JP5526948B2 - 2,6−ジプレニル−4−ビニルフェノールの生成方法 - Google Patents
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Description
また、中国産とブラジル産のプロポリスを脂溶性及び水溶性の溶媒にて調整したそれぞれのエキスは抗酸化活性及び成分比に大きな違いがあることが報告され、ブラジル産プロポリスに含まれるカフェ酸(caffeic acid)、アルテピリン(Artepillin)C及びドルパニン(drupanin)が抗酸化活性に優れているという報告や、プロポリスより単離した新規フラバノン化合物及び該フラバノン化合物が優れた抗酸化活性を有しているという報告もされている(非特許文献2,3,4,5、特許文献7参照)
(特許文献8、9参照)
また、プロポリス中に含まれる特定のフラボノイド類にプレニル基転移酵素を作用させて新規プレニルフラボノイドを得る方法においては抗菌活性に加え、抗癌活性の向上も報告されている。
次いで、抗癌活性の向上については、プロポリスと紅豆杉を配合する方法、プロポリス中の有機酸をエステル化する方法、プロポリス又はプロポリス由来のArtepillin Cを担子菌類の菌糸体により発酵処理を行い、新規桂皮酸誘導体を得る方法が報告されている。
(特許文献12、13、14、15、16参照)
〔1〕プロポリスを含有する組成物を、金属塩の存在下において、前記組成物温度120℃以上に加熱処理することを特徴とする、2,6−ジプレニル−4−ビニルフェノールの生成方法、
〔2〕前記加熱処理における圧力条件が0.1MPa以上である、前記〔1〕記載の2,6−ジプレニル−4−ビニルフェノールの生成方法、
〔3〕前記金属塩が、マグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、銅塩、ミネラルウォーターおよび植物由来の抽出物から選ばれる1種以上である、前記〔1〕または〔2〕記載の2,6−ジプレニル−4−ビニルフェノールの生成方法、
〔4〕前記植物由来の抽出物が、コーヒー豆由来の抽出物である前記〔3〕記載の2,6−ジプレニル−4−ビニルフェノールの生成方法、
〔5〕前記プロポリスを含有する組成物がプロポリス抽出物である、前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の2,6−ジプレニル−4−ビニルフェノールの生成方法、
〔6〕前記加熱処理がオートクレーブ処理である〔1〕〜〔5〕いずれか記載の2,6−ジプレニル−4−ビニルフェノールの生成方法、
に関する。
化学反応や酵素反応を用いる従来法に比べると、加熱処理は、低エネルギーの方法であり、労力の点でも簡便な方法といえる。
中でも、前記加熱処理は、処理予定のプロポリスおよび金属塩を含む組成物を加熱および加圧しやすい観点から、オートクレーブ処理することが好ましい。使用するオートクレーブ装置については、加熱処理時に前記温度および圧力の範囲に調整できるものであればよく、特に限定はない。
例えば、プロポリスを含有する組成物として、プロポリスのエタノール抽出物を、金属塩として炭酸水素ナトリウムを使用する場合について以下に挙げる。
プロポリスのエタノール抽出物は、それに含まれているプロポリスの固形分を考慮し、希釈または濃縮する必要がある。生成反応時のプロポリスの濃度としては0.01〜20重量%程度が好ましい。実際には3〜10%程度がより反応効率が高く、より好ましい。
また、炭酸水素ナトリウムは水溶性であるため、固形のままプロポリスのエタノール抽出物に添加して反応させるよりも、水に溶かして添加する方が反応性は高く、より好ましい。実際には0.01〜3重量%の炭酸水素ナトリウム水溶液が好ましく、0.05〜0.3重量%程度の水溶液にして、両者を反応させるとさらに好ましい。
なお、本発明では、エタノール抽出物以外の組成物、炭酸水素ナトリウム以外の金属塩を適当に選択した場合でも、それぞれ反応効率を考慮して適当な条件を調整すればよい。
さらに、精製したDPVPであれば常法に基づいて、注射剤、点滴剤に配合して使用してもよい。
天然高分子化合物を含む組成物であるプロポリスエキスと、金属塩の混合物であるコーヒー抽出物との混合物を加熱処理することにより、反応後組成物中のDPVPの含有量を増加させ、また反応後組成物の生理活性も上昇させることができる。以下の実施例1〜5では、プロポリスエキスとコーヒー抽出物との加熱処理方法、得られた反応後組成物の特徴的な分析結果、さらに、反応後組成物の生理活性について抗菌作用の2試験と、抗癌評価系の一つである細胞増殖抑制作用試験について示す。
プロポリスエキス(ブラジル産プロポリス原塊のエタノール抽出物。固形分13%。以下実施例における「プロポリスエキス」はこれを用いる。)1.0g、インスタントコーヒー(味の素ゼネラルフーヅ株式会社「Blendy」(登録商標)。以下実施例における「インスタントコーヒー」はこれを用いる。)0.1g、水5mlを混合し(混合物のpHは4.7)、オートクレーブ(SANYO LABO AUTOCLAVE)にて130℃、20分間、0.2MPaにて加熱した。得られた反応後組成物をメタノールにて50mlにメスアップし、このうちの10μlをHPLCにより分析した。
HPLC分析は以下条件にて行った。
カラム:逆相用カラム「Develosil(登録商標)C−30−UG−5」(4.6mmi.d.×250mm)
移動相:A・・・H2O(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)), B・・・アセトニトリル(0.1%TFA)
流速:1ml/min
注入:10μl
検出:254nm
勾配(容量%):80%A/20%Bから20%A/80%Bまで30分間、20%A/80%Bから100%Bまで5分間、100%Bで10分間(全て直線)
上から、プロポリスエキス、コーヒー抽出物、プロポリスエキスとコーヒー抽出物の混合物、プロポリスエキスとコーヒー抽出物の混合物を加熱処理した反応後組成物についてのHPLC分析結果である。プロポリスエキスとコーヒー抽出物を加熱処理した反応後組成物は加熱処理前のプロポリスエキスおよび加熱処理前のプロポリスエキスとコーヒー抽出物の混合物と比較し、HPLCプロフィールが変化していた。特に「※」印で示したピークであるDPVPについては、加熱処理前に比べて、反応後組成物中の含有量は10倍程度に増加していることが確認された。
プロポリスエキス10gと10%(w/v)のインスタントコーヒー水溶液10mlを混合し(混合物のpH5.1)、オートクレーブ(SANYO LABO AUTOCLAVE)にて130℃、20分間、0.2MPaで加熱した。得られた反応後組成物はさらに凍結乾燥処理を行い、黄褐色の粉体を得た。これを以下実験に使用した。
菌体は独立法人製品評価技術基盤機構NBRCより購入した枯草菌(Bacillus subtilis NBRC 3134)およびブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp. aureus NBRC 12732)を用いて行った。菌体の立ち上げ、培養方法はNBRC指定の培養液であるNo.702およびNo.802を調整、使用し、培養温度もNBRC指定の温度に従い、それぞれ30℃、37℃にて行った。
ペーパーディスク法の実験方法((寒天)培養液、培養方法、試験準備、試験方法)はBSAC標準化ディスク感受性試験法(第8版)(以下、BSAC standardized disc susceptibility testing method)に従い行った。
試料の種類は、実施例2で得たプロポリスエキスとコーヒー抽出物の反応後組成物に加え、プロポリスエキスとコーヒー抽出物の混合物(加熱処理なし)、プロポリスエキス(加熱処理なし)をそれぞれ、プロポリスエキス含有量が150ppmおよび100ppmとなるように80%エタノールに溶解し調整した。また、ポジティブコントロールは医薬品として使用される抗菌成分のクロラムフェニコール(Chloramphenicol Wako 036−10571)を80%エタノールに溶解し調整し、ネガティブコントロールは80%エタノールを用いた。
このように調整した試料をペーパーディスクに浸し、充分に乾燥させた後に、枯草菌およびブドウ球菌を播種した寒天培地の上に配置し、培養を行い、24時間後、阻止円の測定を行った。
試料Aはプロポリスエキス、試料Bはプロポリスエキスとコーヒー抽出物の混合、試料Cはプロポリスエキスとコーヒー抽出物の混合物を加熱処理させ、得られた反応後組成物を示す。これら試料の名称は以下実験にも同試料として使用する。
表1−2について、ペーパーディスク法より得られた各試料の抗菌活性の有無を示した。(+)の表記は阻止円が形成されたことを示し、その数は阻止円の大きさを示す。(+)は直径1cmまで、(++)は直径1cm〜2cmまで、(+++)は直径2cm以上であることを示す。
80%エタノールにて阻止円が形成されず、またクロラムフェニコールの阻止円の大きさが充分であったことはBSAC standardized disc susceptibility testing methodに記載されているデータに相当していることから、本実施例の信頼性が示されている。
本結果より、プロポリスエキス、プロポリスエキスとコーヒー抽出物の混合物、その加熱処理後の組成物は全て、充分な大きさの阻止円を得ることができ、よって、充分な抗菌活性を有することが示された。
菌体は、実施例3と同じ枯草菌を用いて行い、実験方法はBSAC standardized disc susceptibility testing methodに従い行った。
試料調整については、(実施例2)より得られた反応後組成物の凍結乾燥品をDMSOに溶解し、これを200倍希釈となるように寒天培養液に懸濁し、寒天培地を作製した。試料の種類は、実施例2より得られるプロポリスエキスとコーヒー抽出物の反応後組成物に加え、プロポリスエキスとコーヒー抽出物の混合物(加熱処理なし)、プロポリスエキス(加熱処理なし)、さらにポジティブコントロールとしてクロラムフェニコール、ネガティブコントロールとしてDMSOを用いた。
菌体はそれぞれ血球計算版を用いて細胞数を測定し、1×106cells/mlに調整し、各寒天培地に5μl/スポットにて28スポットを作製した。これを培養し、24時間後、菌体の生育が発生したスポット数をカウントした。
数値は各濃度において枯草菌が発生したスポット数である。DMSOにおいて全28スポットが発生し、またクロラムフェニコールのスポット発生抑制濃度はBSAC standardized disc susceptibility testing methodに記載されているデータに相当していることから、本実施例の信頼性が示されている。
したがって、前記反応後組成物のようにDPVPを有効成分として含有する組成物は、抗菌剤として使用できることがわかる。
細胞の培養としては、高栄養培地RPMI−1690(SIGMA R0883)に、4mMグルタミン(L−Glutamine SIGMA G8540−100G)、10% FBS(Foetal Bovine Serum Biological industries 04−001−1A)を添加したものを培養液とし、継代培養を行った。試験は細胞培養用96ウェルプレート(corning 3595)を用いた。試験当日にHL−60細胞を1.5×105cell/mlとなるように細胞数を調整し、96ウェルプレートに、1ウェルあたり100μlずつ播種した。
試料調整については、実施例2より得られたものをDMSO(ジメチルスルホキシド、Wako 046−21981)にて20mg/mlに溶解し、これを200倍希釈(実験系内は100μg/ml)となるようにHL−60細胞の培養液に懸濁し、試験を開始した。試料の種類は、実施例2より得られるプロポリスエキスとコーヒー抽出物の反応後組成物に加え、プロポリスエキスとコーヒー抽出物の混合物(加熱処理なし)、プロポリスエキス(加熱処理なし)、さらに、ネガティブコントロールとしてDMSOを用いた。
細胞増殖抑制効果の検出はcell counting kit−8(DOJINDO 347−07621)を用いて検出を行った。試験開始より24時間後、各ウェルにcell counting kit−8の検出液を10μl添加し、よく攪拌した。その後遮光反応を行い、プレートリーダー(BIO−RAD Model 680)を用いて450nmにて吸光度の測定を行い、得られたデータを処理した。
図2について、縦軸は細胞生存率を、横軸はそれぞれの試料について示している。また、細胞生存率とは、DMSOを添加した培養液にて処理を受けた細胞の生存細胞数を100%とし、それぞれの試料100μg/mlにおける細胞の生存細胞数を相対値として算出した値である。
プロポリスエキスとコーヒー抽出物の混合物を加熱処理した反応後組成物(図中、C)は、加熱処理前のプロポリスエキス(図中、A)および加熱処理前のプロポリスエキスとコーヒー抽出物の混合物(図中、B)よりも、細胞生存率が低く、HL−60細胞の増殖を抑制する効果がより高いことが示唆される。
また、これより得られた結果について、Tukey HSD(honestly significant difference)検定を行った結果、それらの有意差はAC間で0.006、BC間で0.035であり、本データは充分な有意差を得ている。
実施例1〜5の結果から、加熱処理により、反応後組成物中に特にDPVPの含有量が増加していることが示され、また反応後組成物の生理活性は加熱処理前の物と比較し、さらに優れた効力を有することが示された。したがって、特に含量の増加した化合物としてDPVPを精製し、その生理活性を検証した。以下、実施例6以降にて、反応後組成物よりDPVPを精製する手法、およびDPVPの生理活性(抗酸化作用、抗菌作用、抗癌作用)について示す。
実施例2で得られた反応後組成物について、以下の条件にて分取カラムにて分画精製を行った。
カラム:Develosil(登録商標) C−30(20mmi.d.×250mm)
移動相:A・・・H2O, B・・・アセトニトリル
流速:10ml/min
注入:1ml
検出:254nm (UV)
勾配(容量%):50%A/50%Bから20%A/80%Bまで30分間、20%A/80%Bから100%Bまで5分間、100%Bで10分間(全て直線)
実施例6より得られた精製物について、実施例1と同様の手法により、HPLC分析を行い、高純度のDPVPが得られている事を確認した。このことはNMR分析でも確認された。この結果を図3に示す。なお、図3の上図は、実施例2より得た反応後組成物、下図は精製後のDPVPである。HPLC結果より、「※」印で示されたDPVPが単離されていることが示されている。
反応後において、プロポリスエキス10g(固形分は13.0%)あたりからは、DPVPは40.8mg回収された。これはプロポリス1.3gあたりDPVP40.8mg回収したことに相当する(プロポリス固形物1gからは、DPVP31.3mg回収されたことになる)。
一方、これまで報告されているDPVPの精製では、例えば、特許文献17において、プロポリス原塊550gについて、水蒸気蒸留処理を120℃、5時間行うことにより、得た精油からDPVPを27mg回収している。これはプロポリス固形分1gから、DPVP0.049mg回収されたことになる。
したがって、本発明の方法では、従来法に比べてプロポリスから得られるDPVPの収量は、600倍以上も多いものである。この結果から、本発明の方法は、従来、工業的な生産が困難であったDPVPの生成を可能にしていることがわかる。
なお、水蒸気蒸留処理は、反応系で使用される水系溶媒の加熱可能な温度は100℃程度が限界であることから、DPVPを含む組成物の加熱温度は実質的には100℃程度になっている。また、プロポリス原塊を加熱溶媒により抽出処理をする方法も知られているが、90℃までの温度に溶媒を加熱して処理を行うことが一般的である。このように従来法では、プロポリスを含む組成物が加熱される温度は100℃以下であったことから、プロポリスに予め存在している極めて微量のDPVPを精製するに留まっていたと考えられる。
上記のように精製されたDPVPを用いて、抗酸化効果の試験を行った。試験はDPPH(1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル:1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)ラジカル消去法を採用し行った。以下手法について挙げる。
DPPHラジカル消去法の主な実験方法については、「食品機能研究法」(株式会社光琳発行、篠原和毅、鈴木建夫、上野川修一編著、2000年)に記載の手法を参考に試験を進めた。試料はArtepillin C(Wako 016−19131)および(実施例6)より得たDPVP、α−トコフェロール(Wako 209−01791)を75%EtOHにて溶解し、各濃度にて調整を行った。また、DPPH反応液については400μM DPPH(SIGMA D9132)、50mM MES(2−モルホノエタンスルホン酸(2-Morpholinoethanesulphonic acid) DOJINDO 345−01625)、75%EtOHとなるように調整した。反応は96ウェルプレート(アズワン 1−6776−03)にて行い、試料とDPPH反応液を100μlずつ入れ、混合、遮光静置を20分間行い、プレートリーダーにて520nmにおける各吸光度を測定した。
Artepillin Cはプロポリスに含まれる生理活性化合物であり、抗酸化作用、抗菌作用、抗癌作用等の多様な生理活性を示すことがすでに報告されている。図4から分かるように、DPVPはArtepillin Cよりラジカル残存率が低く、優れた抗酸化作用を有している。また、表3に示すようにDPVPのIC50(50%阻害濃度:half maximal inhibitory concentration)100μMは、Artepillin Cの180μMよりも低かった。すなわち、DPVPはArtepillin Cよりも抗酸化能力が高いことが明らかとなった。なお、DPPHラジカル残存率とは、試料に75%EtOHを用いた場合に検出されたDPPHラジカル残存量を100%とし、それぞれの試料におけるDPPHラジカル残存量を相対値として算出した値である。
次に、DPVPの抗菌作用について寒天希釈法による抗菌活性試験により評価した。試料はArtepillin Cおよび実施例6より得たDPVPを用い、実験方法については実施例4と同様に、菌体は枯草菌について行った。なお、各試料の濃度は、表4に示すように設定した。
DPVPおよびArtepillin Cをそれぞれ250mMにて得られた結果において、Artepillin Cでは28スポット全てにおいてコロニーが確認されたのに対して、DPVPではスポットは全く発生せず、つまり、枯草菌に対する抗菌作用を有し、DPVPはArtepillin Cよりも強い抗菌力を有することが示唆された。したがって、DPVPを有効成分とする抗菌剤は従来のものよりも顕著な作用を奏すると考えられる。
次にDPVPの抗癌作用について検討するため、cell counting kit−8による癌細胞増殖抑制作用について評価した。試料はArtepillin Cおよび(実施例6)より得たDPVPを用い、細胞はHL−60を用い、実験方法については(実施例5)と同様に実施した。
図5より、DPVPはArtepillin Cよりも、細胞生存率が低く、HL−60細胞の増殖を抑制する効果がより高いことが示唆される。
すなわち、DPVPの癌細胞増殖抑制効果はArtepillin Cよりも強力であることが示された。したがって、DPVPを有効成分とする細胞増殖抑制剤は、従来のものよりも顕著な作用を奏すると考えられる。
なお、細胞生存率とは、DMSOを添加した培養液にて処理を受けた細胞の生存細胞数を100%とし、それぞれの試料における細胞の生存細胞数を相対値として算出した値である。
細胞はHL−60を用いて実施し、細胞の継代培養は実施例5と同様に行った。試験当日にHL−60細胞を5.0×105cells/mlとなるように96ウェルプレートに播種し、Artepillin Cおよび(実施例6)より得たDPVPをDMSOにて調整、目的濃度となるように200倍希釈にて添加した。24時間培養を行い、細胞を回収し、PBS(Dulbecco’s P
BS(−) Wako 041−20211)にて細胞を洗い、Quick Apoptotic DNA Ladder Detection Kit(BioVision Research Products K120−50)を用いて細胞からDNAの回収を行った。得られた試料について、1%アガロースゲル(Takara agarose L03 5003)を用いて25Vにて4時間電気泳動を行い、染色反応はエチジウムブロマイド(Ethidium Bromide Solution BIO−RAD 161−0433)を用いて行った。
図6は、各試料のDNA抽出物の電気泳動写真のイメージであり、電流は上から下に流されている。レーン左より、通常培養細胞(第1レーン)、DMSO処理(第2レーン)、DPVP100μM処理(第3レーン)、Artepillin C 100μM処理(第4レーン)、Artepillin C 300μM処理(第5レーン)、マーカーλ/Pst(第6レーン)を流した。通常培養細胞及びDMSO処理細胞ではDNA ladderが確認されない点から、本実験の信頼性が確認できる。
また、DPVPを100μMにて処理した細胞にてDNA ladderが確認できるのに対して、Artepillin Cでは同濃度の100μMではDNA ladderが確認されず、300μMにて確認することができた。これより、DPVPはアポトーシスを誘導する効果を有し、その効力はArtepillin Cよりも高いことが示された。
したがって、DPVPを有効成分とする抗癌剤は、従来のものよりも顕著な作用を奏すると考えられる。
次に、様々な優れた生理活性を有するDPVPを効率的に増加させるためのより詳細な条件を検討した。
加熱時間を20分と固定し、プロポリスエキス1.0g、金属塩としてリン酸マグネシウム7.8mg、水5mlを混合し、オートクレーブにて加熱温度を100℃,110℃,120℃,130℃の各条件下で反応を進行させた。得られた反応後組成物中のDPVP量を、実施例1と同様の手法により、HPLC分析を行い、DPVPについて測定した。
この結果から、加熱温度が高いほど、DPVPは多く生成されており、120℃の加熱時間では、加熱していない対照品に対してDPVPは10倍以上の濃度に上昇していることが確認された。従って、加熱温度は120℃以上が好ましいことが明らかとなった。
次に、プロポリスエキス1.0g、金属塩としてインスタントコーヒー0.1g、水5mlを混合し、オートクレーブにて加熱温度を130℃と固定し、加熱時間10分、20分、30分の各条件下で反応を進行させた。得られた反応後組成物中のDPVP量を、実施例1と同様の手法により、HPLC分析を行い、DPVPについて測定した。
次に、オートクレーブによる加熱条件を加熱温度130℃、加熱時間20分と固定し、反応に供する組成物をプロポリスエキス1.0g、金属塩としてインスタントコーヒー0.1gをベースとして固定し、添加する水の量をそれぞれ1ml,2ml,3ml,4ml,5mlとし、各条件下で反応を進行させた。得られた反応後組成物中のDPVP量を、実施例1と同様の手法により、HPLC分析を行い、DPVPについて測定した。
次に、オートクレーブによる加熱条件を加熱温度130℃、加熱時間20分と固定し、反応に供する組成液をプロポリスエキス2.0g、添加する水の量9mlをベースとして固定し、金属塩の供給源として及びpH調整のために水酸化ナトリウムを用いて、反応開始前の組成物のpHをそれぞれ5,6,7,8,9,10,11,12,13とし各条件下で反応を進行させた。得られた反応後組成物中のDPVP量を、実施例1と同様の手法により、HPLC分析を行い、DPVPについて測定した。
その結果、DPVPの生成量はpHにより異なり、好ましい組成液pHが存在することが伺えた。具体的には、組成液のpHとしては7〜11においてDPVPのピーク面積は大きかった。DPVPを生成する効率から考えて、金属塩として水酸化ナトリウムを使用する場合の反応前の組成液のpHは7〜11が好ましいと考えられた。ただし、金属塩として炭酸水素ナトリウムを使用する場合は、反応が進行中に組成液のpHは変化すると考えられ、一概に反応前の組成物のpHの最適条件を示すことはできない。さらには、前述の実施例1、2、13で金属塩として反応に用いた、コーヒー豆由来の抽出物などの金属塩の混合物も同様に、反応の進行中に、混合物中に含まれる物質が与える影響は様々であり、その反応は複雑であると考えられる。すなわち添加する金属塩の種類により反応前組成液の最適なpHは異なると考えられる。
次に、オートクレーブによる加熱条件を加熱温度130℃、加熱時間20分と固定し、反応に供する組成物をプロポリスエキス1.0g、添加する水の量5mlをベースとして固定し、各種金属塩および酸によるDPVP量の増加効果を検討した。その結果を表9に示した。
上記の金属塩は、いずれも食品に添加できるものから適当に選択したものであり、他の金属塩でも類似のDPVP量の増加効果を有すると考えられる。
また、表9中の金属塩の中で、マグネシウム塩ではリン酸マグネシウム、カルシウム塩では、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、ナトリウム塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、カリウム塩としては、炭酸カリウム、リン酸水素2カリウム、亜鉛塩としてはグルコン酸亜鉛、銅塩としてはグルコン酸銅、鉄塩としてはクエン酸鉄アンモニウム、金属塩の混合物としてはミネラルプレミックス、硬水、インスタントコーヒーが優れた添加効果を奏していた。
また、得られたDPVPを含む反応後組成物のうち、硬水とインスタントコーヒーを用いたものについては、風味の点でも好ましいものであり、特にインスタントコーヒーを用いたものはDPVPのマスキング効果が最も認められた。
なお、金属カチオンと塩を形成していない乳酸、グルタミン酸、グルコン酸などの酸類では、その効果は非常に弱いものであり、金属塩としての存在が必要であることが明らかとなった。
Claims (6)
- プロポリスを含有する組成物を、金属塩の存在下において、前記組成物温度120℃以上に加熱処理することを特徴とする、2,6−ジプレニル−4−ビニルフェノールの生成方法。
- 前記加熱処理における圧力条件が0.1MPa以上である、請求項1記載の2,6−ジプレニル−4−ビニルフェノールの生成方法。
- 前記金属塩が、マグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、銅塩、ミネラルウォーターおよび植物由来の抽出物から選ばれる1種以上である、請求項1または2記載の2,6−ジプレニル−4−ビニルフェノールの生成方法。
- 前記植物由来の抽出物が、コーヒー豆由来の抽出物である請求項3記載の2,6−ジプレニル−4−ビニルフェノールの生成方法。
- 前記プロポリスを含有する組成物がプロポリス抽出物である、請求項1〜4いずれか記載の2,6−ジプレニル−4−ビニルフェノールの生成方法。
- 前記加熱処理がオートクレーブ処理である請求項1〜5いずれか記載の2,6−ジプレニル−4−ビニルフェノールの生成方法。
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