JP5535542B2 - 投射用ズームレンズおよび投射型表示装置 - Google Patents

投射用ズームレンズおよび投射型表示装置 Download PDF

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Description

この発明は投射用ズームレンズおよび投射型表示装置に関する。
近年、プロジェクタは会議でのプレゼンテーションやホームシアター等、映像を大画面に拡大投影して見ることができる装置として広く普及している。
なかでも、赤、青、緑の各色画像を液晶パネルやDMD(デジタルミラーデバイス)等の画像表示素子に表示し、各色画像表示素子からの光束をダイクロイックプリズムやダイクロイックミラー等の色合成手段により合成し、投射用レンズによりカラー画像として拡大投射する所謂「3板式プロジェクタ」は、明るく、画像が高精細であるところから広く用いられている。
投射用レンズは、画像表示素子に表示された画像をスクリーン等の投射面上に拡大して投射するレンズ系であり、最適なスクリーンサイズを容易に実現できる投射用ズームレンズが主流である。
所謂「3板式プロジェクタ」に用いられる投射用ズームレンズは、特許文献1ないし3等を始めとして種々のものが従来から提案されている。
3板式プロジェクタに持ちられる投射用ズームレンズには、その属性として、色合成手段を配備する空間を確保できるように「焦点距離に比して長いバックフォーカス」を縮小側に有すること、照明系との瞳整合性確保に「縮小側の瞳が無限遠方にあるテレセントリック光学系」であることが必要とされる。
勿論、明るい高品質の投射画像を実現する観点から、投射用ズームレンズは、Fナンバが小さく、倍率の色収差が小さく抑えられ、歪曲収差が許容範囲に抑えられ、画像の忠実な再現のために高いMTF特性・解像力特性を備えていることが要請される。
近年、投射画面の高輝度・高精細化の実現に加え、機動性重視の面からプロジェクタの小型・軽量化が強く求められ、狭い室内において明るくかつ大画面の投影を可能とする高輝度・広画角の仕様が要請されている。
3板式プロジェクタに用いられる投射用ズームレンズに対する要請において、広画角と高変倍の両立、とくに、小さなFナンバでの上記両立を達成することが、近時の大きな課題となっていた。
この発明は、上述したところに鑑み、広画角と高変倍を「小さいFナンバ」で両立させ、なおかつコンパクト性と高性能を実現できる投射用ズームレンズの実現を課題とする。
この発明の投射用ズームレンズは以下の如きものである。
即ち、拡大側から順に、負の屈折力を持つ第1群、正の屈折力を持つ第2群、正の屈折
力を持つ第3群、正の屈折力を持つ第4群、負の屈折力を持つ第5群、正の屈折力を持つ
第6群、正の屈折力を持つ第7群で構成される7群構成であり、第4群と第5群との間に
開口絞りを有し、縮小側において略テレセントリックな投射用ズームレンズである。
広角端から望遠端への変倍に際して、第1群から第3群まで、第1群から第4群まで、
第1群から第6群までの距離は縮小し、第1群から第2群までの距離が縮小または増大し
、第7群から第5群までの距離は縮小または増大するように、各群は移動する。
これら各群の移動に伴い、第1群から第7群における隣接する群間の距離が変化する。
投射用ズームレンズの、広角端における全系の焦点距離:fw、第1群の焦点距離:f1、第5群の焦点距離:f5、拡大側の共役点が無限遠のときの空気中におけるバックフォーカス:Bfは、以下の条件:
(1) 1.0 <Bf/fw
(2) 1.06 ≦|f1/fw|< 1.2
(3) 1.5 <│f5/fw|< 8.0
を満足する(請求項1)。
請求項1記載の投射用ズームレンズは「変倍に際して第7群が固定である」ことが好ましい(請求項2)、さらに、この請求項2記載の投射用ズームレンズは「変倍に際して第7群と共に第1群が固定である」ことが好ましい(請求項3)。
即ち、請求項2記載の投射用ズームレンズでは、変倍(ズーミング)に際して、最も縮小側の第7群が変位しない。また、請求項3記載の投射用ズームレンズでは変倍に際して最も縮小側の第7群と共に、最も拡大側の第1群が固定されるので、変倍に際して投射用ズームレンズの全体としての変位がなく、全長の変化もない。
収差補正の観点からすると、変倍時における稼動群は多いほど収差補正に有利であるが、請求項2のように、最も縮小側の第7群を変倍時に固定することは投射用ズームレンズの堅牢性の観点からも好ましい。
また、請求項3のように、第1群と第7群とを変倍に際して固定することで、投射用ズームレンズの堅牢性を、請求項2の場合よりもさらに高めることができる。また径の大きな第1群のレンズを固定することにより、変倍時に「各群の重量バランス」が大きく損なわないことも好ましい点である。
請求項1〜3の任意の1に記載の投射用ズームレンズは、第2群中に「d線に対する屈折率が1.75以上である材質による正レンズ」が1枚以上含まれることが好ましい(請求項4)。
請求項1〜4の任意の1に記載の投射用ズームレンズは、非球面形状を有するレンズを1枚以上含むことが好ましい(請求項5)。
請求項1〜5の任意の1に記載の投射用ズームレンズは、第1群に含まれるレンズのうちで「負のパワーが最も強いレンズ」のアッベ数:νdが55以上であることが好ましい(請求項6)。
請求項1〜6の任意の1に記載の投射用ズームレンズの第5群は、「1枚の負レンズからなる」こともできるし(請求項7)、「1以上の正レンズと1以上の負レンズを有してなる」こともでき(請求項8)、この請求項8の場合、第5群は「1枚の正レンズと1枚の負レンズの接合レンズ」を有することができる(請求項9)。
また、請求項1〜9の任意の1に記載の投射用ズームレンズの第4群は「60以上のアッベ数を持つ正レンズを1枚以上含む」ことが好ましい(請求項10)。請求項1〜10の任意の1に記載の投射用ズームレンズの第4群はまた「1枚の正レンズと1枚の負レンズによる接合レンズを有する」ことができる(請求項11)。
請求項1〜11の任意の1に記載の投射用ズームレンズは「フォーカシングに際し、第1群を光軸方向に移動させることで調整を行う」ことができる(請求項12)。
この発明の投射型表示装置(請求項13)は、請求項1〜12の任意の1に記載の投射用ズームレンズを備えた投射型表示装置である。
この発明の投射用ズームレンズは「液晶パネル等の画像表示素子に表示される平面画像を拡大して、スクリーン等の投射面に投射結像させる投射用ズームレンズ」であって、上記の如く、縮小側において略テレセントリックな投射用ズームレンズである。
投射用ズームレンズは、全体として7群構成であるが、第1〜第7群のパワー配分は、上記の如く「負・正・正・正・負・正・正」であり、負の屈折力の第1群が先行する所謂「ネガティブリード型」を採用することにより、広画角化と「3板式プロジェクタに必要な縮小側の長いバックフォーカス」の確保を容易にしている。
ネガティブリード型のズームレンズは一般的に高変倍化が難しいが、請求項1の投射型ズームレンズでは「7つの光学成分(第1〜第7群)で構成」することにより、変倍時に各群にかかる収差補正のパワーを小さくし、全系の収差変動を抑えて「広画角かつ高変倍な光学系」を実現している。
請求項1における条件(1)〜(3)は、所望の「バックフォーカスとコンパクト性の両立」と良好な性能を保つための条件である。
条件(1)は、3板式プロジェクタの投射用ズームレンズに必要とされる「長いバックフォーカスと大きな画角」を両立させる条件であり、全系の焦点距離が最短となる広角端において、縮小側の主点位置を第7群の縮小側レンズ面よりもさらに光源側(縮小側)に位置させて成立させている。
条件(1)のパラメータ:Bf/fwが、下限値:1.0を超えると、バックフォーカスが広角端における全系の焦点距離以下となり、色合成光学系の配置が困難になる。
条件(2)は「長いバックフォーカスと良好な光学性能を両立させる」ためのものであり、条件(2)のパラメータ:|f1/fw|が下限値を越えると、第1群の負の屈折力が、広角端における全系の屈折力に対して相対的に過大になり、コマ収差、像面湾曲等の軸外収差を良好に保つのが困難になる。
また、パラメータ:|f1/fw|が条件(2)の上限値を越えると、第1群の負の屈折力が相対的に小さくなりすぎて「ネガティブリード型」の特性が弱くなり、所望のバックフォーカスを得ることが困難になる。
条件(3)は「負のパワーを有する第5群の屈折力」を、広角端における全系の屈折力に対して規制する条件である。
条件(3)のパラメータ:│f5/fw|が、下限値の1.5を超えて小さくなると、第5群の負の屈折力が、相対的に強くなりすぎ、バックフォーカスが必要以上に長くなり「全系のコンパクト化」が困難となる。
また、パラメータ:│f5/fw|が条件(3)の上限値:8を超えて大きくなると、第5群の屈折力が相対的に弱くなりすぎ、変倍にともなう移動量が大きくなり、収差変動の増大をもたらす。
この発明の投射用ズームレンズにおける第2群には「主に第1群で発生した収差の補正と、変倍時にピント面位置を補正する働き」を担わせており、請求項4のように「第2群の少なくとも1枚の正レンズの材質を「d線に対する屈折率が1.75以上のもの」とすることにより「ペッツバール和の補正」および「変倍時の球面収差等の収差変動」を小さく出きる。
後述するように、この発明の投射用ズームレンズの具体的な実施例では、色収差補正の観点から、第2群に「第1群で発生した倍率色収差を効率よく補正する」ため、レンズ材料として「高分散特性と異常分散性を有するランタン系の重フリント材」等を多く選択している。
投射用ズームレンズのコンパクト性を確保するためには、各群の屈折力を増加させる必要があるが、各群の屈折力増加に伴う諸収差の増大を有効に補正するには、請求項5のように、投射用ズームレンズ中に「少なくとも1枚、非球面レンズを含ませる」ことが好ましい。
補正する収差にもよるが、軸外の収差を補正するには、一般に「異なる画角からの光線がその面上で重ならない位置」即ち、第4群と第5群との間に配置される開口絞りから離れた位置である第1群、第6群、第7群などに採用するのが効果的である。
この観点から、実施例の多くでは、第1群にプラスチック材の非球面レンズを用いている。勿論、他のレンズ群のレンズ面を非球面化することにより、諸収差の発生をより一層抑え、より性能良好な投射用ズームレンズ、あるいはレンズ枚数の少ない安価な投射用ズームレンズとすることができる。
実施例ではプラスチック材による非球面レンズを用いているが、これに限らず、ガラス成形による非球面レンズや「薄い樹脂などを成形して非球面化したハイブリッド非球面」を有する非球面レンズとしてもよい。
投射用ズームレンズは、広画角になるにつれ倍率色収差の補正が困難となってくる。高変倍の場合には、全域において諸収差を補正するのは更に困難となる。
このような困難を緩和するには、請求項6のように「全体として負のパワーを有している第1群の中で、負のパワーが最も強い(即ち、負の焦点距離が最も小さい)レンズのアッベ数:νdを55以上とし「第1群における倍率色収差の発生を抑える」ことが有効である。
この発明の投射用ズームレンズにおいて、主な変倍群、即ち、変倍に主として寄与する変倍群は第3群と第4群となっている。
第3群と第4群とを主たる変倍群としつつ、請求項7のように「負のパワーの第5群を、1枚の負レンズで構成」することにより、軸上光線高さが低くなる位置である第5群に「強い負の屈折力をもったレンズ」を配置することにより、ペッツバール和を効率よく小さくできる。
この発明の投射用ズームレンズのように、小さなFナンバで「高い空間周波数の画像」を実現しようとすると焦点深度が浅くなりやすく、特に像面湾曲や非点収差が大きいと解像感が低くなってしまう。このような問題に対処するには上記の如くペッツバール和を小さく補正することが有効である。
なお、第5群は請求項7のように「1枚の負レンズのみ」で構成できるが、請求項8のように、1枚の負レンズとともに1枚の正レンズを配することにより、第5群において光線を緩やかに屈曲させることにより「良好なテレセントリック性」を保つことができる。
この場合、請求項9のように、第5群を構成する正・負のレンズを接合することにより、色収差が補正しやすくなり、また投射用ズームレンズの組み立て性を向上させることができる。
変倍が高倍率になると「色収差倍率の変倍による変化」が問題となる。
この問題に対処するには、請求項10のように、主たる変倍群のなかの第4群のレンズに「アッベ数:νdが60以上の正レンズ」を用い、変倍時の倍率色収差の変化を抑えるのが有効である。
第5群には上記の如く「ペッツバール和を小さくする作用」があるところから、補正不足となり像面湾曲などが大きくなりやすいが、前述の条件(1)〜(3)を満足させることにより、この問題を有効に回避できる。
Fナンバが小さくなると、軸上光線の光線高さが高くなりやすく「軸上の色収差」の補正も困難となるが、この場合も請求項10のように、軸上光線が特に高くなる開口絞り付近の第4群に「60以上のアッベ数を持つ正レンズを1枚以上」含めることが軸上色収差の補正に有効である。
請求項11のように、第4群に「1枚の正レンズと1枚の負レンズによる接合レンズ」を含めることによっても、請求項9、10の場合と同様の効果を期待できる。
上記の如き請求項1〜12の投射用ズームレンズを、周知のプロジェクタに搭載することにより投射型表示装置を実現できる。
なお、画像表示素子において「画像を表示する画像表示面(液晶パネルの液晶面やDMDにおけるデジタルミラーの配列面等)」と投射面とは、投射用ズームレンズの結像関係においては「互いに共役」な関係にあるから、上記画像表示面と「光学的に等価な位置」にCMOS等のエリアセンサの受光面を配し、投射面上の画像を受光面上に結像させて画像読み取りを行なうように、即ち、投射型表示装置に「画像読み取り機能」を併設することができる。
以上に説明したように、この発明によれば、新規な投射用ズームレンズを実現できる。この発明の投射用ズームレンズは、後述する実施例に示すように、3板用プロジェクタの投射用ズームレンズに必要とされる「長いバックフォーカス」、「縮小側における高いテレセントリック性」を備え、且つ、明るく、高性能であって、明るく高品質の投射画像を投射可能である。
実施例1のレンズの広角端における断面図である。 実施例1のレンズの望遠端における断面図である。 実施例1のレンズの広角端における縦収差図である。 実施例1のレンズの中間変倍域における縦収差図である。 実施例1のレンズの望遠端における縦収差図である。 実施例1のレンズの広角端における横収差図である。 実施例1のレンズの中間変倍域における横収差図である。 実施例1のレンズの望遠端における横収差図である。 実施例2のレンズの広角端における断面図である。 実施例2のレンズの望遠端における断面図である。 実施例2のレンズの広角端における縦収差図である。 実施例2のレンズの中間変倍域における縦収差図である。 実施例2のレンズの望遠端における縦収差図である。 実施例2のレンズの広角端における横収差図である。 実施例2のレンズの中間変倍域における横収差図である。 実施例2のレンズの望遠端における横収差図である。 実施例3のレンズの広角端における断面図である。 実施例3のレンズの望遠端における断面図である。 実施例3のレンズの広角端における縦収差図である。 実施例3のレンズの中間変倍域における縦収差図である。 実施例3のレンズの望遠端における縦収差図である。 実施例3のレンズの広角端における横収差図である。 実施例3のレンズの中間変倍域における横収差図である。 実施例3のレンズの望遠端における横収差図である。 実施例4のレンズの広角端における断面図である。 実施例4のレンズの望遠端における断面図である。 実施例4のレンズの広角端における縦収差図である。 実施例4のレンズの中間変倍域における縦収差図である。 実施例4のレンズの望遠端における縦収差図である。 実施例4のレンズの広角端における横収差図である。 実施例4のレンズの中間変倍域における横収差図である。 実施例4のレンズの望遠端における横収差図である。 実施例5のレンズの広角端における断面図である。 実施例5のレンズの望遠端における断面図である。 実施例5のレンズの広角端における縦収差図である。 実施例5のレンズの中間変倍域における縦収差図である。 実施例5のレンズの望遠端における縦収差図である。 実施例5のレンズの広角端における横収差図である。 実施例5のレンズの中間変倍域における横収差図である。 実施例5のレンズの望遠端における横収差図である。 実施例6のレンズの広角端における断面図である。 実施例6のレンズの望遠端における断面図である。 実施例6のレンズの広角端における縦収差図である。 実施例6のレンズの中間変倍域における縦収差図である。 実施例6のレンズの望遠端における縦収差図である。 実施例6のレンズの広角端における横収差図である。 実施例6のレンズの中間変倍域における横収差図である。 実施例6のレンズの望遠端における横収差図である。 実施例7のレンズの広角端における断面図である。 実施例7のレンズの望遠端における断面図である。 実施例7のレンズの広角端における縦収差図である。 実施例7のレンズの中間変倍域における縦収差図である。 実施例7のレンズの望遠端における縦収差図である。 実施例7のレンズの広角端における横収差図である。 実施例7のレンズの中間変倍域における横収差図である。 実施例7のレンズの望遠端における横収差図である。
以下、実施の形態を説明する。
図1、図2に即して投射用ズームレンズの実施の第1の形態を説明する。
図9、図10に即して投射用ズームレンズの実施の第2の形態を説明する。
図17、図18に即して投射用ズームレンズの実施の第3の形態を説明する。
図25、図26に即して投射用ズームレンズの実施の第4の形態を説明する。
図33、図34に即して投射用ズームレンズの実施の第5の形態を説明する。
図41、図42に即して投射用ズームレンズの実施の第6の形態を説明する。
図49、図50に即して投射用ズームレンズの実施の第7の形態を説明する。
これら、第1〜第7の実施の形態はそれぞれ、後述する実施例1〜7に関するものである。混同の恐れは無いと思われるので、これらの図において符号を共通化した。
図1、図9、図17、図25、図33、図41、図49は、これらの実施の形態の「広角端(図中に「W」と表示)でのレンズ構成」を示している。また、図2、図10、図18、図26、図34、図41、図50は、これらの実施の形態の「望遠端(図中に「T」と表示)でのレンズ構成」を示している。
この第1〜第7の実施の形態の投射用ズームレンズは、上記各図に示すように、拡大側(図の左方)から順に、負の屈折力を持つ第1群G1、正の屈折力を持つ第2群G2、正の屈折力を持つ第3群G3、正の屈折力を持つ第4群G4、負の屈折力を持つ第5群G5、正の屈折力を持つ第6群G6、正の屈折力を持つ第7群G7の7つの群で構成され、第4群G4と第5群G5との間に開口絞りSを有する。なお、これらの図中における符号「P」は色合成手段である「ダイクロイックプリズム」を示している。
後述する実施例1〜7に示すように、これらの投射用ズームレンズは、縮小側において略テレセントリックであり、広角端における全系の焦点距離:fw、第1群の焦点距離:f1、第5群の焦点距離:f5、拡大側の共役点が無限遠のときの空気中におけるバックフォーカス:Bfは、前述の条件(1)〜(3)を満足する。
第1〜第7の実施の形態とも、変倍に際して第7群G7が固定である。また、第2の実施形態を除き、第1群G1も変倍に際して固定である。
第1〜第7の実施の形態とも、第2群G2中に、d線に対する屈折率が1.75以上である材質による正レンズが1枚以上含まれる。また、第7の実施の形態以外では、「非球面形状を有するレンズ」が1枚以上含まれている。
また、第1〜第7の実施の形態とも、第1群G1に含まれるレンズのうちで、負のパワーが最も強いレンズのアッベ数:νdが55以上である。
さらに、第1、第2、第3、第5、第6、第7の実施の形態においては、第5群G5が、1以上の正レンズと1以上の負レンズを有するとともに、「1枚の正レンズと1枚の負レンズの接合レンズ」を有する。
第4の実施の形態では、第5群G5は「1枚の負レンズ」からなる。
第1〜第7の実施の形態とも、第4群G4は「60以上のアッベ数を持つ正レンズ」を1枚以上含み、第3、第7の実施の形態では、第4群G4が「1枚の正レンズと1枚の負レンズによる接合レンズ」を有する。
何れの実施の形態においても、投射用ズームレンズで、フォーカシングに際しては、第1群を光軸方向に移動させることで調整を行う。
以下、具体的な実施例を挙げる。
実施例に用いられている記号の意味は以下の通りである。
「S」 拡大側から数えた面番号(開口絞りの面を含む)
「R」 レンズ面の曲率半径
「D」 面間隔
「nd」 d線に対する屈折率
「vd」 アッベ数
「W」 広角端
「M」 中間焦点距離
「T」 望遠端
「f」 投射用ズームレンズの焦点距離
「FNo」 Fナンバ
「ω」 半画角
「bf」 空気中(プリズムのない状態)のバックフォーカス 。
「*」を付した面は非球面であることを示す。
非球面は、光軸方向の座標:Z、光軸直行方向の座標:h、軸上曲率半径:Ri、円錐定数:K、4次以降の係数:A、B、C、D、E、F、G、H、Jにより周知の次式で表され、上記Ri、K、A、B、C、D、E、F、G、H、Jを与えて形状を特定する。
Z=(1/Ri)・h2/[1+√{1−(K+1)・(1/Ri)2・h2}]
+A・h4+B・h6+C・h8+D・h10+E・h12
+F・h14+G・h16 +H・h18+J・h20
各実施例とも、計算基準波長:546.07nm(緑色)である。
「実施例1」
実施例1に関するデータを表1に示す。
Figure 0005535542
「非球面」
非球面のデータを表2に示す。
Figure 0005535542
「可変間隔」
可変間隔のデータを表3に示す。
Figure 0005535542
「可変量」
可変量のデータを表4に示す。
Figure 0005535542
「条件式のパラメータの値」
(1) Bf/fw=1.35
(2) |f1/fw|=1.19
(3) │f5/fw|=2.26 。
「実施例2」
実施例2に関するデータを表5に示す。
Figure 0005535542
「非球面」
非球面のデータを表6に示す。
Figure 0005535542
「可変間隔」
可変間隔のデータを表7に示す。
Figure 0005535542
「可変量」
可変量のデータを表8に示す。
Figure 0005535542
(1) Bf/fw=1.4
(2) |f1/fw|=1.07
(3) │f5/fw|=7.35 。
「実施例3」
実施例3に関するデータを表9に示す。
Figure 0005535542
「非球面」
非球面のデータを表10に示す。
Figure 0005535542
「可変間隔」
可変間隔のデータを表11に示す。
Figure 0005535542
「可変量」
可変量のデータを表12に示す。
Figure 0005535542
(1) Bf/fw=1.43
(2) |f1/fw|=1.12
(3) │f5/fw|=1.82 。
「実施例4」
実施例4に関するデータを表13に示す。
Figure 0005535542
「非球面」
非球面のデータを表14に示す。
Figure 0005535542
「可変間隔」
可変間隔のデータを表15に示す。
Figure 0005535542
「可変量」
可変量のデータを表16に示す。
Figure 0005535542
(1) Bf/fw=1.35
(2) |f1/fw|=1.06
(3) │f5/fw|=4.16 。
「実施例5」
実施例5に関するデータを表17に示す。
Figure 0005535542
「非球面」
非球面のデータを表18に示す。
Figure 0005535542
「可変間隔」
可変間隔のデータを表19に示す。
Figure 0005535542
「可変量」
可変量のデータを表20に示す。
Figure 0005535542
(1) Bf/fw=1.37
(2) |f1/fw|=1.16
(3) │f5/fw|=1.72 。
「実施例6」
実施例6に関するデータを表21に示す。
Figure 0005535542
「可変間隔」
可変間隔のデータを表22に示す。
Figure 0005535542
「可変量」
可変量のデータを表23に示す。
Figure 0005535542
(1) Bf/fw=1.35
(2) |f1/fw|=1.18
(3) │f5/fw|=2.48 。
「実施例7」
実施例7に関するデータを表24に示す。
Figure 0005535542
「非球面」
非球面のデータを表25に示す。
Figure 0005535542
「可変間隔」
可変間隔のデータを表26に示す。
Figure 0005535542
「可変量」
可変量のデータを表27に示す。
Figure 0005535542
(1) Bf/fw=1.83
(2) |f1/fw|=1.14
(3) │f5/fw|=7.43 。
実施例1〜7において、広角端におけるレンズ全長は以下の通りであり、各実施例の投射用ズームレンズともコンパクトである。
実施例1 159.26mm
実施例2 157.85mm
実施例3 167.00mm
実施例4 168.76mm
実施例5 166.25mm
実施例6 176.76mm
実施例7 186.76mm
なお、各実施例とも、変倍に伴う「群の移動」は「単調」であって1方向へ変位し、変位の途中で変位方向が反転することは無い。
図3〜図5にそれぞれ、実施例1の投射用ズームレンズの、広角端・中間変倍域・望遠端における縦収差図を示す。図6〜図8にはそれぞれ、実施例1の投射用ズームの広角端・中間変倍域・望遠端における横収差図を示す。
図11〜図13にそれぞれ、実施例2の投射用ズームレンズの、広角端・中間変倍域・望遠端における縦収差図を示す。図14〜図16にはそれぞれ、実施例2の投射用ズームの広角端・中間変倍域・望遠端における横収差図を示す。
図19〜図21にそれぞれ、実施例3の投射用ズームレンズの、広角端・中間変倍域・望遠端における縦収差図を示す。図22〜図24にはそれぞれ、実施例3の投射用ズームの広角端・中間変倍域・望遠端における横収差図を示す。
図27〜図29にそれぞれ、実施例4の投射用ズームレンズの、広角端・中間変倍域・望遠端における縦収差図を示す。図30〜図32にはそれぞれ、実施例4の投射用ズームの広角端・中間変倍域・望遠端における横収差図を示す。
図35〜図37にそれぞれ、実施例5の投射用ズームレンズの、広角端・中間変倍域・望遠端における縦収差図を示す。図38〜図40にはそれぞれ、実施例5の投射用ズームの広角端・中間変倍域・望遠端における横収差図を示す。
図43〜図45にそれぞれ、実施例6の投射用ズームレンズの、広角端・中間変倍域・望遠端における縦収差図を示す。図46〜図48にはそれぞれ、実施例6の投射用ズームの広角端・中間変倍域・望遠端における横収差図を示す。
図51〜図53にそれぞれ、実施例7の投射用ズームレンズの、広角端・中間変倍域・望遠端における縦収差図を示す。図54〜図56にはそれぞれ、実施例7の投射用ズームの広角端・中間変倍域・望遠端における横収差図を示す。
これらの収差図から明らかなように、各実施例の投射用ズームレンズとも、明るく。性能良好である。これら実施例の投射用レンズを搭載することにより、投射性能良好で高品質の投射画像を投射面上に投射する投射型表示装置(フロントまたはリアプロジェクタ)をコンパクトに実施できる。
G1 第1群
G2 第2群
G3 第3群
G4 第4群
G5 第5群
G6 第6群
G7 第7群
S 開口絞り
P 色合成手段(ダイクロイックプリズム)
特開2003−15038 特開2004−54021 特開2007−248840

Claims (13)

  1. 拡大側から順に、負の屈折力を持つ第1群、正の屈折力を持つ第2群、正の屈折力を持
    つ第3群、正の屈折力を持つ第4群、負の屈折力を持つ第5群、正の屈折力を持つ第6群
    、正の屈折力を持つ第7群を配し、第4群と第5群との間に開口絞りを有し、縮小側にお
    いて略テレセントリックな投射用ズームレンズであって、
    広角端から望遠端への変倍に際して、第1群から第3群まで、第1群から第4群まで、
    第1群から第6群までの距離は縮小し、第1群から第2群までの距離が縮小または増大し
    、第7群から第5群までの距離は縮小または増大するように、第1群ないし第7群における隣接する群間の距離が変化し、
    広角端における全系の焦点距離:fw、第1群の焦点距離:f1、第5群の焦点距離:
    f5、拡大側の共役点が無限遠のときの空気中におけるバックフォーカス:Bfが、以下
    の条件:
    (1) 1.0 < Bf/fw
    (2) 1.06 ≦|f1/fw|< 1.2
    (3) 1.5 <│f5/fw|< 8.0
    を満たすことを特徴とする投射用ズームレンズ。
  2. 請求項1記載の投射用ズームレンズにおいて、
    変倍に際して第7群が固定であることを特徴とする投射用ズームレンズ。
  3. 請求項2記載の投射用ズームレンズにおいて、
    変倍に際して第7群と共に第1群が固定であることを特徴とする投射用ズームレンズ。
  4. 請求項1〜3の任意の1に記載の投射用ズームレンズにおいて、
    第2群中に、d線に対する屈折率が1.75以上である材質による正レンズが1枚以上含まれることを特徴とする投射用ズームレンズ。
  5. 請求項1〜4の任意の1に記載の投射用ズームレンズにおいて、
    非球面形状を有するレンズを1枚以上含むことを特徴とする投射用ズームレンズ。
  6. 請求項1〜5の任意の1に記載の投射用ズームレンズにおいて、
    第1群に含まれるレンズのうちで、負のパワーが最も強いレンズのアッベ数:νdが55以上であることを特徴とする投射用ズームレンズ。
  7. 請求項1〜6の任意の1に記載の投射用ズームレンズにおいて、
    第5群が1枚の負レンズからなることを特徴とする投射用ズームレンズ。
  8. 請求項1〜6の任意の1に記載の投射用ズームレンズにおいて、
    第5群が、1以上の正レンズと1以上の負レンズを有してなることを特徴とする投射用ズームレンズ。
  9. 請求項8記載の投射用ズームレンズにおいて、
    第5群が、1枚の正レンズと1枚の負レンズの接合レンズを有することを特徴とする投射用ズームレンズ。
  10. 請求項1〜9の任意の1に記載の投射用ズームレンズにおいて、
    第4群が、60以上のアッベ数を持つ正レンズを1枚以上含むことを特徴とする投射用ズームレンズ。
  11. 請求項1〜10の任意の1に記載の投射用ズームレンズにおいて、
    第4群が、1枚の正レンズと1枚の負レンズによる接合レンズを有することを特徴とする投射用ズームレンズ。
  12. 請求項1〜11の任意の1に記載の投射用ズームレンズにおいて、
    フォーカシングに際し、第1群を光軸方向に移動させることで調整を行うことを特徴とする投射用ズームレンズ。
  13. 請求項1〜12の任意の1に記載の投射用ズームレンズを備えた投射型表示装置。
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