JP5544875B2 - 複合基板 - Google Patents

複合基板 Download PDF

Info

Publication number
JP5544875B2
JP5544875B2 JP2009295600A JP2009295600A JP5544875B2 JP 5544875 B2 JP5544875 B2 JP 5544875B2 JP 2009295600 A JP2009295600 A JP 2009295600A JP 2009295600 A JP2009295600 A JP 2009295600A JP 5544875 B2 JP5544875 B2 JP 5544875B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
compound semiconductor
nitride
nitride compound
composite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009295600A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011135019A (ja
Inventor
昭広 八郷
史隆 佐藤
洋子 前田
成二 中畑
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2009295600A priority Critical patent/JP5544875B2/ja
Publication of JP2011135019A publication Critical patent/JP2011135019A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5544875B2 publication Critical patent/JP5544875B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、窒化物系化合物半導体からなる第1の基板と、該第1の基板を構成する窒化物系化合物半導体以外の物質からなる第2の基板とを貼り合わせてなるエピタキシャル層成長用の複合基板に関する。
窒化物系化合物半導体を用いた発光デバイス等の半導体デバイス(以下単に「デバイス」とも記す)は、種々の方法で形成されている。一般的には、熱膨張係数が近い異種の材料(たとえばSi、SiC、サファイア等)からなる基板上に窒化物系化合物半導体層を分子線エピタキシー法(MBE法)、有機金属気相成長法(MOCVD法)等で形成したり、窒化物系化合物半導体バルク基板上に窒化物系化合物半導体層を形成したりすることにより作製される。いずれにせよ、これらのデバイスは、基板上にエピタキシャル層を成長させることにより作製されるのが一般的である。
上記の作製方法のうち前者の方法は、窒化物系化合物半導体とは異なった素材の基板を用いるため、両素材間における熱膨張係数の差や格子不整合などに起因して該基板に応力が発生し、基板やデバイスの反りによるデバイス特性の劣化が生じたり、半導体層の剥離や転位密度の増加等が発生しデバイス特性に悪影響を及ぼすことがある。一方、上記の作製方法のうち後者の方法は、バルク基板と半導体層間で熱膨張係数や格子整合性が同程度であるため、良好なデバイス特性を示すが、窒化物系化合物半導体バルク基板は非常に高価であることからそれがデバイス価格に反映されてしまうという問題があった。
そこで、窒化物系化合物半導体バルク基板を用いた場合には、良好なデバイス特性が得られるにもかかわらずその価格が高価になるという理由から、窒化物系化合物半導体層形成用(すなわちエピタキシャル層成長用)の安価な基板の開発が種々検討されている。
たとえば、窒化物系化合物半導体で構成されるバルク基板の厚みを薄くすれば該基板の価格を低減できるものの、割れやすいという不都合を伴う。このため、窒化物系化合物半導体とは別の物質からなる基板に窒化物系化合物半導体を薄く接合することにより得られる複合基板が注目されている。
この場合、窒化物系化合物半導体自体を薄く形成した後これを別の基板に接合するか、あるいはあらかじめ剥離しやすいように窒化物系化合物半導体中に脆弱領域を形成し、この脆弱領域を形成した窒化物系化合物半導体を別の基板に貼り合わせることにより窒化物系化合物半導体とその別の基板とを一体化させた後、この脆弱領域を境として窒化物系化合物半導体を別の基板から分離することにより、その残部の薄い窒化物系化合物半導体が別の基板上に形成された複合基板を得ることが提案されている(たとえば特許文献1)。
特開2006−210660号公報
窒化物系化合物半導体中に脆弱領域を形成し、この脆弱領域を形成した窒化物系化合物半導体を別の基板に貼り合わせることにより窒化物系化合物半導体とその別の基板とを一体化させた後、この脆弱領域を境として窒化物系化合物半導体を別の基板から分離することにより、その残部の薄い窒化物系化合物半導体を別の基板上に形成する方法(単に「貼り合わせ技術」とも記す)により形成された窒化物系化合物半導体の複合基板(このような貼り合わせ技術により製造された基板を「貼り合わせてなる」複合基板とも記す)は、その窒化物系化合物半導体側の表面上にエピタキシャル層を成長させることにより、発光デバイス等の種々のデバイスが作製される。
しかしながら、このようにして作製されるデバイスは、エピタキシャル層が成長する側に位置する窒化物系化合物半導体の状態(品質)がエピタキシャル層の特性やデバイス特性に大きく影響する。
このため、上記のような「貼り合わせてなる」複合基板において、その窒化物系化合物半導体の状態を制御することが重要となるが、未だその状態を十分に制御した複合基板は提供されていない。
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、優れたエピタキシャル層の特性やデバイス特性を得ることができるように窒化物系化合物半導体の状態が制御された複合基板を提供することにある。
本発明の複合基板は、窒化物系化合物半導体からなる第1の基板と、該第1の基板を構成する窒化物系化合物半導体以外の物質からなる第2の基板とを貼り合わせてなるエピタキシャル層成長用の複合基板であって、該窒化物系化合物半導体は、六方晶の結晶構造を有し、該第1の基板に対して<0001>方向からレーザ光を入射させることにより後方散乱配置Z(X,X)−Z+Z(X,Y)−Zにて得られるバックグラウンドを除いたラマン散乱スペクトルのE2 Hモードのピーク強度をI1とし、370cm-1±15cm-1または670cm-1±15cm-1のピーク強度をI2とする場合、下記式(I)を満たすことを特徴とする。
0≦I2/I1≦0.35 ・・・(I)
また、本発明に係る別の複合基板は、窒化物系化合物半導体からなる第1の基板と、該第1の基板を構成する窒化物系化合物半導体以外の物質からなる第2の基板とを貼り合わせてなるエピタキシャル層成長用の複合基板であって、該窒化物系化合物半導体は、六方晶の結晶構造を有し、該第1の基板に対して<0001>方向からレーザ光を入射させることにより後方散乱配置Z(X,X)−Z+Z(X,Y)−Zにて得られるバックグラウンドを除いたラマン散乱スペクトルのE2 Hモードのピーク強度をI3とし、A1(LO)モードのピーク強度をI4とする場合、下記式(II)を満たすことを特徴とする。
0<I4/I3≦0.85 ・・・(II)
ここで、上記窒化物系化合物半導体は、その90質量%以上が窒化ガリウムであることが好ましい。
本発明の複合基板は、上記のような構成を有することにより、優れたエピタキシャル層の特性やデバイス特性を得ることができるように窒化物系化合物半導体の状態が制御されたものである。
本発明の複合基板を用いた半導体デバイスの断面図である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の複合基板は、エピタキシャル層成長用のものであって、窒化物系化合物半導体からなる第1の基板上にエピタキシャル層が形成される。そして、前述の通り、このエピタキシャル層の特性およびデバイス特性は、この第1の基板である窒化物系化合物半導体の状態(結晶性)に大きく依存するため、窒化物系化合物半導体の状態を制御することが必要となる。しかし、第1の基板の厚みは通常数十nm〜数十μmというように極めて薄いため、その状態を評価すること自体が非常に困難であったことから、その状態の制御も極めて困難なものであった。
本発明者は、この問題を克服するために鋭意研究を重ねたところ、ラマン分光法(ラマン散乱)を用いることにより複合基板中の窒化物系化合物半導体の状態の評価を行なうことができるのではないかという知見を得、さらにこの知見に基づき検討を重ねることにより、ついに本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、複合基板中の第1の基板である窒化物系化合物半導体の状態をラマン分光法により解析することによって、窒化物系化合物半導体の結晶性を判断し、かつその判断に基づき良好な結晶性を有するものを選択することにより、結果的にエピタキシャル層の特性やデバイス特性を極めて良好なものとすることに成功したものである。
すなわち、本発明の複合基板は、窒化物系化合物半導体からなる第1の基板と、該第1の基板を構成する窒化物系化合物半導体以外の物質からなる第2の基板とを貼り合わせてなるエピタキシャル層成長用の複合基板であって、該窒化物系化合物半導体は、六方晶の結晶構造を有し、該第1の基板に対して<0001>方向からレーザ光を入射させることにより後方散乱配置Z(X,X)−Z+Z(X,Y)−Zにて得られるバックグラウンドを除いたラマン散乱スペクトルのE2 Hモードのピーク強度をI1とし、370cm-1±15cm-1または670cm-1±15cm-1のピーク強度をI2とする場合、下記式(I)を満たすことを特徴とする。
0≦I2/I1≦0.35 ・・・(I)
ここで、上記E2 Hモードのピークは、窒化物系化合物半導体が有する固有のピークであるのに対して、370cm-1±15cm-1または670cm-1±15cm-1のピークは、第1の基板である窒化物系化合物半導体と第2の基板とを貼り合わせた場合に生じる窒化物系化合物半導体の特有のピークであり、この後者のピークが特に窒化物系化合物半導体の結晶性と相関する。本発明は、上記のピーク強度I1とI2の比I2/I1が上記式(I)の関係を満たす場合、窒化物系化合物半導体の結晶性が極めて良好となることを見出したものであり、その結果として窒化物系化合物半導体上に形成されるエピタキシャル層の特性やデバイス特性を良好なものとすることに成功したものである。上記I2/I1は、0.2以下であることがより好ましく、0.15以下であることがさらに好ましい。一方、I2/I1が0.35を超えると、窒化物系化合物半導体の結晶性が劣化する。
一方、本発明の別の複合基板は、窒化物系化合物半導体からなる第1の基板と、該第1の基板を構成する窒化物系化合物半導体以外の物質からなる第2の基板とを貼り合わせてなるエピタキシャル層成長用の複合基板であって、該窒化物系化合物半導体は、六方晶の結晶構造を有し、該第1の基板に対して<0001>方向からレーザ光を入射させることにより後方散乱配置Z(X,X)−Z+Z(X,Y)−Zにて得られるバックグラウンドを除いたラマン散乱スペクトルのE2 Hモードのピーク強度をI3とし、A1(LO)モードのピーク強度をI4とする場合、下記式(II)を満たすことを特徴とする。
0<I4/I3≦0.85 ・・・(II)
ここで、上記E2 Hモードのピークは、既に述べたように窒化物系化合物半導体が有する固有のピークであり、C軸に直角な面内で原子変位するのに対して、A1(LO)モードのピークは、C軸の向きに原子変位する窒化物系化合物半導体が有する固有のピークであり、この後者のピークが特に窒化物系化合物半導体の結晶性と強く相関する。本発明は、上記のピーク強度I3とI4の比I4/I3が上記式(II)の関係を満たす場合、窒化物系化合物半導体の結晶性が極めて良好となることを見出したものであり、その結果として窒化物系化合物半導体上に形成されるエピタキシャル層の特性やデバイス特性を良好なものとすることに成功したものである。
なお、本発明において、第1の基板に対して<0001>方向からレーザ光を入射させる理由は、本発明が対象とする窒化物系化合物半導体は六方晶の結晶構造を有することから(0001)面にエピタキシャル層を成長させることが有利であり、その(0001)面の状態を判断するのに有効であるためである。また、後方散乱配置としてZ(X,X)−Z+Z(X,Y)−Zを採用する理由は、(0001)面成長ではラマン散乱スペクトルのE2 Hモードが検出しやすくなるためである。
なお、第1の基板に対するラマン分光法による評価が第1の基板の厚みが薄いために第2の基板の影響を受ける場合は、第2の基板のみのラマン分光法による評価をまず行ない、次に複合基板表面(すなわち第1の基板側)からのラマン分光法による評価を行なうことにより、第2の基板から得られる情報(ピーク)と第1の基板から得られる情報(ピーク)とを分離する必要がある。特に、第1の基板のピークと第2の基板のピークとが近接している場合には、上記のような操作を行なうことが必須となる。このような操作は、第2の基板のみのラマン分光法により得られたスペクトルと複合基板表面のラマン分光法により得られたスペクトルの差を求めることにより実行することができる。
なお、本発明において「バックグラウンドを除いた」ラマン散乱スペクトルとは、バックグラウンド処理されたラマン散乱スペクトルをいい、このようなバックグラウンド処理としては、たとえばラマン散乱スペクトルを得た後に、目的とするラマンシフト以外の領域の信号レベルを線形でつなぐ線形近似することによりラマンシフトのピークからそのシフトのバックグラウンドを差し引く方法や、目的とするラマンシフト以外の領域の信号レベルを多項式で漸近させることによりラマンシフトのピークからその漸近させたピークを差し引く方法等を挙げることができる。
なお、本発明の複合基板は、上記の式(I)および式(II)の両者を満たすものであってもよい。
ここで、本発明の複合基板は、以下のような方法により作製することができる。
まず、本発明で用いる第1の基板を構成する窒化物系化合物半導体としては、特に限定されるものではなく、六方晶の結晶構造を有する限り従来公知の窒化物系化合物半導体をいずれも用いることができる。本発明において、窒化物系化合物半導体として六方晶の結晶構造を有するものを採用する理由は、六方晶の結晶構造は安定して形成することができるとともに、デバイス形成のためのエピタキシャル層の成長で用いられるMOCVD法で良好な品質が得られるためである。
本発明の窒化物系化合物半導体としては、たとえばGaN、AlGaN、InGaN、AlN、InN等を挙げることができ、これらを各単独で、あるいは2種以上のものを組み合わせて用いることができる。しかしながら、結晶性が良好で、既にバルク基板が製造販売され入手しやすいという観点から、このような窒化物系化合物半導体は、その90質量%以上が窒化ガリウムで構成することが好ましい。
なお、第1の基板の厚みは、50nm〜50μmとすることが好ましく、100nm〜2μmとすることがより好ましい。これは、50nm以下の場合、エピタキシャル層を成長させるための第1の基板の表面の加工が難しくなるためであり、50μmを超えるとイオン照射やプラズマ照射で脆弱領域を形成し剥離させることが難しくなるためである。
また、窒化物系化合物半導体からなる第1の基板を貼り合わせる第2の基板は、該第1の基板を構成する窒化物系化合物半導体以外の物質からなるものであれば特に限定することなく用いることができる。しかし、第1の基板との貼り合わせは高温下で形成されることが多く、またアンモニアや水素等のガス雰囲気にさらされることから、これらの条件に耐えられる材料を選択することがより好ましい。また、このような第2の基板は、第1の基板との貼り合わせ後に、900℃以上の高温でエピタキシャル層を成長させるため、その際に基板が割れることを防止するために第1の基板と第2の基板とは熱膨張係数の近いものを用いることが好ましい。なおまた、このような第2の基板は、第1の基板に比し安価であることが好ましい。
以上の諸点を考慮すると、このような第2の基板としては、たとえば、サファイア、Si等の単結晶や、AlN、Al23などの単結晶や多結晶、金属基板等を挙げることができる。なお、このような第2の基板は、第1の基板を保持できる程度の硬さまたは厚みを有している限り、その形状や物性は限定されないが、その厚みとしては、50μm程度以上の厚みを有するものを用いることが好ましい。
また、本発明において、複合基板上に成長させられるエピタキシャル層としては、各種半導体デバイスの構成層として知られる従来公知の組成のものを特に限定することなく採用することができる。しかしながら、活性層を安定して成長できるとともに、成長速度が速く良好な膜質が得られるという観点から、このようなエピタキシャル層としては、MOCVD法で形成したものが好ましい。
そして、第1の基板と第2の基板との貼り合わせは、次のようにして行なうことができる。すなわち、まず第1の基板を準備する。これは、第1の基板を構成することになる窒化物系化合物半導体のバルク基板(貼り合わせやハンドリングで破壊しない厚みを有する基板)を実質的に準備することになる。そして、このバルク基板に対して、イオン照射やプラズマ照射等を行なうことによりバルク基板の内部に脆弱領域を形成する。なお、この脆弱領域は、熱を加えたり力を加えたりすることにより後の工程で分離(剥離)される領域であり、イオン照射等を行うことによりバルク基板から薄い厚みの基板を分離する一連の操作はイオンカットプロセスと呼ばれることがある。
次いで、上記のように脆弱領域を形成したバルク基板(第1の基板)を第2の基板と貼り合わせる。たとえば、バルク基板と第2の基板の各貼り合わせる面をそれぞれ鏡面となるように処理し、続いてその鏡面部分を対向させて荷重を加えながら加熱することによりバルク基板と第2の基板とを貼り合わせることができる。
上記のような方法以外にも、たとえばプラズマ中にバルク基板と第2の基板とを曝すことにより貼り合わせる方法や、真空中でプラズマ、イオン、中性粒子等を作用させることによりバルク基板と第2の基板の表面の反応を促進させて貼り合わせる方法等がある。また、バルク基板と第2の基板との貼り合わせ界面に金属を介在させた後、加熱することにより貼り合わせを行なう共晶接合法や、バルク基板と第2の基板との貼り合わせ界面にイオンが移動しやすい材料を介在させて貼り合わせを行なう方法等、バルク基板と第2の基板とが貼り合わせの界面付近以外はそれ自身の特性を保持できるような貼り合わせ方法ならばいずれの方法も使用することができる。
このようにバルク基板(第1基板)と第2基板とを貼り合わせる方法は、種々の方法を採用し得るが、特に以下のような方法を採用することが好ましい。まず、上記の脆弱領域の形成においてはイオン照射を採用する。具体的には、窒化物系化合物半導体からなるバルク基板のN面を研磨し、その面に水素、ヘリウム、窒素、Ar等のイオンを注入する。
次いで、このバルク基板のN面側に第2の基板を貼り合わせ、熱処理したり、力を加えたり、光を照射したりすることにより、上記脆弱領域において第2の基板上に第1の基板を残すようにしてバルク基板を分離すれば、本発明の複合基板を得ることができる。このような本発明の複合基板においては、第1の基板の表面(第2の基板と貼り合わせる側とは反対側の面)を、ウェハ面となる(0001)面として構成することができる。
なお、第1の基板の窒化物系化合物半導体の結晶性の回復(すなわち優れた結晶性を得ること)は、脆弱領域の形成(イオン注入)、貼り合わせ、および分離操作で生じたダメージを、分離操作後に熱エネルギーを加えてアニールを行なうこと、機械的または化学的にダメージを除去すること、あるいはそれらを複合化して行なうこと等で達成できる。特に、エッチングで表面のダメージ層を除去し、熱エネルギーを加えてアニールを行なうという条件を採用することにより、上記のような特性を有する本発明の複合基板を極めて効率的に作製することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<複合基板の準備>
まず、窒化物系化合物半導体のバルク基板として、酸素をドーピングした直径φ48mmのGaNウェハ(厚み500μm)を用い、このGaNウェハの両面を研磨することにより両面が鏡面化されたバルク基板を準備した。このバルク基板を構成する窒化物系化合物半導体(GaN)は、六方晶の結晶構造を有し、(0001)面がウェハ面であり、比抵抗は1オーム・cm以下、キャリア濃度は1×1017cm-3以上であった。
次いで、このバルク基板のN面に水素イオンを照射(注入)することにより、深さ約300〜500nmの領域に脆弱領域を形成した。照射条件は、加速電圧を60keVとし、ドーズ量は6×1017/cm2で行なった。その後、この照射面を洗浄し、続いてこのバルク基板をドライエッチング装置に入れることにより、Arガス中でバルク基板のN面に対して放電させることによりプラズマでそのN面をさらに清浄化した。
一方、直径φ2インチの(100)Siウェハ(厚み400μm)に対して、その表面を熱酸化することにより100nm厚みのSiO2を形成したSiO2/Si基板を第2の基板として準備した。この第2の基板をArガス中で放電させその表面をプラズマ処理した。
そして、大気中で上記のバルク基板のN面と第2の基板のSiO2形成面とを対向させて貼り合わせ、これをドライエッチングチャンバーに入れ、Arガスを導入した(RFパワー:100W、Ar流量:50sccm、圧力:6.7Pa)。
以上の操作で、バルク基板と第2の基板とは貼り合わされるが、接着強度が弱いため、引き続き窒素中でこれを300℃で2時間加熱することにより両者の接着強度を高めた後、第2の基板上に第1の基板が残るようにして上記バルク基板を分離することにより複合基板を準備した。得られた複合基板における第1の基板の厚みは約400nmであった。
<複合基板サンプルの作製>
以上の準備操作により、1枚の複合基板を準備した(便宜上、以下この1枚の複合基板を複合基板Aと呼ぶものとする)。
まず、複合基板Aをダイシングにより6分割した(便宜上、以下この6枚の分割基板をそれぞれ複合基板A1〜A6と呼ぶものとする)。
そして、複合基板A2、複合基板A3、複合基板A4、複合基板A5、および複合基板A6に対して、エッチング(反応性イオンエッチング(RIE)による、塩素を含むハロゲンガスでRFパワー50Wの条件のドライエッチング)で剥離部分(バルク基板を分離した部分)のダメージ層を除去した後、窒素雰囲気中で、それぞれ600℃、700℃、900℃、1000℃、1200℃の温度で10分間のアニール処理を行なった。ただし1000℃以上のものについては、窒素雰囲気に代えて窒素とアンモニアとの混合ガス雰囲気中で10分間のアニール処理を行なった。
これに対して、複合基板A1に対してはこのようなドライエッチングおよびアニール処理を行なわなかった。
続いて、これらの複合基板A1〜A6に対してラマン分光法による評価を行なった。具体的には、各複合基板の第1の基板に対して<0001>方向から波長452nmのレーザ光を入射させ、その方向をZ方向として後方散乱配置Z(X,X)−Z+Z(X,Y)−Zのラマン散乱スペクトルを測定した。一方、第2の基板のみに対しても上記と同じレーザ光を入射させ、バックグラウンド処理を行なった。このようにして、各複合基板についてピーク強度I1、I2、I3、I4(I1とI3とは実質的に同じピークである)を得た。
以上のようにして得られたラマン散乱スペクトルのピーク強度比を表1に示す。
Figure 0005544875
表1中、I2/I1の欄に記載されているカッコ内の数値は、ピーク強度I2の位置(単位:cm-1)を示している。
<デバイスの作製>
図1に基づき説明する。まず、SiO2/Si基板である第2の基板2とGaN薄膜からなる第1の基板1とを上記のように貼り合わせてなる複合基板A1〜A6のそれぞれの第1の基板1上に、MOCVD法によりIII族窒化物半導体からなるエピタキシャル層を形成した。このエピタキシャル層は、厚さ2μmのn型GaN層3、厚さ0.5μmのn型Al0.05Ga0.95N層4、6対のIn0.2Ga0.8N層とAl0.01Ga0.99N層とで構成される多重量子井戸構造を有する厚さ100nmの発光層5、厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8N層6および厚さ0.15μmのp型GaN層7からなる(図1における各層の厚みは模式的なものであって実際の厚みを反映していない)。
次に、ドライエッチングによりn型GaN層3の一部を残す様にして他のエピタキシャル層を除去した後、真空蒸着法または電子ビーム蒸着法により、p型GaN層7上にp側電極8を形成し、n型GaN層3(他のエピタキシャル層が除去された部分)上にn側電極9を形成することにより、図1に示した半導体デバイス10であるLEDを得た。
得られたLEDについて、ピーク波長450nmにおけるEL発光強度を測定した。その結果を表1に示す。すなわち、表1中の「デバイス評価」には、複合基板A1を用いたLEDに対する他の各複合基板を用いたLEDのEL発光強度比が示されている。
そしてI2/I1が0.35以下、I4/I3が0.85以下である実施例の複合基板A3、A4、A5、A6上のLEDは、ドライエッチングによりダメージ層を除去せず、アニールを行わなかった比較例の複合基板A1およびI2/I1、I4/I3が上記数値範囲外となる比較例の複合基板A2と比べ、発光層からのEL強度が1.5倍以上になり、高いデバイス特性を示すことがわかった。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 第1の基板、2 第2の基板、3 n型GaN層、4 n型Al0.05Ga0.95N、5 発光層、6 p型Al0.2Ga0.8N層、7 p型GaN層、8 p側電極、9 n側電極、10 半導体デバイス。

Claims (3)

  1. 窒化物系化合物半導体からなる第1の基板と、該第1の基板を構成する窒化物系化合物半導体以外の物質からなる第2の基板とをイオンカットプロセスにより貼り合わせてなるエピタキシャル層成長用の複合基板であって、
    前記窒化物系化合物半導体は、六方晶の結晶構造を有し、
    前記第1の基板に対して<0001>方向からレーザ光を入射させることにより後方散乱配置Z(X,X)−Z+Z(X,Y)−Zにて得られるバックグラウンドを除いたラマン散乱スペクトルのE2 Hモードのピーク強度をI1とし、370cm-1±15cm-1または670cm-1±15cm-1のピーク強度をI2とする場合、下記式(I)を満たす、複合基板。
    0≦I2/I1≦0.35 ・・・(I)
  2. 窒化物系化合物半導体からなる第1の基板と、該第1の基板を構成する窒化物系化合物半導体以外の物質からなる第2の基板とをイオンカットプロセスにより貼り合わせてなるエピタキシャル層成長用の複合基板であって、
    前記窒化物系化合物半導体は、六方晶の結晶構造を有し、
    前記第1の基板に対して<0001>方向からレーザ光を入射させることにより後方散乱配置Z(X,X)−Z+Z(X,Y)−Zにて得られるバックグラウンドを除いたラマン散乱スペクトルのE2 Hモードのピーク強度をI3とし、A1(LO)モードのピーク強
    度をI4とする場合、下記式(II)を満たす、複合基板。
    0<I4/I3≦0.85 ・・・(II)
  3. 前記窒化物系化合物半導体は、その90質量%以上が窒化ガリウムである、請求項1または2に記載の複合基板。
JP2009295600A 2009-12-25 2009-12-25 複合基板 Active JP5544875B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009295600A JP5544875B2 (ja) 2009-12-25 2009-12-25 複合基板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009295600A JP5544875B2 (ja) 2009-12-25 2009-12-25 複合基板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011135019A JP2011135019A (ja) 2011-07-07
JP5544875B2 true JP5544875B2 (ja) 2014-07-09

Family

ID=44347393

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009295600A Active JP5544875B2 (ja) 2009-12-25 2009-12-25 複合基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5544875B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6405767B2 (ja) * 2014-07-24 2018-10-17 住友電気工業株式会社 窒化ガリウム基板

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4618836B2 (ja) * 2000-01-04 2011-01-26 シャープ株式会社 窒化物系化合物半導体基板およびその製造方法
FR2920589B1 (fr) * 2007-09-04 2010-12-03 Soitec Silicon On Insulator "procede d'obtention d'un substrat hybride comprenant au moins une couche d'un materiau nitrure"
JP4631946B2 (ja) * 2008-08-11 2011-02-16 住友電気工業株式会社 Iii族窒化物半導体層貼り合わせ基板の製造方法
JP2010192872A (ja) * 2009-01-23 2010-09-02 Sumitomo Electric Ind Ltd 半導体基板の製造方法、半導体デバイスの製造方法、半導体基板および半導体デバイス
JP2010232609A (ja) * 2009-03-30 2010-10-14 Hitachi Cable Ltd Iii族窒化物半導体複合基板、iii族窒化物半導体基板、及びiii族窒化物半導体複合基板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011135019A (ja) 2011-07-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4458116B2 (ja) エピタキシャル層成長用iii族窒化物半導体層貼り合わせ基板および半導体デバイス
JP4631946B2 (ja) Iii族窒化物半導体層貼り合わせ基板の製造方法
JP5765037B2 (ja) 複合基板の製造方法
JP5003033B2 (ja) GaN薄膜貼り合わせ基板およびその製造方法、ならびにGaN系半導体デバイスおよびその製造方法
JP4225510B2 (ja) 化合物半導体発光ダイオードおよびその製造方法
US10186451B2 (en) Group III nitride composite substrate and method for manufacturing the same, and method for manufacturing group III nitride semiconductor device
JP5128335B2 (ja) GaN系半導体基板、その製造方法および半導体素子
WO2010089928A1 (ja) GaN基板およびその製造方法、GaN層接合基板の製造方法、ならびに半導体デバイスの製造方法
TW201413783A (zh) 碳化矽紋層
JP5879964B2 (ja) 複合基板の製造方法および半導体デバイスの製造方法
JP2011061084A (ja) 貼り合わせ基板の製造方法
JP2010226023A (ja) 窒化物系化合物半導体層を支持基板上に有する基板生産物を製造する方法、及び半導体デバイスの製造方法
JP5544875B2 (ja) 複合基板
JP2009260391A (ja) Iii族窒化物半導体層貼り合わせ基板および半導体デバイスの製造方法
JP2010263043A (ja) Iii族窒化物半導体層貼り合わせ基板およびその製造方法、ならびにiii族窒化物半導体デバイス
JP5598321B2 (ja) 半導体デバイスの製造方法
JP2011176322A (ja) GaN基板およびその製造方法、GaN層接合基板の製造方法、ならびに半導体デバイスの製造方法
JP2010199316A (ja) 基板の製造方法および基板
JP5727677B2 (ja) オプトエレクトロニクス部品の製造方法
JP2010287731A (ja) 基板生産物の製造方法、基板生産物、及び半導体デバイス
JP2008117799A (ja) 半導体基板の処理方法、半導体装置の製造方法、及びZnO基板
JP2011044665A (ja) Iii族窒化物半導体層接合基板およびiii族窒化物半導体デバイスの製造方法
JP5547989B2 (ja) ZnO系半導体素子の製造方法
JP6146041B2 (ja) Iii族窒化物複合基板および積層iii族窒化物複合基板、ならびにiii族窒化物半導体デバイスおよびその製造方法
JP2010192698A (ja) イオン注入iii族窒化物半導体基板、iii族窒化物半導体層接合基板およびiii族窒化物半導体デバイスの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140318

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140415

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140428

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5544875

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250