JP2011181123A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気特性ダメージの横方向への広がりによる分離部に対する磁性部の割合(デューティ)の悪化を起こすことなく、また、簡便な方法で製造でき、生産性に優れた磁気記録媒体の製造方法を提供する。
【解決手段】インプリントにより凹凸パターンが形成されたマスク層を介して、イオン注入または活性化ハロゲン含有反応性ガスを暴露することにより、マスク層の凹部に対応する位置の磁気記録層の磁気特性を変質させて磁気記録層のマスク層の凸部に対応する位置の磁性部を磁気的に分離する分離部を形成する分離部形成工程を備え、マスク層を構成するレジスト材料が、インプリント工程の後に凹凸パターンの形状が変化する材料であって、分離部形成工程を開始する際のマスク層の凹凸パターンの段差部のテーパ角度が、66°以上88°以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、高記録密度においても良好な電磁変換特性を有するディスクリートトラック媒体またはビットパターン媒体などのパターン媒体として好適な磁気記録媒体の製造方法に関する。
近年の高度情報化社会を支える情報の記録装置の1つに磁気記憶装置がある。情報の大量化に伴って、磁気記憶装置に用いられる磁気記録媒体には記録密度の向上が要求されている。高記録密度を実現するためには、磁化反転が生じる単位(記録単位)を小さくしなければならない。そのためには、磁性結晶粒のサイズの微細化と同時に、記録単位を明確に分離して区分することによって、隣接する記録単位間の磁気的な相互作用を低減することが重要である。
磁気記録の高密度化を実現する技術の1つとして、長手磁気記録媒体に代えて、垂直磁気記録媒体が提案されている。一般的に、垂直磁気記録媒体は、基体上に、軟磁性層、結晶配向制御層、磁気記録層および保護層がこの順に積層された構造を有する。垂直磁気記録媒体用の磁気記録層用材料としては、現在では主として、六方最密充填構造(hcp構造)をもつCoCr系合金結晶質膜が検討されている。垂直磁気記録を行う際には、そのc軸が膜面に垂直(すなわちc面が膜面に平行)になるように、hcp構造を有する材料の結晶配向を制御する。また、磁気記録媒体の今後のさらなる高密度化に対応するために、このCoCr系合金結晶質膜を構成する結晶粒の微細化、粒径分布の低減、粒子間の磁気的な相互作用の低減等に対する取り組みがなされている。
さらに、高密度化のための磁性層構造制御の1方式として、磁性結晶粒の周囲を酸化物や窒化物のような非磁性非金属物質で囲んだ構造をもつ磁性層(一般にグラニュラー磁性層と呼ばれる)を用いる方法が提案されている。
例えば、SiO等の酸化物が添加されたCoNiPtターゲットを用いる高周波スパッタリングによって、各々の磁性結晶粒が非磁性の酸化物で囲まれて個々に分離した構造を持つグラニュラー磁性層が形成でき、低ノイズ化が実現されることが報告されている(特許文献1参照)。
このようなグラニュラー磁性層においては、非磁性非金属(非磁性酸化物)の粒界相が磁性結晶粒を物理的に分離して、磁性結晶粒間の磁気的な相互作用が低下する。磁気的な相互作用の低下は、記録単位の遷移領域に生じるジグザグ磁壁の形成を抑制して、低ノイズ特性を実現する。
前述のようなグラニュラー磁性層を用いた従来技術の垂直磁気記録媒体においては、比較的良好な磁気特性および電磁変換特性が得られている。しかしながら、従来技術の垂直磁気記録媒体に用いられるグラニュラー磁性層は、全体的に一様な構造を有する連続膜(ベタ膜とも呼ばれる)であった。
さらなる高記録密度化のためには、以下の課題を達成する必要がある。
(1)隣接トラックへの書きにじみの防止、(2)磁性結晶粒のランダムな配置によるジグザグ磁壁の形成の低減、(3)結晶粒を小さくしていくことによる熱揺らぎによる影響の低減、および、(4)磁性結晶粒間の磁気的な相互作用の低減。
上記の課題を達成する手段として、磁化反転する単位(記録単位)を明確に区分することが提案されている。そのような手段の1つとして、パターン媒体が提案されている。パターン媒体としては、ディスクリートトラック媒体やビットパターン媒体が提案されている。
ディスクリートトラック媒体においては、磁気的に分離された複数の磁性体列を作成し、該磁性体列を磁気記録を行うためのトラックとして用いる。すなわち、隣接するトラック間の境界を人工的に形成する。ディスクリートトラック媒体は、上記の(1)隣接トラックへの書きにじみの防止、および(2)ジグザグ磁壁の形成の低減に有効である。
また、ビットパターン媒体においては、磁気的に分離された島状の磁性体ドットを作成し、該磁性体ドットを磁気記録を行うためのビットとして用いる。すなわち、トラック間だけでなく、隣接するビット間の境界をも人工的に形成する。ビットパターン媒体は、上記の(1)隣接トラックへの書きにじみの防止、(2)磁性結晶粒のランダムな配置によるジグザグ磁壁の形成の低減、(3)結晶粒を小さくしていくことによる熱揺らぎによる影響の低減、および、(4)磁性結晶粒間の磁気的な相互作用の低減に有効である。
これらのパターン媒体を得るために、各種の方法が提案されている。例えば、基体上に高透磁率層と磁性層とを有する磁気記録媒体において、高透磁率層と磁性層との欠如部を設けることにより、記録再生が行われるトラック間隙を形成することが提案されている(特許文献2、特に図1参照)。
このような構造を採ることによって、再生時に隣接するトラック部間の記録が混入することを確実に回避することができると記載されている。
また、磁気記録層を含む各構成層を形成する前の円板状基板表面にエッチングすることにより渦巻状の凹部を形成し、その凹部に磁性体を埋め込むことで磁性体列を作る方法が提案されている(特許文献3、特に図1参照)。
また、軟磁性層の一部を除去し、軟磁性層を除去した部位に非磁性のガードバンドを埋め込み、その上に磁気記録層を形成することで磁気的に独立した磁性体列を作る方法が提案されている(特許文献4、特に図1参照)。
また、軟磁性層および結晶配向制御層のパターニングを行うことにより、磁気的に独立した磁性体列からなる磁気記録層を形成する方法が提案されている(特許文献5、特に図2および図3参照)。
この方法においては、非磁性基板上に、軟磁性層および結晶配向制御層を形成した後に、ディスクリート作用を発揮させるための欠如凹部を形成する。次いで、欠如凹部に非磁性材料を充填して非磁性層を形成する。さらに、その上に磁気記録層を形成する際に、結晶配向制御層の上に良好な磁気特性を有する磁性体列が形成されるが、非磁性層の上には良好な磁気特性を有する層が形成されない。以上の方法によって、磁気的に独立した複数の磁性体列が形成され、それら磁性体列を、記録再生を行う複数のデータトラックとして用いる。
さらに、基板上に、軟磁性層、中間層、および磁気記録層を形成し、該磁気記録層から中間層の途中に至る所定の凹凸パターンを形成して、磁気記録層を多数の記録要素に分割する方法が提案されている(特許文献6参照)。
この構成の利点として以下の事項が記載されている。
(1)磁気記録層を貫通する凹凸パターンを設けることによって、隣接トラックへの記録・再生時のクロストークを防止できる。および(2)凹凸パターンの形成を中間層の途中までとし、軟磁性層に影響を及ぼさないことによって、記録・再生特性の悪化も防止できる。
また、磁気記録層上に所定のパターンの開口部を有するレジストマスクを形成し、レジストマスクを通したイオン注入を行うことにより、開口部の位置に対応する磁気記録層の磁気特性を変質させ、分離部を形成する方法が提案されている(特許文献7参照)。
さらに、磁気記録層上に所定のパターンを有するマスクを設け、次いでマスクを介してハロゲン含有活性ガスまたは反応液を作用させ、磁気記録層の一部を非強磁性化するディスクリートトラック媒体およびビットパターン媒体の製造方法が提案されている(特許文献8参照)。また、上記の方法で形成されるパターン化された磁気記録層の上に、連続膜の磁気記録層を形成することも提案されている。
米国特許第5679473号明細書 特開平4−310621号公報 特開昭56−119934号公報 特許第2513746号公報 特開2003−16622号公報 特開2006−12285号公報 特開2002−288813号公報 特開2002−359138号公報 特開2008−135092号公報
上述したように、これまでに提案されているディスクリートトラック媒体やパターンド媒体の製造方法の多くは、磁気記録媒体の構成層の一部を積極的に除去すること、または磁気的に変質して磁気特性を失わせることに依存する。具体的には、磁気記録層、基板、軟磁性層、または、軟磁性層および結晶配向制御層の両方を、その一部を除去する構成層として用いる。
しかしながら、特許文献2および6に記載の方法のように磁気記録層の一部を除去する場合、磁気記録層そのものを直接エッチングするため、エッチングによる磁気記録層へのダメージ、および/またはエッチングガスまたはエッチング液の残留成分による磁気記録層の腐食が発生し、磁気記録層の磁気特性が劣化する恐れがある。
また、特許文献3に記載されるように、基板に渦巻状の溝を設け、その溝に磁性体を埋め込むことで磁性体列を作る方法では、微細な溝の中のみに良好な結晶配向性および垂直磁気異方性を備えた磁気記録層を形成するのは困難であり、良好な磁気特性は望めない。
また、特許文献4に記載される軟磁性層をエッチングで除去する方法、および特許文献5のように軟磁性層および結晶配向制御層を除去する方法においては、平坦化工程が設けられている。なぜなら、表面に大きな凹凸があると、磁気ヘッドの浮上安定性が悪化するからである。平坦化工程は、例えば、所定の構成層の除去によって形成された凹部に非磁性材料を充填し、次いでCMP(chemical mechanical polishing)などによって表面を研磨して平滑にすることによって実施される。
しかしながら、微小で深い凹凸を空隙なく均一に充填するのは困難である。さらに、微小で深い隙間の場合、充填前の凹凸に応じて、充填後の表面の凹凸も大きくなってしまう。そのため、CMPなどによって表面を平滑にする場合も、平滑にするのが困難となるか、あるいは研磨量が多くなることによって膜厚の制御ができなくなる恐れがある。
一方、特許文献7に記載のイオン注入によって磁気特性を変質させた分離部を形成する方法では、構成層の一部の積極的除去を伴わないため、平坦化工程を必要としない。しかしながら、発明者らの研究では、イオン注入によって磁気特性を変質させるとした場合、イオンを注入する深さに応じて、注入されたイオンが横方向へ拡散することがわかった。通常の磁気記録層の膜厚である10nm以上の深さまでイオンを注入する場合、5nm以上の幅までイオンが拡散する。そのため、微細化に限界があり、このままではディスクリートトラック媒体などのパターン媒体で必要とされる150nm以下のピッチ(50nm以下の分離部)を作製するには好ましくなかった。
また、特許文献8に記載のハロゲン含有活性ガスまたは反応液を作用させ、磁気記録層の一部を非強磁性化する方式においても、マスク開口部に対して非磁性化領域が横方向への広がりを見せることがわかった。
ハロゲン含有活性ガス暴露やイオン注入用のマスク形成は、電子線描画で直接形成するか、電子線描画を用いたスタンパでナノインプリントで形成する。磁気記録媒体全面に微細な溝を形成することは電子線描画の時間が大幅にかかってしまう。そのため、予め、ハロゲン含有活性ガスでの磁気記録層の一部を非強磁性化部分の横方向への広がりや、イオン注入における横方向への広がりを考慮した極微細な溝を形成することは、生産性の面から好ましくない。特に、ディスクリートトラック媒体などのパターン媒体で必要とされる150nm以下のピッチ(50nm以下の分離部)においては好ましくなかった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、これまでのパターン媒体の提案に見られるような、磁気特性ダメージの横方向への広がりによる分離部に対する磁性部の割合(デューティ)の悪化を起こすことなく、また、簡便な方法で製造でき、生産性に優れた磁気記録媒体の製造方法を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明は、非磁性基板上に連続的な磁気記録層を形成する磁気記録層形成工程と、前記磁気記録層の上にレジスト材料を塗布してマスク層を形成するマスク層形成工程と、前記マスク層にインプリントにより凹凸パターンを形成するインプリント工程と、前記凹凸パターンが形成されたマスク層を介して、イオン注入または活性化ハロゲン含有反応性ガスを暴露することにより、当該マスク層の凹部に対応する位置の前記磁気記録層の磁気特性を変質させて当該磁気記録層の当該マスク層の凸部に対応する位置の磁性部を磁気的に分離する分離部を形成する分離部形成工程とを備える磁気記録媒体の製造方法において、前記レジスト材料が、前記インプリント工程の後に凹凸パターンの形状が変化する材料であって、前記分離部形成工程を開始する際の前記マスク層の凹凸パターンの段差部のテーパ角度が66°以上88°以下であることを特徴とする。
ここで、前記レジスト材料が、シロキサン樹脂を含む有機スピンオングラス(SOG)レジストであり、前記インプリント工程から前記分離部形成工程までの間に引き置き時間を10分〜24時間設けることにより、前記分離部形成工程を開始する際の前記マスク層の凹凸パターンの段差部のテーパ角度を66°以上88°以下とすることができ、また、前記レジスト材料が、熱可塑樹脂を含むインプリントレジストであり、前記インプリント工程の後に、熱可塑樹脂のガラス転移温度の−50℃以上、+50℃以下の温度で熱処理をすることにより、前記分離部形成工程を開始する際の前記マスク層の凹凸パターンの段差部のテーパ角度を66°以上88°以下とすることができる。
また、本発明は、非磁性基板上に連続的な磁気記録層を形成する磁気記録層形成工程と、前記磁気記録層の上にレジスト材料を塗布してマスク層を形成するマスク層形成工程と、前記マスク層にインプリントにより凹凸パターンを形成するインプリント工程と、前記凹凸パターンが形成されたマスク層を介して、イオン注入または活性化ハロゲン含有反応性ガスを暴露することにより、当該マスク層の凹部に対応する位置の前記磁気記録層の磁気特性を変質させて当該磁気記録層の当該マスク層の凸部に対応する位置の磁性部を磁気的に分離する分離部を形成する分離部形成工程とを備える磁気記録媒体の製造方法において、前記レジスト材料が、紫外線硬化型のレジストであり、前記マスク層の凹凸パターンの段差部に対応する部分のテーパ角度が66°以上88°以下である石英スタンパを前記インプリント工程に用いることにより、前記分離部形成工程を開始する際の前記マスク層の凹凸パターンの段差部のテーパ角度を66°以上88°以下とすることを特徴とする。
本発明によれば、従来のパターン媒体の提案に見られるような、電子線描画による原盤からのパターン中の磁性と非磁性領域の比率であるデューティの悪化を小さくすることができる。また、本発明の方法は、簡便であり、優れた生産性を有する。なぜなら、これまで通りの電子線描画による原盤を用いることができ、生産性を悪化させるような高度な電子線描画を必要としないで済むからである。
本発明の実施形態の製造方法により製造するパターン磁気記録媒体の構成例の断面模式図である。 本発明の実施形態の製造方法をパターン磁気記録媒体の断面模式図で示す工程図である。 本発明の凹凸パターンが形成されたマスク層の段差部のテーパ角度の有効性を説明するためのパターン磁気記録媒体の断面模式図で、(a)はテーパ角度が大きすぎる場合、(b)はテーパ角度が適正な場合、(c)はテーパ角度が小さすぎる場合をそれぞれ示す。 本発明の凹凸パターンの断面形状の説明図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一ないし同等部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図1に示すように、本発明の実施形態の製造方法により製造するパターン磁気記録媒体は、非磁性基板10上に、軟磁性裏打ち層20、下地層30、磁気記録層42、保護層50、潤滑層60が順次形成されてなる。
非磁性基体10としては、通常の磁気記録媒体に用いられるNiPメッキを施したAl合金、強化ガラス、あるいは、結晶化ガラス等を用いて作成することができる。また、基板加熱温度を100℃以内に抑える場合は、ポリカーボネイト、ポリオレフィン等の樹脂からなるプラスチック基板を用いることもできる。
軟磁性裏打ち層20は、磁気記録に用いる磁気ヘッドからの磁束を制御して記録・再生特性を向上するために形成することが好ましい層で、省略することも可能である。
軟磁性裏打ち層20の材料としては、結晶のFeTaC、センダスト(FeSiAl)合金等、また非晶質のCo合金であるCoZrNb、CoTaZr等を用いることができる。
軟磁性裏打ち層20の膜厚は、記録に使用する磁気ヘッドの構造や特性によって最適値が変化するが、他の層と連続成膜で形成する場合などは、生産性との兼ね合いから10nm以上500nm以下であることが望ましい。他の層の成膜前に、めっき法などによって、あらかじめ非磁性基板上に成膜する場合は、数μmと厚くすることも可能である。
下地層30は、その上に形成する磁気記録層42の結晶配向性、結晶粒径等を制御するために形成することが好ましい層で、非磁性材料、軟磁性材料を用いることができる。下地層30を省略することも可能である。
下地層30が軟磁性材料の場合は、下地層30が軟磁性裏打ち層20の機能の一部を担うこととなり、より好ましく用いられる。軟磁性材料としては、パーマロイ系材料である、NiFeAl、NiFeSi、NiFeNb、NiFeB、NiFeNbB、NiFeMo、NiFeCrなどを用いることができる。
パーマロイ系下地層の膜厚は、磁気記録層42の磁気特性や電磁変換特性が最適となるように調整され、おおむね3nm以上50nm以下程度であることが、磁気記録媒体特性と生産性との兼ね合いから望ましい。
非磁性材料としては、Ta、Zr、Ni3Alなどの材料を用いることができる。非磁性材料を用いる場合は、記録ヘッドが発生する磁場を軟磁性裏打ち層に効果的に集中させる観点からは膜厚が薄い程良く、0.2nm以上10nm以下とすることが望ましい。
また、磁気記録層42の結晶配向性、結晶粒径及び粒界偏析を好適に制御するために、下地層の一部に非磁性中間層を形成することも可能である。
その材料としては、RuまたはRu中にC、Cu、W、Mo、Cr、Ir、Pt、Re、Rh、Ta、Vからなる群から選択される材料を1種類以上添加したRu基合金、あるいはPt、Ir、Re、Rhなどを用いることが好ましい。
非磁性中間層の膜厚は、磁気記録層の磁気特性や電磁変換特性を劣化させない範囲で可能な限り薄くすることが、高密度記録を実現するためには必要であり、具体的には1nm以上20nm以下とすることが好ましい。
磁気記録層42は、単層でもかまわないが、磁化反転を有効にさせるため複数層で構成することが望ましい。特に、ディスクリートトラック媒体においては、グラニュラー層を有する少なくとも1つのグラニュラー磁性層と、非グラニュラー構造を有する非グラニュラー磁性層とを含む複数層からなることが望ましい。ビットパターン媒体であれば、磁気記録層42は特にグラニュラー構造である必要はない。
磁気記録層42は、強磁性材料を含む。この強磁性材料は、CoCr系合金やCoPt系合金を含む。特に、Coに対して、Cr、Pt、Ni、Ta、Bのうちの少なくとも1つの元素を添加した合金を用いることが、優れた磁気特性および記録再生特性を得るために望ましい。
グラニュラー材料の場合は、CoPt、CoCrPt、CoCrPtB、CoCrPtTaなどの合金材料にSiOなどの粒界材料を添加した、CoPt−SiO、CoCrPt−SiO、CoPt−SiO−TiO、CoCrPt−SiO−TiO、CoCrPt−SiO−Al、CoPt−SiO−AlN、CoCrPt−SiO−Siなどからなる材料を用いることが好ましい。
グラニュラー構造は、非磁性酸化物または非磁性窒化物のマトリクス中に磁性結晶粒子が分散してなる構造であり、磁気記録層内で近接する磁性結晶粒子間の相互作用を抑制できる。
磁気記録層42の膜厚は、5nm以上50nm以下の範囲であることが望ましい。この範囲内の膜厚を有することによって、磁気記録層としての十分な特性を実現することができ、同時に磁気記録の容易性および記録再生分解能を向上させることができる。さらに、生産性向上および記録の高密度化の観点からは、磁気記録層は、10nm以上25nm以下の膜厚を有することが望ましい。
また、複数の磁気記録層を有し、第1の磁気記録層と第2の磁気記録層の間に強磁性結合を備える場合にあっては、磁気記録層間で結合を保持しつつ、磁気記録層内の磁性結晶粒間の相互作用を抑制する事が可能になる。この結果、ノイズ、S/N特性等を向上することが可能となることから、第1の磁気記録層としてグラニュラー構造が特に好ましく用いられる。
保護層50は、磁気記録層42以下の層を保護するための層である。保護層50は、従来から一般的に用いられている材料、例えばカーボン(好ましくは、ダイヤモンドライクカーボン(DLC))などを主体とする材料を用いて形成することができる。
保護層50の膜厚は、1nm以上10nm以下であることが望ましい。そのような範囲内の膜厚を有することによって、ピンホールの発生、耐久性の低下、および磁気ヘッド−磁気記録層間の間隔が広がることによる磁気信号出力の低下を防止することができる。
保護層50の上に、潤滑層60をさらに形成することが望ましい。潤滑層60は、パーフルオロポリエーテル系潤滑剤などの当該技術において知られている任意の材料を用いて形成することができる。潤滑層60の膜厚などの諸条件は、通常の磁気記録媒体で用いられる諸条件をそのまま用いることができる。
非磁性基板10の上に積層される各層は、磁気記録媒体の分野で通常用いられる様々な成膜技術によって形成することが可能である。潤滑層60を除く各層の形成には、例えば、直流(DC)マグネトロンスパッタリング法、高周波(RF)マグネトロンスパッタリング法、真空蒸着法を用いることが出来る。また、潤滑層60の形成には、例えばディップ法、スピンコート法を用いることができる。
磁気記録層42は、記録再生を行う複数の磁性部42−mと、磁性部を囲む分離部42−sとから構成される。
ここで、磁性部42−mは、積層したままの磁気記録層の磁気特性を有する部分である。一方、分離部42−sは、後述する活性化ハロゲン含有反応性ガスに対する暴露またはイオン注入により磁気的に変質し、良好な磁気特性を有さず、複数の磁性部42−mを磁気的に分離する部分である。または、分離部42−sは、磁気記録層の深さ方向の一部を物理的にエッチングした後に、上記のような方法で磁気的に変質させて形成することも可能である。
分離部42−sは、完全に非磁性化する必要はなく、ノイズ源となるような磁気特性を有しなければよく、磁気記録媒体の磁気信号特性として十分な信号出力対ノイズ比(S/N)を確保できることを条件にすればよい。我々の実験では、垂直方向の保磁力Hcが磁性部において6kOeである時、分離部においては1kOe以下であればよい。
分離部42−sを、活性化ハロゲン含有反応性ガスに対する暴露またはイオン注入によって磁気的に変質される場合には、磁性部および分離部の形成後においても、その表面に凹凸が形成されない。また、あってもごく僅かな凹凸であるため、磁気記録層42および保護層50、潤滑層60の表面にも、磁気ヘッドの浮上安定性に悪影響を及ぼす物理的な凹凸が形成されることはない。または、分離部42−sを、磁気記録層の表面の一部を物理的にエッチングしてから磁気的な変質を行う場合には、磁気的に変質させるべき深さが少なくなり、磁気的な変質部が本来あるべき磁性部へ広がってしまうことを抑えることができる。
しかしながら、磁気記録層の一部を物理的にエッチングすることで、媒体表面に凹凸が形成されヘッド浮上性が不安定になる。さらに、物理的なエッチングを深くしてしまうと埋め込みなどの平坦化処理も必要になる。そのため、物理的にエッチング深さは、10nm以下とすることが好ましい。より好ましくは、4nm以下である。また、磁気記録層に凹凸部を形成するプロセスにおいて、エッチングガスとして、各種不活性ガス、酸素(O)、弗素(F)を含有する反応性ガスを用いることが好ましい。
ディスクリートトラック媒体を形成する場合、複数の磁性部が記録トラック領域における同心円状の複数のトラックおよびサーボ信号を記録する領域におけるサーボパターンを構成し、分離部が複数のトラックを区分する領域およびサーボパターンを区分する領域を構成する。なお、サーボ信号を記録する領域においては、信号の0/1が反転するのみであるので、分離部がサーボパターンを構成し、磁性部がサーボパターンを区分する領域を構成してもよい。あるいはまた、ビットパターン媒体を形成する場合、複数の磁性部が複数の記録単位(サーボ信号を記録するための記録単位を含む)を構成し、分離部が記録単位を区分する領域を構成する。
複数の磁性部の配置間隔は、磁気記録媒体の構成および記録密度に依存する。例えば、記録密度500ギガビット毎平方インチのディスクリートトラック媒体の隣接するトラック間のピッチは70nm以下が要求されている。あるいは、記録密度1テラビット毎平方インチのビットパターン媒体の隣接する記録単位のピッチは25nmである。
次に、図2を参照して、本発明の磁気記録媒体の製造方法を説明する。
<磁気記録層形成工程>
最初に、図2(a)に示すように、非磁性基板10の上に、軟磁性裏打ち層20、下地層30、磁気記録層40を積層する。軟磁性層20、下地層30および磁気記録層40は、スパッタ法、無電解メッキ法などの当該技術において知られている任意の方法で作製することができる。本明細書において、符号「40」は、磁性部42−mおよび分離部42−sを形成する前の磁気記録層を表わす。
<マスク層形成工程>
次いで、図2(b)に示すように、磁気記録層40の上にレジスト材料を塗布して、マスク層70を形成する。
<インプリント工程>
次に、図2(c)に示すように、凹凸パターンを有するスタンパを押圧して、スタンパの凹凸を転写する、いわゆるナノインプリント法を用いてレジストからなるマスク層70にたいしてパターニングを行う。本明細書において、符号「70」は、マスク部72−Lおよび非マスク部72−Gを形成する前のマスク層を表わす。「72」はマスク部72−Lおよび非マスク部72−Gを形成した後のマスク層を表わす。レジストからなるマスク層72のパターン高さは、レジストの塗布厚さ、スタンパのパターン高さ、押し付け圧力などで、任意に設定することができる。また、マスク凹み部にレジスト残渣が形成される場合においては、ドライエッチングを行うことで任意に残渣量を制御することが可能であり、残渣をなくすことも可能である。
レジストは、ナノインプリント法を用いてパターニング可能な材料であればよく、室温インプリントで行う場合は、SOGレジスト(シロキサン樹脂を含む有機スピンオングラスからなるレジスト)を用いることができる。熱インプリントで行う場合は、PMMAレジスト(ポリメタクリル酸メチル樹脂を含むレジスト)等の熱可塑樹脂系のレジストを用いることができる。また、光硬化型インプリントで行う場合は、ノボラック系レジスト、アクリル酸エステル系レジスト等の紫外線硬化レジストを用いることができる。
また、レジストからなるマスク層72のパターン高さは、活性化ハロゲン含有反応性ガスに対する暴露耐性またはイオン注入の深さから、その下にある磁気記録層40を保護できるだけの高さを必要とし、実験的に決めることができる。
また、反応性ガスに対する暴露耐性またはイオン注入の深さに対して、マスク高さが不足する場合は、ハードマスクを形成してマスク層を2層積層した構成にすることができる。例えば、カーボンとSOGの2層からなるマスク層72を形成することができる。その方法は、まず、磁気記録層の上にハードマスクとしてカーボン膜を形成し、その上に室温インプリントを用いてSOG(スピンオングラス)製のレジストにパターンとなる凹凸を形成する。次に、CFガスを用いたドライエッチングによりSOGレジストの残膜を除去した後、Oガスを用いたドライエッチングでカーボン膜にパターンを形成することでできる。こうすることで、カーボンとSOGの2層からなる溝幅に対してパターン高さの比率の高いマスク層72を形成することができる。
マスク層72の凹凸パターンの形状(図4参照)は、電子顕微鏡写真を元にして次のように測定する。すなわち、パターン高さHの半分の点での、パターン頭および底部に対する壁面の角度をテーパ角度θとし、パターン頭からパターン底まで延長したそれぞれの交点を頭幅L1、溝幅G1とする。
<分離部形成工程>
次に、図2(d)に示すように、マスク層72のマスク部72−Gにおいて、活性化ハロゲン含有反応性ガスに対して暴露し、磁気記録層40の露出部を磁気的に変質させて、分離部42−sとする。また、マスク層72のマスク部72−Lを磁性部42−mとする。本工程において用いることができるハロゲン含有反応性ガスは、CF、CHF、CH、C、C、SF、Clなどを含む、ハロゲンを含有するガスである。本工程におけるハロゲン含有反応性ガスの圧力は、ラジカル反応が進行する範囲であればよく、たとえば0.1〜3Paに設定することができる。
ハロゲン含有反応性ガスの活性化は、例えば反応性イオンエッチング(RIE)などに用いられるプラズマ発生機構によって実施することができる。用いることができるプラズマ発生機構は、当該技術において知られている任意の機構を用いることができる。本発明においては、簡便な機構で高密度プラズマを発生することができる誘導結合プラズマ(ICP:Inductive Coupled Plasma)方式を用いることが望ましい。印加する電力は、ハロゲン含有反応性ガスがラジカル反応を起こすのに充分であり、かつ露出している磁気記録層40の表面を物理的にエッチングしないように設定することが望ましい。暴露時間にも依存するが、一般的に100〜500W、好ましくは200〜400Wの電力を印加して活性化を行うことが好ましい。また、本工程において、バイアス電力を印加してもよい。しかしながら、露出した磁気記録層への物理的なエッチングが進行するため、バイアス電力は0〜100Wが望ましい。
また、マスク層72によって、磁気記録層40の露出部を磁気的に変質させて、分離部42−sとし、磁性部42−mと分離する方法には、イオン注入方法を用いることができる。本工程において用いることができる変質ガスは、N、He、Oなどを含有するガスである。本工程におけるガスの圧力は、効率よくイオン化する範囲であればよく、たとえば0.1〜3Paに設定することができる。
イオン注入による変質は、電子サイクロトロン共鳴(ECR:Electron Cyclotron Resonance)イオンガンや、誘導結合プラズマ(ICP:Inductive Coupled Plasma)方式などに用いられるプラズマ発生機構によって実施することができる。ECRイオンガンを用いる場合には、加速電圧1〜3keV、電流密度1〜2mA/cm、マイクロ波パワー100〜200Wで行うことができる。
なお、ハードマスクを形成にする場合でも反応性ガスに対するマスクの対暴露性や、イオン注入に対するイオンの遮蔽性については、ハードマスクの主成分がカーボンであれば、大きな差異はないと考えられる。
<マスク層除去工程>
次に、図2(e)に示すように、マスク層72の除去を行う。マスク層72の除去は、樹脂系のレジストの場合は酸素プラズマ中でのアッシング、または市販のレジスト剥離液を用いる洗浄によって実施することができる。SOG系レジストの場合はCFガスを用いたドライエッチングで除去することができる。また、前記のようなカーボンとSOGレジストとの2層マスクの場合は、CFガスを用いたドライエッチングと酸素ガスを用いたドライエッチングを併用することで、マスク除去が可能である。
<保護層・潤滑層形成工程>
最後に、図2(f)に示すように、磁気記録層42の上に保護層50、潤滑層60を積層して、磁気記録媒体を得る。保護層50の形成は、スパッタ法、化学気相成長(CVD)法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて実施することができる。また、DLCからなる保護層50を形成する場合には、CVD法、物理気相成長(PVD)法などの方法を用いることができる。潤滑層60の形成は、ディップコート、スピンコートなどの当該技術において知られている方法を用いて、前述の液体潤滑剤材料を保護層50上に塗布して、潤滑層60を設けることができる。
本発明の磁気記録媒体における磁気記録層40の層構成は、図1の構成例、図2の作製プロセスに限定されるものではない。本発明の磁気記録媒体において、少なくとも1つの磁気記録層を含み、前記磁気記録層の少なくとも1つは、複数の磁性部と、該磁性部を取り囲む分離部とを含み、該分離部は、該磁性部の磁気特性とは異なる磁気特性を有している要件を満たす他の構成を有する磁気記録層を用いてもよい。
以下に、本発明の実施例を説明する。以下の実施例は、本発明を好適に説明するための例に過ぎず、本発明をなんら限定するものではない。また、本実施例では、ディスクリートトラック媒体で説明するが、ビットパターン媒体でも同じようなプロセスで本発明を実施することができる。
<実施例1>
基板10として、外径65mm、内径20mm、厚さ0.635mmで表面が平滑な化学強化ガラス基板(HOYA社製N−5ガラス基板)を準備した。スパッタ法により、基板10の上に、CoZrNbからなる膜厚200nmの軟磁性裏打ち層20を形成した。続いて、NiFeNb膜、Ru膜からなる下地層30を形成した。更に、CoCrPt−SiOターゲットおよびCoCrPtターゲットを用いるスパッタ法により、CoCrPt−SiOとCoCrPtの積層からなる磁気記録層40を積層し、図2(a)に示す積層体を得た。
次いで、図2(b)に示すように、マスク層70を形成した。マスク層70は、カーボンとSOGレジストの2層マスクを用いた。まず、磁気記録層の上にCVD法によりダイヤモンドライクカーボン(DLC)を10nm形成した。その次に、スピンコート法を用いて、DLC上にSOGレジスト(シロキサン樹脂を含む有機スピンオングラス:東京応化工業製OCNL−540)を50nm形成した。
次いで、図2(c)に示すように、マスク層72をパターン形成した。すなわち、SOGレジスト面にNiスタンパを用いたナノインプリントでSOGレジスト表面にパターン高さ50nmの凹凸からなるパターンを形成した。このため、SOGレジスト面にNiスタンパのパターン面を重ねて、平行平板からなるダイセット中にセットし、油圧プレス機を用いて180MPaの圧力で30秒間押し付けた。その後、スタンパと基板を剥離して、スタンパの凹凸パターンをSOGレジスト表面へ転写した。
Niスタンパは、EB描画で形成した原盤を用いてNi電鋳を行うことで作製した。データ記録領域におけるEB描画は、幅40nmの同心円状のラインが60nmピッチで配列されるレジスト層が得られるように実施した。一方、サーボ信号記録領域においては、バーストの各島に相当する位置にレジスト層が残存するようにEB描画を実施した。次いで、上記のようにして作製した原盤を用いて、Ni電鋳を行うことで、データ記録領域におけるパターンが幅20nmの同心円状のラインが60nmピッチで配列されたNiスタンパを作製した。
次に、ICP方式の高密度プラズマエッチング装置に配置し、CFガスを用いたプラズマエッチングによりSOG残膜を除去した。さらに、Oガスを用いたプラズマエッチングによりSOGの開口部のカーボンをエッチングした。こうして、カーボンとSOGレジストの2層からなるマスク層72を作製した。
なお、CFガスを用いたプラズマエッチングは、流量10sccm、圧力0.1Pa、アンテナパワー200Wで、バイアスパワーを20Wで行った。また、Oガスを用いたプラズマエッチングは、流量10sccm、圧力0.1Pa、アンテナパワー100Wで、バイアスパワーを20Wとした。
なお、凹部のマスクの除去は、完全に除去する必要はなく、イオン注入におけるイオンやハロゲン暴露におけるハロゲンの透過が可能であればよく、イオン注入やハロゲン暴露の条件に応じて0〜10nmであればよい。
マスク層72のパターン部の開口部または段差部のテーパ角の作製は、SOGレジストへのインプリントから、高密度プラズマエッチングを行うまでの時間(引き置き時間)を1分〜72時間まで変化させて行った。マスク層72の凹凸形状は、断面SEM(走査型電子顕微鏡:scanning electron microscope)で評価した。10万倍で撮影した断面SEM写真から、パターン高さHの半分の点での、パターン頭部に対する壁面の角度をテーパ角度θとした(図4参照)。この引き置き時間とマスク形状(テーパ角度θ)との関係の評価結果を表1に示す。

次に、図2(d)に示すように、パターン形状のマスク層を形成した積層体を、イオン注入による変質を行った。これは、ECRイオンガンを用いて、加速電圧2keV、電流密度1.5mA/cm、マイクロ波パワー150Wで行った。この処理によって、マスク層72に覆われていない部分を磁気的に変質させ、分離部42−sを形成した。マスク層72に覆われた部分は当初の磁気特性を維持する磁性部42−mとなり、図2(d)に示すような磁気記録層42を得た。データ記録領域における磁性部42−mの設計値としては、幅40nmを有し、60nmのピッチで配列された同心円状の複数のトラックの構成である。
次いで、図2(e)に示すように、マスク層72の除去を行った。マスク層72の除去は、ICP方式の高密度プラズマエッチング装置中において、周波数13.56MHz、出力200Wの高周波電力を印加して、まず、流量30sccm、圧力1PaのCFガスを用いてSOGレジストを除去し、その次に、流量50sccm、圧力1PaのOガスを用いた酸素プラズマによるエッチングでカーボンマスクを除去した。なお、この際に積層体にはバイアス電力を印加しなかった。以上の処理によって、磁気記録層42−mへのダメージを少なくしつつ、マスク層72の剥離を行うことができた。
次いで、図2(f)に示すように、スパッタ法を用いて、カーボンからなる膜厚3nmの保護層50を形成し、最後に、ディップコート法を用いてパーフルオロポリエーテルを塗布して、膜厚2nmの潤滑層60を形成し、磁気記録媒体を得た。
以上で得られた磁気記録媒体の物理的な凹凸をAFM(原子間力顕微鏡)で評価した。その結果、磁性部42−mと分離部42−sのパターンに起因する表面の凹凸は最大0.5nmであった。この凹凸は、ヘッドの浮上安定性などの観点から磁気記録媒体に求められる2nm以下という基準を満たしていた。さらに、市販の垂直磁気記録用ヘッドを用いたヘッド浮上性テストを行った。得られた磁気記録媒体を用いた場合のヘッドの媒体への接触は、通常の磁気記録媒体と同程度であった。このことから、本発明の磁気記録媒体が、平坦化工程を適用していないにもかかわらず、優れたヘッド浮上安定性を示すことが分かった。
さらに、得られた磁気記録媒体のトラックの信号特性とトラック間隙の比(デューティ)とフリンジ耐性を評価した。デューティは、スピンスタンド試験における信号域と無信号域の割合から測定した。また、フリンジ耐性は中央トラックに記録を行った後にビットエラーレート(BER)を測定した後、隣接トラックに10万回の記録を行い、中央トラックのBERを再測定し、その変化率を調べた。変化しなかったものは100%である。
このマスク層72の形状(テーパ角度)とディスクリートトラック媒体特性との関係の評価結果を表2に示す。

この結果、マスク層72のパターン部の開口部または段差部のテーパ角度が、66°以上88°以下のものにおいて、デューティおよびフリンジ耐性での悪化がないことがわかった。このことから、本実施例の磁気記録媒体においては、隣接するトラックが磁気的に分離されていることを確認した。
また、SOGレジスト面へのインプリントから高密度プラズマエッチングを行うまでの時間(引き置き時間)から見ると、引き置き時間が10分〜24時間までの間のものが、デューティおよびフリンジ耐性での悪化がないことがわかった。
この原因は以下のように考えられる。
図3(a)のように、マスク層72のパターン部の開口部または段差部のテーパ角度が大きすぎる場合、マスク底部からの注入されたイオンの横方向への広がりにより、磁性層(磁気記録層)の比較的の深い部分でダメージの広がりがあり、磁気特性が悪化してしまった。そのため、デューティが悪化し、フリンジ特性が悪くなったものと考えられる。
逆に、図3(c)のように、マスク層72のパターン部の開口部または段差部のテーパ角度が小さすぎる場合、マスク底部エッジ付近の薄い部分をイオンが透過して、本来、磁気特性を残すべき部分に対して、磁性層の比較的浅い部分(表面付近)に対してダメージを与えて、磁気特性が悪化してしまった。そのため、デューティが悪化し、フリンジ特性が悪くなったものと考えられる。
図3(b)のように、最適なマスクのパターン部の開口部または段差部のテーパ角度の場合、マスク底部エッジからのイオンの透過と、イオンの横方向への広がりがバランスよく発生し、磁気記録層の深さ方向において、磁性層へのダメージが比較的均一に与えられる。そのため、デューティの悪化やフリンジ特性の悪化が少ないものと考えられる。
<実施例2>
次に、本発明の別の実施例について説明する。この実施例2でも、実施例1と同構造の図2(a)に示す積層体を用いた。
次いで、図2(b)に示すように、マスク層70を形成した。マスク層70は、カーボンとUVインプリントレジストの2層マスクを用いた。まず、磁気記録層40の上にCVD法によりダイヤモンドライクカーボン(DLC)を3nm形成した。その次に、スピンコート法を用いて、DLC上にUVインプリントレジスト(東洋合成工業製PAK−01)を80nm形成した。
次いで、図2(c)に示すように、マスク層72にパターンを形成した。まず、石英ガラススタンパを用いたUVナノインプリントで、UVレジスト表面にパターン高さ80nmの凹凸からなるパターンを形成した。実際には、微細転写装置(東芝機械製ST−50)を用いて、UVレジスト面に石英ガラススタンパのパターン面を重ねた状態で、1MPaの圧力で石英ガラススタンパ側からUV光を照射しながら30秒間押し付けた。その後、スタンパと基板を剥離して、スタンパの凹凸パターンをUVインプリントレジスト表面へ転写した。所望のマスク断面形状になるように、あらかじめ、石英ガラススタンパのパターンにおいて数種類のテーパが付くように加工しておいた。
以下にパターンにテーパが付くように加工した石英ガラススタンパの作製方法を示す。石英ガラススタンパは、EB描画で形成した原盤を用いて、ドライエッチングを行うことで作製した。まず、クロム薄膜を形成した1.0mm厚さの石英基板を準備した。次に基板のクロム薄膜表面にEB描画用レジスト(日本ゼオン性ZEP−520A)をコータデベロッパ装置を用いて60nm膜厚になるよう塗布した。その後、EB装置を用いて、レジストに描画した。
次いで、コータデベロッパ装置を用いて、EBレジスト用現像液(例えば、日本ゼオン性ZEP−RD)で現像を行い、レジストのパターニングを行った。レジストのパターニングで、データ領域とサーボ領域の描画を行った。データ領域は、セクタ毎に円周にそって150nmピッチでライン&グルーブとなるように行った。サーボ領域は、バーストの各島が分離部で囲われるように形成した。サーボのバーストに関しては、信号の0、1が反転するだけであるので、磁性部と分離部が逆パターンであっても構わない。
次いで、イオンビームエッチング(IBE)装置に配置し、Arガスを用いたイオンミリングによりCrマスクをパターニングした。さらに、反応性イオンエッチング(RIE)装置で塩素ガスを用いて、石英ガラス基板へのドライエッチングを行った。
この際、RFパワー、バイアスパワー、ガス流量、真空度などのエッチング条件を変えることで、パターンのテーパ角度を変化させることができた。例えば、CFガスを用いたプラズマエッチングを、CFガス流量10sccm、真空度0.1Pa、アンテナパワー200Wで、バイアスパワーを100Wで行うことで、テーパ角90°のスタンパを作製した。それに対して、バイアスパワーを小さくし、真空度を悪くすることで、55〜89°にテーパ角を変化させたスタンパを作製した。
スタンパの凹凸パターンをUVインプリントレジスト表面へ転写した後、マスク耐性を上げるため、UVインプリントパターン上にカーボン膜をスパッタで形成した。スパッタ膜は、パターン凹部内に比べ、パターンの凸部に堆積しやすい。カーボンは、パターン凸部に20nm厚さ、パターン凹部に5nm厚さで成膜できた。
次に、Oガスを用いたプラズマエッチングで凹部のUVレジスト残膜を除去した。流量10sccm、圧力0.1Pa、アンテナパワー100Wで、バイアスパワーを20Wとした。なお、凹部のマスクの除去は、完全に除去する必要はなく、イオン注入におけるイオンやハロゲン暴露におけるハロゲンの透過が可能であればよく、イオン注入やハロゲン暴露の条件に応じて0〜10nmであればよい。この時のマスクのテーパ角は、スタンパのテーパ角と同じで55〜90°となった。
次に、実施例1と同様の手順で、図2(d)に示すように、パターン形状のマスク層72を形成した積層体を、イオン注入による変質を行った。データ記録領域における磁性部42−mの設計値としては、幅100nmを有し、150nmのピッチで配列された同心円状の構成である。
次いで、図2(e)に示すように、マスク層72の除去を行った。マスク層72の除去は、ICP方式の高密度プラズマエッチング装置中において、流量50sccm、圧力1PaのOガスを用いた酸素プラズマによるエッチングでカーボンマスクを除去した。なお、この際に積層体にはバイアス電力を印加しなかった。以上の処理によって、磁気記録層42−mへのダメージを少なくしつつ、マスク層72の剥離を行うことができた。
次いで、実施例1と同様の手順で、図2(f)に示すように、スパッタ法を用いて、カーボンからなる膜厚3nmの保護層50を形成し、最後に、ディップコート法を用いてパーフルオロポリエーテルを塗布して、膜厚2nmの潤滑層60を形成し、磁気記録媒体を得た。
以上で得られた磁気記録媒体の物理的な凹凸をAFMで評価した。その結果、実施例1と同様、磁性部42−mと分離部42−sのパターンに起因する表面の凹凸は最大0.5nmであった。この凹凸は、ヘッドの浮上安定性などの観点から磁気記録媒体に求められる2nm以下という基準を満たしていた。さらに、市販の垂直磁気記録用ヘッドを用いたヘッド浮上性テストを行った。得られた磁気記録媒体を用いた場合のヘッドの媒体への接触は、通常の磁気記録媒体と同程度であった。このことから、本発明の磁気記録媒体が、平坦化工程を適用していないにもかかわらず、優れたヘッド浮上安定性を示すことが分かった。
さらに、実施例1と同様の手順で、得られた磁気記録媒体のトラックの信号特性とトラック間隙の比(デューティ)とフリンジ耐性を評価した。マスク層72の形状(テーパ角度)とディスクリートトラック媒体特性との関係の評価結果を表3に示す。

この結果、マスク層72のパターン部の開口部または段差部のテーパ角度が、66°以上88°以下のものにおいて、デューティおよびフリンジ耐性での悪化がないことがわかった。このことから、本実施例の磁気記録媒体においても、隣接するトラックが磁気的に分離されていることを確認した。
<実施例3>
次に、本発明の別の実施例について説明する。実施例1,2では、非磁性化をイオン注入で行ったが、この実施例3では、反応性イオンエッチング(RIE)法により、CFガスを用いた活性な反応性ガス中に暴露することでも同様の効果を得た。
RIEは、誘導結合プラズマ(ICP:Inductive Coupled Plasma)方式の高密度プラズマエッチング装置を用いて行った。高密度プラズマエッチング装置のプラズマ生成パワーは13.56MHzで300Wとし、バイアスパワーは0Wとした。また、ガス流量50sccm、ガス圧を1Paに設定した。
こうすることで、レジストで覆われた部分で当初の磁気特性を残したままの磁性部42−mと、レジストを除去して磁気記録層が露出し、変質した磁気特性である分離部42−sとからなる磁気記録層42を作製した。
使用ガス種は、CFガス以外にも、ハロゲンを含むガスであれば良く、例えば、CHF、CH、C、C、SF、Clなどのガスでも構わない。プラズマ生成パワーは、ハロゲンガスがラジカル反応するのに適したもので、露出している磁気記録層表面への物理的なエッチングをなるべく与えないようにする必要がある。暴露時間との相関があるが、例えば、100〜500W、より好ましくは、200〜400Wである。バイアスパワーは、露出している磁気記録層表面に物理的なエッチングをなるべく与えないようにする必要があるため、0〜100Wが好ましい。ガス圧は、ラジカル反応が進む範囲であれば良く、0.1〜3Paであればよい。
<実施例4>
さらに、本発明の別の実施例について説明する。実施例1では、SOGレジストを用いた室温インプリントで、引き置き時間を変えることで、マスクのテーパ形状を変化させることを行ったが、この実施例4では、熱可塑樹脂を用いた熱インプリントで、インプリント後に熱処理することで、マスクのテーパ形状を変化させることを行った。また、実施例1と同構造の図2(a)に示す積層体を用いた。
次いで、図2(b)に示すように、マスク層70を形成した。マスク層70は、カーボンと熱可塑樹脂の2層マスクを用いた。まず、磁気記録層40の上にCVD法によりダイヤモンドライクカーボン(DLC)を3nm形成した。その次に、スピンコート法を用いて、DLC上にPMMA系の熱可塑樹脂を80nm形成した。
次いで、図2(c)に示すようにマスク層72にパターンを形成した。すなわち、熱可塑樹脂面にNiスタンパを用いたナノインプリントで熱可塑樹脂表面にパターン高さ80nmの凹凸からなるパターンを形成した。このため、熱可塑樹脂面にNiスタンパのパターン面を重ねて、平行平板からなるダイセット中にセットし、油圧プレス機を用いて、熱可塑樹脂のガラス転移温度である160℃に対して20℃高い180℃の温度で、10MPaの圧力をかけ30秒間押し付けた。その後、ガラス転移温度より20℃低い140℃まで降温させてから、スタンパと基板を剥離して、スタンパの凹凸パターンを熱可塑樹脂表面へ転写した。
Niスタンパは、実施例1と同様の方法で作製した。データ記録領域におけるパターンが幅50nmの同心円状のラインが150nmピッチで配列されたNiスタンパを作製した。
マスク層72のパターン部の開口部または段差部のテーパ角の作製は、熱可塑樹脂へのインプリント後に、熱可塑樹脂を熱処理することで行った。熱処理は、各設定温度に加熱したホットプレート上に3分間設置させることで行った。なお、使用した熱可塑樹脂他はガラス転移温度160℃のものである。また、マスク層72の凹凸形状は、断面SEMで評価した。10万倍で撮影した断面SEM写真から、パターン高さHの半分の点での、パターン頭部に対する壁面の角度をテーパ角θとした(図4参照)。この熱処理温度とマスク形状(テーパ角度)との関係の評価結果を表4に示す。

次に、マスク耐性を上げるため、熱可塑樹脂のパターン上にカーボン膜をスパッタで形成した。カーボンスパッタは、実施例2と同様に行い、パターン凹部内に比べ、パターンの凸部に堆積し、パターン凸部に20nm厚さ、パターン凹部に5nm厚さで成膜できた。
次に、Oガスを用いたプラズマエッチングを凹部のカーボンと熱可塑樹脂残膜を除去した。流量10sccm、圧力0.1Pa、アンテナパワー100Wで、バイアスパワーを20Wとした。
なお、凹部のマスクの除去は、完全に除去する必要はなく、イオン注入におけるイオンやハロゲン暴露におけるハロゲンの透過が可能であればよく、イオン注入やハロゲン暴露の条件に応じて0〜10nmであればよい。
次に、実施例2と同様の手順で、図2(d)に示すように、パターン形状のマスク層72を形成した積層体に、イオン注入による変質を行った。次に、図2(e)に示すように、マスク層72の除去を行った。さらに、図2(f)に示すように、保護層50を形成し、最後に、膜厚2nmの潤滑層60を形成し、磁気記録媒体を得た。
以上で得られた磁気記録媒体の物理的な凹凸をAFMで評価した。その結果、実施例2と同様、磁性部42−mと分離部42−sのパターンに起因する表面の凹凸は最大0.5nmであった。この凹凸は、ヘッドの浮上安定性などの観点から磁気記録媒体に求められる2nm以下という基準を満たしていた。さらに、市販の垂直磁気記録用ヘッドを用いたヘッド浮上性テストを行った。得られた磁気記録媒体を用いた場合のヘッドの媒体への接触は、通常の磁気記録媒体と同程度であった。このことから、本発明の磁気記録媒体が、平坦化工程を適用していないにもかかわらず、優れたヘッド浮上安定性を示すことが分かった。
さらに、実施例2と同様の手順で、得られた磁気記録媒体のトラックの信号特性とトラック間隙の比(デューティ)とフリンジ耐性を評価した。このマスク層72の形状(テーパ角度)とディスクリートトラック媒体特性の関係の評価結果を表5に示す。

この結果、マスク層72のパターン部の開口部または段差部のテーパ角度が、66°以上88°以下のものにおいて、デューティおよびフリンジ耐性での悪化がないことがわかった。このことから、本実施例の磁気記録媒体においても、隣接するトラックが磁気的に分離されていることを確認した。
10 非磁性基板
20 軟磁性裏打ち層
30 下地層
40 磁気記録層(磁性層)
42 分離部が形成された磁気記録層
42−m 磁性部
42−s 分離部
50 保護層
60 潤滑層
70 マスク層
72 凹凸パターンが形成されたマスク層
72−L マスク部
72−G 非マスク部

Claims (4)

  1. 非磁性基板上に連続的な磁気記録層を形成する磁気記録層形成工程と、
    前記磁気記録層の上にレジスト材料を塗布してマスク層を形成するマスク層形成工程と、
    前記マスク層にインプリントにより凹凸パターンを形成するインプリント工程と、
    前記凹凸パターンが形成されたマスク層を介して、イオン注入または活性化ハロゲン含有反応性ガスを暴露することにより、当該マスク層の凹部に対応する位置の前記磁気記録層の磁気特性を変質させて当該磁気記録層の当該マスク層の凸部に対応する位置の磁性部を磁気的に分離する分離部を形成する分離部形成工程とを備える磁気記録媒体の製造方法において、
    前記レジスト材料が、前記インプリント工程の後に凹凸パターンの形状が変化する材料であって、前記分離部形成工程を開始する際の前記マスク層の凹凸パターンの段差部のテーパ角度が66°以上88°以下であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. 前記レジスト材料が、シロキサン樹脂を含む有機スピンオングラス(SOG)レジストであり、前記インプリント工程から前記分離部形成工程までの間に引き置き時間を10分〜24時間設けることにより、前記分離部形成工程を開始する際の前記マスク層の凹凸パターンの段差部のテーパ角度を66°以上88°以下とすることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記レジスト材料が、熱可塑樹脂を含むインプリントレジストであり、前記インプリント工程の後に、熱可塑樹脂のガラス転移温度の−50℃以上、+50℃以下の温度で熱処理をすることにより、前記分離部形成工程を開始する際の前記マスク層の凹凸パターンの段差部のテーパ角度を66°以上88°以下とすることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 非磁性基板上に連続的な磁気記録層を形成する磁気記録層形成工程と、
    前記磁気記録層の上にレジスト材料を塗布してマスク層を形成するマスク層形成工程と、
    前記マスク層にインプリントにより凹凸パターンを形成するインプリント工程と、
    前記凹凸パターンが形成されたマスク層を介して、イオン注入または活性化ハロゲン含有反応性ガスを暴露することにより、当該マスク層の凹部に対応する位置の前記磁気記録層の磁気特性を変質させて当該磁気記録層の当該マスク層の凸部に対応する位置の磁性部を磁気的に分離する分離部を形成する分離部形成工程とを備える磁気記録媒体の製造方法において、
    前記レジスト材料が、紫外線硬化型のレジストであり、前記マスク層の凹凸パターンの段差部に対応する部分のテーパ角度が66°以上88°以下である石英スタンパを前記インプリント工程に用いることにより、前記分離部形成工程を開始する際の前記マスク層の凹凸パターンの段差部のテーパ角度を66°以上88°以下とすることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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