JP5529524B2 - 起毛不織布及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、風合いが向上した起毛不織布及びその製造方法に関する。
生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品に使われる不織布には良好な風合いが要求される。風合いを向上させる技術としては、繊維の改質、後加工等に多くの手法が検討されている。例えば繊維の細さを細くしたり、柔軟剤を練り込んだりする等、様々な方法が提案されている。しかし、不織布製造時の風合い付与加工方法より風合い改善が可能ならば、多様な種類の不織布にも風合いを付与できる点で汎用性が高くなり、コスト面でのメリットも大きい。
後加工方法の中で、編物で主に行われている起毛加工がある。起毛により、風合いを向上する技術は知られており、例えば特許文献3には風合い向上のために起毛した布帛が記載されている。
また特許文献1、2には、風合いの向上が目的ではないが、植毛により起毛する方法が記載されている。更に用途が異なるが、特許文献4には、汚れをふき取るための起毛した不織布が開示されている。
特開平7−34385号公報 特開2003−113576号公報 昭62−206074号公報 特開平5−222657号公報
ところで、吸収性物品の構成部材として不織布を用いる場合、その不織布には、強度も要求される。例えば、吸収性物品では、吸収した尿等が、不織布の強度不足等に起因してモレることは避けなければならない。また、使い捨ておむつの外装材等に用いた場合、おむつの上げ下げや着脱の際に破れないように素材の強度は必須である。
しかしながら、特許文献1,2では植毛の技術を用い、起毛した繊維は基材とは異なる繊維を用いている。従って、これらの文献に記載の技術は、基材の繊維のみで風合いを向上させる起毛状態ではなく、基材の繊維のみで、風合いと強度とを両立することはできない。また特許文献3では、起毛対象を布帛に限定しており、布帛での起毛は起毛機を使うことで容易に達成できるが、編んだり織ったりしていない不織布のようなものは、強度が弱いため、通常の布帛の起毛方法では起毛しずらい。
また、針を連続で突き刺すことで起毛を作り出したり、分割繊維を用いて水流交絡法により起毛不織布を製造する方法は知られているが、これらの起毛方法によって、起毛した不織布を製造する場合は、生産性に劣り、大量生産する必要がある吸収性物品等に使用するには生産速度の遅さに問題がある。
そのためロールを用いて起毛することが望まれるが、一般的なロールによる起毛加工は、十分な起毛量を得るために流れ方向のテンションを上げて起毛するものであり、長繊維不織布をはじめとした目付けの低い不織布では加工時に切断が生じ、吸収性物品に使用する素材としては致命的な強度低下という問題がある。特に近年は不織布目付けが20g/m2以下、特に15g/m2以下といった薄い不織布を用いる傾向にあり、薄さにより風合いが低下するとともに起毛加工がより難しくなっている。また特許文献4では清掃用具としての使い道から、起毛を提案しているが、風合いと強度を両立することは記載されていない。
従って本発明は、不織布を構成している繊維を起毛することにより風合いを向上させるとともに、強度も両立した起毛不織布を提供することを課題とする。またそのような起毛不織布を高速生産可能な起毛不織布の製造方法を提供することを課題とする。
かかる課題に対し、発明者らは人が風合いがよいと感じる起毛の大きさを検討し、風合い向上のための必ずしも起毛は全面に施す必要がないことを見出した。そこで起毛を全面にするのではなく、風合いの向上する大きさの起毛と、強度保持のための起毛してない部分をあわせもつ不織布を作製することで風合いと強度の二つとも満たされることを見出した。特にその両立はストライプ柄状の規則的な構造により、強度と風合いの両立ができることを見出した。
すなわち本発明は、不織布を構成している繊維の一部が起毛していて、起毛部位と起毛していない部位を有する不織布であって、起毛部位と起毛していない部位が、ストライプ柄状に形成されている起毛不織布を提供するものである。
更に本発明では特に薄いスパンボンド不織布に有用であり、起毛をすることで、従来スパンボンド不織布になかったふっくら感を付与することに成功した。そのふっくら感は従来の圧縮特性値では表していなかった、微小荷重時の圧縮挙動を詳細に解析することで、微小荷重時の新しい圧縮特性値に特徴があることを見出した。そこで特性値を限定することで、風合いのよいスパンボンド不織布を数値として表せることも見出した。これにより従来の起毛方法よりも少ない起毛量でも肌触りがよいスパンボンド不織布を見出している。
すなわち本発明は、不織布を構成している繊維の一部が起毛していて、起毛部位を有する不織布であって、微小荷重時の圧縮特性値が18.0(gf/cm2)/mm以下であり、CD(機械の流れ方向と直交する方向)強度が6.00N/5cm以上であり、目付が5〜25g/m2であり、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布又はスパンボンドの積層不織布である、起毛不織布を提供するものである。
更に本発明では風合いと強度を両立させた前述の起毛不織布を大量生産するため、速度を早くすることが可能なロールでの起毛を試みた結果、歯型のロールを用いることで生産性の高さと風合い、強度をすべて満たす起毛方法を見出した。本発明ではCD方向にもロールの噛み合わせにより張力が発生するために、流れ(MD)方向のテンションを必要以上に上げることをしなくてよい。そのため薄い不織布表面でも起毛(こすりやひっかけ)により破れもなく、また効率的に起毛させることが可能となった。
すなわち本発明は、互いに噛み合う凹凸形状を軸長方向に有し、少なくとも一方が周方向にも凹凸形状を有する二本のロール間に不織布を通し、周方向の凹凸形状を有する少なくとも一方のロールを、該不織布の流れ速度とは異なる速度で回転させるか又は停止させた状態下に、該周方向の凹凸形状の凸部を該不織布に接触させることで、該不織布の構成繊維を起毛させる、起毛不織布の製造方法を提供するものである。
本発明の起毛不織布は、不織布の樹脂、製法によらず、後加工で起毛をおこなうことにより風合いが向上し、かつ加工前の不織布に比べて起毛部位と起毛していない部位がストライプ柄をしている起毛加工をすることで、起毛していない部位により強度が保持されることで強度の減少が少ないために強度にも優れている。
また本発明の起毛不織布の製造方法は、風合いと強度とが両立した不織布は大量生産可能で、安価かつ少スペースで製造できる。
本発明は、従来不織布のみの起毛では言われていない強度と風合いの両立、さらには薄い不織布でも起毛が効率的に高速加工でできること、さらには布のように強度が高くない不織布加工が可能である等の利点がある。
図1(a)は本発明の起毛不織布の一実施形態を示す斜視図、図1(b)は、図1(a)のII−II線模式断面図である。 図2は、起毛量の測定方法を説明するための斜視図であり、図2(a)は不織布を、起毛側を外向きに山折りする様子を示す図、図2(b)は、台紙の穴から見える起毛繊維を示す図である。 図3は、本発明の起毛不織布の製造に好ましく用いられる起毛加工装置を示す正面図である。 図4は、図3に示す装置に用いた凹凸ロールの外周部を示す図である。 図5は、起毛加工装置の一対の歯型ロール間に不織布を通してその一部を起毛させる様子を示す模式斜視図である。 図6は、本発明に係る起毛不織布の使用態様の例を説明するための図であり、パンツ型使い捨ておむつを展開して伸張させた状態を示す展開平面図である。 図7は、図6のX1−X1線断面図である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
<不織布>
本発明の起毛不織布は、不織布を構成している繊維の一部を起立させて得られる。
図1に示す起毛不織布101は、本発明の起毛不織布の一実施形態であり、不織布を構成する繊維の一部を起立させて得られるものである。また、起毛不織布101は、不織布の構成繊維が起立した起毛部位102と起毛していない部位103とを有している。起毛不織布101における、起毛部位102及び起毛していない部位103は、一方向に交互に形成されており且つそれぞれ該一方向の直交方向に延びて形成されている。
本発明の起毛不織布の製造に用いる不織布(あるいは起毛不織布を構成する不織布)としては、エアスルー不織布、水流交絡不織布、エアレイド不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、SM、SMS、SMMS、SSMS、SSMMS等のスパンボンドの積層不織布等を用いることができる。起毛の製造方法と組み合わせた場合、生産スピードという点では、スパンボンド製法、またはメルトブローン製法、さらには二つの組み合わせで作られたスパンボンドの積層不織布(以下まとめてスパンボンド不織布ともいう)が好ましい。不織布の目付けは特に限定されないが、吸収性物品の構成部材として用いる場合、目付けは、5〜50g/cm2であることが強度とコストの面から好ましく、スパンボンド不織布では強度が強いために5〜25g/cm2がさらに好ましい。さらにはSMS等の場合、片面のS層を起毛させ、他方のS層で強度を持たせることが容易となる点でスパンボンドとメルトブローンの積層不織布が好ましい。
不織布の構成繊維としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ナイロン(登録商標)、ナイロン6等のポリアミド等の合成樹脂から作られた繊維や、ポリ乳酸等の生分解性繊維などが挙げられる。
ポリ乳酸の繊維は肌触りが硬い傾向にあるが、本発明による加工により風合いの優れたものが得られる。またエチレン-プロピレン-コポリマー樹脂、PP−PEブレンドなど各種変性樹脂や混合樹脂を用いることもできる。繊維構成としては短繊維、複合繊維(芯鞘、サイドバイサイド、偏芯繊維)などがあるが、起毛時の繊維の切れやすさからPPを含む繊維が好ましい。繊維径は風合いの良いものを得る点で2dtex以下が好ましいが、スパンボンド系の不織布は繊維径が細くなるとペーパーライクになり厚みが薄くなる傾向にある。本発明では、起毛により、細繊維においても風合いの良いものが得られるので、1.2dtex以下が好ましい。
また、起毛加工前の元の不織布には捲縮された繊維を用いてもよいが、特に本発明の方
法によれば、元の不織布の繊維に捲縮がなくとも十分な効果が得られる。
<起毛>
本発明の起毛不織布は、不織布の構成繊維の一部が起毛している。本発明でいう起毛とは後述する起毛繊維が規定数以上ある不織布構造をいう。起毛繊維とは、不織布104を、図2(a)に示すように、折り曲げたときに、折り曲げた部分の山折り部の折り目105より0.2mm以上上方に存在している繊維106をいう。この起毛繊維の折り目105の幅1cmあたりの数を計測し、9箇所の平均で8本/cm以上である不織布を起毛している不織布とする。
具体的計測方法を以下に示す。
<起毛繊維計測方法>
不織布を20cm×20cmに切断する。A4サイズの黒い台紙の上に、切断した不織布104を起毛側を外向きに山折りして載せ、さらにその上に縦1cm×横1cmの穴107をあけたA4サイズの黒い台紙を載せる。このとき不織布の折り目105が上の黒い台紙の穴から見えるようにする。台紙には、富士共和製紙株式会社の「ケンラン(黒)連量265g」を用いた(一方はそれに前記穴を開けた)。その後上の台紙の穴の両側からそれぞれ折り目に沿う方向〔図2(b)の左右方向〕に5cmはなれた位置に50gのおもりをのせ、不織布104が完全に折りたたまれた状態を作る。図2(b)に示すように、その状態で、光学顕微鏡(KEYENCE社製VHX−900で30倍の倍率)により穴107内を観察し、不織布の折り目105より0.2mm以上上方に出ている起毛繊維の数を計測する。このとき起毛部位の幅が1cm以上の場合は起毛部位で3箇所繊維を計測する。起毛部位の幅が1cm以下の場合は無作為に3箇所選び計測する。以上の操作を不織布3枚分計測し、計9箇所の平均をとり、起毛しているかを判断する。また、起毛繊維の数を数える際には、図2(b)に示す繊維106aのように、折り目105から0.2mm上方のライン108を2回横切る繊維がある場合、その繊維は2本と数える。図2(b)に示す例では、前記ライン108を1回横切る繊維が4本、同ライン108を2回横切る繊維が1本存在するが、2回横切る繊維は2本と数え、起毛繊維の数は6本とする。なお、図2(b)中のライン105Aは、不織布の折り目105と重なるように引いた折り目のラインである。
風合いの観点から、起毛繊維の本数は10本/cm〜80本/cmが好ましい。80本/cm以上になると繊維によっては起毛繊維が硬く、風合いが必ずしもよいとは言えなくなってしまう。また起毛が手などに引っかかりやすく、とがったものに引っかかった衝撃で破けたり、手のささくれにひっかかり怪我をしたり、新たな問題が生じやすい。また起毛とは植毛とは異なり、不織布に接着剤等を用いて、新たな繊維を付着させる操作ではない。このため他の薬剤を用いず、肌に悪影響を及ぼす危険性が低減できる。また使用時の植毛繊維のはがれ、接着面の露出などの問題も起こらない。生産性よく起毛部位と起毛していない部位がストライプ柄状の起毛不織布を製造するにはロールによる起毛が好ましく、後述する歯型ロールが好ましい。また、吸収性物品に使われている不織布のひとつであるスパンボンド不織布は薄く一般的な起毛加工では破れが生じやすく困難であるが、本方法によれば起毛密度が高く風合いのよい起毛(スパンボンド)不織布が得られる。
<起毛部位の分布>
本発明では、不織布の強度と風合いの両立のために、全面を起毛するのではなく起毛部位と起毛していない部位を有することが好ましく、起毛部位102と起毛していない部位103とが、図1に示す起毛不織布101のように、ストライプ柄状に形成されていることが好ましい。ストライプ柄状は、具体的には1mm範囲に起毛繊維が1本以上ある範囲(起毛している範囲)と、起毛繊維は1mm範囲に1本未満の箇所(起毛していない範囲)があり、それぞれの箇所が平行に且つ交互に存在することが好ましい。ストライプ状の起毛をしており、かつ前述の1cmあたりの起毛本数が平均8本/cm以上であるとき、当該不織布を、ストライプ柄状に形成されている起毛不織布とする。起毛していない範囲の幅W3〔図1(b)参照〕は、強度の面で1mm以上が好ましく、風合いの観点から10mm以下が好ましい。また生産上ストライプ柄が容易であり、ストライプ柄はMD方向、CD方向など方向によらない。ストライプのピッチは起毛部位、起毛してない部位のそれぞれについて1〜20mmずつであることが風合いと強度を両立する上で好ましい。さらには2〜5mmが好ましい。ピッチが大きいとデザイン的に優れる、またピッチが小さいと後述する微小荷重時の圧縮特性値を下げられる点で好ましい。起毛部位のピッチP2及び起毛してない部位のピッチP3を、図1(b)に図示した。
<風合いの良さ>
本発明の起毛不織布は、風合いが良いことによっても特長付けられる。
従来風合いを表す特性値には多く知られていて、特にKESでの特性値が一般的に知られている。特にふっくら感を示すにはその中でも圧縮特性と呼ばれる三つの特性値のLC(圧縮荷重―圧縮ひずみ曲線の直線性)、WC(圧縮仕事量)、RC(圧縮レジリエンス)が知られている。これらの圧縮特性は荷重を0.5〜50gf/cm2(高感度測定では0.5〜10gf/cm2)かけたときの変形量から特性値を算出している。しかし目付けの小さい(5〜25g/m2)不織布などの大変薄い布では大きな差が出ず、風合いとの相関は大きくなかった。さらに人間が吸収性物品を触る際の荷重は1g/cm2前後と大変軽い荷重で風合いを感じており、本来の風合いを表すためには従来の荷重よりも小さい範囲での特性値が有用であると考え、荷重が0.3gf/cm2から1gf/cm2間の荷重とそのときの変形量から新しい特性値を見出した。この特性値はスパンボンド不織布とエアスルー不織布との風合いの違いを如実に表す数値として示され、スパンボンド不織布の風合いを表す新しい特性値として起毛不織布を表すことができる。
<微小荷重時の圧縮特性値>
本発明では微小荷重時の圧縮特性値を、風合いを表す新しい特性値として定義している。微小荷重時の圧縮特性値の算出の元となるデータの測定はカトーテック株式会社製のKESFB3−AUTO−A(商品名)を用いた。起毛させたスパンボンド不織布を20cm×20cmに3枚カットし同じ条件で起毛した三枚の測定サンプルを準備する。次にそのうち一つ、測定サンプルを試験台に起毛面を上部に設置する。次に、面積2cm2の円形平面をもつ鋼板間で圧縮。圧縮速度20micron/sec、最大圧縮荷重10gf/cm2、回復過程も同一速度で測定される。一つの測定サンプルにつき三箇所測定し、三サンプル合計9箇所の測定を行う。
微小荷重時の圧縮特性値は測定したデータ(x=荷重、y=厚みの変形量)より、微小荷重時の厚みの変形量を抽出して算出する。具体的には回復過程ではない一回目の、荷重が0.30gf/cm2から1.00gf/cm2間の荷重とそのときの変形量のデータをすべて抽出し、xを荷重、yを厚みの変形量として近似直線を最小二乗法により求め、そのときの傾きを上記特性値とする(単位(gf/cm2)/m)。9箇所それぞれ特性値を算出して、平均をその不織布の微小荷重時の圧縮特性値とする。
微小荷重時の圧縮特性値は風合いと強い相関を見出した。低い数値ほど、小さな荷重で潰れやすいことを示しており、人間の風合いを感じる感覚(特にふっくら感)を表すことができる。通常の目付けが5〜25g/m2で後加工を行っていないスパンボンド不織布の上記圧縮特性値は20.0(gf/cm2)/mm〜30.0(gf/cm2)/mmであり、起毛することにより表面が潰れやすくなり18.0gf/cm2)/mm以下になる。つまり風合いのよい目付けが5〜25g/m2のスパンボンド不織布の上記圧縮特性値は18.0(gf/cm2)/mm以下であり、15.0(gf/cm2)/mm以下が好ましく、10.0(gf/cm2)/mm以下になると風合いのよいエアスルー不織布に近い肌触りになるためさらに好ましい。目付けが5〜25g/m2のスパンボンド不織布の上記圧縮特性値の下限は特に制限されないが、製造上の観点からは、1.00(gf/cm2)/mm程度である。従来の起毛方法では5〜25g/m2といった目付けの低いスパンボンド不織布にこのような特性値を有する起毛をほどこすことが困難であった。
<CD強度>
また、本発明の起毛不織布は、風合いが良い上に強度(特にCD強度)が高いことによっても特長付けられる。CD強度は、不織布製造時のCD方向と同方向における引張強度である。CD方向は、製造時における不織布の流れ方向(機械方向MD)と直交方向である。
スパンボンド不織布から形成された起毛不織布は、スパンボンド法によって形成された層の繊維の配向方向を見て、一般的に繊維の配向方向に沿う方向をMD方向、その直交方向をCD方向と判断することもできる。
<CD強度の測定方法>
不織布を5cm(MD方向)×20cm(CD方向)に切断し、チャック間を15cmにした引張試験機で、巾5cmあたりのCD強度を引張速度300mm/分で測定し、4枚の平均値を、不織布のCD強度とした。
CD強度は6.0N/5cm以上で破れにくい不織布である。スパンボンド不織布を用いた起毛不織布は、特に目付けが5〜25g/m2のスパンボンド不織布である場合、充分な強度を持たせる点から、CD強度が、6.00N/5cm以上であることが好ましく、10.00N/5cm以上がさらに好ましい。
本発明の起毛不織布の起毛繊維は、不織布の表面の繊維を引き伸ばしてループ状にすることでもできるが、起毛繊維の大部分は切断することで作ることができる。好ましくは繊維にかかるCD方向の張力によって起毛していない表面繊維の平均繊維径に比べて起毛している繊維(起毛繊維)の平均繊維径は細くなっている。平均繊維径は起毛繊維、または起毛していない繊維それぞれ12箇所の繊維径を顕微鏡(光学顕微鏡、またはSEM等)で計測した繊維径のことをいう。起毛していない表面繊維とは不織布の起毛面側において前述した起毛繊維ではない繊維のことである。起毛面とは別の面は異なる繊維径の繊維を用いている場合があるので、これを比較対象とはせず、あくまで起毛した面側に存在する起毛繊維と、起毛していない繊維との比較である。起毛している繊維の繊維径は起毛していない繊維の97%〜40%が好ましく、90%〜40%であると細い繊維は風合いに優れるのでより好ましい。
<起毛不織布の製造方法>
本発明の起毛不織布の好ましい製造方法においては、不織布に張力をかけた状態で起毛するために、少なくとも片方のロールが周面に凸凹形状を有する二本のロール間で、不織布を起毛させる。凸凹形状とは高低差が0.1mm以上存在するロールのことをいい、例えば既知である歯型のギアロールが好ましい。また無機や金属粒子を焼き付けや埋め込みにより梨地、サンドブラスト等の表面粒度をもったロールでもよい。
本発明の起毛不織布の好ましい製造方法においては、CD方向に互いに噛み合う形状のロールを用いて効率的に起毛加工をおこなう。CD方向に互いに噛み合う形状とは2つのロールをつき合わせたとき、それぞれのロールのロール軸に対して法線方向における頂点間が、入り込んだ状態になりうる形状である。加工時は基材の厚み分があるため、2つのロールの頂点間の押込み量は0以下でもよいが、好ましくは0.5〜5mmがよい。
本発明の好ましい製造方法においては、起毛させるために張力をかけるが、通常張力をかけるとネックインして幅が狭くなってしまう問題がある。本発明による方法ではCD方向にも噛み合わせることにより張力をかける(凸部と凹部による押込み)ためネックイン量が少なく高い張力をかけられる。また、繊維をCD方向に張力をかけた状態でこれと直交する方向へ繊維をロールの凸部で引っ張るため、大きな張力を必要とせずに効率的に起毛させることが可能となる。このため、起毛により不織布表面の繊維が切れやすく、効率的に起毛させることが可能となる。また、上記押込み量が大きいと、起毛されない繊維がCD方向に延伸されて細くなったり、柔らかいものになる点で好ましい。
図3は、本発明の起毛不織布の製造に好ましく用いられる起毛加工装置を示す図である。図3に示す起毛加工装置8は、二本の歯型ロール81,82を備えており、両歯型ロール81,82間に不織布を通し、該不織布の構成繊維の一部を起毛させて起毛不織布を製造するものである。
起毛加工装置8は、二本の歯型ロール81,82を、互いに独立した周速度で回転駆動可能な駆動機構を有している。
二本の歯型ロール81,82は、図3に示すように、互いに噛み合う凹凸形状を軸長方向(D方向)に有しており、また、両歯型ロール81,82共、図4に示すように、周方向(E方向)にも凹凸形状を有している。
二本の歯型ロール81,82は、図示しない水平軸周りを回転する円筒状のロール本体83と、該ロール本体83の外周部に固定された、凹凸プレート84及びスペーサープレート85からなる。凹凸プレート84は、図4に示すように、外周部に歯車の歯状の凹凸を有しており、スペーサープレート85は、平滑な外周面を有している。凹凸プレート84は、スペーサープレート85より外径が大きい。
そして、両歯型ロール81,82は、図3に示すように、一方の歯型ロール81(82)の凹凸プレート84,84間の隙間に、他方の歯型ロール82(81)の凹凸プレート84が遊挿されるように組みあわせて使用される。
そして、そのように組み合わせた両歯型ロール間に図5に示すように不織布を通すことで、起毛部位102と起毛していない部位103がストライプ柄状に形成された起毛不織布101が得られる。
なお、図3には、二本の歯型ロール81,82が、何れも周方向に凹凸形状を有しているが、何れか一方の歯型ロール81,82として、軸長方向には凹凸形状を有するが、周方向には凹凸形状を有しないもの等を用いることもできる。
ロール周方向の凸凹のピッチPdは、0.3〜5mmであること、より好ましくは1〜3mmであることが、効率的に起毛させる点で好ましく、ギアの巾W4は、好ましくは0.3〜3mm、より好ましくは0.5〜1mmである。
本発明の起毛不織布の好ましい製造方法、例えば図3に示す装置を用いた起毛不織布の製造方法においては、不織布の流れ方向(搬送速度)の速度に対して、凸凹形状を有するロールの少なくとも片方の周速度を変えることで起毛加工を実現する。この速度の差を周速差という。不織布の流れ方向の速度をV0とし、ロールの速度をV1とV2としたとき、(V1orV2−V0)/V0の絶対値を周速差とする。特にことわりがない場合は、片方のロールは不織布の流れ速度と同じ周速度(周速差=0)で、もう一方のロールの周速差をここでいう周速差とする。またロールの速度は不織布の流れ方向に対して逆回転させる場合はマイナス(−)の符号をつけて計算する。例えば不織布の速度が10m/min、ロールの速度が不織布の流れ方向と逆回転に20m/minの場合、(−20−10)/10の絶対値で3となる。起毛するためには速度の差が必要なので周速差は0以外である必要がある(0の場合、不織布の流れ速度に対して同じ速度)。
この周速差が大きいほど不織布と凸凹形状のロールが接触する回数が増えるので好ましく0.5以上が好ましい。製造上速度を上げすぎるのは危険であり10以下が好ましく、0.5〜10が製造上でも起毛においても好ましいが、より好ましくは2〜6倍である。周速差が小さいと強度の高い不織布となるが、起毛量が少なく、風合いの点で劣るものとなる。
さらに両面起毛する方法としては、上下両方のロールに周速差をつけたり、2度加工する方法が挙げられる。片方のロールを不織布の流れ速度と同じ速度にして、もう一方のロールに周速差をつけることで、片面起毛を容易に実現でき、さらに不織布の流れを作ることができるので、他のロールの必要がなく実施形態として有用である。さらに周速差をつけないロールは外周面が凸凹形状でも外周面の一部が円盤形状でもよいが、凸凹形状のほうが張力がかかりやすく起毛量が多くなる点で好ましい。
<加工速度>
本発明に係る起毛方法では、加工速度は低速でも可能であるが、高速加工に適している。一般的には高速にすると起毛量が減ってしまうが、本発明の方法では、著しく低下することはない。好ましい加工速度としては吸収性物品の加工速度にあわせ、加工機内で起毛させる点で100〜1000m/min、より好ましくは200〜500m/minである。
本発明の起毛不織布は、風合いが要求される吸収性物品に有用である。その際、一般的に起毛面では接着面積にばらつきがでるために、接着強度が安定し難い。そこで本発明では起毛面を片側のみにすることが可能である。そこでもう一方の面を接着することで効率的に他の具材と接着が可能である。例えば起毛面に接着剤を塗布した場合、接着面が起毛部位のみになり接着強度が弱くなり、はがれてしまう問題があるため片面のみ起毛ができる本発明での起毛方法は有用である。
吸収性物品は、主として尿や経血等の人体から排出される液の吸収保持に用いられるものである。吸収性物品としては、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー(下り物シート)、失禁パッド等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。
吸収性物品は、典型的には、液透過性の表面シート、液不透過性又は撥水性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品が使い捨ておむつや生理用ナプキン等である場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
本発明の起毛不織布は、吸収性物品の各部の構成部材として用いることができる。
図6及び図7に、本発明の起毛不織布を用いることのできるパンツ型使い捨ておむつ1を示した。本発明に係る起毛不織布は、例えばこのおむつ1の各部の構成材料として用いることができる。
パンツ型使い捨ておむつ1は、吸収体4を含む吸収性本体5と、吸収性本体5の非肌当接面側に位置して該吸収性本体5を固定している外包材6とを備えている。
吸収性本体5は、図7に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性(撥水性も含む)の裏面シート3及び両シート2、3間に介在された液保持性の吸収体4を有しており、実質的に縦長である。
外包材6は、着用者の背側に配される背側部A、腹側に配される腹側部B、それらの間に位置し股間部に配される股下部Cを有しており、背側部Aと腹側部Bの両側縁部6a,6b同士が接合されて、一対のサイドシール部(図示せず)、一対のレッグ開口部(図示せず)及びウエスト開口部(図示せず)が形成されている。また、外包材6は、おむつの外面を形成する外層シート62、その肌当接面側に位置して部分的に該外層シート62と接合された内層シート61を有しており、ウエスト開口部及びレッグ開口部を形成するウエスト部及びレッグ部6dにおける両シート61,62間に、ギャザー形成用のウエスト部弾性部材63及びレッグ部弾性部材64が配されている。
吸収性本体5は、図6に示すように、外包材6の背側部Aから腹側部Bに跨って配設されており、吸収性本体5の長手方向(Y方向)両端部は、外包材6の長手方向(Y方向)両端部よりも長手方向(Y方向)内方に後退した位置にある。吸収性本体5は、図7に示すように、吸収性本体5の裏面シート3の非肌当接面が、接着剤、ヒートシール、超音波シール等による接合法によって外包材6の内層シート61の肌当接面に接合されている。
吸収性本体5の長手方向(Y方向)両側部には、図6に示すように、液不透過性又は撥水性で且つ通気性の素材から構成された側方カフス51,51が設けられている。各側方カフス51の自由端部近傍には、側方カフス形成用の弾性部材52が伸長状態で配設固定されている。側方カフス51は、おむつの装着時に自由端部側が起立し、吸収性本体5の幅方向(X方向)への排泄物の流出を阻止することができる。側方カフス51形成用シートは、図2に示すように、吸収性本体5の幅方向(X方向)外方の所定幅の部分51aが、吸収体4の非肌当接面側に巻き込まれて、吸収体4と裏面シート3との間に固定されている。尚、所定幅の部分51aが、裏面シート3と外包材6との間に固定されていてもよい。
本発明に係る起毛不織布は、外層シート62として好ましく用いられる。外層シート62に起毛不織布を用いる場合、起毛部位を有する面を、おむつ外面側に向けて用いることが、おむつの風合い向上の点から好ましい。また、表面シート2、裏面シート3、側方カフス51形成用シート、内層シート61として、本発明に係る起毛不織布を用いることもできる。ストライプ柄状に起毛部位102及び起毛されていない部位103が形成されている起毛不織布を用いる場合、起毛部位102が延びる向きは、図6中のX方向及びY方向の何れに一致させても良い。本発明に係る起毛不織布を使用しない各部の部材には、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、液透過性の不織布や、開孔フィルム、これらの積層体等を用いることができ、裏面シート3としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。側方カフス51形成用シートとしては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。内層シート61及び外層シート62としては、撥水性の不織布等を用いることができる。
吸収体4としては、従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるもの等を、特に制限なく用いることができる。例えば、吸収体4としては、パルプ等の繊維材料の繊維集合体又はこれに高吸収性ポリマーを担持させたものからを、ティッシュペーパーや透水性の不織布等の被覆材で包んでなるもの等を用いることができる。
側方カフス形成用の弾性部材52、ウエスト部弾性部材63及びレッグ部弾性部材64としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるもの等を、特に制限なく用いることができる。例えば、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる伸縮性の材料等を用いることができる。
本発明の起毛不織布及び本発明の起毛不織布の製造方法で得られる起毛不織布は、良好な風合いが必要とされる吸収性物品の構成部材として好ましく使用されるが、それに限られるものではなく、多様な用途に用いることができる。例えば、清掃用具、化粧品用途等に使用することもできる。
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、起毛不織布は、片面のみに起毛部位を有するものであっても、両面に起毛部位を有するものであっても良く、また、片面に、起毛部位及び起毛していない部位がストライプ柄状に形成されている一方、もう片面には、起毛部位が存在しなかったり、起毛部位が異なるパターンで形成されていても良い。


また、起毛不織布の製造方法においては、周方向の凹凸形状を有する一方のロールの回転を停止させた状態の一対のロール間に、不織布を通し、該不織布の凸部に接触した部分を起毛させることもできる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は係る実施例によって何ら制限されるものではない。
[実施例1]
<歯型ロールによる起毛不織布の製造方法>
エチレン-プロピレンコポリマー樹脂をスパンボンド層に用いた、目付け15g、1.3dtex(三井化学(株)製)のSMS不織布を、幅2mm、ギアピッチ4.7mmのギアロールをCD方向に3mmピッチで配列した二つのロールの間に10m/minで通した。その際一方のロールは40m/minで不織布の流れ方向とは逆回転させ、起毛した不織布を製造した(周速差=5)。他方のロールは10m/minで進流れ方向に回転させ、押込み量は2つのロール間の凸部頂点間を0.6mmまで押込んだ。片面のみ起毛し、起毛した繊維の多くは、ループ状ではなく端部が切れており、指先の引っかかりもなかった。またロール部には繊維くずが見られず良好だった。3mmピッチであるため起毛した繊維も短く良好であった。
[実施例2,3,比較例2]
実施例2として実施例1と同じ不織布を用いて、一方のロールを65m/min(周速差=7.5)にし、その他実施例1と同様の条件で起毛した不織布を製造した。さらに実施例3として不織布の流れ方向に逆回転させたロールを同様の方向に65m/minで回転し(周速差=5.5)、その他同様の条件で起毛した不織布を製造した。また比較例2として周速差がない(0)の不織布を製造した。起毛量が少なく風合いの点で劣った。ループ状に出た繊維によって指先に引っかかりを生じた。
[比較例1]<未加工>
エチレン-プロピレンコポリマー樹脂をスパンボンド層に用いた、目付け15g、1.3dtex(三井化学(株)製)のSMS不織布を比較例1とした。
[比較例3]<針による起毛>
実施例1と同じ不織布を用いて、0.1mmおきに配列された針に不織布を突き刺しとはがしを10回繰り返すことで起毛した不織布を製造した。
[比較例4]<サンドペーパーによる起毛>
トラスコ中山(株)製サンドペーパー粒度♯240を110φのロール全周に両面テープにより接着、そのロールの全周360度の内、8.5度接触する状態で抱きかけた不織布を10m/minで流した。その際サンドペーパーを接着したロールは50m/minで進行方向とは逆回転に回転させ、起毛した不織布を製造した。全面で起毛しており、強度的に十分なものが得られなかった。またサンドペーパーに繊維くずの付着が見られ、サンドペーパーの耐久性にも問題を生じた。
[実施例4,比較例5]
ポリプロピレン樹脂で作られた、目付け13g、1.3dtex(旭化成せんい(株)製)のSMS不織布を比較例5とした。その不織布を実施例1と同様の条件で起毛した不織布を実施例4とした。
[実施例5,比較例6]
ポリプロピレン樹脂で作られた、目付け18g、1.8dtexのスパンボンド製法で作られているシンテックスCL−0218(三井化学(株)製)を比較例6とした。その不織布を実施例1と同様の条件で起毛した不織布を実施例5とした。
[実施例6,比較例7]
ポリプロピレン樹脂で作られた、目付け20g、1.4dtexのスパンボンド製法で作られているシンテックスCX―0118(三井化学(株)製)を比較例7とした。その不織布を実施例1と同様の条件で起毛した不織布を実施例6とした。
実施例及び比較例に用いた不織布の製法や目付け、繊維の構成樹脂や加工条件等を表1に示した。SMSは、スパンボンド法により製造した層上に、メルトブローン法により中間層を形成し、更にその上にスパンボンド法により上層を形成した積層不織布である。
Figure 0005529524
<評価>
実施例及び比較例の不織布について、風合い、起毛量、強度、肌触りを評価した。これらの結果を表1に併せて示した。
<評価方法>
1)風合いの官能評価
ポリプロピレン樹脂で作られた起毛加工をしていないSMS、SSの不織布を基準(三点)としたときの10段階の(10がよりよい風合い)官能評価(モニター3名によるn=3の平均値を整数桁に四捨五入)とする。基準に対して変化が小さい(5以下)を×とし、それ以上の評価を○とする。
2)起毛量
不織布をCD方向に二つにやま折りし、曲げた不織布の頂部から0.2mm上部に出ている1cmあたりの繊維の数を前述した方法で計測する。一つの不織布につき9箇所計測し、平均値(少数第二位を四捨五入)を起毛量とした。8本以上を○とする。
3)強度
前述した方法で不織布を5cm(MD方向)×20cm(CD方向)に切断し、チャック間を15cmにした引張試験機(島津製作所製)で巾5cmあたりのCD強度を測定し4枚の平均値を強度とした。強度は6.00N/5cm以上は○、それより小さい場合は×とした。引張速度300mm/分とした。
4)微小荷重時の圧縮特性値
前述した方法で不織布をKESFB3−AUTO−Aで測定、微小荷重時(0.3〜1(gf/cm2)/mm)の特性値を算出し、9箇所の平均を微小圧縮時の圧縮特性値とした。微小圧縮時の圧縮特性値は18.00(gf/cm2)/mm以下で○それより大きい場合は×とした。
表1に示す結果から、本発明の起毛不織布及び本発明の方法により製造された起毛不織布(実施例1〜3の不織布)は、風合いに優れると共に強度も強いことが判る。これに対して比較例1から3の不織布は、強度は高いが風合いが悪く、比較例4の不織布は、風合いは良いが強度が低い。また樹脂を変えた不織布でも、風合いに優れていた(実施例4〜6および比較例5〜7)。
1 使い捨ておむつ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 吸収性本体
6 外包材
61 内層シート
62 外層シート
8 起毛加工装置
81,82 歯型ロール
101 起毛不織布
102 起毛部位
103 起毛してない部位
104 起毛の有無を調べる対象の不織布
105 折り目
106 起毛繊維

Claims (5)

  1. 起毛部位と起毛していない部位を有する不織布であって
    起毛部位と起毛していない部位が、ストライプ柄状に形成されており、
    微小荷重時の圧縮特性値が18.0(gf/cm 2 )/mm以下であり、CD強度が6.00N/5cm以上であり、目付けが5g/m 2 以上20g/m2以下であり、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布又はスパンボンドの積層不織布である、起毛不織布。
  2. 起毛している繊維の平均繊維径が、同じ面の起毛していない部位の表面繊維の平均繊維径より小さい、請求項1に記載の起毛不織布。
  3. 構成繊維の繊維径が1.8dtex以下である、請求項1又は2に記載の起毛不織布。
  4. 請求項1〜の何れか1項に記載の起毛不織布を構成部材として用いた吸収性物品。
  5. 互いに噛み合う凹凸形状を軸長方向に有し、少なくとも一方が周方向にも凹凸形状を有する二本のロール間に不織布を通し、周方向の凹凸形状を有する少なくとも一方のロールを、該不織布の流れ速度とは異なる速度で回転させるか又は停止させた状態下に、該周方向の凹凸形状の凸部を該不織布に接触させることで、該不織布の構成繊維を起毛させる、起毛不織布の製造方法であって、
    前記二本のロールの少なくとも一方の周速度と不織布の流れ速度との速度差を不織布の流れ速度に対して0.5〜10倍とする、起毛不織布の製造方法
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