JP2006321855A - 導電性付与剤及び導電性材料 - Google Patents
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Abstract
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本発明はまた、下記一般式(1);
本発明は更に、上記導電性付与剤と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び/又はゴムとを含有する導電性材料でもある。
以下に本発明を詳述する。
なお、イオン性化合物とは、カチオンとアニオンとにより構成される化合物であり、イオン性液体とは、該イオン性化合物のうち液体形状のものを意味する。本発明においては、このようなイオン性化合物又はイオン性液体を1種又は2種以上含有することができ、これらを2種以上含有する場合には、カチオンとアニオンとにより構成される化合物が2種以上含有することになればよく、カチオン又はアニオンが同種のものであってもよい。
上記イオン性液体としては、カチオンとアニオンとにより構成される液状の化合物である限り特に限定されるものではないが、該アニオンが上記一般式(1)で表されるアニオンであることが好適である。このようなアニオンを有することにより、イオン導電性がより向上されることから、高柔軟性及び高導電性であって、樹脂やゴム等の高分子材料とのなじみが良く、耐久性や長期安定性に優れ、ブリードしにくいという本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
上記イオン性化合物としては、上記一般式(1)で表されるアニオンを有するものであるが、これにより、上述したように本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
Xは、B、C、O、Al、Si、P、S、As及びSeから選ばれる少なくとも1種の元素を表すが、C、N又はSが好ましい。より好ましくは、C又はSであり、これにより、効率良く表面抵抗値を低減できる。このように上記一般式(1)におけるXが、炭素原子(C)又は硫黄原子(S)である形態は、本発明の好適な形態の1つである。更に好ましくはCであり、これによって更に耐熱性を向上することが可能となる。
A及びBは、同一又は異なって、有機連結基を表すが、それぞれ独立に、−S−、−O−、−SO2−及び−CO−から選ばれる少なくとも1種の連結基であることが好ましく、より好ましくは、−SO2−、−CO−である。
Qは、有機基を表すが、水素原子、ハロゲン原子、CpF(2p+1−q)Hq、OCpF(2p+1−q)Hq、SO2CpF(2p+1−q)Hq、CO2CpF(2p+1−q)Hq、COCpF(2p+1−q)Hq、SO3C6F5−rHr、NO2(式中、1≦p≦6、0<q≦13、0<r≦5である)等が好ましい。より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、CpF(2p+1−q)Hq、SO2CpF(2p+1−q)Hqである。
上記一般式(1)で表されるアニオンとしては、ジシアノアミドアニオン(DCA)、チオシアネートアニオン、トリシアノメチドアニオン(TCM)、テトラシアノホウ素アニオン、シアノオキシアニオン(CYO)等が好適であり、これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。中でも、トリシアノメチドアニオンがより好ましい。
なお、本発明の導電性付与剤に含まれる全アニオン中の上記一般式(1)で表されるアニオンの質量割合としては、アニオンの総量100質量%に対し、下限が5質量%であることが好適である。これにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。より好ましい下限は20質量%である。
なお、下記(I)〜(III)のカチオンを表す式中、R1〜R12は、同一若しくは異なって、有機基を表し、互いに結合していてもよいものであるが、例えば、水素原子、フッ素原子、アミノ基、イミノ基、アミド基、エーテル基、エステル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、スルホン基、スルフィド基や、直鎖、分岐鎖又は環状で、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を含んでもよい炭素数1〜18の炭化水素基、炭化フッ素基等が好ましく、より好ましくは、水素原子、フッ素原子、シアノ基、スルホン基、炭素数1〜8の炭化水素基、炭化フッ素基である。
これらのオニウムカチオンの中でも、特に好ましくは、一般式(2)におけるLが窒素原子であるものであり、最も好ましくは、下記一般式;
なお、上記導電性付与剤に含まれる全カチオン中の上記一般式(2)で表されるオニウムカチオンの質量割合としては、カチオンの総量100質量%に対し、下限が5質量%であることが好適である。これにより、長期間に亘る安定性を更に充分に発揮でき、ブリード抑制能を更に高めることが可能となる。より好ましい下限は20質量%である。
これらの中でも、炭酸エステル類、脂肪族エステル類、エーテル類がより好ましく、カーボネート類が更に好ましい。
なお、上記導電性付与剤が非水系溶媒を含有する場合には、水分含量を制御することが好適であり、これにより、水に起因する影響が充分に軽減され、柔軟性や高分子材料とのなじみを良好なものとすることが可能となる。具体的には、非水系溶媒を含有する場合、上記導電性付与剤中の水分濃度の下限が1質量%であることが好適であり、より好ましくは0.1質量%である。また、上限値は0.01質量%であることが好ましい。
上記共役二重結合を有する窒素複素環カチオンとしては、上述した(I)の10種類の複素環オニウムカチオンや、上記(II)の5種類の不飽和オニウムカチオン等のうち、共役二重結合を有し、上記一般式(2)におけるLが窒素原子であるものが好適である。
上記アニオンを必須とする化合物の場合には、上記一般式(1)で表されるアニオンのアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩であることが好ましく、リチウム塩であることがより好ましい。このようなリチウム塩としては、上述した好ましいアニオンのリチウム塩の他にも、LiC(CN)3、LiSi(CN)3、LiB(CN)4、LiAl(CN)4、LiP(CN)2、LiP(CN)6、LiAs(CN)6、LiOCN、LiSCN等が好適である。
それ以外の化合物である場合には、導電性付与剤中での解離定数が大きい電解質塩であることが好ましく、例えば、LiCF3SO3、NaCF3SO3、KCF3SO3等のトリフロロメタンスルホン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩;LiN(CF3SO3)3、LiN(CF3CF3SO2)2等のパーフロロアルカンスルホン酸イミドのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩;LiPF6、NaPF6、KPF6等のヘキサフロロリン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩;LiClO4、NaClO4等の過塩素酸アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩;LiBF4、NaBF4等のテトラフロロ硼酸塩;LiAsF6、LiI、NaI、NaAsF6、KI等のアルカリ金属塩が好適である。これらの中でも、溶解性やイオン伝導度の点から、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、パーフロロアルカンスルホン酸イミドのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が好ましい。
上記無機酸化物微粒子としては、非電子伝導性、電気化学的に安定なものが好適である。このような微粒子としては、α、β、γ−アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、チタン酸バリウム、酸化チタン、ハイドロタルサイト等のイオン伝導性又は非電導性セラミックス微粒子が好適である。
上記無機酸化物微粒子の比表面積としては、できるだけ大きいことが好ましく、具体的には、BET法で5m2/g以上であることが好ましい。より好ましくは、50m2/g以上である。このような無機酸化物微粒子の結晶粒子径としては、上記導電性付与剤における他の構成要素と混合できればよいが、大きさ(平均結晶粒径)としては0.01μm以上が好ましく、また、20μm以下が好ましい。より好ましくは、0.01μm以上であり、また、2μm以下である。
上記無機酸化物微粒子の添加量としては、導電性付与剤100重量部に対して当該添加量の下限が100重量部であることが好ましい。100重量部を超えると、イオンの移動をより円滑にすることができないおそれがある。より好ましい下限は0.1重量部であり、また上限は20重量部である。
また、その他、無水酢酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物やその酸化合物、トリエチルアミン、メチルイミダゾール等の塩基性化合物を添加してもよい。添加量としては、導電性付与剤100質量%に対して、50質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.01質量%以上、20質量%以下である。
上記添加剤の含有量は特に限定されないが、例えば、導電性付与剤100質量%に対して、0.1質量%以上、また、20質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上、10質量%以下である。
上記イオン伝導度の測定方法としては、例えば、SUS電極を用いたインピーダンスアナライザーHP4294A(商品名、東陽テクニカ社製)やインピーダンスアナライザーSI1260(商品名、ソーラトロン社製)を用いて行う複素インピーダンス法により測定する方法が好適である。
上記粘度の測定方法としては、特に限定はないが、例えば、25℃において、TV−20形粘度計 コーンプレートタイプ(トキメック社製)を用いて測定する方法が好適である。
なお、添加方法や、混練方法、成形方法としては特に限定されず、通常用いられる方法を使用すればよい。
上記ゴムとしては、例えば、ウレタンゴム、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合ゴム、シリコンゴム、フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体ウレタンゴム、スチレンブタジエン共重合体ゴム及びそれらの発泡体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することが好ましい。
末端水酸基を有するエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体90部に導電性付与剤である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリシアノメチド10部を加えた後、温度70℃で加熱混練させ樹脂組成物を得た。次いで熱可塑性樹脂であるメタクリル酸メチル重合体(分子量:約20万)100部に、先に得られた樹脂組成物20部を添加し、テストロール機(日新科学社製、HR−2型)中、温度100℃で加熱混練して、厚さ2mmの均一なシートを得た。得られたシートの表面抵抗を表面抵抗測定機(三菱化学社製、HT−210)を用いて測定したところ、8×107(Ω)であった。また表面のブリードは観測されなかった。
実施例1におけるメタクリル酸メチル重合体の代わりにポリエステル樹脂(ボリブチレンテレフタレート)を用い上記樹脂組成物を20部添加し、テストロール機(日新科学社製、HR−2型)中、250℃で加熱混練して、厚さ1mmの均一なシートを得た。得られたシートの表面抵抗を実施例1と同様に測定したところ、6×107(Ω)であった。また表面のブリードは観測されなかった。
実施例1における1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリシアノメチドの代わりに1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネートを用いた以外同様の操作を行い、均一なシートを得た。得られたシートの表面抵抗を実施例1と同様に測定したところ、5×107(Ω)であった。また表面のブリードは観測されなかった。
グリセリンにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとをランダムに付加して、分子量3000としたポリエーテルポリオール100部に、ジフェニルメタンジイソシアネート20部、ジブチルチンラウレート0.1部、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリシアノメチド3部を混合し、温度100℃で加熱した金型に注入し2時間硬化させ成型体を得た。得られたシートの表面抵抗を実施例1と同様に測定したところ、2×107(Ω)であった。また表面のブリードは観測されなかった。
実施例1における1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリシアノメチドの代わりに過塩素酸リチウムを用いた以外同様の操作を行い、シートを得た。得られたシートの表面抵抗を実施例1と同様に測定したところ、5×108(Ω)であった。また表面にブリードが一部観測された。
Claims (4)
- イオン性液体を含んでなることを特徴とする導電性付与剤。
- 前記一般式(1)におけるXは、炭素原子(C)又は硫黄原子(S)であることを特徴とする請求項2に記載の導電性付与剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の導電性付与剤と、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び/又はゴムとを含有することを特徴とする導電性材料。
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