JP4117464B2 - 中抵抗ゴム組成物及びゴム部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中抵抗ゴム組成物及びゴム部材に関し、特に、電子写真感光体、転写プロセスに用いる転写ドラム及び転写ベルト、又は中間搬送ベルト、並びに現像プロセスに用いられる現像ブレード、現像ロール、帯電ロール等の電荷平坦化、除電及び帯電をするために用いて好適な中抵抗ゴム組成物及びゴム部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、レーザプリンタなどの電子写真装置や静電記録装置には、電荷平坦化、除電及び帯電をするために種々の中抵抗ゴム部材が用いられている。
【0003】
これらの中抵抗ゴム部材は、ポリウレタンやエピクロルヒドリンゴムなどのゴム基材に、導電剤を添加して所定の電気抵抗を有するものであり、導電性カーボンブラックなどの導電剤を添加した電子導電タイプと、過塩素酸リチウムなどのアルカリ金属塩を添加したイオン導電タイプと(特許文献1〜4等参照)、これらを併せたハイブリッドタイプとが知られている(例えば、特許文献5〜7等参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平05−173409号公報 (段落「0014」、「0025」等)
【特許文献2】
特開平05−281831号公報 (段落「0018」、「0028」等)
【特許文献3】
特開平10−045953号公報 (特許請求の範囲等)
【特許文献4】
特開平10−039582号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献5】
特開平06−035298号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献6】
特開平08−179592号公報 (特許請求の範囲)
【特許文献7】
特開2000−214659号公報 (段落「0032」〜「0035」等)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このうち、電子導電タイプのものは所望の中抵抗程度の導電性が安定して得られがたく、また、イオン導電タイプのものは温度や湿度、印加電圧の変化により抵抗値が変化してしまうという問題があった。さらに、過塩素酸リチウムなどのイオン導電剤は取扱いに危険が伴うという問題もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、安定して所望の抵抗値を得ることができる中抵抗ゴム組成物及びゴム部材を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、導電剤として少なくとも一種のイオン性液体を含有する未加硫ゴムからなり、前記イオン性液体が、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン及び下記式(1)から選択されるカチオンを含むことを特徴とする中抵抗ゴム組成物にある。
【化2】
(式中、R 2 はメチル基、R 3 は、エチル基またはブチル基を表わす。)
【0016】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記イオン性液体が、AlCl4 -、Al2Cl7 -、NO3 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、CF3COO-、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-、AsF6 -、SbF6 -、F(HF)n-、CF3CF2CF2CF2SO3 -、(CF3CF2SO2)2N-、CF3CF2CF2COO-の中から選択されるアニオンを含むことを特徴とする中抵抗ゴム組成物にある。
【0018】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、体積抵抗率が1×103〜1×109Ω・cmであることを特徴とする中抵抗ゴム組成物にある。
【0019】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様の中抵抗ゴム組成物を加硫したゴム状弾性体からなることを特徴とする中抵抗ゴム部材にある。
本発明の第5の態様は、電子写真感光体、転写プロセスに用いる転写ドラム及び転写ベルト、中間搬送ベルト、又は現像プロセスに用いられる現像ブレード、現像ロール、帯電ロールであることを特徴とする第4の態様に記載の中抵抗ゴム部材にある。
【0020】
かかる本発明では、導電剤としてイオン性液体を添加したので、所望の抵抗値を安定して得ることができる中抵抗ゴム組成物及びゴム部材を提供できる。
【0021】
ここで、イオン性液体とは、室温で液体である溶融塩であり、常温溶融塩とも呼ばれるものであり、特に、融点が70℃以下、好ましくは30℃以下のものをいう。このようなイオン性液体は、蒸気圧がない(不揮発性)、高耐熱性、不燃性、化学的安定である等の特性を有する。
【0022】
従って、イオン導電剤のように取扱い上の危険が少なく、溶剤を使用しなくてすむので、ゴムへの添加が容易であり、所望の中抵抗を容易に得ることができる。また、揮発性がないことから、ゴムと相溶すればブリードの心配もない。また、特に、水に溶けないイオン性液体(疎水性イオン性液体)を用いると、湿度依存性が小さく、導電性が安定すると考えられる。さらに、カーボンブラックのようにゴムを黒色にしてしまうこともないので、白色系又は着色した中抵抗ゴム部材を提供することもできる。
【0023】
本発明で用いることができるイオン性液体は上述した一般式(1)〜(4)で示されるカチオン(陽イオン)を有するものであり、例えば、イミダゾリウムイオンなどの環状アミジンイオン、ピリジニウムイオン、アンモニウムイオン、スルホニウム、ホスホニウムイオンなどの有機カチオンを陽イオンとするものである。一方、陰イオンとしては、AlCl4 −、Al2Cl7 −、NO3 −、BF4 −、PF6 −、CH3COO−、CF3COO−、CF3SO3 −、(CF3SO2)2N−、(CF3SO2)3C−、AsF6 −、SbF6 −、F(HF)n−、CF3CF2CF2CF2SO3 −、(CF3CF2SO2)2N−、CF3CF2CF2COO−などを挙げることができる。
【0024】
イオン性液体の具体例としては、下記式に表される有機カチオンと、下記式で表される対アニオンとの組み合わせからなるものを挙げることができる。
【0025】
【化9】
【0026】
物質の略語
EMI:1-ethyl-3-methylimidazole
BP: 1-butylpiperidine
P12:N-ethyl-N-methylpyrrolidine
TMPA:Trimethylpropylamine
【0027】
【化10】
【0028】
物質の略語
TFSI-: bis{(trifluoromethyl)sulfonyl}imide
【0029】
本発明では、ベースとなる未加硫ゴム(生ゴム)と相溶性を有するイオン性液体を用いればよく、特に限定されない。
【0030】
また、イオン性液体の中には水に対して不溶性のものがあり、湿度に対する安定性、芯がね等の金属への腐食問題等を考慮すると、水に対して不溶性のもの(疎水性イオン性液体)を用いるのが好ましい。
【0031】
未加硫ゴム及びこれを架橋したゴム状弾性体の材質は、特に限定されず、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ウレタンゴム(U)、クロルプレンゴム(CR)等を挙げることができる。特に、相溶性の観点から、ゴムの溶解度指数(SP値)が9.0以上であることが好ましい。また感光体に直接接触する部材については汚染性の問題から、ポリウレタン、エピクロルヒドリン系ゴムを用いるのが好ましい。
【0032】
本発明の中抵抗ゴム組成物及びゴム部材は、用途によっても異なるが、例えば、体積抵抗率が1×103〜1×109Ω・cm程度であり、このような所望の抵抗値が得られるようにイオン性液体の種類及び添加量を設定すればよい。
【0033】
本発明の中抵抗ゴム組成物は、未加硫状態でも安定した体積抵抗値を示し、経時変化も少ないという特徴を有する。したがって、イオン性液体を含有する未加硫ゴムの状態で流通させることも可能である。
【0034】
また、本発明の中抵抗ゴム組成物は、適宜、所定の手法で加硫成形し、中抵抗ゴム部材とすることができる。加硫は、一般的な硫黄加硫、過酸化物加硫などゴム素材に応じて適宜選択すればよい。
【0035】
このような中抵抗ゴム部材の形状は、ブロック状、ローラ状、ブレード状の何れでもよい。また、ブレード状のものは、トレール当接又はアゲンスト当接の何れで用いてもよい。
【0036】
なお、本発明の中抵抗ゴム部材は、本発明の目的に反しない範囲で、カーボンブラック、金属粉など電子導電剤や過塩素酸リチウムなどのイオン導電剤を併用してもよい。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
(実施例1〜5)
イオン性液体として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(EMITFSI)を用い、エピクロルヒドリン−エチレンオキシドゴム(ECO)ベース100重量部に対してEMITFSIを、0.1重量部、1重量部、5重量部、10重量部、20重量部それぞれ添加して練りこみ、160℃、20分の加硫条件でプレスし、120mm×120mmで、厚さ1.0mmの平板を作製した。
【0039】
(実施例6〜10)
ECOベースの代わりにアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)ベースを用いた以外は実施例1〜5と同様にして平板を作製した。
【0040】
(実施例11〜15)
イオン性液体として1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(EMITFSI)を用い、これをエステル系ポリオール100重量部に対して0.5重量部、1重量部、3重量部、5重量部、10重量部それぞれ添加し、さらに、鎖長延長剤、架橋剤及びイソシアネートを添加して混合反応させ、120mm×120mmで、厚さ1.0mmの平板を作製した。
【0041】
(実施例16)
EMITFSIの代わりに、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(BMITFSI)を、5重量部用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製した。
【0042】
(実施例17)
EMITFSIの代わりに、1−ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(BPTFSI)を5重量部用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製した。
【0043】
(実施例18)
EMITFSIの代わりに、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(P14TFSI)を5重量部用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製した。
【0044】
(実施例19)
EMITFSIの代わりに、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレイト(EMIBF4)を5重量部用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製した。
【0045】
(実施例20)
EMITFSIの代わりに、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレイト(EMIBF4)を3重量部用い、ECOベースの代わりにアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)ベースを用いた以外は実施例1と同様にして平板を作製した。
【0046】
(比較例1)
比較のため、EMITFSIを添加しない以外は実施例1と同様にして平板を作製した。
【0047】
(比較例2)
EMITFSIを添加しない以外は実施例6と同様にして平板を作製した。
【0048】
(比較例3)
EMITFSIを添加しない以外は実施例11と同様にして平板を作製した。
【0049】
(比較例4〜9)
EMITFSIの代わりにカーボンブラックを、0.1重量部、1重量部、5重量部、10重量部、15重量部、20重量部それぞれ添加した以外は、実施例1(ECO)と同様にして平板を作成した。
【0050】
(比較例10〜14)
EMITFSIの代わりに3フッ化酢酸ナトリウムを、0.1重量部、1重量部、5重量部、10重量部、20重量部それぞれ添加した以外は、実施例1と同様にして平板を作成した。
【0051】
(比較例15〜20)
EMITFSIの代わりにカーボンブラックを、0.1重量部、1重量部、5重量部、10重量部、15重量部、20重量部それぞれ添加した以外は、実施例6(NBR)と同様にして平板を作成した。
【0052】
(比較例21〜25)
EMITFSIの代わりに3フッ化酢酸ナトリウムを、0.1重量部、1重量部、5重量部、10重量部、20重量部それぞれ添加した以外は、実施例6(NBR)と同様にして平板を作成した。
【0053】
(比較例26〜27)
EMITFSIの代わりにカーボンブラックを、0.5重量部、1重量部それぞれ添加した以外は、実施例11(U)と同様にして平板を作成した。
【0054】
(比較例28)
EMITFSIの代わりに過塩素酸リチウムを3重量部添加した以外は、実施例11(U)と同様にして平板を作成した。
【0055】
(試験例1)
実施例1〜15及び、比較例1〜27の平板について、温度23℃、相対湿度50%の常温常湿環境において、体積抵抗率を測定した。体積抵抗率の測定には、その環境下のチャンバー内に各サンプルを所定時間放置した後、真鍮製の電極、電流測定器を用い、JIS K6723に準じて、直流100Vの電圧を印加し、1分間充電後の電流値の測定を行った。そして、下記式より、体積抵抗率を算出した。なお、主電極は直径50mm、高さ35mm、ガード電極は外径80mm、内径70mm、高さ10mm、対電極は300×150×2mmのものを用いた。
【0056】
【数1】
ρ=(πd2/4t)Rv
ρ :体積抵抗率(Ω・cm)
d :主電極の直径(cm)
t :試験片の厚さ(cm)
Rv:体積抵抗(Ω)
【0057】
この結果を図1〜図3に示す。
【0058】
この結果、イオン性液体を用いた実施例では、添加部数に対し体積抵抗率(対数値)は緩やかに低下するため、目的の抵抗値を得られやすいが、カーボンブラックを用いた比較例では、添加部数に対しある部数まで抵抗の低下は無く、それ以降添加すると、急激に抵抗が低下するといった傾向があった。また、アルカリ金属イオンを用いた比較例では、添加部数に対しイオン性液体を用いた実施例と同様に体積抵抗率は緩やかに低下したが、抵抗低下度合いは悪く、また5部以上添加したゴムでは数日放置しておくとブルームするといった問題があった。従って、イオン性液体を用いた実施例の方が、カーボンブラックを用いた比較例、アルカリ金属イオンを用いた比較例と比較して、抵抗低下が少部数で可能であり、また、目的の抵抗値を得られやすく、ゴムとの相溶性が良いことから、アルカリ金属イオンで懸念されるブルーム、ブリードの問題も無いことがわかった。
【0059】
(試験例2)
種々のイオン性液体において、カールフィッシャーにより水分量測定を行った。35℃85%の高温高湿環境に放置したイオン性液体の水分量を経過日数ごとに測定し、飽和水分量を測定した。この結果を図4に示す。
【0060】
この結果より、疎水性イオン性液体では水分量が約1.5%程度で飽和したが、水に可溶なイオン性液体(親水性イオン性液体)EMIBF4では水分量は30%以上となり、高温高湿下に親水性イオン性液体を放置しておくと、水分を吸湿していくことがわかった。このため、親水性イオン性液体含有ゴムでは芯がね、金型等の金属の酸化を促進してしまう問題があることがわかった。
【0061】
(試験例3)
実施例3、4、9、14、16〜19及び比較例1、8、14、20、25、26、28の平板について、温度35℃、相対湿度を30%から80%まで変化させ、各環境下で5時間放置した後の体積抵抗率を同様に測定した。
【0062】
この結果を図5〜図8に示す。
【0063】
この結果、イオン性液体を用いた場合には、アルカリ金属イオンを用いた場合より、ベースゴム材質によらず、湿度依存性が小さいことがわかった。
【0064】
また、図8からイオン性液体の種類を変えても湿度依存性の傾向が同等に小さいことがわかり、親水性イオン性液体を用いた実施例19でも同様に湿度依存性が低いことがわかった。
【0065】
なお、親水性イオン性液体を用いた実施例19(ECOベース)および実施例20(NBRベース)では、ゴム練りを行ったロールにわずかに錆の発生が認められた。
【0066】
(試験例4)
実施例5、9、13、19、20及び、比較例1、2、9、14、19、25、26、28の平板について、温度10℃、相対湿度20%の低温低湿環境(LL)、温度25℃、相対湿度50%の常温常湿環境(NN)、及び温度35℃、湿度85%の高温高湿環境(HH)のそれぞれにおいて、体積抵抗率を同様に測定した。この結果を図9〜図11に示す。
【0067】
この結果から、ベースゴム材質ECO、Uに疎水性イオン性液体を用いた場合には、アルカリ金属イオンを用いた場合より、環境依存性が小さいことがわかった。
【0068】
また、親水性イオン性液体を用いた場合は、ベースゴムがECOでは図9に示すようにアルカリ金属イオンと同等に環境依存性が高くなってしまうが、ベースゴムがNBRでは、図10に示すように疎水性イオン性液体と同等な環境依存性を示すことがわかった。
【0069】
なお、ベースゴム材質にNBRを用いた場合は、環境をLL〜NN〜HHに変化させた時、アルカリ金属イオンが表面にブルームしてしまい、正確な体積抵抗率値が測定不可能であった。
【0070】
(試験例5)
実施例3、9、15及び比較例8、13、20、24、26、28の平板について、温度23℃、相対湿度50%の常温常湿環境において、印加電圧を10V〜1000Vに変化させて体積抵抗率を同様に測定した。この結果を図12〜図14に示す。
【0071】
この結果からイオン性液体を用いた場合には、カーボンブラックを用いた場合より、ベースゴム材質によらず、電圧依存性が小さいことがわかった。
【0072】
(試験例6)
実施例1〜15、比較例1〜7、9〜28について、硬度Hs(JIS K6253 タイプA)、反発弾性Rb(JIS K6255)、引張強度Tb及び、切断時の伸びEb(JIS K6251)、引裂強度Tr(JIS K6252)、圧縮永久歪Csをそれぞれ測定した。この結果を表1〜表3に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
この結果、ベースゴム材質によらず、カーボンブラックを添加した比較例については、添加部数増加と共に大きな硬度上昇が見られ、それに伴って引張強度が上昇した。アルカリ金属イオンを用いた比較例についてもまた、ベースゴム材質によらず、反発弾性の低下が見られたが、イオン性液体を10phr以下の配合とした実施例では、無添加のものとほぼ同等の物性を示すことがわかった。
【0077】
(実施例21〜23)
イオン性液体として、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド(EMITFSI)を用い、エピクロルヒドリン−エチレンオキシドゴム(ECO)ベース100重量部に対してEMITFSIを、1重量部、5重量部、20重量部それぞれ添加して練りこんで、中抵抗ゴム組成物を製造した。
【0078】
(実施例24〜26)
ECOベースの代わりにアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)ベースを用いた以外は実施例21〜23と同様にして中抵抗ゴム組成物を作製した。
【0079】
(実施例27〜30)
ECOベースの代わりに、ウレタンゴムの原料であるポリオールを用い、EMITFSIを1重量部、5重量部、10重量部、20重量部用いた以外は実施例21〜23と同様にして中抵抗ゴム組成物を作製した。
【0080】
(比較例29)
比較のため、EMITFSIを添加しない以外は実施例21と同様にして中抵抗ゴム組成物を作製した。
【0081】
(比較例30)
EMITFSIを添加しない以外は実施例24と同様にして中抵抗ゴム組成物を作製した。
【0082】
(比較例31)
EMITFSIを添加しない以外は実施例27と同様にして中抵抗ゴム組成物を作製した。
【0083】
(試験例7)
実施例21〜30及び比較例29〜31の中抵抗ゴム組成物(未加硫ゴム)について、温度25℃、相対湿度50%の常温常湿環境において、試験例1と同様に体積抵抗率を測定した。
【0084】
実施例21〜26及び比較例29及び30(生ゴムECO及びNBR)については、厚さ1mmの平板を作成して試験例1と同様に体積抵抗率を測定した。また、実施例27〜30及び比較例31(ポリオール)については液体なので、体積抵抗率測定は、10mm×18mmの電極を8mm間隔で挿入し、両電極間に直流100Vの電圧を印加して測定した。
【0085】
この結果を図15に示す。
【0086】
この結果より、生ゴムにイオン性液体を添加することにより、導電性を有するゴムを提供でき、また、ポリオールにイオン性液体を添加することにより、導電性を有するポリオールを提供することが出来ることがわかった。また、未加硫ゴムにおいても、イオン性液体を添加した実施例で、添加部数に対し体積抵抗率(対数値)は緩やかに低下し、目的の抵抗値を得られやすいことが認められた。
【0087】
したがって、未加硫状態でも、抵抗低下が少部数で可能であり、また、目的の抵抗値を得られやすく、ゴムとの相溶性が良いことから、ブリードの問題も無いという効果を奏し、これら導電性を有するゴム、ポリオールを用いてゴムを成形加工することにより、導電性を有するゴム成形品を得ることが可能であることがわかった。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、導電剤としてイオン性液体を用いるので、比較的容易に所定の抵抗値に設定することができ、物性変化、湿度依存性がなく、環境依存性、電圧依存性が低い中抵抗ゴム組成物及びゴム部材を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1の結果を示すグラフである。
【図2】試験例1の結果を示すグラフである。
【図3】試験例1の結果を示すグラフである。
【図4】試験例2の結果を示すグラフである。
【図5】試験例3の結果を示すグラフである。
【図6】試験例3の結果を示すグラフである。
【図7】試験例3の結果を示すグラフである。
【図8】試験例3の結果を示すグラフである。
【図9】試験例4の結果を示すグラフである。
【図10】試験例4の結果を示すグラフである。
【図11】試験例4の結果を示すグラフである。
【図12】試験例5の結果を示すグラフである。
【図13】試験例5の結果を示すグラフである。
【図14】試験例5の結果を示すグラフである。
【図15】試験例7の結果を示すグラフである。
Claims (5)
- 請求項1において、前記イオン性液体が、AlCl4 -、Al2Cl7 -、NO3 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、CF3COO-、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-、AsF6 -、SbF6 -、F(HF)n-、CF3CF2CF2CF2SO3 -、(CF3CF2SO2)2N-、CF3CF2CF2COO-の中から選択されるアニオンを含むことを特徴とする中抵抗ゴム組成物。
- 請求項1又は2において、体積抵抗率が1×103〜1×109Ω・cmであることを特徴とする中抵抗ゴム組成物。
- 請求項1〜3の何れかの中抵抗ゴム組成物を加硫したゴム状弾性体からなることを特徴とする中抵抗ゴム部材。
- 電子写真感光体、転写プロセスに用いる転写ドラム、転写ベルト、中間搬送ベルト、又は現像プロセスに用いられる現像ブレード、現像ロール、帯電ロールであることを特徴とする請求項4に記載の中抵抗ゴム部材。
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