しかしながら、特許文献1の可変入賞装置は、連結杆の側端部とクランク部材に設けた係止片を当接させ外力による回動を防止するものの、ソレノイドの励磁により連結杆とクランク部材が同時に回動する構造であるため回動を防止する箇所は一点のみであり、ロックが外れ易く、しかもこじれや摩耗を生じやすい。さらに、連結杆とクランク部材の回動方向が同じであるため、無理に開放しようとすると簡単にロックが外れ、確実なロック効果を期待できないという問題がある。
また、特許文献2の可変入賞装置は、外部から不正に開閉部材を開けようとしても開閉部材が開くことがなく、不正行為を防止することができるものの、開閉扉を開閉させる部材以外に開閉扉をロックする部材を必要とするため、部品点数が多くなりコストが増加すると共に組付けの作業工程が煩雑化する問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成でありながら外部から不正に開閉部材を強引に力強く開けようとしても開閉部材が開くことがなく、確実に不正行為を防止することができる遊技機用可変入賞装置及びそれを用いた遊技機を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の遊技機用可変入賞装置は、支軸に回動自在に設けられ遊技者にとって相対的に不利な閉状態と有利な開状態とに可変する開閉部材と、電気的駆動源の駆動力を前記開閉部材に伝達し該開閉部材を開閉させる伝達部材とを備えた可変入賞装置であって、前記開閉部材には、前記伝達部材が連係して該開閉部材を開方向に作用させるときに連係する第一作用部と、該伝達部材が開閉部材を閉方向に作用させるときに連係する第二作用部とが前記支軸に偏心した位置にそれぞれ軸線方向に突出して設けられ、前記伝達部材は、前記支軸より上方で且つ該支軸と平行な回動軸により前記支軸の軸線に対して略直交する面方向に沿って揺動自在に設けられ、その伝達部材には、前記第一作用部及び第二作用部と連係する操作部を備えると共に、前記開閉部材の閉状態において、該開閉部材の開動作における前記第一作用部又は第二作用部の少なくともいずれか一方の移動を前記伝達部材の可動方向に交差する方向で受け止め可能な位置に配置され、前記開閉部材に対し外部から開方向へ回動させる外力が加えられた場合には、前記第一作用部又は第二作用部の移動を規制して当該開閉部材の開状態への移行を阻止するストッパー部が設けられており、前記ストッパー部は、前記開閉部材の閉状態において該開閉部材に対し外部から開方向の回動力が加えられると前記第一作用部又は第二作用部が当接して作用する作用力が前記回動軸に向かう形状とし、前記開閉部材は、前記電気的駆動源の駆動により前記伝達部材が作動し、前記ストッパー部が前記第一作用部又は第二作用部の回動軌跡上から離脱して前記操作部が前記第一作用部に作用することで開状態に設定される一方、前記電気的駆動源の駆動により前記伝達部材が復動し、前記操作部が前記第二作用部に作用することで閉状態に設定されることを特徴とする。ここでいう「電気的駆動源」とは電気的信号を受けて伝達部材を操作するアクチュエータの総称であり、例えばモータやソレノイド等が相当する。
上記構成により、電気的駆動源の非駆動状態で開閉部材が閉状態にあるとき、操作部のストッパー部によって第一作用部又は第二作用部の回転動作をロックして開閉部材の開方向への回動を阻止する。そして、電気的駆動源が駆動して作動部材が作動すると、操作部が第一操作部に接触係合すると共にストッパー部が第一作用部又は第二作用部の回動軌跡上から離脱することにより、第一作用部又は第二作用部との干渉が回避されて第一作用部又は第二作用部の回動阻止を解除し開閉部材が回動する。言い換えれば、開閉部材は電気的駆動源の駆動力でしか回動させることができない。したがって、電気的駆動源の非駆動状態で開閉部材に開方向の無用な作用力が働いたとしても、第一作用部又は第二作用部がストッパー部に衝止して開閉部材が開放することがない。また、伝達部材が支軸と交差する方向に往復可動することで、伝達部材の可動領域が開閉部材の可動領域と略平行な領域となるので、可変入賞装置を奥行き方向にコンパクトにすることができる。また、伝達部材を誤作動させることはなく、無用に開閉部材を開放させることはない。さらに、作用力を回動軸で受けることにより、電気的駆動源に負荷がかかることがなく、電気的駆動源を破損するような不具合を引き起こすことはない。また、前記支軸と回動軸とを略鉛直状に設けることにより、前記開閉部材及び伝達部材を幅方向にコンパクトにすることができる。ひいては、伝達部材の可動範囲を小さくすることができ、可変入賞装置のコンパクト化を図ることができる。
また、前記操作部は前記開閉部材の閉状態において、前記第一作用部と第二作用部との間に位置すると共に前記第一作用部と所定の間隙をもって位置し、前記電気的駆動源の駆動により前記操作部が前記所定の間隙を移動し第一作用部に当接したときには、前記ストッパー部が隣接又は当接する前記第一作用部又は第二作用部の回動軌跡上から離脱し、前記開閉部材が回動し得るようにした。詳しくは、前記開閉部材の閉状態において第一作用部及び第二作用部は操作部の揺動軌跡上に位置し、第二作用部は常に操作部の揺動軌跡上に位置している。この発明における間隙は、伝達部材の作動時に係合部がこの間隙分移動してストッパー部が第一作用部又は第二作用部の回動軌跡上から外れ得る移動量となるように設定される。これにより、常態ではストッパー部が前記第一作用部又は第二作用部の回動軌跡内に位置して、開閉部材の外部からの開放を阻止し、電気的駆動源の駆動によりストッパー部が第一作用部又は第二作用部の回動軌跡上から外れ、開閉部材を開状態とすることができる。
また、本発明の遊技機は、上記記載の遊技機用可変入賞装置を用いたことを特徴とする。
また、前記伝達部材は前記支軸の軸線方向と交差する方向に往復可動し、前記ストッパー部を前記伝達部材の往復可動方向に設けることができる。これにより、第二作用部がストッパー部に当接したときには伝達部材の往復可動方向と交差する方向に作用力が働くので、無用に伝達部材を可動させることがないので開閉部材を開放させることはない。
また、前記ストッパー部は前記回動軸を中心とした円弧状に形成して、開閉部材側からの回動力が確実に回動軸に向かうようにすることができる。
また、前記電気的駆動源は直進式のソレノイドであり、前記支軸の軸線方向と交差する方向に直進動するように設け、前記ストッパー部が電気的駆動源の駆動方向に設けるのがよい。これにより、第二操作部がストッパー部に当接したときには電気的駆動源の駆動方向と交差する方向に作用力が働くので、無用に伝達部材を可動させることがないので開閉部材を開放させることはない。また、ソレノイドを前記支軸の軸線方向と交差する方向に直進動するように設けることにより伝達部材と同様に前記開閉部材の可動領域と平行な領域内で往復可動するため、開閉部材を遊技盤の盤面に沿って回動させる場合には、可変入賞装置の前後方向(奥行き方向)をコンパクトにすることができる。ひいては、遊技盤の厚み内に駆動部を収めることができる。
本発明の可変入賞装置によると、電気的駆動源が非駆動状態で例えば外部からピアノ線やセル板等の不正道具を用いて開閉部材に対して開方向の回動力を加えられたとしても、第二作用部がストッパーに当接して開閉部材が開かないため、賞球を不当に獲得する不正行為を確実に防止することができる。
また、可変入賞装置としての通常の作動を確保しつつ可変入賞装置を可動させる部材・部位に不正防止機能を備えるようにしたので、不正防止用の専用部材を新たに作成する必要がなく不正防止用の部品点数を削減してコストの低減化を図ることができ、構造を簡素化して付加価値の高い可変入賞装置を提供することができる。また、このような可変入賞装置を遊技機に設けることにより、不正に遊技球を獲得する不正遊技のできない遊技機を実現することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照し、遊技機としてぱちんこ機を例にして説明する。ぱちんこ機1は、遊技場の設置枠に取付けるための外枠2を備え、その外枠2の正面一側にヒンジ機構を介して内枠3が回動可能に設けられ、他側を施錠装置によって開閉不能に施錠するようにしている。内枠3には、遊技盤5が装着されると共に、遊技盤5の正面を覆う透明板を備えた前面枠6が回動可能に設けられている。また、前面枠6の下方には遊技球を貯留する球受皿7が設けられ、球受皿7は貯留された遊技球を発射部に供給する上皿7aと上皿7aから溢れた余剰球を貯留する下皿7bとが上下に位置して設けられている。そして、球受皿7の右側に打球の弾発力を調節する操作ハンドル9が設けられている。
遊技盤5は、略方形状に形成され、所定の幅員を有するガイドレール10により前面枠6の透明板との間に略円形の遊技領域5aが形成され、その略中央領域に可変表示装置11が設けられている。そして、その下方に可変表示装置11の画像を変動させる始動入賞口12が設けられている。また、可変表示装置11の側方に可変表示装置11の表示結果により扉部材を開閉して多量の入賞を可能とする所謂アタッカータイプの大入賞口14が設けられ、その上方に大当たり後の所定条件により開閉し、可変表示装置11の画像を変動させる始動口として所謂片開き式の電チュータイプの可変入賞装置13が設けられ、右打ちにより開閉部材19が遊技盤5の盤面に沿って開閉して可変入賞装置13に入賞するようにしている。なお、始動入賞口12は常に遊技球の入賞が可能であるが、可変入賞装置13は開閉部材19が開状態のときのみ遊技球の入賞が可能であり、開閉部材19が閉鎖しているときは入賞できない。また、可変入賞装置13に対応して通過センサ16aを備えた通過ゲート16が設けられ、所定の条件下で遊技球が通過ゲート16を通過して通過センサ16aに検出されると抽選が行われ、その抽選結果により可変入賞装置13が開閉するようになっている。そして、遊技領域5aの最下端には始動入賞口12や可変入賞装置13,大入賞口14に入賞しなかった遊技球がアウト球として流出するアウト口15が設けられている。
可変入賞装置13は、図2及び図6に示すように台板18の前面に開閉部材19が支軸20により回動自在に設けられると共に開閉部材19の側周を囲うように球受枠体21が設けられている。そして、台板18の後方には開閉部材19を駆動する電気的駆動源及び駆動源の駆動を開閉部材19に伝達する伝達部材25を備える支持枠体28が設けられる。なお、実施例では電気的駆動源としてソレノイド29を使用し、伝達部材25はソレノイド29と連係するスライダー37と開閉部材19と連係する作動部材38とで構成している。また、台板18には、開閉部材19の開放時に入賞した遊技球が通過する入賞口22が開設されると共に、支軸20を軸支する有底の軸孔61が設けられ、開閉部材19の回動を許容する開口溝23がその軸孔61(支軸20)を中心とした円弧状に形成されている。そして、後面側には支持枠体28を取付けるボス及び補強を兼ねたリブ壁が支持枠体28を囲うように設けられている。
球受枠体21は、図3に示すように合成樹脂により前板部21aと周壁21bと球受通路21cを有し、側方の周壁21bを一部切欠して入賞開口30を形成している。そして、前板部21aの前面に印刷・シールを貼着する等して装飾効果を高めるようにしている。また、前板部21aの後方に開閉部材19を回動自在に軸支する支軸20が台板18と略直交するように突設され、入賞開口30の開口端及び球受通路21cの端部に開閉部材19の開閉位置を規制する規制部32a,32bが設けられている。そして、球受通路21cには入賞開口30から入賞した入賞球を入賞口22に円滑に誘導する案内リブ33が形成されている。
開閉部材19は、図3に示すように翼形状をしており、下方部に支軸20が前後方向に挿通される軸孔34が貫設されている。そして、開閉部材19は入賞開口30を開閉するように支軸20を中心として回動するように装着される。また、開閉部材19の前面下端に球受枠体21に設けられた規制部32a,32bに衝止して開閉部材19の開閉状態を決定する規制片35が設けられている。そして、図5に示すように開閉部材19の背面側に支軸20に対して偏心して同心状に互いに位置をずらして、作動部材38が開閉部材19を開方向に作用させるときに係合(連係)する軸状の第一作用部39と開閉部材19を閉方向に作用させるときに係合(連係)する軸状の第二作用部40が所定間隔をもって支軸20の軸線方向に平行状に突設されている。具体的には支軸20を挟んで略左右対照的に支軸20より上方に位置して、第一作用部39は開閉部材19の外方に、第二作用部40は開閉部材19の内方に位置して設けられ、その軌道は支軸20を中心として各々が上下方向に回動する円弧状となる。なお、実施例において、第二作用部40は真鍮等の金属ピンが重錘を兼ねて使用され、常態で重心位置が閉方向に付勢するようにしている。したがって、開閉部材19の重心位置は、開閉部材19が所定の角度傾倒した状態(図6二点鎖線参照)を平衡位置として、それを境に閉方向又は開方向に付勢するように位置している。また、第一作用部39及び第二作用部40は、図5に示すように台板18に開設した開口溝23を介して作動部材38と係合し、開口溝23は第一作用部39及び第二作用部40の回動軌跡(移動軌跡)と同様の円弧状に形成されている。なお、開閉部材19の重心位置は、常に閉方向に付勢するようにしてもよい。
支持枠体28には、図4に示すように入賞口22に連通する通路部42が形成され、その途中に入賞球を検知する球検知スイッチ60が設けられている。また、電気的駆動源として支軸20の軸線と交差する方向に直線的に変位するプランジャ43及びプランジャ43を突出方向に付勢するスプリング44を備えたソレノイド29が設けられると共に、プランジャ43に連係してソレノイド29の駆動力を開閉部材19に伝達する伝達部材25が設けられ、駆動ユニットAを構成している。伝達部材25は、ソレノイド29のプランジャ43に固設されソレノイド29の駆動に伴って直線移動するスライダー37と、支軸20と平行な回動軸45により揺動自在に設けられスライダー37と連係し開閉部材19を可動させる作動部材38とを含んで構成されている。また、支持枠体28には、スライダー37の移動方向を規制するガイド突起48が設けられている。
スライダー37は、図4に示すようにプランジャ43に固定する固定枠47に、支持枠体28のガイド突起48に遊嵌してガイドされる長孔49が形成され、作動部材38と連係する連係溝50がプランジャ43の進退方向と交差する方向に形成されている。また、作動部材38は、所定の幅員を有する薄板アーム形状の一端に支持枠体28に設けられる回動軸45に遊合軸支する円筒軸支部52がスライダー37の可動空間を形成するように後方に突出して設けられ、他端側に開閉部材19と連係する操作部53が設けられる。そして、背面側に連係溝50に遊嵌される突部54が形成され、前面側に台板18と当接して前後方向のガタつきを規制する先端球面状の突起55が形成されている。操作部53は、第一作用部39及び第二作用部40の間に位置し、第一作用部39を操作する第一操作部53aと第二作用部40を操作する第二操作部53bを有し、第二操作部53bの近傍位置で隣接又は当接して配置され、開閉部材19の閉状態において開閉部材19の開動作における開閉部材19の移動を作動部材38の可動方向に交差する方向で第二作用部40を受け止め係合して開閉部材19の回動を阻止するストッパー部57を備えている。具体的には、第二操作部53bは段状に形成され、作動部材38の往復動方向に設けたその段差部の水平面をストッパー部57として形成している。なお、実施例において作動部材38を回動軸45に垂下して揺動するように設けたが、支軸20より下側で軸支して揺動するようにしてもよい。
駆動ユニットAは、図5に示すように作動部材38を回動軸45に揺動自在に軸支し、プランジ43ャにスライダー37を固設したソレノイド29を支持枠体28に配置する。このとき、スライダー37の連係溝50を作動部材38の突部54を遊嵌し、長孔49にガイド突起48を遊嵌させている。そして、カバー部材58を支持枠体28にビス着することでソレノイド29の駆動によりスライダー37がスライドし、それに連動して作動部材38が揺動するように駆動ユニットAが組付けられる(図5参照)。つまり、ソレノイド29の駆動によるプランジャ43と共動するスライダー37の直線移動を受けて、作動部材38を動きの異なる揺動運動に変換して、作動部材38の揺動運動を同軸方向の開閉部材19に伝達し、開閉部材19を回動させて入賞開口30開放するようにしている。このとき、作動部材38は、開閉部材19の可動領域と平行な領域内で往復可動する。
上記構成の可変入賞装置13の組立は、先ず球受枠体21に軸支された支軸20に開閉部材19の軸孔34を挿通して開閉部材19を開閉自在に装着し、この球受枠体21を台板18にビス着して図5に示す球受ユニットBを組立てる。このとき、支軸20は台板18の軸孔61に軸支され、開閉部材19の第一作用部39及び第二作用部40が台板18の開口溝23から後方に臨んでいる(図5参照)。次に、開閉部材19を閉状態とした駆動ユニットAを、作動部材38の操作部53が開閉部材19の第一作用部39及び第二作用部40の間に位置し、第一作用部39及び第二作用部40が操作部53の揺動軌跡上に位置するように台板18にビス着することで、ソレノイド29の駆動により開閉部材19が入賞開口30への遊技球の入賞が阻止される閉鎖位置から入賞開口30への遊技球の入賞が許容される開放位置の間で開閉するように組み立てられる。つまり、駆動ユニットAと球受ユニットBを組み付けることで、図7に示すように入賞口22と通路部43が連通し、入賞開口30から入賞した遊技球が入賞口22を介して通路部43に導かれるように可変入賞装置13が組立てられる。このとき、図6及び図8に示すように開閉部材19は起立状態にあって入賞開口30を閉鎖しており、可変入賞装置13を正面視して、回動軸45の略直下(略鉛直状)に開閉部材19の支軸20が位置し、スプリング44の付勢により第一操作部53aが第一作用部39と所定の間隙Cを有して対向位置し、第二操作部53bが第二作用部40の側方に近接すると同時にストッパー部57が第二作用部40の上方に近接している。言い換えれば、ストッパー部57が支軸20より回動軸45側に位置すると共に第二作用部40の回動軌跡(移動軌跡)上に位置し、第二作用部40の開方向の初動方向が回動軸45方向(上方向)に回動するようになっている。このとき、第二作用部40は常に操作部53の揺動軌跡上に位置し、第一作用部39は第二作用部40と逆方向(下方向)に回動し開閉部材19の開状態で操作部53の揺動軌跡上から離脱する。また、図面上回動軸45の軸心と支軸20の軸心との距離が、回動軸45の軸心から第二作用部40とストッパー部57の当接位置を経由して支軸20の軸心までの距離より短く(回動軸45の軸心と支軸20の軸心との距離<回動軸45の軸心から第二作用部40とストッパー部57の当接位置の距離+支軸20の軸心から第二作用部40とストッパー部57の当接位置の距離)設定している。なお、所定の間隙Cは、ソレノイド29の励磁により作動部材38が揺動して、第一操作部53aがこの間隙Cの距離分移動して第一作用部39に当接して開閉部材19を回動させる際に、ストッパー部57が第二作用部40の回動軌跡上から退避する移動量となるように設定される。
次に、上記のように組立てられた可変入賞装置13を遊技盤5に設けた動作について説明する。遊技者が操作ハンドル9を操作して上皿7aに貯留される遊技球を遊技領域5aに打ち込むと遊技球は遊技領域5aを流下し、始動入賞口12に入賞すると可変表示装置11の表示が変動して所定の図柄表示(例えば「777」)で停止すると特別遊技状態「大当たり」となり所定時間又は所定回数大入賞口14の扉を開放して、右打ちにより入賞球を発生させて図示しない球払出装置から大量の賞球が球受皿7に払い出される。このとき、可変入賞装置13は、ソレノイド29が消磁した常態にある。そして、プランジャ43は図8に示すようにスプリング44の付勢により突出位置にあり、開閉部材19が作動していない遊技者にとって不利な閉状態である。このとき、作動部材38が図8に示す左側方に揺動した状態にあり、第一作用部39が第一操作部53aから所定間隙C離れ、第二作用部40がストッパー部57の直下に位置する(ストッパー部57が第二作用部40の回動範囲内に位置する)と共に第二操作部53bの下部側近に略接触状態で位置している。これにより、開閉部材19は、ソレノイド29が消磁した常態では自重により規制片35が規制部32aに衝止して、入賞開口30を閉鎖するように起立しており、このとき、無用に開閉部材19を開方向に作動させる作用が働いたとしても、第二作用部39がすぐにストッパー部57に当接することにより上向きの回動作が規制されるため、開閉部材19の回動作が阻止され、開閉部材19の誤作動を防止して遊技球を受け入れ難い閉状態を維持することができる。
また、大当たり終了後、右打ちにより遊技球が通過ゲート16を通過して通過センサ16aに検知され、その抽選結果により開閉部材19を開閉する。詳しくは、図9に示すようにソレノイド29を励磁すると、プランジャ43はスプリング44の付勢に抗して後退し、作動部材38が回動軸45を中心に右側方へ揺動する。このとき、作動部材38は開閉部材19と平行状に揺動する。そして、第一操作部53aが間隙Cの距離を移動して、第一作用部39に接触して開閉部材19を開方向に回動させる。このとき、第一操作部53aが間隙Cの距離を移動すると、図8要部正面図に示すようにストッパー部57が同様に移動して第二作用部40の回動軌跡から離脱して回動阻止状態を解除する。そして、作動部材38がさらに揺動して第一操作部53aで第一作用部39を開方向に回動させると、開閉部材19は自重により開方向に回動して規制片35が規制部32bに当接することで、開閉部材19は遊技者にとって有利な全開状態となり遊技球が入賞し易くなる。このとき、第二作用部40は第二操作部53bの上部側方に位置している。このように、ソレノイド29により作動部材38を可動させる場合にのみ、第二作用部40はストッパー部57と干渉することはない。つまり、開閉部材19はソレノイド29の駆動時にのみ開閉動作を行うことができる。
その後、ソレノイド29が消磁して作動を解除すると、プランジャ43がスプリング44の付勢により図8に示す突出位置まで戻ることによりスライダー37がスライド移動し、作動部材38は回動軸45を中心に左側方に揺動する。これに伴い第二操作部53bが第二作用部40に接触し押圧することで第二作用部40を回動して開閉部材19を閉方向に回動する。そして、第二作用部40が所定位置まで回動すると、開閉部材19が自重により閉状態に復動してストッパー部57が第二作用部40の回動軌跡内に入り込み、開閉部材19の誤作動を防止する。
一方、図6及び図8に示す開閉部材19の閉状態において、外部からピアノ線又はセル板等の不正道具を遊技領域5aに侵入させて開閉部材19に引掛けて、開閉部材19に対して無理矢理開方向の回動力が加えられると、第二作用部40が支軸20を中心として回動し始めようとするも、ストッパー部57が第二作用部40の回動軌跡内に位置しているため第二作用部40がストッパー部57に当接する。そして、第二作用部40がストッパー部57に当接することにより第二作用部40は開閉部材の開方向への動作が規制され、開閉部材19を開状態への移行を阻止して閉状態を維持させる。しかも、第二作用部40の衝止方向が作動部材38の回動軸方向に作用するため、作動部材38を揺動させる作用力も働かず開閉部材19を開放させることはない。また、作動部材38を揺動させる作用力を回動軸45で受けるため、スライド部材37及びソレノイド29に負荷がかかることがなく、駆動源が破損する不具合を引き起こすことがない。なお、ストッパー部57を、回動軸45を中心とする円弧面に形成することにより、開閉部材19を無理矢理に開けようとする強制操作力は確実に回動軸45にかかるため作動部材38が揺動することはなく、開閉部材19を開放させることはない。
以上説明したように、本実施形態に係る可変入賞装置13は、ソレノイド29の駆動力を伝達する作動部材38の操作部53に開閉部材19の背面側の第二作用部40の回動を阻止するストッパー部57を設けたので、ソレノイド29が非駆動状態で開閉部材19を開放しようとしても第二作用部40がストッパー部57に衝止して、開閉部材19の開方向への回動が阻止される。そして、ソレノイド29の駆動時にはストッパー部57が第二操作部53bの回動軌道から外れ回動阻止を解除し、開閉部材19が開放される。つまり、開閉部材19はソレノイド29の駆動時にのみ開放される。
このように、本実施形態に係る可変入賞装置13は、可変入賞装置13としての通常の作動を確保しつつ可変入賞装置13を可動させる部材・部位(作用部、操作部)に不正防止機能を備えるようにしたので、不正防止のための専用部材を別途作成する必要がなくコストの低減化を図ることができ、組立てが煩雑化することがない。また、ソレノイド29を支軸20の軸線方向と交差する方向に直進動するように設けることにより伝達部材25と同様に開閉部材19の可動領域と平行な領域内で往復可動するため、図1に示すぱちんこ機1のように開閉部材19を遊技盤5の盤面に沿って回動させる場合には、可変入賞装置13の前後方向(奥行き方向)をコンパクトにすることができる。ひいては、図7に示すように遊技盤5の厚み内に駆動部(駆動ユニットA)を収めることができる。
また、上記実施例では開閉部材19の閉状態において、ストッパー部57により第二作用部40の移動を阻止して開閉部材19の閉状態を維持するようにしたが、図11に示すようにストッパー部57により第一作用部39の移動を阻止して開閉部材19の閉状態を維持するようにしてもよい。この実施例では、ストッパー部57は作動部材38から鉤状に側方に突出して設けられ、作動部材38の可動方向に交差する方向で受け止め可能な位置に、第一作用部39に対し隣接又は当接するように第一作用部39を上方から囲うように設けている。このとき、ストッパー部57の端部と第一操作部53aとの間隔は、第一作用部39が通過可能な間隔としている。図11(a)に示す開閉部材の閉状態において、操作部53は第一作用部39と第二作用部40との間に位置すると共に第一作用部40と所定の間隙Cをもって位置し、図11(b)に示すようにソレノイド29の駆動により操作部53が所定の間隙Cを移動し、第一操作部53aが第一作用部39に当接したときには、ストッパー部が第一作用部39の回動軌跡上から離脱し、図11(c)に示すようにさらに作動部材38が揺動して開閉部材19が回動し開状態となる。そして、ソレノイド29が消磁するとスプリング44の付勢により作動部材38が揺動復帰して、第二操作部53bで第二作用部40を操作して開閉部材19を閉方向へ回動させ、開閉部材19が所定角度回動すると自重により起立して図11(a)に示す閉状態となる。
また、実施例において電気的駆動源の駆動力を開閉部材19に伝達し、この開閉部材19を起立又は傾倒させる伝達部材25を、電気的駆動源(ソレノイド29)に固設するスライダー37と作動部材38とで構成するようにしたが、ソレノイド29のプランジャ43を作動部材38と直接連係させて開閉部材19を開閉させるようにしてもよい。さらに、図12に示すようにスライダー37Aに開閉部材19と連係する操作部53を設け、第一作用部39及び第二作用部40と連係して開閉部材19を回動させる第一操作部53a及び第二操作部53bを設けて開閉部材19を開閉させるようにしてもよい。この実施例において、スライダー37Aは支軸20の軸線に対して略直交する面方向に沿って往復動する。図12(a)に示すソレノイド29が消磁した常態では、ストッパー部57が第二操作部40の回動軌跡内に位置して、第二操作部40の回動を阻止している。そして、ソレノイド29の励磁によりスライダー37Aが支軸20の軸線と交差する方向にスライド移動して、図12(b)に示す第一操作部53aが第一作用部39に当接するまでの間隙Cの距離を移動すると、ストッパー部57が第二操作部40の回動軌跡内から脱離して、第二操作部40の回動を許容して開閉部材19を回動させ、開閉部材19が所定角度回動すると開閉部材19の自重により図12(c)に示す全開状態となる。
なお、実施例において、ストッパー部57を第二作用部40に隣接又は当接して設け、第一作用部39を操作部53(第一操作部53a)と所定の間隙Cをもって設けるようにしたが、図13に示すように第二作用部40を操作部53(第二操作部53b)に隣接又は当接して設け、第二作用部40をストッパー部57と所定の間隙C1をもって設けるようにしてもよい。このとき、間隙C1は開閉部材19が外部の力により閉状態から僅かに可動しても入賞開口30から遊技球が入賞しない距離に設定される。このようにすることで、ソレノイド29の駆動によりすぐに第一操作部53aが第一作用部39に作用するので、タイムラグがなく開閉部材19を開状態にすることができる。また、実施例において電気的駆動源を直動式のソレノイドとしたが正逆モータ,ロータリーソレノイドであってもよい。また、可変入賞装置を翼形状の開閉部材19を開閉する所謂片開きチューリップタイプとしたが、扉部材を前後方向に開閉する所謂アタッカータイプの入賞口にも適応可能である。
また本発明は、実施例において遊技機をぱちんこ機として説明したが、遊技球を遊技媒体とする雀球遊技機,アレンジボール式遊技機等の弾球遊技機にも適応可能である。