JP5524624B2 - 水系フィルムコーティング液、および、フィルムコーティング顆粒、ならびに、これを用いた錠剤 - Google Patents

水系フィルムコーティング液、および、フィルムコーティング顆粒、ならびに、これを用いた錠剤 Download PDF

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Description

本発明は、水系フィルムコーティング液、および、フィルムコーティング顆粒、ならびに、これを用いた錠剤に関し、特に、医薬品製剤用途において好適に用いられる水系フィルムコーティング液に関する。
医薬品固形製剤においては、副作用の低減、服用回数の低減および薬物の効果向上等を目的として、徐放性フィルムコーティングを施す場合がある。一方、低pH環境によって分解する薬物を含有する経口投与製剤においては、胃酸から薬物を保護する目的で、製剤に腸溶性フィルムコーティングを施す場合がある。したがって、低pH環境に不安定な薬物を含む製剤を腸内で徐放化させるためには、胃酸からの保護と徐放化の両方の機能を付与する必要がある。
この種のフィルムコーティングは、一般的に、錠剤や顆粒剤に施されているが、性能のバラツキを抑制するために、球形の顆粒剤に施される場合が多い。一方、医薬品固形製剤の中で最も患者に好まれる剤形は錠剤である。そこで、性能のバラツキを抑制した錠剤を得るためには、このフィルムコーティング顆粒にその他の賦形剤を配合して錠剤化することが望まれる。
錠剤化の一般的な製造技術としては、打錠機による圧縮成形が知られている。錠剤の実用的な製造性、取り扱いやすさ、輸送性を確保するためには、ある程度の圧力を加えながら圧縮成形することにより、錠剤硬度を高める必要がある。ところが、フィルムコーティング顆粒を圧縮成形して錠剤化する際、その圧縮成形時に加えられる圧力によってフィルム層(被覆層)が損傷する等して、フィルム層に要求される薬物の溶出制御性能や耐酸性が損なわれることが多い。
打錠時に加えられる機械的応力から腸溶性のフィルム層を保護する方法として、種々の方法が提案されている。例えば、フィルム軟化温度差が50℃以上ある2種類のフィルムコーティング剤を用いて顆粒に2層以上のフィルムを被覆させることにより、打錠時のフィルムダメージを低減させる方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。また、腸溶性のフィルム層の内側と外側にセルロース系のコーティング剤を被覆させることにより、打錠時の機械的応力を和らげる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
一方、メタクリル酸コポリマーLDとアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液とを混合した腸溶性フィルムコーティング剤にて顆粒を被覆し、さらにマンニトール等の水溶性糖アルコールを含有する被覆層にて被覆する口腔内崩壊錠およびその製法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。これにより、服用時のザラツキ感や違和感を低減させるとともに、崩壊性、溶解性および耐酸性を向上させることができる、とされている。
他方、腸溶性フィルムコーティング剤を用いて、素顆粒(薬物を含有する粒子)に1層のみフィルム層を被覆させた後、これを医薬品添加物粉末と混合して錠剤化する徐放性錠剤の製法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、24時間の薬効を維持した製法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この製法では、まず、低含量の薬物とアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液と結晶セルロースなどとで顆粒を製造する。その後、メタクリル酸コポリマーLDとアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液とを混合したpHに依存しないフィルムコーティング剤でその顆粒を被覆する。
更に、メタクリル酸コポリマーLDとアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液と界面活性剤とを重合したフィルムコーティング剤が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
特開平8−109126号公報 特開平6−293635号公報 特許第3746167号公報 特開平4−169522号公報 国際公開第WO2005/060939号パンフレット 特表2005−522542号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の手法によれば、複数のフィルム層を形成する必要があるので、フィルムコーティング工程が複雑化し、生産性および経済性の低下を招く。また、特許文献3に記載の手法においても、複数のフィルム層を形成し、錠剤の強度を向上させて打錠時のフィルムダメージを低減させている。その結果、上述したフィルムコーティング工程の複雑化や、生産性および経済性の低下は避けられなかった。
また、特許文献4に記載の製法により得られる徐放性錠剤は、素顆粒にフィルム1層のみ被覆した構成としている。ところが、その実施例の錠剤溶出試験結果において薬物が第1液2時間で約50%、第2液30分で約100%溶出することからも明らかなように、耐酸性および徐放性が未だ不十分なものである。そのため、その徐放性錠剤は、腸溶性の徐放性製剤として実用に耐え得るものではなかった。
さらに、特許文献5および特許文献6では打錠時のフィルムダメージについての検討がなされていない。
一方、打錠時に加えられる機械的応力に耐え得る性能をフィルム層に付与するには、フィルム層にゴムのような柔軟性を与えることが有効であると考えられる。しかしながら、柔軟性に優れるフィルムコーティング剤は粘着性も高いので、フィルムコーティング時に素顆粒(薬物を含有する粒子)の凝集やフィルム層の不均一化が発生し易い。その結果、錠剤の歩留まりの低下やフィルム性能の劣化を引き起こす傾向にある。また、これら素顆粒の凝集やフィルム層の不均一化を抑制すべく、粘着性低減剤としてタルク等を配合する対処法が知られている。しかしながら、フィルムコーティング液中でタルクが沈降したり、フィルムコーティング時に粉化する等の不都合が生じ易く、生産性やフィルム性能を犠牲にすることなく錠剤化することは、従来困難であった。
以上の通り、従来、耐酸性および徐放性に優れ、且つ、打錠に適した柔軟性を有し、生産性および経済性に優れるフィルムコーティングは知られていない。また、そのような高性能なフィルムコーティングを単一のフィルム層にて実現し得る具体的手段も知られていなかった。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、耐酸性および徐放性に優れ、且つ、打錠に適した柔軟性を有し、生産性および経済性に優れるフィルムコーティングを作製可能な水系フィルムコーティング液、および、フィルムコーティング顆粒、ならびに、これを用いた錠剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、本発明者らは、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液とメタクリル酸コポリマーLDと可塑剤と酸化チタンとを特定比率で混合して用いることにより、耐酸性および徐放性に優れ、且つ、打錠に適した柔軟性を有するフィルムコーティングが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下(1)〜(12)を提供する。
(1)アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液と、メタクリル酸コポリマーLDと、可塑剤と、酸化チタンと、メタクリル酸コポリマーLD以外の腸溶性高分子と、水とを含有し、前記アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、メタクリル酸コポリマーLD、可塑剤酸化チタンおよびメタクリル酸コポリマーLD以外の腸溶性高分子の固形分質量比が100:40〜100:5〜50:5〜30:0超30以下であり、且つ、固形分濃度が5〜20質量%である、水系フィルムコーティング液。
(2)前記腸溶性高分子の平均粒子径が25μm以下である、前記()に記載の水系フィルムコーティング液。
)前記腸溶性高分子がメタクリル酸コポリマーLを含有する、前記(1)又は(2)に記載の水系フィルムコーティング液。
)前記可塑剤が、クエン酸トリエチル、トリアセチン、グリセリン、フタル酸ジブチルおよびプロピレングリコールからなる群より選ばれる1種または2種以上である、前記(1)〜()のいずれか一項に記載のフィルムコーティング液。
)薬物を含有する素顆粒と、該素顆粒の外周を被覆する被覆層とを有し、前記被覆層は、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーと、メタクリル酸コポリマーLDと、可塑剤と、酸化チタンと、メタクリル酸コポリマーLD以外の腸溶性高分子とを含有し、前記アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸コポリマーLD、可塑剤酸化チタンおよびメタクリル酸コポリマーLD以外の腸溶性高分子の固形分質量比が100:40〜100:5〜50:5〜30:0超30以下である、フィルムコーティング顆粒。
)前記可塑剤が、クエン酸トリエチル、トリアセチン、グリセリン、フタル酸ジブチルおよびプロピレングリコールからなる群より選ばれる1種または2種以上である、前記(5)に記載のフィルムコーティング顆粒。
)前記素顆粒が、結晶セルロースを70質量%以上含む球形核粒子を含有する、前記(5)又は(6)に記載のフィルムコーティング顆粒。
)前記()〜(いずれか一項に記載のフィルムコーティング顆粒を含有する錠剤。
本発明によれば、胃内(酸性領域)では薬物をほとんど外部に放出せず、腸に到達した後に薬物を徐々に放出し得る、耐酸性および徐放性に優れる腸溶徐放性フィルムコーティング顆粒および錠剤を得ることができる。また、打錠に適した柔軟性を有するフィルムコーティングが得られるので、打錠による耐酸性および徐放性等の性能劣化を抑制することができる。さらには、過度の粘着性の発現を抑制してフィルムコーティング時の素顆粒の凝集やフィルム層の不均一化を抑制することができるので、生産性および経済性の向上が図られる。しかも、素顆粒にフィルム1層のみを被覆した構成とした場合であっても、かかる高性能なフィルムコーティングが実現されるので、生産性および経済性のより一層の向上が図られる。
実施例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 実施例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 実施例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 実施例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 実施例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 実施例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 実施例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 実施例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 実施例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 実施例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 実施例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 比較例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 比較例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 比較例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 比較例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。 比較例の顆粒及び錠剤について薬物溶出率の経時変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は、この実施の形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
本実施形態の水系フィルムコーティング液(以下、単に「フィルムコーティング液」ともいう。)は、少なくとも、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、メタクリル酸コポリマーLD、可塑剤、酸化チタンおよび水を必須成分として含有する固形分濃度が5〜20質量%の水系コーティング液であって、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(a)、メタクリル酸コポリマーLD(b)、可塑剤(c)、酸化チタン(d)が、a:b:c:d=100:40〜100:5〜50:5〜30の固形分質量比で配合されてなるものである。
かかる水系フィルムコーティング液の特徴は、フィルム1層のみの構成であっても、生産性や経済性、フィルム機能を犠牲にすることなく、優れた耐酸性および徐放性を発揮する点にある。しかも、打錠時の機械的応力でフィルムが損傷しない柔軟性を有し、良好な打錠耐性および腸溶徐放性を有する被覆層(フィルムコーティング層)を作製可能な点もその特徴である。
ここで、「耐酸性および徐放性」とは、経口投与された固形製剤が、低pH領域である胃内では薬物をほとんど外部に放出しないが、高pH領域である腸内に到達すると薬物を徐々に放出する性質を意味する。具体的には、第15改正日本薬局方(以下、「局方」という。)の「溶出試験第1液」(pH1.2)中では3時間後の薬物溶出率が3%以下であり、「溶出試験第2液」(pH6.8)中では2〜20時間後に薬物溶出率が100%に到達する性質を意味する。
アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液とは、アクリル酸エチルとメタクリル酸メチルとのコポリマーの分散液である。このアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液は、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを乳化剤として用い、アクリル酸エチルとメタクリル酸メチルを水中で重合して得られる共重合樹脂の乳濁液である。その分散液は、微量のジメチルポリシロキサンを含む場合が多い。その固形分濃度は28.1〜31.5質量%であると好ましい。その分散液のより好ましい態様としては、医薬品添加物規格2003(以下、「薬添規」という。)の「アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液」の規格に適合するものである。市販品としては、オイドラギッドNE30D(デグサ)、コリコートEMM30D(BASF)等が入手可能である。
メタクリル酸コポリマーLDとは、メタクリル酸とアクリル酸エチルを、例えば、ポリソルベート80およびラウリル硫酸ナトリウム水溶液中で重合して得られる共重合体の乳濁液である。その固形分濃度は27.0〜33.0質量%であると好ましい。メタクリル酸コポリマーLDのより好ましい態様は、薬添規の「メタクリル酸コポリマーLD」の規格に適合するものである。市販品としては、オイドラギッドL30D―55(デグサ)、コリコートMAE30DP(BASF)、ポリキッドPA30S(三洋化成)等が入手可能である。
可塑剤とは、高分子物質に塑性を付与する物質であり、通常、ガラス転移点や軟化温度を低下させるものである。可塑剤の具体例としては、薬添規に収載されているクエン酸トリエチル、トリアセチン、グリセリン、フタル酸ジブチル、プロピレングリコールなどが挙げられる。好ましくは、クエン酸トリエチル、トリアセチン、グリセリン、フタル酸ジブチル、プロピレングリコールであり、より好ましくは、クエン酸トリエチル、トリアセチンであり、最も好ましくはクエン酸トリエチルである。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
酸化チタンとは、二酸化チタン(TiO)を意味し、より好ましくは、局方に収載されている規格に適合するものである。市販品としては、KA−10(チタン工業)、酸化チタン(東邦チタンニウム)等が入手可能である。
上述した、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(a)と、メタクリル酸コポリマーLD(b)と、可塑剤(c)と、酸化チタン(d)の固形分質量比は、優れた耐酸性および徐放性が発揮されるのみならず、フィルムコーティング顆粒とした際に優れた打錠耐性が発揮されるべく、本発明者らによって新たに見出されたものである。
ここで、「打錠耐性」とは、打錠時に加えられる機械的応力に耐え得る性能を意味する。より具体的には、圧縮成形された錠剤の硬度が50N以上であり、水系フィルムコーティング液を用いて作製されるキャストフィルムの引張伸度(作製方法および測定方法は、後述する実施例に記載の方法に準ずる。)が150%以上であることを意味する。かかるキャストフィルムの引張伸度は、200%以上であることがより好ましい。
水系フィルムコーティング液は、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(a)、メタクリル酸コポリマーLD(b)、可塑剤(c)および酸化チタン(d)を水と混合し、溶解および/または分散させることにより調製できる。水系フィルムコーティング液の固形分濃度は、特に限定されるものではなく、使用目的に応じて適宜調整すればよいが、5〜20質量%であることが好ましい。
アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液の配合量は、打錠に適した柔軟性、良好な打錠耐性および徐放性を付与する観点から、水系フィルムコーティング液の固形分の総質量に対し、固形分換算で、35.7質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは45質量%以上である。一方、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液の配合量の上限は、特に限定されるものではないが、過度の粘着性が発現してコーティング性が低下することを抑制する観点から、62質量%以下であることが好ましい。
メタクリル酸コポリマーLDの配合量は、良好な腸溶性を付与する観点から、水系フィルムコーティング液の固形分の総質量に対し、固形分換算で、18.2〜47.6質量%であることが好ましい。メタクリル酸コポリマーLDの配合比率は、所望の製品設計に応じて適宜決定すればよい。ただし、メタクリル酸コポリマーLDの配合比率を上げると薬物の溶出速度が早まる傾向にあり、メタクリル酸コポリマーLDの配合比率を下げると溶出速度が遅延する傾向にある。この観点から、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(a)とメタクリル酸コポリマーLD(b)との固形分質量比は、(a):(b)で100:40〜100であり、より好ましくは(a):(b)で100:40〜90であり、さらにより好ましくは(a):(b)で100:40〜85である。
可塑剤の配合量は、水系フィルムコーティング液の固形分の総質量に対し、固形分換算で、1〜25質量%であることが好ましい。上述したメタクリル酸コポリマーLDを単独で用いた場合、成膜性に劣る傾向にあるが、かかる可塑剤の配合により、成膜性を向上するのみならず、フィルム全体の膜強度を高めることができる。可塑剤の配合比率は、所望の製品設計に応じて適宜決定すればよい。ただし、可塑剤の配合比率を上げると粘着性が増加する傾向にあり、その配合比率を下げるとフィルムの成膜性が下がる傾向にある。この観点から、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(a)と可塑剤(c)との固形分質量比は、(a):(c)で100:5〜50であると好ましく、より好ましくは(a):(c)で100:5〜30である。
酸化チタンの配合量は、水系フィルムコーティング液の固形分の総質量に対し、固形分換算で、1〜20質量%であることが好ましい。また、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(a)と酸化チタン(d)との固形分質量比は、(a):(d)で100:5〜30である。酸化チタンの配合比率を上げると、フィルムの粘着性を低減できるがキャストフィルムの引張伸度が低下する傾向にある。酸化チタンの配合比率を下げるとフィルムの粘着性が上がる傾向にある。これらの観点から、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(a)と酸化チタン(d)とのより好ましい固形分質量比は(a):(d)で100:5〜20である。上述したアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液を用いると、柔軟性に優れるフィルムが得られ易い。その一方で、これらは一般的に粘着性が高いので、特に小粒子(素顆粒)へのフィルムコーティングにおける生産性が低下する傾向にある。酸化チタンは、懸濁安定性に優れ、しかも高い粘着性低減効果を有するので、水系フィルムコーティング液の懸濁安定性の向上および粘着性の低減の観点から、本実施形態の必須の配合成分である。
上記の水系フィルムコーティング液は、メタクリル酸コポリマーLD以外の腸溶性高分子(以下、単に「腸溶性高分子」という。)をさらに含有するものであることが好ましい。かかる腸溶性高分子の配合により、高pH環境における溶出速度の調整が容易となる。ここで、腸溶性高分子は、水系フィルムコーティング液から形成されるフィルム層の厚みに十分収まる粒子径に調整する必要があり、その平均粒子径が25μm以下の粉末であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。粒子径は、公知の装置を用いた粉砕処理によって適宜調整される。かかる粉砕装置としては、例えば、衝撃、摩擦、せん断等の機構を有する粉砕機が挙げられ、特に好ましい粉砕機としてはジェットミルが挙げられる。平均粒子径の測定に用いられる装置としては、レーザ回折の散乱式粒度分布測定装置が挙げられる。
腸溶性高分子の具体例としては、メタクリル酸コポリマーL(商品名:オイドラギッドL、L100、L100−55、デグサ製)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートアセテートサクシネート(商品名:AQOAT、信越化学工業製)、カルボキシメチルエチルセルロース(商品名:CMEC、:フロイント産業製)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(商品名:HPMCP、信越化学工業製)、酢酸フタル酸セルロース(商品名:CAP、和光純薬製)等が挙げられる。
腸溶性高分子として特に好ましいものは、メタクリル酸コポリマーLである。ここで、メタクリル酸コポリマーLとは、メタクリル酸とメタクリル酸メチルの共重合体の白色の粉末であり、より具体的には、薬添規の「メタクリル酸コポリマーL」の規格に適合するものである。市販品としては、オイドラギッドL(デグサ製)やL100(デグサ製)等が容易に入手可能である。
腸溶性高分子としてメタクリル酸コポリマーLを用いる場合、その配合量は、高pH環境における溶出速度調整の観点から、水系フィルムコーティング液の固形分の総質量に対し、固形分換算で、3〜20質量%であることが好ましい。また、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(a)、メタクリル酸コポリマーLD(b)、可塑剤(c)、酸化チタン(d)および腸溶性高分子(e)の固形分質量比が、(a):(b):(c):(d):(e)で100:40〜100:5〜50:5〜30:0超30以下となるように配合することが好ましい。腸溶性高分子の配合比率を上げると、薬物の溶出速度を上げることができるが、キャストフィルムの引張伸度が低下する傾向にある。腸溶性高分子の配合比率を下げると、薬物の溶出速度が遅延する傾向にある。これらの観点から、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(a)と腸溶性高分子(e)との好ましい固形分質量比は(a):(e)で100:0超30以下であり、さらに100:10〜30がより好ましい。なお、腸溶性高分子の固形分質量比を(a):(e)で100:30よりも高くすると、薬物の溶出速度が高くなるため、徐放性が低下し、またキャストフィルムの引張伸度が低下する。この観点からは、本実施形態の水系フィルムコーティング液は、腸溶性高分子の固形分質量比を(a):(e)で100:30よりも高くするよりも、むしろ腸溶性高分子を含有しない方が好ましい。
次に、フィルムコーティング顆粒について説明する。本実施形態のフィルムコーティング顆粒は、薬物を含有する素顆粒と、その素顆粒の外周を被覆する被覆層(以下、「フィルム層」等ということもある。)を有するものである。本実施形態のフィルムコーティング顆粒は、例えば、上述した水系フィルムコーティング液を、薬物を含有する素顆粒に対して、公知の方法でフィルムコーティングすることにより得ることができる。
薬物を含有する素顆粒としては、特に限定されるものではなく、例えば、高速攪拌造粒、流動層造粒、押出造粒、押出/球形化造粒法あるいは核粒子を用いた薬物レイヤリング法によって調製されたものや、薬物結晶粒子そのもの等を用いることができる。薬物の溶出制御を精緻に制御可能なフィルムコーティング顆粒を得る観点から、素顆粒は、レイヤリング法を用いて調製された球形の顆粒であることが特に好ましい。素顆粒の大きさは、製剤設計思想に基づいて適宜決定すればよいが、以降に打錠による錠剤化を実施する場合は、より小さいことが望ましい。その理由は、打錠時に印加される機械的応力によるフィルム損傷の抑制のみならず、打錠用粉末(素顆粒)の混合や輸送時および打錠時の偏析(混合成分の不均一化)の抑制に有効だからである。具体的には、素顆粒の平均粒子径が500μm以下であることが好ましく、より好ましくは300μm以下である。また、素顆粒の平均粒子径の下限は100μmであると好ましい。なお、ここでいう平均粒子径とは、篩分法によって測定される粒子径の篩下積算分布における、積算50質量%の値を意味する。
以下、核粒子を用いた薬物レイヤリング法による素顆粒の製造方法について説明する。レイヤリング法としては、核粒子に対して、薬物粉末と結合剤水溶液とを同時に供給して被覆する方法、薬物粒子の懸濁液を供給して被覆する方法、薬物水溶液を供給して被覆する方法等があるが、公知の手法を特に制限なく適用することができる。薬物粉末と結合剤水溶液とを同時に供給する場合、薬物以外の添加剤、例えば賦形剤が、適宜、薬物粉末と混合して使用することができる。薬物懸濁液や水溶液を用いる場合、流動層コーティング装置(流動層乾燥機あるいは流動層造粒機と呼ばれる場合もある。)の使用が好適である。
薬物レイヤリング法にて使用される核粒子としては、通常、薬学的に不活性であり、すなわち、薬物を含まないものが用いられる。核粒子の具体例としては、例えば、結晶セルロース、乳糖、白糖、マンニトール、トウモロコシデンプン、粉末セルロース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、部分アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、キサンタンガムおよびこれらの複合材料等が挙げられる。これらのなかでも、結晶セルロースを含有する球形核粒子の使用は、レイヤリング時に素顆粒の凝集が少ないので好ましい。特に、通常は300μm以下の核粒子を凝集させることなく薬物レイヤリングすることが困難なので、かかる観点からも結晶セルロースを含有する球形核粒子の使用が好ましく、結晶セルロースを70%以上含有する球形核粒子がより好ましい。さらに結晶セルロース100%からなる結晶セルロース製の球形核粒子が特に好ましい。ここで、「結晶セルロース」とは、第15改正日本薬局方の「結晶セルロース」の規格に適合するものを意味する。結晶セルロース製の球形核粒子の具体例としては、例えば、セルフィア<登録商標>(旭化成ケミカルズ製)が挙げられる。また、糖質系核粒子の具体例としては、例えば、ノンパレル<登録商標>(フロイント産業)などが挙げられる。
以下、薬物について説明する。薬物とは、人および動物の疾病の治療、予防、診断に使用されるものであって、器具機械ではないもののことである。その具体例としては、解熱鎮痛消炎薬、催眠鎮静薬、眠気防止剤、小児鎮痛薬、健胃薬、制酸薬、消化薬、強心薬、不整脈用薬、降圧薬、血管拡張薬、利尿薬、抗潰瘍、整腸薬、骨粗鬆症治療薬、鎮咳去炎薬、抗喘息薬、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤等の経口投与薬が挙げられる。これらの薬物は単独で使用しても、2種以上を併用しても構わない。
これらのなかでも、胃内において不安定で、且つ、薬効の持続性が必要とされる薬物が、好適に用いられる。その具体例としては、天然ペニシリン系抗生物質(ベンジルペニシリン)、ランソプラゾール、パンクレアチン、塩酸フェニルプロパノールアミン、フェニトイン、エデト酸カルシウム二ナトリウム、オメプラゾール、L−塩酸エチルシステイン、リン酸ピリドキサール、エチオナミド等が挙げられる。
水系フィルムコーティング液の素顆粒へのフィルムコーティング、すなわち被覆層の形成は、特に限定されるものではなく、公知の手法を特に制限なく適用することができる。例えば、薬物レイヤリング法と同様の装置を用い、水系フィルムコーティング液を素顆粒表面に噴霧し乾燥して、必要に応じこれを繰り返すことにより、実施することができる。かかるフィルムコーティングにおいては、内部に案内管(ワースターカラム)を有する噴流層型の流動層装置や、底部に回転機構を備えた転動流動層型の流動層装置等を使用することが好ましい。水系フィルムコーティング液の供給(噴霧)は、トップスプレー、ボトムスプレー、サイドスプレー、タンジェンシャルスプレー等の公知の手法から、使用する装置に適したものを適宜選択することができる。水系フィルムコーティング液の供給(噴霧)中は、水系フィルムコーティング液中の酸化チタンの沈降を抑制すべく、必要に応じてプロペラ等で攪拌することが好ましい。噴霧終了後、風量および温度を適宜調節して、フィルムコーティング顆粒を乾燥する。こうして、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸コポリマーLD、可塑剤および酸化チタンの固形分質量比が100:40〜100:5〜50:5〜30である被覆層によって素顆粒の外周が被覆された、フィルムコーティング顆粒を得ることができる。被覆層の形成後においては、フィルムの成膜性を高める観点から、さらに加熱処理(キュアリング)を行なうことが好ましい。
フィルムコーティングによるコーティング量(フィルムコート量)は、素顆粒の大きさ、担持(含有)される薬物の量、薬物の水への溶解度等を考慮し製剤設計思想に基づいて適宜決定すればよい。薬物を含有する素顆粒総質量に対し、被覆層の総質量が、概ね10〜50質量%程度であることが好ましく、より好ましくは15〜30質量%程度である。一方、例えば、平均粒子径が100μm以下の素顆粒を用いる場合、または、水に溶けやすい薬物を用いる場合は、薬物の溶出速度が比較的早まる傾向にある。そのような場合は、被覆層の総質量を概ね15〜80質量%程度で適宜調整し、目的の溶出特性にあわせる必要がある。溶出特性の調整方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。すなわち、徐放性製剤の場合、まず、薬物が100%溶出する時間をあらかじめ設定する。そして、その時間までに薬物を徐々に放出させるように、フィルムコーティング中の腸溶性基剤であるメタクリル酸コポリマーLD及び腸溶性高分子の配合量や、フィルムコーティング量、フィルム層の厚みを変える。ただし、溶出特性の調整方法は、これらに特に限定されるものではない。
なお、フィルムコーティング顆粒の溶出特性は、上述したように、局方「溶出試験第1液」(pH1.2)および局方「溶出試験第2液」(pH6.8)を用いて評価する。
次に、錠剤について説明する。得られたフィルムコーティング顆粒を、必要に応じて凝集粒子(粗大粒子)を篩等で除去した後、単独で、または、他の顆粒あるいは他のフィルムコーティング顆粒等とともに混合し、打錠により錠剤化することができる。ここで、通常の錠剤化と同様に、製剤学的に許容される薬物、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等の医薬品添加物や打錠用粉末を配合して腸溶徐放性顆粒含有錠とすることもできる。例えば、適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤等を選択して使用することにより、口腔内崩壊錠とすることが可能である。打錠用粉末としては、圧縮成形性が高く、適度な崩壊性を有し、且つ、できるだけフィルムコーティング顆粒に損傷を与えないような素材を選択することが好ましい。圧縮成形性の高い素材の具体例としては、例えば、結晶セルロースが挙げられる。
打錠は、常法に従い、例えばロータリー打錠機を用いること等により実施すればよく、特に限定されるものではない。フィルムコーティング顆粒や他の医薬品添加物粉末の偏析防止の観点から、強制フィーダーを使用して打錠を実施することが好ましい。錠剤中のフィルムコーティング顆粒の含有量は、成形性と崩壊性のバランスの観点から5〜70質量%の範囲が好ましく、10〜50質量%の範囲がより好ましい。
次に実施例および比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例等の部数および%は、特に断りがない限り、質量表示である。
まず、実施例および比較例における各種物性の測定方法を、以下にまとめて記す。
<キャストフィルムの引張伸度試験>
(1)ポリエチレン製のシャーレ(直径11.3cm)に、乾燥後のフィルム厚みが0.2〜0.4mmになるように、水系フィルムコーティング液を入れた。
(2)シャーレをオーブンに入れ、40℃で10時間乾燥した後、さらに80℃で1時間乾燥した。
(3)オーブン内のシャーレを取り出し、室温で冷却した。
(4)シャーレ中の乾燥フィルムを剥離して取り出し、10mm×30mmのサイズに切り出して、引張伸度試験用のキャストフィルムを得た。
(5)引張伸度試験(クリープメーター RE−33005型、(山電製))を用い、得られたキャストフィルムを測定部分の間隔が10mmとなるようにシート状の引張チャック(縦型)に挟んで固定した。そして、0.5mm/秒の速度でキャストフィルムを引っ張り、キャストフィルムが破断したときの伸び率を測定した。
<薬物の溶出試験>
薬局方、一般試験法「溶出試験法」に準じて実施した。局方に記載されている「装置2」(パドル法)を用い、パドル回転数を100rpmとし、試験液として局方に記載されている「溶出試験第1液(pH1.2)」(以下、「1液」ともいう。)および「溶出試験第2液(pH6.8)」(以下、「2液」ともいう。)を使用した。
<フィルムコーティング顆粒等の平均粒子径[μm]>
ロータップ式篩振とう機(シーブシェーカーA型、平工製作所製)を用い、JIS標準篩(JIS Z8001)にて試料20gを15分間篩分することにより、粒度分布を測定した。篩下積算分布における積算50質量%粒子径を、平均粒子径とした。
<顆粒の回収率[%]の測定>
フィルムコーティング顆粒の回収量を、用いた原料の総量(素顆粒の質量および水系フィルムコーティング液の固形分質量の和)で除し、質量%で表した。
<顆粒の凝集率[%]の測定>
レイヤリングによって得られた素顆粒あるいはフィルムコーティングによって得られたフィルムコーティング顆粒の凝集物を篩で除去した。篩を通過しなかった顆粒(凝集物)の質量を、素顆粒の全量あるいはフィルムコーティング顆粒の全量で除し、質量%で表した。
<錠剤硬度の測定>
錠剤の硬度は、錠剤硬度計(TS−75N、フロイント産業製)に錠剤をセットして自動測定し、10個の平均値をその錠剤硬度とした。
<錠剤の崩壊時間の測定>
薬局方の崩壊試験法に従って、崩壊試験機(NT−40HS、薬科機器製)に錠剤6個を入れ、水に対する崩壊性を試験した。錠剤の原形がなくなり、残留物を認めることができなくなるまでの時間を測定し、6個の平均値を崩壊時間とした。
[実施例1]
<素顆粒の調製>
結晶セルロース系球形核粒子(商品名:セルフィアCP−305、平均粒子径:385μm、旭化成ケミカルズ製)20.0kgを、転動流動型コーティング装置(マルチプレックスMP−25型、パウレック製)に仕込んだ。薬物であるリボフラビン(第一ファインケミカル製)10質量%、結合剤であるポビドン(PVP−K30、ISP製)3質量%および精製水87質量%からなるレイヤリング液を用いて、上記核粒子に対して下記の条件でレイヤリングした。このようにして得られたレイヤリング粒子を600μmの目開き篩にて篩分し、目開き篩を通過した素顆粒[G1]を20.35kg得た。
(1)給気温度 :75℃
(2)排気温度 :40〜45℃
(3)風量 :8.0m/min
(4)ローター回転数 :240rpm
(5)噴霧エア元圧 :0.6MPa
(6)噴霧エア量 :400N/min
(7)噴霧ノズル径 :2.2mm
(8)レイヤリング液噴霧量 :120g/min
(9)レイヤリング液量 :2000g
(10)乾燥 :排気温度が50℃になるまで
<水系フィルムコーティング液の調製>
以下の処方にて、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液[a]と、メタクリル酸コポリマーLD分散液[b]と、クエン酸トリエチル[c]と、酸化チタン[d]と、精製水とを含む、固形分濃度が17質量%の水系フィルムコーティング液[L1]を調製した。
アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液[a]としてオイドラギットNE30D(デグサ製)、メタクリル酸コポリマーLD分散液[b]としてオイドラギッドL30D55(デグサ製)、クエン酸トリエチルとして(東京化成製)、酸化チタン[d]としてNA61(東邦チタニウム製)を使用した。これらの固形分質量比率を、a:b:c:d=40:35:15:10(=100:87.5:37.5:25.2)とした。この水系フィルムコーティング液[L1]のキャストフィルムの引張伸度は、199%であった。
<フィルムコーティング顆粒の作製>
次に、素顆粒[G1]700gを下記のワースターカラム付き流動層型コーティング装置に仕込んだ。その素顆粒表面に水系フィルムコーティング液[L1]を噴霧し乾燥することにより被覆(フィルムコーティング)した。その後、600μmの目開き篩にてフィルムコーティングした素顆粒を篩分し、目開き篩を通過したフィルムコーティング顆粒[F1]を得た。フィルムコーティング条件を、以下に示す。
(1)使用装置 :GPCG1型(グラット製)
(2)風量 :84〜90m/h
(3)給気温度 :60℃
(4)排気温度 :40〜45℃
(5)フィルムコーティング液量 :820g
(6)フィルムコーティング液噴霧速度:6.3〜8.2g/min
(7)噴霧エア圧 :0.16MPa
得られたフィルムコーティング顆粒[F1]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は443μm(フィルム厚みは約20.3μm)であった。回収率は90.7%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は8.8%であった。
また、この水系コーティング顆粒[F1]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で1.8%であり、2液中、2時間で57.0%、4時間で96.3%、6時間で100%であった。
<錠剤の作製>
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]、結晶セルロース(商品名:セオラスPH−200、旭化成ケミカルズ製)、部分アルファー化澱粉(商品名:PCS PC−10、旭化成ケミカルズ製)を、50:40:10の質量比で混合した。得られた混合物に対して、AT打錠機(AIKOH ENGINEERING製)を用いて打錠することにより、フィルムコーティング顆粒含有錠剤である500mg錠[T1]を作製した。ここでは、直径11.3mmの平型の臼杵を使用し、7kNの圧縮圧力で打錠した。得られた500mg錠[T1]の錠剤硬度は150N、崩壊時間は75秒であった。
この500mg錠[T1]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で1.9%であり、2液中、2時間で57.8%、4時間で97.5%、6時間で100%であった。すなわち、この500mg錠[T1]は、耐酸性および徐放性に優れるのみならず、打錠前のフィムコーティング顆粒[F1]とほぼ同等の薬物溶出パターンを有するものであり、打錠による性能劣化が抑制されたものあった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図1に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
[実施例2]
以下の処方にて、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液[a]と、メタクリル酸コポリマーLD分散液[b]と、クエン酸トリエチル[c]と、酸化チタン[d]と、メタクリル酸コポリマーL[e]と、精製水とを含む、固形分濃度が17質量%の水系フィルムコーティング液[L2]を調製した。
メタクリル酸コポリマーL[e]として、オイドラギッドL100(デグサ製)を、ジェットミル粉砕機を用いて平均粒子径20μmに粉砕したものを使用し、その他の成分[a]〜[d]は、実施例1と同一の材料を使用した。これらの固形分質量比率を、a:b:c:d:e=45:30:5:10:10(=100:66.7:11.1:22.2:22.2)とした。この水系フィルムコーティング液[L2]のキャストフィルムの引張伸度は、213%であった。
次に、水系フィルムコーティング液[L1]に代えて水系フィルムコーティング液[L2]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[F2]を作製した。
得られたフィルムコーティング顆粒[F2]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は449μm(フィルム厚みは約23.3μm)であった。回収率は94.4%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は6.8%であった。
また、このコーティング顆粒[F2]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で0.8%であり、2液中、2時間で65.1%、4時間で78.8%、6時間で85.7%、8時間で91.4%、10時間で95.6%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[F2]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、500mg錠[T2]を作製した。得られた500mg錠[T2]の錠剤硬度は168N、崩壊時間は89秒であった。
この500mg錠[T2]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で1.2%であり、2液中、2時間で67.2%、4時間で80.8%、6時間で87.3%、8時間で93.5%、10時間で98.9%であった。すなわち、この500mg錠[T2]は、耐酸性および徐放性に優れるのみならず、打錠前のフィムコーティング顆粒[F2]とほぼ同等の薬物溶出パターンを有するものであり、打錠による性能劣化が抑制されたものであった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図2に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
[実施例3]
配合成分の固形分質量比率をa:b:c:d=60:25:7.5:7.5(=100:41.6:12.5:12.5)にすること以外は、実施例1と同様に操作して、固形分濃度17質量%の水系フィルムコーティング液[L3]を調製した。この水系フィルムコーティング液[L3]のキャストフィルムの引張伸度は、443%であった。
次に、水系フィルムコーティング液[L1]に代えて水系フィルムコーティング液[L3]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[F3]を得た。
得られたフィルムコーティング顆粒[F3]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は454μm(フィルム厚みは約25.8μm)であった。回収率は92.8%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は10.2%であった。
また、このフィルムコーティング顆粒[F3]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で0.7%であり、2液中、2時間で26.3%、4時間で61.5%、6時間で75.3%、8時間で83.6%、10時間で89.6%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[F3]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、500mg錠[T3]を作製した。得られた500mg錠[T3]の錠剤硬度は225N、崩壊時間は125秒であった。
この500mg錠[T3]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で0.8%であり、2液中、2時間で27.2%、4時間で62.1%、6時間で76.7%、8時間で84.8%、10時間で90.9%であった。すなわち、この500mg錠[T3]は、耐酸性および徐放性に優れるのみならず、打錠前のフィルムコーティング顆粒[F3]とほぼ同等の薬物溶出パターンを有するものであり、打錠による性能劣化が抑制されたものあった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図3に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
[実施例4]
セルフィアCP−305に代えて結晶セルロース系球形核粒子(商品名:セルフィアCP−102、平均粒子径:160μm、旭化成ケミカルズ製)を用い、さらに300μmの目開き篩を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、素顆粒[G2]を20.37kg得た。
次に、素顆粒[G1]に代えて素顆粒[G2]を用いる以外は、実施例2と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[F4]を作製した。
得られたフィルムコーティング顆粒[F4]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は201μm(フィルム厚みは約17.5μm)であった。回収率は92.8%、凝集率(300μm以上の粗大粒子の比率)は7.8%であった。
また、このコーティング顆粒[F4]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で1.9%であり、2液中、2時間で55.9%、4時間で87.6%、6時間で100%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[F4]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、500mg錠[T4]を作製した。得られた500mg錠[T4]の錠剤硬度は195N、崩壊時間は112秒であった。
この500mg錠[T4]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で2.1%であり、2液中、2時間で58.9%、4時間で90.5%、6時間で100%であった。すなわち、この500mg錠[T4]は、耐酸性および徐放性に優れるのみならず、打錠前のフィルムコーティング顆粒[F4]とほぼ同等の薬物溶出パターンを有するものであり、打錠による性能劣化が抑制されたものであった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図4に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
[実施例5]
固形分濃度を5質量%にすること以外は、実施例1と同様に操作して、固形分濃度5質量%の水系フィルムコーティング液[L4]を調製した。この水系フィルムコーティング液[L4]のキャストフィルムの引張伸度は、180%であった。
次に、水系フィルムコーティング液[L1]に代えて水系フィルムコーティング液[L4]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[F5]を得た。
得られたフィルムコーティング顆粒[F5]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は440μm(フィルム厚みは約18.8μm)であった。回収率は93.5%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は1.7%であった。
また、このフィルムコーティング顆粒[F5]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で1.5%であり、2液中、2時間で56.2%、4時間で95.1%、6時間で100.0%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[F5]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、500mg錠[T5]を作製した。得られた500mg錠[T5]の錠剤硬度は155N、崩壊時間は70秒であった。
この500mg錠[T5]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で1.61%であり、2液中、2時間で57.3%、4時間で96.3%、6時間で100.0%であった。すなわち、この500mg錠[T5]は、耐酸性および徐放性に優れるのみならず、打錠前のフィルムコーティング顆粒[F5]とほぼ同等の薬物溶出パターンを有するものであり、打錠による性能劣化が抑制されたものであった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図5に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
[実施例6]
固形分濃度を20質量%にすること以外は、実施例4と同様に操作して、固形分濃度20質量%の水系フィルムコーティング液[L5]を調製した。この水系フィルムコーティング液[L5]のキャストフィルムの引張伸度は、210%であった。
次に、水系フィルムコーティング液[L1]に代えて水系フィルムコーティング液[L5]を用いる以外は、実施例4と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[F6]を得た。
得られたフィルムコーティング顆粒[F6]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は206μm(フィルム厚みは約20.0μm)であった。回収率は90.1%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は10.8%であった。
また、このフィルムコーティング顆粒[F6]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で1.9%であり、2液中、2時間で53.5%、4時間で86.9%、6時間で100.0%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[F6]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、500mg錠[T6]を作製した。得られた500mg錠[T6]の錠剤硬度は191N、崩壊時間は120秒であった。
この500mg錠[T6]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で2.0%であり、2液中、2時間で55.9%、4時間で89.4%、6時間で100.0%であった。すなわち、この500mg錠[T6]は、耐酸性および徐放性に優れるのみならず、打錠前のフィルムコーティング顆粒[F6]とほぼ同等の薬物溶出パターンを有するものであり、打錠による性能劣化が抑制されたものであった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図6に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
[実施例7]
配合成分の固形分質量比率をa:b:c:d=43.1:37.7:16.2:3(=100:87.5:37.5:7)にすること以外は、実施例1と同様に操作して、固形分濃度17質量%の水系フィルムコーティング液[L6]を調製した。この水系フィルムコーティング液[L6]のキャストフィルムの引張伸度は、245%であった。
次に、水系フィルムコーティング液[L1]に代えて水系フィルムコーティング液[L6]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[F7]を得た。
得られたフィルムコーティング顆粒[F7]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は444.4μm(フィルム厚みは約21.0μm)であった。回収率は88.2%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は11.6%であった。
また、このフィルムコーティング顆粒[F7]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で1.1%であり、2液中、2時間で72.3%、4時間で94.7%、6時間で100%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[F7]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、500mg錠[T7]を作製した。得られた500mg錠[T7]の錠剤硬度は175N、崩壊時間は90秒であった。
この500mg錠[T7]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で1.3%であり、2液中、2時間で74.1%、4時間で96.5%、6時間で100%であった。すなわち、この500mg錠[T7]は、耐酸性および徐放性に優れるのみならず、打錠前のフィルムコーティング顆粒[F7]とほぼ同等の薬物溶出パターンを有するものであり、打錠による性能劣化が抑制されたものあった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図7に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
[実施例8]
配合成分の固形分質量比率をa:b:c:d:e=53.8:22.6:3.8:13.4:6.4(=100:42:7:25:12)にすること以外は、実施例2と同様に操作して、固形分濃度17質量%の水系フィルムコーティング液[L7]を調製した。この水系フィルムコーティング液[L7]のキャストフィルムの引張伸度は、410%であった。
次に、水系フィルムコーティング液[L2]に代えて水系フィルムコーティング液[L7]を用いる以外は、実施例2と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[F8]を作製した。
得られたフィルムコーティング顆粒[F8]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は464μm(フィルム厚みは約30.8μm)であった。回収率は90.5%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は13.0であった。
また、このフィルムコーティング顆粒[F8]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で0.9%であり、2液中、2時間で40.6%、4時間で75.3%、6時間で84.5%、8時間で100%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[F8]を用いる以外は、実施例2と同様に操作して、500mg錠[T8]を作製した。得られた500mg錠[T8]の錠剤硬度は200N、崩壊時間は110秒であった。
この500mg錠[T8]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で1.8%であり、2液中、2時間で42.4%、4時間で77.9%、6時間で86.7%、8時間で100%であった。すなわち、この500mg錠[T8]は、耐酸性および徐放性に優れるのみならず、打錠前のフィムコーティング顆粒[F8]とほぼ同等の薬物溶出パターンを有するものであり、打錠による性能劣化が抑制されたものであった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図8に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
[実施例9]
配合成分の固形分質量比率をa:b:c:d=38.7:33.8:17.8:9.7(=100:87.5:46:25)にすること以外は、実施例1と同様に操作して、固形分濃度17質量%の水系フィルムコーティング液[L8]を調製した。この水系フィルムコーティング液[L8]のキャストフィルムの引張伸度は、165%であった。
次に、水系フィルムコーティング液[L1]に代えて水系フィルムコーティング液[L8]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[F9]を得た。
得られたフィルムコーティング顆粒[F9]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は430μm(フィルム厚みは約13.8μm)であった。回収率は96.8%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は1.5%であった。
また、このフィルムコーティング顆粒[F9]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で1.0%であり、2液中、2時間で81.0%、4時間で96.7%、6時間で100%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[F9]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、500mg錠[T9]を作製した。得られた500mg錠[T9]の錠剤硬度は120N、崩壊時間は65秒であった。
この500mg錠[T9]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で1.6%であり、2液中、2時間で83.5%、4時間で98.3%、6時間で100%であった。すなわち、この500mg錠[T9]は、耐酸性および徐放性に優れるのみならず、打錠前のフィルムコーティング顆粒[F9]とほぼ同等の薬物溶出パターンを有するものであり、打錠による性能劣化が抑制されたものあった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図9に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
[実施例10]
薬物のリボフラビンに代えて水溶性の薬物であるスルピリン(第一ファインケミカル)を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、素顆粒[G3]を19.55kg得た。
次に、素顆粒[G1]に代えて素顆粒[G3]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[F10]を作製した。
得られたフィルムコーティング顆粒[F10]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は450μm(フィルム厚みは約23.8μm)であった。回収率は87.8%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は9.7%であった。
また、このコーティング顆粒[F10]におけるスルピリンの溶出率は、1液中、3時間で2.4%であり、2液中、2時間で100.0%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[F10]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、500mg錠[T10]を作製した。得られた500mg錠[T10]の錠剤硬度は125N、崩壊時間は60秒であった。
この500mg錠[T10]におけるスルピリンの溶出率は、1液中、3時間で2.9%であり、2液中、2時間で100%であった。すなわち、この500mg錠[T10]は、耐酸性および徐放性に優れるのみならず、打錠前のフィルムコーティング顆粒[F10]とほぼ同等の薬物溶出パターンを有するものであり、打錠による性能劣化が抑制されたものであった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図10に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
[実施例11]
配合成分の固形分質量比率をa:b:c:d:e=40:25:5:10:20(=100:62.5:12.5:25.0:50.0)にすること以外は、実施例2と同様に操作して、固形分濃度17質量%のフィルムコーティング液[RL3]を調製した。このフィルムコーティング液[RL3]のキャストフィルムの引張伸度は118%であった。
次に、水系フィルムコーティング液[L1]に代えてフィルムコーティング液[RL3]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[RF3]を作製した。
得られたフィルムコーティング顆粒[RF3]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は461μm(フィルム厚みは約29.3μm)であった。回収率は93.8%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は5.5%であった。
また、このフィルムコーティング顆粒[RF3]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で7.2%であり、2液中、2時間で73.1%、4時間で96.4%、6時間で100%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[RF3]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、500mg錠[RT3]を作製した。得られた500mg錠[RT3]の錠剤硬度は138N、崩壊時間は92秒であった。
この500mg錠[RT3]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で10.8%であり、2液中、2時間で93.7%、4時間で100%、6時間で100%であった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図11に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
この実施例11では、メタクリル酸コポリマーL[e]が多めに配合されたフィルムコーティング液[RL3]を用いている。そのため、フィルムコーティング顆粒[RF3]および500mg錠[RT3]において、1液、3時間で3%以上もの薬物が溶出した。また、打錠前後において、薬物溶出が早まり、薬物溶出が3%以上も増加する結果となった。
[比較例1]
配合成分の固形分質量比率をa:b:c:d:e=30:45:7:8:10(=100:150:23.3:26.7:33.3)にすること以外は、実施例2と同様に操作して、固形分濃度17質量%のフィルムコーティング液[RL1]を調製した。このフィルムコーティング液[RL1]のキャストフィルムの引張伸度は94%であった。
次に、水系フィルムコーティング液[L1]に代えてフィルムコーティング液[RL1]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[RF1]を作製した。
得られたフィルムコーティング顆粒[RF1]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は438μm(フィルム厚みは約17.8μm)であった。回収率は94.3%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は6.8%であった。
また、このフィルムコーティング顆粒[RF1]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で7.2%であり、2液中、2時間で75.2%、4時間で98.0%、6時間100%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[RF1]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、500mg錠[RT1]を作製した。得られた500mg錠[RT1]の錠剤硬度は126N、崩壊時間は75秒であった。
この500mg錠[RT1]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で13.3%であり、2液中、2時間で100%、4時間で100%、6時間で100%であった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図12に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
この比較例1では、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポマリー分散液[a]の配合比率がメタクリル酸コポリマーLD分散液[b]よりも少ないフィルムコーティング液[RL1]を用いている。そのため、フィルムコーティング顆粒[RF1]および500mg錠[RT1]において、1液、3時間で3%以上もの薬物が溶出した。また、打錠前後において、薬物溶出が早まり、薬物溶出が3%以上も増加する結果となった。
[比較例2]
配合成分の固形分質量比率をa:b:c:d=65:20:5:10(=100:30.7:7.8:15.4)にすること以外は、実施例1と同様に操作して、固形分濃度17質量%のフィルムコーティング液[RL2]を調製した。このフィルムコーティング液[RL2]のキャストフィルムの引張伸度は650%であった。
次に、水系フィルムコーティング液[L1]に代えてフィルムコーティング液[RL2]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[RF2]を作製した。
得られたフィルムコーティング顆粒[RF2]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は458μm(フィルム厚みは約27.8μm)であった。回収率は78.6%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は29.5%であった。
また、このフィルムコーティング顆粒[RF2]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で0.6%であり、2液中、2時間で31.3%、4時間で43.0%、6時間で55.6%、8時間で62.5%、10時間で68.2%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[RF2]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、500mg錠[RT2]を作製した。得られた500mg錠[RT2]の錠剤硬度は185N、崩壊時間は180秒であった。
この500mg錠[RT2]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で0.6%であり、2液中、2時間で31.5%、4時間で41.1%、6時間で55.7%、8時間で62.8%、10時間で68.9%であった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図13に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
この比較例2では、メタクリル酸コポリマーLD分散液[b]の配合比率がアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポマリー分散液[a]100に対して40以下のフィルムコーティング液[RL2]を用いている。そのため、フィルムコーティング顆粒[RF2]および500mg錠[RT2]において、2液中での薬物溶出が遅延した結果となった。また、フィルムコーティング液[RL2]は、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液[a]が過多な組成であることから、粘着性が高く、凝集が多く発生した。
[比較例3]
配合成分の固形分質量比率をa:b:c:d:e=40:35:15:0:10(=100:87.5:37.5:0:25.0)とし、酸化チタンの配合を省く以外は、実施例2と同様に操作して、固形分濃度17質量%のフィルムコーティング液[RL4]を調製した。このフィルムコーティング液[RL4]のキャストフィルムの引張伸度は180%であった。
次に、水系フィルムコーティング液[L1]に代えてフィルムコーティング液[RL4]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[RF4]を作製した。
得られたフィルムコーティング顆粒[RF4]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は438μm(フィルム厚みは約17.8μm)であった。回収率は82.6%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は21.4%であった。
また、このフィルムコーティング顆粒[RF4]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で2.2%であり、2液中、2時間で68.9%、4時間で89.0%、6時間で96.8%、8時間で100%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[RF4]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、500mg錠[RT4]を作製した。得られた500mg錠[RT4]の錠剤硬度は170N、崩壊時間は95秒であった。
この500mg錠[RT4]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で2.5%であり、2液中、2時間で71.8%、4時間で82.1%、6時間で100%、8時間で100%であった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図14に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
この比較例3では、酸化チタン未配合のフィルムコーティング液[RL4]を用いているので、粘着性が高く、凝集粒子が多く発生した。また、フィルムコーティング顆粒[RF4]のフィルム層が不均一化し、フィルム性能の劣化が生じて、薬物の溶出が早まる結果となった。
[比較例4]
配合成分の固形分質量比率をa:b:c:d:e=40:45:3:3:9(=100:112.5:7.5:7.5:22.5)にすること以外は、実施例2と同様に操作して、固形分濃度17質量%のフィルムコーティング液[RL5]を調製した。このフィルムコーティング液[RL5]のキャストフィルムの引張伸度は128%であった。
次に、水系フィルムコーティング液[L1]に代えてフィルムコーティング液[RL5]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[RF5]を作製した。
得られたフィルムコーティング顆粒[RF5]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は436μm(フィルム厚みは約16.8μm)であった。回収率は96.9%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は6.2%であった。
また、このフィルムコーティング顆粒[RF5]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で6.3%であり、2液中、2時間で74.3%、4時間で97.1%、6時間で100%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[RF5]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、500mg錠[RT5]を作製した。得られた500mg錠[RT5]の錠剤硬度は120N、崩壊時間は72秒であった。
この500mg錠[RT5]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で11.6%、2液中、2時間で94.5%、4時間で100%、6時間で100%であった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図15に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
この比較例4では、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポマリー分散液[a]の配合比率がメタクリル酸コポリマーLD分散液[b]よりも少ないフィルムコーティング液[RL1]を用いている。そのため、フィルムコーティング顆粒[RF1]および500mg錠[RT1]において、1液、3時間で3%以上もの薬物が溶出した。また、打錠前後において、薬物溶出が早まり、薬物溶出が3%以上も増加する結果となった。
[比較例5]
固形分濃度を30質量%にすること以外は、実施例6と同様に操作して、固形分濃度30質量%のフィルムコーティング液[RL6]を調製した。このフィルムコーティング液[RL6]のキャストフィルムの引張伸度は215%であった。
次に、水系フィルムコーティング液[L1]に代えてフィルムコーティング液[RL6]を用いる以外は、実施例4と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[RF6]を作製した。
得られたフィルムコーティング顆粒[RF6]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は208μm(フィルム厚みは約21.0μm)であった。回収率は81.2%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は35.8%であった。
この比較例5では、固形分濃度が30質量%のフィルムコーティング液[RL6]を用いている。そのため、フィルムコーティング液[RL6]の粘着性が高く、機器の内壁やフィルターに顆粒が付着し、回収率が低下した。さらに、顆粒同士がくっ付き、凝集率が増大し、実用的な生産効率には至らなかった。
[比較例6]
酸化チタン[d]に代えてタルク[f]を用いて、配合成分の固形分質量比率をa:b:c:f=9.8:75.7:10.7:3.8(=100:776:110:38.5)にして、固形分濃度を20質量%にする以外は、実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング液[RL7]を調製した。このフィルムコーティング液[RL7]のキャストフィルムの引張伸度は15%であった。
次に、水系フィルムコーティング液[L1]に代えてフィルムコーティング液[RL7]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、フィルムコーティング顆粒[RF7]を作製した。
得られたフィルムコーティング顆粒[RF7]のフィルムコート量は20質量%であり、平均粒子径は445μm(フィルム厚みは約21.3μm)であった。回収率は96.2%、凝集率(600μm以上の粗大粒子の比率)は6.0%であった。
また、このフィルムコーティング顆粒[RF7]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で0.5%であり、2液中、2時間で100%であった。
次いで、フィルムコーティング顆粒[F1]に代えてフィルムコーティング顆粒[RF7]を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、500mg錠[RT7]を作製した。得られた500mg錠[RT7]の錠剤硬度は110N、崩壊時間は65秒であった。
この500mg錠[RT7]におけるリボフラビンの溶出率は、1液中、3時間で100%であり、2液中、2時間で100%であった。顆粒及び錠剤について、薬物溶出率の経時変化を図16に示す。(A)は1液中、(B)は2液中における薬物溶出率の経時変化を示す。
この比較例6では、メタクリル酸コポリマーLD分散液[b]の配合比率がアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポマリー分散液[a]100に対して100以上のフィルムコーティング液[RL7]を用いている。そのため、タルクでも十分、顆粒の凝集防止効果は発揮できた、しかしながら、キャストフィルムの引張伸度が150%以下となり、錠剤化したときにフィルムが損傷し、薬物の溶出制御が不能となる結果であった。
実施例1〜11および比較例1〜6の結果を、表1、表2、表3および表4に示す。
Figure 0005524624
Figure 0005524624
Figure 0005524624
Figure 0005524624
本出願は、2007年11月16日出願の日本特許出願(特願2007−297666)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明によれば、耐酸性および徐放性に優れ、且つ、過度の粘着性を有さず打錠に適した柔軟性を有し、生産性および経済性に優れるフィルムコーティングが実現される。そのため、耐酸性が必要であり、かつ、徐放性のフィルムコーティング用途において、広く且つ有効に利用可能であり、特に、薬物を含有する腸領域における徐放性製剤の分野において好適に利用可能であるフィルムコーティング液及び顆粒、フィルムコーティング顆粒を含有した錠剤を提供できる。

Claims (8)

  1. アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液と、メタクリル酸コポリマーLDと、可塑剤と、酸化チタンと、メタクリル酸コポリマーLD以外の腸溶性高分子と、水とを含有し、前記アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、メタクリル酸コポリマーLD、可塑剤酸化チタンおよびメタクリル酸コポリマーLD以外の腸溶性高分子の固形分質量比が100:40〜100:5〜50:5〜30:0超30以下であり、且つ、固形分濃度が5〜20質量%である、水系フィルムコーティング液。
  2. 前記腸溶性高分子の平均粒子径が25μm以下である、請求項に記載の水系フィルムコーティング液。
  3. 前記腸溶性高分子がメタクリル酸コポリマーLを含有する、請求項1又は2に記載の水系フィルムコーティング液。
  4. 前記可塑剤が、クエン酸トリエチル、トリアセチン、グリセリン、フタル酸ジブチルおよびプロピレングリコールからなる群より選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載のフィルムコーティング液。
  5. 薬物を含有する素顆粒と、該素顆粒の外周を被覆する被覆層とを有し、前記被覆層は、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーと、メタクリル酸コポリマーLDと、可塑剤と、酸化チタンと、メタクリル酸コポリマーLD以外の腸溶性高分子とを含有し、前記アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸コポリマーLD、可塑剤酸化チタンおよびメタクリル酸コポリマーLD以外の腸溶性高分子の固形分質量比が100:40〜100:5〜50:5〜30:0超30以下である、フィルムコーティング顆粒。
  6. 前記可塑剤が、クエン酸トリエチル、トリアセチン、グリセリン、フタル酸ジブチルおよびプロピレングリコールからなる群より選ばれる1種または2種以上である、請求項に記載のフィルムコーティング顆粒。
  7. 前記素顆粒が、結晶セルロースを70質量%以上含む球形核粒子を含有する、請求項5又は6に記載のフィルムコーティング顆粒。
  8. 請求項7のいずれか一項に記載のフィルムコーティング顆粒を含有する錠剤。
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