JP5515708B2 - バイアス回路及びそれを有する増幅回路 - Google Patents

バイアス回路及びそれを有する増幅回路 Download PDF

Info

Publication number
JP5515708B2
JP5515708B2 JP2009281649A JP2009281649A JP5515708B2 JP 5515708 B2 JP5515708 B2 JP 5515708B2 JP 2009281649 A JP2009281649 A JP 2009281649A JP 2009281649 A JP2009281649 A JP 2009281649A JP 5515708 B2 JP5515708 B2 JP 5515708B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
circuit
transistor
bias
current
source
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009281649A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011124854A (ja
Inventor
英樹 加納
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP2009281649A priority Critical patent/JP5515708B2/ja
Publication of JP2011124854A publication Critical patent/JP2011124854A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5515708B2 publication Critical patent/JP5515708B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Amplifiers (AREA)

Description

本発明は,バイアス回路及びそれを有する増幅回路に関する。
バイアス回路は,例えば電源電圧の変動や,プロセスばらつきに依存しない一定の電流や電圧などを生成する。電源電圧に依存しない電流を生成するバイアス回路が,非特許文献1,2に記載されている。ここに記載されたバイアス回路は,PチャネルMOSトランジスタによるカレントミラー回路とNチャネルMOSトランジスタによるカレントミラー回路とを相互に接続したものであり,電源電圧に依存しない電流を生成する。さらに,スイッチトキャパシタ回路を利用したバイアス回路も記載されている。
また,特許文献1〜4には,スイッチトキャパシタ回路を利用したバイアス回路等が記載されている。
特開2000−295047号公報 特表2004−523830号公報 特公平7−111662号公報 特表2008−544641号公報
Behzad Razavi著,McGRAW-HILL「Design of Analog CMOS Integrated Circuits」p.393 非特許文献1の訳本:丸善「アナログCMOS集積回路の設計 応用編」p.460-462, p.479
非特許文献1に記載されたバイアス回路は,スイッチトキャパシタ回路の動作に起因して,スイッチの制御クロックにより電圧,電流が変動し,その変動する電圧や電流が非線形素子であるトランジスタに入力されると,期待する出力特性を得ることができない。
そこで,本発明の目的は,スイッチトキャパシタ回路のクロックによるノイズの影響を抑制したバイアス回路と,それを利用した増幅回路を提供することにある。
バイアス回路の第1の側面は,トランジスタと可変抵抗を有し,前記トランジスタに電源電圧に依存せず前記可変抵抗に反比例したトランスコンダクタンスを発生させるバイアスユニットと,
前記バイアスユニットが生成するバイアス電流をカレントミラーする第1の電流源と,第1の容量と,第2の容量と,前記第1の容量に前記第1の電流源の電流を充電する第1のスイッチと,前記第1の容量の電荷を前記第2の容量に転送する第2のスイッチとを有し,前記第2の容量に参照電圧を生成する参照電圧生成回路と,
前記可変抵抗の電圧を前記参照電圧に一致させるように前記可変抵抗の抵抗値を制御する制御信号を出力する制御回路とを有する。
第1の側面によれば,制御クロックによる変動の影響を抑制することができる。
非特許文献2に記載されているバイアス回路である。 非特許文献2に記載されているスイッチトキャパシタ回路を利用したバイアス回路の回路図である。 本実施の形態におけるバイアス回路の回路図である。 スイッチトキャパシタ回路30(SC)の動作波形図である。 本実施の形態における第1の具体的バイアス回路例を示す図である。 図5のバイアス回路のオペアンプによる制御動作のシミュレーション結果を示す図である。 本実施の形態における第2の具体的バイアス回路例で使用される可変抵抗回路例を示す図である。 本実施の形態における第1の増幅回路の回路図である。 図8の第1の増幅回路の変型例の回路図である。 図8の第1の増幅回路の変型例の回路図である。 図8の第1の増幅回路の変型例の回路図である。 本実施の形態における第2の増幅回路の回路図である。 図12の第2の増幅回路の変型例の回路図である。 図3のバイアス回路の変型例を示す図である。 図14のローパスフィルタLPFの回路例を示す図である。 図3のバイアス回路の変型例を示す図である。
図1は,非特許文献2に記載されているバイアス回路である。ゲートドレインが接続されたNチャネルMOSトランジスタM1と,トランジスタM1のゲートにゲートが接続されたNチャネルMOSトランジスタM2とからなるNチャネル側のカレントミラー回路と,ゲートドレインが接続されたPチャネルMOSトランジスタM3と,トランジスタM3のゲートにゲートが接続されたPチャネルMOSトランジスタM4とからなるPチャネル側のカレントミラー回路とが,グランドGNDと電源VDDとの間に相互に接続されている。そして,トランジスタM2のソースとグランドGNDとの間に,電流値を決めるための抵抗Rsが設けられる。そして,トランジスタM1〜M4は,飽和領域で動作している。
また,各トランジスタM1〜M4のトランジスタサイズW/L(Wはチャネル幅,Lはチャネル長)は,図示されるように,トランジスタM2はM1のK倍,トランジスタM3,M4はM1と同じに設定されている。
上記の回路において,抵抗Rsの存在によりトランジスタM2を流れるドレイン電流は減少される。また,PチャネルトランジスタM3,M4は同じサイズであるので,それらのトランジスタを流れるドレイン電流は,Iref=Ibになる。そして,トランジスタM1,M2のゲート電位は等しいので,トランジスタM1,M2のゲートソース間電圧をVgs1,Vgs2とすると,
Vgs1=Vgs2 + Ib*Rs (1)
となる。
トランジスタのドレイン飽和電流は,トランジスタの電流増幅率をβ(=μCox(W/L),Coxはゲート酸化膜容量,μは移動度,W,Lはチャネル幅,長)とすると,
Id=β(Vgs-Vth)2/2
であるから,この式から
Vgs=√(2Id/β)+Vth
となる。これを上記の式(1)に代入すると,
√(2Id/β)+Vth1=√{2Id/(K*β)}+Vth2+ Ib*Rs
となり,トランジスタM1,M2の閾値Vthは等しいとみなし,基板バイアス効果を無視すれば,
Ib=(2/β)*(1/Rs2)*(1−1/√K)2 (2)
になり,この電流Ibは,電流増幅度β,抵抗Rs,トランジスタサイズ比Kに依存するが,電源電圧やプロセスに依存するトランジスタのパラメータ(閾値電圧など)に依存していないことが理解できる。
図1のバイアス回路は,上記のように,電源電圧やプロセスに依存しない電流Ibを生成するので,この電流Ibを差動増幅回路の電流源にカレントミラーすることが行われる。
そして,図1のバイアス回路は,電源電圧やプロセスばらつきに依存しないトランスコンダクタンスgmを生成する回路でもある。すなわち,図1のトランジスタM1のトランスコンダクタンスgm(M1)は,
gm(M1)=√(2β*Ib)
であることが知られているから,上記式(2)のドレイン電流Ibを代入すると,
gm(M1)=(2/Rs)√(1−1/√K) (3)
となり,トランジスタM1のトランスコンダクタンスgm(M1)は,電源電圧やMOSトランジスタのパラメータに依存しない値になる。この場合,トランジスタ比KをK=4に選択すると,上記式(3)は,
gm(M1)=1/Rs (3a)
になる。つまりトランジスタM1のトランスコンダクタンスは,抵抗Rsにより一義的にきまり,電源電圧やプロセスに依存するトランジスタなどのデバイスパラメータに依存しない。
なお,トランスコンダクタンスgmは,gm=ΔId/ΔVgsで表され,入力電圧Vgsの変動に対応する出力電流Idの変動の大きさを示す。
図1のバイアス回路は,電流Ibの値を設定するために抵抗Rsを用いている。しかし,抵抗素子は,一般に温度に依存して変化する。そこで,抵抗Rsに代えて,スイッチトキャパシタ回路により等価抵抗を利用することが,非特許文献2に記載されている。
図2は,そのスイッチトキャパシタ回路を利用したバイアス回路の回路図である。このバイアス回路は,図1と同様に,トランジスタM1〜M4からなる回路を構成し,ただし,図1の抵抗Rsに代えて,キャパシタCsと逆相のクロックφ1,φ2で制御される2つのスイッチSW1,SW2とからなるスイッチトキャパシタ回路10を有する。制御クロックφ1,φ2は,図示されるとおり,周波数fで且つ互いに逆相になっている。図中,容量Cbは,スイッチングにより生成される高周波成分をグランドGNDに逃がすために付加されている。
このスイッチトキャパシタ回路10は,クロックφ1がHレベルでスイッチSW1がオン(閉じ)スイッチSW2がオフ(開く)となり,キャパシタCsの電荷を放電し,クロックφ2がHレベルでスイッチSW2がオン,スイッチSW1がオフとなり,キャパシタCsが電流Ibにより充電される。したがって,トランジスタM2のソース電圧Vsは,クロックφ2がHになる期間1/fの間に流れ込む電流Ibの電荷量Ib/fとキャパシタCsの容量Csにより決まるので,
Vs=Ib/(f*Cs)
となり,ソース電圧Vsの平均抵抗Rscは,
Rsc=1/(f*Cs) (4)
となる。
すなわち,図2のスイッチトキャパシタ回路を利用したバイアス回路は,図1の抵抗RsをキャパシタCsとクロック周波数fにより決定することができる。一般に,キャパシタは抵抗素子よりも温度依存性が小さく,クロック周波数fは水晶発振器によれば高精度に生成することができる。したがって,図2のバイアス回路は,図1よりも好ましい。
図2のバイアス回路は,トランジスタM2のソース電圧Vs及びドレイン電流Idが,スイッチトキャパシタ回路のスイッチSW1,SW2のオン,オフ動作により,クロックの周波数fで変動する。つまり,キャパシタCsの平均抵抗は図1の抵抗Rsと同等であるが,瞬間的にはクロック周波数に依存して電圧,電流変動が生じる。
図3は,本実施の形態におけるバイアス回路の回路図である。図中,スイッチトキャパシタ回路30の3つの制御クロックφ1,φ2,φ3も示されている。図3のバイアス回路は,バイアスユニット20と,参照電圧生成回路を構成するスイッチトキャパシタ回路30と,制御回路CONTとを有する。
バイアスユニット20は,図1のバイアス回路と同等であり,PチャネルトランジスタM3,M4のカレントミラー回路と,NチャネルトランジスタM1,M2のカレントミラー回路とが,グランドGNDと電源VDDとの間に相互に接続され,さらに,トランジスタM2のソースとグランドとの間にソース抵抗Rsが設けられている。このソース抵抗Rsは可変抵抗であり,制御回路CONTの制御信号φcによりその抵抗値が可変制御される。また,トランジスタM2はM1のK倍のトランジスタサイズ(W/L)を有し,トランジスタM3,M4のトランジスタサイズはM1と同じである。また,トランジスタM5は,トランジスタM3,M4と同じサイズであるが,定数倍であってもよい。
一方,参照電圧生成回路であるスイッチトキャパシタ回路30は,トランジスタM3,M4とカレントミラー回路を構成するPチャネルトランジスタM5と,参照容量Csと,保持容量Crと,3つの制御クロックφ1,φ2,φ3によりそれぞれ制御されるスイッチSW1,SW2,SW3を有する。これらの制御クロックφ1,φ2,φ3は,図中に示されるとおり,期間t1で制御クロックφ1がHレベル,期間t2で制御クロックφ2がHレベル,期間t3で制御クロックφ3がHレベルになり,それぞれに対応するスイッチSW1,SW2,SW3がオンする。制御クロックがLレベルの間は,スイッチはオフする。
後述するとおり,スイッチSW1がオンして参照容量Csの電荷を放電して電圧VscがグランドGNDまで低下し,スイッチSW2がオンして参照容量Csが電流Iscにより充電され,電圧Vscが上昇し,スイッチSW3がオンして参照容量Csの電荷が保持容量Crに転送される。期間t1,t2,t3を繰り返すことにより,保持容量Crには一定の電荷が蓄積され,参照電圧Vrは所望の電位になる。この参照電圧Vrには,クロック周波数に依存した高周波の変動は発生しない。
図4は,スイッチトキャパシタ回路30(SC)の動作波形図である。図中,左側が回路の起動時を,右側が安定状態を示す。回路の起動時では,スイッチトキャパシタ回路30内の参照容量Csの電圧Vscは,制御クロックφ1がHレベルになりスイッチSW1がオンした時にグランドに低下し,制御クロックφ2がHレベルになりスイッチSW2がオンした時に電源電圧VDDまで上昇する。そして,制御クロックφ3がHレベルになりスイッチSW3がオンした時に,保持容量Crに参照容量Csの電荷がトランスファされ,両容量の電極の電圧Vsc,Vrは等しくなる。そして,参照電圧Vrはその電圧を維持する。また,このトランスファされた時の等しい電圧は,徐々に高くなる。
起動時の3つの期間t11,t12,t13を複数回繰り返した後の安定状態になると,参照電圧Vrは,保持容量Csが充電された時の電源電圧VDDになり,リークパスがないので,電源電圧VDDで安定する。
ソース抵抗Rsを可変制御する制御回路CONTは,トランジスタM2のソース電圧Vsと参照電圧Vrとを比較し,ソース電圧Vsが参照電圧Vrと等しくなるように,ソース抵抗Rsの抵抗値を制御する制御信号φcを生成する。制御回路CONTは,例えばオペアンプなどで構成される。この制御により,ソース電圧Vsには,スイッチトキャパシタ回路30の制御クロックによる電圧変動は生じない。
図3において,スイッチトキャパシタ回路30のトランジスタM5は,トランジスタM1,M2のゲートにゲートが接続されてとカレントミラー回路を構成するソース接地のNチャネルトランジスタと,そのNチャネルトランジスタと電源電圧VDDとの間に設けられドレインゲート間が短絡されたPチャネルトランジスタと,そのPチャネルトランジスタのゲートにトランジスタM5のゲートが接続されていてもよい。この場合は,バイアス電流IbがNチャネルトランジスタにカレントミラーされ,それと同じ電流がPチャネルトランジスタに流れ,その電流がトランジスタM5にカレントミラーされる。この回路構成は,後述する図11のトランジスタM24,M25,M20の回路構成と同じである。
次に,図3のバイアス回路が,gm/Csが一定であることを以下説明する。
バイアスユニット20では,ソース抵抗Rsの存在により,トランジスタM2のドレイン電流Ibは制限を受ける。一方,トランジスタM3,M4のトランジスタサイズが等しく,カレントミラー回路を構成するので,Ib=Irefが成り立つ。そして,トランジスタM2のソース電圧Vsは,トランジスタM1のソース電圧(グランドGND)よりも高く,Ib=Irefは,制御回路CONTの制御信号φcにより制御されるソース抵抗Rsの抵抗値に依存した値になる。すなわち,前述の式(1)の関係が成り立つ。
Vgs1=Vgs2 + Ib*Rs (1)
そして,前述の式(3)に示したとおり,
gm(M1)=(2/Rs)(1−1/√K) (3)
が成り立つので,トランジスタM1のトランスコンダクタンスgm(M1)は,ソース抵抗Rsの逆数1/Rsに比例する。そして,トランジスタサイズ比KをK=4とすると,
gm(M1)=1/Rs (3a)
である。
このとき,ソース抵抗Rsにはバイアス電流Ibが流れるので,ソース電圧Vsは,
Vs=Rs*Ib (5)
になる。このソース電圧Vsは参照電圧Vrに等しくなるように制御回路CONTが制御しているので,前述のとおり,ソース電圧Vsがクロック周波数fに依存した変動を生じることはない。
次に,スイッチトキャパシタ回路30は,参照電圧Vrを生成する回路であるが,トランジスタM5はバイアスユニット20のトランジスタM4,M3とカレントミラー回路を構成するので,M5がM3,M4と同じサイズならトランジスタM5に流れる電流Iscはバイアスユニット内の電流Ibと等しい。そして,参照電圧Vrは,期間t2(時間T)でスイッチSW2がオンしている間に電流Iscが参照容量Csを充電した時の電圧Vscに等しいので,時間Tの間に充電される電荷量がIsc*T=Ib*Tであるので,
Vr=Ib*T/Cs (6)
となる。
そして,制御回路CONTがソース電圧Vsが参照電圧Vrと等しくなるように,ソース抵抗Rsの抵抗値を制御しているので,
Vs=Vr (7)
である。上記の式(7)に式(5)(6)を代入すれば,
Rs*Ib =Ib*T/Cs
Rs=T/Cs
このRsを上記式(3a)に代入すると,トランスコンダクタンスgm(M1)は,
gm(M1)=Cs/T (8)
gm(M1)/Cs=1/T=一定 (9)
となる。
すなわち,式(8)に示されるとおり,バイアスユニット20内のトランジスタM1のトランスコンダクタンスgm(M1)は容量CsとスイッチSW2がオンする時間Tの商に等しく(またはKに依存する定数に比例し),電源に依存せず一定である。さらに,式(9)に示されるとおり,gm(M1)/Csも電源電圧に依存せず,プロセスに依存するデバイスパラメータにも依存しないで,一定になる。ただし,時間Tを一定にするために高精度のクロックを水晶発振器などから生成することが条件である。
以上の通り,図3のバイアス回路は,スイッチトキャパシタ回路30(SC)により生成される参照電圧Vrが,スイッチSW1,SW2のオンオフに起因する変動の影響を受けないので,バイアスユニット20内の電流Ib,トランジスタM2のソース電圧Vsにも変動が生じない。そして,上記説明したとおり,トランジスタM1のトランスコンダクタンスgm(M1)とgm(M1)/Csとは,電源電圧の変動や,プロセスばらつきの影響を受けず,一定になる。
図5は,本実施の形態における第1の具体的バイアス回路例を示す図である。この例では,可変ソース抵抗RsとしてNチャネルMOSトランジスタMsが,制御回路CONTとしてオペアンプAMPが設けられている。それ以外の構成は,図3と同じである。オペアンプAMPの出力が可変抵抗であるトランジスタMsのゲートに入力される。オペアンプAMPは,ソース電圧Vsを参照電圧Vrと比較しながら,ソース電圧Vsを参照電圧Vrに等しくするように出力信号φcを生成する。それに応答して,トランジスタMsの抵抗値が連続的に変化し,アナログ的なフィードバックによりソース抵抗Rsを微調整することができる。
オペアンプの出力φcは,オペアンプのゲインをAとすると,
φc=A*(Vs−Vr)
となる。Vs>Vrでは,出力φcの電圧が上昇し,トランジスタMsの抵抗が下がり,ソース電圧Vsは参照電圧Vrに近づく。逆に,Vs<Vrでは,出力φcの電圧が下降し,トランジスタMsの抵抗が上がり,ソース電圧Vsは参照電圧Vrに近づく。
図6は,図5のバイアス回路のオペアンプによる制御動作のシミュレーション結果を示す図である。図中,横軸が時間,縦軸が電圧であり,参照電圧Vrとソース電圧VsとクロックVclkとが示されている。クロックVclkが開始されると,バイアス回路の動作により最初に参照電圧Vrが大きくなるが,やがて低下して安定する。そして,時間の経過と共にソース電圧Vsが参照電圧Vrに収束し一致する。すなわち,ソース電圧Vsが参照電圧Vrより高い場合は,オペアンプAMPのフィードバック制御によりトランジスタMsの抵抗値が低くなり,それに伴ってソース電圧Vsが低下し,参照電圧Vrより低くなる。これに応答して,オペアンプAMPはトランジスタMsの抵抗値を高くして,ソース電圧Vsを上昇させようとする。やがて,ソース電圧Vsは参照電圧Vrの電圧に収束する。なお,クロックVclkに同期してスイッチトキャパシタの電流Iscが微小に変化するので,それに伴って参照電圧Vrも微小に変化する。
図7は,本実施の形態における第2の具体的バイアス回路例で使用される可変抵抗回路例を示す図である。このバイアス回路は,図3に示したバイアスユニット20のソース抵抗Rsとして,図7に示された抵抗回路を使用する。この抵抗回路は,ノード1,2の間に抵抗素子R1〜Rn+1が直列に接続され,各定稿素子の接続ノードとノード2との間にスイッチSW1〜SWnが設けられ,図3のソース抵抗Rsとして,ノード1,2がトランジスタM2のソースとグランドGNDとの間に接続される。
そして,制御回路CONTは,ソース電圧Vsと参照電圧Vrとを比較し,比較結果に応じてnビットの制御信号φcを出力する。nビットの制御信号φcは,図7に示した抵抗回路のスイッチ群SW1〜SWnのゲートにそれぞれ供給され,例えば,スイッチ群SW1〜SWnのうちいずれか1つのスイッチがオン,それ以外がオフになる。それにより,ノード1,2の間の抵抗値がn種類(R1,R1+R2,〜,R1+R2+・・・Rn)の中からいずれかに選択される。または,全てのスイッチがオフになるように制御されれば,抵抗値はn+1種類になる。
図7の場合,ソースの可変抵抗は,離散的な抵抗値しかとらないので,フィードバック制御を行った場合には,1つの抵抗値に収束せずに隣接する2つの抵抗値間で交互に切り替わることが起こりうる。その場合は,以下の制御を行うのが好ましい。
第1に,コンパレータである制御回路CONTによるフィードバック制御の結果,隣接する2つの抵抗値の間で交互に切り替わる場合は,いずれか一方の抵抗値に固定する制御を行う。いずれの抵抗値に固定するかは,一定期間内の発生確率が高いほうの抵抗値に固定するのが好ましい。
そして,一方の抵抗値に固定した後は,フィードバック制御を継続し,制御信号が2値以上変化した場合に,抵抗値の固定を解除し新たな制御信号による抵抗値に固定する。このようにすることで,環境変化に追従することができる。または,一方の抵抗値に固定した後は,スイッチトキャパシタ回路30と制御回路CONTを停止してフィードバック制御を停止してもよい。この場合は,フィードバック制御によるソース抵抗値の変動を防止しバイアスユニットの動作の変動を抑制することができる。
第2に,制御回路CONTが,制御信号φcを最小値からまたは最大値から順番に変化させてソース抵抗Rsを順番に増大または減少させ,コンパレータの比較結果がVs<VrからVs>Vrに変更した時,またはVs>VrからVs<Vrに変更した時の,前後の制御信号φcのいずれかに固定する。固定した後は,スイッチトキャパシタ回路30と制御回路CONTのコンパレータの動作を停止する。
第3に,制御回路CONTが,制御信号φcを中央値から開始し,コンパレータの比較結果に応じて制御信号φcを上下いずれかの領域の中央値にする。これを繰り返して最適な制御信号φcの値を探索する。これは一種のバイナリサーチである。そして,最適な値が見つかった後は,その最適値に制御信号φcを固定し,スイッチトキャパシタ回路30と制御回路CONTのコンパレータの動作を停止する。
図8は,本実施の形態における第1の増幅回路の回路図である。図8に示された増幅回路は,図3に示したバイアスユニット20と参照電圧生成回路であるスイッチトキャパシタ回路30(SC)と制御回路CONTとからなるバイアス回路に加えて,差動アンプの一種であるオペレーショナル・トランスコンダクタンス・アンプOTAを有する。
このアンプOTAは,NチャネルMOSトランジスタからなる差動対トランジスタM+,M−と,PチャネルMOSトランジスタM12,M13と,NチャネルMOSトランジスタからなるソース接地の電流源トランジスタM10とを有する。差動対トランジスタM+,M−のゲートには,差動入力電圧Vin+,Vin-が入力され,差動対トランジスタM+,M−のドレインが差動出力となり,負荷容量CLに接続される。また,トランジスタM12,M13は,ソースが電源電圧VDDに接続され,ゲートに一定バイアス電圧Vbpが印加されて,一定の負荷電流を生成する。
電流源であるソース接地トランジスタM10のゲートは,バイアスユニット20内のカレントミラー回路を構成するトランジスタM1,M2のゲートに接続され,カレントミラー回路を構成している。そのため,バイアスユニット20のバイアス電流Ibを,トランジスタM10とM1とのトランジスタサイズに対応した大きさの電流が,トランジスタM10のドレイン電流Isになる。トランジスタM10をM1と同じサイズにすれば,Is=Ibとなる。
このように,バイアスユニット20内のバイアス電流Ibを,アンプOTAの電流源トランジスタM10にカレントミラー(コピー)できるので,バイアスユニット20内のトランジスタM1のトランスコンダクタンスgm(M1)を,アンプOTA内の差動対トランジスタM+,M−のトランスコンダクタンスgm(OTA)にコピーすることができる。このことは,アンプOTAのユニティゲイン周波数(アンプゲインが1の場合の周波数)ωが電源電圧やプロセスばらつきに依存せず一定にできることを意味している。
一般に,アンプOTAのユニティゲイン周波数ωは,アンプOTAのトランスコンダクタンスgm(OTA)を出力不可容量CLで除したgm(OTA)/CLになることが知られていて,アンプOTAのトランスコンダクタンスgm(OTA)は,増幅動作を行う差動対トランジスタM+,M−のトランスコンダクタンスgm(M+,M-)に等しくなるので,ユニティゲイン周波数ωは以下の通りである。
ω=gm(M+,M-)/CL (10)
この式(10)は,例えば,「LSI設計者のためのCMOSアナログ回路入門」谷口研二著の70頁の式(4.7)にも示されている。
以下,上記のアンプOTAのユニティゲイン周波数ωが電源電圧やプロセスばらつきに依存せず一定であることを説明する。まず,前述の式(8)は,K=4の場合に,
gm(M1)=Cs/T (8)
である。そして,バイアスユニットのトランジスタのトランスコンダクタンスgm(M1)は,
gm(M1)=√(2βb*Ib) (11)
でもある。βbはトランジスタM1の電流増幅率である。この式は前述と同じである。
一方,アンプOTAの電流源トランジスタM10のトランジスタサイズがトランジスタM1と同じとすると,トランジスタM10の電流Isは,
Is=Ib
である。
そこで,アンプOTAの差動対トランジスタの一方のトランジスタ,例えばトランジスタM+のトランスコンダクタンスgm(M+)は,次のようになる。まず,アンプOTAの左半分の回路を考えると,トランジスタM+には電流Im+=Is/2=Ib/2が流れ,ゲート電圧Vin+とソース端子電圧との電圧差に応じて増幅されたドレイン電流が流れる。したがって,トランジスタM+の電流増幅率をβm+とすると,
gm(M+)=√(2βm+*Im+)=√(2βm+*Ib/2)=√(βm+*Ib) (12)
となる。
式(11)と(12)とから
gm(M+)=gm(M1){√(βm+*Ib)/√(2βb*Ib)}=gm(M1)√(βm+/2βb) (13)
そして,式(8)からgm(M1)=Cs/Tであるので,式(13)に代入すると,
gm(M+)=(Cs/T)√(βm+/2βb)
gm(M+)/Cs=(1/T)√(βm+/2βb) (14)
となり,gm(M+)/Csは電源電圧やプロセスばらつきに依存しない一定値になる。
そこで,式(10)のユニティゲイン周波数ωを考慮して,アンプOTAの出力負荷CLを,スイッチトキャパシタ回路30(SC)の参照容量Csと等しく(Cs=CL)設計すると,式(14)から,
ω=gm(M+)/CL=(1/T)√(βm+/2βb) (15)
になる。つまり,アンプOTAのユニティゲイン周波数ωは,電源電圧やプロセスばらつきに依存しない一定値になる。
また,必ずしもCs=CLでなくても,出力負荷CLを参照容量Csの定数倍のCs=A*CLであれば,上記の式(15)は,以下のとおり定数Aが入るだけであり,アンプOTAのユニティゲイン周波数ωは,電源電圧やプロセスばらつきに依存しない一定値になる。
ω=gm(M+)/A*CL=(1/A*T)√(βm+/2βb) (15b)
上記の説明は,アンプOTAの右半分のトランジスタM−においても同様に成り立つ。
以上の通り,図8の増幅回路では,バイアス回路で生成された電流IbをアンプOTAの電流源M10の電流Isにコピーしたことで,差動対トランジスタM+,M−の増幅動作がトランジスタM1と同等になり,バイアス回路のトランジスタM1のトランスコンダクタンスgm(M1)が,アンプOTAの差動対トランジスタM+のトランスコンダクタンスgm(M+)にコピーされる。そして,Cs=CLまたはCs=A*CLに設定することで,アンプOTAのユニティゲイン周波数ω=gm(M+)/CLまたはω=gm(M+)/A*CLを,電源電圧やプロセスばらつきに依存しない一定値にできる。
図9は,図8の第1の増幅回路の変型例の回路図である。この変型例は,図8のアンプOTAのPチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとを逆にしたアンプOTAを有する。バイアスユニット20とスイッチトキャパシタ回路30と制御回路CONTの構成は,図8と同じである。
すなわち,図9のアンプOTAは,ゲートに差動入力Vin+,Vin-が入力されるPチャネルMOSトランジスタの差動対トランジスタM+,M−と,ゲートに一定のバイアス電圧Vbnが印加されるNチャネルMOSトランジスタM2,M23と,Pチャネルの電流源トランジスタM20とを有する。電流源であるトランジスタM20のゲートは,バイアスユニット20内のカレントミラー回路を構成するPチャネルのトランジスタM3,M4のゲートに接続されて,カレントミラー回路を構成している。したがって,トランジスタM10の電流Isは,バイアスユニット20内のバイアス電流Ibと等しくなる。
よって,図9の回路例も同様に,バイアスユニット20内のトランジスタのgmを,アンプOTA内の差動対トランジスタのgmに移植することができる。そして,負荷容量CLをスイッチトキャパシタ回路30内の参照容量Csと等しくすれば,アンプOTAのユニティゲイン周波数ω=gm(M+)/CLは,電源電圧に依存しない一定値になる。
図10は,図8の第1の増幅回路の変型例の回路図である。この例は,アンプOTAは,図8と同様に差動対トランジスタM+,M−がNチャネルMOSトランジスタ,電流源トランジスタM10もNチャネルMOSトランジスタである。ただし,バイアスユニット20のバイアス電流Ibを電流源トランジスタM10にカレントミラー(コピー)する回路構成は,PチャネルトランジスタM14とNチャネルトランジスタM15からなる回路と,その回路のトランジスタM15のゲートが電流源トランジスタM10のゲートに接続された構成とを有する。
まず,PチャネルトランジスタM14は,バイアスユニット20内のPチャネルトランジスタM3,M4とカレントミラー回路を構成する。よって,トランジスタM14のトランジスタサイズがトランジスタM3と同じであれば,トランジスタM14を流れる電流I14は,バイアス電流Ibと等しくなる。そして,ゲートとドレインが接続されたソース接地のトランジスタM15は,その電流I14を流すようにゲート・ソース間電圧が制御される。そして,トランジスタM15とM10とがカレントミラー回路を構成するので,結局,トランジスタM10の電流Isは,
Is=I14=Ib
となる。
その結果,図10の回路例も同様に,バイアスユニット20内のトランジスタのgmを,アンプOTA内の差動対トランジスタのgmに移植することができ,負荷容量CLをスイッチトキャパシタ回路30内の参照容量Csと等しくすれば,アンプOTAのユニティゲイン周波数ω=gm(M+)/CLは,電源電圧に依存しない一定値になる。
図11は,図8の第1の増幅回路の変型例の回路図である。図10のバイアス電流Ibをコピーする構成は,図9のアンプOTAにも適用可能である。図11はその増幅回路を示している。すなわち,図11において,アンプOTAは,図9と同様に,差動対トランジスタM+,M−がPチャネルMOSトランジスタ,電流源トランジスタM20もPチャネルMOSトランジスタである。ただし,バイアスユニット20のバイアス電流Ibを電流源トランジスタM20にコピーする回路構成は,NチャネルトランジスタM24とPチャネルトランジスタM25からなる回路と,その回路のトランジスタM25のゲートが電流源トランジスタM20のゲートに接続された構成とを有する。そして,トランジスタM24のゲートは,バイアスユニット20内のNチャネルトランジスタM1,M2のゲートに接続されている。したがって,トランジスタM24にはバイアスユニットのバイアス電流Ibがコピーされ,カレントミラー回路を構成するトランジスタM25,M20により,トランジスタM20にもバイアス電流Ibがコピーされる。
その結果,図11の回路例も同様に,バイアスユニット20内のトランジスタのgmを,アンプOTA内の差動対トランジスタのgmに移植することができ,負荷容量CLをスイッチトキャパシタ回路30内の参照容量Csと等しくすれば,アンプOTAのユニティゲイン周波数ω=gm(M+)/CLは,電源電圧に依存しない一定値になる。
図14は,図3のバイアス回路の変型例を示す図である。この例では,3つのローパスフィルタLPFがトランジスタM3,M5の間と,制御回路CONTとトランジスタM2との間と,制御回路CONTとスイッチφ3との間に設けられている。これらのLPFにより,高周波ノイズ成分が除かれるとともに,トランジスタM3,M5,スイッチφ2,φ3,制御部CONT,抵抗Rs,トランジスタM2のループの時定数を,制御部CONTと抵抗Rsとそれに接続されたLPFのループの時定数より大きくすることができる。2つのループの時定数の調整は,例えばローパスフィルタLPFの計数を調整することで実現できる。
図15は,図14のローパスフィルタLPFの回路例を示す図である。図15(A)(B)(C)は一般的なフィルタのRC回路である。また,図15(D)は,(A)においてフィルタが接続されるトランジスタのゲート容量がフィルタの容量として利用される例である。図14の例では,トランジスタM5が対象になる。また,図15(E)はフィルタが接続される抵抗素子やトランジスタのオン抵抗などがフィルタの抵抗として利用される例である。図14の例では,抵抗RsやトランジスタM2のオン抵抗が対象になる。
図16は,図3のバイアス回路の変型例を示す図である。この例でも,3つのローパスフィルタLPFがトランジスタM3,M5の間と,制御回路CONTとトランジスタM2との間と,制御回路CONTとスイッチφ3との間に設けられている。ただし,制御回路CONTとスイッチφ3との間のローパスフィルタは,容量Crと抵抗Rfとにより実現されている。
図5のバイアス回路においても,同様にローパスフィルタを設けることが好ましい。
図12は,本実施の形態における第2の増幅回路の回路図である。第2の増幅回路は,バイアスユニット20と,基準電圧生成回路であるスイッチトキャパシタ回路30(SC)と,制御回路CONTとからなるバイアス回路と,アンプOTAとを有する。そして,このアンプOTAは,図8〜図11の第1の増幅回路と異なり,差動対トランジスタM+,M−のソース端子間にフィードバック抵抗Rvが設けられ,差動対トランジスタそれぞれのソース端子とグランドとの間にゲートに一定バイアス電圧Vbnが印加されたNチャネルトランジスタM30,M31が設けられている。差動対トランジスタM+,M−と電源電圧VDDとの間のPチャネルトランジスタM32,M33は,第1の増幅回路と同じである。
さらに,図12の第2の増幅回路では,アンプOTAのフィードバック抵抗Rvが可変抵抗回路であり,制御回路CONTの制御信号φcによりその抵抗値が制御される。したがって,フィードバック抵抗Rvは,バイアスユニット内のソース抵抗Rsと同様に制御される。
このアンプOTAは,差動対トランジスタM+,M−のドレイン電流の一部がフィードバック抵抗Rvに流れるので,フィードバック抵抗Rvの中点が交流的に接地点になる。そこで,図12のアンプOTAの左半分の回路(トランジスタM32,M+,M30,抵抗Rvの半分)を考えると,小信号回路としては,図12中の右下の破線の丸の中に示したようなトランジスタM+と抵抗Rvの半分Rv/2とで構成される回路と等価になる。この回路は,トランジスタM+にソース抵抗によるフィードバック機能が付加された増幅器と等価である。
この小信号増幅回路において,トランスコンダクタンスを求めると以下のとおりである。まず,トランジスタM+のドレイン電流ioは,トランジスタM+のトランスインダクタンスをgm,ソース電圧をVsoとすると,
io=gm(Vin+−Vso)
そして,ソース電圧Vsoは,フィードバック抵抗Rv/2より,
Vso=Rv*io/2
上記の2つの式からVsoを除去すると,
io=gm(Vin+−Rv*io/2)
となり,電流ioと入力電圧Vin+との関係は,
io=Vin+/(1/gm+Rv/2)
となる。
したがって,破線内の小信号回路のソース抵抗Rs付きのトランジスタM+のトランスコンダクタンスgm(h)は,入力電圧Vin+の変化に対する電流ioの変化の割合であるから,上記の電流ioと入力電圧Vin+との関係式から,
gm(h)=1/(1/gm+Rv/2)
となる。
さらに,アンプOTAが差動回路であるので出力電流が上記左半分の小信号回路の2倍になるが,入力電圧も2倍になるので,アンプOTAのトランスコンダクタンスgm(OTA)は小信号回路のgm(h)と等しくなり,
gm(OTA)=1/(1/gm+Rv/2)
になる。この関係式は,例えば,非特許文献2の74頁の式(3.49)にも示されている。
ここで,トランジスタM+のトランスコンダクタンスgmが十分に大きい(つまりトランジスタM+の抵抗が十分に低い)と仮定すると,1/gm<<Rv/2となり,
gm(OTA)=2/Rv (16)
になる。つまり,アンプOTAのトランスコンダクタンスgm(OTA)は,2/Rvになる。
そこで,前述のバイアス回路のトランジスタM1のトランスコンダクタンスgm(M1)は,サイズ比KをK=4とすると,前述の式(3a)のとおり,
gm(M1)=1/Rs (3a)
であった。したがって,図12のようにフィードバック抵抗Rvをバイアスユニット20内のソース抵抗Rsの2倍と等しく(Rv=2Rs)なるように(またはトランジスタサイズ比Kに対応するある定数倍になるように)その抵抗値を制御することで,アンプOTAのトランスコンダクタンスgm(OTA)は,
gm(OTA)=1/Rs=gm(M1) (17)
となり,バイアス回路内のトランジスタM1のトランスコンダクタンスgm(M1)と等しくすることができる。
その結果,図8等の第1の増幅回路と同様に,アンプOTAの負荷容量CLとスイッチトキャパシタ回路30内の参照容量Csとを等しくすれば,
gm(M1)/Cs=gm(OTA)/CL (18)
となり,増幅回路のユニティゲイン周波数ωを,電源電圧やプロセスばらつきに依存しない一定値にすることができる。
また,上記のRv=2Rs,Cs=CLに限られず,それぞれ定数倍B,Aを乗じたRv=2B*Rs,Cs=A*CLにしても,式’(17),(18)は,次の通りとなり,増幅回路のユニティゲイン周波数ωを,電源電圧やプロセスばらつきに依存しない一定値にすることができる。
gm(OTA)=1/B*Rs=gm(M1)/B (17b)
gm(M1)/B*Cs=gm(OTA)/A*CL (18b)
フィードバック抵抗Rv=2Rs(またはRv=2B*Rs)とするためには,例えば,フィードバック抵抗Rvをソース抵抗Rsの2倍(または2B倍)の抵抗値を有するトランジスタや抵抗回路にすればよい。そして,制御回路CONTによる制御信号φcによりフィードバック抵抗Rvの抵抗値がソース抵抗Rsと同様に制御されることで,Rv=2Rs(またはRv=2B*Rs)が保たれる。
図13は,図12の第2の増幅回路の変型例の回路図である。この変型例は,アンプOTAが,差動対トランジスタM+,M−がPチャネルトランジスタであり,フィードバックトランジスタRvがそのPチャネルトランジスタのソース端子間に設けられていることが,図12と異なる。それ以外の構成は,図12と同じである。
この変型例においても,図12と同様に,Rv=2Rs(またはRv=2B*Rs ,Rv=N1*Rs,N1はKに応じた定数)にし,CL=Cs(またはCs=A*CL)にすることで,増幅回路のユニティゲイン周波数ωを電源電圧やプロセスばらつきに依存しない一定値にすることができる。
上記の第2の増幅回路においても,図14,16に示したようにローパスフィルタLPFをもうけることが好ましい。
以上説明したとおり,本実施の形態のバイアス回路は,参照電圧生成回路であるスイッチトキャパシタ回路で生成したクロック周波数の影響を受けない参照電圧Vrにソース電圧Vsが等しくなるようにソース抵抗を可変制御しているので,クロックの影響を受けないバイアス電流を生成することができる。さらに,本実施の形態の増幅回路は,バイアス回路のトランジスタのgmをアンプ回路のgmにコピーすることができるので,Cs=CL(またはCs=A*CL)を満たすように設計することで,ユニティゲイン周波数を電源電圧などに依存しない一定値にすることができる。
そして,Cs=CL,Cs=A*CLやRv=2Rs,Rv=2B*Rsの関係は,それらの容量や抵抗が同じ製造プロセスで製造されていれば,製造プロセスが異なっていても,保たれるので,製造ばらつきに強い一定のユニティゲイン周波数を得ることができる。
以上の実施の形態をまとめると,次の付記のとおりである。
(付記1)
トランジスタと可変抵抗を有し,前記トランジスタに電源電圧に依存せず前記可変抵抗に反比例したトランスコンダクタンスを発生させるバイアスユニットと,
前記バイアスユニットが生成するバイアス電流をカレントミラーする第1の電流源と,第1の容量と,第2の容量と,前記第1の容量に前記第1の電流源の電流を充電する第1のスイッチと,前記第1の容量の電荷を前記第2の容量に転送する第2のスイッチとを有し,前記第2の容量に参照電圧を生成する参照電圧生成回路と,
前記可変抵抗の電圧を前記参照電圧に一致させるように前記可変抵抗の抵抗値を制御する制御信号を出力する制御回路とを有するバイアス回路。
(付記2)
付記1において,
前記バイアスユニットは,互いのゲートが第1のトランジスタのドレインに接続された第1導電型の第1,第2のトランジスタと,互いのゲートが第3のトランジスタのドレインに接続された第2導電型の第3,第4のトランジスタとを,第1,第4のトランジスタのドレインと,第2,第3のトランジスタのドレインとで接続し,前記第2のトランジスタのソースと基準電圧との間に前記可変抵抗としてソース抵抗手段を有するバイアス回路。
(付記3)
付記2において,
前記参照電圧生成回路は,さらに,前記第1の容量の電荷を放電する第3のスイッチを有し,前記第3のスイッチ,第1のスイッチ,第2のスイッチの順にサイクリックに導通することを特徴とするバイアス回路。
(付記4)
付記2または3において,
前記参照電圧生成回路の前記第1の電流源は,前記第3,第4のトランジスタとカレントミラーを構成する第5のトランジスタを有するバイアス回路。
(付記5)
付記2において,
前記ソース抵抗手段は被制御トランジスタを有し,前記制御回路はオペアンプを有し,前記オペアンプの出力が前記制御信号として前記被制御トランジスタのゲートに入力されるバイアス回路。
(付記6)
前記ソース抵抗手段は複数の抵抗素子を組み合わせた抵抗回路を有し,前記制御回路の制御信号により前記抵抗回路の複数の抵抗素子の組み合わせが変更制御されるバイアス回路。
(付記7)
付記1乃至4のいずれかに記載のバイアス回路と,
ゲートに入力信号が印加され互いのソースが接続された差動トランジスタ対と,前記差動トランジスタ対のソースと基準電圧との間に設けられ前記バイアス回路のバイアス電流をカレントミラーする第2の電流源とを有するアンプユニットとを有する増幅回路。
(付記8)
付記7において,
前記差動トランジスタ対の少なくとも一方のドレインに接続される出力負荷容量が,前記第1の容量と等しい容量または定数倍の容量を有する増幅回路。
(付記9)
付記1乃至4のいずれかに記載のバイアス回路と,
ゲートに入力信号が印加される差動トランジスタ対と,前記差動トランジスタ対のソース間に設けられたフィードバック抵抗手段とを有するアンプユニットとを有し,
前記バイアス回路の制御回路の制御信号により前記フィードバック抵抗の抵抗値が制御される増幅回路。
(付記10)
付記9において,
前記第2のトランジスタが第1のトランジスタの4倍のトランジスタサイズを有し,前記フィードバック抵抗の抵抗値が,前記ソース抵抗手段の抵抗値と等しくまたは定数倍で,
前記差動トランジスタ対の少なくとも一方のドレインに接続される出力負荷容量が,前記第1の容量と等しい容量または定数倍の容量を有する増幅回路。
(付記11)
付記10において,
前記フィードバック抵抗と前記ソース抵抗手段は,同じ製造プロセスで製造されている増幅回路。
(付記12)
付記10において,
前記出力負荷容量と前記第1の容量は,同じ製造プロセスで製造されている増幅回路。
20:バイアスユニット 30:参照電圧生成回路,スイッチトキャパシタ回路
CONT:制御回路 Rs:可変抵抗,ソース抵抗
Vs:可変抵抗の電圧 Vr:参照電圧
Cs:参照容量 Cr:保持容量

Claims (7)

  1. 互いのゲートが第1のトランジスタのドレインに接続された第1導電型の第1,第2のトランジスタと,互いのゲートが第3のトランジスタのドレインに接続された第2導電型の第3,第4のトランジスタとを,第1,第4のトランジスタのドレインと,第2,第3のトランジスタのドレインとで接続し,前記第2のトランジスタのソースと基準電圧との間に可変抵抗としてソース抵抗手段を有し,前記第1のトランジスタに電源電圧に依存せず前記可変抵抗に反比例したトランスコンダクタンスを発生させるバイアスユニットと,
    前記バイアスユニットが生成するバイアス電流をカレントミラーする第1の電流源と,第1の容量と,第2の容量と,前記第1の容量に前記第1の電流源の電流を充電する第1のスイッチと,前記第1の容量の電荷を前記第2の容量に転送する第2のスイッチとを有し,前記第2の容量に参照電圧を生成する参照電圧生成回路と,
    前記可変抵抗の電圧を前記参照電圧に一致させるように前記可変抵抗の抵抗値を制御する制御信号を出力する制御回路とを有するバイアス回路。
  2. 請求項1において,
    前記第2のトランジスタのサイズが前記第1のトランジスタのサイズよりも所定数倍大きいバイアス回路。
  3. 請求項2において,
    前記参照電圧生成回路は,さらに,前記第1の容量の電荷を放電する第3のスイッチを有し,前記第3のスイッチ,第1のスイッチ,第2のスイッチの順にサイクリックに導通することを特徴とするバイアス回路。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のバイアス回路と,
    ゲートに入力信号が印加され互いのソースが接続された差動トランジスタ対と,前記差動トランジスタ対のソースと基準電圧との間に設けられ、前記バイアス回路のバイアス電流をカレントミラーする第2の電流源とを有するアンプユニットとを有する増幅回路。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載のバイアス回路と,
    ゲートに入力信号が印加される差動トランジスタ対と,前記差動トランジスタ対のソース間に設けられたフィードバック抵抗手段とを有するアンプユニットとを有し,
    前記バイアス回路の制御回路の制御信号により前記フィードバック抵抗の抵抗値が制御される増幅回路。
  6. 請求項4において,
    前記差動トランジスタ対の少なくとも一方のドレインに接続される出力負荷容量が,前記第1の容量と等しい容量または定数倍の容量を有する増幅回路。
  7. 請求項5において,
    前記第2のトランジスタが第1のトランジスタの4倍のトランジスタサイズを有し,前記フィードバック抵抗の抵抗値が,前記ソース抵抗手段の抵抗値と等しくまたは定数倍で,
    前記差動トランジスタ対の少なくとも一方のドレインに接続される出力負荷容量が,前記第1の容量と等しい容量または定数倍の容量を有する増幅回路。
JP2009281649A 2009-12-11 2009-12-11 バイアス回路及びそれを有する増幅回路 Expired - Fee Related JP5515708B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009281649A JP5515708B2 (ja) 2009-12-11 2009-12-11 バイアス回路及びそれを有する増幅回路

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009281649A JP5515708B2 (ja) 2009-12-11 2009-12-11 バイアス回路及びそれを有する増幅回路

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011124854A JP2011124854A (ja) 2011-06-23
JP5515708B2 true JP5515708B2 (ja) 2014-06-11

Family

ID=44288301

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009281649A Expired - Fee Related JP5515708B2 (ja) 2009-12-11 2009-12-11 バイアス回路及びそれを有する増幅回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5515708B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2887176B1 (fr) * 2013-12-20 2022-09-14 The Swatch Group Research and Development Ltd. Circuit électronique à référence de courant PTAT auto-calibrée, et procédé pour sa mise en action
CN103729004B (zh) 2014-01-07 2016-06-01 上海华虹宏力半导体制造有限公司 一种偏置电流产生电路
JP2016122897A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 三菱電機株式会社 分周回路
WO2019019058A1 (zh) * 2017-07-26 2019-01-31 深圳市汇顶科技股份有限公司 动态放大电路
CN110011627B (zh) * 2019-04-26 2023-10-03 苏州大学 一种宽输入范围高共模抑制比运算跨导放大器

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06105856B2 (ja) * 1986-06-27 1994-12-21 株式会社日立製作所 定電流源回路
US4742292A (en) * 1987-03-06 1988-05-03 International Business Machines Corp. CMOS Precision voltage reference generator
US6191637B1 (en) * 1999-03-05 2001-02-20 National Semiconductor Corporation Switched capacitor bias circuit for generating a reference signal proportional to absolute temperature, capacitance and clock frequency
JP2001100854A (ja) * 1999-10-01 2001-04-13 Toyota Autom Loom Works Ltd 定電圧電流回路
JP2001154749A (ja) * 1999-11-26 2001-06-08 Nec Yamagata Ltd 基準電圧発生回路
US6407623B1 (en) * 2001-01-31 2002-06-18 Qualcomm Incorporated Bias circuit for maintaining a constant value of transconductance divided by load capacitance
JP2006135377A (ja) * 2004-11-02 2006-05-25 Toshiba Corp 半導体装置
WO2007001255A1 (en) * 2005-06-15 2007-01-04 Freescale Semiconductor, Inc. Integrated relaxation voltage controlled oscillator and method of voltage controlled oscillation

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011124854A (ja) 2011-06-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10461724B2 (en) Relaxation oscillator with overshoot error integration
Trejo-Guerra et al. Integrated circuit generating 3-and 5-scroll attractors
US9300247B2 (en) RC oscillator with additional inverter in series with capacitor
TWI744925B (zh) 可調節電流模式弛張振盪器
Prodanov et al. CMOS current mirrors with reduced input and output voltage requirements
JP6831421B2 (ja) 電圧基準のパワーサイクリング
JP5515708B2 (ja) バイアス回路及びそれを有する増幅回路
CN105099368B (zh) 振荡电路、电流生成电路以及振荡方法
WO2019104467A1 (zh) 稳压器以及电源
US7821324B2 (en) Reference current generating circuit using on-chip constant resistor
US9479141B2 (en) Low-pass filter
US9543972B2 (en) Stability controlled high frequency chopper-based oscillator
CN110719102A (zh) 振荡电路及时钟电路
JP3953009B2 (ja) トランスコンダクタンス調整回路
US10305454B2 (en) High stable oscillator for various operating mode
US20210273610A1 (en) Oscillator circuit with two current supplies
Pavan Systematic development of CMOS fixed-transconductance bias circuits
Raja et al. Design of recycling folded cascode amplifier using potential distribution method
JP2012039548A (ja) ダイナミック増幅器
Odame et al. Theory and design of OTA-C oscillators with native amplitude limiting
JP5040397B2 (ja) 基準電圧回路
US10651831B2 (en) Oscillation circuit
JP2011065208A (ja) 定電流発生回路および該定電流発生回路を用いた半導体装置ならびに電子機器
JP2870464B2 (ja) 可変遅延回路
Kuo et al. Low-voltage tracking RC frequency compensation in two-stage operational amplifiers

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120815

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130521

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130718

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140304

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140317

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5515708

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees