JP5870883B2 - 燃料電池の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の第一の形態は、燃料電池の製造方法である。この製造方法は、
スルホン酸基を有する電解質膜の一方の面に該電解質膜の周縁部の少なくとも一部が露出するように第1の触媒層を形成し、前記電解質膜の他方の面に第2の触媒層を形成する工程と、
前記第1の触媒層に第1のガス拡散層を接合し、前記第2の触媒層に第2のガス拡散層を接合する工程と、
酸変性熱可塑性樹脂を表面に有するシール部材において、表面の前記酸変性熱可塑性樹脂にプラズマ処理を施すことによりアミノ基が付与された接着部を形成する工程と、
前記シール部材の前記接着部と前記電解質膜の露出した部分の少なくとも一部とを接着させる工程と、
前記第1のガス拡散層側に第1のセパレータを配置し、前記第2のガス拡散層側に第2のセパレータを配置して、前記第1のセパレータと前記第2のセパレータにより、前記シール部材を挟持する工程と、を備える。
本発明は以下の形態としても実現可能できる。
A1.燃料電池の構成:
図1は本発明の一実施形態としての燃料電池100の構成を示す概略図である。この燃料電池100は反応ガスとして燃料ガス(例えば水素)と酸化剤ガス(例えば酸素)の供給を受けて発電する固体高分子形燃料電池である。燃料電池100は、複数の単セル60が積層されたスタック構造を有する。
図2は燃料電池100の製造方法について説明するための図である。まず、電解質膜11の一方の面にカソード側触媒層12cを、他方の面にアノード側触媒層12aを形成してMEA10を作製する(ステップS10)。具体的には、白金を担持したカーボン担体とアイオノマーとを溶媒に混合して生成した触媒インクを、電解質膜11の一方の面に、その周縁部を残して塗布することにより、カソード側触媒層12cを形成する。また、電解質膜11の他方の面全面に触媒インクを塗布して、アノード側触媒層12aを形成する。このようにして、電解質膜11の周縁部が露出したMEA10を得る。
上述したプラズマ処理の効果を調べるために、図2を用いて説明した製造方法によって製造した単セルAと、シール部材40の表面にプラズマ処理を行わなかった単セルBと、プラズマ処理に代えてシランカップリング剤の塗布を行った単セルCと、酸素雰囲気下においてプラズマ処理を行った単セルDとを用意した。以降、各単セルのシール部材40の表面に処理を行った面(単セルCにおいては、処理を行っていない面)を、処理面ともいう。次に、単セルA〜Dを90℃の温水に3時間浸漬させた後、各単セルの処理面と電解質膜11との界面の接着性を評価した。また、あわせて、各単セルの処理面とアノード側セパレータ33aとの界面の接着性を評価した。界面の接着性は、島津製作所製のオートグラフを用いて、常温常圧下、接着面を1cm2、引張強度5mm/minの条件においてせん断試験を行うことにより評価した。
B1.燃料電池の構成:
図6は本発明の別の実施形態としての燃料電池100fの構成を示す概略図である。この燃料電池100fは、シール部材40pと電解質膜11とが接着する箇所である接着部50とシール部材40pを介して略反対側に、非接着部55を備える。非接着部55は、接着部50とシール部材40pを介して対向するカソード側セパレータ33cf近傍のリブ部33cf2の突出量を、他のリブ部33cf1、33cf3の突出量より少なくすることで形成されている。燃料電池100fのその他の構成については、実施形態1(図1)で示した燃料電池100と同様であるため説明を省略する。
C1.変形例1:
上記種々の実施形態では、シール部材40の熱可塑性樹脂41としてポリエチレンを用いている。これに対して、熱可塑性樹脂41は、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂等を用いてもよい。また、上記実施形態では、酸変性熱可塑性樹脂42として、アドマーを用いている。これに対して、酸変性熱可塑性樹脂42は、モディック(登録商標)、ニュクレル(登録商標)、ハイミラン(登録商標)等を用いてもよい。
上記種々の実施形態では、シール部材40は、表面に酸変性熱可塑性樹脂42を備える熱可塑性樹脂41から構成されている。これに対して、シール部材40は、酸変性熱可塑性樹脂42のみから構成されるものとしてもよい。
上記第1実施形態では、プラズマ処理は、シール部材40pの一方の面の酸変性熱可塑性樹脂42に対して行っている。これに対して、プラズマ処理は、電解質膜11と酸変性熱可塑性樹脂42が接着する箇所(接着部50)にのみ行ってもよく、接着部50とその近傍にのみ行ってもよい。また、プラズマ処理は、シール部材40pの両面に対しても行ってもよい。
上記第1実施形態では、プラズマ処理は、窒素および水素雰囲気下において行っている。これに対し、プラズマ処理は、アンモニア雰囲気、ヒドラジン雰囲気下等、その他アミノ基を酸変性熱可塑性樹脂42の表面に付与できる雰囲気下で行うこととしてもよい。
上記種々の実施形態では、電解質膜11とアノード側触媒層12aとアノード側ガス拡散層22aの端部の位置をほぼ揃えている。これに対し、電解質膜11とアノード側触媒層12aとアノード側ガス拡散層22aの端部の位置は、揃っていなくともよい。また、上記種々の実施形態では、カソード側触媒層12cとカソード側ガス拡散層22cの端部の位置は、ほぼ揃っている。これに対し、電解質膜11の周縁部が露出するMEGA20であれば、カソード側触媒層12cとカソード側ガス拡散層22cの位置は揃っていなくともよい。また、カソード側触媒層12cとアノード側触媒層12a、カソード側ガス拡散層22cとアノード側ガス拡散層22aとが入れ換えられるものとしてもよい。
上記第2実施形態では、カソード側セパレータ33cfのリブ部33cf2の形状を変更して、リブ部33cf2とシール部材40pとが接しないようにして非接着部55を形成している。これに対し、非接着部55は、リブ部33cf2とシール部材40pとが接した状態で形成することもできる。例えば、非接着部55は、シール部材40pの接着部50の存在する箇所と、シール部材40pを介して反対の箇所や、その近傍に酸変性熱可塑性樹脂42を設けないようにして形成してもよい。
上記種々の実施形態で作製した燃料電池100、100fに用いられるシール部材の一方の面にアミノ基が付与されていることは、例えばXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy、X線光電子分光法)により調査することができる。
上記種々の実施形態では、燃料電池は、固体高分子形燃料電池であった。しかし、本発明は、固体高分子形燃料電池に限らず、他の種々のタイプの燃料電池に適用することが可能である。
11…電解質膜
12a…アノード側触媒層
12c…カソード側触媒層
20、20m…MEGA
22…ガス拡散層
22a…アノード側ガス拡散層
22c…カソード側ガス拡散層
33cf1、33cf2、33cf3…リブ部
33a…アノード側セパレータ
33c、33cf…カソード側セパレータ
34a…燃料ガス流路
34c…酸化剤ガス流路
40、40p…シール部材
41…熱可塑性樹脂
42、42p…酸変性熱可塑性樹脂
50…接着部
55…非接着部
60、60m…単セル
100、100f…燃料電池
Claims (3)
- 燃料電池の製造方法であって、
スルホン酸基を有する電解質膜の一方の面に該電解質膜の周縁部の少なくとも一部が露出するように第1の触媒層を形成し、前記電解質膜の他方の面に第2の触媒層を形成する工程と、
前記第1の触媒層に第1のガス拡散層を接合し、前記第2の触媒層に第2のガス拡散層を接合する工程と、
酸変性熱可塑性樹脂を表面に有するシール部材において、表面の前記酸変性熱可塑性樹脂にプラズマ処理を施すことによりアミノ基が付与された接着部を形成する工程と、
前記シール部材の前記接着部と前記電解質膜の露出した部分の少なくとも一部とを接着させる工程と、
前記第1のガス拡散層側に第1のセパレータを配置し、前記第2のガス拡散層側に第2のセパレータを配置して、前記第1のセパレータと前記第2のセパレータにより、前記シール部材を挟持する工程と、を備える、燃料電池の製造方法。 - 請求項1記載の燃料電池の製造方法であって、
前記プラズマ処理は、窒素および水素ガス雰囲気、アンモニアガス雰囲気、またはヒドラジン雰囲気のいずれかの雰囲気下において行われる、燃料電池の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の燃料電池の製造方法であって、
前記燃料電池は、更に前記シール部材と前記第1のセパレータとの間に、前記シール部材と前記第1のセパレータとが接着されていない非接着部を備え、
前記非接着部は、前記シール部材を介して前記接着部の反対側に存在する、燃料電池の製造方法。
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