JP5529769B2 - プローブカードの熱的安定化方法及び検査装置 - Google Patents

プローブカードの熱的安定化方法及び検査装置 Download PDF

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Description

本発明は、プローブカードの熱的安定化方法及び検査装置に関し、更に詳しくは、プローブカードを短時間で熱的に安定化することができるプローブカードの熱的安定化方法及び検査装置に関するものである。
従来の検査装置は、例えば、被検査体(例えば、ウエハ)が載置される移動可能な載置台と、載置台の上方に配置された複数のプローブを有するプローブカードと、載置台の温度を調整する温度調整機構と、プローブカードの複数のプローブと載置台上のウエハの複数の電極パッドを位置合わせするアライメント機構と、載置台、温度調整機構及びアライメント機構をそれぞれ制御する制御装置と、を備え、制御装置の制御下で、載置台上のウエハを温度調整機構によって所定の温度に調整すると共にアライメント後のウエハの複数の電極パッドとプローブカードの複数のプローブとを電気的に接触させ所定の接触荷重でウエハに形成された複数のデバイスの電気的特性検査を行うように構成されている。
而して、検査装置は、ウエハを例えば150℃の高温に加熱して高温検査を行う場合や、被検査体を例えば−数10℃に冷却して低温検査する場合がある。高温検査や低温検査を行う場合には、載置台に内蔵された温度調整機構を用いてウエハを所定の検査温度まで加熱または冷却し、昇降駆動機構によって載置台を昇降させてデバイスとプローブとを所定の接触荷重で接触させて検査を行っている。
例えば150℃の高温下でウエハの電気的特性検査を行う場合には、検査の初期段階では、ウエハは温度調整機構によって150℃の高温まで加熱されているが、プローブカードは加熱されていないため、ウエハとプローブカードとの間には大きな温度差がある。そのため、最初のデバイスとプローブとを所定の接触荷重で接触させて検査すると、検査の間にウエハ側からの放熱によりプローブカードが加熱されて徐々に熱膨張して複数のプローブの針先高さが数10μmも変化し、ウエハとの接触荷重が過剰になって検査の信頼性を低下させ、場合によってはデバイスあるいはプローブが損傷する虞もある。
そこで、従来は、例えば図5に示すように載置台1の載置面をプローブカード2の複数のプローブ2Aの針先位置からδ(例えば数100μm)の距離まで近づけ、予め加熱された載置台1からの放熱によりプローブカード2をプリヒートして熱膨張させ、複数のプローブ2Aの針先位置がそれ以上変化しない状態にした後、ウエハの電気的特性検査を行っている。
プローブカード2のプリヒート及びウエハの電気的特性検査は、例えば図6に示すフローチャートに従って行われる。即ち、あるロットのウエハの検査を開始するためには、まず載置台1を移動させ、載置台の側方に付設されたCCDカメラ3を用いてプローブカード2の複数のプローブ2Aのアライメントを行って、複数のプローブ2Aの針先位置を検出する(ステップS1)。この間に載置台1が所定の温度(載置台と実質的に同一温度)に到達するまで待機し(ステップS2)、載置台1が所定の温度に達した時点で、図5に示すように載置台1がプローブカード2の真下へ移動し、この位置から数100μmの離間位置まで上昇して停止し、その位置で載置台1からの放熱によりプローブカード2をプリヒートする(ステップS3)。プリヒート後、CCDカメラ3を用いてプローブアライメントを行った後(ステップS4)、載置台1上に針研ウエハを載置し、載置台1上の針研ウエハを用いて複数のプローブ2Aを研磨し(ステップS5)、更に、研磨後にプローブアライメントを行って複数のプローブの針先位置を検出した後(ステップS7)、新たなロットの測定用ウエハを搬送して載置台1上へ搬送する(ステップS8)。その後、ウエハの電気的特性検査を行う。
ところが、従来の検査方法ではプリヒートに数10分、プローブカードの種類によっては数時間もの長時間を必要とするため、プリヒートが装置の実質的稼働時間を低下させる要因となっている。また、従来のプリヒートでは針先位置が安定したかを検知する機能がないため、プローブの種類に関係なくプリヒートを常に一定の余裕も見込んだ時間行うか、あるいはプリヒートの予想時間をプローブカードの種類毎に算出してプリヒートせざるを得なかった。
そこで、プリヒートを短時間で効率よく行う手法が従来から種々提案されている。例えば特許文献1にはプローブカードの複数のプローブと所定の検査温度に調整されたウエハとを直に接触させてプローブカードをプリヒートし、プローブカードを短時間で熱的に安定化させる技術が提案されている。また、特許文献2にはウエハの載置台とは別に設けられた移動可能な支持台上にプリヒート専用熱板を載置し、支持台を移動させてプリヒート専用熱板をプローブカードに直に接触させてプリヒートする技術が提案されている。
特開2007−088203 特開2004−266206
しかしながら、特許文献1の技術では、ウエハの検査温度とプローブがウエハと接触した後の経過時間とに基づいてプローブが所定の歪み量で接触するように載置台の位置を補正しているため、ウエハの検査を行う前に、ウエハと接触した後の経過時間と所定時間毎のプローブの伸縮量のデータを採取し、これらのデータに基づいて経過時間と位置補正値の相関関係を示すデータを作成しなければならない。また、特許文献2の技術では、プリヒート専用熱板を支持する支持台をウエハの載置台とは別に設けなくてはならず、検査装置が大型化する。また、例えば−数10℃の温度でウエハの検査を行う低温検査においても高温検査と同様の問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、プローブカードに熱源を直に接触させて短時間でプローブカードを所定の温度に調整して熱的に安定させることができると共に、プローブカードの熱的な変化を逐次に知ることでプローブカードを正確に安定化することができるプローブカードの熱的安定化方法及び検査装置を提供することを目的としている。
本発明の請求項1に記載のプローブカードの熱的安定化方法は、上下方向及び水平方向に移動可能な載置台と、上記載置台の上方に配置された複数のプローブを有するプローブカードと、上記載置台を昇降させる昇降駆動機構と、上記載置台の温度を調整する温度調整機構と、上記昇降駆動機構及び上記温度調整機構を制御する制御装置と、を備えた検査装置を用いて、被検査体を所定の温度で電気的特性検査を行う前に、上記載置台上に熱伝達用基板を載置し、上記温度調整機構によって温度調整される上記載置台上の熱伝達用基板を介して上記プローブカードを所定の温度になるまで温度調整すると共に上記昇降駆動機構を介して上記載置台を昇降させて上記熱伝達用基板と上記複数のプローブとの接触荷重を所定の目標荷重に制御しながら、上記プローブカードを熱的に安定させる方法であって、上記載置台に上記熱伝達用基板を載置し、上記載置台を介して上記熱伝達用基板の温度を調整する第1の工程と、上記載置台を上昇させて上記熱伝達用基板と上記複数のプローブを所定の目標荷重で接触させる第2の工程と、上記熱伝達用基板との間で熱を授受する上記プローブカードの熱的変化に即して変化する上記熱伝達用基板と上記複数のプローブとの接触荷重を検出する第3の工程と、上記プローブカードが熱的に安定するまで上記接触荷重が上記所定の目標荷重になるように上記昇降駆動機構を介して上記載置台を昇降制御する第4の工程と、を備えたことを特徴とするものである。
また、本発明の請求項2に記載のプローブカードの熱的安定化方法は、請求項1に記載の発明において、上記接触荷重を、上記昇降駆動機構に用いられるモータのトルク電圧を介して検出することを特徴とするものである。
また、本発明の請求項3に記載のプローブカードの熱的安定化方法は、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記載置台をオーバードライブさせて上記目標荷重を得ることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項4に記載のプローブカードの熱的安定化方法は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、上記熱伝達用基板として、熱伝導性に優れた材料を用いることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項5に記載の検査装置は、水平方向及び上下方向に移動可能な載置台と、上記載置台の上方に配置された複数のプローブを有するプローブカードと、上記載置台を昇降させる昇降駆動機構と、上記載置台を介して熱伝達用基板の温度を調整する温度調整機構と、上記昇降駆動機構及び上記温度調整機構を制御する制御装置と、を備え、被検査体を所定の温度で電気的特性検査を行う前に、上記載置台上に上記熱伝達用基板を載置し、上記温度調整機構によって温度調整される上記載置台上の熱伝達用基板を介して上記プローブカードを所定の温度になるまで温度調整すると共に上記昇降駆動機構を介して上記載置台を昇降させて上記熱伝達用基板と上記複数のプローブとの接触荷重を所定の目標荷重に制御しながら、上記プローブカードを熱的に安定させる検査装置であって、上記接触荷重を検出する荷重検出器を設け、上記制御装置は、上記荷重検出器からの信号に基づいて上記プローブカードが熱的に安定して上記接触荷重が上記目標荷重から変化しなくなるまで上記昇降駆動機構を介して上記載置台を昇降制御することを特徴とするのである。
また、本発明の請求項6に記載の検査装置は、上下方向及び水平方向に移動可能な載置台と、上記載置台の上方に配置された複数のプローブを有するプローブカードと、上記載置台を昇降させる昇降駆動機構と、上記載置台を介して熱伝達用基板の温度を調整する温度調整機構と、上記昇降駆動機構及び上記温度調整機構を制御する制御装置と、を備え、被検査体を所定の温度で電気的特性検査を行う前に、上記載置台上に上記熱伝達用基板を載置し、上記昇降駆動機構によって温度調整される上記載置台上の熱伝達用基板を介して上記プローブカードを所定の温度になるまで温度調整すると共に上記昇降駆動機構を介して上記載置台を昇降させて上記熱伝達用基板と上記複数のプローブと接触荷重を所定の目標荷重に制御しながら、上記プローブカードを熱的に安定させる検査装置であって、上記昇降駆動機構は、モータと、上記モータに連結されて上記載置台を昇降させる回転駆動軸と、上記回転駆動軸を回転させる時の上記モータのトルク電圧を検出するトルク電圧検出器と、を有し、上記制御装置は、上記トルク電圧検出器からの上記トルク電圧を上記熱伝達用基板と上記複数のプローブとの接触荷重に変換する中央演算処理装置を有し、上記プローブカードが熱的に安定するまで上記トルク電圧検出器からの信号に基づいて上記接触荷重が上記目標荷重になるように上記載置台を昇降制御することを特徴とするものである。
また、本発明の請求項7に記載の検査装置は、請求項5または請求項6に記載の発明において、上記目標荷重は、上記載置台上がオーバードライブして得られることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項8に記載の検査装置は、請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の発明において、上記熱伝達用基板は、熱伝導性に優れた材料によって形成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、プローブカードに熱源を直に接触させて短時間でプローブカードを所定の温度に調整して熱的に安定させることができると共に、プローブカードの熱的な変化を逐次に知ることでプローブカードを正確に安定化することができるプローブカードの熱的安定化方法及び検査装置を提供することができる。
本発明の検査装置の一実施形態を示す構成図である。 図1に示す検査装置を用いて本発明のプローブカードの熱的安定化方法を実施する際の検査装置の要部を示す説明図である。 図1に示す検査装置を用いる本発明のプローブカードの熱的安定化方法を実施する際にプローブの針先高さを検出する工程を示す図である。 図1に示す検査装置を用いる本発明のプローブカードの熱的安定化方法の一実施形態の手順を示すフローチャートである。 従来の検査装置を用いてプローブカードを熱的に安定化させる時の検査装置の要部を示す説明図である。 図5に示す検査装置を用いる従来のプローブカードの熱的安定化方法の一例の手順を示すフローチャートである。
まず、本実施形態の検査装置について図1及び図2を参照しながら説明する。
本実施形態の検査装置10は、例えば図1に示すように、被検査体(例えば、ウエハ)を搬送するローダ室11と、ウエハの電気的特性検査を行うプローバ室12と、ローダ室11とプローバ室12に設けられた各種の機器を制御する制御装置13とを、備えている。
ローダ室11は、図1に示すように、ウエハWをカセット単位で収納するカセット収納部111と、後述する熱伝達用基板Sや針研ウエハW1を収納するバッファテーブル112と、カセット収納部111及びバッファテーブル112に収納されたウエハWや熱伝達用基板Sを搬送するウエハ搬送機構113と、ウエハWや熱伝達用基板Sをプリアライメントするプリアライメント機構(図示せず)とを備えている。
プローバ室12は、図1に示すように、ウエハWを載置する移動可能な載置台121と、載置台121の上方に配置された複数のプローブ122Aを有するプローブカード122と、載置台121を加熱または冷却して載置台121の温度を調整する温度調整機構123と、複数のプローブ122Aと載置台121上のウエハWの複数の電極パッドを位置合わせするアライメント機構124と、を備え、制御装置13の制御下で所定の高温(例えば、150℃)下あるいは所定の低温(例えば、−数10℃)下でウエハWの電気的特性検査を行うように構成されている。尚、図1において、122Bはプローブカード122と一体化したカードホルダで、プローブカード122はカードホルダ122Bを介してプローバ室12の上面を形成するヘッドプレート122Cに固定されている。
載置台121の温度を調整する温度調整機構123は、ヒータ123Aと、冷却ジャケット(図示せず)と、載置台121の温度を検出する温度検出器(図示せず)と、を備え、載置台121を加熱し、冷却すると共に温度検出器からの検出信号に基づいて載置台121を所定の設定温度に制御する。この載置台121は、XYテーブル125を介して水平方向へ移動すると共に、XYテーブル125上に設けられた昇降駆動機構126を介して上下方向へ移動する。
載置台121を昇降させる昇降駆動機構126は、モータ126Aと、モータ126Aを介して載置台121を昇降させる回転駆動軸126Bと、モータ126Aから回転駆動軸126Bに伝達するトルク荷重をトルク電圧として検出するトルク電圧検出器126Cと、を備え、載置台121が回転駆動軸126Bを介して昇降して載置台121上のウエハW、針研ウエハW1あるいは熱伝達用基板Sとプローブカード122の複数のプローブ122Aとを所定の目標荷重(載置台上のウエハWまたは熱伝達用基板と複数のプローブ122との接触開始点から所定の寸法だけオーバードライブすることによって得られる接触荷重)で接触させる。トルク電圧検出器126Cは、モータ126Aのトルク電圧を検出し、デジタル信号として制御装置13へ送信する。
また、アライメント機構124は、載置第121の側方に付設された第1CCDカメラ124Aと、アライメントブリッジ124Bに設けられた第2CCDカメラ124Cと、を備え、第1CCDカメラ124Aによってプローブカード12の複数のプローブ12Aを撮像すると共に第2CCDカメラ124CによってウエハWの電極パッドを撮像し、第1、第2CCDカメラ124A、124Cの撮像結果に基づいて複数のプローブ122AとウエハWの複数の電極パッドとのアライメントを行う。
制御装置13は、図1に示すように、トルク電圧検出器126Cからのトルク電圧をトルク荷重に変換するなどの演算手段や種々のデータの比較手段を有する中央演算処理装置131と、第1、第2CCDカメラ124A、124Cからの撮像信号を画像処理する画像処理装置132と、検査装置10を制御するためのプログラム、トルク電圧検出器126Cからの接触荷重、目標荷重及び画像処理装置132に基づく画像データ等の種々データを記憶する記憶装置133と、を備え、検査装置10に設けられた各種の機器類を制御すると共に種々のデータを表示装置(図示せず)に表示する。
而して、本発明のプローブカードの熱的安定化方法は、載置台121上に熱伝達用基板Sを載置し、熱伝達用基板Sをプローブカード122の複数のプローブ122Aに直に接触させてプローブカード122の温度を所定の温度に調整してプローブカード122を熱的に安定化させる方法である。この方法に用いられる熱伝達用基板Sは、プローブカード122の複数のプローブ122Aと所定の目標荷重で直に接触し、プローブカード122を所定の温度に調整するために用いられる。そこで、熱伝達用基板Sを用いる本発明のプローブカードの熱的安定化方法の一実施形態について図1〜図4を参照しながら説明する。本実施形態において目標荷重を設定し、目標荷重と接触荷重を比較することにより、プローブカード122の熱膨張の程度を逐次検知することができる。
本実施形態のプローブカードの熱的安定化方法では、プローブカード122をプリヒートする場合について説明する。プローブカード122をプリヒートする場合には、例えば図2に示すように、ヒータ123Aによって加熱される載置台121上に熱伝達用基板Sを載置し、この熱伝達用基板Sとプローブカード122の複数のプローブ122Aを所定の目標荷重で直に接触させてプローブカード122をウエハWの高温検査で要求される温度(例えば、150℃)まで短時間でプリヒートし、プローブカード122の熱的変化に即して載置台121を昇降制御させることにより、プローブカード122を熱的に安定させることができ、延いては熱伝達用基板SをウエハWと交換した直後からウエハWの電気的特性検査を行うことができる。
熱伝達用基板Sは、例えばアルミニウム、シリコン等の熱伝達性に優れた材料によって形成されている。熱伝達用基板Sとしては、例えばプローブ122Aを研磨する時に用いる針研ウエハW1を用いることもできる。ここで、複数のプローブ122Aと熱伝達用基板Sを所定の目標荷重で接触させるためには、複数のプローブ122Aをアライメントして複数のプローブ122Aの針先高さを精確に検出する必要がある。複数のプローブ122Aの針先高さを精確に検出することにより、熱伝達用基板Sと複数のプローブ122Aとの接触開始点を精確に設定することができる。
そこで、本実施形態では、プローブアライメントに先立って、例えば本出願人が特開2007−324340号公報において提案したプローブ先端の検出方法を用いて複数のプローブ122Aの針先高さを精確に検出した後、本発明のプローブカードの熱安定化方法を実施する。
本実施形態において用いられるプローブ先端の検出方法を以下説明する。このプローブ先端の検出方法では、図3の(a)〜(f)に示したように、載置台121の側方に設けられた荷重センサ127とアライメントブリッジ124Bの端部に設けられたピン128が用いられる。荷重センサ127は、接触荷重を検出するセンサ部127Aと、このセンサ部127Aを弾力的に昇降させ且つ昇降可能なシリンダ部127Bと、シリンダ部127Bの上下位置をそれぞれ検出するセンサ(図示せず)と、を備え、アライメント機構124を介してプローブ12Aと接触し始めた時の接触荷重により、プローブ122Aの針先高さをセンサ部127Aで検出するように構成されている。ピン128は、荷重センサ127のセンサ部127Aと接触して所定の荷重(例えば、30gf±10%)を付与することにより、荷重センサ127が正常に動作するか否かを確認することができる。従って、荷重センサ127とピン128を用いることにより、図3の(a)〜(f)に示すように複数のプローブ122Aの針先高さを検出することにより複数のプローブ122AとウエハWや熱伝達用基板S、ウエハWまたは針研ウエハW1との接触開始点を精確に求めてプローブカード122の熱的変化を正確に検出することができる。
そこで、図3の(a)〜(f)を参照しながら上記プローブ先端の検出方法について概説する。まず、図3の(a)に示すようにアライメント機構124のアライメントブリッジ124Bがプローブセンタへ進出する。これと並行して載置台121が移動し、第1CCDカメラ124Aがアライメントブリッジ124Bに付設されたピン128を探し、ピン128の先端面に焦点を合わせることによってピン128の先端面を検出する。制御装置13は、この時の載置台121の高さを記憶装置133に登録する。また、第1、第2CCDカメラ124A、124Cの焦点距離は予め記憶装置133に登録されているため、中央演算処理装置131が載置台121の高さと第1CCDカメラ124Aの焦点距離からピン128の先端面高さを計算し、その時のピン128の先端面高さとピン128のX、Y位置を記憶装置133に登録する。
荷重センサ127は、制御装置13を介してセンサ部127Aの上面がシリンダ部127Bから上昇して載置台121の載置面より高い位置に達して固定される。これと並行して、載置台121が移動し、その間にアライメントブリッジ124Bの第2CCDカメラ124Cで荷重センサ127を探し、図の(b)に示すように第2CCDカメラ124Cがセンサ部127Aの上面に焦点を合わせて荷重センサ127を検出する。制御装置13は、この時の載置台121の高さを荷重センサ127の高さとして認識し、この高さをその時のX、Y位置と共に記憶装置133に登録する。
引き続き、荷重センサ127が載置台121を介して移動し、荷重センサ127がピン128の真下に達した時点で停止し、この位置でセンサ部127Aの上面が図3の(c)に示すように載置台121を介して上昇してピン128と接触し、荷重センサ127が正常に機能していることを確認する。荷重センサ127の動作を確認した後、図3の(d)に示すように、荷重センサ127が載置台121を介して移動し、第2CCDカメラ124Cが荷重センサ127のセンサ部127Aの上面を検出し、センサ部127A上面の高さを確認する。
然る後、制御装置13の制御下でアライメントブリッジ124Bがプローブセンタから後退した後、図3の(e)に示すように、荷重センサ127が載置台121を介して移動してプローブカード12の真下に達すると、載置台121が停止してその位置から上昇し、荷重センサ127のセンサ部127Aの上面がプローブ12Aと接触して作動し、制御装置13を介して載置台121を停止させる。この時の載置台121の高さからプローブ12Aの針先高さが決まり、その高さを制御装置13において認識し、このプローブ12Aの針先高さを記憶装置133に登録する。
次いで、載置台121が記憶装置133に登録されたプローブ122Aの針先高さに基づいて移動して図3の(f)に示すように第1CCDカメラ124Aを用いてプローブカード122のプローブアライメントを行って複数のプローブ122Aの針先を検出する(ステップS11)。この際、第1CCDカメラ124Aを用いる光学的な手法であってもプローブ122Aの針先高さが予め検出されているため、第1CCDカメラ126Aの焦点をプローブ122Aの針先に正確に合わせることができる。
ステップS11において複数のプローブ122Aの針先高さを検出した後、ローダ室11のウエハ搬送機構113を用いてバッファテーブル112から載置台121上へ針研ウエハW1を搬送する(ステップS12)。その後、載置台121を上昇させて針研ウエハW1と複数のプローブ122を接触させて複数のプローブ122Aを研磨して複数のプローブ122Aの付着物を除去する(ステップS13)。針研ウエハW1を熱伝達用基板Sとしてそのまま使用できる場合には針研ウエハW1を用いてプローブカード122のプリヒートに使用する。針研ウエハW1の熱伝達性に劣る場合には、針研ウエハW1を熱伝達用基板Sに置換してプリヒートを行う。針研ウエハW1を置換する場合には、ウエハ搬送機構113を用いて針研ウエハW1をバッファテーブル112へ戻し、熱伝達用基板Sをバッファテーブル112から載置台121上へ搬送する(ステップS14)。
ステップS14において熱伝達用基板Sを載置台121に載置した後、載置台121がプローブカード122の真下へ移動し、その位置から上昇して熱伝達用基板Sを複数のプローブ122Aに接触させる。この際、複数のプローブ122Aの針先高さが予め精確に検出されているため、昇降駆動機構126を介して載置台121上の熱伝達用基板Sを複数のプローブ122Aの針先高さまで上昇させて熱伝達用基板Sと複数のプローブ122Aを接触開始点で正確に接触させ、更に設定された所定のオーバードライブ量だけ熱伝達用基板Sを上昇させて、図2に矢印Aで示すように熱伝達用基板Sと複数のプローブ122Aとを所定の目標荷重で接触させる(ステップS15)。この間にもプローブカード122が載置台121上の熱伝達用基板Sを介してプリヒートされて徐々に温度が上昇して熱膨張する。
複数のプローブカード122が載置台121上の熱伝達用基板Sからの熱伝達により熱膨張し、複数のプローブ122Aと熱伝達用基板Sとの間の接触荷重が目標荷重より徐々に大きくなる。この間、トルク電圧検出器126Cが昇降駆動機構126のモータ126Aのトルク電圧を検出し、その検出信号を中央演算処理装置131へ送信する。
中央演算処理装置131は、トルク電圧検出器126Cからの信号に基づいて熱伝達用基板Sと複数のプローブ122Aとの間の接触荷重として求め、この接触荷重と記憶装置133から読み出した目標荷重とを比較し、プローブカード122の熱膨張により接触荷重が目標荷重を超えるとモータ136Aが逆方向に回転して載置台121が図2に矢印Bで示すように徐々に下降して接触荷重を減少させ、接触荷重が目標荷重になるように制御する(ステップS16)。
熱伝達用基板Sとプローブカード122と間に温度差があれば、プローブカード122が熱膨張し続けて接触荷重が徐々に大きくなるため、中央演算処理装置131は、その後も所定の時間間隔で、プローブカード122が熱伝達用基板Sの温度に到達し、接触荷重が目標荷重と一致する荷重飽和状態になっているか否かを判断し(ステップS17)、荷重飽和状態になっていないと判断すれば、ステップS16へ戻り、接触荷重が目標荷重になるよう載置台121を下降させるように制御する。プローブカード122が熱伝達用基板Sの温度に到達し、中央演算処理装置131がステップS17においてトルク電圧検出器126からのトルク電圧信号に基づいて荷重飽和状態になったと判断すれば、載置台121が下降して熱伝達用基板Sがプローブカード122から離れてプリヒートを停止する。
その後、ステップS11と同様の手順でプリヒートされたプローブカード122のプローブアライメントを行って複数のプローブ122Aの針先高さ(Z座標値)及びX、Y座標値を求めた後(ステップS18)、ローダ室11内のウエハ搬送機構113を用いて熱伝達用基板Sをバッファテーブル112の元の位置へ戻し、カセット収納部111から載置台121上へ測定用のウエハWを搬送し(ステップS19)、ウエハの電気的特性検査を開始する。ウエハWの電気的特性検査を行う時には、プローブカード122は熱的に安定しているため、検査時にウエハWと複数のプローブ122Aとを接触させ、ウエハWを一定のオーバードライブ量だけ上昇させれば常時一定の目標荷重で複数のプローブ122Aと接触し、信頼性のある検査を確実に行うことができる。
以上説明したように本実施形態によれば、検査装置10を用いるプローブカードの熱的安定化方法は、載置台121に熱伝達用基板Sを載置し、載置台121を介して熱伝達用基板Sの温度を調整する第1の工程と、載置台121を上昇させて熱伝達用基板Sと複数のプローブ122Aを所定の目標荷重で接触させる第2の工程と、熱伝達用基板Sからの熱でプローブカード122の熱膨張に即して大きくなる熱伝達用基板Sと複数のプローブ122Aとの接触荷重を検出する第3の工程と、プローブカード122が熱的に安定するまで接触荷重が所定の目標荷重になるように昇降駆動機構126を介して載置台121を昇降制御する第4の工程と、を備えているため、ウエハWの高温検査まで加熱された熱伝達用基板Sをプローブカード122に直に接触させて短時間でプローブカード122をウエハWの高温検査で要求される温度まで加熱して熱的に安定させることができると共にプローブカード122のプリヒート経過を接触荷重を通して容易に検知することができる。
本実施形態によれば、プローブカード122の熱膨張をウエハWと複数のプローブ122Aの接触荷重を介して監視しているため、接触荷重が変化しなくなった時点でプローブカード122の熱膨張終了時点として判断することができる。また、載置台121を加熱しながらでもプローブカード122をプリヒートすることができ、結果としてプリヒート時間を短縮することができる。
尚、本発明は上記実施形態に何等制限されるものではなく、本発明の構成要素を適宜設計変更することができる。また、本実施形態のプローブカードの熱的安定化方法では針研ウエハを用いる工程を含んでいるが、針研が不要な場合はその工程を省略することができる。
10 検査装置
121 載置台
122 プローブカード
122A プローブ
126 昇降駆動機構
126A モータ
126B 回転駆動軸
126C トルク電圧検出器(接触荷重検出器)
13 制御装置
131 中央演算処理装置
133 記憶装置
S 熱伝達用基板
W ウエハ(被検査体)

Claims (8)

  1. 水平方向及び上下方向に移動可能な載置台と、上記載置台の上方に配置された複数のプローブを有するプローブカードと、上記載置台を昇降させる昇降駆動機構と、上記載置台の温度を調整する温度調整機構と、上記昇降駆動機構及び上記温度調整機構を制御する制御装置と、を備えた検査装置を用いて、被検査体を所定の温度で電気的特性検査を行う前に、上記載置台上に熱伝達用基板を載置し、上記温度調整機構によって温度調整される上記載置台上の熱伝達用基板を介して上記プローブカードを所定の温度になるまで温度調整すると共に上記昇降駆動機構を介して上記載置台を昇降させて上記熱伝達用基板と上記複数のプローブとの接触荷重を所定の目標荷重に制御しながら、上記プローブカードを熱的に安定させる方法であって、
    上記載置台に上記熱伝達用基板を載置し、上記載置台を介して上記熱伝達用基板の温度を調整する第1の工程と、
    上記載置台を上昇させて上記熱伝達用基板と上記複数のプローブを所定の目標荷重で接触させる第2の工程と、
    上記熱伝達用基板との間で熱を授受する上記プローブカードの熱的変化に即して変化する上記熱伝達用基板と上記複数のプローブとの接触荷重を検出する第3の工程と、
    上記プローブカードが熱的に安定するまで上記接触荷重が上記所定の目標荷重になるように上記昇降駆動機構を介して上記載置台を昇降制御する第4の工程と、を備えた
    ことを特徴とするプローブカードの熱的安定化方法。
  2. 上記接触荷重を、上記昇降駆動機構に用いられるモータのトルク電圧を介して検出することを特徴とする請求項1に記載のプローブカードの熱的安定化方法。
  3. 上記載置台をオーバードライブさせて上記目標荷重を得ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプローブカードの熱的安定化方法。
  4. 上記熱伝達用基板として、熱伝導性に優れた材料を用いることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のプローブカードの熱的安定化方法。
  5. 水平方向及び上下方向に移動可能な載置台と、上記載置台の上方に配置された複数のプローブを有するプローブカードと、上記載置台を昇降させる昇降駆動機構と、上記載置台を介して熱伝達用基板の温度を調整する温度調整機構と、上記昇降駆動機構及び上記温度調整機構を制御する制御装置と、を備え、被検査体を所定の温度で電気的特性検査を行う前に、上記載置台上に上記熱伝達用基板を載置し、上記温度調整機構によって温度調整される上記載置台上の熱伝達用基板を介して上記プローブカードを所定の温度になるまで温度調整すると共に上記昇降駆動機構を介して上記載置台を昇降させて上記熱伝達用基板と上記複数のプローブとの接触荷重を所定の目標荷重に制御しながら、上記プローブカードを熱的に安定させる検査装置であって、
    上記接触荷重を検出する荷重検出器を設け、
    上記制御装置は、上記荷重検出器からの信号に基づいて上記プローブカードが熱的に安定して上記接触荷重が上記目標荷重から変化しなくなるまで上記昇降駆動機構を介して上記載置台を昇降制御する
    ことを特徴とする検査装置。
  6. 水平方向及び上下方向に移動可能な載置台と、上記載置台の上方に配置された複数のプローブを有するプローブカードと、上記載置台を昇降させる昇降駆動機構と、上記載置台を介して熱伝達用基板の温度を調整する温度調整機構と、上記昇降駆動機構及び上記温度調整機構を制御する制御装置と、を備え、被検査体を所定の温度で電気的特性検査を行う前に、上記載置台上に上記熱伝達用基板を載置し、上記温度調整機構によって温度調整される上記載置台上の熱伝達用基板を介して上記プローブカードを所定の温度になるまで温度調整すると共に上記昇降駆動機構を介して上記載置台を昇降させて上記熱伝達用基板と上記複数のプローブとの接触荷重を所定の目標荷重に制御しながら、上記プローブカードを熱的に安定させる検査装置であって、
    上記昇降駆動機構は、モータと、上記モータに連結されて上記載置台を昇降させる回転駆動軸と、上記回転駆動軸を回転させる時の上記モータのトルク電圧を検出するトルク電圧検出器と、を有し、
    上記制御装置は、上記トルク電圧検出器からの上記トルク電圧を上記熱伝達用基板と上記複数のプローブとの接触荷重に変換する中央演算処理装置を有し、上記プローブカードが熱的に安定するまで上記トルク電圧検出器からの信号に基づいて上記接触荷重が上記目標荷重になるように上記載置台を昇降制御する
    ことを特徴とする検査装置。
  7. 上記目標荷重は、上記載置台上がオーバードライブして得られることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の検査装置。
  8. 上記熱伝達用基板は、熱伝導性に優れた材料によって形成されていることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の検査装置。
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