JP5242576B2 - 結晶セルロース及び顆粒含有錠の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、そのような球形顆粒は、その他の粉体と混合しても、混合機からホッパーへの移動、ホッパーから打錠機への移動、さらには打錠機内での移動の際に分離・偏析し、含有量の均一な錠剤を得ることが困難である。
本発明者等は、前記課題を解決するため、打錠用賦形剤について鋭意検討した結果、特定の粉体物性を有する結晶セルロースと、球形顆粒及び必要に応じて崩壊剤を混合し、次いで圧縮成型することによって、一定量の球形顆粒を含有する錠剤を、顆粒と賦形剤の分離・偏析を起こさずに、連続的に製造できることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は下記の通りである。
(2)前記引張破断変位が30〜65μmである(1)記載の顆粒含有錠の製造方法。
(3)前記相対流動性指数が2.55〜2.75である(1)又は(2)記載の顆粒含有錠の製造方法。
(4)前記崩壊剤が、部分アルファー化澱粉である(1)〜(3)いずれか一項に記載の顆粒含有錠の製造方法。
(5)前記球形顆粒が、フィルムコーティング顆粒である(1)〜(4)いずれか一項に記載の顆粒含有錠の製造方法。
(6)前記フィルムコーティング顆粒が、結晶セルロース成分70質量%以上含む球形核粒子と、その周囲を被覆する薬物層と、さらにその周囲を被覆するフィルムからなる(5)記載の顆粒含有錠の製造方法。
(7)前記フィルムコーティング顆粒が、平均粒子径300μm以下である(5)又は(6)記載の顆粒含有錠の製造方法。
(8)(1)〜(7)の方法で製造され得る顆粒含有錠。
(9)引張破断変位が25〜80μm、かつ最大圧密応力15kPaにおける相対流動性指数が2.15〜2.80である結晶セルロース25質量%を超え89質量%以下と、球形顆粒10〜70質量%と、崩壊剤20質量%以下とを含む顆粒含有錠。
(10)引張破断変位が25〜80μm、かつ最大圧密応力15kPaにおける相対流動性指数が2.15〜2.80である結晶セルロース25質量%を超え89質量%以下と、崩壊剤20質量%以下とを含む顆粒含有錠用結晶セルロース賦形剤。
(11)引張破断変位が25〜80μm、かつ最大圧密応力15kPaにおける相対流動性指数が2.15〜2.80である結晶セルロース25質量%を超え89質量%以下と、崩壊剤20質量%以下とを含む結晶セルロース組成物の、顆粒含有錠用賦形剤としての使用。
本発明の顆粒含有錠を製造するために用いる結晶セルロースは、引張破断変位が25〜80μmである。
本発明における「引張破断変位」とは、本発明における結晶セルロースを、内径25mm、高さ40mmの円柱状空間を有し、中央部分で上下分割されるセルに充填し、直径25mm、厚さ3mmの円形の板で上から押さえ、0.1mm/sの速度で下方向に圧縮し、圧縮力が300Nに到達後、その圧縮力で60秒間保持した後、0.4mm/sの速度で上部方向に上部セルを引っ張った時、粉体層が破断する時までの変位量で表わされるものである。引張破断変位は、粉体層の抵抗性の指標となる。ここで粉体層とは結晶セルロースの集合粉体サンプルをいう。
前記の測定が可能な装置として市販されている装置としては、ホソカワミクロン社製、アグロボット(商品名)(AGR−1)を挙げることができるが、前記の測定が可能な装置であれば他の装置を用いてもよい。なお、本明細書における引張破断変位の数値はホソカワミクロン社製 アグロボット(商品名)(AGR−1)を用いて得た数値である。
引張破断変位が25μm未満であると球形顆粒との抵抗が少なくなり、分離・偏析が大きくなる。また、80μmを超えると打錠用粉体の流動性が低下し、錠剤重量バラツキが大きくなりやすい。特に好ましいのは、引張破断変位が30〜65μmの場合である。
その中でも、高平均短長径比の結晶セルロースと、低平均短長径比の結晶セルロースを混合することによって得ることが好ましい。ここで「高平均短長径比」とは、粒子の短径と長径の比(平均短長径比)が、おおむね0.6以上であり、比較的球形であることを意味する。また、「低平均短長径比」とは平均短長径比が、おおむね0.6未満であり、比較的棒状であることを意味する。なお、平均短長径比とは、以下の式で表される値であり、D50は短径の篩下積算分布における積算50%の値であり、L50は長径の篩下積算分布における積算50%の値を意味する。
平均短長径比=D50/L50
平均粒子径は、小さすぎても大きすぎても流動性が悪化する。20〜100μm程度であることが好ましく、25〜80μm程度がより好ましく、30〜70μm程度であることがにさらに好ましい。
なお、本発明において「結晶セルロース」とは、第十五改正日本薬局方(日局)の「結晶セルロース」の規格に適合するものを意味する。
短径分布係数=D10/D90
球形顆粒の種類としては、押し出し造粒顆粒、押し出し造粒/球形化顆粒(押し出しマルメ顆粒)、撹拌造粒顆粒、撹拌造粒/球形化顆粒、転動流動層造粒顆粒、レイヤリング顆粒、球形核粒子に水溶性薬物を吸着・担持させた顆粒、及び、それらにフィルムコーティングを施した顆粒などであり、このような顆粒は打錠の際に偏析しやすく、成形性にも劣ることが多い。特に、押し出しマルメ顆粒やレイヤリング顆粒に徐放性や腸溶性などのフィルムコーティングを施した、フィルムコーティング顆粒は、球形化度が高いためフィルムコーティングが容易である反面、打錠の際に顆粒と賦形剤がさらに偏析しやすく、顆粒含有剤の製造が困難なことが多かったため、本発明の意義が大きく好ましい。
この中でも、粒度分布がよりシャープであり、かつ顆粒の平均短長径比が高い点で、レイヤリング顆粒にフィルムコーティングを施したフィルムコーティング顆粒であることが特に好ましい。
ここで、レイヤリング顆粒とは、球形核粒子の表面の周囲を薬物層で被覆した顆粒を意味し、その球形核粒子は結晶セルロース製であることが望ましい。結晶セルロース製球形核粒子は、結晶セルロースを好ましくは30質量%以上含むものであり、その含有量は高いほど強度が高いので好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、さらには100質量%であると特に好ましい。結晶セルロース製球形核粒子の例としては、セルフィア(登録商標)(旭化成ケミカルズ社製)を挙げることができる。球形核粒子の平均短長径比は0.8以上であり、平均粒子径は50〜1000μm程度である。
球形核粒子に含まれ得る、結晶セルロース以外の成分としては、医薬品の製剤化に通常使用される添加物を例示することができ、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、トウモロコシデンプン、粉末セルロース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムなどの賦形剤;低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、部分アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチなどの崩壊剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、キサンタンガムなどの結合剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマーLD、エチルセルロース水分散液、などのコーティング剤;ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート60などの乳化剤;タルク、ステアリン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化チタン、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース・カルメロースナトリウムなどのその他の添加物等を挙げることができる。
球形顆粒の配合量は多いほど薬物の含有量が上がるので好ましいが、実用的な錠剤硬度を確保するためには、70質量%以下である必要がある。好ましくは、65%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
また、少なくとも、最低10質量%の配合は必要で、15質量%以上の配合が好ましく、30質量%以上の配合がさらに好ましい。
球形核粒子を薬物含有層でレイヤリング(被覆)するには、遠心流動コーティング装置(フロイント産業社製「CFグラニュレーター」(商品名)など)や流動層コーティング装置など、公知の装置が使用される。流動層コーティング装置は、通常の流動層型の他に、内部に案内管(ワースターカラム)を有する噴流層型や、底部に回転機構を備えた転動流動層型なども使用できる。装置の例としては、フロイント産業社製「フローコーター」(商品名)「スパイラフロー」(商品名)、Glatt社製「WST/WSGシリーズ」(商品名)「GPCGシリーズ」(商品名)、不二パウダル社製「ニューマルメライザー」(商品名)、パウレック社製「マルチプレックス」(商品名)などを挙げることができる。
薬物含有層の被覆量は、一回の服用量や製剤の大きさなどの製剤設計から決まるものであるが、あえて例を示せば、球形核粒子に対して0.5〜200質量%程度である。
、硝酸チアミン、フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、ニコチン酸、パンテチン、シアノコバラミン、ビオチン、アスコルビン酸、フィトナジオン、メナテトレノン等)、抗生物質(ベンジルペニシリンベンザチン、アモキシシリン、アンピシリン、シクラシリン、セファクロル、セファレキシン、セフロキシムアキセチル、エリスロマイシン、キタサマイシン、ジョサマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、グリセオフルビン、セフゾナムナトリウム等)、化学療法剤(スルファメトキサゾール、イソニアジド、エチオナミド、チアゾスルホン、ニトロフラントイン、エノキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン等)が挙げられる。
フィルムコーティングは、薬物の溶出速度の調整(徐放、腸内放出、時限放出、パルス放出、苦味マスクなど)や、防湿、色つけなどを目的として行われ、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーSなどのアクリル樹脂系コーティング剤;エチルセルロース、エチルセルロース水分散液、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートなどのセルロース系コーティング剤;酢酸ビニル樹脂水分散液などの酢酸ビニル樹脂系コーティング剤、などが使用できる。成膜性、コーティング性、安定性、溶出性などを調整するために、可塑剤、無機物粒子、水溶性物質などの添加剤を配合してもよい。
フィルムコーティング顆粒の平均粒子径は50〜1000μm程度である。但し、小さい方が、打錠時の分離・偏析が少なく、また、打錠の圧力によるフィルムの損傷も少なくなるので好ましい。特に好ましいのは、平均粒子径が300μm以下である。
本発明の顆粒含有錠を製造するために用いる崩壊剤としては、カルメロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファー化デンプンなどが使用される。特に好ましい崩壊剤は、部分アルファー化デンプンである。市販品としては、PCS<登録商標>(旭化成ケミカルズ社)、スターチ1500(カラコン社)などを挙げることができる。崩壊剤の配合量は20質量%以下であり、好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは2〜15質量%である。崩壊剤の配合量が20質量%より多い場合、錠剤の成形性が低下し、かつ錠剤が崩壊する際に継粉状態となり、逆に崩壊性が悪くなる場合があるので好ましくない。
次に、得られた打錠用粉体を打錠機のホッパーに充填し、打錠する。この際、粉体は排出や充填時にも分離・偏析するので注意する。打錠は強制フィーダーを用いて打錠することが好ましい。打錠速度は速い方が生産性に優れるが、分離・偏析の程度及び錠剤硬度との兼ね合いで決める必要がある。錠剤硬度は最も打圧に影響を受けるが、フィルム等の損傷の懸念があるので、必要最低限、すなわち、錠剤硬度が50〜80N程度になるように設定すべきである。得られた錠剤に、防湿、色つけ、遮光等の目的で、さらにフィルムコーティングを施してもよい。
<結晶セルロースの引張破断変位(μm)>
粉体層圧縮・引張特性自動評価装置(ホソカワミクロン社製、アグロボット(商品名)、AGR−1型)を用いて測定した。
まず、粉体サンプルを、内径25mm、高さ40mmの円柱状空間を有する上下分割セル(それぞれ高さ20mm)に充填し、秤量した後、50回タッピングし、次いで直径25mm、厚さ3mmの円形の板を上方から挿入した。次いで、セルを装置にセットし、0.1mm/sの速度で下方向にサンプルを圧縮し、300Nに到達後、その圧力で60秒間保持した後、0.4mm/sの速度で上部方向に上部セルを引っ張り、粉体層が破断する時までの変位を自動的に記録した。この測定を3回繰り返し、平均値を引張破断変位とした。なお、これらの測定は、25℃、60%相対湿度の環境下で測定した。
粉粒体流動性測定装置(Sci−Tec社製、ShearScan(商品名)、TS−12型)を用いて、測定した。まず、粉体サンプルを標準タイプの回転分離セル容器(内径60mm、容積30mL)に充填し、秤量した後、装置にセットした。次いで、ヘッドセルを下ろして、僅かな隙間で分離された二つの平行なリングの間で、まず3kPaで予圧密した後、0.80、1.00、1.40、1.70、2.00、2.30kPaの各垂直応力(=σ)を負荷した状態で、下部リングを上部リングに対して動かし、粉体層が剪断するのに必要な剪断力(=τ)を求める。
この時、垂直応力σをx軸、剪断力τをy軸としてプロットする。このプロットは、破壊包絡線と呼ばれ、破壊包絡線のy切片が凝集力C、傾きが内部摩擦核θを表す。ここで求めたC、及びθと、以下に示す(式1)、(式2)から、予圧密3kPa時の最大圧密応力、短軸崩壊応力を求めた。
(式1)
最大圧密応力(kPa)
=(A−(A2sin2θ−τ2cos2θ)0.5)/cos2θ)
×(1+sinθ)−(C/tanθ)
ここで、A=σ+C/tanθ
(式2)
単軸崩壊応力(kPa)=2×C(1+sinθ)/cosθ
次いで、予圧密を6kPa、垂直応力を1.50、2.10、2.70、3.30、3.90、4.50kPaとして、同様に単軸崩壊応力と最大圧密応力を求めた。さらに、予圧密を9kPa、垂直応力を2.30、3.10、4.10、5.00、5.90、6.80kPaとして、同様に単軸崩壊応力と最大圧密応力を求めた。なお、これらの測定は、25℃、60%相対湿度の環境下で測定した。
得られた3対の単軸崩壊応力と最大圧密応力のデータをプロットし、最小自乗法で直線近似して求めた回帰式から、最大圧密応力が15kPaの時の単軸崩壊応力(kPa)を算出し、相対流動性指数(=15/単軸崩壊応力)を求めた。
ロータップ式篩振盪機(平工製作所製、シーブシェーカーA型)によりJIS標準篩を用いて試料10gを15分間篩分することにより粒度分布を測定した。そして、篩下積算分布における積算50%粒子径を平均粒子径とした。
なお、今回の実施例及び比較例においては使用しなかったが、より小さい粒子の粒度分布を求めたい場合には、エアージェットシーブ(商品名)(ALPINE社製)によりJIS標準篩を用いて試料5gを5分間篩分することにより粒度分布を求めることができる。
サンプルの形状を、デジタルマイクロスコープ(VH−7000、キーエンス社製)で撮影し(50倍又は100倍レンズを使用)、画像解析装置(ImageHyper(商品名)、インタークエスト社製)を用いて粒子100個の短径(D)、長径(L)を測定した。ここで、短径と長径は、粒子の境界画素上に外接する面積が最小となる外接長方形の短辺を短径とし、長辺を長径とした。そして、短径及び長径の篩下積算分布における積算50%粒子径をそれぞれ「D50」と「L50」で表し、その比(D50/L50)を平均短長径比とした。
平均短長径比の測定と同様にして、サンプル約100個のDとLを測定する。短径の篩下積算分布における積算10%粒子径及び90%粒子径をそれぞれ「D10」と「D90」で表し、その比(D10/D90)を短径分布係数とした。
日局、一般試験法「6.10 溶出試験法」に準じて実施した。装置は「装置2」(パドル法)を使用し、パドル回転数は100rpm、試験液は「溶出試験第1液」を使用した。
シュロインゲル錠剤硬度計(フロイント産業社、6D型)で錠剤の直径方向に荷重を加え、破壊した時の荷重で表す。繰り返し数は10で、その平均値をとった。
サンプル10gを摩損度試験機(PharmaTest、ジャパンマシナリー社)に仕込み、25rpmで4分間回転した後、目開き75μmの篩上に残るサンプルの質量を測定した。摩損度は下式により算出する。繰り返し数は2で、その平均値をとった。
摩損度(%) = 100 ×(10−篩上に残るサンプルの質量(g))/10
日局、一般試験法「6.09 崩壊試験法」「(1)即放性製剤」に準じて実施した。崩壊試験機は富山産業社製NT−2HS型を用い、サンプル6個の数平均値をとった。
<錠剤の重量バラツキ(%)>
サンプル10個の重量を測定し、その標準偏差を平均重量で除し、100倍した値を重量バラツキとした。
まず、球形顆粒を必要に応じてすりつぶし、純水中に浸漬して薬物を完全に溶解し、ろ過して不溶解成分を取り除いた後、吸光度法で含量を測定した。この値を基に、錠剤中の理想的薬物含有量を算出し、これを目標含量(T)とする。
次いで、錠剤サンプル10個について、同様に薬物含量(Y)を測定し、目標値に対する百分率(H=100Y/T)を算出し、その標準偏差(s)をHで除し、100倍した値を薬物含量バラツキとした。また、判定値(AV)は日局、一般試験法「6.02 製剤均一試験」の表6.02−2に従い、下記の式を用いて算出した。
98.5% ≦ H ≦ 101.5% の場合: AV=2.4s
H < 98.5% の場合: AV=2.4s+98.5−H
H > 101.5% の場合: AV=2.4s+H−101.5
なお、判定値は「15」を超えると、実用に耐えないほど含量が目標値から離れているか、ばらついているか、或いはその両方であることを意味する。この値が「10」以下であると、均一性に優れていることを意味し、「5」以下では特に優れていることを意味する。
実施例1
<結晶セルロースの調製>
国際公開WO02/02643A1号パンフレットの実施例2に従って、結晶セルロースサンプルを調製した。まず、市販SPパルプ(重合度790)2kgを細断し、4mol/L塩酸水溶液30L中に入れ、低速型攪拌機(池袋琺瑯工業社製、30LGL反応器、翼径約30cm)で、10rpmで撹拌しながら、40℃、48時間加水分解した。得られた酸不溶解残渣はヌッチェを使用してろ過し、ろ過残渣をさらに70Lの純水に分散し、ろ過するという洗浄操作を4回繰り返した後、90Lのポリバケツに入れた。純水を加え、プロペラ撹拌(HEIDON社製、タイプ1200G、8M/M、翼径約5cm、100rpm)し、純水と中和のためのアンモニア水を加え、固形分濃度10質量%、p
H6.1、電気伝導度37μS/cmのセルロース水分散液を得た。これを噴霧乾燥(水分散液供給速度6L/hr、入口熱風温度180〜220℃、出口排風温度50〜70℃)し、結晶セルロースaを得た。結晶セルロースaの平均重合度(269)、75μm以下の粒子の平均長短径比(2.6)、平均粒子径(49μm)、見掛け比容積(4.7cm3/g)、見掛けタッピング比容積(2.8cm3/g)、安息角(48°)を測定し、国際公開WO02/02643A1号パンフレットの実施例2にて調製されたものと同等のものであることを確認した(( )内の値は実測値であり、その測定は該パンフレット記載の方法による)。結晶セルロースaのその他の物性を表2に示す(これらの物性は本明細書の規定に従って測定された)。
最後に、結晶セルロースaと結晶セルロースbを、3:7(=a:b)の質量比率で混合し、本発明品である結晶セルロースAを得た。結晶セルロースAの物性を表1に示す。
結晶セルロース製球形核粒子(平均粒子径237μm、平均短長径比0.909)を転動流動層型コーティング装置に仕込み、薬物水分散液(3.85%リボフラビン、1.15%ポビドン)で噴霧・被覆(レイヤリング)し、球形素顆粒を得た。この球形素顆粒はリボフラビンを1.95質量%含み、その平均粒子径は238μm、平均短長径比は0.926であった。レイヤリング条件は下記の通りであった。
(1)使用装置:マルチプレックス(商品名)、MP−25型(パウレック社製)、
(2)風量:8m3/min
(3)給気温度:70〜75℃
(4)排気温度:37〜39℃
(5)ローター回転速度:250〜300rpm
(6)球形核粒子量:18kg
(7)薬物水分散液量:9.345kg、
(8)薬物水分散液噴霧速度:100〜110g/min
(9)噴霧エア圧:0.55MPa
(10)噴霧エア量:702NL/min
(1)使用装置:マルチプレックス(商品名)、MP−25型
(2)風量:7.5〜8m3/min
(3)給気温度:45〜50℃
(4)排気温度:27〜31℃
(5)ローター回転速度:240〜300rpm
(6)球形素顆粒量: 10kg
(7)フィルムコーティング液量:11.7kg
(8)フィルムコーティング液噴霧速度:100〜120g/min
(9)噴霧エア圧:0.6MPa
(10)噴霧エア量:702NL/min。
フィルムコーティング顆粒50質量%、結晶セルロースA40質量%、部分アルファー化澱粉(PCS(商品名) PC−10、旭化成ケミカルズ社)10質量%をタンブラー型混合機で、30rpm、20分間混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、強制フィーダー使用、菊水製作所)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径8mm、杵の凹曲面半径が12mmのものを36セット使用し、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力5.3kNで、50分間打錠し、250mg錠を得た。錠剤は、打錠初期(1〜2分)、中期(25〜26分)、後期(48〜49分)にサンプリングし、評価した。
結果を表3に示す。また、薬物(リボフラビン)の溶出速度は、2時間:43.1%、4時間:66.5%、6時間:81.0%、8時間:88.4%、10時間:93.1%であった。
錠剤硬度(69.8〜75.9N)及び摩損度(0.04%以下)はいずれの打錠時間においても実用的なレベルであり、しかも、崩壊時間(93〜108分)も、充分に速い崩壊性であるといえる。問題の薬物含量バラツキも2%以下であり、充分に低い。判定値は、薬物含量バラツキと薬物含量(目標値からの差)を考慮して算出される値であり、これが「5」以下であるというのは、極めて薬物の含量バラツキが少ないことを意味する。さらに、薬物の溶出速度は打錠前のフィルムコーティング顆粒とほとんど変化がなく、顆粒含有錠として極めて優れているといえる。
<結晶セルロースの調製>
結晶セルロースaと結晶セルロースbを、2:8(=a:b)の質量比率で混合し、本発明品である結晶セルロースBを得た。結晶セルロースBの物性を表1に示す。
<フィルムコーティング顆粒含有錠の調製>
結晶セルロースとして結晶セルロースAの代わりに結晶セルロースBを使用する以外は実施例1と同様にしてフィルムコーティング顆粒含有錠を得た。
<錠剤の評価結果>
結果を表3に示す。また、薬物(リボフラビン)の溶出速度は、2時間:42.8%、4時間:66.3%、6時間:80.5%、8時間:88.1%、10時間:92.9%であった。
判定値は「5」を超えているが、それでも「10」以下であり、均一性を有していた。また、錠剤硬度等の錠剤物性及び、徐放性も維持しており、充分な性能を有する徐放性顆粒含有錠であると言える。
<結晶セルロースの調製>
特開昭53−127553号公報の実施例11に準じて、結晶セルロースサンプルを調製した。まず、市販KPパルプ2kgを細断し、2質量%硫酸水溶液30L中に入れ、30rpmで撹拌しながら、125℃、25分間加水分解した。得られた酸不溶解残渣はヌッチェを使用してろ過し、ろ過残渣をさらに70Lの純水に分散し、ろ過するという洗浄操作を4回繰り返した後、90Lのポリバケツに入れた。純水を加え、撹拌・分散し、さらに純水と中和のためのアンモニア水を加え、固形分濃度18.5質量%、pH6.3、電気伝導度71μS/cmのセルロース水分散液を得た。これを噴霧乾燥(水分散液供給
速度6L/hr、入口熱風温度180〜220℃、出口排風温度50〜70℃)し、結晶セルロースcを得た。結晶セルロースcの平均重合度(140)、見掛比容積(2.35cm3/g)、タッピング見掛比容積(1.67cm3/g)、安息角(38°)、200メッシュ留分(59.1質量%)を測定し、特開昭53−127553号公報記載の結晶セルロース相当品であることを確認した(( )内の値は実測値であり、その測定は該パンフレット記載の方法による)。結晶セルロースcのその他の物性を表2に示す(これらの物性は本明細書の規定に従って測定された)。
次に、結晶セルロースaと結晶セルロースcを、6:4(=a:c)の質量比率で混合し、本発明品である結晶セルロースCを得た。結晶セルロースCの物性を表1に示す。
<フィルムコーティング顆粒含有錠の調製>
結晶セルロースとして結晶セルロースAの代わりに結晶セルロースCを使用する以外は実施例1と同様にしてフィルムコーティング顆粒含有錠を得た。
結果を表3に示す。また、薬物(リボフラビン)の溶出速度は、2時間:44.5%、4時間:68.2%、6時間:83.1%、8時間:90.4%、10時間:95.3%であった。
錠剤硬度は非常に高く、また、摩損度も非常に低いので、打圧を下げることが可能である。判定値は「5」前後であり、徐放性も維持しているので、充分な性能を有する徐放性顆粒含有錠であると言える。
部分アルファー化デンプンを配合せずに、すなわち、フィルムコーティング顆粒50質量%と結晶セルロースA50質量%を混合して打錠すること以外は実施例1と同様に操作してフィルムコーティング顆粒含有錠を得た。錠剤評価の結果を表3に示す。
実施例5
顆粒含有錠の成分として、フィルムコーティング顆粒50質量%と結晶セルロースA30質量%と部分アルファー化デンプン20質量%を混合して打錠すること以外は実施例1と同様に操作してフィルムコーティング顆粒含有錠を得た。錠剤評価の結果を表3に示す。
結晶セルロースとして本発明品である結晶セルロースAの代わりに、結晶セルロースa(国際公開WO02/02643A1号パンフレットの実施例2に相当)を使用する以外は実施例1と同様にしてフィルムコーティング顆粒含有錠を得た。錠剤の評価の結果を表3に示す。
結晶セルロースとして本発明品である結晶セルロースAの代わりに、結晶セルロースbを使用する以外は実施例1と同様にしてフィルムコーティング顆粒含有錠を得た。錠剤の評価の結果を表3に示す。
結晶セルロースとして本発明品である結晶セルロースAの代わりに、結晶セルロースc(特開昭53−127553号公報の結晶セルロース相当品)を使用する以外は実施例1と同様にしてフィルムコーティング顆粒含有錠を得た。錠剤の評価の結果を表3に示す。
比較例4
顆粒含有錠の成分として、フィルムコーティング顆粒50質量%と結晶セルロースA20質量%と部分アルファー化デンプン30質量%を混合して打錠すること以外は実施例1と同様に操作してフィルムコーティング顆粒含有錠を得た。錠剤評価の結果を表3に示す。
比較例4は、本発明品である結晶セルロースAを用いているが、結晶セルロースの配合量が本発明で規定される量よりも少なく、部分アルファー化デンプンの配合量が本発明で規定される量よりも多い例である。結晶セルロースが少なく、部分アルファー化デンプンの配合量が多くなったことにより、錠剤の硬度が大きく低下している。また、結晶セルロースの配合量が少ないことから、顆粒との分離・偏析を抑制する効果が低下した。さらに、部分アルファー化デンプンの配合量が多くなりすぎたため、錠剤の崩壊性が逆に悪くなった。
<球形顆粒の調製>
結晶セルロース製球形核粒子(平均粒子径237μm、平均短長径比0.909)1.5kgをヘンシェル型高速撹拌造粒機に仕込み、撹拌し(攪拌羽根回転速度:300rpm)、サリチル酸ナトリウム20質量%水溶液を100g/minの速度で添加し、添加終了後さらに2分間撹拌した後、撹拌を停止した。これを1バッチとし、以降の実験に必要な量になるまでこれを繰り返した。湿顆粒は60℃の温風乾燥機中で約16時間乾燥し、粗大粒子を篩で除去し、サリチル酸ナトリウム担持球形顆粒を得た。この顆粒の平均粒子径は238μm、平均短長径比は0.912であった。
サリチル酸ナトリウム担持球形顆粒50質量%、結晶セルロースA49.5質量%をタンブラー型混合機で、30rpm、20分間混合し、次いでステアリン酸マグネシウム0.5質量%を添加した後さらに5分間混合し、ロータリー打錠機(リブラ2(商品名)、強制フィーダー使用)で打錠した。打錠用の臼杵は、直径8mm、杵の凹曲面半径が12mmのもの12セットを2本置きにターンテーブルにセットし、ターンテーブル回転数40rpm、圧縮圧力10〜22kNで、15分間打錠し、250mg錠を得た。錠剤は、打錠初期(1〜2分)、中期(9〜10分)、後期(14〜15分)にサンプリングし、評価した。結果を表4に示す。
顆粒含有錠の成分として、サリチル酸ナトリウム担持球形顆粒70質量%、結晶セルロースA29.5質量%、ステアリン酸マグネシウム0.5質量%を使用する以外は実施例6と同様にして錠剤を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。
実施例8
顆粒含有錠の成分として、サリチル酸ナトリウム担時球形顆粒15質量%、結晶セルロースA84.5質量%、ステアリン酸マグネシウム0.5質量%を使用する以外は実施例6と同様にして錠剤を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。
実施例6〜8は、結晶セルロースAを用いて、結晶セルロースA、球形顆粒、部分アルファー化デンプンの配合量の比較を行ったものであるが、いずれの場合にも、顆粒含有錠の調製を試みた結果、含量均一性は良好であった。
結晶セルースとして結晶セルロースAの替わりに結晶セルロースBを使用する以外は実施例6と同様にして顆粒含有錠を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。
結晶セルロースとして結晶セルロースAの代わりに、結晶セルロースCを使用する以外は実施例6と同様にして顆粒含有錠を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。
<結晶セルロースの調製>
国際公開WO2004/106416A1号パンフレットの実施例1に従って、結晶セルロースサンプルを調製した。まず、市販パルプ(重合度1030)2kgを細断し、4mol/L塩酸水溶液30L中に入れ、低速型攪拌機(池袋琺瑯工業社製、30LGL反応器、翼径約30cm)で、5rpmで撹拌しながら、40℃、24時間加水分解した。得られた酸不溶解残渣はヌッチェを使用してろ過し、ろ過残渣をさらに70Lの純水に分散し、ろ過するという洗浄操作を4回繰り返した後、90Lのポリバケツに入れた。純水を加え、プロペラ撹拌(HEIDON社製、タイプ1200G、8M/M、翼径約5cm、5rpm)し、純水と中和のためのアンモニア水を加え、固形分濃度10質量%のセルロース水分散液を得た。これを噴霧乾燥(水分散液供給速度6L/hr、入口熱風温度180〜220℃、出口排風温度50〜70℃)し、結晶セルロースfを得た。結晶セルロースfの平均重合度(310)、平均粒子径(51μm)、見掛け比容積(8.9cm3/g)、PEG400保持率(275質量%)を測定し、国際公開WO2004/106416A1号パンフレットの実施例1にて調製されたものと相当のものであることを確認した(( )内の値は実測値であり、その測定は該パンフレット記載の方法による)。結晶セルロースfのその他の物性を表2に示す(これらの物性は本明細書の規定に従って測定された)。
次に、結晶セルロースbとfを、4:6(=b:f)の質量比率で混合し、本発明品である結晶セルロースDを得た。結晶セルロースDの物性を表1に示す。
<顆粒含有錠の調製と評価>
そして、結晶セルロースとして結晶セルロースAの代わりに、結晶セルロースDを使用する以外は実施例6と同様にして顆粒含有錠を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。
<結晶セルロースの調製>
国際公開WO02/02643A1号パンフレットの比較例2に従って、結晶セルロースサンプルを調製した。まず、市販SPパルプ(重合度1030)2kgを細断し、0.14mol/L塩酸水溶液30L中に入れ、30rpmで撹拌しながら、121℃、1時間加水分解した。得られた酸不溶解残渣はヌッチェを使用してろ過し、ろ過残渣をさらに70Lの純水に分散し、ろ過するという洗浄操作を4回繰り返した後、90Lのポリバケツに入れた。純水を加え、プロペラ撹拌(500rpm)し、純水と中和のためのアンモニア水を加え、固形分濃度17質量%、pH6.4、電気伝導度65μS/cmのセルロース水分散液を得た。これを噴霧乾燥(水分散液供給速度6L/hr、入口熱風温度180〜220℃、出口排風温度70℃)し、結晶セルロースiを得た。結晶セルロースiの平均重合度(218)、75μm以下の粒子の平均長短径比(1.8)、平均粒子径(50μm)、見掛け比容積(3.2cm3/g)、見掛けタッピング比容積(2.3cm3/g)、安息角(44°)を測定し、国際公開WO02/02643A1号パンフレットの比較例2にて調製されたものと相当のものであることを確認した(( )内の値は実測値であり、その測定は該パンフレット記載の方法による)。結晶セルロースiのその他の物性を表2に示す(これらの物性は本明細書の規定に従って測定された)。
次に、結晶セルロースbとiを、40:60(=b:i)の質量比率で混合し、本発明品である結晶セルロースEを得た。結晶セルロースEの物性を表1に示す。
<顆粒含有錠の調製と評価>
次に、結晶セルロースとして結晶セルロースAの代わりに、結晶セルロースEを使用する以外は実施例6と同様にして顆粒含有錠を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。
実施例9〜12は、結晶セルロースAの代わりに、結晶セルロースB、C、D、Eを用いて顆粒含有錠の調製を試みた結果である。いずれの結晶セルロースも引張破断変位、相対流動性指数は本発明の規定の範囲であり、含量均一性も良好であった。
結晶セルロースaとbを、4:6(=a:b)の質量比率で混合し、結晶セルロースdを得た。結晶セルロースdの物性を表1に示す。
次いで、結晶セルロースとして本発明品である結晶セルロースAの代わりに、結晶セルロースdを使用する以外は実施例5と同様にして顆粒含有錠を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。
結晶セルロースaとbを、1:9(=a:b)の質量比率で混合し、結晶セルロースeを得た。結晶セルロースeの物性を表1に示す。
次いで、結晶セルロースとして本発明品である結晶セルロースAの代わりに、結晶セルロースeを使用する以外は実施例6と同様にして顆粒含有錠を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。
結晶セルロースbとfを、3:7(=b:f)の質量比率で混合し、結晶セルロースgを得た。結晶セルロースgの物性を表1に示す。
次いで、結晶セルロースとして本発明品である結晶セルロースAの代わりに、結晶セルロースgを使用する以外は実施例6と同様にして顆粒含有錠を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。
結晶セルロースbとfを、5:5(=b:f)の質量比率で混合し、結晶セルロースhを得た。結晶セルロースhの物性を表1に示す。
次いで、結晶セルロースとして本発明品である結晶セルロースAの代わりに、結晶セルロースhを使用する以外は実施例6と同様にして顆粒含有錠を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。
比較例5〜8は、公知の結晶セルロースを混合したものを用いた結果であるが、結晶セルロースの引張破断変位と相対流動性指数のいずれかが本発明の規定の範囲外であるため、薬物(球形顆粒)の含量均一性の指標である、判定値が打錠を行っている間、常に「10」を超えており、含量均一性が悪かった。
比較例9
結晶セルロースとして結晶セルロースAの代わりに、結晶セルロースfを使用する以外は実施例6と同様にして顆粒含有錠を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。
比較例10
結晶セルロースとして結晶セルロースAの代わりに、結晶セルロースiを使用する以外は実施例6と同様にして顆粒含有錠を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。
結晶セルロースとして結晶セルロースAの代わりに、市販結晶セルロース(FMC社製、Avicel PH−200(商品名))(結晶セルロースj)を使用する以外は実施例6と同様にして顆粒含有錠を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。また、結晶セルロースjの物性を表2に示す。
結晶セルロースとして結晶セルロースAの代わりに、市販結晶セルロース(旭化成ケミカルズ社製、Ceolus PH−301(商品名))(結晶セルロースk)を使用する以外は実施例6と同様にして顆粒含有錠を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。また、結晶セルロースkの物性を表2に示す。
結晶セルロースとして結晶セルロースAの代わりに、市販結晶セルロース(MINGTAI CHEMICAL社製、COMPRECEL 102QD(商品名))(結晶セルロースl)を使用する以外は実施例6と同様にして顆粒含有錠を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。また、結晶セルロースlの物性を表2に示す。
結晶セルロースとして結晶セルロースAの代わりに、市販結晶セルロース(JRS PHARMA社製、VIVAPUR 101P(商品名))(結晶セルロースm)を使用する以外は実施例6と同様にして顆粒含有錠を得た。錠剤の評価結果を表4に示す。また、結晶セルロースmの物性を表2に示す。
比較例9〜14は、公知の結晶セルロースを用いて顆粒含有錠の調製を試みた結果であるが、いずれの結晶セルロースも引張破断変位と相対流動性指数のいずれか又は両方が本発明の規定の範囲外であるため、薬物(球形顆粒)の含量均一性の指標である、判定値が打錠を行っている間、常に「10」を超えており、含量均一性が悪かった。
実施例13
<球形顆粒の調製>
結晶セルロース製球形核粒子(平均粒子径153μm、平均短長径比0.873)1.5kgを使用し、その他は実施例5と同様に操作して、サリチル酸ナトリウム担持球形顆粒を得た。この顆粒の平均粒子径は155μm、平均短長径比は0.880であった。
<顆粒含有錠の調製及び評価>
次いで得られたサリチル酸ナトリウム担持球形顆粒を用いる以外は実施例6と同様に操作して顆粒含有錠を得た。評価結果を表4に示す。
<球形顆粒の調製>
結晶セルロース製球形核粒子(平均粒子径394μm、平均短長径比0.909)1.5kgを使用し、その他は実施例6と同様に操作して、サリチル酸ナトリウム担持球形顆粒を得た。この顆粒の平均粒子径は395μm、平均短長径比は0.909であった。
<顆粒含有錠の調製及び評価>
次いで得られたサリチル酸ナトリウム担持球形顆粒を用いる以外は実施例6と同様に操作して顆粒含有錠を得た。評価結果を表4に示す。
<球形顆粒の調製>
結晶セルロース製球形核粒子(平均粒子径586μm、平均短長径比0.901)1.5kgを使用し、その他は実施例6と同様に操作して、サリチル酸ナトリウム担持球形顆粒を得た。この顆粒の平均粒子径は587μm、平均短長径比は0.902であった。
<顆粒含有錠の調製及び評価>
次いで得られたサリチル酸ナトリウム担持球形顆粒を用いる以外は実施例6と同様に操作して顆粒含有錠を得た。評価結果を表4に示す。
<球形顆粒の調製>
結晶セルロース製球形核粒子(平均粒子径763μm、平均短長径比0.897)1.5kgを使用し、その他は実施例6と同様に操作して、サリチル酸ナトリウム担持球形顆粒を得た。この顆粒の平均粒子径は763μm、平均短長径比は0.900であった。
<顆粒含有錠の調製及び評価>
次いで得られたサリチル酸ナトリウム担持球形顆粒を用いる以外は実施例6と同様に操作して顆粒含有錠を得た。評価結果を表4に示す。
実施例13〜16は、球形顆粒の大きさを変えて、顆粒含有錠の調製を試みた結果であり、いずれの場合においても含量均一性は良好であった。但し、これらの結果を見ると、球形顆粒の大きさは小さい方が、より含量均一性が高い傾向があった。
本発明は、医薬品製剤用の顆粒剤、特にフィルムコーティング顆粒を含有する錠剤の製造に関わる分野で好適に利用できる。
Claims (12)
- 引張破断変位が25〜80μm、かつ最大圧密応力15kPaにおける相対流動性指数が2.15〜2.80である、平均短長径比が0.6未満の結晶セルロースと0.6以上の結晶セルロースとの混合物25質量%を超え89質量%以下と、球形顆粒10〜70質量%と、崩壊剤20質量%以下とを混合し、次いで圧縮成形することを含む顆粒含有錠の製造方法。
- 平均短長径比が0.6未満の結晶セルロースと、平均短長径比が0.6以上の結晶セルロースの質量比率が、100:(67〜400)である請求項1記載の顆粒含有錠の製造方法。
- 前記引張破断変位が30〜65μmである請求項1又は2記載の顆粒含有錠の製造方法。
- 前記相対流動性指数が2.55〜2.75である請求項1〜3いずれか一項に記載の顆粒含有錠の製造方法。
- 前記崩壊剤が、部分アルファー化澱粉である請求項1〜4いずれか一項に記載の顆粒含有錠の製造方法。
- 前記球形顆粒が、フィルムコーティング顆粒である請求項1〜5いずれか一項に記載の顆粒含有錠の製造方法。
- 前記フィルムコーティング顆粒が、結晶セルロース成分70質量%以上含む球形核粒子と、その周囲を被覆する薬物層と、さらにその周囲を被覆するフィルムからなる請求項6記載の顆粒含有錠の製造方法。
- 前記フィルムコーティング顆粒が、平均粒子径300μm以下である請求項6又は7記載の顆粒含有錠の製造方法。
- 請求項1〜8の方法で製造され得る顆粒含有錠。
- 引張破断変位が25〜80μm、かつ最大圧密応力15kPaにおける相対流動性指数が2.15〜2.80である、平均短長径比が0.6未満の結晶セルロースと0.6以上の結晶セルロースとの混合物25質量%を超え89質量%以下と、球形顆粒10〜70質量%と、崩壊剤20質量%以下とを含む顆粒含有錠。
- 引張破断変位が25〜80μm、かつ最大圧密応力15kPaにおける相対流動性指数が2.15〜2.80である、平均短長径比が0.6未満の結晶セルロースと0.6以上の結晶セルロースとの混合物25質量%を超え89質量%以下と、崩壊剤20質量%以下とを含む顆粒含有錠用結晶セルロース賦形剤。
- 引張破断変位が25〜80μm、かつ最大圧密応力15kPaにおける相対流動性指数が2.15〜2.80である、平均短長径比が0.6未満の結晶セルロースと0.6以上の結晶セルロースとの混合物25質量%を超え89質量%以下と、崩壊剤20質量%以下とを含む結晶セルロース組成物の、顆粒含有錠用賦形剤としての使用。
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