JP2014227339A - マイコスポリン様アミノ酸及びその製造方法、紫外線防護剤、並びに抗酸化剤 - Google Patents

マイコスポリン様アミノ酸及びその製造方法、紫外線防護剤、並びに抗酸化剤 Download PDF

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Abstract

【課題】マイコスポリン様アミノ酸及びその製造方法、紫外線防護剤、抗酸化剤の提供。【解決手段】式(1)に示される化合物又はその塩をノストック属の藍藻から水等の溶媒で抽出し、単離する工程を有するマイコスポリン様アミノ酸の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、様々な分野に適用することができるマイコスポリン様アミノ酸及びその製造方法、紫外線防護剤、並びに抗酸化剤に関する。
従来より、シクロヘキセノンやシクロヘキセニミンを基本骨格とし、それにアミノ酸又はアミノアルコールが結合した構造を有するアミノ酸誘導体としてマイコスポリン様アミノ酸(Mycosporine-like amino asids:MAA)が知られている。マイコスポリン様アミノ酸は、海藻、海産動物、微細藻等の海洋生物、及び菌類等に広く分布している。また、マイコスポリン様アミノ酸は、波長300〜400nm付近のUV−A,Bの領域に最大吸収波長を有する水溶性化合物であり、海洋生物等は、生体内において紫外線吸収物質として、紫外線による傷害を抑制するために保有しているものと考えられている。
特許文献1に開示されるように、マイコスポリン様アミノ酸として、例えばシノリン、ポルフィラ−334、パリシン等が知られている。これらのマイコスポリン様アミノ酸は、海苔等の紅藻類に多く含有されている。特許文献1は、紅藻類の抽出液を微生物発酵により抗酸化物質を生成させ、飲食品等に適用する構成について開示する。特許文献2は、藻類から得られたマイコスポリン様アミノ酸を所定条件下で加熱することにより抗酸化物質を生成させ、飲食品等に適用する構成について開示する。
特開平10−77472号公報 特開2008−247901号公報 特開平9−149774号公報
ところで、特許文献3に開示されるように、従来より藍藻の属の一つとしてノストック属(念珠藻(Nostoc)属)が知られている。ノストック属としては、例えば、髪菜(Nostoc flagelliforme)、葛仙米(Nostoc sphaericum)、イシクラゲ(Nostoc commune)等が知られている。ノストック属は、蛋白質、ビタミン類、多糖類、各種ミネラルを豊富に含有しており、古来より中国や日本等のアジア、ペルー等の南米において食用に供されてきた。
本発明は、藍藻の一種であるノストック属より、新規マイコスポリン様アミノ酸を得たことに基づくものである。本発明の目的とするところは、様々な分野に適用することができるマイコスポリン様アミノ酸及びその製造方法を提供することにある。別の目的とするところは、例えば、医薬品及び飲食品の分野に適用することができる紫外線防護剤及び抗酸化剤を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の一態様では、マイコスポリン様アミノ酸において、下記一般式(1)に示される構造を有する化合物又はその塩であることを特徴とする。
また、本発明の別の態様では、紫外線防護剤において、前記マイコスポリン様アミノ酸を有効成分として含有することを特徴とする。また、本発明の別の態様では、抗酸化剤において、前記マイコスポリン様アミノ酸を有効成分として含有することを特徴とする。
また、本発明の別の態様では、下記一般式(1)に示される構造を有する化合物又はその塩であるマイコスポリン様アミノ酸の製造方法であって、水、親水性有機溶媒、又は水と親水性有機溶媒との混合液を用いてノストック属より前記マイコスポリン様アミノ酸を含む抽出物を抽出する工程と、前記抽出物から前記マイコスポリン様アミノ酸を単離する工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、様々な分野に適用することができるマイコスポリン様アミノ酸及びその製造方法、紫外線防護剤、並びに抗酸化剤を提供することができる。
試験例1により精製した化合物1のNMRデータ。 試験例1により精製した化合物1の構造を示す図。
以下、この発明を具体化した実施形態を詳細に説明する。
本実施形態のマイコスポリン様アミノ酸は、下記一般式(1)に示される構造を有する。
前記一般式(1)に示される新規マイコスポリン様アミノ酸は、ポルフィラ−334(Porphyra-334)の13位にガラクトースがβ結合した13-O-(β-Galactosyl)-Porphyra-334であり、分子式C2032213、分子量508.47である。
この新規マイコスポリン様アミノ酸は、優れた紫外線防護作用及び抗酸化作用を有している。したがって、それらの作用効果を得ることを目的とした紫外線防護剤又は抗酸化剤として好ましく適用することができる。
本実施形態の新規マイコスポリン様アミノ酸を紫外線防護剤として使用する場合、それらの新規マイコスポリン様アミノ酸を紫外線防護剤の有効成分(紫外線防護素材)として使用する。新規マイコスポリン様アミノ酸を紫外線防護剤として適用する場合、具体的な配合形態としては、紫外線防護の作用効果を得ることを目的とした皮膚外用剤、医薬品、医薬部外品、化粧料、飲食品、及び試験・研究用試薬等として適用することができる。紫外線防護剤は、特に皮膚表面への塗布により、その作用効果を有効に発揮することができる。したがって、上記配合形態のうち、紫外線防護作用を得ることを目的とした化粧料又は皮膚外用剤として適用されることが好ましい。また、白内障等の紫外線が原因とされる眼疾患の予防を目的とした点眼薬として構成してもよい。
紫外線防護剤を化粧料に適用する場合、化粧料基材に配合することにより製造することができる。化粧料の形態は、乳液状、クリーム状、粉末状等のいずれであってもよい。このような化粧料を肌に適用することにより、紫外線防護作用を得ることができる。化粧料基剤は、一般に化粧料に共通して配合されるものであって、例えば、油分、精製水及びアルコールを主要成分として、界面活性剤、保湿剤、酸化防止剤、増粘剤、抗脂漏剤、血行促進剤、美白剤、pH調整剤、色素顔料、防腐剤及び香料から選択される少なくとも一種が適宜配合されてもよい。
紫外線防護剤を医薬品又は医薬部外品として使用する場合は、好ましくは皮膚外用剤の形態が採用される。剤形としては、特に限定されないが、例えば、軟膏、液剤、スプレー剤、シート剤、散剤、粉剤が挙げられる。また、添加剤として賦形剤、基剤、乳化剤、溶剤、安定剤等を配合してもよい。その他、紫外線防護剤を医薬品又は医薬部外品として使用する場合は、点眼、服用(経口摂取)により投与する場合の他、皮下注射、血管内投与、経皮投与等のあらゆる投与方法を採用することが可能である。剤形としては、特に限定されないが、例えば、散剤、粉剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、坐剤、液剤、注射剤等が挙げられる。また、添加剤として賦形剤、基剤、乳化剤、溶剤、安定剤等を配合してもよい。
紫外線防護剤を飲食品に適用する場合、紫外線防護剤を飲食品そのものとして、又は種々の食品素材又は飲料品素材に配合して使用することができる。飲食品の形態としては、特に限定されず、液状、粉末状、ゲル状、固形状のいずれであってもよく、また剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、ドリンク剤のいずれであってもよい。その中でも、吸湿性が抑えられ、保存安定性に優れることから、カプセル剤であることが好ましい。前記飲食品としては、その他の成分としてゲル化剤含有食品、糖類、香料、甘味料、油脂、基材、賦形剤、食品添加剤、副素材、増量剤等を適宜配合してもよい。
本実施形態の新規マイコスポリン様アミノ酸を抗酸化剤として使用する場合、それらの新規マイコスポリン様アミノ酸を抗酸化剤の有効成分(抗酸化素材)として使用する。抗酸化剤は、油脂の酸化劣化、香料の劣化、色素の分解、色素の退色等の様々な製品の劣化(主に酸化劣化)を効果的に抑えるための劣化防止剤として飲食品(飲料品又は食品)や医薬品中に添加して利用され得る。また、抗酸化剤は、健康食品等の飲食品又は医薬品に含有させて利用することにより、経口摂取した生体内で活性酸素を消去して、健康増進作用を発揮する。さらに、抗酸化剤は、化粧品、皮膚外用剤、又は医薬部外品中に含有させて利用することも可能であり、含有成分の酸化防止の他、皮膚や口腔等の老化の防止等が期待される。また、抗酸化作用を得ることを目的とした試験・研究用試薬等として適用してもよい。これらの飲食品等の各形態の具体的構成は、前述した紫外線防護剤と同様の構成を採用することができる。
次に、上記のように構成された新規マイコスポリン様アミノ酸の作用を説明する。
本実施形態の新規マイコスポリン様アミノ酸は、上記一般式(1)のポルフィラ−334の13位にガラクトースがβ結合した13-O-(β-Galactosyl)-Porphyra-334である。この新規マイコスポリン様アミノ酸は、優れた紫外線防護作用及び抗酸化作用を有していることから、例えば皮膚外用剤、化粧品、医薬品、飲食品等の様々な種類の用途に利用することができる。
次に、上記のように構成された新規マイコスポリン様アミノ酸の製造方法を説明する。
上記一般式(1)で表される新規マイコスポリン様アミノ酸は、藍藻の属の一つであるノストック属を抽出原料として、抽出工程及び単離工程を経ることにより得られる。また、公知の有機化学合成法(半合成を含む)を利用することにより合成してもよい。抽出原料として用いられるノストック属としては、例えば、髪菜(Nostoc flagelliforme)、葛仙米(Nostoc sphaericum)、イシクラゲ(Nostoc commune)等が挙げられる。これらの中で、上記一般式(1)の成分が多く含有される葛仙米(Nostoc sphaericum)が抽出原料として好ましく適用される。
上記抽出原料から上記一般式(1)で表される新規マイコスポリン様アミノ酸の抽出方法は、公知の抽出溶媒、例えば水、親水性有機溶媒、又は水と親水性有機溶媒との混合液に対して溶解成分を抽出する方法、並びに水及び炭酸ガス等を超臨界流体として使用する超臨界抽出法等が挙げられる。これらの中で新規マイコスポリン様アミノ酸を効率よく抽出することができる抽出溶媒を用いた抽出処理法が好ましく適用される。本実施形態において用いられる親水性有機溶媒としては、エーテル類、低級アルコール類、例えばエタノール、メタノール、及びイソプロパノール、ケトン類、例えばアセトン及びメチルエチルケトン、クロロホルム、酢酸エチル、ヘキサン等を適宜選択して使用することができる。これらの親水性有機溶媒を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、本願成分の抽出効率の高い低級アルコールが好ましい。尚、抽出溶媒中に、水及び親水性有機溶媒以外の溶媒が少量含有されてもよいし、その他の添加剤、例えば、有機塩、無機塩、緩衝剤、及び乳化剤等が溶解されてもよい。
抽出方法としては、公知の抽出方法、例えば冷却抽出、常温抽出、及び加熱抽出のいずれの方法を用いてもよい。また、抽出温度は溶媒の種類、抽出効率、成分の劣化等に応じ適宜設定することができる。
抽出操作としては、抽出溶媒中に原料である上記ノストック属を所定時間浸漬させることにより行われる。その際、抽出溶媒中における原料の濃度は、溶媒の種類、抽出効率、抽出後の濃縮処理の効率等に応じ適宜設定される。抽出時、原料であるノストック属は、抽出効率を上げる観点から適宜粉砕処理してもよい。
こうした抽出操作においては、抽出効率を高めるべく、必要に応じて攪拌処理、加圧処理、及び超音波処理等の処理をさらに行ってもよい。また、抽出操作は同一の原料に対して一回のみ行ってもよいし、複数回繰り返して行ってもよい。そして、抽出操作の後に固液分離操作が行われることで、抽出液(抽出物)と原料の残渣とを分離する。固液分離処理の方法としては、例えばろ過や遠心分離等の公知の分離法を用いることができる。また、得られた抽出液(抽出物)は、必要に応じて適宜濃縮又は乾燥処理を行ってもよい。
単離工程は、抽出工程にて得られた抽出物中に含まれる上記新規マイコスポリン様アミノ酸を単離・精製する工程である。上記新規マイコスポリン様アミノ酸は、上記抽出物を1又は2以上のクロマトグラフィを用いて精製することにより単離される。クロマトグラフィとしては、公知のクロマトグラフィ、例えば液体クロマトグラフィ、超臨界流体クロマトグラフィ、及び薄層クロマトグラフィを用いることができる。液体クロマトグラフィとしては、例えばカラムクロマトグラフィを用いることができ、より具体的には高速液体クロマトグラフィ(HPLC)及びオープンカラムクロマトグラフィを挙げることができる。クロマトグラフィ担体としては、例えばイオン交換クロマトグラフィ、分配クロマトグラフィ(順相・逆相クロマトグラフィ)、吸着クロマトグラフィ、及び分子排斥クロマトグラフィが挙げられる。クロマトグラフィの担体として、より具体的には活性炭、セライト、シリカゲル担体、ODS担体、オクチル基を有するシリカゲル担体等を用いることができる。それらのクロマトグラフィを適宜組み合わせて、公知の使用方法で上記新規マイコスポリン様アミノ酸を単離・精製することができる。上記新規マイコスポリン様アミノ酸の同定は、構造決定により、又は精製品を指標とすることにより行うことができる。また、単離・精製の際、上述した紫外線防護作用及び抗酸化作用を指標として用いてもよい。
上記実施形態の新規マイコスポリン様アミノ酸によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の新規マイコスポリン様アミノ酸は、上記一般式(1)のポルフィラ−334の13位にガラクトースがβ結合した13-O-(β-Galactosyl)-Porphyra-334である。この新規マイコスポリン様アミノ酸は、優れた紫外線防護作用及び抗酸化作用を有していることから、例えば皮膚外用剤、化粧品、医薬品、飲食品等の様々な種類の用途に利用することができる。
(2)本実施形態の新規マイコスポリン様アミノ酸を含有する紫外線防護剤は、高い紫外線防護作用を有する新規マイコスポリン様アミノ酸を有効成分として含有している。したがって、特に皮膚表面への塗布により、その作用効果を有効に発揮することができる。それにより、紫外線が原因とされる各種皮膚疾患の予防が期待される。
(3)また、本実施形態の新規マイコスポリン様アミノ酸を含有する紫外線防護剤を点眼薬として構成した場合、紫外線が原因とされる目の疾患、例えば、白内障、角膜炎等の予防が期待される。
(4)本実施形態の新規マイコスポリン様アミノ酸を含有する抗酸化剤は、高い抗酸化作用を有する新規マイコスポリン様アミノ酸を有効成分として含有している。そのため、飲食品、化粧品、皮膚外用剤、医薬品又は医薬部外品等の成分の劣化を防止して保存性を高めることができる。また、経口摂取又は経皮投与することにより健康増進効果や老化防止効果を発揮することができる。
(5)本実施形態の新規マイコスポリン様アミノ酸は、抽出原料として、好ましくは天然素材であるノストック属が用いられる。したがって、天然成分由来であるため、安全に各種用途に適用することができる。
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の新規マイコスポリン様アミノ酸は、ヒト以外の動物、例えば、ウマ、ウシ、ブタのような家畜(非ヒト哺乳動物)、ニワトリ等の家禽、或いは犬、猫、ラット及びマウス等のペット(各種飼養動物)に適用してもよい。
・上記本実施形態の新規マイコスポリン様アミノ酸は、一般式(1)で表される化合物の塩が用いられてもよい。例えば、カルボキシル基のアルカリ金属塩が挙げられる。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。
<試験例1:新規マイコスポリン様アミノ酸の精製>
(1)抽出処理
抽出原料として、ノストック属のNostoc sphaericumを使用した。かかるノストック属より紫外線吸収物質として新規マイコスポリン様アミノ酸を精製した。
まず、Nostoc sphaericum10gを500mLの培地瓶に入れた。次に、かかる培地瓶に300mLの75%エタノール(蒸留水:エタノール(1:3,v/v))を添加し、一晩攪拌した。その後、吸引濾過により固液分離し、固形分について再度、75%エタノールを使用して同様に抽出処理した。1回目及び2回目の抽出処理により得られた濾液を1Lのナスフラスコに入れ、濾液を突沸しないようエバポレートした。溶媒のエタノールを概ね除去した後、分液ロートに移し、ブタノールで2〜4回抽出し、下層(水層)を取ることで脱脂した。次に、ロータリーエバポレータで有機溶媒を除去し、残渣を凍結乾燥した。
(2)活性炭カラムクロマトグラフィ
まず、上記凍結乾燥した残渣を蒸留水10mLに溶かし、カラム処理用試料を調製した。次に、クロマトグラフィ用活性炭(和光純薬社製)約15gとセライト(セライト545、和光純薬社製)15gを混合・エタノールで懸濁し、内径2.5cm×長さ30cmのエコノカラム(BioRad社製)に詰め、蒸留水で1L以上洗浄した。
次に、前記カラム処理用試料をカラムにアプライし、エコノグラジエントポンプ(BioRad社製)を使用し、最大流速で蒸留水10分、蒸留水−80%エタノール(蒸留水:エタノール(2:8,v/v))によるリニアグラジエント溶出60分、80%エタノール20分のグラジエントプログラムで流した。2分毎にフラクションを取り、各フラクションの中でUV334nmの吸収のあるフラクションを集めた。集めた試料は凍結乾燥した。
(3)HPLCによる精製
まず、前記凍結乾燥した試料を10mLの蒸留水に溶かし、HPLC処理用試料を調製した。次に、デベロシルC8カラム(粒径3μm、内径4.6mm×長さ250mm、野村化学社製)、移動相(0.05%酢酸、5%メタノール、残部水)、流速0.7mL/分の分離条件による高速液体クロマトグラフを用いて、334nmの紫外部吸光をモニタしながら該当するピーク(溶出時間7〜9分付近)を分取した。次に、ロータリーエバポレータを用いて、ピーク部分のフラクションを40℃の温度条件の下で、溶媒であるメタノールを除去した。残った残渣は、凍結乾燥した。
次に、前記の凍結乾燥した残渣について、改めて上記HPLCと同条件にて再精製を行った。以上のように得られたピークフラクション(以下、化合物1とする)は凍結乾燥した。
<試験例2:新規マイコスポリン様アミノ酸の構造決定>
核磁気共鳴装置(以下、NMRとする)を用いて、上記の方法によって得られた化合物1の化学構造を明らかにした。
(1)試料調製
まず、上記クロマトグラフィにて精製された凍結乾燥した試料(化合物1)に重水(99.8%D)溶媒1mLを加え、よく溶解した。次に、そのうちの0.6mLを5mm径のNMRチューブに移した。次に、ケミカルシフトの基準物質としてアセトン0.05μLを加え、よく混和し、チューブにキャップをして、さらにキャップにパラフィルムを巻いた。
(2)NMRによる測定
装置として、800MHz(1H)三重共鳴(1H, 13C, 15N)型クライオジェニックプローブ付NMR装置を使用した。
まず、測定用NMR試料管を装置に挿入した。次に、重水素ロック、チューニング及びシミングを行った。次に、装置に附属している標準パルスシーケンスを使って、一次元NMRスペクトル及び各種二次元NMRスペクトルを取得した。内部標準物質にアセトン(δH: 2.22ppm(CH3), δC: 30.89ppm(CH3))を使用した。測定温度は298Kとした。一次元NMRスペクトル及び二次元NMRスペクトルの測定条件は下記表1に示す条件を適用した。
データ解析を行い、結果を図1に示す。
(3)液体クロマトグラフ/質量分析装置による構造解析
液体クロマトグラフ/質量分析装置(以下、LC−MSとする)を用いて、化合物1の化学構造解析及び分子量の推定を行った。装置として、液体クロマトグラフ/四重極飛行時間型質量分析装置(LC-qTOFMS)を使用した。分析条件として、下記表2に示す条件を適用した。
以上の結果より、化合物1は、分子量508.47、分子式C2032213、図2の式(2)に示した構造を有しており、新規マイコスポリン様アミノ酸である13-O-(β-Galactosyl)-Porphyra-334と同定した。
<試験例3:紫外線防護作用の測定>
上記のように得られた新規マイコスポリン様アミノ酸(13-O-(β-Galactosyl)-Porphyra-334)について、下記の方法に従い、紫外線(UVA及びUVB)によるヒト皮膚細胞の傷害防止効果について測定した。尚、比較対象のために、陽性対照として、マイコスポリン用アミノ酸であるシノリン、ポルフィラ−334、マイコスポリン−グリシン、パリシンを用いた。
(1)UVAによるヒト表皮角化細胞HaCaT細胞の傷害に対する防護作用の測定
まず、ヒト表皮角化細胞HaCaT(DSファーマバイオメディカル社製)を10%牛胎児血清/ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で培養した。次に、細胞濃度を2.5×10cells/mLに調節した。次に、96ウェルマイクロプレートに100μL/well(25000cells/well)で播いた。次に、24時間培養し、使用前に照射器の線量を確認した。
8−メトキシソラーレン(8-MOPS)を100ng/mL含み、被検物質をそれぞれ0.1μM,10μM,100μM,1000μM含むPBS(-)100μLに交換し、UVA(東芝社製ブラックライトを使用)を1J/cm照射した。
48時間後にセルカウンティングキット−8(和光純薬社製)を10μL加えて37℃,5%COインキュベータで1〜2時間インキュベートした後、450nmの吸光度を測定した。
450nmの吸光度と細胞数とは正の相関があるので、450nmの吸光度を細胞数として、細胞の生存率(UVAを照射していない細胞数を100とする)を算出した。被検物質の濃度の対数を横軸とし、細胞の生存率を縦軸としてプロットし、直線性を示す部分について最小自乗法を用いて回帰直線を得、生存率が50%となるときの被検物質の濃度(μM)を求め、EC50(μM)として表した。結果を表3に示す。
(2)UVBによるヒト表皮角化細胞HaCaT細胞の傷害に対する防護作用の測定
上記の(1)欄と同様の方法にて、ヒト表皮角化細胞HaCaTを96ウェルマイクロプレートに100μL/well(25000cells/well)で播いた。次に、24時間培養し、使用前に照射器の線量を確認した。
次に、被検物質をそれぞれ0.1μM,10μM,100μM,1000μM含むPBS(-)100μLに交換し、UVB(三共電気社製、UVBランプを使用)を50mJ/cm照射した。
次に、上記の(1)欄と同様の方法にて、450nmの吸光度の細胞数より、細胞の生存率(UVBを照射していない細胞数を100とする)を算出し、生存率が50%となるときの被検物質の濃度(μM)を求め、EC50(μM)として表した。結果を表3に示す。
表3に示されるように、本願発明の新規マイコスポリン様アミノ酸(13-O-(β-Galactosyl)-Porphyra-334)は、ポルフィラ−334等の他のマイコスポリン様アミノ酸に比べて著しくUV照射防護作用に優れることが確認された。
<試験例4:抗酸化作用の測定>
上記のように得られた新規マイコスポリン様アミノ酸(13-O-(β-Galactosyl)-Porphyra-334)について、下記の方法に従い、抗酸化作用としてラジカル除去能について測定した。尚、測定は、R. Re et al., Free Radical Biol. Med. 26, 1231-1237 (1999)に記載の方法に従った。
まず、7mMのABTS(2,2 ’-azino-bis(3-ethylbezothiazoline-6-sulphonic acid))メタノール溶液にペルオキソ二硫酸ジカリウムメタノールを最終濃度2.45mMとなるように添加して反応させ、ABTSラジカル溶液を調製した。次に、本反応液に種々濃度に調製した試料(新規マイコスポリン様アミノ酸)をそれぞれ添加して1時間反応させ、734nmの吸光度変化を分光光度計を用いて測定した。また、別の測定方法として、電子スピン共鳴法によって測定されるフリーラジカルモニタ(JOEL JES-FR30EX)を用い、直接ラジカルの減少量も測定した。陽性対照として、水溶性ビタミンE誘導体トロロックス(6-hydroxy-2,5,7,8-tetramethylchroman-2-carboxylic acid)を用いた。試料として蒸留水を使用した場合の数値を100とした場合、数値が50%となるときの被検物質の濃度(mM)を求め、IC50(mM)として表した。結果を表4に示す。
表4に示されるように、本願発明の新規マイコスポリン様アミノ酸(13-O-(β-Galactosyl)-Porphyra-334)は、極めて少量でラジカル除去作用を発揮することが確認された。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(a)上記一般式(1)に示される構造を有する化合物又はその塩を含有することを特徴とする皮膚外用剤、医薬品、医薬部外品、化粧料、又は飲食品。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)に示される構造を有する化合物又はその塩であることを特徴とするマイコスポリン様アミノ酸。
  2. 請求項1に記載のマイコスポリン様アミノ酸を有効成分として含有することを特徴とする紫外線防護剤。
  3. 請求項1に記載のマイコスポリン様アミノ酸を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化剤。
  4. 下記一般式(1)に示される構造を有する化合物又はその塩であるマイコスポリン様アミノ酸の製造方法であって、
    水、親水性有機溶媒、又は水と親水性有機溶媒との混合液を用いてノストック属より前記マイコスポリン様アミノ酸を含む抽出物を抽出する工程と、
    前記抽出物から前記マイコスポリン様アミノ酸を単離する工程とを有することを特徴とするマイコスポリン様アミノ酸の製造方法。
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