JP5123467B2 - 潤滑剤組成物 - Google Patents
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Description
以下に本発明を詳述する。
なお、イオン性化合物とは、カチオンとアニオンとにより構成される化合物であり、イオン性液体とは、該イオン性化合物のうち液体形状のものを意味する。本発明においては、このようなイオン性化合物又はイオン性液体を1種又は2種以上含有することができ、これらを2種以上含有する場合には、カチオンとアニオンとにより構成される化合物が2種以上含有することになればよく、カチオン又はアニオンが同種のものであってもよい。
上記イオン性液体としては、カチオンとアニオンとにより構成される液状の化合物である限り特に限定されるものではないが、上記一般式(1)で表されるアニオンを有するものであることが好適である。このようなアニオンを有することにより、イオン伝導性がより向上されることから、粘性がより充分に低減され、摩擦低減性(摩擦抑制性)等の潤滑性能や、耐久性、長期安定性に優れるという本発明の作用効果を更に充分に発揮することが可能となる。
上記イオン性化合物としては、上記一般式(1)で表されるアニオンを有するものであるが、これにより、上述したように本発明の作用効果を充分に発揮することが可能となる。
Xは、B、C、N、O、Al、Si、P、S、As及びSeから選ばれる少なくとも1種の元素を表すが、C、N又はSが好ましく、これにより、潤滑剤組成物の粘度をより充分に低減することができ、摩擦抑制能を更に充分に高めることが可能となる。このように上記一般式(1)におけるXが、炭素原子(C)、窒素原子(N)又は硫黄原子(S)である形態は、本発明の好適な形態の1つである。更に好ましくはCであり、これによって更に耐熱性を向上することが可能となる。
A及びBは、同一又は異なって、有機連結基を表すが、それぞれ独立に、−S−、−O−、−SO2−及び−CO−から選ばれる少なくとも1種の連結基であることが好ましく、より好ましくは、−SO2−、−CO−である。
Qは、有機基を表すが、水素原子、ハロゲン原子、CpF(2p+1−q)Hq、OCpF(2p+1−q)Hq、SO2CpF(2p+1−q)Hq、CO2CpF(2p+1−q)Hq、COCpF(2p+1−q)Hq、SO3C6F5−rHr、NO2(式中、1≦p≦6、0<q≦13、0<r≦5である)等が好ましい。より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、CpF(2p+1−q)Hq、SO2CpF(2p+1−q)Hqである。
上記一般式(1)で表されるアニオンとしては、ジシアノアミドアニオン(DCA)、チオシアネートアニオン、トリシアノメチドアニオン(TCM)、テトラシアノホウ素アニオン、シアノオキシアニオン(CYO)等が、フッ素を含まず、耐腐食性に優れるため好ましい。中でも、トリシアノメチドアニオンがより好ましい。
なお、本発明の潤滑剤組成物に含まれる全アニオン中の上記一般式(1)で表されるアニオンの質量割合としては、アニオンの総量100質量%に対し、下限が5質量%であることが好適である。これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。より好ましい下限は20質量%である。
なお、下記(I)〜(III)のカチオンを表す式中、R1〜R12は、同一若しくは異なって、有機基を表し、互いに結合していてもよいものであるが、例えば、水素原子、フッ素原子、アミノ基、イミノ基、アミド基、エーテル基、エステル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、スルホン基、スルフィド基や、直鎖、分岐鎖又は環状で、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を含んでもよい炭素数1〜18の炭化水素基、炭化フッ素基等が好ましく、より好ましくは、水素原子、フッ素原子、シアノ基、スルホン基、炭素数1〜8の炭化水素基、炭化フッ素基である。
これらのオニウムカチオンの中でも、特に好ましくは、一般式(2)におけるLが窒素原子であるものであり、最も好ましくは、下記一般式;
なお、上記潤滑剤組成物に含まれる全カチオン中の上記一般式(2)で表されるオニウムカチオンの質量割合としては、カチオンの総量100質量%に対し、下限が5質量%であることが好適である。これにより、長期間に亘る安定性を更に充分に発揮でき、長期に亘る摩擦低減力を更に高めることが可能となる。より好ましい下限は20質量%である。
これらの中でも、炭酸エステル類、脂肪族エステル類、エーテル類がより好ましく、カーボネート類が更に好ましい。
なお、上記潤滑剤組成物が非水系溶媒を含有する場合には、水分含量を制御することが好適であり、これにより、水に起因する影響が充分に軽減され、不揮発性やイオン伝導性等のイオン性液体及びイオン性化合物が有する特性を充分に発揮することが可能となる。具体的には、非水系溶媒を含有する場合、上記潤滑剤組成物中の水分濃度の下限が1質量%であることが好適であり、より好ましくは0.1質量%である。また、上限値は0.01質量%であることが好ましい。
上記共役二重結合を有する窒素複素環カチオンとしては、上述した(I)の10種類の複素環オニウムカチオンや、上記(II)の5種類の不飽和オニウムカチオン等のうち、共役二重結合を有し、上記一般式(2)におけるLが窒素原子であるものが好適である。
上記アニオンを必須とする化合物の場合には、上記一般式(1)で表されるアニオンのアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩であることが好ましく、リチウム塩であることがより好ましい。このようなリチウム塩としては、上述した好ましいアニオンのリチウム塩の他にも、LiC(CN)3、LiSi(CN)3、LiB(CN)4、LiAl(CN)4、LiP(CN)2、LiP(CN)6、LiAs(CN)6、LiOCN、LiSCN等が好適である。
それ以外の化合物である場合には、潤滑剤組成物中での解離定数が大きい電解質塩であることが好ましく、例えば、LiCF3SO3、NaCF3SO3、KCF3SO3等のトリフロロメタンスルホン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩;LiN(CF3SO3)3、LiN(CF3CF3SO2)2等のパーフロロアルカンスルホン酸イミドのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩;LiPF6、NaPF6、KPF6等のヘキサフロロリン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩;LiClO4、NaClO4等の過塩素酸アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩;LiBF4、NaBF4等のテトラフロロ硼酸塩;LiAsF6、LiI、NaI、NaAsF6、KI等のアルカリ金属塩が好適である。これらの中でも、溶解性やイオン伝導度の点から、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、パーフロロアルカンスルホン酸イミドのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が好ましい。
上記無機酸化物微粒子としては、非電子伝導性、電気化学的に安定なものが好適である。このような微粒子としては、α、β、γ−アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、チタン酸バリウム、酸化チタン、ハイドロタルサイト等のイオン伝導性又は非電導性セラミックス微粒子が好適である。
上記無機酸化物微粒子の比表面積としては、できるだけ大きいことが好ましく、具体的には、BET法で5m2/g以上であることが好ましい。より好ましくは、50m2/g以上である。このような無機酸化物微粒子の結晶粒子径としては、上記潤滑剤組成物における他の構成要素と混合できればよいが、大きさ(平均結晶粒径)としては0.01μm以上が好ましく、また、20μm以下が好ましい。より好ましくは、0.01μm以上であり、また、2μm以下である。
上記無機酸化物微粒子の添加量としては、潤滑剤組成物100重量部に対して当該添加量の下限が100重量部であることが好ましい。100重量部を超えると、イオンの移動をより円滑にすることができないおそれがある。より好ましい下限は0.1重量部であり、また上限は20重量部である。
また、その他、無水酢酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物やその酸化合物、トリエチルアミン、メチルイミダゾール等の塩基性化合物を添加してもよい。添加量としては、潤滑剤組成物100質量%に対して、50質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.01質量%以上、20質量%以下である。
上記添加剤の含有量は特に限定されないが、例えば、潤滑剤組成物100質量%に対して、0.1質量%以上、また、20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上、10質量%以下である。
上記イオン伝導度の測定方法としては、例えば、SUS電極を用いたインピーダンスアナライザーHP4294A(商品名、東陽テクニカ社製)やインピーダンスアナライザーSI1260(商品名、ソーラトロン社製)を用いて行う複素インピーダンス法により測定する方法が好適である。
上記粘度の測定方法としては、特に限定はないが、例えば、25℃において、TV−20形粘度計 コーンプレートタイプ(トキメック社製)を用いて測定する方法が好適である。
本発明のイオン性化合物及び比較例としての鉱物油について、これらの流動点、40℃における動粘度、イオン伝導度、摩擦係数を下記評価方法に従って評価した。結果を表1に示す。
流動点:JIS K2269−1987に準拠して評価した。
動粘度:JIS K2283:2000に準拠して評価した。
イオン伝導度:上述した方法に従って測定した。
摩擦係数:振り子型摩擦試験機(神鋼造機社製、商品名「曽田式振子形油性摩擦試験機」)を使用して測定した。
EMImTCM:エチルメチルイミダゾリウムトリシアノメチド
EMImDCA:エチルメチルイミダゾリウムジシアノアミド
MBPyTCM:メチルブチルピロリジニウムトリシアノメチド
1(cSt)=1×10−6(m2/s)
Claims (5)
- 下記一般式(1);
- 前記一般式(1)で表されるアニオンが、トリシアノメチドアニオン(TCM)、テトラシアノホウ素アニオン、シアノオキシアニオン(CYO)から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
- 前記環状アンモニウムカチオンが、イミダゾリウムカチオンおよび/またはピロリジニウムカチオンである、請求項1または2に記載の潤滑剤組成物。
- 40℃における動粘度が35cSt以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
- 流動点が−30℃以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の潤滑剤組成物。
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