JP5510957B2 - 合成潤滑剤 - Google Patents
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しかしながら、これら既存の添加剤はイオン液体には溶解しないものも多く、イオン液体を主成分とする合成潤滑剤においても実際に使用可能な潤滑油添加剤は得られていないのが現状であり、このことが、イオン液体を潤滑油として実用化する際の障害となっていた。
本発明の合成潤滑剤は、イオン液体(A)を主成分とし、更にイミダゾリウムリン酸塩(B)を含有してなるものである。
なお、本発明におけるイオン液体とは、常温(25℃)において溶融状態にあり、カチオン部とアニオン部からなるイオン性物質のことを示す。
得られたイオン液体組成物は、イオン液体(A)にイミダゾリウムリン酸塩(B)が溶解した溶液状態であってもよいし、イオン液体(A)にイミダゾリウムリン酸塩(B)が分散した状態であってもよい。摩擦係数および磨耗体積の低減効果を高めるには、溶解状態である方が好ましい。
なお、粘度指数が高いほど温度による粘度変化が小さく、潤滑剤として優れていることを意味するものである。
還流管をつけたフラスコに、1−メチルイミダゾール6.28g(76.5mmol)を入れた後、エチルブロミド33.01g(302.9mmol)とアセトニトリル8.20gを添加して、40℃で攪拌下8時間反応させ、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド13.41g(70.2mmol、収率91.8%)を得た。得られた1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド11.04g(60.6mmol)とビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンのカリウム塩20.33g(63.66mmol)を20gの水−塩化メチレン中で、40℃、4時間攪拌させた。反応終了後、水層を分液漏斗により分取し、水洗後、減圧乾燥することにより、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド22.53g(57.6mmol、収率95%)を得た。
製造例1の1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミドを1-メチル-3-オクチルイミダゾリウムブロミド16.7gに変えた以外は、製造例1と同様な方法で合成することにより目的とするメチルオクチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを26.2g(収率91%)で得た。
オートクレーブに1−メチルイミダゾール82.1g(1.0mol)と脱水メタノー
ル123.2mlと炭酸ジメチルを180.2g(2.0mol)を加えた後、140℃
で15時間加熱、攪拌した。その後、室温まで反応液を冷却し、85%リン酸115.3
g(1.0mol)を十分攪拌しながら、1時間ほどかけて加えた。反応液をろ過し、得
られた結晶を減圧下で乾燥し、1,3−ジメチルイミダゾリウムジハイドロジェンホスフ
ァート100.4g(0.52 mol、収率51.7%)を得た。
還流管つきのフラスコにイミダゾール68.1g(1.0mol)と炭酸カリウム248.8g(1.8mol)とアセトニトリル500mlを加えた後、90℃に加熱し、1−クロロドデカン204.8g(1.0mol)を、2時間ほどかけて加えそのまま10時間加熱攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却、ろ過し、得られた濾液を減圧下で蒸留することで、1−ドデシルイミダゾール178gを得た。
オートクレーブに1−ドデシルイミダゾール74.8g(0.3mol)と脱水メタノ
ール55.8mlと炭酸ジメチルを54.0g(0.6mol)を加えた後、140℃で
15時間加熱、攪拌した。その後、室温まで反応液を冷却し、85%リン酸34.6g(
0.3mol)を十分攪拌しながら、1時間ほどかけて加え、反応液を減圧下濃縮した。
そこで得られた粗結晶に、酢酸エチル500mlを加えて十分攪拌、懸濁させた後、結晶
をろ過し、酢酸エチル200mlで洗浄後、減圧下で乾燥し、1−ドデシル−3−メチル
イミダゾリウムジハイドロジェンホスファート96.8g(0.278mol、収率93
%)を得た。
ト(B−3)の合成
還流管つきのフラスコにイミダゾール68.1g(1.0mol)と炭酸カリウム24
8.8g(1.8mol)とアセトニトリル500mlを加えた後、75℃に加熱し、1
−クロロオクタン148.7g(1.0mol)を、2時間ほどかけて加えそのまま10
時間加熱攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却、ろ過し、得られた濾液を減圧下で蒸
留することで、1−オクチルイミダゾール108gを得た。
オートクレーブに1−オクチルイミダゾール57.9g(0.3mol)と脱水メタノ
ール55.8mlと炭酸ジメチルを54.0g(0.6mol)を加えた後、140℃で
15時間加熱、攪拌した。その後、室温まで反応液を冷却し、85%リン酸34.6g(
0.3mol)を十分攪拌しながら、1時間ほどかけて加え、反応液を減圧下濃縮した。
そこで得られた粗結晶に、酢酸エチル500mlを加えて十分攪拌、懸濁させた後、結晶
をろ過し、酢酸エチル200mlで洗浄後、減圧下で乾燥し、1−メチル−3−オクチル
イミダゾリウムジハイドロジェンホスファート78g(0.267mol、収率89%)
を得た。
ァート(B−4)の合成
還流管つきのフラスコにイミダゾール68.1g(1.0mol)と炭酸カリウム24
8.8g(1.8mol)とアセトニトリル500mlを加えた後、75℃に加熱し、1
−クロロヘキサデカン260.9g(1.0mol)を、2時間ほどかけて加えそのまま
10時間加熱攪拌した。その後、反応液を室温まで冷却、ろ過し、得られた濾液を減圧下
で蒸留することで、1−ヘキサデシルイミダゾール234gを得た。
オートクレーブに1−ヘキサデシルイミダゾール91.6g(0.3mol)と脱水メ
タノール55.8mlと炭酸ジメチルを54.0g(0.6mol)を加えた後、140
℃で15時間加熱、攪拌した。その後、室温まで反応液を冷却し、85%リン酸34.6
g(0.3mol)を十分攪拌しながら、1時間ほどかけて加え、その反応液にメタノー
ル500mlを加えて十分攪拌、懸濁させた後、結晶をろ過し、メタノール100mlで
洗浄後、減圧下で乾燥し、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムジハイドロジェ
ンホスファート39.8g(0.098mol、収率33%)を得た。
上記製造例1で得られたイオン液体(A−1)100重量部に、イミダゾリウムリン酸塩(B−1、B−2)0.5重量部をそれぞれ添加し、90℃に加温しながら充分に混合攪拌することにより、合成潤滑剤を得た。
実施例1、2において、イミダゾリウムリン酸塩(B)を用いなかった以外は同様にして合成潤滑剤を得た。
上記製造例2で得られたイオン液体(A−2)100重量部に、イミダゾリウムリン酸塩(B−1〜4)0.5重量部をそれぞれ添加し、90℃に加温しながら充分に混合攪拌することにより、合成潤滑剤を得た。
実施例3〜6において、イミダゾリウムリン酸塩(B)を用いなかった以外は同様にして合成潤滑剤を得た。
<摩擦係数>
潤滑油摩擦試験機(キョウシン株式会社製、「KT−1203」)を用いて、下記の条件下での、摩擦係数を測定した。なお、摩擦係数の値は、下記条件での測定時間中に得られた全係数データのうち、測定初期(0-30秒)の値を除いた平均値で示した。
[測定条件]
実験材料:3/16インチSUJ-2鋼球、SCM435軸受鋼板(φ25mmX5mm、HRC>40、Rz≒0.8(μm)
負荷荷重:0.1kgf
摩擦速度:5mm/sec
往復ストローク:5mm、
データ記録間隔:4sec
測定温度:室温〜200℃(段階的昇温)
測定時間:20分間
<磨耗体積>
上記摩擦試験終了後のSUJ-2鋼球の磨耗痕径(短径:a、長径:b)から下記計算式により求めた。
磨耗体積=πa3b/32D (D:鋼球直径)(単位:μm3)
上記摩擦試験終了後の試験鋼板上に生じた磨耗痕上の、錆の有無を判定した。
[判定基準]
○・・・試験鋼板上の磨耗痕を拡大観察しても錆を認めない
△・・・試験鋼板上の磨耗痕を拡大観察すると錆が認められる
×・・・試験鋼板上の磨耗痕に肉眼で錆が認められる
このことは、本発明のイミダゾリウムリン酸塩は、イオン液体を主成分とする合成潤滑剤の摩擦調整剤、防錆剤として有用な化合物であることを示すものである。
Claims (5)
- イオン液体(A)を主成分とする合成潤滑剤であって、更にイミダゾリウムリン酸塩(B)を含有してなることを特徴とする合成潤滑剤。
- イミダゾリウムリン酸塩(B)のイミダゾリウム部位が、炭素数1〜20の炭化水素基を置換基にもつことを特徴とする請求項1記載の合成潤滑剤。
- イオン液体(A)のアニオン部が、下記一般式(1)で示されるフッ素含有イミドアニオンであることを特徴とする請求項1または2記載の合成潤滑剤。
- イオン液体(A)のアニオン部が、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の合成潤滑剤。
- イオン液体(A)のカチオン部が、イミダゾリウムカチオンであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の合成潤滑剤。
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