JP5622921B2 - 不織布 - Google Patents

不織布 Download PDF

Info

Publication number
JP5622921B2
JP5622921B2 JP2013235916A JP2013235916A JP5622921B2 JP 5622921 B2 JP5622921 B2 JP 5622921B2 JP 2013235916 A JP2013235916 A JP 2013235916A JP 2013235916 A JP2013235916 A JP 2013235916A JP 5622921 B2 JP5622921 B2 JP 5622921B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
nonwoven fabric
raised
fibers
free end
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013235916A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014139357A (ja
JP2014139357A5 (ja
Inventor
玲子 大西
玲子 大西
祥一 種市
祥一 種市
由彦 衣笠
由彦 衣笠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2013235916A priority Critical patent/JP5622921B2/ja
Priority to PCT/JP2013/081994 priority patent/WO2014097838A1/ja
Priority to CN201380043878.7A priority patent/CN104884697B/zh
Priority to RU2015112311/12A priority patent/RU2569775C1/ru
Publication of JP2014139357A publication Critical patent/JP2014139357A/ja
Publication of JP2014139357A5 publication Critical patent/JP2014139357A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5622921B2 publication Critical patent/JP5622921B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • DTEXTILES; PAPER
    • D04BRAIDING; LACE-MAKING; KNITTING; TRIMMINGS; NON-WOVEN FABRICS
    • D04HMAKING TEXTILE FABRICS, e.g. FROM FIBRES OR FILAMENTARY MATERIAL; FABRICS MADE BY SUCH PROCESSES OR APPARATUS, e.g. FELTS, NON-WOVEN FABRICS; COTTON-WOOL; WADDING ; NON-WOVEN FABRICS FROM STAPLE FIBRES, FILAMENTS OR YARNS, BONDED WITH AT LEAST ONE WEB-LIKE MATERIAL DURING THEIR CONSOLIDATION
    • D04H3/00Non-woven fabrics formed wholly or mainly of yarns or like filamentary material of substantial length
    • D04H3/08Non-woven fabrics formed wholly or mainly of yarns or like filamentary material of substantial length characterised by the method of strengthening or consolidating
    • D04H3/14Non-woven fabrics formed wholly or mainly of yarns or like filamentary material of substantial length characterised by the method of strengthening or consolidating with bonds between thermoplastic yarns or filaments produced by welding
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61FFILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
    • A61F13/00Bandages or dressings; Absorbent pads
    • A61F13/15Absorbent pads, e.g. sanitary towels, swabs or tampons for external or internal application to the body; Supporting or fastening means therefor; Tampon applicators
    • A61F13/51Absorbent pads, e.g. sanitary towels, swabs or tampons for external or internal application to the body; Supporting or fastening means therefor; Tampon applicators characterised by the outer layers
    • DTEXTILES; PAPER
    • D04BRAIDING; LACE-MAKING; KNITTING; TRIMMINGS; NON-WOVEN FABRICS
    • D04HMAKING TEXTILE FABRICS, e.g. FROM FIBRES OR FILAMENTARY MATERIAL; FABRICS MADE BY SUCH PROCESSES OR APPARATUS, e.g. FELTS, NON-WOVEN FABRICS; COTTON-WOOL; WADDING ; NON-WOVEN FABRICS FROM STAPLE FIBRES, FILAMENTS OR YARNS, BONDED WITH AT LEAST ONE WEB-LIKE MATERIAL DURING THEIR CONSOLIDATION
    • D04H3/00Non-woven fabrics formed wholly or mainly of yarns or like filamentary material of substantial length
    • D04H3/018Non-woven fabrics formed wholly or mainly of yarns or like filamentary material of substantial length characterised by the shape
    • DTEXTILES; PAPER
    • D06TREATMENT OF TEXTILES OR THE LIKE; LAUNDERING; FLEXIBLE MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • D06CFINISHING, DRESSING, TENTERING OR STRETCHING TEXTILE FABRICS
    • D06C11/00Teasing, napping or otherwise roughening or raising pile of textile fabrics

Description

本発明は、長繊維を含む不織布に関する。
例えば、使い捨ておむつ等の吸収性物品には、破断強度が高く加工適正に優れ、しかも経済的であるとの理由からスパンボンド不織布が多用されている。しかし、スパンボンド不織布は、その製造法上、全体にふっくら感等が足らず、肌触り(風合い)を向上させることが難しかった。
例えば、特許文献1には、延伸した連続長繊維不織布を、その厚さ方向の中間部を境に剥離分離して、一面に、繊維接合部から剥離した繊維や、ループ状に伸長された繊維等が混在する起立様不織布が記載されている。
本出願人は、先に、長繊維の一部が破断されて、一端部のみが熱融着部により固定され他端部側の自由端部が太くなっている繊維を備えている不織布を提案した(特許文献2参照)。
特開2002−302861号公報 特開2012− 92475号公報
しかしながら、特許文献1に記載の起立様不織布は、製造法上、ループ状に伸長された繊維等が多く混在すると考えられるため、使い捨ておむつ等の吸収性物品に使用すると、そのループ状の繊維が肌に引っ掛かり、使用感を低下させてしまう。また、特許文献1には、構成繊維の先端部の高さや形状について、何ら記載されていない。
特許文献2に記載の不織布によれば、ループ状の繊維が少なく、肌に引っかかり難く肌触りが向上する。また、破断強度が高いにも拘わらず、全体にふっくら感があり、肌触りが向上する。しかし、更に肌触りを向上させたいとのニーズがあった。
本発明は、長繊維が熱融着部により固定された繊維集合体を具備する不織布であって、前記長繊維の一部が破断されて、一端部のみが前記熱融着部により固定され他端部側が自由端部となっている起毛繊維を備え、前記起毛繊維は、捲縮性を有しており、前記自由端部の高さが該起毛繊維中の最高位置での高さよりも低い低起毛繊維を含んでいる不織布を提供するものである。
本発明の不織布によれば、破断強度が高いにも拘わらず、全体に更にふっくら感があり、肌に引っかかり難く、肌触りが更に向上する。
図1は、本発明の不織布の一実施形態を示す斜視図である。 図2は、起毛繊維の自由端部の高さ、及び自由端部を有する起毛繊維中の最高位置での高さの測定方法を模式的に示す図である。 図3は、図1に示す不織布の有する複数の熱融着部を通るY方向に略平行な線での線断面図である。 図4は、図1に示す不織布の有する自由端部が太くなっている繊維を示す斜視図である。 図5は、本発明の不織布の先端繊維径を測定する方法を示した模式図である。 図6は、本発明の不織布の起毛している繊維の本数を測定する方法を示した模式図である。 図7は、図1に示す不織布を製造するための好適な装置の備えるプレ加工部を示す模式図である。 図8は、図1に示す不織布を製造するための好適な装置の備える起毛加工部を示す模式図である。 図9は、本発明の不織布の使用形態の例を説明するための図であり、パンツ型使い捨ておむつを展開して伸長させた状態を示す展開平面図である。 図10は、図9のX1−X1線断面図である。
以下、本発明の不織布を、その好ましい実施形態に基づき、図1〜図8を参照しながら説明する。
本実施形態の不織布1は、図1に示すように、長繊維2が熱融着部3により固定された繊維集合体11を具備する不織布であって、長繊維2の一部が破断されて、一端部20aのみが熱融着部3により固定され他端部側が自由端部20bとなっている起毛繊維20(以下、自由端部を有する起毛繊維20ともいう)を備えている。そしてこの自由端部を有する起毛繊維20は、自由端部20bの高さが自由端部を有する起毛繊維20中の最高位置20cでの高さよりも低い低起毛繊維21を含んでいる。言い換えれば、低起毛繊維21とは、1本の自由端部を有する起毛繊維20に着目した際、該自由端部を有する起毛繊維20の最高位置20cでの高さよりも自由端部20bの高さが低くなっている繊維を意味する。そして、不織布1の自由端部を有する起毛繊維20は、自由端部20bの高さが自由端部を有する起毛繊維20中の最高位置20cでの高さになっている高起毛繊維22を含んでいる。低起毛繊維21であるか、高起毛繊維であるかの判別は後述する繊維径の測定法に基づき、ランダムに10本選んだ自由端部を有する起毛繊維20をおよそ50倍に拡大したSEM画像から、先端位置の関係を観察し、折り目105からの高さを比較して判断する。不織布1については、図1に示すように、不織布1の長手方向をY方向、不織布1の幅方向をX方向として、以下説明する。尚、不織布1に関し、構成繊維の配向方向により繊維の配向方向に沿うMD方向を長手方向(Y方向)、それと直交するCD方向を幅方向(X方向)と判断する。従って、以下の説明では、長手方向(Y方向)とMD方向とは同じ方向を意味し、幅方向(X方向)とCD方向は同じ方向を意味する。
また、本明細書において、自由端部の高さ、及び自由端部を有する起毛繊維中の最高位置での高さは下記の方法により決定することができる。
観察範囲が10mm幅で観察できるように、不織布1から、やや大きめ(CD方向(幅方向Y)に60〜70mm、MD方向(長手方向X)に50mm程度)の観察サンプルを3枚切出す。
次に切出したサンプルをフラットな状態になるよう図2に示すように黒台紙に固定し、複数個の熱融着部3を通り、かつX方向に延びる折り返し線Zにて山折りして測定サンプル104を形成する。二つ折りする際には、観察サンプルが断面視して観察できるような位置の折線で折る。次いで、二つ折りした観察折部を刷毛(株式会社コメリ製、一般刷毛No.812 30mm)で軽く5回観察サンプルを起毛繊維が起立する方向に擦って構成繊維の起毛を観察し易くする。ここで、刷毛は、刷毛による撫での最中に測定対象領域にかかる力(撫でる力)が5〜15gfの範囲に入るように調整する。撫でる力は、秤を用いて測定することができ、その測定値を参考にして調整することできる。
上述のように山折りした観察サンプル104を、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ(型式VHX−1000)にて30倍の倍率で観察する。デジタルマイクロスコープの測定モードの垂直線モードを使って測定する。折り返し線Zに対して平行な直線を引いた時に、折り返し線Zに対して平行な直線と起毛繊維20とが交わる最も離れた位置から、折り返し線Zまでの距離を「起毛最高位置」とする。また、折り返し線Zから自由端部までの距離を自由端部の高さとする。
不織布1は、安価でかつ、良好な肌触り感が得られること、また加工適正の観点から、その坪量が、5〜100g/m2であることが好ましく、5〜25g/m2であることが更に好ましい。
不織布1は、使用時の破れの防止、および加工適正の観点から、その破断強度の値が、5.00N/50mm以上であることが好ましく、8N/50mm以上,30N/50mm以下であることが更に好ましい。尚、後述する不織布1の製造方法で用いられる原料不織布10(図7参照)の破断強度の値は、不織布1の破断強度を達成する目的の観点から、7N/50mm以上であることが好ましく、10N/50mm以上,50N/50mm以下であることが更に好ましい。このように、後述する不織布1の製造方法は、他の起毛方法に比べて、原料不織布10の破断強度の値からの低下が少ない方法である。不織布1及び原料不織布10の破断強度は、X方向(CD方向)において前記の範囲を満たしていることが好ましい。不織布1と原料不織布10の破断強度の比(不織布1の破断強度/原料不織布10の破断強度)は、0.5以上、好ましくは0.7以上、そして、1.0以下、より具体的には、0.5以上,1.0以下であることが好ましく、0.7以上,1.0以下であることが更に好ましい。破断強度は以下の方法で測定される。
〔破断強度の測定法〕
22℃65%RH環境下にて、不織布1又は原料不織布10から、X方向(幅方向)に200mm、Y方向(長手方向)に50mmの寸法の長方形形状の測定片を切り出す。この切り出された長方形形状の測定片を測定サンプルとする。この測定サンプルを、X方向が引張方向となるように、引張試験機(オリエンテック社製テンシロン引張り試験機「RTA−100」)のチャックに取り付ける。チャック間距離は150mmとする。測定サンプルを300mm/分で引っ張り、サンプル破断までの最大荷重点をX方向の破断強度とする。また、Y方向に200mm、X方向に50mmの寸法の長方形形状の測定片を切り出し、これを測定サンプルとする。この測定サンプルを、そのY方向が引張方向となるように引張試験機のチャックに取り付ける。上述したX方向の破断強度の測定方法と同様の手順によってY方向の破断強度を求める。
不織布1は、肌触りが良いことによっても特徴付けられる。
肌触りを表す特性値は多く知られており、特にカトーテック株式会社製のKESでの特性値が一般的に知られている(参考文献:風合い評価の標準化と解析(第2版)、著者 川端季雄、発行 昭和55年7月10日)。特にふっくら感を示すにはその中でも圧縮特性と呼ばれる三つの特性値のLC(圧縮荷重―圧縮ひずみ曲線の直線性)、WC(圧縮仕事量)、RC(圧縮レジリエンス)が知られている。これらの圧縮特性は荷重を0.49cN/cm2(0.50gf/cm2)以上49.0cN/cm2(50.0gf/cm2)以下(高感度測定では0.49cN/cm2以上9.80cN/cm2以下(0.50gf/cm2以上10.0gf/cm2以下))かけたときの変形量から特性値を算出している。しかし目付けの小さい(5〜25g/m2)不織布などの薄い布では大きな差が出ず、肌触りとの相関は大きくなかった。さらに人間が吸収性物品を触る際の荷重は0.98cN/cm2(1.00gf/cm2)前後と大変軽い荷重で肌触りを感じており、本来の肌触りを表すためには従来の荷重よりも小さい範囲での特性値が有用であると考え、荷重が0.29cN/cm2(0.3gf/cm2)から0.98cN/cm2(1gf/cm2)の間の荷重と、そのときの変形量から新しい特性値を算出する。
〔微小荷重時の圧縮特性値〕
微小荷重時の圧縮特性値の算出の元となるデータの測定はカトーテック株式会社製のKES FB3−AUTO−A(商品名)を用い、22℃65%RH環境下にて測定を行う。具体的には、不織布1を20cm×20cmに3枚カットして測定サンプルを準備する。次にそのうちの1枚の測定サンプルを試験台に起毛面を上に向けて設置する(起毛してない場合、または両面が起毛している場合は両方測定して小さいほうを採用する)。次に、面積2cm2の円形平面の鋼板間で圧縮する。圧縮速度20μm/sec、最大圧縮荷重9.80cN/cm2(10.0gf/cm2)、回復過程も同一速度で測定する。このとき、鋼板間の変位量をx(mm)とし、荷重をy(cN/cm2)とし、荷重を検知した点の位置をx=0として圧縮方向に測定する。xの値は圧縮されるほど大きくなる。
微小荷重時の圧縮特性値は測定したデータ(x、y)より、微小荷重時の厚みの変形量を抽出して算出する。具体的には回復過程ではない一回目の、荷重が0.29cN/cm2(0.30gf/cm2)から0.98cN/cm2(1.00gf/cm2)の間の荷重とそのときの変形量のデータを抽出し、xとyの関係について近似直線を最小二乗法により求め、そのときの傾きを上記特性値とする(単位(cN/cm2)/mm)。1枚の測定サンプルで3箇所測定する。3枚のサンプル合計9箇所の測定を行う。9箇所それぞれの特性値を算出して、それらの平均値をその不織布の微小荷重時の圧縮特性値とする。
微小荷重時の圧縮特性値は、低い数値ほど、小さな荷重で潰れやすいことを示しており、人間の肌触りを感じる感覚(特にふっくら感)の良好さを表すことができる。例えば、後述する加工処理を施していない、通常の目付けが5〜25g/m2の原料不織布10の上記圧縮特性値は19.6(cN/cm2)/mm(20.0(gf/cm2)/mm)以上29.4(cN/cm2)/mm以下(30.0(gf/cm2)/mm)以下であるのに対し、後述する加工処理を施した不織布1は、表面が潰れやすくなり17.6(cN/cm2)/mm(18.0(gf/cm2)/mm)以下になる。つまり肌触りの観点から、5〜25g/m2の原料不織布10に加工処理を施した不織布1の上記圧縮特性値は、17.6(cN/cm2)/mm(18.0(gf/cm2)/mm)以下であり、14.7(cN/cm2)/mm(15.0(gf/cm2)/mm以下)であることが好ましく、肌触りのよいエアスルー不織布に近い肌触りになる観点から、9.80(cN/cm2)/mm(10.0(gf/cm2)/mm)以下になることがさらに好ましい。不織布1の上記圧縮特性値の下限は特に制限されないが、製造上の観点からは、0.98(cN/cm2)/mm(1.00(gf/cm2)/mm)程度である。
上述したように、不織布1は、一端部20aのみが熱融着部3により固定され他端部側が自由端部20bとなった自由端部を有する起毛繊維20を備え、該自由端部を有する起毛繊維20は、図1,図3に示すように、捲縮性を有している。そして、該自由端部を有する起毛繊維20は、自由端部20bの高さが自身の最高位置20cでの高さよりも低い低起毛繊維21を含んでいる。この低起毛繊維21により、起毛繊維の先端が直接肌に触れないため、肌への刺激が少ない不織布1となる。不織布1について詳述すると、不織布1は、図1,図3に示すように、一端部20aのみが熱融着部3により固定され起毛している自由端部を有する起毛繊維20と、熱融着部3,3同士の間で起毛されループ状に起立するループ状の繊維23とを具備する。自由端部を有する起毛繊維20とループ状の繊維23とを合わせて起毛している繊維という。ここで、「自由端部を有する起毛繊維20」とは、後述する起毛している繊維の本数の測定法において、50倍に拡大したSEM画像を観察して、その一端部20aが熱融着部3により固定された繊維であって、その他端部側が自由端部20bとなっており、起毛している繊維の高さが、図6(c)に示すように、繊維集合体11の表面よりも0.2mm以上高い位置に位置する繊維である。前記低起毛繊維21は、図3に示すように、他端部側の自由端部20bが太くなっている第1低起毛繊維211と、自由端部20bが太くなっていない第2低起毛繊維212とからなる。自由端部20bが太くなっている第1低起毛繊維211は、その先端部における断面が扁平状(楕円や潰れた形状)であるものが好ましい。また、前記自由端部を有する起毛繊維20は、上述したように、前記低起毛繊維21の他に、自由端部20bの高さが最も高い高起毛繊維22を有し、該高起毛繊維22も、自由端部20bが太くなっている第1高起毛繊維221繊維と、自由端部20bが太くなっていない第2低起毛繊維222とからなる。ここで、「自由端部」とは、一端部20aのみが熱融着部3により固定されており、自由端部を有する起毛繊維20における「他端部」のことを意味し、言い換えれば「先端部」を意味する。自由端部20bが太くなっているか否かは、以下の測定法により繊維径を測定し、先端繊維径の増加割合を算出し判断する。自由端部20bが太くなっていることにより、柔らかな先端の自由端部を有する起毛繊維20が得られ、肌への刺激が少ない不織布1となる。
〔繊維径の測定法〕
先ず、22℃65%RH環境下にて、図5(a)に示すように、測定する不織布1から、鋭利なかみそりで、X方向に2cm、Y方向に2cmの大きさの測定片を切り出して、図5(b)に示すように、複数個の熱融着部3を通るX方向に延びる折り返し線Zにて山折りした測定サンプルを、図5(c)に示すように、カーボンテープを載せた走査型電子顕微鏡(SEM)用アルミ製試料台に載せて固定する。次に、およそ50倍に拡大したSEM画像から、一端部20aのみが熱融着部3により固定されている自由端部を有する起毛繊維20をランダムに10本選出し、それら繊維の自由端部の先端付近を750倍に拡大して写真撮影を行なう。得られた写真(図4参照)から、自由端部20bの先端から120μm離れた位置での自由端部を有する起毛繊維20の繊維径(自由端部20bを除く部位での自由端部を有する起毛繊維20の径20c)をそれぞれ測定する。自由端部20bを除く部位での自由端部を有する起毛繊維20の径20cの測定時における傾きを、そのまま自由端部20b側に平行移動し、自由端部20bの先端と先端から20μm離れた位置との間に挟まれた領域において最も太くなっている位置での自由端部を有する起毛繊維20の繊維径(自由端部20bでの自由端部を有する起毛繊維20の径20d)を測定する。尚、先端部が扁平状である場合は観察角度によっては先端が太く見えない場合もあるが、その場合でも得られた写真でそのまま測定する。
自由端部20bが太くなっている繊維(第1低起毛繊維211,第1高起毛繊維221)とは、先の、ランダムに選出した10本の自由端部を有する起毛繊維20の中で、10本の自由端部を有する起毛繊維20の写真それぞれから測定した、自由端部20bでの起毛繊維20の径20dと、自由端部20bを除く部位での自由端部を有する起毛繊維20の径20cとから、下記の式(1)で求められる先端繊維径の増加割合の値が15%以上との要件を満たす繊維であることを意味し、熱融着部3同士の間(熱融着部3と繊維との境界を除く、繊維形態部分)での繊維の切断が抑えられ、破断強度の減少が抑えられ、肌触りの良いものが得られる点から、20%以上大きくなっていることが好ましく、25%以上大きくなっていることが更に好ましい。

先端繊維径の増加割合(%)=[(20d−20c)÷20c)×100]・・・(1)
低起毛繊維21と高起毛繊維22とは、実際には上述した繊維径の測定法において、およそ50倍に拡大したSEM画像を用い、熱融着部3の表面から起毛している自由端部20bが最も高い位置にある繊維を高起毛繊維22とし、自由端部20bが繊維集合体11の表面側に項垂れている繊維を低起毛繊維21として区別する。
不織布1においては、肌触りの観点から、自由端部を有する起毛繊維20(低起毛繊維21、及び高起毛繊維22)における低起毛繊維21の割合が、20%以上であることが好ましく、30%以上であることが更に好ましく、40%以上であることが特に好ましい。低起毛繊維21の割合は、上述した繊維径の測定法において、ランダムに10本選んだ自由端部を有する起毛繊維20を、およそ50倍に拡大したSEM画像から、自由端部20bの高さの位置を確認し、低起毛繊維21、高起毛繊維22それぞれの本数を計測して、その割合をそれぞれ算出する。また、不織布1においては、滑らかさをより高める観点から、低起毛繊維21(自由端部20bが太くなっている第1低起毛繊維211及び自由端部20bが太くなっていない第2低起毛繊維212)における、第1低起毛繊維211の割合が、35%以上であることが好ましく、40%以上であることが更に好ましく、50%以上であることが特に好ましい。自由端部20bが太くなっている第1低起毛繊維211の割合は、上述した繊維径の測定法において、ランダムに10本選んだ自由端部を有する起毛繊維20をおよそ750倍に拡大したSEM画像から、先端繊維径の増加割合をそれぞれ算出し、自由端部20bが太くなっている第1低起毛繊維211の割合を算出する。低起毛繊維21中の第1低起毛繊維211の割合は、前述の低起毛繊維21の計測及び自由端部が太くなっている繊維(第1低起毛繊維211,第1高起毛繊維221)の計測において、低起毛繊維21であり、かつ、自由端部が太くなっている繊維211の数を計測することにより算出する。尚、上記いずれの測定の測定値においても、別の部位のSEM画像9点からも同様に割合を求め、それらの10点平均により算出する。
上述したように、不織布1は、図1,図3に示すように、熱融着部3,3同士の間でループ状に起立するループ状の繊維23を有している。起立している「ループ状の繊維23」とは、上述した繊維径の測定法において図5(c)のように観察した際、他端部側に自由端部20bを有さず、その一部が、繊維集合体11の表面(折り返し線Z)から0.5mm以上離れて起立している繊維を意味する。不織布1は肌に引っ掛からずに、不快感が低減され、肌触りの向上につながる観点から、不織布1を構成する繊維のうち、一端部20aのみが熱融着部3により固定されており、自由端部を有する起毛繊維20及びループ状の繊維23の総数における、ループ状の繊維23の割合が、50%より少ないことが好ましく、45%以下であることが更に好ましく、40%以下であることが特に好ましい。ループ状の繊維23の割合は、上述した繊維径の測定法において、50倍に拡大したSEM画像から、ランダムに10本繊維を選び、ランダムに選んだ10本の繊維から、自由端部を有する起毛繊維20(低起毛繊維21(第1低起毛繊維211及び第2低起毛繊維212)及び高起毛繊維22(第1高起毛繊維221及び第2高起毛繊維222)、並びにループ状の繊維23)を抽出し、低起毛繊維21、高起毛繊維22及び繊維23の総数における繊維23(ループ状の繊維)の割合を算出して求める。尚、測定値は、別の部位のSEM画像9点からも同様に割合を求め、それらの10点平均により算出する。
繊維集合体11について、詳述すると、図1,図3に示すように、長繊維2からなるウェブを複数個の熱融着部3により間欠的に固定して形成されている。ここで、「長繊維」とは、30mm以上の繊維長を有するもので、繊維長150mm以上の所謂連続長繊維であると破断強度が高い不織布が得られる点で好ましい。繊維集合体11の長繊維2は、不織布1においては、捲縮性を有している。上述したように、自由端部を有する起毛繊維20(低起毛繊維21及び高起毛繊維22)も、捲縮性を有しており、不織布1においては、更に、ループ状の繊維23も捲縮性を有している。即ち、不織布1を構成する全ての繊維が捲縮性を有している。
自由端部を有する起毛繊維20(低起毛繊維21及び高起毛繊維22)は、不織布1においては、捲縮した状態の潜在捲縮繊維であり、螺旋状(コイル状)の三次元捲縮を有している。自由端部を有する起毛繊維20(低起毛繊維21及び高起毛繊維22)が潜在捲縮繊維であるため、不織布1に嵩が出易く、ふっくら感が向上すると共に、液透過性が向上するとの効果を奏する。潜在捲縮繊維としては、例えば、収縮率の異なる2種類の成分からなる偏心芯鞘型若しくは同心芯鞘型の複合繊維又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維が挙げられる。具体的に、収縮率の異なる2種類の成分(熱可塑性ポリマー等)としては、(1)エチレン−プロピレンランダム共重合体(高収縮率成分)とポリプロピレン(低収縮率成分)との組み合わせ、(2)ポリエチレンテレフタレート(PET,低収縮率成分)とポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸の共重合体(CoPET,高収縮率成分)との組み合わせ等が挙げられる。繊維の太さは、0.8dtex以上,2.8dtex以下が好適である。潜在捲縮繊維は、螺旋状(コイル状)の捲縮に限られず、2次元的な捲縮を有するものであってもよく、例えばジグザグに屈曲した繊維であってもよい。低起毛繊維21及び高起毛繊維22以外の不織布1を構成する繊維(ループ状の繊維23、繊維集合体11の長繊維2を含む)も同様である。
自由端部を有する起毛繊維20(低起毛繊維21及び高起毛繊維22)の捲縮数は、ふっくら感の向上と、平面方向に対する自由度の向上の観点から、15個/25mm以上、好ましくは20個/25mm以上、そして、50個/25mm以下、好ましくは40個/25mm以下、より具体的には、15個/25mm以上,40個/25mm以下であることが好ましく、20個/25mm以上,40個/25mm以下であることが更に好ましい。上記捲縮数は、JIS L1015 8.12.1に準じて測定する。自由端部を有する起毛繊維20(低起毛繊維21及び高起毛繊維22)以外の不織布1を構成する繊維(ループ状の繊維23、繊維集合体11の長繊維2を含む)も同様である。長繊維2の繊径は、後述する加工前において、5〜30μmであることが好ましく、10〜20μmであることが更に好ましい。
上述したように、自由端部を有する起毛繊維20は捲縮性を有しており、自由端部を有する起毛繊維20(低起毛繊維21及び高起毛繊維22)の捲縮率は、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、そして、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、より具体的には、20%以上、80%以下であることが好ましい。本明細書において捲縮性を有するとは、前記自由端部を有する起毛繊維20の捲縮率が85%以下であることをいう。捲縮率は以下の方法で測定される。
〔捲縮率の測定法〕
上述した繊維径の測定法において、およそ50倍に拡大したSEM画像を用いて、自由端部を有する起毛繊維20の捲縮率は、自由端部を有する起毛繊維20の自由端部20bの先端と一端部20aを固定する熱融着部3との最短距離(L1)を自然状態において測定すると共に、該自由端部を有する起毛繊維20の自由端部20bを、刷毛〔株式会社コメリ製、一般用刷毛NO.812、刷毛幅(刷毛における毛が配されている部分全体の幅)30mm〕を用いて、熱融着部3を通るX方向に延びる折り返し線Zと直交する方向にまっすぐに伸ばした状態となるように撫で、まっすぐに伸ばした状態における自由端部を有する起毛繊維20の自由端部20bの先端と一端部20aを固定する熱融着部3との距離(L2)を測定する。そして、距離(L2)における最短距離(L1)の割合(L1×100/L2)を算出して、それを自由端部を有する起毛繊維20の捲縮率とする。尚、別の部位のSEM画像9点からも同様に捲縮率を求め、それらの10点平均により算出する。
図1,図3に示すエンボスによる熱融着部3は、肌触りや、加工適正の観点から、各熱融着部3の面積が、0.05mm2以上10mm2以下であることが好ましく、0.1mm2以上1mm2以下であることが更に好ましい。熱融着部3の数は、10個/cm2以上250個/cm2以下であることが好ましく、35個/cm2以上65個/cm2以下であることが更に好ましい。X方向に隣り合う熱融着部3同士の中心間の距離は、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下であることが更に好ましく、Y方向に隣り合う熱融着部3同士の中心間の距離は、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下であることが更に好ましい。
熱融着部3は、エンボス(エンボス凸ロールとフラットロールなどによる)による熱圧着により間欠的に形成されたものや、超音波融着によるもの、間欠的に熱風を加えて部分融着させたものなどが挙げられる。この中で熱圧着によるものが繊維を破断させやすい点で好ましい。熱融着部3の形状は、特に制限されず、例えば、円形、菱形、三角形等の任意の形状であってもよい。不織布1の一面の表面積に占める熱融着部3の合計面積の割合は、5%以上30%以下であることが好ましく、7%以上20%以下であることが、毛玉が出来にくい点で更に好ましい。
不織布1においては、自由度の比較的高くなった繊維を含むことによって繊維間の隙間が埋められて、表面の粗さが小さく滑らかになる。肌触りの向上につながる観点から、繊維径の分布(分散度)は、広ければ広いほど好ましいが、肌触りの観点からは、0.33以上であれば十分に満足すべき効果が得られ、0.35以上であれば更に満足すべき効果が得られる。繊維径の分布(分散度)は、特に上限はないが、100以下が好ましい。より好ましくは、繊維径の分布(分散度)は、0.33以上,0.9以下である。ここでいう繊維径の分布(分散度)とは、不織布1を構成するすべての繊維の繊維径の分布(分散度)を意味し、一端部20aのみが熱融着部3により固定されている自由端部を有する起毛繊維20(低起毛繊維21(自由端部20bが太くなっている第1低起毛繊維211及び太くなっていない第2低起毛繊維212)及び高起毛繊維22(自由端部20bが太くなっている第1高起毛繊維221繊維及び太くなっていない第2高起毛繊維222)、ループ状の繊維23、並びに両端部が熱融着部3により固定されておりループ状に起立していない繊維(後述する加工処理による影響を受けない繊維)全体の分布である。繊維径の分布(分散度)は以下の方法で測定される。
繊維径の測定法〔繊維径の分布(分散度)の測定法〕
先ず、22℃65%RH環境下にて、測定する不織布1から、鋭利なかみそりで、X方向に2cm、Y方向に2cmの大きさの測定片を切り出して、カーボンテープを載せた走査型電子顕微鏡(SEM)用アルミ製試料台に折り曲げずにそのまま載せて固定する。次に、およそ750倍に拡大したSEM画像から、ランダムに繊維を10本抽出し、自由端部20bを除く部位においてそれぞれの繊維径を測定する。1つの前記アルミ製試料台で10本の繊維径を上述のように測定し、測定された10本の繊維径d1〜d10から平均値daveを求め、得られた10本の繊維径d1〜d10と平均値daveとから、下記の式(2)で、ランダムに選んだ10本の繊維の繊維径の分布を求める。測定単位はμmとし、0.1μmの分解能で計測する。10本の繊維の繊維径の分布を、1つの不織布1につき、6箇所前記アルミ製試料台を作成し、各箇所で得られた10本の繊維の繊維径の分布の平均値(下記の式(3)参照)を、不織布1における繊維径の分布とする。尚、10本の繊維の繊維径の分布の算出には、マイクロソフト社の表計算ソフトexcel2003におけるVARPA関数を使用する。
10本の繊維の繊維径の分布=[(d1−dave2+(d2−dave2+・・・(d10−dave2)]/10・・・(2)
不織布1における繊維径の分布(分散度)=(上記式(2)で得られた10本の繊維の繊維径の分布の総和)/6・・・(3)
不織布1は、肌触りが良くなる観点から、起毛している繊維が、8本/cm以上であることが好ましく、12本/cm以上であることが更に好ましい。また、十分な破断強度が得られる観点から上限は100本/cm以下、より好ましくは外観上、毛羽立って見えない点から40本/cm以下が好ましい。ここで、「起毛している繊維」とは、不織布1においては、自由端部を有する起毛繊維20(低起毛繊維21(自由端部20bが太くなっている第1低起毛繊維211及び太くなっていない第2低起毛繊維212)及び高起毛繊維22(自由端部20bが太くなっている第1高起毛繊維221及び太くなっていない第2高起毛繊維222繊維))、並びにループ状に起立するループ状の繊維23からなる繊維を意味する。起毛している繊維は、以下の測定法により測定する。
〔起毛している繊維の測定法〕
図6は、22℃65%RH環境下にて、不織布1を構成する繊維の中で起毛している繊維の本数を測定する方法を示した模式図である。先ず、測定する不織布から、鋭利なかみそりで、20cm×20cmの測定片を切り出し、図6(a)に示すように、測定片の起毛した面において、繊維径の測定法と同様に、複数個の熱融着部3を通るX方向に延びる折り返し線Zにて山折りして測定サンプル104を形成する。次に、この測定サンプル104を、A4サイズの黒い台紙の上に載せ、図6(b)に示すように、さらにその上に、縦1cm×横1cmの穴107をあけたA4サイズの黒い台紙を載せる。このとき、図6(b)に示すように、測定サンプル104の折り目105が、上側の黒い台紙の穴107から見えるように配置する。両台紙には、富士共和製紙株式会社の「ケンラン(黒)連量265g」を用いた。その後、上側の台紙の穴107の両側それぞれから、折り目105に沿って外方に5cm離れた位置に、50gのおもりをそれぞれ載せ、測定サンプル104が完全に折りたたまれた状態を作る。次に、図6(c)に示すように、マイクロスコープ(KEYENCE社製VHX−900)を用いて、30倍の倍率で、台紙の穴107内を観察し、測定サンプル104の折り目105から0.2mm上方に平行移動した位置に形成される仮想線108よりも上方に起毛している繊維を起毛している繊維とし、1cmあたりの起毛している繊維の本数を計測する。9箇所計測し、平均値(少数第二位を四捨五入)を起毛している繊維の数とする。
また、起毛している繊維の数を数える際には、例えば、図6(c)に示す繊維106aのように、折り目105から0.2mm上方にある仮想線108を2回横切る繊維がある場合、その繊維は2本と数える。具体的には、図6(c)に示す例では、仮想線108を1回横切る繊維が4本、仮想線108を2回横切る繊維106aが1本存在するが、2回横切る繊維106aは2本と数え、起毛した繊維の本数は6本となる。
また、起毛している繊維は、毛玉になりにくい、ケバ抜けし難い、外観的に柔らかそうに見えて好ましい観点から、その高さが1.5mm以下であることが好ましく、0.8mm以下であることが更に好ましい。上記観点からは、低ければ低いほど好ましいが、0.2mm以上であれば十分に満足すべき肌触りのものが得られる。また、上記に加えて破断強度との両立のため、より好ましくは、起毛している繊維の高さが1.5mm以下であり、且つ起毛している繊維が8本/cm以上であることが好ましい。さらには、起毛している繊維の高さが0.5mm以下、且つ起毛している繊維が15本/cm以上であることが、肌にまとわりつきににくく感触が好ましいといった点でよい。また、起毛している繊維の高さが5mmを超えると、毛羽立ち様の外観となり、使用時に擦れたりすると、毛玉になったり、毛羽抜けしたりするため、好ましくない。ここで、繊維の高さとは、繊維の長さと異なり、繊維を測定時に引っ張ることなく、自然状態での繊維の高さのことを意味する。起毛している繊維の長さの値が大きい場合や繊維の剛性が高いと、起毛している繊維の高さが高くなる傾向にある。起毛している繊維の高さは、以下の測定法により測定する。
起毛している繊維の高さは、起毛している繊維の本数を測定する際に、同時に測定する。具体的には、図6(c)に示すように、台紙の穴107内を観察し、折り目105から平行に線を0.05mmごとに起毛繊維が交わらなくなるところまで引く。次に、上述のように測定した起毛している繊維の本数(0.2mm上方にある仮想線108より判断)に比べて、平行な線に交わる繊維が半分になる平行線を選び、そこから折り目までの距離を測定する。以上の操作を測定する不織布に対して3枚分計測し、1枚につき3箇所、3枚で計9箇所の平均をとり、起毛している繊維の高さ(起毛高さともいう)とする。
起毛している繊維の高さ、及び起毛している繊維に加えて不織布1のバルクソフトネスが8.0cN以下であることが、柔軟なものが得られ肌触りに優れる点で好ましい。さらに0.5cN以上,3.0cN以下であることが、乳児や幼児のうぶ着のようなしなやかなものになる点で好ましい。バルクソフトネスは、以下の測定法により測定する。
〔バルクソフトネスの測定方法〕
不織布1のバルクソフトネスは、22℃65%RH環境下にて、不織布1をMD方向に150mm、CD方向に30mm切り出し、直径45mmのリング状に、ホッチキスを用いて端部を上下2箇所で止める。このときステープラーの芯はMD方向に長くなるようにする。引張試験機(例えば、オリエンテック社製テンシロン引張り試験機「RTA−100」)を用いて、試料台の上に前記リングを筒状に立て、上方から台とほぼ平行な平板にて圧縮速度10mm/分の速度で圧縮していった際の最大荷重を測定し、CD方向のバルクスフトネスとする。次に、MD方向とCD方向を変えてリングを作製し、同様にMD方向のバルクソフトネスを測定する。MD方向及びCD方向それぞれ2本ずつリングを作製して測定し、これらのCD方向とMD方向の平均値を不織布1のバルクスフトネスとする。
上述したように、不織布1を構成する繊維(自由端部を有する起毛繊維20(低起毛繊維21,高起毛繊維22)及び繊維集合体11の長繊維2を含む)は、潜在捲縮繊維であり、潜在捲縮繊維には、繊維着色剤、静電気防止特性剤、柔軟剤、親水剤など少量の添加物を付与してもよい。特に柔軟剤としては、例えばワックスエマルジョン、反応型柔軟剤、シリコーン系化合物、界面活性剤などを使用することができる。特にアミノ基含有シリコーン、オキシアルキレン基含有シリコーン、界面活性剤を使用することが好ましい。界面活性剤としては、カルボン酸塩系のアニオン界面活性剤、スルホン酸塩系のアニオン界面活性剤、硫酸エステル塩系のアニオン界面活性剤、リン酸エステル塩系のアニオン界面活性剤(特にアルキルリン酸エステル塩)等のアニオン界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノステアレート、ジエチレングリコールモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレート、プロピレングリコールモノステアレート等の多価アルコールモノ脂肪酸エステル、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等の脂肪酸アミド、N−(3−オレイロキシ−2−ヒドロキシプロピル)ジエタノールアミン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビット蜜ロウ、ポリオキシエチレンソルビタンセスキステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンセスキステアレート、ポリオキシエチレングリセリルモノオレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等の、非イオン系界面活性剤;第4級アンモニウム塩、アミン塩又はアミン等のカチオン界面活性剤;カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する第2級若しくは第3級アミンの脂肪族誘導体、又は複素環式第2級若しくは第3級アミンの脂肪族誘導体等の、両性イオン界面活性剤などを使用することができる。また、必要に応じて、公知の薬剤を副次的添加剤(少量成分)として本発明の柔軟剤に添加することができる。
次に、本発明の不織布1の好適な製造方法について、図7,図8を参照しながら説明する。不織布1の製造方法に好ましく用いられる製造装置は、プレ加工部4と、プレ加工部4の下流側に配される起毛加工部5とに大別される。プレ加工部4は、本製造装置においては、部分延伸加工部でもある。
プレ加工部4は、図7に示すように、一対のローラ41,42からなるスチールマッチングエンボスローラ43を備えている。図7に示すように、スチールマッチングエンボスローラ43は、アルミニウム合金又は鉄鋼等の金属性の円筒形状のものであり、一方のローラ41が周面に複数個の凸部411を有し、他方のローラ42が、周面に一方のローラ41の凸部411に対応する位置に凸部411が入り込む凹部422を有している。また、他方のローラ42が周面に複数個の凸部421を有し、一方のローラ41が、周面に他方のローラ42の凸部421に対応する位置に凸部421が入り込む凹部412を有している。一対の凹凸ローラ41,42は、それぞれの周面に、凸部411,421及び凹部412,422が何れも千鳥状に配置されている。一対のローラ41,42は、何れか一方の回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって噛み合って回転する。本実施形態の製造装置においては、互いの凸部411,421が互いの凹部422,412に対応する位置に設けられている以外は、一方の凹凸ローラ41と他方の凹凸ローラ42とは同じローラである。従って、以下の説明では、同様な部分については、主に、一方の凹凸ローラ41の凸部411及び他方の凹凸ローラ42の凹部412について説明する。また、プレ加工部4は、たとえば図7に示すように、スチールマッチングエンボスローラ43の上流側及び下流側に、原料不織布10を搬送する際に用いる搬送ローラ44,45を備えている。スチールマッチングエンボスローラ43の回転速度は、製造装置の備える制御部(不図示)により制御されている。
ローラ41の各凸部411は、ローラ41の周面から凸部411の頂点までの高さが、1mm以上、特に2mm以上であることが好ましく、10mm以下、特に7mm以下であることが好ましい。回転軸方向に隣り合う凸部411同士の距離(ピッチ)は、0.01mm以上、特に1mm以上であることが好ましく、20mm以下、特に10mm以下であることが好ましく、周方向に隣り合う凸部411同士の距離(ピッチ)も、0.01mm以上、特に1mm以上であることが好ましく、20mm以下、特に10mm以下であることが好ましい。ローラ41の各凸部411の頂部表面の形状に特に制限はなく、例えば、円形、多角形、楕円形等が用いられ、各凸部411の頂部表面の面積は、0.01mm2以上、特に0.1mm2以上であることが好ましく、500mm2以下、特に10mm2以下あることが好ましい。ローラ41の各凸部411とローラ42の各凹部422との噛み合いの深さ(各凸部411と各凹部422とが重なっている部分の長さ)は、0.1mm以上、特に1mm以上であることが好ましく、10mm以下、特に5mm以下であることが好ましい。
起毛加工部5は、周面に凸部511を有する凸ローラ51を有しており、凸ローラ51の上流側及び下流側に、プレ加工された不織布10’を搬送する際に用いる搬送ローラ52,53を備えている。凸ローラ51は、その回転軸に駆動手段(図示せず)からの駆動力が伝達されることによって回転する。凸ローラ51の回転速度は、製造装置の備える制御部(不図示)により制御されている。
凸ローラ51の各凸部511は、凸ローラ51の周面から凸部511の頂点までの高さが、0.001mm以上3mm以下であることが好ましく、0.001mm以上0.1mm以下であることが更に好ましい。このような微小な高さの凸ローラも含むため、凸ローラ51には、所謂、サンドブラストされたマットローラ(サンドブラストローラ)も含まれる。回転軸方向に隣り合う凸部511同士の距離(ピッチ)は、0.1mm以上50mm以下であることが好ましく、0.1mm以上3mm以下であることが更に好ましく、周方向に隣り合う凸部511同士の距離(ピッチ)は、0.1mm以上50mm以下であることが好ましく、0.1mm以上3mm以下であることが更に好ましい。凸ローラ51の各凸部511の頂部表面の形状に特に制限はなく、例えば、円形、多角形、楕円形等が用いられ、各凸部511の頂部表面の面積は、0.001mm2以上20mm2以下であることが好ましく、0.01mm2以上1mm2以下であることが更に好ましい。尚、凸ローラ51がサンドブラストローラである場合には、凸部511の密度は、1000個/cm2以上3000個/cm2以下であることが好ましく、1200個/cm2以上2500個/cm2以下であることが更に好ましい。
このような構成のプレ加工部4及び起毛加工部5を備える製造装置においては、先ず、不織布1の原料である、例えば帯状の原料不織布10を、原反ロール(不図示)から巻き出して、図7に示すように、搬送ローラ44,45を介して、原料不織布10をスチールマッチングエンボスローラ43の一対のローラ41,42間に搬送する。
原料不織布10としては、捲縮性を有する例えば潜在捲縮繊維からなるスパンボンド不織布や、潜在捲縮繊維からなるスパンボンドの層と潜在捲縮繊維からなるメルトブローンの層との積層不織布を、熱収縮させ捲縮した状態の不織布等が挙げられる。積層不織布としては、例えば、スパンボンド−スパンボンド積層不織布、スパンボンド−スパンボンド−スパンボンド積層不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層不織布、スパンボンド−スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層不織布等が挙げられる。
プレ加工部4においては、原料不織布10の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施す。詳述すると、プレ加工部4においては、図7に示すように、原料不織布10を一対のローラ41,42間で挟圧し、原料不織布10に部分延伸加工を施しダメージを与える。ダメージを与える際、原料不織布10の構成繊維間で熱融着を起こさない観点から、スチールマッチングエンボスローラ43の一対のローラ41,42は、積極的に加熱をしないか、または原料不織布10を構成する繊維の成分のうち最も低い融点を示す成分の融点以下の温度で、特に、該融点よりさらに70℃以上低い温度でスチールマッチエンボス加工することが好ましい。
次に、ダメージが与えられた原料不織布10’を、図8に示すように、搬送ローラ52,53を介して、凸ローラ51に搬送する。起毛加工部5においては、周面に凸部を有する凸ローラを用いて、原料不織布10’を構成する繊維集合体11の長繊維2の一部を破断して、一端部20aのみが熱融着部3により固定され他端部側が自由端部20bとなった自由端部を有する起毛繊維20(低起毛繊維21及び高起毛繊維22を含む)を形成する。このようにして、一端部20aのみがスパンボンド不織布の熱融着部3により固定されている自由端部を有する起毛繊維20(低起毛繊維21及び高起毛繊維22を含む)を有する不織布1が形成される(図1参照)。長繊維2の一部を破断し、図1に示す自由端部を有する起毛繊維20を効率よく形成する観点から、凸ローラ51の回転方向を、原料不織布10’の搬送方向に対して逆方向に回転させることが好ましく、原料不織布10’の搬送速度に対し、0.3〜30倍の速度で凸ローラ51を回転させることが好ましい。また周方向(搬送方向に対して順方向)に回転させる場合には1.5〜50倍の速度で凸ローラ51を回転させることが好ましい。ここで、凸ローラ51の速度は、凸ローラ51の周面での周速度のことを意味する。
長繊維2の一部を更に効率よく破断し、図1に示す自由端部を有する起毛繊維20を更に効率よく形成する観点から、図8に示すように、凸ローラ51より搬送ローラ53の位置を高く設定し、ダメージを与えられた原料不織布10’が凸ローラ51との接触面に、抱き角αで接触していることが好ましい。抱き角αは、不織布のネックインによる幅減少が抑えられる観点から、10°以上、特に30°以上であることが好ましく、180°以下、特に120°以下であることが好ましく、具体的には、10°以上,180°以下であることが好ましく、30°以上,120°以下であることが更に好ましい。
尚、一端部20aのみが熱融着部3により固定されている自由端部を有する起毛繊維20を、不織布1の両面に形成する場合には、凸ローラ51により加工した原料不織布10’の表面と異なる表面(裏面)を、更に、別の凸ローラ51により加工することにより得られる。
以上のように形成された不織布1の有する自由端部を有する起毛繊維20について詳述すると、上述したように、原料不織布10として、繊維の一部を熱収縮させ捲縮した状態の捲縮繊維からなる不織布を用いているので、凸ローラ51によって長繊維2の一部が破断されて、自由端部20bが繊維集合体11の表面側に項垂れている低起毛繊維21と自由端部20bの高さが最も高い高起毛繊維22が形成される。また、スチールマッチングエンボスローラ43により原料不織布10が延伸され、原料不織布10の熱融着部3に弱化点が形成され、その後、凸ローラ51によって、不織布の熱融着部3の極表面の弱化点から長繊維2が破断され、この熱融着部3から切断された繊維が、自由端部20bの太くなっている繊維(第1低起毛繊維211,第1高起毛繊維221)となる。弱化点の調整は、スチールマッチングエンボスローラー43の上下一対のローラ41,42のかみ合い量によって調整できる。また、凸ローラ51により表面を加工する際に、熱融着部3,3同士の間で長繊維2が破断されると、自由端部20bの太くなっていない繊維(第2低起毛繊維212,第2高起毛繊維222)が形成される。尚、凸ローラ51により、熱融着部3の弱化点から長繊維2が剥離され、この熱融着部3から剥離された繊維が、熱融着部3,3同士の間でループ状に起立すると、ループ状の繊維23になる。上述した不織布1の好適な製造方法により製造される不織布は、スチールマッチングエンボスローラ43により熱融着部3に弱化点を形成してから起毛するので、従来の起毛方法により製造される不織布に比べ、ループ状の繊維23や、太くなっていない繊維(第2低起毛繊維212,第2高起毛繊維222)の割合が少ないのが特徴である。また、スチールマッチングエンボスローラ43により熱融着部3に弱化点を形成してから起毛するので、熱融着部3間でいわゆる切れ目(裂け目、穴)ができ難く、原料不織布10の破断強度をそのまま維持できる。
上述した製造装置においては、原料不織布10を構成する繊維の融点未満の温度で熱処理を行う熱処理部を更に有していてもよい。熱処理部は、プレ加工部4のスチールマッチエンボスローラ43による加工前、又は起毛加工部5の凸ローラ51の加工前に、又は起毛加工部5の凸ローラ51の加工後に、配され、原料不織布10を繊維の融点未満の温度で熱風処理することができる。熱風処理により、捲縮率を更に高めることができ、低起毛繊維21の割合が増加したり、嵩高性が増加したりすることで、肌触り性能及び吸収性能をより向上させることができる。特に、熱処理部を、起毛加工部5の凸ローラ51の加工後に設け、プレ加工部4にて、原料不織布10の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施した後、起毛加工部5にて、周面に凸部511を有する凸ローラ51を用いて、部分延伸加工の施された原料不織布10’の繊維集合体11の長繊維2の一部を破断して自由端部を有する起毛繊維20を形成し、その後熱処理部にて、自由端部を有する起毛繊維20を熱処理するのが、肌触り性能及び吸収性能が更に向上した不織布1が製造できる観点から好ましい。
上述した本発明の実施形態の不織布1を使用した際の作用効果について説明する。
本実施形態の不織布1には、図1,図3に示すように、長繊維2の一部が破断されて、一端部20aのみが熱融着部3により固定されている自由端部を有する起毛繊維20が形成されている。このような自由端部を有する起毛繊維20は捲縮しているので、全体に不織布1にふっくら感を与えることができる。特に、不織布1の自由端部を有する起毛繊維20は、自由端部20bが繊維集合体11の表面側に項垂れている捲縮した低起毛繊維(自由端部20bが太くなっている第1低起毛繊維211及び自由端部20bが太くなっていない第2低起毛繊維212)を有しているので、肌に引っかかり難く、平面方向に対して自由度が高く滑らかになるので、更に肌触りが向上する。また、長繊維2の一部しか破断していないので、破断強度を、原料不織布10と同様に、高く保つことができる。また、本実施形態の不織布1は、ループ状の繊維が少なく、肌に引っかかり難く肌触りが向上する。
スパンボンド不織布やスパンボンドの積層不織布は従来ふっくら感が少なく、エアスルー製法の不織布と比較して肌触りに劣るものであるが、上述した本実施形態の不織布1によれば、和紙のような滑らかさに、ふっくらさが加わり肌触りを大きく向上する。
特に、自由端部20bが太くなっている第1低起毛繊維211は、図1,図3に示すように、その自由端部20bが繊維集合体11の表面よりも上方に起毛しており、繊維集合体11の表面側に項垂れているので、不織布1全体にふっくら感を更に与え、肌への引っ掛かりも低減することができる。
また、不織布1を構成する構成繊維全体が、図3に示すように、捲縮性を有しているので、不織布1全体にふっくら感を更に与えることができる。
不織布1の利用範囲は、主として使い捨ておむつ、生理用ナプキン等の吸収性物品における構成部材に好適に用いられる。構成部材としては、例えば、表面シート、裏面シート、使い捨ておむつの外包材を構成するシート等が挙げられ、特に、不織布1は、着用者の肌当接面に用いる吸収性物品の表面シートに好適に用いられる。不織布1の利用範囲は、その他、清掃用シートにも好適に用いられる。以下、不織布1を利用した使い捨ておむつを例に挙げ、具体的に説明する。
パンツ型使い捨ておむつ100は、図9に示すように、吸収体40を含む吸収性本体50と、吸収性本体50の非肌当接面側に位置して該吸収性本体50を固定している外包材60とを備えている。
吸収性本体50は、図10に示すように、液透過性の表面シート70、液不透過性(撥水性も含む)の裏面シート80及び両シート70,80間に介在された液保持性の吸収体40を有しており、実質的に縦長である。
外包材60は、図9に示すように、着用者の背側に配される背側部A、腹側に配される腹側部B、それらの間に位置し股間部に配される股下部Cを有しており、背側部Aと腹側部Bの両側縁部6a,6b同士が接合されて、一対のサイドシール部(図示せず)、一対のレッグ開口部(図示せず)及びウエスト開口部(図示せず)が形成される。また、外包材60は、おむつの外面を形成する外層シート62、その肌当接面側に位置して部分的に該外層シート62と接合された内層シート61を有しており、ウエスト開口部及びレッグ開口部を形成するウエスト部及びレッグ部6dにおける両シート61,62間に、ギャザー形成用のウエスト部弾性部材63及びレッグ部弾性部材64が配されている。
吸収性本体50は、図9に示すように、外包材60の背側部Aから腹側部Bに跨って配設されており、吸収性本体50の長手方向の両端部は、外包材60の長手方向の両端部よりも長手方向の内方に後退した位置にある。吸収性本体50は、図10に示すように、吸収性本体50の裏面シート80の非肌当接面が、接着剤、ヒートシール、超音波シール等による接合法によって外包材60の内層シート61の肌当接面に接合されている。
吸収性本体50の長手方向の両側部には、図9に示すように、液不透過性又は撥水性で且つ通気性の素材から構成された側方カフス55,55が設けられている。各側方カフス55の自由端部近傍には、側方カフス形成用の弾性部材56が伸長状態で配設固定されている。側方カフス55は、おむつの装着時に自由端部側が起立し、吸収性本体50の幅方向への排泄物の流出を阻止することができる。側方カフス55形成用シートは、図10に示すように、吸収性本体50の幅方向外方の所定幅の部分55aが、吸収体40の非肌当接面側に巻き込まれて、吸収体40と裏面シート80との間に固定されている。尚、所定幅の部分55aが、裏面シート30と外包材60との間に固定されていてもよい。
本実施形態の不織布1は、着用者の肌当接面に用いるパンツ型使い捨ておむつ100の表面シート70として好ましく用いられる。また、外包材60の外層シート62及び内層シート61、裏面シート80、並びに側方カフス55形成用シートとして用いることもできる。不織布1を使用しない場合の各部の部材には、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート70としては、液透過性の不織布や、開孔フィルム、これらの積層体等を用いることができ、裏面シート80としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。側方カフス55形成用シートとしては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。内層シート61及び外層シート62としては、撥水性の不織布等を用いることができる。
吸収体40としては、従来、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるもの等を、特に制限なく用いることができる。例えば、吸収体40としては、パルプ等の繊維材料の繊維集合体又はこれに高吸収性ポリマーを担持させたものからを、ティッシュペーパーや透水性の不織布等の被覆材で包んでなるもの等を用いることができる。
側方カフス形成用の弾性部材56、ウエスト部弾性部材63及びレッグ部弾性部材64としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるもの等を、特に制限なく用いることができる。例えば、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる伸縮性の材料等を用いることができる。
本発明の不織布は、上述の本実施形態の不織布1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、不織布1の製造方法に用いられる本製造装置においては、起毛加工部5における凸ローラには、互いに噛み合う歯溝が周面に設けられた一対の歯溝ローラ、ローレット加工したロール、溶射加工したロール、カードワイヤー、サンドブラストされたマットロール(サンドブラストローラ)等が好適に用いられる。また、凸ローラ51の頂部表面の形状が円形、多角形、楕円形等の凸部を周面に散りばめた凸ローラを用いてもよく、摩擦抵抗のあるゴムを周面に設けたゴムローラやサンドペーパーを用いてもよい。これらの中では、サンドブラストローラを用いることが好ましい。
また、不織布1の製造方法に用いられる本製造装置においては、起毛加工部5以外に、部分延伸加工部であるプレ加工部4を有しているが、起毛加工部5のみでもよい。
上述した実施形態に関し、さらに以下の不織布、不織布の製造方法、吸収性物品の表面シート、吸収性物品及び使い捨ておむつを開示する。
<1>
長繊維が熱融着部により固定された繊維集合体を具備する不織布であって、
前記長繊維の一部が破断されて、一端部のみが前記熱融着部により固定され他端部側が自由端部となっている起毛繊維を備え、前記起毛繊維は、捲縮性を有しており、前記自由端部の高さが該起毛繊維中の最高位置での高さよりも低い低起毛繊維を含んでいる不織布。
<2>
前記低起毛繊維は、その前記自由端部が太くなっている起毛繊維を含んでいる前記<1>に記載の不織布。
<3>
前記起毛繊維は、前記低起毛繊維及び高起毛繊維を有している、前記<1>または<2>に記載の不織布。
<4>
前記不織布の破断強度の値が、5.00N/50mm以上であることが好ましく、8N/50mm以上,30N/50mm以下であることが更に好ましい前記<1>から<3>に記載の不織布。
<5>
前記不織布を製造する原料不織布の破断強度は、7N/50mm以上であることが好ましく、10N/50mm以上,50N/50mm以下であることが更に好ましい前記<1>〜<4>の何れか1に記載の不織布。
<6>
前記不織布と前記原料不織布の破断強度の比(不織布の破断強度/原料不織布の破断強度)は、0.5以上、好ましくは0.7以上であり、そして、1.0以下であり、また、0.5以上1.0以下であるか、0.7以上1.0以下である前記<5>に記載の不織布。
<7>
前記不織布の微小荷重時の圧縮特性値が、好ましくは0.98(cN/cm2)/mm以上であり、好ましくは17.6(cN/cm2)/mm以下であり、14.7(cN/cm2)/mm以下であることが好ましく、9.80(cN/cm2)/mm以下になることがさらに好ましい前記<1>〜<6>の何れか1に記載の不織布。
<8>
自由端部が太くなっている前記起毛繊維は、先端繊維径の増加割合の値が好ましくは、15%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは25%以上大きくなっている前記<2>に記載の不織布。
<9>
前記起毛繊維における、前記低起毛繊維の割合が20%以上である前記<1>〜<8>の何れか1に記載の不織布。
<10>
前記低起毛繊維における、自由端部が太くなっている繊維の割合が、35%以上であることが好ましく、40%以上であることが更に好ましく、50%以上であることが特に好ましい前記<2>に記載の不織布。
<11>
前記不織布は、前記熱融着部同士の間でループ状に起立するループ状の繊維を有し、
前記不織布を構成する繊維のうち、一端部のみが熱融着部により固定されている起毛繊維及び前記ループ状の繊維の総数における、該ループ状の繊維の割合が、50%より少ないことが好ましく、45%以下であることが更に好ましく、40%以下であることが特に好ましい前記<1>〜<10>の何れか1に記載の不織布。
<12>
前記繊維集合体の起毛している繊維以外の前記長繊維が、捲縮性を有している前記<1>〜<11>の何れか1に記載の不織布。
<13>
前記不織布を構成する繊維の全てが捲縮性を有している前記<1>〜<12>の何れか1に記載の不織布。
<14>
前記起毛繊維の捲縮率は、80%以下である前記<1>〜<13>の何れか1に記載の不織布。
<15>
前記捲縮率は、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、そして、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、より具体的には、20%以上80%以下である前記<14>に記載の不織布。
<16>
前記起毛繊維の捲縮数は、15個/25mm以上、好ましくは20個/25mm以上、そして、50個/25mm以下、好ましくは40個/25mm以下である前記<1>〜<15>の何れか1に記載の不織布。
<17>
捲縮性を有する前記起毛繊維は、潜在捲縮繊維である前記<1>〜<16>の何れか1に記載の不織布。
<18>
前記不織布は、前記起毛繊維が、8本/cm以上であることが好ましく、12本/cm以上であることが更に好ましく、100本/cm以下、より好ましくは40本/cm以下である前記<1>〜<17>の何れか1に記載の不織布。
<19>
前記起毛繊維は、その高さが1.5mm以下であることが好ましく、0.8mm以下であることが更に好ましく、0.2mm以上であることが好ましい前記<1>〜<18>の何れか1に記載の不織布。
<20>
周面に凸部を有する凸ローラを用いて、前記繊維集合体の前記長繊維の一部を破断し、前記起毛繊維を形成する起毛加工工程を有し、前記凸ローラがサンドブラストローラである、前記<1>〜<19>のいずれか1に記載の不織布
<21>
前記<1>〜<19>の何れか1に記載の不織布の製造方法であって、
周面に凸部を有する凸ローラを用いて、前記繊維集合体の前記長繊維の一部を破断し、前記起毛繊維を形成する起毛加工工程を有する不織布の製造方法。
<22>
前記凸ローラがサンドブラストローラであり、凸部の密度は、1000個/cm2以上3000個/cm2以下であることが好ましく、1200個/cm2以上2500個/cm2以下であることが更に好ましい、前記<21>に記載の不織布の製造方法。
<23>
原料不織布の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施す部分延伸加工工程を有する前記<21>または<22>に記載の不織布の製造方法。
<24>
前記部分延伸加工工程は、一方のローラが周面に複数個の凸部を有し、他方のローラが、周面に一方のローラの凸部に対応する位置に凸部が入り込む凹部を有し、一対の凹凸ローラは、それぞれの周面に、凸部及び凹部が何れも千鳥状に配置されている、一対のローラからなるスチールマッチングエンボスローラを用いて行う、前記<23>に記載の不織布の製造方法。
<25>
前記部分延伸加工工程は、前記スチールマッチングエンボスローラの一対のローラを、原料不織布を構成する繊維の成分のうち最も低い融点を示す成分の融点以下の温度で、特に、該融点よりさらに70℃以上低い温度でスチールマッチエンボス加工する、前記<24>に記載の不織布の製造方法。
<26>
前記原料不織布を構成する繊維の融点未満の温度で熱処理を行う熱処理工程を有する前記<21>〜<25>の何れか1に記載の不織布の製造方法。
<27>
前記部分延伸加工工程にて、原料不織布の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施した後、前記起毛加工工程にて、周面に凸部を有する凸ローラを用いて、部分延伸加工の施された前記繊維集合体の前記長繊維の一部を破断して前記起毛繊維を形成し、その後、前記熱処理工程にて、前記起毛繊維を熱処理する前記<26>に記載の不織布の製造方法。
<28>
前記<1>〜<20>の何れか1に記載の不織布を、着用者の肌当接面に用いる吸収性物品の表面シート。
<29>
前記<1>〜<20>の何れか1に記載の不織布を構成部材として用いた吸収性物品。
<30>
前記<1>〜<20>の何れか1に記載の不織布を構成部材として用いた使い捨ておむつ。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
原料不織布として、熱収縮させ捲縮した状態の捲縮繊維からなる不織布を使用した。実際には、繊維径13.7μmのエチレン−プロピレンランダム共重合体とポリプロピレンの成分からなる偏心芯鞘型の潜在捲縮繊維を捲縮させた坪量17g/m2のスパンボンド−スパンボンド積層不織布)を使用した。次に、このスパンボンド不織布を、図7に示すスチールマッチングエンボスローラ43に通し、図8に示す凸ローラ51により表面加工し、二段階処理して実施例1の不織布を作製した。用いたスチールマッチングエンボスローラ43のローラ41における各凸部411は、その高さが5.0mmであり、ローラ41の各凸部411とローラ42の各凹部422との噛み合いの深さは、4.0mmであった。また、回転軸方向に隣り合う凸部411同士の距離(ピッチ)は、7mmであり、周方向に隣り合う凸部411同士の距離(ピッチ)は、7mmであった。スチールマッチングエンボスローラ43のローラ42における各凸部421も同じである。また、用いた凸ロール51の凸部の高さは、最大0.07mmであり、突起の密度が約2000個/cm2のサンドブラストされたマットロール(サンドブラストローラ)を用いた。凸ローラ51は、不織布の搬送方向に対して、逆方向に4倍の速度で回転させた。抱き角は60度であった。それぞれの搬送速度は20m/分であった。
〔実施例2〕
原料不織布として、熱収縮させ捲縮した状態の捲縮繊維からなる不織布を使用した。実際には、実施例1と同様に、繊維径13.7μmのエチレン−プロピレンランダム共重合体とポリプロピレンの成分からなる偏心芯鞘型の潜在捲縮繊維を捲縮させた坪量17g/m2のスパンボンド−スパンボンド積層不織布)を使用した。次に、このスパンボンド不織布を、図8に示す凸ローラ51のみにより表面加工し、実施例2の不織布を作製した。用いた凸ローラ51の凸部の高さは、最大0.07mmであり、突起の密度が約2000個/cm2のサンドブラストされたマットロールを用いた。不織布の搬送方向に対して、逆方向に30倍の速度で回転させた。抱き角は60度であった。搬送速度は20m/分であった。
〔実施例3〕
原料不織布として、熱収縮させ捲縮した状態の捲縮繊維からなる不織布を使用した。実際には、実施例1と同様に、繊維径13.7μmのエチレン−プロピレンランダム共重合体とポリプロピレンの成分からなる偏心芯鞘型の潜在捲縮繊維を捲縮させた坪量17g/m2のスパンボンド−スパンボンド積層不織布)を使用した。次に、このスパンボンド不織布を、図8に示す凸ローラ51のみにより表面加工し、その後熱処理を行うことにより実施例3の不織布を作製した。用いた凸ローラ51の凸部の高さは、最大0.07mmであり、突起の密度が約2000個/cm2のサンドブラストされたマットロールを用いた。用いた凸ローラ51は、不織布の搬送方向に対して、逆方向に30倍の速度で回転させた。抱き角は60度、搬送速度は20m/分であった。その後、120℃の温度で1分間熱処理を行った。
〔比較例1〕
実施例1に用いた、繊維径13.7μmのエチレン−プロピレンランダム共重合体とポリプロピレンの成分からなる偏心芯鞘型の潜在捲縮繊維を捲縮させた坪量17g/m2のスパンボンド−スパンボンド積層不織布をそのまま使用した不織布を比較例1の不織布とした。比較例1の不織布は、特に起毛加工は行わなかった。
〔比較例2〕
原料不織布として、捲縮繊維ではない繊維からなる不織布を使用した。実際には、繊維径14.6μmのポリプロピレン樹脂からなる坪量17g/m2のスパンボンド−スパンボンド積層不織布を使用した。次に、このスパンボンド不織布を、実施例1と同様の条件で二段階処理して比較例2の不織布を作製した。
〔性能評価〕
実施例1、比較例1〜2の不織布について、下記方法に従って、起毛している繊維の本数、自由端部が項垂れている低起毛繊維の割合、肌触り性、吸収性、外観の毛羽立ち性をそれぞれ評価した。評価環境は室温20℃、湿度60%RHであった。それらの結果を下記表1に示す。
〔起毛している繊維の本数及び起毛している繊維の高さ〕
上述した起毛している繊維の測定法に基づいて、実施例1、比較例1〜2の不織布における起毛している繊維の本数を及び起毛している繊維の高さを測定した。尚、上述したように、この測定法により測定される「起毛している繊維」とは、起毛繊維20(低起毛繊維21(第1低起毛繊維211及び第2低起毛繊維212)及び高起毛繊維22(第1高起毛繊維221及び第2高起毛繊維222)、並びにループ状に起立するループ状の繊維23)を意味する。
〔低起毛繊維の割合〕
上述した繊維径の測定法に基づき、実施例1〜3、比較例1〜2の不織布において、ランダムに10本選んだ自由端部を有する起毛繊維20をおよそ50倍に拡大したSEM画像から、先端位置の関係を観察し、低起毛繊維又は高起毛繊維に分類した。そして、自由端部を有する起毛繊維20(低起毛繊維21(自由端部20bが太くなっている第1低起毛繊維211及び自由端部20bが太くなっていない第2低起毛繊維212)並びに高起毛繊維22(自由端部20bが太くなっている第1高起毛繊維221及び自由端部20bが太くなっていない第2高起毛繊維222)における、低起毛繊維21(第1低起毛繊維211及び第2低起毛繊維212)の割合を算出した。また、低起毛繊維21(太くなっている第1低起毛繊維211及び太くなっていない第2低起毛繊維212)における自由端部が太くなっている第1低起毛繊維211の割合を算出し、表1に示した。
〔肌触り性〕
実施例1〜3、比較例1〜2の不織布について、専門パネラー10人による、比較例1の不織布を基準(5点)としたときの10段階の(10点に近づく程より良い肌触り)不織布表面の肌触り(なめらかさ)の官能評価を行い、各不織布について3枚の平均値を、整数桁に四捨五入して求めた。
〔吸収性〕
市販のベビー用おむつ(花王株式会社2012年製のメリーズパンツLサイズ)から表面シートを剥がし、代わりに実施例1〜3、比較例1〜2の不織布を表面シートに用いて吸収性能を測定した。おむつは胴回りギャザー及びレッグギャザーを取り除き、展開状態で表面材を上にして水平に固定した。表面シートの上に円筒状の注入部の付いたアクリル板をのせ、更にアクリル板上に錘のせ、2kPaの荷重を加えた。アクリル板に設けられた注入口は内径36mmの円筒(高さ53mm)状をなし、アクリル板には長手方向の1/3の部分、幅方向の中心軸に、該円筒状注入部の中心軸線が一致し、該円筒状注入部の内部とアクリル板の表面シート対向面との間を連通する内径36mmの貫通孔が形成されている。おむつの吸収性コアを覆っている被覆シートの長手方向腹側部分の先端から125mmの位置にアクリルの円筒状注入部の中心軸がくるように配置し、生理食塩水160g注入した。160gの全量がおむつに吸収されるまでの時間を計測し、各不織布について3枚の平均値を、整数桁に四捨五入して求めた。吸収時間が85秒以内の場合にA、吸収時間が85秒より長く〜100秒より短い場合にB、そして吸収時間が100秒以上の場合にCとして表1に示した。
〔外観の毛羽立ち性〕
実施例1〜3、比較例1〜2の不織布について、専門パネラー10人による、比較例1を基準(3点)としたときの3段階の(1点に近づく程、毛羽立ちが気になり多く外観が悪い)官能評価を行い、各不織布について3枚の平均値を、整数桁に四捨五入して求め表1に示した。
〔微小荷重時の圧縮特性〕
実施例1〜3、比較例1〜2で得られた不織布について、上述した微小荷重時の圧縮特性値の測定法により、不織布における微小荷重時の圧縮特性の値を求め、求められた圧縮特性の値が18.0(gf/cm2)/mm以下の場合にAとし、18.0(gf/cm2)/mmより大きい場合にBとして表1に示した。微小荷重時の圧縮特性値はふっくら感を示す指標であり、値が小さい程ふっくら感が高く、10.0(gf/cm2)/mm以下で肌触りの良いエアスルー不織布に近いふっくら感を得ることができる。
〔バルクソフトネスの測定〕
実施例1〜3、比較例1〜2で得られた不織布について、上述したバルクソフトネスの測定法により、不織布におけるCD方向のバルクソフトネス値を求め、求められたバルクソフトネスの値が3.0cN以下の場合にAとし、3.0cNより大きく5.0cN以下の場合をBとし、5.0cNより大きい場合をCとして表1に示した。
Figure 0005622921
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜3の不織布と比較例2の不織布は、比較例1の不織布と比較して、起毛している繊維があるので、肌触り性が高いことがわかった。そして、表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜3の不織布は、比較例2の不織布と比較して、低起毛繊維の割合が高いので、肌触り性が更に高いことがわかった。そして、表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜3の不織布は、比較例2の不織布と比較して、捲縮繊維から形成されているので、吸収時間が短く、吸収性が向上することがわかった。
1 不織布
11 繊維集合体
2 長繊維
20 一端部のみが熱融着部3により固定されている(自由端部を有する)起毛繊維
20a 一端部
20b 自由端部
21 低起毛繊維
211 第1低起毛繊維
212 第2低起毛繊維
22 高起毛繊維
221 第1高起毛繊維
222 第2高起毛繊維
20c 自由端部20bを除く部位での繊維20の径
20d 自由端部20bでの繊維20の径
23 ループ状の繊維
3 熱融着部
4 プレ加工部
41,42 一対のローラ
410 凸部
43 スチールマッチングエンボスローラ
44,45 搬送ローラ
5 起毛加工部
51 凸ローラ
52,53 搬送ローラ
10,10’ 原料不織布
104 測定サンプル
105 折り目
106a 2回横切る繊維
107 穴
108 仮想線
100 パンツ型使い捨ておむつ
40 吸収体
50 吸収性本体
55 側方カフス
55a
56 側方カフス形成用の弾性部材
60 外包材
61 内層シート
62 外層シート
63 ウエスト部弾性部材
64 レッグ部弾性部材
70 表面シート
80 裏面シート
A 背側部、B 腹側部、C 股下部

Claims (11)

  1. 長繊維が熱融着部により固定された繊維集合体を具備する不織布であって、
    前記長繊維の一部が破断されて、一端部のみが前記熱融着部により固定され他端部側が自由端部となっている起毛繊維を備え、前記起毛繊維は、捲縮性を有しており、前記自由端部の高さが該起毛繊維中の最高位置での高さよりも低い低起毛繊維を含んでおり、
    前記起毛繊維の捲縮率は、80%以下であり、
    前記起毛繊維における、前記低起毛繊維の割合が20%以上であり、
    前記低起毛繊維は、その前記自由端部が太くなっていない起毛繊維を含んでいる不織布。
  2. 前記低起毛繊維は、その前記自由端部が太くなっている起毛繊維を含んでいる請求項1に記載の不織布。
  3. 前記繊維集合体の起毛している繊維以外の前記長繊維が、捲縮性を有している請求項1又は2に記載の不織布。
  4. 捲縮性を有する前記起毛繊維は、潜在捲縮繊維である請求項1〜の何れか1項に記載の不織布。
  5. 請求項1〜の何れか1項に記載の不織布の製造方法であって、
    周面に凸部を有する凸ローラを用いて、前記繊維集合体の前記長繊維の一部を破断し、前記起毛繊維を形成する起毛加工工程を有する不織布の製造方法。
  6. 前記凸ローラがサンドブラストローラであり、凸部の密度が、1000個/cm2以上3000個/cm2以下である、請求項に記載の不織布の製造方法。
  7. 原料不織布の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施す部分延伸加工工程を有する請求項またはに記載の不織布の製造方法。
  8. 前記原料不織布を構成する繊維の融点未満の温度で熱処理を行う熱処理工程を有する請求項5〜7の何れか1項に記載の不織布の製造方法。
  9. 前記部分延伸加工工程にて、原料不織布の複数箇所それぞれに部分延伸加工を施した後、前記起毛加工工程にて、周面に凸部を有する凸ローラを用いて、部分延伸加工の施された前記繊維集合体の前記長繊維の一部を破断して前記起毛繊維を形成し、その後、前記熱処理工程にて、前記起毛繊維を熱処理する請求項に記載の不織布の製造方法。
  10. 請求項1〜の何れか1項に記載の不織布を、着用者の肌当接面に用いる吸収性物品の表面シート。
  11. 請求項1〜の何れか1項に記載の不織布を構成部材として用いた吸収性物品。
JP2013235916A 2012-12-19 2013-11-14 不織布 Active JP5622921B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013235916A JP5622921B2 (ja) 2012-12-19 2013-11-14 不織布
PCT/JP2013/081994 WO2014097838A1 (ja) 2012-12-19 2013-11-28 不織布
CN201380043878.7A CN104884697B (zh) 2012-12-19 2013-11-28 无纺布
RU2015112311/12A RU2569775C1 (ru) 2012-12-19 2013-11-28 Нетканый материал

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012276678 2012-12-19
JP2012276678 2012-12-19
JP2013235916A JP5622921B2 (ja) 2012-12-19 2013-11-14 不織布

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2014139357A JP2014139357A (ja) 2014-07-31
JP2014139357A5 JP2014139357A5 (ja) 2014-10-02
JP5622921B2 true JP5622921B2 (ja) 2014-11-12

Family

ID=50978179

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013235916A Active JP5622921B2 (ja) 2012-12-19 2013-11-14 不織布

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP5622921B2 (ja)
CN (1) CN104884697B (ja)
RU (1) RU2569775C1 (ja)
WO (1) WO2014097838A1 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6332804B2 (ja) * 2014-09-24 2018-05-30 花王株式会社 不織布および不織布の製造方法
JP6355254B2 (ja) * 2014-09-24 2018-07-11 花王株式会社 繊維積層体の製造方法及び繊維積層体
RU2656084C1 (ru) * 2014-10-17 2018-05-30 Као Корпорейшн Нетканый материал
JP6546435B2 (ja) * 2015-04-14 2019-07-17 花王株式会社 不織布の製造方法
TWI730105B (zh) * 2016-05-31 2021-06-11 日商花王股份有限公司 長纖維不織布
TWI693309B (zh) * 2018-05-07 2020-05-11 財團法人紡織產業綜合研究所 熔噴芯鞘型纖維及使用其的熔噴不織布
JP7188982B2 (ja) * 2018-11-06 2022-12-13 花王株式会社 吸収性物品

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1072757A (ja) * 1996-08-21 1998-03-17 Mitsui Petrochem Ind Ltd 清拭材用不織布およびその製造方法
JP2002302861A (ja) * 2001-04-09 2002-10-18 Chisso Corp 起毛様不織布、その製造法及びそれを用いた繊維製品
US20090030391A1 (en) * 2007-07-25 2009-01-29 John Lee Hammons Absorbent article
US8728049B2 (en) * 2008-08-08 2014-05-20 The Procter & Gamble Company Absorbent article having a tufted topsheet
EA025743B1 (ru) * 2010-09-30 2017-01-30 Као Корпорейшн Нетканый материал и впитывающее изделие, содержащее такой материал

Also Published As

Publication number Publication date
CN104884697B (zh) 2016-08-24
JP2014139357A (ja) 2014-07-31
CN104884697A (zh) 2015-09-02
RU2569775C1 (ru) 2015-11-27
WO2014097838A1 (ja) 2014-06-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5622921B2 (ja) 不織布
JP6099030B2 (ja) 吸収性物品
JP4982615B2 (ja) 不織布
WO2012042972A1 (ja) 不織布及び不織布の製造方法
JP5529524B2 (ja) 起毛不織布及びその製造方法
JP5843396B2 (ja) 不織布の製造方法
JP2013005880A (ja) 吸収体及びそれを用いた吸収性物品
JP5514948B1 (ja) 不織布及びその製造方法
JP6320349B2 (ja) 不織布及びそれを用いた吸収性物品
JP5530023B1 (ja) 不織布
JP5779011B2 (ja) 吸収性物品
RU2731233C1 (ru) Нетканый материал
JP6170822B2 (ja) 不織布及びその製造方法
JP6538410B2 (ja) 不織布及びその製造方法
JP6546435B2 (ja) 不織布の製造方法
JP6317143B2 (ja) 吸収性物品
WO2020241560A1 (ja) 吸収性物品
JP6355254B2 (ja) 繊維積層体の製造方法及び繊維積層体
JP2022174632A (ja) 不織布及びこれを構成部材として含む吸収性物品
JP5988262B2 (ja) 吸収性物品

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140818

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140818

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20140818

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20140903

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140916

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140922

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5622921

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250