JP5514901B2 - シート止着具 - Google Patents
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Description
例えば、車両用の座席は、座面あるいは背面さらにヘッドレストやアームレストなどが、それぞれ合成樹脂発泡体などのクッション材を基材とし、その表面にシート状の表皮材を張って仕上げられる。表皮材は予めクッション材の外側形状に合わせて立体縫製され、一部残された開口からクッション材に被せられ、最後に開口を封止して仕上げられる。これにより縫製跡などが露出しにくく優れた外観が確保される。最後に封止される開口は、連続成形材を用いたシート止着具を用いることで、表皮材の辺縁を重ね合わせて止着され、これにより外観性を高めるようにしている。
また、座席やクッション等の表面材に限らず、テント等の架設物のシート辺縁の止着、輸送用の梱包物カバーの辺縁の止着などにも適用される。
このようなシート止着具の具体的構成として、特許文献1および特許文献2に記載の構成が知られている。
このような止着具で一対のシートの辺縁を止着する場合、第2部材を第1部材に被さるようにシートを引っ張り、互いのU字の開口を向かい合わせ、各々の内側に他方の係止部を挿入させることで互いに係止させる。
このような止着具で一対のシートの辺縁を止着する場合、第2部材にシート辺縁を固定したうえでその他端を第1部材に接続し、シート辺縁側を回動させてシートに張力を与えつつ、第2部材と第1部材とが互いに沿った状態とし、係合部により互いに係合させてその状態を保持する。
このような弛緩が生じると、弛緩に伴ってシートに皺等が生じることがあり、例えばクッションを被覆する表面材としては好ましくない。
しかし、特許文献2の構成では、第1部材および第2部材には回動させるための貫通構造が間欠的に配置され、係合させるための構造も間欠的であり、押出成形による連続成型が困難であった。
また、特許文献2の構成において、シートの張力は、第2部材の他端で第1部材に受けられているが、第1部材と第2部材とを止着状態に維持するための係合部はシートの張力とは逆向きの係合とされ、シートの張力が大きくなった際に外れる可能性が無視できないものであった。
さらに、特許文献2の構成では、第2部材を第1部材に対して回動させる際に操作する押さえ部分などがあるわけではなく、作業が効率的に行えなかった。
〔第1実施形態〕
図1から図5には、本発明の第1実施形態が示されている。
図1において、本実施形態のシート止着具1は、一対のシート辺縁8,9をその辺縁に沿って連続的に止着するものであり、それぞれ一定の断面形状を有する連続材で形成された第1部材10と第2部材20とを有する。第1部材10および第2部材20は、それぞれ合成樹脂材料の押出成形等で製造される連続材とされ、各図において図面直交方向に延びているものである。
なお、本実施形態のシート止着具1において、第1部材10、第2部材20、シート辺縁8,9は、それぞれ図1右側が表面、図1左側が裏面とされる。
本止め受け部13の先端には、第1部材10の表面側であって第1固定部11がある側(図1左下向き)に突出する爪部13Aが形成されている。
これらの爪部12A,13Aは、第1固定部11に連なる円弧状部分10Aに対して互いに反対側に背中合わせで配置されている。
円弧状部分10Aと第1固定部11との間には、表面側に補助突起14が形成されている。
本止め係合部23の先端には、第2部材20の第1固定部11とは反対向き(図1右上向き)へと突出する爪部23Aが形成されている。
これらの爪部22A,23Aは、仮止め係合部22の内側の凹部22Bを挟んで互いに向かい合わせで配置されている。
なお、シート辺縁8,9は、自動車などの座席表面の仕上げに用いられるシートの辺縁であり、座席のクッション7(図2参照)を覆ったうえで、所定の封止部位で互いに重ね合わせた状態で止着される。
また、自動車の座席においては、外観性を考慮して目立たないことが望ましく、一方で作業性を考慮すると奥まった部位は好ましくない。このため、例えば座席のバックレストでは、背面側の下部が採用される。他の部分においても同様な観点で部位を選択する。
第1部材10の第1固定部11には、クッション7の底面側から延びるシート辺縁8を固定する。
第2部材20の第2固定部21には、クッション7の背面側に沿って下方へ延びてきたシート辺縁9を固定する。
これらシート辺縁8,9と第1固定部11および第2固定部21との固定には、融着または溶着、接着、縫製またはステープラー等の機械的貫通固定、その他の固定手段が適宜選択できる。
本実施形態では、図2のように、第2部材20が上方から、第1部材10が下方から、それぞれ近接する配置とする。このため、第2部材20が自重で垂れ下がった状態で、第1部材10を近接させれば、第2部材20の仮止め係合部22に第1部材10の仮止め受け部12を係合させることが容易に行え、仮止め状態が簡単かつ確実に得られる。
仮止め状態においては、第1部材10は、クッション7に沿わせ、第1固定部11が図中下向き(第2部材20から離れた側)としておく。第2部材20は、仮止め係合部22をクッション7に近接した状態で、第2固定部21がやや上向き(第1部材10から離れた側)となるようにしておく。
ここで、回動によるシート辺縁9への張力付与が効率的に行われるように、第2固定部21は仮止め係合部22から所定のレバー長さを隔てられており、かつ外力(本実施形態では押し下げ)を加えるための操作部を兼ねている。 図4に示すように、更に押し下げて第2部材20を回動させることで、本止め係合部23が本止め受け部13に接触する。第2固定部21を指で摘むなどして、シート辺縁9に更に張力が加わる方向(図4の右下方向)へと引き下げることで、爪部23Aが爪部13Aを乗り越えて凹部10B内へと進入する。この際、補助突起14により、本止め係合部23がガイドされ、凹部10B内へと確実に進入することができる。
さらに、シート辺縁9には第2部材20の回動により十分な張力が与えられ、シート辺縁8,9に対する皺等の発生が防止できる。
ここで、シート辺縁9に大きな張力が生じた場合でも、張力は第2部材20を図5中上方へ引き上げるように働くため、この力は本止め係合部23と本止め受け部13との係合および仮止め係合部22と仮止め受け部12との係合により受けられ、特に張力の方向が各々の爪部23A,13A,22A,12Aの係合方向となるため、第1部材10と第2部材20とが外れる方向には働かない。
図6には、前述した第1実施形態の変形例が示されている。
前記第1実施形態では、仮止め受け部12および仮止め係合部22を円弧状に形成したが、湾曲した形状に限らず、角張った形状であってもよい。図6に示すように、仮止め係合部22は内側に凹部22Bが形成される角張ったC字形状等であってもよく、仮止め受け部12も同様である。
図7から図11には、本発明の第2実施形態が示されている。
図7において、本実施形態のシート止着具2は、一対のシート辺縁8,9をその辺縁に沿って連続的に止着するものであり、それぞれ一定の断面形状を有する連続材で形成された第1部材30と第2部材40とを有する。第1部材30および第2部材40は、それぞれ合成樹脂材料の押出成形等で製造される連続材とされ、各図において図面直交方向に延びているものである。
なお、本実施形態のシート止着具2において、第1部材30、第2部材40、シート辺縁8,9は、それぞれ図7右側が表面、図7左側が裏面とされる。
これらの爪部32A,33Aは、仮止め受け部32のC字状の内側に形成される凹部32Bを挟んで互いに向かい合わせで配置されている。
本止め係合部43の先端には、第2部材40の第1固定部31とは反対向き(図7左下向き)へと突出する爪部43Aが形成されている。
これらの爪部42A,43Aは、末端部40Aの反対側に互いに背中合わせで配置されている。
なお、シート辺縁8,9は、自動車などの座席表面の仕上げに用いられるシートの辺縁であり、座席のクッション7(図8参照)を覆ったうえで、所定の封止部位で互いに重ね合わせた状態で止着される。
また、自動車の座席においては、外観性を考慮して目立たないことが望ましく、一方で作業性を考慮すると奥まった部位は好ましくない。このため、例えば座席のバックレストでは、背面側の下部が採用される。他の部分においても同様な観点で部位を選択する。
第1部材30の第1固定部31には、クッション7の底面側から延びるシート辺縁8を固定する。
第2部材40の第2固定部41には、クッション7の背面側に沿って下方へ延びてきたシート辺縁9を固定する。
これらシート辺縁8,9と第1固定部31および第2固定部41との固定には、融着または溶着、接着、縫製またはステープラー等の機械的貫通固定、その他の固定手段が適宜選択できる。
仮止め状態においては、第1部材30は、クッション7に沿わせ、第1固定部31が図中下向き(第2部材40から離れた側)としておく。第2部材40は、仮止め係合部42をクッション7に近接した状態あるいは末端部40Aが図7中左下に向く状態で、第2固定部41がやや上向き(第1部材30から離れた側)となるようにしておく。
ここで、回動によるシート辺縁9への張力付与が効率的に行われるように、第2固定部41は仮止め係合部42から所定のレバー長さを隔てられており、かつ外力(本実施形態では押し下げ)を加えるための操作部を兼ねている。
回動に伴って末端部40Aが前進し、仮止め受け部32の内側の凹部32B内に進入しはじめる。これにより、仮止め係合部42の爪部42Aが仮止め受け部32の爪部32Aを乗り越えて凹部32B内に入り込む。また、末端部40Aの先端が本止め受け部33に当接される。
図10に示すように、更に押し下げて第2部材40を回動させることで、末端部40Aがさらに前進し、本止め係合部43が本止め受け部33に接触する。
さらに、シート辺縁9には第2部材40の回動により十分な張力が与えられ、シート辺縁8,9に対する皺等の発生が防止できる。
ここで、シート辺縁9に大きな張力が生じた場合でも、張力は第2部材40の末端部40Aから第1部材30の仮止め受け部32により受けられ、第1部材30と第2部材40との本止め状態を解除するように働くことがない。
また、張力がかからない状態でも、本止め係合部43と本止め受け部33との係合および仮止め係合部42と仮止め受け部32との係合の向きが末端部40Aと仮止め受け部32の内側との当接の向きと対向しており、爪部43A,33A,42A,32Aの係合解除を防止することができる。
図12には、前述した第1実施形態の変形例が示されている。
前記第2実施形態では、仮止め受け部32を角張ったC字状に形成したが、図12に示すように、仮止め受け部32は丸みの強い形状例えば円弧状であってもよい。
前記第2実施形態では、末端部40AをD字状の厚みのある形状としたが、これは両側に仮止め係合部42および本止め係合部43が形成できかつ先端で凹部32B内面に当接できればよく、図12に示すように、第2固定部41から平板状に連続しかつ表面側に仮止め係合部42が突出し、裏面側に本止め係合部43が突出する形状であってもよい。
前記第2実施形態では、第2部材40の中間部をクランク状とすることで仮止め補助突起44を形成していたが、第2部材40を直線的に形成する場合、表面側に突出する単純な突起により仮止め補助突起44を形成してもよい。
〔その他の変形〕
本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
前記各実施形態では、それぞれ車両の座席のバックレストのシート辺縁の止着の例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、座席の他の部分のシートにも適用できる。さらに、本発明は、自動車や鉄道などの車両用の座席の他、航空機や船舶の座席、運動用器具類のクッション、住居用のソファやベッドなどの家具類にも適用することができる。また、座席やクッション等の表面材に限らず、テント等の架設物のシート辺縁の止着、輸送用の梱包物カバーの辺縁の止着などにも適用することができる。
Claims (4)
- 一対のシート辺縁をその辺縁に沿って連続的に止着するシート止着具であって、
それぞれ一定の断面形状を有する連続材で形成された第1部材と第2部材とを有し、
前記第1部材は、一方のシート辺縁に固定される第1固定部と、前記第2部材を仮止めする仮止め受け部と、前記仮止め受け部と前記第1固定部との間に形成された本止め受け部とを有し、
前記第1固定部は、前記第1部材の一方の端縁に形成され、
前記仮止め受け部は、前記第1部材の他方の端縁に前記第1部材の裏面側へ回り込ように円弧状に形成され、
前記本止め受け部は、前記仮止め受け部と前記第1固定部との間に前記第1部材の表面側に突出して形成され、
前記第2部材は、他方のシート辺縁に固定される第2固定部と、前記仮止め受け部に回動自在に係合される仮止め係合部と、前記本止め受け部に係合されて前記第1部材と前記第2部材とを本止めする本止め係合部とを有し、
前記第2固定部は、前記第2部材の一方の端縁に形成され、
前記仮止め係合部は、前記第2部材の他方の端縁に前記第2部材の裏面側へ回り込むように円弧状に形成され、
前記本止め係合部は、前記仮止め係合部と前記第2固定部との間に前記第2部材の裏面側に突出して形成され、
前記第1部材の前記仮止め受け部および前記本止め受け部はそれぞれ爪部を有し、これらの爪部は互いに向かい合わせまたは背中合わせで一対に形成され、前記第2部材の前記仮止め係合部および前記本止め係合部はそれぞれ爪部を有し、これらの爪部は互いに背中合わせまたは向かい合わせで一対に形成され、前記本止め受け部の爪部は前記第1固定部に向かって形成され、前記本止め係合部の爪部は前記第2固定部とは反対向きに形成され、
前記本止め受け部と前記本止め係合部とが係合した本止め状態では、背中合わせに形成された一対の前記爪部が向かい合わせに形成された一対の前記爪部の間に導入され、前記仮止め係合部の前記爪部と前記仮止め受け部の前記爪部との係合と前記本止め係合部の前記爪部と前記本止め受け部の前記爪部との係合とが同時に行われ、前記仮止め係合部は前記仮止め受け部の外側に隙間を隔てて配置されることを特徴とするシート止着具。 - 請求項1に記載のシート止着具において、
前記第1部材は、前記本止め受け部の前記第1固定部側に前記本止め係合部を収容する凹部を有することを特徴とするシート止着具。 - 一対のシート辺縁をその辺縁に沿って連続的に止着するシート止着具であって、
それぞれ一定の断面形状を有する連続材で形成された第1部材と第2部材とを有し、
前記第1部材は、一方のシート辺縁に固定される第1固定部と、前記第2部材を仮止めする仮止め受け部と、前記仮止め受け部と前記第1固定部との間に形成された本止め受け部とを有し、
前記第2部材は、他方のシート辺縁に固定される第2固定部と、前記仮止め受け部に回動自在に係合される仮止め係合部と、前記本止め受け部に係合されて前記第1部材と前記第2部材とを本止めする本止め係合部とを有し、
前記第1部材の前記仮止め受け部および前記本止め受け部はそれぞれ爪部を有し、これらの爪部は互いに向かい合わせまたは背中合わせで一対に形成され、前記第2部材の前記仮止め係合部および前記本止め係合部はそれぞれ爪部を有し、これらの爪部は互いに背中合わせまたは向かい合わせで一対に形成され、
前記本止め受け部と前記本止め係合部とが係合した本止め状態では、背中合わせに形成された一対の前記爪部が向かい合わせに形成された一対の前記爪部の間に導入され、前記仮止め係合部の前記爪部と前記仮止め受け部の前記爪部との係合と前記本止め係合部の前記爪部と前記本止め受け部の前記爪部との係合とが同時に行われ、
前記第1部材は、一方の端縁に前記第1固定部が形成され、前記第1固定部に隣接して前記第1部材の表面側に突出する前記爪部を含む前記本止め受け部が形成され、前記第1部材の表面側へ回り込んだC字状の前記仮止め受け部が形成され、前記仮止め受け部の先端には前記本止め受け部の前記爪部と対向する前記爪部が形成されており、
前記第2部材は、一方の端縁に前記第2固定部が形成され、他方の端縁に前記第2部材の裏面側へ突出する前記本止め係合部および前記第2部材の表面側に突出する前記爪部を含む前記仮止め係合部が形成されており、
前記本止め係合部および前記仮止め係合部は、前記仮止め受け部のC字状の内側の凹部内に収容可能かつ収容された際には前記第2部材の他方の端縁が前記仮止め受け部の凹部の内面に当接され、
前記第2部材は、その途中に表面側に突出する仮止め補助突起が形成されていることを特徴とするシート止着具。 - 請求項3に記載のシート止着具において、
前記第2固定部は、装着時に前記仮止め係合部を中心として回動させる際に外力を加えるための操作部を兼ねていることを特徴とするシート止着具。
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