以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である生理用ナプキン1(以下、「ナプキン1」とも言う。)に基づき図面を参照して説明する。図1には、本実施形態のナプキン1を肌側シート側から視た平面図が示されている。本実施形態のナプキン1は、図1に示すように、肌対向面側に配された液透過性の肌側シート2と、非肌対向面に配された非液透過性の非肌側シート3と、これら両シート2,3間に配された、着用者の前後方向に対応する縦方向Xに長い形状の吸収性コア41を備え、前方区域A及び後方区域Cを有する。ナプキン1は、図1に示すように、着用者の液排泄部に対向配置される排泄対向区域Bと、該排泄対向区域Bの縦方向Xの前後に配置された前方区域A及び後方区域Cとに区分されている。
本明細書において、縦方向Xは、着用者の前後方向に対応しており、吸収性物品(ナプキン1)の長手方向に一致し、横方向Yは、吸収性物品(ナプキン1)の幅方向(長手方向に直交する方向)に一致している。したがって、特段の断りがない場合には、本明細書において、長手方向(縦方向X)の長さは、縦方向Xで測定される距離である「長さ」を意味し、横方向Yの長さは、横方向Yで測定される距離である「幅」を意味する。ナプキン1は、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。縦方向Xとは、中心線CLに平行な方向でもある。また、本明細書において、肌対向面は、吸収性物品(ナプキン1)又はその構成部材である例えば吸収体4における、吸収性物品(ナプキン1)の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品(ナプキン1)又はその構成部材である例えば吸収体4における、吸収性物品(ナプキン1)の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。
ナプキン1は、図1に示すように、着用時に着用者の液排泄部(膣口等)に対向配置される排泄対向区域Bと、該排泄対向区域Bよりも着用者の腹側(前側)寄りに配される前方区域Aと、該排泄対向区域Bよりも着用者の背側(後側)寄りに配される後方区域Cとを有している。即ち、ナプキン1は、縦方向Xに、前方区域A、排泄対向区域B及び後方区域Cの順番で区分される。
尚、本発明の吸収性物品において、排泄対向区域Bとは、本実施形態のナプキン1のようにウイング部1Wを有する場合には、縦方向Xにおいてウイング部1Wを有する領域(一方のウイング部1Wの縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部1Wの縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域)を意味する。また、ウイング部を有しない吸収性物品の場合には、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向Yに横断する2本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の縦方向Xの前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域を意味する。
本実施形態のナプキン1は、図1に示すように、肌対向面を形成する液透過性の肌側シート2、非肌対向面を形成する非肌側シート3、及びこれら両シート2,3間に介在された吸収体4を具備している。吸収体4は、吸収性コア41と、該吸収性コア41を包むコアラップシート(不図示)とから構成されている。吸収性コア41は、後述するように、吸収性コア41における肉厚部42の輪郭周辺の位置に境界部BLを有している。ここで、肉厚部42の輪郭周辺の位置とは、肉厚部42と肉厚部42以外の部分との境界部周辺、言い換えれば、肉厚部42の輪郭を含んで、内方及び外方にある程度の幅(該輪郭から内方に約6mm、該輪郭から外方に約4mm)のある部分が該輪郭に沿って延びている位置を意味する。
ナプキン1では、肌側シート2は、図1に示すように、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。一方、非肌側シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に肌側シート2の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出して、後述するサイドシート5と共にサイドフラップ部1Sを形成している。非肌側シート3とサイドシート5とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。尚、肌側シート2及び非肌側シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていてもよい。
ナプキン1では、サイドシート5は、図1に示すように、肌側シート2の肌対向面における縦方向Xに沿う両側部に配されている。好適には、サイドシート5は、平面視において肌側シート2の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、肌側シート2の縦方向Xの全長に亘って配されている。
ナプキン1では、一対のサイドシート5,5は、それぞれ、図1に示すように、接合部6にて肌側シート2に接合されている。曲線による横方向Yへの凹凸を交互に縦方向Xに連続して配した波状の接合部6は、平面視において、中心線CLを中心として横方向Yに対称に一対配されている。このように、サイドシート5が、波状の接合部6にて肌側シート2に接合されて固定されると、波状に配された接合部6の接合部群よりも横方向Yの内方に、サイドシート5と肌側シート2とで画成される空間部が形成される。この空間部は、中心線CLに向けて開口しているので、横方向Yの中央から外方へ流れる経血等の体液が該空間部に収容されるようになり、結果として体液の漏れが効果的に防止できる。
ナプキン1では、サイドフラップ部1Sは、図1に示すように、排泄対向区域Bにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これによりナプキン1は、その縦方向Xに沿う左右両側に、一対のウイング部1W,1Wを備えるようになる。ウイング部1Wは、ショーツ等の着衣のクロッチ部の非肌対向面側に折り返されて用いられるものである。また、肌側シート2及び非肌側シート3は、図1に示すように、吸収体4の縦方向Xの前端及び後端それぞれから縦方向Xの外方に延出し、それらの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって、互いに接合されてエンドシール部を形成している。
ナプキン1では、図1に示すように、肌側シート2と吸収性コア41とが圧搾一体化された線状圧搾溝7を備えている。好適に、ナプキン1では、肌側シート2の肌対向面に、肌側シート2及び吸収体4が非肌側シート3側に向かって一体的に凹陥してなる線状圧搾溝7が形成されている。線状圧搾溝7における「線状」とは、溝(凹陥部)の形状が平面視において直線に限られず、曲線を含んでいることを意味する。尚、線状圧搾溝7は、線状に延びていれば、溝の底部の厚みが一定であってもよく、溝の底部の厚みが一定でなくてもよい。溝の底部の厚みが一定でない圧搾溝としては、例えば、圧搾溝の底部に、相対的に深く窪んでいる部分(高圧搾部)と相対的に浅く窪んでいる部分(低圧搾部)とが形成されている形態が挙げられる。線状圧搾溝7は、肌側シート2及び吸収体4に関して、構成部材である各々の繊維の密度が、該線状圧搾溝7の周囲部の密度よりも高くなっている。
ナプキン1では、線状圧搾溝7は、図1に示すように、吸収性コア41の縦方向Xに延びる一対の縦圧搾溝73,73を有している。好適に、ナプキン1では、線状圧搾溝7は、吸収体4の前方区域A及び後方区域Cに、それぞれ横方向Yに延びる第1横圧搾溝71と、吸収体4の排泄対向区域Bの縦方向Xに沿う両側部に縦方向Xに延びる縦圧搾溝73とを有している。ナプキン1では、第1横圧搾溝71は、縦方向X外方に向けて凸の曲線状であり、縦圧搾溝73は、排泄対向区域Bにおいて横方向Y外方に向けて凸の曲線状である。第1横圧搾溝71は、一対の縦圧搾溝73よりも内側に、一対の縦圧搾溝73に亘って横方向Yに延びている。ナプキン1では、前方区域Aの第1横圧搾溝71、一方の縦圧搾溝73、後方区域Cの第1横圧搾溝71、及び他方の縦圧搾溝73が繋がってリング状の全周溝を形成している。このように形成された線状圧搾溝7は、吸収体4の平面方向への体液の拡散を抑制して、ナプキン1の周囲から液漏れを効果的に防止することができる。
ナプキン1では、吸収体4を構成する吸収性コア41は、図2に示すように、縦方向Xの前方区域A側に位置する第一領域41F及び後方区域C側に位置する第二領域41Rを有し、第一領域41Fと第二領域41Rとの間に中間領域41Mを有している。中間領域41Mには、第一領域41F及び後方区域Cにおける厚みよりも厚みの厚い肉厚部42を備えている。ナプキン1では、吸収性コア41の中間領域41Mは、排泄対向区域Bに配置されている。ナプキン1では、排泄対向区域Bに肉厚部42を有している。
ナプキン1のように、横方向Y両外側に一対のウイング部1Wを備える場合には、各ウイング部1Wにおける縦方向Xに間隔を空けて配されたウイング部1Wの付け根どうし間に中間領域41Mが存在している。より具体的には、ナプキン1の中間領域41Mは、各ウイング部1Wにおける縦方向Xに間隔を空けて配されたウイング部1Wの付根どうし間に亘って存在している。尚、ナプキン1の前方区域Aの大きさと吸収性コア41の第一領域41Fの大きさとが略一致しており、ナプキン1の後方区域Cの大きさと吸収性コア41の第二領域41Rの大きさとが略一致している場合には、ナプキン1の中間領域41Mの縦方向Xの長さは、各ウイング部1Wにおける縦方向Xに間隔を空けて配されたウイング部1Wの付根どうし間の長さと同一である。
また、中間領域41Mは、後述する肉厚境界溝部43を除き、中間領域41Mの前方に位置する第一領域41F及び中間領域41Mの後方に位置する第二領域41Rの各領域における吸収性コア41の厚みよりも厚みが厚くなっている。ナプキン1では、吸収性コア41は、ナプキン1の縦方向Xと同方向に長い形状を有する。したがって、吸収性コア41の縦方向は、ナプキン1の縦方向Xと同方向であり、吸収性コア41の横方向は、ナプキン1の横方向Yと同方向である。
中間領域41Mの備える肉厚部42は、その厚みが、図3に示すように、吸収性コア41における第一領域41Fの厚み及び第二領域41Rの厚みよりも厚く形成されている。好適に、ナプキン1では、肉厚部42は、吸収性コア41における第一領域41Fの厚みよりも厚みが厚く形成されており、且つ、吸収性コア41における第一領域41Fの坪量よりも坪量が高く形成されている。また、好適には、ナプキン1では、肉厚部42の厚みは、吸収性コア41における第二領域41Rの厚みよりも厚みが厚く形成されており、且つ、吸収性コア41における第二領域41Rの坪量よりも坪量が高く形成されている。肉厚部42の厚み及び坪量と比較する第一領域41F及び第二領域41Rのそれぞれの厚み及び坪量は、第一領域41F及び第二領域41Rに後述する溝部45が形成されている場合には、第一領域41F及び第二領域41Rにおける溝部45が存在しない部分における厚み及び坪量を意味する。ナプキン1の吸収性コア41は、コア材料の坪量に差を設けて厚み差を設けてあるため、坪量の均一な吸収性コアの一部を圧縮して厚み差を設ける場合とは異なり、吸収性コア41は、全体として柔軟である。なお、本実施形態の吸収性コア41では、肉厚部は、肌側シート2へ向かって突出しており、着用者の肌側に向かって突出する、いわゆる中高部となっている。
肉厚部42の厚みは、吸収性コア41の液の吸収性等を向上させる観点から、吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rの厚みの、好ましくは120%(即ち、1.2倍)以上、より好ましくは140%以上であり、また、好ましくは、700%以下、より好ましくは、500%以下であり、また、着用時における身体への追従性や違和感を抑える観点から、好ましくは120%以上700%以下、より好ましくは140%以上500%以下である。また、肉厚部42の厚みと第一領域41F又は第二領域41Rの厚みとの厚みの差(前者−後者)は、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上であり、また、好ましくは8.0mm以下、より好ましくは6.0mm以下であり、また、好ましくは1.0mm以上8.0mm以下、より好ましくは2.0mm以上6.0mm以下である。上述した構成は、本実施形態のナプキン1のように肉厚部42が排泄対向区域Bに設けられているときに、特に有効である。また、上述した構成は、肉厚部42が中高部であるときには、中高部が肌に向かって突出することで吸収性能を向上させる観点からも好ましい。
具体的に、肉厚部42の厚みは、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは3.0mm以上であり、また、好ましくは10.0mm以下、より好ましくは7.0mm以下であり、また、好ましくは2.0mm以上10.0mm以下、より好ましくは3.0mm以上7.0mm以下である。尚、肉厚部42の全範囲において上記厚みの関係になっていることが好ましいが、肉厚部42の厚み方向に増減が設けられているような場合においては、最も厚い部分において上記の関係となっていればよい。
尚、肉厚部42の全範囲において上記厚みの関係になっていることが好ましいが、肉厚部42の厚み方向において、横方向Y又は縦方向X又は、その両方向に漸次的な厚み増減が設けられているような場合においては、最も厚い部分において上記の関係となっていればよい。
具体的に、第一領域41F又は第二領域41Rの厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、また、好ましくは7.0mm以下、より好ましくは3.5mm以下であり、また、好ましくは0.5mm以上7.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上3.5mm以下である。
ナプキン1では、第一領域41F又は第二領域41Rの厚みは、後述する溝部45が存在しない部分において、略均一に形成されていることが好ましいが、第一領域41F又は第二領域41Rの横方向Y又は縦方向Xに漸次的な厚みの増減が設けられているような場合においては、最も厚い部分において上記の関係となっていればよい。
肉厚部42、第一領域41F又は第二領域41R、後述する肉厚隣接部44等の吸収性コア41の各部の厚みは、以下の方法によって測定される。
<吸収性コア41の各部の厚みの測定方法>
吸収性コアを水平な場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、該吸収性コア41から測定対象物である肉厚部42、第一領域41F又は第二領域41R等を切り出す。そして、切り出した測定対象物における5cN/cm2の荷重下での厚みを測定する。具体的には、厚みの測定に、例えば、厚み計 PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGES R5-C(OZAKI MFG.CO.LTD.製)を用いる。このとき、厚み計の先端部と切り出した測定対象物との間に、荷重が5cN/cm2となるように大きさを調整した平面視円形状又は正方形状のプレート(厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、厚みを測定する。吸収性コア41における第一領域41F又は第二領域41R等の厚みを測定する際には、後述する溝部45を含まないように測定する。
ナプキン1では、吸収性コア41における肉厚部42の坪量は、肉厚部42を肌に向かって突出させ、排泄対向区域Bにおける吸収性コアの液の吸収性等を向上させる観点から、好ましくは100g/m2以上、より好ましくは200g/m2以上であり、そして、好ましくは1500g/m2以下、より好ましくは1200g/m2以下であり、具体的には、好ましくは100g/m2以上1500g/m2以下、より好ましくは200g/m2以上1200g/m2以下である。また、吸収性コア41における第一領域41Fの坪量又は第二領域41Rの坪量は、好ましくは50g/m2以上、より好ましくは100g/m2以上であり、そして、好ましくは1000g/m2以下、より好ましくは900g/m2以下であり、具体的には、好ましくは50g/m2以上1000g/m2以下、より好ましくは100g/m2以上900g/m2以下である。第一領域41Fの坪量又は第二領域41Rの坪量は、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法で説明したように切り出した第一領域41F又は第二領域41Rのサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。吸収性コア41における第一領域41Fの坪量又は第二領域41R等の坪量を測定する際には、後述する溝部45を含まないように測定する。
肉厚部42は、図2に示すように吸収性コア41を平面視して、吸収性コア41の縦方向Xと直交する横方向Yにおける長さが最大となる最大幅部を有し、該最大幅部の横方向Yの長さが、吸収性コア41の横方向Yの長さと同じである。好適には、肉厚部42は、図2に示すように吸収性コア41を平面視して、肉厚部42の最大幅部が吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁に従って縦方向Xに所定の長さに延在して形成される肉厚中央部421を有している。言い換えれば、肉厚中央部421は、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41s間に亘って帯状に延在しており、帯状の肉厚中央部421における縦方向Xの全長に亘って肉厚部42の前記最大幅部を有している。肉厚中央部421の最大幅部の横方向Yの長さは、吸収性コア41の幅と同一となっている。尚、ここで吸収性コア41の幅とは、肉厚部42を含めた吸収性コア41の幅を意味する。すなわち、図2のように中高部としての肉厚部42を例にとると、肉厚部42を横方向Yに断面視したとき、隣接する第一領域41F及び第二領域41Rの肌当接面側の表面の高さ位置よりも、肌当接面側に位置する肉厚部42の幅(肌側幅)が、非肌当接面側に位置する肉厚部42の幅(非肌側幅)と同じ又は大きければ、肉厚部42の最大幅は吸収性コア41の幅と同一である。肉厚部42の最大幅部は肌側幅と非肌側幅が略同一であることが望ましく、特に厚み方向に略均一であることが望ましい。吸収性コア41は、吸収性物品が多少ズレた状態で着用されても、十分な吸収性能が発現できるように、肉厚中央部421の面積をできるかぎり広くすることが好ましい。このような観点から、肉厚中央部421は、最大幅部において、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41s間は、一定の間隔であることが好ましく、両側縁41s,41sはそれぞれ、縦方向Xに平行であり、且つ直線状となっていることがより好ましい。ただし、製造時における、吸収性コア41における肉厚部42の横方向Yの位置ズレ、肉厚部42の欠け、生産方法に起因する型の抜き傾斜、端部の丸めや面取り等により、肉厚部42の幅と吸収性コア41の幅とが多少異なる程度、例えば、最大幅部の幅の5%程度の差の範囲であれば同一の幅とする。最大幅とは横方向Yにおける最も長い位置での距離を意味する。尚、図2においては、肉厚部42の横方向Yにおける最大幅部での横方向Yの長さが、吸収性コア41の中間領域41Mにおける横方向Yの最大長さと同じであり、吸収性コア41の横方向Yの最大長さと同じである。
ナプキン1では、肉厚部42は、図2に示すように、吸収性コア41の縦方向Xと直交する横方向Yの全長に亘って延在し且つ吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41sに従って縦方向Xに所定の長さに延在する肉厚中央部421を有している。肉厚部42は、肉厚中央部421から前方区域A側又は後方区域C側に向かって肉厚部42の前記最大幅部よりも横方向Yの長さが狭くなっている前方側凸部422又は後方側凸部423を備えていることが好ましく、ナプキン1では、肉厚中央部421の縦方向Xの前端部から第一領域41F側に向かって凸の1個の前方側凸部422、及び肉厚中央部421の縦方向Xの後端部から第二領域41R側に向かって凸の1個の後方側凸部423を有している。即ち、ナプキン1では、肉厚部42は、前方側凸部422、肉厚中央部421及び後方側凸部423に区分されている。ナプキン1では、肉厚部42の肉厚中央部421は、図2に示すように、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41s間に亘って帯状に延在しており、排泄対向区域B内に配されている。
肉厚部42の肉厚中央部421は、ナプキン1では、図4に示すように断面視して、横方向Yの中央部から縦方向Xに沿う両側縁部に向かって、その厚みが薄くなるように形成(本実施形態では、高さが低くなるよう形成)されている。即ち、肉厚中央部421における縦方向Xに延びる中心線CL上に配された中央部が、最も厚みが厚く形成(本実施形態では、最も高さが高く形成)されている。このように肉厚中央部421が形成されていると、排泄対向区域Bにおける液の吸収性等を向上させることができる。
肉厚部42の肉厚中央部421は、ナプキン1では、図4に示すように断面視して、横方向Yの中央部から縦方向Xに沿う両側縁部に向かって、その坪量が小さくなるように形成されている。即ち、肉厚中央部421における縦方向Xに延びる中心線CL上に配された中央部が、最も坪量が大きく形成されている。このように肉厚中央部421が形成されていると、排泄対向区域Bにおける液の吸収性等を向上させることができる。
ナプキン1の肉厚中央部421は、図4に示すように断面視して、中心線CL上に配された中央部の厚み(高さT1)の、最も厚み(高さ)の小さい側縁41sでの厚み(高さT2)に対する比(T1/T2)は、排泄部に肉厚部42が可能な限り隙間なく密着できる観点から、1.1以上、特に1.3以上であることが好ましく、また、着用時の違和感を与え難くする観点から、4以下、特に3以下であることが好ましく、具体的には、1.1以上4以下、特に1.3以上3以下であることが好ましい。
また、ナプキン1の肉厚中央部421は、ナプキン1に思わぬシワや折れが生じさせない観点から、少なくとも肌当接面側に、吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rの坪量よりも坪量が低い凹部を有さない形態となっている。ここで、第一領域41F及び第二領域41Rの坪量とは、第一領域41F及び第二領域41Rが溝部45を有する場合には、溝部45を除いた部分の坪量を意味する。
また、ナプキン1では、図2に示すように、第一領域41F側に向かって凸の前方側凸部422は、肉厚中央部421の前端部に1個配されている。ナプキン1では、前方側凸部422は、前方側凸部422の頂部422tが縦方向Xに延びる中心線CL上に配されており、前方側凸部422を形成する両側辺422s,422sが、それぞれ、頂部422tから吸収性コア41の縦方向Xに沿う側縁41sに亘って直線形状に延びている。その為、ナプキン1では、肉厚部42の輪郭周辺の位置に配される境界部BLが、中間領域41Mの第一領域41F側において、直線形状に延びており、後述する前方肉厚境界溝部43aも直線形状に延びている。境界部BLは、ナプキン1では、前方肉厚境界溝部43aを含んでいる。
また、ナプキン1では、図2に示すように、第二領域41R側に向かって凸の後方側凸部423は、肉厚中央部421の後端部に1個配されている。ナプキン1では、後方側凸部423は、前方側凸部422と同様に、後方側凸部423の頂部423tが縦方向Xに延びる中心線CL上に配されており、後方側凸部423を形成する両側辺423s,423sが、それぞれ、頂部423tから吸収性コア41の縦方向Xに沿う側縁41sに亘って直線形状に延びている。その為、ナプキン1では、中間領域41Mの第二領域41R側において、肉厚部42と肉厚部42の輪郭周辺の位置に配される境界部BLが、直線形状に延びており、後述する後方肉厚境界溝部43cも直線形状に延びている。境界部BLは、ナプキン1では、後方肉厚境界溝部43cを含んでいる。
ナプキン1は、図1に示すように、横方向Y両外側に一対のウイング部1W,1Wを備えている。そして、ナプキン1では、一対のウイング部1W,1Wにおける前方区域A側に位置する付け根どうしを結ぶ前方側仮想線ILaが、前方側凸部422を形成する両側辺422s,422sに沿って延びる境界部BLと交差している。また、一対のウイング部1W,1Wにおける後方区域C側に位置する付け根どうしを結ぶ後方側仮想線ILcが、後方側凸部423を形成する両側辺423s,423sに沿って延びる境界部BLと交差している。言い換えれば、ナプキン1では、ナプキン1を3つ折りの個装形態に折り畳む際に生じる、ナプキン1を横方向Yに横断する2本の折曲線(図示せず)について、ナプキン1の縦方向Xの前端から数えて1番目の第1折曲線が、前方側凸部422を形成する両側辺422s,422sに沿って延びる境界部BLと交差する位置に配されている。また、ナプキン1の縦方向Xの前端から数えて2番目の第2折曲線が後方側凸部423を形成する両側辺423s,423sに沿って延びる境界部BLと交差する位置に配されている。このような位置にナプキン1を個装形態に折り畳む際に生じる折曲線を配することによって、直線形状に延びている境界部BLを伝って、横方向Y側端に向かって流れる体液の流れを防止できる。ナプキン1では、前記第1折曲線が前方側凸部422の境界部BLと交差する位置に配され、前記第2折曲線が後方側凸部423の境界部BLと交差する位置に配されているが、前記第1折曲線及び前記第2折曲線の少なくとも一方がこのような位置に配されていることが好ましい。
ナプキン1は、図1に示すように、線状圧搾溝7を備えており、線状圧搾溝7が縦方向Xに延びる一対の縦圧搾溝73,73を有している。そして、一対の縦圧搾溝73,73が、前方側凸部422を形成する両側辺422s,422sに沿って延びる境界部BL、及び後方側凸部423を形成する両側辺423s,423sに沿って延びる境界部BLと交差する位置に配されている。このような位置に一対の縦圧搾溝73,73を配することによって、直線形状に延びている境界部BLを伝って、横方向Y側端に向かって流れる体液の流れを防止できる。ナプキン1では、一対の縦圧搾溝73,73が前方側凸部422の境界部BL及び後方側凸部423の境界部BLと交差する位置に配されているが、他の線状圧搾溝7でもよく、前方側凸部422の境界部BL及び後方側凸部423の境界部BLの少なくとも一方と交差する位置に配されていることが好ましい。
ナプキン1では、図2に示すように吸収性コア41を平面視して、前方側凸部422は肉厚中央部421から第一領域41F側に向かって横方向Yの長さが漸次狭くなっており、後方側凸部423は肉厚中央部421から第二領域41R側に向かって横方向Yの長さが漸次狭くなっている。即ち、吸収性コア41における前方側凸部422及び後方側凸部423は、それぞれ、縦方向Xに沿う両側部から横方向Yの中央部に位置する頂部422t,423tに向かって、その幅dが漸減するように形成されている。好適に、ナプキン1の吸収性コア41における前方側凸部422では、両側辺422s,422sの間隔(幅d)が、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41sから頂部422tに向かって漸減している。同様に、ナプキン1の吸収性コア41における後方側凸部423では、両側辺423s,423sの間隔(幅d)が、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41sから頂部423tに向かって漸減している。ここで、幅dが漸減しているとは、頂部422t,423tに向かって幅dが連続的に少しずつ減少していることである。
ナプキン1における吸収性コア41では、前方側凸部422及び後方側凸部423の内の前方側凸部422を例に挙げて説明すると、両側辺422s,422sがそれぞれ屈曲せずに真っ直ぐに延びている。一方の側辺422sと縦方向Xに延びる中心線CLとのなす角αは、身体形状へのフィット性及び動きの中での追従性向上の観点から、好ましくは20°以上、より好ましくは30°以上であり、そして、好ましくは75°以下、より好ましくは60°以下であり、具体的には、好ましくは20°以上75°以下、より好ましくは30°以上60°以下である。後方側凸部423も前方側凸部422と同様である。
肉厚部42の縦方向Xの全長L2は、吸収性コア41の縦方向Xの全長L1の、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上であり、また、好ましくは90%以下、より好ましくは75%以下であり、また、好ましくは25%以上90%以下、より好ましくは30%以上75%以下である。
尚、全長L1とは吸収性コア41の縦方向Xにおける最も長い位置での距離を示し、全長L2とは肉厚部42の縦方向Xにおける最も長い位置での距離を意味する。
肉厚部42を構成する肉厚中央部421の縦方向Xの全長L3は、肉厚部42の全長L2の好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、また、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下であり、また、好ましくは20%以上80%以下、より好ましくは30%以上70%以下である。
肉厚部42を構成する前方側凸部422の縦方向Xの全長L4は、肉厚部42の全長L2の、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、また、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下であり、また、好ましくは、5%以上50%以下、より好ましくは10%以上30%以下である。肉厚部42を構成する後方側凸部423の縦方向X全長も、前方側凸部422の縦方向Xの全長L4と同様である。
尚、全長L4とは前方側凸部422の縦方向Xにおける最も長い位置での距離を意味する。
ナプキン1では、図2に示すように、吸収性コア41は、肉厚部42の輪郭周辺の位置に配される境界部BLを有しており、境界部BLは、中間領域41Mに肉厚部42と肉厚部42以外の部分との境界を区画する肉厚境界溝部43を有している。肉厚境界溝部43は、ナプキン1では、肉厚部42を構成する前方側凸部422を形成する両側辺422s,422sに沿って延在する前方肉厚境界溝部43aと、後方側凸部423を形成する両側辺423s,423sに沿って延在する後方肉厚境界溝部43cとを有している。前方肉厚境界溝部43aと後方肉厚境界溝部43cは、吸収性コア41の横方向Yの全長(全幅)に亘り形成されている。このため、脚部からの吸収性コア41の幅方向の内側に働く力に対し、ナプキン1の縦方向に縦シワが生じ難く、ナプキン1が身体の形状に沿って3次元的にフィットし易くなる。このように、吸収性コア41では、前方肉厚境界溝部43aと後方肉厚境界溝部43cとによって肉厚部42との境界を区画している。
ナプキン1では、吸収性コア41における肉厚境界溝部43の溝幅は、排泄対向区域Bにおける液の吸収性等を向上させる観点から、好ましくは、0.1mm以上、より好ましくは、0.5mm以上であり、また、好ましくは、5.0mm以下、より好ましくは、3.0mm以下であり、また、好ましくは0.1mm以上5.0mm以下、より好ましくは、0.5mm以上3.0mm以下である。尚、肉厚境界溝部43の溝幅及び後述する厚みは、肉厚境界溝部43の延びる方向に直交する方向に切断し、切端面の写真から計測する。
ナプキン1では、吸収性コア41における肉厚境界溝部43での厚みは、排泄対向区域Bにおける液の吸収性等を向上させる観点から、好ましくは、0.08mm以上、より好ましくは、0.15mm以上、また、好ましくは、7.0mm以下、より好ましくは、3.5mm以下であり、また、好ましくは、0.08mm以上、7.0mm以下、より好ましくは、0.15mm以上3.5mm以下である。
ナプキン1では、肉厚境界溝部43は、肉厚部42の坪量よりも低く、更に、吸収性コア41における第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量よりも坪量が低く形成されている。ここで、第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量とは、溝部45を有する場合には、溝部45を除いた部分の坪量を意味する。肉厚境界溝部43の坪量は、好ましくは10g/m2以上、より好ましくは20g/m2以上であり、そして、好ましくは350g/m2以下、より好ましくは250g/m2以下であり、具体的には、好ましくは10g/m2以上350g/m2以下、より好ましくは20g/m2以上250g/m2以下である。尚、肉厚境界溝部43の坪量は、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法で説明したように切り出した肉厚境界溝部43の部分のサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。
ナプキン1では、吸収性コア41は、図2に示すように、その中間領域41Mにおける肉厚部42を除き、更に、肉厚境界溝部43を除く領域に、肉厚隣接部44を有している。即ち、ナプキン1では、吸収性コア41における中間領域41Mが、肉厚部42、肉厚境界溝部43、及び肉厚隣接部44からなっている。また、境界部BLは、肉厚部42の輪郭周辺の位置に配されており、肉厚隣接部44の一部が含まれている。肉厚隣接部44は、中間領域41Mにおいて、肉厚部42を構成する前方側凸部422に隣接する第一領域41F側に配された前方肉厚隣接部44aと、肉厚部42を構成する後方側凸部423に隣接する第二領域41R側に配された後方肉厚隣接部44cとを有している。前方肉厚隣接部44aは、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。前方肉厚隣接部44aにおける、中心線CLよりも吸収性コア41の縦方向Xに沿う一方の側縁41s側の半分の部分は、縦方向Xの長さが、該一方の側縁41sから中心線CLに向かって漸減するように形成されている。後方肉厚隣接部44cも、前方肉厚隣接部44aと同様に、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。後方肉厚隣接部44cにおける、中心線CLよりも吸収性コア41の縦方向Xに沿う一方の側縁41s側の半分の部分は、縦方向Xの長さが、該一方の側縁41sから中心線CLに向かって漸減するように形成されている。
ナプキン1では、肉厚隣接部44は、図3に示すように、その厚みが、肉厚境界溝部43の厚みよりも大きく、且つ、吸収性コア41における肉厚部42の厚みよりも小さく形成されている。更には、身体の動きへの追従性の観点からは、肉厚隣接部44は、その厚みが、第一領域41Fの厚み及び第二領域41Rの厚みと同じか小さくなっていることが好ましい。尚、身体の動きに対し、繰り返し変形した際の吸収性コア41の強度の観点から、肉厚隣接部44は、その厚みが、第一領域41Fの厚み及び第二領域41Rの厚みより大きくなっていてもよい。
肉厚隣接部44の厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、また、好ましくは10.0mm以下、より好ましくは7.0mm以下であり、また、好ましくは0.5mm以上10.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上7.0mm以下である。
肉厚隣接部44の厚みは、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法に基づいて測定される。
ナプキン1では、肉厚隣接部44は、その坪量が、吸収性コア41の肉厚部42の坪量より小さく、且つ、肉厚境界溝部43の坪量よりも大きく形成されている。更には、身体の動きへの追従性の観点からは、肉厚隣接部44は、その坪量が、吸収性コア41における第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量と同じか小さくなっていることが好ましい。尚、身体の動きに対し、繰り返し変形した際の吸収性コア41の強度の観点から、肉厚隣接部44は、その坪量が、第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量よりも大きくなっていてもよい。ここで、第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量とは、溝部45を有する場合には、溝部45を除いた部分の坪量を意味する。肉厚隣接部44の坪量は、好ましくは20g/m2以上、より好ましくは50g/m2以上であり、そして、好ましくは800g/m2以下、より好ましくは700g/m2以下であり、具体的には、好ましくは20g/m2以上800g/m2以下、より好ましくは50g/m2以上700g/m2以下である。尚、肉厚隣接部44の坪量は、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法で説明したように切り出した肉厚隣接部44のサンプルの質量を、そのサンプルの肌対向面側の面の面積で除して求める。
ナプキン1では、吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rは、それぞれ、図2に示すように、相対的に坪量が小さい溝部45と相対的に坪量が大きい小吸収部46とを有している。好適には、溝部45は、縦方向Xに延びる縦溝45Xと、横方向Yに延びる横溝45Yとを有している。そして、縦方向Xに延びる縦溝45Xは、横方向Yに一定の間隔を空けて配され、横方向Yに延びる横溝45Yは、縦方向Xに一定の間隔を空けて配されている。小吸収部46は、縦溝45X及び横溝45Yで区画された格子の目の位置に配されている。
ナプキン1では、上述した第一領域41F及び第二領域41Rの厚み及び坪量とは、小吸収部46の厚み及び坪量を意味する。縦溝45Xの底部を構成する吸収性コア41の形成材料の坪量は、ナプキン1が身体の形状に沿って3次元的にフィットし易くなる観点から、吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rの坪量より低いことが好ましい。また、横方向Yに延びる横溝45Yの底部を構成する吸収性コア41の形成材料の坪量は、ナプキン1が身体の形状に沿って3次元的にフィットし易くなる観点から、吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rの坪量より低いことが好ましい。ナプキン1が身体の形状に沿って更にフィットし易くなる観点から、縦溝45Xの坪量及び横溝45Yの坪量が、吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rの坪量より低いことが好ましい。
ナプキン1では、第一領域41F及び第二領域41Rに溝部45及び小吸収部46を有し、中間領域41Mに肉厚部42、肉厚境界溝部43及び肉厚隣接部44を有する吸収性コア41は、その全体が一体成形されている。「一体成形されている」とは、別の工程で製造した部材どうしを接着剤や圧縮などの接合手段で結合したものとは異なり、同一の材料を用いて、一つの工程で一体的に形成されていることを意味する。
上述したナプキン1の吸収性コア41は、例えば、図5(a)に示すように、外周面に集積用凹部55を備え、一方向Rに回転する積繊ドラム54と、該積繊ドラム54の外周面に、コア材料を飛散状態で供給するダクト(図示せず)を備えた積繊装置を用いて製造することができる。
集積用凹部55は、積繊ドラム54の外周面の周方向に一定の間隔で複数個形成されている。集積用凹部55の底面56は、メッシュプレート等からなり、吸引孔として機能する多数の細孔を有している。
また、図5(a)に示すように、1個の集積用凹部55の底面56の一部には、吸収性コア41の中間領域41Mを形成するための1つの凹部56bが形成されている。また、凹部56bには、その底面に、肉厚部42と肉厚隣接部44とを区分する肉厚境界溝部43を形成するための第1難通気性部材57が配置されている。第1難通気性部材57は、肉厚境界溝部43に対応する位置に配され、凹部56bの底面から突出するように固定されている。また、凹部56bに隣接する回転方向Rの上流側領域及び下流側領域の底面56には、溝部45を形成するための第2難通気性部材58が配置されている。第2難通気性部材58は、縦溝45X及び横溝45Yに対応する位置に配され、集積用凹部55の底面56から突出するように固定されている。第1難通気性部材57及び第2難通気性部材58は、非通気性部材であっても良く、例えば金属やプラスチック、セラミック等からなる。
積繊ドラムを備えた公知の積繊装置と同様に、集積用凹部55の底面から吸引しつつ、ダクト内に、吸水性ポリマーとパルプ繊維とを混合したコア材料を供給することによって、図5(b)に示すように、コア材料が集積用凹部55内に所定形状に堆積する。その堆積物40を、集積用凹部55から離型することで、吸収性コア41の前駆体が得られる。吸収性コア41の前駆体は、コアラップシート(不図示)で被覆された後に、ロータリーカッター等でカットされ、搬送方向にベルトコンベア等の搬送手段によって搬送される。このようにして吸収性コア41が得られる。このようにして得られたコアラップシート(不図示)で被覆された吸収性コア41は、一対のロール間に単回又は複数回通すこと等により、全体又は部分的に加圧し適度に圧縮させる。これにより、凹部56bに堆積した部分が、坪量及び厚みともに相対的に大きい肉厚部42となる。同様に、凹部56bに隣接する上流側領域及び下流側領域に堆積したコア材料からなる部分が、坪量が相対的に小さい吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rとなる。また、凹部56bの第1難通気性部材57上に堆積したコア材料からなる部分が、第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量よりも相対的に小さい肉厚境界溝部43となる。凹部56bに隣接する上流側領域及び下流側領域の第2難通気性部材58上に堆積したコア材料からなる部分が、小吸収部46の坪量よりも相対的に小さい溝部45となる。
肌対向面を形成する液透過性の肌側シート2は、吸収性コア41における肉厚部42の境界部BLに対応する位置に、肌側シート2が屈曲される起因となる可撓軸KLを有している。可撓軸KLは、肌側シート2が屈曲され易くなっている部分であり、例えば、肌側シート2における柔軟性が、隣接する部分より高く形成されている。肌側シート2が、可撓軸KLで、屈曲され易くなっていることにより、肌側シート2は、吸収性コア41における境界部BLに対応する位置において、吸収性コア41との隙間が発生しにくくなり、肌側シートの表面を流れる液流れを防止し、十分な吸収性能が発現できる。肌側シート2は、不織布で形成されている。
ナプキン1では、肌側シート2は、図6及び図7に示すように、肌対向面を形成する第1層21と吸収体4側に配される第2層22とが積層されて部分的に接合された不織布である。第1層21は、実質的に熱収縮しない繊維又は該熱収縮性繊維の収縮開始温度では実質的に熱収縮しない繊維を含んでいる。第2層22は、熱収縮性繊維を含んでいる。ナプキン1では、肌側シート2は、第1層21及び第2層22を積層して部分的に接合した後、熱風処理により、第2層22の熱収縮性繊維を収縮させて得られた凹凸構造のシートである。この凹凸構造のシートにおいては、第1層21が第2層22とのシート接合部23以外の部分において着用者の肌側に向かって突出して肌側突出部24を形成している一方、該シート接合部23が凹部を形成している。このように形成された凹凸構造のシートは、肌側突出部24の内部が構成繊維で満たされており中実となっている。そして、肌側突出部24,24どうしの間が凹部(シート接合部23)となっている。凹凸構造のシートを構成する第2層22の熱収縮性繊維は、潜在捲縮性繊維が好ましい。このような凹凸構造のシートは、特開2002−187228号公報、特開2003−250836号公報、特開2004−166849号公報、特開2004−202890号公報、特開2009−153734号公報等に記載の方法により製造できる。
尚、潜在捲縮性繊維としては、熱処理によりコイル状の捲縮を発現するもので、例えば、収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型複合繊維又はサイド・バイ・サイド型複合繊維からなる。その例としては、特開平9−296325号公報や特許2759331号公報に記載のものが挙げられる。凹凸構造のシートを構成する第1層21の熱収縮しない繊維としては、熱可塑性ポリマー材料からなる繊維が好適に用いられる。熱可塑性ポリマー材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。また、これらの熱可塑性ポリマー材料の組み合わせからなる芯鞘型やサイド・バイ・サイド型の複合繊維も用いることができる。
図6及び図7に示す肌側シート2においては、第1層21と第2層22との積層体の部分的な接合が、例えば熱エンボス或いは超音波エンボスにより形成されている。その為、凹部を形成するシート接合部23において、不織布の構成繊維が圧縮され、構成繊維の密度がシート接合部23の周囲の密度よりも高くなっている。また、凹部(シート接合部23)の繊維密度が、肌側突出部24の頂部の繊維密度よりも高くなっている。また、不織布の厚みが、凹部(シート接合部23)において薄くなっている。
また、図6及び図7に示す肌側シート2においては、吸収体4側に配される第2層22の繊維密度が、肌対向面を形成する第1層21の繊維密度よりも高くなっている。第2層22の繊維密度は、好ましくは0.03g/cm3以上0.2g/cm3以下、より好ましくは0.04g/cm3以上0.1g/cm3以下である。第1層21の繊維密度は、好ましくは0.001g/cm3以上0.05g/cm3以下、より好ましくは0.01g/cm3以上0.03g/cm3以下である。第1層21及び第2層22の繊維密度は、特開2003−250836号公報に記載の繊維密度の測定法により測定できる。
また、図6及び図7に示す肌側シート2においては、第1層21と第2層22とのシート接合部23が所定のパターンで分散配置されており、肌側突出部24は、肌側シート2を平面視して、散点状に配されている。隣り合うシート接合部23どうしの間隔は、好ましくは2mm以上20mm以下、より好ましくは3mm以上15mm以下である。
また、図7に示す肌側シート2においては、分散配置された複数のシート接合部23において、隣り合うシート接合部23,23どうしを繋いだ仮想線上に可撓軸KLが延びている。このように可撓軸KLが隣り合うシート接合部23,23どうしを繋いで延びているので、図7に示す肌側シート2においては、可撓軸KLは、不織布の厚みが、周囲の厚みよりも薄くなっている部分(シート接合部23)を繋いだ仮想線上に延びている。また、可撓軸KLは、不織布の構成繊維の密度がシート接合部23の周囲の密度よりも高くなっている部分(シート接合部23)を繋いだ仮想線上に延びている。可撓軸KLは、ナプキン1を図1に示すように平面視して、複数形成されている。可撓軸KLは、ナプキン1では、図8に示すように、縦方向Xに延びる中心線CLに対して、前方区域Aの右側から後方区域Cの左側に延びて中心線CLになす角α1で交差する複数の第1可撓軸KL1と、前方区域Aの左側から後方区域Cの右側に延びて中心線CLになす角α2で交差する複数の第2可撓軸KL2とを有している。
第1可撓軸KL1と中心線CLとのなす角α1は、好ましくは20度以上、より好ましくは25度以上であり、そして、好ましくは70度以下、より好ましくは60度以下であり、具体的には、好ましくは20度以上70度以下、より好ましくは25度以上60度以下である。
また、ナプキン1では、複数の第1可撓軸KL1が等間隔を開けて配されており、隣り合う第1可撓軸KL1,KL1どうしの間隔は、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上であり、そして、好ましくは15mm以下、より好ましくは12mm以下であり、具体的には、好ましくは3mm以上15mm以下、より好ましくは4mm以上12mm以下である。
第2可撓軸KL2と中心線CLとのなす角α2は、好ましくは20度以上、より好ましくは25度以上であり、そして、好ましくは70度以下、より好ましくは60度以下であり、具体的には、好ましくは20度以上70度以下、より好ましくは25度以上60度以下である。
また、ナプキン1では、複数の第2可撓軸KL2が等間隔を開けて配されており、隣り合う第2可撓軸KL2,KL2どうしの間隔は、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上であり、そして、好ましくは15mm以下、より好ましくは12mm以下であり、具体的には、好ましくは3mm以上15mm以下、より好ましくは4mm以上12mm以下である。
上述したように、ナプキン1では、肌側シート2は、吸収性コア41における肉厚部42の境界部BLに対応する位置に可撓軸KLを有している。また、ナプキン1では、肌側シート2の可撓軸KLは、ナプキン1を平面視して、複数配されている。その為、ナプキン1では、ナプキン1を図8に示すように平面視して、複数の可撓軸KLが吸収性コア41の境界部BLと交差している。言い換えれば、ナプキン1では、複数の可撓軸KLが、前方側凸部422を形成する両側辺422s,422sと交差しており、後方側凸部423を形成する両側辺423s,423sと交差している。また、ナプキン1では、上述のように、境界部BLに沿って肉厚境界溝部43が延びており、複数の可撓軸KLが吸収性コア41の肉厚境界溝部43と交差している。具体的には、複数の第1可撓軸KL1及び複数の第2可撓軸KL2が、肉厚部42を構成する前方側凸部422を形成する両側辺422s,422sに沿って延在する前方肉厚境界溝部43aと交差しており、後方側凸部423を形成する両側辺423s,423sに沿って延在する後方肉厚境界溝部43cとも交差している。その為、ナプキン1の着用中に、吸収性コア41の境界部BLで肌側シート2が複数の可撓軸KLを起点に立体的に屈曲され易くなり、吸収性コア41の境界部BLで吸収性コア41と肌側シート2との間に隙間が生じ難く、肌側シート2の表面を流れる液流れを防止でき、十分な吸収性能が発現できる。
上述した本実施形態のナプキン1の各構成部材の形成材料について説明する。
非肌側シート3は、難透液性又は、液不透過性を有し、熱可塑性合成樹脂を含む素材で構成され、例えば、合成樹脂製フィルム、合成樹脂製フィルムと不織布の積層体や、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層繊維不織布、エアースルー繊維不織布、ポイントボンド繊維不織布、スパンボンド繊維不織布等の耐水圧が高い撥水性の不織布を用いることができるが、これらに限定されるものではなく、当該技術分野において従来用いられてきたものと同様のものを特に制限なく用いることができる。非肌側シート3は、例えば、坪量が10〜50g/m2であり、厚さが、8〜200μmであることが好ましい。
吸収性コア41のコア材料は、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体を含んでなる。繊維材料としては、従来、生理用ナプキンやパンティライナー、使い捨ておむつ等の吸収性物品の吸収体に用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維等のセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン等の合成繊維の短繊維等が用いられる。これらの繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、繊維材料は、全体又は一部がパルプ繊維であることが好ましく、繊維材料中のパルプ繊維の割合は50〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは80〜100質量%であり、更に好ましくは100質量%である。
また、吸収性コア41には吸水性ポリマーが含有されていてもよい。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、(でんぷん−アクリル酸)グラフト共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等が挙げられる。吸水性ポリマーが含有されることで、より安定的に大量の血液などの排泄液を素早く吸収し、保持することができる。
また、吸収性コア41には、消臭剤や抗菌剤等を必要に応じて配合しても良い。
吸収性コア41を被覆するコアラップシート(不図示)としては、ティッシュペーパー、透水性の不織布等が挙げられる。吸収体4は、吸収性コア41の上下両面をコアラップシート(不図示)で被覆して形成されている。コアラップシート(不図示)は、吸収性コア41の形成材料の漏れ出しを防止したり、吸収性コア41の保形性を高めたりする目的で使用される。吸収性コア41の肌対向面側を被覆するコアラップシート(不図示)と肌側シート2との間、及び吸収性コア41の非肌対向面側を被覆するコアラップシート(不図示)と非肌側シート3との間は、ドット、スパイラル、ストライプ等のパターン塗工された接着剤により互いに接合されていることが好ましい。
サイドシート5としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。その他の材料としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド不織布(S)とメルトブロー不織布(M)とが複合化されたシート(例えばSM、SMS、SMMS等)、ヒートロール不織布、エアースルー不織布等の撥水性(疎水性)不織布が挙げられる。
サイドシート5と肌側シート2とを接合する接合部6は熱シール加工により常法に従って形成することができる。
線状圧搾溝7(第1横圧搾溝71及び縦圧搾溝73)は、熱を伴うか又は伴わない圧搾加工(いわゆるエンボス加工)、或いは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。
上述した本実施形態のナプキン1の作用効果について説明する。
ナプキン1は、図1及び図2に示すように、吸収性コア41における中間領域41Mに中高部としての肉厚部42を有し、肉厚部42は、図2に示すように、吸収性コア41を平面視して、吸収性コア41の横方向Yにおける長さが最大となる最大幅部を有し、該最大幅部の横方向Yの長さが、吸収性コア41の中間領域41Mの横方向Yの長さと同じである。その為、吸収性物品であるナプキン1が多少ズレた状態で着用されても、十分な吸収性能が発現できる。また、ナプキン1では、図1及び図8に示すように、肌側シート2が、吸収性コア41における肉厚部42の境界部BLに対応する位置に可撓軸KLを有している。その為、ナプキン1の着用中に、吸収性コア41の境界部BLで肌側シート2が可撓軸KLを起点に屈曲され易くなることで、吸収性コア41の境界部BLで吸収性コア41と肌側シート2との間に隙間が生じ難く、肌側シート2の表面を流れる液流れを防止でき、十分な吸収性能が発現できる。また、ナプキン1では、複数の可撓軸KLが吸収性コア41の肉厚境界溝部43と交差している。その為、上記効果を一層奏することができる。
また、ナプキン1では、図2に示すように、前記最大幅部が吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁に従って縦方向Xに所定の長さに延在して形成される肉厚中央部421を有している。その為、排泄液の吸収量を高めることができるとともに、吸収性物品であるナプキン1が多少ズレた状態で着用された場合や、着用時の身体の動作や就寝時の身体の姿勢などに対しても、十分な吸収性能が発現できる。また、肉厚部42は、図2に示すように平面視して、肉厚中央部421と、肉厚中央部421の縦方向Xの前端部から第一領域41F側に向かって凸の前方側凸部422、及び肉厚中央部421の縦方向Xの後端部から第二領域41R側に向かって凸の後方側凸部423を有している。その為、ナプキン1が多少ズレた状態で着用されても、肉厚部42が前方側凸部422及び後方側凸部423を有していれば、両大腿部からナプキン1の横方向Y内側への力に対し、前方側凸部422及び後方側凸部423が変形することで、肉厚部42が身体形状への追従性に優れ、着用者に違和感を与え難くなっている。特に、ナプキン1では、中間領域41Mの第一領域41F側において、肉厚部42の輪郭辺縁の位置に配される境界部BLが、直線形状に延びており、中間領域41Mの第二領域41R側において、肉厚部42の輪郭周辺の位置に配される境界部BLが、直線形状に延びている。その為、肉厚部42が身体形状への追従性に更に優れ、着用者に違和感を更に与え難くなっている。
また、ナプキン1は、図2に示すように、吸収性コア41における中間領域41Mに中高部としての肉厚部42と、肉厚部42以外の部分を区画する肉厚境界溝部43を有している。肉厚境界溝部43の前方肉厚境界溝部43aと後方肉厚境界溝部43cは、吸収性コア41の横方向Yの全長(全幅)に亘り形成されている。このため、脚部からの吸収性コア41の幅方向の内側に働く力に対し、ナプキン1の縦方向に縦シワが生じ難く、ナプキン1が身体の形状に沿って3次元的にフィットし易くなる。また、図8に示すように、可撓軸KLの第1可撓軸KL1及び第2可撓軸KL2が肉厚部42を構成する前方側凸部422を形成する両側辺422s,422sに沿って延在する前方肉厚境界溝部43aと交差しており、可撓軸KLの第1可撓軸KL1及び第2可撓軸KL2が後方側凸部423を形成する両側辺423s,423sに沿って延在する後方肉厚境界溝部43cとも交差している。その為、ナプキン1の着用中に、吸収性コア41の境界部BLで肌側シート2が可撓軸KLを起点に更に屈曲され易く、吸収性コア41の境界部BLで吸収性コア41と肌側シート2との間に隙間が更に生じ難く、肌側シート2の表面を流れる液流れを防止でき、十分な吸収性能が発現できる。
また、ナプキン1では、図7及び8に示すように、肌側シート2の可撓軸KLは、不織布の厚みが、周囲の厚みよりも薄くなっている部分(シート接合部23)を繋いだ仮想線上に延びている。その為、ナプキン1の着用中に、吸収性コア41の境界部BLで肌側シート2が可撓軸KLを起点に更に屈曲され易く、吸収性コア41の境界部BLで吸収性コア41と肌側シート2との間に隙間が更に生じ難くなっている。また、可撓軸KLは、不織布の構成繊維の密度がシート接合部23の周囲の密度よりも高くなっている部分(シート接合部23)を繋いだ仮想線上に延びている。その為、上記効果を一層奏することができる。
また、ナプキン1では、凹凸構造の肌側シート2の凹部(シート接合部23)の繊維密度が、肌側突出部24の頂部の繊維密度よりも高くなっている。その為、体液を吸収体4側に引き込み易く、肌側シート2の表面を流れる液流れを防止でき、十分な吸収性能が発現できる。また、肌側シート2の肌側突出部24の内部が構成繊維で満たされており中実となっているので、上記効果を一層奏することができる。また、ナプキン1の肌側シート2においては、吸収体4側に配される第2層22の繊維密度が、肌対向面を形成する第1層21の繊維密度よりも高くなっている。その為、更に体液を吸収体4側に引き込み易く、肌側シート2の表面を流れる液流れを防止でき、十分な吸収性能が発現できる。また、凹凸構造の肌側シート2の肌側突出部24が散点状に配されているので、使用時の肌触りが良く、肌側シート2の表面を流れる液流れを、より効果的に防止できる。
上記効果を一層奏する観点から、肌側シート2の肌側突出部24は、その頂部における高さh(図6参照)が、吸収性コア41における肉厚部42と第一領域41F又は第二領域41Rとによる段差h2(図3参照)以上であることが好ましく、段差h2(図3参照)よりも大きいことが更に好ましい。このような関係にあると、吸収性コア41における肉厚部42の輪郭周辺に位置する境界部BL部分において、可撓軸KLを起点に屈曲され肌側シート2上の肌側突出部24が傾いて配置され易く、傾いた肌側突出部24と傾いていない肌側突出部24が接近することで、肌側シート2の表面を流れる液流れを防止でき、かつ、体液を吸収体4側に引き込み易くなることで、十分な吸収性能が発現できる。肌側シート2の肌側突出部24は、その頂部における高さhは、好ましくは1mm以上7mm以下、より好ましくは1mm以上6.5mm以下である。吸収性コア41における肉厚部42と第一領域41F又は第二領域41Rとによる段差h2は、好ましくは1mm以上7mm以下、より好ましくは1mm以上6mm以下である。肌側シート2の肌側突出部24の高さhは、肌側シート2に0.05kPaの荷重を加えた状態で、厚み測定器を用いて測定する。厚み測定器にはオムロン社製のレーザー変位計を用いる。高さhの測定は、厚みを10点測定し、それらの平均値を算出して高さhとする。段差h2は、上述した吸収性コア41の各部の厚みの測定方法により求めることができる。
また、ナプキン1では、図2に示すように、吸収性コア41の肉厚部42が前方側凸部422及び後方側凸部423を有している。その為、ナプキン1の着用中に、吸収性コア41の境界部BLで吸収性コア41と肌側シート2との間に隙間が更に生じ難く、肌側シート2の表面を流れる液流れを防止でき、十分な吸収性能が発現できるとともに、更に着用感を向上させながら、より肌側シート2の表面を流れる液流れを防止させる観点から、ナプキン1を平面視して、前方側凸部422の頂部422t又は後方側凸部423の頂部423tに対応する位置に、凹凸構造の肌側シート2の肌側突出部24が配されていることが好ましく、前方側凸部422の頂部422t及び後方側凸部423の頂部423tに対応する位置に、凹凸構造の肌側シート2の肌側突出部24が配されていることが特に好ましい。
また、ナプキン1は、図2に示すように、吸収性コア41における中間領域41Mに、肉厚部42を構成する前方側凸部422に隣接する第一領域41F側に配された前方肉厚隣接部44aと、肉厚部42を構成する後方側凸部423に隣接する第二領域41R側に配された後方肉厚隣接部44cとを有している。そして、肉厚隣接部44の厚みが、吸収性コア41における第一領域41Fの厚み及び第二領域41Rの厚み以下の大きさであり、且つ、肉厚部42の厚みよりも小さく形成されている。その為、ナプキン1が多少ズレた状態で着用されても、着用者の肌との間に隙間を生じ難く、十分な吸収性能が発現できる。ナプキン1では、肉厚隣接部44の坪量が、吸収性コア41における第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量より小さく、且つ、肉厚境界溝部43の坪量よりも大きく形成されているので、前記効果のうち、着用者への違和感を低減する効果をより一層奏することができる。
尚、特にナプキン1を長時間にわたり装着する場合などで、身体の動きにより、ナプキン1が繰り返し変形することで、肉厚隣接部44が破損して吸収性能を損なうおそれがある場合には、肉厚隣接部44の厚みは、吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rの厚みより大きくなっていてもよい。
更に、身体の動きにより、繰り返し変形することで、肉厚隣接部44が破損して吸収性能を損なう場合には、肉厚隣接部44の坪量は、吸収性コア41における第一領域41F及び第二領域41Rの坪量より大きくなっていてもよい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の吸収性物品は本実施形態のナプキン1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、ナプキン1の肌側シート2は、図6及び図7に示すように、第1層21と第2層22とのシート接合部23が所定のパターンで分散配置されており、肌側突出部24が、肌側シート2を平面視して、散点状に配されているが、肌側突出部24が散点状に配されている形態に限られるものではない。例えば、第1層21と第2層22とのシート接合部23を縦方向Xに連続して延ばし、縦方向Xに連続して延びる該シート接合部23を横方向Yに間欠的に配置することによって、第1層21及び第2層22の積層体を部分的に接合した後、熱風処理により、第2層22の熱収縮性繊維を収縮させてもよい。このようにして得られた凹凸構造のシートは、一方向である縦方向Xに帯状に連続して延びる肌側突出部24が横方向Yに間欠的に配された凹凸構造のシートとなる。縦方向Xに連続して延びる複数の肌側突出部24を有する肌側シート2を用いれば、吸収性コア41における肉厚部42の輪郭辺縁の位置の境界部BLに対応する位置に、縦方向Xに延びるシート接合部23上に延びる可撓軸KLを複数有ることになり、ナプキン1の着用中に、吸収性コア41の境界部BLで縦方向Xに帯状に連続して延びる肌側突出部24同士が接触し合うことから、肌側シート2の表面を流れる液流れを防止でき、十分な吸収性能が発現できるとともに、体液の横漏れを防止できる。
また、図6に示すナプキン1の凹凸構造の肌側シート2は、実質的に熱収縮しない繊維又は該熱収縮性繊維の収縮開始温度では実質的に熱収縮しない繊維を含む第1層21及び熱収縮性繊維を含む第2層22を積層して部分的に接合した後、熱風処理により、第2層22の熱収縮性繊維を収縮させて得られた複数の肌側突出部24及びシート接合部23(凹部)を有する凹凸構造の不織布であるが、他の方法により形成された凹凸構造の不織布を用いてもよい。例えば、凹凸構造のシートが、熱伸長性繊維を有している図9(a)及び(b)に示す不織布であってもよい。熱伸長性繊維を有する凹凸構造の不織布は、加熱によって繊維長がのびる熱伸長性繊維を含むウエブをエンボス加工して圧着部を形成し、次いで熱風によるエアースルー加工を行い熱伸長性繊維を伸長させるとともに熱伸長性繊維どうしの交点を熱融着によって接合することによって製造できる。このような熱伸長性繊維を有する凹凸構造の不織布は、前記圧着部23aが凹部となり、隣り合う該圧着部23a,23aどうしの間が肌側突出部24aとなっている。熱伸長性繊維を有する凹凸構造の不織布は、図9(a)及び(b)に示すように、可撓軸KLが、隣り合う前記圧着部どうしを繋いで形成される。このような熱伸長性繊維を有する凹凸構造の肌側シート2を用いても、上述した効果と同様な効果が得られる。熱伸長性繊維としては、特許第4131852号公報、特開2005−350836号公報、特開2007−303035号公報、特開2007−204899号公報、特開2007−204901号公報及び特開2007−204902号公報等に記載の繊維を用いることができる。
また、ナプキン1の凹凸構造の肌側シート2に用いられる前記他の方法により形成される凹凸構造の不織布としては、図6に示すような肌側突出部24の内部が構成繊維で満たされた中実の不織布でなくてもよく、例えば図10に示す凹凸構造の不織布であってもよい。図10に示す凹凸構造の肌側シート2は、着用者の肌側に向かって突出し内部空間を有する複数の肌側突出部24bと、非肌側シート3側に向かって突出し内部空間を有する複数の非肌側突出部25とを有する凹凸構造のシートである。図10に示す凹凸構造の肌側シート2は、肌側突出部24b及び非肌側突出部25を有するシートの形に形成するための熱融着部が無い構成となっている。図10に示す凹凸構造の肌側シート2は、可撓軸KLが、隣り合う非肌側突出部25,25どうしを繋いで形成される。このような図10に示す凹凸構造の肌側シート2は、原料不織布として、単層構造であるか、又は複数の層が積層されてなる多層構造であるエアースルー不織布を用い、例えば特開2013−133574号公報、特開2012−149370号公報、特開2012−149371号公報等に記載の方法により製造できる。
また、ナプキン1の凹凸構造の肌側シート2は、肌側シート2が屈曲の起因となる可撓軸KLが、熱エンボス或いは超音波エンボスによる隣り合うシート接合部23,23どうしを繋いで形成されているが、エンボス以外に、肌側シート2に、スリット、細幅の欠落部、或いは細幅の切れ込み等を形成し、それらを可撓軸KLとしてもよい。また、肌側シート2となる前の原料繊維ウエブに、連続線又は断続線状に、構成材料を減少させた部分を形成した後に不織布に成形し、その部分を可撓軸KLとしてもよい。これらの方法の1つ又は2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
ナプキン1の吸収性コア41における前方側凸部422では、図2に示すように、両側辺422s,422sがそれぞれ屈曲せずに、吸収性コア41の縦方向Xに沿う側縁41sから頂部422tに向かって真っ直ぐに直線状に延びており、前方側凸部422の幅dが、吸収性コア41の縦方向Xに沿う側縁41sから頂部422tに向かって連続的に漸減しているが、前方側凸部422の幅dが単に漸減していれば、段階的に漸減していてもよい。前方側凸部422が真っ直ぐに直線状に延びており、前方側凸部422の幅dが、吸収性コア41の縦方向Xに沿う両側縁41s,41sから頂部422tに向かって連続的に漸減していることで、身体へのフィット性の向上に加え、前記積繊装置における前記集積用凹部55から離型する際の離型性が向上する点から好ましい。後方側凸部423も同様である。
また、ナプキン1の第一領域41F及び第二領域41Rは、厚みが同じであるが、肉厚部42の厚みよりも小さければ、互いに異なる厚みであってもよい。また、ナプキン1の第一領域41F及び第二領域41Rは、坪量が同じであるが、肉厚部42の坪量よりも小さければ、互いに異なる坪量であってもよい。また、ナプキン1の第一領域41F及び第二領域41Rは、溝部45及び小吸収部46を有しているが、有していなくてもよく、異なる形状の溝部45及び小吸収部46を有していてもよい。
また、ナプキン1では、排泄対向区域B内に肉厚部42を有しているが、排泄対向区域Bから前方区域A側又は後方区域C側の一部にまで延在していてもよい。例えば、前方側凸部422が排泄対向区域Bの肉厚中央部421から前方区域A内にまで延在しており、後方側凸部423が排泄対向区域Bの肉厚中央部421から後方区域C内にまで延在していてもよい。このように肉厚部42が排泄対向区域Bから前方区域A側又は後方区域C側にまで延在している場合、肉厚部42は、前方区域A又は後方区域Cにおける肉厚部42の外周域の部分と比較して厚みが厚くなっている。
また、ナプキン1の吸収性コア41は、その全体が一体成形されているが、一体成形されていなくてもよい。例えば、吸収性コア41において、第一領域41Fから第二領域41Rに亘って同じ高さにコア材料で形成しておき、次に、別のコア材料で形成されたものを配置して肉厚部42を形成してもよい。
また、ナプキン1は、図1に示すように、肌側シート2の肌対向面における縦方向Xに沿う両側部に、サイドシート5を配しているが、サイドシート5の自由端部に、縦方向Xに伸長状態の弾性部材を配して防漏カフを形成していてもよい。
また、図1に示すナプキン1では、肌側シート2と吸収性コア41とが圧搾一体化された線状圧搾溝7は、図1に示すように、前方区域Aの第1横圧搾溝71、一方の縦圧搾溝73、後方区域Cの第1横圧搾溝71、及び他方の縦圧搾溝73から形成されるリング状の全周溝を有する形態であるが、他の形状の形態であってもよい。
また、ナプキン1の吸収性コア41は、溝部45を肌対向面側から非肌対向面側に向かって窪むように形成しているが、溝部45を非肌対向面側から肌対向面側に向かって窪むように形成してもよい。これにより、液拡散性及び液保持性が向上する。
また、ナプキン1においては、ナプキン1の前方区域Aの大きさと吸収性コア41の第一領域41Fの大きさとは略一致しているが、一致していなくてもよい。また、ナプキン1の後方区域Cの大きさと吸収性コア41の第二領域41Rの大きさとは略一致しているが、一致していなくてもよい。
また、ナプキン1においては、肉厚部42が着用者の肌側へ向かって突出する中高部を有する形態であったが、これに代えて、図11及び図12に示すように、肉厚部42が非肌側シート3へ向かって突出する形態、すなわち、着用者の非肌側へ向かって突出する形態であっても良い。この形態は、ナプキン1において、吸収性コア41の肌対向面と非肌対向面とが逆の配置となるよう反転したものであって、溝部45や肉厚境界溝部43等も非肌対向面側に開口を有するものである。着用前には、肉厚部42は非肌側に突出しているが、着用によって吸収性コア41に荷重が加わることによって、肉厚部42の周囲の厚みの薄い部分が非肌対向面側へと折れ曲がり、結果として肉厚部42が肌側へ突出する中高部と類似した形状に変形する。したがって、上述したナプキン1において述べた諸々の作用効果は、当該形態においても同様に得られる。
なお、当該形態において、溝部45や肉厚境界溝部43を肌対向面側に配置しても構わない。
また、本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等であってもよい。
以下、本発明を実施例を用いて更に説明するが、本発明は、斯かる実施例によって何ら制限されるものではない。
〔実施例1〕
図1に示すナプキン1と同様の基本構成を有する生理用ナプキンを作製した。吸収性コアとしては、図5に示す積繊ドラム54を備えた積繊装置によって製造した図2に示す形態の吸収性コアを用いた。吸収性コア41は、パルプ繊維と吸水性ポリマーの混合積繊体として形成した。吸収性コア41は、中間領域41Mに中高部としての肉厚部42を有し、肉厚部42は、吸収性コア41の全幅に亘る肉厚中央部421と、肉厚中央部421の前後端部にそれぞれ前方側凸部422及び後方側凸部423とを有している。肉厚部42の厚みは3.5mmであり、第一領域41Fの厚み及び第二領域41Rの厚みは2.3mmであった。肉厚部42の坪量は350g/m2であり、第一領域41Fの坪量及び第二領域41Rの坪量は250g/m2であった。厚み及び坪量は上述した方法により測定した。また、肉厚部42の縦方向Xの全長L2は、吸収性コア41の縦方向Xの全長L1の63%であった。
肌側シートとしては、特開2003−250836号公報に記載の方法により製造した、図6及び図7に示す、肌対向面を形成する第1層21と吸収体4側に配される第2層22とが積層されて部分的に接合された凹凸構造の不織布を用いた。第1層21は、ポリエチレンテレフタレートを芯、ポリエチレンを鞘とする芯鞘型複合繊維100%からなり、第2層22は、潜在螺旋状捲縮性繊維(大和紡績株式会社製のNBF−L(V)繊維、ポリエチレンを芯、ポリプロピレンを鞘とし、加熱により螺旋状の捲縮を発現する芯鞘型の複合繊維である)100%からなる。各層の重量比(上層/下層)は50/50である。上下層間は、分散配置された複数のシート接合部23で接合されており、第2層22の潜在捲縮性繊維は、加熱により収縮を発現した、その坪量の合計は74g/m2であった。 非肌側シートとしては、坪量25g/m2の非透湿ポリエチレン製フィルムシートを用いた。
次いで、図2に示す形態の吸収性コアを、ティッシュペーパーで被覆して吸収体を形成し、肌側シートと非肌側シートとの間に挟み、実施例1のナプキンとした。吸収体と肌側シートとの間は、及び吸収体と非肌側シートとの間は接着剤を介して接合した。
〔実施例2〕
肌側シートとして、花王株式会社2016年製「ロリエ肌キレイガードふつうの日用羽なし」からドライヤーを用いて接着しているホットメルト接着剤を無効化し、分解して取り出した図9に示すような凹凸構造の不織布を用いた。該凹凸構造の不織布は、坪量が30g/m2であった。該凹凸構造の不織布を肌側シートとして用いて、生理用ナプキンを作製する以外は、実施例1のナプキンと同様にして、実施例2のナプキンを作製した。
〔実施例3〕
肌側シートとして、特開2013−133574号公報の方法により製造した、図10に示す凹凸構造の不織布を用いた。該凹凸構造の不織布は、上層(2.4dtexの繊維,坪量10g/m2)と下層(2.9dtexの繊維,坪量15g/m2)とからなる二層構造の不織布(合計坪量25g/m2)であった。何れの繊維も、芯がポリエチレンテレフタレート、鞘がポリエチレンからなる芯鞘構造の繊維であった。該凹凸構造の不織布を肌側シートとして用いて、生理用ナプキンを作製する以外は、実施例1のナプキンと同様にして、実施例3のナプキンを作製した。
〔実施例4〕
肌側シートとして、花王株式会社2016年製「ロリエ吸水ケアさらピュア少量用」からドライヤーを用いて接着しているホットメルト接着剤を無効化し、分解して取り出した凹凸構造の肌側シートを用いた。該凹凸構造の肌側シートは、坪量が28g/m2であった。該凹凸構造の肌側シートを用いて、生理用ナプキンを作製する以外は、実施例1のナプキンと同様にして、実施例4のナプキンを作製した。
〔比較例〕
肌側シートとして、フラットな構造の坪量25g/m2のエアースルー不織布を用いて、生理用ナプキンを作製する以外は、実施例1のナプキンと同様にして、比較例1のナプキンを作製した。
〔評価〕
以下の方法により、実施例1〜4のナプキン及び比較例1のナプキンについて、拡散面積及び吸収量に関して、以下に示す方法により測定し、それらの結果を表1に示した。
〔拡散面積〕
実施例1〜4のナプキン及び比較例1のナプキン上に、アクリル製の液注入プレートを配置して、馬脱繊維血液(株式会社 日本バイオテスト研究所)をビーカーに9g量りとり、1秒で注入した。アクリル製の液注入プレートは、長さ150mm、幅60mm、重量62gである。液注入プレートの中央部には、液を注入するための楕円形状の筒が突起している。突起部は、高さ30mmであり、液注入側の楕円開口径、及び底側の楕円開口径ともに長手方向の最大直径50mm、幅方向の最大直径20mmであった。尚、液注入プレートは、液注入プレートの長手方向をナプキンの横方向に一致させ、液注入プレートの突起部の位置をナプキンの中央の位置に一致するように配置した。9gの馬脱繊維血液の注入直後に、液注入プレートの長手方向の両端部上に座圧相当の重り(荷重20g/cm2)を配置し、1分経過後に液注入プレートと重りを取り除いた。その後、ナプキンの肌対向面側から肌側シート上の馬脱繊維血液が付着している面積を計測した。計測は画像解析装置としてNEXUS製NEWQUBE(ver.4.20)を使用し(CCDカメラやスキャナーを通して)画像を取り込んで実施した。
〔吸収量〕
上述した拡散面積の測定と同様のアクリル製の液注入プレートを用い、実施例1〜4のナプキン及び比較例1のナプキン上に、アクリル製の液注入プレートを配置して、液注入プレートの長手方向の両端部上に座圧相当の重り(荷重20g/cm2)を配置した。馬脱繊維血液(株式会社 日本バイオテスト研究所)を予めビーカーに9g量とり、初期注入として1秒で注入した後、更に、前記馬脱繊維血液を1gずつ注入量を増やしていき、ナプキンの幅方向端部を越えて液が染み出す状態をモレ状態とした。初期注入時にモレが発生した場合には、初期注入量を1gずつ減らしていく条件で、評価を行い、モレ状態となったところで評価を終了した。モレ状態が生じた際の注入済み量を吸収量として測定した。
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜4のナプキンは、比較例のナプキンに比べ、液体を9g吸収させたときの拡散面積が小さい結果であった。また、実施例1〜4のナプキンは、比較例のナプキンに比べ、モレ状態となるまでの吸収量が多く、モレにくい結果であった。
実施例1〜4のナプキンは、肉厚中央部421の前後端部の前方側凸部422又は後方側凸部423と、肉厚部42の輪郭周辺の位置の境界部BLに対応する位置に肌側シートが屈曲される起点になる可撓軸を有することで、座圧相当の荷重が加わったとしても、吸収性コアの境界部に肌側シートが沿いやすく、吸収性コアから肌側シートが浮き難いため、液が表面で拡がり難く、またモレ難くなったと考えられる。