JP5569609B1 - プレス成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るプレス成形方法は、外周縁の一部が外方に突出した凸状外周縁3を有する天板部5と、該天板部5における凸状外周縁3に沿って曲げ成形されたフランジ部7を有する成形部品をプレス成形するプレス成形方法であって、
ブランク材9におけるフランジ部7が形成される部位に、フランジ部7の一部となる縦壁部11と、縦壁部11から外方に向けて折り曲げられると共に天板部側が凹となる谷形部13を含む中間形状部品15を成形する第1成形工程と、第1成形工程で成形された中間形状部品15の谷形部13を含む部位を曲げ成形してフランジ部を成形する第2成形工程を備えてなることを特徴とするものである。
【選択図】 図1
Description
また、特許文献2には、「被成形品の縮みフランジ成形が行なわれる部分の端部付近を、少なくとも成形初期において、コ字形ブロックにより挾んだ後プレス成形することを特徴とするしわ防止措置を施したプレス成形法。」(特許文献2の請求項1参照)が開示されている。
さらに、特許文献3には、「前記板材を折り曲げる成形途中において、前記部品の湾曲部の外側壁面を構成する前記板材の余剰材料を、前記外側壁面に対応するダイフェース面に位置する前記型彫り部の誘導部によって、前記誘導部と連続的に連結される前記型彫り部の逃げ部に向かって前記誘導部の傾斜面によって誘導し、前記誘導部によって誘導された材料を、前記逃げ部に導入することを特徴とするプレス成形方法。」(特許文献3の請求項1参照)が開示されている。
例えば、特許文献1に記載の縮みフランジ部に貫通穴を設ける方法では、金属板に不均一な予加工を行うことになるため、最終製品の外観、強度、密閉性に影響を及ぼし、さらに、素材が表面処理鋼板の場合には防錆性にも影響を及ぼすため、適用部位が限定される。
また、特許文献2に記載の方法では縮みフランジ部周辺を拘束するための金型構造が複雑となり、金型作成および維持費用の点で問題がある。
また、特許文献3に開示の方法は、要するに曲げ金型先端部の形状を工夫することにより変形を分散させる方法であるが、金型の形状工夫が煩雑であるし、また成形時の鋼板の曲げ角度が90°に近い場合でないと曲げ金型先端部の形状が有効に作用しないと考えられるため、鋼板の曲げ角度が小さい場合には適用できないという問題がある。
その結果、フランジ部を成形するに際してフランジ部における凸状屈曲端部に、縮みと伸びが同時に発生しこれらが相殺するようにできれば、凸状屈曲端部に大きな縮み変形が生ずることがなくなり当該部位にシワが発生することもなくなるのではないかと考えた。
そして、フランジ部における凸状屈曲端部に縮みと伸びが同時に発生するような成形方法について検討した。この検討内容を図22〜図26に基づいて以下に説明する。
このような第1ブランク50を第1折り曲げ線53に沿って曲げて第1フランジ部51を成形すると、図22(b)に示すように、第1フランジ部51における第1切り込み55の部分が重なり合う。
したがって、第1切り込み55がなく板が繋がっている場合、図23に示すように、第1フランジ部51における斜線で示した部位に縮みが発生し、この縮みが板厚増加で吸収できない場合にはシワが生ずることになる。これが縮みフランジ成形である。
このようなブランクを第2折り曲げ線61に沿って曲げて第2フランジ部59を成形すると、図24(b)に示すように、第2フランジ部59の中央部でブランクの一部が開く。
したがって、第2切り込み63がなく板が繋がっている場合、図25の斜線で示した部位に伸びが発生し、当該伸びが大きい場合には割れが発生する。
そこで、このようなフランジ部の同一部分に縮みと伸びが同時に発生する成形を行うことで、縮みと伸びが相殺される。
そのためには、フランジ部を成形するに際して、図23に示したような外方に突出した凸状である第1折り曲げ線53と、図25に示したような谷形に沿う第2折り曲げ線61の2つの特質を備えた折り曲げ線に沿って成形すればよい。
図26はこのような中間形状の一例を示すものであり、外周縁の一部が外方に突出した凸状外周縁67を有する天板部69と、該天板部69における凸状外周縁67に沿って曲げ成形されフランジ部の一部となる縦壁部71と、該縦壁部71から外方に向けて折り曲げられると共に前記天板部69側に凹となる谷形部73を含む形状である。
図26に示す中間形状65において、縦壁部71に形成された第3折り曲げ線75が、上述した2つの特質を有する折り曲げ線となっている。つまり、第3折り曲げ線75は、中間形状65を上から見ると、外方に突出していることから図23の第1折り曲げ線53と同様の形状になっており、また前方から見ると谷形になっていることから図25の第2折り曲げ線61と同様になっている。
なお、中間形状65を成形する際に縦壁部71の中央(凸形状の凸部)に縮みが発生するが、当該部位は天板部69からの垂下距離が短いので、大きな縮みとはならず問題はない。
本発明は上記のような知見に基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
ブランク材における前記フランジ部が形成される部位に、フランジ部の一部となる縦壁部と、該縦壁部から外方に向けて折り曲げられると共に前記天板部側が凹となる谷形部を含む中間形状部品を成形する第1成形工程と、
該第1成形工程で成形された中間形状部品の前記谷形部を含む部位を曲げ成形してフランジ部を成形する第2成形工程を備えてなることを特徴とするものである。
前記第2成形工程は、中間形状部品における天板部となる部位をパッドと第2ダイで挟持して、前記中間形状部品における谷形部を含む形状に沿う第2パンチによって成形することを特徴とするものである。
ブランク材におけるフランジ部7が形成される部位に、フランジ部7の一部となる縦壁部11と、該縦壁から外方に向けて折り曲げられると共に下方に向かって凹む谷形部13を含む中間形状部品15(図1(b)、図3参照)を成形する第1成形工程S1(図1(a)参照)と、第1成形工程S1で成形された中間形状部品15の谷形部13を含む部位を縦壁部11との境界線19(図3参照)に沿って曲げ成形してフランジ部7を成形する第2成形工程S2(図1(c)参照)を備えてなることを特徴とするものである。
以下、目標とする成形部品1、第1成形工程S1、第2成形工程S2について詳細に説明する。
本実施の形態におけるプレス成形の目標形状となる成形部品1は、図2に示すように、外周縁の一部が外方に突出した凸状外周縁3を有する天板部5と、該天板部5における前記凸状外周縁3に沿って曲げ成形されたフランジ部7を有するものである。
このような形状の成形部品1は、フランジ部7における屈曲端部21に縮みが集中して、当該部位にシワが発生しやすい。
本実施の形態の第1成形工程S1は、ブランク材9におけるフランジ部7が形成される部位に、フランジ部7の一部となる縦壁部11と、該縦壁から外方に向けて折り曲げられると共に下方すなわち天板部5側が凹となる谷形部13を含む中間形状部品15(図3参照)を成形する工程である。
第1パンチ17の形状は、図4に示すように、成形品の天板部5に相当する部位に位置する平坦部27と、成形品の凸状外周縁3に沿って下方に延出する縦壁を成形する縦壁成形部29と、縦壁成形部29から水平方向に延出して上方が凹の谷形の谷形成形部31を備えている。
第1ダイ23は、第1パンチ17の各成形部の形状に対応した形状を有している。
パッド25によるブランク材9を第1ダイ23に押圧する押圧力は、第1パンチ17の下降による成形に際して天板部5に変形が生じないような十分強い圧力であることが望ましい。
第1成形工程S1では、図1(a)に示すように、ブランク材9を第1ダイ23とパッド25で挟持した状態で、第1パンチ17をダイ側に下降する。第1パンチ17が下降するとまず第1パンチ17の谷形成形部31における中央がブランク材9に当接して、さらに下降すると、中央から順に谷形部13の成形と縦壁の成形が同時に行われる。
第2成形工程S2は、図1に示すように、第1成形工程S1で成形された中間形状部品15を第2ダイ33とパッド25で挟み、第2パンチ35によって谷形部13を含む部位を境界線19に沿って下方に折り曲げてフランジ部7を成形する。
第2成形工程S2で使用する第2パンチ35は、図5に示すように、第1成形工程S1で成形された縦壁部11に沿う縦壁成形部29を有している。
第2ダイ33は、目標とするフランジ部と同じ縦壁部を有する形状になっている。
図6に示すように、板厚の増加部分がフランジ部の広範囲に分散しており、最も板厚増加率が大きい部位でも67%であった。このことは、伸びと縮みの相殺作用によって板厚増加率の最大値を小さくすることができ、シワの発生を確実に防止できることを意味している。
なお、図6のコンター図に示すように、本発明の方法によってもフランジ部の屈曲端部に板厚増加が生ずるのは、当該部位に発生する縮みと伸びとが完全に一致しているわけではないからである。
図6を図7と比較すると分かるように、従来工法では板厚変化が生じている部位が図6のようにフランジ部7の広い範囲に分散せず、中央の2カ所に集中していることが分かる。図7に示した従来方法の最大の板厚増加率は196%であり、本発明よりも格段に大きくなっている。
図8に示す第2パンチ36を用いた場合には、第2パンチ36が谷形部13を含む形状に当接し、さらに下降することで、谷形部13を含む形状が縦壁との境界線19から垂直下方に曲げ成形されて目標形状に成形される。
加工する材料は板厚が1.2mmで引張り強度が590MPa級の高張力鋼板を想定した。
対象とする成形品形状は図9に示すものであり、図9に示した各部の寸法等を表1に示す。
パッドによる押圧力は20tonfとし、成形速度は2m/秒とした。
図13において、従来例とは、一工程で縮みフランジ成形を行うプレス成形方法であり、比較例とは図8に示した第2パンチ36と同形状のパンチを用いて一工程でフランジ成形を行うプレス成形方法である。
図13に示すように、従来例では最大板厚増加率が196%、比較例が87%であったのに対して本発明例1では67%、本発明例2では59%であった。
このように、本発明のプレス成形方法によれば、従来例、比較例に比較して最大板厚増加率を低減できることが実証された。このことは、縮みフランジ成形におけるシワの発生を効果的に防止できることを意味している。
なお、谷形部13の傾斜角度については、成形するフランジ部の凸状部との関係で、フランジ部の屈曲端部に生ずる縮みと伸びの相殺を考慮して変形が最も小さくなるように設定すればよい。
また、天板部が上に向かって凸形状の場合における第1パンチ41の天板成形部43は、図15に示すように、中央に向かって上向きに傾斜する傾斜面からなる凸形状とし、谷形成形部の傾斜角度θ4は、天板部が平坦な場合の傾斜角度θ2よりも大きくすることが望ましい。
図16は、中間形状部品15における谷形部13をブランク材9の全巾に亘って形成する場合の、第1パンチ18を示し、図17はこの場合の第2パンチ36を示している。
ブランク材9の全巾に亘って谷形部13を形成する場合、巾広のブランク材には適用が難しいので、巾狭のブランク材に適用するのが好ましい。
図19は従来方法による解析結果のコンター図である。
図18に示すように、本発明方法によれば、巾狭のブランク材の全巾に亘って谷形部13を形成した場合、フランジ部7の屈曲端部21に発生する板厚増加率は20%であったのに対して、従来方法の場合には、図19に示すように34%であった。このように、全巾に亘って谷形部13を形成した場合であっても、巾の一部に谷形部13を形成したのと同様にフランジ部7の屈曲端部21の板厚増加率を低減できる。
この傾向は、フランジ部7の高さが高くなるとより大きくなると考えられるので、フランジ部7の高さを図18、図19の例(フランジ高さ25mm)よりも5mm高くして30mmにした場合について解析を行った。
図20、図21に示すように、本発明例、従来方法共にフランジ部7の屈曲端部21に生ずる板厚増加率は14%であったが、フランジ部の両端基部22に生ずる板厚増加率は、本発明例では37%であるのに対して従来方法では86%であった。
このように、巾の狭いブランク材に縮みフランジ成形を行った場合、フランジ部の両端基部22には板厚増加部が生ずるが、このような場合であっても本発明例によれば当該部位の板厚増加を低減できる。
S2 第2成形工程
1 成形部品
3 凸状外周縁
5 天板部
7 フランジ部
9 ブランク材
11 縦壁部
13 谷形部
15 中間形状部品
17 第1パンチ
18 第1パンチ
19 境界線
21 屈曲端部
22 両端基部
23 第1ダイ
25 パッド
27 平坦部
29 縦壁成形部
31 谷形成形部
33 第2ダイ
35 第2パンチ
36 第2パンチ
37 第1パンチ
39 天板成形部
41 第1パンチ
43 天板成形部
50 第1ブランク
51 第1フランジ部
53 第1折り曲げ線
55 第1切り込み
57 第2ブランク
59 第2フランジ部
61 第2折り曲げ線
63 第2切り込み
65 中間形状
67 凹状外周縁
69 天板部
71 縦壁部
73 谷形部
75 第3折り曲げ線
Claims (2)
- 外周縁の一部が外方に突出した凸状外周縁を有する天板部と、該天板部における凸状外周縁に沿って曲げ成形されたフランジ部を有する成形部品をプレス成形するプレス成形方法であって、
ブランク材における前記フランジ部が形成される部位に、フランジ部の一部となる縦壁部と、該縦壁部から外方に向けて折り曲げられると共に前記天板部側が凹となる谷形部を含む中間形状部品を成形する第1成形工程と、
該第1成形工程で成形された中間形状部品の前記谷形部を含む部位を曲げ成形してフランジ部を成形する第2成形工程を備えてなることを特徴とするプレス成形方法。 - 前記第1成形工程は、ブランク材における天板部となる部位をパッドと第1ダイで挟持して、前記ブランク材におけるフランジ部となる部位を第1パンチによって成形し、
前記第2成形工程は、中間形状部品における天板部となる部位をパッドと第2ダイで挟持して、前記中間形状部品における谷形部を含む形状に沿う第2パンチによって成形することを特徴とする請求項1記載のプレス成形方法。
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