JP5561304B2 - 光素子 - Google Patents

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この発明は、マッハツェンダ干渉器を備えており、光合分波素子としても用いることができる光素子に関する。
加入者側から局側への光伝送(上り通信)と、局側から加入者側への光伝送(下り通信)とを1本の光ファイバで行う光加入者系通信システムにおいては、上り通信及び下り通信を異なる波長の光で行うことがある。この場合、局側及び加入者側の双方で、異なる波長の光を合分波する光素子(以下、光合分波素子とも称する。)が必要となる。
光合分波素子は発光素子及び受光素子と空間光学的に光軸合わせされて、光加入者系通信システム、例えばPON(Passive Optical Network)の加入者側終端装置(ONU:Optical Network Unit)や、局側終端装置(OLT:Optical Line Terminal)に用いられる。しかし、近年、光軸合わせの手間を軽減するために、光導波路により構成された光合分波素子が開発されている(例えば、特許文献1〜5参照)。この光導波路を用いた光合分波素子では、光の伝搬経路を、予め作りこまれた光導波路に限定するので、従来の光合分波素子におけるレンズやミラー等が不要となる。さらに、この光合分波素子では、発光素子及び受光素子を、予め素子に作成されたマークを基準にして、光導波路の入出射端に位置合わせすればよい。そのため、発光素子及び受光素子に入出射される光ビームの厳密な光軸合わせの手間が大幅に省かれる。
近年、コアとしてSiを用い、クラッドとしてSiとの屈折率差が大きなSiOを用いた光導波路(以下、Si光導波路とも称する。)で構成された光合分波素子が報告されている(例えば、非特許文献1〜3参照)。
Si光導波路は、コアの屈折率がクラッドよりも非常に大きく、光の閉じ込めが強いため、光を1μm程度の小さい曲率半径で曲げる曲線状光導波路を実現することができる。また、製造時に、Si電子デバイスでの加工技術が利用できるため、きわめて微細なサブミクロンの断面構造を実現できる。これらのことから、Si光導波路を用いることで各種の光素子を小型化することができる。
Si光導波路を用いた光合分波素子として、マッハツェンダ干渉器を利用したもの、方向性結合器を利用したもの、及びグレーティングを利用したものなどが知られている。
マッハツェンダ干渉器を用いた光合分波素子(以下、MZ型素子とも称する。)は、2本のアーム導波路を伝搬後の2つの光に生じる位相差が波長によって異なる性質を利用して、波長分離を行う。一般に、MZ型素子は、光を2本のアーム導波路に分配する入力用カプラと、2本のアーム導波路と、2つの出力ポートを持つ出力用カプラとを備える。両アーム導波路は、分離すべき波長(以下、目的波長とも称する。)の光にπの整数倍の位相差が生じるような光路長差に設計されている。そして、両アーム導波路を伝搬後の光に生じた位相差に基づいて、出力用カプラの一方のポートから目的波長の光を、他方のポートからそれ以外の光をそれぞれ出力する。
Photonics Technology Letters vol.18,p.2392,2006年11月 Photonics Technology Letters vol.20,p.1968,2008年12月 OpticsExpress vol.18,p.23891,2010年10月
米国特許4860294号明細書 米国特許5764826号明細書 米国特許5960135号明細書 米国特許7072541号明細書 特開平8−163028号公報 特開2005−250504号公報 特開2002−40493号公報
しかし、波長により発生させる位相差を異ならせて波長を分離するMZ型素子は、波長ずれに弱いという問題点があった。すなわち、例えば光源等で生じた波長揺らぎが、アーム導波路での位相差の揺らぎを生じさせ、これにより、出力光の不所望な強度揺らぎが引き起こされる場合があった。
この問題の解決法の一つとして、マッハツェンダ干渉計を多段に接続するMZ型素子が知られている(例えば、特許文献6参照)。確かに、特許文献6のMZ型素子では、波長選択されて一方の出力ポートから出力される目的波長光の波長幅を広げることができる。しかし、この方法では、複数のマッハツェンダ干渉計が必要であり、構造の複雑化が避けられなかった。また、この文献のMZ型素子は、πの整数倍の位相差しか発生させることができず、2つの出力ポートから任意の分配比で光を出力させることができなかった。また、別の解決法として、アーム導波路にリング共振器を設けるMZ型素子が知られている(例えば、特許文献7参照)。しかし、この方法でも、MZ型素子にリング共振器を追加する必要があり、構造の複雑化が避けられなかった。
この発明は、このような技術的背景の下でなされた。従って、この発明の目的は、所定の波長範囲で光に一定の位相差を生じさせることから、波長ずれに強く、構造が簡単であるとともに、MZ型素子に適用可能な光素子を得ることにある。
発明者は、鋭意検討の結果、2本のアーム導波路のそれぞれに位相調整領域を設けることにより、両アーム導波路を伝搬後の光に波長によらない位相差を発生できることに想到した。従って、この発明の光素子は、コアと、屈折率がコアの71.4%以下であるクラッドとで構成される光導波路を備えている。そして、この光導波路は、2個の光合分波部とこの2個の光合分波部の間に設けられた光干渉部とを備える。この光干渉部は、一方の光合分波部により分配された光を、他方の光合分波部へと、それぞれ伝搬させる第1及び第2アーム導波路とを備える。そして、第1及び第2アーム導波路がそれぞれ第1及び第2位相調整領域を備え、これらの第1及び第2位相調整領域は互いに等価屈折率が異なっており、第1アーム導波路を伝搬する光と、第2アーム導波路を伝搬する光とに所定の位相差を付与する。
さらに、第1波長の第1光が光干渉部で付与される位相差の合計を第1位相差とし、第1波長とは異なる第2波長の第2光が光干渉部で付与される位相差の合計を第2位相差とするとき、第1及び第2位相差を等しくするように、第1及び第2位相調整領域の光伝搬方向に沿った幾何学的長さが構成されている
この発明は、上述のように構成されている。従って、この発明によれば、伝搬光に所定の波長範囲内で一定の位相差を発生できることから波長ずれに強く、構造が簡単な、MZ型素子に適用可能な光素子が得られる。
(A)は従来のMZ型素子の構造を模式的に示す模式図であり、(B)は(A)の波長分離特性を模式的に示す特性図であり、(C)はこの発明のMZ型素子の構造を模式的に示す模式図であり、(D)は(C)の波長分離特性を模式的に示す特性図である。 一般的なMZ型素子の概略的な構造を出力光と共に示す模式図である。 この発明のMZ型素子の概略的な構造を、被選択光及び第3光と共に示す模式図である。 (A)は、実施形態のMZ型素子の構造を概略的に示す平面図であり、(B)は、(A)のA−A線に沿った切断端面図である。 (A)は、第1及び第2位相調整領域の等価屈折率の波長依存性を示す特性図であり、(B)は、(A)に示す第1及び第2位相調整領域において、干渉条件を満たすLa及びLbを干渉次数とともに示す図である。 実施形態のMZ型素子の波長分離特性を示す特性図である。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。なお、各図において各構成要素の形状、大きさ及び配置関係について、この発明が理解できる程度に概略的に示してある。また、以下、この発明の好適な構成例について説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。また、各図において、共通する構成要素には同符号を付し、その説明を省略することもある。また、他の図面との対応関係が明らかな構成要素の符号を省略することもある。
(発明の概要)
具体的な構成の説明に先立ち、図1を参照して、従来のMZ型素子(以下、従来素子とも称する。)との比較により、この発明の特徴を概説する。図1(A)は、従来素子の構造を模式的に示す模式図である。図1(B)は、従来素子の波長分離特性を模式的に示す特性図である。図1(C)は、この発明のMZ型素子の構造を模式的に示す模式図である。図1(D)は、この発明のMZ型素子の波長分離特性を模式的に示す特性図である。なお、図1(A)及び(C)では、発明の理解に資するために、MZ型素子を簡略的に描いている。つまり、基板及びクラッドの図示を省略するとともに、コアを単なる曲線で、及び各構成要素を矩形のボックスで、それぞれ描いている。
まず、図1(A)及び(B)を参照して、一般的な従来素子について簡単に説明する。従来素子50は、2個の光合分波部C1及びC2と、光干渉部56とを備えている。さらに、従来素子50は、入力ポートin1及びin2と、出力ポートot1及びot2とを備える。
一方の光合分波部C1は、入力ポートin1から入力された入力光INを第1及び第2アーム導波路52及び54に等分配して出力する、いわゆる3dBカプラとする。なお、以降、アーム導波路を単に「アーム」とも称する。他方の光合分波部C2は、第1及び第2アーム52及び54を伝搬した光を合波する3dBカプラとする。合波された光は、出力ポートot1又はot2から、波長選択された第1及び第2出力光OUT1及びOUT2として出力される。ここで、入力光INは全波長の光を等しい強度で含む白色光とする。
光干渉部56は、光路長がそれぞれ異なる第1及び第2アーム52及び54を備え、両アーム52及び54を伝搬する光に、波長に応じた位相差を発生させることで波長を選択する。この例では、第1及び第2アーム52及び54の光路長は、第1波長λ1の光を出力ポートot2から出力させ、λ1以外の波長の光を出力ポートot1から出力させるような光路長差に設定されている。
ここで、「光路長」とは、一般的に、光導波路の幾何学的な長さLを、ある波長λの伝搬光に対する光導波路の等価屈折率qで補正した光学的な長さを示す。光路長をSとすると、S,L及びqの間には、S=L×qが成り立つ。
次に、図1(B)を参照して、従来素子50の波長分離特性について説明する。図1(B)の横軸は、第2出力光OUT2の任意単位の波長である。縦軸は、出力ポートot2から、波長分離されて出力される第2出力光OUT2の強度を任意単位で示す。なお、第2出力光OUT2の強度は、光干渉部56で生じた位相差φと同じ挙動を示す。
上述のように、第1及び第2アーム52及び54の光路長差が、第1波長λ1の光を出力ポートot2から出力させる位相差に最適化されているときに、この波長λ1において第2出力光OUT2の強度が最大となる。第2波長λ2(≠λ1)の光は、光干渉部56で第1波長λ1とは異なる位相差を生じるため、第1波長λ1よりも出力強度が大幅に小さくなる。なお、入力光INに含まれ、出力ポートot2から出力される以外の光は、第1出力光OUT1として出力ポートot1から出力される。
続いて、図1(C)及び(D)を参照して、本発明のMZ型素子について説明する。図1(C)によれば、MZ型素子10は、光干渉部16を構成する第1及び第2アーム12及び14が、第1及び第2位相調整領域18及び20をそれぞれ備える以外は、従来素子50と同様に構成されている。
ここで、本発明のMZ型素子10での波長選択に係る第1及び第2波長λ1及びλ2の光を、それぞれ第1及び第2光と称する。また、第1及び第2波長λ1及びλ2の間の波長範囲λ1〜λ2を「被選択範囲」とも称し、第1及び第2光を含む被選択範囲の光を「被選択光」とも称する。
第1及び第2位相調整領域18及び20は、第1及び第2アーム12及び14を伝搬後の光に生じさせる位相差を調整するための領域である。位相差を調整するために、第1及び第2位相調整領域18及び20の等価屈折率na及びnbを、異なる値としている。具体的には、光導波路の構造的パラメータ、例えば幅等を変えることで、na≠nbとしている。na≠nbの下で、第1及び第2位相調整領域18及び20の光伝搬方向に沿った幾何学的長さLa及びLbを最適化することで、MZ型素子10は被選択範囲(λ1〜λ2)で伝搬光に一定の位相差を発生させる。ここで、第1位相調整領域18以外の第1アーム12の光導波路領域を第1伝搬領域17とも称し、及び第2位相調整領域20以外の第2アーム14の光導波路領域を第2伝搬領域19とも称する。
次に、図1(D)を参照して、MZ型素子10の波長分離特性について説明する。図1(D)の縦軸及び横軸は図1(B)と同様である。上述の第1及び第2位相調整領域18及び20を備える結果、MZ型素子10から出力される第2出力光OUT2は、被選択範囲を含む波長範囲Aで強度が一定となる。つまり、本発明のMZ型素子10は、第1及び第2位相調整領域18及び20を設けたことにより、波長範囲A内の波長の光に対して、波長によらず一定の位相差φを生じさせる。
次に、適宜図1(C)を参照して、MZ型素子10の動作原理、つまり、第1及び第2位相調整領域18及び20が、伝搬光に波長によらず一定の位相差φを生じさせる原理を説明する。
MZ型素子10において、被選択光を、出力ポートot1及びot2のどちらか一方から出力させるための干渉条件は下記式(1)及び(2)で与えられる。式(1)は第1波長λ1の第1光に関する干渉条件であり、式(2)は第2波長λ2の第2光に関する干渉条件である。
i=naλ1×La/λ1−nbλ1×Lb/λ1・・・(1)
i=naλ2×La/λ2−nbλ2×Lb/λ2・・・(2)
ここで、naλ1及びnbλ1は、それぞれ第1及び第2位相調整領域18及び20の、第1光に関する等価屈折率とする。同様に、naλ2及びnbλ2は、それぞれ第1及び第2位相調整領域18及び20の、第2光に関する等価屈折率とする。
詳しくは後述するが、iは干渉次数であり、被選択光を出力ポートot1及びot2のどちらか一方から出力させる場合には、0を含む1/2の倍数とする。被選択光を出力ポートot1及びot2に分配して、両者から同時に出力させる場合は、iは1/2の倍数を除く正の実数とする。なお、式(1)の左辺の干渉次数iに2πを乗じた2iπが、第1波長λ1の第1光が光干渉部16で付与される位相差の合計である第1位相差である。同様に、式(2)の左辺の干渉次数iに2πを乗じた2iπが、第2波長λ2の第2光が光干渉部16で付与される位相差の合計である第2位相差である。
この例では、第1及び第2伝搬領域17及び19の光路長を互いに等しくしている。これは、被選択光には、第1及び第2伝搬領域17及び19に由来する位相差が生じず、第1及び第2位相調整領域18及び20でのみ、波長選択に必要な位相差が生じることを意味する。第1及び第2伝搬領域17及び19の等価屈折率がncで等しい場合、上述の定義「S=L×q」から、第1及び第2伝搬領域17及び19の幾何学的長さが互いに等しいことが導かれる。
式(1)及び(2)に上述の光路長の定義を適用することで、下記式(3)及び(4)が得られる。
i=Saλ1/λ1−Sbλ1/λ1・・・(3)
i=Saλ2/λ2−Sbλ2/λ2・・・(4)
ここで、Saλ1及びSbλ1は、それぞれ第1及び第2位相調整領域18及び20の、第1光に関する光路長とする。同様に、Saλ2及びSbλ2は、それぞれ第1及び第2位相調整領域18及び20の、第2光に関する光路長とする。
ところで、MZ型素子10は、第1アーム12に第1位相調整領域18を備えるが、第2アーム14にはこの第1位相調整領域18に対応する領域が存在しない。これは、言い換えれば、第2アーム14が、長さが0(ゼロ)の仮想的な第1位相調整領域を備えているとも解釈できる。同様に、第1アーム12は、長さが0(ゼロ)の仮想的な第2位相調整領域を備えていると解釈できる。
この解釈から、式(3)及び(4)の光路長Saλ1,Sbλ1,Saλ2及びSbλ2は、それぞれ光路長差ΔSaλ1,ΔSbλ1,ΔSaλ2及びΔSbλ2に置換でき、下記式(5)及び(6)が得られる。
i=ΔSaλ1/λ1−ΔSbλ1/λ1・・・(5)
i=ΔSaλ2/λ2−ΔSbλ2/λ2・・・(6)
ここで、ΔSaλ1は(Saλ1−0)と表され、第1アーム12の第1位相調整領域18と、第2アーム14の仮想的な長さ0(ゼロ)の第1位相調整領域との、第1波長λ1に関する光路長差である。また、ΔSaλ2は(Saλ2−0)と表され、第1アーム12の第1位相調整領域18と、第2アーム14の仮想的な第1位相調整領域との、第2波長λ2に関する光路長差である。
同様に、ΔSbλ1は(Sbλ1−0)と表され、第2アーム14の第2位相調整領域20と、第1アーム12の仮想的な長さ0(ゼロ)の第2位相調整領域との、第1波長λ1に関する光路長差である。また、ΔSbλ2は(Sbλ2−0)と表され、第2アーム14の第2位相調整領域20と、第1アーム12の仮想的な第2位相調整領域との、第2波長λ2に関する光路長差である。
一般に、波長λの光に関して、光路長差ΔSと実光路長差ΔLとの間にΔL=ΔS/屈折率との関係があることを利用すれば、式(5)及び(6)から、下記式(7)及び(8)が得られる。
ΔLa=i(naλ2×λ1−naλ1×λ2)/(naλ2×nbλ1−naλ1×nbλ2)・・・(7)
ΔLb=i(nbλ2×λ1−nbλ1×λ2)/(−naλ2×nbλ1+naλ1×nbλ2)・・・(8)
ΔLaは、第1及び第2アーム12及び14にそれぞれ設けられた第1位相調整領域の長さの差である。同様にΔLbは、第1及び第2アーム12及び14にそれぞれ設けられた第2位相調整領域の長さの差である。
第1及び第2アーム12及び14のそれぞれに位相調整領域を設ける場合、その長さを式(7)及び式(8)に従って決定すればよい。
(干渉次数と出力ポート)
次に、図2を参照して、干渉次数iと、被選択光が出力される出力ポートot1及びot2との関係について説明する。図2は、位相調整領域を備えない一般的なMZ型素子の概略的な構造を、バー及びクロス出力光BAR及びCRSと共に示す模式図である。なお、図2は、図1(A)と同様に簡略化している。
このMZ型素子MZは、2個の光合分波部c01及びc02と、光路長が異なる第1及び第2アームa01及びa02と、入力ポートin01及びin02と、出力ポートot01及びot02とを備えている。そして、両アームa01及びa02の光路長差をΔSmとする。このとき、MZ型素子MZにおいて、波長λの光に関する干渉条件は、i=ΔSm/λで与えられる。
概略的に、入力ポートin01に入力された入力光INは、両アームa01及びa02で生じた位相差に対応する強度比率x(xは0≦x≦1の実数)で出力ポートot01及びot02から出力される。出力ポートot01及びot02からの出力光を、それぞれバー及びクロス出力光BAR及びCRSとすると、両光BAR及びCRSの強度比は、BAR:CRS=x:(1−x)である。以降、この比率xを「分配比」とも称する。
なお、クロス出力光CRSとは、MZ型素子MZを伝搬する過程で、第1アームa01側から第2アームa02側にパワーが移行して、出力ポートot02から出力される光とする。また、バー出力光BARとは、第1アームa01側から第2アームa02側へのパワー移行が生じず、出力ポートot01から出力される光とする。
このようなMZ型素子MZにおいて、干渉次数iと、波長λの出力光の出力ポートot01及びot02との間には下記関係がある。
<a> iがm+1/2(mは0以上の整数)で表される半整数の場合
x=1の場合に対応し、出力ポートot01からバー出力光BARのみが出力される。
<b> iがmで表される整数の場合
x=0の場合に対応し、出力ポートot02からクロス出力光CRSのみが出力される。
<c> iがm±1/4で表される数の場合
x=1/2に対応し、出力ポートot01及びot02の両者から、同じ強度のバー及びクロス出力光BAR及びCRSがそれぞれ出力される。
<d> iが上記<a>〜<c>以外の値の場合
両アームa01及びa02を伝搬する波長λの光に、iに対応して生じる位相差に応じた分配比xで、両ポートot01及びot02からバー及びクロス出力光BAR及びCRSが出力される。
なお、MZ型素子MZにおけるλを、この発明のMZ型素子10における第1及び第2波長λ1及びλ2の平均値とすれば、以上の説明は、MZ型素子10にそのまま当てはめることができる。
なお、この発明のMZ型素子10の干渉次数iを<a>及び<b>のようにする場合は、iを半整数とすることが好ましい。つまり、被選択光を出力ポートot1からバー出力させるように設計することが好ましい。それは、クロス出力よりもバー出力の方が、若干、光導波路22の寸法誤差に対する耐性が高いことによる。
(第3波長λ3の第3光の波長分離)
次に、図3を参照して、MZ型素子10で、第1及び第2波長λ1及びλ2とは異なる第3波長λ3(λ3≠λ1かつλ3≠λ2)の第3光を、被選択光と波長分離する場合につき説明する。これは、MZ型素子10を、通信波長が揺らぐ環境で用いられるONUやOLTの光合分波素子に応用する場合に対応する。より詳細には、このMZ型素子10は、上り及び下り通信光の一方の波長が被選択範囲λ1〜λ2で揺らぎ、他方の波長が第3波長λ3で揺らがないような光加入者系通信システムに適用できる。
図3は、MZ型素子の概略的な構造を、被選択光及び第3光と共に示す模式図である。なお、図3は、図1(C)と同様に簡略化している。
MZ型素子10をこのような光合分波素子として用いる場合、第1,第2及び第3波長λ1,λ2及びλ3を含む入力光INを、被選択範囲λ1〜λ2と、第3波長λ3とに分離する能力が求められる。つまり、波長がλ1〜λ2の被選択光と、波長がλ3の第3光とを異なる出力ポートot1及びot2から出力させる必要がある。
そのための干渉条件は、上述した式(1)及び(2)に下式(9)を加えた、下記の3元連立方程式で与えられる。
i=naλ1×La/λ1−nbλ1×Lb/λ1・・・(1)
i=naλ2×La/λ2−nbλ2×Lb/λ2・・・(2)
(i+(j+1/2))=naλ3×La/λ3−nbλ3×Lb/λ3・・・(9)
ここで、jは0以上の整数である。また、naλ3及びnbλ3は、それぞれ第1及び第2位相調整領域18及び20の、第3光に関する等価屈折率とする。
式(1),(2)及び(9)より、干渉次数iが整数の場合、被選択光は出力ポートot2からクロス出力され、第3光は出力ポートot1からバー出力されることが分かる。また、干渉次数iが半整数の場合、図3に例示するように、被選択光は出力ポートot1からバー出力され、第3光は出力ポートot2からクロス出力されることが分かる。
なお、式(9)の干渉次数(i+(j+1/2))は、第3光を、被選択光とは異なる出力ポートから出力させる条件である。つまり、このように設定された干渉次数(i+(j+1/2))は、干渉次数iと反転した位相を発生させる。具体的には、iが整数ならば、(i+(j+1/2))は半整数となり、第3光はバー出力される。iが半整数ならば、(i+(j+1/2))は整数となり、第3光はクロス出力される。
なお、この3元連立方程式は、未知数(2個)よりも式数(3個)が多い、いわゆる過剰条件の連立一次方程式であるので、条件によっては解が存在しない場合もある。しかし、この場合でも、次善策として、最小二乗法を利用して、La及びLbの最小二乗解であるLa’及びLb’を求めことができる。このLa’及びLb’を第1及び第2位相調整領域18及び20の長さとすることでも、実用上許容できる分配比で、被選択光と第3光とを波長分離できる。
また、MZ型素子10をONUに用いる場合、入力ポートin1を局への光ファイバに接続し、出力ポートot1及びot2の一方に下り光信号を受ける受光素子を接続し、他方に上り光信号を発する発光素子を接続する。局からの下り光信号は、上述と同様の経路で、入力ポートin1に入力されて、MZ型素子10で波長分離されて、一方の出力ポートot1又はot2から出力される。それに対し、局へと送信される上り光信号は、上述と逆の経路で、発光素子から他方の出力ポートot2又はot1へと入力され、MZ型素子10で合波されて、入力ポートin1から光ファイバへと結合される。一般に、光の伝搬では逆過程が成立するので、上り光信号の逆経路でのこのような伝搬は保証される。なお、ONUの下り光信号と上り光信号を入れ替えて考えれば、MZ型素子10はOLTにも用いることができる。
また、このMZ型素子10をONUに利用する場合、波長揺らぎが許容される被選択光を、上り光信号として用いるのが好ましい。それは、上り光信号の光源であるONUの発光素子の波長安定性が、OLTよりも低いためである。なお、上り及び下り光信号の波長には、光加入者系通信システムで一般的な約1.49μm及び約1.31μmをそれぞれ用いることができる。
(光素子)
次に、図4を参照して、MZ型素子10の構成を具体的に説明する。図4(A)は、MZ型素子10の構造を概略的に示す平面図であり、図4(B)は、図4(A)のA−A線に沿った断面図である。なお、図4(A)において、クラッドに埋め込まれているために、コアを直接目視することはできないが、強調するために実線で示している。
まず、以下の説明で用いるMZ型素子10の方向及び寸法を定義する。入力光INの光伝搬方向(図中矢印P参照)に垂直かつ基板8の主面8aに平行な方向を幅方向と称し、幅方向に沿って測った幾何学的長さを「幅」と称する。また、主面8aに垂直な方向を高さ方向と称し、高さ方向に沿って測った幾何学的長さを「高さ」又は「厚さ」と称する。同様に、光伝搬方向に沿って測った幾何学的長さを「長さ」と称する。また、所定の構造体の光伝搬方向に垂直な断面のことを「横断面」と称する。
MZ型素子10は光導波路22を備えている。光導波路22は、基板8の主面8a側に設けられたコア22aと、コア22aが埋め込まれたクラッド22bとで構成されている。上述のように、光導波路22は、2個の光合分波部C1及びC2と、これらの光合分波部C1及びC2の間に、第1及び第2アーム12及び14を備える光干渉部16とを有する。そして、第1アーム12に第1位相調整領域18が設けられ、第2アーム14に第2位相調整領域20が設けられている。
第1位相調整領域18と光合分波部C1及びC2とを除いて、コア22aは、高さH及び幅Wの両者が共に約300nmである正方形の横断面形状に形成されている。すなわち、この例では、第2位相調整領域20は、第2アーム14と等しい横断面形状を有している。また、第1位相調整領域18は、高さが約300nmであり、幅Wが約500nmの矩形状の横断面形状に形成されている。コア22aの高さH及び幅Wは約200〜500nmの範囲の値から選択することが好ましい。高さH及び幅Wをこの範囲とすることで、光導波路22を高さ方向及び幅方向の両方向に関してシングルモードとすることができる。コア22aの構成材料は、この例では、屈折率n1が約3.47のSiとする。
クラッド22bは、平坦面である主面8a上に設けられた膜体である。クラッド22bの厚みは、この例では、約4μmとする。そして、クラッド22bに埋め込まれたコア22aの下面と主面8aとの距離は約2μmとする。基板8への不所望な光の結合を防ぐためには、コア22aと主面8aとの間には1μm以上の厚みのクラッド22bを介在させることが好ましい。クラッド22bの構成材料は、この例では、屈折率n2が約1.45のSiOとする。クラッド22b及びコア22aの屈折率n1及びn2は、n2≦(1/1.4)n1(≒0.714n1)の関係を満たしている。この屈折率範囲のクラッド22bを用いることで、光の閉じ込め性に優れた光導波路22を得ることができる。
この例では、光合分波部C1及びC2としては、2入力2出力型のMMI(Multi−Mode Interference)導波路を利用した3dBカプラを用いている。なお、光合分波部C1及びC2に用いる3dBカプラとしては、MMI導波路の他に、方向性結合器を利用することができる。また、光合分波部C1及びC2は、3dBカプラに限らず、2個の出力ポートに任意の分配率で光を分配できるより一般的なカプラを用いることができる。
第1アーム12は、第1位相調整領域18と、第1伝搬領域17とを備える。この例では、第1位相調整領域18は、2個のサブ領域18a及び18bに分割されている。第1位相調整領域18の幾何学的長さLaは、これらのサブ領域18aと18bの長さの和とする。第1伝搬領域17は、第1位相調整領域18以外の第1アーム12の導波路領域である第1サブ伝搬領域17a,17b及び17cを備える。第1サブ伝搬領域17a及び17cは、主面8aに平行な面内で光の伝搬方向を直角に曲げる湾曲光導波路を1個ずつ備えている。第1サブ伝搬領域17bは、上述と同じ構造の湾曲光導波路を2個備えている。
同様に、第2アーム14は、第2位相調整領域20と、第2伝搬領域19とを備える。この例では、第2位相調整領域20は、2個のサブ領域20a及び20bに分割されている。第2位相調整領域20の幾何学的長さLbは、これらのサブ領域20aと20bの長さの和とする。第2伝搬領域19は、第2位相調整領域20以外の第2アーム14の導波路領域である第2サブ伝搬領域19a,19b及び19cを備える。第2サブ伝搬領域19a及び19cは、上述の湾曲光導波路を1個ずつ備えている。第2サブ伝搬領域19bは、上述の湾曲光導波路を2個備えている。この例では、第1伝搬領域17の長さと、第2伝搬領域19の長さとは等しく構成されている。
なお、この例では、第1及び第2位相調整領域18及び20がそれぞれ2個のサブ領域に分割されている場合について説明した。しかし、サブ領域の長さの和である第1及び第2位相調整領域18及び20の全長La及びLbが上述の式(1)及び(2)を満たせば、分割数は3個以上でも良い。
また、この例では、第1及び第2伝搬領域17及び19の幾何学的長さが等しい場合、つまり両領域17及び19の光路長が等しい場合について説明した。この場合には、式(1)及び(2)において、両領域17及び19により第1及び第2光に生じる位相差を考慮する必要が無いため、La及びLbの設計が容易になる。しかし、両領域17及び19の光路長は異なっていてもよい。この場合には、両領域17及び19で生じる位相差を考慮して、第1及び第2位相調整領域18及び20の長さLa及びLbを設計する必要がある。
(動作)
続いて、図5及び図6を参照して、MZ型素子10の動作を具体的に説明する。図5(A)は、第1及び第2位相調整領域の等価屈折率の波長依存性を示す特性図であり、(B)は、(A)に示す第1及び第2位相調整領域において、干渉条件を満たすLa及びLbを干渉次数とともに示す図である。図6は、MZ型素子10の波長分離特性を示す特性図である。
図5(A)の曲線I及びIIは、それぞれ上述の横断面寸法に形成された第1及び第2位相調整領域18及び20の等価屈折率na及びnbに対応する。図5(A)の横軸は伝搬光の波長(μm)であり、縦軸は等価屈折率(無次元)である。なお、na及びnbの値は、コア22a及びクラッド22bの屈折率n1及びn2と寸法に上述した値を与えた有限要素法で計算した。
曲線I及びIIの挙動から、波長が1.3〜1.6μmの範囲で、na及びnbとも、上に凸の形状で、波長の増加と共になだらかに減少することが分かる。この波長範囲において、naは約2.4から約2.2へと約1割減少し、nbは約2.2から約2.0へと約1割減少する。
第1及び第2波長λ1及びλ2の値が与えられれば、図5(A)の曲線I及びIIから、式(1)及び(2)中の等価屈折率naλ1,nbλ1,naλ2及びnbλ2が求められる。つまり、任意の干渉次数iの下で、式(1)及び(2)を解いて第1及び第2位相調整領域18及び20の長さLa及びLbを決めることができる。
図5(B)に、幾つかの干渉次数iについて、このようにして求めたLa及びLbを例示する。なお、図5(B)を得るに当たって、第1及び第2波長λ1及びλ2をそれぞれ1.54μm及び1.56μmと設定した。
図5(B)には、干渉次数iが1/2,3/2及び11/2の場合を示している。この図によると、干渉次数が大きくなるほど、La及びLbが大きくなっていくことが分かる。
図6は、図5(B)のLa及びLbを与えたMZ型素子10の波長分離特性を、解析計算法で求めた特性図である。図6の縦軸はバー出力光BARの強度であり、横軸はバー出力光BARの波長(μm)である。なお、縦軸の強度は、入力光INに対するバー出力光BARの強度比である。図6の曲線I,II及びIIIが、それぞれ図5(B)のi=1/2,3/2及び11/2に対応する。
図6を参照すると、曲線I,II及びIIIは、何れも、波長が1.5〜1.6μmで強度が1で一定となることが分かる。つまり、少なくとも、第1及び第2波長λ1及びλ2を含むこの波長範囲で、両アーム12及び14で生じた位相差が変化しないことが分かる。
また、干渉次数iが大きくなるほど、位相差が変化しない波長範囲が小さくなっていくことが分かる。より詳細には、i=1/2では約1.45〜約1.65μmの範囲で、i=3/2では約1.48〜約1.62μmの範囲で、及びi=11/2では約1.5〜約1.6μmの範囲で、それぞれ位相差が一定となる。
また、位相差が一定となる範囲外の波長範囲では、MZ型素子10は、従来素子50と同様に三角関数的な波長分離特性を示す。これは、第1及び第2波長λ1及びλ2との波長差が大きくなるほど、式(1)及び(2)から大きくずれていくためである。この三角関数的な特性を利用することにより、MZ型素子10は、上述のように、被選択光と第3光とを波長分離できる。例えば、曲線III(i=11/2)では、約1.37μmの波長でバー出力光の強度が0となる。これは、波長が約1.37μmの光は、クロス出力されることを意味する。よって、このMZ型素子10において、第3波長λ3を1.37μmとすれば、第3光をクロス出力させ、約1.5〜約1.6μmの被選択光をバー出力させることができる。
このように、MZ型素子10は、第1及び第2位相調整領域18及び20により、被選択範囲で、第1及び第2アーム12及び14を伝搬後の光に、一定の位相差を発生できる。その結果、MZ型素子10は、波長選択されるべき光の波長がλ1〜λ2の範囲で揺らぐ場合であっても、この波長範囲で、強度が変わらない出力光を出力できる。
また、MZ型素子10は、言わば、従来素子50の第1及び第2アーム52及び54の一部領域の幅を変えて、第1及び第2位相調整領域18及び20を形成したものに対応する。つまり、リング導波路等の構成の追加により所定の波長範囲で位相差を一定としていた特許文献6及び7とは異なり、本発明のMZ型素子10は、構成を追加しなくても、これらの文献と同等に機能する。
(干渉条件の変形)
図5(A)の曲線I及びIIは滑らかであるので、第1及び第2光の波長差dλ(=λ2−λ1)が十分に微小な場合、na及びnbとdλとに下記式(10)及び(11)の線形性が成り立つと見なせる。この場合、式(1)及び(2)の干渉条件をさらに変形することができる。
naλ2=naλ1+dλ(dna/dλ)λ1・・・(10)
nbλ2=nbλ1+dλ(dnb/dλ)λ1・・・(11)
ここで、(dna/dλ)λ1は、第1位相調整領域18の等価屈折率naの波長λに対する変化率を表し、図5(A)における曲線Iの波長λ1における傾きに対応する。また、(dnb/dλ)λ1は、第2位相調整領域20の等価屈折率nbの波長λに対する変化率を表し、図5(A)における曲線IIの波長λ1における傾きに対応する。
なお、上述の「線形性が成り立つ」とは、被選択範囲中のna及びnbの傾きのばらつきが、同範囲のna及びnbの傾きの平均値に対して20%以内に収まっていることを示す。この場合、上述の式(10)及び式(11)が成り立つと見なせる。
式(10)及び(11)を用いて、式(2)を変形すると、下記式(12)が得られる。
(i+di)(λ1+dλ)=(naλ1+dλ(dna/dλ)λ1)La+(nbλ1+dλ(dnb/dλ)λ1)Lb・・・(12)
なお、式(12)を得るに当たっては、第1波長λ1の微小変化dλにより、干渉次数iが(i+di)へと変化すると仮定した。ここでdiは、干渉次数の微小変化を示す。
さらに、式(12)と式(1)の両辺の差を取り、波長がdλだけ変化しても干渉次数iが不変(di=0)であることを考慮すると、下記式(13)が得られる。
i=(dna/dλ)λ1La+(dnb/dλ)λ1Lb・・・(13)
ところで、第1及び第2波長λ1及びλ2を含む光、つまり、被選択光の第1及び第2位相調整領域18及び20に対する第1及び第2群屈折率nag及びnbgは、従来周知の下記式(14)及び(15)で表される。
nag=naAV−λAV(dna/dλ)AV・・・(14)
nbg=nbAV−λAV(dnb/dλ)AV・・・(15)
ここで、naAV=(naλ1+naλ2)/2とし、nbAV=(nbλ1+nbλ2)/2とする。また、λAV=(λ1+λ2)/2とする。また、(dna/dλ)AV=((dna/dλ)λ1+(dna/dλ)λ2)/2とし、(dnb/dλ)AV=((dnb/dλ)λ1+(dnb/dλ)λ2)/2とする。
なお、群屈折率とは、均一な媒質中での光パルスの進行速度(群速度)で、真空中での光パルスの進行速度を除した量であり、(群屈折率=光速/群速度)で表される。
式(14)及び(15)を用いて、式(13)を変形すると、下記式(16)が得られる。
i=(naAV−nag)La/λAV+(nbAV−nbg)Lb/λAV ・・・(16)
なお、式(16)への変形に当たっては、上述の線形性に基づき(dna/dλ)λ1=(dna/dλ)AV及び(dnb/dλ)λ1=(dnb/dλ)AVが成り立つことを利用している。
ところで、上述の線形性に基づき、式(1)から、下記式(17)が得られる。
i=naAV×La/λAV+nbAV×Lb/λAV・・・(17)
ここで、式(16)から(17)を差し引くことで、下記式(18)が得られる。
nag×La=nbg×Lb・・・(18)
式(18)は、被選択範囲で一定の位相差を得るには、第1位相調整領域18の長さLa及び第1群屈折率nagの積と、第2位相調整領域20の長さLb及び第2群屈折率nbgの積を等しくすれば良いことを示す。このように、式(1)及び(2)に代えて、式(18)を利用して、La及びLbを決定しても良い。
なお、式(18)を得るに当たっては、第1及び第2伝搬領域17及び19の光路長を等しくしておく必要がある。
(MZ型素子の製造方法)
最後に、MZ型素子10の製造方法について簡単に説明する。MZ型素子10は、Si基板上にSiO層とSi層とがこの順序で積層されたSOI(Si On Insulator)基板を利用して作成される。すなわち、最上層のSi層を利用してコア22aを形成し、BOX(Buried−OXide)層であるSiO層をクラッド22bの下層に利用する。より詳細には、最上層のSi層を従来公知のドライエッチング法等でパターニングしてコア22aを作成する。そして、このコア22aを埋め込むように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等で、クラッド22bの上層に対応するSiO層を形成して、MZ型素子10を得る。
8 基板
8a 第1主面
10,50,MZ MZ型素子(マッハツェンダ干渉器を用いた光合分波素子)
12,52,a01 第1アーム(第1アーム導波路)
14,54,a02 第2アーム(第2アーム導波路)
16,56 光干渉部
17 第1伝搬領域
17a,17b,17c 第1サブ伝搬領域
18 第1位相調整領域
18a,18b,20a,20b サブ領域
19 第2伝搬領域
19a,19b,19c 第2サブ伝搬領域
20 第2位相調整領域
22 光導波路
22a コア
22b クラッド
C1,C2,c01,c02 光合分波部
in1,in2,in01,in02 入力ポート
ot1,ot2,ot01,ot02 出力ポート

Claims (8)

  1. コアと、屈折率が該コアの71.4%以下であるクラッドとで構成される光導波路を備え、
    該光導波路が、2個の光合分波部と、該2個の光合分波部の間に設けられた光干渉部とを備え、
    該光干渉部が、一方の前記光合分波部により分配された光を、他方の前記光合分波部へと、それぞれ伝搬させる第1及び第2アーム導波路とを備え、
    前記第1及び第2アーム導波路がそれぞれ第1及び第2位相調整領域を備え、
    前記第1及び第2位相調整領域は互いに等価屈折率が異なっており、前記第1アーム導波路を伝搬する光と、前記第2アーム導波路を伝搬する光とに所定の位相差を付与し、
    第1波長の第1光が前記光干渉部で付与される位相差の合計を第1位相差とし、前記第1波長とは異なる第2波長の第2光が前記光干渉部で付与される位相差の合計を第2位相差とするとき、
    前記第1及び第2位相差を等しくするように、前記第1及び第2位相調整領域の光伝搬方向に沿った幾何学的長さが構成されていることを特徴とする光素子。
  2. 前記第1及び第2位相差を共に2iπ(iは0を含む1/2の倍数)とすることを特徴とする請求項に記載の光素子。
  3. 前記第1及び第2波長の両波長とは異なる第3波長の第3光が前記光干渉部で付与される位相差の合計を第3位相差とするとき、
    該第3位相差を2(i+(j+1/2))π(jは0以上の整数)とすることを特徴とする請求項に記載の光素子。
  4. 第1及び第2位相差を共に2(i±1/4)π(iは0を含む1/2の倍数)とすることを特徴とする請求項に記載の光素子。
  5. 前記第1位相調整領域以外の第1アーム導波路の領域を第1伝搬領域とし、前記第2位相調整領域以外の第2アーム導波路の領域を第2伝搬領域とするとき、
    該第1及び第2伝搬領域の光路長が等しく構成されていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の光素子。
  6. コアと、屈折率が該コアの71.4%以下であるクラッドとで構成される光導波路を備え、
    該光導波路が、2個の光合分波部と、該2個の光合分波部の間に設けられた光干渉部とを備え、
    該光干渉部が、一方の前記光合分波部により分配された光を、他方の前記光合分波部へと、それぞれ伝搬させる第1及び第2アーム導波路とを備え、
    前記第1及び第2アーム導波路にそれぞれ第1及び第2位相調整領域を備え、
    前記光が、第1波長の第1光と、前記第1波長とは異なる第2波長の第2光とを含み、前記第1及び第2位相調整領域の前記光に関する群屈折率をそれぞれ第1及び第2群屈折率nag及びnbgとし、及び前記第1及び第2位相調整領域の光伝搬方向に沿った幾何学的長さを、それぞれLa及びLbとするとき、
    La×nag=Lb×nbgが満足され、かつ、
    前記第1位相調整領域以外の第1アーム導波路の領域を第1伝搬領域とし、前記第2位相調整領域以外の第2アーム導波路の領域を第2伝搬領域とするとき、
    該第1及び第2伝搬領域の光路長が等しく構成されていることを特徴とする光素子。
  7. 前記光合分波部として、入力された光を2等分して出力する3dBカプラを用いることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の光素子。
  8. 前記コアとしてSiを用い、前記クラッドとしてSiOを用いることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の光素子。
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