JP6146041B2 - Iii族窒化物複合基板および積層iii族窒化物複合基板、ならびにiii族窒化物半導体デバイスおよびその製造方法 - Google Patents
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図1を参照して、実施形態1であるIII族窒化物複合基板1を説明する。III族窒化物複合基板1は、支持基板11と、厚さが50nm以上10μm未満のIII族窒化物膜13と、が貼り合わされた直径が75mm以上の基板である。III族窒化物複合基板1は、支持基板11とIII族窒化物膜13との間に介在して、支持基板11とIII族窒化物膜13とを接合する接合膜12を備えている。そして、接合膜12は、厚さ分布が2%以上40%以下であることを特徴とする。
III族窒化物複合基板1の直径は、1枚の複合基板から半導体デバイスのチップの取れ数を多くする観点から、75mm以上であり、100mm以上が好ましく、125mm以上がより好ましく、150mm以上がさらに好ましい。また、III族窒化物複合基板1の直径は、複合基板の反りを低減し半導体デバイスの歩留を高くする観点から、300mm以下が好ましく、200mm以下がより好ましい。
(接合膜)
本実施形態の接合膜12は、支持基板11の接合面およびIII族窒化物膜13の接合面の凹凸を吸収、緩和して支持基板11とIII族窒化物膜13との接合強度を高める機能を有する。
本実施の形態において、接合膜12の厚さ分布は2%以上40%以下である。ここで、「厚さ分布」とは、接合膜12の厚みの均一性を示す指標であり、接合膜12の主面の面内全域に亘って測定された厚さのうち、「厚さの最大値tmax」と「厚さの最小値tmin」とから次式により算出された値である。
ここで、接合膜の厚さの基準面は、たとえば、支持基板11の主面11mとすることができる。また、厚さの測定点は少なくとも13点とすることが好ましく、隣接する各測定点の間隔は略均等間隔であることが好ましい。
本実施形態において、接合膜12によって接合された支持基板11とIII族窒化物膜13とのせん断接合強度は4MPa以上40MPa以下である。せん断接合強度が該範囲を占めることにより、半導体デバイスの製造工程おいて、基板剥離が発生することなく、基板の反りも緩和されるため、半導体デバイスの製造歩留まりが顕著に向上する。かかるせん断接合強度は、より好ましくは10MPa以上30MPa以下である。この場合、基板の反りを緩和させる効果がより一層高まる傾向にあるため好適である。せん断接合強度が4MPa未満の場合には、接合強度が十分ではなく、エピタキシャル成長時に、基板を搭載するサセプタからの熱伝導に起因する基板の変形により、基板剥離が発生し、半導体デバイスの製造歩留まりが低下する。せん断接合強度が40MPaを超える場合には、接合膜12に加わる応力が大きくなり、基板の反りが促進される傾向にあり、半導体デバイスの製造歩留まりが低下する。
形成した後、支持基板11とIII族窒化物膜13とをそれぞれアニール処理し、アニール処理後の支持基板11とIII族窒化物膜13とを、接合膜を介して接合した後、再度アニール処理を行なう方法が好適である。
本実施形態のIII族窒化物複合基板1は、上記のように、支持基板11とIII族窒化物膜13とのせん断接合強度が4MPa以上40MPa以下であるとともに、支持基板11とIII族窒化物膜13との接合面積率が60%以上98%以下であることを要する。このように、2つの観点から、支持基板11とIII族窒化物膜13との関係を規定したことにより、本実施形態のIII族窒化物複合基板1は、エピタキシャル成長時の基板の反りを顕著に低減し、平坦性が高く良質なエピタキシャル層を成長させることができる。また、これにより、半導体デバイスの製造工程において、基板剥離の発生頻度が極めて低く、半導体デバイスの製造歩留まりが高いという優れた効果を有する。接合面積率が60%未満である場合には、エピタキシャル成長工程および半導体デバイス製造工程において、基板剥離の発生頻度が高く、半導体デバイスの製造歩留まりが低下する。接合面積率が98%を超える場合には、接合膜12に加わる応力が大きくなり、基板に反りが生じやすくなるため、この場合にも半導体デバイスの製造歩留まりが低下する。
支持基板11は、III族窒化物膜13を支持できるものであれば特に制限はないが、高価なIII族窒化物の使用量を低減してコストを低減する観点から、III族窒化物と化学組成が異なる異組成基板であることが好ましい。支持基板11は透明であっても、不透明であっても良く、利用される半導体デバイスに応じて適宜選択することができる。
支持基板11の熱伝導率λsは、3W・m-1・K-1以上280W・m-1・K-1以下が好ましく、5W・m-1・K-1以上210W・m-1・K-1以下がより好ましく、10W・m-1・K-1以上120W・m-1・K-1以下がさらに好ましい。ここで、支持基板11の熱伝導率λsは、レーザフラッシュ法により測定することができる。熱伝導率λsが好ましくは3W・m-1・K-1以上、より好ましくは5W・m-1・K-1以上、さらに好ましくは10W・m-1・K-1以上である支持基板11を有するIII族窒化物複合基板1は、III族窒化物層を成長させる際にサセプタの主面からの熱を効率よくIII族窒化物複合基板1のIII族窒化物膜13の主面13mに伝えることができる。熱伝導率λsが好ましくは280W・m-1・K-1以下、より好ましくは210W・m-1・K-1以下、さらに好ましくは120W・m-1・K-1以下である支持基板11を有するIII族窒化物複合基板1は、III族窒化物層を成長させる際にサセプタの主面からの熱をIII族窒化物複合基板1のIII族窒化物膜13の主面の全体に均一に伝えることができる。熱伝導率λsが280W・m-1・K-1以下の支持基板11は、熱伝導率λsが約300W・m-1・K-1のSiC基板を支持基板として用いる場合よりも、III族窒化物層を成長させる際にサセプタの主面からの熱をIII族窒化物複合基板1のIII族窒化物膜13の主面の全体に均一に伝えることができる。なお、支持基板11の熱伝導率は、III族窒化物膜13の熱伝導率と異なっていても良い。
支持基板11は、割れ難い基板であることが好ましい。そして、支持基板11の熱膨張係数は、III族窒化物膜13の熱膨張係数と近似していることが好ましい。支持基板11がこのような性質を有することにより、III族窒化物複合基板1が、エピタキシャル成長工程、半導体デバイス製造工程などで加熱されても、III族窒化物膜13が割れ難くなるため好適である。
支持基板11の厚さ自体は特に制限されないが、加熱時にIII族窒化物膜13の反りや割れなどを抑制するという観点から、III族窒化物膜13の厚さとの間で、次のような関係を満たすことが好ましい。すなわち、支持基板11の厚さtSに対するIII族窒化物膜13の厚さtIII-Nの比tIII-N/tSは、0.0002以上0.02以下であることが好ましい。ここで、上記の熱膨張係数の比αIII-N/αSが0.75以上1.25以下であり、かつ厚さの比tIII-N/tSが0.0002以上0.02以下であることにより、複合基板の製造工程、エピタキシャル成長工程、半導体デバイス製造工程などのあらゆる場面において、III族窒化物膜13の反りや割れなどに起因する不良の発生を大幅に低減することができる。なお、厚さの比tIII-N/tSは、より好ましくは、0.0005以上0.02以下である。
支持基板11のヤング率Esは、III族窒化物複合基板1が加熱された際の反りの発生を抑制するとの観点から、ESが150GPa以上500GPa以下であることが好ましい。ESが150GPa未満であると加熱時に反りが発生しやすい傾向にあり、ESが500GPaを超えると加熱時に割れやクラックが発生しやすい傾向にあるため好ましくない。ここで、ESのより好ましい範囲は、200GPa以上350GPa以下である。なお、支持基板11のヤング率は、III族窒化物膜13と異なっていても良い。
III族窒化物膜13は、III族窒化物で形成される膜であり、GaN膜、AlN膜などのInxAlyGa1-x-yN膜(0≦x、0≦y、x+y≦1)などが挙げられる。
以下、図2を参照して、別の実施形態である積層III族窒化物複合基板2を説明する。
以下、図3および4を参照して、さらに別の実施形態であるIII族窒化物半導体デバイス4を説明する。
以下、図5〜9を参照して、実施形態4であるIII族窒化物半導体デバイスの製造方法について説明する。
まず、図5〜8を参照して、III族窒化物複合基板1を準備する工程について説明する。
図5に示すように、第1の方法により複合基板を製造する方法は、特に制限はないが、効率的に複合基板を製造する観点から、支持基板11を準備する工程(図5(A))と、下地基板130の主面30n上にIII族窒化物膜13を形成する工程(図5(B))と、支持基板11とIII族窒化物膜13とを貼り合わせて接合基板1Lを形成する工程(図5(C))と、接合基板1Lから下地基板130を除去する工程(図5(D))と、を含むことが好ましい。
図6および図7に示す、第2の方法により複合基板を製造する方法は、特に制限はないが、効率的に複合基板を製造する観点から、支持基板11とIII族窒化物膜ドナー基板13Dとを貼り合わせて接合基板1Lを形成する工程と(図6(A)および図7(A))と、接合基板1LのIII族窒化物膜ドナー基板13Dの貼り合わせ面である主面13nから内部に所定の深さに位置する面で分離する工程(図6(B)および図7(B))と、を含むことが好ましい。接合基板1LのIII族窒化物膜ドナー基板13Dの貼り合わせ面である主面13nから内部に所定の深さに位置する面で分離する方法には、特に制限はないが、効率的な分離を行なう観点から、図6に示すようなイオン注入法、図7に示す切断法などが好ましい。
図6に示すイオン注入法について以下に説明する。図6(A)に示すように、支持基板11とIII族窒化物膜ドナー基板13Dとを貼り合わせて接合基板1Lを形成する工程は、支持基板11の主面11m上に接合膜12aを形成するサブ工程(図6(A1))と、III族窒化物膜ドナー基板13Dの主面13n側からイオンIを注入することにより主面13nから内部に所定の深さの位置の面にイオン注入領域13iを形成するとともに主面13n上に接合膜12bを形成するサブ工程(図6(A2))と、支持基板11の主面11m上に形成された接合膜12aとIII族窒化物膜ドナー基板13Dの主面13n上に形成された接合膜12bとを貼り合わせるサブ工程(図6(A3))と、を含む。これらのサブ工程により、互いに貼り合わされた接合膜12aと接合膜12bとが接合により一体化して接合膜12が形成され、支持基板11と、III族窒化物膜ドナー基板13Dとが、接合膜12を介在させて接合されて、接合基板1Lが形成される。接合基板1LのIII族窒化物複合基板1のIII族窒化物膜ドナー基板13Dの内部に注入されたイオンIは、後工程においてガス化して急激な体積膨張を起こすことにより、III族窒化物膜ドナー基板13Dをイオン注入領域13iで分離させる。
図7に示す切断法について以下に説明する。図7(A)に示すように、支持基板11とIII族窒化物膜ドナー基板13Dとを貼り合わせて接合基板1Lを形成する工程は、支持基板11の主面11m上に接合膜12aを形成するサブ工程(図7(A1))と、III族窒化物膜ドナー基板13Dの主面13n上に接合膜12bを形成するサブ工程(図7(A2))と、支持基板11の主面11m上に形成された接合膜12aとIII族窒化物膜ドナー基板13Dの主面13n上に形成された接合膜12bとを貼り合わせるサブ工程(図7(A3))と、を含む。これらのサブ工程により、互いに貼り合わされた接合膜12aと接合膜12bとが接合により一体化して接合膜12が形成され、支持基板11と、III族窒化物膜ドナー基板13Dとが、接合膜12を介在させて接合されて、接合基板1Lが形成される。
図8に示すように、第3の方法により複合基板を製造する方法は、特に制限はないが、効率的に複合基板を製造する観点から、支持基板11とIII族窒化物膜ドナー基板13Dとを貼り合わせて接合基板1Lを形成する工程と(図8(A))と、接合基板1LのIII族窒化物膜ドナー基板13Dの貼り合わせ面である主面13nと反対側の主面13mから研削、研磨およびエッチングの少なくともいずれかを行なう工程(図8(B))と、を含むことが好ましい。
次に、III族窒化物半導体デバイスの製造工程について説明する。
図9(A)に示す、III族窒化物複合基板1のIII族窒化物膜13側の主面13m上に、少なくとも1層のIII族窒化物層20を成長させる工程において、III族窒化物層20を成長させる方法は、結晶品質の高いIII族窒化物層20をエピタキシャル成長させる観点から、MOVPE法、MBE法、HVPE法、昇華法などの気相法、フラックス法などの液相法などが好適であり、特にMOVPE法が好適である。
図9(B)に示す、III族窒化物層20上にさらにデバイス支持基板40を貼り合わせる工程は、積層III族窒化物複合基板2のIII族窒化物層20上に、第1電極30およびパッド電極33を形成するとともに、デバイス支持基板40上にパッド電極43および接合金属膜44を形成し、パッド電極33に接合金属膜44を貼り合わせることにより行なう。かかる工程により、積層基板3が得られる。デバイス支持基板40には、Si基板、CuW基板などが用いられる。
図9(C)に示す、III族窒化物複合基板1から支持基板11を除去する工程は、積層基板3から、III族窒化物複合基板1の支持基板11を除去することにより行なう。これにより、支持基板11とIII族窒化物膜13との間に介在している接合膜12も同時に除去することができる。
図9(D)に示す、積層基板3から支持基板11および接合膜12が除去されることにより露出したIII族窒化物膜13上に第2電極50を形成し、デバイス支持基板40上にデバイス支持基板電極45を形成する。
(実施例A)
以下、図6を参照して、実施例に係るIII族窒化物複合基板を説明する。
以下、図10を参照して、実施例に係るIII族窒化物半導体デバイスであるSBD(ショットキーバリアダイオード)を説明する。
実施例Aと同様にして、表2に示すせん断接合強度および接合面積率で、支持基板とIII族窒化物膜とが接合されたIII族窒化物複合基板、および、それらを用いたIII族窒化物半導体デバイスを作製した。
以下の(i)〜(v)以外の条件は、実施例Aと同様にして、実施例Cに係るIII族窒化物複合基板、および、それらを用いたIII族窒化物半導体デバイスを作製した。
(i)支持基板11として、Al2O3−SiO2複合酸化物基板(基板全体に対してAl2O3が82質量%であり、SiO2が18質量%である複合酸化物基板)、ムライト−YSZ、およびムライトから選択される複合酸化物基板を用いたこと
(ii)直径をそれぞれ75mm〜150mmの間で変動させたこと
(iii)接合膜12をAP−CVD(常圧−化学気相堆積)法により成長させたこと
(iv)支持基板11側の主面11mの仕上げ研磨の際に作用係数FEが8.5×10-17m2/s以上1×10-16m2/s以下の条件で研磨したこと
(v)仕上げ研磨後のIII族窒化物膜13の厚さをそれぞれ100nm〜1μmの間で変動させたこと
なお、実施例Cに係るIII族窒化物複合基板の接合膜の厚さ分布はすべて5%(すなわち、2%以上40%以下)とした。
表4に示す熱伝導率λsを有する支持基板を使用した以外は、実施例Aと同様にして、III族窒化物複合基板、および、それらを用いたIII族窒化物半導体デバイスを作製した。
Claims (10)
- 支持基板と、厚さが50nm以上10μm未満のIII族窒化物膜と、が貼り合わされた直径が75mm以上のIII族窒化物複合基板であって、
前記支持基板と前記III族窒化物膜との間に介在して、前記支持基板と前記III族窒化物膜とを接合する接合膜を備え、
前記接合膜は、厚さ分布が2%以上40%以下である、III族窒化物複合基板。 - 支持基板と、厚さが50nm以上10μm未満のIII族窒化物膜と、が貼り合わされた直径が75mm以上のIII族窒化物複合基板であって、
前記支持基板と前記III族窒化物膜との間に介在して、前記支持基板と前記III族窒化物膜とを接合する接合膜を備え、
前記支持基板と前記III族窒化物膜とのせん断接合強度が4MPa以上40MPa以下であり、
前記支持基板と前記III族窒化物膜との接合面積率が60%以上98%以下である、III族窒化物複合基板。 - 前記支持基板の熱膨張係数αSに対する前記III族窒化物膜の熱膨張係数αIII-Nの比αIII-N/αSが0.75以上1.25以下であり、前記支持基板の厚さtSに対する前記III族窒化物膜の厚さtIII-Nの比tIII-N/tSが0.0002以上0.02以下である、請求項1または2に記載のIII族窒化物複合基板。
- 前記支持基板の熱伝導率λSが3W・m-1・K-1以上280W・m-1・K-1以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のIII族窒化物複合基板。
- 前記支持基板のヤング率ESが150GPa以上500GPa以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のIII族窒化物複合基板。
- 直径が125mm以上300mm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のIII族窒化物複合基板。
- 請求項1または2に記載のIII族窒化物複合基板と、前記III族窒化物複合基板の前記III族窒化物膜側の主面上に配置されている少なくとも1層のIII族窒化物層と、を含む、積層III族窒化物複合基板。
- 請求項1または2に記載のIII族窒化物複合基板中の前記III族窒化物膜と、前記III族窒化物膜上に配置されている少なくとも1層のIII族窒化物層と、を含む、III族窒化物半導体デバイス。
- 請求項1または2に記載のIII族窒化物複合基板を準備する工程と、
前記III族窒化物複合基板の前記III族窒化物膜上に、少なくとも1層のIII族窒化物層を成長させる工程と、を含む、III族窒化物半導体デバイスの製造方法。 - 前記III族窒化物層上にさらにデバイス支持基板を貼り合わせる工程と、前記III族窒化物複合基板から前記支持基板を除去する工程と、をさらに含む、請求項9に記載のIII族窒化物半導体デバイスの製造方法。
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