JP6127079B2 - 光波長フィルタ - Google Patents

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本願発明は、光波長フィルタに関し、特に偏波無依存で波長選択を行う光波長フィルタに関する。
近年、加入者系光アクセスシステムは、1つの局側光回線終端装置(OLT: Optical Line Terminal)と複数の加入者側光回線終端装置(ONU: Optical Network Unit)を、光ファイバ及びスターカプラを介して接続し、OLTを複数のONUが共有する、受動光ネットワーク(PON: Passive Optical Network)通信システムが主流となっている。この通信システムでは、OLTからONUへ向けた下り通信とONUからOLTに向けた上り通信とが相互に干渉し合わないように、下り通信に使われる光信号波長と上り通信に使われる光信号波長とを違えている。
従って、下り通信と上り通信のそれぞれに使われる互いに波長の異なる光信号を分波し、かつ合波するために合分波素子が必要である。OLTやONUにおいて波長の異なる光信号を分波しかつ合波する機能を実現させるために、一般に、光波長フィルタ、フォトダイオード(PD:Photodiode)、レーザーダイオード(LD: Laser diode)が空間結合される。空間結合させるためには、光波長フィルタ、PD、LD間で光軸を合わせるためのアライメント作業が必要となるが、この光軸合わせのための作業を不要とする、導波路を利用して構成される光波長フィルタが開発されている。また、この光波長フィルタを形成するに当たり、小型化と量産性に優れることから、シリコン系素材を導波路材料として用いる技術が注目されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
加入者系光アクセスシステムで使用可能な光波長フィルタには、マッハ-ツェンダ干渉計を利用するもの、方向性光結合器を利用するもの、あるいは導波路型光回折格子を利用するもの等が知られている。シリコン導波路で構成されるマッハ-ツェンダ干渉計を利用する光波長フィルタは、多段に接続する構成としなければならないため、素子を小型化することが難しい。また、光波長フィルタとして方向性光結合器は透過域内での透過率が波長依存性を有しているため、光源の波長ずれに対して脆弱である。また、方向性光結合器は、その素子長が数百μm程度になるので、この場合も素子を小型化するのが困難である。
そこで、シリコン基板を使って形成される導波路型光回折格子を利用した光波長フィルタも開示されている(非特許文献1参照)。また、多モード導波路におけるモード変換型の導波路型光回折格子を利用した光波長フィルタも開示されている(特許文献6参照)。あるいは、導波路型光回折格子と方向性光結合器を組み合わせて構成された光波長フィルタも開示されている(非特許文献2参照)。
導波路型光回折格子を利用する光波長フィルタは、ブラッグ反射率を十分大きくすれば、透過波長帯域での透過率を一定に保つことができる。そして、マッハ-ツェンダ干渉計を利用する光波長フィルタでは、素子構造部分を多段に接続しなければ実現できない単一波長光成分だけの選択機能が、導波路型光回折格子を利用する光波長フィルタでは、単一の素子構造部分で反射することで実現されるという特徴がある。
米国特許第4,860,294号明細書 米国特許第5,764,826号明細書 米国特許第5,960,135号明細書 米国特許第7,072,541号明細書 特開平08−163028号公報 特開2006−235380号公報
Hirohito Yamada, et. al,. "Si Photonic Wire Waveguide Devices" IEICE Transactions of Electronics vol. E90-C, No. 1, p. 59, January 2007. Wei Shi, et. al,. "Add-Drop Filters in Silicon Grating-Assisted Asymmetric Couplers" Optical Fiber Communication Conference 2012 OTh3D.3.
しかしながら、従来の導波路型光回折格子を利用する光波長フィルタは、TM(Transverse Magnetic)波に対する回折効率(すなわちブラッグ反射率)がTE(Transverse Electric)波に対するブラッグ反射率より低いという、波長選択機能に偏波依存性がある。
このため、従来の導波路型光回折格子を利用する光波長フィルタには偏波依存性があり、TM偏波成分とTE偏波成分とが混在した光信号を処理する必要のある加入者系光アクセスシステムで利用するには対応しにくい欠点を有している。そこで、波長選択特性に偏波依存性が無い導波路型光回折格子を利用する光波長フィルタの実現が望まれる。
本願発明者は、導波路型光回折格子に対して、この導波路のコアの導波方向に沿った両側の光回折格子を形成する深さ方向において、非対称となるように形成すれば、TM偏波成分とTE偏波成分が共通でもっている伝搬方向の電場成分を介してTM偏波成分とTE偏波成分が交換されることに着目した。
このように導波路のコアの導波方向に沿った両側の光回折格子を形成する深さ方向において、非対称となるように形成すれば、導波路型光回折格子において、伝搬するTM偏波成分とTE偏波成分の重なり積分で与えられる回折効率が大きくなる。
そこで、この発明の目的は、TM偏波成分とTE偏波成分の相互偏波変換が偏波無依存で可能である導波路型の光波長フィルタを提供することにある。
本願発明の要旨によれば、上述の目的を達成するため、導波路型光回折格子を利用する光波長フィルタは、以下の特徴を具えている。
本願発明の光波長フィルタの導波路を構成する導波路コアには、導波方向に沿って左側導波路領域、中央導波路領域、右側導波路領域が設定されている。そして、左側導波路領域の幅と右側導波路領域の幅は等しく、左側導波路領域と右側導波路領域は、深さ方向において非対称となるように形成されている。また、左側導波路領域は右側導波路領域に対して、反対称に形成されている。
好ましくは、左側導波路領域及び右側導波路領域のそれぞれの深さ方向の上半分あるいは下半分の部分は、それぞれ導波方向に沿って互い違いにコアが存在するように形成するのがよい。あるいは、左側導波路領域及び右側導波路領域のコアを、深さ方向に向かって斜めに形成するのがよい。
本願発明の光波長フィルタは、導波路コアを取り囲むクラッド層を酸化シリコン材で形成し、導波路コアをシリコン材で形成するのが最適である。
本願発明の光波長フィルタによれば、導波路のコアの左側導波路領域及び右側導波路領域に形成される光回折格子によって、波長選択が行われる。
そして、本願発明の特徴は、この導波路型光回折格子に対して、この左側導波路領域及び右側導波路領域は、深さ方向において非対称となるように形成されていることにある。そのため、入力光と出力光が導波路を伝搬中にTM偏波成分とTE偏波成分が交換される。すなわち、入力光の伝搬モードがTM偏波であれば、出力光の伝搬モードはTE偏波となり、逆に入力光の伝搬モードがTE偏波であれば、出力光の伝搬モードはTM偏波となるので、TM偏波成分とTE偏波成分の相互偏波変換が偏波無依存で可能である導波路型の光波長フィルタが実現される。
第1の光波長フィルタの概略的構成を示す図であり、(A)はy−z面を示す平面図、(B)は左側あるいは右側導波路領域を導波方向に沿って切断したx−z面を示す断面図、(C)は導波路を導波方向に垂直な方向に沿って切断したx−y面を示す断面図である。 第2の光波長フィルタの概略的構成を示す図であり、(A)はy−z面を示す平面図、(B)は左側あるいは右側導波路領域を導波方向に沿って切断したx−z面を示す断面図である。 第1の光波長フィルタにTE偏波成分とTM偏波成分とを含む入力光を入力して得られるブラッグ反射光強度、及び入力側とは反対側から透過して出力される透過光強度を示す図である。 第2の光波長フィルタについて、左側あるいは右側導波路領域に斜めに形成されている導波路のコアの深さ方向の傾斜角度に対する、透過して出力されるTE偏波成分及びTM偏波成分の極小値を示す図である。
以下、図を参照して、この発明の実施形態につき説明する。なお、本願発明の光波長フィルタの概略的構成を示す図1、及び図2は、本願発明の実施形態に係る一構成例を示すものであり、本願発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の構成素材及び設計条件等を用いることがあるが、これら構成素材及び設計条件等は好適例の一つに過ぎず、したがって、何らこれらに限定されない。
<第1の光波長フィルタ>
図1を参照して、第1の光波長フィルタの実施形態について説明する。図1は、第1の光波長フィルタの概略的構成を示す図である。ここで、説明の便宜上、図1に示すように、導波方向をz軸方向とし、導波路の幅方向をy軸方向、導波路の深さ方向をx軸方向と定義する。
第1の光波長フィルタは、導波路コア2を備え、この導波路コア2には、導波方向に沿って左側導波路領域L、中央導波路領域C、右側導波路領域Rが設定されている。そして、左側導波路領域Lの幅と右側導波路領域Rの幅は等しく、左側導波路領域Lと右側導波路領域Rは、それぞれ深さ方向(x軸方向)において、非対称となるように形成されている。
そして、入力光と出力光の伝搬モード次数が同一となる条件を前提として、左側導波路領域Lは右側導波路領域Rに対して、反対称に形成されている。
左側導波路領域L及び右側導波路領域Rの深さ方向の上半分あるいは下半分の部分は、それぞれ導波方向に沿って互い違いにコア4a,4bが存在するように形成されている。
第1の光波長フィルタは、シリコン基板1上に、導波路型光回折格子パターン構造体(導波路コア2)が形成されることによって形成されている。すなわち、導波路コア2をクラッド層3が囲っている。
第1の光波長フィルタは、後述するように、SOI(Silicon on Insulator)基板を利用すれば容易に形成できる。この場合、第1の光波長フィルタは、シリコン基板1上に、導波路コア2を取り囲むクラッド層3を酸化シリコン材で形成し、導波路コア2をシリコン材で形成することになる。もちろん、シリコン材で導波路コア2を形成し、酸化シリコン材でクラッド層3を形成する以外に、導波路コア2の屈折率に比べてクラッド層3の屈折率が小さいという条件を満たす素材を選択して、構成してもよい。
後述する第2の光波長フィルタの作製を含めて、SOI基板を利用して本願発明の光波長フィルタを作製するに当たっては、導波路コア2の底面とシリコン基板1の上面との距離を、1μm以上に設定すると、導波路コア2を伝搬する光がシリコン基板1に染み出すことを有効に防止できる。
図1では、TM偏波が導波路型光回折格子に入力されて(入力光5a)、ブラッグ反射されてTE偏波として出力される(出力光5b)様子を示している。あるいは、TE偏波が導波路型光回折格子に入力されて(入力光5a)、ブラッグ反射されてTM偏波として出力される(出力光5b)様子を示していると想定してもよい。
入力光5aをTM偏波とし回折されて出力される出力光5bをTE偏波とする利用形態としても、あるいは入力光5aをTE偏波とし出力光5bをTM偏波とする利用形態としてもよい。入力光5aと出力光5bが互いに同一の次数の伝搬モードとなるようにするには、左側導波路領域Lを右側導波路領域Rに対して反対称の形態とすればよい。
一般に、導波路を伝搬する光の伝搬ベクトルの方向は、導波路の中心方向とは一致せず、一定の角度で傾いている。従って、導波路を伝搬するTE偏波及びTM偏波の振動方向を示す振幅ベクトルは、導波方向をz軸方向にとった場合、x軸成分、y軸成分の外にz軸成分を有している。
すなわち、入力光5aと出力光5bが互いに同一の次数の伝搬モードであって、導波路コア2の左側導波路領域L及び右側導波路領域Rが深さ方向(x軸方向)に非対称となるように形成されていれば、そして、z軸方向に垂直な方向に切断した断面形状が非対称である導波路(非対称導波路)によれば、TM偏波成分とTE偏波成分が共通でもっている伝搬方向の電場成分(z軸方向成分)を介してTM偏波成分とTE偏波成分が交換される。そして、このような構成とすることによって、導波路型光回折格子において、伝搬するTM偏波成分とTE偏波成分の重なり積分で与えられる回折効率を大きくすることができる。すなわち、TM偏波である入力光5aに対して出力光5bはTE偏波となり、TE偏波である入力光5aに対して出力光5bはTM偏波となる。つまり、入力光の偏波に対して出力光の偏波は直交偏波となり、入力光の偏波方向に依存せず同一の強度の出力光が得られることとなる。このことから、偏波無依存で波長分離が可能である光波長フィルタが実現される。
ここで、説明の便宜上、本願発明の光波長フィルタの構成要素として光回折格子を具える導波路コア2を説明する場合はこれを導波路型光回折格子パターン構造体と表記し、波長分離する機能を実現する光波長フィルタの機能を説明する場合は導波路型光回折格子と表記する場合もあるが、共に実質的には同一のものを指し示している。
第1の光波長フィルタに入出力されるTE偏波、TM偏波の伝搬モードは基本伝搬モードであっても高次伝搬モードであってもよい。入力光あるいは出力光の少なくとも一方が基本伝搬モードであることを前提にした場合であっても、あるいは入力光あるいは出力光の少なくとも一方が高次伝搬モードであることを前提にした場合であっても、TE偏波に対するブラッグ反射波長とTM偏波に対するブラッグ反射波長とが等しく設定されていることが求められる。
導波路型光回折格子を伝搬するTE偏波及びTM偏波のz軸方向成分を介して、TE偏波とTM偏波をカップリングさせることができる位相整合条件(ブラッグ反射条件)は、以下に示す式(1)によって与えられる。
2π/Λ=4π[n(e)+n(m)]/λ (1)
ここで、Λは光回折格子の周期、λはブラッグ反射される光の真空中での波長、n(e)、n(m)は、それぞれTE偏波、TM偏波に対する等価屈折率である。
第1の光波長フィルタへの入出力光に対するTE偏波、TM偏波に対する等価屈折率は、伝搬モードが基本伝搬モードであるか高次伝搬モードであるかによって異なるが、入出力光の伝搬モードに対応させて、式(1)が満足されるように設定すれば、偏波無依存で波長分離が可能である光波長フィルタが実現される。
導波路型光回折格子パターン構造体(導波路コア2)の導波路幅等によって等価屈折率は調整可能であるので、等価屈折率n(e)、n(m) が式(1)を満たすように、導波路型光回折格子パターン構造体の導波路幅を決定することが可能である。したがって、TE偏波に対してもTM偏波に対しても等しい波長のブラッグ反射光が得られる導波路型光回折格子パターン構造体の導波路幅を設定すれば、図1に示す第1の光波長フィルタを偏波無依存の光波長フィルタとして構成することができる。
<第2の光波長フィルタ>
図2を参照して、第2の光波長フィルタの実施形態について説明する。図2は、第2の光波長フィルタの概略的構成を示す図である。
第2の光波長フィルタと上述の第1の光波長フィルタとの相違点は、左側導波路領域及び右側導波路領域のコア4cが深さ方向に向かって斜めに形成されている点である。これ以外の構成は、上述の第1の光波長フィルタと共通するので、重複する説明を省略する。
第2の光波長フィルタの特徴は、第1の光波長フィルタと比較してその形成工程が簡単であることである。具体的には、左側導波路領域L及び右側導波路領域Rのコア4cの構成を、深さ方向に向かって斜めに形成するには、後述するように、この部分を形成する際に、導波路形成用のエッチングマスクを斜めに配置して、ドライエッチングプロセスを実行するだけでよい。ただし、形成が簡単であることと引き換えに、第1の光波長フィルタとそのブラッグ回折効率を比較すると、その効率が低くなる。
<第1及び第2の光波長フィルタの動作シミュレーション>
次に、シミュレーションによって、第1及び第2の光波長フィルタの特性を検証したので、その結果について説明する。シミュレーションは、FDTD法(Finite-difference time-domain method; FDTD method)によって光電場の強度分布を求めることによって行った。シミュレーションを実行するに当たっては、導波路コア2の厚み、光回折格子の周期等の値を適宜設定することによって、この発明の光波長フィルタの特性が明瞭となるようにした。
図3を参照して、第1の光波長フィルタに基本伝搬モードのTE偏波成分とTM偏波成分とを含む入力光を入力し、ブラッグ反射されて出力される出力光の強度を調べた結果について説明する。
第1の光波長フィルタのシミュレーションでは、導波路コア2の厚みNは300 nm、導波路コア2の左側導波路領域Lの幅WL、中央導波路領域Cの幅WC、及び右側導波路領域Rの幅WRを合計した幅Wは500 nmであり、幅WL及びWRはそれぞれ200 nmであり、その屈折率は3.48、クラッド層3の屈折率は1.46とした。また導波路型光回折格子の全長は100μm、周期Λは292 nmであるとした。
図3に、第1の光波長フィルタにTE偏波成分とTM偏波成分とを含む入力光を入力して得られるブラッグ反射光であるTE偏波成分及びTM偏波成分の強度、及び入力側とは反対側から透過して出力される透過光強度について示す。図3の横軸は波長をμm単位で目盛ってあり、縦軸は出力光強度をdB目盛で示してある。図3では、ブラッグ反射光であるTE偏波成分の入力光5aを曲線(a)で示し、TM偏波成分の出力光5bを曲線(b)で示してある。また、入力側とは反対側から透過して出力されるTE偏波成分を曲線(c)で示し、TM偏波成分を曲線(d)で示してある。
曲線(a)及び曲線(b)はともに、波長が1.44〜1.46 nmの間にピークをもっている。すなわち、このピーク波長が光波長フィルタで選択された波長である。これに対して、このピーク位置で曲線(c)及び曲線(d)は極小値をもっている。この極小値が小さいほど、高効率の光波長フィルタであることを意味している。曲線(c)及び曲線(d)の極小値を以後便宜的に波長dipと呼ぶ。
図4に、図2に示した第2の光波長フィルタについて、左側導波路領域Lと右側導波路領域Rに斜めに形成されているコア4cの深さ方向の傾斜角度に対する透過して出力されるTE偏波成分及びTM偏波成分の波長dipを示す。傾斜角度は、導波路コア2の両側が垂直(斜めに形成されていない)である場合を0度としてあり、コア4cを傾斜させるほどその傾斜角度が大きくなるように測っている。図4の横軸は傾斜角度を目盛ってあり、縦軸は波長dipの深さをdB目盛で示してある。図4では、導波路コア2の幅Wが500 nmである場合に加えて、300 nmである場合も示してあり、幅Wが300 nmである場合を○印で示し、幅Wが500 nmである場合を□印で示してある。
図4に示すように、導波路コア2の幅Wが300 nmであっても500 nmであっても同様に、コア4cの深さ方向の傾斜角度が急である(傾斜させる角度が小さく垂直に近い)ほど波長dipが浅く、ブラッグ反射されずに透過して出力されるTE偏波成分、TM偏波成分の極小値が大きい。これは、導波路コア2の幅Wが周期的に変化した凹凸によって形成される導波路型光回折格子からの反射光が小さく、光波長フィルタからの出力光の強度が小さいことを意味している。
このシミュレーションでは、第1の光波長フィルタと第2の光波長フィルタのコアの深さ方向に傾斜を設けるか否かだけであり、その他の導波路型光回折格子の周期Λ等の寸法は共通にしてある。図4に示すように、傾斜波長dipの深さは、傾斜角度を10度以上とすれば-12〜-15 dB程度となり、図3に示す光波長フィルタからの透過光強度-12〜-17 dB程度と同程度になることがわかる。したがって、第2の光波長フィルタにあっては、傾斜角度を10度以上とすれば、第1の光波長フィルタと同程度の性能が得られることがわかる。通常のドライエッチング工程で、コア4cの深さ方向の傾斜角度を10度程度にすることは十分可能である。
<光波長フィルタの製造方法>
第1及び第2の光波長フィルタを構成する導波路型光回折格子パターン構造体は、例えば、SOI基板を入手して、以下の工程によって形成できる。SOI基板は、広く市販品として入手可能であり、シリコン基板に酸化シリコン層、及びこの酸化シリコン層上に導波路の厚みの寸法に等しい厚みのシリコン層が形成されている。
SOI基板の酸化シリコン層上に形成されているシリコン層に対して、上述の導波路型光回折格子パターン構造体を残してドライエッチングを行い、他の部分のシリコン層を取り除く。
第1の光波長フィルタを作製するに当たっては、導波路コア2の形成は、2度に分けてドライエッチングを行う。最初のドライエッチングでは、エッチングマスクを使って導波路の厚みの半分までエッチングし導波路コア2の左側導波路領域L及び右側導波路領域Rのコア4aの部分を作製する。そして、エッチング処理で残された導波路パターンを導波路構造のコアとして取り囲む酸化シリコン層を化学気相成長(CVD: Chemical Vapor Deposition)法等によって形成し、引き続き酸化シリコン層を研磨して、シリコン導波路の上面を露出させる。この工程の後、導波路の厚みの半分の厚さに相当する厚みにCVD法等によってシリコン層を形成し、エッチングマスクを、最初のドライエッチングの時の位置から凹凸周期の半周期ずらせて再度導波路の厚みの半分に相当するドライエッチングを行い、導波路コア2の左側導波路領域L及び右側導波路領域Rのコア4bの部分を作製する。最後にCVD法等によって、導波路パターンを導波路構造のコアとして取り囲む酸化シリコン層を形成し、この酸化シリコン層の上面が平坦になるように研磨し、この酸化シリコン層を上部クラッド層として形成する。このように第1の光波長フィルタは、製作に要する工程が多い。
第2の光波長フィルタを作製するに当たっては、導波路コア2の両側のコア4cの形成において、上述したように通常のドライエッチング工程において、基板をドライエッチング用イオンの進む方向に対して斜めに配置することによって形成できる。すなわち、ドライエッチング工程が一回で済む。
ドライエッチング工程に続き、エッチング処理で残された導波路パターンを導波路構造のコアとして取り囲む酸化シリコン層をCVD法等によって形成する。そして、酸化シリコン層の上面が平坦になるように研磨し、この酸化シリコン層を上部クラッド層として形成する。
クラッド層3となる、導波路パターンを導波路構造のコア2として取り囲む酸化シリコン層は、SOI基板入手時にシリコン基板に既に形成されている酸化シリコン層を下部クラッド層とし、コアを形成した後にCVD法等で形成される酸化シリコン層を上部クラッド層として構成される。このように第2の光波長フィルタは、製作に要する工程が少なくて済む。なお、上部クラッド層及び下部クラッド層という呼称は、製作工程を説明するため便宜上使用したものであり、光波長フィルタの構成としては両者を区別する必要がない。そこで、図1及び図2では、上部クラッド層及び下部クラッド層を区別せず両者を合わせてクラッド層3として示してある。
以上説明したように、第1及び第2の光波長フィルタを構成する導波路型光回折格子パターン構造体は、SOI基板を用いて周知のエッチング処理、CVD法等によって形成することが可能であるので、量産性に優れ低コストで簡便に形成することが可能である。
1:シリコン基板
2:導波路コア
3:クラッド層
4a、4b、4c:左側及び右側導波路領域のコア
5a:入力光
5b:出力光
L:左側導波路領域
C:中央導波路領域
R:右側導波路領域

Claims (4)

  1. 導波路型の光波長フィルタであって、
    当該光波長フィルタの導波路を構成する導波路コアは、導波方向に沿って左側導波路領域、中央導波路領域、右側導波路領域が設定されており、
    前記左側導波路領域の幅と前記右側導波路領域の幅は等しく、
    前記左側導波路領域及び前記右側導波路領域のそれぞれの深さ方向の上半分あるいは下半分の部分は、それぞれ導波方向に沿って互い違いにコアが存在するように形成されている
    ことを特徴とする光波長フィルタ。
  2. 導波路型の光波長フィルタであって、
    当該光波長フィルタの導波路を構成する導波路コアは、導波方向に沿って左側導波路領域、中央導波路領域、右側導波路領域が設定されており、
    前記左側導波路領域の幅と前記右側導波路領域の幅は等しく、
    前記左側導波路領域及び前記右側導波路領域のコアは、深さ方向に向かって斜めに形成されている
    ことを特徴とする光波長フィルタ。
  3. 前記左側導波路領域は前記右側導波路領域に対して、反対称に形成されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光波長フィルタ。
  4. 前記導波路コアを取り囲むクラッド層は酸化シリコン材で形成され、
    前記導波路コアはシリコン材で形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の光波長フィルタ。
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