JP5859247B2 - ヒンジ - Google Patents
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Description
このようなヒンジは、巻きバネの付勢力で原稿圧着板の重量を支えることにより事務機器の本体に対する原稿圧着板の回動角度(開閉角度)を任意の角度で保持し(フリーストップ機能)、ひいては作業者が原稿圧着板を回動(開閉)させて原稿読み取り部へ原稿を載置する作業を容易にしている。
特許文献2に記載のヒンジの場合、上記第二部材に対応する部材において外部に露出している部分に突起(カム係合部)が形成され、上記スライダに対応する部材が当該突起に当接することにより第一部材に対する第二部材の回動角度の上限値が規制される。
特許文献3および特許文献4に記載のヒンジの場合、上記第二部材に対応する部材において外部に露出している部分に段差(特許文献3においてはストッパー部、特許文献4においては回転規制部)が形成され、上記第一部材に対応する部材が当該段差に当接することにより第一部材に対する第二部材の回動角度の上限値が規制される。
特許文献5に記載のヒンジの場合、上記第一部材に対応する部材にストッパーシャフトが軸支され、上記第二部材に対応する部材がストッパーシャフトに当接することにより第一部材に対する第二部材の回動角度の上限値が規制される。
そのため、これらのヒンジにより回動可能に連結される二つの部材の間(例えば事務機器の本体および原稿圧着板の間)に大きな外力(過負荷)が作用した場合、上記突起(あるいは段差)には非常に大きなトルクが作用する。
上記突起あるいは段差の変形または破損を防止するためには(a)非常に強度が高い材料(例えば、いわゆるエンジニアリングプラスチック、炭素繊維強化型の樹脂材料等)を用いてヒンジを構成する部品を製造する、あるいは(b)上記突起、段差あるいはこれらの周囲の肉厚を大きくすることによりこれらの強度を向上させる、といった対策をとらなければならず、ヒンジの大型化および製造コストの上昇の原因となる。
内周面に囲まれた空間が内部に形成され、一端部が閉塞されるとともに他端部が開口し、第一連結対象物または第二連結対象物のいずれか一方に固定される第一固定部材と、
前記第一固定部材の他端部に回動軸を介して回動可能に支持されるとともに前記第一連結対象物または前記第二連結対象物のいずれか他方に固定される本体部、一端部が前記本体部に連なるとともに前記第一固定部材の内部に形成された空間に収容される延長部、ならびに、前記延長部の他端部に連なるとともに前記第一固定部材の内部に形成された空間に収容されるカム部、を備える第二固定部材と、
前記第一固定部材の内部に形成された空間に収容され、前記第一固定部材の内周面に当接しつつ前記第一固定部材の他端部から突出する突出方向および前記第一固定部材の内部の空間に没入する没入方向に移動可能なスライド部材と、
前記第一固定部材の内部に形成された空間に収容され、前記スライド部材を前記突出方向に付勢して前記スライド部材を前記カム部に当接させることにより前記第一固定部材に対して回動するトルクを前記第二固定部材に付与する付勢部材と、
を具備し、
前記内周面は、前記回動軸の軸線方向及び前記スライド部材の移動方向と平行に配置された第一壁面、及び、該第一壁面に対して対向する第二壁面を備え、
前記スライド部材は、前記第一壁面と前記第二壁面とに挟まれた状態で配設され、
前記延長部には、第一回動規制面、及び、該第一回動規制面に対して背向する第二回動規制面が形成され、
前記カム部は、一端部が前記第一回動規制面に連なり、他端部が前記第二回動規制面に連なって形成され、
前記第一回動規制面が前記第一壁面に当接することにより前記第一固定部材に対する前記第二固定部材の回動角度の上限値が規制され、
前記第二回動規制面が前記第二壁面に当接することにより前記第一固定部材に対する前記第二固定部材の回動角度の下限値が規制されるものである。
前記第一回動規制面、前記第二回動規制面、前記第一固定部材の内周面において前記第一回動規制面に対向する部分、および前記第一固定部材の内周面において前記第二回動規制面に対向する部分、は前記第一固定部材に対する前記第二固定部材の回動軸の軸線方向に対して平行な平面である。
前記第一固定部材において前記第一回動規制面が当接する部分、前記第二回動規制面が当接する部分、およびこれらを繋ぐ部分の肉厚は、前記第一固定部材における他の部分の肉厚よりも大きいものである。
スキャナー本体2は原稿読み取り装置、制御装置、表示装置および入力装置を具備する。スキャナー本体2の原稿読み取り装置はスキャナー本体2の上面に配置される。スキャナー本体2の原稿読み取り装置はスキャナー本体2の上面に載置された原稿を読み取る(原稿の画像情報を生成する)。スキャナー本体2の制御装置はスキャナー1の各部の動作、より詳細にはスキャナー本体2の原稿読み取り装置の動作を制御する。スキャナー本体2の制御装置はスキャナー本体2の原稿読み取り装置が生成した画像情報を記憶すること、および当該画像情報をスキャナー本体2に接続された回線(例えば、インターネット回線等)を通じて他の機器(パーソナルコンピュータ等)に送信することが可能である。スキャナー本体2の表示装置は例えば液晶パネルからなり、スキャナー1の動作状況等に係る情報を表示する。スキャナー本体2の入力装置はボタン、スイッチ等からなり、作業者がスキャナー1に対する指示等を入力する際に操作される。スキャナー本体2の表示装置および入力装置はスキャナー本体2の前上部に配置される。
原稿圧着板3は板状の部材であり、スキャナー本体2の原稿読み取り装置の上に載置された原稿をスキャナー本体2の原稿読み取り装置に向かって押さえつける(圧着する)ことにより、原稿がスキャナー本体2の原稿読み取り装置に対して動くことを防止する。
(a)原稿を読み取る機能および読み取った原稿に係る画像情報を他の機器(例えば、パーソナルコンピュータ)に送信する機能を具備するスキャナー。
(b)原稿を読み取る機能、読み取った原稿に係る画像情報を通信回線を介して他の機器に送信する機能および他の機器から取得した画像情報をプリントアウトする機能を具備するファクス。
(c)原稿を読み取る機能および読み取った原稿に係る画像情報をプリントアウトする機能を具備するコピー機(プリンタ)。
(d)上記スキャナー、ファクス、およびコピー機としての機能を兼ねる複合機。
なお、本発明に係るヒンジは事務機器を構成する二つの部品(事務機器の本体および原稿圧着板)を連結する用途に限定されない(本発明に係る第一連結対象物および第二連結対象物は事務機器を構成する二つの部品に限定されない)。例えば、本発明に係るヒンジは便器および便座、自動車の車体およびボンネットを回動可能に連結する用途等、種々の用途に適用可能である。
ヒンジ100はスキャナー本体2および原稿圧着板3を回動可能に連結する。
図2から図6に示す如く、ヒンジ100はケース10、アーム20、回動ピン30、スライダ40および巻きバネ50を具備する。
本実施形態では原稿圧着板3がスキャナー本体2に対して閉じているときに回動角度θが0°であり、原稿圧着板3がスキャナー本体2に対して開く方向に回動したとき(図1において時計回りに回動したとき)に回動角度θが増加する(正の値となる)。
また、本実施形態における回動角度θの最小値(θmin)は0°であり、回動角度θの最大値(θmax)は43°である(0°=θmin≦θ≦θmax=43°)。
以下では便宜上、回動角度θ=0°のときの姿勢に基づいてヒンジ100が具備する各部材を説明する。
図6および図7に示す如く、ケース10は筒部11、回動支持部12およびブラケット部13を備える。
回動支持部12の内部の空間は前壁面12a、後壁面12b、左壁面12cおよび右壁面12dにより囲まれる。回動支持部12には軸支孔12e・12fが形成される。軸支孔12eは回動支持部12の左上端部において回動支持部12の外周面から左壁面12cまで貫通する。軸支孔12fは回動支持部12の右上端部において回動支持部12の外周面から右壁面12dまで貫通する。
ブラケット部13には固定孔13aが形成される。固定孔13aはブラケット部13の上下一対の板面を貫通する。
図8の(b)および図9に示す如く、アーム20は本体部21、延長部22およびカム部23を備える。本実施形態の場合、樹脂材料を射出成形し、本体部21、延長部22およびカム部23を一体的に成形することにより、アーム20が製造される。
本体部21には固定孔21aおよびネジ穴21bが形成される。固定孔21aは本体部21の後上部において本体部21を左右方向に貫通する。ネジ穴21bは本体部21の上面に開口し、ネジ穴21bの内周面には雌ネジが形成される。
延長部22の前下部には第一回動規制面22aが形成され、延長部22の後下部には第二回動規制面22bが形成される。第一回動規制面22aおよび第二回動規制面22bはいずれも固定孔21aの軸線方向(ひいては、ケース10に対するアーム20の回動軸たる回動ピン30の軸線方向)に平行な平面である。
頭部32は胴体部31の他端部(左端部)に連なる略円盤形状の部分である。頭部32の外径(直径)は胴体部31の外径(直径)よりも大きい。
頭部32の外径(直径)は軸支孔12eよりも大きい。また、回動ピン30が軸支孔12e、固定孔21aおよび軸支孔12fを貫通した状態で胴体部31の一端部(右端部)に形成された薄肉部を回動ピン30の半径方向(回動ピン30の軸線方向に垂直な方向)に押し広げるようにカシメる(塑性変形させる)ことにより、カシメられた部分の外径(直径)は軸支孔12fの内径(直径)よりも大きくなる。
このように、回動ピン30はケース10およびアーム20を回動可能に連結し、ケース10およびアーム20に対して脱落不能に支持される。
従って、前壁面12aは「ケース10の収容室14を囲む内周面において第一回動規制面22aに対向する部分」に相当し、後壁面12bは「ケース10の収容室14を囲む内周面において第二回動規制面22bに対向する部分」に相当する。
図10に示す如く、スライダ40はスライダ本体41、ガイド42a〜42jおよびバネ突起43を備える。
スライダ本体41はスライダ40の主たる構造体を成す部分である。本実施形態のスライダ本体41は前面、後面、上面、下面、左側面、右側面を有するブロック状である。本実施形態ではスライダ本体41の上面はカム当接面41aを成す。カム当接面41aは前下がりの傾斜を有する曲面である。
ガイド42a〜42jは上下方向に延びた形状の突起(突条)である。ガイド42a・42bはそれぞれスライダ本体41の前面の左端部および右端部に配置される。ガイド42c・42dはそれぞれスライダ本体41の後面の左端部および右端部に配置される。ガイド42e・42f・42gはそれぞれスライダ本体41の左側面の前端部、前後中央部および後端部に配置される。ガイド42h・42i・42jはそれぞれスライダ本体41の右側面の前端部、前後中央部および後端部に配置される。
バネ突起43は概ね円筒形状の突起であり、スライダ本体41の下面に形成される。
なお、ケース10の内周面に形成されたガイド15a〜15f(図8の(a)参照)とスライダ40(スライダ本体41)の外周面に形成されたガイド42a〜42j(図10参照)とが嵌合することにより、ケース10に対するスライダ40の左右方向および前後方向(突出方向および没入方向に垂直な方向)への移動および回転は規制される。
巻きバネ50は本発明に係る付勢部材の実施の一形態である。本実施形態の巻きバネ50は金属材料からなり、圧縮バネ(圧縮された状態で使用されるバネ)である。
図6に示す如く、巻きバネ50はケース10の収容室14に収容される。ケース10の収容室14に収容された巻きバネ50の一端部(下端部)は底面11bに当接するとともにバネ突起11cに嵌合し、巻きバネ50の他端部(上端部)はスライダ40のスライダ本体41の下面に当接するとともにバネ突起43に嵌合する。
巻きバネ50はスライダ40を「突出方向(ケース10の他端部からケース10の外部に突出する方向)」に付勢し、スライダ40のカム当接面41aをアーム20のカム部23のカム面23aに当接させる。その結果、巻きバネ50の付勢力(圧縮される方向に弾性変形した巻きバネ50が元の形状に戻ろうとする力)はスライダ40を経てアーム20に伝達され、アーム20はケース10に対して左側面視で時計回りに回動する方向に付勢され(図6参照)、ひいては原稿圧着板3はスキャナー本体2に対して開く方向に付勢される(図1参照)。
このように、巻きバネ50は「アーム20がケース10に対して左側面視で時計回りに回動するトルク(ひいては、原稿圧着板3がスキャナー本体2に対して開く方向に回動するトルク)」をアーム20に付与する。
その結果、アーム20はケース10に対してそれ以上左側面視で反時計回りに回動することが出来ない。言い換えれば、第二回動規制面22bが後壁面12bに当接することによりケース10に対するアーム20の回動角度θの下限値(θmin)が「0°」に規制される。
その結果、カム部23のカム面23aとスライダ40のカム当接面41aとが当接する位置は前方に移動し、スライダ40は上方に移動し、巻きバネ50がアーム20に付与するトルクは小さくなる。
その結果、カム部23のカム面23aとスライダ40のカム当接面41aとが当接する位置は更に前方に移動し、スライダ40は上方に移動し、巻きバネ50がアーム20に付与するトルクは小さくなる。
その結果、アーム20はケース10に対してそれ以上左側面視で時計回りに回動することが出来ない。言い換えれば、第一回動規制面22aが前壁面12aに当接することによりケース10に対するアーム20の回動角度θの上限値(θmax)が「43°」に規制される。
従って、ヒンジ100の部品点数の増加を伴わず、かつヒンジ100の外部に突起、段差等の突出した部分を形成せずにケース10に対するアーム20の回動角度を規制することが可能である。
また、このことは第一固定部材に対する第二固定部材の回動角度を規制可能なヒンジにおける美観の向上、および外観形状の自由度の向上に寄与する。
従って、第一回動規制面22aが前壁面12aに当接するとき、および第二回動規制面22bが後壁面12bに当接するとき、いずれも当接する面積を大きくすることが可能であり、アーム20に作用するトルクがケース10およびアーム20の局所に集中することを防止し、ヒンジ100の耐久性の向上(長寿命化)に寄与する。
このように構成することにより、第一回動規制面22aが前壁面12aに当接した状態で原稿圧着板3(ひいてはアーム20)に回動角度θを大きくする方向の外力(過負荷)が作用した場合、あるいは第二回動規制面22bが後壁面12bに当接している状態で原稿圧着板3(ひいてはアーム20)に回動角度θを小さくする方向の外力(過負荷)が作用した場合であっても上記リング状の部分は十分な強度を有するので、ケース10の耐久性の向上(ひいては長寿命化)に寄与する。
すなわち、本発明に係る第一固定部材および第二固定部材のうち、いずれか一方が第一連結対象物に固定され、いずれか他方(第一固定部材および第二固定部材のうち第一連結対象物に固定されなかった方の部材)が第二連結対象物に固定されれば良い。
アーム(第二固定部材、21 本体部、22 延長部、22a 第一回動規制面、22b 第二回動規制面、23 カム部、30 回動ピン(回動軸)、40 スライダ(スライド部材)、50 巻きバネ(付勢部材)
Claims (3)
- 内周面に囲まれた空間が内部に形成され、一端部が閉塞されるとともに他端部が開口し、第一連結対象物または第二連結対象物のいずれか一方に固定される第一固定部材と、
前記第一固定部材の他端部に回動軸を介して回動可能に支持されるとともに前記第一連結対象物または前記第二連結対象物のいずれか他方に固定される本体部、一端部が前記本体部に連なるとともに前記第一固定部材の内部に形成された空間に収容される延長部、ならびに、前記延長部の他端部に連なるとともに前記第一固定部材の内部に形成された空間に収容されるカム部、を備える第二固定部材と、
前記第一固定部材の内部に形成された空間に収容され、前記第一固定部材の内周面に当接しつつ前記第一固定部材の他端部から突出する突出方向および前記第一固定部材の内部の空間に没入する没入方向に移動可能なスライド部材と、
前記第一固定部材の内部に形成された空間に収容され、前記スライド部材を前記突出方向に付勢して前記スライド部材を前記カム部に当接させることにより前記第一固定部材に対して回動するトルクを前記第二固定部材に付与する付勢部材と、
を具備し、
前記内周面は、前記回動軸の軸線方向及び前記スライド部材の移動方向と平行に配置された第一壁面、及び、該第一壁面に対して対向する第二壁面を備え、
前記スライド部材は、前記第一壁面と前記第二壁面とに挟まれた状態で配設され、
前記延長部には、第一回動規制面、及び、該第一回動規制面に対して背向する第二回動規制面が形成され、
前記カム部は、一端部が前記第一回動規制面に連なり、他端部が前記第二回動規制面に連なって形成され、
前記第一回動規制面が前記第一壁面に当接することにより前記第一固定部材に対する前記第二固定部材の回動角度の上限値が規制され、
前記第二回動規制面が前記第二壁面に当接することにより前記第一固定部材に対する前記第二固定部材の回動角度の下限値が規制される、
ヒンジ。 - 前記第一回動規制面、前記第二回動規制面、前記第一固定部材の内周面において前記第一回動規制面に対向する部分、および前記第一固定部材の内周面において前記第二回動規制面に対向する部分、は前記第一固定部材に対する前記第二固定部材の回動軸の軸線方向に対して平行な平面である、
請求項1に記載のヒンジ。 - 前記第一固定部材において前記第一回動規制面が当接する部分、前記第二回動規制面が当接する部分、およびこれらを繋ぐ部分の肉厚は、前記第一固定部材における他の部分の肉厚よりも大きい、
請求項1または請求項2に記載のヒンジ。
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