JP5569801B2 - 加飾合成樹脂成形品 - Google Patents
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Description
たとえば特許文献1には、高級感ある外観を現出させるように加飾するために金型キャビティ面に凹凸状の模様を刻設し、成形時に容器の表面に凹凸模様を形成すると共にホットスタンプ法を用いてこの凹凸模様にメタリック状の加飾を施す方法が記載されている。
このインサートラベルによる加飾法は、成形品の成形と同時にラベルの貼着が達成され、専用の別工程の貼着作業を必要としないこと、成形品の表面とインサートラベルとの間に段差が生じないので、この段差による成形品の外観体裁や触感の劣化の恐れが全くないこと、成形品に対するラベルの強固で安定した貼着を確実に得ることができること、と云う優れた作用効果を有する。
このラベル111は、合成紙からなる不透明な基材フィルム112の表面に印刷層113を形成し、この印刷層113を静電気の帯電を防止するための帯電防止剤を含有したニスコートによる保護層114で被覆しており、また裏面にはインサート成形により合成樹脂成形品の表面に接着固定するヒートシール層115を積層している。
またホットスタンプ法では、成形品に形成された凹凸模様にズレのないように高い精度で位置あわせをして金属箔を積層することが困難であり、細かい、繊細な、あるいは精緻な模様の形成が難しく、高級感という点でも不満が残る。
一方、インサートラベルによる加飾法では、その加飾態様が平坦状であり立体的な視覚効果が得がたいと云う問題がある。
加飾フィルムをインサート材としたインサート成形により表面を加飾した合成樹脂成形品において、
成形品は透明性を有するものとし、
加飾フィルムは基材フィルムの表面に厚盛印刷層による凸部を形成したものとし、
インサート成形により基材フィルム層が接着層を介して成形品に貼着し、かつ成形品の加飾フィルムが貼着する面側に、凸部が嵌入した状態で凹部が形成され、この凹部により成形品の壁厚を透して凹凸模様が現出される構成とする、
と云うものである。
そして、上記構成によれば、基材フィルムに厚盛印刷層により凸部を形成した加飾フィルムをインサート材として金型のキャビティ面に配設し、インサート成形することにより、成形時の溶融樹脂の流動あるいは溶融樹脂の充填圧力により加飾フィルムの凸部を転写するようにして、成形品の加飾フィルムが貼着する面側に、加飾フィルムの凸部が嵌入するようにして凹部が形成される。
また、上記構成によれば成形品の凹部と加飾層である厚盛印刷層の位置合せの必要はなく、成形品の凹凸模様と加飾層のズレのない高品位な加飾性を高い生産性で付与することができる。
なお、透明性を有する成形品には半透明なもの、あるいは着色透明なものを含む。また、厚盛印刷層による凸部の形状は、加飾目的に応じて、絵柄、模様、文字、図案等から適宜選択することができる。
また、厚盛印刷層の色合いや層厚をグラデーション状に変化させることも可能である。
そして、凸部の突出高さが高い部分ほど嵌入深さは深くなるので、凸部の突出高さの変化、すなわち厚盛印刷層の層厚の変化が再現よく成形品の凹部へと転写される。
そして上記のように基材フィルムを金型内にセットして溶融樹脂を充填すると、溶融樹脂は厚盛印刷層の形成領域と非形成領域により形成される凹凸に沿って充填され、その結果、接着層と共に厚盛印刷層により形成される凸部が充填した溶融樹脂中に嵌入する状態となって成形品に凹部が形成される。
この場合も、凸部の突出高さが高い部分ほど嵌入深さは深くなるので、凸部の突出高さの変化、すなわち厚盛印刷層の層厚の変化が再現よく成形品の凹部へと転写される。
透明な成形品の凹部に密嵌入した厚盛印刷層により、光の屈折効果も相俟って立体的な視覚効果が発揮され、深みのある高度な加飾効果を現出させることができる。また、成形品の凹部と加飾層である厚盛印刷層の位置合せの必要はなく、成形品の凹凸模様と加飾層のズレのない高品位な加飾性を高い生産性で付与することができる。また、厚盛印刷層はスクリーン印刷で形成することができ、微細で精巧な凹凸模様を立体的に現出させることができる。
この成形品1は透明性を有する射出成形品で、矩形状のコンパクト容器の蓋部分を構成する部材である。頂壁3の裏側面には、周縁部を残した矩形状の加飾領域4に、インサート成形により加飾フィルム11が貼着されており、その領域4中には図案化し、着色した文字(ABCDEFGH)からなる凹凸模様Mが見られ、透明な成形品1の頂壁3を透して、これら文字が立体的に浮き上がるように視覚される。
図3はこの実施例にインサート材として使用される加飾フィルム11の層構成を示す断面図、図4(a)、(b)は加飾フィルム11をインサート材としたインサート成形の概略説明図である。
この加飾フィルム11はポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製、ポリカーボネート樹脂製、アクリル樹脂製等の透明な基材フィルム12の片側面(図3中では下側)に凸部14を形成する厚盛印刷層13をスクリーン印刷で多数回の重ね印刷をし、上記した各文字を描き、もう一方の片側面に成形品1に貼着するための接着層17を積層したものである。
ここで、各文字の色は加飾目的に応じて同色、あるいは異なる色とすることができる。また各文字を形成する厚盛印刷層13の厚さ、すなわち凸部14の突出高さについても、同じ高さあるいは異なる高さとすることができる。
ここで、凹部2の近傍では加飾フィルム11の基材フィルム12と接着層17は凹部2の形状に沿うように変形し、また加飾フィルム11のキャビティ面32側は平坦状になる。
図6(a)はこの加飾フィルム11を、基材フィルム12がキャビティ面32に密着状になるようにして固定した状態であり、厚盛印刷層13による凸部14はキャビティ33側、すなわち溶融樹脂が充填される側に突出している。
図6(b)は図6(a)の状態から溶融樹脂を充填した状態を示すものであり、溶融樹脂が充填した結果、成形品1の加飾フィルム11が貼着する面側の、凸部14に対向する位置に、凹部2が形成され、図1に示したのと類似的な加飾成形品を得ることができる。
図7(a),(b)はいずれも図5の層構成に金属薄膜層15を追加、積層した例を示す。
この例では、厚盛印刷層13も含めて加飾領域4全体に金属薄膜層15が積層しているので厚盛印刷層13は無色透明であっても良い。すなわち厚盛印刷層13は、着色に係る機能は発揮せずに、成形品1の表面に凹部2を形成するための機能を発揮する。
ここで、金属薄膜層15をハーフ蒸着層する、すなわち薄く積層することにより光が半透過できる構成としておけば、金属薄膜層15を透して厚盛印刷層13の色を現出させることもできる。
成形品1は図1のものと同様の形状をした射出成形品で、矩形状のコンパクト容器の蓋部分である。頂壁3の裏側面には、周縁部を残した矩形状の加飾領域4に、インサート成形により加飾フィルム11が貼着されており、着色した、2つの小さい星形と3つ大きな星形からなる凹凸模様Mが見られ、透明な成形品1の頂壁3を透してこれらの星形が立体的に浮き上がるように視覚される。
成形品1は図1のものと同様の形状をした射出成形品で、矩形状のコンパクト容器の蓋部分で、頂壁3の裏側面には、周縁部を残した矩形状の加飾領域4に、インサート成形により加飾フィルム11が貼着されている。
そしてこの3つの厚盛印刷層のうち中央の厚盛印刷層13aは無色透明のもので、その外側に配設される厚盛印刷層13bと厚盛印刷層13cは相互に異なる色合いに着色されたものである。
またこれら厚盛印刷層13a、13b、13cを含む全領域に真空蒸着による金属薄膜層15が積層されており、図4に示したのと同様なメカニズムで、頂壁3の裏側面に貼着され、成形品1の裏面側に凹凸模様Mを形成する。
また、厚盛印刷層13a、13b、13cによる領域では各層の凸部14a、14b、14cの突出高さに応じて、外から中央に向かって陥没していくような加飾効果が現出する。
ここで、上記した厚盛印刷層13aのような透明な厚盛印刷層を積層することにより、積層される他の加飾層の色合いや、金属光沢を生かしながら凹凸模様の凹凸の程度を調整する機能を発揮させることができる。
加飾フィルム11は基本的に、基材フィルム12/厚盛印刷層13の層構成を有するが、加飾目的に応じて図7に示した金属薄膜層の他にも、厚盛印刷層と併用して通常の印刷層を追加、積層することができる。また、成形品1との接着性のため、印刷性や金属薄膜の密着性のため、印刷性や金属薄膜の保護のために目的に応じて接着層、アンカー層、保護層等を積層することができる。
2 ;凹部
3 ;頂壁
4 ;加飾領域
11;加飾フィルム
12;基材フィルム
13;厚盛印刷層
14;凸部
15;金属箔膜層
17;接着層
18;保護層
31;金型
32;キャビティ面
33;キャビティ
M ;凹凸模様
S ;隙間
Claims (8)
- 加飾フィルムをインサート材としたインサート成形により表面を加飾した合成樹脂成形品であって、
前記成形品(1)は透明性を有するものとし、
前記加飾フィルム(11)は基材フィルム(12)の表面に厚盛印刷層(13)による凸部(14)を形成したものとし、
前記インサート成形により前記基材フィルム層(12)が接着層(17)を介して前記成形品(1)に貼着し、かつ前記成形品(1)の加飾フィルム(11)が貼着する面側に、前記凸部(14)が嵌入した状態で凹部(2)が形成され、該凹部(2)により前記成形品(1)の壁厚を透して凹凸模様(M)が現出される構成とした加飾合成樹脂成形品。 - 加飾フィルム(11)は、厚盛印刷層(13)の層厚の変化により凸部(14)の突出高さを変化させたものとした請求項1記載の加飾合成樹脂成形品。
- 加飾フィルム(11)は、複数の色の厚盛印刷層(13)を有する構成とした請求項1または2記載の加飾合成樹脂成形品。
- 加飾フィルム(11)は、複数の隣接する厚盛印刷層(13)を有し、該隣接する厚盛印刷層(13)を異なる色と異なる層厚で構成した請求項1、2または3記載の加飾合成樹脂成形品。
- 加飾フィルム(11)は、金属薄膜(15)を積層して有する構成とした請求項1、2、3または4記載の加飾合成樹脂成形品。
- 加飾フィルムの基本的な層構成を、接着層(17)/基材フィルム層(12)/厚盛印刷層(13)とし、接着層(17)を介して成形品(1)に貼着する構成とした請求項1、2、3、4または5記載の加飾合成樹脂成形品。
- 加飾フィルムの基本的な層構成を、接着層(17)/厚盛印刷層(13)/基材フィルム層(12)とし、接着層(17)を介して成形品(1)に貼着する構成とした請求項1、2、3、4または5記載の加飾合成樹脂成形品。
- 成形品(1)は、平坦状の頂壁(3)を有する蓋状の射出成形品であり、加飾フィルム(11)は前記頂壁(3)の裏側面に貼着されている構成とした請求項1、2、3、4、5、6または7記載の加飾合成樹脂成形品。
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