復を可能にするように間隔を調節することが好ましい。患者の単球数はADCC機能を反映するため、この投薬方式は治療の効率を最適化する。
特定の実施形態では、患者が治療に応答性である限り、本発明の組成物をヒト患者に投与する。他の実施形態では、患者の疾患が進行しない限り、本発明の組成物をヒト患者に投与する。関連の実施形態では、患者の疾患が進行しないかまたは一定期間進行しなかった時点まで本発明の組成物をヒト患者に投与し、そして、疾患が再発するかまたは再び進行を開始しない限り、本発明の組成物を患者に投与しない。疾患進行が停止または反転した場合、患者が疾患を再発するまで、すなわち治療対象の疾患が再発または進行するまで、本発明の組成物を患者に投与しない。この再発または進行時に、最初に使用された同一の投薬方式で、または上記他の用量を使用して、患者を再度治療することができる。
特定の実施形態では、本発明の組成物を負荷量として投与し、その後、複数回の低用量(維持量)として一定期間にわたって投与することができる。そのような実施形態では、有効なICOS発現T細胞の枯渇を維持するように投与のタイミングを合わせかつ量を調節することができる。特定の実施形態では、負荷量は約10、11、12、13、14、15、16、17、または18 mg/患者の体重kgであり、維持量は少なくとも約5〜10 mg/患者の体重kgである。他の実施形態では、7、10、14または21日毎の間隔で維持量を投与する。
5.26. 化学療法剤との組み合わせ
抗ICOS免疫療法(裸の抗体、免疫複合体、または融合タンパク質を使用する)を他の治療と組み合わせて使用することができ、該他の治療には、非限定的に、単独または組み合わせの、化学療法、放射免疫療法(RIT)、化学療法と外部ビーム照射(併用治療様式, CMT)、または併用放射免疫療法様式(combined modality radioimmunotherapy) (CMRIT)、等が含まれる。特定の実施形態では、CHOP (シクロホスファミド-ヒドロキシドキソルビシン-Oncovin (ビンクリスチン)-プレドニゾロン)と組み合わせて本発明の抗ICOS抗体治療を適用することができる。本明細書中で使用される用語「と組み合わせて投与(適用)」とは、用いられる他の治療の前、その治療期間中、またはその治療の後に抗ICOS免疫療法を適用することができることを意味する。
特定の実施形態では、抗ICOS免疫療法を細胞傷害性放射性核種または放射線治療用同位体と組み合わせる。例えば、アルファ放射性同位体、例えば225Ac、224Ac、211At、212Bi、213Bi、212Pb、224Ra、または223Raである。細胞傷害性放射性核種は、ベータ放射性同位体、例えば186Re、188Re、90Y、131I、67Cu、177Lu、153Sm、166Ho、または64Cuであってもよい。さらに、細胞傷害性放射性核種はオージェ電子および低エネルギー電子を放射し、それには、同位体125I、123Iまたは77Brが含まれる。他の実施形態では、同位体は198Au、32P、等であってよい。特定の実施形態では、被験体に投与される放射性核種の量は約0.001 mCi/kg〜約10 mCi/kgの範囲である。
いくつかの実施形態では、被験体に投与される放射性核種の量は約0.1 mCi/kg〜約1.0 mCi/kgの範囲である。他の実施形態では、被験体に投与される放射性核種の量は約0.005 mCi/kg〜0.1 mCi/kgの範囲である。
特定の実施形態では、抗ICOS免疫療法を化学毒素または化学療法剤と組み合わせる。化学毒素または化学療法剤は、エネジイン、例えばカリチアマイシンおよびエスペラミシン; デュオカルマイシン、メトトレキセート、ドキソルビシン、メルファラン、クロランブシル、ARA-C、ビンデシン、マイトマイシンC、シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシンおよび5-フルオロウラシルからなる群から選択してよい。
抗ICOS免疫療法との併用療法において使用することができる好適な化学毒素または化学療法剤には、エネジインファミリーの分子のメンバー、例えばカリチアマイシンおよびエスペラミシンが含まれる。デュオカルマイシン(例えば米国特許第5,703,080号および米国特許第4,923,990号を参照のこと)、メトトレキセート、ドキソルビシン、メルファラン、クロランブシル、ARA-C、ビンデシン、マイトマイシンC、シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシンおよび5-フルオロウラシルからなる群から化学毒素を選択することもできる。化学療法剤の例には、アドリアマイシン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara-C」)、シクロホスファミド、チオテパ、タキソテール(ドセタキセル)、ブスルファン、サイトキシン、タキソール、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イホスファミド、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ビンクレイスチン(Vincreistine)、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラミシン(米国特許第4,675,187号を参照のこと)、メルファラン、および他の関連ナイトロジェンマスタードも含まれる。
他の実施形態では、本発明の併用療法において、例えば、「CVB」(1.5 g/m2シクロホスファミド、200〜400 mg/m2エトポシド、および150〜200 mg/m2カルムスチン)を使用することができる。CVBは、非ホジキンリンパ腫を治療するために使用される治療方式である。Patti et al., Eur. J. Haematol. 51:18 (1993)。他の好適な併用化学療法方式は当業者に周知である。例えば、Freedman et al., 「Non-Hodgkin's Lymphomas,」in CANCER MEDICINE, VOLUME 2, 3rd Edition, Holland et al. (eds.), pp. 2028-2068 (Lea & Febiger 1993)を参照のこと。例示的に、中悪性度の非ホジキンリンパ腫の治療のための第1世代の化学療法方式には、C-MOPP (シクロホスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジンおよびプレドニゾン)およびCHOP (シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)が含まれる。有用な第2世代の化学療法方式はm-BACOD (メトトレキセート、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾンおよびロイコボリン)であり、好適な第3世代の治療方式はMACOP-B (メトトレキセート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン、ブレオマイシンおよびロイコボリン)である。追加の有用な薬物には、酪酸フェニルおよびブロスタチン-1 (brostatin-1)が含まれる。多様式治療では、本発明の抗体、免疫複合体または融合タンパク質とともに化学療法剤およびサイトカインの両者を共投与する。サイトカイン、化学療法剤および抗体、免疫複合体または融合タンパク質は、任意の順序で、または一緒に投与することができる。
本発明の組成物および方法において使用できる他の毒素には、有毒なレクチン、植物毒素、例えばリシン、アブリン、モデシン、ボツリナおよびジフテリア毒素が含まれる。当然、種々の毒素の組み合わせを1抗体分子にカップリングさせて、可変性の細胞傷害性に対応することもできる。本発明の併用療法において好適に用いられる毒素の例は、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシンA、ポークウィード抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリン毒素、シュードモナス外毒素、およびシュードモナス内毒素である。例えば、Pastan et al., Cell 47:641 (1986), およびGoldenberg et al., Cancer Journal for Clinicians 44:43 (1994)を参照のこと。使用できる酵素活性毒素およびその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、Aleuritesfordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、momordica charantiaインヒビター、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalisインヒビター、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンが含まれる。例えば、1993年10月28日公開のWO 93/21232を参照のこと。
好適な毒素および化学療法剤は、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES, 19th Ed. (Mack Publishing Co. 1995), およびGOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS, 7th Ed. (MacMillan Publishing Co. 1985)に記載されている。他の好適な毒素および/または化学療法剤は当業者に公知である。
本発明の抗ICOS免疫療法は、プロドラッグ(例えばペプチジル化学療法剤, WO81/01145を参照のこと)を活性な抗癌剤に変換するプロドラッグ活性化酵素と組み合わせてもよい。例えば、WO 88/07378および米国特許第4,975,278号を参照のこと。そのような組み合わせの酵素成分には、プロドラッグを、より活性なその細胞傷害性形式に変換するように該プロドラッグに作用可能な任意の酵素が含まれる。本出願で使用される用語「プロドラッグ」とは、親薬物と比較して腫瘍細胞に対する細胞傷害性が低く、より活性な親形式に酵素によって活性化または変換可能な、医薬活性物質の前駆体または誘導体形式を表す。例えば、Wilman, 「Prodrugs in Cancer Chemotherapy」Biochemical Society Transactions, 14, pp. 375-382, 615th Meeting Belfast (1986)およびStella et al., 「Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,」Directed Drug Delivery, Borchardt et al. (ed.), pp. 247-267, Humana Press (1985)を参照のこと。抗ICOS抗体と組み合わせて使用することができるプロドラッグには、非限定的に、より活性な細胞傷害性の遊離薬物に変換することができる、リン酸含有プロドラッグ、チオリン酸含有プロドラッグ、硫酸含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸改変プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、α-ラクタム含有プロドラッグ、場合により置換されているフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは場合により置換されているフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5-フルオロシトシンおよび他の5-フルオロウリジンプロドラッグが含まれる。本発明で使用するためのプロドラッグ形式に誘導体化することができる細胞傷害性薬物の例には、非限定的に、上記化学療法剤が含まれる。
特定の実施形態では、本発明の組成物および方法を適用すると、有毒な治療の延期が可能になり、化学療法と関連する不必要な副作用および合併症のリスクの回避および化学療法に対する耐性の発生の遅延を支援することができる。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法を適用された患者において、約6か月、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10年までの期間、有毒な治療および/または有毒な治療に対する耐性を遅延させる。
5.27. 治療用抗体との組み合わせ
本明細書中に記載の抗ICOS免疫療法を他の抗体と組み合わせて適用してよく、該他の抗体には、非限定的に、抗CD19 mAb、抗CD52 mAb、抗CD22抗体、および抗CD20抗体、例えばRITUXANTM (C2B8; RITUXIMABTM; IDEC Pharmaceuticals)が含まれる。本発明の抗体と組み合わせて使用するかまたは本発明の組成物中で使用することができる治療用抗体の他の例には、非限定的に、HERCEPTINTM (トラスツズマブ; Genentech)、MYLOTARGTM (ゲムツズマブ・オゾガマイシン; Wyeth Pharmaceuticals)、CAMPATHTM (アレムツズマブ; Berlex)、ZEVALINTM (イプリツモマブ・チウキセタン(Ipritumomab tiuxetan); Biogen Idec)、BEXXARTM (トシツモマブ; GlaxoSmithKline Corixa)、ERBITUXTM (セツキシマブ; Imclone)、およびAVASTINTM (ベバシズマブ; Genentech)が含まれる。
5.28. 単球またはマクロファージの機能を増強する組み合わせ化合物
本発明の方法の特定の実施形態では、単球またはマクロファージの機能を(例えば、少なくとも約25%、50%、75%、85%、90%、95%またはそれ以上)増強する化合物を抗ICOS免疫療法と組み合わせて使用することができる。そのような化合物は当技術分野において公知であり、それには、非限定的に、サイトカイン、例えばインターロイキン(例えばIL-12)、およびインターフェロン(例えばアルファまたはガンマインターフェロン)が含まれる。
単球またはマクロファージの機能または増強を増強する化合物は、抗体、免疫複合体または抗原結合断片と同一の医薬組成物中で製剤化することができる。別々に投与される場合、抗体/断片および化合物を同時に(互いに一定時間以内に)投与することができ、同一の治療過程中に投与することができ、または逐次投与することができる(すなわち、患者はまず抗体/断片治療過程を受け、次いでマクロファージ/単球の機能を増強する化合物の過程を受けるか、またはその逆である)。そのような実施形態では、本発明の他の治療方式および/または組成物での治療前、その治療と同時、またはその治療後に、単球またはマクロファージの機能を増強する化合物をヒト被験体に投与する。一実施形態では、ヒト被験体は、ヒトの正常範囲内の血中白血球、単球、好中球、リンパ球、および/または好塩基球数を有する。ヒトの血中白血球(トータル)の正常範囲は約3.5〜約10.5 (109/L)である。ヒトの血中好中球の正常範囲は約1.7〜約7.0 (109/L)であり、単球は約0.3〜約0.9 (109/L)であり、リンパ球は約0.9〜約2.9 (109/L)であり、好塩基球は約0〜約0.3 (109/L)であり、好酸球は約0.05〜約0.5 (109/L)である。他の実施形態では、ヒト被験体は、ヒトの正常範囲未満、例えば少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、または0.8 (109/L)白血球の血中白血球数を有する。
5.29. 免疫調節物質との組み合わせ
本発明の抗ICOS免疫療法を免疫調節物質と組み合わせてもよい。併用療法に関して本明細書中で使用される用語「免疫調節物質」とは、宿主の免疫系を抑制、遮蔽、または増強するように作用する物質を表す。
免疫調節剤の例には、非限定的に、タンパク質性物質、例えばサイトカイン、ペプチド模擬体、および抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fv、ScFv、FabまたはF(ab)2断片またはエピトープ結合断片)、核酸分子(例えば、アンチセンス核酸分子、RNAiおよび三重ヘリックス)、小分子、有機化合物、および無機化合物が含まれる。特に、免疫調節剤には、非限定的に、メトトレキセート(methothrexate)、レフルノミド、シクロホスファミド、シトキサン、イムラン、シクロスポリンA、ミノサイクリン、アザチオプリン、抗生物質(例えばFK506 (タクロリムス))、メチルプレドニゾロン(MP)、コルチコステロイド、ステロイド(steriods)、ミコフェノール酸モフェチル、ラパマイシン(シロリムス)、ミゾリビン、デオキシスペルグアリン、ブレキナール、マロノニトリロアミド(例えばレフルナミド)、T細胞受容体モジュレーター、およびサイトカイン受容体モジュレーターが含まれる。免疫抑制剤(immunosupressant)の例には、非限定的に、ミコフェノール酸モフェチル(CELLCEPTTM)、D-ペニシラミン(CUPRIMINETM, DEPENTM)、メトトレキセート(RHEUMATREXTM, TREXALLTM)、および硫酸ヒドロキシクロロキン(PLAQUENILTM)が含まれる。
免疫調節剤には、サイトカイン生産を抑制するか、自己抗原発現を下方制御もしくは抑制するか、またはMHC抗原を遮蔽する物質も含まれる。そのような物質の例には、2-アミノ-6-アリール-5-置換ピリミジン(米国特許第4,665,077号を参照のこと)、アザチオプリン(または、アザチオプリンに対する有害反応が存在する場合はシクロホスファミド); ブロモクリプチン(bromocryptine); グルタルアルデヒド(米国特許第4,120,649号に記載されるようにMHC抗原を遮蔽する); MHC抗原およびMHC断片に関する抗イディオタイプ抗体; シクロスポリンA; ステロイド、例えばグルココルチコステロイド、例えばプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、およびデキサメタゾン; サイトカインまたはサイトカイン受容体アンタゴニスト(抗インターフェロン-ガンマ、-ベータ、または-アルファ抗体を含む); 抗腫瘍壊死因子-アルファ抗体; 抗腫瘍壊死因子-ベータ抗体; 抗インターロイキン-2抗体および抗IL-2受容体抗体; 抗L3T4抗体; 異種抗リンパ球グロブリン; pan-T抗体、好ましくは抗CD3または抗CD4/CD4a抗体; LFA-3結合ドメインを含有する可溶性ペプチド(1990年7月26日公開のWO 90/08187); ストレプトキナーゼ; TGF-.ベータ.; ストレプトドマーゼ(streptodomase); 宿主由来のRNAまたはDNA; FK506; RS-61443; デオキシスペルグアリン; ラパマイシン; T細胞受容体(米国特許第5,114,721号); T細胞受容体断片(Offner et al., Science 251:430-432 (1991); WO 90/11294; およびWO 91/01133); およびT細胞受容体抗体(EP 340,109)、例えばT10B9が含まれる。
サイトカインの例には、非限定的に、リンホカイン、モノカイン、および従来のポリペプチドホルモンが含まれる。サイトカインに含まれるのは、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモン; 副甲状腺ホルモン; チロキシン; インスリン; プロインスリン; リラキシン; プロリラキシン; 糖タンパク質ホルモン、例えば卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH); 肝細胞増殖因子(hepatic growth factor); 線維芽細胞成長因子; プロラクチン; 胎盤ラクトゲン; 腫瘍壊死因子-アルファ; ミュラー阻害物質; マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド; インヒビン; アクチビン; 血管内皮増殖因子; インテグリン; トロンボポエチン(thrombopoiotin) (TPO); 神経成長因子、例えばNGF-アルファ; 血小板-成長因子; トランスフォーミング成長因子(TGF)、例えばTGF-アルファおよびTGF-アルファ; インスリン様成長因子-Iおよび-II; エリスロポエチン(EPO); 骨誘導因子; インターフェロン; コロニー刺激因子(CSF)、例えばマクロファージ-CSF (M-CSF); 顆粒球-マクロファージ-CgP (GM-CSP); および顆粒球-CSF (G-CSF); インターロイキン(IL)、例えばIL-1、IL-1a、IL-2、1L-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-11、IL-12、IL-15; 腫瘍壊死因子、例えばTNF-アルファまたはTNF-ベータ; および他のポリペプチド因子(LIFおよびキットリガンド(KL)を含む)である。本明細書中で使用される用語サイトカインには、天然起源由来または組換え細胞培養物由来のタンパク質およびネイティブ配列のサイトカインの生物活性等価物が含まれる。特定の実施形態では、本方法は、1種以上の免疫調節剤、好ましくはサイトカインを被験体に投与するステップをさらに含む。好ましいサイトカインは、インターロイキン-1 (IL-1)、IL-2、IL-3、IL-12、IL-15、IL-18、G-CSF、GM-CSF、トロンボポエチン、およびガンマインターフェロンからなる群から選択される。
特定の実施形態では、免疫調節剤はサイトカイン受容体モジュレーターである。サイトカイン受容体モジュレーターの例には、非限定的に、可溶性サイトカイン受容体(例えば、TNF-アルファ受容体の細胞外ドメインまたはその断片、IL-1ベータ受容体の細胞外ドメインまたはその断片、およびIL-6受容体の細胞外ドメインまたはその断片)、サイトカインまたはその断片(例えば、インターロイキン(IL)-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、TNF-アルファ、TNF-ベータ、インターフェロン(IFN)-アルファ、IFN-ベータ、IFN-ガンマ、およびGM-CSF)、抗サイトカイン受容体抗体(例えば、抗IL-2受容体抗体、抗IL-4受容体抗体、抗IL-6受容体抗体、抗IL-10受容体抗体、および抗IL-12受容体抗体)、抗サイトカイン抗体(例えば、抗IFN受容体抗体、抗TNF-アルファ抗体、抗IL-1ベータ抗体、抗IL-6抗体、抗IL-9、抗IL-17抗体、抗体、および抗IL-12抗体)が含まれる。特定の実施形態では、サイトカイン受容体モジュレーターは、IL-4、IL-10、またはその断片である。別の実施形態では、サイトカイン受容体モジュレーターは、抗IL-1ベータ抗体、抗IL-6抗体、抗IL-12受容体抗体、抗TNF-アルファ抗体である。別の実施形態では、サイトカイン受容体モジュレーターはTNF-アルファ受容体の細胞外ドメインまたはその断片である。特定の実施形態では、サイトカイン受容体モジュレーターはTNF-アルファアンタゴニストではない。
特定の実施形態では、免疫調節剤はT細胞受容体モジュレーターである。T細胞受容体モジュレーターの例には、非限定的に、抗T細胞受容体抗体(例えば、抗CD4抗体(例えばcM-T412 (Boeringer)、IDEC-CE9.1 (IDEC and SKB)、mAB 4162W94、オルソクローンおよびOKTcdr4a (Janssen-Cilag))、抗CD3抗体、抗CD5抗体(例えば抗CD5リシン結合免疫複合体)、抗CD7抗体(例えばCHH-380 (Novartis))、抗CD8抗体、抗CD40リガンドモノクローナル抗体、抗CD52抗体(例えばCAMPATH 1H (Ilex))、抗CD2モノクローナル抗体)およびCTLA4-免疫グロブリンが含まれる。
特定の実施形態では、免疫調節剤はTNF-アルファアンタゴニストである。TNF-アルファアンタゴニストの例には、非限定的に、以下の物質が含まれる: 抗体(例えば、インフリキシマブ(REMICADETM; Centocor)、D2E7 (Abbott Laboratories/Knoll Pharmaceuticals Co., Mt. Olive, N.J.)、CDP571 (HUMIRATMとしても知られる)およびCDP-870 (ともにCelltech/Pharmacia, Slough, U.K.)、およびTN3-19.12 (Williams et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 2762-2766; Thorbecke et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7375-7379)) 可溶性TNF-アルファ受容体(例えば、sTNF-R1 (Amgen)、エタネルセプト(ENBRELTM; Immunex)およびそのラットホモログRENBRELTM、TNFrI、TNFrII (Kohno et al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:8331-8335)由来のTNF-アルファの可溶性インヒビター、およびTNF-alpha Inh (Seckinger et al, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:5188-5192))、IL-10、TNFR-IgG (Ashkenazi et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:10535-10539)、マウス産物TBP-1 (Serono/Yeda)、ワクチンCytoTAb (Protherics)、アンチセンス分子104838 (ISIS)、ペプチドRDP-58 (SangStat)、サリドマイド(Celgene)、CDC-801 (Celgene)、DPC-333 (Dupont)、VX-745 (Vertex)、AGIX-4207 (AtheroGenics)、ITF-2357 (Italfarmaco)、NPI-13021-31 (Nereus)、SCIO-469 (Scios)、TAC
Eタッゲッター(Immunix/AHP)、CLX-120500 (Calyx)、Thiazolopyrim (Dynavax)、オーラノフィン(Ridaura) (SmithKline Beecham Pharmaceuticals)、キナクリン(メパクリンジクロロハイドレート)、テニダップ(Enablex)、Melanin (Large Scale Biological)、および抗p38 MAPK物質(Uriach)。
抗ICOS免疫療法を免疫調節物質と組み合わせてもよい。このアプローチでは、キメラ、ヒトまたはヒト化抗ICOS抗体を使用することができる。併用療法に関して本明細書中で使用される用語「免疫調節物質」とは、宿主の免疫系を抑制、遮蔽、または増強するように作用する物質を表す。これには、サイトカイン生産を抑制するか、自己抗原発現を下方制御もしくは抑制するか、またはMHC抗原を遮蔽する物質が含まれる。そのような物質の例には、2-アミノ-6-アリール-5-置換ピリミジン(米国特許第4,665,077号を参照のこと)、アザチオプリン(または、アザチオプリンに対する有害反応が存在する場合はシクロホスファミド); ブロモクリプチン(bromocryptine); グルタルアルデヒド(米国特許第4,120,649号に記載されるようにMHC抗原を遮蔽する); MHC抗原およびMHC断片に関する抗イディオタイプ抗体; シクロスポリンA; ステロイド、例えばグルココルチコステロイド、例えばプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、およびデキサメタゾン; サイトカインまたはサイトカイン受容体アンタゴニスト(抗インターフェロン-γ、-β、または-α抗体を含む); 抗腫瘍壊死因子-α抗体; 抗腫瘍壊死因子-β抗体; 抗インターロイキン-2抗体および抗IL-2受容体抗体; 抗L3T4抗体; 異種抗リンパ球グロブリン; pan-T抗体、例えば抗CD3または抗CD4/CD4a抗体; LFA-3結合ドメインを含有する可溶性ペプチド(1990年7月26日公開のWO 90/08187); ストレプトキナーゼ; TGF-β; ストレプトドルナーゼ; 宿主由来のRNAまたはDNA; FK506; RS-61443; デオキシスペルグアリン; ラパマイシン; T細胞受容体(米国特許第5,114,721号); T細胞受容体断片(Offner et al., Science 251:430-432 (1991); WO 90/11294; およびWO 91/01133); およびT細胞受容体抗体(EP 340,109)、例えばT10B9が含まれる。サイトカインの例には、非限定的に、リンホカイン、モノカイン、および従来のポリペプチドホルモンが含まれる。サイトカインに含まれるのは、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモン; 副甲状腺ホルモン; チロキシン; インスリン; プロインスリン; リラキシン; プロリラキシン; 糖タンパク質ホルモン、例えば卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH); 肝細胞増殖因子; 線維芽細胞成長因子; プロラクチン; 胎盤ラクトゲン; 腫瘍壊死因子-α; ミュラー阻害物質; マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド; インヒビン; アクチビン; 血管内皮増殖因子; インテグリン; トロンボポエチン(thrombopoiotin) (TPO); 神経成長因子、例えばNGF-α; 血小板-成長因子; トランスフォーミング成長因子(TGF)、例えばTGF-αおよびTGF-α; インスリン様成長因子-Iおよび-II; エリスロポエチン(EPO); 骨誘導因子; インターフェロン; コロニー刺激因子(CSF)、例えばマクロファージ-CSF (M-CSF); 顆粒球-マクロファージ-CgP (GM-CSP); および顆粒球-CSF (G-CSF); インターロイキン(IL)、例えばIL-1、IL-la、IL-2、1L-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-1 I、IL-12、IL-15; 腫瘍壊死因子、例えばTNF-αまたはTNF-β; および他のポリペプチド因子(LIFおよびキットリガンド(KL)を含む)である。本明細書中で使用される用語サイトカインには、天然起源由来または組換え細胞培養物由来のタンパク質およびネイティブ配列のサイトカインの生物活性等価物が含まれる。特定の実施形態では、本方法は、1種以上の免疫調節剤、例えばサイトカインを被験体に投与するステップをさらに含む。好適なサイトカインは、インターロイキン-1 (IL-1)、IL-2、IL-3、IL-12、IL-15、IL-18、G-CSF、GM-CSF、トロンボポエチン、およびγインターフェロンからなる群から選択することができる。
これらの免疫調節物質を抗ICOS抗体と同時にまたは別の時点で投与する。好ましい免疫調節物質は、治療対象の障害のタイプ、ならびに患者の病歴を含む多数の要因に依存するが、該物質は、シクロスポリンA、グルココルチコステロイド(例えばプレドニゾンまたはメチルプレドニゾロン)、アザチオプリン、ブロモクリプチン、異種抗リンパ球グロブリン、またはその混合物から選択されることが多い。
5.30. 他の治療物質との組み合わせ
腫瘍の血管新生(neovasculature)に対して作用する物質を抗ICOS免疫療法と組み合わせて使用することもでき、該物質には、チューブリン結合物質、例えばコンブレスタチンA4 (Griggs et al., Lancet Oncol. 2:82, (2001))およびアンジオスタチンおよびエンドスタチン(Rosen, Oncologist 5:20 (2000) (該文献は参照によりここに組み入れられる)でレビューされている)が含まれる。抗ICOS抗体と組み合わせて使用するために好適な免疫調節物質には、非限定的に、α-インターフェロン、γ-インターフェロン、および腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)が含まれる。特定の実施形態では、本発明の組成物および方法を使用する併用療法で使用される治療物質はペプチドである。
特定の実施形態では、抗ICOS免疫療法を1種以上のカリチアマイシン分子と組み合わせる。カリチアマイシンファミリーの抗生物質は、ピコモル濃度以下の濃度で二本鎖DNA切断を生じさせることが可能である。使用することができるカリチアマイシンの構造アナログには、非限定的に、γ1I、γ2I、γ3I、N-アセチル-γ1I、PSAGおよび011が含まれる(Hinman et al., Cancer Research 53:3336-3342 (1993) およびLode et al., Cancer Research 58: 2925-2928 (1998))。
特定の実施形態では、治療方式は、抗ICOS抗体組成物の細胞傷害作用を緩和する化合物を含む。そのような化合物には、鎮痛薬(例えばアセトアミノフェン)、ビスホスホナート、抗ヒスタミン剤(例えばマレイン酸クロルフェニラミン)、およびステロイド(例えば、デキサメタゾン、レチノイド、デルトイド(deltoids)、ベタメタゾン、コルチゾール、コルチゾン、プレドニゾン、デヒドロテストステロン(dehydrotestosterone)、糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、エストロゲン、テストステロン、プロゲスチン)が含まれる。
特定の実施形態では、抗ICOS免疫療法と組み合わせて使用される治療物質は小分子(すなわち約2500ダルトン未満の分子量を有する無機または有機化合物)である。例えば、小分子のライブラリーは、Specs and BioSpecs B.V. (Rijswijk, The Netherlands)、Chembridge Corporation (San Diego, CA)、Comgenex USA Inc. (Princeton, NJ)、およびMaybridge Chemicals Ltd. (Cornwall PL34 OHW, United Kingdom)から商業的に入手することができる。
特定の実施形態では、抗ICOS免疫療法を抗菌剤と組み合わせて適用することができる。抗菌剤の非限定的な例には、細菌感染を阻害および/または低減するか、細菌の複製を阻害および/または低減するか、または他の細胞または被験体への細菌の伝播を阻害および/または低減するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質、抗体、核酸分子、有機分子、無機分子、および小分子が含まれる。抗菌剤の具体例には、非限定的に、抗生物質、例えばペニシリン、セファロスポリン、イミペネム、アキストレオナム(axtreonam)、バンコマイシン、サイクロセリン、バシトラシン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、カナマイシン、ネオマイシン、スペクチノマイシン、トリメトプリム、ノルフロキサシン、リファンピン、ポリミキシン、アンホテリシンB、ニスタチン、ケトカナゾール(ketocanazole)、イソニアジド、メトロニダゾール、およびペンタミジンが含まれる。
特定の実施形態では、抗ICOS免疫療法を抗真菌剤と組み合わせて適用することができる。抗真菌剤の具体例には、非限定的に、アゾール薬物(例えば、ミコナゾール、ケトコナゾール(NIZORAL(登録商標))、酢酸カスポファンギン(CANCIDAS(登録商標))、イミダゾール、トリアゾール(例えばフルコナゾール(DIFLUCAN(登録商標)))、およびイトラコナゾール(SPORANOX(登録商標)))、ポリエン(例えば、ニスタチン、アンホテリシンB (FUNGIZONE(登録商標))、アンホテリシンB脂質複合体(「ABLC」) (ABELCET(登録商標))、アンホテリシンBコロイド分散物(「ABCD」) (AMPHOTEC(登録商標))、リポソーム性アンホテリシンB (AMBISONE(登録商標)))、ヨウ化カリウム(KI)、ピリミジン(例えばフルシトシン(ANCOBON(登録商標))、およびボリコナゾール(VFEND(登録商標)))が含まれる。抗菌剤および抗真菌剤の投与により、患者のICOS発現T細胞を大きく枯渇させる本発明の方法において生じる感染症の影響または増加を緩和することができる。
本発明の特定の実施形態では、本発明の組成物の投与に伴う有毒な副作用を緩和する1種以上の上記物質と組み合わせて抗ICOS免疫療法を適用することができる。他の実施形態では、抗体投与、化学療法、毒素、または薬物の副作用の緩和に使用するための当技術分野において周知の1種以上の物質と組み合わせて抗ICOS免疫療法を適用することができる。
抗ICOS免疫療法を別の抗体または抗体群および/または物質と組み合わせて適用する本発明の実施形態では、追加の抗体または抗体群および/または物質を本発明の抗体の投与に対して任意の順序で投与することができる。例えば、ヒト被験体への抗ICOS抗体または免疫複合体の投与の前、その投与と同時、および/またはその投与の後に追加の抗体または抗体群を投与することができる。追加の抗体または抗体群を本発明の抗体と同一の医薬組成物中に存在させてよく、および/または異なる医薬組成物中に存在させてよい。本発明の抗体の用量および投与様式および追加の抗体または抗体群の用量は、投与量および投与様式の、本出願中で提供される任意の教授内容および当技術分野において周知の任意の教授内容にしたがって、同一でも異なってもよい。
5.31. T細胞悪性腫瘍の診断における抗ICOS抗体の使用
本発明はまた、ヒトICOS抗原に免疫特異的に結合する抗ICOS抗体であって、診断用または検出可能な物質にコンジュゲートされている抗ICOS抗体、およびその組成物を包含する。特定の実施形態では、該抗体は、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体である。そのような抗ICOS抗体は、特定の治療の効力を決定する等の臨床試験手順の部分としてT細胞悪性腫瘍の発生または進行をモニタリングまたは予知するために有用でありうる。そのような診断および検出は、ヒトICOS抗原に免疫特異的に結合する抗ICOS抗体を、非限定的に以下の物質を含む検出可能な物質にカップリングすることによって達成することができる: 種々の酵素、例えば、非限定的に、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼ; 補欠分子族、例えば、非限定的に、ストレプトアビジンlビオチン(streptavidinlbiotin)およびアビジン/ビオチン; 蛍光物質、例えば、非限定的に、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocynate)、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロライドまたはフィコエリトリン; 発光物質、例えば、非限定的に、ルミノール; 生物発光物質、例えば、非限定的に、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリン; 放射性物質、例えば、非限定的に、ヨウ素(131I, 125I, 123I, 121I,)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In, 113In, 112In, 111In,)、およびテクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga, 67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、および117Tin; 種々のポジトロン放出断層法を使用するポジトロン放出金属、非放射性(noradioactive)常磁性金属イオン、および放射標識されているかまたは特定の放射性同位体にコンジュゲートされている分子。容易に測定することができる任意の検出可能な標識を抗ICOS抗体にコンジュゲートして、T細胞悪性腫瘍の診断に使用することができる。検出可能な物質は、当技術分野において公知の技術を使用して、抗体に直接、または中間体(例えば当技術分野において公知のリンカー)を介して間接的に、カップリングまたはコンジュゲートしてよい。本発明の診断法として使用するために抗体にコンジュゲートすることができる金属イオンに関しては、例えば米国特許第4,741,900号を参照のこと。特定の実施形態では、本発明は、診断用または検出可能な物質にコンジュゲートされた抗ICOS抗体を含む診断キットを提供する。
5.32. 免疫再構成のモニタリングにおける抗ICOS抗体の使用
本発明はまた、ヒトICOS抗原に免疫特異的に結合する抗ICOS抗体であって、診断用または検出可能な物質にコンジュゲートされている抗ICOS抗体、およびその組成物を包含する。そのような抗ICOS抗体は、免疫抑制治療または骨髄移植後の免疫系再構成のモニタリングに有用でありうる。そのようなモニタリングは、ヒトICOS抗原に免疫特異的に結合する抗ICOS抗体を、非限定的に以下の物質を含む検出可能な物質にカップリングすることによって達成することができる: 種々の酵素、例えば、非限定的に、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼ; 補欠分子族、例えば、非限定的に、ストレプトアビジンlビオチンおよびアビジン/ビオチン; 蛍光物質、例えば、非限定的に、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocynate)、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロライドまたはフィコエリトリン; 発光物質、例えば、非限定的に、ルミノール; 生物発光物質、例えば、非限定的に、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリン; 放射性物質、例えば、非限定的に、ヨウ素(131I, 125I, 123I, 121I,)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In, 113In, 112In, 111In,)、およびテクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga, 67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、および117Tin; 種々のポジトロン放出断層法を使用するポジトロン放出金属、非放射性常磁性金属イオン、および放射標識されているかまたは特定の放射性同位体にコンジュゲートされている分子。容易に測定することができる任意の検出可能な標識を抗ICOS抗体にコンジュゲートして、自己免疫疾患または障害の診断に使用することができる。検出可能な物質は、当技術分野において公知の技術を使用して、抗体に直接、または中間体(例えば当技術分野において公知のリンカー)を介して間接的に、カップリングまたはコンジュゲートしてよい。本発明の診断法として使用するために抗体にコンジュゲートすることができる金属イオンに関しては、例えば米国特許第4,741,900号を参照のこと。特定の実施形態では、本発明は、診断用または検出可能な物質にコンジュゲートされた抗ICOS抗体を含む診断キットを提供する。
5.33. 自己免疫疾患または障害の診断における抗ICOS抗体の使用
本発明はまた、ヒトICOS抗原に免疫特異的に結合する抗ICOS抗体であって、診断用または検出可能な物質にコンジュゲートされている抗ICOS抗体、およびその組成物を包含する。特定の実施形態では、該抗体は、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体である。そのような抗ICOS抗体は、特定の治療の効力を決定する等の臨床試験手順の部分として自己免疫疾患または障害の発生または進行をモニタリングまたは予知するために有用でありうる。そのような診断および検出は、ヒトICOS抗原に免疫特異的に結合する抗ICOS抗体を、非限定的に以下の物質を含む検出可能な物質にカップリングすることによって達成することができる: 種々の酵素、例えば、非限定的に、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼ; 補欠分子族、例えば、非限定的に、ストレプトアビジンlビオチンおよびアビジン/ビオチン; 蛍光物質、例えば、非限定的に、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocynate)、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロライドまたはフィコエリトリン; 発光物質、例えば、非限定的に、ルミノール; 生物発光物質、例えば、非限定的に、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリン; 放射性物質、例えば、非限定的に、ヨウ素(131I, 125I, 123I, 121I,)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In, 113In, 112In, 111In,)、およびテクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga, 67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、および117Tin; 種々のポジトロン放出断層法を使用するポジトロン放出金属、非放射性常磁性金属イオン、および放射標識されているかまたは特定の放射性同位体にコンジュゲートされている分子。容易に測定することができる任意の検出可能な標識を抗ICOS抗体にコンジュゲートして、自己免疫疾患または障害の診断に使用することができる。検出可能な物質は、当技術分野において公知の技術を使用して、抗体に直接、または中間体(例えば当技術分野において公知のリンカー)を介して間接的に、カップリングまたはコンジュゲートしてよい。本発明の診断法として使用するために抗体にコンジュゲートすることができる金属イオンに関しては、例えば米国特許第4,741,900号を参照のこと。特定の実施形態では、本発明は、診断用または検出可能な物質にコンジュゲートされた抗ICOS抗体を含む診断キットを提供する。
5.34. キット
本発明は、T細胞媒介性疾患および障害、例えば、非限定的に、慢性感染、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、移植片対宿主病(GVHD)、移植拒絶、およびT細胞増殖性疾患、または、T細胞媒介性疾患および障害によって増強されるかもしくはT細胞媒介性疾患および障害を増強する1種以上のその症状を予防、治療、管理または改善するための本発明の組成物が充填された1個以上の容器を含む医薬パックまたはキットを提供する。
本発明は、上記方法において使用することができるキットを提供する。一実施形態では、キットは1個以上の容器中に本発明の組成物を含む。別の実施形態では、キットは、1個以上の容器中に本発明の組成物を含み、かつ1個以上の他の容器中に、T細胞媒介性疾患および障害、またはT細胞媒介性疾患および障害によって増強されるかもしくはT細胞媒介性疾患および障害を増強する1種以上のその症状の予防、管理または治療に有用な1種以上の他の予防または治療物質を含む。該キットは、T細胞媒介性疾患および障害を予防、治療、管理または改善するための使用説明書、ならびに投与の方法に関する副作用および用量情報をさらに含んでよい。場合により、そのような容器(群)には、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する行政機関によって指定された形式で表示を添付することができ、該表示は、該機関による、ヒト適用のための製造、使用または販売の承認を反映する。
6. 特定の実施形態
1. VHドメイン、VKドメインおよび変異Fc領域を含む、単離された抗ICOS抗体であって、VHおよびVKドメインならびに野生型Fc領域を含む親抗体によって媒介されるADCC活性のレベルと比較して増強されたADCC活性を媒介する、抗体。
2. in vitro ADCCアッセイで測定された抗体のEC50が親抗体のEC50値より少なくとも約7倍低い、実施形態1の抗体。
3. 変異Fc領域が、Fc受容体に対して、野生型Fc領域より高い親和性を有する、実施形態1または2の抗体。
4. Fc受容体がヒトFcガンマRIIIAである、実施形態3の抗体。
5. 変異Fc領域が、残基239、330、および332からなる群から選択されるアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含み、該アミノ酸残基位置がEU慣行にしたがって決定される、実施形態1の抗体。
6. 変異Fc領域が、S239D、A330L、およびI332Eからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、該アミノ酸残基位置がEU慣行にしたがって決定される、実施形態1の抗体。
7. VHドメイン、VKドメインおよび改変された(engineered)Fc領域を含む、単離された抗ICOS抗体であって、改変されたFc領域に結合した複合型N-グリコシド結合糖鎖を有し、ここでフコースが該糖鎖の還元末端においてN-アセチルグルコサミンに結合していない、抗体。
8. VHおよびVKドメインならびに改変されていないFc領域を含む親抗体によって媒介されるADCC活性のレベルと比較して増強されたADCC活性を媒介する、実施形態7の抗体。
9. in vitro ADCCアッセイで測定された抗体のEC50が親抗体のEC50値より少なくとも約7倍低い、実施形態8の抗体。
10. VHドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含み、かつVKドメインが配列番号2のアミノ酸配列を含む、実施形態1〜7のいずれか1つの抗体。
11. 実施形態1〜10のいずれか1つにあるような抗体のアミノ酸配列をコードする核酸。
12. 配列番号28〜31からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、実施形態11の核酸。
13. 実施形態11の核酸を含むベクター。
14. 配列番号28〜31からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、実施形態13のベクター。
15. 実施形態13のベクターを含む、単離された細胞。
16. グリコシル化酵素の活性を欠いている、実施形態15の単離された細胞。
17. 酵素がFUT8またはGnTIIIからなる群から選択される、実施形態16のグリコシル化酵素。
18. 酵素がFUT8またはGnTIIIからなる群から選択され、かつ、細胞が配列番号28〜31からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むベクターを含む、実施形態16の単離された細胞。
19. 実施形態1〜10のいずれか1つにあるような抗体を発現する、単離された細胞。
20. 抗体の生産に十分な条件下で実施形態19の単離された細胞を培養するステップおよび培養物から抗体を回収するステップを含む、抗体の製造方法。
21. 実施形態1〜10のいずれか1つにあるような抗体を製薬的に許容される担体中で含む医薬組成物。
22. 抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4ヒトアイソタイプの抗体である、実施形態21の医薬組成物。
23. ヒトにおける自己免疫疾患または障害の治療方法であって、それを必要としているヒトに、実施形態1〜10のいずれか1つにあるような抗体の治療有効量を投与するステップを含む、方法。
24. 自己免疫疾患または障害がSLEまたは強皮症である、実施形態23の方法。
25. ヒト移植患者における拒絶の治療または予防方法であって、それを必要としているヒトに、実施形態1〜10のいずれか1つにあるような抗体の治療有効量を投与するステップを含む、方法。
26. ヒトにおけるT細胞悪性腫瘍の治療方法であって、それを必要としているヒトに、実施形態1〜10のいずれか1つにあるような抗体の治療有効量を投与するステップを含む、方法。
27. ヒトにおける炎症性疾患または障害の治療方法であって、それを必要としているヒトに、実施形態1〜10のいずれか1つにあるような抗体の治療有効量を投与するステップを含む、方法。
28. 炎症性疾患または障害が筋炎である、実施形態27の方法。
29. 筋炎が、封入体筋炎(IBM)、多発性筋炎(PM)または皮膚筋炎(DM)である、実施形態28の方法。
30. ヒト患者においてICOS発現T細胞を枯渇させる方法であって、それを必要としているヒトに、実施形態1〜10のいずれか1つにあるような抗体の治療有効量を投与するステップを含む、方法。
31. 抗体の投与後、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間または少なくとも約4週間、枯渇が実質的に持続する、実施形態30の方法。
32. 少なくとも約95%のT細胞を枯渇させる、実施形態30の方法。
33. ICOS発現T細胞が記憶T細胞である、実施形態30の方法。
34. ICOS発現T細胞が循環T細胞である、実施形態30の方法。
35. 霊長類の二次リンパ器官において胚中心構造を破壊する方法であって、実施形態1〜10のいずれか1つにあるような抗体の有効量を投与するステップを含む、方法。
36. 霊長類が非ヒト霊長類である、実施形態35の方法。
37. 霊長類の二次リンパ器官から胚中心B細胞を枯渇させる方法であって、実施形態1〜10のいずれか1つにあるような抗体の有効量を投与するステップを含む、方法。
38. 霊長類が非ヒト霊長類である、実施形態37の方法。
39. 霊長類がヒトである、実施形態37の方法。
40. 抗体の投与後、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間または少なくとも約4週間、枯渇が実質的に持続する、実施形態37の方法。
41. 霊長類において循環クラススイッチB細胞を枯渇させる方法であって、実施形態1〜10のいずれか1つにあるような抗体の有効量を投与するステップを含む、方法。
42. 霊長類が非ヒト霊長類である、実施形態41の方法。
43. 霊長類がヒトである、実施形態41の方法。
44. 抗体の投与後、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間または少なくとも約4週間、枯渇が実質的に持続する、実施形態41の方法。
45. 少なくとも約95%の循環クラススイッチB細胞を枯渇させる、実施形態41の方法。
46. VHドメイン、VKドメインおよび変異Fc領域を含む、単離された抗ICOS抗体であって、VHおよびVKドメインならびに野生型Fc領域を含む親抗体によって媒介されるADCC活性のレベルと比較して増強されたADCC活性を媒介し、かつ霊長類の二次リンパ器官から胚中心B細胞を枯渇させることができる、抗体。
47. 霊長類が非ヒト霊長類である、実施形態46の抗体。
48. 霊長類がヒトである、実施形態46の抗体。
49. 抗体の投与後、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間または少なくとも約4週間、枯渇が実質的に持続する、実施形態46の抗体。
50. VHドメイン、VKドメインおよび変異Fc領域を含む、単離された抗ICOS抗体であって、VHおよびVKドメインならびに野生型Fc領域を含む親抗体によって媒介されるADCC活性のレベルと比較して増強されたADCC活性を媒介し、かつ霊長類において循環クラススイッチB細胞を枯渇させることができる、抗体。
51. 霊長類が非ヒト霊長類である、実施形態50の抗体。
52. 霊長類がヒトである、実施形態50の抗体。
53. 抗体の投与後、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間または少なくとも約4週間、枯渇が実質的に持続する、実施形態50の抗体。
54. 少なくとも約95%の循環クラススイッチB細胞を枯渇させる、実施形態50の抗体。
55. VHドメイン、VKドメインならびに改変されたFc領域を含む、単離された抗ICOS抗体であって、改変されたFc領域に結合した複合型N-グリコシド結合糖鎖を有し、ここでフコースが該糖鎖の還元末端においてN-アセチルグルコサミンに結合しておらず、VHおよびVKドメインならびに改変されていないFc領域を含む親抗体によって媒介されるADCC活性のレベルと比較して増強されたADCC活性を媒介し、霊長類の二次リンパ器官から胚中心B細胞を枯渇させることができる、抗体。
56. 霊長類が非ヒト霊長類である、実施形態55の抗体。
57. 霊長類がヒトである、実施形態55の抗体。
58. 抗体の投与後、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間または少なくとも約4週間、枯渇が実質的に持続する、実施形態55の抗体。
59. VHドメイン、VKドメインおよび改変されたFc領域を含む、単離された抗ICOS抗体であって、改変されたFc領域に結合した複合型N-グリコシド結合糖鎖を有し、ここでフコースが該糖鎖の還元末端においてN-アセチルグルコサミンに結合しておらず、VHおよびVKドメインならびに改変されていないFc領域を含む親抗体によって媒介されるADCC活性のレベルと比較して増強されたADCC活性を媒介し、霊長類においてクラススイッチB細胞を枯渇させることができる、抗体。
60. 霊長類が非ヒト霊長類である、実施形態59の抗体。
61. 霊長類がヒトである、実施形態59の抗体。
62. 抗体の投与後、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間または少なくとも約4週間、枯渇が実質的に持続する、実施形態59の抗体。
63. 少なくとも約95%の循環クラススイッチB細胞を枯渇させる、実施形態59の抗体。
7. 実施例
7.1. ADCCが増強された抗ICOS抗体の構築
以下のセクションでは、ヒトIgHγ1定常領域を含む、ADCCが増強された抗ICOS抗体の設計を記載する。ADCCが増強された抗ICOS抗体は、増加したエフェクター機能を有する変異Fc領域を含む(米国特許公開番号: US 2007-0003546 A1, US20060160996A9, US 2005-0054832 A1, US 2004-0132101 A1, およびUS 2004-0110226 A1を参照のこと)。ADCCが増強された抗ICOS抗体は、フコースが還元末端においてN-アセチルグルコサミンに結合していない、Fc領域のAsn297に連結された複合型N-グリコシド結合糖鎖を含んでよい(米国特許6,946,292, 米国特許公開番号: US 2006-0223147 A1, US 2006-0021071 A1, US 2005-0272916 A1, US 2004-0259150 A1, US 2004-0132140 A1, US 2004-0110704 A1, およびUS 2004-0110282 A1を参照のこと)。実施例で記載されるADCCが増強された抗ICOS抗体は、米国特許6,803,039に記載のJMab-136抗ICOS抗体の重鎖および軽鎖可変ドメインを含む。JMab抗ICOS抗体のVHおよびVKドメインのアミノ酸配列は、本明細書中で、それぞれ、配列番号7および2として開示される。JMab-136 VHおよびVLドメインを含みかつIgHγ2定常領域をさらに含む抗ICOS抗体は、以後、IC009と称される。JMab-136 VHおよびVLドメインを含みかつIgHγ1定常領域をさらに含む抗ICOS抗体は、以後、IC9G1と称される。当業者は、本明細書中に記載の実験法を任意の他の抗ICOS抗体、例えば、非限定的に、米国特許6,803,039に記載の抗ICOS抗体に適用してもよいことを認識する。
7.1.1. 配列最適化
アミノ酸配列: VKドメインのアミノ酸配列(配列番号1)は、VK CDR3中に以下のモチーフ: アミノ酸5位に潜在的o-グリコシル化部位、およびアミノ酸92位に潜在的脱アミドモチーフを含む。VHドメインのアミノ酸配列(配列番号6)は、VH CDR3中に以下のモチーフ: アミノ酸17位に潜在的o-グリコシル化部位、およびアミノ酸99位に潜在的イソアスパラギン酸(isoaspartate)形成モチーフを含む。アミノ酸位置はKabatの統一方式にしたがって決定される。VHまたはVKドメインのアミノ酸配列は、これらの配列モチーフのいずれか1つを排除し、ゆえに改変された配列モチーフの位置での翻訳後修飾の可能性を排除するように変化させてよい。例えば、N残基をY、DまたはG残基で置換することによってNG潜在的脱アミドモチーフを排除することができる。抗ICOS抗体のアミノ酸配列に置換を導入するための方法を後述する。アミノ酸置換を含む抗ICOS抗体の抗原結合特性は、本明細書中に記載の方法を使用して確認することができる。
核酸配列: 抗ICOS抗体の重鎖および軽鎖をコードするポリヌクレオチドを核酸配列の最適化に付することができる。配列最適化プロセスの最終目標は、可能な最高効率で転写および翻訳されるコード領域を創出することがである。配列最適化は、(i) コドン使用最適化、(ii) G/C含量適応、(iii) 内部スプライシング部位および未熟ポリアデニル化部位(premature polyadenylation sites)の排除、(iv) 安定なRNA二次構造の破壊、(v) 直接反復配列の排除、(vi) 宿主細胞転写物との安定なdsRNAを形成する配列の排除、(vii) 宿主細胞ミクロRNAの標的になる配列の排除、および(viii) RNA安定化およびRNA転位シグナルの導入、の組み合わせによって達成される。詳細な配列最適化法は、WO2004059556A2, WO2006015789A2, Bradel-Tretheway et al., J. Virol. Methods 111:145-56 (2003), Valencik & McDonald, Transgenic Res. 3:269-75 (2001)に記載されている。あるいは、配列は市販の供給元(例えばGENEART Inc.)によって最適化される。
本明細書中に記載の方法にしたがってIC9G1のVH、VK、重鎖および軽鎖をコードするヌクレオチド配列を最適化した。IC9G1のVH、VK、重鎖および軽鎖をコードする最適化されたヌクレオチド配列は、それぞれ、配列番号28〜31として開示される。
7.1.2. 遺伝子組立ておよび発現クローニング
Stemmerによって最初に報告されたPCRベースの遺伝子組立て法(Stemmer, W. P. et al. 1995 Gene, 164:49-53)によって構築物を作製することができる。この方法は、オリゴヌクレオチド合成; 遺伝子組立て; 遺伝子増幅およびクローニングの4ステップからなる。PCRによって媒介される遺伝子組立てに使用することができる8つのVH遺伝子特異的プライマーおよび6つのVK遺伝子特異的プライマーを表2に列挙する。特定のアミノ酸置換を含む変異VHおよびVK領域に関するプライマーセットは、所定のアミノ酸残基をコードするプライマーの核酸配列を改変することによって作製することができる。プライマーを15〜20ヌクレオチド重複するように設計し、それはサーマルサイクル処理中に完全可変領域となるようライゲートされる。VHの場合、追加のベクター特異的プライマー(表2の汎用VH FW)を、PCRによって媒介される遺伝子組立てプロセスに含める。VH領域に関する外部5'および3'プライマーは、後のクローニングステップを支援するために、それぞれ、XbaIおよびApaI制限酵素に特有の認識部位を含む。VKに関する外部5'および3'プライマーは、後のクローニングステップを支援するために、それぞれ、XmaIおよびBsiWI制限酵素に特有の認識部位を含む。正しいサイズのPCR産物を制限消化し、発現ベクターにインフレームでライゲートする。その場合、製造元の使用説明書にしたがってVH領域をXbaIおよびApaIで消化し、かつVK領域をXmaIおよびBsiWIで消化する。重鎖組立てベクターは、MGDNDIHFAFLSTGVHS VHリーダー(配列番号26)およびヒトIgHγ1定常領域をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された真核生物の転写調節要素を含み、該転写調節要素はCMV前初期プロモーターおよびSV40ポリA付加シグナルを含む。VH組立てに適切に設計されたプライマーを使用することにより、VHリーダー、VH領域およびIgHγ1定常領域をコードするポリヌクレオチド配列が最終重鎖発現ベクター内でインフレームで連結されるよう保証する。軽鎖組立てベクターは、ヒトVKI-L12リーダー(アミノ酸配列MDMRVPAQLLGLLLLWLPGAKC (配列番号27); Bentley, D. L. & Rabbitts, T. H., Nature 288,730-733 (1980))およびヒトIgLκ定常領域をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された真核生物の転写調節要素を含み、該転写調節要素はCMV前初期プロモーターおよびSV40ポリA付加シグナルを含む。VK組立てに適切に設計されたプライマーを使用することにより、VKI-L12リーダー、VK領域およびIgLκ定常領域をコードするポリヌクレオチド配列が最終軽鎖発現ベクター内でインフレームで連結されるよう保証する。ライゲーション産物を使用して、DH10Bコンピテント大腸菌細胞を製造元のプロトコルにしたがって形質転換する。当技術分野において公知の種々の方法(例えば、ベクターDNA調製物の制限消化、ベクター配列のPCR増幅)を使用して、プラスミドおよび正しいサイズの挿入物を含有するコロニーを特定することができる。正しいサイズの挿入物を有するプラスミドクローンを、ジデオキシシークエンシング反応(例えばBigDye(登録商標) Terminator v3.0 Cycle Sequencing Ready Reaction Kit, ABI)を使用してシークエンシングすることができる。QIAGEN Mini and Maxi Plasmid Kitを製造元のプロトコルにしたがって使用して選択クローンからプラスミドDNAを調製する。
抗ICOS重鎖および軽鎖ポリペプチドをコードするDNAプラスミド発現ベクター調製物を使用して、HEK293細胞を同時トランスフェクトする。同時トランスフェクトされたHEK293細胞を標準条件下で培養する。トランスフェクションの72および144時間後に抗体含有条件培地を回収する。1 ml HiTrapプロテインAカラムを製造元の使用説明書にしたがって使用して(APBiotech, Inc., Piscataway, NJ)、分泌された可溶性ヒトIgGを条件培地から直接精製する。精製されたヒトIgG (SDS-PAGEによって判断された場合、典型的に> 95%純度)をリン酸緩衝食塩水(PBS)に透析し、急速冷凍し、-70℃で保存する。
捕獲ELISAアッセイを使用して、精製された調製物のIgG濃度を定量する。簡潔に言えば、IgG分子を、固定されたヤギ抗ヒトIgG H+L特異的抗体によって96ウェルプレート上に捕獲し、HRPにコンジュゲートされた抗ヒトカッパ軽鎖抗体で検出する。無関係の特異性のリファレンスIgG1 mAbを使用してアッセイを較正する。
7.1.3. 変異Fcドメインを含む、ADCCが増強された抗ICOS抗体
S239D、A330L、およびI332Eアミノ酸置換を含む変異Fcドメインを有する、ADCCが増強された抗ICOS抗体(以後、「IC9G1-3M」と称される)をコードする抗体発現ベクターを、ともにLazar et al.の米国特許公開2004/0132101および2005/0054832に記載の方法を使用して作製することができる。簡潔に言えば、部位特異的突然変異誘発キット(例えばQuickChange (Promega))を使用してJMab136 VHおよびVLドメインをコードする上記抗体発現ベクターを改変し、重鎖定常領域をコードするポリヌクレオチド配列に、必要なヌクレオチド残基置換を導入して、IC9G1-3M抗体発現ベクターを作製する。IC9G1-3M抗体発現ベクターでHEK239F細胞をトランスフェクトすることによって、精製されたIC9G1-3M抗体を作製する。3および6日目に、トランスフェクトされた細胞に栄養を与え、9日目に抗体含有条件培地を回収する。pre-castプロテインAカラム(GE Healthcare)を使用して条件培地から抗体を精製する。低pHバッファーでカラムから抗体を溶出させ、中和し、PBSに透析する。280 nmでの溶液の光学密度から、精製された抗体の濃度を算出する。
7.1.4. ADCCヌル抗ICOS Fc変異抗体
L234F、L235E、およびP331Sアミノ酸置換を含むFc領域を有する、減少したADCC活性を有する抗ICOS抗体(以後、「IC9G1-TM」と称される)をコードする抗体発現ベクターを、ともにLazar et al.のUS 2004/0132101およびUS 2005/0054832に記載の方法を使用して作製する。簡潔に言えば、部位特異的突然変異誘発キット(例えばQuickChange (Promega))を使用してJMab136 VHおよびVLドメインをコードする上記抗体発現ベクターを改変し、重鎖定常領域をコードするポリヌクレオチド配列に、必要なヌクレオチド残基置換を導入して、IC9G1-TM抗体発現ベクターを作製する。IC9G1-TM抗体発現ベクターでHEK239F細胞をトランスフェクトすることによって、精製されたIC9G1-TM抗体を作製する。3および6日目に、トランスフェクトされた細胞に栄養を与え、9日目に抗体含有条件培地を回収する。pre-castプロテインAカラム(GE Healthcare)を使用して条件培地から抗体を精製する。低pHバッファーでカラムから抗体を溶出させ、中和し、PBSに透析する。280 nmでの溶液の光学密度から、精製された抗体の濃度を算出する。
7.1.5. 増加したADCCを示す無フコシル化(Afucosylated)抗ICOS抗体
フコースが還元末端においてN-アセチルグルコサミンに結合していないFc領域のAsn297に連結された複合型N-グリコシド結合糖鎖を有する多数(plurality)の抗体を含むIC9G1抗体組成物(以後、IC9G1-aFucと称される)を、Kanda et al.のUS 6,946,292に記載の方法にしたがって調製した。簡潔に言えば、JMab136の重鎖および軽鎖をコードするDNAプラスミド発現ベクター調製物でフコシルトランスフェラーゼノックアウトCHO細胞をトランスフェクトする。3および6日目に、トランスフェクトされた細胞に栄養を与え、9日目に抗体含有条件培地を回収する。pre-castプロテインAカラム(GE Healthcare)を使用して条件培地から抗体を精製する。低pHバッファーでカラムから抗体を溶出させ、中和し、PBSに透析する。280 nmでの溶液の光学密度から、精製された抗体の濃度を算出する。
7.2. ADCCが増強された抗ICOS抗体の結合プロファイルの特徴付け
ADCCが増強された抗ICOS抗体の結合プロファイルを当業者に公知のいくつかの方法によって特徴付けすることができる。例えば、非限定的に、細胞ベースのELISAアッセイ、捕獲試薬として組換えICOS分子を使用するELISAアッセイ、フローサイトメトリー、Biacore解析を使用することによって抗体を特徴付けすることができる。
ADCCが増強された抗ICOS抗体がICOSに結合する能力は、組換えICOSタンパク質を細胞表面に発現する安定なトランスフェクタント細胞を捕獲物質として利用する細胞ベースのICOS結合アッセイによって評価することができる。米国特許6,803,039は、ICOSトランスジェニックCHOセルラインおよびICOSトランスジェニックHPB-ALLセルラインを報告する。該各セルラインは細胞ベースのELISAアッセイにおいて使用することができる。当業者に公知の方法のいずれか1つを使用することによって細胞ベースのELISAを実施することができる。例えば、L-グルタミンを含有しかつ10%ウシ胎児血清が補充されたRPMI 1640培地中で標準プロトコルにしたがってHPB-ALL h-ICOS+細胞を培養する。96ウェルU底プレートの個々のウェルに1x10e5の安定なトランスフェクタントHPB-ALL hICOS細胞を播種し、一晩インキュベートする。細胞をELISAバッファーで1回洗浄した後、種々の量の抗ICOS抗体と氷上でインキュベートする。各試験抗体濃度に関して結合反応を3回実施する。無関係の特異性のアイソタイプ適合抗体(isotype matched antibody)を使用するネガティブコントロールウェルをアッセイに加えるべきであろう。非トランスフェクトHPB-ALL細胞が播種された追加のネガティブコントロールウェルを使用して、抗ICOS抗体の結合特異性をさらに実証してもよい。抗体とのインキュベーション後、HPB-ALL hICOS細胞を200マイクロリットルのELISAバッファーで3回洗浄する。標準プロトコルにしたがって西洋わさびペルオキシダーゼとコンジュゲートされたヤギ抗ヒトカッパ抗体を使用して、HPB-ALL hICOS細胞に結合した抗ICOS抗体の量を検出することができる。ICOS特異的抗体は、HPB-ALL hICOS細胞の場合に用量依存的ELISAシグナルを生成し、親HPB-ALL細胞の場合はそうではないはずであろう。ELISAシグナルは、細胞表面上のすべての利用可能なエピトープが結合している抗体濃度で最大に達すると予測される。
組換えICOS-Fc融合タンパク質(R&D Systems)を捕獲試薬として使用するELISAアッセイによって抗ICOS抗体を特徴付けしてもよい。当業者に公知の確立されているプロトコルのいずれか1つにしたがってELISAアッセイを実施することができる。例えば、マイクロタイタープレートをICOS-Fc融合タンパク質(例えば100μlの0.25μg/ml ICOS-Fcタンパク質)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートする。すべての残りの結合部位をPBSバッファー中の4%スキムミルク(ブロッキングバッファー)で37℃で1時間ブロックする。約25〜50μlの種々の濃度の抗ICOS抗体溶液を各ウェルに加え、37℃で1時間インキュベートする。ウェルを洗浄した後、ICOS-Fc融合タンパク質に結合した抗ICOS抗体の検出に、西洋わさびペルオキシダーゼにコンジュゲートされたヤギ抗ヒトカッパ抗体を製造元の使用説明書にしたがって使用する。30μlのテトラメチルベンジジン(TMB)基質(Pierce)を加え、次いで30μlの0.2 M H2SO4で中和することによって検出を実行する。450 nmの吸光度を読み取る。無関係の特異性のアイソタイプ適合抗体を使用するネガティブコントロールウェルをアッセイに含めるべきであろう。さらに、ICOS-Fcタンパク質を含まないネガティブコントロールウェルをアッセイに含めてもよい。ICOS特異的抗体は、ICOS-Fcコーティングウェルの場合に用量依存的ELISAシグナルを生成し、コーティングされていないネガティブコントロールウェルの場合はそうではないはずであろう。ELISAシグナルは、すべての利用可能なエピトープが占有される抗体濃度で最大に達すると予測される。
ADCCが増強された抗ICOS抗体の抗原特異性をフローサイトメトリーアッセイによって特徴付けしてもよい。細胞表面にヒトICOSを発現する、単離された細胞(例えば、安定なトランスフェクタントCHO hICOS細胞、活性化Tリンパ球)を標準プロトコルにしたがって蛍光コンジュゲート抗ICOS抗体とインキュベートする。細胞表面にICOSを提示しないネガティブコントロール細胞を同一プロトコルを使用して同様に染色する。免疫染色された細胞をフローサイトメーターで分析する。無関係の特異性のネガティブコントロール抗体とインキュベートされた細胞をアッセイに含めてもよい。蛍光コンジュゲート抗ICOS抗体で染色されたICOS発現細胞は、同抗体で染色された非ICOS発現細胞または無関係の特異性のネガティブコントロール抗体で染色されたICOS発現細胞の平均蛍光強度より高い平均蛍光強度を有するはずであろう。
Biacore Systemを使用して、ADCCが増強された抗ICOS抗体の結合親和性を決定してもよい(米国特許6,803,039を参照のこと)。
7.3. 脱アミド化抗ICOS抗体の抗原結合親和性
アスパラギン残基の脱アミドは抗体医薬品の化学分解に大きく寄与する(Chelius et al., Anal .Chem. 77:6004-11 (2005)を参照のこと)。潜在的脱アミド部位が抗体のCDR領域内に位置する場合に脱アミドは特に重要である。JMAb136軽鎖可変ドメインのCDR3はKabat 92位にNS潜在的脱アミド部位を含む。抗ICOS抗体の抗原結合親和性に対する脱アミドの影響は、当業者に公知の方法を使用して評価することができる。簡潔に言えば、化学的脱アミドプロセスを増強することが知られている条件下で抗ICOS抗体を保存する。例えば、抗ICOS抗体を、pH 8.5または9.5を有するバッファー中で40℃で2週間保存して、脱アミドプロセスを促進することができる。アスパラギン残基の脱アミドはタンパク質のトータルの電荷を変化させるので、所定の精製された抗体サンプル中の脱アミドの程度をいくつかの分析法、例えば、非限定的に、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)、等電点分画法(IEF)、液体クロマトグラフィー/質量分析(Mass Sprectometry) (LC-MS)によって評価することができる。ICOS結合親和性に対する脱アミドの影響は、高および低レベルの脱アミドを有するIC9G1抗体調製物の結合特性を比較することによって確認することができる。例えば、非限定的に、細胞ベースのELISAアッセイ、捕獲試薬として組換えICOS分子を使用するELISAアッセイ、フローサイトメトリー、Biacore解析によって種々の抗体調製物の結合親和性を分析することができる。脱アミド時にIC9G1抗ICOS抗体調製物のICOS結合活性が有意に減少すれば、抗体の化学分解に脱アミドが主要な役割を果たすことが示唆される。あるいは、脱アミドされていないIC9G1抗体調製物と脱アミドIC9G1抗体調製物のICOS結合活性が非常に類似であれば、抗体の分解経路を考慮する場合に脱アミドは主要な問題ではないことが示唆される。脱アミドがIC9G1抗ICOS抗体の長期安定性に関する問題を提起する場合、上記方法を使用して単一アミノ酸置換変異体を作製することによって脱アミド部位をアミノ酸配列から排除することができる。本明細書中に記載の方法を使用することによって、任意の脱アミドヌル抗ICOS抗体変異体のICOS結合親和性を特徴付けすることができる。
7.4. ADCCが増強された抗ICOS抗体のin vitro ADCC活性
種々の抗ICOS抗体のADCC活性を、米国特許第5,500,362号または第5,821,337号に記載のアッセイ等のin vitro ADCCアッセイによって決定することができる。ADCCアッセイは、市販アッセイキット、例えば、非限定的にCytoTox 96(登録商標) Non-Radioactive Cytotoxicity Assay (Promega)を使用して実施することができる。CytoTox 96(登録商標) Non-Radioactive Cytotoxicity Assay (Promega)は51Cr放出細胞傷害性アッセイに代わる比色アッセイである。CytoTox 96(登録商標)アッセイは、細胞溶解時に放出される安定なサイトゾル酵素である乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を定量的に測定する。培養上清中の放出されたLDHを30分の共役酵素アッセイで測定し、それにより、テトラゾリウム塩(INT)から赤色ホルマザン産物への変換が生じる。形成される色の量は、溶解された細胞数に比例する。
該アッセイを製造元の使用説明書にしたがって実施する。簡潔に言えば、標的細胞をPBSで洗浄し、RPMI-5フェノールフリー培地に0.4x106 /mlの細胞密度で再懸濁する。NKエフェクター細胞をPBSで1回洗浄し、RPMI-5フェノールフリー培地に細胞密度1x106 /mlで再懸濁する。U底96ウェルプレートでアッセイを実施する。各アッセイプレートは実験ウェルおよびコントロールウェルの組み合わせを含む。50μlの適切な抗体希釈剤、50 ulの標的細胞懸濁液および50 ulのエフェクター細胞懸濁液を組み合わせることによって実験ウェルを構成する。上記細胞密度は1:2.5の標的対エフェクター細胞比を生じさせる; 異なる標的対エフェクター比が所望であれば、エフェクター細胞原液をさらに希釈するか、または濃縮することができる。(i) 標的細胞からの自発的LDH放出(標的自発値(Target Spontaneous))、(ii) エフェクター細胞からの自発的LDH放出(エフェクター自発値(Effector Spontaneous))、(iii) 標的細胞からの最大LDH放出(標的最大値(Target Maximum))、および(iv) 培養培地中の混入物の存在(バックグラウンド(Background))を明らかにするために、いくつかの異なるタイプのコントロールウェルを使用する。96ウェルプレート上の使用されているすべてのウェルは同一の最終容量を含有する。反応を三重に構成する。構成後、プレートを120 x gで3分間回転させて細胞をペレットにする。プレートを37℃/ 5% CO2で4時間インキュベートする。インキュベーションの終点の45分間前に、15μlの製造元によって提供されたLysis BufferをTarget Cell Maximum Release Controlウェルに加える。インキュベーション後、プレートを120 x gで4分間遠心分離する。各ウェル由来の50μlの上清を新規平底96ウェルプレートに移す。50μlの再組成基質ミックス(製造元によって提供された成分から組立てられる)を加え、プレートを室温で10〜20分間、光から保護して、インキュベートする。50μlの製造元によって提供された停止バッファーを加え、490または492 nmの吸光度をプレートリーダーで測定する。細胞傷害性% = (実験値(Experimental) - エフェクター自発値(Effector spontaneous) - 標的自発値(Target Spontaneous)) / (標的最大値(Target Maximum) - 標的自発値(Target Spontaneous))。細胞傷害性%を算出する前に、すべての他の値からバックグラウンド(Background)を減算する。
抗ICOS抗体依存性細胞傷害性アッセイの潜在的標的細胞には、非限定的に、安定なトランスフェクタントhICOS発現セルライン(例えば米国特許6,803,039に記載のヒトICOS発現CHOセルラインおよびヒトICOS発現HPB-ALLセルライン)が含まれる。あるいは、ヒトICOSを細胞表面に提示する、新たに単離された細胞(例えば活性化T細胞)を標的細胞として使用してもよい。好適なエフェクター細胞には、非限定的に、新たに単離されたナチュラルキラー細胞(NK細胞)、および末梢血単核細胞(PMBC)が含まれる。トランスジェニックFc受容体(例えばCD16)および関連シグナル伝達ポリペプチド(例えばFCεRI-γ)を発現するNK細胞セルラインもまたエフェクター細胞として有用である(例えばCampbellのWO 2006/023148 A2を参照のこと)。
無改変抗ICOS抗体(例えばIC9G1)、ADCCが増強された抗ICOS抗体(例えばIC9G1-aFuc, IC9G1-3M)を使用して並行してADCCアッセイを実施する。ADCCが増強された抗体は、無改変抗体によって媒介される標的細胞溶解パーセンテージより高いパーセンテージの標的細胞の溶解を媒介すると予測される。減少したADCC活性を有する抗ICOS抗体(例えばIC9G1-TM)をネガティブコントロールとしてアッセイに含めてもよい。hICOSを発現しない標的細胞を使用することによって、抗ICOSによって媒介されるADCCアッセイの標的特異性を実証することができる。hICOSを発現しない標的細胞を使用して実施されたADCCアッセイにおけるバックグラウンドの細胞傷害性は、ADCCが増強された抗ICOS抗体と無改変抗ICOS抗体を使用する反応の間で類似であると予測される。
7.5. トランスジェニックマウスにおけるヒトICOS発現
当業者に周知の方法を使用して開発することができるヒトICOSトランスジェニックマウス、またはヒトICOSを発現する他のトランスジェニック動物を使用して、抗ICOS抗体を含む異なる治療方式、例えば、投薬濃度、量、およびタイミングのバリエーションを評価することができる。異なる治療方式のヒト患者での効力を、例えば以下2つの指標、すなわち特定の体液および/または組織中のT細胞枯渇および抗ICOS抗体がT細胞に結合する能力を使用して予測することができる。特定の実施形態では、ヒトICOSトランスジェニックマウスにおいて有効な治療方式を本発明の組成物および方法とともに使用して、非限定的に、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、およびT細胞悪性腫瘍を含むヒトT細胞障害および疾患を治療することができる。
ヒトICOS導入遺伝子を含むトランスジェニックマウス(hICOStg)由来のT細胞亜集団上でヒトICOSが発現されるかどうかを決定するために、前記マウスの胸腺、末梢血、脾臓、リンパ節および腹腔洗浄液からT細胞を抽出することができる。ヒトICOSに特異的に結合する抗ICOS抗体(例えばIC9G1)またはマウスICOS (mICOS)に特異的に結合する抗ICOS抗体(例えばクローン15F9, BioLegend, CA)と細胞を接触させることによって、これらの細胞中のヒトICOSおよびマウスICOSの発現を評価することができる。4色免疫蛍光染色をフローサイトメトリー分析とともに使用して、T系列細胞亜集団に対する抗体の結合を検出することができる。次いで、平均蛍光強度(hICOSに対する抗hICOSおよびmICOSに対する抗mICOS)をそれぞれ測定することによって、mICOSとhICOSの相対発現レベルを評価することができる。
7.6. 抗ICOS抗体によって媒介されるIn VivoのT細胞の枯渇
ヒトICOSに結合する本発明の抗ICOS抗体を、in vivoでhICOStg胸腺、末梢血、脾臓、およびリンパ節T細胞亜集団を枯渇させるその能力に関して評価することができる。例えば、各抗体を250または50μg/マウスでマウスに投与する。一回量はヒト被験体に投与される375 mg/m2用量の約10〜50分の1である。hICOStgマウスの胸腺、血液、脾臓およびリンパ節からのT細胞枯渇を免疫蛍光染色およびフローサイトメトリー分析によって決定することができる。T細胞を枯渇させることが可能であると特定された抗ICOS抗体を使用した結果はヒトでの使用に相関し、特定された抗体の特性を有する抗体を、非限定的に、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、およびT細胞悪性腫瘍を含むヒトT細胞障害および疾患の治療のために本発明の組成物および方法において使用することができる。
7.6.1. 組織T細胞枯渇がFCγR依存的であるかどうかの決定
本発明の抗ICOS mAbの投与が組織T細胞枯渇を生じさせる場合、以下のアッセイを使用してFcγR発現に対する依存性を実証することができる。hICOStgマウスを、特定のFcγRの発現を欠いているマウスと交配するプロセスを通して、hICOSを発現しかつ特定のFcγRの発現を欠いているマウスを作製することができる。そのようなマウスをアッセイにおいて使用して、FcγR発現が関与する経路、例えばADCCを通して抗ICOS抗体がT細胞を枯渇させる能力を評価することができる。ゆえに、これらのアッセイにおいて特定された抗ICOS抗体を使用し、上記技術を使用して、増強されたエフェクター機能を有する抗ICOS抗体を改変することができる。そして、非限定的に、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、およびT細胞悪性腫瘍を含むヒトT細胞障害および疾患の治療のために、本発明の組成物および方法においてそのような抗体を使用することができる。
マウスエフェクター細胞は、IgGに関する4つの異なるFcγRクラス、高親和性FcγRI (CD64)、および低親和性FcγRII (CD32)、FcγRIII (CD16)、およびFcγRIV分子を発現する。FcγRI、FcγRIIIおよびFcγRIVはヘテロオリゴマー複合体であり、該複合体では、それぞれのリガンド結合α鎖が共通のγ鎖(FcRγ)と結びついている。FcRγ鎖発現は、FcγRの組立ておよび、マクロファージによる食作用を含むエフェクター機能の、FcγRによる誘発に必要とされる。FcRγ-/-マウスは高親和性FcγRI (CD64)および低親和性FcγRIII (CD16)およびFcγRIV分子を欠くため、hICOSを発現するFcRγ-/-マウスを使用して、抗ICOS抗体治療後の組織T細胞枯渇におけるFcγRの役割を評価することができる。
7.6.2. 抗ICOS抗体によって誘発されるT細胞枯渇の耐久性
T細胞枯渇の効力および持続時間を評価するために、抗ICOS抗体の単一の低用量(例えば250μg)の注射をhICOStgマウスに投与し、T細胞枯渇の持続時間および用量反応を時間の関数として追跡することができる。結果は、かなりの期間(例えば1週間〜6か月)にわたり循環T細胞が枯渇し、その後ICOS発現T細胞が徐々に回復することを示すと予測される。
7.7. 本発明の抗ICOS抗体の皮下(S.C.)投与の治療効力
本明細書中に記載のアッセイを使用して、本発明の抗ICOS抗体の皮下経路での投与により、T細胞亜集団が効果的に枯渇されるかどうかを実証することができる。動物モデルで試験された異なる送達経路の効力の結果を、当技術分野において周知の手段によってヒトに相関させることができる。
例えば、hICOStgマウスを、皮下(s.c.)、腹腔内(i.p.)または静脈内(i.v.)投与によって250μgの本発明の抗ICOS抗体で処置することができる。フローサイトメトリーを使用して評価される平均(±標準誤差)の血液(mLあたり)、胸腺、脾臓、リンパ節、および腹腔ICOS陽性T細胞数の値を7日目に決定する。結果は、本発明の抗ICOS抗体の皮下(s.c.)、腹腔内(i.p.)および静脈内(i.v.)投与により、in vivoでICOS発現循環および組織T細胞が効果的に枯渇されることを実証すると予測される。
7.8. in vivoリンパ腫モデルにおける腫瘍増殖を減少させるための抗ICOS抗体の使用
ヒトICOSに結合する本発明の抗ICOS抗体を、in vivo動物モデルにおいて腫瘍増殖を減少させるその能力に関して評価することができる。例えば、SCIDマウスにヒトICOS発現セルラインを注射して、腫瘍異種移植片(例えば安定なトランスフェクタントHBP-ALL hICOS細胞)を確立させる。次いで、マウスに数回投与量の本発明の抗ICOS抗体を投与する(例えば100μg抗体/マウス、5回)。標準的方法(例えば、腫瘍容積、動物体重、麻痺)を使用して腫瘍増殖を追跡する。抗ICOSまたはコントロール抗体治療を受けた動物を比較することによって腫瘍増殖に対する抗ICOS治療の効果を決定することができる。腫瘍増殖を減少させることが可能であると特定された抗ICOS抗体を使用して得られた結果をヒトでの使用に相関させることができ、腫瘍増殖を減少させることが可能な抗体を、非限定的に、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、およびT細胞悪性腫瘍を含むヒトT細胞障害および疾患の治療のために本発明の組成物および方法において使用することができる。
腫瘍増殖を減少させる抗ICOS抗体の能力がICOS密度に依存的であるかどうかを決定するために、異なるICOS発現プロファイルを有する腫瘍セルラインを上記in vivo腫瘍増殖アッセイにおいて試験することができる。得られた結果は、腫瘍細胞表面上のヒトICOS密度が、抗ICOS抗体の、腫瘍増殖を減少させる活性に影響しうるかどうかを示す。結果は、種々のレベルのICOS発現を有するヒト患者の治療に相関させることができる。ゆえに、本明細書中に記載のICOSの存在および密度を検査するための方法をヒト被験体において使用して、特定の抗ICOS抗体が悪性T細胞の増殖を減少させることができる対象の患者または患者集団を特定することができ、かつ/または好適な用量を決定することができる。
腫瘍増殖を減少させる抗ICOS抗体の能力がFcγR依存的であるかどうかを決定するために、Fcγ受容体活性が損なわれているSCIDマウス(例えばFcRγ-/-)を使用して上記in vivo腫瘍増殖アッセイを実施する。SCIDマウスを、特定のFcγRの発現を欠いているマウスと交配するプロセスを通して、特定のFcγRの発現をも欠いているSCIDマウス(例えばSCID, FcRγ-/-マウス)を作製することができる。そのようなマウスをアッセイにおいて使用して、FcγR発現が関与する経路、例えばADCCを通して抗ICOS抗体が腫瘍増殖を減少させる能力を評価することができる。結果に基づいて、上記技術を使用して、増加したADCCを有する抗ICOS抗体を改変することができる。そして、非限定的に、自己免疫疾患または障害、炎症性疾患または障害、およびT細胞悪性腫瘍を含むヒトT細胞障害および疾患の治療のために、本発明の組成物および方法においてそのような抗体を使用することができる。
7.8.1. Fcγ受容体に対するIC9G1-aFucの結合
ヒトおよびカニクイザルFcγRIIIA-V158、FcγRIIIA-F158、FcγRIIAおよびFcγRIIBに対するIC009、IC9G1およびIC9G1-aFucの平衡結合定数をBIAcore 3000機器(Uppsala, Sweden)で測定する。標準プロトコルにしたがって測定を実施する。簡潔に言えば、製造元によって推奨されるように標準アミノカップリング化学を使用して、すべてのIgGを2つのCM5センサーチップの別々のフローセルに固定する。固定されたIgGレベルは8194〜8725 RUの範囲である。すべてのFcγRの組換え発現細胞外ドメインの4000または16000 nMの原液を調製した後、機器バッファー(0.01 M HEPES, pH 7.4, 0.15 M NaCl, 3 mM EDTAおよび0.005% P-20を含有する50 mM HBSバッファー)を使用して連続希釈して所望の濃度にする。各濃度のFcγRの重複注射をすべてのIgG表面にわたって5μL/分の流速で行う。結合データを約50分間回収し、次いで注射の間に5 mM HClの30秒パルスを行ってIgG表面を再生する。また、一連の注射の全体を通して所々で数回のバッファー注射を行う。これらのバッファー注射のうちの1回をリファレンス細胞データとともに使用して生データセットを補正する。すべての結合データを回収した後、個別のデータセットを各γ濃度に関して平均し、次いで1:1結合等温式にフィッティングして、平衡結合定数KDを得る。解析はBIAevaluationソフトウェアを使用して行う。KD値(nM)を図2に挙げる。
7.9. IC9G1-aFucは抗CD3/ICOSLによって誘発されるヒトT細胞増殖を阻害する。
96ウェル組織培養プレートを25μLの2μg/ml B7h-Fcタンパク質および25μLの0.2μg/ml 抗CD3抗体(OKT3)でコーティングする。種々の濃度(0.1〜20μg/ml)のIC009、IC9G1およびIC9G1-aFuc抗体の存在下で、単離されたT細胞を、プレコーティングされたプレートに入れる。72時間のインキュベーション後に、発光アッセイを使用して各ウェル中の生細胞数を測定することによってT細胞増殖を突きとめる。コーティングされていないウェル、および抗CD3抗体またはB7h-Fcタンパク質のみでコーティングされたウェル中のT細胞の増殖をコントロールとして決定する。
得られた結果の例を図3に示す。刺激されていないT細胞または、抗CD3もしくはB7h-Fcのみによって刺激されたT細胞は非常に限定されたベースライン増殖を示した。0.01mg/mlの抗体の存在下での表面結合抗CD3およびB7h-FcによるT細胞誘導は、ベースラインより有意に高い細胞増殖を生じさせた。抗CD3/B7h-Fcによって誘発されるT細胞増殖は、全3種の試験抗ICOS抗体(IC009、IC9G1およびIC9G1-aFuc)によって用量依存的様式で阻害される。IC009、IC9G1およびIC9G1-aFuc抗体の阻害活性はこのアッセイにおいて実質的に同一であった。
7.10. IC9G1-aFucは抗CD3/抗CD28によって誘発されるヒトT細胞増殖を阻害しない。
96ウェル組織培養プレートを抗CD3 (OKT3)および抗CD28抗体でコーティングする。10μg/mlのIC9G1-aFuc抗体の存在下で、単離された扁桃腺T細胞を、プレコーティングされたプレートに入れる。72時間のインキュベーション後に、発光アッセイを使用して各ウェル中の生細胞数を測定することによってT細胞増殖を突きとめる。コーティングされていないウェル、および抗CD3または抗CD28抗体のみでコーティングされたウェル中のT細胞の増殖をコントロールとして決定する。
得られた結果の例を図4に示す。刺激されていないT細胞または、抗CD3もしくは抗CD28抗体のみによって刺激されたT細胞は非常に限定されたベースライン増殖を示した。表面結合抗CD3および抗CD28抗体によるT細胞誘導は、ベースラインより有意に高い細胞増殖を生じさせた(αCd3+αCD28)。IC9G1-aFuc抗体(10μg/ml)は抗CD3/抗CD28によって誘発されたT細胞増殖を阻害しなかった(αCd3+αCD28+IC9G1-aFuc)。
7.11. IC9G1-aFucは増強されたADCC活性を有する。
種々のICOS発現初代細胞およびセルラインを使用するin vitro ADCCアッセイによってIC9G1-aFucのADCC活性を突きとめる。標準プロトコルにしたがってADCCアッセイを実施する。簡潔に言えば、IC9G1-aFuc抗体の存在下で、標的細胞およびエフェクター細胞(例えばCD16および関連シグナル伝達ポリペプチドFCεRI-γを発現するトランスジェニックNK細胞)をあらかじめ決められた比(例えばエフェクター対標的比2.5:1)でプレートに入れる。あらかじめ決められた長さの期間(例えば4時間)、プレートをインキュベートする。市販のLDH検出キットを使用して上清へのLDH放出を測定することによって細胞死を確認する。抗体含有ウェルで検出されたLDHレベルから抗体を含まないコントロールウェルで検出されたバックグラウンドLDHレベルを減算することによって抗体媒介性細胞傷害を算出する。抗体媒介性細胞傷害を、達成可能な最大細胞傷害の%として表記する。化学的に溶解された細胞を含有するウェル(例えばTriton-X 100で処理されたウェル)で測定されたLDHレベルから最大細胞傷害の値を得る。抗体媒介性細胞傷害を抗体濃度の関数としてプロットすることによってADCC活性を示す。EC50値は、特定のアッセイにおいて50%最大抗体媒介性細胞傷害を生じさせる抗体濃度に相当する。
図5Aは、安定なトランスフェクタントHPB-ALL hICOS細胞を標的細胞として使用して実施されたADCC活性測定の例を示す。ヒトICOSトランスジェニックHPB-ALLセルラインの作製は米国特許6,803,039に記載されている。エフェクター対標的比2.5:1のCD16/FCεRI-γトランスジェニックNK細胞をエフェクター細胞として使用してADCCアッセイを実施した。ADCC反応を4時間進行させた。IC009、IC9G1およびIC9G1-aFuc抗体のADCC活性を突きとめた。IC009によって媒介されるADCC活性は検出レベル未満であった。IC9G1-aFucのADCC活性はIC9G1抗体のADCC活性より有意に高かった。このアッセイにおいてIC9G1-aFucおよびIC9G1抗体のEC50値はそれぞれ138 pMおよび648 pMであった。
図5Bは、ヒトICOSトランスジェニックJurkat細胞を標的細胞として使用して実施されたADCC活性測定の例を示す。エフェクター対標的比2.5:1のCD16/FCεRI-γトランスジェニックNK細胞をエフェクター細胞として使用してADCCアッセイを実施した。ADCC反応を4時間進行させた。IC009、IC9G1およびIC9G1-aFuc抗体のADCC活性を突きとめた。全3種の抗体は測定可能なADCC活性を示した。IC9G1-aFucおよびIC9G1の最大ADCC活性%はIC009の最大ADCC活性%より高かった。IC9G1-aFucおよびIC9G1の最大ADCC活性%は実質的に同じであった。このアッセイにおいてIC9G1-aFucおよびIC9G1抗体のEC50値はそれぞれ5.7 pMおよび61 pMであった。
図7は、単離されたヒト扁桃腺T細胞を標的細胞として使用して実施されたADCC活性測定の例を示す。ヒト扁桃腺T細胞のICOS発現をCD4+CD45RO+CD45RA-CXCR5+記憶TFH細胞集団に限定した(図6)。市販のキット(Miltenyi MACSヒトPanT細胞単離キット)を活用してヒト扁桃腺T細胞を単離した。エフェクター対標的比2:1で、単離されたヒトNK細胞をエフェクター細胞として使用してADCCアッセイを実施した; 反応物を一晩インキュベートした。IC009、IC9G1およびIC9G1-aFuc抗体のADCC活性を突きとめた。IC009によって媒介されるADCC活性は検出レベルをわずかに超える程度であった。このアッセイにおいてIC9G1-aFucおよびIC9G1抗体は用量依存的ADCC活性を示した。IC9G1-aFucのADCC活性はIC9G1抗体のADCC活性より有意に高かった。このアッセイにおいてIC9G1-aFucおよびIC9G1抗体のEC50値はそれぞれ8.2 pMおよび60.4 pMであった。
図8は、単離されたカニクイザル脾臓T細胞を標的細胞として使用して実施されたADCC活性測定の例を示す。ICOS発現を脾臓のCD4+CD45RA-記憶T細胞集団に実質的に限定した(図8A)。非ヒト霊長類T細胞単離キット(Miltenyi)を使用してカニクイザル脾臓T標的細胞を単離した。エフェクター対標的比2:1で、単離されたヒトNK細胞をエフェクター細胞として使用してADCCアッセイを実施した; 反応物を一晩インキュベートした。IC009、IC9G1およびIC9G1-aFuc抗体のADCC活性を突きとめた。IC009によって媒介されるADCC活性は検出レベル未満であった。このアッセイにおいてIC9G1-aFucおよびIC9G1抗体は用量依存的ADCC活性を示した。IC9G1-aFucのADCC活性はIC9G1抗体のADCC活性より有意に高かった。このアッセイにおいてIC9G1-aFucおよびIC9G1抗体のEC50値はそれぞれ14.6 pMおよび236 pMであった。
図8は、単離されたカニクイザル腸間膜リンパ節(MLN) T細胞を標的細胞として使用して実施されたADCC活性測定の例を示す。ICOS発現をMLNのCD4+CD45RA-活性化T細胞集団に実質的に限定した(図9A)。非ヒト霊長類T細胞単離キット(Miltenyi)を使用してカニクイザル脾臓T標的細胞を単離した。エフェクター対標的比2:1で、単離されたヒトNK細胞をエフェクター細胞として使用してADCCアッセイを実施した; 反応物を一晩インキュベートした。IC009、IC9G1およびIC9G1-aFuc抗体のADCC活性を突きとめた。IC009によって媒介されるADCC活性は検出レベルであった。このアッセイにおいてIC9G1-aFucおよびIC9G1抗体は用量依存的ADCC活性を示した。IC9G1-aFucのADCC活性はIC9G1抗体のADCC活性より有意に高かった。このアッセイにおいてIC9G1-aFucおよびIC9G1抗体のEC50値はそれぞれ17.1 pMおよび198 pMであった。
7.12. カニクイザルにおけるIC9G1-aFucの薬物動態プロファイル
実験0日目にIV一回量のIC9G1-aFuc抗体をカニクイザルに投与した。実験設計を表3に概説する。
一回量の抗体を送達し、その血清中濃度を経時的にモニタリングすることによってIC9G1-aFucの薬物動態プロファイルを解析した。標準プロトコルにしたがってELISAによってIC9G1-aFucの血清中濃度を測定した。ICG91-aFucの血清中濃度を時間の関数として図10に示す。IC9G1-aFucに関するAUCLASTの算出値に基づく全身曝露およびCmaxは、用量の増加に伴って用量比例様式で増加した。この増加は抗体薬物動態特性の線形性を反映する。4.36±1.52日、6.34±1.44日および7.87±1.09日の平均末端半減期(t1/2 lz)値が、それぞれ、0.1 mg/kg、1 mg/kgおよび10mg/kgのボーラス注入後に観察された。
7.13. 一回量のIC9G1-aFucの投与後のin vivo T細胞枯渇
IV一回量のIC9G1-aFuc抗体をカニクイザルに投与した。種々の動物に投与された抗体用量を表3に記載する。投薬後8日目に各群由来の2動物を犠牲にした。投薬後29日目に各群由来の3匹の動物を犠牲にした。循環中、脾臓および腸間膜(mesnteric)リンパ節(MLN)のICOS+ T細胞のレベルを抗体一回量の送達後4週間モニターした。ICOS+ T細胞をフローサイトメトリーによってモニターした。
図11は、一回量のIC9G1-aFuc抗体の投与後の循環ICOS+記憶T細胞レベルの変化を示す。本研究の目的のために、循環記憶T細胞をCD3+CD4+CD45RA-ICOS+細胞として限定した。検出された循環記憶T細胞の絶対数を抗体投与前の0日目に検出された循環記憶T細胞数に対して標準化した。一回量の0.01 mg/kgのIC9G1-aFuc抗体を投与すると、4日目までに循環記憶T細胞カウントが有意に減少した。一回量の0. 1 mg/kg、1 mg/kgまたは10 mg/kgのIC9G1-aFuc抗体の投与により、実験4日目までに循環記憶T細胞が完全に排除された。循環記憶T細胞区画の経時的な回復は用量依存的であった。
図13は、腸間膜リンパ節(MLN) T細胞区画で観察された枯渇結果の例を挙げる。実験8日目および29日目に犠牲にした動物からMLN T細胞を単離した。MLNから単離されたICOS+記憶ヘルパーT細胞の絶対数をフローサイトメトリーによって決定した。実験の目的のために、記憶ヘルパーT細胞をCD3+CD4+CD45RA-として限定した。8日目にMLNから単離されたICOS+記憶T細胞の絶対数を図13Aに表示する。一回量の0.1 mg/kgおよび10 mg/kgのIC9G1-aFuc抗体の投与により、腸間膜リンパ節からICOS+記憶ヘルパーT細胞が用量依存的に有意に枯渇された。ICOS+記憶ヘルパーT細胞の同様の枯渇が扁桃腺および下顎リンパ節において検出された。図13Bは、8日目の腸間膜リンパ節におけるICOS+記憶ヘルパーT細胞の枯渇%を示す。IC9G1-aFuc処置動物で検出されたICOS+記憶ヘルパーT細胞の絶対数を、担体のみで処置されたコントロール動物で検出された細胞数に対して標準化することによって枯渇%を算出した。一回量の0.1 mg/kgおよび10 mg/kgのIC9G1-aFuc抗体の投与により、8日目までに、腸間膜リンパ節から、それぞれ60%および90%を超えるICOS+記憶ヘルパーT細胞が枯渇された。
図14は、脾臓T細胞区画で観察された枯渇結果の例を挙げる。実験8日目および29日目に犠牲にした動物から脾臓T細胞を単離した。脾臓ICOS+記憶ヘルパーT細胞の絶対数をフローサイトメトリーによって決定した。実験の目的のために、記憶ヘルパーT細胞をCD3+CD4+CD45RA-として限定した。8および29日目にMLNから単離されたICOS+記憶T細胞の絶対数を図14Aに表示する。一回量の0.1 mg/kgおよび10 mg/kgのIC9G1-aFuc抗体の投与により、8日目までに脾臓ICOS+記憶ヘルパーT細胞が有意に枯渇された。脾臓ICOS+記憶ヘルパーT細胞の回復は用量依存的であった; 28日目の脾臓ICOS+ T細胞の回復は、10 mg/kg IC9G1-aFucを投与された動物においてより0.1 mg/kg IC9G1-aFucを投与された動物において、より顕著であった。図14Bは、8および29日目の腸間膜リンパ節における脾臓ICOS+記憶ヘルパーT細胞の枯渇%を示す。IC9G1-aFuc処置動物で検出されたICOS+記憶ヘルパーT細胞の絶対数を、担体のみで処置されたコントロール動物で検出された細胞数に対して標準化することによって枯渇%を算出した。一回量の0.1 mg/kgおよび10 mg/kgのIC9G1-aFuc抗体の投与により、8日目までに60%を超える脾臓ICOS+記憶ヘルパーT細胞が枯渇された。29日目までに、0.1 mg/kgのIC9G1-aFucを投与された動物の脾臓ICOS+記憶ヘルパーT細胞区画が回復し始めた。10 mg/kgのIC9G1-aFucを投与された動物の脾臓ICOS+記憶ヘルパーT細胞区画は、8日目よりも29日目に、より枯渇した。
7.14. 一回量のIC9G1-aFucのin vivo投与により、すでに形成された胚中心の溶解が生じる。
IV一回量のIC9G1-aFuc抗体をカニクイザルに投与した。種々の動物に投与された抗体用量を表3に記載する。投薬後8日目に各群由来の2動物を犠牲にした。投薬後29日目に各群由来の3匹の動物を犠牲にした。8および29日目に標準組織学プロトコルを使用して白脾髄の構造を検査した。8および29日目にフローサイトメトリーによって腸間膜リンパ(lymp)節および脾臓胚中心B細胞の数を測定した。
図15は、IV一回量のIC9G1-aFucの投与によって引き起こされる白脾髄の構造変化の例を挙げる。実験8日目(図15A)および29日目(図15B)のコントロールおよびIC9G1-aFucを投与された動物から単離された白色髄の低(10x)および高(20x)倍率の組織切片を示す。カニクイザルへの一回量のIC9G1-aFuc抗体の投与後29日目に脾臓の小胞は萎縮した。一回量のIC9G1-aFuc抗体の投与後に白脾髄の形態を検査した。IC9G1-aFuc抗体投与後8日目(A)および29日目(B)に単離された脾臓の組織切片を示す。IC9G1-aFuc投与の結果、29日目までに脾臓の小胞の重度の萎縮が生じた。
図12は、胚中心B細胞を特定するために使用されたフローサイトメトリープロトコルを示す。標準プロトコルにしたがって、犠牲にした動物のリンパ器官からリンパ球を単離した。単離されたリンパ球を、抗CD3、抗CD20、抗IgMおよび抗CD95または抗CD27抗体で免疫染色した。7AAD染色を活用して、死細胞を分析から除外した。胚中心N細胞をCD3-CD20+IgM- CD95+またはCD3-CD20+IgM- CD27+細胞として限定した。
図13は、一回量のIC9G1-aFucの投与によって生じる、腸間膜リンパ節(MLN)胚中心B細胞区画に対する影響の例を挙げる。実験8日目および29日目に犠牲にした動物からMLNリンパ球を単離した。胚中心B細胞の絶対数をフローサイトメトリーによって決定した。実験の目的のために、胚中心B細胞をCD20+IgM- CD95+細胞として限定した。8日目にMLNから単離された胚中心B細胞の絶対数を図13Aに表示する。一回量の0.1 mg/kgおよび10 mg/kgのIC9G1-aFuc抗体の投与により、腸間膜リンパ節から胚中心B細胞が用量依存的に有意に喪失した。一回量のIC009抗体の投与は、8日目にMLNから胚中心B細胞の同等の喪失をもたらした。図13Bは、8日目の腸間膜リンパ節における胚中心の溶解%を示す。IC9G1-aFuc処置動物で検出された胚中心B細胞の絶対数を、担体のみで処置されたコントロール動物で検出された細胞数に対して標準化することによって溶解%を算出した。一回量の0.1 mg/kgおよび10 mg/kgのIC9G1-aFuc抗体の投与により、8日目までに、腸間膜リンパ節から、それぞれ75%および90%を超える胚中心が溶解された。一回量の10 mg/kgのIC009抗体の投与により、8日目までに腸間膜リンパ節から、80%を超える胚中心が溶解された。このモデル系における胚中心B細胞は、IC9G1-aFuc抗体の投与前にMLNに存在した。したがって、MLNからの胚中心B細胞の喪失は、ICOS+記憶ヘルパーT細胞の枯渇が、以前に形成された胚中心の溶解を生じさせることを示す。
図14は、一回量のIC9G1-aFucの投与によって生じる、脾臓胚中心B細胞区画に対する影響の例を挙げる。実験8日目および29日目に犠牲にした動物から脾臓リンパ球を単離した。胚中心B細胞の絶対数をフローサイトメトリーによって決定した。この実験の目的のために、胚中心B細胞をCD20+IgM- CD95+細胞として限定した。8および29日目に脾臓から単離された胚中心B細胞の絶対数を図14Aに表示する。一回量の0.1 mg/kgおよび10 mg/kgのIC9G1-aFuc抗体の投与は8日目の脾臓胚中心B細胞数にあまり影響しなかった。しかし、29日目までに、脾臓胚中心B細胞数は、IC9G1-aFuc処置動物において有意に減少した。対照的に、IC009処置動物では、脾臓胚中心B細胞数の有意な変化は検出されなかった。図14Bは、8および29日目の脾臓胚中心の溶解%を示す。IC9G1-aFuc処置動物で検出された胚中心B細胞の絶対数を、担体のみで処置されたコントロール動物で検出された細胞数に対して標準化することによって溶解%を算出した。一回量のIC9G1-aFuc抗体の投与は8日目までに脾臓胚中心の有意な溶解を生じさせなかった。しかし、29日目までに、IC9G1-aFuc処置動物において約80%の脾臓胚中心が溶解した。10 mg/kgのIC009の投与後8または29日目に脾臓胚中心の有意な溶解は検出されなかった。このモデル系における胚中心B細胞は、IC9G1-aFuc抗体の投与前に脾臓に存在した。したがって、脾臓からの胚中心B細胞の喪失は、ICOS+記憶ヘルパーT細胞の枯渇が、以前に形成された胚中心の溶解を生じさせることを示す。
7.15. 炎症性疾患または自己免疫疾患に罹患している患者においてICOSおよびICOSL mRNA発現は増加する。
7.16. ICOSは全身性エリテマトーデスにおける治療標的である。
誘導性共刺激因子(ICOS)は自己免疫応答および炎症誘発応答の調節に関与し、SLEの病因に重要な役割を果たす。発明者らは、ゲノミクスアプローチを使用して、皮膚障害を伴う活発なSLE患者の損傷皮膚中のサイトカインおよび免疫調節因子のパネルのmRNA発現レベルを評価した。
発明者らは、Affymetrix(登録商標)ヒト全ゲノムアレイ(WGA)プラットフォームを使用して、皮膚障害を有するSLE患者のラージパネル由来の損傷皮膚および全血(WB)をプロファイリングした。Fluidigm製BioMarkTM 48.48ダイナミックアレイを使用するTaqMan(登録商標) QRT-PCRをサイトカインのラージパネルとともに使用して、ICOSの長いおよび短い選択的スプライシング形態のmRNAレベルを測定した。
研究で評価された約50〜60%のSLE患者の損傷皮膚においてICOS mRNAが過剰発現された(図20)。ICOSとICOSリガンドmRNA過剰発現の間、およびICOSとIL-10 mRNA過剰発現の間に正の相関が観察された。これらのmRNAの強い過剰発現は、SLE患者の無関係の末梢組織では観察されなかった。さらに、発明者らは、TaqMan QRT-PCRを使用して、ICOSの短いまたは長い選択的スプライシング形態がSLEにおいて過剰発現されるかどうかを決定し、また、SLE患者のWBから精製されたICOS+記憶T細胞におけるmiR-101発現を評価した。
ICOSの2種のタンパク質アイソフォームをcDNAデータベースから特定した(図16を参照のこと)。全長のICOS (配列番号32)は199アミノ酸を有する。それは、シグナルペプチド、細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含有する。それは、細胞質ドメイン中に、PI3K結合のためのYMFM (配列番号32の残基180〜183)保存モチーフを含有する。短形態のICOS (配列番号33)は168アミノ酸を有する。短形態は、エキソン4の読み飛ばし(skipping)によって生じる、細胞質ドメイン中のインフレームトランケーションを有する。該トランケーションにより、非常に短い細胞質ドメインが生じ、ICOS機能に関する機能的重要性を有するPI3K結合部位が失われた。
MiRandaを使用するICOS 3' UTR (配列番号34の残基238〜2284)のin silico解析により、いくつかの推定miRNA標的部位が判明した(図17)。miR-101、103/107および338に対する標的配列を含有する47 bp領域であるミクロRNA標的領域1 (MTR1)、およびmiR-149に対する標的配列を含有する47 bp領域であるmiRNA標的領域2 (MTR2)である。ICOS cDNAと、特定されたmiRNA分子の相補性を図17に示す。(Di Yu, & Carola G. Vinuesa et al. Nature (2007) 450, 299-303)。
Affymetrix遺伝子チップおよびqRT-PCRプロファイリング - SLE: 発明者らは、Affymetrix(登録商標)ヒト全ゲノムアレイ(WGA)プラットフォームを使用して、皮膚障害を有するSLE患者のパネル由来の損傷皮膚および全血(WB)をプロファイリングした。Fluidigm製BioMarkTM 48.48ダイナミックアレイを使用するTaqMan(登録商標) qRT-PCRをサイトカインのラージパネルとともに使用して、ICOSのmRNAレベルを測定した。
図20Aは、SLE (全身性エリテマトーデス)皮膚病変検体におけるICOSおよびICOSL mRNAの相対的発現(log2スケール)を示す。正常な皮膚サンプルコントロールと比較して個々の変化倍率の値を決定した。Fluidigm製BioMarkTM 48.48ダイナミックアレイでデータを作製した。バーは、検査された各転写物(ICOSまたはICOSL)の相対的発現(変化倍率)の平均を表す。
正常およびSLE (全身性エリテマトーデス)皮膚検体におけるCD4 (図20B)およびCD3ε mRNA (図20C)の生シグナル強度値(log2スケール)。Affymetrix Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayでデータ(GC-RMA標準化)を作製した。バーは、正常およびSLEサンプルの生シグナル強度の平均を表す。
図21A: SLE (全身性エリテマトーデス)全血検体におけるCD28、CTLA4、ICOSおよびICOSL mRNAの相対的発現(log2スケール)。プールされた正常な全血サンプルコントロールと比較して個々の変化倍率の値を決定した。Fluidigm製BioMarkTM 48.48ダイナミックアレイでデータを作製した。バーは、分析された各転写物(CD28、CTLA4、ICOSまたはICOSL)の相対的発現(変化倍率)の平均を表す。
正常およびSLE (全身性エリテマトーデス)全血検体におけるCD4 (図21B)およびCD3ε mRNA (図21C)の生シグナル強度値(log2スケール)。Affymetrix Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayでデータ(GC-RMA標準化)を作製した。バーは、正常およびSLEサンプルの生シグナル強度の平均を表す。
7.17. 封入体筋炎(IBM)および皮膚筋炎(DM)におけるICOS発現
活性化T細胞上の受容体である誘導性共刺激因子(ICOS)は体液性免疫において中心的役割を果たす。自己免疫疾患(例えば関節リウマチおよび全身性ループス)を有する患者では、高いレベルのICOSが存在し、エフェクターサイトカインがこのタンパク質のレベルの増加と相関することが示されている。発明者らは、ゲノミクステクノロジーを使用して、封入体筋炎(IBM)、皮膚筋炎(DM)および多発性筋炎(PM)を有する患者から採取された筋組織におけるICOSおよびICOSリガンド(ICOSL)の過剰発現を研究し、T細胞によって発現されるmiRNAであるmiR-101によるICOSの調節機構と矛盾しない結果を提示した。
発明者らはTaqMan(登録商標) QRT-PCR (Fluidigm製BioMarkTM 48.48ダイナミックアレイ)を使用して筋炎患者由来の筋肉検体をプロファイリングした。ICOSを調節する可能性があるmiRNA (Tリンパ球によって発現される、遺伝子発現を調節することが知られている非コードRNA)を、(1) 配列がICOSの3' UTR領域に相補的であること、および(2) 正常なコントロール筋肉と比較して、IBM、PMおよびDM筋肉においてICOS mRNAの逆方向で、有意に示差的に発現されることの2つの基準によって同定した。
IBM筋肉検体中のICOS mRNAは、正常コントロールと比較して、平均40倍に高度に上方制御され、ICOSLのmRNAは平均3.5倍に上方制御された。DM筋肉検体では、正常コントロールと比較して、ICOS mRNAは平均5倍に上方制御され; ICOSL mRNAは有意な上方制御を示さなかった。IBM筋肉検体中のICOS mRNAは、正常コントロールと比較して、高度に上方制御され(70倍を超える上方制御)、ICOSL mRNAは約2倍に上方制御された。IBMまたはDM筋肉由来の全血では、ICOSおよびICOSL mRNAの過剰発現は観察されなかった。CD4およびCD3ε mRNAはIBM筋肉検体で強く過剰発現されたが、DM患者の筋肉検体では、CD4 mRNAのみが過剰発現された。ARE部位(タンパク質結合のためのAUリッチ領域)の存在およびICOS中の3' UTRドメインとmiR-101の間の配列相補性は、miR-101がICOSの潜在的調節因子であることを示唆する。次いで発明者らはmiR-101の発現レベル、ならびにこのmiRNAがこの転写物を調節する可能性を評価した。miR-101の発現は、正常コントロール筋肉と比較して、IBMおよびDM筋肉中で、それぞれ平均4倍および2.5倍、有意に下方制御された。
ICOS mRNAは、IBM、DMおよびPM患者由来の筋組織で過剰発現される。CD4およびCD3εのmRNAの強い過剰発現は、以前に周知であるように、IBM患者の罹患部位でのCD4+ T細胞浸潤の増加を示唆する。IBMおよびDM患者由来の筋組織におけるmiR-101の発現の有意な減少により、以前に報告されたsanroqueマウスで得られた観察が確認された。
Affymetrix遺伝子チップ、qRT-PCRおよびミクロRNAプロファイリング - 筋炎: 発明者らは、Affymetrix(登録商標)ヒト全ゲノムアレイ(WGA)プラットフォームを使用して、筋炎患者のパネル由来の筋肉生検および全血(WB)をプロファイリングした。さらに、発明者らは、TaqMan(登録商標) qRT-PCR (Fluidigm製BioMarkTM 48.48ダイナミックアレイ)およびApplied Biosystem MicroRNA TaqMan Human MicroRNA Array v1.0プラットフォームをともに使用して筋炎患者由来の筋肉検体をプロファイリングした。ICOSを調節する可能性があるmiRNA (Tリンパ球によって発現される、遺伝子発現を調節することが知られている非コードRNA)を、(1) 配列がICOSの3' UTR領域に相補的であること、および(2) 正常なコントロール筋肉と比較して、IBM、PMおよびDM筋肉においてICOS mRNAの逆方向で、有意に示差的に発現されることの2つの基準によって特定した。
図18は、筋炎患者由来の筋肉検体におけるmiR-101の相対的発現を示す(IBM=封入体筋炎、PM=多発性筋炎、DM=皮膚筋炎)。正常な筋肉サンプルコントロールと比較して個々の発現の値を決定した。ABI製Human MicroRNA Array v1.0プラットフォームでデータを作製した。バーは、各疾患サブタイプの相対的発現の平均を表す。
図19Aは、筋炎筋肉検体におけるICOSおよびICOSL mRNAの相対的発現(log2スケール)を示す(IBM=封入体筋炎、PM=多発性筋炎、DM=皮膚筋炎)。正常な筋肉サンプルコントロールと比較して個々の変化倍率の値を決定した。Fluidigm製BioMarkTM 48.48ダイナミックアレイでデータを作製した。バーは、各疾患サブタイプおよび転写物(ICOSまたはICOSL)の組み合わせに関する相対的発現(変化倍率)の平均を表す。
正常および筋炎筋肉検体中のCD4 (図19B)およびCD3ε(図19C) mRNAに関する生シグナル強度値(log2スケール) (IBM=封入体筋炎、PM=多発性筋炎、DM=皮膚筋炎)。Affymetrix Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayでデータ(GC-RMA標準化)を作製した。バーは、正常および各疾患サブタイプに関する生シグナル強度の平均を表す。
図19Dは、筋炎全血サンプルにおけるICOSおよびICOSL mRNAの相対的発現(log2スケール)を示す(IBM=封入体筋炎、PM=多発性筋炎、DM=皮膚筋炎)。正常な筋肉サンプルコントロールと比較して個々の倍率変化の値を決定した。Fluidigm製BioMarkTM 48.48ダイナミックアレイでデータを作製した。バーは、各疾患サブタイプおよび転写物(ICOSまたはICOSL)の組み合わせに関する相対的発現(倍率変化)の平均を表す。
当業者は、本明細書中に記載される本発明の具体的実施形態の、多数の等価な実施形態を認識するか、または単に日常的な実験法を使用して確認することができる。そのような等価物は以下の請求項によって包含されるものとする。
種々の刊行物が本明細書中で引用されているが、その開示内容は、参照によりその全体が組み入れられる。さらに、2007年5月7日提出の米国仮出願第60/916,400号、および2008年4月30日提出の第61/049,131号は、参照によりその全体がすべての目的でここに組み入れられる。
前記発明は、理解を明瞭にする目的で例証および実施例を用いていくらか詳細に記載されているが、特許請求の範囲内で特定の変更および改変を施すことができることが明らかである。