JP5553541B2 - 樹脂シート積層鋼板 - Google Patents

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本発明は、樹脂シート積層鋼板に関する。
軽量で剛性が高く、かつ、曲げ、深絞り、張り出し等の加工性に優れ、加工後の耐熱形状安定性がある鋼板は、CO排出量削減の観点から燃費の改善が要求される自動車用外内板や、家電の筐体、家具、OA機器部品等で広く求められている。これらの解決策として樹脂シートや発泡性樹脂シートを鋼板間に積層した鋼板が提案されているが、上記の全ての性能を満足できるまでに至っていない。
具体的には、特許文献1〜5には、金属板間に、PP(ポリプロピレン)シートを積層する製法及び金属板、特許文献6には、鋼板間に、変性PP接着層を介してPA(ポリアミド)シートを積層した鋼板、特許文献7には、鋼板間に、PET(ポリエステル)シートを積層した鋼板、特許文献8には、金属板間に、熱硬化性樹脂を接着剤として含浸させた熱可塑性樹脂のポリマー繊維の布地シートを積層した金属板、特許文献9には、降伏強度や厚みの異なる鋼板間に樹脂シートを積層した鋼板、特許文献10には、鋼板間に、引張り弾性率が高い樹脂シートを積層した鋼板が開示されている。
また、特許文献11には、ステンレス板間に、接着用樹脂フィルムを介して発泡ポリオレフィンシートを積層したステンレス鋼板、特許文献12には、金属板間に、発泡する際に生じる面内方向の発泡力を抑制するシート状物を介して、ポリオレフィン系樹脂発泡体を積層した金属板が開示されている。
以上のような鋼板の間に樹脂シートや発泡樹脂シートを積層した積層鋼板では、鋼板の厚みを鋼板間に積層した樹脂シートや発泡樹脂シートにて増加できるため、前記積層鋼板の曲げモーメントを大きくして高剛性が実現できる。かつ、樹脂シートにて厚みを稼げるので、同一曲げ剛性を有する鋼板やAl板に比較して、軽量化が可能になる。また、表層鋼板の曲げ強度が大きいため、曲げ変形支配の曲げ加工(例えば、変形支点間距離が積層鋼板厚みに対して10倍以上大きいような曲げ変形による加工)に対しては、良好な加工性を発現できる。
しかし、せん断変形が無視できないような曲げ加工(例えば、変形支点間距離が積層鋼板厚みに対して10倍未満の曲げ変形による加工)や、張出し、深絞りのような強加工では、皺が発生したり、コア層が座屈破壊する等の欠陥を生じ易かった。さらに、PPシートを積層した場合、PP樹脂の耐熱が不十分で、加熱加工する用途では、端面から樹脂が流出する課題があった。また、PETやナイロン等の耐熱の高い樹脂を使用しても、熱間塗装の温度に保持すると、加工による残留応力が解放されて、形状が変化する場合があった。
一方、特許文献13には、鋼板間に、無機フィラーが添加されたPPを積層した鋼板、及び、特許文献14には、金属シート間に、無機フィラーを添加した発泡ポリオレフィンシートを積層した金属シートが開示されている。当該発明の積層鋼板では、積層する樹脂もしくは発泡シートを無機フィラーで補強しているため、せん断変形が無視できないような領域での曲げ加工性、耐熱形状安定性が若干改善できる。
しかし、短繊維フィラーで補強しているため、補強層が不連続で、改善効果は十分でない場合があった。
また、特許文献15〜18には発泡樹脂を充填したハニカム状の板を金属板間に積層した金属板、特許文献19、20には樹脂に含浸したペーパーハニカムを鋼板間に積層した鋼板、特許文献21にはウレタン硬化物と無機質粒材やセメントで補強したハニカム板を積層した鋼板が開示されている。
しかし、当該鋼板はいずれも建築用の断熱パネルや遮音パネルを意図した金属板であり、積層後に強加工する用途を想定していない。したがって、当該鋼板では、弾性域では軽量・高剛性を兼備できるものの、ハニカム構造が適正でなく、張出し、絞り加工するとコア層がせん断破壊や圧縮破壊が生じ、欠陥となる場合が多い。
特開昭51−84880号公報 特開昭51−84879号公報 特開昭64−45632号公報 特開平6−270325号公報 特開昭61−123537号公報 特開昭52−21089号公報 特開平4−299133号公報 特表2003−523853号公報 特開昭62−259839号公報 特開昭62−9951号公報 特開2000−225664号公報 特開2001−150616号公報 特開昭62−264941号公報 特開平5−245963号公報 特許2838982号 特開平8−82021号公報 特開平8−105127号公報 特開平8−20086号公報 特表2003−507212号公報 特開2003−181961号公報 特開2004−252083号公報
本発明は、軽量で剛性が高く、かつ、制振性能、加工性、及び形状安定性に優れ、熱間塗装部材にも好適に適用できる樹脂シート積層鋼板を提供することを目的とする。
本発明は、金属板を包埋した樹脂シートの両面に鋼板を積層してなる樹脂シート積層鋼板であって、前記金属板の表面に形成された複数の細孔部の開孔率が30以上であり、かつ、前記細孔部間のバーの幅が、当該バーの厚みの0.2倍以上2倍以下であり、細孔部は、金属板を完全に貫通していることを特徴とする樹脂シート積層鋼板である。細孔部の開孔率を30以上にすることにより包埋する金属板を軽量化できる。さらに、前記金属板の細孔バーの幅をバー厚みの0.2倍以上かつ2倍以下に制御し、かつ樹脂シートに包埋することにより、樹脂シートと鋼板の密着力を保持しつつ、せん断、圧縮変形に対する耐力を増強し、かつ、樹脂シートの高温クリープ変形を抑止できる。さらに、鋼板の引張破断伸びを前記範囲に制御することにより、前記樹脂シートを積層しても絞り、張出し等の強加工にも追従することができる。この結果、軽量で剛性が高く、かつ、加工性、及び形状安定性に優れ、熱間塗装部材にも好適に適用できる樹脂シート積層鋼板として本発明を好適に使用することが可能である。
また、より好ましい本発明の態様は、前記金属板の細孔間のバーの幅が、バー厚みの0.6倍以上1.3倍以下であることを特徴とする上記樹脂シート積層鋼板である。
さらに好ましい本発明の態様は、前記樹脂シートの基材がナイロン、ポリエステルもしくはこれらの発泡体からなることを特徴とする上記の樹脂シート積層鋼板である。
より好ましい本発明の態様は、前記樹脂シート基材が、最隣接気泡距離が5μm以下である発泡体であることを特徴とする上記の樹脂シート積層鋼板である。
さらにより好ましい本発明の態様は、前記樹脂シートと前記鋼板との間に100〜160℃での貯蔵弾性率G’が0.05MPa以上100GPa以下である接着層が積層されることを特徴とする上記の樹脂シート積層鋼板である。
本発明の樹脂シート積層鋼板は、軽量で剛性が高く、かつ、制振性能、加工性、及び耐熱形状安定性に優れた作用効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る樹脂シート積層鋼板の構成を示す模式図である。 本発明に使用する金属板の構成の一例を示す上面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細を説明する。
本発明で使用する金属板は、当該金属板の全体積に対して30体積%以上の体積率を有する細孔部が形成されており、かつ、この細孔部の開孔凹みの細孔バーのがバー厚みの0.2倍以上かつ2倍以下でなければならない。ここで細孔部とは、金属表面もしくは側面、あるいは表面及び側面の双方に設けられた細孔であり、完全に貫通した細孔でも、部分的に貫通した細孔でも、貫通してない凹み状の細孔であっても、あるいはこれらの混合であってもよい。細孔部の体積率を30体積%以上とすることにより、金属板を軽量化し、かつ包埋効果により剛性も高めることができる。さらに、30体積%以上の体積率で細孔部を設けると、この細孔部に充填された樹脂により振動吸収能を高め、制振性を付与できる。細孔部の体積率は、30体積%以上であれば特に制限するものではない。金属板種、包埋後の樹脂シートの板密度、加工に要求されるせん断、圧縮強度に応じて適宜選択できる。軽量性の面から50体積%以上が好ましい。さらには60体積%以上、より好ましくは75体積%以上85体積%以下が望ましい。85体積%超では軽量効果は大きいが金属板自体の強度が小さく、補強効果が十分に発現できない場合がある。
図2に示すように、前記金属板の細孔のバーの幅Dは、最隣接細孔部間にある金属部の最小幅で定義される。具体的には、金属板の最端部に位置する細孔を除外して細孔部を任意に10個以上抽出し、最隣接細孔間にある金属部の最小幅を測定して平均化することで測定できる。上記のように定義された細孔バーのは、バー厚みの0.2倍以上、2倍以下でなければならない。0.2倍未満では、せん断や圧縮強度が小さくなり、絞り加工のような強加工でコア層の座屈や破壊を誘発し易い。一方、2倍超では金属板の剛性が大きくなるため、積層鋼板加工時にコア層がせん断変形に追従できずに剥離したり、表層鋼板の加工負荷が大きくなって座屈する場合がある。さらに、加工時の変形を等方的に伝達し、反り、皺を防止、加工後の形状安定性を向上する目的から、細孔のバーのは、好ましくは、前記金属板の凹み加工前の厚みの0.6倍以上、1.5倍以下、より好ましくは、0.8倍以上、1.2倍以下である。
前記金属板の細孔部のサイズ(細孔の形状を円に近似したときの細孔断面の直径)は特に規定されないが、平均サイズが加工金型最小曲率の1/2以下であることが好ましい。1/2超では、金型との接触面が細孔サイズよりも小さくなるため、細孔部とバーとの間で加工圧力が不均一に加わり、表層鋼板に凹凸模様が発生して意匠性が悪化したり、加工時に積層鋼板が滑り、所望の寸法で曲げ加工ができない場合がある。1/2以下であれば、接触面の大きさが細孔サイズよりも大きいため、当該欠陥は発生し難い。
細孔部の形状を具体的に例示すると、六角形状、四角形状、三角形状等の多角形状孔、不等辺多角形(ボロノイ多角形)孔等のハニカム溝、円状の丸孔、四角状の角穴の直列、45°もしくは60°千鳥配列、長孔のヘリボン、綾抜き配列、菱形、亀甲型溝等が挙げられる。中でも加工時に等方的に応力が加わる六角形状、四角形状、三角状の正多角形ハニカム溝、丸孔の直列、45°もしくは60°千鳥配列が最も好ましい。なお、細孔部の体積率が金属板の30体積%以上で、細孔バーのが前記条件を満足していればよく、これらの形状に限定されるものではない。
前記金属板の細孔部は、公知の穿孔加工、エキスパンドメタル加工やハニカムセル加工等で付与することができる。具体的に例示すると、打ち抜きプレス加工で厚み方向に開孔する加工、表面に凹凸を有する金属板をプレス加工し、これらの凸部同士を接合して側面部及び表面に開孔する加工、あるいは、薄肉ハニカムセルを一定間隔で折曲させた壁材を積層して相互に接着した後、当該壁材を機械的に牽引して厚み方向に開孔する加工等が挙げられる。中でも、コストや生産効率、表面の平坦性から、パンチングによる穿孔加工が最も好ましい。
また、前記金属板の金属種も特に制限するものではない。具体的には、鉄合金、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、銅板あるいはこれらの箔等が挙げられる。軽量性の面からはアルミニウム、アルミニウム合金が最も好ましい。一方、加工性及び積層鋼板と他の鋼板との接合の面からは、表層鋼板と同一材質の鋼板が前記金属板として最も好ましい。軽量性、加工性、接合性等の必要優先順位に応じて適宜選択できる。
前記金属板は樹脂シートに包埋されていなければならない。ここで、包埋とは、前記金属板全体の体積の90%以上に相当する部分が樹脂シート内に包埋された状態を意味する。前記金属板を樹脂シートに包埋することにより、樹脂シート及び金属板双方の欠点を補完できる。前記金属板を包埋することにより、補強効果により樹脂シートのせん断、圧縮強度を増大できる。この結果、せん断変形が支配的になる加工や強加工しても、座屈、せん断破壊、皺発生等を防止できる。また、樹脂シートを連続した軽量金属板で補強しているため、高温に保持しても樹脂シートがクリープ変形し難く、積層鋼板の形状安定性を改善できる。一方、金属板に対しては、中空部を充填できるので、前記金属板と表層鋼板との密着力を増加できる。さらに、表層鋼板内面への結露等による水分付着を抑制し、腐食を防止できる。さらに、開孔率(細孔部の体積率)を30体積%以上、好ましくは、60体積%以上、より好ましくは75体積%以上85体積%以下にしてもせん断強度や圧縮強度を樹脂で補強でき、加工時のコア層のせん断破壊や皺発生を防止できる。
本発明に使用する樹脂シートは、樹脂種を特に制限するものではなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム状弾性体からなる樹脂シート、あるいはこれらの1種もしくは2種類以上の混合物からなる樹脂シートであればよい。例示すると、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、硬質、軟質塩化ビニル、高密度、低密度もしくはリニア低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の汎用ビニル系樹脂シート、アイオノマー、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等のエラストマー系樹脂シート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂シート、6ナイロン、66ナイロン、12ナイロン等のポリアミド樹脂シート、ポリイミド樹脂シート、ポリエステルカーボネート樹脂シート等の縮重合系熱可塑性樹脂シート、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ポリエステルメラミン系樹脂等の熱硬化樹脂シート等を挙げることができるが、これらに限定されない。
前記樹脂シートは前記金属板で補強しているため、非補強樹脂シートに比較して高温の形状安定性に優れる。したがって、樹脂シート基材の耐熱性も特に規定しないが、非晶性樹脂シートであればガラス転移温度が100℃以上、結晶性樹脂シートであれば融点が120℃以上であることが望ましい。当該温度未満のガラス転移温度、結晶温度(融点)の樹脂シートでは、熱間塗装時に局所的なクリープ変形をして、表層鋼板表面に金属板開孔部に対応した凹凸が発生し、意匠性が低下する場合がある。
さらに、前記金属板と樹脂シートとの密着力を確保するために、カルボキシル基、酸無水物基、りん酸基、スルホン基又はこれらの金属塩や活性基、エポキシ基、水酸基、アミノ基、カルボニル基、エステル結合基、カーボネート結合基、アミド結合基、イミド結合基等の極性基が導入されている樹脂を含有する樹脂シートであることが好ましい。
上記の理由から最も好ましい樹脂基材は、ポリエステル樹脂もしくはポリアミド樹脂であり、より具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、6ナイロン、66ナイロン、12ナイロンが最も好ましい。耐熱性があり、かつ分子鎖中のエステル基、アミド基、あるいは末端カルボキシル基や、水酸基、アミノ基等の極性基により前記金属板と樹脂シート間に良好な密着性を確保できる。さらに、強度と靭性等の機械特性バランスも良い。さらに好ましくは、分子鎖末端の70%以上にカルボキシル基を残留したポリエステル樹脂もしくはポリアミド樹脂からなる樹脂シートが好ましい。カルボキシル基が最も金属板との密着力が大きいので、カルボキシル基が多いほど密着力を強化できる。なお、これらの樹脂は、カルボキシル基含有モノマーを若干多く配合する、2官能以上のカルボキシル基を含有する化合物で末端封止する等により重合して得られる。また、末端カルボキシル基残留率は、親和性のある溶媒に溶解した樹脂シート基材をアルカリ溶液中和滴定して求めた末端基数とSEC(Size Extrusion Chromatography)で求めた数平均分子量から算出した末端基数との比から算出できる。
本発明で使用する樹脂シートは、軽量効果を発現するため、発泡した樹脂シートであることが好ましい。発泡倍率は、2倍以上、4倍以上、さらに好ましくは10倍以上、15倍以下が望ましい。15倍超でも金属板の補強効果によりコア層の圧縮強度は発現できるが、弾性率やせん断強度が著しく低下し、前記金属板を包埋しても加工時にせん断破壊、座屈し易い。一方、2倍未満では軽量効果が小さい。
発泡樹脂シートを使用する場合は、隣接気泡間距離が0.1μm以上5μm以下になるように分散していることが好ましい。隣接気泡間距離を0.1μm以上にすることにより、応力を各気泡/樹脂界面に集中させることにより分散できる。また、隣接気泡間距離を5μm以下に制御することにより、気泡/マトリックスポリエステル界面に集中した応力により形成された塑性変形領域を連続させることができ、亀裂伝播を阻止して樹脂シートの靭性を向上できる。この結果、冷間強加工しても発泡樹脂層での破壊を防止し易い。より好ましくは、2.0μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下である。小さいほど塑性変形領域を連続させ、靭性を向上し易い。さらに、平均気泡径は0.1μm以上、10μm以下、好ましくは、5μm以下、より好ましくは3μm以下に制御することが好ましい。気泡径が0.1μm未満の場合、応力を気泡/マトリックスポリエステル界面に集中させ難い。10μm超では、隣接気泡間距離を上記の好ましい範囲に制御し難い。
また、本発明に使用する樹脂シートは、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理等の公知表面処理をして、臨界表面張力を増加し、鋼板や接着剤との密着性を改善してもよい。鋼板との密着性確保の観点から、積層前にこれらの表面処理により臨界表面張力を45dyn/cm(mN/m)以上に制御することが好ましい。
本発明を構成する鋼板は、特に制限するもではない。具体的には、Alキルド極低炭素鋼板、Alキルド低炭素鋼板、Al−キルド中炭素鋼板、Al−Siキルド鋼板、Siキルド鋼板、ステンレス鋼板等が挙げられ、熱延鋼板、冷延鋼板のいずれであっても良い。
また、当該鋼板には、適正なめっきや、密着力や防錆等の目的で化成処理が施されていても良い。具体的にめっきを例示すると、錫めっき、薄錫めっき、電解クロム酸処理、ニッケルめっき等の缶用鋼板の表面処理や、溶融亜鉛めっき、溶融亜鉛−鉄合金めっき、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき、溶融アルミニウム−シリコン合金めっき、溶融鉛−錫合金めっき等の溶融めっきや、電気亜鉛めっき、電気亜鉛−ニッケルめっき、電気亜鉛−鉄合金めっき、電気亜鉛−クロム合金めっき等の電気めっき等が挙げられる。また、化成処理を例示すると、クロメート処理(反応型、塗布型、電解)、燐酸塩処理、有機樹脂処理等が挙げられる。化成処理は、めっき上でも鋼板表面に直接施していてもよい。さらに、本発明に使用する鋼板は、塗装鋼板、フィルムラミネート鋼板のような表面処理鋼板であっても良い。
さらに、積層する鋼板が異なる鋼種であっても、前記の引張り破断伸びを満足している鋼板であれば、本発明に使用できる。例示すると、曲げ加工、絞り加工する用途では、強度が異なる鋼板間に本発明の樹脂シートを積層し、加工性を改善することが可能である。具体的には、加工曲率rが小さく加工の厳しい面に軟鋼を使用し、他面には強度確保のため、高張力鋼を使用すること等も可能である。
本発明を構成する樹脂シートと鋼板との接合には、表層鋼板に直接樹脂シートを積層して接合しても、前記樹脂シートとの間に接着剤層を積層して接合してもよい。接着剤層を積層する場合、接着剤層は樹脂シートと鋼板との双方に親和性がなければならない。樹脂シートとの接着剤層との親和性は、接着剤と樹脂シートとの溶解度パラメーターの差が5MJ/m以下であること、もしくは、極性基がある樹脂シート場合は、この極性基と共有結合、水素結合、イオン相互作用、配位結合等の化学結合、又は、電荷の移動を伴わない物理結合等を形成できる官能基(結合基を含む)が接着剤に導入されているかが目安となる。溶解度パラメーターは、構成するユニットの化学構造等からFedorsやSmallの方法等で推定することができる。接着剤と樹脂シートとの溶解度パラメーターの差は、好ましくは6MJ/m以下であり、より好ましくは3MJ/m以下、さらに好ましくは2MJ/m以下である。接着剤とポリエステルとの溶解度パラメーターの差が小さいほど両者の相溶性が向上し、初期密着性が向上する。一方、実用上の樹脂シート/接着剤層間の適正な密着力は、2枚の前記樹脂シートを接着剤層で接着し、Tピール強度で評価できる。Tピール強度は、20N/cm以上が好ましく、より好ましくは30N/cm以上であり、更に好ましくは45N/cm以上であり、更により望ましくは60N/cm以上である。Tピール強度が20N/cm未満では、鋼板積層直後の初期密着強度が小さく、加工時や加工後の加熱で前記樹脂シートと接着剤との界面で剥離する場合がある。
鋼板との実用的な親和性は、2枚の鋼板間を接着剤層で接着した試験片のTピール試験(JIS Z 0238)により評価できる。樹脂シート/接着剤間と同様の強度範囲にあることが、望ましい。樹脂シート/接着剤界面と同様に、Tピール強度が20N/cm以上が好ましく、20N/cm未満では、鋼板−接着剤界面が密着力ネックになり、加工時や加熱時に剥離する場合がある。より好ましくは30N/cm以上であり、更に好ましくは45N/cm以上であり、更により望ましくは60N/cm以上である。
また、加工後にも耐熱形状安定性を保持するため、接着剤層の100〜160℃での貯蔵弾性率G’は、0.05MPa以上100GPa以下であることが好ましい。0.05MPa未満では、積層鋼板を成形する場合に発生した鋼板/接着剤界面の残留応力により、積層鋼板の成形品を当該温度に加熱すると、接着剤層がクリープ変形し、接着剤層が破壊したり、接着剤層を起点とした剥離を引き起こす場合がある。好ましくはG’>1.0MPa、より好ましくはG’>5MPaが望ましい。一方、100GPa超の場合、常温のG’はより大きくなるので、加工追従性が低下して加工時に破壊し、接着剤層を起点とした剥離を生じ易くなる。なお、接着剤層の貯蔵弾性率G’は、周波数0.1〜10Hzで測定した接着剤層の貯蔵弾性率の最大値で評価できる。熱硬化性接着剤の場合は、積層条件と同一の熱履歴を付与して架橋硬化した接着剤フィルム、熱可塑性接着剤の場合は接着剤フィルムを公知の動的粘弾性測定装置で測定できる。
さらに、接着剤層の当該温度での損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の比tanδ(=G”/G’)は、tanδ<1が好ましく、より好ましくはtanδ<0.8、より好ましくはtanδ<0.5、さらに好ましくはtanδ<0.1が望ましい。tanδが小さいほど、加熱しても残留応力による接着剤層のクリープ変形を抑制し、形状を安定できる。tanδ≧1では、当該温度に加工品を加熱すると、接着剤層が粘性流動し、形状が不安定になったり、クリープ変形破壊して剥離したりする場合がある。
接着剤層に使用可能な接着剤を例示すると、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリベンズイミダゾール系、アクリレート系等の熱硬化樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系、ポリビニルアセタール系、エチレン−酢酸ビニル系樹脂系、塩ビ系、アクリル、アクリレート樹脂系、ポリアミド系、セルロース系、ポリエステル系、ポリオレフィン系等の熱可塑性樹脂系接着剤、アスファルト、天然ゴム、たんぱく、でんぷん系等の天然接着剤、ニトリルゴム、スチレン系ゴム、ポリサルファイド系、ブチルゴム系、シリコンゴム系、アクリルゴム系、変性シリコンゴム系、ウレタンゴム系、シリル化ウレタンゴム系等のエラストマー系接着剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランあるいは、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、チタンカップリング剤等の無機系接着剤等が挙げられ、前記樹脂シートに応じて適宜選択できる。前記樹脂シートがポリアミド系樹脂もしくはポリエステル系樹脂の場合、樹脂シート、鋼板双方への親和性から、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系の接着剤が好ましい。さらに、接着剤の耐熱性から、これらの接着剤基材に架橋剤を添加した反応型ホットメルト接着剤が好ましく、中でもポリエステル系接着剤基材に架橋剤を添加したポリエステル系反応型ホットメルト接着剤が、ハンドリング性の面から最も好ましい。
ポリエステル基材を例示すると、先に挙げたジオール残基とジカルボン酸残基からなる飽和ポリエステルが挙げられる。中でも、複数のジオール残基もしくは複数のジカルボン酸残基をあるいはこれらの組み合わせからなる共重合ポリエステルが、結晶化度を下げて接着性を向上できるので好ましい。具体的には、1,4−ブタジオールとテレフタル酸残基を主成分として他のジオール残基やジカルボン酸残基を共重合したポリエステルが好ましく、より具体的に例示すると、東洋紡績製“バイロン”、旭日化成製“ハーデック”、東レ製“ケミット”、東亜合成製“アロンメルトPES”、日本合成化学工業製“ポリエスター”等が挙げられ、非晶質グレードよりも結晶グレードの方が、耐熱性から好ましい。
架橋剤を例示すると、イミダゾール、イソシアネート、エポキシ樹脂、フェノールノボラック化合物、メラミン化合物等が挙げられる。中でも、架橋反応速度制御性からイソシアネート化合物が最も好ましい。イソシアネート化合物とは、2個以上のイソシアネート官能基を有する芳香族もしくは脂肪族イソシアネート化合物及びこの混合物である。具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネート化合物(MDI)、カルボジイミド変性MDI、ジフェニルメタン4,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジフェニル−メタン−2,4’−ジイソシアネート、オリゴマーフェニルメチレンイソシアネート(TDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、ナフチレンジイソシアネート、トリファニルメタントリイソシアネート等の芳香族イソシアネート化合物、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化芳香族ジイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等の脂肪族のジイソシアネート、トリイソシアネート、ポリイソシアネートを挙げることができる。
本発明の樹脂シート積層鋼板の総厚み、表層鋼板、前記樹脂シート、前記金属板の構成厚み比は、特に限定するものではなく、鋼板厚み及び曲げ剛性Dと軽量のバランスによって決定できる。具体的には以下の式により、(4)、(5)式で決定する前記樹脂シートのヤング率、密度を考慮して、(1)〜(3)式により適正な板比重と剛性を達成するのに必要な当該積層鋼板の構成(樹脂シートと鋼板の厚み、樹脂シート内の前記金属板の体積比等)を決定できる。
D=1/3[(E−E)(y−y+(E−E)(y−y+E +E(h−y] ・・・式(1)
=[(e−E)y +(E−E)y +E]/[2((E−E)y+(E−E)y+Eh)] ・・・式(2)
ρ=[7.8(h−y+y)+ρ樹脂シート(y−y)]/h ・・・式(3)
=E金属板金属板+E基材樹脂基材樹脂 ・・・式(4)
ρ樹脂シート=ρ金属板金属板+ρ基材樹脂基材樹脂 ・・・式(5)
ここで、E:下面鋼板のヤング率、E:前記金属板を抱埋する樹脂シートのヤング率、E:上面鋼板のヤング率、y:下面鋼板厚、y:y+前記樹脂シート厚、y:中立軸位置、h:y+上面鋼板厚、E金属板:前記金属板のヤング率、E基材樹脂:前記基材樹脂のヤング率、V金属板:前記樹脂シートに占める前記金属板体積比(金属板体積(開孔部除外)/樹脂シート体積)、V基材樹脂:前記樹脂シートに占める基材樹脂体積比である。
好ましい鋼板厚み及び前記樹脂シート厚みは、各々0.2〜2.0mm及び0.4〜3.0mmである。鋼板厚みが0.2mm未満では加工時に表層鋼板が座屈する場合がある。一方、鋼板厚みが2.0mmを超えると、軽量化効果が不十分になり易いし、積層鋼板の曲げ剛性が大き過ぎて加工性が低下し易い。軽量化及び加工性の観点から、鋼板厚みは1.0mm以下が好ましい。また、加工性を改善するために、上層と下層との鋼板厚みを変更することも可能である。例えば、曲げ加工時に曲率が小さく、より厳格な加工性が要求される内周側の鋼板厚みを外周側よりも厚くすることも可能である。
一方、前記樹脂シート厚みが0.4mm未満では、積層鋼板トータルの厚みが稼げないため、軽量性を維持して剛性を大きくすることは困難となる場合がある。また、前記樹脂シート厚みが3.0mmを超えると、積層鋼板自体の剛性が大きくなるため、樹脂シート層(コア層)に加わるせん断変形が大きくなり、加工時にせん断破壊し易い。
さらに、コア層における前記金属板の厚みは、前記樹脂シートに金属板の体積の90%以上を包埋している限り特に制限をしない。したがって、前記金属板厚みが樹脂シート厚みより大きくても良く、実用的には、前記金属板厚みが樹脂シート厚みの1.03〜1.05倍であることが好ましい。金属板厚みを樹脂シート厚みの1.03〜1.05倍にすると、前記金属板を直接表層鋼板に接合することができ、導電性を付与してスポット、アーク等の電気溶接が可能となる。1.03倍未満では、樹脂シートの表面凹凸バラツキにより直接接合しない部位が多数でき、導電性が低下する場合がある。また、1.05倍超では、金属板の開孔部と鋼板と樹脂との隙間である中空部が大き過ぎて、結露等で表層鋼板内面が腐食する場合がある。
また、接着剤層を介して前記樹脂シートを鋼板に積層する場合は、接着層厚みは経済性から、30μm以下が好ましい。また、接着層の効果を十分発揮するためには、接着層の厚さは1μm以上であるのがより好ましい。
包埋する金属板と樹脂基材との体積比は、特に制限するものではないが、包埋した金属板の樹脂シート内の体積占有率(=金属板体積(細孔部除外)/樹脂シート体積)が、3体積%以上、50体積%以下であることが好ましい。3体積%未満では、十分な補強効果が発現し難い。一方、50体積%超では、コア層の加工抵抗が大きくなり、皺が発生し易い。より好ましくは、5体積%以上、20体積%以下である。
本発明の樹脂シート積層鋼板は、公知の鋼板ラミネート方法を適用して製造することが可能である。具体的には、(1)前記金属板と樹脂シートを鋼板間に積層し、常温もしくは加熱して圧着する方法、(2)樹脂シートに前記金属板を圧着等で包埋した後、当該樹脂シートを鋼板間に(1)と同様な方法で積層する方法、(3)Tダイスから押し出した樹脂シートを直接前記金属板に積層し、さらに樹脂シートに鋼板を直接積層する方法等が挙げられる。中でも(1)の製法が、以下の理由で最も好ましい。
・作業性がよく、かつ経済的である。
・鋼板、前記金属板、樹脂シートを一度に圧着して積層するので、加熱しても樹脂シートと前記金属板や鋼板との線膨張率差に起因する収縮ずれを制御し易い。この結果、そりや密着性不良を防止し易い。
製造方法(1)をより具体的に例示すると、鋼板、樹脂シート、金属板、樹脂シート、鋼板の順に積層し、常温もしくは加熱して圧着する。加熱する場合は、樹脂シートと前記金属板や鋼板との密着強度を十分確保するために、基材樹脂の軟化温度(ガラス転移温度もしくは融点)近傍もしくはそれを若干超える温度まで加熱して樹脂を可塑化することが好ましい。さらに、上記の圧着は、バッチ式でも連続式であってもよい。連続式法を例示すると、鋼板及び前記金属板の連続体を加熱炉で所定温度まで加熱した後、もしくは常温で、鋼板、樹脂シート、金属板、樹脂シート、鋼板の順にニップロール圧着部で積層、圧着後に冷却、コイルに巻き取る、あるいは所定の板に切断する等の方法等がある。
また、樹脂シートに発泡体シートを使用する場合は、事前に発泡したシートを積層したり、化学発泡剤(熱分解型発泡剤等)や物理発泡剤(ハロゲン化水素やエーテル化合物等)、COやN等の不活性ガスを含侵した樹脂シートを積層して、圧着時に軟化温度以上に加熱して発泡させても良い。
さらに、接着剤層を樹脂シート/鋼板間に設けて密着力を強化する場合は、樹脂シートに接着剤を塗布した後に積層することが好ましい。この場合、樹脂シートを軟化温度以上に加熱する必要は必ずしも無い。表面粗度は鋼板よりも樹脂シートの方が大きい場合が多いので、均一に接着剤が塗布でき、密着力を強化できる。圧着時の圧力は、樹脂シートの基材樹脂の圧着温度での貯蔵弾性率G’の0.8倍以上、1.5倍以下が好ましい。0.8倍未満では、樹脂シート表面を十分に圧縮変形できず、鋼板/樹脂シート界面でのアンカー効果を十分に発現できない。また、発泡剤含有樹脂シートの場合は、発泡圧力で厚みが変化する場合がある。一方、1.5倍超では、樹脂シートが圧縮変形し、幅方向端部で樹脂漏れを生じる場合がある。
本発明は、金属板を包埋した樹脂シートの両面に鋼板を積層してなる樹脂シート積層鋼板であって、前記金属板が、細孔部を30体積%以上有し、かつ、細孔バーの幅が厚みの0.2倍以上かつ2倍以下である樹脂シート積層鋼板である。細孔部を30体積%以上にすることにより包埋する金属板を軽量化できる。さらに、前記金属板の細孔バーのを細孔部厚みの0.2倍以上かつ2倍以下に制御し、かつ樹脂シートに包埋することにより、樹脂シートと鋼板の密着力を保持しつつ、せん断、圧縮変形に対する耐力を増強し、かつ、樹脂シートの高温クリープ変形を抑止できる。さらに、鋼板の引張破断伸びを前記範囲に制御することにより、前記樹脂シートを積層しても、絞り、張出し等の強加工にも追従することができる。この結果、軽量で剛性が高く、かつ、加工性及び形状安定性に優れ、熱間塗装部材にも好適に適用できる樹脂シート積層鋼板として本発明を好適に使用することが可能である。さらに、樹脂シートの粘弾性効果や断熱機能により、防振、遮音したり、保温性も付与できる。
この結果、本発明の樹脂シート積層鋼板は、自動車や家電、家具、OA機器等の部材用として好適に適用できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(金属板の製造)
パンチング、エキスパンド、プレス加工、ハニカム製造加工により、冷延鋼板(JISG3141、SPCC)、Al箔(3003)、Al板(A1050P−H24 相当)及びSUS箔(SUS304)に表1の細孔部を有する金属板を製造した。なお、ハニカム製法加工では、Al箔、Al板及びSUS箔の上に、表3の接着剤1をプリントロールで条線状に塗布し、所定のサイズに裁断した。この後、条線状接着剤が半ピッチずれるように多数枚数重ね合わせ、250℃、1MPaで2分間加熱硬化させた。当該ブロックを所定厚みに水流ジェットを利用してスライスし、展伸してAl及びSUSハニカムを得た。
Figure 0005553541
(樹脂シートの製造)
ユニチカ製PET(1346P)、東レ製PBT(トレコン1401)、宇部興産製6−ナイロン(1013A)、三井デシュポン製アイオノマー(ハイミラン1702)、JSR製エチレンブテンゴムEBMを原料にTダイス付押し出し機で(押し出し温度230〜250℃)、0.4〜0.7mm厚みのPET、PBT、PET/EBM/アイオノマー=90/10/10(質量比)としたアロイポリマー、ナイロンの各種樹脂シートを作成した。さらに、ホモPP(MFR=1.5g/10分、Tm=159℃)の樹脂シートを同様にして作成した(押し出し温度220℃)。
(発泡シートの製造)
上記のポリエステル系樹脂シート、ナイロン及びPPシートを、20MPa、32℃の超臨界COを含侵した。圧力を解放した後、当該含侵ポリエステル、PPシートを各々260℃、200℃で加熱して発泡させた。加熱後、0℃まで冷却し、気泡の成長を停止させ、発泡シートを得た。含浸時間、加熱時間、冷却速度により発泡率、発泡径を制御し、ポリエステル及び6ナイロンの発泡樹脂シートを得た。樹脂シートの質量とサイズを測定して、比重ρ発泡を算出し、一方、発泡していない同樹脂(気泡のない同樹脂)の質量とサイズを測定して、比重ρ樹脂を算出し、発泡率=(ρ樹脂−ρ発泡)/ρ樹脂として求めた。気泡径は、発泡樹脂シートの断面を走査型電子顕微鏡で観察し、断面顕微鏡像を画像処理で2値化し、円の面積として置き換えた場合の直径である等価円直径の平均値で気泡径を算出した。平均気泡径は、50個の気泡径の平均値とした。また、最隣接気泡間距離も、前記画像を使用して、気泡の中心を結ぶ直線上の気泡周間の距離から最隣接気泡間距離を求めた。
Figure 0005553541
Figure 0005553541
(樹脂シート積層鋼板の製造)
鋼板(TFS、0.18mm、引張り破断伸び35%)、金属板、樹脂シート、鋼板の順に積層し、所定の温度・圧力で加熱圧着した。
なお、鋼板は3%弱アルカリ脱脂剤を使用して脱脂した。さらに表3の接着剤を使用する例では、メチルエチルケトンに溶解してバーコーターで塗布し(30μm)、120℃で2分間乾燥した。PPシート接合には、表2の接着層を設けた。
積層した鋼板を所定温度(ナイロン:250℃、PP:210℃、その他:240℃)、にて、Al製スペーサーをセットして圧着力10kgf/cm(0.98Mpa)で、2分間熱圧着した後、当該鋼板を水槽で冷却して樹脂シート積層鋼板を得た。なお、実施例26では、ノボラック型の発泡フェノール粉体を金属板両表面及び開孔部に散布し、硬化剤及びポリエステル系接着剤を塗布した鋼板間に積層した。この後、Al製スペーサーをセットし、170℃、2.5MPaで10分間加熱圧着し、樹脂シート積層鋼板を得た。
(加工試験及び加工性、形状安定性評価)
上記樹脂シート積層鋼板から125×30mmの試験片を切り出し、エリクセン社製20T総合試験機の角型深絞り実験装置(r=100mm、BHF:2t(ブランクホールドフォース))にてU型ハット曲げ試験片を作成した。断面実態顕微鏡観察によりコア層のせん断破壊の有無、目視観察により皺発生の有無を評価した。また、樹脂シート積層鋼板の総板厚と同じ板厚の鋼板(上記鋼板と同一鋼種、引張り破断伸び35%)を用いて、同一条件で加工した試験片の幅と上記加工片の幅とを比較し、スプリングバックの大きさを次式で評価した(小さいほどスプリングバックが小さい)。
SR=(H鋼板−H樹脂シート積層鋼板)/H鋼板
ここで、SR:スプリングバック率、H樹脂シート積層鋼板:樹脂シート複合鋼板ハット曲げ片の高さ、H鋼板:表層鋼板単体のハット曲げ片の高さである。表層鋼板よりも樹脂シート複合鋼板のスプリングスプリングバックが大きいと、H樹脂シート積層鋼板<H鋼板となり、SRが大きくなる。
さらに、当該加工片を180℃に加熱したオーブンに装入し、同様に上記の式で加工後の加熱形状安定性を評価した。
実施例1〜28と比較例〜4との比較により、本発明の樹脂シート積層鋼板は、積層する前記金属板の開孔凹みの細孔バーが適正領域に制御されているため、ハット曲げ加工しても、コア層がせん断破壊したり、座屈して表層に皺発生しない。さらに、比較例5〜8との比較から、公知の樹脂シートもしくは発泡樹脂シート積層鋼板に比較して、加工時の座屈もなく、かつ形状安定性に優れる。また、比較例9との比較により、前記金属板単体を積層した鋼板よりも、皺発生を抑制できる。これは、本発明の樹脂シート積層鋼板は前記金属板を樹脂に包埋して鋼板に積層しているので、伸長しても前記金属板の幅方向の収縮を樹脂層で抑制していることに起因すると推定される。
Figure 0005553541
Figure 0005553541
また、本発明に係る樹脂シート積層鋼板の制振性能を評価するために、以下のようにして実施例29および比較例10の樹脂シート積層鋼板を作成し、制振特性を比較した。
実施例29では、10×60mmの実施例7の樹脂シート積層鋼板サンプルを作成し、JIS G 0602に準拠して片持ち梁共振法により当該鋼板の制振特性を2次共振周波数での損失係数で評価した。その結果、実施例29の2次共振周波数が125Hzでの損失係数は、0.45であった。
比較例10では、金属板を金属板7から金属板18に変更した以外は、実施例7と全く同一条件で比較例10の樹脂シート積層鋼板を製造し、実施例29と同様にして当該樹脂シート積層鋼板の制振性を評価した。その結果、比較例10の2次共振周波数が130Hzでの損失係数は、0.2であった。
実施例29と比較例10との比較から、本発明の樹脂シート積層鋼板は、本発明の要件を満たさない比較例10の樹脂シート積層鋼板よりも制振性能が優れることがわかる。これは、本発明の樹脂積層鋼板に使用する前記金属板が細孔部を30体積%以上設けているのに対し、比較例10の樹脂シート積層鋼板のコア層に包埋した金属板の細孔部は高々25体積%であり、金属板に包埋される樹脂の体積比が小さく、十分な制振性能を発揮できなかったことに起因すると推定する。
以上のことから、本発明は、軽量で剛性が高く、かつ、制振性能、せん断や曲げ加工性、及び加工後の耐熱形状安定性に優れた樹脂シート積層鋼板を提供できることが明らかとなった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (5)

  1. 金属板を包埋した樹脂シートの両面に鋼板を積層してなる樹脂シート積層鋼板であって、
    前記金属板の表面に形成された複数の細孔部の開孔率が30以上であり、
    前記細孔部間のバーの幅が、当該バーの厚みの0.2倍以上2倍以下であり、
    前記細孔部は、前記金属板を完全に貫通していることを特徴とする、樹脂シート積層鋼板。
  2. 前記バーの幅が、当該バーの厚みの0.6倍以上1.3倍以下であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂シート積層鋼板。
  3. 前記樹脂シートの基材が、ナイロン、ポリエステルまたはこれらの発泡体からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の樹脂シート積層鋼板。
  4. 前記樹脂シートの基材が、最隣接気泡距離が5μm以下である発泡体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂シート積層鋼板。
  5. 前記樹脂シートと前記鋼板との間に、100〜160℃での貯蔵弾性率G’が0.05MPa以上100GPa以下である接着層が積層されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂シート積層鋼板。
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