JP5518449B2 - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高記録密度に適したディスクリートトラック媒体やビットパターン媒体に代表されるパターン媒体、及びその製造方法に関する。
大型コンピュータ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ等の記憶装置に用いられる磁気ディスク装置は年々その重要性が高まり、大容量小型化へと発展を遂げている。磁気ディスク装置の大容量小型化には高密度化が不可欠である。
高密度化のための手法の一つに磁気記録媒体の磁化反転単位を小さくする事による媒体ノイズの低減が挙げられる。そのため従来の磁気記録媒体では、磁気記録層を構成する強磁性結晶粒があらかじめ磁気記録層に含まれる非磁性材料で分離される構造が採用された。
現在、より積極的にこの分離域を制御し磁気記録密度を向上する案として、記録トラック間に分離加工を施したディスクリートトラック媒体(DTM)、さらには、記録ビット間にも分離加工を施したビットパターンド媒体(BPM)が研究開発されており、いずれの場合も分離域形成加工技術が高密度化の重要なポイントとなっている。
DTMの作製方法として、エッチングなどにより磁性膜を物理的に加工する磁性膜加工型が提案されている。磁性膜加工型DTMは概ね次のようなプロセスで作製される。すなわち、(1)記録層の上に金属薄膜を設けレジスト塗布する。(2)リソグラフィー技術によりレジストに微細パターンを与える。(3)レジストパターン凹部の金属薄膜をドライプロセスによりエッチングし、記録層を露出させる。(4)露出した記録層をドライプロセスによりエッチングし記録トラック分離部(グルーブ)を形成する。(5)記録トラック(ランド)の残存レジスト及び金属薄膜を除去する。(6)グルーブ部分を非磁性材料で埋め戻し平坦化する。(7)保護層と潤滑層を付与する。現在、各プロセスで精度向上の為の様々な研究開発がなされている。
埋め戻し平坦化プロセスに関しては様々な作製方法が提案されているが中でも酸化物、窒化物、炭化物、硼化物を用いるのが一般的とされる。特許文献1では「SiO2,Al2O3,TiO2のような酸化物、Si3N4,AlN,TiNのような窒化物、TiCのような炭化物、BNのような硼化物、あるいはC系,CH系,CF系のうちいずれかの重合化合物」、また特許文献2では「SiO2、Al2O3、TiO2等の酸化物、Si3N4、AlN、TiN等の窒化物、TiC等の炭化物、BN等の硼化物、およびC系、CH系、CF系のうちいずれかの重合化合物」で分離領域を構成する手法が提案されている。
また、特許文献3では「C、Si、Ti、V、Cr、Ni、Cu、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Alまたはこれらの合金の窒化物」という表記の元で金属窒化物についての提案がなされている。
さらに特許文献4では埋め戻し材料を酸化物、窒化物、硼化物の他にAl、Ti、CrおよびCr合金、NiTa、TiOx、Al2O3、Ru、Taを例に出し金属での埋め戻しを記載しているが効果と実施の形態が言及されていない。
特開平9−97419号公報 特開2000−298822号公報 特開2009−080902号公報 特開2008−159146号公報
一般的に磁気記録媒体はその記録領域において、データを格納する為のデータトラック領域とデータトラックの位置決め制御をするためのサーボ領域を有する。DTMなどのパターンメディアでは予めデータトラック領域とサーボ領域の記録領域を分離領域によって隔てるが、サーボ領域では記録領域と分離領域のサイズとピッチがデータトラック領域のそれらと比べて大きくなるのが一般的である。例えば、サーボ領域ではヘッド位置決めのために、強磁性層の有無を”1”、”0“情報として用いており、”0“が連続すると強磁性層の無い領域が形成され、強磁性層間の距離が広がってしまう。サーボ領域では、この”0“の数やその配置により強磁性層間の幅が一定とはならず、複数の幅が混在することになる。
このサーボ領域の埋め戻し平坦化はデータトラック領域と比べて相対的に困難となり、サーボ領域には凹凸(段差またはリセッション)が残りやすく最終的に磁気ヘッドの浮上性に悪影響を及ぼすに至る事が筆者らの研究により明らかとなった。すなわち以下の通りである。
通常埋め戻し平坦化工程はスパッタリング、CVD等の真空ドライプロセス、またはSOGに代表されるウェットプロセスで成膜し、その後イオンビームエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライプロセスやCMPでエッチバックし余剰膜厚を取り除き記録領域と同じ高さにそろえようとすることが行われる。SOGやCMP等のウェットプロセスは微小粒子の残存により記録媒体の浮上性や電磁変換特性に悪影響を及ぼすことが多いとされることから、ドライプロセスを選択する場合が多い。ところが前記特許文献1〜4に示すような材料を用いて埋め戻しを行ってもパターンサイズやピッチが100nmを超えるような領域においては平坦化がなかなか進まない。
この様子を図1(a)〜図1(c)及び図2(a)〜図2(c)を用いて説明する。図1(a)〜図1(c)は記録層(強磁性層)101−1のパターンサイズが小さく、又その間の分離領域102の幅が小さいデータトラック領域の様子を、図2(a)〜図2(c)は強磁性層101−2のパターンサイズが大きく、又その間の分離領域102の幅が大きなサーボ領域の様子を示す。
データトラック領域では、分離領域102の幅が小さいため分離領域を非磁性材料で埋めると、記録層(強磁性層)101−1上に形成された非磁性材料層103−1の表面と分離領域102上の非磁性材料層表面との差Gdは、記録層(強磁性層)101−1の高さLhよりも小さくなり(図1(a))、非磁性材料層を形成しただけで表面の凹凸が緩和される。その後、非磁性材料層をエッチバックすることにより、図1(b)の状態を経て図1(c)に示すように、記録層(強磁性層)101−1及び分離領域102において、表面が平坦化される。
サーボ領域では分離領域102の幅Gwが大きく、図2(a)に示すように非磁性材料層103−1が薄い場合はもちろん、非磁性材料層を厚く形成しても強磁性層101−2上に形成された非磁性材料層103−1の表面と分離領域102上の非磁性材料層表面との差Gdは、強磁性層101−2の高さLhにほぼ等しく、非磁性層材料膜103−1を形成しても表面の凹凸は緩和されない。その後、非磁性材料層103−1をエッチバックしても、サイズの大きなランドは痩せてくるが、中心部ではエッチング再付着の影響で高さが減りにくく、表面全体を平坦化することが困難である(図2(c))。
これは、データトラック領域のようにサイズの小さなパターン部分では凹部が縦横両方からの膜成長により比較的容易に埋め戻されてエッチバック後に容易に平坦になるのに対し、サーボ領域のようにサイズの大きなパターン部分では凹部中心近傍の膜成長は縦方向からの膜成長しか望めないためである。その為段差Gdは容易に小さくすることはできない。このように成された凹部はエッチバック後に平坦になりにくい。埋め戻し平坦化プロセスは完成メディアの最終表面形状を左右する重要な工程であり、その成功如何が磁気ヘッドの浮上性を決定付けると言える。
本発明の目的は、強磁性層からなる記録領域等の間に非磁性層からなる分離領域が設けられ、強磁性層間の面内距離が異なっても優れた磁気ヘッド浮上性を有する、記録領域分離型の磁気記録媒体及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための一実施形態として、基体上に直接あるいは少なくとも中間層を介して磁気記録層が形成してある磁気記録媒体において、前記磁気記録層は、記録領域と前記記録領域を隔てる分離領域とを有するパターンドメディアであり、Tiを含む非磁性合金層が前記分離領域に形成されていることを特徴とする磁気記録媒体とする。
また、上記の磁気記録媒体の製造方法において、前記磁気記録層を加工して前記記録領域を形成する工程と、前記分離領域を基板バイアスを用いたスパッタリング法により形成する工程とを有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法とする。
また、データの記録またはサーボ信号の記録ができる強磁性層と、前記強磁性層間に配置された分離領域とを有する磁気記録媒体において、前記分離領域は幅が異なる複数の領域を有し、幅が異なる複数の前記分離領域には、それぞれTiを含む非磁性合金層が形成されていることを特徴とする磁気記録媒体とする。
分離領域にTiを含む非磁性合金層を形成することにより、例えばパターンサイズの大きなサーボ領域においても記録領域と分離領域のリセッションを小さくすることができ、磁気ヘッド浮上性に優れた、記録領域分離型の磁気記録媒体及びその製造方法を提供することができる。
パターンサイズの小さな領域において、分離領域を従来の非磁性材料で埋め戻した状態を示す要部断面図である。 パターンサイズの小さな領域において、分離領域を埋め戻した従来の非磁性材料層を途中までエッチバックした状態を示す要部断面図である。 パターンサイズの小さな領域において、分離領域を埋め戻した従来の非磁性材料層のエッチバックが終了した状態を示す要部断面図である。 パターンサイズの大きな領域において、分離領域を従来の非磁性材料で途中まで埋め戻した状態を示す要部断面図である。 パターンサイズの大きな領域において、分離領域を従来の非磁性材料で埋め戻した状態を示す要部断面図である。 パターンサイズの大きな領域において、分離領域を埋め戻した従来の非磁性材料層のエッチバックが終了した状態を示す要部断面図である。 本実施の形態に係る非磁性材料を用い、パターンサイズの大きな領域において分離領域を埋め戻した状態を示す要部断面図である。 第1の実施例に係る磁気記録媒体の製造工程を示す概略断面図である。 第1の実施例に係る磁気記録媒体の製造工程を示す概略断面図である。 第1の実施例に係る磁気記録媒体の製造工程を示す概略断面図である。 第1の実施例に係る磁気記録媒体の製造工程を示す概略断面図である。 第1の実施例に係る磁気記録媒体において、磁性膜加工深さ20nm、埋め戻し膜厚30nmの場合に埋め戻し材料としてTiCr合金を用いた場合の段差GdのTi組成比率依存性を説明するための図であり、(a)はデータを、(b)は(a)のデータに基づいて作成したグラフを示す。 第2の実施例に係る磁気記録媒体において、磁性膜加工深さ20nm、埋め戻し膜厚30nmの場合に埋め戻し材料としてTiCo合金を用いた場合の段差GdのTi組成比率依存性を説明するための図であり、(a)はデータを、(b)は(a)のデータに基づいて作成したグラフを示す。 第3の実施例に係る磁気記録媒体において、磁性膜加工深さ20nm、埋め戻し膜厚30nmの場合に埋め戻し材料としてTiAl合金を用いた場合の段差GdのTi組成比率依存性を説明するための図であり、(a)はデータを、(b)は(a)のデータに基づいて作成したグラフを示す。 第1〜第3の実施例や比較例に係る磁気記録媒体において、磁性膜加工深さ20nm、埋め戻し膜厚30nmの場合の段差Gdの分離領域(凹部)の幅Gw依存性を説明するための図であり、(a)はデータを、(b)は(a)のデータに基づいて作成したグラフを示す。
上記課題を解決するために、次のような構成を採用する。すなわち、基体上に直接あるいは少なくとも中間層を介して記録層が形成してある磁気記録媒体において、前記磁気記録層は記録領域と前記記録領域を隔てる分離領域からなるパターンドメディアであり、前記分離領域がTiを含む非磁性合金からなることを特徴とする。前記Tiを含む非磁性合金はアモルファス構造であることでより好適とすることが出来る。
サーボ領域において、非磁性材料層として、Tiを含む非磁性合金層103−2で分離領域102を埋め戻したときの様子を図3に示す。このような構成をとることで埋め戻し成膜後において段差を小さくすることができ、その後に行われるエッチバックで平坦な表面を得ることができる。
さらに言うと、記録領域と、前記記録領域を隔てる分離領域からなるパターンドメディアタイプの磁気記録媒体において、前記分離領域をTiCr、TiCo、TiAlのうち少なくとも一つの非磁性アモルファス合金にすることでヘッドの低浮上性に優れ、高記録密度化に適した記録領域分離型磁気記録媒体とすることができる。
これは、前記分離領域をTiCr、TiCo、TiAlのうち少なくとも一つの非磁性アモルファス合金にすることでデータトラック領域のみならず比較的パターンサイズとピッチの大きなサーボ領域のリセッションを小さく、さらには面粗さを小さく出来ることで磁気ヘッドの浮上基準面が相対的に近づき、記録領域と磁気ヘッドの距離を近づける事が出来るためである。
Tiの組成比率はTiCrが30〜70at%、TiCoが30〜70at%、TiAlが20〜80at%とすることで非磁性アモルファス合金とすることが出来るがさらに好適にはTiの組成比率をTiCrで40〜60at%、TiCoでは40〜60at%、TiAlでは30〜70at%とすることでサーボ領域においてもリセッションを小さくすることが出来る。
なお、ここでは分離領域が大きな例としてサーボ領域を取り上げて説明したが、これに限定されるものではない。
以下、図面を用いて実施例により詳細に説明する。
第1の実施例について、図4〜図8を用いて説明する。図4〜図7は、本実施例に係る記録領域分離型の磁気記録媒体(磁気ディスク)の製造工程を示す概略断面図である。図4は、非磁性基板(基板)1の上に、AlTi密着層2、軟磁性層3、NiWシード層4、Ru中間層5、Co系合金グラニュラー磁性層(記録層1)6、Co系合金磁性層(記録層2)7、Taマスク層前駆体8の積層膜が形成された状態を示す。軟磁性層3は、FeCo系下部軟磁性層3aと、Ru反強磁性結合層3bと、FeCo系上部軟磁性層3cの積層膜である。
非磁性基板1上にTaマスク層前駆体8を形成するまでの工程は、以下に説明するような通常の製造方法に従って行った。
まず、基板1として用いるソーダライムガラス基体(外径65mm、内径15mm、厚さ0.635mm)の洗浄を十分行なった。これを約1.3×10−5Pa(10のマイナス5乗パスカル)(1.0×10−7Torr)以下まで排気された真空槽内に導入した。最初に密着層形成室に搬送し、Ar雰囲気約0.8Pa(6mTorr)の条件下で、DCマグネトロンスパッタリング法によりAl−50at%Ti密着層2を5nm形成した。
続いて下部軟磁性層形成室に搬送し、Ar雰囲気約0.8Pa(6mTorr)の条件下でDCマグネトロンスパッタリング法によりFe−35at%Co−9at%Ta−4at%Zr合金下部軟磁性層3aを20nm成膜した。続いて反強磁性結合層形成室に搬送し、Ar雰囲気約0.8Pa(6mTorr)の条件下で、DCマグネトロンスパッタリング法によりRu層3bを0.5nm形成した。続いて上部軟磁性層形成室に搬送し、Ar雰囲気約0.8Pa(6mTorr)の条件下で、DCマグネトロンスパッタリング法によりFe−35at%Co−9at%Ta−4at%Zr合金上部軟磁性層3cを25nm成膜した。
続いて基板冷却室に搬送しスパッタによる熱の影響で上昇した基板温度を55゜Cまで低下した後、シード層形成室に搬送し、Ar雰囲気約0.9Pa(7mTorr)の条件下で、DCマグネトロンスパッタリング法により、Ni−8at%Wシード層4を8nm形成した。
続いて中間層形成室に搬送し、Ar雰囲気約2Pa(15mTorr)の条件下で、DCマグネトロンスパッタリング法によりRu中間層4を15nm形成した。さらに磁気記録層形成室1に搬送しAr雰囲気約0.9Pa(7mTorr)の条件下で、DCマグネトロンスパッタリング法により、90mol%(Co−15at%Cr−18at%Pt)8mol%SiO2合金からなるグラニュラー磁性層(記録層1)6を13nm形成した後、磁気記録層形成室2に搬送しAr雰囲気約0.8Pa(6mTorr)の条件下でDCマグネトロンスパッタリング法により、Co−13at.%Cr−18at.%Pt−7at.%B磁性層(記録層2)7を7nm形成した。
続いてTaマスク層前駆体形成室に搬送しAr雰囲気約0.9Pa(7mTorr)の条件下で、DCマグネトロンスパッタリング法により、Taマスク層前駆体8を30nm形成した。
前記基板1としては、ソーダライムガラスの他に、化学強化したアルミノシリケート、Ni−P無電解めっきを施したAl−Mg合金基板、シリコン,硼珪酸ガラス等からなるセラミックス、またはガラスグレージングを施したセラミックス等からなる非磁性の剛体基板等を用いることができる。
密着層2は、ソーダライムガラスからのアルカリ金属の電気化学的溶出を防ぐため、またガラスと軟磁性層3との密着性を向上するために設けてあるもので、AlTiの他にNiTa,AlTa,又はCoTiAlでも良く、厚さは任意である。また、特に用いる必要がなければ省略することもできる。また密着層2と軟磁性層3の間に軟磁性裏打ち層を設けても構わない。この場合の代表的な構成として、密着層2の上にNi−18at%Feを6nm、Fe−50at%Mnを17nm、Co−10at%Feを3nm、この順に順次成膜してその後軟磁性層3を設けた。
シード層4として、NiFe合金、NiTa合金、TaTi合金等を用いることも可能である。また、シード層4と軟磁性層3の間にNiCrTi合金を積層してもよい。基板冷却工程は上部軟磁性層3cの形成後ではなく、上部軟磁性層3cの形成前、記録層6の形成前に設けることもでき、さらにこれらを複数組み合わせても構わない。
次に、上記Taマスク層前駆体8まで形成された基板1を真空層から出しレジストコーティング機に入れ、前記Taマスク層前駆体上にレジスト材としてメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)層9を60nm設けた後、ナノインプリント技術により図5に示す所望の微細パターンを形成した。
すなわち、前記微細パターンの形成に用いたスタンパーはレジスト凸部の幅が90nm、レジスト凹部の幅が20,50,100,200,300nm残渣を5nmの形状に同心円状に型押しできる領域を含むデータトラック領域とデータトラック領域よりもパターンサイズとピッチが大きなサーボ領域を模擬したものである。
次に上記微細パターンを有するPMMA層9まで設けた基板をTaマスク層前駆体8までを形成したものとは別の真空装置に導入しTaマスク層82の形成を行った。まず酸素による反応性酸素イオンエッチング(RIE−O2)室へ搬送しレジスト残渣5nmを除去した。続いて反応性CF4イオンエッチング室へ搬送しTaマスク層を形成した。引続きArによるイオンビームエッチング(IBE)室に搬送し既Taマスク層下のグラニュラー磁性層(記録層1)6を13nm、Co系合金磁性層(記録層2)7も7nmエッチング加工した。ここまでの工程を経た本発明による磁気記録媒体の断面模式図を図6に示す。
引き続き反応性CF4イオンエッチング室へ搬送しTaマスク層をCF4イオンエッチングで全て除去し図7に示す構成とした。図7に示す構成のサンプルを複数枚用意し、以下に示す埋め戻し平坦化サンプルの作製を行った。
磁性膜凸部の幅が90nm、凹部の幅(Gw)が20,50,100,200,300nm、深さが20nmエッチングされたサンプル(図7に示す構造)を真空から曝露することなくスパッタ成膜室へと搬送しTiCr合金ターゲットを用いて加工された磁性膜表面に合金薄膜を30nm成膜した。
用いた合金ターゲットのTi組成比率は10,20,30,40,50,60,70,80,90at%、他に純Ti、純Crターゲットも比較の為に用いた。図8(a)(b)は、各Gwにおける段差GdのTi組成比率依存性を説明するための図であり、(a)はデータを、(b)は(a)のデータに基づいて作成したグラフを示す。
Gwが20nmの時にGdはTiの組成比率に関らず大きく変化しない。ところが、Gwが大きくなるにつれてGdはTiの組成比率に依存性を示し、Tiが30〜70at%ではGwが100,200,300nmと非常に大きく通常では埋め戻しだけでの平坦化は望めない領域にも拘らずGdを15nm以下に抑えることができている。特にTiが40〜60at%ではGdを13nm以下にすることができた。即ち、TiCr合金が埋め戻し平坦化に効果的な材料でありアモルファス性を示すTi組成比率30〜70at%、特に20〜60at%が効果的であることが分かった。
これらのサンプルをイオンビームエッチング(IBE)またはガスクラスターイオンビーム(GCIB)でエッチバックし、埋め戻し膜の余剰膜厚を取り除いたところエッチング効果と再付着効果が合いまって、記録領域と分離領域の段差がサーボ領域でも2nm以下とすることができ、磁気ヘッド浮上性に優れた表面形状を得ることができた。
以上で述べたように、本実施例によれば、強磁性層からなる記録領域等の間に非磁性層からなる分離領域が設けられ、強磁性層間の面内距離が異なっても優れた磁気ヘッド浮上性を有する、記録領域分離型の磁気記録媒体及びその製造方法を提供することができた。
図9(a)(b)を用いて第2の実施例について説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の内容は本実施例にも同様に適用することができる。
加工された磁性膜表面に合金薄膜を設ける際にTiCoターゲットを用いて合金薄膜を30nm設けたことを除いては実施例1と同様の手順でサンプルを作製した。合金ターゲットのTi組成比率は10,20,30,40,50,60,70,80,90at%である。図9(a)(b)は、各Gwにおける段差GdのTi組成比率依存性を説明するための図であり、(a)はデータを、(b)は(a)のデータに基づいて作成したグラフを示す。
ここでもTiが30〜70at%ではGwが100,200,300nmと非常に大きく通常では埋め戻しだけでの平坦化は望めない領域にも拘らずGdを15nm以下に抑えることができている。特にTiが40〜60at%ではGdを13nm以下にすることができた。即ち、TiCo合金が埋め戻し平坦化に効果的な材料でありアモルファス性を示すTi組成比率30〜70at%、特に40〜60at%が効果的であることが分かった。
実施例1と同様にこれらのサンプルをイオンビームエッチング(IBE)またはガスクラスターイオンビーム(GCIB)でエッチバックし、埋め戻し膜の余剰膜厚を取り除いたところ記録領域と分離領域の段差がサーボ領域でも2nm以下とすることができ、磁気ヘッド浮上性に優れた表面形状を得ることができた。
以上で述べたように、本実施例によれば、強磁性層からなる記録領域等の間に非磁性層からなる分離領域が設けられ、強磁性層間の面内距離が異なっても優れた磁気ヘッド浮上性を有する、記録領域分離型の磁気記録媒体及びその製造方法を提供することができた。
図10(a)(b)を用いて第3の実施例について説明する。なお、実施例1に記載され、本実施例に未記載の内容は本実施例にも同様に適用することができる。
加工された磁性膜表面に合金薄膜を設ける際にTiAlターゲットを用いて合金薄膜を30nm設けたことを除いては実施例1と同様の手順でサンプルを作製した。合金ターゲットのTi組成比率は10,20,30,40,50,60,70,80,90at%である。図10(a)(b)は、各Gwにおける段差GdのTi組成比率依存性を説明するための図であり、(a)はデータを、(b)は(a)のデータに基づいて作成したグラフを示す。
ここではTiが20〜80at%ではGwが100,200,300nmと非常に大きく通常では埋め戻しだけでの平坦化は望めない領域にも拘らずGdを15nm以下に抑えることができている。特にTiが30〜70at%ではGdを13nm以下にすることができた。即ち、TiAl合金が埋め戻し平坦化に効果的な材料でありアモルファス性を示すTi組成比率20〜80at%、特に30〜70at%が効果的であることが分かった。
実施例1と同様にこれらのサンプルをイオンビームエッチング(IBE)またはガスクラスターイオンビーム(GCIB)でエッチバックし、埋め戻し膜の余剰膜厚を取り除いたところ記録領域と分離領域の段差がサーボ領域でも2nm以下とすることができ、磁気ヘッド浮上性に優れた表面形状を得ることができた。
以上で述べたように、本実施例によれば、強磁性層からなる記録領域等の間に非磁性層からなる分離領域が設けられ、強磁性層間の面内距離が異なっても優れた磁気ヘッド浮上性を有する、記録領域分離型の磁気記録媒体及びその製造方法を提供することができた。
比較例
図11(a)(b)に実施例1,2,3の代表例3種類、本実施例の範囲外である合金組成の代表例2種類と純Ti、比較例としてAg及びTiを含まない合金例3種類についてGdのGw依存性を示す。膜厚は全て30nmとした。本実施例の代表例3種類は、Gwが100nm以上となってもGdが13nm以下に抑えられている。一方、本実施例以外の7種類の埋め戻しサンプルはGwが100nm以上になった場合にGdは15nm以上になっている。このことからもTiを含む非磁性アモルファス合金が比較的大きなパターンサイズ、ピッチに対しても埋め戻し平坦化をするための特に優れた材料であるということが言える。
1…非磁性基板、2…AlTi密着層、3…軟磁性層、3a…FeCoTaZr下部軟磁性層、3b…Ru反強磁性結合層、3c…FeCoTaZr上部軟磁性層、4…NiWシード層、5…Ru中間層、6…Co系合金グラニュラー磁性層(記録層1)、7…Co系合金磁性層(記録層2)8…Taマスク層前駆体、82…Taマスク層、9…メタクリル酸メチル樹脂(PMMA)層、101−1…記録層(強磁性層)、101−2…強磁性層、102…分離領域(凹部)、103−1…非磁性材料層、103−2…Tiを含む非磁性合金層。

Claims (10)

  1. 基体上に直接あるいは少なくとも中間層を介して磁気記録層が形成してある磁気記録媒体において、
    前記磁気記録層は、記録領域と前記記録領域を隔てる分離領域とを有するパターンドメディアであり、
    Tiを含む非磁性合金層が前記分離領域に形成されており、
    前記Tiを含む非磁性合金層は、TiCr合金を有し、
    前記TiCr合金は、Ti組成比率が30〜70at%であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 請求項1に記載の磁気記録媒体において、
    前記TiCr合金は、Ti組成比率が40〜60at%であることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 基体上に直接あるいは少なくとも中間層を介して磁気記録層が形成してある磁気記録媒体において、
    前記磁気記録層は、記録領域と前記記録領域を隔てる分離領域とを有するパターンドメディアであり、
    Tiを含む非磁性合金層が前記分離領域に形成されており、
    前記Tiを含む非磁性合金層は、TiAl合金を有し、
    前記TiAl合金は、Ti組成比率が20〜80at%であることを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 請求項3に記載の磁気記録媒体において、
    前記TiAl合金は、Ti組成比率が30〜70at%であることを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 基体上に直接あるいは少なくとも中間層を介して磁気記録層が形成してある磁気記録媒体において、
    前記磁気記録層は、記録領域と前記記録領域を隔てる分離領域とを有するパターンドメディアであり、
    Tiを含む非磁性合金層が前記分離領域に形成されており、
    前記Tiを含む非磁性合金層は、TiCo合金を有し、
    前記TiCo合金は、Ti組成比率が3070at%であることを特徴とする磁気記録媒体。
  6. 請求項に記載の磁気記録媒体において、
    前記TiCo合金は、Ti組成比率が40〜60at%であることを特徴とする磁気記録媒体。
  7. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の磁気記録媒体において、
    前記Tiを含む非磁性合金層は、Tiを含む非磁性アモルファス合金層であることを特徴とする磁気記録媒体。
  8. 請求項1乃至7の何れか一項に記載の磁気記録媒体の製造方法において、
    前記磁気記録層を加工して前記記録領域を形成する工程と、
    前記分離領域を基板バイアスを用いたスパッタリング法により形成する工程とを有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法
  9. データの記録またはサーボ信号の記録ができる強磁性層と、前記強磁性層間に配置された分離領域とを有する磁気記録媒体において、
    前記分離領域は幅が異なる複数の領域を有し、
    幅が異なる複数の前記分離領域には、それぞれTiを含む非磁性合金層が形成されており、
    前記Tiを含む非磁性合金層は、Ti組成比率が30〜70at%のTiCr合金層、Ti組成比率が20〜80at%のTiAl合金層、或いはTi組成比率が30〜70at%のTiCo合金層であることを特徴とする磁気記録媒体。
  10. データを格納するデータトラック領域と、ヘッドの位置決め制御をするサーボ領域とを備えた磁気記録媒体において、
    前記データトラック領域は、第1の幅を有する第1の分離領域と前記第1の分離領域を隔てて互いに隣接し、データを記録する強磁性層とを有し、
    前記サーボ領域は、第1の幅よりも大きな複数の幅を有する第2の分離領域と前記複数の幅を有する第2の分離領域を隔てて互いに隣接する強磁性層とを有し、
    前記第1の分離領域及び前記第2の分離領域には、Tiを含む非磁性合金層が形成されており、
    前記Tiを含む非磁性合金層は、Ti組成比率が30〜70at%のTiCr合金層、Ti組成比率が20〜80at%のTiAl合金層、或いはTi組成比率が30〜70at%のTiCo合金層であることを特徴とする磁気記録媒体。
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