JP5540224B2 - インパルス応答測定方法およびインパルス応答測定装置 - Google Patents

インパルス応答測定方法およびインパルス応答測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、音響機器・音響空間・電気信号の伝送線路等の被測定系の伝達特性を計測するためのインパルス応答測定方法およびインパルス応答測定装置に関し、特に、送信側と受信側の処理装置間で同期信号周波数が異なっていても正確に伝達特性を計測することができるインパルス応答測定方法およびインパルス応答測定装置に関する。
従来、音響信号を再生する音響再生装置から再生されたインパルス応答信号によって、被測定系の周波数特性等の様々な音響特性を把握する技術が広く知られており、このインパルス応答信号を精度良く測定しようとするいくつかの方法が提案されている。
例えば、従来技術の一つとして、複数(I個)の同一信号(繰返し信号)を用いて音響機器、音響空間の伝達特性を測定し、この信号の繰返し周期でそれぞれの信号を同期加算平均することによって、ランダムな雑音を持つ信号に対する信号対雑音(S/N)比を向上(10logI dBアップ)させることが行われている。この際、繰返し信号の繰返し周期に対して正確に同期加算するために、図2に示すように送信側と受信側で共通の同期信号(クロックパルス)を用いるのが一般的である。しかしながら、送信側と受信側でクロックパルスを共通にするには、送信側と受信側の測定装置の一体化、もしくはクロックパルスを送信側と受信側で共通にするための伝送路が必要である。
例えば、ホールや競技場のような大規模空間の音響測定において、空間そのものの伝達特性を測定するときには、試験用信号発生器(送信側)からの信号を音源用増幅器へ供給し、スピーカによって音を空間に放射し、受音点で受信して測定するが、広い空間では、場所による違いを把握するために、複数の測定点に亘って音を測定するのが普通である。この際、測定装置が同一のクロックパルスを用いるために、音を受信するマイクロホンにケーブルを引き回して測定するか、もしくは測定装置そのものをマイクロホンと共に測定点に移動させ、ケーブルによって、音源用増幅器を含むスピーカ側に接続する必要がある。
このため、クロックパルスを送信側と受信側で共通にしなくても正確に応答測定ができる非同期の測定システムが求められている。
本発明の発明者らは、非同期システムの受信側でA/D変換された連続する複数の各信号サンプリングデータ列を切り出し、その各データ列を離散フーリエ変換(DFT/Discrete Fourier Transform)処理をして、時間領域で同期加算するのではなく、周波数領域で同期加算する方法を見出した(特許文献1、非特許文献1参照)。
また、非同期システムにTSP(Time Stretched Pulses)法を適用し、受信側でA/D変換された複数の同一信号のサンプリングデータ列を時間領域で同期加算するために、受信側で先頭にある信号データ列と、それに続く信号データ列を切り出し、切り出した先頭にある信号データ列を基準に、それに続く信号列データ間との相互相関処理を行って相互相関値のピークを求めることによって同期加算時における各信号データ列の位置を合わせて加算をする方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この方法では、前記した相互相関処理により、受信側のクロックでサンプリングして得られた各データ列の長さ(ビット数)と送信側の各データ列の長さ(ビット数)との違いを求める。そして、インパルス応答波形を送出するために同期加算後の信号と逆TSP信号との畳み込み処理を時間領域で行うとき、逆TSP信号を再サンプリング(生成信号数を補償)して、受信側のクロックでサンプリングすることによって得られる各データ列の長さ(クロックパルス数)に対応したデータ列の長さを有する補正逆TSP信号を求めている。
また、低域の外来ノイズによる影響を最小限にするために各データ列間隔をランダムあるいは増減させる方法が提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。
また、TSP法(例えば、特許文献3、非特許文献2参照)は、インパルス応答のデジタルによる測定に多く使われている。TSP信号は、高い周波数から低い周波数へ変化する信号、あるいは低い周波数から高い周波数へ変化する信号(周波数をスイープ(掃引)する信号)であって、インパルスを時間軸上で引き延ばすことによりエネルギーを増大させている。したがって、高いS/N比が得られるインパルス応答測定ができる。近年、TSP法の改善がさらに試みられ、低域のパワーをさらに上げられるようなTSPフィルタが提案されている(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8参照)。
特許第3718642号公報 特開2007−156393号公報 特許第2725838号公報 特開2007−232492号公報 特開平06−265400号公報 特許第2867769号公報 国際公開第2006/011356号 特許第3766975号公報
日野、土屋、遠藤,"非同期な測定系で同期加算を行う方法の検討",第10回AESリージョナルコンベンション東京 予稿集,2001年6月 大賀寿郎、山崎芳雄、金田豊,"音響システムとデジタル処理",電子情報通信学会誌p.158−159,1995年
ところで、たとえばCDプレーヤを使った計測方式あるいは装置では、CDプレーヤは、ディスクに記録されたTSP情報を検出し、D/A変換器によりアナログ変換し、アンプやスピーカを介して被測定室内で放音する。そして、受信側のコンピュータでは、マイクを介してスピーカから放音された音を取り込み、A/D変換器によってデジタル変換し、信号処理を実行し、インパルス応答測定をすることになる。
しかしながら、上記CDプレーヤ側(送信側)のD/A変換器の同期信号であるサンプリングクロックと、コンピュータ(受信側)のA/D変換器のサンプリングクロックの周波数(あるいは位相)が異なっているとき、つまり、送信側と受信側でサンプリングクロックが非同期である場合には、同じ波形を表すサンプリング数(標本化数)が異なり、測定される信号に誤差が生じるので、正確なインパルス応答を求めることができない。
また、上述の従来技術(例えば、特許文献2に記載の技術)では、送信時のTSP信号データ列に対する逆TSP信号から再サンプリングすることによって補正逆TSP信号データ列を生成することは容易でない。たとえば、大容量の波形メモリに時間軸に対して高分解能な逆TSP信号データ列を記憶しておき、送信側と受信側の同期信号周波数比(サンプリングクロックパルス周波数比)に応じて、順次、必要な逆TSP信号データ列を取り出して補正逆TSP信号データ列を生成するといった複雑な処理が必要である。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、被測定系のインパルス応答を計測する際に、送信側と受信側のサンプリングクロックが非同期であっても、簡単な装置あるいは信号処理によって精度の高いインパルス応答計測ができるインパルス応答測定方法およびインパルス応答測定装置を提供することを目的とする。
本発明は、第1のサンプリングクロック周波数を有する同期信号を用いて、被測定系に入力する任意波形の入力信号を生成する入力信号生成ステップと、第2のサンプリングクロック周波数を有する同期信号を用いて、前記被測定系から出力される被測定信号の離散値系への変換を行う信号変換ステップと、前記第1のサンプリングクロック周波数と前記第2のサンプリングクロック周波数との周波数比に応じて前記入力信号の周波数特性で表現される関数の逆関数である逆フィルタの位相を少なくとも補正する逆フィルタ補正ステップと、を有し、補正後の前記逆フィルタを用いて前記被測定系のインパルス応答を計測することを特徴とする、インパルス応答測定方法である。
また、本発明は、第1のサンプリングクロック周波数を有する同期信号を用いて、被測定系に入力する任意波形の入力信号を生成する入力信号生成手段と、第2のサンプリングクロック周波数を有する同期信号を用いて、前記被測定系から出力される被測定信号の離散値系への変換を行う信号変換手段と、前記第1のサンプリングクロック周波数と前記第2のサンプリングクロック周波数との周波数比に応じて前記入力信号の逆フィルタの位相を少なくとも補正する逆フィルタ補正手段と、を有し、補正後の前記逆フィルタを用いて前記被測定系のインパルス応答を計測することを特徴とする、インパルス応答測定装置である。
本発明に係るインパルス応答測定方法およびインパルス応答測定装置によれば、被測定系のインパルス応答を計測する際に、送信側と受信側のサンプリングクロックが非同期であっても、簡単な装置あるいは信号処理によって精度の高いインパルス応答計測ができる。
また、ホールや競技場のような大規模空間の音響測定において、試験用信号発生器からの信号を音源用増幅器へ供給しスピーカによって音を空間に放射し、受音点で測定装置によって受信して測定する場合、敢えて試験用信号発生器と測定装置に同一の同期信号(クロックパルス)を使わなくても正しいインパルス応答計測ができる。このため、音を受信するマイクロホンにケーブルを引き回して音を測定したり、もしくは測定装置そのものをマイクロホンと共に測定点に移動させ、ケーブルによって音源用増幅器を含むスピーカ側に接続したりする必要がない。
また、すでに車に搭載された音響機器から、人が聴く位置(運転位置)までのインパルス応答特性を、その音響機器とはケーブルで接続されていない計測器によって計測することができる。たとえば、CDに同期加算平均する繰り返しのTSPデータを記録し、それを音響機器であるCDプレーヤで再生することによって音のインパルス応答特性を計測器で容易かつ高精度に測定することが可能となる。
非同期系システムにおけるTSP法によるインパルス応答測定の処理の流れの一例を示したブロック図である。 従来の同期システムの一例を示したブロック図である。 送信側と受信側のサンプリングクロック周波数の違いによる受信信号に対するサンプル数の変化の一例を示したグラフである。 連続系と離散系における送信側と受信側の同期信号の周波数比であるスケールファクタαに関する関係を模式的に示した図である。 環状シフトの処理を模式的に示した図である。 送信側のTSPフィルタH(k)と受信側のTSPフィルタH(l)の位相周波数特性を示した図である。 (a)同期加算する複数のデータ列が連続する場合のデータの並びを模式的に示した図である。(b)同期加算する複数のデータ列が不等間隔の場合のデータの並びを模式的に示した図である。 非同期システムの具体例を示した図である。 (a)TSP逆フィルタH−1(l)を補正しなかった場合のインパルス波形の一例を示すグラフである。(b)TSP逆フィルタH−1(l)を補正した場合のインパルス波形の一例を示すグラフである。 TSP波形h(t)の一例を示した図である。
以下、図面を用いて、本実施形態に係るインパルス応答測定方法およびインパルス応答測定装置について詳細に説明する。
<1.全体構成>
まず、図1を用いて、非同期系システムにおけるTSP法によるインパルス応答測定の処理の流れについて説明する。なお、非同期系システムにおける複数の同一の信号(繰返し信号)の高精度な周期の検出法と、周波数領域での同期加算平均である同期ベクトル加算平均については後述する。
同図に示すように、非同期系システム1は、互いに異なるサンプリングクロック周波数(fsとf's)で動作する、送信側ユニット2と受信側ユニット3を備える。
<1−1.送信側ユニット>
送信側ユニット2では、周波数領域でのインパルス入力I(k)を、伝達関数H(k)のTSPフィルタ4に入力することによって、TSPフィルタ4の出力であるH(k)I(k)が得られる。次に、このTSPフィルタ4の出力であるH(k)I(k)に対して、逆離散フーリエ変換処理部5でIDFT(Inverse Discrete Fourier Transform)を実行することによって、送信側ユニット2のデータのサンプリングクロック周波数fsに同期したサンプル列であるTSP信号h(n)が得られる。次に、このTSP信号h(n)をD/A変換器6に通すことによってTSP信号h(t)が得られる。そして、このTSP信号h(t)を、インパルス応答特性g(t)である空間などからなる測定対象(被測定系)に入力することによって、被測定信号の出力x(t)=h(t)*g(t)(*は畳み込み演算を表す)が得られる。
<1−2.受信側ユニット>
受信側ユニット3では、被測定系を通して得られた被測定信号x(t)(=h(t)*g(t))を、サンプラー(あるいはA/D変換器)7において、受信側ユニット3のデータのサンプリングクロック周波数f's=fs/α(αは周波数比を表す)でサンプリングすることによって、受信側ユニット3のサンプリングクロック周波数f'sに同期したサンプル列である出力信号x(m)が得られる。次に、この出力信号x(m)に対して、DFT処理部8でDFTを実行することによって、X(l)が得られ、このX(l)とTSP逆フィルタH−1(l)9の伝達特性との乗算H−1(l)X(l)を行うことによってG'(l)が得られる。次に、このG'(l)に対してIDFT処理部10でIDFTを実行することによって、サンプル列であるg(m)が得られ、このg(m)をD/A変換器11に通すことによってインパルス応答波形g(t)が得られる。なお、この例で示したD/A変換器6、11には、入力される信号をD/A変換し、アナログゲート等でパルス列を作り、アナログ低域フィルタで補間を行う機能が含まれている。
このように、受信側ユニット3では、複数の各TSP信号によるインパルス応答出力x(m)をDFT処理し、周波数領域での同期ベクトル加算平均を実行した後、TSPフィルタの逆関数であるTSP逆フィルタH-1(l)の伝達特性を乗ずるのであるが、この逆関数に対して、サンプリング周波数ずれの影響を考慮するとより高精度のインパルス応答測定ができる。以下、周波数領域での同期ベクトル加算平均と、TSP逆フィルタH-1(k)の補正原理について詳細に説明する。
<2.周波数領域での同期ベクトル加算平均>
まず、周波数領域での同期ベクトル加算平均について詳細に説明する。
(ステップ1)受信側ユニット3のA/D変換器7より、受信側ユニット3のサンプリングクロック周波数f'sに同期して出力される同期加算平均対象の全信号データ列x(m)を読み出す。このとき、送信側ユニット2で決定されているデータフォーマットに基づいて、同期加算平均対象のデータ列の前に設けた同期データを基準にサンプリングデータ列が連続しているとして複数の各信号データ列を切り出す。
(ステップ2)先頭信号データ列とそれに続く信号データ間の相互相関を取り、相関値がピークとなる時間軸上の各信号データ列のサンプリングクロック数とサンプリングクロック間の位相で表現される位置誤差(位相差)あるいは同期位置を推定する。このような相互相関による各データ列の位置計測は、受信側(受信側ユニット3)のデータ列を長くできるTSP法によるインパルス応答計測には好適であり、データ列を長くすれば相互相関の値はノイズに影響されにくくなる。これは、信号とノイズ間及び一方のデータ列にのっているノイズと他方に乗っているノイズ間に相関がなくなるからである。
(ステップ3)相互相関値の正確なピーク点のもつ位置を求めるために相関形状の対称性を利用して、二次関数による補間を行う。これにより、同期位置の位相情報を正確に知ることができる。
(ステップ4)切り出された各データ列に対してDFT処理部8においてDFTを実行する。受信側ユニット3のサンプリングクロック周波数が送信側ユニット2のサンプリングクロック周波数と異なるときは、切り出した各信号データ列の位置の位相はばらついている。このため、これら位置誤差(時間ずれ)に相当する周波数領域の各周波数に対する位相ずれ分を先に求めたDFTデータに対して補正し、補正したDFTデータについて周波数ごとの複素ベクトル加算平均を行う。これが同期ベクトル加算平均である。
ここで、位置誤差(時間ずれ)は周波数領域では位相の回りに対応している。時間ずれτと周波数領域での位相θとの関係について数式的に表現しておく。周波数領域での角周波数をω、各角周波数での位相回転量をθ(ω)とすると以下の式が成り立つ。
<数式1>
θ(ω)=−ωτ、ω=2πf 、τ=[C+{Cφ/(2π)}]/f's ・・・ (1)
ただし、f's:サンプリングクロック周波数
:位置誤差時間τ内に存在するサンプリングクロック数
φ:位置誤差時間τ間位相を2πCで測定しきれない分のサンプリングクロック間位相
この値は、数値の表現範囲での分解能を持つことができるので、データ量を増加せずに精度を確保できる。この特長により、各信号データ列間の周期の時間ずれ量に見合うようDFTした信号データの周波数毎の位相回転量を加減した上で、信号データ列全体における周波数毎にベクトル加算と平均処理をして、補正されたDFT(伝達関数)の結果X(l)を得ることができる。
(ステップ5)同期加算した結果をTSP逆フィルタH-1(l)9と乗算を行い、その結果をIDFT処理部10においてIDFTすることによって、インパルス応答波形g(m)を得る。
<3.TSP逆フィルタH-1(k)の補正原理>
次に、TSP逆フィルタH-1(k)の補正原理について詳細に説明する。
受信側ユニット3の応答波形のサンプル列x(m)は、送信側ユニット2のサンプリング周波数とは異なる周波数でサンプリングされているので、DFT変換したX(l)にTSP逆フィルタH-1(l)を乗じてその結果をIDFTしてインパルス応答のパルス列を求めるためには、TSP逆フィルタH-1(l)が受信側ユニット3のサンプリング周波数に対応して生成されていなければならない。
送信側ユニット2のサンプリングクロック周波数fsと受信側ユニット3のサンプリングクロック周波数f'sとの比をα(=fs/f's)とする。
図3において受信側ユニット3では、α>1のときは、送信側ユニット2と同一のサンプル総数Nで処理しようとした場合、検出信号幅が送信側ユニット2ではサンプル総数がW個であったものが受信側ユニット3ではWNS=〔W/α〕と縮小されてしまう(ここで、〔A〕はAを整数に丸め処理したことを表す)。つまり、受信側ユニット3を基準とする測定では波形が時間軸方向に縮小したように見える。
応答波形のサンプル列x(m)にDFTを行いX(l)を得て、これにTSPフィルタH(k)4の逆関数H−1(l)を乗ずるとき、TSPフィルタH(k)4をサンプリング周波数の変化分だけ補正して得られたTSP逆フィルタH−1(l)9を使う必要がある。言い換えれば、受信側ユニット3では、自身のサンプリングクロック周波数f'sに基づいて処理するので、あたかも検出波形が縮小したように見える。したがって、ここでは検出側での絶対時間は変わらないとし、サンプリング周波数の変化によって波形が伸縮したとして扱う。
このときの周波数領域との関係を見るために、受信側ユニット3で得られたサンプル列x(m)を連続なx(αt)とみなして、x(t)のフーリエ変換X(f)における時間のスケールファクタαの関係を示す次の(2)式の公式(E.Oran Brigham,"高速フーリエ変換" Prentice−Hall Inc,第3章(1974)参照)を利用して考察する。スケールファクタαは、先に述べた送信側のサンプリング周波数fsと受信側のサンプリング周波数f'sとの比である。
<数式2>
x(αt)⇔(1/|α|)X(f/α) ・・・ (2)
これは定性的に言えば、α>1とすると、時間領域の波形は時間軸側に縮小した形になるが、周波数領域では周波数軸上で拡大し、振幅は小さくなる。
図4は、連続系と離散系における時間のスケールファクタαに関する関係を模式的に描いた図であり、上段と中段には連続系に関する式(2)の関係を示し、下段には離散系DFTの関係を示している。
連続系において測定時間Tで時間長Wt及び周波数帯域−Fm〜+Fmをもつ信号x(t)の振幅周波数特性と位相周波数特性を上段に示し、スケールファクタα>1の信号x(αt)の振幅周波数特性と位相周波数特性を中段に示す。後者のスケールファクタα>1の信号x(αt)では、測定時間Tで時間長がWt/αとなる波形となり、その周波数帯域が−αFm〜+αFmで、振幅周波数特性の振幅が1/αとなる。
このスケールファクタαの連続系の信号x(αt)をDFTするとき、信号のx(αt)が周期Tで繰り返され、周波数領域の帯域幅−Fx〜+Fxは、Fx>αmaxFm(ただし、αmaxはα>0の最大値)の条件で設定する。DFTであるので周波数領域で基底周波数帯域が−Fx〜+Fxとなる周期2Fxの周期関数となる。
このとき、時間軸のサンプル総数Nは高速フーリエ変換(FFT/Fast Fourier Transform)演算を考慮してN=2(ただしiは整数)とする。時間軸のサンプリング周波数f'sはf's=2Fxの関係が成り立つので、時間周期TをT=N/f'sとなるように設定する。このとき周波数領域では、信号の周波数特性として1/Tごとの線スペクトルが現れ、帯域−αFm〜+αFmの特性が周波数軸上において周期2Fxで繰り替えされる。2Fx/(1/T)=Nとなるので、周波数領域では、基底離散周波数帯域が−N/2〜+N/2−1となる周期Nの周期関数である。離散信号列が周期Tで繰り返すとして扱っているので、DFT後の周波数領域では1/Tごとの線スペクトルが現れる。
ここまでは、スケールファクタαがあるときの離散時間の取り扱いを示した。また、図4は模式的に示した図でありTSP信号による実際の応答波形x(t)をかなり簡略して描いている。また、TSPフィルタH(k)4の出力H(k)I(k)をIDFT処理部5でIDFTした信号列h(n)は、そのままでは先頭部分には信号が現れないので、図5に示す環状シフトを行ったことにしている。つまり先頭の信号列を後方にシフトしているが、DFTは周期性を前提としているのでこのようにしても結果は変わらない。
次に、受信側ユニット3の応答波形のサンプル列x(m)が、送信側ユニット2のサンプリングクロック周波数とは異なる周波数でサンプリングされているときの補正されたTSP逆フィルタH−1(l)を導出する。
ここで、TSPフィルタ(伝達関数)あるいは離散的フーリエ変換(DFT)H(k)は以下の式が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
<数式3>
H(k)=exp(jβk2) 0≦k≦M/2(Mは整数)
(M−k)=exp{−jβ(M−k)} (M/2)+1<k<M
β(M/2)=2Lπ⇔β=8Lπ/M(Lは整数)
・・・ (3)
この式においてN≧αmaxMの条件が成り立つN点DFTを考慮し、かつ式(3)を参考にして、以下の式(4)に変形する。図4のように周期Nの繰り返し特性となる。
<数式4>
H(k)=exp(jβk) 0≦k≦M/2−1
(k)=exp(−jβk) (M/2)≦k<0
H(k)=0 −N/2≦k≦−(M/2+1)及び(M/2)≦k≦N/2−1
β=8Lπ/M(Lは整数)
・・・ (4)
上記フーリエ変換対の式x(αt)⇔(1/|α|)X(f/α)より検出波形の時間軸がα倍されたとするとフーリエ変換した周波数軸は1/α倍となる。図4を用いて考察したスケールファクタαのDFTへの展開を踏まえると、送信側ユニット2のTSPフィルタH(k)と受信側ユニット3のTSPフィルタH(l)の位相θの特性は図6のようになる。なお、同図はα>1として描いている。
式(4)においてkにl/αを代入し、振幅を1/|α|としたDFTのH(l)を求める。
<数式5>
H(l)=(1/|α|)exp{jβ(l/α)}
=(1/|α|)exp{j(β/α )l}, 0≦l≦〔αM/2〕−1
(l)=(1/|α|)exp{−j(β/α)l}, −〔αM/2〕≦l<0
H(l)=0,−N/2≦l≦−〔αM/2〕−1及び〔αM/2〕≦l≦N/2−1
β=8Lπ/M
・・・ (5)
ただし、〔αM/2〕はαM/2を計算し整数に丸めた値を示す。丸めはたとえば四捨五入をする。
k=−〔αM/2〕のときβ=8Lπ/MをH(l)に代入すると、H(l)=(1/|α|)exp{−j(2Lπ)}となり、図6における位相特性は、k=−〔αM/2〕での位相が−2Lπとなることがわかる。
H(l)の逆関数あるいは逆フィルタH−1(l)は以下となる。
<数式6>
−1(l)=|α|exp{−j(β/α)l}, 0≦l≦〔αM/2〕−1
*−1(l)=|α|exp{j(β/α)l}, −〔αM/2〕≦l<0
−1(l)=0,−N/2≦l≦−〔αM/2〕−1及び〔αM/2〕≦l≦N/2−1
β=8Lπ/M
α=fs/f's
fs:送信側のサンプリング周波数
f's:受信側のサンプリング周波数
・・・ (6)
なお、ここでは被測定系のインパルス応答の時間長Tは、図4における受信側の周期T以下であるとしている。
このように受信側のサンプリング周波数がずれたときでも、式(6)のTSP逆フィルタH−1(l)を用いれば正確なインパルス応答列g(m)を得ることができる。また、補正TSP逆フィルタH−1(l)は、数値の表現範囲での分解能で補正できるので、データ量を増加せずに精度を確保できる。
<4.複数データ列の構成>
ここで、複数の同期加算データ列が連続している場合と、各データ列間隔が一定でない場合について検討する。特に後者は、低域の外来ノイズに対して強くするために提案されている(特許文献4.特許文献5参照)。
(1)複数のデータ列が連続している場合(図7a参照)
このときのスケールファクタαは、データ列全体の自己相関を取るかあるいは隣接するデータ列の相互相関を取れば周期(隣接するデータ列間の時間差)が求まるので、これにより送信側の予め決められた周期(隣接するデータ列間の時間差)と比較して求められる。前記相互相関処理によって周期を求めるとき補間処理をして精度を上げる方法は、上記した同期加算平均を取るときと同様である。同期加算する先頭のデータ列は回路系の過渡応答等の影響で波形が安定していない場合は、同期加算平均データ列としては使わない。
(2)各データ列が不等間隔の場合(図7b参照)
この場合は、同期加算平均するデータの先端部が過渡応答の影響を受けないようにするため、あるいはその後端部が切り出したときにデータを失わないようにする必要がある。そのために、2つ以上のN点信号データブロックを一塊としたデータブロックとし、このデータブロックの間隔を変えてデータ列を構成する。過渡応答あるいは切り出し時のデータ損失を伴わないのであれば、1つのN点信号データブロックを一塊としたデータブロック構成でも良い。
データの切り出しは、同期加算対象のデータ列の前に設けた同期データを基準にサンプリングデータ列が予め決められたフォーマットで連続しているとして各信号データ列を切り出す。そして相互相関によって切り出した各データ列の位相誤差を求める。また隣接するデータ列の相互相関を取ることにより、隣接するデータ列間の時間差を測定し、その時間差と送信側で予め決められたデータ列間の長さ(データ列間の時間差)と比較して、スケールファクタαを求める。
このように、本実施形態に係るインパルス応答計方法およびインパルス応答計測装置によれば、非同期システムにおいても、同期加算するデータ列が連続でも、あるいはそれらの間隔が一定でなくても精度の高い同期加算が実行できる。
以上説明したように、本実施形態に係るインパルス応答測定装置は、第1のサンプリングクロック周波数(例えば、fs)を有する同期信号を用いて、被測定系に入力する任意波形の入力信号を生成する入力信号生成手段(例えば、送信ユニット2のD/A変換器6など)と、第2のサンプリングクロック周波数(例えば、f's)を有する同期信号を用いて、前記被測定系から出力される被測定信号の離散値系への変換を行う信号変換手段(例えば、受信ユニット3のA/D変換器7やDFT変換部8)と、前記第1のサンプリングクロック周波数と前記第2のサンプリングクロック周波数との周波数比(例えば、α)に応じて前記入力信号の逆フィルタ(例えば、TSP逆フィルタH-1(k))の位相を少なくとも補正する逆フィルタ補正手段と、を有し、補正後の前記逆フィルタを用いて前記被測定系のインパルス応答を計測することを特徴とする、インパルス応答測定装置である。なお、「入力信号の逆フィルタ」とは、入力信号の離散的周波数特性で表現される関数の逆関数となる伝達関数のことである。
本実施形態に係るインパルス応答測定装置(またはインパルス応答測定方法)によれば、被測定系のインパルス応答を計測する際に、送信側と受信側のサンプリングクロックが非同期であっても、簡単な装置あるいは信号処理によって精度の高いインパルス応答計測ができる。
また、ホールや競技場のような大規模空間の音響測定において、試験用信号発生器からの信号を音源用増幅器へ供給しスピーカによって音を空間に放射し、受音点で測定装置によって受信して測定する場合、敢えて試験用信号発生器と測定装置に同一の同期信号(クロックパルス)を使わなくても正しいインパルス応答計測ができる。このため、音を受信するマイクロホンにケーブルを引き回して音を測定したり、もしくは測定装置そのものをマイクロホンと共に測定点に移動させ、ケーブルによって音源用増幅器を含むスピーカ側に接続したりする必要がない。
さらに、すでに車に搭載された音響機器から、人が聴く位置(運転位置)までのインパルス応答特性を、その音響機器とはケーブルで接続されていない計測器によって計測することができる。たとえば、CDに同期加算平均する繰り返しのTSPデータを記録し、それを音響機器であるCDプレーヤで再生することによって音のインパルス応答特性を計測器で容易かつ高精度に測定することが可能となる。
なお、前記入力信号生成手段は、同じ任意波形の前記入力信号を等間隔あるいは不等間隔で繰返し発生する信号発生器、または前記入力信号と同じ信号が繰返し記録された媒体(例えば、図8のCD12)と前記入力信号を繰返し再生する再生器(例えば、CDプレーヤ13)を測定用信号源として用い、前記測定用信号源から発生される繰返し信号を前記入力信号として前記被測定系に入力し、前記信号変換手段は、前記被測定信号を受信点で受信し、前記測定用信号源と前記受信点の間で共通の同期信号を使用せずに、前記被測定信号の波形から得られた各周期の波形情報を使用して前記被測定信号を切り分け、切り分けた各周期の時間のずれ量は基準とする周期と他の周期の相互相関の相関値が真の最大値となる時間のずれ量により求め、前記時間ずれの補正には各周期の波形を周波数領域の振幅と位相の情報に変換した後、前記時間ずれに相当する周波数ごとの位相ずれ情報に基づいて位相を補正し、先に変換し位相が補正された各周期の振幅と位相の情報をベクトル量として加算平均し、前記逆フィルタ補正手段は、前記被測定信号の自己相関あるいは繰り返す信号の隣接する信号間の相互相関によって求められる前記被測定信号の信号周期と、前記繰返し信号の周期とにより前記周波数比を求め、前記繰返し信号の周波数領域における前記逆フィルタの位相を前記周波数比に応じて補正し、前記信号変換ステップによる加算平均の結果と、前記逆フィルタ補正ステップによる補正後の逆フィルタとの積を算出し、この算出結果を時間領域に変換して前記インパルス応答を計測してもよい。


このような構成とすれば、送信側と受信側のサンプリングクロックが非同期であっても、簡易で精度の高い同期加算平均による雑音低減手法を利用することができるので、インパルス応答測定において、現場の作業性を機動性のあるものにし、測定方法や測定装置を軽便かつ簡易にすることができる上に、インパルス応答測定の精度をさらに向上させることができる。
また、前記信号変換手段は、前記時間ずれの補正に各周期を離散的フーリエ変換(DFT)して前記周波数領域の振幅と位相の情報に変換した後、前記時間ずれに相当する周波数ごとの位相ずれ情報に基づいて位相を補正し、各周期の周波数ごとの和を複素ベクトル量として加算平均してもよい。
また、前記逆フィルタ補正手段は、前記自己相関または前記相互相関による相関値の最大値を補間して求めてもよい。
本発明に係るインパルス応答計測方法の一例として、すでに車に搭載された音響機器から、人が聴く位置(運転位置)までの応答特性を、音響機器と計測器とをケーブル接続しないで計測する方法について説明する。
図8に示すように、このインパルス応答計測方法では、同期加算平均する繰り返しのTSPデータをCDに記録し、このCDを音響機器であるCDプレーヤで再生し、この再生音を計測器(オーディオサウンドアナライザ16(以下、ASA16と言う場合がある))で測定する。
上記図1を併せて参照し、本実施例をより詳細に説明する。CD12には、複数個の同一のTSPデータ列h(n)が連続して記録されている。本実施例では、CD12に記録されたデータをCDプレーヤ13によって読み出し、読み出した信号h(t)をスピーカ14に供給する。
スピーカ14より出力された音は、マイクロホン15によって電気信号に変換された後に、ASA16に入力される。これにより、ASA16では、検出アンプ出力(応答波形)x(t)を得ることになる。なお、ASA16が得た応答波形x(t)には、空間の特性とスピーカ14の特性が含まれている。ASA16は、応答波形の連続した複数のデータ列x(m)を、USBなどのインターフェースを介してPC(パーソナルコンピュータ)17へ転送する。
PC17は、CD12に記録されたデータフォーマットに基づいて、同期加算対象のデータ列の前に設けた同期データを基準にサンプリングデータ列が連続しているとして複数の各信号データ列を切り出し、相互相関処理によって各データ列x(m)間の位置誤差(時間差、および自己相関によって繰り返しの信号周期を求めて入力側とのサンプリング周波数比であるスケールファクタαを求める。続いて、PC17は、各データ列x(m)に対してDFT処理部8でDFTを実行して各X(l)を求め、先に求めたデータ位置情報によって補正位相量を求めて各X(l)の周波数ごとの位相を補正する。続いて、PC17は、複数ある位相補正された各X(l)に対して同期ベクトル加算を行う。最後に、PC17は、スケールファクタαで補正されたTSP逆フィルタH−1(l)関数9を求め、同期ベクトル加算平均結果のX(l)との乗算G'(l)=H−1(l)X(l)を実行し、その結果を、IDFT処理部10で高速逆フーリエ変換(IFFT/Inverse Fast Fourier Transform)処理し、インパルス応答列g(m)を生成し、表示部にこの結果を示す。
本実施例では、送信側のデータフォーマットとして、同期加算対象のデータ列の前に同期データ列を設けたので、受信側では、受信信号のデータ中の同期データ列と同期を取ることによって同期位置が判定できる。つまりデータの存在場所を知ることができる。しかしながら、同期データを設けないで最初にデータが現れた位置を基準としてデータ処理をしても良い。
また、同期データと受信側で得られた同期加算対象の全信号データ列を最初に同期加算する単位に切り出すために、本実施例では、送信側のデータフォーマットが既知であることを利用して連続するデータ列を切り出した。しかしながら、同期加算平均対象の同一の繰り返しデータ列が連続しているのであれば、自己相関を実行してデータの繰り返し周期を求めて各データ列が切り出せる。
次に、本実施形態に係るTSP逆フィルタH−1(l)の有効性を音響空間など被測定対象のない状態でのシミュレーションによって、その効果を確認する。そのために送信側のサンプリング周波数がずれて、受信側の波形が時間方にずれたとしたときに、TSP逆フィルタを補正したときとしないときで、インパルス波形がどうなるかを調べた。


なお、シミュレーションは以下の条件で実施した。同期加算回数は5回、サンプリング周波数はfs=44.1kHz、式(4)および式(6)に使った定数は、Nが65536、Lが8192、Mが65536×α、αが0.999(−0.1%)、Tが約1.5秒である。このシミュレーション結果を図9に示す。また、このときのTSP波形h(t)を図10に示す。
図9aに示すように、TSP逆フィルタH−1(l)を補正しないとインパルス波形とは程遠い波形となってしまうが、図9bに示すように、TSP逆フィルタH−1(l)を補正すれば、非同期システムの送信側と受信側のサンプリング周波数が異なっても精度の高いインパルス波形が得られることがわかる。
なお、本発明に係るインパルス応答測定方法およびインパルス応答測定装置の構成は、上記実施形態で示した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
したがって、例えば、上記実施形態では、インパルス応答測定の処理において、周波数領域での同期ベクトル加算平均を実行する例を示したが、例えば、インパルス応答測定にそれほど高い精度が要求されない場合には、周波数領域での同期ベクトル加算平均を実行せずにインパルス応答測定を行ってもよい。
すなわち、本発明に係るインパルス応答測定方法およびインパルス応答測定装置は、第1のサンプリングクロック周波数を有する同期信号を用いて、被測定系に入力する任意波形の入力信号を生成し、第2のサンプリングクロック周波数を有する同期信号を用いて、前記被測定系から出力される被測定信号の離散値系への変換を行い、前記第1のサンプリングクロック周波数と前記第2のサンプリングクロック周波数との周波数比に応じて前記入力信号の逆フィルタの位相を少なくとも補正し、補正後の前記逆フィルタを用いて前記被測定系のインパルス応答を計測するものであればよい。
本発明に係るインパルス応答測定方法およびインパルス応答測定装置は、音響機器・音響空間・電気信号の伝送線路等の被測定系の伝達特性を計測するために利用することができる。
1 非同期系システム
2 送信側ユニット
3 受信側ユニット
4 TSPフィルタ
5 IDFT処理部
6、11 D/A変換器
7 サンプラー(あるいはA/D変換器)
8 DFT処理部
9 TSP逆フィルタH−1(l)
10 IDFT処理部
12 CD
13 CDプレーヤ
14 スピーカ
15 マイクロホン
16 オーディオサウンドアナライザ(ASA)
17 PC

Claims (8)

  1. 第1のサンプリングクロック周波数を有する同期信号を用いて、被測定系に入力する任意波形の入力信号を生成する入力信号生成ステップと、
    第2のサンプリングクロック周波数を有する同期信号を用いて、前記被測定系から出力される被測定信号の離散値系への変換を行う信号変換ステップと、
    前記第1のサンプリングクロック周波数と前記第2のサンプリングクロック周波数との周波数比に応じて前記入力信号の周波数特性を示す関数の逆関数である逆フィルタの位相を少なくとも補正する逆フィルタ補正ステップと、を有し、
    補正後の前記逆フィルタを用いて前記被測定系のインパルス応答を計測することを特徴とする、
    インパルス応答測定方法。
  2. 前記入力信号生成ステップは、
    同じ任意波形の前記入力信号を等間隔あるいは不等間隔で繰返し発生する信号発生器、または前記入力信号と同じ信号が繰返し記録された媒体と前記入力信号を繰返し再生する再生器を測定用信号源として用い、前記測定用信号源から発生される繰返し信号を前記入力信号として前記被測定系に入力し、
    前記信号変換ステップは、
    前記被測定信号を受信点で受信し、前記測定用信号源と前記受信点の間で共通の同期信号を使用せずに、前記被測定信号の波形から得られた各周期の波形情報を使用して前記被測定信号を切り分け、切り分けた各周期の時間のずれ量は基準とする周期と他の周期の相互相関の相関値が真の最大値となる時間のずれ量により求め、前記時間ずれの補正には各周期の波形を周波数領域の振幅と位相の情報に変換した後、前記時間ずれに相当する周波数ごとの位相ずれ情報に基づいて位相を補正し、先に変換し位相が補正された各周期の周波数ごとの振幅と位相の情報をベクトル量として加算平均し、
    前記逆フィルタ補正ステップは、
    前記被測定信号の自己相関あるいは繰り返す信号の隣接する信号間の相互相関によって求められる前記被測定信号の信号周期と、前記繰返し信号の周期とにより前記周波数比を求め、前記繰返し信号の周波数領域における前記逆フィルタの位相を前記周波数比に応じて補正し、
    前記信号変換ステップによる加算平均の結果と、前記逆フィルタ補正ステップによる補正後の逆フィルタとの積を算出し、この算出結果を時間領域に変換して前記インパルス応答を計測することを特徴とする、
    請求項1に記載のインパルス応答測定方法。
  3. 前記信号変換ステップは、
    前記時間ずれの補正に各周期を離散的フーリエ変換(DFT)して前記周波数領域の振幅と位相の情報に変換した後、前記時間ずれに相当する周波数ごとの位相ずれ情報に基づいて位相を補正し、各周期の和をベクトル量として加算平均することを特徴とする、
    請求項2に記載のインパルス応答測定方法。
  4. 前記逆フィルタ補正ステップは、
    前記自己相関または前記相互相関による相関値の最大値を補間して求めることを特徴とする、
    請求項2または3に記載のインパルス応答測定方法。
  5. 第1のサンプリングクロック周波数を有する同期信号を用いて、被測定系に入力する任意波形の入力信号を生成する入力信号生成手段と、
    第2のサンプリングクロック周波数を有する同期信号を用いて、前記被測定系から出力される被測定信号の離散値系への変換を行う信号変換手段と、
    前記第1のサンプリングクロック周波数と前記第2のサンプリングクロック周波数との周波数比に応じて前記入力信号の周波数特性を示す関数の逆関数である逆フィルタの位相を少なくとも補正する逆フィルタ補正手段と、を有し、
    補正後の前記逆フィルタを用いて前記被測定系のインパルス応答を計測することを特徴とする、
    インパルス応答測定装置。
  6. 前記入力信号生成手段は、
    同じ任意波形の前記入力信号を等間隔あるいは不等間隔で繰返し発生する信号発生器、または前記入力信号と同じ信号が繰返し記録された媒体と前記入力信号を繰返し再生する再生器を測定用信号源として用い、前記測定用信号源から発生される繰返し信号を前記入力信号として前記被測定系に入力し、
    前記信号変換手段は、
    前記被測定信号を受信点で受信し、前記測定用信号源と前記受信点の間で共通の同期信号を使用せずに、前記被測定信号の波形から得られた各周期の波形情報を使用して前記被測定信号を切り分け、切り分けた各周期の時間のずれ量は基準とする周期と他の周期の相互相関の相関値が真の最大値となる時間のずれ量により求め、前記時間ずれの補正には各周期の波形を周波数領域の振幅と位相の情報に変換した後、前記時間ずれに相当する周波数ごとの位相ずれ情報に基づいて位相を補正し、先に変換し位相が補正された各周期の周波数ごとの振幅と位相の情報をベクトル量として加算平均し、
    前記逆フィルタ補正手段は、
    前記被測定信号の自己相関あるいは繰り返す信号の隣接する信号間の相互相関によって求められる前記被測定信号の信号周期と、前記繰返し信号の周期とにより前記周波数比を求め、前記繰返し信号の周波数領域における前記逆フィルタの位相を前記周波数比に応じて補正し、
    前記信号変換ステップによる加算平均の結果と、前記逆フィルタ補正ステップによる補正後の逆フィルタとの積を算出し、この算出結果を時間領域に変換して前記インパルス応答を計測することを特徴とする、
    請求項5に記載のインパルス応答測定装置。
  7. 前記信号変換手段は、
    前記時間ずれの補正に各周期を離散的フーリエ変換(DFT)して前記周波数領域の振幅と位相の情報に変換した後、前記時間ずれに相当する周波数ごとの位相ずれ情報に基づいて位相を補正し、各周期の和をベクトル量として加算平均することを特徴とする、
    請求項6に記載のインパルス応答測定装置。
  8. 前記逆フィルタ補正手段は、
    前記自己相関または前記相互相関による相関値の最大値を補間して求めることを特徴とする、
    請求項6または7に記載のインパルス応答測定装置。
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