JP5558889B2 - 接着性シール部材 - Google Patents

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Description

本発明は、部材間をシールする接着性シール部材に関し、詳しくは、接着シールと応力シールとの両方が可能な接着性シール部材に関する。
ガスの電気化学反応により電気を発生させる燃料電池は、発電効率が高く、排出されるガスがクリーンで環境に対する影響が極めて少ない。なかでも固体高分子型燃料電池は、比較的低温で作動させることができ、大きな出力密度を有する。このため、発電用、自動車用電源等、種々の用途が期待されている。
固体高分子型燃料電池では、膜電極接合体(MEA)等をセパレータで挟持したセルが発電単位となる。MEAは、電解質となる高分子膜(電解質膜)と、電解質膜の厚さ方向両面に配置された一対の電極触媒層(燃料極(アノード)触媒層、酸素極(カソード)触媒層)と、からなる。一対の電極触媒層の表面には、さらにガスを拡散させるための多孔質層が配置されている。燃料極側には水素等の燃料ガスが、酸素極側には酸素や空気等の酸化剤ガスがそれぞれ供給される。供給されたガスと電解質と電極触媒層との三相界面における電気化学反応により、発電が行われる。固体高分子型燃料電池は、上記セルを多数積層したセル積層体を、セル積層方向の両端に配置したエンドプレート等により締め付けて構成される。
セパレータには、各々の電極に供給されるガスの流路や、発電の際の発熱を緩和するための冷媒の流路が形成されている。例えば、各々の電極に供給されるガスが混合すると、発電効率が低下する等の問題が生じる。また、電解質膜は、水を含んだ状態でプロトン導電性を有する。このため、作動時には、電解質膜を湿潤状態に保つ必要がある。したがって、ガスの混合、ガスおよび冷媒の漏れを防止すると共に、セル内を湿潤状態に保持するためには、電解質膜とセパレータとの間や、隣り合うセパレータ同士の間等のシール性を確保することが重要となる。これら構成部材間をシールするシール部材としては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)を用いたゴム材料や、オレフィン系熱可塑性樹脂を用いた樹脂材料が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2002−371161号公報 特開2009−94056号公報 特開2008−282708号公報
通常、固体高分子型燃料電池の電解質膜には、全フッ素系スルホン酸膜等の高分子膜が用いられる。よって、シール部材の材料を電解質膜の近くに配置して硬化、接着する場合には、硬化時の加熱により、電解質膜が劣化しないよう配慮する必要がある。つまり、シール部材の接着工程を、より低温で、かつ短時間で行うことが望ましい。
この点、ゴム材料の場合には、架橋させる必要があるため、加熱時間が比較的長くなる。一方、樹脂材料の場合には、架橋させる必要がないため、加熱時間は短くてよい。しかし、樹脂材料は、ゴム弾性に乏しいため、応力によるシール性を確保することはできない。また、架橋する必要がなく、ゴム弾性を有する材料として、熱可塑性エラストマーがある。しかし、熱可塑性エラストマーは、接着性を有さない。このため、相手部材との接着において、別途接着剤が必要になる。
また、固体高分子型燃料電池は、約70℃〜90℃の温度下で作動する。ここで、燃料ガスおよび酸化剤ガスは、電解質膜のプロトン導電性を維持するため、加湿されて各々の電極へ供給されることが多い。また、酸素極では、水素と酸素とから水が生成される。また、冷媒流路には水等の冷媒が流れる。このように、固体高分子型燃料電池において、シール部材は、約70℃〜90℃の温度下で水分と接触するような環境で使用される。したがって、シール部材には、温水や蒸気と接触するような環境で長期間使用しても、接着力が低下しにくいことが求められる。加えて、固体高分子型燃料電池の作動時に、電解質膜からフッ酸等の酸が発生する場合がある。したがって、シール部材には、耐酸性も必要となる。
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであり、低温かつ短時間で接着し、接着だけでなく応力によるシールが可能な接着性シール部材を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の接着性シール部材は、部材と接着可能な接着性シール部材であって、熱可塑性エラストマーと、オレフィン系熱可塑性樹脂と、シランカップリング剤と、を含み、該熱可塑性エラストマーの含有量は、接着性シール部材の全体を100質量%とした場合の50質量%以上であり、該熱可塑性エラストマーおよび該オレフィン系熱可塑性樹脂のうちの少なくとも一種は、酸により変性されていることを特徴とする。
本発明の接着性シール部材の50質量%以上は、熱可塑性エラストマーからなる。熱可塑性エラストマーを主成分とすることにより、本発明の接着性シール部材は、ゴム弾性を有する。このため、本発明の接着性シール部材によると、応力によるシールが可能となる。したがって、例えば、本発明の接着性シール部材を、対向する部材間に配置する場合には、本発明の接着性シール部材を一方の部材にのみ接着して、他方の部材との間は応力によりシールする態様を採用することができる。勿論、本発明の接着性シール部材を両方の部材に各々接着して、部材間を接着シールする態様を採用してもよい。
また、本発明の接着性シール部材によると、架橋する必要はない。よって、短時間で接着させることができる。接着作業が短時間で済むため、部材の生産性が向上する。また、電解質膜の劣化が抑制される。
本発明の接着性シール部材は、オレフィン系熱可塑性樹脂を含む。オレフィン系熱可塑性樹脂は、耐水性および耐酸性に優れる。よって、本発明の接着性シール部材は、水分存在下での接着性に優れる。また、オレフィン系熱可塑性樹脂が配合されることにより、接着性シール部材の融点が低下する。これにより、比較的低温で接着させることができる。
また、本発明の接着性シール部材は、シランカップリング剤を含む。シランカップリング剤は、有機材料と無機材料との各々に対する反応性を有する。ここで、本発明の接着性シール部材を構成する熱可塑性エラストマーおよびオレフィン系熱可塑性樹脂のうちの少なくとも一種は、酸により変性されている。したがって、シランカップリング剤とポリマーの酸変性部とが反応して、化学結合が形成される。また、シランカップリング剤と、金属や樹脂材料等からなる部材とが反応して、化学結合が形成される。その結果、シランカップリング剤を介して、接着対象の部材と接着性シール部材とが強固に接着される。このように、本発明の接着性シール部材は、他の接着剤を使用することなく、部材と接着可能である。また、本発明の接着性シール部材によると、燃料電池の作動環境においても、接着力が低下しにくい。つまり、燃料電池を長期間作動させた場合でも、良好なシール性が確保される。したがって、本発明の接着性シール部材を燃料電池に使用すると、燃料電池の作動信頼性を向上させることができる。
本発明の接着性シール部材を使用した固体高分子型燃料電池の斜視図である。 積層されたセルの斜視図である。 単一のセルの分解斜視図である。 図2のIV−IV断面図である。 実施例におけるT字剥離試験の様子を示す模式図である。
以下に、本発明の接着性シール部材の実施形態を説明する。なお、本発明の接着性シール部材は、下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
<接着性シール部材>
上述したように、本発明の接着性シール部材は、熱可塑性エラストマーと、オレフィン系熱可塑性樹脂と、シランカップリング剤と、を含む。
(1)熱可塑性エラストマー
熱可塑性エラストマーの種類は、特に限定されない。例えば、オレフィン系やスチレン系の熱可塑性エラストマーは、水、およびフッ酸等の酸に対して耐久性が高いことに加えて、燃料電池に影響を及ぼす不純物の抽出が少ない。したがって、本発明の接着性シール部材を燃料電池に使用する場合には、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーから選ばれる一種以上を用いることが望ましい。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)等のオレフィン系共重合体ゴムと、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂等のオレフィン系樹脂と、を動的架橋させたものが挙げられる。また、スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーの含有量は、接着性シール部材の全体を100質量%とした場合の50質量%以上である。また、熱可塑性エラストマーとして、酸により変性されたものを用いてもよい。ここで、「酸」とは、酸、酸無水物、酸エステル、メタロセン等の酸成分を意味する。熱可塑性エラストマーの酸変性部は、接着性に寄与する。また、酸変性部と、後述するシランカップリング剤と、が化学結合することにより、部材との強固な接着が可能になる。
酸としては、例えば、不飽和カルボン酸およびその誘導体から選ばれる一種以上を用いることができる。具体的には、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸(エンド−シス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、塩化マレニル、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエート等の酸無水物、ハライド、アミド、イミド、エステル等が挙げられる。
酸による変性は、熱可塑性エラストマーに酸成分をグラフト化してもよく、共重合してもよく、あるいはこれらを組み合わせて行ってもよい。変性が比較的容易である等の理由から、グラフト化による変性が好適である。酸変性量(酸変性熱可塑性エラストマーに含まれる酸成分の質量割合)は、接着性等を考慮して、適宜決定すればよい。例えば、酸変性熱可塑性エラストマーの全体を100質量%とした場合の、0.01質量%以上1.6質量%以下とすると好適である。酸変性量は、例えば、赤外線吸収スペクトル法により測定することができる(次のオレフィン系熱可塑性樹脂についても同様)。
(2)オレフィン系熱可塑性樹脂
オレフィン系熱可塑性樹脂は、オレフィンのホモ重合体、オレフィンの共重合体、およびオレフィンとオレフィン以外の物との共重合体を含む。具体的には、オレフィンのホモ重合体には、炭素数が2〜20の単一の不飽和オレフィンからなる重合体(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、α−ポリオレフィン等)が含まれる。オレフィンの共重合体には、炭素数が2〜20の不飽和もしくは多重不飽和炭化水素の一種以上からなる重合体が含まれる。例えば、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/オクテン共重合体、エチレン/スチレン共重合体、エチレン/ブテン/オクテン共重合体、エチレン/プロピレン/ノルボルナジエン共重合体、プロピレン/ブテン共重合体等が挙げられる。オレフィン以外の物(オレフィン(原則としてエチレン)と共重合し得る物)には、酢酸ビニル、炭素数が1〜20のアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル、不飽和無水物(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等)、不飽和酸(例えば、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等)が含まれる。オレフィンとオレフィン以外の物との共重合体としては、エチレン/酢酸ビニル、エチレン/アクリル酸メチル、エチレン/アクリル酸ブチル等が挙げられる。
例えば、オレフィン系熱可塑性樹脂を、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、高密度ポリプロピレン(HDPP)、低密度ポリプロピレン(LDPP)、およびこれらの混合物から選択すると好適である。
また、オレフィン系熱可塑性樹脂として、酸により変性されたものを用いてもよい。上述したように、「酸」とは、酸、酸無水物、酸エステル、メタロセン等の酸成分を意味する。オレフィン系熱可塑性樹脂の酸変性部は、接着性に寄与する。また、酸変性部と、後述するシランカップリング剤と、が化学結合することにより、部材との強固な接着が可能になる。
酸による変性は、オレフィン系熱可塑性樹脂に酸成分をグラフト化してもよく、共重合してもよく、あるいはこれらを組み合わせて行ってもよい。変性が比較的容易である等の理由から、グラフト化による変性が好適である。また、使用できる酸の具体例については、上記熱可塑性エラストマーの場合と同じである。
酸による変性量(酸変性オレフィン系熱可塑性樹脂に含まれる酸成分の質量割合)は、接着性等を考慮して、適宜決定すればよい。オレフィン系熱可塑性樹脂の場合には、上記熱可塑性エラストマーに比べて、酸変性量を大きくすることができる。酸変性量が大きくなると、接着性が向上する。また、酸変性量が大きくなると、分子量が小さくなる。このため、酸変性量が大きいオレフィン系熱可塑性樹脂を配合することにより、混練時における流動性が向上する。
より短時間で接着させるという観点から、オレフィン系熱可塑性樹脂として、酸変性量の大きな高酸変性樹脂を用いることが望ましい。具体的には、高酸変性樹脂の酸変性量は、高酸変性樹脂の全体を100質量%とした場合の、1質量%以上であるとよい。3質量%以上であるとより好適である。一方、分子量の低下による軟化温度の低下等を考慮すると、高酸変性樹脂の酸変性量は、10質量%以下であるとよい。7質量%以下であるとより好適である。高酸変性樹脂を用いる場合には、所望の接着性を発現させるために、その含有割合を、接着性シール部材の全体を100質量%とした場合の1質量%以上とすることが望ましい。一方、高酸変性樹脂が多すぎると、ゴム弾性が失われるおそれがある。このため、高酸変性樹脂の含有割合を、30質量%以下とすることが望ましい。
(3)シランカップリング剤
シランカップリング剤は、官能基としてエポキシ基、アミノ基、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等を有する化合物の中から、接着性等を考慮して適宜選択すればよい。シランカップリング剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。例えば、エポキシ基を有する化合物から選ばれる一種以上を用いると、接着力がより向上すると共に、燃料電池の作動環境においても、接着力が低下しにくい。具体的には、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤の含有割合は、特に限定されない。例えば、シランカップリング剤の含有割合を、接着性シール部材の全体を100質量%とした場合の、0.5質量%以上とすることが望ましい。シランカップリング剤が0.5質量%未満の場合には、接着力が充分に得られないおそれがあるからである。3質量%以上とするとより好適である。また、シランカップリング剤の含有割合を、接着性シール部材の全体を100質量%とした場合の、10質量%以下とすることが望ましい。シランカップリング剤が10質量%を超えると、接着性シール部材を製造する際に、加工性が低下するおそれがあるからである。
(4)その他の成分
本発明の接着性シール部材は、上述した熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性樹脂、およびシランカップリング剤に加えて、樹脂粒子を含むことが望ましい。樹脂粒子は、一種類でもよく、異なる樹脂からなる粒子の混合物でもよい。樹脂粒子を含むことにより、剥離時の界面は、接着性シール部材が被着材(部材)の表面に残留する、いわゆる凝集破壊の状態となる。このため、接着性シール部材の接着信頼性が向上する。また、樹脂粒子がスペーサの役割を果たすため、接着性シール部材が圧縮クリープしにくくなる。したがって、例えば、燃料電池の作動環境においても、接着性シール部材の変形が抑制されて、良好なシール性を確保することができる。
樹脂粒子を配合する場合には、接着性シール部材の製造過程、および使用中において、粒子形状が保持される必要がある。すなわち、製造時の加熱や、使用環境の温度下で、溶融しない樹脂を選択することが望ましい。また、接着性シール部材を、燃料電池に使用する場合には、フッ酸等の酸に対して耐久性が高い樹脂を選択することが望ましい。このような観点から、樹脂粒子としては、架橋アクリル系重合体および架橋スチレン系重合体から選ばれる一種以上を用いることが望ましい。
架橋アクリル系重合体の「アクリル系重合体」は、アクリル酸エステルの重合体、メタクリル酸エステルの重合体、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを主成分とする重合体を含む。
アクリル酸エステルの具体例として、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
メタクリル酸エステルの具体例として、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸s−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル等が挙げられる。
架橋アクリル系重合体としては、比較的低コストである等の理由から、架橋ポリアクリル酸メチル、架橋ポリメタクリル酸メチル等が好適である。
架橋スチレン系重合体の「スチレン系重合体」は、スチレンの重合体、およびスチレンを主成分とする重合体を含む。なかでも、比較的低コストである等の理由から、ポリスチレン等が好適である。架橋スチレン系重合体としては、架橋ポリスチレンの他、架橋アクリロニトリル−スチレン樹脂、架橋アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等が好適である。
上記樹脂の架橋は、例えば、電子線照射架橋、紫外線(UV)架橋等の既に公知の手法を用いればよい。また、上記樹脂中には、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤等の各種添加剤が含有されていてもよい。
樹脂粒子の含有割合は、特に限定されない。所望の接着性等が得られるように、適宜決定すればよい。樹脂粒子の含有割合が所定の割合を超えると、接着力が低下する傾向が見られる。また、耐クリープ性の向上効果は飽和する。一方、樹脂粒子が少なすぎると、所望の接着性等が得られない。これらの点を考慮すると、樹脂粒子の含有割合を、接着性シール部材の全体を100質量%とした場合の、20質量%以下とすることが望ましい。15質量%以下とするとより好適である。また、樹脂粒子の含有割合を、本発明の接着性シール部材の全体を100質量%とした場合の、0.5質量%以上とすることが望ましい。3質量%以上とするとより好適である。
樹脂粒子の形状は、特に限定されない。例えば、球状、柱状、針状、板状、塊状等が挙げられる。なかでも、ポリマー中に分散させやすい等の理由から、球状の樹脂粒子を採用することが望ましい。特に、略真球状の樹脂粒子が好適である。また、樹脂粒子の形状は、全て同一であっても、異なっていてもよい。
樹脂粒子の大きさは、接着対象の部材間の隙間の大きさ等を考慮して、適宜決定すればよい。例えば、球状の樹脂粒子を配合した接着性シール部材を、燃料電池に用いる場合には、樹脂粒子の平均粒子径を、50μm以下とすることが望ましい。20μm以下とするとより好適である。一方、樹脂粒子の平均粒子径を、3μm以上とすることが望ましい。6μm以上とするとより好適である。なお、樹脂粒子の粒子径は、市販の粒径分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター(株)製「コールターカウンター」等)を用いて測定すればよい。
さらに、本発明の接着性シール部材は、通常、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー等と共に使用される各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、粘着付与剤、軟化剤、加工助剤、ワックス等が挙げられる。
本発明の接着性シール部材は、加熱溶融(ホットメルト)されて接着性、シール性を発揮する。したがって、本発明の接着性シール部材の融点を、適用する部材の耐熱性等を考慮して、設定することが望ましい。例えば、本発明の接着性シール部材を、固体高分子型燃料電池に使用する場合には、融点を、120℃以上180℃以下、好ましくは、130℃以上170℃以下に設定するとよい。融点を、上記範囲内に調整するには、熱可塑性エラストマーおよびオレフィン系熱可塑性樹脂の種類、配合量等を調整すればよい。なお、融点の測定は、JIS K7121における示差走査熱量測定(熱流束DSC)に準拠して行えばよい。
<接着性シール部材の製造方法>
本発明の接着性シール部材は、例えば、練り込み法、ドライブレンド法等により製造することができる。なかでも、練り込み法は、酸変性された熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性樹脂と、シランカップリング剤と、が反応しやすいため好適である。また、練り込み法によると、シランカップリング剤が、熱可塑性エラストマーおよびオレフィン系熱可塑性樹脂中に分散することで、シランカップリング剤の官能基が接着時まで劣化しにくいという利点もある。以下、練り込み法による本発明の接着性シール部材の製造方法を説明する。
まず、熱可塑性エラストマーおよびオレフィン系熱可塑性樹脂を、所定の温度で加熱溶融する。この際、熱可塑性エラストマーおよびオレフィン系熱可塑性樹脂のうちの少なくとも一種については、酸による変性を予め行っておく。次に、加熱溶融物中に、シランカップリング剤、必要に応じて樹脂粒子を投入して、所定時間加熱混練する。その後、所定の形状に成形して、本発明の接着性シール部材を得る。上記加熱溶融、加熱混練の一連の作業は、例えば、不活性ガス雰囲気中で行うことができる。また、上記加熱溶融、加熱混練の各工程において、必要に応じて、酸化防止剤等の各種添加剤を添加すればよい。
例えば、本発明の接着性シール部材をフィルム状に成形すると、接着対象の部材に、接着性シール部材を貼り付けて、部材同士を容易に接着させることができる。また、部材の煩雑な位置合わせが不要になり、連続加工がしやすくなる。また、部材に予め接着性シール部材をラミネートしておけば、さらに接着作業が容易になる。このように、本発明の接着性シール部材をフィルム状にすることで、例えば、燃料電池の生産性をより向上させることができる。また、燃料電池のMEA、セパレータ等の構成部材と、本発明の接着性シール部材と、を金型に入れて加熱することにより、一体成形することも可能である。
<燃料電池への適用>
本発明の接着性シール部材は、例えば、燃料電池の構成部材間をシールするのに好適である。適用対象となる燃料電池は、本発明の接着性シール部材の骨格となる有機成分(熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性樹脂)が使用可能な温度で作動するものであればよい。例えば、固体高分子型燃料電池(PEFC)(ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)を含む)が好適である。
シールする部位(構成部材間)は、燃料電池の種類、構造等により様々である。すなわち、本発明の接着性シール部材は、気密性、液密性が要求され、従来よりシール部材が配置されていたいずれの部位に対しても使用することができる。また、本発明の接着性シール部材を、燃料電池においてシールが必要な全ての部位に使用してもよいし、シールが必要な部位の一部に使用してもよい。シール部位としては、例えば、MEAを挟んで対向するセパレータとセパレータとの間、MEAを支持するフレームとセパレータとの間、隣り合うセルを各々構成するセパレータとセパレータとの間等が挙げられる。また、シール方法は、例えば、本発明の接着性シール部材を、燃料電池の構成部材間に介装し、温度130℃〜200℃程度、圧力1MPa〜3MPa程度で加熱圧着すればよい。
以下に、本発明の接着性シール部材を使用した固体高分子型燃料電池の一実施形態を示す。図1に、本発明の接着性シール部材を使用した固体高分子型燃料電池の斜視図を示す。図1に示すように、固体高分子型燃料電池1は、セルCが多数積層されて構成されている。図2に、積層されたセルC(三枚分のみ)の斜視図を示す。図3に、単一のセルCの分解斜視図を示す。図4に、図2のIV−IV断面図を示す。図2〜図4に示すように、セルCは、MEA2と、セパレータ3と、接着性シール部材4a、4bと、を備えている。
MEA2は、電解質膜20と、一対の電極21a、21bと、からなる。電解質膜20は、矩形薄板状を呈している。一対の電極21a、21bは、矩形薄板状を呈している。一対の電極21a、21bは、電解質膜20を挟んで積層方向両側に配置されている。
セパレータ3は、金属製であり、矩形薄板状を呈している。セパレータ3には、長手方向に延在する溝が合計六つ凹設されている。当該溝により、セパレータ3の断面は、凹凸形状を呈している(図4参照)。セパレータ3は、MEA2の積層方向両側に、対向して配置されている。MEA2とセパレータ3との間には、凹凸形状を利用して、電極21a、21bにガスを供給するためのガス流路30が区画されている。また、積層方向に隣接するセルCの、背向するセパレータ3同士の間には、凹凸形状を利用して、冷媒を流すための冷媒流路31が区画されている。
接着性シール部材4aは、積層方向肉厚が厚い、矩形枠状を呈している。接着性シール部材4aは、MEA2の周縁部およびセパレータ3に接着されている。また、接着性シール部材4aは、MEA2の周縁部を封止している。
接着性シール部材4bは、積層方向肉厚が薄い、矩形枠状を呈している。接着性シール部材4bは、積層方向に隣接するセルCの、背向するセパレータ3に接着されている。接着性シール部材4bにより、背向するセパレータ3間に、冷媒流路31が封止されている。
固体高分子型燃料電池1の作動時には、燃料ガスおよび酸化剤ガスが、各々ガス流路30を通じて供給される。また、発電の際の発熱を緩和するために、冷媒が冷媒流路31を流れる。ここで、MEA2の周縁部は、接着性シール部材4aにより接着シールされている。このため、ガスの混合や漏れは生じない。また、電解質膜20の湿潤状態も保持される。さらに、接着性シール部材4aは、130℃程度の低温、かつ短時間で接着可能である。よって、接着加工時に電解質膜20が劣化するおそれは小さい。また、積層方向に隣接するセルCの、背向するセパレータ3同士の間も、接着性シール部材4bにより接着シールされている。このため、冷媒流路31から外部に冷媒が漏出しにくい。さらに、接着性シール部材4a、4bの接着性は、固体高分子型燃料電池1の作動環境においても低下しにくい。したがって、固体高分子型燃料電池1を長期間に亘り安定して作動させることができる。
次に、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
<シール部材の原料>
[熱可塑性エラストマー]
次のようにして、(A1)、(A2)二種類のオレフィン系熱可塑性エラストマーを製造した。
(1)オレフィン系熱可塑性エラストマー(A1)
使用した原料は、以下の通りである。
成分(a):エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン三元共重合体ゴム。
成分(a)は、三元共重合体ゴム(JSR(株)製「EP57F」(エチレン含有量66質量%、エチリデンノルボルネン含量4.5質量%))と、三元共重合体ゴム100質量部あたり100質量部のパラフィン系オイル(出光興産(株)製「PW380」)と、を含有する。成分(a)は、三元共重合体ゴムと、パラフィン系オイルと、を加圧式ニーダーにて溶融混練りした組成物を、フィーダールーダーにてペレット化したものである。
成分(b):ポリプロピレン単独重合体樹脂((株)プライムポリマー製「E111G」)。
有機過酸化物:2、5−ジメチル−2、5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油(株)製「パーヘキサ(登録商標)25B」)。
架橋助剤:ジビニルベンゼン(東京化成工業(株)製)。
成分(a)の100質量部に対して、成分(b)を25質量部使用して、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A1)を製造した。まず、成分(b)の一部(25質量%)と、成分(a)と、を混合した。続いて、得られた混合物に対して、0.33質量%の有機過酸化物、および0.44質量%の架橋助剤を配合して、ヘンシェルミキサーにて1分間混合した。次に、得られた混合物を、二個の原料供給口を有する同方向二軸混練押出機(シリンダ径32mm、L/D=56)の第一供給口へ投入した。同時に、押出機シリンダの途中に設けられた第二供給口から、成分(b)の残部(75質量%)を供給して、160℃で溶融混練することにより、動的に熱処理した。その後、混練物をペレット化して、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A1)を得た。
(2)オレフィン系熱可塑性エラストマー(A2)
まず、下記表1に示す原料を、同表に示す配合割合で混合して、混合物を調製した。次に、混合物を、同方向二軸混練押出機(同上)に投入して、150℃で溶融混練した。その後、混練物をペレット化して、オレフィン系熱可塑性エラストマー(A2)を得た。
表1に示す原料としては、以下のものを使用した。
オレフィン系共重合体ゴム:エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴム(JSR(株)製「EP98」(エチレン含有量66質量%、エチリデンノルボルネン含量4.5質量%、三元共重合体ゴム100質量部あたり75質量部のパラフィン系オイルを含有))。
結晶性ポリエチレン系樹脂:直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(日本ポリエチレン(株)製「UF423」)。
ブロック共重合体:水素添加ジエン系共重合体(JSR(株)製「ダイナロン(登録商標)6200P」)。
結晶性α−オレフィン共重合体:プロピレン−エチレンブロックポリマー(日本ポリプロ(株)製「BC5CW」)。
老化防止剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「イルガノックス(登録商標)1010」。
軟化剤:パラフィン系オイル(出光興産(株)製「PW380」)。
Figure 0005558889
また、スチレン系熱可塑性エラストマーについては、次の(A3)、(A4)の二種類を準備した。
(A3)スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)。
スチレン/エチレン−ブチレン比=30/70、MFR=150g/10分(温度230℃、荷重21.2N)、硬度=82(JIS K6253(2006)、タイプAデュロメータ硬さ)、引張強さ=13MPa(JIS K6251(2004))。
(A4)スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)。
スチレン/エチレン−ブチレン比=30/70、MFR=5.0g/10分(温度230℃、荷重21.2N)、硬度=84(JIS K6253(2006)、タイプAデュロメータ硬さ)、引張強さ=22MPa(JIS K6251(2004))。
[オレフィン系熱可塑性樹脂]
オレフィン系熱可塑性樹脂については、次の(B1)〜(B6)の六種類を準備した。
(B1)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)。
MFR=3.8g/10分(温度190℃、荷重21.2N)、密度=0.903g/cm)、融点98℃。
(B2)〜(B6)高酸変性低分子量ポリプロピレン。
いずれも、熱減成して得られた低分子量ポリプロピレンに、無水マレイン酸および有機過酸化物を加えて、加熱溶融することにより製造した。
(B2)重量平均分子量=30,000、軟化点=145℃、酸価=52mgKOH/g、酸変性量=4.6質量%。
(B3)重量平均分子量=60,000、軟化点=160℃、酸価=10mgKOH/g、酸変性量=1質量%。
(B4)重量平均分子量=45,000、軟化点=150℃、酸価=35mgKOH/g、酸変性量=3質量%。
(B5)重量平均分子量=20,000、軟化点=140℃、酸価=80mgKOH/g、酸変性量=7質量%。
(B6)重量平均分子量=15,000、軟化点=135℃、酸価=110mgKOH/g、酸変性量=10質量%。
[シランカップリング剤]
信越化学工業(株)製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を使用した。
[樹脂粒子]
樹脂粒子については、次の(C1)、(C2)の二種類の架橋ポリスチレン粒子を準備した。
(C1)積水化成品工業(株)製「テクポリマー(登録商標)SBX−12」(平均粒子径12μm)。
(C2)同社製「テクポリマーSBX−6」(平均粒子径6μm)。
<シール部材の製造>
(1)実施例1〜13
上述した熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性樹脂、シランカップリング剤等を、下記表2に示す割合で配合して、シール部材を製造した。まず、同方向二軸混練押出機(同上)の第一供給口へ、熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性樹脂、および必要に応じて樹脂粒子を投入して、210℃にて加熱溶融した。次に、同押出機の第二供給口へ、シランカップリング剤を投入して、210℃にて3分間混練した。その後、混練物を単軸Tダイ押出機にてシート加工することにより、厚さ500μmのフィルム状のシール部材を得た。実施例1〜13のシール部材は、本発明の接着性シール部材に含まれる。
(2)比較例1
シランカップリング剤を配合しない点以外は、上記実施例と同様にして、シール部材を製造した。
(3)比較例2
熱可塑性エラストマーを配合せず、酸変性されていないオレフィン系熱可塑性樹脂のみを用いた点以外は、上記実施例と同様にして、シール部材を製造した。
(4)比較例3
下記表3に示すゴム材料から、シール部材を製造した。まず、表3中、ゴム成分と、カーボンブラックと、軟化剤と、をバンバリーミキサーを用いて120℃で5分間混練した。次に、混練物を冷却した後、架橋剤と、架橋助剤と、接着成分と、を添加して、オープンロールを用いて50℃で10分間混練し、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を、プレス成形することにより、厚さ500μmのフィルム状のシール部材を得た。
表2、表3に、使用した原料の種類および配合量を示す。また、表3中、各原料については以下のものを使用した。
EPDM:JSR(株)製「EP27」。
パーオキシケタール:日油(株)製「パーヘキサC40」(1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン)。配合量は、希釈された状態における値ではなく、有機過酸化物を100%とした時の値である。
マレイミド系助剤:大内新興化学工業(株)製「バルノック(登録商標)PM」。
レゾルシノール系化合物:田岡化学工業(株)製「タッキロール(登録商標)620」。メラミン系化合物:住友化学工業(株)製「スミカノール(登録商標)507A」。
カーボンブラック(MAF級):キャボットジャパン(株)製「ショウブラック(登録商標)IP200」。
パラフィン系オイル:出光興産(株)製「PW380」。
Figure 0005558889
Figure 0005558889
<接着性評価>
T字剥離試験を行い、製造したシール部材の接着性を評価した。まず、実施例および比較例について、幅1cm、厚さ500μmの短冊状のシール部材を、二枚ずつ準備した。次に、二枚のシール部材を対向させて配置して、シール部材の隙間の片側に、全フッ素系スルホン酸膜(電解質膜)を介装した。そして、130℃で3分間圧着させることより、試験片を作製した。なお、比較例3のシール部材については、架橋させる必要があるため、130℃で20分間圧着させて、試験片を作製した。
次に、作製した試験片を引張試験装置に取り付けて、T字剥離試験を行った。図5に、T字剥離試験の様子を模式的に示す。図5に示すように、試験片60は、一対のシール部材61a、61bと、その間に接着された電解質膜62と、からなる。シール部材61aの接着されていない方の端部は、把持具63aに挟持され、接着面に対して約90°の角度で剥離方向(図中上向きの白抜き矢印で示す)に曲げられている。同様に、シール部材61bの接着されていない方の端部は、把持具63bに挟持され、接着面に対して約90°の角度で剥離方向(図中下向きの白抜き矢印で示す)に曲げられている。このように、把持具63a、63bで、シール部材61a、61bの各々の自由端を、約180°の反対方向に引っ張ることにより、電解質膜62に接着されたシール部材61a、61bを剥離した。なお、本試験は、23℃(室温)下で行い、把持具63a、63bの移動速度は10mm/分とした。そして、シール部材61a、61bが剥離した時の平均剥離力(N/cm)を求めた。また、剥離後の状態を、目視で観察した。
表2に、実施例および比較例のシール部材における、接着性の評価をまとめて示す。表2中、剥離状態の「界面」は「界面破壊」を、「凝集」は「凝集破壊」を、各々示す。表2に示すように、実施例のシール部材については、比較例1、2のシール部材と比較して、いずれも剥離力が大きくなった。つまり、実施例のシール部材の接着力は、比較例1、2のシール部材と比較して、大きいことがわかる。T字剥離試験においては、シール部材の接着を、130℃下、約3分間で行った。したがって、本発明の接着性シール部材によると、低温かつ短時間で、部材間を強固に接着できることが確認された。また、樹脂粒子を配合した実施例6〜9のシール部材については、剥離時の界面が、凝集破壊の状態となった。すなわち、マトリックス中に樹脂粒子が存在することにより、大きな歪みが加わっても、マトリックス中で破壊が起こり、樹脂粒子が破壊の進行を抑止する。このため、破壊が界面で起こり、一気に剥離してしまうような界面破壊には至らない。このように、樹脂粒子を配合すると、シール部材の接着信頼性が向上することがわかる。
一方、比較例1のシール部材には、シランカップリング剤が配合されていない。このため、高酸変性低分子量ポリプロピレンによる接着力しか発現されず、接着力は小さくなった。また、比較例2のシール部材については、熱可塑性エラストマーを含まず、配合されたオレフィン系熱可塑性樹脂も酸変性されていない。このため、比較例2のシール部材は、電解質膜と接着しなかった。なお、ゴム材料から製造された比較例3のシール部材については、剥離力が大きく、剥離状態も凝集破壊になった。しかし、比較例3のシール部材の接着には、20分間必要であった。つまり、比較例3のシール部材の場合には、架橋させる必要がある。このため、接着時間の短縮は難しい。
本発明の接着性シール部材によると、他の接着剤を使用することなく、低温かつ短時間で、部材との接着が可能である。また、本発明の接着性シール部材は、耐水性、耐酸性、接着信頼性に優れる。また、本発明の接着性シール部材は、熱可塑性エラストマーを50質量%以上有するため、ゴム弾性を有する。このため、本発明の接着性シール部材によると、接着シールと応力シールとの両方が可能である。したがって、本発明の接着性シール部材は、様々な分野において、部材間のシール部材として有用である。なかでも、燃料電池の構成部材間をシールするのに好適である。
1:固体高分子型燃料電池
2:MEA 20:電解質膜 21a、21b:電極
3:セパレータ 30:ガス流路 31:冷媒流路
4a、4b:接着性シール部材
60:試験片 61a、61b:シール部材 62:電解質膜 63a、63b:把持具
C:セル

Claims (9)

  1. 部材と接着可能な接着性シール部材であって、
    酸により変性されていない熱可塑性エラストマーと、オレフィン系熱可塑性樹脂と、シランカップリング剤と、を含み、
    該熱可塑性エラストマーの含有量は、接着性シール部材の全体を100質量%とした場合の50質量%以上であり、
    該オレフィン系熱可塑性樹脂は、酸により変性されており酸変性量が3質量%以上10質量%以下の高酸変性樹脂を含むことを特徴とする接着性シール部材。
  2. 前記高酸変性樹脂の含有割合は、接着性シール部材の全体を100質量%とした場合の1質量%以上30質量%以下である請求項1に記載の接着性シール部材。
  3. 前記オレフィン系熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびα−ポリオレフィンから選ばれる一種以上である請求項1または請求項2に記載の接着性シール部材。
  4. 前記熱可塑性エラストマーは、オレフィン系熱可塑性エラストマーおよびスチレン系熱可塑性エラストマーから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の接着性シール部材。
  5. 前記シランカップリング剤は、エポキシ基を有する化合物から選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の接着性シール部材。
  6. 前記シランカップリング剤の含有割合は、接着性シール部材の全体を100質量%とした場合の0.5質量%以上10質量%以下である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の接着性シール部材。
  7. さらに、樹脂粒子を含む請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の接着性シール部材。
  8. 前記樹脂粒子は、架橋アクリル系重合体および架橋スチレン系重合体から選ばれる一種以上からなる請求項7に記載の接着性シール部材。
  9. 燃料電池の構成部材間をシールする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の接着性シール部材。
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