[遊技機の構成]
最初に図1〜図3を用いて、本実施例に係わる遊技機の外観構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機14の全体構成を示す斜視図であり、図2はパチンコ遊技機10の分解斜視図、図3は遊技盤14の正面図である。
パチンコ遊技機10は図1、図2に示すように、ガラスドア11、木枠12、ベースドア13、遊技盤14、皿ユニット21、画像を用いて遊技状態に応じた演出を行う液晶表示装置18、遊技球を発射する発射装置25、基板ユニット97、遊技価値を付与する球払出ユニット98などから構成されている。
液晶表示装置18はベースドア13に配されており、液晶表示装置18に画像を表示することにより遊技状態に応じて演出を行うことができる。ガラスドア11は、ベースドア13に対して開閉自在に軸着されており、ガラスドア11の中央には、図1に示すように、開口11aが形成されている。そして、開口11aには、透過性を有する保護ガラス19が配設されている。
保護ガラス19は、ガラスドア11が閉鎖された状態で、後述する遊技盤14の前面に対して対面するように配設されている。保護ガラス19は、遊技球の飛び出しを防止するために、少なくとも遊技領域15の全域と対面するように配設しておくことが必要である。保護ガラス19は、遊技盤14のうちで遊技領域15に該当しない、遊技領域外16も併せて覆うように構成しておくこともできる(図2参照。)。
また、ガラスドア11における開口11aの下方には、コントロールパネル92(図1参照。)が配設されている。コントロールパネル92には、遊技球の貸出用操作部93、メニュー画面表示、メニュー選択、決定、取り消しなどのメニュー操作部94、遊技の進行や演出の進行に関する操作などを行うゲーム操作部95などが設けられている。
図1、図2に示すように、パチンコ遊技機10の正面に設けられている皿ユニット21は、ガラスドア11の下方に位置するように、ベースドア13に配設されている。皿ユニット21としては、上方に上皿20が設けられており、上皿20の下方には下皿22が設けられている。上皿20内には、遊技領域15内に打込むための遊技球を貯留しておくことができる。
また、上皿20及び下皿22には、遊技球の貸し出し、遊技球の払出し(賞球)を行うための払出口20a,22aが形成されており、所定の払出条件が成立した場合には、後述する球払出ユニット98に貯留されている遊技球が払出されてくることになる。
パチンコ遊技機10の発射装置25は、皿ユニット21の側方に位置するように、ベースドア13に配設されている。この発射装置25には、遊技者によって操作可能な発射ハンドル26が配設されている。発射ハンドル26は回動自在に設けられており、遊技者によって発射ハンドル26の回動操作が行われると、遊技球の発射が行われパチンコ遊技が開始される。
発射ハンドル26の裏側には、発射強度制御手段(図示せず。)、球送りソレノイド(図示せず。)などが設けられている。この構成によって、遊技を行う遊技者は、パチンコ遊技機10の前方側から発射ハンドル26等の操作を行って、遊技球を所定の速度で遊技領域15内に向けて打込むことができる。
発射ハンドル26の周縁には、タッチセンサ(図示せず。)、発射停止スイッチ(図示せず。)などが設けられている。このタッチセンサが触接されたときには、遊技者により発射ハンドル26が握持されたと検知される。発射ハンドル26が遊技者によって握持され、かつ、回動操作されたときには、発射強度制御手段(図示せず。)に電力を供給して、上皿20に貯留された遊技球を遊技領域15内に向けて順次発射するように構成することができる。
なお、発射ハンドル26に設けられるタッチセンサは、遊技者が発射ハンドル26を握持している状態を判別できるセンサであればよく、光学的に検知するセンサや、熱により検知するセンサ等、タッチセンサとして用いることのできるものであればセンサの種類は問わない。
図2に示すように、ガラスドア11、遊技盤14、皿ユニット21、発射装置25が配設されたベースドア13は、木枠12に軸着されている。ベースドア13の中央には開口13aが形成され、上方にはスピーカ90L,90Rが配設されている。
遊技盤14は、ガラスドア11における保護ガラス19の奥側に位置するように、ベースドア13の前方に配設されている。遊技盤14は、その全部が透過性を有する板形状の樹脂によって形成されており、遊技盤14の後方に配置されている液晶表示装置18の一部又は全部を、遊技盤14の前方からベースドア13の開口13aを介して視認可能にしている。
尚、図2に示す実施形態では、液晶表示装置18を遊技盤14の奥側に配置した実施形態を示しているが、本発明はこの構成に限定するものではなく、液晶表示装置18を遊技盤14の一部として形成してもよい。透過性を有する遊技盤14の素材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂などを用いることができる。
尚、本実施形態において、画像を表示する部分として液晶ディスプレイパネルからなる液晶表示装置18を用いた例について説明しているが、これに限らず他の態様の画像表示装置を用いることもできる。例えば、CRT(Cathode Ray Tube)を含むブラウン管、ドットマトリックス状に配設したLED(Light Emitting Diode)、セグメントLED、EL(Electronic Luminescent)、プラズマディスプレイ等からなる画像表示装置を使用することもできる。
遊技盤14の前面には、発射された遊技球が転動可能な遊技領域15が形成されている。遊技領域15は、案内レール30などによって囲まれた領域であって、遊技球が落下しながら転動する領域となっている。案内レール30は、遊技領域15を取囲んだ連続したレールとして構成されており、遊技領域内を転動する遊技球を外れ球として遊技領域外に排出する排出口24まで延設されている。また、遊技領域15の左下方には、遊技領域15内において向かって左側の領域を落下してきた外れ球を排出口24に案内するための内レール31が配設されている。
内レール31と案内レール30との間には、発射装置25によって発射された遊技球が通過する案内通路29が形成されている。案内通路29の下流側には、同案内通路29から飛び出した遊技球が再び案内通路29内に戻らないように規制する、可撓性のゲート部材28が配設されている。
遊技領域15の前面中央には、図3に示すように、入賞口42、大入賞口40などが設けられており、遊技領域15の下方には、一般入賞口44aから44dが設けられている。入賞口42の入口側には左右に開閉する一対の可動翼片43が設けられており、大入賞口40の入口側には開閉自在のアタッカー扉41が設けられている。また、遊技領域15の上方部の左右には球通過検出器91a,91bが設けられており、遊技球が球通過検出器91a,91bを通過したことを条件として、普通図柄表示装置35における普通図柄(図示せず。)の変動表示が実行されることになる。
また、遊技領域15の上方には、特別図柄ゲームにおける保留個数を表示する特別図柄保留表示装置34、普通図柄ゲームにおける保留個数を表示する普通図柄保留表示装置36がそれぞれ設けられている。更に、遊技領域15の右上方には、大当り遊技状態における上限ラウンド数を表示する不図示の大当りラウンド数表示装置が設けられている。
この普通図柄の可変表示の結果に応じて、普通図柄が所定の図柄、例えば“○"が停止表示されたときには、可動翼片43は開放状態に制御され、入賞口42に遊技球が受け入れ容易な開放状態となる。また、入賞口42に遊技球が入球したことを条件として、特別図柄(識別情報の一例。)の可変表示が実行されることになる。この特別図柄の可変表示の結果に応じて、通常遊技状態よりも遊技者にとって相対的に有利な大当り遊技状態(特定遊技状態、所謂、「大当り」。)となる。この大当り遊技状態となった場合には、アタッカー扉41が開放状態に制御され、大入賞口40に遊技球が受け入れ容易な開放状態となる。
遊技盤14の上部中央には、図3に示すように、特別図柄表示装置33が配設されている。この特別図柄表示装置33は、7セグメント表示が可能な表示装置であり、特別図柄ゲームにおいて特別図柄の可変表示を行うものである。この特別図柄表示装置33における特別図柄は、一列の図柄列で構成されているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、複数の図柄列で構成されていてもよい。
この特別図柄は、数字や記号等からなる図柄であり、本実施例においては7セグメントの各セグメントを適宜組合わせて表示させることができ、“0"から“9"の数字、“−"の絵柄を用いることができる。特別図柄表示装置33としては、遊技領域15における入賞口42(始動領域の一例。)を遊技球が通過したことを条件として、識別情報の可変表示を行うこととなる。
「可変表示」とは、変動可能に表示される概念であり、例えば、実際に変動して表示される「変動表示」、実際に停止して表示される「停止表示」等を可能とするものである。また、「可変表示」としては、特別図柄ゲームの結果として識別情報が表示される「導出表示」を行うことができる。また、変動表示が開始されてから導出表示されるまでを一回の可変表示と称する。
この特別図柄表示装置33において、特別図柄の導出表示が行われ、導出表示された特別図柄が特定の表示態様(例えば、“0"から“9"のいずれかの数字が導出表示される態様、所謂「大当り表示態様」。)になったことに基づいて、遊技状態を遊技者にとって有利な大当り遊技状態(特定遊技状態。)に移行することとなる。また、導出表示された特別図柄が非特定の表示態様(例えば、“−"が導出表示される態様、所謂「はずれ態様」。)になった場合には、大当り遊技状態には移行しない。
また、導出表示された特別図柄が、特定の表示態様のうちの特別の表示態様(例えば、“1"、“3"、“5"、“7"、“9"が導出表示される態様、所謂「特別大当り表示態様」。)になったことに基づいて、遊技状態を遊技者にとって有利な大当り遊技状態に移行し、その大当り遊技状態が終了した場合に、確変状態に移行することとなる。
一方、導出表示された特別図柄が、特定の表示態様のうち、特別の表示態様ではない非特別の表示態様(例えば、“0"、“2"、“4"、“6"、“8"が導出表示される態様、所謂「通常大当り表示態様」。)になったことに基づいて、遊技状態を遊技者にとって有利な大当り遊技状態に移行し、その大当り遊技状態が終了した場合に、遊技者に相対的に有利な時短状態に移行することとなる。そして、時短状態に移行した後に、大当り遊技状態に移行することなく100回の識別情報の可変表示が行われた場合には、遊技者にとって特に有利な遊技状態ではない通常遊技状態に移行することとなる。
確変状態では、通常遊技状態よりも相対的に大当り遊技状態に移行する確率が向上する。また、時短状態では、通常遊技状態よりも、識別情報の可変表示時間が短くなり、可動翼片43が開放状態となる時間が長くなるように制御されることになる。このため時短状態では、通常遊技状態よりも相対的に大当り遊技状態に移行する可能性が向上する。
なお、導出表示された特別図柄が特別の表示態様となった場合に大当り遊技状態に移行し、その大当り遊技状態の終了後に確変状態に移行する遊技状態を、特別大当り遊技状態と称する。また、導出表示された特別図柄が非特別の表示態様となった場合に大当り遊技状態に移行し、その大当り遊技状態の終了後に通常遊技状態に移行する遊技状態を、通常大当り遊技状態と称する。
また、大当り遊技状態となった後に、確変状態となる特別大当りにおいては、大当り遊技状態中におけるラウンド制御の上限ラウンド数が15ラウンドとなる。つまり、遊技者に相対的に有利な第一の大当り遊技状態に遊技状態が移行されることとなる。一方、大当り遊技状態となった後に、確変状態とならない通常大当りにおいては、大当り遊技状態中におけるラウンド制御の上限ラウンド数が15ラウンドとなる。
[可動翼片及びアタッカー扉の構成]
上述したように遊技領域15には、各種の役物が設けられている。以下では図3を用いて、入賞口42の入口に設けた可動翼片43及び大入賞口24の入口に設けたアタッカー扉41について説明を行っていくことにする。尚、これらの部材の構成については以下での説明に限定されるものではない。
遊技領域15の上方に設けられている球通過検出器91a,91bにおいて、遊技球の通過を検出したときには、普通図柄表示装置35における普通図柄(図示せず。)の変動表示が開始され、所定の時間が経過した後、普通図柄の変動表示を停止する。普通図柄としては、数字や記号等からなる情報であって、例えば“○"、“×"等の記号で表示される。
普通図柄表示装置35に表示された普通図柄が、所定の図柄、例えば“○"が停止表示されたときには、入賞口42の左右の両側に設けられている可動翼片(所謂、普通電動役物、以降、普通電役と称することがある。)43が閉鎖状態から開放状態となり、入賞口42に遊技球が入りやすくなる。そして、可動翼片43を開放状態とした後、所定の時間が経過したときには、可動翼片43は閉鎖状態となり、入賞口42に遊技球が入りにくい状態に戻ることになる。
普通図柄の変動表示中において、新たに球通過検出器91a,91bで遊技球の通過を検出した場合には、変動表示中の普通図柄が導出表示されるまでの間、新たに検出した遊技球の通過に基づいて実行される普通図柄の可変表示は実行されずに保留された状態となる。普通図柄の変動表示中に球通過検出器91a,91bで新たに検出した遊技球の通過個数、即ち、普通図柄を可変表示させることのできる保留した実行回数(所謂、「普通図柄に関する保留個数」、「普通図柄ゲームにおける保留個数」。)は、普通図柄保留表示装置36によって表示される。
普通図柄に関する保留個数に基づく普通図柄の可変表示の実行は、変動表示中の普通図柄が導出表示されてから所定時間が経過した後に実行されることになる。また、普通図柄として所定の図柄が導出表示された場合に実行される可動翼片43の開放制御は、所定の図柄を導出表示した毎に一回だけである。
普通図柄に関する保留個数には上限が設定されており、例えば、四回を上限として普通図柄に関する保留個数を保留しておくことができ、保留された普通図柄に関する保留個数は、普通図柄保留表示装置36に表示されることになる。
入賞口42に遊技球が入賞した場合には、特別図柄ゲームが開始され、特別図柄を変動表示する変動表示状態に移行する。特別図柄の変動表示は、遊技領域15の中央上方に配した特別図柄表示装置33において表示される。導出表示された特別図柄が特定の表示態様である場合には、遊技状態が大当り遊技状態に移行され、大入賞口40の入口に配されたアタッカー扉41は開放状態となるように駆動されて、大入賞口40は遊技球を受け入れやすい状態となる。
大入賞口40内には、カウントセンサ(図示せず。)が設けられており、カウントセンサで所定個数(例えば10個。)の遊技球が通過するまでの間、又は、アタッカー扉41が開放状態となってから所定時間(例えば30秒。)が経過するまでの間、アタッカー扉41は開放状態に維持される。
つまり、アタッカー扉41の開放状態において、大入賞口40に所定数の遊技球が入賞したこと又は所定時間が経過したことのいずれかの条件が成立すると、大入賞口40に遊技球が入賞することができない閉鎖状態にアタッカー扉41は戻されることになる。そして、開放状態から閉鎖状態となったアタッカー扉41は、上述した上限ラウンド数に至っていないことを条件にして、再度開放状態に駆動される。
尚、実施形態においては、入賞口42に遊技球が入賞したことを、特別図柄の変動表示を開始する条件とした例を説明したが、これに限らず、別の態様であってもよい。
特別図柄ゲームにおける特別図柄の可変表示中に、新たな遊技球が入賞口42へ入賞した場合には、可変表示中の特別図柄が導出表示されるまで、入賞口42へ入賞した新たな遊技球に基づいて特別図柄の可変表示を実行することが保留される。
特別図柄を可変表示する実行が保留されている状態において、変動表示中にあった特別図柄が導出表示された場合には、引き続いて保留されている特別図柄の可変表示を行うことのできる実行回数に基づいて、新たな特別図柄の可変表示が開始される。特別図柄の可変表示を行うことのできる実行回数は、入賞口42に入賞した遊技球1個に対して一回である。即ち、三回分の実行回数が保留されていた場合には、現在変動表示中にあった特別図柄が導出表示された後に保留されていた三回分の実行回数のうちから一回分が実行され、残りの二回分の実行回数は保留された状態のままとなる。
保留できる実行回数には上限が設定されており、例えば、四回を上限として特別図柄を可変表示させる実行回数が保留される。保留されている実行回数は、特別図柄保留表示装置34に保留個数を表示されることになる。
なお、本実施例においては、特別図柄の可変表示を行わせる実行回数として四回を上限として保留できる例を説明したが、これに限らず、別の態様であってもよい。例えば、一回又は複数回を上限として保留できるように構成しておくこともできる。更には、保留できる実行回数に上限を設定することなく、幾らでも保留することができるように構成しておくこともできる。もちろん、特別図柄の可変表示を行わせる実行回数は保留しないように構成しておくこともできる。
[可動翼片におけるロック機構]
次に、可動翼片43の作動機構及び可動翼片43に対するロック機構について、図4〜図8を用いて説明する。
図4〜図6は、可動翼片43の作動機構及び作動機構をロックするロック機構の例を示しており、図7、図8は、可動翼片43及び可動翼片43をロックするロック機構の例を示している。入賞口42の入口側には、図4、図5で示すような可動翼片43が設けられている。尚、図4、図5では、可動翼片43及び可動翼片43の回動を規制するロック装置の要部を示している。
図4、図5に示すように、入賞口42と可動翼片43とによって図示せぬ可変入賞装置が構成されており、可動翼片43は、正面から向かって右側に位置する右傾動の翼片部43aと、左側に位置する左傾動の翼片部43bとから構成されている。また、翼片部43a,43bの前面側には回動軸穴59a,59bが形成されており、後面側には伝達ピン52a,52bが立設されている。
図示せぬ可変入賞装置の前面板に立設した回動軸を回動軸穴59a,59bに遊嵌することで、翼片部43a,43bは前記回動軸回りに回動することができる。翼片部43a,43bを前記回動軸回りに回動させる可動機構は、特に図5で示すように、電磁ソレノイド45、電磁ソレノイド45の励磁・非励磁によって左右方向にスライドするスライダ47、スライダ47を電磁ソレノイド45から離間する方向に付勢するバネ54、スライダ47の左右動に連動して回動し、翼片部43a,43bに回動運動を与えるリンク部材49a,49bなどから構成されている。
即ち、スライダ47には溝47cが形成されており、この溝47cにプランジャ46のフランジ部が緩やかに差し込まれている。また、スライダ47と電磁ソレノイド45との間には、スライダ47及びプランジャ46のフランジ部を電磁ソレノイド45から離間させる方向に付勢するバネ54が配設されている。
そして、電磁ソレノイド45が非励磁状態のときには、スライダ47はバネ54の付勢力によって、電磁ソレノイド45から離れる方向に移動させられる。そして、電磁ソレノイド45に通電して電磁ソレノイド45を励磁状態にすると、スライダ47はバネ54の付勢力に抗して電磁ソレノイド45の磁気吸引力によって、電磁ソレノイド45に近接する方向に移動させられることになる。
スライダ47の図4における左右方向への直線移動によって、リンク部材49a,49b及び翼片部43a,43bに係合して配置されているリンク部材49a,49bは、ピン48を中心に回動し、リンク部材49a,49bのピン48を中心とした回動によって、翼片部43a,43bは遊技球が入賞し易い開放位置と入賞し難い閉鎖位置とに可動することになる。
即ち、リンク部材49a,49bは略L字の形状を有しており、リンク部材49a,49bと翼片部43a,43bとの間には図示せぬ固定部材が配設されている。リンク部材49a,49bの一端側に形成した軸支孔には、前記固定部材に支持されたピン48がそれぞれ遊嵌されている。また、リンク部材49a,49bの一端部側における軸支孔から離間した部位には、スライダ47に形成した遊嵌孔47a,47bに遊嵌される突起50a,50bが設けられている。そして、突起50a,50bがスライダ47とともに図4における左右方向に移動することで、リンク部材49a,49bはピン48を回動中心として回動することになる。
翼片部43a,43bの後面側に立設した伝達ピン52a,52bは、リンク部材49a,49bの他端側に形成した遊嵌孔51a,51bに遊嵌されており、リンク部材49a,49bのピン48を回動中心とした回動によって、翼片部43a,43bは遊技球が入賞し易い開放位置と入賞し難い閉鎖位置とに可動することができる。
即ち、リンク部材49a,49bの遊嵌孔51a,51bが下方に向かうように回動することによって、図4で示すように可動翼片43は開放状態となり、リンク部材49a,49bの遊嵌孔51a,51bが上方に向かうように回動することによって、可動翼片43は閉鎖状態となる。
リンク部材49a,49bの下方には、本発明に係わるロック装置55(図6参照。)が配設されている。ロック装置55は、上述したリンク部材49a,49bと翼片部43a,43bとの間に配設した図示せぬ固定部材に固定できるフランジ部を備えたケース55aと、ケース55a内で回動自在に配設された磁性体部56a及び係止部56bとを備えた構成となっている。磁性体部56aは、ケース55aの対向する側面間に掛け渡されて回動自在に支承された軸56cに取り付けられており、係止部56bは磁性体部56aの自由端部側から連続する形で設けられている。
軸56cをケース55aの側面間で回動自在に支承しておく代わりに、軸56cをケース55aの対向する側面間で固定しておき、磁性体部56a及び係止部56bを固定した軸56cに対して回動自在に遊嵌しておく構成とすることもできる。このとき、磁性体部56aが軸56cの軸方向へ移動してしまうのを規制するため、磁性体部56aの両側側に規制部材を配設しておくことが必要である。
ロック装置55は、遊技盤14の前面側から不正行為の磁石が作用していない通常状態においては、図6に示すように係止部56bがケース55aに当接した状態となっており、図5においては点線で示す状態のように、係止部56bはリンク部材49a,49bの回動を阻止しない位置に退避している。
ロック装置55に対して、図1で示す遊技盤14の前面側から不正行為の磁石が作用したときには、磁性体部56aが不正行為で用いられた磁石の磁気力に素早く反応して磁石の方向に吸い寄せられることになり、図5の点線で示す非作動状態から実線で示す起立状態に立ち上がることになる。磁性体部56aの立ち上がり位置は、ケース55aに設けたストッパ57に磁性体部56aが当接することで規制しておくことができる。
このとき、磁性体部56aの立ち上がり回動に連動して立ち上がった係止部56bは、リンク部材49a,49bの回動領域内でリンク部材49a,49bの下方側に位置するように構成されている。磁性体部56aがストッパ57に当接した状態において、係止部56bがリンク部材49a,49bの回動方向に対して直交するように、側面視において磁性体部56aに対して屈折した形状となっている。
また、磁性体部56aがストッパ57に当接した状態を維持しておくため、磁性体部56aがストッパ57に当接した状態における磁性体部56aと係止部56bとによる慣性モーメントが、磁性体部56aをストッパ57に向けた押圧力として作用する配置関係としておくことができる。このような配置関係によって、係止部56bとリンク部材49a,49bとの係合状態を保持する保持手段を構成することができる。
また、磁性体部56aの立ち上がり回動時に、係止部56bがリンク部材49a,49bに当接しながら回動させる構成としておくこともできる。このとき、リンク部材49a,49bに当接しながら回動する係止部56bによって、リンク部材49a,49bを係止部56bの当接前の位置から上方に回動させることもできる。即ち、係止部56bでリンク部材49a,49bを更に上方に回動させることで、翼片部43a,43bの間隔を遊技球の直径よりも狭い間隔としておくことができる。
このとき、係止部56bはリンク部材49a,49bによって下方に押圧された状態となり、係止部56bとリンク部材49a,49bとの係合状態が保持されることになる。従って、このような係止部56bがリンク部材49a,49bによって下方に押圧された状態を構成することも、係止部56bとリンク部材49a,49bとの係合状態を保持する保持手段を構成することになる。
尚、保持手段としては、係止部と可動片との係合状態又は係止部と可動機構の可動部との係合状態を保持しておくことができるものであれば、従来から公知の保持手段を用いることができる。
またこのとき、磁石を用いた不正行為によって遊技球が操作されたとしても、狭められた翼片部43a,43b間の間隔によって、遊技球が入賞口42に入賞することができなくなる。これにより、不正行為によって遊技球を獲得することが完全に行えない状態にしておくことができるので、不正行為の抑止効果としては大きな抑止効果を奏することになる。
尚、係止部53bの作動によって翼片部43a,43bの間隔を遊技球の直径よりも狭い間隔とさせるために、伝達ピン52とリンク部材49a,49bとの連結部等における緩み、即ち、遊嵌状態におけるガタを利用することができる。上述した、係止部56bでリンク部材49a,49bを更に上方に回動させる構成や係止部56bでリンク部材49a,49bを更に上方に回動させる構成は、一対の可動翼片の開口寸法を狭める狭口手段の一例として示しているものである。
図7、図8は、図4、図5で示したような可動翼片43の翼片部43a,43b内にロック装置60を設けた場合の例である。翼片部43a,43bのそれぞれに設けたロック装置60は同様の構成としておくことができるので、図7、図8では一方の翼片部43a内にロック装置60を設けた構成について示している。また、図7は、縦断面図を示し、図8はロック装置60と台座64とにおける要部構成を斜視図で示している。
翼片部43aは、台座64と前面板53とで形成された上部を開放した凹部内に配設されており、前面板53に立設した回動軸53a回りで回動することができる。翼片部43aを回動軸53a回りで回動させる伝達ピン52は、上述した図4、図5に示したリンク部材49aに係合している。また、台座64には、回動する伝達ピン52を案内するため円弧状の案内溝が形成されている。また、後述するロック装置60の係止部61bが挿入される係合孔64aが形成されている。
翼片部43aの裏面側にはロック装置60を装着するための凹部空間が形成されている。凹部空間内には、台座64面と平行に軸61cが設けられており、軸61cの回りには磁性体部61a及び係止部61bが回動自在に支承されている。また、磁性体部61a及び係止部61bの両側面部には、磁性体部61a及び係止部61bの軸方向へ移動を規制する規制部材62が、軸61cに設けられている。規制部材62から突出したバネ係止部材62aと磁性体部61aの自由端部側との間には、フリップフロップ機構を構成する押圧バネ63が設けられている。
押圧バネ63は、磁性体部61aが鉛直方向となった状態を境として、磁性体部61aが図7の右側に傾いたときと、及び左側に傾いたときには、その傾いた方向を維持するように押圧力を作用させることができる。
また、点線で示すように磁性体部61aが図7の右側に傾いた位置を規制するストッパ57が翼片部43aの凹部内に形成されている。
図1で示す遊技盤14の前面側から不正行為の磁石が翼片部43aに近づくと、磁性体部61aはバネ63のバネ力に抗して図7で示す反時計回り方向に回動し、鉛直方向を通り越して図7の左側に移動する。鉛直方向を通り越した磁性体部61aに対してバネ63は、更に、図7で示す反時計回り方向に回動させるようにバネ付勢する。
軸61cを挟んで磁性体部61aとは反対側に配されていた係止部61bの先端部は、磁性体部61aの回動に伴って翼片部43aの凹部空間から突出して、台座64に形成されている係合孔64a内に挿入されることになる。尚、係止部61bと係合孔64aとの配置関係は、図8の斜視図に示している。
これによって、不正行為の磁石が用いられても可動翼片43の開放方向への回動は、係合孔64a内に挿入された係止部61bによって防止できる。しかも、不正行為の磁石が遠ざけられたとしても、バネ63のバネ力によって係止部61bと係合孔64aとの係合状態は維持されることになる。このように、不正行為の痕跡を遊技球に残しておくことができる。ここで説明したフリップフロップ機構は、係止部61bとリンク部材49aとの係合状態を保持する保持手段として構成されていることになる。
また、係止部61bの先端側側面を前方側に行くに従って先細となるように、傾斜面として形成しておくこともできる。この構成としておくことによって、係止部61bの先端側側面における傾斜面が、係合孔64aの開口側の側縁に当接することで、可動翼片43間の開口寸法を、遊技球の直径よりも狭くなるようにさせることができる。
また、図9で係止部61bと係合孔64aとの配置関係の斜視図を示しているように、係合孔64aの開口部の内側面に傾斜面65を形成しておき、係止部61bを傾斜面65に摺接させながら係合孔64aの奥に進ませることで、可動翼片43間の開口寸法が狭まるように構成しておくこともできる。これらの構成は、一対の可動翼片の開口寸法を狭める狭口手段の一例として示しているものである。
[アタッカー扉におけるロック機構]
次に、大入賞口40に設けたアタッカー扉41の作動機構及びアタッカー扉41に対するロック機構について、図10〜図12を用いて説明する。尚、図10〜図12では、アタッカー扉の部材符号を62で表している。
図10、図11は、アタッカー扉62の作動機構及び作動機構をロックするロック機構の例を示しており、図12は、アタッカー扉62をロックするロック機構の例を示している。図10は、裏面側からのアタッカー扉62の開閉機構及びロック装置72(図11参照。)を示している。
図10に示すように、アタッカー扉62の下辺の端部にはアタッカー扉62の下辺に沿った方向に延びる回動軸67aが固定され、大入賞口40(図3参照)の図示せぬ取付板にはアタッカー扉62の下辺部分が回動軸67aを介して支承されている。回動軸67aにはU字状開口を有する二又係合片67bが固定されている。一方、図示せぬ大入賞口用の電磁ソレノイドには駆動力を伝えるプランジャ68が取り付けられ、プランジャ68の上端には作動部材69が固定されている。また、プランジャ68は図示せぬ電磁ソレノイドから離間する方向に図示せぬバネによって付勢されている。
作動部材69の一部は、アタッカー扉62側に延設した構成となっており、延設した部位の先端部は、二又係合片67b内に遊嵌されている。プランジャ68が軸方向に往復動(上下動)することにより、作動部材69が上下動し、二又係合片67b内に遊嵌されている作動部材69の先端部を介して二又係合片67bが上下方向に回動する。二又係合片67bの上下方向の回動により回動軸67aが回動し、アタッカー扉62が開閉される。これにより、電磁ソレノイドの駆動によって、アタッカー扉62を開閉することができる。
作動部材69の上面側には、ロック装置72の非作動時には作動部材69の上下動を阻止しない位置に退避し、ロック装置72の作動時には作動部材69の上下動を阻止する位置に回動する係止部73bが配設されている。図11で示すように、ロック装置72は、上述した大入賞口40(図3参照)の図示せぬ取付板に固定できるフランジ部を備えたケース72aと、ケース72a内で回動自在に配設された磁性体部73a及び係止部73bとを備えた構成となっている。磁性体部73a及び係止部73bは、ケース72aの対向する側面間に掛け渡されて回動自在に支承された軸73cに取り付けられており、磁性体部73aと係止部73bとは、軸73cを挟んで反対側に配設されている。
軸73cをケース72aの側面間で回動自在に支承しておく代わりに、軸73cをケース72aの対向する側面間で固定しておき、磁性体部73a及び係止部73bを固定した軸72cに対して一体的に回動するように遊嵌させた構成とすることもできる。このとき、磁性体部73a及び係止部73bが軸72cの軸方向へ移動してしまうのを規制するため、一対の規制部材を軸72cに設けておき、一対の規制部材間に磁性体部73a及び係止部73bを配しておくことが必要である。
ロック装置72の非作動時には、磁性体部73aはケース72aの上面に当接した状態となっており、ロック装置72の作動時には、不正行為の磁石に引き寄せられて磁性体部73aは起立状態となるように立ち上がり、ケース72aに設けたストッパ57に当接する。軸72cまわりの回転モーメント力として、磁性体部73aの回転モーメント力を係止部73bの回転モーメント力よりも大きくなるように構成しておくことにより、ロック装置72の非作動時には、磁性体部73aはケース72aの上面に当接した状態を維持させておくことができる。
また、ストッパ57の配設位置を、磁性体部73aが鉛直方向よりも前方側に来た位置としておくことにより、ロック装置72の作動時及び不正行為の磁石が遠ざけられた状態においても、磁性体部73aがストッパ57に当接した状態を維持しておくことができる。更には、磁性体部73aが戻らない程度の磁気力を持った磁石でストッパ57を構成しておくこともできる。
これらの、係止部73bと作動部材69との係合状態を保持する構成は、保持手段として構成されていることになる。
遊技盤の前面側から不正行為の磁石が用いられたとしても、磁性体部73aが不正行為の磁石に吸い寄せられて立ち上がり回動することで、係止部73bは作動部材69の上下動を阻止する位置に回動してくることができる。また、係止部73bによる作動部材69の上下動を阻止する位置は、上述した保持手段の構成によって維持することができるので、不正行為の痕跡を遊技機内に残しておくことができる。
図12は、ロック装置77として磁性体部78a及び係止部78bが直線摺動する構成とした例を示しており、直線摺動する係止部78bが係合する係合穴75がアタッカー扉62に形成されている。ケース77aの上縁部は内側に折り曲げられて案内片として構成されており、磁性体部78aの側面には前記案内片に摺動自在に嵌合する凹溝が形成されている。磁性体部78aの前面には係止部78bが設けられている。
ケース77aの内面と磁性体部78aの端面との間には、磁性体部78aを前方側に付勢するバネ(不図示)が配設されている。そして、磁性体部78aの後部側上面には、前記バネ力に抗して磁性体部78aを後方側に係止しておくため、ケース77aの上面側に設けた弾性係合片79の先端部に係合する係合穴78cが形成されている。弾性係合片79と係合穴78cとの係合力は、磁性体部78aを前方側に付勢するバネのバネ力よりも大きく、不正行為で用いられる磁石で磁性体部78aが引き寄せられるときの吸引力よりも弱い係合力としておく必要がある。
このようにロック装置77を構成しておくことにより、不正行為の磁石が遊技盤の前面側から作用すると、磁性体部78aは弾性係合片79との係合状態が外れて、磁性体部78aを前方側に付勢するバネの付勢力が加わって前方側に直線摺動する。磁性体部78aの直線摺動に連動して、係止部78bは、アタッカー扉62に形成した係合穴75に係合することになる。係止部78bと係合穴75との係合状態は、磁性体部78aを前方側に付勢するバネの付勢力によって維持されることになる。この磁性体部78aをバネの付勢力によって前方側に付勢する構成は、係止部78bと係合穴75との係合状態を保持する保持手段として構成されている。
このように、遊技盤の前面側における色々な位置や方向から不正行為の磁石を作用させたとしても、磁石で可動片を不正に動かす前に磁気体部が磁石に反応することになり、係止部78bを作動させることができる。このように、磁石を用いた不正行為によって遊技球が不法に獲得されてしまうことを機械的に防止することができる。また、保持手段によって、磁石を用いた不法行為の痕跡を遊技機に残しておくことができるので、不正行為の抑止効果としては大きな抑止効果を奏することになる。
10…パチンコ遊技機、14・・・遊技盤、15・・・遊技領域、18・・・液晶表示装置、33・・・特別図柄表示装置、35・・・普通図柄表示装置、40・・・大入賞口、41・・・アタッカー扉、42・・・入賞口、43・・・可動翼片、43a・・・羽根部、43b・・・羽根部、44、a〜d・・・一般入賞口、45・・・電磁ソレノイド、46・・・プランジャ、47・・・スライダ、49a,49b・・・リンク部材、53・・・前面板、55・・・ロック装置、56a・・・磁性体部、56b・・・係止部、57a,57b・・・ストッパ、59a,59b・・・回動穴、60・・・ロック装置、61a・・・磁性体部、61b・・・係止部、62・・・規制部材、62a・・・バネ係止部材、64・・・台座、64a・・・係合穴、66・・・アタッカー扉、67b・・・二又係合片、68・・・プランジャ、69・・・作動部材、70・・・係合穴、72・・・ロック装置、73a・・・磁性体部、73b・・・係止部、74・・・ストッパ、75・・・係合穴、77・・・ロック装置、78a・・・磁性体部、78b・・・係止部、78c・・・係合穴、79・・・弾性係合片、91a,b・・・球通過検出器、92・・・コントロールパネル。