JP2007276104A - ナノホール構造体及びその製造方法、並びに、磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

ナノホール構造体及びその製造方法、並びに、磁気記録媒体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気記録媒体をはじめ、DNAチップ、触媒基板等の各種分野に好適なナノホール構造体の効率的な製造方法、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、特にクロスリードやクロスライト等の問題がなく、極めて高品質な磁気記録媒体の製造方法等の提供。
【解決手段】本発明のナノホール構造体の製造方法は、基材上に、金属層を形成した後、該金属層の表面を平滑化する平滑化処理工程と、平滑化された前記金属層に、ナノホール形成用起点を形成する起点形成工程と、ナノホール形成処理を行うことにより、前記基材に対し略直交する方向にナノホールが複数形成された多孔質層を形成する多孔質層形成工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】図11C

Description

本発明は、磁気記録媒体等に好適なナノホール構造体及びその効率的な製造方法、コンピュータの外部記憶装置、並びに、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適であり、大容量で高速記録が可能な磁気記録媒体及びその効率的で低コストな製造方法に関する。
近年、IT産業等における技術革新に伴い、磁気記録媒体の大容量化・高速化・低コスト化の研究開発が盛んに行われてきている。該磁気記録媒体の大容量化・高速化・低コスト化のためには、該磁気記録媒体における記録密度の向上が必須である。
そこで、前記磁気記録媒体における磁性膜を、連続膜とせずに、ドット、バー、ピラー等のパターン状とし、そのサイズをナノメートルスケールにすることにより、複雑磁区ではなく単磁区構造としたパターンドメディアを用いる記録方式(非特許文献1参照)と、垂直記録による記録方式(特許文献1参照)とを併せた新しい磁気記録媒体として、陽極酸化アルミナポアのポア中に磁性金属を充填してなる磁気記録媒体が提案されている(特許文献2参照)。該磁気記録媒体は、図1に示すように、基板110上に、下地電極層120と陽極酸化アルミナ層130とをこの順に有してなり、陽極酸化アルミナ層130には多数のアルミナポアが秩序配列して形成されており、該アルミナポア中に強磁性金属が充填されて強磁性層140が形成されている。
前記陽極酸化アルミナポア中に磁性材料を充填してなる磁気記録媒体は、該陽極酸化アルミナポアが露出面に対して垂直方向に細長く(高アスペクト比で)成長しているため、垂直方向に磁化し易く、この充填された磁性材料の形状異方性により、熱揺らぎに強いという利点がある。また、通常、前記陽極酸化アルミナポアがハニカム型の六方最密格子状に自己組織化的に発生するため、リソグラフィ的手法で1ドットずつドット形成する方法に較べて低コストで製造することができるという利点がある。
しかしながら、前記陽極酸化アルミナポアは、六方最密格子等のような、あくまで2次元的に配列形成されるので、磁気記録的な観点からは、隣り合うビット列の間に間隙を設けることができないという問題がある。即ち、前記パターンドメディアにおいては、1ドットに1ビットを記録するのが理想であるが、線方向(円周方向)と同じピッチで半径方向にもドットが存在するため、隣り合うトラックへのクロスライト又はクロクリードが生じてしまうという致命的な問題がある。そこで、例えば、図2A及び図2Bに示すように、1ビット(図2B中の63)を数個から数10個又はそれ以上のドット(図2A及び図2B中の61)にせざるを得ないが、この場合でも、依然として、前記クロスライト又はクロスリードが生じてしまうという問題が存在する。このため、磁性材料を充填した前記陽極酸化アルミナポアを1列に配列し、その列間に非磁性領域を設けた磁気記録媒体が望まれている。
そこで、陽極酸化前に、予めアルミニウム層の表面に、陽極酸化アルミナポアの発生起点となる凹凸を形成しておくこと(以下、「テキスチャー処理」と称することがある。)により、形成されるアルミナポアを規則的に1列に配列させて、磁性ビットの配列制御を可能とし、また、陽極酸化時の酸化電圧を制御することにより、前記アルミナポアの密度、即ち記録密度を調整し、超高密度記録を実現した磁気記録媒体が、本発明者らにより提案されている(特許文献3参照)。
ところで、前記アルミニウム層の表面にテキスチャー処理を施す方法としては、(1)電子線リソグラフィを用いて凹凸パターンを描画する方法、(2)表面に凸凹パターンが形成されたモールドを、直接前記アルミニウム層の表面に高圧力で押し付けるダイレクト・ハードインプリント法、(3)前記アルミニウム層上にポリマー層を形成し、該ポリマー層に前記モールドを押し付けることにより前記凸凹パターンを転写し、形成された凹凸パターンを用いて、前記アルミニウム層の表面をエッチングするソフト・インプリント法、などが知られている。
しかしながら、前記(1)に記載の電子線リソグラフィによる方法では、パターンサイズがnmオーダーと微細になるに従って、ディスク全面にわたって凹凸パターンを描画するのに長時間を要し、スループットが悪いためにコスト増を招き、前記磁気記録媒体の量産に耐え得ることができない。
また、前記(2)に記載のダイレクト・ハードインプリント法では、前記凸凹パターンの転写に必要な圧力が、例えば、100nmピッチで数100kg/cmと大きく、1インチ基板でも、数十tonの単位となる。更に、必要圧力は、ピッチが微細になるほど上昇し、実用上要求される2.5インチ基板では、25nmピッチ以下の前記凸凹パターンを転写しようとすると、数百tonを超える圧力が必要となり、非現実的である。
このため、高密度記録と量産性向上との実現を図る観点からは、前記(3)に記載のソフト・インプリント法へ移行する傾向にあり、更なる研究開発が進められている。
しかし、前記ソフト・インプリント法を用いても、目標ピッチが小さくなるに従って以下のような問題が生じてきた。即ち、インプリントプロセスのみでは、基本的に、前記モールドに形成された凸凹よりも深い凹凸を前記アルミニウム層に形成することができず、また、前記モールドの凸凹も、アスペクト比(凹部の深さと凹凸のピッチとの比)が略1未満に制限される。
ここで、前記モールドの作製方法としては、電子線リソグラフィを用いてレジストパターンを形成し、該レジストパターンにNi等の金属を厚メッキする方法と、前記レジストパターンをエッチングプロセスを用いて基体(例えば、Ni、Si、SiO、石英ガラス等)の表面に転写する方法とが知られている。しかし、前者によれば、前記モールドにおける凸凹のアスペクト比は、前記レジストパターンに形成される凹凸により制限され、アスペクト比が1以上の構造を作製しようとすると、レジスト倒れ等が発生するという問題がある。一方、後者によれば、例えば、2層レジスト等のプロセスを使用することにより、アスペクト比が1以上の構造を作製することも可能であるが、実際にインプリントを行う際の耐久性等を考慮すると、高アスペクト比のモールドの使用は、非現実的である。したがって、実用上、ソフト・インプリント法により直接転写することができる凹凸のアスペクト比は、1未満に制限される。
このように、従来のソフト・インプリント法では、凸凹パターンにおける凸凹のアスペクト比が1未満に制限されるため、前記陽極酸化アルミナポアの発生起点として充分な深さの凹凸を形成することができず、前記凸凹パターンを正確に転写することができない。このため、その後の陽極酸化処理において、陽極酸化アルミナポアを規則的に配列させて形成することができないという問題が生じ、特に、形成する凹凸のピッチが微細化するに従って、この問題が顕在化する。
S.Y.Chou Proc.IEEE 85(4),652(1997) 特開平6−180834号公報 特開2002−175621号公報 特開2005−305634号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、磁気記録媒体をはじめ、DNAチップ、触媒基板等の各種分野に好適なナノホール構造体及びその効率的な製造方法、並びに、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適であり、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、特にクロスリードやクロスライト等の問題がなく、極めて高品質な磁気記録媒体及びその効率的で低コストな製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本発明のナノホール構造体の製造方法は、基材上に、金属層を形成した後、該金属層の表面を平滑化する平滑化処理工程と、平滑化された前記金属層に、ナノホール形成用起点を形成する起点形成工程と、ナノホール形成処理を行うことにより、前記基材に対し略直交する方向にナノホールが複数形成された多孔質層を形成する多孔質層形成工程とを含むことを特徴とする。
該ナノホール構造体の製造方法では、前記平滑化処理工程において、前記基材上に、前記金属層が形成された後、該金属層の表面が平滑化される。前記起点形成工程において、平滑化された前記金属層に、ナノホール形成用起点が形成される。前記多孔質層形成工程において、ナノホール形成処理が行われることにより、前記基材に対し略直交する方向にナノホールが複数形成された多孔質層が形成される。その結果、ナノホールが規則的に配列してなるナノホール列が一定間隔で配列してなるナノホール構造体が、容易にかつ効率よく製造される。
本発明のナノホール構造体は、本発明の前記ナノホール構造体の製造方法により製造され、基材に、ナノホールが規則的に配列してなるナノホール列が一定間隔で配列してなることを特徴とする。
該ナノホール構造体は、前記ナノホールに磁性材料を充填しておけば、ハードディスク装置等の磁気記録媒体とすることができ、また、前記ナノホールにDNA等を配しておけば、DNAチップ等とすることができ、前記ナノホールに抗体等を配しておけば、蛋白質検出装置、診断装置等とすることができ、前記ナノホールに、例えばカーボンナノチューブ形成用等の触媒金属を充填しておけば、カーボンナノチューブ等の形成基板、電解放出装置等とすることができる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、基板上に、金属層を形成した後、該金属層の表面を平滑化する平滑化工程と、平滑化された前記金属層に、ナノホール形成用起点を形成する起点形成工程と、ナノホール形成処理を行うことにより、前記基板面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程と、該ナノホールの内部に磁性材料を充填する磁性材料充填工程とを含むことを特徴とする。
該磁気記録媒体の製造方法では、前記平滑化処理工程において、前記金属層が形成された後、該金属層の表面が平滑化される。前記起点形成工程において、平滑化された前記金属層に、ナノホール形成用起点が形成される。前記ナノホール構造体形成工程において、前記ナノホール形成処理が行われることにより、前記基板面に対し略直交する方向にナノホールが複数形成されてナノホール構造体が形成される。前記磁性材料充填工程において、前記ナノホールの内部に前記磁性材料が充填される。その結果、本発明の前記磁気記録媒体が、効率的かつ低コストに製造される。
本発明の磁気記録媒体は、本発明の前記磁気記録媒体の製造方法により製造され、基板上に、該基板面に対し略直交する方向にナノホールが複数形成されたナノホール構造体を有し、該ナノホールの内部に磁性材料を有してなることを特徴とする。
該磁気記録媒体においては、前記磁性材料が充填されたナノホールが規則的に配列してなるナノホール列が一定間隔で配列しているので、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、特にクロスリードやクロスライト等の問題がなく、極めて高品質である。そして、該磁気記録媒体は、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適である。
なお、前記磁気記録媒体が、ナノホールの内部に、軟磁性層と強磁性層とを前記基板側からこの順に有し、該強磁性層の厚みが該軟磁性層の厚み以下である場合には、前記強磁性層が、前記ナノホール構造体におけるナノホールの内部に形成した前記軟磁性層上に積層されており、該ナノホール構造体よりも厚みが薄くなっている。このため、該磁気記録媒体に対し単磁極ヘッドを用いて磁気記録を行った場合には、前記単磁極ヘッドと前記軟磁性層との間の距離が、前記ナノホール構造体の厚みよりも短く、前記強磁性層の厚みと略等しくなるため、前記ナノホール構造体の厚みに拘らず前記強磁性層の厚みだけで、前記単磁極ヘッドからの磁束の集中、使用される記録密度での最適な磁気記録再生特性などが制御可能となり、また、図3及び図4に示すように、前記単磁極ヘッド(書込兼読取用ヘッド100)からの磁束が前記強磁性層(垂直磁化膜)30に集中する結果、該磁気記録媒体においては、従来の磁気記録媒体に比し、書込み効率が大幅に向上し、書込み電流が小さくて済み、オーバーライト特性が著しく向上する。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、磁気記録媒体をはじめ、DNAチップ、触媒基板等の各種分野に好適なナノホール構造体及びその効率的な製造方法、並びに、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適であり、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、特にクロスリードやクロスライト等の問題がなく、極めて高品質な磁気記録媒体及びその効率的で低コストな製造方法を提供することができる。
(ナノホール構造体の製造方法)
本発明のナノホール構造体の製造方法は、平滑化処理工程と、起点形成工程と、多孔質層形成工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
<平滑化処理工程>
前記平滑化処理工程は、基材上に、金属層を形成した後、該金属層の表面を平滑化する工程である。
−基材−
前記基材としては、その材料、形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、シリコン、石英、シリコン表面に熱酸化膜を形成してなるSiO/Si、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、板状、円板状(ディスク状)などが好適に挙げられる。これらの中でも、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合には、円板状(ディスク状)であるのが好ましい。
−金属層−
前記金属層としては、金属材料を用いて形成されている限り特に制限はなく、該金属材料としては、例えば、金属単体、その酸化物、窒化物等、合金などのいずれであってもよく、これらの中でも、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、アルミニウム、などが好適に挙げられ、これらの中でも、アルミニウムが特に好ましい。
前記金属層の形成は、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタ法(スパッタリング)、蒸着法などにより好適に行うことができる。該金属層の形成条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記スパッタ法の場合、前記金属材料により形成されたターゲットを用いてスパッタリングを行うことができる。この場合に用いる前記ターゲットは、高純度であるのが好ましく、前記金属材料がアルミニウムである場合には、99.990%以上であるのが好ましい。
前記金属層の表面を平滑化する方法(平滑化処理)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、CMP(化学機械研磨)処理、前記金属層の表面に対して角度をもって行うミリング(斜めミリング)、エッチバックなどが好適に挙げられる。
前記平滑化処理の条件などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記金属層がアルミニウム層である場合、前記CMP処理には、アルミナ系のスラリーを使用することができる。
前記平滑化処理工程後の前記金属層の表面における凹凸の大きさ(深さ又は高さ:表面粗さ)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3nm以下が好ましく、1nm以下がより好ましい。
前記凹凸の大きさ(深さ又は高さ)が、3nm以下であると、後述する起点形成工程において、凹部の深さが深い(例えば、10nm程度)ナノホール形成用起点を形成することができる。
以上の工程により、前記基材上に、前記金属層が形成された後、該金属層の表面が平滑化される。
前記金属層が、例えば、アルミニウムを用いてスパッタ法により形成された場合、該金属層の表面には、粒成長に起因する深さ数十nmの凹凸が存在するため、後述する起点形成工程において、ナノホール形成用起点(凹凸パターン)を形成する際、元々前記金属層の表面に存在する凹部の深さ以上の深さを有する凹部を形成することが必要となる。そして、凹凸パターンのピッチを微細化すると、凹部が充分に深い凹凸パターンを形成することが困難となる。即ち、例えば、図5Aに、スパッタリング法により成膜した、厚み100nmのアルミニウム層の表面におけるAFM像を示し、該表面の断面高さ形状を表すグラフを図5Bに示す。アルミニウムは融点が低く、成膜中に粒状成長を起こし易いため、この時点で既に最大30nm以上の凹凸が表面に形成されている(図5B参照)。例えば、ダイレクト・ハードインプリントを用いる場合には、高圧力を印加するため、前記凹凸を物理的に押し潰すことができるが、ソフト・インプリントでは、印加する圧力が低いため、前記凹凸が残存する。
しかし、前記平滑化処理工程を行うと、前記成膜時にアルミニウム層の表面に形成された凹凸が除去され、その後の起点形成工程において、凹部の深さが深い凹凸パターン(ナノホール形成用起点)を形成することができる。
<起点形成工程>
前記起点形成工程は、平滑化された前記金属層に、ナノホール形成用起点を形成する工程である。
前記ナノホール形成用起点は、ナノホールを形成するための起点として機能するものを意味し、該ナノホール形成用起点としては、例えば、規則配列した微細な凹部を有する凹凸パターンが挙げられる。
前記起点形成工程は、形成するナノホールの配列パターンに対応した凸凹パターンを表面に有するモールドの該凸凹パターンを、前記金属層上に形成したポリマー層にインプリント転写することを含むのが好ましい。
前記モールドとしては、その材料(材質)等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、半導体分野で微細構造作製用材料として最も広範囲に使用されているという観点からは、シリコン、シリコン酸化膜、これらの組み合わせ等が挙げられ、連続使用耐久性の観点からは、炭化珪素などが挙げられ、また、光ディスクの成形等に使用されているNiなどが挙げられる。該モールドは、複数回使用することができる。
前記モールドにおける凸凹パターンとしては、形成するナノホール形成用起点における凹部及び凸部にそれぞれ対応した凸部及び凹部を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記凸部の形状が円形状である、ドットパターンが好ましい。
また、前記凸部の配列パターンとしては、該凸部が一定間隔で配列する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三角格子状配列、四角格子状配列などが挙げられる。例えば、前記凸部が三角格子状に配列している場合には、前記モールドにおける凸凹パターンを、前記金属層にインプリント転写すると、該金属層の表面に、円形状の凹部が一定間隔で三角格子状に配列した凹凸パターン(ナノホール形成用起点)が形成され、該凹部に、ナノホールを形成されると、該ナノホールが三角格子状に配列したナノホール構造体が得られる。
更に、前記凸部は、同心円状又は螺旋状に配列しているのが好ましく、特に、ハードディスク用途の場合にはアクセスの容易性の観点から同心円状が好ましく、ビデオディスク用途の場合には連続再生の容易性の観点から螺旋状が好ましい。前記凸部が同心円状又は螺旋状に配列している場合、形成するナノホールを、同心円状又は螺旋状に配列させることができる。
前記凸凹パターンにおける凸部の高さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10nm以上が好ましく、20〜100nmがより好ましい。
前記凸部の高さが10nm未満であると、前記アルミニウム層表面への転写時に、前記ナノホールの起点の画定が不十分となり易く、得られるナノホール配列に乱れが生じることがある。一方、前記凸部の高さと凸部の間隔との比(アスペクト比)が大きすぎると、転写時にモールド凸部の変形、折損等が起き易くなる。したがって、アスペクト比は、概ね1以下、即ち凹凸のピッチを10〜50nmとしたとき、前記凸部の高さは10〜50nmであるのが好ましい。
前記インプリント転写の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができるが、前記ナノホール構造体を磁気記録媒体に適用する場合には、高密度記録及び量産性向上の実現を図る点で、ソフト・インプリントが好適に挙げられる。
前記ソフト・インプリントとしては、例えば、熱インプリントが好適に挙げられ、該熱インプリントによる前記凸凹パターンの転写は、例えば、前記金属層上に形成したポリマー層に熱を印加すると共に、前記モールドを押し付けることにより行うことができる。
前記ポリマー層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記熱インプリントの場合、例えば、公知のレジスト材料、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)等の熱可塑性ポリマーなどが挙げられる。
前記起点形成工程は、前記金属層上に保護金属層及びポリマー層を、該金属層からこの順に形成した後、該ポリマー層に、前記モールドにおける前記凸凹パターンをインプリント転写し、形成された凹凸パターンを用いて前記保護金属層をエッチングした後、残存する保護金属層をマスクとして前記金属層をエッチングするのが好ましい。
なお、前記エッチングは、公知のエッチング装置、例えば、ICP−RIE(Inductive Coupled Plasma Reactive Ion Etching)装置、イオンミリング装置などを用いて行うことができる。
前記基材と前記ポリマー層との間に前記保護金属層を形成してエッチングすることにより、前記金属層に、前記ナノホール形成用起点として充分機能することができる深さの凹部を形成することができる。
一般的に、ソフト・インプリントに用いられるレジスト材料等は、前記金属層の材料としてのアルミニウムをエッチングするのに用いられる塩素系RIE(リアクティブ・イオン・エッチング)に対するエッチング耐性が低く、前記ナノホール形成用起点として充分機能することができる深さの凹部を形成することができない。例えば、通常、熱インプリントに用いられるレジスト材料としてのPMMAに対して、塩素系RIEによりエッチングを行ったときのPMMAのエッチングレートを図6に示す。また、同一条件で、Al(アルミニウム)をエッチングしたときのAlのエッチングレートについても、図6に併せて示す。図6に示すように、Alに対して、塩素系RIEによりエッチングする場合には、Al表面に形成された強固な自然酸化膜が還元されて純Alの表面が露出するまでエッチングが開始されない、所謂「不感時間」と称する時間が存在する。一方、PMMAには、前記不感時間が存在しないため、PMMAが一定の膜厚以下であると、Alのエッチングが全く行われない領域が発生する。上述の通り、インプリント法でPMMAに転写することができる凸凹パターンのアスペクト比は、1未満であるため、例えば、凹凸が200nmピッチであれば、PMMAに形成される凸部の高さが200nm程度であり、Al表面に約100nmの深さの凹部を形成することができるが、凹凸が100nmピッチであると、Alに凸凹パターンを全く転写することができず、ナノホール形成用起点を形成することができず、延いては前記ナノホールを規則的に配列させて形成することができない。
次に、前記ポリマー層、前記保護金属層及び前記金属層それぞれの材料として、PMMA、Ta及びAlを用意し、これらに対して、前記ICP−RIE装置を用いてCF系RIEによりエッチングを行ったときのそれぞれのエッチングレートを図7Aに示す。なお、エッチング条件は、チャンバー圧力=1.5Pa、CF=20sccm、Ar=20sccm、ソース電力=200W、BIAS電力=20Wである。
図7Aより、CF系RIEでは、Alが全くエッチングされないことが判る。一方、PMMAに対するTaのエッチングレート比は、0.5程度ではあるが、Taには前記不感時間が存在せず、PMMAを100nmエッチングする場合、同一条件では、Taを30nmエッチングすることができる。
これに対し、CO−アンモニア系RIEでエッチングを行ったときのエッチングレートを図7Bに示す。なお、エッチング条件は、チャンバー圧力=0.2Pa、NH=70sccm、CO=30sccm、ソース電力=700W、BIAS電力=200Wである。
図7Bより、CO−アンモニア系RIEでは、PMMAのエッチングレートが非常に大きく、PMMAをマスクとして使用することができないが、TaはAlに対して2倍以上のレート比を取ることができるため、Taをマスクとして用いてAlをエッチングすることができることが判る。
以上より、前記保護金属層としては、その材料、厚みなどについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記金属層がアルミニウム層である場合、前記保護金属層の材料としては、アルミニウムのエッチングレートとの関係で、Ta、Tiなどが好適に挙げられる。また、この場合、前記保護金属層のエッチングは、CF系RIE(リアクティブ・イオン・エッチング)により行われるのが好ましく(図7A参照)、前記金属層のエッチングは、CO−アンモニア系RIEにより行われるのが好ましい(図7B参照)。
また、前記起点形成工程は、前記金属層上に前記ポリマー層を形成した後、該ポリマー層に、前記モールドにおける凸凹パターンをインプリント転写して凹凸パターン形成し、該ポリマー層の表面に形成された凹部の底面に位置する該ポリマー層をエッチングにより除去した後、該凹部内に表出された前記金属層及び前記ポリマー層に対して保護金属を付与することにより保護金属層を形成し、前記ポリマー層に形成された凹部に位置する保護金属層及び該保護金属層の下層に位置する前記金属層表面をエッチングし、更に残存した前記ポリマー層及び前記保護金属層の残渣を除去するのが好ましい。この場合、前記ナノホール形成用起点を、より効率的に作製することができる。
この場合の前記起点形成工程における前記保護金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記金属層表面に直接付与されるため、前記金属層の材料と同種の金属であるのが好ましく、前記金属層がアルミニウム層である場合には、前記保護金属もアルミニウムであるのが好ましい。
前記保護金属の付与の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、スパッタ、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、蒸着などが好適に挙げられる。
前記保護金属の付与は、具体的には、例えば、前記金属層としてのAl層上に、前記ポリマー層としてのPMMA層を形成した後、該PMMA層に、モールドにおける凸凹パターンを熱インプリントにより転写して凹凸パターンを形成する。次いで、前記PMMA層の表面に形成された凹部の底面に位置する該ポリマー層を、酸素系RIEにより除去する。そして、前記PMMA層に対して前記保護金属としてのAlをスパッタにより極薄成膜し、保護金属層を形成する。このとき、凹凸のシャドウィング効果により、PMMA層における凹部の底面に形成されるAl層は、前記PMMA層の凸部の表面に形成されるAl層よりも厚みが薄くなる。そして、前記PMMA層が除去された凹部に位置する前記保護金属層(Al層)及び該保護金属層の下層に位置する前記金属層としてのAl層をエッチングし、更に残存した前記PMMA層及び前記保護金属層の残渣を除去すると、前記金属層としてのAl層の表面には、ナノホール形成用起点としての凹凸パターンが形成される。
前記ポリマー層に形成された凹部の底面に位置する前記保護金属層及び該保護金属層の下層に位置する前記金属層のエッチングの方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、イオンミリングが好ましい。前記保護金属層及び前記金属層がアルミニウムであると、アルミニウム表面に酸化膜が形成されるため、RIE等の化学的エッチングでは、前記不感時間が存在するが(図6参照)、イオンミリングは物理的エッチングであるため、前記不感時間が発生せず、効率的にエッチングを行うことができる点で有利である。
前記イオンミリングとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、Arイオンミリングが好適に挙げられる。
前記イオンミリングの際には、イオンビームを、前記基材表面に対する鉛直方向に対して傾斜させた方向から照射するのが好ましい。この場合、前記ポリマー層(PMMA層)と前記金属層(Al層)とのエッチングレート比(PMMA/Al)を、小さくすることができ、前記ポリマー層のエッチングレートを、相対的に遅くすることができる。その結果、前記ポリマーを残存させつつ、前記金属層に、前記ナノホール形成用起点として充分に機能し得る程度の深さの凹部を形成することができる。
また、前記起点形成工程は、前記金属層上に前記ポリマー層を形成した後、該ポリマー層に、前記モールドにおける凸凹パターンをインプリント転写して凹凸パターンを形成し、前記基材表面及び前記ポリマー層表面に対する鉛直方向に対して傾斜させた方向から、該ポリマー層に対して保護金属を付与することにより保護金属層を形成し、前記ポリマー層に形成された凹部の底面に位置する該ポリマー層をエッチングにより除去した後、該ポリマー層が除去された前記金属層表面をエッチングし、更に前記ポリマー層を前記保護金属層と共に除去することにより行ってもよい。
この場合の前記起点形成工程における前記保護金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、Fe、Ni、Coなどが好適に挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、塩素系RIEによりエッチングを行ったときのPMMA、Al及びFeのエッチングレートを図8Aに示す。なお、エッチング条件は、チャンバー圧力=0.2Pa、Cl=20sccm、BCl=20sccm、Ar=10sccm、ソース電力=400W、BIAS電力=20Wである。
また、塩素系ドライエッチングによりエッチングを行ったときのPMMA、Al及びFeのエッチングレートを図8Bに示す。なお、エッチング条件は、チャンバー圧力=0.2Pa、BCl=40sccm、Ar=5sccm、ソース電力=400W、BIAS電力=20Wである。
図8A及び図8Bより、塩素系RIE及び塩素系ドライエッチングでは、Feは、全くエッチングされないことが判る。このため、前記保護金属としてFeを用い、Feをマスクとして、Alをエッチングすることができる。また、Ni、Co等の磁性材料も同様に好適に使用することができる。
前記保護金属の付与の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、異方性の高い成膜法が好適に挙げられ、例えば、スパッタ、MBE(Molecular Beam Epitaxy)、蒸着などが好ましい。
前記保護金属の付与方向、即ち、前記保護金属を付与する際に、前記基材表面及び前記ポリマー層表面に対する鉛直方向に対して傾斜させる角度(傾斜角)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10°以上が好ましく、60°以上がより好ましい。
前記保護金属の付与は、具体的には、例えば、図9に示すように、前記金属層としてのAl層上に、前記ポリマー層としてのPMMA層を形成した後、PMMA層に、モールドにおける凸凹パターンを熱インプリントにより転写して凹凸パターンを形成する。次いで、PMMA層に対する鉛直方向に対して傾斜させた方向から、PMMA層に対して前記保護金属としてのFeをスパッタにより極薄成膜する。このとき、凹凸のシャドウィング効果により、PMMA層における凹部の底面には、Fe層(前記保護金属層)が形成されない。そして、Fe層をマスク(シャドウマスク)として、前記凹部に位置するPMMA層を酸素系RIEにより除去した後、その下層に位置するAl層を塩素系RIEによりエッチングし、更にPMMA層をFe層と共に除去すると、Al層の表面には、ナノホール形成用起点としての凹凸パターンが形成される。
なお、ライン&スペースパターンを表面に有するモールドを用いて、Al層の表面に凹凸パターン(ナノホール形成用起点)を形成した後、陽極酸化処理を行うと、ナノホールが一次元配列した、磁気記録媒体に好適に使用可能な磁気記録媒体が得られることが、本発明者らにより報告されている(特開2005−305634号参照)。
ディスク状に形成されたライン&スペースパターンを有するモールドを用いてナノホール形成用起点を形成する場合、上述した起点形成工程(図9参照)と同様にして行うと、図14Aに示すように、ラインがディスク状であるため、保護金属粒子(前記保護金属としてのFe)の入射方向とラインとの位置関係が平行になる部位が存在する。この場合、PMMA層(ポリマー層260)の表面に形成された凹凸パターンにおける凹部260Aの底部にまで、保護金属Feが入り込み、保護金属層(Fe層)が形成されてしまい、ディスクの全面において、均一にナノホール形成用起点を形成することができない。
そこで、ライン&スペースパターンをナノホール形成用起点として使用する場合、例えば、図14Bに示す、保護金属層作製装置を用いて、保護金属層(Fe層)を形成するのが好ましい。
図14Bに示す、保護金属層作製装置400は、超高真空型の蒸着装置であり、前記基材(ガラス基板)200から離間させて配置された蒸着源(k−cell、EB−蒸着源等)410と、成膜範囲を制限すると共に、蒸着粒子(保護金属粒子)の平行度を高める機能を有するコーン420と、前記基材200を傾斜設置させ、かつ回転させることができる、基板ステージ430とを有する。なお、前記基材200を低温に保持するために、基板ステージ430は、冷却機構を有しているのが好ましい。
このような、保護金属層作製装置400を用いて、保護金属粒子(Fe)の蒸着を行うと、モールドにおける凸凹パターンが、ライン&スペースパターンであっても、常に、保護金属粒子とライン方向との位置関係が直交するように保持して前記保護金属層を形成することができるので、ディスク状の基板において、均一なライン配列のナノホール形成用起点を形成することができる。
前記ポリマー層及び前記保護金属層(前記保護金属層の残渣)の除去の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、有機溶剤を用いたリフトオフ処理が好適に挙げられる。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセトン、レジスト剥離液、キシレン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
以上の工程により、平滑化された前記金属層に、前記モールドにおける凸凹パターンが転写されて凹凸パターンが形成される。該凹凸パターンは、ナノホールを形成するための起点として機能し、後述する多孔質層形成工程において、ナノホールが前記凹凸パターンにおける凹部に形成され、該ナノホールが規則配列してなる多孔質層が形成される。
<多孔質層形成工程>
前記多孔質層形成工程は、ナノホール形成処理を行うことにより、前記基材に対し略直交する方向にナノホールが複数形成された多孔質層を形成する工程である。
前記ナノホール形成処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記起点形成工程の後に、前記金属層に対して陽極酸化処理を行うのが好ましい。
前記陽極酸化処理における電圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記陽極酸化処理における電解液の種類、濃度、温度、時間等としては、特に制限はなく、形成するナノホールの数、大きさ、アスペクト比等に応じて適宜選択することができる。例えば、前記電解液の種類としては、隣接するナノホール列の間隔(ピッチ)が、150〜500nmである場合は、希釈リン酸溶液が好適に挙げられ、80〜200nmである場合は、希釈蓚酸溶液が好適に挙げられ、10〜150nmである場合は、希釈硫酸溶液が好適に挙げられる。いずれの場合も、前記ナノホールのアスペクト比の調整は、陽極酸化処理後にリン酸溶液に浸漬させて前記ナノホール(アルミナポア)の直径を増加させることにより行うことができる。
以上の工程により、前記基材に対し略直交する方向にナノホールが複数形成された多孔質層(ナノホール構造体)が形成される。
本発明のナノホール構造体の製造方法によると、ソフト・インプリントにより、狭ピッチの凹凸パターン(ナノホール形成用起点)を容易に形成することができ、後述する本発明のナノホール構造体を容易にかつ効率よく量産することができる。
(ナノホール構造体)
本発明のナノホール構造体は、本発明の前記ナノホール構造体の製造方法により製造され、基材に、ナノホールが規則的に配列してなるナノホール列が一定間隔で配列されてなること以外には特に制限はなく、その形状、構造、大きさ等について目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記基材については、上記ナノホール構造体の製造方法の説明において詳述した通りである。
前記形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、板状、円板状(ディスク状)などが好適に挙げられる。これらの中でも、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合には、円板状(ディスク状)であるのが好ましい。
なお、前記形状が、板状、円板状等である場合には、前記ナノホール(細孔)は、これらの一の露出面(板面)に対し、略直交する方向に形成される。該ナノホールとしては、前記ナノホール構造体を貫通して孔として形成されていてもよいし、前記ナノホール構造体を貫通せず穴(窪み)として形成されていてもよいが、例えば、前記ナノホール構造体を前記磁気記録媒体として使用する場合には、前記ナノホールが前記ナノホール構造体を貫通する貫通孔として形成されているのが好ましい。
前記構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合には、既存のハードディスク等の大きさに対応した大きさが好ましく、前記ナノホール構造体をDNAチップ等に適用する場合には、既存のDNAチップ等の大きさに対応した大きさが好ましく、前記ナノホール構造体を電解放出装置用のカーボンナノチューブ等の触媒基板に適用する場合には、電解放出装置に対応した大きさが好ましい。
前記ナノホール列の配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一方向に平行に配列していてもよいし、同心円状及び螺旋状の少なくともいずれかに配列していてもよい。前記ナノホール構造体をDNAチップ等に適用する場合には前者の配列が好ましく、前記ナノホール構造体をハードディスク、ビデオディスク等の前記磁気記録媒体に適用する場合には後者の配列が好ましく、特に、ハードディスク用途の場合にはアクセスの容易性の観点から同心円状が好ましく、ビデオディスク用途の場合には連続再生の容易性の観点から螺旋状が好ましい。
なお、前記ナノホール構造体がハードディスク等の前記磁気記録媒体に適当する場合、隣接するナノホール列におけるナノホールが、半径方向に配列しているのが好ましい。この場合、該磁気記録媒体は、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、特にクロスリードやクロスライト等の問題がなく、極めて高品質である。
隣接する前記ナノホール列の間隔としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ナノホール構造体がハードディスク等の前記磁気記録媒体に適当する場合、5〜500nmが好ましく、10〜200nmがより好ましい。
前記間隔が、5nm未満であると、ナノホールの形成が困難であり、500nmを超えると、ナノホールの規則的配列が困難である。
隣接するナノホール列の間隔と、ナノホール列の幅との比(間隔/幅)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1.1〜1.9が好ましく、1.2〜1.8がより好ましい。
前記比(間隔/幅)が、1.1未満であると、隣接するナノホール同士が融合してしまい、独立したナノホールが得られないことがあり、1.9を超えると、陽極酸化処理の際に凹状ライン部分以外の部分にもナノホールが形成されてしまうことがある。
前記ナノホール列の幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ナノホール構造体がハードディスク等の前記磁気記録媒体に適当する場合、5〜450nmが好ましく、8〜200nmがより好ましい。
前記ナノホール列の幅が、5nm未満であると、ナノホールの形成が困難であり、450nmを超えると、ナノホールの規則配列が困難である。
前記ナノホールにおける開口径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合、その強磁性層を単磁区とすることができる大きさが好ましく、具体的には、200nm以下が好ましく、5〜100nmがより好ましい。
前記ナノホールにおける開口径が、200nmを超えると前記ナノホール構造体を適用した磁気記録媒体が単磁区構造にならないことがある。
前記ナノホールにおける深さと開口径とのアスペクト比(深さ/開口径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高アスペクト比であると、形状異方性が大きくなり、磁気記録媒体の保持力を向上させることができる点で好ましく、例えば、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合、2以上であるのが好ましく、3〜15であるのがより好ましい。
前記アスペクト比が、2未満であると、磁気記録媒体の保持力を十分に向上させることができないことがある。
前記ナノホール構造体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合、500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、20〜200nmが特に好ましい。
前記ナノホール構造体の厚みが、500nmを超えると、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合、該磁気記録媒体に前記軟磁性下地層を設けたとしても高密度記録を行うことができないことがあり、該ナノホール構造体の研磨が必要になり、この場合、時間を要し高コストであり、品質劣化の原因となることがある。
本発明の前記ナノホール構造体は、磁気記録媒体をはじめ、DNAチップ、触媒基板等の各種分野に好適な、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用しているハードディスク装置等に好適に使用することができる。
(磁気記録媒体の製造方法)
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、平滑化処理工程と、起点形成工程と、ナノホール構造体形成工程(多孔質層形成工程)と、磁性材料充填工程とを含み、更に必要に応じて適宜選択した、軟磁性下地層形成工程、電極層形成工程、非磁性層形成工程、研磨工程、保護層形成工程、などのその他の工程を含む。
前記平滑化処理工程は、基板上に、金属層を形成した後、該金属層の表面を平滑化する工程であり、上記ナノホール構造体の製造方法における平滑化処理工程と同様にして行うのが好ましい。
前記起点形成工程は、平滑化された前記金属層に、ナノホール形成用起点を形成する工程であり、上記ナノホール構造体の製造方法における起点形成工程と同様にして行うのが好ましい。
なお、前記平滑化処理工程及び前記起点形成工程の詳細については、上述した通りである。
前記基板としては、その形状、構造、大きさ、材質等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記形状としては、前記磁気記録媒体がハードディスク等の磁気ディスクである場合には、円板状であり、また、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、前記材質としては、上述した基材と同様のものが挙げられる。
前記基板は、適宜製造したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記軟磁性下地層形成工程は、必要に応じて選択され、基板上に軟磁性下地層を形成する工程である。
前記基板としては、上述したものが挙げられる。
前記軟磁性下地層の形成は、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタ法(スパッタリング)、蒸着法等の真空成膜法、電着(電着法)などで形成してもよいし、あるいは無電解メッキで形成してもよい。
前記軟磁性下地層形成工程により、前記基板上に所望の厚みの前記軟磁性下地層が形成される。
前記電極層形成工程は、前記ナノホール構造体と軟磁性下地層との間に電極層を形成する工程である。
前記電極層の形成は、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタ法(スパッタリング)、蒸着法などにより好適に行うことができる。該電極層の形成条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記電極層形成工程により形成された前記電極層は、軟磁性層、非磁性層及び強磁性層の少なくともいずれかを電着により形成する際の電極として使用される。
前記ナノホール構造体形成工程(多孔質層形成工程)は、基板上に(前記軟磁性下地層形成工程により前記軟磁性下地層を形成した場合には該軟磁性下地層上に)ナノホール構造体(多孔質層)を形成する金属材料による金属層を形成した後、該金属層に対しナノホール形成処理(例えば、陽極酸化処理が好ましい)を行うことにより、該基板面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体(多孔質層)を形成する工程である。
前記ナノホール構造体形成工程は、上記ナノホール構造体の製造方法における多孔質層形成工程と同様にして行うことができる。
前記ナノホール形成処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、陽極酸化処理、エッチング処理などが好適に挙げられる。これらの中でも、前記金属層に前記基板面に略直交する方向に多数のナノホールを略等間隔にかつ均等に配列形成することができる等の点で、陽極酸化処理が特に好ましい。
前記陽極酸化処理の場合、硫酸、リン酸あるいはシュウ酸の水溶液中で、前記金属層に接する電極を陽極として電気分解エッチングさせることにより行うことができる。該電極としては、前記金属層を形成するのに先立って形成した前記軟磁性下地層、前記電極層などが挙げられる。
なお、本発明においては、上述のナノホール構造体の製造方法に関して説明した通り、前記陽極酸化処理の前に、前記金属層上に前記ナノホール列を形成するための凹凸パターンを予め形成しておくことが必要である。この場合、陽極酸化処理を行うと、前記凹凸パターンにおける凹部にのみ、効率的に前記ナノホールを形成することができる点で有利である。
前記陽極酸化処理により前記ナノホール構造体形成工程(多孔質層形成工程)を行った場合、該金属層にナノホールを多数形成することができるが、該ナノホールの下部にバリア層が形成されてしまうことがあるが、該バリア層は、リン酸等の公知のエッチング液を用いて公知のエッチング処理を行うことにより、容易に除去することができる。
以上により、前記金属層に、前記軟磁性下地層又は前記基板を露出させる前記ナノホールを前記基板面に略直交する方向に多数形成することができる。
前記ナノホール構造体形成工程(多孔質層形成工程)により、前記基板上又は前記軟磁性下地層上に前記ナノホール構造体(多孔質層)が形成される。
前記磁性材料充填工程は、前記ナノホール構造体(多孔質層)に形成された前記ナノホールの内部に磁性材料を充填する工程であり、前記強磁性材料を前記ナノホールに充填する強磁性層形成工程を少なくとも含み、更に前記軟磁性材料を前記ナノホールに充填する軟磁性層形成工程などを含んでいてもよい。
前記軟磁性層形成工程は、前記ナノホールの内部に軟磁性層を形成する工程である。
前記軟磁性層の形成は、後述する軟磁性層の材料を電着等により前記ナノホールの内部に堆積乃至充填させることにより行うことができる。
前記電着の方法、条件等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記軟磁性下地層又は前記電極層を電極として、前記軟磁性層の材料を含む溶液を1種又は2種以上用い、電圧を印加させることにより、前記電極上に析出乃至堆積させる方法、などが好適に挙げられる。
前記軟磁性層形成工程により、前記多孔質層におけるナノホールの内部であって、前記基板上、前記軟磁性下地層上又は前記電極層上に前記軟磁性層が形成される。
前記強磁性層形成工程は、前記軟磁性層上(又は該軟磁性層上に前記非磁性層が形成されている場合には該非磁性層上)に強磁性層を形成する工程である。
前記強磁性層の形成は、後述する強磁性層の材料を電着等により前記ナノホールの内部に形成した前記軟磁性層上に堆積乃至充填させることにより行うことができる。
前記電着の方法、条件等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記軟磁性下地層又は前記電極層(シード層)を電極として、前記強磁性層の材料を含む溶液を1種又は2種以上用い、電圧を印加させることにより、前記ナノホール内に析出乃至堆積させる方法、などが好適に挙げられる。
前記強磁性層形成工程により、前記多孔質層におけるナノホールの内部であって、前記軟磁性層上又は前記非磁性層上に前記強磁性層が形成される。
前記非磁性層形成工程は、前記軟磁性層上に非磁性層を形成する工程である。
前記非磁性層の形成は、後述する非磁性層の材料を電着等により前記ナノホールの内部に形成した前記軟磁性層上に堆積乃至充填させることにより行うことができる。
前記電着の方法、条件等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記軟磁性下地層又は前記電極層を電極として、前記非磁性層の材料を含む溶液を1種又は2種以上用い、電圧を印加させることにより、ナノホール内に析出乃至堆積させる方法、などが好適に挙げられる。
前記非磁性層形成工程により、前記多孔質層におけるナノホールの内部であって、前記軟磁性層上等に前記非磁性層が形成される。
前記研磨工程は、前記ナノホール構造体(多孔質層)の表面を研磨し、平坦化する工程である。該研磨工程により、前記ナノホール構造体の表面を一定の厚みで除去すると、より高密度記録・高速度記録を確保することができ、前記磁気記録媒体の表面が平滑化されると、垂直磁気記録ヘッド等の磁気ヘッドの安定浮上が可能となり、低浮上化による高密度記録と信頼性確保の双方を達成することができる点で有利である。
前記研磨工程は、前記磁性層形成工程(前記強磁性層形成工程、前記軟磁性層形成工程を含む)の後に行われるのが好ましい。前記磁性層形成工程の前に前記研磨処理を行うと、前記ナノホール構造体の破壊、前記ナノホール内部にスラリー、削り滓等が充填されてしまい、メッキ不良が生ずることがある。
前記研磨工程における研磨量としては、前記ナノホール構造体(多孔質層)の最表面からの厚みで、15nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましい。
前記研磨量が15nm以上であると、前記ナノホール構造体の表面近傍に存在する、余剰ナノホール(アルミナポア)を有しアルミナポアの配列間隔に乱れが生じている層を除去することができ、研磨後の前記ナノホール構造体の表面には、ナノホールが規則的に配列してなるナノホール列を一定間隔で形成させることができる。
前記研磨工程における研磨の方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、CMP、イオンミリングなどが好適に挙げられる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法により、後述する本発明の磁気記録媒体を効率よく低コストで製造することができる。
(磁気記録媒体)
本発明の磁気記録媒体は、本発明の前記磁気記録媒体の製造方法により製造され、基板上に、該基板面に対し略直交する方向にナノホールが複数形成されたナノホール構造体(多孔質層)を有し、該ナノホールの内部に磁性材料を有してなる。
前記ナノホール構造体としては、例えば、本発明の前記ナノホール構造体が好適に挙げられる。なお、該ナノホール構造体の詳細は、上述した通りである。
前記多孔質層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、500nm以下が好ましく、5〜200nmがより好ましい。
前記多孔質層の厚みが、500nmを超えると、ナノホール内への磁性材料の充填が困難になることがある。
前記多孔質層(ナノホール構造体)における前記ナノホールは、該多孔質層を貫通して貫通孔として形成されていてもよいし、貫通せず穴として形成されていてもよいが、該ナノホールに磁性材料を充填して磁性層を形成し、更にその下方にも磁性層を形成する場合等を考慮すると、該ナノホールが貫通孔として形成されているのが好ましい。
前記ナノホールの内部に、磁性材料が充填されて磁性層が形成されているのが好ましい。
前記磁性層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、強磁性層、軟磁性層、などが挙げられる。本発明においては、前記ナノホールの内部に、前記強磁性層が少なくとも形成されていればよく、更に必要に応じて、前記軟磁性層が、前記基板と前記強磁性層との間に形成されていてもよく、更に前記強磁性層及び前記軟磁性層の間に非磁性層(中間層)が形成されていてもよい。
前記強磁性層は、前記磁気記録媒体において記録層として機能し、前記軟磁性層と共に磁性層を構成する。
前記強磁性層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、Fe、Co、Ni、FeCo、FeNi、CoNi、CoNiP、FePt、CoPt及びNiPtから選択される少なくとも1種、などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記強磁性層は、前記材料により垂直磁化膜として形成されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Ll規則構造を有し、C軸が前記基板と垂直方向に配向しているもの、fcc構造あるいはbcc構造を有し、C軸が前記基板と垂直方向に配列しているもの、などが好適に挙げられる。
前記強磁性層の厚みとしては、本発明の効果を害さない限り特に制限はなく、記録時に使用される線記録密度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)前記軟磁性層の厚み以下である態様、(2)記録時に使用される線記録密度で決まる最小ビット長の1/3倍〜3倍である態様、(3)前記軟磁性層及び前記軟磁性下地層の厚みの合計以下である態様、などが好ましく、例えば、通常5〜100nm程度が好ましく、5〜50nmがより好ましく、1Tb/inをターゲットにした線記録密度1,500kBPIで磁気記録を行う場合には、50nm以下(20nm程度)であるのが好ましい。
なお、ここでの前記「強磁性層」の厚みは、該強磁性層が、積層構造、又は複数層に分割された構造(例えば、非磁性層等の中間層により分割され連続層になっていない構造)を有する場合には、各強磁性層の厚みの合計を意味する。また、前記「軟磁性層」の厚みは、該軟磁性層が、積層構造、又は複数層に分割された構造(例えば、非磁性層等の中間層により分割され連続層になっていない構造)を有する場合には、各軟磁性層の厚みの合計を意味する。また、前記「軟磁性層及び軟磁性下地層の厚みの合計」は、該軟磁性層及び該軟磁性下地層の少なくともいずれかが、積層構造、又は複数層に分割された構造(例えば、非磁性層等の中間層により分割され連続層になっていない構造)を有する場合には、各軟磁性層及び軟磁性下地層の厚みの合計を意味する。
前記強磁性層及び前記軟磁性層を有する磁気記録媒体の場合、磁気記録の際に使用する単磁極ヘッドと前記軟磁性層との間の距離を、前記多孔質層の厚みよりも短く、該強磁性層の厚みと略等しくすることができるため、前記多孔質層の厚みに拘らず該強磁性層の厚みだけで、前記単磁極ヘッドからの磁束の集中、使用される記録密度での最適な磁気記録再生特性などが制御可能となる。その結果、該磁気記録媒体においては、従来の磁気記録媒体に比し、書込み効率が大幅に向上し、書込み電流が小さくて済み、オーバーライト特性を著しく向上させることができる。
前記強磁性層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、電着(電着法)等により行うことができる。
前記軟磁性層としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、NiFe、FeSiAl、FeC、FeCoB、FeCoNiB及びCoZrNbから選択される少なくとも1種、などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記軟磁性層の厚みとしては、本発明の効果を害さない限り特に制限はなく、前記多孔質層における前記ナノホールの深さ、前記強磁性層の厚み等に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)前記強磁性層の厚み超である態様、(2)前記軟磁性下地層の厚みとの合計が前記強磁性層の厚み超である態様、などが挙げられる。
前記軟磁性層は、磁気記録に使用する磁気ヘッドからの磁束を効果的に前記強磁性層に収束させることができ、該磁気ヘッドの磁界の垂直成分を大きくさせることができる点で有利である。また、前記軟磁性層は、軟磁性下地層とともに前記磁気ヘッドと共に該磁気ヘッドから入力させる記録磁界の磁気回路を形成可能であるのが好ましい。
前記軟磁性層としては、前記基板面に略直交する方向に磁化容易軸を有しているのが好ましい。この場合、垂直磁気記録用ヘッドで記録を行うと、該垂直磁気記録用ヘッドからの磁束の集中、使用される記録密度での最適な磁気記録再生特性などが制御可能となり、磁束が前記強磁性層に集中する結果、従来の磁気記録装置に比し、書込み効率が大幅に向上し、書込み電流が小さくて済み、オーバーライト特性が著しく向上する。
前記軟磁性層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、電着(電着法)等により行うことができる。
前記多孔質層における前記ナノホール中には、前記強磁性層と前記軟磁性層との間に非磁性層(中間層)を有していてもよい。該非磁性層(中間層)が存在すると、前記強磁性層と前記軟磁性層との間の交換結合力の作用を弱める結果、予想とは異なる磁気記録の再生特性となってしまう場合に、それを所望の再生特性に制御することができる。
前記非磁性層の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、Cu、Al、Cr、Pt、W、Nb、Ru、Ta及びTiから選択される少なくとも1種、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記非磁性層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記非磁性層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、電着(電着法)等により行うことができる。
本発明の磁気記録媒体においては、前記基板と前記多孔質層との間に、軟磁性下地層を有していてもよい。
前記軟磁性下地層の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、前記軟磁性層の材料として上述したものが好適に挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、前記軟磁性層の材料と互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記軟磁性下地層は、前記基板面の面内方向に磁化容易軸を有しているのが好ましい。この場合、磁気記録に使用する磁気ヘッドからの磁束が効果的に閉じた磁気回路を形成し、該磁気ヘッドの磁界の垂直成分を大きくさせることができる。該軟磁性下地層は、ビットサイズ(前記ナノホールの開口径)が100nm以下の単磁区記録においても有効である。
前記軟磁性下地層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、電着(電着法)や無電界メッキ等により行うことができる。
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、電極層、保護層、などが挙げられる。
前記電極層は、磁性層(前記強磁性層及び前記軟磁性層)を電着等により形成する際の電極として機能する層であり、一般に、前記基板上であって前記強磁性層の下方に設けられる。なお、前記磁性層を電着により形成する場合、該電極層を電極として使用してもよいが、前記軟磁性下地層等を電極として使用してもよい。
前記電極層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Cr、Co、Pt、Cu、Ir、Rh、これらの合金、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、該電極層は、これらの材料以外に、W、Nb、Ti、Ta、Si、Oなどを更に含有していてもよい。
前記電極層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。該電極層は、1層のみ設けられていてもよいし、2層以上設けられていてもよい。
前記電極層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタ法、蒸着法等により行うことができる。
前記保護層は、前記強磁性層を保護する機能を有する層であり、前記強磁性層の表面乃至上方に設けられる。該保護層は、1層のみ設けられていてもよいし、2層以上設けられていてもよく、また、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記保護層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、などが挙げられる。
前記保護層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記保護層の形成は、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法に従って行うことができるが、例えば、プラズマCVD法、塗布法、などにより行うことができる。
本発明の磁気記録媒体は、磁気ヘッドを用いた各種の磁気記録に使用することができるが、単磁極ヘッドによる磁気記録に好適に使用することができ、後述する本発明の磁気記録装置及び磁気記録方法に好適に特に使用することができる。
本発明の磁気記録媒体は、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、高品質である。このため、該磁気記録媒体は、各種の磁気記録媒体として設計し使用することができ、例えば、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置、などに設計し使用することができ、ハードディスク等の磁気ディスクに特に好適に設計し使用することができる。
(磁気記録装置及び磁気記録方法)
本発明の磁気記録装置は、本発明の前記磁気記録媒体と、垂直磁気記録用ヘッドとを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段乃至部材等を有してなる。
本発明の磁気記録方法は、本発明の前記磁気記録媒体に対し、垂直磁気記録用ヘッドを用いて記録を行うことを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の処理乃至工程を含む。本発明の磁気記録方法は、本発明の前記磁気記録装置を用いて好適に実施することができる。なお、前記その他の処理乃至工程は、前記その他の手段乃至部材等により行うことができる。以下、本発明の磁気記録装置の説明と共に、本発明の磁気記録方法について説明する。
前記垂直磁気記録用ヘッドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、単磁極ヘッド等が好適に挙げられる。また、該垂直磁気記録用ヘッドは、書込専用であってもよいし、GMRヘッド等の読取用ヘッドと一体の書込兼読込用であってもよい。
本発明の磁気記録装置による磁気記録、又は本発明の磁気記録方法による磁気記録においては、本発明の前記磁気記録媒体を用いるので、前記強磁性層及び前記軟磁性層を有する場合には、前記垂直磁気記録用ヘッドと前記磁気記録媒体における前記軟磁性層との間の距離が、前記多孔質層の厚みよりも短く、前記強磁性層の厚みと略等しくなるため、前記多孔質層の厚みに拘らず前記強磁性層の厚みだけで、該垂直磁気記録用ヘッドからの磁束の集中、使用される記録密度での最適な磁気記録再生特性などが制御可能となる。このため、図3に示すように、前記垂直磁気記録用ヘッド(書込兼読取用ヘッド)100からの磁束が前記強磁性層(垂直磁化膜)30に集中する結果、従来の磁気記録装置に比し、書込み効率が大幅に向上し、書込み電流が小さくて済み、オーバーライト特性が著しく向上する。
なお、前記磁気記録媒体に前記軟磁性下地層が形成されている場合には、前記垂直磁気記録用ヘッドと、該軟磁性下地層との間で磁気回路が形成されるので好ましい。この場合、高密度記録が可能となる点で有利である。
本発明の磁気記録装置による磁気記録、又は本発明の磁気記録方法による磁気記録においては、前記磁気記録媒体における前記強磁性層に前記垂直磁気記録用ヘッドからの磁束が、該強磁性層の下面、即ち前記軟磁性層又は前記非磁性層との界面付近でも、集中したままで拡散しないため、小さなビットを書くことができる。
なお、該強磁性層における前記磁束の収束の程度(拡散の程度)としては、本発明の効果を害さない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−ナノホール構造体の作製及び磁気記録媒体の製造−
図10Aに示すように、ハードディスク用(直径1インチ)のガラス基板200上に、スパッタリング法を用いて、Taを20nmの厚みで成膜して密着層210を形成した後、陽極酸化時の電極層兼軟磁性層として、パーマロイを100nmの厚みで成膜してパーマロイ層220を形成し、該パーマロイ層220上に、Taを5nmの厚みで成膜して酸化停止層230を形成し、更にAlを200nmの厚みで成膜してアルミニウム層240を形成した。
次に、図10Bに示すように、アルミナ系のスラリーを用いて、アルミニウム層240の表面を、CMPにより約50nm研磨し、アルミニウム層240の表面の平滑化を行った。以上が、前記平滑化処理工程である。該平滑化処理工程後のアルミニウム層240の表面のAFM像を図16Aに示し、断面高さ形状を図16Bに示す。図16A及び図16Bより、粒成長に起因する表面の凹凸が除去されており、最大凹凸も3nm以下となっていた。
次に、図10Cに示すように、平滑化したアルミニウム層240の表面に、膜厚が15nmとなるように、スパッタリング法によりTaを成膜して保護金属層250を形成し、図10Dに示すように、保護金属層250上に、濃度5質量%のPMMAを、スピンコート法により1,200rpmで塗布し、厚みが100nmとなるように成膜してポリマー層260を形成した。なお、PMMAは、ガラス軟化点が112℃であり、低温で軟化するポリマーである。
次いで、図10Eに示すように、熱インプリント装置を用い、凸凹ピッチが100nm、凸部の高さが100nm、凸部の径が50nmで、該凸部が三角格子状に配列した凸凹パターンを表面に有する、Ni製のモールド300を用いて、基板温度120℃、圧力50kg/cmで、1分間にわたってインプリント処理を行った。
次に、図10Fに示すように、ポリマー層260に転写された凹凸パターンにおける、凹部260Aの底部に存在する残渣を除去するため、アッシング装置を用いて、200Pa、20Wの条件の酸素プラズマ中にて、1分間のアッシング処理を行った。図10Gに示すように、ガラス基板200をICP−RIEチャンバーに導入し、チャンバー圧力=1.5Pa、CF=20sccm、Ar=20sccm、ソース電力=200W、BIAS電力=20Wの条件で、15秒間、保護金属層250のエッチングを行った後、図10Hに示すように、保護金属層250をマスクとして、チャンバー圧力=0.2Pa、NH=70sccm、CO=30sccm、ソース電力=700W、BIAS電力=200Wの条件で、12秒間、アルミニウム層240のエッチングを行った。ここで、保護金属層250及びアルミニウム層240のそれぞれ10nm相当に対して、それぞれ60%、50%のオーバーエッチを行ったこととなった。
更に、図10Iに示すように、チャンバー圧力=1.5Pa、CF=20sccm、Ar=20sccm、ソース電力=200W、BIAS電力=20Wの条件で、10秒間エッチングを行うことにより、残存する保護金属層250を除去した。その結果、アルミニウム層240の表面に、ナノホール形成用起点としての凹凸パターンPが形成された。以上が、前記起点形成工程である。
図11Aに、前記起点形成工程後のアルミニウム層240の表面のAFM像を示し、図11Bに、該表面の断面高さ形状を表すグラフを示す。図11Aより、アルミニウム層240の表面に、凹部が三角格子状に配列された凹凸パターン(ナノホール形成用起点)が形成されているのが確認された。
次いで、図10Jに示すように、0.3M/lのシュウ酸浴を用いて、電圧40Vにて、アルミニウム層240の陽極酸化処理を行った。その結果、ガラス基板200に対し略直交する方向にアルミナナノホール270Aが複数形成された多孔質層270が形成された。以上が、前記多孔質層形成工程(前記ナノホール構造体形成工程)である。以上により、ナノホール構造体を作製した。図11Cに、実施例1のナノホール構造体における多孔質層270の表面のSEM写真を示し、図11Dに、前記起点形成工程を行わないで、前記多孔質層形成工程を行ったときの多孔質層の表面のSEM写真を示す。図11Cより、前記起点形成工程を行った場合には、アルミナナノホールが規則的に配列しており、図11Dに示す、前記起点形成工程を行なわなかった場合に比して、アルミナナノホールの配列の規則性が向上しているのが判った。
次に、図10Kに示すように、前記アルミナナノホール270A内に、硫酸コバルト(Co)50gと、ホウ酸20g/lの水溶液とを含有するCoメッキ浴を用い、交流50Hz、12VAC、3分間の低電圧交流メッキにより、前記強磁性材料としてのコバルト(Co)280を充填させ、該アルミナナノホール270A内に強磁性層を形成した。このとき、該アルミナナノホール270A内が、コバルト(Co)280でメッキされると共に、該アルミナナノホール270Aの表面からコバルト(Co)280が溢れた状態となった。以上が、前記磁性材料充填工程である。
次いで、図10Lに示すように、前記多孔質層270の表面を研磨することにより、前記アルミナナノホール270Aの表面から溢れ出したコバルト(Co)280を除去した。以上が、前記研磨工程である。更に、図10Mに示すように、スパッタリング法により、厚み1nmのカーボン保護膜290を成膜した後、フッ素系潤滑剤を塗布した。以上が、前記保護層形成工程である。以上により、磁気ディスクを製造した。
(実施例2)
−ナノホール構造体の作製及び磁気記録媒体の製造−
実施例1において、前記起点形成工程を、下記方法により行った以外は、実施例1と同様にして、ナノホール構造体を作製し、磁気記録媒体を製造した。
実施例1と同様にして、図10Aに示すように、ハードディスク用(直径1インチ)のガラス基板200上に、密着層210、パーマロイ層220、酸化停止層230、アルミニウム層240を、ガラス基板200側からこの順に形成した後、図10Bに示すように、アルミニウム層240の表面の平滑化を行った。以上が、前記平滑化処理工程である。
次に、図12Aに示すように、平滑化したアルミニウム層240上に、濃度5質量%のPMMAを、スピンコート法により1,200rpmで塗布し、厚みが100nmとなるように成膜してポリマー層260を形成した。
次いで、図12Bに示すように、熱インプリント装置を用い、凸凹ピッチが100nm、凸部の高さが100nm、凸部の径が50nmで、該凸部が三角格子状に配列した凸凹パターンを表面に有する、Ni製のモールド300を用いて、基板温度120℃、圧力50kg/cmで、1分間にわたってインプリント処理を行った。該インプリント処理後のアルミニウム層240上に形成されたポリマー層260における表面の一部拡大図を、図12Cに示す。
次に、ガラス基板200をICP−RIEチャンバーに導入し、チャンバー圧力=1.5Pa、O=5sccm、N=95sccm、ソース電力=400W、BIAS電力=40Wの条件で、10秒間、酸素系RIEにより、ポリマー層260に転写された凹凸パターンにおける、凹部260Aの底部に存在するポリマー層260の残渣エッチングを行った。ここで、アルミニウム層240上に形成されたポリマー層260における表面の一部拡大図を、図17Aに示す。
次に、図17Bに示すように、前記保護金属としてAlを用い、保護金属層(Al膜)330を形成した。なお、ポリマー層260に形成された凹部260Aに位置する保護金属層330の厚みは、7nmであった。
次に、図17Cに示すように、ガラス基板200をArイオンミリングチャンバーに導入し、チャンバー圧力=4×10−4Torr、印加電圧700Vの条件で、150秒間、前記基板200の鉛直方向に対して45°の角度でのArイオンミリングにより、ポリマー層260に形成された凹部260Aに位置する保護金属層(Al膜)330及びその下層に位置する金属層(アルミニウム層)240のエッチングを行った。
ここで、サンプルとして、PMMA層及びAl層を作製し、それぞれの層の鉛直方向に対して0°及び45°の角度で、Arイオンミリングを行い、PMMA及びAlのミリング量とエッチング時間とを測定した。結果を表1及び図18Aに示す。
図18Aより、Arイオンミリングによれば、ミリング量が、ほぼ時間に比例しており、RIEによるエッチングの際に生じる前記不感時間が存在しないため、効率的にエッチングを行うことができることが判った。また、それぞれの層の鉛直方向に対して傾斜させて(45°の角度で)イオンビームを照射すると、傾斜させない場合(0°の場合)に比して、ミリング量が多くなることが判った。
また、PMMA層及びAl層それぞれの鉛直方向に対して0°及び45°の角度で、Arイオンミリングを行い、PMMA及びAlのエッチングレートを測定し、エッチングレート比を算出した。結果を表2及び図18Bに示す。
図18Bより、PMMA層及びAl層それぞれの鉛直方向に対して傾斜させて(45°の角度で)イオンビームを照射すると、傾斜させない場合(0°の場合)に比して、いずれもエッチングレートが上がるが、表2より、PMMAとAlとのエッチングレート比(PMMA/Al)は、約2.4倍から約1.6倍に下がり、相対的にPMMAのエッチングレートが遅くなっていることが判った。このため、Arイオンミリングによれば、ポリマー層260を残存させつつ、アルミニウム層240に、ナノホール形成用起点として充分に機能し得る程度の深さの凹部を形成することができる。
更に、アセトン超音波を用いたリフトオフ処理により、残存するポリマー層260を、保護金属層330の残渣と共に除去した。その結果、図12Kに示すように、アルミニウム層240の表面に、ナノホール形成用起点としての凹凸パターンPが形成された。以上が、前記起点形成工程である。
その後、実施例1と同様にして、陽極酸化処理により前記多孔質層形成工程を行い、ナノホール構造体を作製した。図19に、実施例2のナノホール構造体における多孔質層の表面のSEM写真を示す。図19より、前記起点形成工程を行った場合、アルミナナノホールが完全に規則的に配列していることが判った。
更に、実施例1と同様にして、前記磁性材料充填工程、前記研磨工程及び前記保護層形成工程を行うことにより、磁気記録媒体を製造した。
(実施例3)
−ナノホール構造体の作製及び磁気記録媒体の製造−
実施例1において、前記起点形成工程を、下記方法により行った以外は、実施例1と同様にして、ナノホール構造体を作製し、磁気記録媒体を製造した。
実施例1と同様にして、図10Aに示すように、ハードディスク用(直径1インチ)のガラス基板200上に、密着層210、パーマロイ層220、酸化停止層230、アルミニウム層240を、ガラス基板200側からこの順に形成した後、図10Bに示すように、アルミニウム層240の表面の平滑化を行った。以上が、前記平滑化処理工程である。
次に、図12Aに示すように、平滑化したアルミニウム層240上に、濃度5質量%のPMMAを、スピンコート法により1,200rpmで塗布し、厚みが100nmとなるように成膜してポリマー層260を形成した。
次いで、図12Bに示すように、熱インプリント装置を用い、凸凹ピッチが100nm、凸部の高さが100nm、凸部の径が50nmで、該凸部が三角格子状に配列した凸凹パターンを表面に有する、Ni製のモールド300を用いて、基板温度120℃、圧力50kg/cmで、1分間にわたってインプリント処理を行った。該インプリント処理後のアルミニウム層240上に形成されたポリマー層260における表面の一部拡大図を、図12Cに示す。
次に、図12Dに示すように、スパッタ装置内に、ガラス基板200を斜めに設置し、前記保護金属としてFeを用い、30°斜め方向から成膜し、膜厚3nm相当の保護金属層(Fe膜)310を形成した。ここで、アルミニウム層240上に形成されたポリマー層260における表面の一部拡大図を、図12Eに示す。図12Eに示すように、ポリマー層260の表面に対する鉛直方向に対して傾斜させた方向からFeが付与されるように、ガラス基板200を30°傾斜させると共に、スパッタの際に、水平成分のFeを遮断するためのダミー基板320を配設し、保護金属層310を形成した。
図13A及び図13Bに、それぞれ保護金属層(Fe膜)310を、10nm相当及び3nm相当形成したときのポリマー層260の表面のSEM写真を示す。図13Bより、保護金属層310を3nm相当形成したときのポリマー層260の表面には、凹部260Aが三角格子状に配列した凹凸パターンが明確に観られるのに対し、図13Aより、保護金属層310を10nm相当形成したときのポリマー層260の表面は、Feで覆われてしまい、凹凸パターンを確認することができなかった。
次に、図12Fに示すように、ガラス基板200をICP−RIEチャンバーに導入し、チャンバー圧力=0.2Pa、O=5sccm、N=45sccm、ソース電力=400W、BIAS電力=20Wの条件で、90秒間、酸素系RIEにより、ポリマー層260の残渣エッチングを行った。ここで、アルミニウム層240上に形成されたポリマー層260における表面の一部拡大図を、図12Gに示す。図12Gに示すように、酸素系RIEによりエッチングを行った場合、ポリマー層260を100%以上オーバーエッチングしても、アルミニウム層240及び保護金属層310は、何ら影響を受けていなかった。
更に、図12Hに示すように、チャンバー圧力=0.2Pa、Cl=20sccm、BCl=20sccm、Ar=10sccm、ソース電力=400W、BIAS電力=20Wの条件で、90秒間、塩素系RIEにより、アルミニウム層240のエッチングを行った。ここで、アルミニウム層240上に形成されたポリマー層260における表面の一部拡大図を、図12Iに示す。図12Iに示すように、塩素系RIEによりエッチングを行った場合、アルミニウム層240を100%以上オーバーエッチングしても、保護金属層310は、何ら影響を受けていなかった。
更に、図12Jに示すように、アセトン超音波を用いたリフトオフ処理により、ポリマー層260を、保護金属層310と共に除去した。その結果、図12Kに示すように、アルミニウム層240の表面に、ナノホール形成用起点としての凹凸パターンPが形成された。以上が、前記起点形成工程である。
図13Cに、前記起点形成工程後のアルミニウム層240の表面のAFM像を示し、図13Dに、該表面の断面高さ形状を表すグラフを示す。図13Cより、アルミニウム層240の表面に、凹部が三角格子状に配列した凹凸パターン(ナノホール形成用起点)が形成されているのが確認され、厚み3nmの非常に薄い保護金属層310により、エッチング耐性のないポリマー(PMMA)層260を保護することができることが判った。
その後、実施例1と同様にして、陽極酸化処理により前記多孔質層形成工程を行い、ナノホール構造体を作製した。図13Eに、実施例3のナノホール構造体における多孔質層の表面のSEM写真を示し、図13Fに、前記起点形成工程を行わないで、前記多孔質層形成工程を行ったときの多孔質層の表面のSEM写真を示す。図13Eより、前記起点形成工程を行った場合には、アルミナナノホールが規則的に配列しており、図13Fに示す、前記起点形成工程を行わなかった場合に比して、アルミナナノホールの配列の規則性が向上しているのが判った。
更に、実施例1と同様にして、前記磁性材料充填工程、前記研磨工程及び前記保護層形成工程を行うことにより、磁気記録媒体を製造した。
実施例1、実施例2及び実施例3で得られた磁気記録ディスク(前記磁気記録媒体)について、書込み用の磁気ヘッドとしての単磁極ヘッド及び読出用の磁気ヘッドとしてのGMRヘッドを備えた磁気記録装置を用いて、該単磁極ヘッドによる書込み、及び該GMRヘッドの読み出しによる磁気記録を行い、記録再生特性を評価した。
まず、前記磁気記録ディスクを永久磁石により、基板面に垂直な一方向に磁化し、その後、前記磁気ディスクサンプルを回転させて磁気ヘッドを浮上させて、磁気信号の記録及び再生を行った。その結果、円周状に配置されたナノホール列に対応する規則信号が観測された。
(実施例4)
−ナノホール構造体の作製−
実施例3において、モールド300における表面の凸凹パターンを、ドットパターンから、ライン&スペースパターンに変えた以外は、実施例3と同様にして、ナノホール構造体を作製した。
なお、ライン&スペースパターンを表面に有するモールドを用いて、アルミニウム層の表面に凹凸パターン(ナノホール形成用起点)を形成した後、陽極酸化処理を行うと、アルミナナノホールが一次元配列した、磁気記録媒体に好適に使用可能な磁気記録媒体が得られることが、本発明者らにより報告されている(特開2005−305634号参照)。
ライン&スペースパターンを有するモールドを用いてナノホール形成用起点を形成する場合、実施例3における起点形成工程と同様にして行うと、図14Aに示すように、ラインがディスク状であるため、保護金属粒子の入射方向とラインとの位置関係が平行になる部位が生じる。この場合、ポリマー層260の表面に形成された凹凸パターンにおける凹部260Aの底部にまで、保護金属が入り込み、保護金属層が形成されてしまい、ディスクの全面において、均一にナノホール形成用起点を形成することができない。
そこで、実施例4における起点形成工程では、図14Bに示す、保護金属層作製装置を用いて、保護金属層の形成を行った。
図14Bに示す、保護金属層作製装置400は、超高真空型の蒸着装置であり、ガラス基板200から離間させて配置された蒸着源(k−cell、EB−蒸着源等)410と、成膜範囲を制限すると共に、蒸着粒子(保護金属粒子)の平行度を高める機能を有するコーン420と、ガラス基板200を傾斜設置させ、かつ回転させることができる、基板ステージ430とを有する。なお、ガラス基板200を低温に保持するために、基板ステージ430は、冷却機構を有しているのが好ましい。
このような、保護金属層作製装置400を用いて、保護金属粒子(Fe)の蒸着を行うと、モールドにおける凸凹パターンが、ライン&スペースパターンであっても、常に、保護金属粒子とライン方向との位置関係が直交するように保持して前記保護金属層を形成することができるので、ディスク状の基板において、均一なライン配列のナノホール形成用起点を形成することができる。
前記起点形成工程を行うことにより作製した本発明のナノホール構造体、及び従来のプロセスにより作製したナノホール構造体におけるナノホールの配列状態の一例を図15に示す。
図15に示すように、本発明のナノホール構造体におけるナノホールは、規則的に一次元配列していることが判った。一方、従来のソフト・インプリント法によりモールドの表面形状(パターン)をポリマー層に転写し、該ポリマー層をマスクとしてアルミニウム層をエッチングし、陽極酸化処理によりナノホールを形成した、従来のナノホール構造体では、ポリマー層の表面に前記パターンが転写されていても、前記アルミニウム層の表面が全くエッチングされていないため、ナノホールの配列がランダムとなることが判った。
本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) 基材上に、金属層を形成した後、該金属層の表面を平滑化する平滑化処理工程と、平滑化された前記金属層に、ナノホール形成用起点を形成する起点形成工程と、ナノホール形成処理を行うことにより、前記基材に対し略直交する方向にナノホールが複数形成された多孔質層を形成する多孔質層形成工程とを含むことを特徴とするナノホール構造体の製造方法。
(付記2) 金属層が、アルミニウムからなる付記1に記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記3) 平滑化処理工程が、CMP(化学機械研磨)処理により行われる付記1から2のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記4) 平滑化処理工程後の金属層表面の凹凸が、3nm以下である付記1から3のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記5) 起点形成工程が、形成するナノホールの配列パターンに対応した凸凹パターンを表面に有するモールドの該凸凹パターンを、金属層上に形成したポリマー層にインプリント転写することを含む付記1から4のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記6) モールドにおける凸凹パターンが、円形状の凸部が一定間隔で三角格子状に配列してなる付記5に記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記7) 起点形成工程が、金属層上に保護金属層及びポリマー層を、該金属層からこの順に形成した後、該ポリマー層に、モールドにおける凸凹パターンをインプリント転写し、形成された凹凸パターンを用いて前記保護金属層をエッチングした後、残存する保護金属層をマスクとして前記金属層をエッチングする付記5から6のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記8) 金属層がアルミニウム層であり、保護金属層がTa層及びTi層のいずれかであり、かつ前記保護金属層のエッチングがCF系RIEにより行われ、前記金属層のエッチングがCO−アンモニア系RIEにより行われる付記7に記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記9) 起点形成工程が、金属層上にポリマー層を形成した後、該ポリマー層に、モールドにおける凸凹パターンをインプリント転写して凹凸パターン形成し、該ポリマー層の表面に形成された凹部の底面に位置する該ポリマー層をエッチングにより除去した後、該凹部内に表出された前記金属層及び前記ポリマー層に対して保護金属を付与することにより保護金属層を形成し、前記ポリマー層に形成された凹部に位置する保護金属層及び該保護金属層の下層に位置する前記金属層表面をエッチングし、更に残存した前記ポリマー層及び前記保護金属層の残渣を除去する付記5から6のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記10) 保護金属が、アルミニウムである付記9に記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記11) 保護金属の付与が、スパッタ、MBE、及びEB蒸着のいずれかにより行われる付記9から10のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記12) 金属層がアルミニウム層であり、かつポリマー層の表面に形成された凹部の底面に位置する該ポリマー層のエッチングが酸素系RIEにより行われ、前記金属層表面のエッチングがイオンミリングにより行われる付記9から11のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記13) 起点形成工程が、金属層上にポリマー層を形成した後、該ポリマー層に、モールドにおける凸凹パターンをインプリント転写して凹凸パターンを形成し、基材表面及び前記ポリマー層表面に対する鉛直方向に対して傾斜させた方向から、該ポリマー層に対して保護金属を付与することにより保護金属層を形成し、前記ポリマー層の表面に形成された凹部の底面に位置する該ポリマー層をエッチングにより除去した後、該ポリマー層が除去された前記金属層表面をエッチングし、更に前記ポリマー層を前記保護金属層と共に除去する付記5から6のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記14) 保護金属が、Fe、Ni及びCoから選択される少なくとも1種である付記13に記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記15) 保護金属の付与が、スパッタ、MBE及びEB蒸着のいずれかにより行われる付記13から14のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記16) 金属層がアルミニウム層であり、かつポリマー層のエッチングが酸素系RIEにより行われ、前記金属層表面のエッチングが塩素系RIEにより行われる付記13から15のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記17) ポリマー層及び保護金属層の除去が、有機溶剤を用いたリフトオフ処理により行われる付記13から16のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記18) 付記1から17のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法により製造され、基材に、ナノホールが規則的に配列してなるナノホール列が一定間隔で配列してなることを特徴とするナノホール構造体。
(付記19) 基板上に、金属層を形成した後、該金属層の表面を平滑化する平滑化処理工程と、平滑化された前記金属層に、ナノホール形成用起点を形成する起点形成工程と、ナノホール形成処理を行うことにより、前記基板面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程と、該ナノホールの内部に磁性材料を充填する磁性材料充填工程とを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(付記20) 付記19に記載の磁気記録媒体の製造方法により製造され、
基板上に、該基板面に対し略直交する方向にナノホールが複数形成されたナノホール構造体を有し、該ナノホールの内部に磁性材料を有してなることを特徴とする磁気記録媒体。
本発明のナノホール構造体の製造方法は、本発明のナノホール構造体の製造に好適に使用することができる。
本発明のナノホール構造体は、磁気記録媒体をはじめ、DNAチップ、診断装置、検出センサー、触媒基板、電界放出ディスプレイ等の各種分野に好適に使用することができ、特に、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適に使用することができる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、本発明の磁気記録媒体の製造に好適に使用することができる。
本発明の磁気記録媒体は、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適に使用することができる。
本発明の磁気記録装置は、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等として好適に使用することができる。
本発明の磁気記録方法は、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、特にクロスリードやクロスライト等の問題がなく、極めて高品質な記録に好適に使用することができる。
図1は、陽極酸化アルミナポアのポア中に磁性金属を充填してなり、パターンドメディアと垂直記録方式とを併せた磁気記録媒体の一例を示す概略説明図である。 図2Aは、二次元的に配列した陽極酸化アルミナポアに磁性金属を充填してなる磁気記録媒体の一例を示す概略説明図である。 図2Bは、図2AのB−B’断面図である。 図3は、垂直記録方式による磁気記録の際に、磁束が拡散せず集中する状態の一例を説明するための概念図である。 図4は、磁気記録媒体に対し、単磁極ヘッドを用いて垂直磁気記録方式により磁気記録を行っている状態の一例を示す一部断面概略説明図である。 図5Aは、スパッタリング法により成膜したアルミニウム層の表面の一例を示すAFM像である。 図5Bは、スパッタリング法により成膜したアルミニウム層の表面の断面高さ分布の一例を示すグラフである。 図6は、塩素系RIEによりエッチングを行ったときのPMMA及びAlのエッチングレートの一例を示すグラフである。 図7Aは、CF系RIEによりエッチングを行ったときのTa及びAlのエッチングレートの一例を示すグラフである。 図7Bは、CO−アンモニア系RIEによりエッチングを行ったときのPMMA、Ta及びAlのエッチングレートの一例を示すグラフである。 図8Aは、塩素系RIEによりエッチングを行ったときのPMMA、Al及びFeのエッチングレートの一例を示すグラフである。 図8Bは、塩素系ドライエッチングによりエッチングを行ったときのPMMA、Al及びFeのエッチングレートの一例を示すグラフである。 図9は、PMMA層の表面に保護金属層を形成する方法の一例を示す概略説明図である。 図10Aは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法の工程を説明するための工程図(その1)である。 図10Bは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法の工程を説明するための工程図(その2)である。 図10Cは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法の工程を説明するための工程図(その3)である。 図10Dは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法の工程を説明するための工程図(その4)である。 図10Eは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法の工程を説明するための工程図(その5)である。 図10Fは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法の工程を説明するための工程図(その6)である。 図10Gは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法の工程を説明するための工程図(その7)である。 図10Hは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法の工程を説明するための工程図(その8)である。 図10Iは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法の工程を説明するための工程図(その9)である。 図10Jは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法の工程を説明するための工程図(その10)である。 図10Kは、本発明の磁気記録媒体の製造方法の工程を説明するための工程図(その11)である。 図10Lは、本発明の磁気記録媒体の製造方法の工程を説明するための工程図(その12)である。 図10Mは、本発明の磁気記録媒体の製造方法の工程を説明するための工程図(その13)である。 図11Aは、起点形成工程後のアルミニウム層の表面の一例を示すAFM像である。 図11Bは、起点形成工程後のアルミニウム層の表面の断面高さ形状の一例を示すグラフである。 図11Cは、実施例1のナノホール構造体における多孔質層の表面を示すSEM写真である。 図11Dは、起点形成工程を行わないで形成した多孔質層の表面を示すSEM写真である。 図12Aは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法における起点形成工程の一例を説明するための工程図(その1)である。 図12Bは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法における起点形成工程の一例を説明するための工程図(その2)である。 図12Cは、図12Bに示すアルミニウム層上に形成されたポリマー層における表面の一部拡大図である。 図12Dは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法における起点形成工程の一例を説明するための工程図(その3)である。 図12Eは、図12Dに示すアルミニウム層上に形成されたポリマー層における表面の一部拡大図である。 図12Fは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法における起点形成工程の一例を説明するための工程図(その4)である。 図12Gは、図12Fに示すアルミニウム層上に形成されたポリマー層における表面の一部拡大図である。 図12Hは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法における起点形成工程の一例を説明するための工程図(その5)である。 図12Iは、図12Hに示すアルミニウム層上に形成されたポリマー層における表面の一部拡大図である。 図12Jは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法における起点形成工程の一例を説明するための工程図(その6)である。 図12Kは、図12Jに示すアルミニウム層上に形成されたポリマー層における表面の一部拡大図である。 図13Aは、実施例3における起点形成工程において、保護金属層を10nm相当の厚みで形成したときのポリマー層表面のSEM写真である。 図13Bは、実施例3における起点形成工程において、保護金属層を3nm相当の厚みで形成したときのポリマー層表面のSEM写真である。 図13Cは、実施例3における起点形成工程後のアルミニウム層の表面の一例を示すAFM像である。 図13Dは、実施例3における起点形成工程後のアルミニウム層の表面の断面高さ形状の一例を示すグラフである。 図13Eは、実施例3のナノホール構造体における多孔質層表面のSEM写真である。 図13Fは、起点形成工程を行わないで作製したナノホール構造体の一例における多孔質層表面のSEM写真である。 図14Aは、ライン&スペースパターンを表面に有するモールドを用いて、ディスク状の基板にナノホール形成用起点を形成する場合の不具合を説明するための概略説明図である。 図14Bは、ライン&スペースパターンを表面に有するモールドを用いて、ディスク状の基板にナノホール形成用起点を形成する、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法における起点形成工程の一例を説明するための概略説明図である。 図15は、本発明のナノホール構造体、及び従来のプロセスにより作製したナノホール構造体におけるナノホールの配列状態の一例を示す写真である。 図16Aは、実施例1の平滑化処理工程後のアルミニウム層の表面の一例を示すAMF像である。 図16Bは、実施例1の平滑化処理工程後のアルミニウム層の表面の断面高さ形状の一例を示すグラフである。 図17Aは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法における起点形成工程の他の例を説明するための工程図(その1)であり、図12Cの次のステップを示す。 図17Bは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法における起点形成工程の他の例を説明するための工程図(その2)である。 図17Cは、本発明のナノホール構造体及び本発明の磁気記録媒体の製造方法における起点形成工程の他の例を説明するための工程図(その3)である。 図18Aは、PMMA及びAlのミリング量とエッチング時間との関係(時間依存性)を示すグラフ図である。 図18Bは、PMMA及びAlのエッチングレートとイオンビームの照射角度との関係(角度依存性)を示すグラフ図である。 図19は、実施例2のナノホール構造体における多孔質層表面のSEM写真である。
符号の説明
10 軟磁性層
30 記録層
100 書込兼読取用ヘッド(単磁極ヘッド)
110 基板
120 下地電極層
130 陽極酸化アルミナ層
140 強磁性層
200 ガラス基板
210 密着層
220 パーマロイ層
230 酸化停止層
240 アルミニウム層
250 保護金属層
260 ポリマー層(PMMA層)
260A 凹部
270 多孔質層(ナノホール構造体)
270A アルミナナノホール
280 強磁性材料(コバルト)
290 カーボン保護層
300 モールド
310 保護金属層(Fe膜)
320 ダミー基板
330 保護金属層(Al膜)
400 保護金属層作製装置
410 蒸着源
420 コーン
430 基板ステージ
P 凹凸パターン(ナノホール形成用起点)

Claims (6)

  1. 基材上に、金属層を形成した後、該金属層の表面を平滑化する平滑化処理工程と、平滑化された前記金属層に、ナノホール形成用起点を形成する起点形成工程と、ナノホール形成処理を行うことにより、前記基材に対し略直交する方向にナノホールが複数形成された多孔質層を形成する多孔質層形成工程とを含むことを特徴とするナノホール構造体の製造方法。
  2. 該起点形成工程が、金属層上に保護金属層及びポリマー層を、該金属層からこの順に形成した後、該ポリマー層に、モールドにおける凸凹パターンをインプリント転写し、形成された凹凸パターンを用いて前記保護金属層をエッチングした後、残存する保護金属層をマスクとして前記金属層をエッチングする請求項1に記載のナノホール構造体の製造方法。
  3. 該起点形成工程が、金属層上にポリマー層を形成した後、該ポリマー層に、モールドにおける凸凹パターンをインプリント転写して凹凸パターン形成し、該ポリマー層の表面に形成された凹部の底面に位置する該ポリマー層をエッチングにより除去した後、該凹部内に表出された前記金属層及び前記ポリマー層に対して保護金属を付与することにより保護金属層を形成し、前記ポリマー層に形成された凹部に位置する保護金属層及び該保護金属層の下層に位置する前記金属層表面をエッチングし、更に残存した前記ポリマー層及び前記保護金属層の残渣を除去する請求項1に記載のナノホール構造体の製造方法。
  4. 該起点形成工程が、金属層上にポリマー層を形成した後、該ポリマー層に、モールドにおける凸凹パターンをインプリント転写して凹凸パターンを形成し、基材表面及び前記ポリマー層表面に対する鉛直方向に対して傾斜させた方向から、該ポリマー層に対して保護金属を付与することにより保護金属層を形成し、前記ポリマー層の表面に形成された凹部の底面に位置する該ポリマー層をエッチングにより除去した後、該ポリマー層が除去された前記金属層表面をエッチングし、更に前記ポリマー層を前記保護金属層と共に除去する請求項1に記載のナノホール構造体の製造方法。
  5. 基板上に、金属層を形成した後、該金属層の表面を平滑化する平滑化処理工程と、平滑化された前記金属層に、ナノホール形成用起点を形成する起点形成工程と、ナノホール形成処理を行うことにより、前記基板面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程と、該ナノホールの内部に磁性材料を充填する磁性材料充填工程とを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  6. 請求項5に記載の磁気記録媒体の製造方法により製造され、
    基板上に、該基板面に対し略直交する方向にナノホールが複数形成されたナノホール構造体を有し、該ナノホールの内部に磁性材料を有してなることを特徴とする磁気記録媒体。
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