JP4878168B2 - ナノホール構造体及びその製造方法、並びに、磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

ナノホール構造体及びその製造方法、並びに、磁気記録媒体及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、磁気記録媒体等に好適なナノホール構造体及びその効率的な製造方法、コンピュータの外部記憶装置、並びに、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適であり、大容量で高速記録が可能な磁気記録媒体及びその効率的で低コストな製造方法に関する。
近年、IT産業等における技術革新に伴い、磁気記録媒体の大容量化・高速化・低コスト化の研究開発が盛んに行われてきている。該磁気記録媒体の大容量化・高速化・低コスト化のためには、該磁気記録媒体における記録密度の向上が必須である。従来より、該磁気記録媒体における連続磁性膜の水平記録により、該磁気記録媒体の記録密度を向上させる試みがなされてきたが、技術的には限界を迎えつつある。その理由は、第一に、前記連続磁性膜を形成する磁性粒子の結晶粒が大きいと複雑磁区を生じてノイズが大きくなってしまう一方、これを避けるために前記結晶粒を小さくすると熱揺らぎにより、磁化が経時的に減少してエラーが生じてしまうからである。第二に、前記磁気記録媒体の記録密度を高めると相対的に記録減磁界が大きくなるため、該磁気記録媒体の保磁力を大きくする必要がある一方、記録ヘッドの書込み能力が不足してオーバーライト特性が確保できなくなるからである。
最近では、前記水平記録に代わる新しい記録方式に関する研究が盛んに行われてきている。その一つが、前記磁気記録媒体における磁性膜を、連続膜とせずにドット、バー、ピラー等のパターン状とし、そのサイズをナノメートルスケールにすることにより複雑磁区ではなく単磁区構造としたパターンドメディアを用いる記録方式である(例えば、非特許文献1参照)。他の一つが、前記水平記録に比し、記録減磁界が小さいため高密度化が可能で、記録層を極端に薄くする必要がないため記録磁化の熱揺らぎに対する耐性向上が可能である垂直記録による記録方式である(例えば、特許文献1参照)。該垂直記録による記録方式については、軟磁性膜と垂直磁化膜とを併用する提案などがなされているが(例えば、特許文献2参照)、単磁極ヘッドによる書込み性が十分でない等の点で、軟磁性下地層を形成する提案(例えば、特許文献3参照)などが更になされている。前記垂直記録による記録方式にて磁気記録媒体に対し、磁気記録を行う一例としては、図1に示すように、垂直磁気記録方式の書込兼読取用ヘッド(単磁極ヘッド)100の主磁極102を、磁気記録媒体の記録層30に対向させる。該磁気記録媒体は、基板上に、軟磁性層10と中間層(非磁性層)20と記録層(垂直磁化膜)30とをこの順に有している。書込兼読取用ヘッド(単磁極ヘッド)100の主磁極102から記録層(垂直磁化膜)30側へと高い磁束密度で入力された記録磁界は、記録層(垂直磁化膜)30から軟磁性層10へと、軟磁性層10から書込兼読取用ヘッド(ライト&リードヘッド)100の後半部104へと流れ、磁気回路が形成される。後半部104における記録層(垂直磁化膜)30との対向する部分は、大面積に形成されているので、記録層(垂直磁化膜)30に与える磁化の影響はない。該磁気記録媒体における軟磁性層10は、書込兼読取用ヘッド(単磁極ヘッド)100の機能までも担っている。
しかし、この場合、軟磁性層10が、書込兼読取用ヘッド(単磁極ヘッド)100から入力された記録磁界以外に、外部から漏洩してくる浮遊磁界までも記録層(垂直磁化膜)30に対し集中させ磁化させてしまい、記録ノイズが大きくなってしまうという問題がある。一方、上述の磁性膜をパターン状にする場合には、該パターニングが容易でなく高コスト等の問題がある。他方、上述の軟磁性下地層を形成する場合には、磁気記録の際に前記単磁極ヘッドと該軟磁性層下地層との間の距離を短くしなければならず、該距離が大きいと、図2Aに示すように書込兼読取用ヘッド(単磁極ヘッド)100から軟磁性下地層に向かう磁束が距離と共に発散してしまい、軟磁性層10上に設けられた記録層(垂直磁化膜)30の下部では広がった磁界での記録しかできず、大きなビットしか書けないという問題がある。この場合、書込兼読取用ヘッド(単磁極ヘッド)100による書込み電流も増やさなくてはならず、また、大きなビットを書いた後で小さなビットを書くと、大きなビットの消し残りが大きくなり、オーバーライト特性が悪化してしまうという問題がある。
そこで、前記パターンドメディアを用いる記録方式と、前記垂直記録による記録方式とを併せた新しい磁気記録媒体として、陽極酸化アルミナポアのポア中に磁性金属を充填してなる磁気記録媒体も提案されている(例えば、特許文献4参照)。該磁気記録媒体は、図3に示すように、基板110上に、下地電極層120と陽極酸化アルミナ層130とをこの順に有してなり、陽極酸化アルミナ層130には多数のアルミナポアが秩序配列して形成されており、該アルミナポア中に強磁性金属が充填されて強磁性層140が形成されている。
しかしながら、この場合、陽極酸化アルミナ層130に秩序配列したアルミナポアを形成するためには、通常500nmを超える厚みもの陽極酸化アルミナ層130が必要となり、たとえ前記軟磁性下地層を設けたとしても高密度記録を行うことができないという問題がある。このため、陽極酸化アルミナ層130を研磨して厚みを薄くすることも検討されているが、該研磨は容易でない上に時間を要し高コストであり、品質劣化の原因となるという問題がある。実際、1Tb/inをターゲットにした線記録密度1,500kBPIで磁気記録を行うためには、前記単磁極ヘッドと前記軟磁性下地層との間の距離を25nm程度にし、陽極酸化アルミナ層130の厚みを20nm程度にする必要があり、陽極酸化アルミナ層130の研磨の手間等が大きな問題となる。
なお、前記陽極酸化アルミナポア中に磁性材料を充填してなる磁気記録媒体は、該陽極酸化アルミナポアが露出面に対して垂直方向に細長く(高アスペクト比で)成長しているため、垂直方向に磁化し易く、この充填された磁性材料の形状異方性により、熱揺らぎに強いという利点がある。また、通常、前記陽極酸化アルミナポアがハニカム型の六方最密格子状に自己組織化的に発生するため、リソグラフィ的手法で1ドットずつドット形成する方法に較べて低コストで製造することができるという利点がある。
しかしながら、前記陽極酸化アルミナポアは、六方最密格子等のような、あくまで2次元的に配列形成されるので、磁気記録的な観点からは、隣り合うビット列の間に間隙を設けることができないという問題がある。即ち、前記パターンドメディアにおいては、1ドットに1ビットを記録するのが理想であるが、線方向(円周方向)と同じピッチで半径方向にもドットが存在するため、隣り合うトラックへのクロスライト又はクロクリードが生じてしまうという致命的な問題がある。そこで、例えば、図4A及び図4Bに示すように、1ビット(図4B中の63)を数個から数10個又はそれ以上のドット(図4A及び図4B中の61)にせざるを得ないが、この場合でも、依然として、前記クロスライト又はクロスリードが生じてしまうという問題が存在する。このため、磁性材料を充填した前記陽極酸化アルミナポアを1列に配列し、その列間に非磁性領域を設けた磁気記録媒体が望まれている。
一方、基板上に凹凸パターンを設け、溝に沿ってパターンドメディアのパターンを配置させる提案もなされている(例えば、特許文献5及び6参照)。これらの場合、溝部にブロックコポリマーや微粒子を自己組織化的に2次元配列させ、この2次元パターンを利用して磁性体を埋め込んだものであるが、1トラックの直線上にポアを1列に整列させることはできていない。また、溝部にアルミニウムの帯構造を設け、これを陽極酸化して自己組織化的に微ナノホールアレイを形成する手法にも触れているが、これも1トラックの直線上に陽極酸化アルミナポアを1列に整列させることはできていない。
他方、電子線リソグラフィあるいは近接場光リソグラフィを用いて、ライン状に磁性体パターンを形成するパターンドメディアも提案されている(例えば、特許文献7参照)。この場合、パターン描画装置を用いて1列のトラック上にドットを整列させることは、原理的には可能であるもの、パターン形成後に磁性ドット形成のためのエッチングやイオンミリングなどの後工程が必要となり、更に垂直記録用として垂直方向の異方性を持たせる必要から磁性材料が限定されたり、熱処理等の工程が必要となり、コスト増となる等の問題がある。また、パターンサイズがnmオーダーと微細になるに従って、ディスク全面にわたってドットパターンを描画するのに長時間を要し、スループットが悪いためにコスト増を招き、特に長時間の描画において、電子線や近接場光の強度やフォーカス状態を安定に保つのが非常に困難となり、不安定化に伴う欠陥の発生等により歩留まりが低下して、コスト増に繋がる等の問題がある。
S.Y.Chou Proc.IEEE 85(4),652(1997) 特開平6−180834号公報 特開昭52−134706号公報 特開2001−283419号公報 特開2002−175621号公報 特開2003−109333号公報 特開2003−157503号公報 特開2002―298448号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、磁気記録媒体をはじめ、DNAチップ、触媒基板等の各種分野に好適なナノホール構造体及びその効率的な製造方法、並びに、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適であり、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、特にクロスリードやクロスライト等の問題がなく、極めて高品質な磁気記録媒体及びその効率的で低コストな製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、アルミナポアを1列に配列させ、該アルミナポアからなるアルミナポア列同士の間に非磁性領域を形成することにより、1ドット・1ビットの記録再生が実現可能であることを見出した。そして、陽極酸化アルミナポアを用いた垂直パターンドメディアにおいて、該陽極酸化アルミナポアを1列に整列させ、かつ該陽極酸化アルミナポアからなるアルミナポア列の複数を、前記陽極酸化アルミナポアの存在しない領域を介して互いに配列させ、前記陽極酸化アルミナポアのポア中に磁性材料を充填して得られる磁気記録媒体及びその製造方法などを発明した。即ち、具体的には、図6Aに示すように、陽極酸化処理してアルミナポアを形成するアルミニウム層に、150nmピッチのライン/スペースパターンを有するモールドを前記アルミニウム層に押し付けて、該アルミニウム層の表面にライン(凹部又はグルーブ部)/スペース(凸部又はランド部)パターンをインプリント転写し、予め直線状の凹凸パターン(凹状ラインが一定間隔で配置されたもの)を形成する。次いで、希釈シュウ酸中、60Vの電圧で陽極酸化処理を行うと、図6Bに示すように、アルミナポアが、前記凹状ライン(グルーブ部)にのみ、かつその長さ方向に自己組織化的に1列に配列した状態で形成された一方、凸部には、前記アルミナポアが全く形成されていなかった。そして、これらのアルミナポア列におけるアルミナポア中に磁性材料を充填することにより、1ドット・1ビットの記録再生が可能な磁気記録媒体を得た。
しかしながら、図6Bに示すように、1つの前記凹状ライン(グルーブ部)には前記アルミナポア列が1列しか形成されず、より高密度に前記アルミナポアを形成するためには、予め前記アルミニウム層の表面に形成する直線状の凹凸パターンのピッチを微細化しなければならない。例えば、現状のEB露光技術では、100〜50nmのピッチで凹凸パターンを形成するのが限界であり、アルミナポアの高密度化、延いては該アルミナポア中に磁性材料を充填した磁気記録媒体(磁気ディスク)の更なる高密度化の実現は困難である。
そこで、本発明者らは、更なる検討を行った結果、以下の知見を得た。即ち、陽極酸化処理してアルミナポアを形成する際、該陽極酸化処理の条件を最適化することにより、前記凹状ライン(グルーブ部)にのみ、かつその長さ方向に自己組織化的に、前記アルミナポア列を2列配列させることができるという知見である。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、後述する付記に列挙した通りである。即ち、
本発明のナノホール構造体は、金属基材に、ナノホールが一次元配列したナノホール列が一定間隔で対となってナノホール列対(ナノホール列ペア)を形成してなることを特徴とする。
該ナノホール構造体は、前記ナノホールに磁性材料を充填しておけばハードディスク装置等の磁気記録媒体とすることができ、また、前記ナノホールにDNA等を配しておけばDNAチップ等とすることができ、前記ナノホールに抗体等を配しておけば蛋白質検出装置、診断装置等をすることができ、前記ナノホールに例えばカーボンナノチューブ形成用等の触媒金属を充填しておけば、カーボンナノチューブ等の形成基板、電界放出装置等とすることができる。
本発明のナノホール構造体の製造方法は、金属基材上に、グルーブ部及びランド部を形成した後、下記式(1)及び下記式(2)のいずれかで与えられる電圧で陽極酸化処理してナノホール列対を形成するナノホール形成処理工程を少なくとも含むことを特徴とする。
グルーブ部の幅(nm)÷A(nm/V)・・・式(1)
グルーブ部の幅(nm)÷(√3/2)÷A(nm/V)・・・式(2)
ただし、前記式(1)及び前記式(2)において、Aは、2.0〜3.0である。
該ナノホール構造体の製造方法では、前記ナノホール形成処理工程において、前記式(1)及び前記式(2)のいずれかで与えられる電圧で陽極酸化処理が行われるので、前記グルーブ部に、前記ナノホール列対が効率的に形成される。
本発明の磁気記録媒体は、基板上に、該基板面に対し略直交する方向にナノホールが複数形成された多孔質層を有し、該ナノホールの内部に磁性材料を有してなり、前記多孔質層が本発明の前記ナノホール構造体であることを特徴とする。
該磁気記録媒体においては、前記磁性材料が充填されたナノホールが一次元配列したナノホール列が一定間隔で対となってナノホール列対を形成しているので、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、特にクロスリードやクロスライト等の問題がなく、極めて高品質である。そして、該磁気記録媒体は、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適である。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、本発明の前記磁気記録媒体を製造する方法であって、基板上に、金属層を形成した後、該金属層に、グルーブ部及びランド部を形成し、下記式(1)及び下記式(2)のいずれかで与えられる電圧で陽極酸化処理することにより、前記基板面に対し略直交する方向にナノホール列対を複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程と、該ナノホール列対におけるナノホールの内部に磁性材料を充填する磁性材料充填工程とを含むことを特徴とする。
グルーブ部の幅(nm)÷A(nm/V)・・・式(1)
グルーブ部の幅(nm)÷(√3/2)÷A(nm/V)・・・式(2)
ただし、前記式(1)及び前記式(2)において、Aは、2.0〜3.0である。
該磁気記録媒体の製造方法では、前記ナノホール構造体形成工程において、基板上に、金属層が形成された後、該金属層に、グルーブ部及びランド部が形成され、前記式(1)及び前記式(2)のいずれかで与えられる電圧で陽極酸化処理が行われ、該基板面に対し略直交する方向にナノホール列対が複数形成されてナノホール構造体が形成される。前記磁性材料充填工程において、前記ナノホール列における前記ナノホールの内部に、前記磁性材料が充填される。その結果、本発明の前記磁気記録媒体が製造される。
本発明の磁気記録装置は、本発明の前記磁気記録媒体と、垂直磁気記録用ヘッドとを有することを特徴とする。該磁気記録媒体においては、前記磁気記録媒体に対し、前記垂直磁気記録用ヘッドが記録を行うので、該磁気記録媒体は、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、特にクロスリードやクロスライト等の問題がなく、極めて高品質である。
また、前記磁気記録媒体が特に、前記ナノホールの内部に、軟磁性層と強磁性層とを前記基板側からこの順に有し、該強磁性層の厚みが該軟磁性層の厚み以下である場合、該磁気記録媒体に対し、単磁極ヘッド等の前記垂直磁気記録用ヘッドを用いて磁気記録を行うと、該垂直磁気記録用ヘッドと前記軟磁性層との間の距離が、前記多孔質層の厚みよりも短く、前記強磁性層の厚みと略等しくなるため、前記多孔質層の厚みに拘らず前記強磁性層の厚みだけで、前記垂直磁気記録用ヘッドからの磁束の集中、使用される記録密度での最適な磁気記録再生特性などが制御可能となる。この場合、図2B及び図5に示すように、前記単磁極ヘッド(書込兼読取用ヘッド100)からの磁束が前記強磁性層(垂直磁化膜)30に集中する結果、従来の磁気記録装置に比し、書込み効率が大幅に向上し、書込み電流が小さくて済み、オーバーライト特性が著しく向上する。
本発明の磁気記録方法は、本発明の前記磁気記録媒体に対し、垂直磁気記録用ヘッドを用いて記録を行うことを含むことを特徴とする。該磁気記録方法においては、前記磁気記録媒体に対し、前記垂直磁気記録用ヘッドが記録を行うので、該磁気記録媒体は、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、特にクロスリードやクロスライト等の問題がない。
また、前記磁気記録媒体が特に、前記ナノホールの内部に、軟磁性層と強磁性層とを前記基板側からこの順に有し、該強磁性層の厚みが該軟磁性層の厚み以下である場合、該磁気記録媒体に対し、単磁極ヘッド等の前記垂直磁気記録用ヘッドを用いて磁気記録を行うと、該垂直磁気記録用ヘッドと前記軟磁性層との間の距離が、前記多孔質層の厚みよりも短く、前記強磁性層の厚みと略等しくなるため、前記多孔質層の厚みに拘らず前記強磁性層の厚みだけで、前記垂直磁気記録用ヘッドからの磁束の集中、使用される記録密度での最適な磁気記録再生特性などが制御可能となる。この場合、図2B及び図5に示すように、前記単磁極ヘッド(書込兼読取用ヘッド100)からの磁束が前記強磁性層(垂直磁化膜)30に集中する結果、従来の磁気記録装置に比し、書込み効率が大幅に向上し、書込み電流が小さくて済み、オーバーライト特性が著しく向上する。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、磁気記録媒体をはじめ、DNAチップ、触媒基板等の各種分野に好適なナノホール構造体及びその効率的な製造方法、並びに、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適であり、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、特にクロスリードやクロスライト等の問題がなく、極めて高品質な磁気記録媒体及びその効率的で低コストな製造方法を提供することができる。
(ナノホール構造体)
本発明のナノホール構造体としては、金属基材に、ナノホールが一次元配列したナノホール列が一定間隔で対となってナノホール列対(ナノホール列ペア)を形成してなること以外には特に制限はなく、その材料、形状、構造、大きさ等について目的に応じて適宜選択することができる。
前記金属基材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、金属単体、その酸化物、窒化物等、合金などのいずれであってもよく、その中でも、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、アルミニウム、ガラス、シリコンなどが特に好ましい。
前記形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、円板状(ディスク状)、などが好適に挙げられる。これらの中でも、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合には、円板状(ディスク状)であるのが好ましい。
なお、前記形状が前記板状、円板状等である場合には、前記ナノホール(細孔)は、これらの一の露出面(板面)に対し、略直交する方向に形成される。
前記ナノホールとしては、前記ナノホール構造体を貫通して孔として形成されていてもよいし、前記ナノホール構造体を貫通せず穴(窪み)として形成されていてもよいが、例えば、前記ナノホール構造体を前記磁気記録媒体として使用する場合には、前記ナノホールが前記ナノホール構造体を貫通する貫通孔として形成されているのが好ましい。
前記構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合には、既存のハードディスク等の大きさに対応した大きさが好ましく、前記ナノホール構造体をDNAチップ等に適用する場合には、既存のDNAチップ等の大きさに対応した大きさが好ましく、前記ナノホール構造体を電界放出装置用のカーボンナノチューブ等の触媒基板に適用する場合には、電界放出装置に対応した大きさが好ましい。
前記ナノホール列対の配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一方向に平行に配列していてもよいし、同心円状及び螺旋状の少なくともいずれかに配列していてもよい。前記ナノホール構造体をDNAチップ等に適用する場合には前者の配列が好ましく、前記ナノホール構造体をハードディスク、ビデオディスク等の前記磁気記録媒体に適用する場合には後者の配列が好ましく、特に、ハードディスク用途の場合にはアクセスの容易性の観点から同心円状が好ましく、ビデオディスク用途の場合には連続再生の容易性の観点から螺旋状が好ましい。
なお、前記ナノホール構造体がハードディスク等の前記磁気記録媒体に適当する場合、隣接するナノホール列対におけるナノホールが、半径方向に配列しているのが好ましい。この場合、該磁気記録媒体は、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、特にクロスリードやクロスライト等の問題がなく、極めて高品質である。
前記ナノホール構造体は、グルーブ部とランド部とが交互に配列してなる凹凸ラインを有しているのが好ましく、該グルーブ部にのみ前記ナノホール列対が形成されているのが好ましい。この場合、前記ランド部で分離されて前記ナノホール列対が一定間隔で規則的に配列される。なお、前記グルーブ部は、前記金属基材の表面に対して凹形状を有する部分を意味し、前記ランド部は、前記グルーブ部に対して凸形状を有する部分を意味する。
前記グルーブ部及び前記ランド部からなる凹凸ラインの形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する凹状ラインの形成により行うことができる。
前記ナノホール列対における、前記ナノホールが一次元配列した前記ナノホール列間の間隔としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、各ナノホール列内に配置された複数の前記ナノホールにおける各中心点を結ぶ仮想線同士の距離(図8A及び図8BにおけるX)が、後述する凹状ラインを形成することにより形成される前記グルーブ部の幅によって与えられ、前記ナノホール列を形成する陽極酸化処理における電圧が、後述する式(1)あるいは式(2)を充たしていればよい。
前記ナノホール列対間の間隔としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一のナノホール列対におけるナノホール列間の間隔が、前記一のナノホール列対と該一のナノホール列対と隣接するナノホール列対との間隔と略同一(隣接する前記ナノホール列対における、内側に位置する前記ナノホール列同士の間隔、即ち、内側に位置する各ナノホール列内に配置された複数の前記ナノホールにおける各中心点を結ぶ仮想線同士の距離(図8A及び図8BにおけるY)が、各ナノホール列内に配置された複数の前記ナノホールにおける各中心点を結ぶ仮想線同士の距離(図8A及び図8BにおけるX)と略同一)である場合には、総ての前記ナノホール列が略等間隔に配置した態様となり、前記ナノホール構造体をハードディスク等の前記磁気記録媒体に好適に使用することができる。
一方、前記Yが前記Xよりも大きく、かつ前記Xの2倍未満、好ましくは1.8倍以下である場合には、隣接する前記ナノホール列対との間隔が、前記ナノホール列対における、対となっている2つのナノホール列間の距離(間隔)よりも広くなり、前記ナノホール対同士の分離が可能となる点で、好ましい。この場合、前記ナノホール構造体を磁気ディスクに応用すると、前記ナノホール対同士の間のクロスライトやクロスリードの低減を図ることができる。また、前記配列パターンにおけるナノホール列毎に異なる機能を付与することができ、例えば、前記ナノホール列毎に、該ナノホール列における前記ナノホール内に、異種のDNA等を配したDNAチップ等や、異種の抗体等を配した蛋白質検出装置等に使用することができる。
前記ナノホール列対における、一次元配列したナノホール列間の間隔と、前記ナノホール列の幅との比(間隔/幅)(図8A〜BにおけるX及びYで表すと、Y/X)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1.0以上かつ2未満が好ましく、1.0〜1.8がより好ましい。
前記比(間隔/幅)が、1.0未満であると、隣接するナノホール同士が融合してしまい、独立したナノホールが得られないことがあり、2以上であると、前記ナノホール列対の間(後述する陽極酸化処理の際にグルーブ部(凹状ライン部分)以外の部分)にもナノホールが形成されてしまうことがあり、またナノホールの規則配列化も困難である。
前記ナノホール列対における、前記ナノホールが一次元配列したナノホール列間の間隔(図8A及びBにおけるY)と、前記ナノホール列の幅(図8A及びBにおけるX)との値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ナノホール構造体がハードディスク等の前記磁気記録媒体に適当する場合、高密度化のためには当然、小さい方が好ましく、例えば、X=Y=25nmであると、1Tbit/inの記録密度が可能となる。
前記ナノホールにおける開口径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合、その強磁性層を単磁区とすることができる大きさであるのが好ましく、具体的には、100nm以下が好ましく、高密度記録を実現可能な点で、30nm以下が好ましく、5〜20nmがより好ましい。
前記ナノホールにおける開口径が、100nmを超えると、前記ナノホール構造体を適用した磁気記録媒体が単磁区構造にならないことがある。
前記ナノホールにおける深さと開口径とのアスペクト比(深さ/開口径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高アスペクト比であると、形状異方性が大きくなり、磁気記録媒体の保持力を向上させることができる点で好ましく、例えば、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合、2以上であるのが好ましく、3〜15であるのがより好ましい。
前記アスペクト比が、2未満であると、磁気記録媒体の保持力を十分に向上させることができないことがある。
前記ナノホール構造体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合、500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、20〜200nmが特に好ましい。
前記ナノホール構造体の厚みが、500nmを超えると、前記ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合、該磁気記録媒体に前記軟磁性下地層を設けたとしても高密度記録を行うことができないことがあり、該ナノホール構造体の研磨が必要になり、この場合、時間を要し高コストであり、品質劣化の原因となることがある。
本発明のナノホール構造体は、磁気記録媒体をはじめ、DNAチップ、触媒基板等の各種分野に好適に使用することができ、特に、前記ナノホールを高密度かつ規則的に有しているため、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適に使用することができる。
(ナノホール構造体の製造方法)
本発明のナノホール構造体の製造方法は、本発明の前記ナノホール構造体を製造する方法であって、ナノホール形成処理工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択した、その他の工程を含む。
<ナノホール形成処理工程>
前記ナノホール形成処理工程は、金属基材上に、グルーブ部及びランド部を形成した後、陽極酸化処理してナノホール列対を形成する工程である。
なお、前記金属基材、前記ナノホール列対などの詳細については、上記ナノホール構造体の説明において、上述した通りである。
前記金属基材の形成は、特に制限はなく公知の方法に従って行うことができ、例えば、スパッタ法、蒸着法等により金属材料の層を形成することにより行うことができる。
前記グルーブ部は、前記金属基材の表面に対して凹形状を有する部分を意味する。一方、前記ランド部は、前記グルーブ部に対して凸形状を有する部分を意味する。これらの前記金属基材の表面における形成態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記金属基材における特定の辺に対して平行なライン状であるのが好ましく、かつ複数の前記グルーブ部と前記ランド部とが交互に配列してなる態様が好ましい。この場合、前記グルーブ部及び前記ランド部による凹凸ラインが形成され、凸ライン(前記ランド部)を介して凹ライン(前記グルーブ部)上にのみ、前記ナノホール列対を形成することができる。
前記グルーブ部及び前記ランド部の形成は、特に制限はなく公知の方法に従って行うことができるが、前記金属基材上に凹状ラインを形成することにより行うのが好ましい。この場合、前記金属基材上に形成された凹状ライン(凹部)が、前記グルーブ部に相当し、前記金属基材上の凸状ライン(凹状ラインを除く部位)が、前記ランド部に相当する。そして、前記凹状ライン(グルーブ部)上にのみ、効率的に前記ナノホール列対を形成することができる。
前記グルーブ部及び前記ランド部の幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ランド部の幅(図8AにおけるY)が、前記グルーブ部の幅(図8AにおけるX)よりも大きく、かつ2倍未満であるのが好ましく、1.8倍以下であるのがより好ましい。前記グルーブ部及び前記ランド部の幅が、該数値範囲を充たすと、一のナノホール列と該一のナノホール列対と隣接する前記ナノホール列対との間隔が、前記一のナノホール列対における、対となっている2つのナノホール列間の距離(間隔)よりも広くなり、前記ナノホール対同士の分離が可能となる。この場合、前記ナノホール構造体を磁気ディスクに応用すると、前記ナノホール対同士の間のクロスライトやクロスリードの低減を図ることができる。また、前記配列パターンにおけるナノホール列毎に異なる機能を付与することができ、例えば、前記ナノホール列毎に、該ナノホール列における前記ナノホール内に、異種のDNA等を配したDNAチップ等や、異種の抗体等を配した蛋白質検出装置等に使用することができる。
また、前記グルーブ部の幅は、その長さ方向において一定間隔(一定周期)で変化(広く又は狭く)させてもよい。この場合、図7A及び図7Bに示すように、前記グルーブ部の幅が広い部分に、前記ナノホールが形成され易くなるため、前記ナノホール列対における前記ナノホールの配列状態を変化させることができる。
例えば、図7Aに示すように、前記グルーブ部の幅を、その長さ方向において一定間隔(一定周期)で広くした波状に形成すると、該グルーブ部の幅が広い部分に、前記ナノホールが2つずつ形成されるため、前記ナノホールが四角格子状に配列した前記ナノホール列対を形成させることができる。更に、例えば、図7Bに示すように、波状の前記グルーブ部の幅を、その長さ方向に、半周期ずつずらして形成すると、該グルーブ部の幅が広い部分に、前記ナノホールが形成され、このとき、前記ナノホールの配列間隔は、前記ナノホール列毎に半周期ずれるため、前記ナノホールが三角格子状に配列した前記ナノホール列対を形成させることができる。なお、前記ナノホールは、前記四角格子配列に比して、前記三角格子配列の方が安定的に形成されるため、前記四角格子配列により乱れが生じる場合には、前記三角格子配列を形成可能な前記グルーブ部を形成するのが好ましい。
前記凹状ラインの形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)一定間隔で凸状ラインとスペースとが配列してなる凸状ライン(ナノホール構造体を磁気ディスク等に適用する場合には同心円状又は螺旋状の凸状ライン)を表面形状として有するモールド(前記ナノホール構造体を磁気ディスク等に適用する場合には円板状のモールド)を、前記金属層(例えば、アルミナ、アルミニウムなど)の表面にインプリント転写し、一定間隔で凹状ラインとスペースとが配列してなる凹状ラインを形成する方法、(2)前記金属層上に樹脂層やフォトレジスト層を形成した後、これらをパターニングし、エッチング処理等することにより、前記金属層の表面に凹状ラインを形成する方法、(3)前記金属層上に直接、溝(凹状ライン)を形成する方法、などが挙げられる。
なお、このとき、前記モールドにおける凸状ラインの幅、前記フォトレジスト層等に形成する凹状ラインパターンの幅などを、その長さ方向において一定間隔(一定周期)で変化させることにより、前記ナノホール列対における前記ナノホールの配列状態を変化させることができ、より高密度に整列させることができる。この場合、前記ナノホール構造体を磁気記録媒体に適用すると、ジッタを低減して高密度記録が可能となる点で好ましい。
また、前記凹状ラインが、その長さ方向に一定の間隔で区切られているのが好ましい。この場合、該区切られた個々の前記凹状ライン内に略一定間隔で前記ナノホールを配列形成することができる点で有利である。
前記モールドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、連続使用耐久性の観点からは、炭化珪素基板などが挙げられ、また、光ディスクの成型等に使用されているNiスタンパなども挙げられる。該モールドは、複数回使用することができる。前記インプリント転写の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。また、前記フォトレジスト層のレジスト材料には、光レジスト材料のほか、電子線レジスト材料なども含まれる。前記光レジスト材料としては、特に制限はなく、半導体分野等において公知の材料の中から適宜選択することができ、例えば、近紫外光、近視野光などを利用可能な材料などが挙げられる。
また、前記陽極酸化処理における電圧としては、下記式(1)及び下記式(2)のいずれかで与えられる値の電圧を選択することが必要である。
グルーブ部の幅(nm)÷A(nm/V)・・・式(1)
グルーブ部の幅(nm)÷(√3/2)÷A(nm/V)・・・式(2)
ただし、前記式(1)及び前記式(2)において、Aは、2.0〜3.0であり、2.5±0.2が好ましく、2.5が特に好ましい。前記Aが、2.0〜3.0の範囲内であると、前記グルーブ部内に、前記ナノホール列対を形成させることができる。
前記電圧が、前記式(1)及び前記式(2)のいずれかで与えられる範囲から選択される値であると、前記グルーブ部上にのみ、前記ナノホール列対を形成することができる点で有利である。また、前記式(1)で与えられる範囲から選択される電圧で前記陽極酸化処理を行うと、図8Aに示すように、前記ナノホールが三角格子配列したナノホール列対を形成させることができ、前記式(2)で与えられる範囲から選択される電圧で前記陽極酸化処理を行うと、図8Bに示すように、前記ナノホールが四角格子配列したナノホール列対を形成させることができる。
なお、前記陽極酸化処理における電解液の種類、濃度、温度、時間等としては、特に制限はなく、形成するナノホールの数、大きさ、アスペクト比等に応じて適宜選択することができる。例えば、前記電解液の種類としては、隣接する前記ナノホール列の間隔(ピッチ)が、150〜500nmである場合は、希釈リン酸溶液が好適に挙げられ、80〜200nmである場合は、希釈蓚酸溶液が好適に挙げられ、10〜150nmである場合は、希釈硫酸溶液が好適に挙げられる。いずれの場合も、前記ナノホールのアスペクト比の調整は、陽極酸化処理後にリン酸溶液に浸漬させて前記ナノホール(アルミナポア)の直径を増加させることにより行うことができる。
以上の工程により、前記金属基材に、前記ナノホールが一次元配列したナノホール列が一定間隔で対となってナノホール列対を形成してなるナノホール構造体が製造される。
以下、本発明のナノホール構造体の製造方法の一例について、図面を参照しながら説明する。
まず、図9Aに示すように、陽極酸化してナノホール(アルミナポア)を形成する、金属基材(例えば、アルミニウム層)52に、ライン/スペースパターンを有するモールド54を配置する。次に、図9Bに示すように、金属基材52に、モールド54を押し付けて、図9Cに示すように、金属基材52の表面に、複数のグルーブ部(凹状ライン)Gとランド部(凸状ライン)Lとが交互に配列した凹凸パターン56をインプリント転写する。次に、希釈硫酸中、前記式(1)及び前記式(2)のいずれかで与えられる数値範囲から選択される電圧で陽極酸化処理を行う。すると、図9Dに示すように、グルーブ部Gにのみ、ナノホール(アルミナポア)58aが規則的に一次元配列したナノホール列58Aが一定間隔で対となって配列したナノホール列対58が形成される。以上が、前記ナノホール形成処理工程である。その結果、本発明の前記ナノホール構造体が製造される。
本発明の前記ナノホール構造体の製造方法によれば、前記グルーブ部にのみ、かつその長さ方向に、自己組織化的に前記ナノホールが規則的に一次元配列したナノホール列が一定間隔で対となった前記ナノホール列対を形成することができるので、より高密度かつ規則的にナノホールが形成された本発明の前記ナノホール構造体を効率的に製造することができる。
(磁気記録媒体)
本発明の磁気記録媒体は、基板上に多孔質層を有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の層を有してなる。
前記多孔質層としては、前記基板面に対し略直交する方向にナノホールが複数形成されたものが挙げられ、前記ナノホール構造体が好適に挙げられる。なお、該ナノホール構造体の詳細は、上述した通りである。
前記多孔質層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、500nm以下が好ましく、5〜200nmがより好ましい。
前記多孔質層の厚みが、500nmを超えると、ナノホール内への磁性材料の充填が困難になることがある。
前記多孔質層(ナノホール構造体)における前記ナノホールは、該多孔質層を貫通して貫通孔として形成されていてもよいし、貫通せず穴として形成されていてもよいが、該ナノホールに磁性材料を充填して磁性層を形成し、更にその下方にも磁性層を形成する場合等を考慮すると、該ナノホールが貫通孔として形成されているのが好ましい。
前記ナノホールの内部に、磁性材料が充填されて磁性層が形成されているのが好ましい。
前記磁性層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、強磁性層、軟磁性層、などが挙げられる。本発明においては、前記ナノホールの内部に、前記軟磁性層と前記強磁性層とが前記基板側からこの順に積層されており、更に必要に応じて非磁性層(中間層)が形成されているのが好ましい。
前記基板としては、その形状、構造、大きさ、材質等について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記形状としては、前記磁気記録媒体がハードディスク等の磁気ディスクである場合には、円板状であり、また、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、前記材質としては、磁気記録媒体の基材材料として公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ガラス、シリコン、石英、シリコン表面に熱酸化膜を形成してなるSiO/Si、等が挙げられる。これらの基板材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記基板は、適宜製造したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
前記強磁性層は、前記磁気記録媒体において記録層として機能し、前記軟磁性層と共に磁性層を構成する。
前記強磁性層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、Fe、Co、Ni、FeCo、FeNi、CoNi、CoNiP、FePt、CoPt及びNiPtから選択される少なくとも1種、などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記強磁性層は、前記材料により垂直磁化膜として形成されていれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、Ll規則構造を有し、C軸が前記基板と垂直方向に配向しているもの、fcc構造あるいはbcc構造を有し、C軸が前記基板と垂直方向に配列しているもの、などが好適に挙げられる。
前記強磁性層の厚みとしては、本発明の効果を害さない限り特に制限はなく、記録時に使用される線記録密度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)前記軟磁性層の厚み以下である態様、(2)記録時に使用される線記録密度で決まる最小ビット長の1/3倍〜3倍である態様、(3)前記軟磁性層及び前記軟磁性下地層の厚みの合計以下である態様、などが好ましく、例えば、通常5〜100nm程度が好ましく、5〜50nmがより好ましく、1Tb/inをターゲットにした線記録密度1,500kBPIで磁気記録を行う場合には、50nm以下(20nm程度)であるのが好ましい。
なお、ここでの前記「強磁性層」の厚みは、該強磁性層が、積層構造、又は複数層に分割された構造(例えば、非磁性層等の中間層により分割され連続層になっていない構造)を有する場合には、各強磁性層の厚みの合計を意味する。また、前記「軟磁性層」の厚みは、該軟磁性層が、積層構造、又は複数層に分割された構造(例えば、非磁性層等の中間層により分割され連続層になっていない構造)を有する場合には、各軟磁性層の厚みの合計を意味する。また、前記「軟磁性層及び軟磁性下地層の厚みの合計」は、該軟磁性層及び該軟磁性下地層の少なくともいずれかが、積層構造、又は複数層に分割された構造(例えば、非磁性層等の中間層により分割され連続層になっていない構造)を有する場合には、各軟磁性層の厚みの合計を意味する。
本発明の磁気記録媒体の場合、磁気記録の際に使用する単磁極ヘッドと前記軟磁性層との間の距離を、前記多孔質層の厚みよりも短く、該強磁性層の厚みと略等しくすることができるため、前記多孔質層の厚みに拘らず該強磁性層の厚みだけで、前記単磁極ヘッドからの磁束の集中、使用される記録密度での最適な磁気記録再生特性などが制御可能となる。その結果、該磁気記録媒体においては、従来の磁気記録媒体に比し、書込み効率が大幅に向上し、書込み電流が小さくて済み、オーバーライト特性を著しく向上させることができる。
前記強磁性層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、電着(電着法)等により行うことができる。
前記軟磁性層としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、NiFe、FeSiAl、FeC、FeCoB、FeCoNiB及びCoZrNbから選択される少なくとも1種、などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記軟磁性層の厚みとしては、本発明の効果を害さない限り特に制限はなく、前記多孔質層における前記ナノホールの深さ、前記強磁性層の厚み等に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)前記強磁性層の厚み超である態様、(2)前記軟磁性下地層の厚みとの合計が前記強磁性層の厚み超である態様、などが挙げられる。
前記軟磁性層は、磁気記録に使用する磁気ヘッドからの磁束を効果的に前記強磁性層に収束させることができ、該磁気ヘッドの磁界の垂直成分を大きくさせることができる点で有利である。また、前記軟磁性層は、軟磁性下地膜とともに前記磁気ヘッドと共に該磁気ヘッドから入力させる記録磁界の磁気回路を形成可能であるのが好ましい。
前記軟磁性層としては、前記基板面に略直交する方向に磁化容易軸を有しているのが好ましい。この場合、垂直磁気記録用ヘッドで記録を行うと、該垂直磁気記録用ヘッドからの磁束の集中、使用される記録密度での最適な磁気記録再生特性などが制御可能となり、磁束が前記強磁性層に集中する結果、従来の磁気記録装置に比し、書込み効率が大幅に向上し、書込み電流が小さくて済み、オーバーライト特性が著しく向上する。
前記軟磁性層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、電着(電着法)等により行うことができる。
前記多孔質層における前記ナノホール中には、前記強磁性層と前記軟磁性層との間に非磁性層(中間層)を有していてもよい。該非磁性層(中間層)が存在すると、前記強磁性層と前記軟磁性層との間の交換結合力の作用を弱める結果、予想とは異なる磁気記録の再生特性となってしまう場合に、それを所望の再生特性に制御することができる。
前記非磁性層の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、Cu、Al、Cr、Pt、W、Nb、Ru、Ta及びTiから選択される少なくとも1種、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記非磁性層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記非磁性層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、電着(電着法)等により行うことができる。
本発明の磁気記録媒体においては、前記基板と前記多孔質層との間に、軟磁性下地層を有していてもよい。
前記軟磁性下地層の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、前記軟磁性層の材料として上述したものが好適に挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、前記軟磁性層の材料と互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記軟磁性下地層は、前記基板面の面内方向に磁化容易軸を有しているのが好ましい。この場合、磁気記録に使用する磁気ヘッドからの磁束が効果的に閉じた磁気回路を形成し、該磁気ヘッドの磁界の垂直成分を大きくさせることができる。該軟磁性下地層は、ビットサイズ(前記ナノホールの開口径)が100nm以下の単磁区記録においても有効である。
前記軟磁性下地層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、電着(電着法)や無電界メッキ等により行うことができる。
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、電極層、保護層、などが挙げられる。
前記電極層は、磁性層(前記強磁性層及び前記軟磁性層)を電着等により形成する際の電極として機能する層であり、一般に、前記基板上であって前記強磁性層の下方に設けられる。なお、前記磁性層を電着により形成する場合、該電極層を電極として使用してもよいが、前記軟磁性下地層等を電極として使用してもよい。
前記電極層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Cr、Co、Pt、Cu、Ir、Rh、これらの合金、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、該電極層は、これらの材料以外に、W、Nb、Ti、Ta、Si、Oなどを更に含有していてもよい。
前記電極層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。該電極層は、1層のみ設けられていてもよいし、2層以上設けられていてもよい。
前記電極層の形成は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタ法、蒸着法等により行うことができる。
前記保護層は、前記強磁性層を保護する機能を有する層であり、前記強磁性層の表面乃至上方に設けられる。該保護層は、1層のみ設けられていてもよいし、2層以上設けられていてもよく、また、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記保護層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、などが挙げられる。
前記保護層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記保護層の形成は、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタ法、プラズマCVD法、塗布法、などにより行うことができる。
本発明の磁気記録媒体は、磁気ヘッドを用いた各種の磁気記録に使用することができるが、単磁極ヘッドによる磁気記録に好適に使用することができ、後述する本発明の磁気記録装置及び磁気記録方法に好適に特に使用することができる。
本発明の磁気記録媒体は、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、高品質である。このため、該磁気記録媒体は、各種の磁気記録媒体として設計し使用することができ、例えば、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置、などに設計し使用することができ、ハードディスク等の磁気ディスクに特に好適に設計し使用することができる。
本発明の磁気記録媒体の製造は、特に制限はなく、公知の方法に従って製造することができるが、以下に説明する本発明の磁気記録媒体の製造方法により好適に製造することができる。
(磁気記録媒体の製造方法)
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、本発明の前記磁気記録媒体を製造する方法であり、ナノホール構造体形成工程(多孔質層形成工程)と、磁性材料充填工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択した、軟磁性下地層形成工程、電極層形成工程、非磁性層形成工程、保護層形成工程、研磨工程、などのその他の工程を含む。
前記軟磁性下地層形成工程は、必要に応じて選択され、基板上に軟磁性下地層を形成する工程である。
前記基板としては、上述したものが挙げられる。
前記軟磁性下地層の形成は、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタ法(スパッタリング)、蒸着法等の真空成膜法、電着(電着法)などで形成してもよいし、あるいは無電解メッキで形成してもよい。
前記軟磁性下地層形成工程により、前記基板上に所望の厚みの前記軟磁性下地層が形成される。
前記電極層形成工程は、前記ナノホール構造体と軟磁性下地層との間に電極層を形成する工程である。
前記電極層の形成は、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタ法(スパッタリング)、蒸着法などにより好適に行うことができる。該電極層の形成条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記電極層形成工程により形成された前記電極層は、軟磁性層、非磁性層及び強磁性層の少なくともいずれかを電着により形成する際の電極として使用される。
前記ナノホール構造体形成工程(多孔質層形成工程)は、基板上に(前記軟磁性下地層形成工程により前記軟磁性下地層を形成した場合には該軟磁性下地層上に)ナノホール構造体(多孔質層)を形成する金属材料による金属層を形成した後、該金属層に、グルーブ部及びランド部を形成し、陽極酸化処理を行うことにより、該基板面に対し略直交する方向にナノホール列対を複数形成してナノホール構造体(多孔質層)を形成する工程である。
前記金属材料としては、上述したものが挙げられ、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、アルミニウム、などが好適に挙げられる。これらの中でも、アルミニウムが特に好ましい。
前記金属層の形成は、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタ法(スパッタリング)、蒸着法などにより好適に行うことができる。該金属層の形成条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記スパッタ法の場合、前記金属材料により形成されたターゲットを用いてスパッタリングを行うことができる。この場合に用いる前記ターゲットは、高純度であるのが好ましく、前記金属材料がアルミニウムである場合には、99.990%以上であるのが好ましい。
前記ランド部及び前記グルーブ部の形成は、特に制限はなく公知の方法に従って行うことができるが、前記金属基材上に凹状ラインを形成することにより行うのが好ましい。この場合、前記金属基材上に形成された凹状ライン(凹部)が、前記グルーブ部に相当し、前記金属基材上の凸状ライン(凹状ラインを除く部位に形成される凸部)が、前記ランド部に相当する。そして、前記凹状ライン(グルーブ部)上にのみ、効率的に前記ナノホール列対を形成することができる。
前記グルーブ部及び前記ランド部の幅としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ランド部の幅(図8AにおけるY)が、前記グルーブ部の幅(図8AにおけるX)よりも大きく、かつ2倍未満であるのが好ましく、1.8倍以下であるのがより好ましい。前記グルーブ部及び前記ランド部の幅が、該数値範囲を充たすと、一のナノホール列と該一のナノホール列対と隣接する前記ナノホール列対との間隔が、前記一のナノホール列対における、対となっている2つのナノホール列間の距離(間隔)よりも広くなり、前記ナノホール対同士の分離が可能となる。この場合、前記ナノホール構造体を磁気ディスクに応用すると、前記ナノホール対同士の間のクロスライトやクロスリードの低減を図ることができる。また、前記配列パターンにおけるナノホール列毎に異なる機能を付与することができ、例えば、前記ナノホール列毎に、該ナノホール列における前記ナノホール内に、異種のDNA等を配したDNAチップ等や、異種の抗体等を配した蛋白質検出装置等に使用することができる。
また、前記グルーブ部の幅は、その長さ方向において一定間隔(一定周期)で変化(広く又は狭く)させてもよい。この場合、図7A及び図7Bに示すように、前記グルーブ部の幅が広い部分に、前記ナノホールが形成され易くなるため、前記ナノホール列対における前記ナノホールの配列状態を変化させることができる。
例えば、図7Aに示すように、前記グルーブ部の幅を、その長さ方向において一定間隔(一定周期)で広くした波状に形成すると、該グルーブ部の幅が広い部分に、前記ナノホールが2つずつ形成されるため、前記ナノホールが四角格子状に配列した前記ナノホール列対を形成させることができる。更に、例えば、図7Bに示すように、波状の前記グルーブ部の幅を、その長さ方向に、半周期ずつずらして形成すると、該グルーブ部の幅が広い部分に、前記ナノホールが形成され、このとき、前記ナノホールの配列間隔は、前記ナノホール列毎に半周期ずれるため、前記ナノホールが三角格子状に配列した前記ナノホール列対を形成させることができる。なお、前記ナノホールは、前記四角格子配列に比して、前記三角格子配列の方が安定的に形成されるため、前記四角格子配列により乱れが生じる場合には、前記三角格子配列を形成可能な前記グルーブ部を形成するのが好ましい。
前記凹状ラインの形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)一定間隔で凸状ラインとスペースとが配列してなる凸状ライン(ナノホール構造体を磁気ディスク等に適用する場合には同心円状又は螺旋状の凸状ライン)を表面形状として有するモールド(前記ナノホール構造体を磁気ディスク等に適用する場合には円板状のモールド)を、前記金属層(例えば、アルミナ、アルミニウムなど)の表面にインプリント転写し、一定間隔で凹状ラインとスペースとが配列してなる凹状ラインを形成する方法、(2)前記金属層上に樹脂層やフォトレジスト層を形成した後、これらをパターニングし、エッチング処理等することにより、前記金属層の表面に凹状ラインを形成する方法、(3)前記金属層上に直接、溝(凹状ライン)を形成する方法、などが挙げられる。
なお、このとき、前記モールドにおける凸状ラインの幅、前記フォトレジスト層等に形成する凹状ラインパターンの幅などを、その長さ方向において一定間隔(一定周期)で変化させることにより、前記ナノホール列対における前記ナノホールの配列状態を変化させることができ、より高密度に整列させることができる。この場合、前記ナノホール構造体を磁気記録媒体に適用すると、ジッタを低減して高密度記録が可能となる点で好ましい。
前記モールドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、連続使用耐久性の観点からは、炭化珪素基板などが挙げられ、また、光ディスクの成型等に使用されているNiスタンパなども挙げられる。該モールドは、複数回使用することができる。前記インプリント転写の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。また、前記フォトレジスト層のレジスト材料には、光レジスト材料のほか、電子線レジスト材料なども含まれる。前記光レジスト材料としては、特に制限はなく、半導体分野等において公知の材料の中から適宜選択することができ、例えば、近紫外光、近視野光などを利用可能な材料などが挙げられる。
前記陽極酸化処理は、硫酸、リン酸あるいはシュウ酸の水溶液中で、前記金属層に接する電極を陽極として電気分解エッチングさせることにより行うことができる。該電極としては、前記金属層を形成するのに先立って形成した前記軟磁性下地層、前記電極層などが挙げられる。
また、前記陽極酸化処理における電圧としては、下記式(1)及び下記式(2)のいずれかで与えられる値の電圧を選択することが必要である。
グルーブ部の幅(nm)÷A(nm/V)・・・式(1)
グルーブ部の幅(nm)÷(√3/2)÷A(nm/V)・・・式(2)
ただし、前記式(1)及び前記式(2)において、Aは、2.0〜3.0であり、2.5±0.2が好ましく、2.5が特に好ましい。前記Aが、2.0〜3.0の範囲内であると、前記グルーブ部内に、前記ナノホール列対を形成させることができる。
前記電圧が、前記式(1)及び前記式(2)のいずれかで与えられる範囲から選択される値であると、前記グルーブ部に前記ナノホール列対を形成することができる点で有利である。また、前記式(1)で与えられる範囲から選択される電圧で前記陽極酸化処理を行うと、図8Aに示すように、前記ナノホールが三角格子配列したナノホール列対を形成させることができ、前記式(2)で与えられる範囲から選択される電圧で前記陽極酸化処理を行うと、図8Bに示すように、前記ナノホールが四角格子配列したナノホール列対を形成させることができる。
なお、前記陽極酸化処理における電解液の種類、濃度、温度、時間等としては、特に制限はなく、形成するナノホールの数、大きさ、アスペクト比等に応じて適宜選択することができる。例えば、前記電解液の種類としては、隣接する前記ナノホール列の間隔(ピッチ)が、150nm〜500nmである場合は、希釈リン酸溶液が好適に挙げられ、80nm〜200nmである場合は、希釈蓚酸溶液が好適に挙げられ、10nm〜150nmである場合は、希釈硫酸溶液が好適に挙げられる。いずれの場合も、前記ナノホールのアスペクト比の調整は、陽極酸化処理後にリン酸溶液に浸漬させて前記ナノホール(アルミナポア)の直径を増加させることにより行うことができる。
前記陽極酸化処理により前記ナノホール構造体形成工程(多孔質層形成工程)を行うと、該金属層にナノホールを多数形成することができるが、該ナノホールの下部にバリア層が形成されてしまうことがあるが、該バリア層は、リン酸等の公知のエッチング液を用いて公知のエッチング処理を行うことにより、容易に除去することができる。以上により、前記金属層に、前記軟磁性下地層又は前記基板を露出させる前記ナノホール列対を前記基板面に略直交する方向に多数形成することができる。
前記ナノホール構造体形成工程(多孔質層形成工程)により、前記基板上又は前記軟磁性下地層上に前記ナノホール構造体(多孔質層)が形成される。
前記磁性材料充填工程は、前記ナノホール構造体(多孔質層)に形成された前記ナノホールの内部に磁性材料を充填する工程であり、前記強磁性材料を前記ナノホールに充填する強磁性層形成工程、前記軟磁性材料を前記ナノホールに充填する軟磁性層形成工程などを含む。
前記軟磁性層形成工程は、前記ナノホールの内部に軟磁性層を形成する工程である。
前記軟磁性層の形成は、上述した軟磁性層の材料を電着等により前記ナノホールの内部に堆積乃至充填させることにより行うことができる。
前記電着の方法、条件等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記軟磁性下地層又は前記電極層を電極として、前記軟磁性層の材料を含む溶液を1種又は2種以上用い、電圧を印加させることにより、前記電極上に析出乃至堆積させる方法、などが好適に挙げられる。
前記軟磁性層形成工程により、前記多孔質層におけるナノホールの内部であって、前記基板上、前記軟磁性下地層上又は前記電極層上に前記軟磁性層が形成される。
前記強磁性層形成工程は、前記軟磁性層上(又は該軟磁性層上に前記非磁性層が形成されている場合には該非磁性層上に)に強磁性層を形成する工程である。
前記強磁性層の形成は、上述した強磁性層の材料を電着等により前記ナノホールの内部に形成した前記軟磁性層上に堆積乃至充填させることにより行うことができる。
前記電着の方法、条件等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記軟磁性下地層又は前記電極層を電極として、前記強磁性層の材料を含む溶液を1種又は2種以上用い、電圧を印加させることにより、前記ナノホール内に析出乃至堆積させる方法、などが好適に挙げられる。
前記強磁性層形成工程により、前記多孔質層におけるナノホールの内部であって、前記軟磁性層上又は前記非磁性層上に前記強磁性層が形成される。
前記非磁性層形成工程は、前記軟磁性層上に非磁性層を形成する工程である。
前記非磁性層の形成は、上述した非磁性層の材料を電着等により前記ナノホールの内部に形成した前記軟磁性層上に堆積乃至充填させることにより行うことができる。
前記電着の方法、条件等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記軟磁性下地層又は前記電極層を電極として、前記非磁性層の材料を含む溶液を1種又は2種以上用い、電圧を印加させることにより、ナノホール内に析出乃至堆積させる方法、などが好適に挙げられる。
前記非磁性層形成工程により、前記多孔質層におけるナノホールの内部であって、前記軟磁性層上等に前記非磁性層が形成される。
前記研磨工程は、前記磁性層形成工程(前記強磁性層形成工程、前記軟磁性層形成工程を含む)の後、前記ナノホール構造体(多孔質層)の表面を研磨し、平坦化する工程である。
前記研磨工程における研磨の方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。該研磨工程により、前記磁気記録媒体の表面が平滑化されると、垂直磁気記録ヘッド等の磁気ヘッドの安定浮上が可能となり、低浮上化による高密度記録と信頼性確保の双方を達成することができる点で有利である。
本発明の磁気記録媒体の製造方法により、本発明の前記磁気記録媒体を効率よく低コストで製造することができる。
(磁気記録装置及び磁気記録方法)
本発明の磁気記録装置は、本発明の前記磁気記録媒体と、垂直磁気記録用ヘッドとを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段乃至部材等を有してなる。
本発明の磁気記録方法は、本発明の前記磁気記録媒体に対し、垂直磁気記録用ヘッドを用いて記録を行うことを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の処理乃至工程を含む。本発明の磁気記録方法は、本発明の前記磁気記録装置を用いて好適に実施することができる。なお、前記その他の処理乃至工程は、前記その他の手段乃至部材等により行うことができる。以下、本発明の磁気記録装置の説明と共に、本発明の磁気記録方法について説明する。
前記垂直磁気記録用ヘッドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、単磁極ヘッド等が好適に挙げられる。また、該垂直磁気記録用ヘッドは、書込専用であってもよいし、GMRヘッド等の読取用ヘッドと一体の書込兼読込用であってもよい。
本発明の磁気記録装置による磁気記録、又は本発明の磁気記録方法による磁気記録においては、本発明の前記磁気記録媒体を用いるので、前記垂直磁気記録用ヘッドと前記磁気記録媒体における前記軟磁性層との間の距離が、前記多孔質層の厚みよりも短く、前記強磁性層の厚みと略等しくなるため、前記多孔質層の厚みに拘らず前記強磁性層の厚みだけで、該垂直磁気記録用ヘッドからの磁束の集中、使用される記録密度での最適な磁気記録再生特性などが制御可能となる。このため、図5に示すように、前記垂直磁気記録用ヘッド(書込兼読取用ヘッド)の主磁極100からの磁束が前記強磁性層(垂直磁化膜)30に集中する結果、従来の磁気記録装置に比し、書込み効率が大幅に向上し、書込み電流が小さくて済み、オーバーライト特性が著しく向上する。
なお、前記磁気記録媒体に前記軟磁性下地層が形成されている場合には、前記垂直磁気記録用ヘッドと、該軟磁性下地層との間で磁気回路が形成されるので好ましい。この場合、高密度記録が可能となる点で有利である。
本発明の磁気記録装置による磁気記録、又は本発明の磁気記録方法による磁気記録においては、前記磁気記録媒体における前記強磁性層に前記垂直磁気記録用ヘッドからの磁束が、該強磁性層の下面、即ち前記軟磁性層又は前記非磁性層との界面付近でも、集中したままで拡散しないため、小さなビットを書くことができる。
なお、該強磁性層における前記磁束の収束の程度(拡散の程度)としては、本発明の効果を害さない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。以下の実施例は、本発明のナノホール構造体を備えた本発明の磁気記録媒体を、本発明の磁気記録媒体の製造方法により製造し、本発明の磁気記録装置により磁気記録を行い、本発明の磁気記録方法を実施するものである。
(実施例1)
−ナノホール構造体の作製−
EB露光装置を用い、ガラス基板上にスピンコートした厚み40nmのレジスト層に、ラインを描画して凹凸パターンを形成した。なお、凹凸パターンにおける、凸状ラインの間隔(ピッチ)は100nmであり、凸状ライン及び凹状ラインの幅は、共に50nmであり、凸状ラインの高さは40nmである。次に、凹凸パターンの表面に、Ni層をスパッタ法により形成し、これを電極として、スルファミン酸ニッケル浴を用いて、ニッケル層の厚みが0.3mmになるまで電鋳を行い、裏面を研磨することにより、図9Aに示すように、Niスタンパモールド54を得た。
次に、図9Aに示すように、得られたNiスタンパモールド54を、前記金属基材としてのアルミ基板52に配置した。そして、図9Bに示すように、アルミ基板52にNiスタンパモールド54を押し付けることにより、Niスタンパモールド54の表面に形成された凹凸パターンを、該アルミ基板52の表面にインプリント転写した。なお、アルミ基板52は5N純度のものであり、予め電解研磨により表面が平滑化されており、インプリント転写の際の押付け圧力は、2,400kg/cmとした。その結果、図9Cに示すように、アルミ基板52の表面に、複数のグルーブ部(凹状ライン)Gとランド部(凸状ライン)Lとが交互に配列した凹凸パターン56が形成された。なお、グルーブ部(凹状ライン)Gの間隔(ピッチ)は100nmであり、ランド部(凸状ライン)Lの幅、及びグルーブ部(凹状ライン)Gの幅は、共に50nmであり、グルーブ部(凹状ライン)Gの深さは40nmである。
次に、図9Dに示すように、インプリント転写後のアルミ基板52を、30℃の0.3M硫酸水溶液中にて、23V(前記式(2)を用い、グルーブ部幅=50nm、A=2.5の条件で与えられる電圧)の定電圧で2分間、陽極酸化処理を行った。得られた細孔配列(ナノホール構造体)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察をしたところ、図10に示すような構造が得られた。
図10に示すように、細孔(ナノホール)が、グルーブ部(凹状ライン)の底部の両端におけるエッジに沿って配列しており、各グルーブにのみ、ナノホールが規則的に配列してなるナノホール列が2列配列したナノホール列対が一定間隔で形成されていた。また、ナノホールが、凹凸ラインの垂直方向に、50nm周期で一次元的に規則配列していることが確認され、ナノホール列対におけるナノホール列同士の間隔は50nmであることが判った。また隣接するナノホールの間隔は55〜60nmであり、ナノホールの開口径は、20nmであった。
更に、得られた構造体(ナノホール構造体)を破断し、破断面をSEM観察したところ、図11に示すように、細孔(ナノホール)が、構造の表面に対して垂直に直交していることが確認された。
また、6kV、30mA、10°の条件でイオンミリングすることにより、構造体の表面をエッチングしながら、ブランク(初期)、15分後、30分後、及び60分後と、順次、表面のSEM観察を行った。図12に、それぞれの時間経過後におけるSEM写真を示す。また、前記構造体の破断面のSEM写真を、図12に併せて示す。図12より、構造体の底部まで、細孔(ナノホール)が三角格子配列状に配列していることが判った。
以上の結果より考えられるナノホール列対の形成メカニズムを、図13A及び図13Bに示す。即ち、図10に示すナノホール構造体においては、図13Aに模式化して示すように、グルーブ部Gのエッジに沿ってナノホール列が配置され、グルーブ部Gにおいて、ナノホール列が一定間隔で2列配列したナノホール列対が一定間隔で形成されている。また、該ナノホール列対における2つのナノホール列(グルーブ部Gのエッジに沿って配置された左右2つのナノホール列)におけるナノホールが三角格子状に配置されている。そして、図13Bに示すように、アルミナポア(ナノホール)が成長すると、実施例1の陽極酸化処理条件においては、ドット間隔(アルミナポアのピッチ間隔)Pdot=23V(陽極酸化処理電圧)×2.5=57.5nmとなる。ドット間隔Pdotは、グルーブ幅Wgroove(50nm)の丁度2/√3倍になっているので、等方的に円形成長するアルミナポアのセルが、三角格子状に配列する条件を充たしており、その結果として、図10及び図13Aに示すように、ナノホールの三角格子配列をベースとした、グルーブ部G内に2列のナノホール列からなるナノホール列対を、一定間隔で配列させることが実現されたものと考えられる。
(実施例2)
実施例1において、陽極酸化処理における電圧を、20V(前記式(1)を用い、グルーブ部幅=50nm、A=2.5の条件で与えられる電圧)の定電圧に変えた以外は、実施例1と同様にして、ナノホール構造体を製造した。なお、得られたナノホール構造体における、ナノホールは、凹凸ラインの垂直方向に、50nm周期で一次元的に規則配列していることが確認され、ナノホール列対におけるナノホール列同士の間隔は50nmであることが判った。また、ナノホールの開口径は、18nmであった。
実施例1の結果及び考察に基づき、実施例1と同様にして、ナノホール列対の形成メカニズムを、図14A及び図14Bに示す。即ち、実施例2で得られたナノホール構造体においては、図14Aに模式化して示すように、グルーブ部Gのエッジに沿ってナノホール列が配置され、グルーブ部Gにおいて、ナノホール列が一定間隔で2列配列したナノホール列対が一定間隔で形成されている。また、該ナノホール列対における2つのナノホール列(グルーブ部Gのエッジに沿って配置された左右2つのナノホール列)におけるナノホールが四角格子状に配置されている。そして、図14Bに示すように、アルミナポア(ナノホール)が成長すると、実施例2の陽極酸化処理条件においては、ドット間隔(アルミナポアのピッチ間隔)Pdot=20V(陽極酸化処理電圧)×2.5=50nmとなる。ドット間隔Pdotは、グルーブの幅Wgroove(50nm)と等しくなっているので、等方的に円形成長するアルミナポアのセルが、四角格子状に配列する条件を充たしており、その結果として、図14Aに示すように、ナノホールの四角格子配列をベースとした、グルーブ部G内に2列のナノホール列からなるナノホール列対を一定間隔で配列させることが実現されたものと考えられる。なお、実施例2における、ナノホールが四角格子状に配列したナノホール構造体は、実施例1における、ナノホールが三角格子状に配列したナノホール構造体に比して、ナノホールの配列の安定性に劣り、配列の乱れが若干観られた。
(実施例3)
実施例1において、ランド部Lの幅とグルーブ部Gの幅とが異なるように、凹凸パターンを形成した以外は、実施例1と同様にして、ナノホール構造体を製造した。
即ち、実施例3では、実施例1において、Niスタンパモールドにおける、凸状ラインの幅を50nmに、凹状ラインの幅を100nmに、それぞれ変えてNiスタンパモールドを作製し、該Niスタンパモールドを用いて、アルミ基板の表面に、複数のグルーブ部(凹状ライン:幅50nm)Gとランド部(凸状ライン:幅100nm)Lとが交互に配列した凹凸パターンを形成した後、陽極酸化処理を行った。得られたナノホール構造体における、ナノホール列対の配列態様を、図15A及び図15Bに示す。
図15Aに模式化して示すように、グルーブ部Gのエッジに沿ってナノホール列が配置され、グルーブ部Gにおいて、ナノホール列が一定間隔で2列配列したナノホール列対が形成されている一方、ランド部Lの中央にもアルミナポア(ナノホール)が形成され、ナノホール列が配置されている。そして、図15Bに示すように、アルミナポア(ナノホール)が成長すると、グルーブ部G内に、ナノホールの三角格子配列をベースとした、2列のナノホール列からなるナノホール列対を配列させることができるものの、ランド部L内にも、グルーブ部G内のナノホールと同様に三角格子配列をベースとした、ナノホール列が形成され、その結果、ランド部Lを介してナノホール列対同士を一定間隔で離間させて形成することができなかった。
(実施例4)
実施例3において、アルミ基板の表面に、複数のグルーブ部(凹状ライン)Gとランド部(凸状ライン)Lとが交互に配列した凹凸パターンを、ランド部Lの幅Wlandがグルーブ部Gの幅Wgrooveの1.6倍となるように形成した後、陽極酸化処理を上記式(1)で与えられる電圧で行った。得られたナノホール構造体における、ナノホール列対の配列態様を、図16A及び図16Bに示す。
図16Aに模式化して示すように、グルーブ部Gのエッジに沿ってナノホール列が配置され、グルーブ部Gにのみ、ナノホール列が一定間隔で2列配列したナノホール列対が形成されており、ランド部Lには、アルミナポア(ナノホール)が形成されていなかった。そして、図16Bに示すように、アルミナポア(ナノホール)が成長すると、グルーブ部G内に、ナノホールの四角格子配列をベースとした、2列のナノホール列からなるナノホール列対を配列させることができ、かつ該ナノホール列対は、一定間隔でランド部Lにより分離されていた。
実施例3及び実施例4の結果より、ランド部Lに、ナノホール列を形成させないためには、ランド部Lの幅Wlandが、グルーブ部Gの幅Wgrooveの2倍未満であるのが好ましいことが判った。
(実施例5)
実施例1及び実施例2と同様な方法により、それぞれナノホール列が50nmの間隔で2列配列してなるナノホール列対を一定間隔で形成した。次いで、硫酸コバルト七水和物50g/l及びホウ酸20g/lの電解液中にて、50Hz、10Vの条件で、10分間にわたって電解析出を行い、図17に示すように、細孔(ナノホール)内にコバルト(Co)59を充填させた。ナノホールの表面に析出したコバルト(Co)を研磨により除去した後、その表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、50nmの幅で一次元的に規則配列したコバルト(Co)が確認された。
(実施例6)
本発明のナノホール構造体を磁気記録媒体(磁気ディスク)に適用し、以下のようにして磁気記録媒体(磁気ディスク)を製造し、その特性を以下のようにして評価した。
−軟磁性下地層形成工程−
前記軟磁性下地層形成工程を、ガラス基板に、軟磁性下地層としてのFeCoNiBを無電解めっき法により500nmの厚みに形成(積層)することにより、行った。
−ナノホール構造体形成工程(多孔質層形成工程)−
前記ナノホール構造体形成工程を以下のようにして行った。即ち、前記軟磁性下地層上に、スパッタ法により、Nbを5nmの厚みに、Alを150nmの厚みにそれぞれ積層した。実施例1と同様な方法により、同心円状のライン/スペース(凹凸ラインピッチ:100nm、ランド幅及びグルーブ幅、共に50nm)パターンを表面形状として有する、外形1インチサイズのNiスタンパモールドを作製し、該Niスタンパモールドを用いて、前記基板の表面に位置するアルミニウム(Al)層に、凹状ラインをインプリント転写した。
次に、インプリント転写後のサンプルを、0.3M硫酸水溶液中(浴温30℃)、23V(前記式(2)を用い、グルーブ部幅=50nm、A=2.5の条件で与えられる電圧)の定電圧で2分間、陽極酸化処理を行い、ナノホール(アルミナポア)を形成した。該ナノホールの開口径は、20nmであった。以上により、前記ナノホール構造体形成工程を行った。
−磁性材料充填工程−
次いで、硫酸コバルト七水和物50g/l及びホウ酸20g/lの電解液中にて、50Hz、10Vの条件で、10分間にわたって電解析出を行い、前記ナノホール内に、前記強磁性材料としてのコバルト(Co)を充填させ、該ナノホール内に強磁性層を形成することにより、前記磁性材料充填工程を行った。以上により、磁気ディスクを製造した。
−研磨工程−
前記研磨工程を以下のようにして行った。即ち、磁気ヘッドを浮上させる目的で、ラッピングテープを用いて表面研磨を行った。前記ラッピングテープとしては、アルミナ3μm粒度のテープを用いて、前記ナノホールが開口する面に存在する凸部のアルミナを荒研磨した後、アルミナ0.3μm粒度のテープを用いて、仕上げ研磨を行った。この研磨工程後の多孔質層(アルミナ層)の厚みは、約100nmであり、前記コバルト(Co)が充填されたナノホール(アルミナポア)のアスペクト比は、約5であった。
その後、研磨した磁気ディスクの表面にカーボン保護膜を形成し、潤滑剤としてパーフルオロポリエーテル(ソルベイソレクシス社製、AM3001)を、ディップ法により塗布し、特性評価用磁気ディスクサンプルとした。
得られた特性評価用磁気ディスクサンプルについて、書込み用の磁気ヘッドとしての単磁極ヘッド及び読出用の磁気ヘッドとしてのGMRヘッドを備えた磁気記録装置を用いて、該単磁極ヘッドによる書込み、及び該GMRヘッドの読み出しによる磁気記録を行い、記録再生特性を評価した。
まず、特性評価用磁気ディスクサンプルを永久磁石により、基板面に垂直な一方向に磁化し、その後、特性評価用磁気ディスクサンプルを回転させて磁気ヘッドを浮上させて、磁気信号の記録及び再生を行った。その結果、円周状に配置されたナノホール列対に対応する規則信号が観測された。
本発明の特性評価用磁気ディスクサンプルにおいては、従来の100nmの凹凸ラインピッチのライン/スペースパターンを用いても、50nmの間隔(ピッチ)でナノホール列が2列配列したナノホール列対を形成することができるので、ナノホール列の列密度が2倍となり、磁気ディスクの記録密度を2倍に向上させることができる。また、凹凸ラインピッチを50nmとすれば、グルーブGの幅が25nmとなり、該グルーブ部Gに、25nmの間隔(ピッチ)でナノホール列が2列配列したナノホール列対を形成することができ、1Tbit/inの記録密度も実現可能となる。
本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) 金属基材に、ナノホールが一次元配列したナノホール列が一定間隔で対となってナノホール列対を形成してなることを特徴とするナノホール構造体。
(付記2) グルーブ部とランド部とが交互に配列してなる凹凸ラインを有してなり、該グルーブ部にのみナノホール列対が形成された付記1に記載のナノホール構造体。
(付記3) 一のナノホール列対におけるナノホール列間の間隔が、前記一のナノホール列対と該一のナノホール列対と隣接するナノホール列対との間隔と略同一である付記1から2のいずれかに記載のナノホール構造体。
(付記4) 一のナノホール列対と該一のナノホール列対と隣接するナノホール列対との間隔が、前記一のナノホール列対におけるナノホール列間の間隔よりも大きく、かつ2倍未満である付記1から2のいずれかに記載のナノホール構造体。
(付記5) 一のナノホール列対と該一のナノホール列対と隣接するナノホール列対との間隔が、ナノホール列対におけるナノホール列間の間隔よりも大きく、かつ1.8倍以下である付記4に記載のナノホール構造体。
(付記6) 金属基材が、アルミニウム基材である付記1から5のいずれかに記載のナノホール構造体。
(付記7) 金属基材が、ディスク状であり、ナノホール列対が、同心円状及び螺旋状の少なくともいずれかに位置する付記1から6のいずれかに記載のナノホール構造体。
(付記8) 隣接するナノホール列対におけるナノホールが、半径方向に配列した付記7に記載のナノホール構造体。
(付記9) ナノホールにおける開口径が100nm以下である付記1から6のいずれかに記載のナノホール構造体。
(付記10) 付記1から9のいずれかに記載のナノホール構造体を製造する方法であって、
金属基材上に、グルーブ部及びランド部を形成した後、下記式(1)及び下記式(2)のいずれかで与えられる電圧で陽極酸化処理してナノホール列対を形成するナノホール形成処理工程を少なくとも含むことを特徴とするナノホール構造体の製造方法。
グルーブ部の幅(nm)÷A(nm/V)・・・式(1)
グルーブ部の幅(nm)÷(√3/2)÷A(nm/V)・・・式(2)
ただし、前記式(1)及び前記式(2)において、Aは、2.0〜3.0である。
(付記11) 式(1)及び式(2)におけるAが、2.5±0.2である付記10に記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記12) グルーブ部及びランド部の形成が、金属基材上に凹状ラインを形成することにより行われる付記10から11のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記13) ランド部の幅が、グルーブ部の幅と略同一である付記10から12のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記14) ランド部の幅が、グルーブ部の幅よりも大きく、かつ2倍未満である付記10から12のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記15) ランド部の幅が、グルーブ部の幅よりも大きく、かつ1.8倍以下である付記14に記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記16) 凹状ラインの幅が、その長さ方向において一定間隔で変化した付記10から15のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記17) 凹状ラインの形成が、円周方向に形成された凹凸ラインを表面に有する円板状のモールドを、金属基材上にインプリント転写することにより行われる付記10から16のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
(付記18) 基板上に、該基板面に対し略直交する方向にナノホールが複数形成された多孔質層を有し、該ナノホールの内部に磁性材料を有してなり、
前記多孔質層が付記1から9のいずれかに記載のナノホール構造体であることを特徴とする磁気記録体。
(付記19) ナノホールの内部に、軟磁性層と強磁性層とを前記基板側からこの順に有し、該強磁性層の厚みが該軟磁性層の厚み以下である付記18に記載の磁気記録媒体。
(付記20) 基板と多孔質層との間に軟磁性下地層を有する付記18から19のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(付記21) 強磁性層が、Fe、Co、Ni、FeCo、FeNi、CoNi、CoNiP、FePt、CoPt及びNiPtから選択される少なくとも1種により形成された付記19から20のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(付記22) 軟磁性層が、NiFe、FeSiAl、FeC、FeCoB、FeCoNiB及びCoZrNbから選択される少なくとも1種で形成された付記19から21のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(付記23) 付記18から22のいずれかに記載の磁気記録媒体を製造する方法であって、
基板上に金属層を形成した後、該金属層に、グルーブ部及びランド部を形成し、下記式(1)及び下記式(2)のいずれかで与えられる電圧で陽極酸化処理することにより、前記基板面に対し略直交する方向にナノホール列対を複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程と、該ナノホール列対におけるナノホールの内部に磁性材料を充填する磁性材料充填工程とを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
グルーブ部の幅(nm)÷A(nm/V)・・・式(1)
グルーブ部の幅(nm)÷(√3/2)÷A(nm/V)・・・式(2)
ただし、前記式(1)及び前記式(2)において、Aは、2.0〜3.0である。
(付記24) ランド部の幅が、グルーブ部の幅よりも大きく、かつ2倍未満である付記23に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(付記25) ランド部の幅が、グルーブ部の幅よりも大きく、かつ1.8倍以下である付記23から24のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
(付記26) 磁性材料充填工程が、ナノホールの内部に軟磁性層を形成する軟磁性層形成工程、及び、該軟磁性層上に強磁性層を形成する強磁性層形成工程を含む付記23から25のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
(付記27) 磁性材料充填工程の後に、ナノホール構造体の表面を研磨する研磨工程を含む付記23から26のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
本発明のナノホール構造体は、磁気記録媒体をはじめ、DNAチップ、診断装置、検出センサー、触媒基板、電界放出ディスプレイ等の各種分野に好適に使用することができ、特に、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適に使用することができる。
本発明の磁気記録媒体は、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適に使用することができる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、本発明の磁気記録媒体の製造に好適に使用することができる。
本発明の磁気記録装置は、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等として好適に使用することができる。
本発明の磁気記録方法は、磁気ヘッドの書込み電流を増やすことなく高密度記録・高速記録が可能で大容量であり、オーバーライト特性に優れ、均一な特性を有し、特にクロスリードやクロスライト等の問題がなく、極めて高品質な記録に好適に使用することができる。
図1は、垂直記録方式による磁気記録を行っている一例を示す概念図である。 図2Aは、垂直記録方式による磁気記録の際に、磁束が拡散してしまう状態の一例を説明するための概念図である。 図2Bは、垂直記録方式による磁気記録の際に、磁束が拡散せず集中する状態の一例を説明するための概念図である。 図3は、陽極酸化アルミナポアのポア中に磁性金属を充填してなり、パターンドメディアと垂直記録方式とを併せた磁気記録媒体の一例を示す概略説明図である。 図4Aは、二次元的に配列した陽極酸化アルミナポアに磁性金属を充填してなる磁気記録媒体の一例を示す概略説明図である。 図4Bは、図4AのB−B’断面図である。 図5は、磁気記録媒体に対し、単磁極ヘッドを用いて垂直磁気記録方式により磁気記録を行っている状態の一例を示す一部断面概略説明図である。 図6Aは、モールドをインプリント転写した後のアルミニウム層の表面状態の一例を説明するための写真である。 図6Bは、図6Aに示すアルミニウム層に対して陽極酸化処理を行い、ナノホール列を形成した状態の一例を示す写真である。 図7Aは、本発明のナノホール構造体の製造方法において形成するグルーブ部(一定間隔で区切られた態様)の一例を示す概略説明図である。 図7Bは、本発明のナノホール構造体の製造方法において形成するグルーブ部(一定間隔で区切られた態様)の一例を示す概略説明図である。 図8Aは、本発明のナノホール構造体の製造方法により、グルーブ部に形成されるナノホール列対におけるナノホールの配列態様の一例(三角格子配列)を示す概略説明図である。 図8Bは、本発明のナノホール構造体の製造方法により、グルーブ部に形成されるナノホール列対におけるナノホールの配列態様の一例(四角格子配列)を示す概略説明図である。 図9Aは、本発明のナノホール構造体の製造方法の一例を説明するための工程図(その1)である。 図9Bは、本発明のナノホール構造体の製造方法の一例を説明するための工程図(その2)である。 図9Cは、本発明のナノホール構造体の製造方法の一例を説明するための工程図(その3)である。 図9Dは、本発明のナノホール構造体の製造方法の一例を説明するための工程図(その4)である。 図10は、ナノホール列対が形成されたナノホール構造体の表面の一例を示す写真である。 図11は、ナノホール列対が形成されたナノホール構造体の破断面の一例を示す写真である。 図12は、ナノホール構造体の表面をエッチングしながら、ナノホール列対の配列状態を観察した結果を示す写真である。 図13Aは、ナノホール列対の形成メカニズムの一例を示す概略説明図である。 図13Bは、ナノホール列対の形成メカニズムの一例を示し、図13Aにおけるナノホールの成長後の状態を示す概略説明図である。 図14Aは、ナノホール列対の形成メカニズムの他の例を示す概略説明図である。 図14Bは、ナノホール列対の形成メカニズムの他の例を示し、図14Aにおけるナノホールの成長後に状態を示す概略説明図である。 図15Aは、ランド部の幅をグルーブ部の幅の2倍にして陽極酸化処理を行ったときのナノホール列対の形成メカニズムの一例を示す概略説明図である。 図15Bは、ランド部の幅をグルーブ部の幅の2倍にして陽極酸化処理を行ったときのナノホール列対の形成メカニズムの一例を示す概略説明図である。 図16Aは、ランド部の幅をグルーブ部の幅の1.6倍にして陽極酸化処理を行ったときのナノホール列対の形成メカニズムの一例を示す概略説明図である。 図16Bは、ランド部の幅をグルーブ部の幅の1.6倍にして陽極酸化処理を行ったときのナノホール列対の形成メカニズムの一例を示す概略説明図である。 図17は、本発明の磁気記録媒体の製造方法の一例における磁性材料充填工程の一例を示す概略説明図である。
符号の説明
20・・・・中間層(非磁性層)
30・・・・記録層
52・・・・アルミ基板
54・・・・Niスタンパモールド
56・・・・凹凸パターン
58・・・・ナノホール列対
58A・・・ナノホール列
58a・・・ナノホール
59・・・・コバルト(磁性材料)
100・・・書込兼読取用ヘッド(単磁極ヘッド)
102・・・主磁極
104・・・後半部
110・・・基板
120・・・下地電極層
130・・・陽極酸化アルミナ層
140・・・強磁性層
G・・・・・グルーブ部
L・・・・・ランド部

Claims (15)

  1. 金属基材に、ナノホールが一次元配列したナノホール列が一定間隔で対となってナノホール列対を形成してなるナノホール構造体を製造する方法であって、
    金属基材上に、グルーブ部及びランド部を形成した後、下記式(1)及び下記式(2)のいずれかで与えられる電圧で陽極酸化処理してナノホール列対を形成するナノホール形成処理工程を少なくとも含むことを特徴とするナノホール構造体の製造方法。
    グルーブ部の幅(nm)÷A(nm/V)・・・式(1)
    グルーブ部の幅(nm)÷(√3/2)÷A(nm/V)・・・式(2)
    ただし、前記式(1)及び前記式(2)において、Aは、2.0〜3.0である。
  2. 式(1)及び式(2)におけるAが、2.5±0.2である請求項1に記載のナノホール構造体の製造方法。
  3. グルーブ部及びランド部の形成が、金属基材上に凹状ラインを形成することにより行われる請求項1から2のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
  4. ランド部の幅が、グルーブ部の幅と略同一である請求項1から3のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
  5. ランド部の幅が、グルーブ部の幅よりも大きく、かつ2倍未満である請求項1から3のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
  6. ランド部の幅が、グルーブ部の幅よりも大きく、かつ1.8倍以下である請求項5のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
  7. 得られるナノホール構造体において、一のナノホール列対におけるナノホール列間の間隔が、前記一のナノホール列対と該一のナノホール列対と隣接するナノホール列対との間隔と略同一である請求項1から6のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
  8. 得られるナノホール構造体において、一のナノホール列対と該一のナノホール列対と隣接するナノホール列対との間隔が、前記一のナノホール列対におけるナノホール列間の間隔よりも大きく、かつ2倍未満である請求項1から6のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
  9. 得られるナノホール構造体において、一のナノホール列対と該一のナノホール列対と隣接するナノホール列対との間隔が、前記一のナノホール列対におけるナノホール列間の間隔よりも大きく、かつ1.8倍以下である請求項8に記載のナノホール構造体の製造方法。
  10. 金属基材が、ディスク状であり、ナノホール列対が、同心円状及び螺旋状の少なくともいずれかに位置する請求項1から9のいずれかに記載のナノホール構造体の製造方法。
  11. 金属基材に、グルーブ部及びランド部を形成し、下記式(1)及び下記式(2)のいずれかで与えられる電圧で陽極酸化処理することにより、前記金属基材に対し略直交する方向にナノホール列対を複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程と、該ナノホール列対におけるナノホールの内部に磁性材料を充填する磁性材料充填工程とを含むことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
    グルーブ部の幅(nm)÷A(nm/V)・・・式(1)
    グルーブ部の幅(nm)÷(√3/2)÷A(nm/V)・・・式(2)
    ただし、前記式(1)及び前記式(2)において、Aは、2.0〜3.0である。
  12. ランド部の幅が、グルーブ部の幅よりも大きく、かつ2倍未満である請求項11に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  13. ランド部の幅が、グルーブ部の幅よりも大きく、かつ1.8倍以下である請求項12に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  14. 得られる磁気記録媒体において、前記ナノホールの内部に、軟磁性層と強磁性層とを前記金属基材側からこの順に有し、該強磁性層の厚みが該軟磁性層の厚み以下である請求項11から13のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
  15. 得られる磁気記録媒体において、前記ナノホールの内部に磁性材料が充填された前記ナノホール構造体に隣接して軟磁性下地層を有する請求項11から14のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
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