JP5554483B2 - 金属と樹脂の複合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)1〜10μm周期で高低差がその周期の半分程度までの凹凸面とすること、すなわちミクロンオーダーの粗度を有した表面とすること、
(2)前記の凹部内壁面は10〜500nm周期、最も好ましくは50〜100nm周期の超微細凹凸面とすること、
(3)表面はセラミック質の硬質相の薄層で覆われたものにすること、具体的には環境的に安定な金属酸化物や金属リン酸化物の薄層で覆われたものにすること、
である。このようにした金属合金表面の凹凸に液状の樹脂組成物が侵入し侵入後に硬く硬化した場合、金属合金と硬化した樹脂分は非常に強固に接合する、という簡潔な考え方である。
前記接着予備工程後の前記合金形状物に被着材を押し付けて固定する工程と、
前記固定された合金形状物及び被着材を加熱して接着剤成分を硬化させる硬化接着工程と、を含みβ型チタン合金製またはα−β型チタン合金製の合金形状物と被着材とを接合するものである。
〔A〕β型チタン合金と樹脂との複合体の特徴
(1)β型チタン合金
β型チタン合金に関し、普通は最密立法晶をα相とし、体心立法晶をβ相とする。チタン系合金は室温下では一般にα相であり言わばα型合金であるが、900℃近くの高温以上でβ相となる。しかし合金種によっては、β相となった高温から急冷した場合にほとんど変態せずβ相のままにある合金種があり、これがβ型チタン合金である。そしてチタン合金では、純チタン系のα型チタン合金とこのβ型チタン合金の他に、高温のβ型から急冷したときに半分程度だけβ型で残る中間型のα−β型チタン合金がある。β型チタン合金として具体的には15V−3Cr−3Sn−3Alチタン合金、α−β型チタン合金としては6Al−4Vチタン合金があり、代表的なものである。
通常、新NMT理論、NAT理論に従う金属合金を得るには、すなわち、前述した(1)〜(3)の条件を満足する表面にするには、基本的に、a.脱脂、b.化学エッチング、c.微細エッチング、d.表面硬化の4工程を経る。使用する金属合金種により、前記4工程のうち、「a.脱脂」が省略される場合もあるし、「b.化学エッチング」が「c.微細エッチング」を兼ねる場合もあるし、「b.化学エッチング」が「c.微細エッチング」も「d.表面硬化」も兼ねる場合もある。また、その逆に、「d.表面硬化」として行う化成処理が「b.化学エッチング」、「c.微細エッチング」を兼ねる場合もある。いずれにしても、本発明者らが実施した化学処理法の基本は、各工程の目的を考えながら「a」〜「d」の具体的方法を考察して実施し、その評価をし、結果的に省略可能な工程があれば省略するというやり方で工程を詰めるものである。
この樹脂組成物は、射出成形により前記チタン合金に直接的に接合できる。結晶性の樹脂であるPBTを主成分とする第1樹脂組成物、PPSを主成分とする第2樹脂組成物、または、ポリアミドを主成分とする第3、第4樹脂組成物をいう。この第1樹脂組成物の樹脂分は、PBTを主成分としPET及び/またはポリオレフィン系樹脂を従成分とする樹脂組成物である。また、第2樹脂組成物の樹脂分はPPSを主成分としポリオレフィン系樹脂を従成分とする樹脂組成物である。また、第3樹脂組成物の樹脂分は、芳香族ポリアミド樹脂の一つを主成分としてその他の芳香族ポリアミド樹脂か脂肪族ポリアミド樹脂を従成分とする物である。また、第4樹脂組成物の樹脂分は、脂肪族ポリアミド樹脂を主成分として芳香族ポリアミド樹脂を従成分とするものである。
この複合体製造方法は金属合金材部品を金型にインサートした上で行う射出成形法であり、以下のように行う。射出成形用金型を用意し、金型を開いてその一方に前述の処理により得られたチタン合金形状物をインサートし、金型を閉じ、改良したPBT、改良したPPS、または改良したポリアミド系の熱可塑性樹脂組成物を射出し、固化した後に金型を開き離型することにより複合体の製造を行う。
圧融着用の樹脂組成物は、硬質の高結晶性樹脂を主成分とする樹脂組成物が使用できる。新NMT理論での圧融着では、樹脂種としてPBT、PPS、芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(以下、「PEEK」という)、等が使用できる。また、前述した射出接合用の熱可塑性樹脂、すなわち射出接合用に改良したPBT、PPS、芳香族ポリアミド系の樹脂ももちろん使用できる。要するに、前述した射出接合用の熱可塑性樹脂よりも範囲が広く、硬質の高結晶性樹脂であれば使用できる。
圧融着による複合体製造法に使用する樹脂組成物の樹脂分は硬質の高結晶性樹脂であって、具体的には、PBT、PPS、ポリアミド、液晶ポリマー等が好ましい。射出接合で好適に使用できるとした、改良済みのPBT、PPS、芳香族ポリアミド系の樹脂組成物もこれらの範疇に入り、勿論使用に好ましい。ガラス繊維、その他の充填材をコンパウンドして樹脂組成物とし、これを原料にして射出成形機にかけて樹脂成形品をまず製作する。
塗布時に液状であり、かつ巨大分子(ゲル化分子)が少ない熱硬化型接着剤がNAT理論における接合で望まれるものである。さらに具体面から言えば、金属(本発明ではβ型チタン合金片)表面上の数μm周期の凹部に侵入し、さらにその凹部内に存在する数十nm周期の超微細凹凸の隙間にもある程度侵入してもらわなければならないため、液の粘度は高くとも十数Pa秒程度以下であることが望ましい。
接着剤としてエポキシ系、フェノール樹脂系、不飽和ポリエステル系のものが好ましく使用できる。エポキシ系、フェノール樹脂系の双方は優れた接着能を有する物が多数市販されている。塗布時に液体であることが必要である。常温で固体状である高粘度接着剤も50〜80℃にすれば十数Pa秒の液体と言えるレベルの粘度にまで下がる。このような現象を利用するのが好ましい。このような高粘度の接着剤として代表的なものはエポキシ系接着剤であるので、エポキシ接着剤を使用するときの要点について述べる。
β型チタン合金と樹脂との接合の形態について具体的に説明する。
(1)射出接合
図1及び図2は熱可塑性樹脂の射出接合に関する図であり、図1は、実施例で使用した射出成形金型の断面を模式的に示した断面図である。図1は、金型が閉じ射出成形される状態を示している。図2は、射出成形金型で成形された金属と樹脂の複合体7の外観を示す外観図である。この射出成形金型は、可動側型板2と固定側型板3で構成され、固定側型板3側にピンポイントゲート5、ランナー等からなる樹脂射出部が構成されている。
図3、図4、図5、図6、図7は熱可塑性樹脂の圧融着接合に関する図であり、図3は実験例で使用した熱可塑性樹脂の射出成形品の形を模式的に示した図である。図4は、前記樹脂成形品がボス形状の場合であって、ボス底部中央が0.1mm程度外に突き出した形状になるように形状設計した例を示している。要するに、充填型ボス形状品を射出成形すると、樹脂組成物の成形収縮によって必ずボス底部の中央がへっこむ。底のへっこんだ物は圧融着に望ましくないため、底中央部が突き出るように予め設計すべきことを示したものである。図4のように成形はピンゲートによってなしてもよいが、結果的に、ボス底中央が0.1mm程度張り出しているかまたは悪くとも平面であることが好ましい。
図11は、本発明によるβ型チタン合金片同士の接着剤接合体の例を示したものであり、実施例で使ったものである。チタン合金片61,62は45mm×18mmであり、接着面Aは18mm×約3mmの0.5〜0.6cm2の面積である。この接合体を引っ張り破断し、せん断破断力を測定することに使用する。一方、接合体を構成する片方、例えば62の方をチタン合金片でなく他種の金属片に代えて接着剤接合できることは当然である。その金属片が、本発明と同じ目的の加工をしたもの、すなわちNAT理論に基づいて表面処理されたアルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金、チタン合金、ステンレス鋼、一般鋼材等であれば、特に強力な接合力を生じる。
図9、図10に本発明者らが使用したチタン合金片とCFRPの接着強度測定用の一体化物の製作治具とその使用の状況、及び得られる一体化物の形状を示した。図9の42、45、46は鉄製の金型状物で組み合わせ型になっている。57はポリエチレンフィルムを長方形に切ったもので2枚を重ね合わせて離型用フィルムとしている。51は1mm厚のチタン合金片、53、56はポリテトラフルオロエチレン樹脂(以下、「PTFE」という。)製のスペーサ、52は炭素繊維織物にエポキシ系接着剤染み込ませたCFRPプリプレグである。54は離型用のポリエチレンフィルム片、55はPTFEのブロックであり、加熱硬化時には図9のように組み込んだもの全体を熱風乾燥機内に設置し、55の上に各数百gの錘58を置いて放置する。硬化し放冷した後、錘58、ブロック55、スペーサ53、フィルム54、及び台座48を外して金型42を床に押し付けると座部45が金型42から離れ、離型用フィルム57と共に一体化物50(図10)が取り出せる。フィルムは必要に応じて剥がせばよい。
以下、本発明の実施例について詳記する。
〔観察・測定及びそれに使用する装置〕
実施例において、また得られたβ型チタン合金と樹脂との複合体の観察・測定、それに使用した装置は次のようである。
(1)PPSの溶融粘度測定
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター「CFT−500(島津製作所社製)」にて、測定温度315℃、荷重98N(10kgf)の条件下で溶融粘度の測定を行う。
試料にX線を照射することによって試料から放出してくる光電子のエネルギーを分析し、 元素の定性分析等を行う光電子分析装置(XPS観察)を用いて基材(β型チタン合金片)表面の分析を行った。この光電子分析装置は、数μm径の表面を深さ数nmまでの範囲で観察する形式の「AXIS−Nova(製品名)」(英国、クレイトス アナリティカル社/島津製作所社製)を使用した。
主に基材表面の観察のために電子顕微鏡を用いた。この電子顕微鏡は、走査型(SEM)の電子顕微鏡「JSM−6700F(製品名)」(日本国東京都、日本電子社製)を使用し、1〜2kVにて観察した。
さらに、主に基材表面の観察のために走査型プローブ顕微鏡を用いた。この顕微鏡は、先端を尖らせた探針を用いて、物質の表面をなぞるように動かして表面状態を拡大観察する走査型プローブ顕微鏡である。この走査型プローブ顕微鏡として、「SPM−9600(製品名)」(日本国京都府、島津製作所社製)」を使用した。
複合体の接合強度の測定として、引張り応力を測定する。具体的には、引張り試験機で複合体7を引っ張ってせん断力を負荷し、複合体7が破断するときの破断力をせん断応力として測定した。この引張り試験機は、「モデル1323(製品名)」(日本国東京都、アイコーエンジニヤリング社製)」を使用し、引っ張り速度10mm/分でせん断力を測定した。
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、Na2S・2.9H2Oを6、214g及びN−メチル−2−ピロリドン17,000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1,355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7160gとN−メチル−2−ピロリドン5,000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により分離した。分離後の固形分について温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が280ポイズのPPS(以下、PPS(1)と記す。)を得た。
調整例1で得られたPPS(1)を、酸素雰囲気下250℃で3時間硬化を行いPPS(以下、PPS(3)と記す。)を得た。得られたPPS(3)の溶融粘度は、1800ポイズであった。
調整例1で得られたPPS(2)7.2kgとグリシジルメタクリレート−エチレン共重合体「ボンドファーストE(住友化学社製)」0.8kgをあらかじめタンブラーにて均一に混合した。その後、二軸押出機「TEM−35B」にて、平均繊維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03−TP91」をサイドフィーダーから添加量が20質量%となるように供給しながら、シリンダー温度300℃で溶融混練してペレット化したPPS組成物(3)を得た。得られたPPS組成物(3)を175℃で5時間乾燥した。
調整例1で得られたPPS(2)4.0kgとエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体「ボンダインTX8030(アルケマ社製)」4.0kgをあらかじめタンブラーにて均一に混合した。その後、二軸押出機「TEM−35B」にて、平均繊維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03−TP91」をサイドフィーダーから添加量が20質量%となるように供給しながら、シリンダー温度300℃で溶融混練してペレット化したPPS組成物(4)を得た。得られたPPS組成物(4)を175℃で5時間乾燥した。
PBT樹脂「トレコン1100S(東レ社製)」4.5KgとPET樹脂「TR−4550BH(帝人化成社製)」0.5Kgをタンブラーにて均一に混合した。その後、二軸押出機「TEM−35B」にて、平均繊維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03−TP91」をサイドフィーダーから添加量が30質量%となるように供給しながら、シリンダー温度270℃で溶融混練し、ペレット化したPBT系樹脂組成物を得た。140℃で3時間乾燥しPBT組成物(1)とした。
PBT樹脂「トレコン1401X31(東レ社製)」6.0kgとエチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体「ボンダインTX8030(アルケマ社製)」0.7kg、エポキシ樹脂「エピコート1004(ジャパンエポキシレジン社製)」0.15kgをあらかじめタンブラーにて均一に混合した。その後、二軸押出機「TEM−35B(東芝機械社製)」にて、平均繊維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03−TP91(日本板硝子社製)」をサイドフィーダーから添加量が30質量%となるように供給しながら、シリンダー温度270℃で溶融混練してペレット化したPBT組成物(2)を得た。得られたPBT組成物(2)を150℃で5時間乾燥した。
PBT樹脂「トレコン1401X31(東レ社製)」6.0kgとPET樹脂「TR−4550BH(帝人化成社製)」0.5kg、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体「ボンダインTX8030(アルケマ社製)」0.5kg、エポキシ樹脂「エピコート1004(ジャパンエポキシレジン社製)」0.1kgをあらかじめタンブラーにて均一に混合した。その後、二軸押出機「TEM−35B(東芝機械社製)」にて、平均繊維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03−TP91(日本板硝子社製)」をサイドフィーダーから添加量が30質量%となるように供給しながら、シリンダー温度270℃で溶融混練してペレット化したPBT組成物(3)を得た。得られたPBT組成物(3)を150℃で5時間乾燥した。
ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸からのポリアミドであるナイロン6Iを合成した。また、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸からのポリアミドであるナイロン6Tを合成した。ナイロン66を0.5kg、ナイロン6Iを1kg、ナイロン6Tを2.5kg、をタンブラーにてよく混合した。その後、二軸押出機「TEM−35B」にて、平均繊維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03−TP91」をサイドフィーダーから添加量が50質量%となるように供給しながら、シリンダー温度280℃で溶融混練しペレット化した。80℃で4時間乾燥しポリアミド組成物(1)とした。
ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸からのポリアミドであるナイロン6Iを合成した。ナイロン66を4.5kgとナイロン6Iを0.5kg、をタンブラーに取りよく混合した。その後、二軸押出機「TEM−35B」にて、平均繊維径9μm、繊維長3mmのガラス繊維「RES03−TP91」をサイドフィーダーから添加量が50質量%となるように供給しながら、シリンダー温度280℃で溶融混練しペレット化した。80℃で4時間乾燥しポリアミド組成物(2)とした。
バナジウム15%、クロム3%、錫3%、及びアルミニウムを3%程度含むとされるβ型チタン合金「KS15-3-3-3(神戸製鋼所社製)」の1mm厚の板材を入手した。これを18mm×45mmの長方形片に切断し、多数のチタン合金小片を作成した。槽にアルミ用脱脂剤「NE−6(メルテックス社製)」7.5%を含む水溶液を用意して液温75℃とし、この水溶液を脱脂用水溶液とした。また、別の槽に苛性ソーダ1.5%を含む水溶液を取り40℃として予備塩基洗槽とした。また、別の槽に、1水素2弗化アンモニウムを1%と硫酸10%を含む水溶液を用意し、液温を65℃としてこれをエッチング槽とした。更に別の槽に3%濃度の硝酸水溶液を取り40℃として酸洗槽とした。また、別の槽に、過マンガン酸カリを2%、酢酸を1%、水和酢酸ナトリウムを0.5%含む水溶液を用意し、40℃として化成処理槽とした。
アルミニウム6%とバナジウム4%程度含むとされるβ型チタン合金「KS6-4(神戸製鋼所社製)」の1mm厚の板材を入手した。これを18mm×45mmの長方形片に切断し、多数のチタン合金小片を作製した。処理法は実験例1と全く同様に行った。最後も実験例1と同様に90℃とした熱風乾燥機内に15分置いて乾燥した。
実験例1にて表面処理したチタン合金片を取り出し、油分等が付着せぬよう穴のある方を手袋で摘まみ射出成形金型にインサートした。金型を閉じ調製例1により得られたPPS組成物(1)を射出温度310℃で射出した。金型温度は140℃であり、図2に示す一体化した複合体20個を得た。樹脂部の大きさは10mm×45mm×5mmであり、接合面6は10mm×5mmの0.5cm2であった。成形当日に170℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールし、さらにその1日後に引っ張り試験した結果、平均のせん断破断力は21.8MPaであった。
調製例1により得られたPPS組成物(1)の代わりに、調製例2により得られたPPS組成物(2)を用いた以外は、実験例3と全く同様の実験を行った。すなわち実験例1にて表面処理したチタン合金片を使用し、射出接合して複合体を得た。得られた複合体を170℃で1時間アニールした。要するに、ポリオレフィン系ポリマーをごく僅かしか含まないPPSとフィラーのみのPPS系樹脂組成物を使用した実験である。1日後、これら10個を引っ張り試験したところ、平均のせん断破断力は7.5MPaであった。実験例3に大きく及ばず、使用した樹脂材料の差異が結果として出た。
調製例1により得られたPPS組成物(1)の代わりに、調製例3により得られたPPS組成物(3)を用いた以外は、実験例1にて表面処理したチタン合金片を使い実験例3と全く同様にして複合体を得た。成形した日に170℃×1時間のアニールをし、その2日後にこの複合体に対して引っ張り試験機でせん断破断力を測定したところ、平均で20.0MPaであった。
調整例1により得られたPPS組成物(1)の代わりに、調製例4により得られたPPS組成物(4)を用いた以外は、実験例1にて表面処理したチタン合金片を使い実験例3と全く同様にして複合体を得た。要するに、ポリオレフィン系ポリマーをごく大量に含むPPS系樹脂組成物を使用した実験である。しかしながら、成形時に多量のガスが発生し、成形を中断した。この実験では樹脂組成物の主成分がPPSではなかった。
調製例5により得られたPBT組成物(1)と、実験例1にて表面処理したチタン合金片を用いて射出接合を行った。すなわち、チタン合金片を射出成形金型にインサートした。金型を閉じ調製例5により得られたPBT組成物(1)を射出温度280℃で射出した。金型温度は140℃であり、図2に示す一体化した複合体20個を得た。樹脂部の大きさは10mm×45mm×5mmであり、接合面6は10mm×5mmの0.5cm2であった。成形当日に150℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールし、さらにその1日後に引っ張り試験した結果、3個平均のせん断破断力は19.0MPaであった。
調製例5により得られたPBT組成物(1)の代わりに、ガラス繊維30%を含む市販PBT樹脂「トレコン1101−G30(東レ社製)」を用いた以外は、実験例7と全く同様にして射出接合して複合体を得た。得られた複合体を150℃で1時間アニールした。要するに、射出接合を助力するポリマーを含まないPBTとフィラーのみのPBT系樹脂組成物を使用した実験である。1日後、これら10個を引っ張り試験したところ、平均のせん断破断力は9.2MPaと小さく実験例7に大きく及ばなかった。
調製例5により得られたPBT組成物(1)の代わりに、調製例6により得られたPBT組成物(2)を用いた以外は、実験例1にて表面処理したチタン合金片を用いて実験例8と全く同様の方法にして複合体を得た。成形した日に150℃×1時間のアニールをし、その2日後にこの複合体を引っ張り試験機でせん断破断力を測定したところ、平均で18.7MPaであった。
調製例5により得られたPBT組成物(1)の代わりに、調製例7により得られたPBT組成物(3)を用いた以外は、実験例1にて表面処理したチタン合金片を用いて実験例8と全く同様の方法にして複合体を得た。成形した日に150℃×1時間のアニールをし、その2日後にこの複合体を引っ張り試験機でせん断破断力を測定したところ、平均で18.1MPaであった。
調製例8により得られたポリアミド組成物(1)と、実験例1にて表面処理したチタン合金片を用いて射出接合を行った。すなわち、チタン合金片を射出成形金型にインサートした。金型を閉じ調製例8により得られたポリアミド組成物(1)を射出温度280℃で射出した。金型温度は100℃であり、図2に示す一体化した複合体20個を得た。樹脂部の大きさは10mm×45mm×5mmであり、接合面6は10mm×5mmの0.5cm2であった。成形当日に150℃の熱風乾燥機に1時間投入してアニールし、さらにその1日後に引っ張り試験した結果、3個平均のせん断破断力は19.0MPaであった。
調製例8により得られたポリアミド組成物(1)の代わりに、調製例9により得られたポリアミド組成物(2)を用いた以外は、実験例1にて表面処理したチタン合金片を用いて実験例11と全く同様の方法にして複合体を得た。成形した日に150℃×1時間のアニールをし、その2日後にこの複合体を引っ張り試験機でせん断破断力を測定したところ、平均で18.7MPaであった。
図3、図4の形状の射出成形品を、1.ガラス繊維30%を含むPBT樹脂「トレコン1101G30(東レ社製)」、2.調整例7によって得られたPBT組成物(3)、3.調整例1によって得られたPPS組成物(1)、4.ガラス繊維30%を含む6ナイロン樹脂「B3EG7(BASF社製)」、5.ガラス繊維30%を含む芳香族ポリアミド樹脂「アミランCM3510G30(東レ社製)」を使用して作成した。得られた成形品のランナー部(ゲート部から本体に繋がる突き出し部分)を根元からニッパーでカットし、次の実験に備えた。
図5の治具システムの上金型19の断熱材部分20に実験例13で作製した射出成形品22をはめこんだ。一方、実験例1で使用したのと同じ1mm厚のチタン合金板を40mm×60mmに切断し図6に示した形状のチタン合金片とした。このチタン合金片に実験例1と全く同様の表面処理をした。表面処理後のチタン合金片をホットプレートで加熱し、ピンセットで挟み掴んで図5に示した下金型11の断熱材12の凹部にセットした。真空ポンプを駆動し、直ぐに上型と下型に押し付け、コック28を開いた。数秒〜5秒おいたら内部は数mmHg程度になり、かつ樹脂成形品22の底部も溶融するので4方コック27を90度回転して系内を常圧に戻す。
図5の治具システムの上金型19の断熱材部分20に実験例13で作成した射出成形品22を嵌め込こんだ。一方、実験例1で使用したのと同じ1mm厚のチタン合金板を40mm×60mmに切断し図6に示した形状のチタン合金片とした。このチタン合金片の表面をアセトンで拭き取って脱脂処理し、これをホットプレートで加熱し、ピンセットで挟み掴んで図5に示した下金型11の断熱材12の凹部にセットした。真空ポンプを駆動し、直ぐに上型と下型に押し付け、コック28を開いた。数秒〜5秒置いたら内部は数mmHg程度になり、且つ樹脂成形品22の底部も溶融するので4方コック27を90度回転して系内を常圧に戻す。その結果を表1に示した。当然だが、全く付着しなかった。
実験例1にて表面処理を行ったチタン合金片の端部にエポキシ系接着剤「EP106(セメダイン社製)」を塗り、デシケータに入れた。真空ポンプで減圧して内部圧力を3mmHgとした。この減圧状態に2分おき、常圧に戻した。再度、減圧/常圧戻しの操作を計3回行い、デシケータからチタン合金片を取り出した。同じ表面処理を行ったチタン合金片同士を接着した形状、すなわち図11に示した形状にしてクリップで固定した。接着面積は0.5〜0.7cm2になるようにした。この固定品を熱風乾燥機に入れて加熱した。すなわち、100℃で1時間置き、135℃まで昇温して40分置き、その後更に昇温して165℃とし、この温度に30分保った。放冷し、1週間後に引っ張り破断してそのせん断破断力を測定した結果、3組の平均で51MPaであり非常に強い接着力であった。
実験例1と同じチタン合金を使用したが、表面処理は行わず脱脂槽に5分浸漬して水洗し乾燥だけした物を使用した。このチタン合金片で実験例15と同じ接着実験を行った。1週間後に引っ張り破断してそのせん断破断力を測定したところ19MPaしかなく実験例16より遥かに接着力は劣っていた。
CFRPプリプレグを作成するために表2からなる熱硬化性樹脂を作成した。
実験例1にて得た表面処理を行ったチタン合金片の端部に実験例17と同じエポキシ系接着剤「EP106」を塗布し、さらにデシケータに入れて減圧/常圧戻しの操作を3回加えた。前述した図9に示す焼成金型40を用いてチタン合金片とCFRPとの接合体を作成する。金型41内に、0.05mmポリエチフィルムの離型用フィルム57を敷き、上記したチタン合金片51、PTFEスペーサ56を置いた。別途、炭素繊維「T−300(東レ社製)」からの平織布を購入し、10%硝酸水溶液にて1昼夜浸漬した後に水洗して乾燥しておいた物を45mm×15mm小片多数に切断した。これを積層して敷いて、注射器から出すエポキシ系接着剤「EP−106」を塗りながら8枚重ね、次いでチタン合金片51の上部にポリエチフィルム製の離型用フィルム54を置いた。使用した接着剤「EP−106」は約1ccであった。
実験例1で得た表面処理を行ったチタン合金片の端部に実験例17と同じエポキシ系接着剤「EP106」を塗布し、さらにデシケータに入れて減圧/常圧戻しの操作を3回加えた。前述した図9に示す焼成金型40を用いてチタン合金片と実験例18で得たCFRPとの接合体を作成する。金型41内に、0.05mmポリエチフィルムの離型用フイルム57を敷き、上記したチタン合金片51、PTFEスペーサ56を置いた。別途切断しておいた実験例18で作成したCFRPプリプレグを5枚重ね、次いでチタン合金片51の上部にポリエチフィルム製の離型用フィルム54を置いた。
GFRP用の市販のビニルエステル型不飽和ポリエステル「リポキシR802(昭和高分子社製)」10gとt−ブチルパーオキシベンゾエート「パーブチルZ(日本油脂社製)」0.1gをよく混ぜて接着剤とした。実験例1にて表面処理を行ったチタン合金片の端部にこの接着剤を塗り、デシケータに入れた。真空ポンプで減圧して内部圧力を50mmHg以下とした。この減圧状態になったら数秒おいて常圧に戻した。再度、減圧/常圧戻しの前記操作を計3回行い、デシケータからチタン合金片を取り出した。取り出したチタン合金片同士を接着した形状、すなわち図11に示した形状にしてクリップで固定し、これを3組作った。接着面積は0.5〜0.7cm2になるようにした。この固定品を熱風乾燥機に入れて加熱した。90℃まで昇温して1時間おき、その後さらに昇温して120℃とし、この温度に1時間保った。放冷し、その1週間後に引っ張り破断して、そのせん断破断力を測定したところ280kgf/cm2(27MPa)あり、非常に強かった。
実験例2にて表面処理を行ったチタン合金片の端部にエポキシ系接着剤「EP106(セメダイン社製)」を塗り、デシケータに入れた。真空ポンプで減圧して内部圧力を3mmHgとした。この減圧状態に2分おき、常圧に戻した。再度、減圧/常圧戻しの操作を計3回行い、デシケータからチタン合金片を取り出した。同じ表面処理を行ったチタン合金片同士を接着した形状、すなわち図11に示した形状にしてクリップで固定した。接着面積は0.5〜0.7cm2になるようにした。この固定品を熱風乾燥機に入れて加熱した。すなわち、100℃で1時間おき、135℃まで昇温して40分おき、その後さらに昇温して165℃とし、この温度に30分保った。放冷し、1週間後に引っ張り破断してそのせん断破断力を測定した結果、3組の平均で53MPaであり非常に強い接着力であった。
実験例2と同じチタン合金を使用したが、表面処理は行わず脱脂槽に5分浸漬して水洗し乾燥だけした物を使用した。このチタン合金片で実験例22と同じ接着実験を行った。1週間後に引っ張り破断してそのせん断破断力を測定したところ15MPaしかなく実験例22より遥かに接着力は劣っていた。
2:可動側型板
3:固定側型板
4:樹脂組成物
5:ピンポイントゲート
6:接合面
7:射出接合による樹脂金属合金複合体
8:射出成形金型
11:治具下型
12:断熱材(ベークライト製)
13:チタン合金片
14:溝
15:減圧用導通部
16:ジョイント
17:O−リング
18:位置決めピン
19:治具上型
20:断熱材(ベークライト製)
21:キャビティー
22:樹脂成形品
23:減圧穴
24:減圧用導通部
25:ジョイント
26:真空ポンプ
27:4方コック
28:2方コック
30:圧融着による樹脂金属合金複合体
31:樹脂部(ボス形状)
32:ビス穴
33:ビス
34:引っ張りブロック下
35:引っ張り試験機チャック下
36:引っ張り試験機チャック上
41:チタン合金片とFRPプリプレグを接着する為の治具の模式図
42:治具下型
43:下型受け部
44:下型貫通穴
45:床型
46:床型下部
47:下型底部
48:金型台
50:チタン合金片とFRP硬化物の一体化物
51:チタン合金片
52:FRPプリプレグまたは硬化したFRP
53:スペーサ
54:離型用フィルム
55:治具上型
56:スペーサ
57:離型用フィルム
58:錘
60:金属合金片同士の熱硬化型接着剤による接着物
61:チタン合金片
62:金属合金片
63:接着面
70:亜鉛相
71:化成処理薄層
72:樹脂層
Claims (14)
- β型チタン合金製またはα−β型チタン合金製の合金形状物と、金属製または樹脂製の形状物である被着材とを接合してなる金属と樹脂の複合体であって、
前記合金形状物は、表面が化学エッチングによって輪郭曲線要素の平均長さRSmが1〜10μmでかつ最大高さ粗さRzが0.2〜5μmのミクロンオーダーの粗度を有するものであるとともに径10〜100nmの多数の超微細凹部で覆われた形状であり、さらにその表面は耐食性のある金属酸化物薄層で覆われているものであり、
前記合金形状物と前記被着材とが前記超微細凹部に侵入した1液性熱硬化型接着剤を介して接着されている
ことを特徴とする金属と樹脂の複合体。 - 前記合金形状物がβ型チタン合金の15V−3Cr−3Sn−3Alチタン合金製であることを特徴とする請求項1に記載の金属と樹脂の複合体。
- 前記合金形状物がα−β型チタン合金の6Al−4Vチタン合金製であることを特徴とする請求項1に記載の金属と樹脂の複合体。
- 前記1液性熱硬化型接着剤がフェノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤または不飽和ポリエステル樹脂系接着剤のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の金属と樹脂の複合体。
- 前記被着材がフェノール樹脂を含んだ研磨剤または摩擦材用組成物の形状物であって、前記1液性熱硬化型接着剤がフェノール樹脂系接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の金属と樹脂の複合体。
- 前記被着材がエポキシ樹脂を含んだ繊維強化プラスチックであって、前記1液性熱硬化型接着剤は、エポキシ樹脂系接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の金属と樹脂の複合体。
- 前記被着材が不飽和ポリエステル樹脂を含んだ繊維強化プラスチックであって、前記1液性熱硬化型接着剤は、不飽和ポリエステル樹脂系接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の金属と樹脂の複合体。
- 前記1液性熱硬化型接着剤には、0〜60質量%のガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、カーボンナノチューブ、その他の強化繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、タルク、粘土、及びガラス粉から選ばれる1種以上の充填材が含まれているものであることを特徴とする請求項1ないし7から選択される1項に記載の金属と樹脂の複合体。
- β型チタン合金またはα−β型チタン合金を機械的加工で形状化して合金記形状物を形成する形状化工程と、
前記合金形状物を、少なくとも弗素イオンを含む硫酸水溶液に浸漬処理する工程及び過マンガン酸塩水溶液に浸漬処理する工程を使用し、最終的には当該合金形状物の表面に(1)輪郭曲線要素の平均長さRSmが1〜10μmであるとともに最大高さ粗さRzが0.5〜5μmのミクロンオーダーの粗度を形成し(2)当該表面が径10〜100nmの多数の超微細凹部で覆われた形状とし(3)表面を主としてマンガン酸化物薄層で覆うこととする化学反応工程と、
ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂、または液晶ポリマーを主成分とする樹脂組成物から樹脂製成形物を得る工程と、
前記化学反応工程後の前記合金形状物を、前記樹脂組成物の溶融温度以上の温度に加熱する加熱工程と、
前記加熱した合金形状物に前記樹脂製成形物を押し付けて圧融着する圧融着工程と、
を含みβ型チタン合金製またはα−β型チタン合金製の合金形状物と樹脂成型物とを接合することを特徴とする金属と樹脂の複合体の製造方法。 - β型チタン合金またはα−β型チタン合金を機械的加工で形状化して合金形状物を形成する形状化工程と、
前記合金形状物を、少なくとも弗素イオンを含む硫酸水溶液に浸漬処理する工程及び過マンガン酸塩水溶液に浸漬処理する工程を使用し、最終的には当該合金形状物の表面に(1)輪郭曲線要素の平均長さRSmが1〜10μmであるとともに最大高さ粗さRzが0.5〜5μmのミクロンオーダーの粗度を形成し(2)当該表面が径10〜100nmの多数の超微細凹部で覆われた形状とし(3)表面を主としてマンガン酸化物薄層で覆うこととする化学反応工程と、
前記化学反応工程後の前記合金形状物を射出成形金型にインサートするインサート工程と、
インサートされた前記合金形状物に、ポリブチレンテレフタレート樹脂を主成分とし、ポリエチレンテレフタレート樹脂及び/またはポリオレフィン液樹脂を従成分とする第1樹脂組成物、ポリフェニレンサルファイド樹脂を主成分とし、ポリオレフィン系樹脂を従成分とする第2樹脂組成物、一つの芳香族ポリアミド樹脂を主成分とし、他の芳香族ポリアミド樹脂か脂肪族ポリアミド樹脂を従成分とする第3樹脂組成物、または、脂肪族ポリアミド樹脂を主成分とし芳香族ポリアミド樹脂を従成分とする第4樹脂組成物を射出して一体化する射出接合工程と、
を含みβ型チタン合金製またはα−β型チタン合金製の合金形状物に樹脂組成物を射出接合し一体化したことを特徴とする金属と樹脂の複合体の製造方法。 - β型チタン合金またはα−β型チタン合金を機械的加工で形状化して合金形状物を形成する形状化工程と、
前記合金形状物を、少なくとも弗素イオンを含む硫酸水溶液に浸漬処理する工程及び過マンガン酸塩水溶液に浸漬処理する工程を使用し、最終的には当該合金形状物の表面に(1)輪郭曲線要素の平均長さRSmが1〜10μmであるとともに最大高さ粗さRzが0.5〜5μmのミクロンオーダーの粗度を形成し(2)当該表面が径10〜100nmの多数の超微細凹部で覆われた形状とし(3)表面を主としてマンガン酸化物薄層で覆うこととする化学反応工程と、
前記化学反応工程後の前記合金形状物に1液性熱硬化型接着剤を塗布する工程と、
前記1液性熱硬化型接着剤を塗布した合金形状物に被着材を押し付けて固定する工程と、
前記固定された合金形状物及び被着材を加熱して接着剤成分を硬化させる硬化接着工程と、
を含みβ型チタン合金製またはα−β型チタン合金製の合金形状物と被着材とを接合することを特徴とする金属と樹脂の複合体の製造方法。 - β型チタン合金またはα−β型チタン合金を機械的加工で形状化して合金形状物を形成する形状化工程と、
前記合金形状物を、少なくとも弗素イオンを含む硫酸水溶液に浸漬処理する工程及び過マンガン酸塩水溶液に浸漬処理する工程を使用し、最終的には当該合金形状物の表面に(1)輪郭曲線要素の平均長さRSmが1〜10μmであるとともに最大高さ粗さRzが0.5〜5μmのミクロンオーダーの粗度を形成し(2)当該表面が径10〜100nmの多数の超微細凹部で覆われた形状とし(3)表面を主としてマンガン酸化物薄層で覆うこととする化学反応工程と、
前記化学反応工程後の前記合金形状物に1液性熱硬化型接着剤を塗布する工程と、
前記1液性熱硬化型接着剤を塗布した形状物を密閉容器に収納して減圧し、その後に加圧することにより、前記1液性熱硬化型接着剤を前記超微細凹部に侵入させる接着予備工程と、
前記接着予備工程後の前記合金形状物に被着材を押し付けて固定する工程と、
前記固定された合金形状物及び被着材を加熱して接着剤成分を硬化させる硬化接着工程と、
を含みβ型チタン合金製またはα−β型チタン合金製の合金形状物と被着材とを接合することを特徴とする金属と樹脂の複合体の製造方法。 - 前記合金形状物がβ型チタン合金の15V−3Cr−3Sn−3Alチタン合金製であることを特徴とする請求項10ないし12から選択される1項に記載の金属と樹脂の複合体の製造方法。
- 前記合金形状物がα−β型チタン合金の6Al−4Vチタン合金製であることを特徴とする請求項10ないし12から選択された1項に記載の金属と樹脂の複合体。
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