JP5904894B2 - 合成潤滑剤 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、イミダゾリウムリン酸エステル塩が、イオン液体に摩擦調整性能、防錆性能を付与することが可能であり、イオン液体に添加しても溶解または分散され、イオン液体、特に粘度が低く潤滑剤用途に有用であるフッ素系のイオン液体の基油としての性能を阻害することのない潤滑油添加剤として記載されている。
また、合成潤滑剤の主成分であるイオン液体、および添加されるイミダゾリウムリン酸エステルのいずれにもハロゲンイオンが含まれないため、反応性の高いハロゲン含有分解生成物が発生する可能性はなく、環境保護の観点からも好ましいものである。
本発明の合成潤滑剤は、トリシアノメタニドアニオンを含有するイオン液体(A)を主成分とし、更にイミダゾリウムリン酸エステル塩(B)を含有するものである。
なお、本発明におけるイオン液体とは、常温(25℃)において溶融状態にあり、カチオン部とアニオン部からなるイオン性物質のことを示す。
また、本発明において、イオン液体を「主成分」とする合成潤滑剤とは、イオン液体を70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上含有する合成潤滑剤を示すものである。
R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜16のアルキル基、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基である。)
1−メチル−3−ノニルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−メチル−3−ウンデシルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1,3−ジエチルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−エチル−3−ペンチルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−エチル−3−ヘキシルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−エチル−3−ヘプチルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−エチル−3−オクチルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−エチル−3−ノニルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−デシル−3−エチルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−エチル−3−ウンデシルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−ドデシル−3−エチルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−エチル−3−ヘキサデシルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−ブチル−3−ドデシルイミダゾリウムジメチルホスフェート、1−ブチル−3−ヘキサデシルイミダゾリウムジメチルホスフェート等のジメチルホスフェートアニオン系塩、1,3−ジメチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−メチル−3−ノニルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、
1−メチル−3−ウンデシルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1,3−ジエチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−エチル−3−ペンチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−エチル−3−ヘキシルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−エチル−3−ヘプチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−エチル−3−オクチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−エチル−3−ノニルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−デシル−3−エチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−エチル−3−ウンデシルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−ドデシル−3−エチルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−エチル−3−ヘキサデシルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−ブチル−3−ドデシルイミダゾリウムジエチルホスフェート、1−ブチル−3−ヘキサデシルイミダゾリウムジエチルホスフェート等のジエチルホスフェートアニオン系塩、1,3−ジメチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−メチル−3−ノニルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−メチル−3−ウンデシルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1,3−ジエチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−エチル−3−ペンチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−エチル−3−ヘキシルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−エチル−3−ヘプチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−エチル−3−オクチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−エチル−3−ノニルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−デシル−3−エチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、
1−エチル−3−ウンデシルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−ドデシル−3−エチルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−エチル−3−ヘキサデシルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−ブチル−3−ドデシルイミダゾリウムジプロピルホスフェート、1−ブチル−3−ヘキサデシルイミダゾリウムジプロピルホスフェート等のジプロピルホスフェートアニオン系塩、1,3−ジメチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−メチル−3−ノニルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−メチル−3−ウンデシルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1,3−ジエチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−エチル−3−ペンチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−エチル−3−ヘキシルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−エチル−3−ヘプチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−エチル−3−オクチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−エチル−3−ノニルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−デシル−3−エチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−エチル−3−ウンデシルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−ドデシル−3−エチルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−エチル−3−ヘキサデシルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−ブチル−3−ドデシルイミダゾリウムジブチルホスフェート、1−ブチル−3−ヘキサデシルイミダゾリウムジブチルホスフェート等のジブチルホスフェートアニオン系塩等が挙げられる。
これらの中でも、イオン液体(A)への相溶性と潤滑特性の両方に優れる点で、ジエチルホスフェートアニオン系塩、ジプロピルホスフェートアニオン系塩、ジブチルホスフェートアニオン系塩を含有するものが好ましい。
得られたイオン液体組成物は、イオン液体(A)にイミダゾリウムリン酸エステル塩(B)が溶解した溶液状態であってもよいし、イオン液体(A)にイミダゾリウムリン酸エステル塩(B)が分散した状態であってもよい。
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド(日本合成化学工業(株)製)19.1gを水19mLに溶かし、トリシアノメタニドナトリウム塩(ロンザ社製)11.3gを添加し、50℃で3時間攪拌した。その後、活性炭1gを加え、30分間攪拌した後、反応液を室温に戻し、活性炭をろ過した。ろ液に塩化メチレン100mLを入れ抽出し、水層を除去後、有機層を水30mLで3回水洗した。得られた有機層を減圧濃縮し、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリシアノメタニド12.1g(収率60%)を得た。
<比較製造例1> 1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(A’−1)の合成
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド(日本合成化学工業(株)製)11.04g(60.6mmol)とビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンのカリウム塩20.33g(63.66mmol)を20gの水中で40℃、4時間反応させた後、塩化メチレン50mlを加えて抽出分液する。塩化メチレン層を水洗後、減圧乾燥することにより、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(A’−1)22.53g(57.6mmol、収率95%)を得た。
下記、イミダゾリウムリン酸エステル塩(B)は、WO2008−114584号公報及びFeul vol87 79−84page 2008に準じて合成した。
1−エチルイミダゾール10.0gにトリブチル燐酸33.3gを入れ、120℃で1
20時間加熱した。加熱後、室温に冷却し、ヘキサン50mlで6回洗浄した。下層の1
−ブチル−3−エチルイミダゾリウムジブチルホスフェートを真空下、60℃で乾燥し、
1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムジブチルホスフェート(B−1)25.0gを得た。
製造例2の1−エチルイミダゾール10.0gを1−オクチルイミダゾール10.0gに変更し、トリブチル燐酸を17.7gに変更した以外は製造例2と同様に操作し、1−ブチル−3−オクチルイミダゾリウムジブチルホスフェート(B−2)23.2gを得た。
製造例2の1−エチルイミダゾール10.0gを1−ドデシルイミダゾール10.0gに変更し、トリブチル燐酸を13.5gに変更した以外は製造例2と同様に操作し、1−ブチル−3−ドデシルイミダゾリウムジブチルホスフェート(B−3)10.9gを得た。
製造例2の1−エチルイミダゾール10.0gを1−ヘキサデシルイミダゾール10.
0gに変更し、トリブチル燐酸を10.9gに変更した以外は製造例2と同様に操作し、1−ブチル−3−ヘキサデシルイミダゾリウムジブチルホスフェート(B−4)8.7gのを得た。
製造例1で得られたイオン液体(A−1)100部に、イミダゾリウムリン酸エステル塩(B−1〜B−4)0.5部をそれぞれ添加し、40℃に加温し充分に混合攪拌することにより、実施例1〜4の合成潤滑剤を得た。
製造例1で得られたイオン液体(A−1)に何も添加剤を加えず合成潤滑剤として用いた。
比較製造例1で得られたイオン液体(A’−1)100部に、イミダゾリウムリン酸エステル塩(B−3)0.5部を添加し、40℃に加温し充分に混合攪拌することにより、合成潤滑剤を得た。
比較製造例1で得られたイオン液体(A’−1)に何も添加剤を加えず合成潤滑剤として用いた。
また、実施例3、比較例1〜3については、下記の熱安定性試験を行なった。結果は下記の表2に示す。
<摩擦係数>
潤滑油摩擦試験機(キョウシン(株)製、「KT−1203」)を用いて、下記の条件下での、摩擦係数を測定した。なお、摩擦係数の値は、下記条件での測定時間中に得られた全係数データのうち、測定初期(0−30秒)の値を除いた平均値で示した。
[測定条件]
実験材料:3/16インチSUJ-2鋼球、SCM435軸受鋼板(φ25mmX5mm、HRC>40、Rz≒0.8(μm)
負荷荷重:0.1kgf
摩擦速度:5mm/sec
往復ストローク:5mm、
データ記録間隔:4sec
測定温度:室温〜200℃(段階的昇温)
測定時間:20分間
<磨耗体積>
上記摩擦試験終了後のSUJ-2鋼球の磨耗痕径(短径:a、長径:b)から下記計算式により求めた。
磨耗体積=πa3b/32D (D:鋼球直径)(単位:μm3)
[判定基準]
◎・・・4,000μm3未満
○・・・4,000μm3以上10,000μm3未満
△・・・10,000μm3以上〜20,000μm3未満
×・・・20,000μm3以上
上記摩擦試験終了後の試験鋼板上に生じた磨耗痕上の、錆の有無を判定した。
[判定基準]
○・・・試験鋼板上の磨耗痕を拡大観察しても錆を認めない
△・・・試験鋼板上の磨耗痕を拡大観察すると錆が認められる
×・・・試験鋼板上の磨耗痕に肉眼で錆が認められる
市販のスラストベアリング(材質SUJ-2、型番51120:小西製作所)をアセトンに浸漬して超音波洗浄器で洗い、防錆油を除去して乾燥した。これに合成潤滑剤30μL及び純水10μLを添加し、100℃の恒温機中で外部接続のモーターにより200rpmで10時間回転させた。14時間放置放冷後、再び純水10μLを添加し、恒温機中同じ条件下での回転させ、この操作を繰返した。100℃での回転時間が60時間に達した後ベアリングを純水10mL中に浸漬し、1分間超音波洗浄器にて抽出処理を行った。得られた水溶液中に含まれるイオンをイオンクロマトで分析し、潤滑剤の主成分を構成する陰イオンの面積%を安定性の指標とした。
また、トリシアノメタニドアニオンを含有するイオン液体にイミダゾリウムリン酸エステル塩を配合しなかった比較例1の合成潤滑剤は、実施例の合成潤滑剤と比べると、防錆性能に劣り、摩擦調整性能も若干劣ることがわかる。
Claims (6)
- トリシアノメタニドアニオンを含有するイオン液体(A)を主成分として70重量%以上含有し、かつ、イミダゾリウムリン酸エステル塩(B)を含有することを特徴とする合成潤滑剤。
- トリシアノメタニドアニオンを含有するイオン液体(A)のカチオン部がイミダゾリウムカチオンであることを特徴とする請求項1記載の合成潤滑剤。
- トリシアノメタニドアニオンを含有するイオン液体(A)が下記一般式(1)で示されるイオン液体(A1)であることを特徴とする請求項1または2記載の合成潤滑剤。
R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、R2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜16のアルキル基、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基である。) - イミダゾリウムリン酸エステル塩(B)のイミダゾリウムカチオンが、1,3−二置換イミダゾリウムカチオンであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の合成潤滑剤。
- イミダゾリウムリン酸エステル塩(B)のリン酸エステルアニオンが、ジエステル構造を有するリン酸エステルアニオンであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の合成潤滑剤。
- イミダゾリウムリン酸エステル塩(B)が、下記一般式(2)で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の合成潤滑剤。
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