JP2022174632A - 不織布及びこれを構成部材として含む吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】クッション性に優れ、柔らかな感触が得られる不織布及びこれを含む吸収性物品を提供する。【解決手段】本発明の不織布10は、熱融着性繊維を含む第1層11と、熱収縮性繊維を含む第2層12とを備え、第1層11の第2面11rと第2層12の第1面12fとが対向するように両層が隣接して配置されている。第1層11の第1面11fが凹凸形状であり且つ第2面11rが第1面11fの凹凸形状に対応する凹凸形状である。第2層12の第2面12rが平坦である。第1層11と第2層12とが、第1層11の第1面11fにおける凹部11bの位置において接合されて、不織布10の第1面F側に複数の凸部15及び凹部16が形成されている。不織布10の厚み方向Zに沿って見たとき、凸部15は、頂部15a、中間部15b、及び第2層12の順で繊維の存在密度が低い。【選択図】図2
Description
本発明は、不織布及びこれを構成部材として含む吸収性物品に関する。
使い捨ておむつ等の吸収性物品は、繊維材料からなるシート部材を含んで構成されている。例えば、吸収性物品は、液保持性の吸収体を具備するとともに、該吸収体の肌対向面側に、着用者の肌に当接される表面シートを具備することが一般的である。本出願人は先に、表面シートに用いることができるシートとして、第1層と、エラストマー的挙動を示す第2層とが接合部によって部分的に接合されており、該接合部間で第1層が三次元的立体形状をなし、シート全体がエラストマー的挙動を示すとともに通気性を有する立体シート材料を開示した(特許文献1)。
また、本出願人は、先に、一方の面側に突出し内部空間を有する突出部と、他方の面側に突出し内部空間を有する別の突出部とを有し、平面視においてこれら突出部が交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配された2枚のシートを有し、該2枚のシートの厚み方向において、突出部どうしがその突出方向が逆方向になるように対向配置され、且つ別の突出部どうしが接合されている、不織布を開示した(特許文献2)。
吸収性物品が凹凸形状を有する表面シートを具備することは、通気性や着用者の肌への追従性を高める点で有効である。しかしながら、凹凸形状を有するシートは、着用者の体圧等で凸部が潰れることがあり、その場合にクッション感が低下して柔らかさを感じにくくなる懸念がある。特許文献1及び2に記載のシートは、クッション性に優れ、柔らかな感触を得る点で改善の余地があった。
したがって、本発明は、クッション性に優れ、柔らかな感触が得られる不織布、及びこれを構成部材として含む吸収性物品を提供することに関する。
本発明は、第1面及び第2面を有し且つ熱融着性繊維を含む第1層と、第1面及び第2面を有し且つ熱収縮性繊維を含む第2層とを備え、第1層の第2面と第2層の第1面とが対向するように両層が隣接して配置されている不織布に関する。
前記不織布は、第1層の第1面が凹凸形状であり且つ第2面が第1面の凹凸形状に対応する凹凸形状であることが好ましい。
第2層の第2面は、平坦であることが好ましい。
前記不織布において、第1層と第2層とは、第1層の第1面における凹部の位置において接合されて、前記不織布の第1面側に複数の凸部及び凹部が形成されていることが好ましい。
前記不織布の厚み方向に沿って見たとき、前記凸部は、頂部、底部、及び該頂部と該底部との間に位置する中間部を有しており、
前記頂部、前記中間部、及び第2層の順で繊維の存在密度が低いことが好ましい。
前記不織布は、第1層の第1面が凹凸形状であり且つ第2面が第1面の凹凸形状に対応する凹凸形状であることが好ましい。
第2層の第2面は、平坦であることが好ましい。
前記不織布において、第1層と第2層とは、第1層の第1面における凹部の位置において接合されて、前記不織布の第1面側に複数の凸部及び凹部が形成されていることが好ましい。
前記不織布の厚み方向に沿って見たとき、前記凸部は、頂部、底部、及び該頂部と該底部との間に位置する中間部を有しており、
前記頂部、前記中間部、及び第2層の順で繊維の存在密度が低いことが好ましい。
また、本発明は、吸収性物品に関する。
前記吸収性物品は、前記不織布を構成部材として含むことが好ましい。
前記吸収性物品は、前記不織布を構成部材として含むことが好ましい。
本発明の不織布によれば、クッション性に優れ、柔らかな感触が得られる。
また、本発明の吸収性物品によれば、肌と当接したときに柔らかな感触が得られるので、肌触り及び着用感に優れる。
また、本発明の吸収性物品によれば、肌と当接したときに柔らかな感触が得られるので、肌触り及び着用感に優れる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1及び図2には、本発明の不織布の一実施形態が示されている。
本実施形態の不織布10は、第1面F及びこれと反対側に位置する第2面Rを有しており、さらに第1層11及び第2層12が積層した積層構造を有している。第1層11は、不織布10の第1面Fを形成し、第2層12は、不織布10の第2面Rを形成している。第1層11は、第1面11f及び第1面11fの反対側に位置する第2面11rを有している。第2層12も、第1面12f及び第1面12fの反対側に位置する第2面12rを有している。本実施形態の不織布10では、第1層11の第2面11rと、第2層12の第1面12fとが対向するように両層11,12が隣接して配置されている。
本実施形態の不織布10は、第1面F及びこれと反対側に位置する第2面Rを有しており、さらに第1層11及び第2層12が積層した積層構造を有している。第1層11は、不織布10の第1面Fを形成し、第2層12は、不織布10の第2面Rを形成している。第1層11は、第1面11f及び第1面11fの反対側に位置する第2面11rを有している。第2層12も、第1面12f及び第1面12fの反対側に位置する第2面12rを有している。本実施形態の不織布10では、第1層11の第2面11rと、第2層12の第1面12fとが対向するように両層11,12が隣接して配置されている。
第1層11は熱融着性繊維を含んでいる。熱融着性繊維は、熱の作用によって互いに融着する繊維であり、熱可塑性樹脂を原料とする。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ、これらの一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、熱融着性繊維として、低融点成分及び高融点成分の2成分以上からなる複合繊維を用いてもよい。斯かる複合繊維としては、芯鞘型の複合繊維が好ましく、芯が高融点PET、PPで、鞘が低融点PET、PP、PEのものが好ましい。芯鞘型の複合繊維は、同心タイプであってもよく、偏心タイプであってもよい。
また、熱融着性繊維として、低融点成分及び高融点成分の2成分以上からなる複合繊維を用いてもよい。斯かる複合繊維としては、芯鞘型の複合繊維が好ましく、芯が高融点PET、PPで、鞘が低融点PET、PP、PEのものが好ましい。芯鞘型の複合繊維は、同心タイプであってもよく、偏心タイプであってもよい。
第1層11及び第2層12の接合強度をより向上させる観点から、第1層11における熱融着性繊維の含有割合は、第1層11の全質量に対して好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上であり、また、好ましくは100%以下であり、そして、好ましくは30%以上100%以下、より好ましくは50%以上100%以下である。
不織布10の柔軟性をより向上させる観点から、第1層11は構成繊維の繊度が好ましくは0.1dtex以上、より好ましくは0.5dtex以上であり、また、好ましくは10dtex以下、より好ましくは4dtex以下であり、そして、好ましくは0.1dtex以上10dtex以下、より好ましくは0.5dtex以上4dtex以下である。繊度は以下の方法により測定される。
<繊度の測定方法>
繊度は、構成繊維の比重と繊維の断面積を測定することよって、繊維の10000m当たりの繊維の質量として求めることができる。例えば、1dtexは、繊維の10000m当たりの質量1gを表している。
繊度は、構成繊維の比重と繊維の断面積を測定することよって、繊維の10000m当たりの繊維の質量として求めることができる。例えば、1dtexは、繊維の10000m当たりの質量1gを表している。
上記と同様の観点から、第1層11の坪量は、好ましくは10g/m2以上、より好ましくは15g/m2以上であり、また、好ましくは50g/m2以下、より好ましくは40g/m2以下であり、そして、好ましくは10g/m2以上50g/m2以下、より好ましくは15g/m2以上40g/m2以下である。
第2層12は熱収縮性繊維を含んでいる。熱収縮性繊維は、熱の付与によって収縮する、熱収縮性を有する繊維である。本実施形態の第2層12に含まれる熱収縮性繊維は、後述する加熱工程によって熱収縮したものであるが、依然として熱収縮性を有する。斯かる熱収縮性繊維としては、熱可塑性樹脂からなり且つ熱収縮性を有するものが好適に用いられる。そのような繊維としては、潜在捲縮性繊維が挙げられる。潜在捲縮性繊維は、加熱される前においては、従来の不織布用の繊維と同様に取り扱うことができ、且つ所定温度で加熱することによって螺旋状の捲縮が発現して収縮する性質を有する繊維である。潜在捲縮性繊維は、例えば、収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維からなる。その例としては、特開平9-296325号公報や特許第2759331号公報に記載のものが挙げられる。
後述する凸部15の高さをより確実に確保する観点から、第2層12における熱収縮性繊維の含有割合は、第2層12の全質量に対して好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下であり、そして、好ましくは30質量%以上100質量%以下、より好ましくは50質量%以上100質量%以下である。
不織布10の柔軟性をより向上させる観点から、第2層12は構成繊維の繊度が好ましくは0.5dtex以上、より好ましくは1.0dtex以上であり、また、好ましくは10dtex以下、より好ましくは5dtex以下であり、そして、好ましくは0.5dtex以上10dtex以下、より好ましくは1.0dtex以上5dtex以下である。
上記と同様の観点から、第2層12の坪量は、好ましくは5g/m2以上、より好ましくは15g/m2以上であり、また、好ましくは50g/m2以下、より好ましくは40g/m2以下であり、そして、好ましくは5g/m2以上50g/m2以下、より好ましくは15g/m2以上40g/m2以下である。
不織布10において第1層11は、図1に示すように、複数の凸部11a部及び凹部11bを有している。本実施形態の凸部11a及び凹部11bは、第1層11を第1面11f側から視たとき、該第1層11の全面において、平面視して互いに交差する異なる2方向のそれぞれに沿って交互に連続して配されている(図示せず)。第1層11においては、凸部11aの第2面11r側に空間Vが形成されており、凹部11bの第2面11r側が第2層12に向かって突出している。すなわち第1層11を第2面11r側から視ると、凸部11aが第1面11f側に凹む凹部となっており、凹部11bが第2面11r側に突出する凸部となっている。このように、第1層11は、第1面11fが凹凸形状であり且つ第2面11rが第1面11fの凹凸形状に対応する凹凸形状である。
不織布10において第2層12は、第2面12rが平坦である。本実施形態における第2層12は、第1面12f及び第2面12rの双方が平坦である。
第1層11と第2層12とは、第1層11の第1面11fにおける凹部11bの位置において接合されている。具体的には、第1層11と第2層12とは、第1層11の凹部11bに形成された接合部13を介して接合されている。本実施形態の接合部13は、第1層11の熱融着性繊維が溶融固化することにより形成されている。接合部13は厚みが非常に薄い部分であるが、説明の便宜上、図1では接合部13の厚みを非常に大きく図示している。
第1層11と第2層12とは、第1層11の第1面11fにおける凹部11bの位置において接合されている。具体的には、第1層11と第2層12とは、第1層11の凹部11bに形成された接合部13を介して接合されている。本実施形態の接合部13は、第1層11の熱融着性繊維が溶融固化することにより形成されている。接合部13は厚みが非常に薄い部分であるが、説明の便宜上、図1では接合部13の厚みを非常に大きく図示している。
不織布10は、第1面F側に凹凸形状を有する第1層11を備えることで、該第1面F側に複数の凸部15及び凹部16が形成されている。一方、不織布10の第2面Rは、第2層12の第2面12rによって形成されているので、平坦である。斯かる不織布10において、第1層11の凸部11aの第2面11r側に形成された空間Vは、該空間Vの開口が第2層12によって閉塞されている。これにより、不織布10において、内部に中空部Vを有する凸部15が形成されている。中空部Vは、第1層11及び第2層12それぞれの構成繊維が実質的に存在しない部分である。
不織布10における凸部15及び凹部16は、不織布10を第1面F側から視たとき、該不織布10の全面において、平面視して互いに交差する異なる2方向のそれぞれに沿って交互に連続して配されている。図1及び図2では、これら異なる2方向のうちの一方をX方向として図示している。
不織布10の厚み方向Zに沿って見たとき、該不織布10における凸部15は、頂部15a、底部15c、及び該頂部15aと該底部15cとの間に位置する中間部15bを有している(図2参照)。すなわち凸部15は、前記厚み方向Zにおいて凸部15の頂点から順に、頂部15a、中間部15b及び底部15cを有している。これら頂部15a、中間部15b及び底部15cは、凸部15の頂点を通る断面において以下のように区分される。本明細書における凸部等の各部位の「頂点」は、不織布10の厚み方向Z、すなわち凸部15の高さ方向において、該部位の最も高い位置を意味する。
凸部15の頂部15aは、図2に示すように、不織布10の厚み方向Z(凸部15の高さ方向)における該凸部15の頂点から中空部Vの頂点までの間の部分である。凸部15の底部15cは、第2層12によって形成されている。すなわち、底部15cは、第2層12が位置する部分である。凸部15の中間部15bは、不織布10の厚み方向Z(凸部15の高さ方向)における中空部Vの頂点から第2層12の第1面12fまでの間の部分である。
凸部15の頂部15aは、図2に示すように、不織布10の厚み方向Z(凸部15の高さ方向)における該凸部15の頂点から中空部Vの頂点までの間の部分である。凸部15の底部15cは、第2層12によって形成されている。すなわち、底部15cは、第2層12が位置する部分である。凸部15の中間部15bは、不織布10の厚み方向Z(凸部15の高さ方向)における中空部Vの頂点から第2層12の第1面12fまでの間の部分である。
不織布10は、凸部15の頂部15a、中間部15b、及び第2層12の順で繊維の存在密度が低い。すなわち、不織布10における凸部15の各部位は、繊維の存在密度について以下の大小関係(1)を満たす。
r1<r2<r3・・・(1)
r1:凸部15の頂部15aにおける繊維の存在密度
r2:凸部15の中間部15bにおける繊維の存在密度
r3:凸部15の底部15c(第2層12)における繊維の存在密度
r1<r2<r3・・・(1)
r1:凸部15の頂部15aにおける繊維の存在密度
r2:凸部15の中間部15bにおける繊維の存在密度
r3:凸部15の底部15c(第2層12)における繊維の存在密度
繊維の存在密度が前記の大小関係(1)を満たす凸部15は、クッション性が良好であり、押圧されても潰れ難いので、該凸部15を高く維持することができ、さらに該凸部15による風合いを維持し易い。斯かる凸部15を有する不織布10は、クッション性に優れ、肌と当接したときに柔らかな感触が得られる。この不織布10は、吸収性物品の構成部材、特に肌と当接する構成部材(例えば、表面シート)に好適に用いられる。
〔繊維の存在密度の測定〕
不織布10の凸部15における頂部15a、中間部15b、及び底部15c(第2層12)の各繊維の存在密度は以下の方法により測定される。測定対象の不織布10を、鋭利な剃刀を用いて凸部15の頂点を通るように切断する。この不織布10の切断面を、走査電子顕微鏡(例えば日本電子株式会社製のJCM-5100)を用いて拡大観察する。観察時の倍率は、繊維断面が30~60本程度計測できる倍率(150~500倍)に調整する。観察時の観察視野の中心は、凸部15の頂部15a、中間部15b、及び第2層12(凸部15の底部15c)それぞれの厚みの中心付近とする。次いで、前記切断面の観察視野において、一定視野面積(0.5mm2)当たりの繊維の断面の数を数え、これを1mm2あたりの繊維の断面数に換算する。以上の測定を、任意に選択された3箇所の凸部15について行い、これらの平均を繊維の存在密度(本/mm2)とする。
不織布10の凸部15における頂部15a、中間部15b、及び底部15c(第2層12)の各繊維の存在密度は以下の方法により測定される。測定対象の不織布10を、鋭利な剃刀を用いて凸部15の頂点を通るように切断する。この不織布10の切断面を、走査電子顕微鏡(例えば日本電子株式会社製のJCM-5100)を用いて拡大観察する。観察時の倍率は、繊維断面が30~60本程度計測できる倍率(150~500倍)に調整する。観察時の観察視野の中心は、凸部15の頂部15a、中間部15b、及び第2層12(凸部15の底部15c)それぞれの厚みの中心付近とする。次いで、前記切断面の観察視野において、一定視野面積(0.5mm2)当たりの繊維の断面の数を数え、これを1mm2あたりの繊維の断面数に換算する。以上の測定を、任意に選択された3箇所の凸部15について行い、これらの平均を繊維の存在密度(本/mm2)とする。
柔らかさをより一層向上させる観点から、凸部15の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。凸部15及び該凸部15における各部位の高さは、不織布10に0.05kPaの荷重を加えた状態で、厚み測定器を用いて測定する。厚み測定器としては、例えば、レーザー変位計(KEYENCE社製、LK-080)を用いることができる。
凸部15の高さH(図2参照)に対する該凸部15の底部15cにおける最大長さW(図2参照)の比(W/H)は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.7以下であり、また好ましくは0.17以上、より好ましくは0.4以上であり、また好ましくは0.17以上2.0以下、より好ましくは0.4以上1.7以下である。凸部15の底部15cにおける最大長さWは、凸部15の両側に位置する接合部13どうし間の最大長さである。凸部15の高さHは、不織布10の厚み方向Zにおける該凸部15が第2層12から突出する長さである。これら凸部15の高さH及び底部15cの最大長さWの測定には、〔繊維の存在密度の測定〕の観察方法を適用することができる。
凸部15の高さH(図2参照)に対する、凸部15の頂部15aの高さH1(図2参照)の比(H1/H)は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上であり、また、好ましくは0.83以下、より好ましくは0.7以下であり、そして、好ましくは0.05以上0.83以下、より好ましくは0.1以上0.7以下である。凸部15の頂部15aの高さH1は、不織布10の厚み方向Zにおける凸部15の頂点から中空部Vの頂点までの間の長さである。
凸部15の高さH(図2参照)に対する、凸部15の中間部15bの高さH2(図2参照)の比(H2/H)は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上であり、また、好ましくは0.83以下、より好ましくは0.7以下であり、そして、好ましくは0.05以上0.83以下、より好ましくは0.1以上0.7以下である。凸部15の中間部15bの高さH2は、不織布10の厚み方向Zにおける中空部Vの頂点から第2層12の第1面12fまでの間の長さである。
凸部15の高さH(図2参照)に対する該凸部15の底部15cにおける最大長さW(図2参照)の比(W/H)は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.7以下であり、また好ましくは0.17以上、より好ましくは0.4以上であり、また好ましくは0.17以上2.0以下、より好ましくは0.4以上1.7以下である。凸部15の底部15cにおける最大長さWは、凸部15の両側に位置する接合部13どうし間の最大長さである。凸部15の高さHは、不織布10の厚み方向Zにおける該凸部15が第2層12から突出する長さである。これら凸部15の高さH及び底部15cの最大長さWの測定には、〔繊維の存在密度の測定〕の観察方法を適用することができる。
凸部15の高さH(図2参照)に対する、凸部15の頂部15aの高さH1(図2参照)の比(H1/H)は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上であり、また、好ましくは0.83以下、より好ましくは0.7以下であり、そして、好ましくは0.05以上0.83以下、より好ましくは0.1以上0.7以下である。凸部15の頂部15aの高さH1は、不織布10の厚み方向Zにおける凸部15の頂点から中空部Vの頂点までの間の長さである。
凸部15の高さH(図2参照)に対する、凸部15の中間部15bの高さH2(図2参照)の比(H2/H)は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上であり、また、好ましくは0.83以下、より好ましくは0.7以下であり、そして、好ましくは0.05以上0.83以下、より好ましくは0.1以上0.7以下である。凸部15の中間部15bの高さH2は、不織布10の厚み方向Zにおける中空部Vの頂点から第2層12の第1面12fまでの間の長さである。
凸部15の高さH(図2参照)は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、また、好ましくは6.0mm以下、より好ましくは5.0mm以下であり、そして、好ましくは0.5mm以上6.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上5.0mm以下である。
凸部15の頂部15aの高さH1(図2参照)は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また、好ましくは5.0mm以下、より好ましくは4.0mm以下であり、そして、好ましくは0.3mm以上5.0mm以下、より好ましくは0.5mm以上4.0mm以下である。
凸部15の中間部15bの高さH2(図2参照)は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また好ましくは5.0mm以下、より好ましくは4.0mm以下であり、また好ましくは0.3mm以上5.0mm以下、より好ましくは0.5mm以上4.0mm以下である。
凸部15の底部15cにおける最大長さW(図2参照)は、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上であり、また好ましくは12.0mm以下、より好ましくは10.0mm以下であり、また好ましくは1.0mm以上12.0mm以下、より好ましくは2.0mm以上10.0mm以下である。
凸部15の頂部15aの高さH1(図2参照)は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また、好ましくは5.0mm以下、より好ましくは4.0mm以下であり、そして、好ましくは0.3mm以上5.0mm以下、より好ましくは0.5mm以上4.0mm以下である。
凸部15の中間部15bの高さH2(図2参照)は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また好ましくは5.0mm以下、より好ましくは4.0mm以下であり、また好ましくは0.3mm以上5.0mm以下、より好ましくは0.5mm以上4.0mm以下である。
凸部15の底部15cにおける最大長さW(図2参照)は、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上であり、また好ましくは12.0mm以下、より好ましくは10.0mm以下であり、また好ましくは1.0mm以上12.0mm以下、より好ましくは2.0mm以上10.0mm以下である。
凸部15のクッション性をより向上させる観点から、不織布10の凸部15の各部位における繊維の存在密度は以下の範囲内であることが好ましい。ただし、繊維の存在密度については前記の大小関係(1)を満たすことを条件とする。
凸部15の頂部15aにおける繊維の存在密度r1は、凸部15の底部15cにおける繊維の存在密度r3に対して好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、また、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下であり、そして、好ましくは5%以上30%以下、より好ましくは10%以上20%以下である。
凸部15の中間部15bにおける繊維の存在密度r2は、凸部15の底部15cにおける繊維の存在密度r3に対して好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、また、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下であり、そして、好ましくは10%以上60%以下、より好ましくは20%以上50%以下である。
凸部15の頂部15aにおける繊維の存在密度r1は、好ましくは30本/mm2以上、より好ましくは50本/mm2以上であり、また、好ましくは300本/mm2以下、より好ましくは200本/mm2以下であり、そして、好ましくは30本/mm2以上300本/mm2以下、より好ましくは50本/mm2以上200本/mm2以下である。
凸部15の中間部15bにおける繊維の存在密度r2は、好ましくは50本/mm2以上、より好ましくは100本/mm2以上であり、また、好ましくは500本/mm2以下、より好ましくは400本/mm2以下であり、そして、好ましくは50本/mm2以上500本/mm2以下、より好ましくは100本/mm2以上400本/mm2以下である。
凸部15の底部15cにおける繊維の存在密度r3は、好ましくは500本/mm2以上、より好ましくは600本/mm2以上であり、また、好ましくは1000本/mm2以下、より好ましくは900本/mm2以下であり、そして、好ましくは500本/mm2以上1000本/mm2以下、より好ましくは600本/mm2以上900本/mm2以下である。
凸部15の頂部15aにおける繊維の存在密度r1は、凸部15の底部15cにおける繊維の存在密度r3に対して好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、また、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下であり、そして、好ましくは5%以上30%以下、より好ましくは10%以上20%以下である。
凸部15の中間部15bにおける繊維の存在密度r2は、凸部15の底部15cにおける繊維の存在密度r3に対して好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上であり、また、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下であり、そして、好ましくは10%以上60%以下、より好ましくは20%以上50%以下である。
凸部15の頂部15aにおける繊維の存在密度r1は、好ましくは30本/mm2以上、より好ましくは50本/mm2以上であり、また、好ましくは300本/mm2以下、より好ましくは200本/mm2以下であり、そして、好ましくは30本/mm2以上300本/mm2以下、より好ましくは50本/mm2以上200本/mm2以下である。
凸部15の中間部15bにおける繊維の存在密度r2は、好ましくは50本/mm2以上、より好ましくは100本/mm2以上であり、また、好ましくは500本/mm2以下、より好ましくは400本/mm2以下であり、そして、好ましくは50本/mm2以上500本/mm2以下、より好ましくは100本/mm2以上400本/mm2以下である。
凸部15の底部15cにおける繊維の存在密度r3は、好ましくは500本/mm2以上、より好ましくは600本/mm2以上であり、また、好ましくは1000本/mm2以下、より好ましくは900本/mm2以下であり、そして、好ましくは500本/mm2以上1000本/mm2以下、より好ましくは600本/mm2以上900本/mm2以下である。
本実施形態の不織布10は、クッション性に優れ、柔らかい感触が得られることから、おむつ等の吸収性物品の構成部材として好ましく用いられる。ここでいう「吸収性物品」には、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品が広く包含され、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、生理用ショーツ、失禁パッド等が包含される。
本実施形態の不織布10を構成部材として含む吸収性物品は、該不織布10を、着用者の肌と当接される構成部材として備えていることが好ましい。斯かる吸収性物品について、その好ましい実施形態を、図3を参照しながら説明する。
使い捨ておむつ1(以下、単に「おむつ1」という)は、一般的に、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向Y1とを有する縦長の形状をしている。そしておむつ1は、着用者の股間部に配される股下部並びにその前後に延在する腹側部及び背側部を有する。図3は、おむつ1の股下部であって、該おむつ1の横方向Y1に沿う断面図である。
おむつ1は、液透過性の表面シート2と、液透不過性又は液難透過性若しくは撥水性の裏面シート3と、これら両シート間に介在配置された液保持性の吸収体4とを具備している。表面シート2は、吸収体4の肌対向面側に配され、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面側に配されている。吸収体4は、おむつ1における主たる吸液部位であり、尿等の体液を吸収して保持する機能を有する吸収性コア40と、該吸収性コア40を被覆するコアラップシート41とを備えている。
「肌対向面」は、おむつ又はその構成部材(例えば吸収体)に着目したときに、おむつの着用時に着用者の肌に向けられる面であり、「非肌対向面」は、おむつの着用時に着用者の肌とは反対側に向けられる面である。また「着用時」及び「着用状態」は、おむつの適正な着用位置が維持されて着用された状態を指す。
表面シート2の両側部には、一対の立体ガード形成用シート6,6が配されている。立体ガード形成用シート6は、横方向Y1内方の端部に立体ガード形成用の弾性部材61を有している。おむつ1の着用状態において、この弾性部材61が収縮することにより、着用者の肌に向かって起立する立体ガードが形成される。
おむつ1の股下部において、立体ガード形成用シート6の横方向Y1の外方側には、レッグ弾性部材7が伸長状態で配されている。このレッグ弾性部材7の収縮により、股下部において着用者の脚周りへのフィット性を向上させるレッグギャザーが形成される。
本実施形態のおむつ1は、表面シート2として、上述した不織布10を備えている。表面シート2は、着用状態において着用者の肌と接触する。着用者の肌と当接したときに柔らかな感触を得る観点から、表面シート2(不織布10)は、第1層11側の面が肌対向面となるように配されていることが好ましい。これにより、良好な肌触り及び着用感が得られる。また、斯かる表面シート2は、前記大小関係(1)によって、肌対向面から非肌対向面に向かって繊維の存在密度に勾配が生じるので、尿等の液体の引き込み性に優れる。
次に、本発明の不織布の製造方法について、上述した実施形態の不織布10の製造方法を例に説明する。不織布10の製造方法は、第1シート11sと第2シート12sとを重ね合わせる積層工程と、第1シート11s及び第2シート12sを接合する接合工程と、接合した第1シート11s及び第2シート12sを加熱処理する加熱工程とを具備する(図4参照)。
第1シート11sは前述した第1層11の形成材料である。第1シート11sとしては、熱融着性繊維を含む各種の不織布を用いることができ、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、これらの不織布を2種以上組み合わせた積層体を用いることができる。第1シート11sに含まれる熱融着性繊維や、第1シート11sにおける熱融着性繊維の含有割合は、前述した第1層11と同じである。
第1シート11sは複数の凸部及び凹部からなる凹凸形状を有している。斯かる第1シート11sは、例えば、特許文献2に記載の製造方法で製造できる。具体的には、凹凸形状を有し且つ通気性を有する支持体上に、熱融着性繊維を含むウエブを配置し、該支持体とは反対側から該ウエブに熱風(以下、「第1の熱風」ともいう。)を吹き付けることにより、該ウエブを支持体の凹凸形状に沿って賦形させる工程と、この賦形されたウエブに対し、該支持体上で第1の熱風よりも高温度の第2の熱風を吹き付けて、該ウエブの繊維同士を融着させることにより賦形形状を固定する工程とを有する製造方法によって、第1シート11sを製造することができる。また、第1シート11sは、帯状シート(不織布)を周面が互いに噛み合い形状となっている2つのロール間に供給して、該帯状シートを凹凸形状に変形させることによって製造してもよい。
第2シート12sは、前述した第2層12の形成材料である。第2シート12sとしては、熱収縮性繊維を含むウエブを用いることができる。斯かるウエブは、典型的には、熱収縮性繊維等の原料繊維を開繊機で開繊し、開繊された原料繊維をカード機でウエブ化することで製造される。第2シート12sに含まれる熱収縮性繊維や、第2シート12sにおける熱収縮性繊維の含有割合は、前述した第2層12と同じである。
本実施形態の製造方法では、積層工程において第1シート11sと第2シート12sとを重ね合わせ、接合工程において第1シート11sの凹部の位置で第1シート11s及び第2シート12sを接合する。斯かる接合は、エンボス加工等の熱融着や、接着剤等の公知の接合方法を用いることができる。
接合工程は、積層工程の後に行ってもよい。例えば、第1シート11sと第2シート12sとを重ね合わせた後、第1シート11sの凹部の位置にエンボス加工を施すことによって、積層した第1シート11s及び第2シート12sを接合してもよい。また、積層工程及び接合工程をほぼ同時に行ってもよい。例えば、スプレーやコーター等の塗工装置を用いて、第1シート11sの凹部における、第2シート12sと接触する部分に接着剤を塗工した後、第1シート11sと第2シート12sとを重ね合わせることによって、第1シート11s及び第2シート12sを接合してもよい。
上記の積層工程及び接合工程により、第1シート11s及び第2シート12sが接合された、積層体Sが得られる。
接合工程は、積層工程の後に行ってもよい。例えば、第1シート11sと第2シート12sとを重ね合わせた後、第1シート11sの凹部の位置にエンボス加工を施すことによって、積層した第1シート11s及び第2シート12sを接合してもよい。また、積層工程及び接合工程をほぼ同時に行ってもよい。例えば、スプレーやコーター等の塗工装置を用いて、第1シート11sの凹部における、第2シート12sと接触する部分に接着剤を塗工した後、第1シート11sと第2シート12sとを重ね合わせることによって、第1シート11s及び第2シート12sを接合してもよい。
上記の積層工程及び接合工程により、第1シート11s及び第2シート12sが接合された、積層体Sが得られる。
得られた積層体Sは、凸部s1及び凹部s2を有している。凸部s1及び凹部s2は、第1シート11sの凹凸形状に対応する。
不織布10の凸部15の高さをより確実に確保する観点から、積層体Sにおける凸部s1の高さH3〔図4(a)参照〕は、加熱工程後に得られる不織布10の凸部15の高さHに対して、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、また、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下であり、そして、好ましくは5%以上95%以下、より好ましくは10%以上90%以下である。
積層体Sにおける凸部s1の高さH3〔図4(a)参照〕は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、また、好ましくは5.4mm以下、より好ましくは5.0mm以下であり、そして、好ましくは0.1mm以上5.4mm以下、より好ましくは1.0mm以上5.0mm以下である。
上記と同様の観点から、積層体Sにおける凸部s1の底部における最大長さW1〔図4(a)参照〕は、好ましくは1.1mm以上、より好ましくは2.0mm以上であり、また、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下であり、そして、好ましくは1.1mm以上20mm以下、より好ましくは2.0mm以上10mm以下である。積層体Sにおける凸部s1の底部における最大長さW1は、積層体Sの凸部s1の両側に位置する接合部13どうし間の最大長さである。
不織布10の凸部15の高さをより確実に確保する観点から、積層体Sにおける凸部s1の高さH3〔図4(a)参照〕は、加熱工程後に得られる不織布10の凸部15の高さHに対して、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、また、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下であり、そして、好ましくは5%以上95%以下、より好ましくは10%以上90%以下である。
積層体Sにおける凸部s1の高さH3〔図4(a)参照〕は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、また、好ましくは5.4mm以下、より好ましくは5.0mm以下であり、そして、好ましくは0.1mm以上5.4mm以下、より好ましくは1.0mm以上5.0mm以下である。
上記と同様の観点から、積層体Sにおける凸部s1の底部における最大長さW1〔図4(a)参照〕は、好ましくは1.1mm以上、より好ましくは2.0mm以上であり、また、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下であり、そして、好ましくは1.1mm以上20mm以下、より好ましくは2.0mm以上10mm以下である。積層体Sにおける凸部s1の底部における最大長さW1は、積層体Sの凸部s1の両側に位置する接合部13どうし間の最大長さである。
加熱工程では、積層体を加熱処理して不織布10を形成する。加熱処理は、積層体に対し熱風を吹き付けて加熱する方法や、無風且つ所定の温度環境下で積層体を加熱する方法等を用いることができる。
加熱工程における積層体の加熱温度は、熱収縮性繊維が熱収縮を開始する温度以上である。この加熱処理により、第2シート12sの熱収縮性繊維が収縮して、加熱処理前よりも第1シート11sの凸部s1が第1面F側に突出される〔図4(a)及び(b)参照〕。これにより、不織布10の凸部15を従来よりも高く形成することができる。
また、前記熱収縮性繊維の収縮によって、凸部s1が加熱処理前よりも突出する過程で、前記大小関係(1)となるように、繊維の存在密度が変化する。この理由としては、収縮することで凸部s1が隆起し、頂部15aの厚さが大きくなり繊維の存在密度が低下するとともに、底部15cが収縮し繊維の存在密度が増加するためであると考えられる。
また、前記熱収縮性繊維の収縮によって、凸部s1が加熱処理前よりも突出する過程で、前記大小関係(1)となるように、繊維の存在密度が変化する。この理由としては、収縮することで凸部s1が隆起し、頂部15aの厚さが大きくなり繊維の存在密度が低下するとともに、底部15cが収縮し繊維の存在密度が増加するためであると考えられる。
凸部15の成形性の観点から、加熱工程における積層体の加熱温度と、第2シート12sにおける熱収縮性繊維の熱収縮を開始する温度との温度差が、好ましくは3℃以上、より好ましくは5℃以上であり、また、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下であり、そして、好ましくは3℃以上30℃以下、より好ましくは5℃以上20℃以下である。積層体Sに熱風を吹き付けることで加熱処理を行う場合、加熱温度は熱風の温度である。加熱処理が無風且つ所定の温度環境下で積層体Sを加熱する方法である場合は、加熱温度は積層体を加熱するときの環境温度である。凸部15の高さをより確実に確保する観点から、加熱処理として、積層体Sに熱風を吹き付ける方法を用いることが好ましい。斯かる熱風速度は、好ましくは0.1m/秒以上、より好ましくは0.3m/秒以上であり、また、好ましくは3.0m/秒以下、より好ましくは2.0m/秒以下であり、そして、好ましくは0.1m/秒以上3.0m/秒以下、より好ましくは0.3m/秒以上2.0m/秒以下である。この場合、凸部15の高さをより維持し易くし、且つ第2シート12sを不織布化する観点から、積層体Sの第2シート12s側から熱風を吹き付けることが好ましい。
上記と同様の観点から、加熱工程における積層体の加熱時間(加熱処理時間)は、好ましくは3秒以上、より好ましくは5秒以上であり、また、好ましくは30秒以下、より好ましくは20秒以下であり、そして、好ましくは3秒以上30秒以下、より好ましくは5秒以上20秒以下である。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態において、不織布10はおむつ1の表面シート2として用いられていたが、表面シート2以外のシート部材に用いられてもよい。
例えば、上述した実施形態において、不織布10はおむつ1の表面シート2として用いられていたが、表面シート2以外のシート部材に用いられてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
図1に示す不織布10を製造した。先ず、熱融着性繊維からなるウエブを用意した。斯かる熱融着性繊維は、芯鞘型複合繊維であり、芯部がポリエチレンテレフタレート(PET)からなり、鞘部がポリエチレン(PE)からなり、芯部と鞘部の質量比(芯部:鞘部)は、6:4であった。前記芯鞘型複合繊維の繊度は1.8dtexであった。
前記熱融着性繊維からなるウエブを用いて、特開2013-194333(特許文献2)に記載の方法により、第1シートを作製した。具体的には、当該文献の図4記載の支持体上に前記ウエブを載せ、これに第1の熱風を吹き付けて賦形した後、第2の熱風を吹き付けることにより不織布化して、第1シートを作製した。
前記支持体は、突起の平面視におけるMDピッチを8mm、CDピッチを5mmとし、突起の高さを7.5mmとした。また支持体における孔の孔径を2.8mmとした。
第1の熱風を、温度130℃、風速50m/sとした。第2の熱風を、温度145℃、風速5m/sとした。
また、別の熱収縮性繊維からなるウエブを第2シートとした。斯かる熱融着性繊維は、潜在捲縮性繊維であり、ポリプロピレン(PP)からなるものであった。前記潜在捲縮性繊維の繊度は、3.3dtexであった。
次いで、第1シート及び第2シートを重ね、第1シートの凹部の位置にエンボス加工を施して、第1シート及び第2シートを接合し、積層体を得た。次いで、積層体をメッシュベルトに載置し、積層体Sに熱風を吹き付けることにより加熱工程を行い、不織布10を得た。加熱処理条件は、加熱温度(熱風温度)105℃、熱風速度1.2m/秒であり、加熱時間が8秒間であった。前記の第1シート及び第2シートの坪量及び構成繊維の繊度を表1に示す。
図1に示す不織布10を製造した。先ず、熱融着性繊維からなるウエブを用意した。斯かる熱融着性繊維は、芯鞘型複合繊維であり、芯部がポリエチレンテレフタレート(PET)からなり、鞘部がポリエチレン(PE)からなり、芯部と鞘部の質量比(芯部:鞘部)は、6:4であった。前記芯鞘型複合繊維の繊度は1.8dtexであった。
前記熱融着性繊維からなるウエブを用いて、特開2013-194333(特許文献2)に記載の方法により、第1シートを作製した。具体的には、当該文献の図4記載の支持体上に前記ウエブを載せ、これに第1の熱風を吹き付けて賦形した後、第2の熱風を吹き付けることにより不織布化して、第1シートを作製した。
前記支持体は、突起の平面視におけるMDピッチを8mm、CDピッチを5mmとし、突起の高さを7.5mmとした。また支持体における孔の孔径を2.8mmとした。
第1の熱風を、温度130℃、風速50m/sとした。第2の熱風を、温度145℃、風速5m/sとした。
また、別の熱収縮性繊維からなるウエブを第2シートとした。斯かる熱融着性繊維は、潜在捲縮性繊維であり、ポリプロピレン(PP)からなるものであった。前記潜在捲縮性繊維の繊度は、3.3dtexであった。
次いで、第1シート及び第2シートを重ね、第1シートの凹部の位置にエンボス加工を施して、第1シート及び第2シートを接合し、積層体を得た。次いで、積層体をメッシュベルトに載置し、積層体Sに熱風を吹き付けることにより加熱工程を行い、不織布10を得た。加熱処理条件は、加熱温度(熱風温度)105℃、熱風速度1.2m/秒であり、加熱時間が8秒間であった。前記の第1シート及び第2シートの坪量及び構成繊維の繊度を表1に示す。
〔実施例2〕
前記加熱工程の加熱時間を11秒間とした点以外は、実施例1と同様の方法により不織布を製造した。
前記加熱工程の加熱時間を11秒間とした点以外は、実施例1と同様の方法により不織布を製造した。
〔実施例3〕
第1シート及び第2シートの坪量を異ならせた点、及び前記加熱工程の加熱時間を11秒間とした点以外は、実施例1と同様の方法により不織布を製造した。
第1シート及び第2シートの坪量を異ならせた点、及び前記加熱工程の加熱時間を11秒間とした点以外は、実施例1と同様の方法により不織布を製造した。
〔実施例4〕
第1シート及び第2シートの坪量を異ならせた点、及び前記加熱工程の加熱時間を11秒間とした点以外は、実施例1と同様の方法により不織布を製造した。
第1シート及び第2シートの坪量を異ならせた点、及び前記加熱工程の加熱時間を11秒間とした点以外は、実施例1と同様の方法により不織布を製造した。
〔比較例1〕
熱融着性繊維からなるウエブを用意した。斯かる熱融着性繊維は、芯鞘型複合繊維であり、芯部がポリエチレンテレフタレート(PET)からなり、鞘部がポリエチレン(PE)からなり、芯部と鞘部の質量比(芯部:鞘部)は、6:4であった。前記芯鞘型複合繊維の繊度は、2.0dtexであった。前記ウエブを第1シートとし、これに実施例1の第2シートを積層して、積層体を作製した。次いで、前記積層体に対し、エンボス加工を施すことによって、接合部を形成した。その後、積層体をメッシュベルトに載置し、積層体に熱風を吹き付けることにより加熱工程を行い、不織布を得た。加熱処理条件は、加熱温度(熱風温度)105℃、熱風速度1.2m/秒であり、加熱時間が11秒間であった。斯かる不織布は、接合部の位置が凹部となり、該接合部以外の位置が凸部となるものであり、該凸部の内部は中実であった。
熱融着性繊維からなるウエブを用意した。斯かる熱融着性繊維は、芯鞘型複合繊維であり、芯部がポリエチレンテレフタレート(PET)からなり、鞘部がポリエチレン(PE)からなり、芯部と鞘部の質量比(芯部:鞘部)は、6:4であった。前記芯鞘型複合繊維の繊度は、2.0dtexであった。前記ウエブを第1シートとし、これに実施例1の第2シートを積層して、積層体を作製した。次いで、前記積層体に対し、エンボス加工を施すことによって、接合部を形成した。その後、積層体をメッシュベルトに載置し、積層体に熱風を吹き付けることにより加熱工程を行い、不織布を得た。加熱処理条件は、加熱温度(熱風温度)105℃、熱風速度1.2m/秒であり、加熱時間が11秒間であった。斯かる不織布は、接合部の位置が凹部となり、該接合部以外の位置が凸部となるものであり、該凸部の内部は中実であった。
〔比較例2〕
比較例2では、実施例1で得られた第1シートのみを不織布として用いた。
比較例2では、実施例1で得られた第1シートのみを不織布として用いた。
実施例及び各比較例において得られた不織布について、前述した方法により、凸部15の寸法、凸部の構造及び凸部15における各部位の繊維の存在密度を測定した。測定結果を表1に示す。また、各不織布の圧縮特性及び風合いを下記方法により評価した。各評価結果を表1に示す。
比較例1の不織布における凸部の頂部及び中間部は、凸部の高さを三等分し、不織布の厚み方向における該凸部の頂点から1/3の部分を頂部とし、残り2/3を中間部とした。底部は、不織布の第2シート(第2層)の部分とした。
比較例1の不織布における凸部の頂部及び中間部は、凸部の高さを三等分し、不織布の厚み方向における該凸部の頂点から1/3の部分を頂部とし、残り2/3を中間部とした。底部は、不織布の第2シート(第2層)の部分とした。
〔圧縮特性の評価〕
圧縮仕事量等の圧縮特性は、カトーテック株式会社製のKES(カワバタ・エバリュエーション・システム)での測定値で表し得ることが一般的に知られている(参考文献:風合い評価の標準化と解析(第2版)、著者 川端季雄、昭和55年7月10日発行)。本実施例及び比較例の圧縮特性には、カトーテック株式会社製の圧縮試験装置KES-G5を用いた。先ず、測定対象の不織布を圧縮試験装置の試験台に取り付け、面積2cm2の円形平面を持つ鋼板間で圧縮した。斯かる圧縮工程において、圧縮速度は0.2cm/sec、圧縮最大荷重は4902mN/cm2とした。圧縮仕事量(WC)は下記式(2)で表され、単位は「mN・cm/cm2」である。下記式中、Tmは、4902mN/cm2(4.9kPa)荷重時の厚み、T0は、4.902mN/cm2(49Pa)荷重時の厚みを示す。また、下記式(2)中のPaは、圧縮過程時の測定荷重(mN/cm2)を示す。圧縮仕事量(WC)の値が大きいほど柔らかさに優れる。
圧縮仕事量等の圧縮特性は、カトーテック株式会社製のKES(カワバタ・エバリュエーション・システム)での測定値で表し得ることが一般的に知られている(参考文献:風合い評価の標準化と解析(第2版)、著者 川端季雄、昭和55年7月10日発行)。本実施例及び比較例の圧縮特性には、カトーテック株式会社製の圧縮試験装置KES-G5を用いた。先ず、測定対象の不織布を圧縮試験装置の試験台に取り付け、面積2cm2の円形平面を持つ鋼板間で圧縮した。斯かる圧縮工程において、圧縮速度は0.2cm/sec、圧縮最大荷重は4902mN/cm2とした。圧縮仕事量(WC)は下記式(2)で表され、単位は「mN・cm/cm2」である。下記式中、Tmは、4902mN/cm2(4.9kPa)荷重時の厚み、T0は、4.902mN/cm2(49Pa)荷重時の厚みを示す。また、下記式(2)中のPaは、圧縮過程時の測定荷重(mN/cm2)を示す。圧縮仕事量(WC)の値が大きいほど柔らかさに優れる。
〔風合いの評価〕
実施例及び比較例の不織布から、10cm×10cmの評価サンプル片を切り出した。評価サンプルは第1面(第1シート側の面)を評価対象の面とした。評価サンプル片を、評価対象の面を表にしてテーブルに置き、該評価サンプル片を表から触ることで風合いを評価した。風合いの評価は、風合いの評価に関して熟練した成人男性3名により行った。具体的には、1~5点の5段階評価で評価した。5点が最も風合いが良いことを示す。3人の点数の平均を整数桁に四捨五入し、風合いの点数とした。なお触り方は規定していない。
実施例及び比較例の不織布から、10cm×10cmの評価サンプル片を切り出した。評価サンプルは第1面(第1シート側の面)を評価対象の面とした。評価サンプル片を、評価対象の面を表にしてテーブルに置き、該評価サンプル片を表から触ることで風合いを評価した。風合いの評価は、風合いの評価に関して熟練した成人男性3名により行った。具体的には、1~5点の5段階評価で評価した。5点が最も風合いが良いことを示す。3人の点数の平均を整数桁に四捨五入し、風合いの点数とした。なお触り方は規定していない。
表1に示すとおり、実施例1~4の各不織布は、凸部の高さが4.3以上と高いものであった。各実施例の不織布は、比較例1よりも圧縮特性(圧縮仕事量)が大きく、WCの値が3.9以上と柔らかさに優れる結果となった。さらに、各実施例の不織布は風合いの評価が、いずれも比較例1及び2よりも高い結果となった。また、前記〔風合いの評価〕にて、評価者が各実施例の不織布に触れた際、各不織布は、クッション性を感じられるものであった。以上の結果より、本発明の不織布は、クッション性及び柔らかな感触に優れることが示された。
10 不織布
11 第1層
12 第2層
13 接合部
15 凸部
15a 頂部
15b 中間部
15c 底部
16 凹部
V 中空部
1 吸収性物品(使い捨ておむつ)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
11 第1層
12 第2層
13 接合部
15 凸部
15a 頂部
15b 中間部
15c 底部
16 凹部
V 中空部
1 吸収性物品(使い捨ておむつ)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
Claims (5)
- 第1面及び第2面を有し且つ熱融着性繊維を含む第1層と、第1面及び第2面を有し且つ熱収縮性繊維を含む第2層とを備え、第1層の第2面と第2層の第1面とが対向するように両層が隣接して配置されている不織布であって、
第1層の第1面が凹凸形状であり且つ第2面が第1面の凹凸形状に対応する凹凸形状であり、
第2層の第2面が平坦であり、
第1層と第2層とが、第1層の第1面における凹部の位置において接合されて、前記不織布の第1面側に複数の凸部及び凹部が形成されており、
前記不織布の厚み方向に沿って見たとき、前記凸部は、頂部、底部、及び該頂部と該底部との間に位置する中間部を有しており、
前記頂部、前記中間部、及び第2層の順で繊維の存在密度が低い、不織布。 - 前記凸部の高さHに対する該凸部の底部における最大長さWの比(W/H)が2.0以下である、請求項1に記載の不織布。
- 請求項1又は2に記載の不織布を構成部材として含む、吸収性物品。
- 液保持性の吸収体、及び該吸収体の肌対向面側に配された表面シートを備え、
前記表面シートとして、第1層側の面が肌対向面となるように配された前記不織布を備える、請求項3に記載の吸収性物品。 - 請求項1又は2に記載の不織布の製造方法であって、
熱融着性繊維を含み且つ凹凸形状に変形させた第1シートと、熱収縮性繊維を含むウエブからなる第2シートとを重ね合わせる工程と、
第1シートの凹部の位置で第1シート及び第2シートを接合する工程と、
接合した第1シート及び第2シートを、前記熱収縮性繊維が熱収縮を開始する温度以上で加熱処理する工程とを具備する、不織布の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2021080556A JP2022174632A (ja) | 2021-05-11 | 2021-05-11 | 不織布及びこれを構成部材として含む吸収性物品 |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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2021
- 2021-05-11 JP JP2021080556A patent/JP2022174632A/ja active Pending
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