JP5536966B1 - 車両 - Google Patents

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Abstract

変形抑制機構7は、相対的に変位可能な第1接続部材11と第2接続部材12、およびキャリパー72を含み、これらの相対的な変位に対する抵抗力は変更可能とされている。第1接続部材11と第2接続部材12は、それぞれ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に支持される回転支持部11a、12aを有している。キャリパー72の一部は、車体フレーム21に支持される。回転支持部11aは、車体フレーム21の直立状態において、ステアリングシャフト60の回転軸線に一致する中間軸線Zよりも、第1中心軸Xに近い位置で第1緩衝装置33に支持されている。回転支持部11bは、車体フレーム21の直立状態において、中間軸線Zよりも第2中心軸Yに近い位置で第2緩衝装置35に支持されている。

Description

本発明は、傾斜可能な車体フレームと2つの前輪を備えた車両に関する。
車両のコーナリング時に左右方向に傾斜する車体フレームと、その車体フレームの左右方向に並べて設けられた2つの前輪とを備えた車両が知られている(例えば、特許文献1、2、3、および非特許文献1を参照)。
傾斜可能な車体フレームと2つの前輪を備えた車両は、リンク機構を備えている。リンク機構は、上クロスメンバと下クロスメンバを含んでいる。またリンク機構は、上クロスメンバと下クロスメンバの右端部を支持する右サイドロッド、および上クロスメンバと下クロスメンバの左端部を支持する左サイドロッドを含んでいる。上クロスメンバと下クロスメンバの中間部は、ステアリングシャフトの前方で車体フレームに支持される。上クロスメンバと下クロスメンバは、車体フレームのほぼ前後方向に延びる軸線回りに回転可能に車体フレームに支持されている。車体フレームの傾斜に連動して、上クロスメンバと下クロスメンバは車体フレームに対して回転し、車体フレームの上下方向における2つの前輪の相対位置は変化する。なお、上クロスメンバと下クロスメンバは、車体フレームが直立状態において、2つの前輪よりも車体フレームの上下方向の上方に設けられている。
傾斜可能な車体フレームと2つの前輪を備えた車両は、右前輪を車体フレームの上下方向に移動可能に支持する右緩衝装置と、左前輪を車体フレームの上下方向に移動可能に支持する左緩衝装置とを備えている。右緩衝装置は、右サイドロッドの軸線回りに回転可能に右サイドロッドに支持されている。左緩衝装置は、左サイドロッドの軸線回りに回転可能に左サイドロッドに支持されている。特許文献1および2に記載の車両は、ハンドル、ステアリングシャフト、および回転伝達機構をさらに備えている。ハンドルは、ステアリングシャフトに固定されている。ステアリングシャフトは、車体フレームに対して回転可能に支持されている。ハンドルを回転させると、ステアリングシャフトも回転する。回転伝達機構は、ステアリングシャフトの回転を右緩衝装置と左緩衝装置に伝達する。
傾斜可能な車体フレームと2つの前輪を備えた車両は、ステアリングシャフトの周囲に多くの車両搭載部品を備えている。車両搭載部品は、ヘッドライトなどの灯火器、ラジエーター、リザーバータンク、ホーンなどの電装部品、車両のメインスイッチ、収納ボックス、収納ポケットなどである。
日本国特許出願公開2005−313876号公報 独国特許出願公開10 2010 052 716号公報 米国意匠特許D547,242S公報 Catalogo partidi ricambio, MP3 300 ie LT Mod. ZAPM64102, Piaggio社
特許文献1および2に記載の車両は、抵抗力変更機構をさらに備えている。抵抗力変更機構は、リンク機構の作動に対する抵抗力を大きくすることにより、車体フレームの傾斜、および車体フレームの上下方向における2つの前輪の相対位置の変化を抑制する。
特許文献1に記載の車両において、抵抗力変更機構は、ブレーキディスクとキャリパーを含んでいる。ブレーキディスクは、リンク機構を構成する上クロスメンバに固定されている。キャリパーは、ブレーキディスクとの間の摩擦力を調整することにより、リンク機構の作動に対する抵抗力を変更する。キャリパーは、上クロスメンバよりも上方の車体フレームに取り付けられている。抵抗力変更機構による抵抗力がゼロまたは小さい場合、リンク機構は作動する。抵抗力変更機構による抵抗力が大きい場合、リンク機構の作動は抑制または停止される。抵抗力変更機構による抵抗力がゼロまたは小さい場合、ブレーキディスクと上クロスメンバは、車体フレームに対して一体的に動く。
特許文献2に記載の車両において、抵抗力変更機構は、ロッドと、ロッドの一端に設けられたピストンと、ピストンが移動するシリンダを含んでいる。抵抗力変更機構は、ピストンがシリンダ内を移動することにより、ロッドがシリンダに対して伸縮する。ピストンのシリンダ内での移動を停止することにより、ロッドがシリンダに対して固定される。ロッドの他端は、左サイドロッドに支持されている。シリンダは、上クロスメンバよりも上方の車体フレームに支持されている。抵抗力変更機構は、シリンダ内でのピストンの移動状態を変更することにより、リンク機構の作動に対する抵抗力を変更する。抵抗力変更機構による抵抗力がゼロまたは小さい場合、リンク機構は作動する。抵抗力変更機構による抵抗力が大きい場合、リンク機構の作動は抑制または停止される。抵抗力変更機構による抵抗力がゼロまたは小さい場合、リンク機構の作動に連動してロッドとシリンダも動く。
特許文献1および2に記載の車両は、ステアリングシャフトの周囲に車体フレームの傾斜に連動して動くリンク機構を備えている。また当該車両は、車体フレームの傾斜とリンク機構の作動に連動して動く抵抗力変更機構を、ステアリングシャフトの周囲に備えている。そのため、傾斜可能な車体フレームと2つの前輪を備えた車両においては、リンク機構の可動範囲と抵抗力変更機構の可動範囲が干渉しないように抵抗力変更機構を設ける必要がある。さらに車両搭載部品を設ける際は、リンク機構の可動範囲と抵抗力変更機構の可動範囲の両方を避ける必要がある。そのため、傾斜可能な車体フレームと2つの前輪を備えた車両においては、ステアリングシャフトの周囲の構造が大きくなりやすい。
本発明は、傾斜可能な車体フレームと2つの前輪を備えた車両にリンク機構の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪よりも上方のステアリングシャフト周囲の構造の大型化を抑制できる技術を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明がとりうる一態様は、車両であって、
車体フレームと、
前記車体フレームの左右方向に並べて配置された右前輪および左前輪と、
下部に前記右前輪を支持し、上部に対する前記右前輪の前記車体フレームの上下方向における変位を緩衝する右緩衝装置と、
下部に前記左前輪を支持し、上部に対する前記左前輪の前記車体フレームの上下方向における変位を緩衝する左緩衝装置と、
前記右緩衝装置の上部を前記車体フレームの上下方向に延びる右軸線回りに回転可能に支持する右サイドロッドと、前記左緩衝装置の上部を前記右軸線と平行な左軸線回りに回転可能に支持する左サイドロッドと、前記右サイドロッドの上部を右端部に回転可能に支持し、前記左サイドロッドの上部を左端部に回転可能に支持し、中間部が前記車体フレームに前記車体フレームの前後方向に延びる上軸線回りに回転可能に支持される上クロスメンバと、前記右サイドロッドの下部を右端部に回転可能に支持し、前記左サイドロッドの下部を左端部に回転可能に支持し、中間部が前記車体フレームに前記上軸線と平行な下軸線回りに回転可能に支持される下クロスメンバとを含むリンク機構と、
車体フレームの左右方向における前記右サイドロッドと前記左サイドロッドの間で前記車体フレームに支持され、上端部が前記下軸線よりも前記車体フレームの上下方向における上方に設けられ、前記車体フレームの上下方向に延びる中間軸線回りに回転可能なステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトの上端部に設けられたハンドルと、
前記ハンドルの操作に応じた前記ステアリングシャフトの回転を前記右緩衝装置と前記左緩衝装置に伝達する回転伝達機構と、
前記上クロスメンバおよび前記下クロスメンバの前記車体フレームに対する回転動作に対して付与される抵抗力を変更する抵抗力変更機構と、
を備え、
前記抵抗力変更機構は、相対的に変位可能であり、かつ相対的な変位に対する抵抗力が変更可能な第1部および第2部を含み、
前記第1部は、前記右緩衝装置と前記左緩衝装置の少なくとも一方の緩衝装置に支持される第1支持部を有し、
前記第1支持部は、前記車体フレームの直立状態において、前記下クロスメンバよりも前記車体フレームの上下方向における下方で、かつ前記車体フレームの左右方向における前記中間軸線よりも前記一方の緩衝装置の回転軸線に近い位置で、前記一方の緩衝装置に支持されており、
前記第2部は、前記上クロスメンバ、前記下クロスメンバ、前記車体フレーム、他方の緩衝装置および当該他方の緩衝装置を支持するサイドロッドの少なくともいずれか一つに支持される第2支持部を有する。
上記の構成によれば、右緩衝装置は、車体フレームの傾斜に連動して、右前輪および右サイドロッドとともに、車体フレーム、上クロスメンバ、下クロスメンバ、左サイドロッドおよび左緩衝装置に対して車体フレームの上下方向に相対的に上下動する。左緩衝装置は、車体フレームの傾斜に連動して、左前輪および左サイドロッドとともに、車体フレーム、上クロスメンバ、下クロスメンバ、右サイドロッドおよび右緩衝装置に対して車体フレームの上下方向に相対的に上下動する。また、右緩衝装置は、ステアリングシャフトの回転に連動して、右前輪とともに、車体フレーム、上クロスメンバ、下クロスメンバ、左サイドロッドおよび左緩衝装置に対して相対的に回転する。左緩衝装置は、ステアリングシャフトの回転に連動して、左前輪とともに、車体フレーム、上クロスメンバ、下クロスメンバ、右サイドロッドおよび右緩衝装置に対して相対的に回転する。
上記の構成によれば、右緩衝装置および左緩衝装置の多くの部分は、車体フレームの直立状態において、下クロスメンバよりも下方に位置する。また、右緩衝装置および左緩衝装置と、リンク機構および車体フレームとの間には、互いの干渉を避けるための空間が形成されている。抵抗力変更機構の第1支持部が、車体フレームの直立状態において、下クロスメンバよりも車体フレームの上下方向の下方で右緩衝装置または左緩衝装置の一方に支持されることにより、抵抗力変更機構の可動範囲をリンク機構の可動範囲と比較してより小さくすることができる。また、右緩衝装置および左緩衝装置と、リンク機構および車体フレームとの間に形成される空間を、抵抗力変更機構の可動範囲としても利用できる。
さらに、一方の緩衝装置から見ると、上クロスメンバ、下クロスメンバおよび車体フレームの一部は上方に存在し、他方の緩衝装置、他方の緩衝装置を支持するサイドロッドおよび車体フレームの一部は左方または右方に存在する。換言すると、抵抗力変更機構の第2支持部を支持できる部位が広範囲に存在し、設計自由度が高い。そのため、抵抗力変更機構の第2支持部は、可動範囲を小さくできる部位に支持することが容易となる。これにより、抵抗力変更機構の可動範囲を小さくすることができる。
なお、緩衝装置に抵抗力変更機構が支持されると、前述した相対的な回転によって抵抗力変更機構の可動範囲が大きくなる恐れがある。しかしながら、抵抗力変更機構の第1支持部が、車体フレームの左右方向において中間軸線よりも一方の緩衝装置の回転軸線に近い位置で一方の緩衝装置に支持されることにより、前述した相対的な回転に伴う抵抗力変更機構の可動範囲が大きくなることを抑制できる。また、右緩衝装置および左緩衝装置と、リンク機構および車体フレームとの間に形成される空間を、抵抗力変更機構の可動範囲として利用することにより、前述した相対的な回転に伴う抵抗力変更機構の可動範囲が大きくなることを抑制できる。
このような構成によれば、上述したように、抵抗力変更機構の可動範囲をリンク機構の可動範囲と比較してより小さくすることができる。また、緩衝装置が回転しても、抵抗力変更機構の可動範囲が大きくなることを抑制できる。したがって、リンク機構の作動を抑制する機能を有する抵抗力変更機構の可動範囲を、ステアリングシャフトから遠ざけることができ、リンク機構の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪よりも上方のステアリングシャフトの周囲の構造の大型化を抑制できる。
前記抵抗力変更機構の前記第2支持部は、前記車体フレームの直立状態において、前記一方の緩衝装置に支持された前記抵抗力変更機構の前記第1支持部よりも前記車体フレームの上下方向の上方に配置されている構成としてもよい。
このような構成によれば、第1支持部と第2支持部は、車体フレームの傾斜に連動して、車体フレームの上下方向に相対的に上下動する。そのため、抵抗力変更機構は、その下部に第1支持部を備え、その上部に第2支持部を備え、第1支持部と第2支持部の相対的な上下動に対する抵抗力を変更可能に構成できる。これにより、抵抗力変更機構の小型化や簡略化が可能となる。また、抵抗力変更機構の可動範囲をさらに小さくできる。したがって、リンク機構の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪よりも上方のステアリングシャフトの周囲の構造の大型化を抑制できる。
前記抵抗力変更機構の前記第2支持部は、前記車体フレームの左右方向において、車体フレームの直立状態で前記右軸線および前記左軸線よりも前記中間軸線に近い位置で支持されている構成としてもよい。
このような構成によれば、第1支持部と第2支持部は、車体フレームの傾斜に連動して、車体フレームの上下方向に相対的に上下動する。また、車体フレームの傾斜に連動して、車体フレームの左右方向に相対的に左右動もする。そのため、抵抗力変更機構は、その上下動と左右動の少なくとも一方を利用できる。また、リンク機構および車体フレームと、右緩衝装置および左緩衝装置との間に形成される空間を、抵抗力変更機構の可動範囲として利用できることと併せ、抵抗力変更機構の小型化や簡略化が可能となる。また、抵抗力変更機構の可動範囲を小さくできる。したがって、リンク機構の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪よりも上方のステアリングシャフトの周囲の構造の大型化を抑制できる。
前記抵抗力変更機構の前記第1部と前記第2部の少なくとも一方は、前記一方の緩衝装置に対して前記車体フレームの上下方向に延びる軸線回りに回転可能である構成としてもよい。
このような構成によれば、一方の緩衝装置の回転軸線、および第1部と第2部の少なくとも一方の回転軸線が、ともに車体フレームの上下方向に延びる。そのため、一方の緩衝装置の回転に伴う第1部と第2部の少なくとも一方の可動範囲が大きくなることを抑制できる。したがって、リンク機構の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪よりも上方のステアリングシャフトの周囲の構造の大型化を抑制できる。
前記抵抗力変更機構の前記第1支持部は、前記一方の緩衝装置の上部に支持されている構成としてもよい。
このような構成によれば、第1支持部が前記一方の緩衝装置の下部に支持される場合と比較して、車体フレームの上下方向における抵抗力付与機構の寸法を小さくできる。そのため、抵抗力変更機構の可動範囲を小さくできる。したがって、リンク機構の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪よりも上方のステアリングシャフトの周囲の構造の大型化を抑制できる。
前記抵抗力変更機構の前記第1部は、前記右緩衝装置の下部に支持される右第1支持部と、前記左緩衝装置の下部に支持される左第1支持部を有し、
前記右第1支持部は、前記車体フレームの直立状態において、前記下クロスメンバよりも前記車体フレームの上下方向における下方で、かつ前記車体フレームの左右方向における前記中間軸線よりも前記右軸線に近い位置で、前記右緩衝装置の下部に支持され、
前記左第1支持部は、前記車体フレームの直立状態において、前記下クロスメンバよりも前記車体フレームの上下方向における下方で、かつ前記車体フレームの左右方向における前記中間軸線よりも前記左軸線に近い位置で、前記左緩衝装置の下部に支持される構成としてもよい。
このような構成によれば、抵抗力変更機構により付与される抵抗力を、右緩衝装置や左緩衝装置の変位を抑制するように作用させることもできる。
第1の実施形態に係る三輪車両の全体を示す左側面図である。 車体カバーを外した状態での三輪車両の全体を示す正面図である。 図1の三輪車両における第2前輪と第2緩衝装置の関係を示す左側面図である。 図1の三輪車両の一部を示す左側面図である。 図1の三輪車両が傾斜した状態を示す正面図である。 図1の三輪車両における操作力伝達機構を拡大して示す正面図である。 図6の操作力伝達機構の動作を模式的に示す図である。 図1の三輪車両における第2ブラケットと第2前輪の動作を模式的に示す図である。 図1の三輪車両における変形抑制機構の一部を示す左側面図である。 図1の三輪車両における変形抑制機構の一部を示す斜視図である。 第2の実施形態に係る三輪車両の一部を前方から見た斜視図である。 図11の三輪車両の前部を背面側から見た斜視図である。 第2の実施形態の変形例に係る三輪車両の変形抑制機構を背面側から見た斜視図である。 第3の実施形態に係る三輪車両において車体カバーを外した状態を示す正面図である。 図14の三輪車両における変形抑制機構を示す正面図である。 図15の変形抑制機構の一部を示す斜視図である。 図14の三輪車両において第1前輪と第2前輪が相対移動した状態を示す正面図である。 第4の実施形態に係る三輪車両において車体カバーを外した状態を示す斜視図である。 図18の三輪車両の下部を示す斜視図である。 図18の三輪車両において第1前輪と第2前輪の相対移動を規制した状態を示す斜視図である。 第5の実施形態に係る三輪車両の一部を示す正面図である。 第6の実施形態に係る三輪車両の一部を示す正面図である。

以下、本発明の好ましい実施形態に係る車両の一種である三輪車両について、添付の図面を参照しつつ説明する。
[第1の実施形態]
図1から図10を参照しつつ、本発明の第1の実施形態に係る三輪車両1について説明する。同一または相当する要素には同一符号を付してその部材についての説明は繰り返さない。以下、図中の矢印Fは、三輪車両1の前方向を示す。図中の矢印Rは、三輪車両1の右方向を示す。図中の矢印Lは、三輪車両1の左方向を示す。矢印Uは、鉛直上方向を示す。車幅方向外方とは車幅方向中央から左方または右方に向かう方向を意味している。
〈全体構成〉
図1は、三輪車両1の全体側面図である。なお、以下の説明において前後左右と方向を示す場合、三輪車両1を運転する乗員から見た前後左右の方向を意味するものとする。
三輪車両1は、車体本体2、前輪3、および後輪4を備えている。車体本体2は、車体フレーム21、車体カバー22、ハンドル23、シート24、およびパワーユニット25を備えている。
車体フレーム21は、パワーユニット25やシート24などを支持する。パワーユニット25は、エンジン、およびミッション装置などを含んでいる。図1では車体フレーム21は破線で示されている。
車体フレーム21は、ヘッドパイプ211と、ダウンフレーム212と、リアフレーム213とを含んでいる。ヘッドパイプ211は、車両の前部に配置されている。ヘッドパイプ211の周囲には、リンク機構5が配置されている。ヘッドパイプ211には、ステアリングシャフト60が回転自在に挿入されている。ステアリングシャフト60は略上下方向に延びている。ステアリングシャフト60の上端部には、ハンドル23が設けられている。ダウンフレーム212は、前端から後方に向かって下方に傾斜する。リアフレーム213は、シート24、およびテールランプなどを支持する。ハンドル23にはスイッチ23aが取り付けられている。
車体フレーム21は、車体カバー22によって覆われている。車体カバー22は、フロントカバー221、フロントフェンダー223、およびリアフェンダー224を含んでいる。
フロントカバー221は、シート24の前方に位置している。フロントカバー221は、ヘッドパイプ211、およびリンク機構5を覆っている。
フロントフェンダー223は、左右一対の前輪3の上方にそれぞれ配置されている。フロントフェンダー223は、フロントカバー221の下方に配置されている。リアフェンダー224は、後輪4の上方に配置されている。
前輪3は、ヘッドパイプ211、およびリンク機構5よりも下方に位置している。前輪3は、フロントカバー221の下方に配置されている。後輪4は、車体カバー22の下方に配置されている。
〈三輪車両の前部の構成〉
図2は、車体カバー22を外した状態において三輪車両1を示す全体正面図である。図2では、ダウンフレーム212などは省略している。
三輪車両1は、ハンドル23、ステアリングシャフト60、ヘッドパイプ211、左右一対の前輪3、第1緩衝装置33、第1回転防止機構340、第2緩衝装置35、第2回転防止機構360、リンク機構5、操作力伝達機構6、および変形抑制機構7を備えている。
前輪3は、車体フレーム21の左右方向に並べて配置された第1前輪31、および第2前輪32を含んでいる。右前輪の一例としての第1前輪31は、車幅方向中央に対して右方に配置されている。第1前輪31の上方には、第1フロントフェンダー223aが配置されている。左方前輪の一例としての第2前輪32は、車幅方向中央に対して左方に配置されている。第2前輪32の上方には、第2フロントフェンダー223bが配置されている。第2前輪32は、車体フレーム21の左右方向について、第1前輪31と対称に配置されている。本明細書において「車体フレーム21の左右方向」とは、三輪車両1の正面視でヘッドパイプ211の軸方向に直交する方向を指す。
右緩衝装置の一例としての第1緩衝装置33は、下部に第1前輪31を支持し、上部に対する第1前輪31の車体フレーム21の上下方向における変位を緩衝する。第1緩衝装置33は、第1緩衝器330と第1回転防止機構340を備えている。本明細書において「車体フレーム21の上下方向」とは、三輪車両1の正面視でヘッドパイプ211の軸方向に沿う方向を指す。
左緩衝装置の一例としての第2緩衝装置35は、下部に第2前輪32を支持し、上部に対する第2前輪32の車体フレーム21の上下方向における変位を緩衝する。第2緩衝装置35は、第2緩衝器350と第2回転防止機構360を備えている。
図3は、第2前輪32と第2緩衝装置35の関係を示す左側面図である。
第2緩衝器350は、第2支持部材321を備えている。第2支持部材321は、第2第2外筒322、第2支持軸323、および第2内筒326を含んでいる。第2外筒322の内周側には、第2内筒326の一部が挿入されている。第2内筒326は、第2外筒322の上方に配置されている。第2内筒326は、第2外筒322の延びる方向において、第2外筒322に対して相対移動可能である。第2緩衝器350は、いわゆるテレスコピック式の緩衝器である。
第2回転防止機構360は、第2外筒322の第2内筒326に対する回転を防止する。第2回転防止機構360は、第2ガイド325、第2回転防止ロッド361、および第2ブラケット327を含んでいる。第2ガイド325は、第2回転防止ロッド361の移動方向をガイドしている。第2ガイド325は、第2ガイド筒325bを含んでいる。第2ガイド筒325bの内周側には、第2回転防止ロッド361が挿入されている。第2回転防止ロッド361は、第2ガイド筒325bに対して相対移動可能である。第2回転防止ロッド361は、第2前輪32が第2内筒326に対して相対回転することを防止する。第2回転防止ロッド361は、第2緩衝器350と平行に配置されている。第2回転防止ロッド361の上端と第2内筒326の上端は、第2ブラケット327に固定されている。これにより、第2回転防止ロッド361は、第2内筒326に対して相対移動不能である。
図2に示すように、第2前輪32は、第2支持部材321に支持されている。第2前輪32は、第2支持部材321の下部に接続されている。第2支持軸323は、第2外筒322の下端に設けられ、第2前輪32を支持している。第2ガイド325は、第2プレート325aを含んでいる。第2プレート325aは、第2フロントフェンダー223bの上方まで延びている。第2前輪32は、第2中心軸Yを中心に回転して向きを変えることができる。第2中心軸Yは、第2プレート325aと第2接続点325cで交わっている。
第1緩衝器330は、第1支持部材331を備えている。第1支持部材331は、第1外筒332、第1支持軸334、および第1内筒336を含んでいる。第1緩衝器330は、図3を参照して説明した第2緩衝器350と同様の構成を有している。すなわち、第1外筒332の内周側には、第1内筒336の一部が挿入されている。第1内筒336は、第1外筒332の上方に配置されている。第1内筒336は、第1外筒332の延びる方向において、第1外筒332に対して相対移動可能である。第1緩衝器330は、いわゆるテレスコピック式の緩衝器である。
第1回転防止機構340は、第1外筒332の第1内筒336に対する回転を防止する。第1回転防止機構340は、図3を参照して説明した第2回転防止機構360と同様の構成を有している。すなわち、第1回転防止機構34は、第1ガイド333、第1回転防止ロッド341、および第1ブラケット335を含んでいる。第1ガイド333は、第1回転防止ロッド341の移動方向をガイドしている。第1ガイド333は、第1ガイド筒333bを含んでいる。第1ガイド筒333bの内周側には、第1回転防止ロッド341が挿入されている。第1回転防止ロッド341は、第1ガイド筒333bに対して相対移動可能である。第1回転防止ロッド341は、第1前輪31が第1内筒336に対して相対回転するのを防止する。第1回転防止ロッド341は、第1緩衝器330と平行に配置されている。第1回転防止ロッド341と第1内筒336の上端は、第1ブラケット335に固定されている。これにより、第1回転防止ロッド341は、第1内筒336に対して相対移動不能である。
第1前輪31は、第1支持部材331に支持されている。第1前輪31は、第1支持部材331の下部に接続されている。第1支持軸334は、第1外筒332の下端に設けられ、第1前輪31を支持している。第1ガイド333は、第1プレート333aを含んでいる。第1プレート333aは、第1フロントフェンダー223aの上方まで延びている。第1前輪31は、第1中心軸Xを中心に回転して向きを変えることができる。第1中心軸Xは第1プレート333aと第1接続点333cで交わっている。
<リンク機構>
リンク機構5は、ハンドル23の下方に配置されている。リンク機構5は第1前輪31、および第2前輪32の上方に配置されている。リンク機構5は、ヘッドパイプ211に接続されている。リンク機構5は、第1クロス部材51(上クロスメンバの一例)、第2クロス部材52(下クロスメンバの一例)、第1サイド部材53(右サイドロッドの一例)、および第2サイド部材54(左サイドロッドの一例)を含んでいる。
図4に示すように、第1クロス部材51は、一対の板状の部材512を含んでいる。第1クロス部材51は、車体フレーム21の左右方向に延びている。一対の板状の部材512は、車体フレーム21の前後方向においてヘッドパイプ211を挟んでいる。本明細書において「車体フレーム21の前後方向」とは、三輪車両1の前後方向と一致する方向を指す。本明細書において「車体フレーム21の左右方向に延びる」とは、車体フレーム21の左右方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの上下方向および前後方向と比較して左右方向に近い傾きで延びることを指す。
図2に示すように、第1クロス部材51の中間部は、支持部Aによって車体フレーム21(ヘッドパイプ211)に支持されている。第1クロス部材51の中間部は、支持部Aにおいて車体フレーム21の前後方向に延びる回転軸線(上軸線の一例)を中心として回転可能に車体フレーム21に支持されている。ハンドル23の回転に伴ってステアリングシャフト60が回転した場合であっても、第1クロス部材51は、ステアリングシャフト60の回転軸線回りには回転しない。本明細書において「車体フレーム21の前後方向に延びる」とは、車体フレーム21の前後方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの上下方向および左右方向と比較して前後方向に近い傾きで延びることを指す。
図2に示すように、第1クロス部材51の右端部は、接続部Bによって第1サイド部材53の上部に接続されている。第1サイド部材53の上部は、第1クロス部材51の右端部により、接続部Bにおいて車体フレーム21の前後方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に支持されている。第1クロス部材51の左端部は、接続部Cによって第2サイド部材54の上部に接続されている。第2サイド部材54の上部は、第1クロス部材51の左端部により、接続部Cにおいて車体フレーム21の前後方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に支持されている。
図4に示すように、第2クロス部材52は、一対の板状の部材522を含んでいる。第2クロス部材52は、車体フレーム21の左右方向に延びている。一対の板状の部材522は、車体フレーム21の前後方向においてヘッドパイプ211を挟んでいる。第2クロス部材52は、車体フレーム21の直立状態において、第1クロス部材51よりも下方かつ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35よりも上方に配置されている。
第2クロス部材52の中間部は、支持部Dによって車体フレーム21(ヘッドパイプ211)に支持されている。第2クロス部材52の中間部は、支持部Dにおいて車体フレーム21の前後方向に延びる回転軸線(下軸線の一例)を中心として回転可能に車体フレーム21に支持されている。支持部Dにおいて車体フレーム21の前後方向に延びる回転軸線は、支持部Aにおいて車体フレーム21の前後方向に延びる回転軸線と平行である。ハンドル23の回転に伴ってステアリングシャフト60が回転した場合であっても、第2クロス部材52は、ステアリングシャフト60の回転軸線回りには回転しない。
図2に示すように、第2クロス部材52の右端部は、接続部Eによって第1サイド部材53の下部に接続されている。第1サイド部材53の下部は、第2クロス部材52の右端部により、接続部Eにおいて車体フレーム21の前後方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に支持されている。第2クロス部材52の左端部は、接続部Fによって第2サイド部材54の下部に接続されている。第2サイド部材54の下部は、第2クロス部材52の左端部により、接続部Fにおいて車体フレーム21の前後方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に支持されている。
本実施形態では、第1クロス部材51、および第2クロス部材52は、左右方向に延びる前後一対の板状部材を含む構成であるが、第1クロス部材51、および第2クロス部材52は、それぞれヘッドパイプ211から右方向に延びる部材と、ヘッドパイプ211から左方向に延びる部材とを含む構成であってもよい。
第1サイド部材53は、ヘッドパイプ211の右方に配置されている。第1サイド部材53は、ヘッドパイプ211とステアリングシャフト60の延びる方向と略平行な方向に延びている。第1サイド部材53は、第1前輪31と第1緩衝装置33の上方に配置されている。第1サイド部材53は、第1緩衝装置33の上部を、第1中心軸X(右軸線の一例)を中心に回転可能に支持している。
第2サイド部材54は、ヘッドパイプ211の左方に配置されている。第2サイド部材54は、ヘッドパイプ211とステアリングシャフト60の延びる方向と略平行な方向に延びている。第2サイド部材54は、第2前輪32と第2緩衝装置35の上方に配置されている。第2サイド部材54は、第2緩衝装置35の上部を、第2中心軸Y(左軸線の一例)を中心に回転可能に支持している。
ステアリングシャフト60は、車体フレーム21の左右方向における第1サイド部材53と第2サイド部材54の間で車体フレーム21に支持されている。ステアリングシャフト60の上端部は、第2クロス部材52の支持部Dにおける回転軸線よりも車体フレーム21の上下方向における上方に設けられている。ステアリングシャフト60は、車体フレーム21(ヘッドパイプ211)の上下方向に延びる中間軸線Zを中心に回転可能とされている。本明細書において「車体フレーム21の上下方向に延びる」とは、車体フレーム21の上下方向に対して傾いて延びることを含み、車体フレームの前後方向および左右方向と比較して上下方向に近い傾きで延びることを指す。
図5は、車体フレーム21が角度Tだけ左方に傾斜した状態を示す正面図である。車体フレーム21の上方を矢印UFで示している。三輪車両1の直立状態においては、車体フレーム21の上方UFと鉛直上方Uは一致している。三輪車両1が傾斜した状態においては、車体フレーム21の上方UFと鉛直上方Uは相違する。
車体フレーム21が左右方向に傾斜すると、リンク機構5は変形する。乗員が三輪車両1を角度Tだけ左方に傾斜させようとすると、車体フレーム21(ヘッドパイプ211)が直立状態における姿勢から左方に傾斜する。これに伴い、第1クロス部材51と第2クロス部材52は、ヘッドパイプ211、第1サイド部材53、および第2サイド部材54に対して回転する。このとき第1クロス部材51と第2クロス部材52の延びる方向は、正面視で略平行である。ヘッドパイプ211の左方への傾斜に伴って第1クロス部材51の左端部は第2クロス部材52の左端部よりも左方に移動する。これにより、第2サイド部材54が直立状態における姿勢から左方へ傾斜する。このとき、第2サイド部材54の延びる方向は、正面視でヘッドパイプ211の延びる方向と略平行である。第2サイド部材54と同様に、第1サイド部材53も直立状態における姿勢から左方へ傾斜する。第1サイド部材53の延びる方向は、正面視でヘッドパイプ211の延びる方向に対して平行である。上記のようなリンク機構5の変形に伴い、第2前輪32は、第1前輪31よりも車体フレーム21の上方向(UF方向)に変位し、三輪車両1の左方への傾斜が許容される。
同様にして、乗員が三輪車両1を右に傾斜させようとすると、車体フレーム21(ヘッドパイプ211)が直立状態における姿勢から右方に傾斜する。これに伴い、第1クロス部材51と第2クロス部材52は、ヘッドパイプ211、第1サイド部材53、および第2サイド部材54に対して回転する。このとき第1クロス部材51と第2クロス部材52の延びる方向は、正面視で略平行である。ヘッドパイプ211の右方への傾斜に伴って第1クロス部材51の左端部は第2クロス部材52の左端部よりも右方に移動する。これにより、第2サイド部材54が直立状態における姿勢から右方へ傾斜する。このとき、第2サイド部材54の延びる方向は、正面視でヘッドパイプ211の延びる方向と略平行である。第2サイド部材54と同様に、第1サイド部材53も直立状態における姿勢から右方へ傾斜する。第1サイド部材53の延びる方向は、正面視でヘッドパイプ211の延びる方向に対して平行である。上記のようなリンク機構5の変形に伴い、第1前輪31は、第2前輪32よりも車体フレーム21の上方向に変位し、三輪車両1の右方への傾斜が許容される。
<操作力伝達機構>
回転伝達機構の一例としての操作力伝達機構6は、ハンドル23の操作に応じたステアリングシャフト60の回転を第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に伝達し、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35を、それぞれ第1中心軸Xと第2中心軸Yを中心に回転させる。操作力伝達機構6の一部は、第2クロス部材52の下方に配置されている。操作力伝達機構6は、第1前輪31、および第2前輪32よりも上方に配置されている。
図2に示すように、第1サイド部材53の下端部は、第1ブラケット335に接続されている。第1ブラケット335は、第1サイド部材53に対して第1中心軸Xを中心に回転可能に取り付けられている。操作力伝達機構6は、ステアリングシャフト60の下端部と第1ブラケット335を連結している。操作力伝達機構6は、ハンドル23の回転操作に伴うステアリングシャフト60の回転を第1ブラケット335に伝達する。これにより第1ブラケット335は、第1サイド部材53に対して第1中心軸Xを中心に回転する。第1サイド部材53は、ハンドル23が回転操作されても、車体フレーム21に対して回転しない。
第2サイド部材54の下端部は、第2ブラケット327に接続されている。第2ブラケット327は、第2サイド部材54に対して第2中心軸Yを中心に回転可能に取り付けられている。操作力伝達機構6は、ステアリングシャフト60の下端部と第2ブラケット327を連結している。操作力伝達機構6は、ハンドル23の回転操作に伴うステアリングシャフト60の回転を第2ブラケット327に伝達する。これにより第2ブラケット327は、第2サイド部材54に対して第2中心軸Yを中心に回転する。第2サイド部材54は、ハンドル23が回転操作されても、車体フレーム21に対して回転しない。
図6は、操作力伝達機構6を拡大して示す正面図である。操作力伝達機構6は、ステアリングシャフト60、第1伝達プレート61、第2伝達プレート62、第3伝達プレート63、第1伝達部材67、第1ブラケット335、および第2ブラケット327を含んでいる。
第1伝達プレート61は、ステアリングシャフト60の下端部に接続されている。第1伝達プレート61は、ステアリングシャフト60に対して回転不能である。ハンドル23をヘッドパイプ211に対して回転させると、ステアリングシャフト60がヘッドパイプ211に対して回転する。ステアリングシャフト60の回転に伴って、第1伝達プレート61は回転する。
第2伝達プレート62は、第1緩衝装置33の第1ブラケット335に固定され、第1サイド部材53に対して第1ブラケット335とともに回転可能とされている。第2伝達プレート62は、第1ブラケット335よりも下方に位置している。
第3伝達プレート63は、正面視において、第1伝達プレート61を中心として第2伝達プレート62と対称に配置されている。第3伝達プレート63は、第2緩衝装置35の第2ブラケット327に固定され、第2サイド部材54に対して第2ブラケット327とともに回転可能とされている。第3伝達プレート63は、第2ブラケット327よりも下方に位置している。
本明細書においては、第1緩衝装置33に対して固定され、第1緩衝装置33とともに回転可能な部位は、第1緩衝装置33の一部とする。したがって、操作力伝達機構6の第2伝達プレート62は、第1緩衝装置33の一部でもある。同様に、第2緩衝装置35に対して固定され、第2緩衝装置35とともに回転可能な部位は、第2緩衝装置35の一部とする。したがって、操作力伝達機構6の第3伝達プレート63は、第2緩衝装置35の一部でもある。
第1伝達部材67は、ステアリングシャフト60から伝達された操作力を第1ブラケット335、および第2ブラケット327に伝達する。第1伝達部材67は、車体フレーム21の左右方向に延びている。操作力をステアリングシャフト60から第1ブラケット335、および第2ブラケット327に伝達する詳細な構成については後述する。
図7は、操作力伝達機構6の構成を示す概略平面図である。図7は、操作力伝達機構6を上方から見ており、リンク機構5やブラケットなどの構成はすべて省略している。図7において、二点鎖線は、ステアリングシャフト60を矢印Aの方向に回転させた状態を示している。
操作力伝達機構6は、第1ジョイント64、第2ジョイント65、および第3ジョイント66をさらに含んでいる。
第1伝達プレート61の前部は、第1伝達プレート61の後部よりも狭い幅になっている。第1伝達プレート61の前部には第1ジョイント64が配置されている。
第2伝達プレート62の前部の幅は、第2伝達プレート62の後部の幅よりも狭い。第2伝達プレート62の前部には第2ジョイント65が配置されている。第2伝達プレート62は、第1伝達プレート61の右方に配置されている。
第3伝達プレート63の前部の幅は、第3伝達プレート63の後部の幅よりも狭い。第3伝達プレート63の前部には第3ジョイント66が配置されている。第3伝達プレート63は、第1伝達プレート61の左方に配置されている。
第1ジョイント64は、第1軸受641、第1軸642、および第1フロントロッド643を含んでいる。第1軸642は、第1軸受641に対して相対回転可能である。第1軸受641は、第1軸642を支持する。第1軸受641は、第1伝達プレート61に支持されている。第1伝達プレート61は、第1軸642を支持する第1支持孔641bを含んでいる。第1軸642は、第1支持孔641bに嵌入されている。第1軸受641は、第1軸642に固定されている。第1軸642は、第1伝達プレート61の前端に配置されている。
第1フロントロッド643は、第1軸受641から前方に延びている。第1フロントロッド643は、第1軸受641が第1伝達プレート61に対して回転することで、第1軸642を中心に左右方向に相対回転可能である。第1フロントロッド643は、第1軸受641に固定されている。
第2ジョイント65は、第2軸受651、第2軸652、および第2フロントロッド653を含んでいる。第2軸受651は、第1軸受641と同様の構成である。第2軸652は、第1軸642と同様の構成である。第2フロントロッド653は、第1フロントロッド643と同様の構成である。
第3ジョイント66は、第3軸受661、第3軸662、および第3フロントロッド663を含んでいる。第3軸受661は、第1軸受641と同様の構成である。第3軸662は、第1軸642と同様の構成である。第3フロントロッド663は、第1フロントロッド643と同様の構成である。
第1伝達部材67は、第1リング671、第2リング672、第3リング673を含んでいる。第1リング671には、第1フロントロッド643が挿入されている。第1リング671は、第1伝達部材67の左右方向中央に設けられている。第2リング672は、第1リング671の右方に配置されている。第2リング672には、第2フロントロッド653が挿入されている。第3リング673は、第1リング671の左方に配置されている。第3リング673には、第3フロントロッド663が挿入されている。
図8は、第2前輪32、および第2ブラケット327の平面図である。図8の二点鎖線は、第2前輪32が旋回した状態を示す。なお、第2フロントフェンダー223bは図示を省略されている。
第2ブラケット327は、上述のように、第2サイド部材54に接続されている。第2ブラケット327には、第3伝達プレート63が取り付けられている。
ステアリングシャフト60が回転すると、ステアリングシャフト60の回転に伴って第1伝達プレート61が回転する。ここでは、例えば、ステアリングシャフト60が図7の矢印Aの方向に回転すると、第1伝達プレート61の回転に伴って、第1ジョイント64が右後方に移動する。このとき、第1軸受641に対して第1軸642が回転し、第1伝達部材67の姿勢を維持しながら第1伝達部材67を右後方に移動させる。第1伝達部材67の右方向への移動に伴って第2フロントロッド653、および第3フロントロッド663が右後方に移動する。第2フロントロッド653、および第3フロントロッド663が右後方に移動すると、第2軸受651、および第3軸受661は右後方に移動する。第2軸受651、および第3軸受661の右後方への移動に伴って、第2伝達プレート62、および第3伝達プレート63は、それぞれ第1サイド部材53、および第2サイド部材54を中心として、矢印Aの方向に回転する。これにより、図7における二点破線で示す状態となる。第2伝達プレート62の回転中心は、第1中心軸Xと一致している。第3伝達プレート63の回転中心は、第2中心軸Yと一致している。
第3伝達プレート63が第3サイド部材54を中心に回転すると、第3伝達部材69を介して第2ブラケット327が図8の矢印Bの方向に回転する。第2ブラケット327が矢印Bの方向に回転すると、第2緩衝器350を介して第2前輪32が図8の矢印Cの方向に回転する。前輪32は、第2中心軸Yを中心として右方へ回転する。このとき、前輪32は、図8の二点鎖線で示す状態となる。第1前輪31は、第2前輪32と同様にして第1中心軸Xを中心として右方へ回転する。このように、ハンドル23を車体フレーム21の左右方向に操作することで、第1前輪31、および第2前輪32が車体フレーム21の左右方向に回転する。
<変形抑制機構>
抵抗力変更機構の一例としての変形抑制機構7は、リンク機構5の変形を抑制する。具体的には、第1クロス部材51と第2クロス部材52の車体フレーム21に対する回転動作に対して付与される抵抗力を変更する。図2に示すように、変形抑制機構7は、第1接続部材11、第2接続部材12、および抑制機構75を備えている。
第1接続部材11は、第1プレート333aに取り付けられている。第1接続部材11は、第1プレート333aが第1中心軸Xと交わる第1接続点333cに取り付けられている。ここで、第1接続部材11は、第1接続点333cと厳密に一致する位置に配置されていなくともよい。すなわち、第1接続部材11は、第1接続点333cから少しずれた位置に配置されていてもよい。第1接続部材11は、第1プレート333aの上面に取り付けられている。第1接続部材11は、第1プレート333aからヘッドパイプ211に向かって延びている。
第2接続部材12は、第2プレート325aに取り付けられている。第2接続部材12は、第2プレート325aが第2中心軸Yと交わる第2接続点325cに取り付けられている。ここで、第2接続部材12は、第2接続点325cと厳密に一致する位置に配置されていなくともよい。すなわち、第2接続部材12は、第2接続点325cから少しずれた位置に配置されていてもよい。第2接続部材12は、第2プレート325aの上面に取り付けられている。第2接続部材12は、第2プレート325aからヘッドパイプ211に向かって延びている。
抑制機構75は、第1接続部材11のヘッドパイプ211に対する移動を抑制する。抑制機構75は、第2接続部材12のヘッドパイプ211に対する移動を抑制する。
図9は、抑制機構75の一部を示す左側面図である。抑制機構75は、キャリパー72、レバー73、および接続機構74を含んでいる。キャリパー72は、ヘッドパイプ211の右方と左方にそれぞれ配置されている。しかし、図9では、左方のキャリパー72だけを示している。第1接続部材11は第2接続部材12と同じ構成であるため、説明を省略する。図9には、左方の第2接続部材12のみを示している。
第2接続部材12は、回転支持部12a、およびポール12bを含んでいる。回転支持部12aは、ポール12bの一端を支持している。回転支持部12aは、ポール12bを車体フレーム21の左右方向に延びる回転軸を中心として矢印Dの方向に回転可能に支持している。ポール12bは、第2プレート325aから後方に向かって上方に延びている。ポール12bの後端は、自由端とされている。ポール12bの一部は、キャリパー72により支持されている。ポール12bとキャリパー72は相対的に変位可能とされている。
図10は、抑制機構75の一部を示す斜視図である。回転支持部12aは、ポール12bを矢印Dの方向に回転可能に支持しているだけではなく、矢印Vの方向に回転可能に支持している。矢印Vは、車体フレーム21の上下方向に延びる回転軸(第2中心軸Y)を中心として回転する方向を示している。キャリパー72は、ダウンフレーム212よりも車幅方向外方に配置されている。キャリパー72は、支持部材72aを有している。支持部材72aは、車体フレーム21に接続されている。レバー73は、ダウンフレーム212の後方に配置されている。
レバー73は、キャリパー72を操作する際に用いられる。レバー73は、接続機構74に接続されている。レバー73は、車体カバー22に取り付けられている。
接続機構74は、レバー73とキャリパー72を接続する。接続機構74は、レバー73が操作された際に、第2接続部材12のポール12bを把持するようにキャリパー72を動作させる。
キャリパー72がポール12bを把持することにより、第2接続部材12とキャリパー72の相対的な変位に対する抵抗力が増加する。これにより、第2接続部材12とキャリパー72の相対移動が抑制される。同様にして、第1接続部材11とキャリパー72の相対移動が抑制される。すなわちキャリパー72は、レバー73が操作されると、第1接続部材11と第2接続部材12のヘッドパイプ211に対する移動を抑制する。
三輪車両1の傾斜(すなわちリンク機構5の変形)を抑制したい場合(駐車時など)、乗員は、レバー73を操作する。レバー73が操作されると、キャリパー72は、第1接続部材11と第2接続部材12のヘッドパイプ211に対する移動を抑制する。これにより、第1前輪31と第2前輪32の車体フレーム21の上下方向への移動が抑制され、リンク機構5の変形が抑制される。リンク機構5の変形が抑制されるため、三輪車両1は現在の状態よりもさらに傾斜することが抑制される。
以上説明したように、変形抑制機構7は、相対的に変位可能な第1接続部材11と第2接続部材12(第1部の一例)、およびキャリパー72(第2部の一例)を含み、これらの相対的な変位に対する抵抗力が変更可能とされている。図2に示すように、第1接続部材11と第2接続部材12は、それぞれ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に支持される回転支持部11a、12aを(第1支持部の一例)を有している。図6に示すように、キャリパー72は、車体フレーム21(ダウンフレーム212)に支持される支持部材72a(第2支持部の一例)を有している。図2に示すように、車体フレーム21の直立状態において、回転支持部11aが支持される位置は、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第1中心軸Xに近い。車体フレーム21の直立状態において、回転支持部12aが支持される位置は、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第2中心軸Yに近い。
上記の構成によれば、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35の多くの部分は、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも下方に位置する。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間には、互いの干渉を避けるための空間が形成されている。変形抑制機構7の回転支持部11a、12aが、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で第1緩衝装置33および第2緩衝装置35に支持されることにより、変形抑制機構7の可動範囲をリンク機構5の可動範囲と比較してより小さくすることができる。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間に形成される空間を、変形抑制機構7の可動範囲としても利用できる。
さらに、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35から見ると、車体フレーム21の一部は上方に存在する。換言すると、変形抑制機構7の支持部材72aを支持できる部位が広範囲に存在し、設計自由度が高い。そのため、支持部材72aは、可動範囲を小さくできる部位に支持することが容易となる。これにより、変形抑制機構7の可動範囲を小さくすることができる。
なお、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に変形抑制機構7が支持されると、前述した相対的な回転によって変形抑制機構7の可動範囲が大きくなる恐れがある。しかしながら、回転支持部11a、12aが、中間軸線Zよりも第1中心軸Xと第2中心軸Yに近い位置でそれぞれ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に支持されることにより、前述した相対的な回転に伴う変形抑制機構7の可動範囲が大きくなることを抑制できる。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間に形成される空間を、変形抑制機構7の可動範囲として利用することにより、前述した相対的な回転に伴う変形抑制機構7の可動範囲が大きくなることを抑制できる。
このような構成によれば、上述したように、変形抑制機構7の可動範囲をリンク機構5の可動範囲と比較してより小さくすることができる。また、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35が回転しても、変形抑制機構7の可動範囲が大きくなることを抑制できる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を有する変形抑制機構7の可動範囲を、ステアリングシャフト60から遠ざけることができ、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
図9と図10に示すように、キャリパー72の支持部材72aは、車体フレーム21の直立状態において、回転支持部11a、12aよりも上方に配置されている。
このような構成によれば、回転支持部11a、12aと支持部材72aは、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の上下方向に相対的に上下動する。そのため、変形抑制機構7は、その下部に回転支持部11a、12aを備え、その上部に支持部材72aを備え、回転支持部11a、12aと支持部材72aの相対的な上下動に対する抵抗力を変更可能に構成できる。これにより、変形抑制機構7の小型化や簡略化が可能となる。また、変形抑制機構7の可動範囲をさらに小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
図6に示すように、また支持部材72aは、車体フレーム21の直立状態において、第1中心軸Xと第2中心軸Yよりも中間軸線Zの近くに配置されている。
このような構成によれば、回転支持部11a、12aと支持部材72aは、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の上下方向に相対的に上下動する。また、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の左右方向に相対的に左右動もする。そのため、変形抑制機構7は、その上下動と左右動の少なくとも一方を利用できる。また、リンク機構5および車体フレーム21と、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35との間に形成される空間を、変形抑制機構7の可動範囲として利用できることと併せ、変形抑制機構7の小型化や簡略化が可能となる。また、変形抑制機構7の可動範囲を小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
図10を参照して説明したように、第1接続部材11と第2接続部材12は、それぞれ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に対して車体フレーム21の上下方向に延びる軸線(第1中心軸Xと第2中心軸Y)を中心に回転可能である。
このような構成によれば、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の回転軸線、および第1接続部材11と第2接続部材12の回転軸線が、ともに車体フレーム21の上下方向に延びる。そのため、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の回転に伴う第1接続部材11と第2接続部材12の可動範囲が大きくなることを抑制できる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
図2に示すように、第1接続部材11は、第1緩衝装置33の下部に配置された第1支持部331に支持される回転支持部11a(右第1支持部の一例)を有する。第2接続部材12は、第2緩衝装置35の下部に配置された第2支持部材321に支持される回転支持部12a(左第1支持部の一例)を有する。回転支持部11aが支持される位置は、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第1中央軸Xに近い。回転支持部12aが支持される位置は、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第2中央軸Yに近い。
このような構成によれば、変形抑制機構7により付与される抵抗力を、第1緩衝装置33や第2緩衝装置35の変位を抑制するように作用させることも可能となる。
第1の実施形態の構成においては、第1前輪31と第2前輪32の車体フレーム21の上下方向における位置が異なる状態で、第1前輪31と第2前輪32のヘッドパイプ211に対する移動を抑制することができるため、三輪車両1を傾斜させた状態や、段差の上に一方の前輪3を乗り上げた状態で駐車することができる。
第1の実施形態の構成においては、変形抑制機構7の一部が第2クロス部材52よりも下方に配置されているため、変形抑制機構7の全てが第2クロス部材52よりも上方に配置されている構成と比べて、三輪車両1の重心を低くできる。
第1の実施形態の構成においては、回転支持部11aが第1接続点333cに配置されている。また回転支持部12aが第2接続点325cに配置されている。このため、第1前輪31が第1中心軸Xを中心に回転し、第2前輪32が第2中心軸Yを中心に回転しても、第1接続点333c、および第2接続点325cのヘッドパイプ211に対する位置は変わらない。したがって、第1接続部材11と第2接続部材12によって、第1前輪31と第2前輪32の回転が妨げられない。
[第2の実施形態]
次に図11から図13を参照しつつ、本発明の第2の実施形態に係る三輪車両10について説明する。図11は、三輪車両10の一部を示す斜視図である。図11では、ハンドル、およびステアリングシャフトの図示は省略している。第1の実施形態と同一または同様の構成を有する要素は、図示を省略するか同じ番号を付し、繰り返しとなる説明を省略する。
第2の実施形態に係る三輪車両10は、変形抑制機構8を備えている。変形抑制機構8は、リンク機構5の変形を抑制する構成が第1の実施形態に係る変形抑制機構7とは異なっている。
図12は、三輪車両10の一部を後方から見た拡大図である。変形抑制機構8は、第1接続部材13、第2接続部材14、および抑制機構76を備えている。
第1緩衝装置33の第1支持部材331は、第1ガイド333を含んでいる。第1ガイド333は、第1支持プレート131を含んでいる。第1支持プレート131は、第1前輪31よりも上方に位置している。第1支持プレート131は、第1ガイド333から車体フレーム21の右方に延びている。第1支持プレート131は、第1固定部材131aを含んでいる。第1固定部材131aは、第1中心軸Xと第1支持プレート131とが交わる第1接続点131cに配置されている。
第1接続部材13は、第1支持アーム132、第1接続アーム133、および第1取付部材134を含んでいる。
第1支持アーム132は、第1支持プレート131に交差する方向に延びている。第1支持アーム132は、第1固定部材131aに固定されている。第1支持アーム132の上端部は、第1接続アーム133を回転自在に支持している。第1支持アーム132は、第1中心軸Xと第1支持プレート131とが交わる第1接続点131cにおいて、第1中心軸Xを中心に回転可能とされている。すなわち、第1支持アーム132と第1接続アーム133は、相対的に変位可能とされている。
第1接続アーム133の一端部は、リンク機構5の第1サイド部材53に支持された第1ブラケット335に接続されている。第1接続アーム133は、第1支持アーム132の上端部から左後方に向かって延びている。第1取付部材134は、車体フレーム21に固定されている。第1取付部材134には、車体フレーム21の左右方向に延びる第1貫通孔134aが設けられている。第1貫通孔134a内には、第1接続アーム133の一部が配置されている。第1接続アーム133は、第1取付部材134に支持されている部位において、車体フレーム21の左右方向に延びる回転軸を中心として回転可能である。
第2緩衝装置35の第2支持部材321は、第2ガイド325を含んでいる。第2ガイド325は、第2支持プレート141を含んでいる。第2支持プレート141は、第2前輪32よりも上方に位置している。第2支持プレート141は、第2ガイド325から車体フレーム21の左方に延びている。第2支持プレート141は、第2固定部材141aを含んでいる。第2固定部材141aは、第2中心軸Yと第2支持プレート141とが交わる第2接続点141cに配置されている。
第2接続部材14は、第2支持アーム142、第2接続アーム143、および第2取付部材144を含んでいる。
第2支持アーム142は、第2支持プレート141に交差する方向に延びている。第2支持アーム142は、第2固定部材141aに固定されている。第2支持アーム142の上端部は、第2接続アーム143を回転自在に支持している。第2支持アーム142は、第2中心軸Yと第2支持プレート141とが交わる第2接続点141cにおいて、第2中心軸Yを中心に回転可能とされている。すなわち、第2支持アーム142と第2接続アーム143は、相対的に変位可能とされている。
第2接続アーム143の一端部は、リンク機構5の第2サイド部材54に支持された第2ブラケット327に接続されている。第2接続アーム143は、第2支持アーム142の上端部から右後方に向かって延びている。第2取付部材144は、車体フレーム21に固定されている。第2取付部材144には、車体フレーム21の左右方向に延びる第2貫通孔144aが設けられている。第2貫通孔144a内には、第2接続アーム143の一部が配置されている。第2接続アーム143は、第2取付部材144に支持されている部位において、車体フレーム21の左右方向に延びる回転軸を中心として回転可能である。
抑制機構76は、ディスク81、およびキャリパー82を含んでいる。
ディスク81は、第2接続アーム143の右端部に取り付けられている。ディスク81は、第2接続アーム143に対して回転不能である。したがって、第2接続アーム143が車体フレーム21の左右方向に延びる軸を中心として回転すると、ディスク81は第2接続アーム143との接続部を中心として回転する。ディスク81は、扇形の板状である。
キャリパー82は、第1接続アーム133の左端部に取り付けられている。キャリパー82は、第1接続アーム133に対して回転不能である。したがって、第1接続アーム133が車体フレーム21の左右方向に延びる回転軸を中心として回転すると、キャリパー82は第1接続アーム133との接続部を中心として回転する。キャリパー82には、溝が形成されている。キャリパー82の溝には、ディスク81が挿入されている。キャリパー82の溝には、図示しないパッドが配置されている。キャリパー82には、パッドをディスク81に押し付けるための図示しない機構が取り付けられている。キャリパー82は、パッドをディスク81に押し付けることでディスク81のキャリパー82に対する回転を抑制することができる。キャリパー82は、ハンドル23に取り付けられたスイッチ23a(図1参照)が操作されると、ディスク81の回転を抑制する。
第1前輪31が第2前輪32よりも上方に移動すると、第1支持部331が上方に移動する。第1支持部331の移動に伴って、第1支持プレート131と第1支持アーム132が上方に移動する。第1支持アーム132が上方に移動すると、第1接続アーム133の右端部は上方に持ち上げられる。第1接続アーム133が第1取付部材134に相対回転可能に支持されているため、第1接続アーム133は、車体フレーム21の左右方向に延びる回転中心軸を中心として回転する。第1接続アーム133の回転に伴い、キャリパー82は矢印Eの方向に回転する。
第2前輪32が上方に移動すると、第2支持部材321が上方に移動する。第2支持部材321の移動に伴って、第2支持プレート141と第2支持アーム142が上方に移動する。第2支持アーム142が上方に移動すると、第2接続アーム143の左端部は上方に持ち上げられる。第2接続アーム143が第2取付部材144に相対回転可能に支持されているため、第2接続アーム143は、車体フレーム21の左右方向に延びる回転中心軸を中心として回転する。第2接続アーム143の回転に伴い、ディスク81は矢印Eの方向に回転する。
第1前輪31と第2前輪32が車体フレーム21の上下方向について相対移動すると、キャリパー82とディスク81が相対回転する。スイッチ23aが操作されると、キャリパー82の溝に設けられたパッドがディスク81に押し付けられる。このようにして、キャリパー82に対するディスク81の回転が抑制される。キャリパー82に対するディスク81の回転が抑制されると、第1支持アーム132と第1接続アーム133の相対的な変位に対する抵抗が増加する。同様に、第2支持アーム142と第2接続アーム143の相対的な変位に対する抵抗が増加する。これにより、第1前輪31と第2前輪32の車体フレーム21の上下方向における相対移動が規制される。また、第1接続アーム133と第2接続アーム143は、それぞれ第1サイド部材53と第2サイド部材54に接続されているため、第1サイド部材53と第2サイド部材54の車体フレーム21の上下方向における変位も抑制され、リンク機構5の変形が抑制される。
以上説明したように、変形抑制機構8は、第1接続部材13と第2接続部材14を含んでいる。第1接続部材13は、相対的に変位可能な第1支持アーム132(第1部の一例)と第1接続アーム133(第2部の一例)を含み、これらの相対的な変位に対する抵抗力は抑制機構76により変更可能とされている。第1支持アーム132は、第1固定部材131a(第1支持部の一例)において、第1緩衝装置33に支持されている。第1接続アーム133は、第1取付部材134(第2支持部の一例)において、車体フレーム21に支持されている。第2接続部材14は、相対的に変位可能な第2支持アーム142(第1部の一例)と第2接続アーム143(第2部の一例)を含み、これらの相対的な変位に対する抵抗力は、抑制機構76により変更可能とされている。第2支持アーム142は、第2固定部材141a(第1支持部の一例)において、第2緩衝装置35に支持されている。第2接続アーム143は、第2取付部材144(第2支持部の一例)において、車体フレーム21に支持されている。車体フレーム21の直立状態において、第1固定部材131aが支持される位置は、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第1中心軸Xに近い。車体フレーム21の直立状態において、第2固定部材141aが支持される位置は、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第2中心軸Yに近い。
上記の構成によれば、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35の多くの部分は、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも下方に位置する。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間には、互いの干渉を避けるための空間が形成されている。変形抑制機構8の第1固定部材131aと第2固定部材141aが、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で第1緩衝装置33および第2緩衝装置35に支持されることにより、変形抑制機構8の可動範囲をリンク機構5の可動範囲と比較してより小さくすることができる。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間に形成される空間を、変形抑制機構8の可動範囲としても利用できる。
さらに、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35から見ると、車体フレーム21の一部は上方に存在する。換言すると、変形抑制機構8の第1取付部材134と第2取付部材144を支持できる部位が広範囲に存在し、設計自由度が高い。そのため、第1取付部材134と第2取付部材144は、可動範囲を小さくできる部位に支持することが容易となる。これにより、変形抑制機構8の可動範囲を小さくすることができる。
なお、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に変形抑制機構8が支持されると、前述した相対的な回転によって変形抑制機構8の可動範囲が大きくなる恐れがある。しかしながら、第1固定部材131aと第2固定部材141aが、中間軸線Zよりも第1中心軸Xと第2中心軸Yに近い位置でそれぞれ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に支持されることにより、前述した相対的な回転に伴う変形抑制機構8の可動範囲が大きくなることを抑制できる。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間に形成される空間を、変形抑制機構8の可動範囲として利用することにより、前述した相対的な回転に伴う変形抑制機構8の可動範囲が大きくなることを抑制できる。
このような構成によれば、上述したように、変形抑制機構8の可動範囲をリンク機構5の可動範囲と比較してより小さくすることができる。また、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35が回転しても、変形抑制機構8の可動範囲が大きくなることを抑制できる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を有する変形抑制機構8の可動範囲を、ステアリングシャフト60から遠ざけることができ、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
第1取付部材134と第2取付部材144は、車体フレーム21の直立状態において、第1固定部材131aと第2固定部材141aよりも上方に配置されている。
このような構成によれば、第1固定部材131aと第2固定部材141a、および第1取付部材134と第2取付部材144は、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の上下方向に相対的に上下動する。そのため、変形抑制機構8は、その下部に第1固定部材131aと第2固定部材141aを備え、その上部に第1取付部材134と第2取付部材144を備え、第1固定部材131aと第2固定部材141a、および第1取付部材134と第2取付部材144の相対的な上下動に対する抵抗力を変更可能に構成できる。これにより、変形抑制機構8の小型化や簡略化が可能となる。また、変形抑制機構8の可動範囲をさらに小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制可能である。
また第1取付部材134と第2取付部材144は、車体フレーム21の直立状態において、第1中心軸Xと第2中心軸Yよりも中間軸線Zの近くに配置されている。
このような構成によれば、第1固定部材131aと第2固定部材141a、および第1取付部材134と第2取付部材144は、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の上下方向に相対的に上下動する。また、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の左右方向に相対的に左右動もする。そのため、変形抑制機構8は、その上下動と左右動の少なくとも一方を利用できる。また、リンク機構5および車体フレーム21と、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35との間に形成される空間を、変形抑制機構8の可動範囲として利用できることと併せ、変形抑制機構8の小型化や簡略化が可能となる。また、変形抑制機構8の可動範囲を小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
第1支持アーム132と第2支持アーム142は、それぞれ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に対して車体フレーム21の上下方向に延びる軸線(第1中心軸Xと第2中心軸Y)を中心に回転可能である。
このような構成によれば、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の回転軸線、および第1支持アーム132と第2支持アーム142の回転軸線が、ともに車体フレーム21の上下方向に延びる。そのため、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の回転に伴う第1支持アーム132と第2支持アーム142の可動範囲が大きくなることを抑制できる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
第1支持アーム132は、第1緩衝装置33の下部に配置された第1支持部331に支持される第1固定部材131a(右第1支持部の一例)を有する。第2支持アーム142は、第2緩衝装置35の下部に配置された第2支持部材321に支持される第2固定部材141a(左第1支持部の一例)を有する。第1固定部材131aが支持される位置は、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第1中央軸Xに近い。第2固定部材141aが支持される位置は、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第2中央軸Yに近い。
このような構成によれば、変形抑制機構8により付与される抵抗力を、第1緩衝装置33や第2緩衝装置35の変位を抑制するように作用させることも可能となる。
第2の実施形態の構成においては、第1前輪31と第2前輪32の車体フレーム21の上下方向における位置が異なる状態で、第1前輪31、および第2前輪32のヘッドパイプ211に対する移動を抑制することができるため、三輪車両10を傾斜させた状態や、段差の上に一方の前輪3を乗り上げた状態で駐車することができる。
第2の実施形態の構成においては、変形抑制機構8の一部が第2クロス部材52よりも下方に配置されているため、変形抑制機構8の全てが第2クロス部材52よりも上方に配置されている場合に比べて、三輪車両10の重心を低くできる。
第2の実施形態の構成においては、第1支持アーム132の一端部が第1接続点131cに配置されている。また第2支持アーム142の一端部が第2接続点141cに配置されている。このため、第1前輪31が第1中心軸Xを中心に回転し、第2前輪32が第2中心軸Yを中心に回転しても、第1接続点131c、および第2接続点141cのヘッドパイプ211に対する位置は変わらない。したがって、第1支持アーム132と第2支持アーム142によって、第1前輪31と第2前輪32の回転が妨げられない。
[第2の実施形態の変形例]
上記の第2の実施形態に係る三輪車両10では、抑制機構76は、ディスク81とキャリパー82を含んでいる。しかしながら、抑制機構76は、以下に説明する構成で置き換えてもよい。
図13は、第2の実施形態の変形例に係る抑制機構85を示す図である。抑制機構85は、第1ディスク851、第2ディスク852、およびキャリパー853を含んでいる。
第1ディスク851は、扇型の板状である。第1ディスク851は、第1接続アーム133の左端部に固定されている。したがって、第1接続アーム133の回転に伴って、第1ディスク851は回転する。
第2ディスク852は、扇型の板状である。第2ディスク852は、第2接続アーム143の右端部に固定されている。したがって、第2接続アーム143の回転に伴って、第2ディスク852は回転する。第2ディスク852は、第1ディスク851の左方に配置されている。
キャリパー853は、車体フレーム21に固定されている。キャリパー853は、第1ディスク851の一部と第2ディスク852の一部を収容可能な溝を含んでいる。キャリパー853は、溝内に図示しないパッドを含んでいる。キャリパー853は、溝内で第1ディスク851と第2ディスク852にそれぞれ個別にパッドを押し付けることで、第1ディスク851と第2ディスク852の回転をそれぞれ抑制する。
上記の変形例では、第1ディスク851、および第2ディスク852の回転を1つのキャリパー853で抑制する構成としている。他の変形例として、第1ディスク851の回転を抑制する第1キャリパーと、第2ディスク852の回転を抑制する第2キャリパーを含む構成であってもよい。
[第3の実施形態]
次に図14から図17を参照しつつ、本発明の第3の実施形態に係る三輪車両100について説明する。図14は、三輪車両100において車体カバー22を外した状態を示す正面図である。第1の実施形態と同一または同様の構成を有する要素は、図示を省略するか同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明を省略する。
第3の実施形態に係る三輪車両100は、変形抑制機構9を備えている。変形抑制機構9は、リンク機構5の変形を抑制する構成が第1の実施形態に係る変形抑制機構7とは異なっている。
図15は、変形抑制機構9の一部の構成を示す拡大正面図である。変形抑制機構9は、第1接続部15、第2接続部16、抑制機構29、および固定機構77を備えている。
第1接続部15は、第1緩衝装置33の第1プレート333aに取り付けられている。第1接続部15は、第1支持筒145と第1筒支持部146を含んでいる。第1支持筒145は、車体フレーム21の左右方向に延びている。第1支持筒145は、第1筒支持部146によって支持されている。
第1筒支持部146は、車体フレーム21の前後方向に延びる回転軸を含んでいる。第1筒支持部146は、当該回転軸を中心として矢印Mの方向に回転可能に第1支持筒145を支持する。第1プレート333aは、第1中心軸Xを中心として矢印Qの方向に回転可能に第1筒支持部146を支持している。
第2接続部16は、第2緩衝装置35の第2プレート325aに固定されている。第2接続部16は、第2支持筒151と第2筒支持部152を含んでいる。第2支持筒151は、車体フレーム21の左右方向に延びている。第2支持筒151は、第2筒支持部152によって支持されている。
第2筒支持部152は、車体フレーム21の前後方向に延びる回転軸を含んでいる。第2筒支持部152は、当該回転軸を中心として矢印Gの方向に回転可能に第2支持筒151を支持する。第2プレート325aは、第2中心軸Yを中心として矢印Sの方向に回転可能に第2筒支持部152を支持している。
抑制機構29は、第1抑制ポール161、第2抑制ポール162、回転中心軸163、支持ポール164、ディスク165、および第1キャリパー166を含んでいる。
第1抑制ポール161は、第1支持筒145に挿入されている。第1抑制ポール161は、車体フレーム21の左右方向に延びている。第1抑制ポール161は、第1前輪31よりも上方に位置している。第1抑制ポール161は、第1緩衝器330よりも後方に配置されている。第1抑制ポール161は、リンク機構5よりも下方に位置している。
第2抑制ポール162は、第2支持筒151に挿入されている。第2抑制ポール162は、第1抑制ポール161の左方に配置されている。第2抑制ポール162は、車体フレーム21の左右方向に延びている。第2抑制ポール162は、第2前輪32よりも上方に位置している。第2抑制ポール162は、第2緩衝器350よりも後方に配置されている。第2抑制ポール162は、リンク機構5よりも下方に位置している。
回転中心軸163は、第1抑制ポール161の左端部と第2抑制ポール162の右端部を支持している。回転中心軸163は、車体フレーム21の前後方向に延びている。
図16は、抑制機構29の一部を拡大して模式的に示す斜視図である。回転中心軸163の後端部は、支持ポール164に接続されている。回転中心軸163は、車体フレーム21の前後方向に延びる回転軸を中心として、支持ポール164に対して相対回転可能とされている。支持ポール164は、車体フレーム21の上下方向に延びている。
ディスク165は、第1抑制ポール161と第2抑制ポール162に固定されている。ディスク165は、回転中心軸163を中心とした半円形状を呈している。ディスク165は、第1抑制ポール161と第2抑制ポール162の上方に位置している。第1抑制ポール161、第2抑制ポール162、及びディスク165は、回転中心軸163を中心として一体に回転する。
第1キャリパー166は、支持ポール164に固定されている。第1キャリパー166は、回転中心軸163よりも上方に位置している。第1キャリパー166は、ハンドル23に設けられたスイッチ23a(図1参照)が操作されると、図示しないパッドをディスク165に押し付けることでディスク165の回転を抑制する。
すなわち、第1接続部15と第2接続部16は、第1キャリパー166に対して相対的に変位可能とされている。また、第1キャリパー166によって、相対的な変位に対する抵抗力を変更可能とされている。
固定機構77は、抑制機構17を車体フレーム21に固定する。固定機構77は、第2キャリパー91を含んでいる。
第2キャリパー91は、第1キャリパー166よりも上方に配置されている。第2キャリパー91は、第1伝達プレート61を介して車体フレーム21(ヘッドパイプ211)に取り付けられている。第2キャリパー91は、支持ポール164が内部を車体フレーム21の上下方向に移動可能とされている。第2キャリパー91は、ハンドル23に設けられたスイッチ23aが操作されると、支持ポール164を把持し、上下方向の移動を規制する。すなわち第1キャリパー166は、第2キャリパー91に対して相対的に変位可能とされている。また第2キャリパー91により、相対的な変位に対する抵抗力を変更可能とされている。
図17に示すように、第2前輪32が第1前輪31よりも上方に移動すると、第2接続部16を支持する第2ガイド325を介して、第2抑制ポール162の左端が上方に持ち上げられる。これにより、第2支持筒151、回転中心軸163、および第1支持筒145が図15に示す矢印Gの方向に回転する。ディスク165も矢印Gの方向に回転する。この動作により第2ブラケット327が第1ブラケット335よりも上方に移動し、第2サイド部材54が第1サイド部材53よりも上方に移動するようにリンク機構5が変形する。すなわちヘッドパイプ211の直立状態から左方への傾斜が許容される。さらに第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の動作に応じて支持ポール164が第2キャリパー91に対して相対変位することにより、第2抑制ポール162が第1抑制ポール161よりも上方に位置する状態の抑制機構29は、ヘッドパイプ211に対する上下方向への変位を許容される。
逆に第1前輪31が第2前輪32よりも上方に移動すると、第1接続部15を支持する第1ガイド333を介して第1抑制ポール161の右端が上方に持ち上げられる。これにより、第1支持筒145、回転中心軸163、および第2支持筒151が図15に示す矢印Mの方向に回転する。ディスク165も矢印Mの方向に回転する。この動作により第1ブラケット335が第2ブラケット326よりも上方に移動し、第1サイド部材53が第2サイド部材54よりも上方に移動するようにリンク機構5が変形する。すなわちヘッドパイプ211の直立状態から右方への傾斜が許容される。さらに第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の動作に応じて支持ポール164が第2キャリパー91に対して相対変位することにより、第1抑制ポール161が第2抑制ポール162よりも上方に位置する状態の抑制機構29は、ヘッドパイプ211に対する上下方向への変位を許容される。
スイッチ23aが操作されると、第1キャリパー166がディスク165の第1キャリパー166に対する回転を抑制する。これにより第1抑制ポール161と第2抑制ポール162の姿勢変化が抑制されるため、第1接続部15と第2接続部16の第1キャリパー166に対する相対移動が抑制される。したがって、第1前輪31と第2前輪32の車体フレーム21の上下方向における相対移動が抑制されるとともに、リンク機構5の変形が抑制される。
また、スイッチ23aの操作により、支持ポール164の第2キャリパー91に対する上下動が抑制され、第1キャリパー166の第2キャリパー91に対する相対変位が抑制される。したがって、相対変位が抑制された状態の第1前輪31と第2前輪32が、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の動作に応じて車体フレーム21の上下方向に変位することが抑制される。第1キャリパー166の第2キャリパー91に対する変位の抑制は、ディスク165の第1キャリパー166に対する変位の抑制と独立して行なうことができるようにしてもよい。
以上説明したように、変形抑制機構9は、相対的に変位可能な第1抑制ポール161と第2抑制ポール162(第1部の一例)、および第1キャリパー166(第2部の一例)を含み、これらの相対的な変位に対する抵抗力は変更可能とされている。第1抑制ポール161と第2抑制ポール162は、それぞれ第1接続部15と第2接続部16(第1支持部の一例)を介して第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に支持されている。第1キャリパー166は、固定機構77(第2支持部の一例)を介して車体フレーム21(ヘッドパイプ211)に支持されている。車体フレーム21の直立状態において、第1接続部15が支持される位置は、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第1中心軸Xに近い。車体フレーム21の直立状態において、第2接続部16が支持される位置は、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第2中心軸Yに近い。
上記の構成によれば、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35の多くの部分は、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも下方に位置する。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間には、互いの干渉を避けるための空間が形成されている。変形抑制機構9の第1接続部15と第2接続部16が、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で第1緩衝装置33および第2緩衝装置35に支持されることにより、変形抑制機構9の可動範囲をリンク機構5の可動範囲と比較してより小さくすることができる。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間に形成される空間を、変形抑制機構9の可動範囲としても利用できる。
さらに、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35から見ると、車体フレーム21の一部は上方に存在する。換言すると、変形抑制機構9の固定機構77を支持できる部位が広範囲に存在し、設計自由度が高い。そのため、固定機構77は、可動範囲を小さくできる部位に支持することが容易となる。これにより、変形抑制機構9の可動範囲を小さくすることができる。
なお、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に変形抑制機構9が支持されると、前述した相対的な回転によって変形抑制機構9の可動範囲が大きくなる恐れがある。しかしながら、第1接続部15と第2接続部16が、中間軸線Zよりも第1中心軸Xと第2中心軸Yに近い位置でそれぞれ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に支持されることにより、前述した相対的な回転に伴う変形抑制機構9の可動範囲が大きくなることを抑制できる。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間に形成される空間を、変形抑制機構9の可動範囲として利用することにより、前述した相対的な回転に伴う変形抑制機構9の可動範囲が大きくなることを抑制できる。
このような構成によれば、上述したように、変形抑制機構9の可動範囲をリンク機構5の可動範囲と比較してより小さくすることができる。また、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35が回転しても、変形抑制機構9の可動範囲が大きくなることを抑制できる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を有する変形抑制機構9の可動範囲を、ステアリングシャフト60から遠ざけることができ、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
固定機構77は、車体フレーム21の直立状態において、第1接続部15と第2接続部16よりも上方に配置されている。
このような構成によれば、第1接続部15、第2接続部16、および固定機構77は、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の上下方向に相対的に上下動する。そのため、変形抑制機構9は、その下部に第1接続部15と第2接続部16を備え、その上部に固定機構77を備え、第1接続部15、第2接続部16、および固定機構77の相対的な上下動に対する抵抗力を変更可能に構成できる。これにより、変形抑制機構9の小型化や簡略化が可能となる。また、変形抑制機構9の可動範囲をさらに小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
また固定機構77は、車体フレーム21の直立状態において、第1中心軸Xと第2中心軸Yよりも中間軸線Zの近くに配置されている。
このような構成によれば、第1接続部15、第2接続部16、および固定機構77は、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の上下方向に相対的に上下動する。また、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の左右方向に相対的に左右動もする。そのため、変形抑制機構9は、その上下動と左右動の少なくとも一方を利用できる。また、リンク機構5および車体フレーム21と、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35との間に形成される空間を、変形抑制機構9の可動範囲として利用できることと併せ、変形抑制機構9の小型化や簡略化が可能となる。また、変形抑制機構9の可動範囲を小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
第1抑制ポール161と第2抑制ポール162は、それぞれ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に対して車体フレーム21の上下方向に延びる軸線(第1中心軸Xと第2中心軸Y)を中心に回転可能である。
このような構成によれば、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の回転軸線、および第1抑制ポール161と第2抑制ポール162の回転軸線が、ともに車体フレーム21の上下方向に延びる。そのため、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の回転に伴う第1抑制ポール161と第2抑制ポール162の可動範囲が大きくなることを抑制できる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
第1抑制ポール161は、第1緩衝装置33の下部に配置された第1支持部材331に支持される第1接続部15(右第1支持部の一例)を有する。第2抑制ポール162は、第2緩衝装置35の下部に配置された第2支持部材321に支持される第2接続部16(左第1支持部の一例)を有する。第1接続部15が支持される位置は、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第1中央軸Xに近い。第2接続部16が支持される位置は、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第2中央軸Yに近い。
このような構成によれば、変形抑制機構9により付与される抵抗力を、第1緩衝装置33や第2緩衝装置35の変位を抑制するように作用させることも可能となる。
第3の実施形態の構成においては、第2キャリパー91による支持ポール164の上下動抑制を、第1キャリパー166によるディスク165の回転抑制とは独立して行なうことができる。この場合、第1前輪31と第2前輪32の相対移動が抑制された状態で、第1前輪31と第2前輪32が一体として上下動することは許容されている。したがって、乗員は、車体フレーム21が直立状態から傾斜した姿勢のまま、三輪車両100を容易に移動させることができる。
第3の実施形態の構成においては、変形抑制機構9の一部が第2クロス部材52よりも下方に配置されている。このため、変形抑制機構9の全ての構成が第2クロス部材52よりも上方に配置される場合に比べて、三輪車両100の重心を低くできる。
[第4の実施形態]
次に図18から図20を参照しつつ、本発明の第4の実施形態に係る三輪車両101について説明する。図18は、三輪車両101において車体カバー22を外した状態を示す斜視図である。第1の実施形態と同一または同様の構成を有する要素は、図示を省略するか同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明を省略する。
第4の実施形態に係る三輪車両101は、変形抑制機構78を備えている。変形抑制機構78は、リンク機構5の変形を抑制する構成が第1の実施形態に係る変形抑制機構7とは異なっている。
変形抑制機構78は、第1接続部材17、第2接続部材18、抑制機構19、および固定機構30を含んでいる。
第1接続部材17は、第1緩衝器330の第1外筒332に固定されている。第1接続部材17は、半円形状の板状部材である。第1接続部材17は、第1外筒332から第2前輪32の側に向かって延びている。
第2接続部材18は、第2緩衝器350の第2外筒322に固定されている。第2接続部材18は、半円形状の板状部材である。第2接続部材18は、第2外筒322から第1前輪31の側に向かって延びている。
抑制機構19は、第2クロス部材52よりも下方において、第1接続部材17と第2接続部材18の間に配置されている。
固定機構30は、抑制機構19よりも上方に配置されている。固定機構30は、ヘッドパイプ211に支持されている。
図19は、三輪車両101の下部を示す斜視図である。抑制機構19は、第1ローラユニット191、第2ローラユニット192、ローラ支持軸193、ローラ支持板194、第1コイルスプリング195、第2コイルスプリング196、および回転機構20を含んでいる。
第1ローラユニット191は、車体フレーム21の上下方向に並べて配置された一対のローラを含んでいる。第1ローラユニット191は、ローラ支持板194に支持されている。
第2ローラユニット192は、車体フレーム21の上下方向に並べて配置された一対のローラを含んでいる。第2ローラユニット192は、ローラ支持板194に支持されている。第2ローラユニット192は、ローラ支持軸193に対して第1ローラユニット191と対称に配置されている。
ローラ支持軸193は、ローラ支持板194を支持している。ローラ支持軸193は、ヘッドパイプ211の下方に位置している。ローラ支持軸193は、ヘッドパイプ211が延びる方向と同じ方向(すなわち車体フレーム21の上下方向)に延びている。ローラ支持軸193よりも上方には、固定機構30が配置されている(図18参照)。固定機構30は、第3の実施形態に係る三輪車両100が備える固定機構77と同様の構成を有している。すなわち固定機構30は、ローラ支持軸193を車体フレーム21の上下方向へ変位可能に支持するキャリパーを含んでいる。例えばスイッチ23a(図1参照)が操作されることにより、キャリパーはローラ支持軸193を把持し、車体フレーム21の上下方向への変位を抑制する。
ローラ支持板194は、第1ローラユニット191と第2ローラユニット192を支持している。ローラ支持板194は、細板194aと支持筒194bを含んでいる。細板194aは、支持筒194bよりも上方まで延びている。支持筒194bは、ローラ支持軸193の一部を覆っている。支持筒194bは、ローラ支持軸193に対して回転可能である。ローラ支持板194は、ローラ支持軸193を中心として矢印Hの方向に回転可能である。ローラ支持軸193は、ローラ支持板194の下端よりも下方まで延びている。
第1コイルスプリング195は、ローラ支持軸193に巻き付けられている。第1コイルスプリング195は、支持筒194bの上方に配置されている。第1コイルスプリング195の下端は、支持筒194bの上端と接触している。
第2コイルスプリング196は、ローラ支持軸193に巻き付けられている。第2コイルスプリング196は、支持筒194bの下方に配置されている。第2コイルスプリング196の上端は、ローラ支持板194の下端と接触している。
回転機構20は、ローラ支持板194の細板194aを後方に移動させる。回転機構20は、ローラ支持軸193を中心としてローラ支持板194を回転させる。回転機構20は、ローラ支持板194を矢印H方向に回転させる。回転機構20は、ローラ支持板194よりも上方に位置している。回転機構20は、レバー201、レバー支持部材202、および連結ロッド203を含んでいる。
レバー201は、車体フレーム21の上下方向に延びている。レバー201の下端は、連結ロッド203に接続されている。
レバー支持部材202は、レバー201を後方から支持している。レバー支持部材202は、ヘッドパイプ211の前方に配置されている。レバー支持部材202は、レバー201を回転自在に支持している。レバー201は、車体フレーム21の左右方向に延びる回転軸を中心として矢印Jの方向に回転可能とされている。
連結ロッド203は、レバー201と細板194aとを連結している。連結ロッド203の後端は、レバー201の下端に接続されている。連結ロッド203は、レバー201に対して回転自在である。連結ロッド203の前端は、細板194aの上端に接続されている。連結ロッド203は、細板194aに対して回転可能である。
図20は、図19に示す状態からレバー201の上部を前方に倒した場合の三輪車両101の下部を示す。レバー201の上部を前方に倒すと、レバー201がレバー支持部材202によって支持された点において車体フレーム21の左右方向に延びる回転軸を中心として、レバー201が回転する。レバー201の回転に伴ってレバー201の下部は後方に移動する。レバー201の下部が後方に移動するのに伴って、連結ロッド203は細板194aを後方に移動させる。このとき、ローラ支持板194は、ローラ支持軸193を中心として矢印Hの方向に回転する。ローラ支持板194が回転すると、図20に示す状態になる。ローラ支持板194の回転に伴って、第1ローラユニット191が備える一対のローラによって第1接続部材17が挟まれるとともに、第2ローラユニット192が備える一対のローラによって第2接続部材18が挟まれる。すなわち、第1接続部材17、第2接続部材18、および抑制機構19は、相対的に変位可能とされている。また抑制機構19の作動により、相対的な変位に対する抵抗力は変更(抵抗力がありの状態と抵抗力がなしの状態間の切替)可能とされている。
上記の動作により第1前輪31と第2前輪32の車体フレーム21の上下方向への相対変位が抑制される。したがって、第1緩衝装置33を介して第1前輪31に接続されている第1サイド部材53、および第2緩衝装置35を介して第2前輪32に接続されている第2サイド部材54の車体フレーム21の上下方向への相対変位が抑制される。これにより、リンク機構5の変形が抑制される。
この状態では、第1前輪31と第2前輪32は一体で上下動可能である。ここで、ローラ支持板194の支持筒194bは、第1コイルスプリング195、および第2コイルスプリング196に挟まれている。このため、第1前輪31と第2前輪32が相対移動不能な状態で三輪車両101を移動させる際に、第1前輪31と第2前輪32に衝撃が加えられたとしても、第1コイルスプリング195と第2コイルスプリング196によって衝撃が吸収される。
例えばスイッチ23aを操作して固定機構30を作動させることによって、ローラ支持軸193の上下動が抑制され、第1前輪31と第2前輪32の一体的上下動も抑制される。
以上説明したように、変形抑制機構78は、相対的に変位可能な第1接続部材17と第2接続部材18(第1部の一例)、および抑制機構19(第2部の一例)を含み、これらの相対的な変位に対する抵抗力は変更可能とされている。第1接続部材17と第2接続部材18は、それぞれ第1外筒332と第2外筒322(第1支持部の一例)を介して第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に支持されている。抑制機構19は、固定機構30(第2支持部の一例)を介して車体フレーム21(ヘッドパイプ211)に支持されている。車体フレーム21の直立状態において、第1外筒332が支持される位置は、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第1中心軸Xに近い。車体フレーム21の直立状態において、第2外筒322が支持される位置は、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第2中心軸Yに近い。
上記の構成によれば、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35の多くの部分は、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも下方に位置する。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間には、互いの干渉を避けるための空間が形成されている。変形抑制機構78の第1外筒332と第2外筒322が、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で第1緩衝装置33および第2緩衝装置35に支持されることにより、変形抑制機構78の可動範囲をリンク機構5の可動範囲と比較してより小さくすることができる。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間に形成される空間を、変形抑制機構78の可動範囲としても利用できる。
さらに、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35から見ると、車体フレーム21の一部は上方に存在する。換言すると、変形抑制機構78の固定機構30を支持できる部位が広範囲に存在し、設計自由度が高い。そのため、固定機構30は、可動範囲を小さくできる部位に支持することが容易となる。これにより、変形抑制機構78の可動範囲を小さくすることができる。
なお、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に変形抑制機構78が支持されると、前述した相対的な回転によって変形抑制機構78の可動範囲が大きくなる恐れがある。しかしながら、第1外筒332と第2外筒322が、中間軸線Zよりも第1中心軸Xと第2中心軸Yに近い位置でそれぞれ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に支持されることにより、前述した相対的な回転に伴う変形抑制機構78の可動範囲が大きくなることを抑制できる。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間に形成される空間を、変形抑制機構78の可動範囲として利用することにより、前述した相対的な回転に伴う変形抑制機構78の可動範囲が大きくなることを抑制できる。
このような構成によれば、上述したように、変形抑制機構78の可動範囲をリンク機構5の可動範囲と比較してより小さくすることができる。また、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35が回転しても、変形抑制機構78の可動範囲が大きくなることを抑制できる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を有する変形抑制機構78の可動範囲を、ステアリングシャフト60から遠ざけることができ、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
固定機構30は、車体フレーム21の直立状態において、第1外筒332と第2外筒322よりも上方に配置されている。
このような構成によれば、第1外筒332、第2外筒322、および固定機構30は、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の上下方向に相対的に上下動する。そのため、変形抑制機構78は、その下部に第1外筒332と第2外筒322を備え、その上部に固定機構30を備え、第1外筒332、第2外筒322、および固定機構30の相対的な上下動に対する抵抗力を変更可能に構成できる。これにより、変形抑制機構78の小型化や簡略化が可能となる。また、変形抑制機構78の可動範囲をさらに小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
また固定機構30は、車体フレーム21の直立状態において、第1中心軸Xと第2中心軸Yよりも中間軸線Zの近くに配置されている。
このような構成によれば、第1外筒332、第2外筒322、および固定機構30は、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の上下方向に相対的に上下動する。また、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の左右方向に相対的に左右動もする。そのため、変形抑制機構78は、その上下動と左右動の少なくとも一方を利用できる。また、リンク機構5および車体フレーム21と、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35との間に形成される空間を、変形抑制機構78の可動範囲として利用できることと併せ、変形抑制機構78の小型化や簡略化が可能となる。また、変形抑制機構78の可動範囲を小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
第1接続部材17と第2接続部材18は、それぞれ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に対して車体フレーム21の上下方向に延びる軸線(第1中心軸Xと第2中心軸Y)を中心に回転可能である。また抑制機構19は、車体フレーム21の上下方向に延びる軸線(中央軸線Z)を中心に回転可能である。
このような構成によれば、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の回転軸線、第1接続部材17と第2接続部材18の回転軸線、および抑制機構19の回転軸線が、ともに車体フレーム21の上下方向に延びる。そのため、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の回転に伴う第1接続部材17と第2接続部材18の可動範囲が大きくなることを抑制できる。また抑制機構19の可動範囲を小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
第1接続部材17は、第1緩衝装置33の下部に配置された第1支持部331に支持される第1外筒332(右第1支持部の一例)を有する。第2接続部材18は、第2緩衝装置35の下部に配置された第2支持部材321に支持される第2外筒322(左第1支持部の一例)を有する。第1外筒332が支持される位置は、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第1中央軸Xに近い。第2外筒322が支持される位置は、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第2中央軸Yに近い。
このような構成によれば、変形抑制機構78により付与される抵抗力を、第1緩衝装置33や第2緩衝装置35の変位を抑制するように作用させることも可能となる。
第4の実施形態の構成においては、固定機構30によるローラ支持軸193の上下動抑制を、抑制機構19による第1接続部材17と第2接続部材18の相対変位規制とは独立して行なうことができる。この場合、第1前輪31と第2前輪32の相対移動が抑制された状態で、第1前輪31と第2前輪32が一体として上下動することは許容されている。したがって、乗員は、車体フレーム21が直立状態から傾斜しないようにしたまま、三輪車両101を容易に移動させることができる。
第4の実施形態の構成においては、変形抑制機構78の一部が第2クロス部材52よりも下方に位置している。このため、変形抑制機構78の全てが第2クロス部材52よりも上方に配置されている場合に比べて三輪車両101の重心の位置を低くできる。
第4の実施形態の構成においては、第1接続部材17は、第1ローラユニット191が備える一対のローラに挟持される。また第2接続部材18は、第2ローラユニット192が備える一対のローラに挟持される。しかしながら、第1接続部材17と第2接続部材18の上下動を抑制しうる限りにおいて、例えば車体フレーム21の上下方向に配置された一対の板などにより第1接続部材17と第2接続部材18が挟持される構成であってもよい。ローラ対によって第1接続部材17と第2接続部材18を挟持する構成の場合、第1接続部材17と第2接続部材18がローラ対の間に厳密に位置していなくとも、ローラ対の巻き込み動作を通じて第1接続部材17と第2接続部材18を所定の挟持位置に導くことができる。
[第5の実施形態]
次に図21を参照しつつ、本発明の第5の実施形態に係る三輪車両102について説明する。図21は、三輪車両102の一部を拡大して示す正面図である。第1の実施形態と同一または同様の構成を有する要素は、図示を省略するか同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明を省略する。
三輪車両102は、変形抑制機構600を備えている。変形抑制機構600は、リンク機構5の変形を抑制する構成が第1の実施形態に係る変形抑制機構7とは異なっている。変形抑制機構600は、第1ダンパー601と第2ダンパー602を含んでいる。
第1ダンパー601は、第1シリンダ601aと第1ロッド601bを有するオイルダンパーである。第1ロッド601bは、第1シリンダ601a内を摺動可能なピストン(図示せず)を有している。第1シリンダ601aの下端部601cは、第1緩衝装置33の第1ブラケット335に支持されている。第1シリンダ601aの下端部601cは、ボールジョイントなどにより、第1ブラケット335に対して三次元的な変位が許容されている。第1ロッド601bの上端部601dは、リンク機構5の第2クロス部材52に支持されている。第1ロッド601bの上端部601dは、ボールジョイントなどにより、第2クロス部材52に対して三次元的な変位が許容されている。
第1シリンダ601aと第1ロッド601bは、相対的に変位可能とされている。例えばスイッチ23a(図1参照)の操作により、第1シリンダ601a内に収容されたオイルの流通状態が制限され、第1シリンダ601aと第1ロッド601bの相対的な変位に対する抵抗力を増すことができる。
第2ダンパー602は、第2シリンダ602aと第2ロッド602bを有するオイルダンパーである。第2ロッド602bは、第2シリンダ602a内を摺動可能なピストン(図示せず)を有している。第2シリンダ602aの下端部602cは、第2緩衝装置35の第2ブラケット327に支持されている。第2シリンダ602aの下端部602cは、ボールジョイントなどにより、第2ブラケット327に対して三次元的な変位が許容されている。第2ロッド602bの上端部602dは、リンク機構5の第2クロス部材52に支持されている。第2ロッド602bの上端部602dは、ボールジョイントなどにより、第2クロス部材52に対して三次元的な変位が許容されている。
第2シリンダ602aと第2ロッド602bは、相対的に変位可能とされている。例えばスイッチ23aの操作により、第2シリンダ602a内に収容されたオイルの流通状態が制限され、第2シリンダ602aと第2ロッド602bの相対的な変位に対する抵抗力を増すことができる。
すなわち、図21に示す車体フレーム21(ヘッドパイプ211)の直立状態においてスイッチ23aを操作することにより、第1ダンパー601と第2ダンパー602の伸縮が抑制される。したがって、ヘッドパイプ211の直立状態から左右方向への傾斜が抑制され、リンク機構5の変形が抑制される。ヘッドパイプ211が直立状態から傾斜した姿勢においてリンク機構5の変形を抑制したい場合は、当該姿勢の状態でスイッチ23aを操作すればよい。
以上説明したように、変形抑制機構600は、第1ダンパー601と第2ダンパー602を含んでいる。第1ダンパー601は、相対的に変位可能な第1シリンダ601a(第1部の一例)と第1ロッド601b(第2部の一例)を含み、これらの相対的な変位に対する抵抗力は変更可能とされている。第1シリンダ601aの下端部601c(第1支持部の一例)は、第1緩衝装置33の第1ブラケット335に支持されている。第1ロッド601bの上端部601d(第2支持部の一例)は、リンク機構5の第2クロス部材52に支持されている。第2ダンパー602は、相対的に変位可能な第2シリンダ602a(第1部の一例)と第2ロッド602b(第2部の一例)を含み、これらの相対的な変位に対する抵抗力は変更可能とされている。第2シリンダ602aの下端部602c(第1支持部の一例)は、第2緩衝装置35の第2ブラケット327に支持されている。第2ロッド602bの上端部602d(第2支持部の一例)は、リンク機構5の第2クロス部材52に支持されている。車体フレーム21の直立状態において、第1シリンダ601aの下端部601cが支持される位置は、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第1中心軸Xに近い。車体フレーム21の直立状態において、第2シリンダ602aの下端部602cが支持される位置は、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第2中心軸Yに近い。
上記の構成によれば、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35の多くの部分は、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも下方に位置する。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間には、互いの干渉を避けるための空間が形成されている。変形抑制機構600における第1シリンダ601aの下端部601cと第2シリンダ602aの下端部602cが、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で第1緩衝装置33および第2緩衝装置35に支持されることにより、変形抑制機構600の可動範囲をリンク機構5の可動範囲と比較してより小さくすることができる。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間に形成される空間を、変形抑制機構600の可動範囲としても利用できる。
さらに、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35から見ると、車体フレーム21の一部は上方に存在する。換言すると、変形抑制機構600における第1ロッド601bの上端部601dと第2ロッド602bの上端部602dを支持できる部位が広範囲に存在し、設計自由度が高い。そのため、第1ロッド601bの上端部601dと第2ロッド602bの上端部602dは、可動範囲を小さくできる部位に支持することが容易となる。これにより、変形抑制機構600の可動範囲を小さくすることができる。
なお、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に変形抑制機構600が支持されると、前述した相対的な回転によって変形抑制機構600の可動範囲が大きくなる恐れがある。しかしながら、第1シリンダ601aの下端部601cと第2シリンダ602aの下端部602cが、中間軸線Zよりも第1中心軸Xと第2中心軸Yに近い位置でそれぞれ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に支持されることにより、前述した相対的な回転に伴う変形抑制機構600の可動範囲が大きくなることを抑制できる。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間に形成される空間を、変形抑制機構600の可動範囲として利用することにより、前述した相対的な回転に伴う変形抑制機構600の可動範囲が大きくなることを抑制できる。
このような構成によれば、上述したように、変形抑制機構600の可動範囲をリンク機構5の可動範囲と比較してより小さくすることができる。また、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35が回転しても、変形抑制機構600の可動範囲が大きくなることを抑制できる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を有する変形抑制機構600の可動範囲を、ステアリングシャフト60から遠ざけることができ、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
第1ロッド601bの上端部601dと第2ロッド602bの上端部602dは、車体フレーム21の直立状態において、第1シリンダ601aの下端部601cと第2シリンダ602aの下端部602cよりも上方に配置されている。
このような構成によれば、第1シリンダ601aの下端部601cと第2シリンダ602aの下端部602c、および第1ロッド601bの上端部601dと第2ロッド602bの上端部602dは、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の上下方向に相対的に上下動する。そのため、変形抑制機構600は、その下部に第1シリンダ601aの下端部601cと第2シリンダ602aの下端部602cを備え、その上部に第1ロッド601bの上端部601dと第2ロッド602bの上端部602dを備え、第1シリンダ601aの下端部601cと第2シリンダ602aの下端部602c、および第1ロッド601bの上端部601dと第2ロッド602bの上端部602dの相対的な上下動に対する抵抗力を変更可能に構成できる。これにより、変形抑制機構600の小型化や簡略化が可能となる。また、変形抑制機構600の可動範囲をさらに小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制可能である。
また第1取付部材134と第2取付部材144は、車体フレーム21の直立状態において、第1中心軸Xと第2中心軸Yよりも中間軸線Zの近くに配置されている。
このような構成によれば、第1シリンダ601aの下端部601cと第2シリンダ602aの下端部602c、および第1ロッド601bの上端部601dと第2ロッド602bの上端部602dは、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の上下方向に相対的に上下動する。また、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の左右方向に相対的に左右動もする。そのため、変形抑制機構600は、その上下動と左右動の少なくとも一方を利用できる。また、リンク機構5および車体フレーム21と、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35との間に形成される空間を、変形抑制機構600の可動範囲として利用できることと併せ、変形抑制機構600の小型化や簡略化が可能となる。また、変形抑制機構600の可動範囲を小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
第1シリンダ601aと第2シリンダ602aは、それぞれ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に対して車体フレーム21の上下方向に延びる軸線(第1中心軸Xと第2中心軸Y)を中心に回転可能である。
このような構成によれば、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の回転軸線、および第1シリンダ601aと第2シリンダ602aの回転軸線が、ともに車体フレーム21の上下方向に延びる。そのため、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の回転に伴う第1シリンダ601aと第2シリンダ602aの可動範囲が大きくなることを抑制できる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
第1シリンダ601aの下端部601cと第2シリンダ602aの下端部602cは、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の上部に配置された第1ブラケット335と第2ブラケット327に支持されている。
このような構成によれば、第1シリンダ601aの下端部601cと第2シリンダ602aの下端部602cが第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の下部に支持される場合と比較して、車体フレーム21の上下方向における変形抑制機構600の寸法を小さくできる。そのため、変形抑制機構600の可動範囲を小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
[第6の実施形態]
次に図22を参照しつつ、第6の実施形態に係る三輪車両103について説明する。図22は、三輪車両103の一部を拡大して示す正面図である。第1の実施形態と同一または同様の構成を有する要素は、図示を省略するか同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明を省略する。
三輪車両103は、変形抑制機構700を備えている。変形抑制機構700は、リンク機構5の変形を抑制する構成が第1の実施形態に係る変形抑制機構7とは異なっている。変形抑制機構700は、第1ダンパー701と第2ダンパー702を含んでいる。
第1ダンパー701は、第1シリンダ701aと第1ロッド701bを有するオイルダンパーである。第1ロッド701bは、第1シリンダ701a内を摺動可能なピストン(図示せず)を有している。第1シリンダ701aの下端部701cは、第1緩衝装置33の第2伝達プレート62に支持されている。前述のように、第2伝達プレート62は、操作力伝達機構6の一部も兼ねている。第1シリンダ701aの下端部701cは、ボールジョイントなどにより、第1ブラケット335に対して三次元的な変位が許容されている。第1ロッド701bの上端部701dは、リンク機構5の第2クロス部材52に支持されている。第1ロッド701bの上端部701dは、ボールジョイントなどにより、第2クロス部材52に対して三次元的な変位が許容されている。
第1シリンダ701aと第1ロッド701bは、相対的に変位可能とされている。例えばスイッチ23aの操作により、第1シリンダ701a内に収容されたオイルの流通状態が制限され、第1シリンダ701aと第1ロッド701bの相対的な変位に対する抵抗力を増すことができる。
第2ダンパー702は、第2シリンダ702aと第2ロッド702bを有するオイルダンパーである。第2ロッド702bは、第2シリンダ702a内を摺動可能なピストン(図示せず)を有している。第2シリンダ702aの下端部702cは、第2緩衝装置35の第3伝達プレート63に支持されている。前述のように、第3伝達プレート63は、操作力伝達機構6の一部も兼ねている。第2シリンダ702aの下端部702cは、ボールジョイントなどにより、第2ブラケット327に対して三次元的な変位が許容されている。第2ロッド702bの上端部702dは、リンク機構5の第2クロス部材52に支持されている。第2ロッド702bの上端部702dは、ボールジョイントなどにより、第2クロス部材52に対して三次元的な変位が許容されている。
第2シリンダ702aと第2ロッド702bは、相対的に変位可能とされている。例えばスイッチ23a(図1参照)の操作により、第2シリンダ702a内に収容されたオイルの流通状態が制限され、第2シリンダ702aと第2ロッド702bの相対的な変位に対する抵抗力を増すことができる。
すなわち、図21に示す車体フレーム21(ヘッドパイプ211)の直立状態においてスイッチ23aを操作することにより、第1ダンパー701と第2ダンパー702の伸縮が抑制される。したがって、ヘッドパイプ211の直立状態から左右方向への傾斜が抑制され、リンク機構5の変形が抑制される。ヘッドパイプ211が直立状態から傾斜した姿勢においてリンク機構5の変形を抑制したい場合は、当該姿勢の状態でスイッチ23aを操作すればよい。
以上説明したように、変形抑制機構700は、第1ダンパー701と第2ダンパー702を含んでいる。第1ダンパー701は、相対的に変位可能な第1シリンダ701a(第1部の一例)と第1ロッド701b(第2部の一例)を含み、これらの相対的な変位に対する抵抗力は変更可能とされている。第1シリンダ701aの下端部701c(第1支持部の一例)は、第1緩衝装置33の第2伝達プレート62に支持されている。第1ロッド701bの上端部701d(第2支持部の一例)は、リンク機構5の第2クロス部材52に支持されている。第2ダンパー702は、相対的に変位可能な第2シリンダ702a(第1部の一例)と第2ロッド702b(第2部の一例)を含み、これらの相対的な変位に対する抵抗力は変更可能とされている。第2シリンダ702aの下端部702c(第1支持部の一例)は、第2緩衝装置35の第3伝達プレート63に支持されている。第2ロッド702bの上端部702d(第2支持部の一例)は、リンク機構5の第2クロス部材52に支持されている。車体フレーム21の直立状態において、第1シリンダ701aの下端部701cが支持される位置は、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第1中心軸Xに近い。車体フレーム21の直立状態において、第2シリンダ702aの下端部702cが支持される位置は、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で、かつ車体フレーム21の左右方向において中間軸線Zよりも第2中心軸Yに近い。
上記の構成によれば、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35の多くの部分は、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも下方に位置する。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間には、互いの干渉を避けるための空間が形成されている。変形抑制機構700における第1シリンダ701aの下端部701cと第2シリンダ702aの下端部702cが、車体フレーム21の直立状態において、第2クロス部材52よりも車体フレーム21の上下方向における下方で第1緩衝装置33および第2緩衝装置35に支持されることにより、変形抑制機構700の可動範囲をリンク機構5の可動範囲と比較してより小さくすることができる。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間に形成される空間を、変形抑制機構700の可動範囲としても利用できる。
さらに、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35から見ると、車体フレーム21の一部は上方に存在する。換言すると、変形抑制機構700における第1ロッド701bの上端部701dと第2ロッド702bの上端部702dを支持できる部位が広範囲に存在し、設計自由度が高い。そのため、第1ロッド701bの上端部701dと第2ロッド702bの上端部702dは、可動範囲を小さくできる部位に支持することが容易となる。これにより、変形抑制機構700の可動範囲を小さくすることができる。
なお、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に変形抑制機構700が支持されると、前述した相対的な回転によって変形抑制機構700の可動範囲が大きくなる恐れがある。しかしながら、第1シリンダ701aの下端部701cと第2シリンダ702aの下端部702cが、中間軸線Zよりも第1中心軸Xと第2中心軸Yに近い位置でそれぞれ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に支持されることにより、前述した相対的な回転に伴う変形抑制機構700の可動範囲が大きくなることを抑制できる。また、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35と、リンク機構5および車体フレーム21との間に形成される空間を、変形抑制機構700の可動範囲として利用することにより、前述した相対的な回転に伴う変形抑制機構700の可動範囲が大きくなることを抑制できる。
このような構成によれば、上述したように、変形抑制機構700の可動範囲をリンク機構5の可動範囲と比較してより小さくすることができる。また、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35が回転しても、変形抑制機構700の可動範囲が大きくなることを抑制できる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を有する変形抑制機構700の可動範囲を、ステアリングシャフト60から遠ざけることができ、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
第1ロッド701bの上端部701dと第2ロッド702bの上端部702dは、車体フレーム21の直立状態において、第1シリンダ701aの下端部701cと第2シリンダ702aの下端部702cよりも上方に配置されている。
このような構成によれば、第1シリンダ701aの下端部701cと第2シリンダ702aの下端部702c、および第1ロッド701bの上端部701dと第2ロッド702bの上端部702dは、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の上下方向に相対的に上下動する。そのため、変形抑制機構700は、その下部に第1シリンダ701aの下端部701cと第2シリンダ702aの下端部702cを備え、その上部に第1ロッド701bの上端部701dと第2ロッド702bの上端部702dを備え、第1シリンダ701aの下端部701cと第2シリンダ702aの下端部702c、および第1ロッド701bの上端部701dと第2ロッド702bの上端部702dの相対的な上下動に対する抵抗力を変更可能に構成できる。これにより、変形抑制機構700の小型化や簡略化が可能となる。また、変形抑制機構700の可動範囲をさらに小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制可能である。
また第1取付部材134と第2取付部材144は、車体フレーム21の直立状態において、第1中心軸Xと第2中心軸Yよりも中間軸線Zの近くに配置されている。
このような構成によれば、第1シリンダ701aの下端部701cと第2シリンダ702aの下端部702c、および第1ロッド701bの上端部701dと第2ロッド702bの上端部702dは、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の上下方向に相対的に上下動する。また、車体フレーム21の傾斜に連動して、車体フレーム21の左右方向に相対的に左右動もする。そのため、変形抑制機構700は、その上下動と左右動の少なくとも一方を利用できる。また、リンク機構5および車体フレーム21と、第1緩衝装置33および第2緩衝装置35との間に形成される空間を、変形抑制機構700の可動範囲として利用できることと併せ、変形抑制機構700の小型化や簡略化が可能となる。また、変形抑制機構700の可動範囲を小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
第1シリンダ701aと第2シリンダ702aは、それぞれ第1緩衝装置33と第2緩衝装置35に対して車体フレーム21の上下方向に延びる軸線(第1中心軸Xと第2中心軸Y)を中心に回転可能である。
このような構成によれば、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の回転軸線、および第1シリンダ701aと第2シリンダ702aの回転軸線が、ともに車体フレーム21の上下方向に延びる。そのため、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の回転に伴う第1シリンダ701aと第2シリンダ702aの可動範囲が大きくなることを抑制できる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
第1シリンダ701aの下端部701cと第2シリンダ702aの下端部702cは、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の上部に配置された第2伝達プレート62と第3伝達プレート63に支持されている。
このような構成によれば、第1シリンダ701aの下端部701cと第2シリンダ702aの下端部702cが第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の下部に支持される場合と比較して、車体フレーム21の上下方向における変形抑制機構700の寸法を小さくできる。そのため、変形抑制機構700の可動範囲を小さくできる。したがって、リンク機構5の作動を抑制する機能を設けても、2つの前輪31、32よりも上方に配置されたステアリングシャフト60の周囲の構造の大型化を抑制できる。
[他の実施形態]
上記の実施形態においては、リンク機構5の一部がヘッドパイプ211に支持されている。しかしながら、リンク機構5の一部が車体フレーム21に支持されている限りにおいて、例えば、ダウンフレーム212がリンク機構5の一部を支持する構成であってもよい。
上記の実施形態においては、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35がテレスコピック式の緩衝器を備えている。しかしながら、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35は、ボトムリンク式の緩衝器を備える構成としてもよい。
上記の各実施形態において、リンク機構5の変形を抑制する変形抑制機構の一部(第1部に対応)は、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35の双方に支持されている。しかしながら、所望の機能を発揮しうる限りにおいて、当該変形抑制機構の一部は、第1緩衝装置33と第2緩衝装置35のいずれかに支持される構成としてもよい。
上記の各実施形態において、リンク機構5の変形を抑制するために相対変位する変形抑制機構の一部(第1部と第2部に対応)の相対的な変位に対する抵抗力を変更する手法は、必要に応じて適宜に変更可能である。各実施形態を参照して示した各手法は相互に置換え可能である。また例えば第2の実施形態に係る変形抑制機構8や第3の実施形態に係る変形抑制機構9の場合、相対的に回転をする部位に対する抵抗力を磁気流体を用いて変更する構成を採用可能である。
本発明は、傾斜可能な車体フレームと2つの前輪を備える車両である限りにおいて、例えばスクータ形式の鞍乗型車両などにも適用可能である。
本出願は、2012年9月24日に提出された日本国特許出願2012−209873、2012年9月24日に提出された日本国特許出願2012−209874、および2012年10月25日に提出された日本国特許出願2012−235605に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
なお上記の日本特許出願の明細書に記載された「右側」、「左側」、「上側」、「下側」、および「外側」という語は、本願明細書における「右方」、「左方」、「上方」、「下方」、および「外方」という語に対応する。
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示され且つ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。
本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、多くの図示実施形態がここに記載されている。
本発明の図示実施形態を幾つかここに記載した。本発明は、ここに記載した各種の好ましい実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ)、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。そのような実施形態は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、この開示において、「好ましくは」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」ということを意味するものである。

Claims (6)

  1. 車体フレームと、
    前記車体フレームの左右方向に並べて配置された右前輪および左前輪と、
    下部に前記右前輪を支持し、上部に対する前記右前輪の前記車体フレームの上下方向における変位を緩衝する右緩衝装置と、
    下部に前記左前輪を支持し、上部に対する前記左前輪の前記車体フレームの上下方向における変位を緩衝する左緩衝装置と、
    前記右緩衝装置の上部を前記車体フレームの上下方向に延びる右軸線回りに回転可能に支持する右サイドロッドと、前記左緩衝装置の上部を前記右軸線と平行な左軸線回りに回転可能に支持する左サイドロッドと、前記右サイドロッドの上部を右端部に回転可能に支持し、前記左サイドロッドの上部を左端部に回転可能に支持し、中間部が前記車体フレームに前記車体フレームの前後方向に延びる上軸線回りに回転可能に支持される上クロスメンバと、前記右サイドロッドの下部を右端部に回転可能に支持し、前記左サイドロッドの下部を左端部に回転可能に支持し、中間部が前記車体フレームに前記上軸線と平行な下軸線回りに回転可能に支持される下クロスメンバとを含むリンク機構と、
    車体フレームの左右方向における前記右サイドロッドと前記左サイドロッドの間で前記車体フレームに支持され、上端部が前記下軸線よりも前記車体フレームの上下方向における上方に設けられ、前記車体フレームの上下方向に延びる中間軸線回りに回転可能なステアリングシャフトと、
    前記ステアリングシャフトの上端部に設けられたハンドルと、
    前記ハンドルの操作に応じた前記ステアリングシャフトの回転を前記右緩衝装置と前記左緩衝装置に伝達する回転伝達機構と、
    前記上クロスメンバおよび前記下クロスメンバの前記車体フレームに対する回転動作に対して付与される抵抗力を変更する抵抗力変更機構と、
    を備え、
    前記抵抗力変更機構は、相対的に変位可能であり、かつ相対的な変位に対する抵抗力が変更可能な第1部および第2部を含み、
    前記第1部は、前記右緩衝装置と前記左緩衝装置の少なくとも一方の緩衝装置に支持される第1支持部を有し、
    前記第1支持部は、前記車体フレームの直立状態において、前記下クロスメンバよりも前記車体フレームの上下方向における下方で、かつ前記車体フレームの左右方向における前記中間軸線よりも前記一方の緩衝装置の回転軸線に近い位置で、前記一方の緩衝装置に支持されており、
    前記第2部は、前記上クロスメンバ、前記下クロスメンバ、前記車体フレーム、他方の緩衝装置および当該他方の緩衝装置を支持するサイドロッドの少なくともいずれか一つに支持される第2支持部を有する、車両。
  2. 前記抵抗力変更機構の前記第2支持部は、前記車体フレームの直立状態において、前記一方の緩衝装置に支持された前記抵抗力変更機構の前記第1支持部よりも前記車体フレームの上下方向の上方に配置されている、請求項1に記載の車両。
  3. 前記抵抗力変更機構の前記第2支持部は、前記車体フレームの左右方向において、車体フレームの直立状態で前記右軸線および前記左軸線よりも前記中間軸線に近い位置で支持されている、請求項1または2に記載の車両。
  4. 前記抵抗力変更機構の前記第1部および前記第2部の少なくとも一方は、前記一方の緩衝装置に対して前記車体フレームの上下方向に延びる軸線回りに回転可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両。
  5. 前記抵抗力変更機構の前記第1支持部は、前記一方の緩衝装置の上部に支持されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両。
  6. 前記抵抗力変更機構の前記第1部は、前記右緩衝装置の下部に支持される右第1支持部と、前記左緩衝装置の下部に支持される左第1支持部を有し、
    前記右第1支持部は、前記車体フレームの直立状態において、前記下クロスメンバよりも前記車体フレームの上下方向の下方で、かつ前記車体フレームの左右方向における前記中間軸線よりも前記右軸線に近い位置で、前記右緩衝装置の下部に支持され、
    前記左第1支持部は、前記車体フレームの直立状態において、前記下クロスメンバよりも前記車体フレームの上下方向の下方で、かつ前記車体フレームの左右方向における前記中間軸線よりも前記左軸線に近い位置で、前記左緩衝装置の下部に支持される、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両。
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