JP5512389B2 - ヒンジ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば事務機器の本体に事務機器の原稿圧着板を開閉可能に連結する等、第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジに関する。
従来、複写機、ファクシミリ、スキャナー等、オフィスで使用される事務機器の多くは、上面に原稿読み取り部(コンタクトガラス)が設けられた本体と、当該原稿読み取り部を覆う原稿圧着板と、を具備する。
原稿圧着板は、原稿読み取り部に載置された原稿を原稿読み取り部に密着させるとともに原稿読み取り部に対する原稿の位置を保持するものであり、一般的には原稿圧着板の端部がヒンジにより事務機器の本体の上面の端部に回動可能に連結される。
このような原稿圧着板は、原稿を原稿読み取り部に密着させるためにある程度の重量を要する。また、原稿圧着板に原稿自動送り装置(Auto Document Feeder;ADF)が設けられている場合、原稿圧着板の重量は更に増大する。
従って、従来の事務機器の本体と原稿圧着板とを連結するヒンジは、事務機器の本体に固定される取り付け部材と原稿圧着板に固定される支持部材との間にバネを介装し、当該バネの付勢力で原稿圧着板の重量を支えることにより、事務機器の本体に対する原稿圧着板の回動角度(開閉角度)を任意の角度で保持し、ひいては作業者が原稿圧着板を回動(開閉)させて原稿読み取り部へ原稿を載置する作業を容易にしている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
また、上記ヒンジの多くは事務機器の本体に対する原稿圧着板の回動角度が所定の回動角度以下では回動角度が変化してもバネの圧縮量が同じとなるようにヒンジにおけるバネとの当接部(カム)の形状を工夫することにより、原稿圧着板を本体の上面に落下させ、原稿圧着板を完全に閉じる(原稿圧着板を本体の上面に当接させる)ことを可能とする。
しかし、原稿圧着板の重量が大きい場合、事務機器の本体に対する原稿圧着板の回動角度が所定の回動角度以下となった時点で原稿圧着板が勢いよく落下し、事務機器の本体に衝突するおそれがある。
このような問題を解消するヒンジとしては、事務機器の本体に対する原稿圧着板の回動角度が所定の回動角度以下となった場合に流体ダンパーが作動することにより原稿圧着板の落下を緩やかにするものが知られている。例えば、特許文献2に記載の如くである。
特許文献2に記載のヒンジ(原稿圧着板開閉装置)は、複写機等の本体に取り付けられる取り付け部材と、取り付け部材に回動自在に連結されるとともに原稿圧着板に取り付けられる支持部材と、支持部材に摺動可能に支持されるスライダと、一端部が支持部材に当接するとともに他端部がスライダに当接してスライダを取り付け部材に当接する方向に付勢するコンプレッションスプリングと、一端部が支持部材に当接するとともに他端部がスライダに当接する流体ダンパーと、を具備する。
特許文献2に記載のヒンジにおける流体ダンパーは、内部に空間が形成されたシリンダと、シリンダの内部に移動可能に収容されるとともにシリンダの内部の空間を二つに区画するピストンと、ピストンに連結されるとともにシリンダの外部に突出するピストンロッドと、を具備し、シリンダの内部の空間にはオイルが充填される。
特許文献2に記載のヒンジが閉じる方向に回動するとき、シリンダロッドがスライダに押されてシリンダの内部に没入する。このとき、シリンダの内部の二つに区画された空間の間でオイルが移動するときの粘性抵抗によりスライダの移動速度、ひいては取り付け部材に対する支持部材の回動速度が小さくなる。
しかし、特許文献2に記載のヒンジは、複写機等の本体に対して原稿圧着板を閉じる方向に回動させたときに流体ダンパーによる緩衝効果(特許文献2に記載のヒンジの場合、取り付け部材に対する支持部材の回動速度を小さくする効果)を有効に利用することが出来ないという問題を有する。
より詳細には、特許文献2に記載のヒンジが適用される複写機等の多くは、複写機等の本体に対する原稿圧着板の回動角度が所定の角度以下のときには回動角度の変化量に対する原稿圧着板の自重に起因してヒンジに作用する回転力(トルク)の変化量が小さいので、支持部材に対するスライダの移動量(ひいては、コンプレッションスプリングの付勢力の変化量)が非常に小さくなる(ほとんどゼロになる)。
特許文献2に記載のヒンジの場合、スライダが流体ダンパーの他端部に当接し、スライダが移動することにより流体ダンパーを押すため、流体ダンパーの収縮量(流体ダンパーの一端部から他端部までの距離の変化量)とスライダの移動量とが同じとなる。
従って、複写機等の本体に対する原稿圧着板の回動角度が所定の角度以下のとき、流体ダンパーの収縮量はスライダの移動量と同様に非常に小さくなり、流体ダンパーによる緩衝効果を有効に利用することが出来ない。
特開2007−212910号公報 特開2006−133532号公報
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものである。
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、第一連結対象物に対して第二連結対象物を閉じる方向に回動させるときに流体ダンパーによる緩衝効果を有効に利用することが可能なヒンジを提供すること、である。
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、
一端部に開口するとともに他端部に底面を有する収容室が形成され、前記第一連結対象物または前記第二連結対象物のいずれか一方に固定される第一ウイング部材と、
前記第一ウイング部材の一端部に回動可能に連結され、主カムおよび副カムが形成され、前記第一連結対象物または前記第二連結対象物のいずれか他方に固定される第二ウイング部材と、
前記収容室に収容され、前記収容室の内壁面に当接しつつ前記第二ウイング部材に接近する方向および前記第二ウイング部材から離間する方向に移動可能であって、前記第二ウイング部材に対向する面において前記主カムに対向する部分には主カム受けが形成され、前記収容室の底面に対向する面と前記第二ウイング部材に対向する面において前記副カムに対向する部分とを連通するアーム孔が形成されるスライド部材と、
前記収容室に収容され、一端部が前記収容室の底面に当接するとともに他端部が前記スライド部材において前記収容室の底面に対向する面に当接し、前記スライド部材を前記第二ウイング部材に接近する方向に付勢し、前記主カム受けを前記主カムに当接させることにより前記第二ウイング部材を第一ウイング部材に対して開く方向に回動させる巻きバネ部材と、
前記収容室に収容されるとともに前記巻きバネ部材で囲まれる位置に配置され、一端部が前記収容室の底面に当接し、他端部が前記アーム孔に対応する位置に配置され、一端部から他端部までの距離が小さくなる方向に収縮させる外力が作用したときに反力を発生させる流体ダンパーと、
前記スライド部材に回動可能に連結され、前記副カムに当接可能、かつ前記アーム孔を通じて前記流体ダンパーの他端部に当接可能なアーム部材と、
を具備するものである。
請求項2においては、
前記第一連結対象物に対する前記第二連結対象物の回動角度が前記第一連結対象物に対して前記第二連結対象物が閉じているときを0°とし、かつ、前記第一連結対象物に対して前記第二連結対象物が開く方向に回動するときに増加するものとして定義され、
前記第一連結対象物に対する前記第二連結対象物の回動角度が所定の回動角度以下で前記第一連結対象物に対して前記第二連結対象物が閉じる方向に回動するとき、前記副カムが前記アーム部材に当接するとともに前記アーム部材が前記流体ダンパーの他端部に当接し、前記アーム部材が前記スライド部材に対して回動し、前記アーム部材が前記流体ダンパーの他端部を前記流体ダンパーの一端部に向かって押すことにより、前記流体ダンパーが収縮し、
前記第一連結対象物に対する前記第二連結対象物の回動角度が所定の回動角度以下で前記第一連結対象物に対して前記第二連結対象物が閉じる方向に回動するとき、前記流体ダンパーの収縮量は前記第一ウイング部材に対する前記スライド部材の移動量よりも大きいものである。
請求項3においては、
前記主カムは、
第一主カムと、
前記第一主カムから前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回動軸の軸線方向に離間した位置に配置される第二主カムと、
を具備し、
前記主カム受けは、
第一主カム受けと、
前記第一主カム受けから前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回動軸の軸線方向に離間した位置に配置される第二主カム受けと、
を具備し、
前記巻きバネ部材が前記スライド部材を前記第二ウイング部材に接近する方向に付勢することにより、前記第一主カムが前記第一主カム受けに当接するとともに前記第二主カムが前記第二主カム受けに当接し、
前記副カムは、
前記第一主カムおよび前記第二主カムで挟まれる位置に配置され、
前記アーム孔は、
前記第一主カム受けおよび前記第二主カム受けで挟まれる位置に配置されるものである。
本発明は、第一連結対象物に対して第二連結対象物を閉じる方向に回動させるときに流体ダンパーによる緩衝効果を有効に利用することが可能である、という効果を奏する。
本発明に係るヒンジの実施の一形態を具備する複合機を示す右側面図。 本発明に係るヒンジの実施の一形態を示す斜視図(θ=0°)。 同じく本発明に係るヒンジの実施の一形態を示す斜視図(θ=0°)。 本発明に係るヒンジの実施の一形態を示す右側面断面図(θ=0°)。 本発明に係るヒンジの実施の一形態におけるケースを示す斜視図。 同じく本発明に係るヒンジの実施の一形態におけるケースを示す斜視図。 本発明に係るヒンジの実施の一形態におけるカムブロックを示す斜視図。 (a)本発明に係るヒンジの実施の一形態における回動ピンを示す斜視図、(b)本発明に係るヒンジの実施の一形態におけるアームピンを示す斜視図。 本発明に係るヒンジの実施の一形態におけるスライダを示す斜視図。 本発明に係るヒンジの実施の一形態における付勢力調整部材を示す右側面分解断面図。 本発明に係るヒンジの実施の一形態における第一ディスクを示す斜視図。 本発明に係るヒンジの実施の一形態における第二ディスクを示す斜視図。 本発明に係るヒンジの実施の一形態における第三ディスクを示す斜視図。 (a)本発明に係るヒンジの実施の一形態における付勢力調整部材の姿勢が「弱姿勢」であるときの第一ディスクに対する第二ディスクの位置を示す側面展開模式図、(b)本発明に係るヒンジの実施の一形態における付勢力調整部材の姿勢が「強姿勢」であるときの第一ディスクに対する第二ディスクの位置を示す側面展開模式図。 本発明に係るヒンジの実施の一形態における流体ダンパーを示す斜視図。 同じく本発明に係るヒンジの実施の一形態における流体ダンパーを示す斜視図。 本発明に係るヒンジの実施の一形態における流体ダンパーを示す右側面断面図。 本発明に係るヒンジの実施の一形態におけるアームを示す斜視図。 本発明に係るヒンジの実施の一形態を示す右側面断面図(θ=60°) 本発明に係るヒンジの実施の一形態を示す右側面断面図(θ=30°) 本発明に係るヒンジの実施の一形態を示す右側面断面図(θ=10°) 本発明に係るヒンジの実施の一形態におけるケースの内部空間の底面から流体ダンパーの上端部までの高さL1と回動角度θとの関係、およびケースの内部空間の底面からスライダのバネ受け穴の頂面までの高さL2と回動角度θとの関係を示す図。 本発明に係るヒンジの実施の一形態におけるL1を回動角度θで微分した値の絶対値L1’と回動角度θとの関係、およびL2を回動角度θで微分した値の絶対値L2’と回動角度θとの関係を示す図。
以下では、図1を用いて複合機1について説明する。
図1に示す複合機1は事務機器の実施の一形態である。複合機1は本体2、原稿圧着板3およびヒンジ100を具備する。
本体2は本発明に係る第一連結対象物の実施の一形態である。
本体2は原稿読み取り装置、制御装置、印刷装置、表示装置および入力装置を具備する。
原稿読み取り装置は本体2の上面に配置される。原稿読み取り装置は本体2の上面に載置された原稿を読み取る(原稿の画像情報を生成する)。
制御装置は複合機1の各部の動作、より詳細には原稿読み取り装置、印刷装置およびADFの動作を制御する。
また、制御装置は原稿読み取り装置が生成した画像情報および本体2に接続された回線(インターネット回線等)を通じて取得した画像情報を記憶することが可能である。
印刷装置は原稿読み取り装置の下方に配置される。印刷装置は、制御装置が記憶した画像情報に基づいて紙に画像を印刷する。
表示装置は例えば液晶パネルからなり、複合機1の動作状況等に係る情報を表示する。
入力装置は例えばボタン、スイッチ等からなり、作業者が複合機1に対する指示等を入力する際に操作するものである。表示装置および入力装置は本体2の上面前端部に配置される。
原稿圧着板3は本発明に係る第二連結対象物の実施の一形態である。
原稿圧着板3は原稿読み取り装置の上に載置された原稿を当該原稿読み取り装置に向かって押さえつける(圧着する)ことにより、当該原稿読み取り装置が原稿を読み取る際に原稿が動く(原稿読み取り装置との相対的な位置が変化する)ことを防止する。
原稿圧着板3は読取前原稿収容トレイ、ADF(Auto Document Feeder)および読取後原稿収容トレイを具備する。
ADFは読取前原稿収容トレイに積層状態で収容された複数枚の原稿を一枚ずつ順に取り出して原稿読み取り装置の上の所定の読取位置に載置し、当該原稿読み取り装置による原稿の読み取りが終了した後、当該原稿読み取り装置に載置された原稿を読取後原稿収容トレイに搬送する。
「事務機器」は、少なくとも原稿を読み取る(原稿の画像情報を取得する)機能を備える装置を指す。
事務機器の具体例としては、(a)原稿を読み取る機能および読み取った原稿に係る画像情報を他の機器(例えば、パーソナルコンピュータ)に送信する機能を具備するスキャナー、(b)原稿を読み取る機能、読み取った原稿に係る画像情報を通信回線を介して他の機器に送信する機能および他の機器から取得した画像情報をプリントアウトする機能を具備するファクス、(c)原稿を読み取る機能および読み取った原稿に係る画像情報をプリントアウトする機能を具備するコピー機、(d)上記スキャナー、ファクス、およびコピー機としての機能を兼ねる複合機、等が挙げられる。
本実施形態における「原稿圧着板3が(本体2に対して)閉じている状態」は、原稿圧着板3の下面が本体2の上面に当接した状態を指す。
また、「原稿圧着板3が(本体2に対して)開いている状態」は、原稿圧着板3が本体2に対して回動することにより、原稿圧着板3の下面および本体2の上面(本実施形態の場合は、原稿圧着板3の下面前端部および本体2の上面前端部)が離間した状態を指す。
以下では、図1から図23を用いて本発明に係るヒンジの実施の一形態であるヒンジ100について説明する。
以下の説明では、原稿圧着板3が閉じているときの原稿圧着板3の回動角度θ(より厳密には、本体2に対する原稿圧着板3の回動角度θ)を「0°」とし、原稿圧着板3が開く方向(原稿圧着板3の下面が本体2の上面から離間する方向)に回動するときに回動角度θが増加する(回動角度θの値が正になる)ものとして、原稿圧着板3の回動角度θを定義する(図1から図4参照)。
以下では便宜上、ヒンジ100が複合機1に取り付けられ、かつ、原稿圧着板3が本体2に対して閉じているとき(本体2に対する原稿圧着板3の回動角度θ=0°のとき)の複合機1の上下方向、前後方向および左右方向を基準とし、原稿圧着板3が本体2に対して閉じているときの複合機1の上下方向、前後方向および左右方向がそれぞれヒンジ100の上下方向、前後方向および左右方向に対応するものとして、ヒンジ100を構成する各部材を説明する。
図1に示す如く、ヒンジ100は複合機1の本体2に原稿圧着板3を回動可能に連結する。
図2から図4に示す如く、ヒンジ100はケース110、カムブロック120、回動ピン130、スライダ140、付勢力調整部材150、巻きバネ160、流体ダンパー170、アーム180およびアームピン190を具備する。
図5および図6に示すケース110は本発明に係る第一ウイング部材の実施の一形態である。
本実施形態のケース110は一枚の金属板を適宜折り曲げることにより成形される。
ケース110は前板111、左側板112、右側板113、底板114・115・116、および後板117・118・119を具備する。
図6に示す如く、前板111はケース110の前部を成す板状の部材である。前板111は前後一対の板面を有する。前板111の正面視形状は概ね上下方向に長い長方形である。
前板111の上端部には鍔部111aが形成される。鍔部111aは上下一対の板面を有する板状の部分であり、鍔部111aの平面視形状は左右方向に細長い長方形である。
鍔部111aの後端部は前板111の上端部に連なっており、鍔部111aの前端部は前板111の前面(前側の板面)よりも前方に突出している。
本実施形態では、一枚の金属板を直角に折り曲げることにより前板111および鍔部111aが形成される。
図5および図6に示す如く、左側板112はケース110の左側部を成す板状の部材である。左側板112は左右一対の板面を有する。左側板112の側面視形状は概ね上下方向に長い長方形である。
左側板112の前端部は前板111の左端部に連なっている(一枚の金属板を直角に折り曲げることにより、前板111および左側板112が形成される)。
左側板112の後上端部には軸支孔112aが形成される。軸支孔112aは左側板112の左右一対の板面を貫通する。
図6に示す如く、左側板112において軸支孔112aの下方となる部分には鍔部112bが形成される。
鍔部112bは上下一対の板面を有する板状の部分であり、鍔部112bの平面視形状は前後方向に細長い長方形である。
鍔部112bの右端部は左側板112において軸支孔112aの下方となる部分に連なっており、鍔部112bの左端部は左側板112の左側面(左側の板面)よりも左側方に突出している。
本実施形態では、一枚の金属板に上下方向に延びた一対の切り込みおよび当該一対の切り込みの下端部を繋ぐ左右方向に延びた切り込みを形成し、これら三つの切り込みに囲まされた部分を他の部分に対して直角に折り曲げることにより、左側板112および鍔部112bが形成される。
図5に示す如く、右側板113はケース110の右側部を成す板状の部材である。右側板113は左右一対の板面を有する。右側板113の側面視形状は概ね上下方向に長い長方形である。
右側板113の前端部は前板111の右端部に連なっている(一枚の金属板を直角に折り曲げることにより、前板111および右側板113が形成される)。
右側板113の後上端部には軸支孔113aが形成される。軸支孔113aは右側板113の左右一対の板面を貫通する。
右側板113において軸支孔113aの下方となる部分には鍔部113bが形成される。
鍔部113bは上下一対の板面を有する板状の部分であり、鍔部113bの平面視形状は前後方向に細長い長方形である。
鍔部113bの左端部は右側板113において軸支孔113aの下方となる部分に連なっており、鍔部113bの右端部は右側板113の右側面(右側の板面)よりも右側方に突出している。
本実施形態では、一枚の金属板に上下方向に延びた一対の切り込みおよび当該一対の切り込みの下端部を繋ぐ左右方向に延びた切り込みを形成し、これら三つの切り込みに囲まされた部分を他の部分に対して直角に折り曲げることにより、右側板113および鍔部113bが形成される。
本実施形態では、鍔部111aの下面(下側の板面)、鍔部112bの下面(下側の板面)、および鍔部113bの下面(下側の板面)の上下方向における位置(高さ)は同じである。
図6に示す如く、底板114・115・116はケース110の下部を成す板状の部材である。
底板114・115・116は上下一対の板面を有する。底板114の平面視形状は概ね正方形である。底板115・116の平面視形状は概ね前後方向に長い長方形である。
底板114の前端部は前板111の前端部に連なっている(一枚の金属板を直角に折り曲げることにより、前板111および底板114が形成される)。
底板114の左右中央部かつ前後中央部となる部分には貫通孔114aが形成される。
貫通孔114aは底板114の上下一対の板面を貫通する。
底板115の左端部は左側板112の下端部に連なっている(一枚の金属板を直角に折り曲げることにより、左側板112および底板115が形成される)。
底板115の上面(上側の板面)は「底板114の下面(下側の板面)を左右方向に三等分したときに最も左側となる部分」に当接する。
底板116の右端部は右側板113の下端部に連なっている(一枚の金属板を直角に折り曲げることにより、右側板113および底板116が形成される)。
底板116の上面(上側の板面)は「底板114の下面(下側の板面)を左右方向に三等分したときに最も右側となる部分」に当接する。
このように、底板114の前端部は前板111の前端部に連なっており、かつ、底板114の左右の端部は底板115・116、ひいては左側板112および右側板113に支持されるので、後述する巻きバネ160の付勢力が底板114に作用してもケース110が変形することはない。
図5に示す如く、後板117・118・119はケース110の後部を成す板状の部材である。
後板117・118・119は前後一対の板面を有する。後板117・118の正面視形状は概ね上下方向に長い長方形である。後板119の平面視形状は概ね左右方向に長い長方形であり、後板119の上側の辺の左右中央部には切り欠きが形成される。
後板117の左端部は左側板112の後端部に連なっている(一枚の金属板を直角に折り曲げることにより、左側板112および後板117が形成される)。
後板118の右端部は右側板113の後端部に連なっている(一枚の金属板を直角に折り曲げることにより、右側板113および後板118が形成される)。
後板119の下端部は底板114の後端部に連なっている(一枚の金属板を直角に折り曲げることにより、底板114および後板119が形成される)。
後板117の前面(前側の板面)、後板118の前面(前側の板面)、および後板119の前面(前側の板面)の前後方向における位置は同じである。
後板117の右端面と後板118の左端面とは左右方向に離間している。また、後板117・118の下端面と後板119の上端面とは上下方向に離間している。
図4および図5に示す如く、ケース110の内部には、前板111の後面(後側の板面)、左側板112の右面(右側の板面)、右側板113の左面(左側の板面)、底板114の上面(上側の板面)、および後板117・118・119の前面(前側の板面)で囲まれる空間が形成される。
ケース110の内部に形成される空間はケース110の一端部(上端部)に開口し、底板114の上面(上側の板面)は当該空間の底面を成す。ケース110の内部に形成される空間(以下、「ケース110の内部空間」という。)は本発明に係る収容室の実施の一形態である。
本実施形態では複合機1の本体2の上面後端部に形成された平面視正方形の固定穴(不図示)にケース110を差し込むことにより、ケース110が本体2に固定される(図1参照)。
ケース110が上記固定穴に差し込まれたとき、ケース110の外壁面(前板111の前面、左側板112の左面、右側板113の右面および後板117・118・119の後面)が固定穴の内周面に当接することにより、本体2に対するケース110(ひいてはヒンジ100)の前後方向および左右方向の位置が定められる。
また、ケース110が上記固定穴に差し込まれたとき、鍔部111a、鍔部112bおよび鍔部113bの下面が本体2の上面に当接することにより、本体2に対するケース110(ひいてはヒンジ100)の上下方向の位置が定められる。
図7に示すカムブロック120は本発明に係る第二ウイング部材の実施の一形態である。
本実施形態のカムブロック120は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
カムブロック120はカム部121および取り付け部122・123を具備する。
カム部121はカムブロック120の胴体部を成す部分である。カム部121は左右一対の側面およびカム面を有する。
カム部121の上下中央部かつ後端部となる部分には貫通孔121aが形成される。貫通孔121aはカム部121の左右一対の側面を貫通する。
カム部121のカム面は滑らかな曲面であり、実質的にはカム部121の前下面、下面および後下面を合わせたものである。
本実施形態の場合、カム部121のカム面は第一主カム面121L、第二主カム面121Rおよび副カム面121Mの三つに区分される。
第一主カム面121Lは、カム部121のカム面を左右方向に三等分することにより三つの部分に区分したもののうち、最も左側となる部分である。カム部121のうち第一主カム面121Lに対応する部分は本発明に係る第一主カムの実施の一形態である。
第二主カム面121Rは、カム部121のカム面を左右方向に三等分することにより三つの部分に区分したもののうち、最も右側となる部分である。カム部121のうち第二主カム面121Rに対応する部分は本発明に係る第二主カムの実施の一形態である。
副カム面121Mは、カム部121のカム面を左右方向に三等分することにより三つの部分に区分したもののうち、真ん中となる部分である。カム部121のうち副カム面121Mに対応する部分は本発明に係る副カムの実施の一形態である。
カム部121のうち副カム面121Mに対応する部分は、カム部121のうち第一主カム面121Lに対応する部分およびカム部121のうち第二主カム面121Rに対応する部分で挟まれる位置に配置される。
カム部121のうち第一主カム面121Lに対応する部分および第二主カム面121Rに対応する部分を合わせたものは本発明に係る主カムの実施の一形態である。
取り付け部122はカムブロック120の左側部を成す部分である。
取り付け部122は上下一対の板面を有する平面視長方形の板状の部分であり、取り付け部122の右端部はカム部121の左側面の上半部に連なっている。
取り付け部122には取り付け孔122a・122bが形成される。取り付け孔122aは取り付け部122の左後部に配置される。取り付け孔122bは取り付け部122の右前部に配置される。取り付け孔122a・122bは取り付け部122の上下一対の板面を貫通する。
取り付け部123はカムブロック120の右側部を成す部分である。
取り付け部123は上下一対の板面を有する平面視長方形の板状の部分であり、取り付け部123の左端部はカム部121の右側面の上半部に連なっている。
取り付け部123には取り付け孔123a・123bが形成される。取り付け孔123aは取り付け部123の右後部に配置される。取り付け孔123bは取り付け部123の左前部に配置される。取り付け孔123a・123bは取り付け部123の上下一対の板面を貫通する。
本実施形態では取り付け孔122a・122b・123a・123bにネジ(不図示)を貫装し、これらのネジを複合機1の原稿圧着板3の下面後端部に形成されたネジ孔(不図示)に螺装することにより、取り付け部122・123、ひいてはカムブロック120が原稿圧着板3に固定される(図1参照)。
図8の(a)に示す回動ピン130は本発明に係る「第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動軸」の実施の一形態である。
回動ピン130は胴体部131および頭部132を有する。本実施形態の回動ピン130は金属材料からなる。より詳細には、回動ピン130はステンレス鋼の線材に機械加工を施すことにより製造される。
胴体部131は回動ピン130の胴体を成す略円柱形状の部分である。胴体部131の一端部(先端部)にはカシメ穴131aが形成される。
カシメ穴131aは胴体部131の一端部(先端部)の端面に形成された穴である。カシメ穴131aが形成されることにより、胴体部131の一端部(先端部)には薄肉部(略円筒形状の部分)が形成される。
頭部132は胴体部131の他端部(基端部)に連なる略円盤形状の部分である。頭部132の外径(直径)は胴体部131の外径(直径)よりも大きい。
図2、図3、図4、図5、図7および図8の(a)に示す如く、回動ピン130の胴体部131はケース110の左側板112に形成された軸支孔112aに貫装され、カムブロック120のカム部121に形成された貫通孔121aに貫装され、ケース110の右側板113に形成された軸支孔113aに貫装される。
貫通孔121aの内径(直径)は胴体部131の外径(直径)よりもわずかに小さく、かつ軸支孔112aおよび軸支孔113aの内径(直径)は胴体部131の外径(直径)よりもわずかに大きい。
従って、回動ピン130の胴体部131が貫通孔121aに貫装されたとき、回動ピン130はカムブロック120に圧入されることとなり、カムブロック120に脱落不能(軸線方向に移動不能)かつ相対回転不能に固定される。
また、回動ピン130の胴体部131が軸支孔112a・113aに貫装されたとき、回動ピン130はケース110に回転可能に軸支される。
結果として、カムブロック120は回動ピン130によりケース110の一端部(上端部)に回動可能に連結され、ひいては、ヒンジ100により原稿圧着板3(の下面後端部)が本体2(の上面後端部)に回動可能に連結される。
回動ピン130の頭部132の外径(直径)は軸支孔112aの内径(直径)よりも大きい。
また、回動ピン130の胴体部131の一端部(先端部)に形成された薄肉部を回動ピン130の半径方向(回動ピン130の軸線方向に垂直な方向)に押し広げるようにカシメる(塑性変形させる)ことにより、回動ピン130の一端部、すなわちカシメられた部分の外径(直径)を軸支孔113aの内径(直径)よりも大きくすることが可能である。
従って、回動ピン130の胴体部131を軸支孔112a、貫通孔121aおよび軸支孔113aに貫装した状態で胴体部131の薄肉部をカシメることにより、回動ピン130をケース110に対して脱落不能に支持することが可能である。
図9に示すスライダ140は本発明に係るスライド部材の実施の一形態である。
本実施形態のスライダ140は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
スライダ140は胴体部141、第一主カム受け部142L、第二主カム受け部142Rおよび軸支部143L・143Rを具備する。
胴体部141はスライダ140の主たる構造体を成す部分である。胴体部141は概ね直方体形状の部分であり、上面141a、下面141b、前面141c、後面141d、左面141eおよび右面141fを有する。
図9の(b)に示す如く、スライダ140の胴体部141にはバネ受け穴145が形成される。
バネ受け穴145は下面141bに開口し、上下方向に延びた平面視略正方形の穴である。バネ受け穴145は内周面145aおよび頂面145bを有する。
内周面145aは胴体部141の前面141c、後面141d、左面141eおよび右面141fの裏側となる面である。頂面145bは胴体部141の上面141aの裏側となる面である。
図9の(a)に示す如く、第一主カム受け部142Lは胴体部141の上面141aの左前部に形成され、胴体部141の上方に向かって突出する突起である。第一主カム受け部142Lは滑らかな曲面を有し、当該曲面は実質的に第一主カム受け部142Lの前面、上面および後面を合わせたものを成す。
第二主カム受け部142Rは胴体部141の上面141aの右前部に形成され、胴体部141の上方に向かって突出する突起である。第二主カム受け部142Rは滑らかな曲面を有し、当該曲面は実質的に第二主カム受け部142Rの前面、上面および後面を合わせたものを成す。
第一主カム受け部142Lおよび第二主カム受け部142Rを合わせたものは本発明に係る主カム受けの実施の一形態である。第一主カム受け部142Lは本発明に係る第一主カム受けの実施の一形態である。第二主カム受け部142Rは本発明に係る第二主カム受けの実施の一形態である。
軸支部143Lは胴体部141の上面141aの左後部に形成され、胴体部141の上方に向かって突出する突起である。
軸支部143Lには軸支孔144Lが形成される。軸支孔144Lは軸支部143Lを左右方向に貫通する。
軸支部143Rは胴体部141の上面141aの右後部に形成され、胴体部141の上方に向かって突出する突起である。
軸支部143Rには軸支孔144Rが形成される。軸支孔144Rは軸支部143Rを左右方向に貫通する。
軸支孔144Lおよび軸支孔144Rは側面視で重なる(一致する)。
スライダ140の胴体部141にはアーム孔146が形成される。
アーム孔146は本発明に係るアーム孔の実施の一形態である。
アーム孔146は平面視で前後方向に長い長方形の孔である。アーム孔146は胴体部141の上面141aからバネ受け穴145の頂面145bまで上下方向に貫通する。言い換えれば、アーム孔146は胴体部141の上面141aとバネ受け穴145の頂面145bとを連通する。
アーム孔146は平面視で胴体部141の上面の左右中央部に配置される。
より詳細には、アーム孔146の前端部は第一主カム受け部142Lおよび第二主カム受け部142Rで挟まれる位置に配置され、アーム孔146の後端部は軸支部143Lおよび軸支部143Rで挟まれる位置に配置される。
図4に示す如く、スライダ140はケース110の内部空間に収容される。
スライダ140がケース110の内部空間に収容されたとき、スライダ140の胴体部141の前面141cは前板111の後面に当接し、後面141dの左端部は後板117の前面に当接し、後面141dの右端部は後板118の前面に当接し、左面141eは左側板112の右面に当接し、右面141fは右側板113の左面に当接する(図5および図9参照)。
従って、スライダ140は、ケース110に対して上下方向に移動(摺動)可能であるが、ケース110に対して前後方向および左右方向に移動不能、かつケース110に対して相対回転不能である。
このように、ケース110の内部空間に収容されたスライダ140は、ケース110の内部空間の内壁面(本実施形態の場合、前板111の後面、左側板112の右面、右側板113の左面、および後板117・118の前面を合わせたもの)に当接しつつ、上下方向、ひいてはケース110に回動可能に連結されたカムブロック120に接近する方向およびカムブロック120から離間する方向に移動することが可能である。
スライダ140がケース110の内部空間に収容されたとき、スライダ140の上面141aはカムブロック120に対向する。
より詳細には、スライダ140がケース110の内部空間に収容されたとき、上面141aの左前部に形成された第一主カム受け部142Lはカムブロック120のカム部121の第一主カム面121Lに対向する(第一主カム受け部142Lは第一主カム面121Lの下方に配置される)。
また、スライダ140がケース110の内部空間に収容されたとき、上面141aの右前部に形成された第二主カム受け部142Rはカムブロック120のカム部121の第二主カム面121Rに対向する(第二主カム受け部142Rは第二主カム面121Rの下方に配置される)。
図2、図4および図10に示す付勢力調整部材150は巻きバネ160の付勢力(圧縮される方向に弾性変形した巻きバネ160が元の形状に戻ろうとする力)の大きさを調整するものである。
付勢力調整部材150は第一調整部材151、第二調整部材154、およびディスク部材157を具備する。
図11に示す如く、第一調整部材151は基部152およびディスク部153を具備する。第一調整部材151は基部152およびディスク部153が上下方向に積層した形状を有する。本実施形態の第一調整部材151は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
基部152は第一調整部材151の下半部を成す部分である。基部152の形状は八つの側壁面および上下一対の端面を有する概ね上下方向に薄い八角柱である。
ディスク部153は第一調整部材151の上半部を成す部分であり、ディスク部153の形状は外周面および上側の端面を有する概ね円盤(上下方向に薄い円柱)である。
第一調整部材151には係止穴152aが形成される。係止穴152aは基部152の下面(下側の端面)に開口する穴である。係止穴152aは内周面および頂面を有する。
係止穴152aの深さ(基部152の下面から係止穴152aの頂面までの上下方向における距離(高さ))は基部152の下面から上面(上側の端面)までの上下方向における距離(高さ)よりも小さい。
第一調整部材151には貫通孔151aが形成される。貫通孔151aは第一調整部材151を上下方向に貫通する。より詳細には、貫通孔151aはディスク部153の上側の端面から基部152の下側の端面(より厳密には、係止穴152aの頂面)まで貫通する。
第一調整部材151のディスク部153の上側の端面には、貫通孔151aの軸線(貫通孔151aの中心を通り、上下方向に対して平行な直線)を中心として互いに120°ずつ位相がずれた三つの窪み(凹部)が形成される。
ディスク部153の上側の端面のうち凹部に挟まれた三つの部分が凸面153a・153a・153aを成し、上記三つの窪みの底面が凹面153b・153b・153bを成す。凸面153a・153a・153aおよび凹面153b・153b・153bは貫通孔151aの軸線、ひいては上下方向に対して垂直な平面である。
また、三つの窪みの壁面は斜面153c・153c・153c・153d・153d・153dを成す。斜面153c・153c・153c・153d・153d・153dは隣り合う凸面153aと凹面153bとを繋ぐ面であり、貫通孔151aの軸線に対して傾斜している(貫通孔151aの軸線に対して垂直ではない)。
図12に示す如く、第二調整部材154はディスク部155および突起部156を具備する。本実施形態の第二調整部材154は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
ディスク部155は第二調整部材154の胴体を成す部分である。ディスク部155の形状は上下一対の端面および外周面を有する概ね円盤(上下方向に薄い円柱)である。
ディスク部155には収容穴155aが形成される。収容穴155aはディスク部155の上側の端面に開口する穴である。収容穴155aは内周面および底面を有する。
ディスク部155には貫通孔155bが形成される。貫通孔155bはディスク部155の上側の端面(より厳密には、収容穴155aの底面)からディスク部155の下側の端面まで上下方向に貫通する。
ディスク部155の下側の端面には貫通孔155bの軸線(貫通孔155bの中心を通り、上下方向に対して平行な直線)を中心として互いに120°ずつ位相がずれた三つの窪み(凹部)が形成される。
ディスク部155の下側の端面のうち凹部に挟まれた三つの部分が凸面155d・155d・155dを成し、上記三つの窪みの頂面が凹面155c・155c・155cを成す。凸面155d・155d・155dおよび凹面155c・155c・155cは貫通孔155bの軸線、ひいては上下方向に対して垂直な平面である。
また、三つの窪みの壁面は斜面155e・155e・155e・155f・155f・155fを成す。斜面155e・155e・155e・155f・155f・155fは隣り合う凸面155dと凹面155cとを繋ぐ面であり、貫通孔155bの軸線に対して傾斜している(貫通孔155bの軸線に対して垂直ではない)。
突起部156はディスク部155の外周面からディスク部155の半径方向(貫通孔155bの軸線方向に垂直な方向)に突出する突起である。
図13に示す如く、ディスク部材157は外周面および上下一対の端面を有する概ね円盤形状の部材である。本実施形態のディスク部材157は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
ディスク部材157には貫通孔157aが形成される。貫通孔157aはディスク部材157の上下一対の端面を貫通する。
図4に示す如く、付勢力調整部材150はケース110の内部空間に収容される。
付勢力調整部材150がケース110の内部空間に収容されたとき、第一調整部材151の基部152の下側の端面は底板114の上面に当接し、基部152の八つの側壁面のうちの四つの側壁面はそれぞれ前板111の後面、左側板112の右面、右側板113の左面、および後板119の前面に当接する。
従って、第一調整部材151はケース110に対して前後方向および左右方向に相対移動することはできない。
付勢力調整部材150がケース110の内部空間に収容されたとき、第二調整部材154は第一調整部材151の上方に配置される。
また、第二調整部材154の突起部156は、後板117・118の下端面と後板119の上端面との隙間(ケース110の後面の開口部)を通じてケース110の外部(後方)に突出する。
付勢力調整部材150がケース110の内部空間に収容されたとき、ディスク部材157は第二調整部材154の収容孔155aに収容される。
ディスク部材157が第二調整部材154の収容孔155aに収容されたとき、ディスク部材157の下側の端面は収容孔155aの底面に当接するとともにディスク部材157の外周面は収容孔155aの内周面に軽く当接する。また、ディスク部材157の上側の端面と第二調整部材154のディスク部155の上側の端面とが面一となる(上下方向において同じ高さとなる)。
従って、ディスク部材157は、収容孔155aに収容されつつ、第二調整部材154に対して上下方向に対して平行な軸周りに回転することが可能である。
図14の(a)および(b)に示す如く、付勢力調整部材150は「弱姿勢」および「強姿勢」の二つの姿勢のいずれかを保持することが可能である。
図14の(a)に示す如く、付勢力調整部材150の姿勢が「弱姿勢」で保持されているとき、第一調整部材151の凸面153a・153a・153aは第二調整部材154の凹面155c・155c・155cに当接し、第一調整部材151の凹面153b・153b・153bは第二調整部材154の凸面155d・155d・155dに当接する。
図14の(b)に示す如く、付勢力調整部材150の姿勢が「強姿勢」で保持されているとき、第一調整部材151の凸面153a・153a・153aは第二調整部材154の凸面155d・155d・155dに当接し、第一調整部材151の凹面153b・153b・153bは第二調整部材154の凹面155c・155c・155cから離間した状態で対向する。
図14に示す如く、付勢力調整部材150の姿勢が「弱姿勢」で保持されているときの付勢力調整部材150の高さ(第一調整部材151の基部152の下側の端面から第二調整部材154のディスク部155の上側の端面(ディスク部材157の上側の端面)までの距離)H1は、付勢力調整部材150の姿勢が「強姿勢」で保持されているときの付勢力調整部材150の高さH2よりも小さい(H1<H2)。
従って、作業者は、第二調整部材154の突起部156を指で操作する(押す)ことにより、第二調整部材154を第一調整部材151に対して上下方向に対して平行な軸周りに回動させ、付勢力調整部材150の姿勢を「弱姿勢」と「強姿勢」との間で切り替える(ひいては、巻きバネ160の全長を調整することにより巻きバネ160の付勢力を調整する)ことが可能である(図4参照)。
図2および図4に示す巻きバネ160は本発明に係る巻きバネ部材の実施の一形態である。
本実施形態の巻きバネ160は金属材料からなる線材に機械加工を施して線材を螺旋状に成形することにより製造される。巻きバネ160は圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
図4に示す如く、巻きバネ160はケース110の内部空間に収容される。
巻きバネ160がケース110の内部空間に収容されたとき、巻きバネ160の一端部(下端部)は付勢力調整部材150を介して底板114の上面に当接する。より詳細には、巻きバネ160の一端部は付勢力調整部材150のディスク部材157の上側の端面に当接する。
また、巻きバネ160の他端部(上端部)はスライダ140のバネ受け穴145に挿入され、バネ受け穴145の頂面145bに当接する。
巻きバネ160はスライダ140をケース110の開口部分(上端部)から外部に突出する方向、すなわちケース110に回動可能に連結されたカムブロック120に接近する方向(本実施形態では上方)に付勢し、スライダ140の第一主カム受け部142L(の曲面)をカムブロック120のカム部121の第一主カム面121Lに当接させるとともに、第二主カム受け部142R(の曲面)をカムブロック120のカム部121の第二主カム面121Rに当接させる。
そのため、巻きバネ160の付勢力(圧縮される方向に弾性変形した巻きバネ160が元の形状に戻ろうとする力)はスライダ140を経てカムブロック120に伝達される。
結果として、巻きバネ160は、巻きバネ160の付勢力によりカムブロック120をケース110に対して右側面視で反時計回りに(開く方向に)回動させ、原稿圧着板3を本体2に対して開く方向に回動させる(図1および図4参照)。
図15から図17に示す流体ダンパー170は本発明に係る流体ダンパーの実施の一形態である。
図15から図17に示す如く、流体ダンパー170はシリンダ171、ピストン174、ネジ175、スリーブ176および戻しバネ177を具備する。
図17に示す如く、シリンダ171はシリンダ本体172およびシリンダキャップ173を具備する。
シリンダ本体172は概ね一端部(下端部)が閉塞された円筒形状の部材であり、上下一対の端面(上端面および下端面)、外周面、内周面、および底面を有する。
本実施形態のシリンダ本体172はアルミニウム合金を射出成形することにより製造される。
シリンダ本体172の外周面の上端部には雄ネジが形成される。
シリンダ本体172の外周面の下端部にはフランジ172aが形成される。
フランジ172aは概ね円盤形状の部分であり、シリンダ本体172の外周面の下端部からシリンダ本体172の半径方向(シリンダ本体172の軸線方向(本実施形態では上下方向)に垂直な方向)に突出している。
シリンダ本体172にはネジ孔172bが形成される。ネジ孔172bはシリンダ本体172の下端面と底面とを連通する。ネジ孔172bの内周面には雌ネジが形成される。
シリンダ本体172の下端部は本実施形態の流体ダンパー170の一端部(下端部)を成す。
シリンダキャップ173は概ね一端部(上端部)が閉塞された円筒形状の部材であり、上下一対の端面(上端面および下端面)、外周面、内周面、および頂面を有する。
本実施形態のシリンダキャップ173は樹脂材料を射出成形することにより製造される。
シリンダキャップ173の内周面には雌ネジが形成される。
シリンダキャップ173には貫通孔173aが形成される。貫通孔173aはシリンダキャップ173の上端面から頂面まで上下方向に貫通する。
シリンダキャップ173はシリンダ本体172の上端部に螺装される。
ピストン174は胴体部174aおよびロッド部174bを具備する。
本実施形態のピストン174は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
胴体部174aはピストン174の下半部を成す部分である。胴体部174aの形状は上下一対の端面および外周面を有する概ね円柱である。
ロッド部174bはピストン174の上半部を成す部分である。ロッド部174bの形状は上端面および外周面を有する概ね円柱であり、ロッド部174bの下端部はピストン174の上端部(上端面の中央部)に連なる。
ロッド部174bの外径(直径)は胴体部174aの外径(直径)よりも小さい。
ロッド部174bの上端部は本実施形態の流体ダンパー170の他端部(上端部)を成す。
ピストン174には連通孔174cが形成される。
連通孔174cの一端部は胴体部174aの下端面に開口し、連通孔174cの他端部はロッド部174bの外周面の下端部に開口する。
ピストン174の胴体部174aおよびロッド部174bの下半部はシリンダ171の内部空間(シリンダ本体172の内周面、シリンダ本体172の底面、およびシリンダ本体172に螺装されたシリンダキャップ173の頂面で囲まれた空間)に収容される。
ピストン174の胴体部174aおよびロッド部174bの下半部がシリンダ171の内部空間に収容されたとき、胴体部174aの外周面はシリンダ本体172の内周面に液密的に当接し、胴体部174aはシリンダ本体172に対してシリンダ本体172の軸線方向(本実施形態では上下方向)に移動可能である。
また、ピストン174の胴体部174aおよびロッド部174bの下半部がシリンダ171の内部空間に収容されたとき、ロッド部174bの外周面の中途部はシリンダキャップ173に形成された貫通孔173aの内周面に液密的に当接し、ロッド部174bの上端部はシリンダ171の外部(上方)に突出し、ロッド部174bはシリンダキャップ173に対してシリンダキャップ173の軸線方向(本実施形態では上下方向)に移動可能である。
ピストン174の胴体部174aおよびロッド部174bの下半部がシリンダ171の内部空間に収容されることにより、シリンダ171の内部空間は、第一流体室178および第二流体室179の二つの空間に区画される。
第一流体室178はピストン174により二つに区画されたシリンダ171の内部空間のうち、下側の空間(シリンダ本体172の内周面、シリンダ本体172の底面、および胴体部174aの下端面で囲まれる空間)である。
第二流体室179はピストン174により二つに区画されたシリンダ171の内部空間のうち、上側の空間(シリンダ本体172の内周面、シリンダ本体172の頂面、胴体部174aの上端面およびロッド部174bの外周面で囲まれる空間)である。
ピストン174の胴体部174aおよびロッド部174bの下半部がシリンダ171の内部空間に収容されたとき、連通孔174cは第一流体室178と第二流体室179とを連通する(第一流体室178および第二流体室179は連通孔174cにより繋がれている)。
本実施形態では、シリンダ171の内部空間(より詳細には、第一流体室178、第二流体室179および連通孔174c)には非圧縮性の流体の一種であるシリコンオイルが充填される。
ネジ175はシリンダ171の内部空間とシリンダ171の外部とを連通するネジ孔172bを閉塞する栓としての機能を果たす。
ネジ175をネジ孔172bに螺装することにより、ネジ孔172bが閉塞されてシリンダ171の内部空間とシリンダ171の外部とが遮断されるので、シリコンオイルをシリンダ171の内部空間に封入することが可能である。
また、ネジ175を弛めてシリンダ本体172のネジ孔172bから取り外すことにより、ネジ孔172bを介してシリンダ171の内部空間とシリンダ171の外部とが連通されるので、シリンダ171の内部空間に封入されていたシリコンオイルを交換することが可能である。
スリーブ176は上下一対の端面(上端面および下端面)、外周面および内周面を有する円筒形状の部材であり、樹脂材料を一体成形することにより製造される。スリーブ176は第二流体室179に収容される。
スリーブ176が第二流体室179に収容されたとき、スリーブ176の外周面はシリンダ本体172の内周面に当接し、スリーブ176の上端面はシリンダキャップ173の頂面に当接する。
なお、スリーブ176の内径(直径)はピストン174のロッド部174bの外径(直径)よりも大きい。
戻しバネ177は金属材料からなる線材に機械加工を施して線材を螺旋状に成形することにより製造される。戻しバネ177は圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
戻しバネ177は第一流体室178に収容される。戻しバネ177の一端部(下端部)はシリンダ本体172の底面に当接し、戻しバネ177の他端部(上端部)はピストン174の胴体部174aの下端面に当接する。
戻しバネ177はピストン174のロッド部174bがシリンダキャップ173から上方に突出する方向、すなわち、流体ダンパー170が伸長する(流体ダンパー170の一端部から他端部までの距離が大きくなる)方向にピストン174を付勢する。
流体ダンパー170のシリンダ171を所定の位置に固定してピストン174のロッド部174bの上端部を下方に押すことにより、流体ダンパー170が収縮する方向の外力を流体ダンパー170に作用させた場合、戻しバネ177の付勢力(圧縮される方向に弾性変形した戻しバネ177が元の形状に戻ろうとする力)に抗してピストン174が下方に移動し、第一流体室178の体積(容積)が減少するとともに第二流体室179の体積(容積)が増加する。
その結果、第一流体室178に充填されているシリコンオイルの圧力が第二流体室179に充填されているシリコンオイルの圧力よりも大きくなり、第一流体室178に充填されているシリコンオイルが連通孔174cを通過して第二流体室179に移動する。
このとき、連通孔174cを通過するシリコンオイルの粘性抵抗により反力(ピストン174を上方に押し返す力)が発生し、当該反力によりピストン174が下方に移動する速度が小さくなる(流体ダンパー170による緩衝効果が発生する)。
流体ダンパー170が収縮する方向の外力を流体ダンパー170に作用させてピストン174のロッド部174bの上端部を押し下げた後、当該外力が流体ダンパー170に作用している状態を解除した場合、戻しバネ177の付勢力によりピストン174が上方に移動し、第一流体室178の体積(容積)が増加するとともに第二流体室179の体積(容積)が減少する。
その結果、第二流体室179に充填されているシリコンオイルの圧力が第一流体室178に充填されているシリコンオイルの圧力よりも大きくなり、第二流体室179に充填されているシリコンオイルが連通孔174cを通過して第一流体室178に移動する。
そして、ピストン174の胴体部174aの上端面がスリーブ176の下端面に当接したとき、ピストン174の上方への移動が停止される(流体ダンパー170がそれ以上に伸長することは規制される)。
図4に示す如く、流体ダンパー170はケース110の内部空間に収容される。
流体ダンパー170がケース110の内部空間に収容されたとき、流体ダンパー170は巻きバネ160で囲まれる位置に配置される。
流体ダンパー170がケース110の内部空間に収容されたとき、シリンダ本体172の下端面(流体ダンパー170の下端面)およびフランジ172aの下端面は底板114の上面に当接し、ネジ175は貫通孔114aに対応する位置(ケース110の外部から視認可能、かつ、ネジ175を工具等を用いて回転させることによりネジ175をネジ孔172bに螺装し、あるいはネジ175をネジ孔172bから取り外すことが可能な位置)に配置される(図3および図4参照)。
流体ダンパー170がケース110の内部空間に収容されたとき、フランジ172aの外周面は第一調整部材151の係止穴152aの内周面に軽く当接し、フランジ172aの上端面は係止穴152aの頂面に当接し、シリンダ本体172は第一調整部材151の貫通孔151a、第二調整部材154の貫通孔155b、およびディスク部材157の貫通孔157aに貫装される。
付勢力調整部材150は巻きバネ160により下方に付勢されているため、流体ダンパー170の下端部は付勢力調整部材150によりケース110に対して上下方向、前後方向および左右方向に移動不能に固定される。
流体ダンパー170がケース110の内部空間に収容されたとき、ピストン174のロッド部174bの上端部はスライダ140に形成されたアーム孔146に対応する位置(スライダ140がケース110に対して移動する方向(本実施形態では、上下方向)から見てアーム孔146に重なる位置)に配置される。
なお、本実施形態ではピストン174のロッド部174bの外径(直径)はスライダ140に形成されたアーム孔146の左右方向の幅よりも小さいので、ロッド部174bはアーム孔146を通ってスライダ140の胴体部141の上面141aよりも上方に突出することが可能である。
図18に示すアーム180は本発明に係るアーム部材の実施の一形態である。
本実施形態のアーム180は樹脂材料を一体成形することにより製造される。
アーム180は本体部181および軸支部182を具備する。
本体部181はアーム180の主たる構造体を成す棒状の部分であり、左右一対の側面およびこれらの側面を繋ぐ端面を有する。
図18の(b)に示す如く、本体部181の左側の側面には突起181aが形成される。
突起181aは本体部181の左側の側面の左側方に突出している。
図18の(a)に示す如く、本体部181の右側の側面には突起181bが形成される。
突起181bは本体部181の右側の側面の右側方に突出している。
軸支部182は左右一対の端面および外周面を有する概ね円柱形状の部分である。
軸支部182の前端部かつ左右中央部となる部分は本体部181の後端部に連なる。
軸支部182には貫通孔182aが形成される。貫通孔182aは軸支部182の左右一対の端面を貫通する。
図8の(b)に示すアームピン190は細長い円柱形状の部材である。
本実施形態のアームピン190は金属材料からなる線材を所定の長さに切断することにより製造される。
図4、図8の(b)、および図9に示す如く、アームピン190はスライダ140の軸支部143Lに形成された軸支孔144Lに貫装され、アーム180の軸支部182に形成された貫通孔182aに貫装され、スライダ140の軸支部143Rに形成された軸支孔144Rに貫装される。
貫通孔182aの内径(直径)はアームピン190の外径よりもわずかに小さいので、アームピン190は貫通孔182aに圧入されることとなり、アームピン190はアーム180に対してアームピン190の軸線方向(本実施形態では、左右方向)に移動不能に固定される。
また、軸支孔144Lおよび軸支孔144Rの内径(直径)はアームピン190の外径よりもわずかに大きいので、アームピン190はスライダ140に回転可能に軸支される。
従って、アーム180はアームピン190を介してスライダ140に回動可能に連結される。
アーム180がスライダ140に回動可能に連結されたとき、アーム180はアーム孔146に対応する位置(スライダ140がケース110に対して移動する方向(本実施形態では、上下方向)から見てアーム孔146に重なる位置)に配置される。
なお、本体部181の左右方向の幅はアーム孔146の左右方向の幅よりも小さく、かつ、アーム180がスライダ140に回動可能に連結されたときにアーム孔146の前端部が本体部181の前端部よりも前方となるようにアーム孔146の大きさが定められるので、アーム180がスライダ140に対して左側面視で時計回りに回動することにより、アーム180の前端部はスライダ140のバネ受け穴145の頂面145bよりも下方に突出する(バネ受け穴145に没入する)ことが可能である(図19および図20参照)。
スライダ140に回動可能に連結されたアーム180はケース110に回動可能に連結されたカムブロック120の下方に配置されるので、アーム180はスライダ140に対して回動することによりカム部121の副カム面121Mに当接することが可能である(図4および図21参照)。
また、スライダ140に回動可能に連結されたアーム180は流体ダンパー170の上方に配置されるので、アーム180がスライダ140に対して回動することにより、アーム180はアーム180の後端部をスライダ140の胴体部141の上面141aよりも上方となる位置に残しつつ、アーム孔146を通ってアーム180の前端部を流体ダンパー170の他端部(ピストン174のロッド部174bの上端部)に当接させることが可能である(図4、図20および図21参照)。
以下では、図1、図4、図19、図20、図21、図22および図23を用いて原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動するときのヒンジ100の挙動について説明する。
図19に示す如く、回動角度θ=60°のとき、カムブロック120のカム部121の後面がケース110の後板117(および後板118)の上端面に当接するので、カムブロック120はケース110に対してこれ以上開く方向に(右側面視で反時計回りに)回動することができない。
従って、本実施形態では、回動角度θ=60°のとき、原稿圧着板3は本体2に対して最も大きく開いた状態となる(原稿圧着板3は本体2に対してこれ以上開く方向に回動することができない)。
図4、図19、図20および図20に示す如く、本実施形態では、回動角度θに関わらず(0°≦θ≦60°のとき)、スライダ140の第一主カム受け部142L(の曲面)および第二主カム受け部142R(の曲面)がそれぞれカム部121の第一主カム面121Lおよび第二主カム面121Rに当接する。
本実施形態では、(A)10°<θ≦60°のときには「カムブロック120に固定された原稿圧着板3の自重に起因してヒンジ100を閉じようとする回転力(カムブロック120をケース110に対して右側面視で時計回りに回動させようとする回転力)」と「巻きバネ160の付勢力に起因してヒンジ100を開こうとする回転力(カムブロック120をケース110に対して右側面視で反時計回りに回動させようとする回転力)」とが概ね平衡する。
また、本実施形態では、(B)0°≦θ≦10°のときには「カムブロック120に固定された原稿圧着板3の自重に起因してヒンジ100を閉じようとする回転力」が「巻きバネ160の付勢力に起因してヒンジ100を開こうとする回転力」よりも大きくなる。
換言すれば、スライダ140の第一主カム受け部142L(の曲面)の形状、第二主カム受け部142R(の曲面)の形状、カム部121の第一主カム面121Lの形状、第二主カム面121Rの形状等は、上記(A)および(B)の要件を満たすように定められる。
従って、10°<θ≦60°のときに作業者が原稿圧着板3から手を離した場合には本体2に対する原稿圧着板3の回動角度θが保持され、θ≦10°のときに作業者が原稿圧着板3から手を離した場合には原稿圧着板3が自重で本体2に対して閉じる方向に回動する。
回動角度θ=60°のとき、アーム180は自重によりスライダ140に対してアーム180(の本体部181)の前端部が下がる方向に(右側面視で時計回りに)回動しているため、アーム180はカム部121の副カム面121Mに当接しない(アーム180はカム部121の副カム面121Mから離間している)。
回動角度θ=60°のとき、スライダ140、アーム180およびアームピン190を合わせたものは流体ダンパー170から上方に大きく離間した位置に配置されるため、アーム180は流体ダンパー170に当接しない。
なお、本実施形態ではアーム180の本体部181の左右一対の側面にそれぞれ形成された突起181a・181bがスライダ140の胴体部141の上面141aに当接することにより、アーム180がそれ以上スライダ140に対してアーム180(の本体部181)の前端部が下がる方向に回動することが規制される。
図19に示す状態からさらに原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動するとき(カムブロック120がケース110に対して閉じる方向に回動するとき)、スライダ140、アーム180およびアームピン190を合わせたものは、巻きバネ160の付勢力に抗して下方に移動する(押し下げられる)。
図20に示す如く、原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動する(カムブロック120がケース110に対して閉じる方向に回動する)ことにより回動角度θが30°になったとき、アーム180の前下部(より詳細には、本体部181の端面の前下部)は流体ダンパー170の他端部(ピストン174のロッド部174bの上端面)に当接する。
図20に示す状態からさらに原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動するとき(カムブロック120がケース110に対して閉じる方向に回動するとき)、スライダ140、アーム180およびアームピン190を合わせたものは巻きバネ160の付勢力に抗して下方に移動する(押し下げられる)。
また、図20に示す状態からさらに原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動するとき、スライダ140およびアームピン190(アーム180の回動軸)は、アーム180の前端部が流体ダンパー170の他端部に当接した状態を保持しつつ、下方に移動する。
従って、図20に示す状態からさらに原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動するとき、アーム180はスライダ140に対してアーム180(の本体部181)の前端部が上がる方向に(右側面視で反時計回りに)回動する(流体ダンパー170の他端部はアーム180の前端部をスライダ140に対して相対的に押し上げる)。
本実施形態のアーム180は樹脂材料からなり、アーム180の重量は小さく、「アーム180の自重に起因してアーム180がピストン174を下方に押す力」は戻しバネ177(図17参照)の付勢力(弾性変形した戻しバネ177がもとの形状に戻ろうとしてピストン174を上方に押し上げる力)よりも十分に小さい。
従って、図20に示す状態からさらに原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動するとき、「アーム180の自重に起因してアーム180がピストン174を下方に押す力」によりピストン174が下方に押し下げられる(ひいては、流体ダンパー170が収縮する)ことはない。
図21に示す如く、原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動する(カムブロック120がケース110に対して閉じる方向に回動する)ことにより回動角度θが10°になったとき、カム部121の副カム面121Mがアーム180の前上部に当接し、かつアーム180の前下部が流体ダンパー170の他端部に当接する。
図21に示す状態からさらに(回動角度θが10°以下で)原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動するとき(カムブロック120がケース110に対して閉じる方向に回動するとき)、カム部121の副カム面121Mがアーム180の前上部に当接し、かつアーム180の前下部が流体ダンパー170の他端部に当接した状態(アーム180がスライダ140のアーム孔146を通じて流体ダンパー170の他端部に当接した状態)が保持されるので、アーム180(ひいては、カムブロック120)が流体ダンパー170の他端部を下方に押す(流体ダンパー170の他端部を流体ダンパー170の一端部に向かって押す)。
その結果、流体ダンパー170は収縮し、流体ダンパー170に封入されているシリコンオイルの粘性抵抗による反力がアーム180(ひいては、カムブロック120)に作用し、原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動する速度が小さくなる(流体ダンパー170による緩衝効果が発生する)。
図4に示す如く、原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動する(カムブロック120がケース110に対して閉じる方向に回動する)ことにより回動角度θが0°になったとき、原稿圧着板3の下面が本体2の上面に当接する。
従って、原稿圧着板3はそれ以上本体2に対して閉じる方向に回動することができない。
図22に示す如く、回動角度θが10°以下で原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動するとき、流体ダンパー170の他端部はケース110に対して下方に移動し(図22中のL1(θ)参照)、スライダ140もケース110に対して下方に移動する(図22中のL2(θ)参照)。
また、図23に示す如く、回動角度θが10°以下で原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動するとき、ケース110に対する流体ダンパー170の他端部の下方への移動量(流体ダンパー170の収縮量)を回動角度θで微分した値の絶対値(図23中のL1’(θ)参照)は、ケース110に対するスライダ140の下方への移動量を回動角度θで微分した値の絶対値(図23中のL2’(θ)参照)よりも大きい(L1’(θ)>L2’(θ))。
従って、回動角度θが10°以下で原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動するとき、より厳密には0°≦θ2<θ1≦10°を満たす回動角度θ1から回動角度θ2まで原稿圧着板3が本体2に対して回動するとき、流体ダンパー170の収縮量(=L1(θ1)−L1(θ2);正の値)はケース110に対するスライダ140の移動量(=L2(θ1)−L2(θ2);ゼロまたは正の値)よりも大きい({L1(θ1)−L1(θ2)}>{L2(θ1)−L2(θ2)})。
以上の如く、ヒンジ100は、
複合機1の本体2に原稿圧着板3を回動可能に連結するヒンジであって、
一端部(上端部)に開口するとともに他端部(下端部)に底板114の上面を有する内部空間が形成され、本体2に固定されるケース110と、
ケース110の一端部(上端部)に回動可能に連結され、主カム(本実施形態の場合、カム部121のうち第一主カム面121Lに対応する部分およびカム部121のうち第二主カム面121Rに対応する部分を合わせたもの)および副カム(本実施形態の場合、カム部121のうち副カム面121Mに対応する部分)が形成され、原稿圧着板3に固定されるカムブロック120と、
ケース110の内部空間に収容され、「ケース110の内部空間の内壁面(本実施形態の場合、前板111の後面、左側板112の右面、右側板113の左面、および後板117・118の前面を合わせたもの)」に当接しつつカムブロック120に接近する方向(上方)およびカムブロック120から離間する方向(下方)に移動可能であって、「カムブロック120に対向する面においてカムブロック120の主カムに対向する部分(本実施形態の場合、上面141aの左前部および右前部)」には「主カム受け(本実施形態の場合、第一主カム受け部142Lおよび第二主カム受け部142Rを合わせたもの)」が形成され、「底板114の上面に対向する面(本実施形態の場合、バネ受け穴145の頂面145b)」と「カムブロック120に対向する面においてカムブロック120の副カムに対向する部分(本実施形態の場合、上面141aの左右中央部)」とを連通するアーム孔146が形成されるスライダ140と、
ケース110の内部空間に収容され、一端部(下端部)が底板114の上面に当接するとともに他端部(上端部)が「スライダ140において底板114の上面に対向する面(本実施形態の場合、バネ受け穴145の頂面145b)」に当接し、スライダ140をカムブロック120に接近する方向に付勢し、スライダ140の主カム受けをカムブロック120の主カムに当接させることによりカムブロック120をケース110に対して開く方向に回動させる巻きバネ160と、
ケース110の内部空間に収容されるとともに巻きバネ160で囲まれる位置に配置され、一端部(下端部)が底板114の上面に当接し、他端部(上端部)がアーム孔146に対応する位置に配置され、一端部(下端部)から他端部(上端部)までの距離が小さくなる方向に収縮させる外力が作用したときに反力を発生させる流体ダンパー170と、
スライダ140に回動可能に連結され、カムブロック120の副カムに当接可能、かつアーム孔146を通じて流体ダンパー170の他端部(上端部)に当接可能なアーム180と、
を具備する。
また、ヒンジ100は、
本体2に対する原稿圧着板3の回動角度θが本体2に対して原稿圧着板3が閉じているとき(本実施形態の場合、原稿圧着板3の下面が本体2の上面に当接しているとき)を0°とし、かつ、本体2に対して原稿圧着板3が開く方向に回動するときに増加するものとして定義され、
本体2に対する原稿圧着板3の回動角度θが所定の回動角度以下(本実施形態の場合、θ≦10°)で本体2に対して原稿圧着板3が閉じる方向に回動するとき、カムブロック120の副カムがアーム180に当接するとともにアーム180が流体ダンパー170の他端部に当接し、アーム180がスライダ140に対して回動し、アーム180が流体ダンパー170の他端部(上端部)を流体ダンパー170の一端部(下端部)に向かって押すことにより、流体ダンパー170が収縮し、
本体2に対する原稿圧着板3の回動角度θが所定の回動角度以下(本実施形態の場合、θ≦10°)で本体2に対して原稿圧着板3が閉じる方向に回動するとき、流体ダンパー170の収縮量はケース110に対するスライダ140の移動量よりも大きい。
このように構成することにより、回動角度θが10°以下で原稿圧着板3が本体2に対して閉じる方向に回動するときの流体ダンパー170の収縮量をスライダ140の移動量よりも大きくすることが可能であり、流体ダンパー170による緩衝効果を(スライダ自身が流体ダンパーに当接することにより流体ダンパーを収縮させる従来の構成よりも)有効に利用することが可能である。
これは、本体2に対する原稿圧着板3の回動角度θ当たりの流体ダンパー170の収縮量が大きくなるほど本体2に対する原稿圧着板3の回動角度θ当たりの連通孔174cを通過するシリコンオイルの量(体積)が多くなり、発生する反力が大きくなることによる。
また、カムブロック120の主カムは、
第一主カム(本実施形態では、カム部121のうち第一主カム面121Lに対応する部分)と、
カムブロック120の第一主カムから「ケース110に対するカムブロック120の回動軸の軸線方向(本実施形態の場合、回動ピン130の軸線方向、すなわち左右方向に相当する)」に離間した位置に配置される第二主カム(カム部121のうち第二主カム面121Rに対応する部分)と、
を具備し、
スライダ140の主カム受けは、
第一主カム受け(本実施形態では、第一主カム受け部142L)と、
スライダ140の第一主カム受けから「ケース110に対するカムブロック120の回動軸の軸線方向」に離間した位置に配置される第二主カム受け(本実施形態では、第二主カム受け部142R)と、
を具備し、
巻きバネ160がスライダ140をカムブロック120に接近する方向に付勢することにより、カムブロック120の第一主カムがスライダ140の第一主カム受けに当接するとともにカムブロック120の第二主カムがスライダ140の第二主カム受けに当接し、
カムブロック120の副カムは、
カムブロック120の第一主カムおよびカムブロック120の第二主カムで挟まれる位置に配置され、
アーム孔146は、
スライダ140の第一主カム受け部142Lおよび第二主カム受け部142Rで挟まれる位置に配置される。
このように構成することにより、流体ダンパー170を巻きバネ160に囲まれる位置に配置してヒンジ100を小型化しつつカムブロック120とスライダ140とが当接する面の面積を極力大きく設定することが可能であり、ひいてはカムブロック120とスライダ140とが当接する面の摩耗を抑えることが可能である。
また、カムブロック120とスライダ140とが当接する面が巻きバネ160の中心線を挟んで両側に配置されるので、巻きバネ160の付勢力に起因してスライダ140をケース110に対して回転させる力がスライダ140に作用することを防止することが可能であり、ひいてはケース110に対するスライダ140の移動を滑らかにすることが可能である。
本実施形態のヒンジ100におけるケース110は一枚の金属板を適宜折り曲げることにより製造されたものであるが、本発明に係る第一ウイング部材はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係る第一ウイング部材を金属材料(例えば鋳鉄、アルミニウム、アルミニウム合金等)あるいは樹脂材料(例えば、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート等)で一体成形しても良い。
また、本発明に係る第一ウイング部材は一つの部材からなるもの(一体成形されたもの)に限定されず、複数の部材を適宜組み合わせたもの(複数の部材を溶接、接着、ボルト締結等の方法により相互に固定したもの)でも良い。
本実施形態では主カムにおいて主カム受けに当接する面の形状(第一主カム面121Lおよび第二主カム面121Rの形状)と、副カムにおいてアーム部材に当接する面の形状(副カム面121Mの形状)と、が実質的に同じであるが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係る主カムにおいて主カム受けに当接する面の形状と副カムにおいてアーム部材に当接する面の形状とが異なっていても良い。
本実施形態のヒンジ100における流体ダンパー170には非圧縮性の流体の一種であるシリコンオイルが充填されるが、本発明はこれに限定されない。
例えば、シリコンオイルに代えて他の非圧縮性の流体(例えば、水、アルコール等の液体、液体状の樹脂材料等)、あるいは、圧縮性の流体(空気、窒素ガス、アルゴンガス等の気体)を流体ダンパー170に充填しても良い。
また、本発明に係る流体ダンパーに充填される流体が空気である場合には、流体ダンパーに流体ダンパーの内部空間と外部とを連通する経路を形成し、流体ダンパーが収縮するときに空気が当該経路を通過して流体ダンパーの内部空間から流体ダンパーの外部、または流体ダンパーの外部から流体ダンパーの内部空間に移動し、空気が当該経路を通過するときの粘性抵抗により流体ダンパーが反力を発生しても良い。
本実施形態では、突起181a・181bがスライダ140の胴体部141の上面141aに当接することにより、アーム180がスライダ140に対してアーム180の前端部が下がる方向に回動する角度(アーム回動角度)が規制され、アーム180の前端部が流体ダンパー170の他端部(上端部)の真上に配置される。
このように構成することにより、アーム180の前端部が下方に回動し過ぎてロッド部174bの外周面およびシリンダキャップ173の上面に当接することによりスライダ140の下方への移動が阻害される事態を防止し、ひいては本体2に対する原稿圧着板3の回動角度が所定の回動角度(本実施形態の場合、θ=10°)のときにアーム180の前端部が確実に流体ダンパー170の他端部(上端部)に当接する。
しかし、本発明はこれに限定されず、例えばスライド部材に対するアーム部材の回動軸にトーションバネを装着し、当該トーションバネがアーム部材を付勢することによりアーム部材を常に副カムに当接させても良く、あるいは、アーム部材または副カムのいずれか一方に永久磁石を埋め込むとともに他方に当該永久磁石に吸着する材料からなる吸着部材を埋め込むことによりアーム部材を常に副カムに当接させても良い。
本実施形態のヒンジ100ではケース110が本体2に固定され、カムブロック120が原稿圧着板3に固定されるが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係る第一ウイング部材が第一連結対象物または第二連結対象物のいずれか一方に固定され、第二ウイング部材が第一連結対象物または第二連結対象物のいずれか他方(第一連結対象物および第二連結対象物の二つの対象物のうち、第一ウイング部材が固定されなかった方の対象物)に固定されれば良い。
本実施形態のヒンジ100は複合機1の本体2に原稿圧着板3を回動可能に連結する用途に用いられるが、本発明に係るヒンジの用途はこれに限定されない。
すなわち、本発明に係るヒンジは、「二つの部材の一方の部材(第一連結対象物)に他方の部材(第二連結対象物)を開閉可能に連結する用途」に広く適用可能である。
本発明に係るヒンジが適用される他の用途の具体例としては、事務機器の本体にトナーカートリッジを交換するためのハッチ(蓋)を開閉可能に連結する用途、自動車の車体にボンネットを開閉可能に連結する用途、便器に便座を開閉可能に連結する用途等が挙げられる。
1 複合機
2 本体(第一連結対象物)
3 原稿圧着板(第二連結対象物)
100 ヒンジ
110 ケース(第一ウイング部材)
120 カムブロック(第二ウイング部材)
121 カム部
121L 第一主カム面
121R 第二主カム面
121M 副カム面
130 回動ピン(第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回動軸)
140 スライダ(スライド部材)
142L 第一主カム受け部(第一主カム受け)
142R 第二主カム受け部(第二主カム受け)
146 アーム孔
150 付勢力調整部材
160 巻きバネ
170 流体ダンパー
180 アーム(アーム部材)
190 アームピン(スライド部材に対するアーム部材の回動軸)

Claims (3)

  1. 第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、
    一端部に開口するとともに他端部に底面を有する収容室が形成され、前記第一連結対象物または前記第二連結対象物のいずれか一方に固定される第一ウイング部材と、
    前記第一ウイング部材の一端部に回動可能に連結され、主カムおよび副カムが形成され、前記第一連結対象物または前記第二連結対象物のいずれか他方に固定される第二ウイング部材と、
    前記収容室に収容され、前記収容室の内壁面に当接しつつ前記第二ウイング部材に接近する方向および前記第二ウイング部材から離間する方向に移動可能であって、前記第二ウイング部材に対向する面において前記主カムに対向する部分には主カム受けが形成され、前記収容室の底面に対向する面と前記第二ウイング部材に対向する面において前記副カムに対向する部分とを連通するアーム孔が形成されるスライド部材と、
    前記収容室に収容され、一端部が前記収容室の底面に当接するとともに他端部が前記スライド部材において前記収容室の底面に対向する面に当接し、前記スライド部材を前記第二ウイング部材に接近する方向に付勢し、前記主カム受けを前記主カムに当接させることにより前記第二ウイング部材を第一ウイング部材に対して開く方向に回動させる巻きバネ部材と、
    前記収容室に収容されるとともに前記巻きバネ部材で囲まれる位置に配置され、一端部が前記収容室の底面に当接し、他端部が前記アーム孔に対応する位置に配置され、一端部から他端部までの距離が小さくなる方向に収縮させる外力が作用したときに反力を発生させる流体ダンパーと、
    前記スライド部材に回動可能に連結され、前記副カムに当接可能、かつ前記アーム孔を通じて前記流体ダンパーの他端部に当接可能なアーム部材と、
    を具備する、
    ヒンジ。
  2. 前記第一連結対象物に対する前記第二連結対象物の回動角度が前記第一連結対象物に対して前記第二連結対象物が閉じているときを0°とし、かつ、前記第一連結対象物に対して前記第二連結対象物が開く方向に回動するときに増加するものとして定義され、
    前記第一連結対象物に対する前記第二連結対象物の回動角度が所定の回動角度以下で前記第一連結対象物に対して前記第二連結対象物が閉じる方向に回動するとき、前記副カムが前記アーム部材に当接するとともに前記アーム部材が前記流体ダンパーの他端部に当接し、前記アーム部材が前記スライド部材に対して回動し、前記アーム部材が前記流体ダンパーの他端部を前記流体ダンパーの一端部に向かって押すことにより、前記流体ダンパーが収縮し、
    前記第一連結対象物に対する前記第二連結対象物の回動角度が所定の回動角度以下で前記第一連結対象物に対して前記第二連結対象物が閉じる方向に回動するとき、前記流体ダンパーの収縮量は前記第一ウイング部材に対する前記スライド部材の移動量よりも大きい、
    請求項1に記載のヒンジ。
  3. 前記主カムは、
    第一主カムと、
    前記第一主カムから前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回動軸の軸線方向に離間した位置に配置される第二主カムと、
    を具備し、
    前記主カム受けは、
    第一主カム受けと、
    前記第一主カム受けから前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回動軸の軸線方向に離間した位置に配置される第二主カム受けと、
    を具備し、
    前記巻きバネ部材が前記スライド部材を前記第二ウイング部材に接近する方向に付勢することにより、前記第一主カムが前記第一主カム受けに当接するとともに前記第二主カムが前記第二主カム受けに当接し、
    前記副カムは、
    前記第一主カムおよび前記第二主カムで挟まれる位置に配置され、
    前記アーム孔は、
    前記第一主カム受けおよび前記第二主カム受けで挟まれる位置に配置される、
    請求項1または請求項2に記載のヒンジ。
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