JP5557582B2 - ボイスコイルスピーカー - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、多層のボイスコイルが形成されたボビンを備えるボイスコイルスピーカーにおいて、ボビンと回路基板とが適切に配置されたボイスコイルスピーカーを提供することを目的とする。
前記スピーカー本体の前部に設けられて前記回路基板を支持する帯状のフレームに沿った仮想直線を対称軸として線対称に設けられたことを特徴とする。
図1は、本実施形態に係るボイスコイルスピーカー1を示す図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は図1(A)のA−O−B断面図である。図2は、図1(B)における要部拡大図である。なお、図中、ボイスコイルスピーカー1の中心軸を符号L1を付して示す。
本実施形態に係るボイスコイルスピーカー1は、例えば、車両のドアの側面に取り付けられ、車載オーディオからデジタル音声信号が入力され、このデジタル音声信号に基づいて音声を出力するスピーカーである。
図1に示すように、ボイスコイルスピーカー1は、前面に円状のスピーカー開口10が形成され、内部にスピーカー本体11を収容するための空間たるスピーカー本体収容部12が形成された有底円筒状のスピーカーフレーム13(フレーム)を備えている。
このスピーカーフレーム13の後部には、前方へ向かうに従って拡径し、前面に円状の開口が形成された椀状のフレーム後部15(図1(B))が形成されており、このフレーム後部15の後方には、スピーカー本体11の駆動に供される磁気回路部16(図1(B))が設けられている。
フレーム後部15の前面に形成された円状の開口の縁には、この開口を塞ぐようにメインダンパー20が接続され、このメインダンパー20の中央において、ボイスコイルスピーカー1の中心軸L1と同軸方向に延出する円筒状のボビン21が支持されており、これによりスピーカーフレーム13に対してボビン21が支持、固定されている。このメインダンパー20及びボビン21は、その中心軸がボイスコイルスピーカー1の中心軸L1と一致するように同軸配置されている。
図3に示すように、ボビン21は、銅線等の線材からなる錦糸線がボビン21の軸方向に整列巻きされて形成されたボイスコイル22を複数保持している。本実施形態では、複数のボイスコイル22が、ボビン21の周方向に多層となるように重ねて設けられている。各層のボイスコイル22のそれぞれには、後述する錦糸線61のそれぞれが接続されており、各層のボイスコイル22のそれぞれが、錦糸線61から入力された駆動信号に基づいて、ボビン21を振動させる構成となっている。
図4に示すように、ボビン21は、銅線等の線材からなる錦糸線が多重に巻き回されて形成された多層のボイスコイル22を保持している。この別例では、複数のボイスコイル22がボビン21の軸方向(=ボイスコイルスピーカー1の中心軸L1の軸方向)に層毎に間隔を開けて形成されており、かつ、各層のボイスコイル22のそれぞれには、後述する錦糸線61のそれぞれが接続されており、ボビン21に形成された各層のボイスコイル22のそれぞれが、出力すべき音声に係る駆動信号に基づいて、ボビン21を振動させる構成となっている。
より詳細には、図1に示すように、2つのブリッジ29、30のそれぞれは平板状の部材であり、中心軸L1を境として対象となるように配置された状態で、基端部33のそれぞれがフレームフランジ27に強固に固定されている。そして、スピーカー開口10の略中央で、これらブリッジ29、30の先端部34のそれぞれに音声信号処理回路基板32がネジ35(図2)によるネジ止めによって固定されており、これにより、2つのブリッジ29、30を介してスピーカーフレーム13に対して音声信号処理回路基板32が支持、固定されている。このように、本実施形態では、振動板24の前方に音声信号処理回路基板32を配置することにより、振動板24の前方に形成されたスペースを有効活用している。
さらに、コネクター36は、外部機器が接続されるものであるため、外部機器の接続容易性を考慮して、ボイスコイルスピーカー1の外縁部に設けられている。そして、本実施形態では、下ブリッジ30の基端部33の近傍にコネクター36を設けた上で、音声信号処理回路基板32を支持するための必須の部材である下ブリッジ30を利用して、コネクター36と、音声信号処理回路基板32との間に介在するリード線38が直線的に延出する構成としたため、リード線38の長さを短くできると共に、リード線38の撓み等を防止することができる。
なお、ブリッジ29、30は、音声信号処理回路基板32を固定するという、スピーカーフレーム13と同一の機能を有する部材であり、スピーカーフレーム13に含まれる概念である。
同様に、音声信号処理回路基板32の後面には、音声信号処理回路基板32の後面を覆う箱状の後シールドカバー59が設けられており、これにより、音声信号処理回路基板32の後面に実装された各回路が防護されている。
本実施形態では、シールドカバー56、59は、熱伝導率の高い物質により構成されているが、この理由については後述する。
出力端子60の配置について詳述すると、図1(A)に示すように、上ブリッジ29及び下ブリッジ30を結ぶ仮想直線T1を対称軸として線対称に、8個ずつのグループに分かれて出力端子60が設けられている。そして、各グループにおいては、8個の出力端子60のそれぞれが等間隔(〜中心軸L1から等角度)で配置されている。つまり、16個の出力端子60のそれぞれは、ブリッジ29、30と音声信号処理回路基板32との接続部分を避けて、略同一円上に等間隔で配置されている。
なお、出力端子60は、音声信号処理回路基板32の電気接点に直接接続されている。
本実施形態では、音声信号処理回路基板32からボビン21を駆動するための駆動信号が各ボイスコイル22に出力され、この駆動信号に応じて各ボイスコイル22によりボビン21が振動し、これに伴って振動板24が振動し、音声が出力される。
音声信号処理回路基板32は、入力したデジタル音声信号にデジタル処理を施し、各層のボイスコイル22用の駆動信号を生成し、出力するための回路が実装されたデジタル回路基板である。
この音声信号処理回路基板32に実装される回路には、ΔΣ変調回路、所定のフィルター回路、デジタルアンプ等があり、これらはデジタル回路で構成されるため、アナログ回路で形成される場合よりも格段に小型で済む。特に、デジタルアンプは、アナログアンプよりも格段に小さくなり、このデジタルアンプを構成する信号増幅用のアンプ回路64は、図2に示すように、音声信号処理回路基板32の後面に余裕を持って配置可能である。なお、このアンプ回路64は、各層(本構成では6層)のボイスコイル22の駆動信号を増幅するため、6個のデジタルアンプを有している。
ここで、上述したように、前シールドカバー56及び後シールドカバー59のそれぞれは、熱伝導率の高い部材によって構成されている。この構成のため、これらシールドカバー56、59に、アンプ回路64を含む各回路の発熱が伝導し、各回路の冷却が促されると共に、ボイスコイルスピーカー1の駆動によるボビン21、及び、振動板24の振動に伴ってこれらシールドカバー56、59に対して空気が吹き付けられ、これによりシールドカバー56、59の冷却が促される。
なお、本実施形態では、音声信号処理回路基板32に入力される音声信号のチャンネルの数に応じて、ボビン21のボイスコイル22が多層化されている。
このように、錦糸線61が、出力端子60からボビン21へ向かって直線的に延出する構成で、かつ、サブダンパー45に対して錦糸線61が編み込まれ、サブダンパー45に対して錦糸線61が固定、密着した構成となっているため、出力端子60とボビン21との間の錦糸線61の長さを短くしながら、更に錦糸線61を位置決めできる。
このため、ボビン21が振動した際の錦糸線61の移動範囲をより狭くすることができ、錦糸線61のそれぞれの干渉を防止することができる。さらに、ボイスコイルスピーカー1が車両のドアの側面に取り付けられた場合、ドアの開け閉めに起因した振動、エンジンの駆動に起因した振動、車両の走行に起因した振動等の様々な振動が発生するが、このような振動が発生した場合であっても、錦糸線61の干渉を防止することができる。この観点からも、このボイスコイルスピーカー1は、車載用のスピーカーに好適である。
これによれば、本実施形態に係るボイスコイルスピーカー1において、多チャンネルの音声信号を処理可能な必須構成部材である音声信号処理回路基板32を、振動板24の前方のスペースを有効活用して、配置することができる。
より詳細には、複数の出力端子60のそれぞれを音声信号処理回路基板32にて、略同一円上に等間隔に配列している。
これによれば、出力端子60のそれぞれについて、効率よく間隔を開けた状態で配置することが可能となり、これに伴い、出力端子60に接続される錦糸線61のそれぞれの物理的な距離を効率的に確保することが可能となり、錦糸線61の干渉を好適に防止できる。
これによれば、サブダンパー45に沿って、出力端子60からボビン21へ向かって錦糸線61を直線的に延出でき、出力端子60とボビン21との間の錦糸線61の長さを短くでき、かつ、錦糸線61の干渉を防止できる。
これにより、錦糸線61が、サブダンパー45に固定、密着した状態でボビン21へ向かって直線的に延出する構成となり、錦糸線61の長さを短くでき、かつ、錦糸線61の干渉を防止できる。さらに、ボビン21が振動した際の錦糸線61の移動範囲をより狭くすることができ、錦糸線61のそれぞれの干渉を防止することができる。さらに、ボイスコイルスピーカー1が車両のドアの側面に取り付けられた場合、ドアの開け閉めに起因した振動、エンジンの駆動に起因した振動、車両の走行に起因した振動等の様々な振動が発生するが、このような振動が発生した場合であっても、錦糸線61の干渉を防止することができる。この観点からも、このボイスコイルスピーカー1は、車載用のスピーカーに好適である。
これによれば、錦糸線61の物理的な距離を最も効率よく確保した位置に位置決めでき、錦糸線61の干渉をより効果的に防止できる。
これにより、シールドカバー56、59により音声信号処理回路基板32が防護される。さらに、上述したように、シールドカバー56、59は、熱伝導率の高い部材であり、上述したように、このシールドカバー56、59により音声信号処理回路基板32に実装された回路の冷却が可能となる。
ここで、アンプ回路64は、本実施形態に係るボイスコイルスピーカー1にとって必須の部材であるが、同じく必須の部材である音声信号処理回路基板32にアンプ回路64を実装することにより、省スペース化を実現している。さらに、本実施形態では、音声信号処理回路基板32に実装された各回路を冷却可能な構成となっており、音声信号処理回路基板32にアンプ回路64を実装することにより、このアンプ回路64の冷却が可能となる。
これによれば、スピーカー開口10の開口部分をできるだけ確保した状態で、振動板24の前方において確実、かつ、強固に音声信号処理回路基板32を支持することができる。
例えば、上述した実施形態では、音声信号処理回路基板32に16個の出力端子60が設けられ、出力端子60のそれぞれに錦糸線61が接続されていたが、出力端子60の数や、錦糸線の数はこれに限られない。すなわち、ボビン21に多層のボイスコイル22が形成されていることに起因して、錦糸線61が複数存在しているボイスコイルスピーカー1に対し、広く本発明を適用可能である。
また、本実施形態に係る音声信号処理回路基板32は円盤状であったが、例えば、環状であってもよい。
11 スピーカー本体
13 スピーカーフレーム(フレーム)
21 ボビン
22 ボイスコイル
24 振動板
29 上ブリッジ(フレーム)
30 下ブリッジ(フレーム)
32 音声信号処理回路基板(回路基板)
45 サブダンパー(ダンパー)
50 ツィーター
56 前シールドカバー(シールドカバー)
59 後シールドカバー(シールドカバー)
60 出力端子
61 錦糸線
62 スルーホール
64 アンプ回路
Claims (10)
- スピーカー本体に、多層のボイスコイルを形成したボビンと、前記ボビンに接続される振動板とを備えたボイスコイルスピーカーにおいて、
前記振動板の前方に音声信号を処理する回路基板を配置し、前記回路基板の周方向に前記多層のボイスコイルに出力する複数の出力端子を配列し、
前記複数の出力端子は、
前記スピーカー本体の前部に設けられて前記回路基板を支持する帯状のフレームに沿った仮想直線を対称軸として線対称に設けられたことを特徴とするボイスコイルスピーカー。 - 前記複数の出力端子は、
前記仮想直線を対称軸として、2つのグループに分けられた状態で線対称に設けられ、各グループに属する前記出力端子のそれぞれは、等間隔に離間して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のボイスコイルスピーカー。 - 前記複数の出力端子のそれぞれを前記回路基板にて、略同一円上に間隔をあけて配列したことを特徴とする請求項1又は2に記載のボイスコイルスピーカー。
- 前記ボビンと、前記フレームとの間にダンパーを備え、
前記回路基板の前記複数の出力端子から前記ダンパーに沿って、前記ボビンに形成された前記多層のボイスコイルに錦糸線を延出したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のボイスコイルスピーカー。 - 前記出力端子と前記ボイスコイルとを接続する前記錦糸線を前記ダンパーに編み込んだことを特徴とする請求項4に記載のボイスコイルスピーカー。
- 前記錦糸線を前記ダンパーに放射状に編み込んだことを特徴とする請求項5に記載のボイスコイルスピーカー。
- 前記回路基板をシールドカバーで覆ったことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のボイスコイルスピーカー。
- 前記回路基板に音声信号増幅用のアンプ回路を実装したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のボイスコイルスピーカー。
- 前記回路基板に多チャンネルの音声デジタル信号が入力されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のボイスコイルスピーカー。
- 前記回路基板の前方にツイーターを配置したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のボイスコイルスピーカー。
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