JP5237681B2 - 潤滑油基油および潤滑油組成物 - Google Patents
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一方、近年、カチオンとアニオンとから構成されたイオン液体が優れた熱安定性と高いイオン伝導性を有し、空気中でも安定な液体となることが報告されて以来(例えば、非特許文献1参照)、その熱安定性(難揮発性、難燃性)、高イオン密度(高イオン伝導性)、大熱容量、低粘性などの特徴を活かして様々な用途、例えば太陽電池などの電解液(例えば、特許文献1参照)、抽出分離溶媒、反応溶媒などとして応用研究が積極的に行われている。
そして、このようなイオン液体を潤滑油の基油として用いた例が報告されている(例えば、特許文献2参照)。イオン液体は、分子間が分子性液体のように分子間引力で結びついているのではなく、強力なイオン結合で結びついているため、揮発し難く、難燃性であり、熱や酸化に対して安定な液体である。そのため、低粘度であっても低蒸発性であり、さらに耐熱性にも優れている。
そこで本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、イオン液体を含み、低粘度であっても蒸気圧が低く、引火の危険性もなく、さらに耐熱性に優れ、従来の炭化水素系潤滑油と比べて何ら遜色のない摩擦特性を有し、高温下、真空下などの極めて厳しい条件の下でも長期間使用することができるとともに、水分混入時あるいは高湿度環境下においても金属に対する腐食性の低い潤滑油基油およびこの基油を用いた潤滑油組成物を提供することを目的とする。
〔1〕一般式Z+A−(Z+はカチオンを意味し、A−はアニオンを意味する。)で示される化合物からなるイオン液体を含む潤滑油基油であって、前記Z + が有機ケイ素化合物残基を有し、前記有機ケイ素化合物残基がトリメチルシリルメチル基、トリメチルシリルプロピル基およびペンタメチルジシロキシメチル基のうちいずれかであることを特徴とする潤滑油基油。
〔4〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一つに記載の潤滑油基油において、前記イオン液体の引火点が200℃以上であることを特徴とする潤滑油基油。
〔5〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一つに記載の潤滑油基油において、前記イオン液体の流動点が0℃以下であることを特徴とする潤滑油基油。
〔6〕上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一つに記載の潤滑油基油において、前記Z+およびA−のいずれにも有機ケイ素化合物残基を有さない化合物からなるイオン液体を1〜99質量%の範囲で含むことを特徴とする潤滑油基油。
〔7〕上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一つに記載の潤滑油基油に、酸化防止剤、油性剤、極圧剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、防錆剤、金属不活性化剤および消泡剤の少なくともいずれかを配合したことを特徴とする潤滑油組成物。
ここで、有機ケイ素化合物残基は、金属への腐食性を抑える効果の点でアルキルシリル基およびアルキルポリシロキサン基のうち少なくともいずれかであることが好ましい。有機ケイ素化合物残基としては、具体的には下記式(1)〜(6)のいずれかで示される構造のものが好ましい。
これらの基本骨格に、前記した有機ケイ素化合物残基が結合することで本発明のイオン液体とすることができる。また、これらの基本骨格の中では、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、アルキルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、アルキルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、アルキルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、アルキルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル(2−メトキシエチル)アンモニウムヘキサフルオロホスフェートおよびN,N−ジエチル−N−メチル(2−メトキシエチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いることが低粘度、低蒸発性および耐熱性のバランスの点で好ましい。
上記イオン液体の40℃における動粘度は、蒸発損失、および粘性抵抗による動力損失を抑える点から、1〜1000mm2/sが好ましく、より好ましくは2〜320mm2/s、さらに好ましくは5〜100mm2/sである。
上記イオン液体の流動点は、低温時に粘性抵抗が増大することを抑える点から、0℃以下であることが好ましく、−10℃以下がより好ましく、さらにより好ましくは−20℃以下、最も好ましくは−30℃以下である。
上記イオン液体の引火点は、基油の蒸発量を少なくする点から、200℃以上が好ましく、より好ましくは250℃以上、さらに好ましくは300℃以上である。
上記イオン液体の粘度指数は、温度に対する粘度変化が大きくなりすぎないようにする点から、80以上が好ましく、より好ましくは100以上、さらに好ましくは120以上である。
酸化防止剤としては、従来の炭化水素系潤滑油に使用されているアミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤,硫黄系酸化防止剤を使用することができる。これらの酸化防止剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。アミン系酸化防止剤としては、例えば、モノオクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン系化合物、4,4’−ジブチルジフェニルアミン、4,4’−ジペンチルジフェニルアミン、4,4’−ジヘキシルジフェニルアミン、4,4’−ジヘプチルジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、4,4’−ジノニルジフェニルアミンなどのジアルキルジフェニルアミン系化合物、テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テトラノニルジフェニルアミンなどのポリアルキルジフェニルアミン系化合物、α−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、ブチルフェニル−α−ナフチルアミン、ペンチルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン、オクチルフェニル−α−ナフチルアミン、ノニルフェニル−α−ナフチルアミンなどのナフチルアミン系化合物が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、五硫化リンとピネンとの反応物などのチオテルペン系化合物、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどのジアルキルチオジプロピオネートなどが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては,トリフェニルフォスファイト,ジエチル[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネートなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤の配合量は、潤滑油全量基準で、通常0.01〜10質量%程度であり、好ましくは0.03〜5質量%である。
硫黄、リンおよび金属を含む極圧剤としては、ジアルキルチオカルバミン酸亜鉛(Zn−DTC)、ジアルキルチオカルバミン酸モリブデン(Mo−DTC)、ジアルキルチオカルバミン酸鉛、ジアルキルチオカルバミン酸錫、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(Zn−DTP)、ジアルキルジチオリン酸モリブデン(Mo−DTP)、ナトリウムスルホネート、カルシウムスルホネートなどが挙げられる。分子中にリンを含む極圧剤として代表的なものは、トリクレジルフォスフェートなどのリン酸エステル類およびそのアミン塩である。これら極圧剤の配合量は、配合効果および経済性の点から、組成物全量基準で、通常0.01〜30質量%程度であり、より好ましくは0.01〜10質量%である。
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体など)、分散型オレフィン系共重合体、スチレン系共重合体(例えば、スチレン−ジエン水素化共重合体など)などが挙げられる。これら粘度指数向上剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油全量基準で、通常0.5〜35質量%程度であり、好ましくは1〜15質量%である。
防錆剤としては、金属系スルホネート、コハク酸エステル、アルキルアミンおよびモノイソプロパノールアミン等のアルカノールアミンなどを挙げることができる。これら防錆剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油全量基準で、通常0.01〜10質量%程度であり、好ましくは0.05〜5質量%である。
金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール、チアジアゾールなどを挙げることができる。これら金属不活性化剤の好ましい配合量は、配合効果の点から、潤滑油全量基準で、通常0.01〜10質量%程度であり、好ましくは0.01〜1質量%である。
消泡剤としては、メチルシリコーン油、フルオロシリコーン油、ポリアクリレートなどを挙げることができる。これらの消泡剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油全量基準で、通常0.0005〜0.01質量%程度である。
また、合成油としては、例えば、低分子量ポリブテン、低分子量ポリプロピレン、炭素数8〜14のα−オレフィンオリゴマーおよびこれらの水素化物、ポリオールエステル(例えば、トリメチロールプロパンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステルなど)、二塩基酸エステル、芳香族ポリカルボン酸エステル(例えば、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステルなど)、リン酸エステルなどのエステル化合物、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどのアルキルアロマ系化合物、シリコーン油、フッ素系オイル(例えば、フルオロカーボン、パーフルオロポリエーテルなど)などが挙げられる。
これらのその他の基油は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の潤滑油組成物においては、粘度の低下や腐食を防止する点から、水分混入量が組成物基準で3000質量ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500質量ppm以下、特に好ましくは100質量ppm以下である。潤滑油組成物に対する水分混入量を500質量ppmとするには潤滑油基油として非水溶性のイオン液体を用いることが好ましい。
例えば、エンジンなどの内燃機関、流体継手や自動変速機(AT:Automatic Transmission)あるいは無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)に代表されるトルク伝達装置、軸受(すべり軸受、転がり軸受、含油あるいは含浸軸受、流体軸受)、コンプレッサーなどの圧縮装置、チェーン、歯車、油圧装置、真空ポンプ、時計部品、ハードディスク、航空機や人工衛星等の航空宇宙機器、密封装置、およびモータ機器などに好適である。また、ボールネジや転がり案内面などの転動装置、クラッチ内蔵型回転伝達装置、パワーステアリング装置、レシプロ型圧縮機、およびターボチャージャーにも適用可能である。
本発明の潤滑油基油は、グリースの基油としても適用可能である。グリースの増稠剤としては、リチウム塩やカルシウム塩などの金属石けん系や非金属系がある。非金属系の増稠剤としては、例えば、ベントナイト、シリカ、フッ素樹脂パウダーなどが好適である。また、本発明の潤滑油基油は、グリース以外のゲル状物質の基油としても適用可能である。
本発明の潤滑油基油(潤滑油組成物)を用いた物理蒸着装置や化学蒸着装置は、例えば、ディスプレイ素子の製造に好適である。
(1)動粘度:
JIS K2283に規定される「石油製品動粘度試験方法」に準拠して測定した。
(2)粘度指数:
JIS K2283に規定される「石油製品動粘度試験方法」に準拠して測定した。
(3)流動点:
JIS K2269に準拠して測定した。
(4)酸価:
JIS K2501に規定される「潤滑油中和試験方法」に準拠し、電位差法により測定した。
(5)引火点:
JIS K2265に準拠し、C.O.C法により測定した。
示差熱分析装置を用い、温度を10℃/minの割合で昇温し、初期質量から5%減少した温度を測定した。5%質量減温度が高いほど、耐蒸発性、耐熱性に優れると言える。(7)摩擦特性(LWI):
ASTM D2783に準拠し、回転数1800rpm、室温の条件で測定した。最大非焼付荷重(LNL)と融着荷重(WL)から荷重摩耗指数(LWI)を求めた。この値が大きいほど耐荷重性が良好である.
(8)腐食性:
蒸留水5mlと、試料(イオン液体)5mlとを混合した溶液に、短冊状にカットした純度99.9%の鉄板を浸漬した。溶液の温度を60℃に設定し、鉄板を168時間浸漬した後、試料層(イオン液体層)の外観を観察した。茶褐色または黒色状の変色が認められた場合を錆あり(腐食あり)と判断した。
(1)イオン液体1:1―メチル−3−トリメチルシリルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
500mLフラスコに冷却管および滴下ロートを取り付け、窒素雰囲気下で1−メチルイミダゾール(31.2mL、365mmol)を加えた。この中へトリメチルシリルメチルクロライド(51.4mL、369mmol)を滴下した後、90℃に昇温して8時間反応させた(反応が完結していなければ、原料(有機層)と生成物(イオン液体)の2層に分離したままなので、均一層となるまで反応を継続する)。反応終了後、室温に戻したところ比較的粘性の高い体が得られ、これを酢酸エチルで数回洗浄した。その後、真空ポンプで減圧しながら80℃で6時間加熱攪拌し、1―メチル−3−トリメチルシリルメチルイミダゾリウムクロライド(ハロゲン体)を得た(67g、329mmol)。
次に、500mLのフラスコにリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(99g、345mmol)を準備し、これに上記ハロゲン体(67g、329mmol)の塩化メチレン溶液を100mL滴下した。この反応混合物を室温下約24時間攪拌した後、フィルター付きのカニュラを使って反応液を分液ロートに移した。この時、フラスコに残留する白色塩に対し塩化メチレン洗浄・抽出を数回繰り返した。集めた塩化メチレン溶液は純水で数回洗浄した。洗浄後、水層を1〜2mL採取して、0.5M硝酸銀水溶液約1mLと反応させ沈殿の有無を確認した(もし、白色沈殿が見られれば塩化物イオンが完全に除去できていないので、これが見えなくなるまで洗浄を繰り返す。)。水洗浄の完了後、ロータリーエバポレータで濃縮し、活性炭を少量加えて、室温下数日間攪拌した。この混合物を中性アルミナのカラムに通し、真空ポンプで加熱攪拌(60℃、12時間)することで目的物(133g、296mmol)が得られた。この化合物の化学式を下記する。
<N,N−ジエチル−N−トリメチルシリルメチルアミンの合成>
3Lフラスコに冷却管、滴下ロートを取り付け、窒素雰囲気下ジエチルアミン(1.1
7L、11mol)、MeOH(0.5L)を加えた。この中へヨウ化トリメチルシラン(0.166L、1mol)を滴下した後、55℃に昇温して24時間反応させた。反応終了後、室温へ戻し、ペンタン(2L)と5質量%炭酸カリウム水溶液(0.4L)の混合液へ注いだ。有機層を分離した後、蒸留水で数回洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒をロータリーエバポレータで留去して、真空ポンプで減圧することで目的物N,N−ジエチル−N−トリメチルシリルメチルアミン(132g、0.829mol、83%)を得た。
<N,N−ジエチル−N−ヘキシル−N−トリメチルシリルメチルアンモニウムヨージドの合成>
1Lフラスコに、窒素雰囲気下,上記化合物N,N−ジエチル−N−トリメチルシリルメチルアミン(51.2g、321mmol)、アセトニトリル(270mL)を加え、氷浴下ヨウ化ヘキサン(72g、337mmol)を滴下した。滴下終了後、80℃に昇温して17時間反応させた。反応終了後、室温へ戻し、ジエチルエーテルと酢酸エチルで数回洗浄することで化合物N,N−ジエチル−N−ヘキシル−N−トリメチルシリルメチルアンモニウムヨージド(97g、261mmol、81%)を得た。
<N,N−ジエチル−N−ヘキシル−N−トリメチルシリルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの合成>
1Lのフラスコに上記化合物N,N−ジエチル−N−ヘキシル−N−トリメチルシリルメチルアンモニウムヨージド(97g、261mmol)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(78.5g、273mmol)、塩化メチレン200mL、蒸留水100mLを加え、この反応混合物を室温下2〜3時間攪拌した後、下層を分液ロートに移した。純水で数回洗浄した後、ロータリーエバポレータで濃縮し、活性炭を少量加えて、室温下数日間攪拌した。この混合物を中性アルミナのカラムに通し、真空ポンプで加熱攪拌(60℃、12時間)することで目的化合物N,N−ジエチル−N−ヘキシル−N−トリメチルシリルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(129g、246mmol、94%)を得た。この化合物の化学式を下記する。
<N,N−ジエチル−N−オクチル−N−トリメチルシリルメチルアンモニウムヨージドの合成>
イオン液体2の合成において、ヨウ化ヘキサンを用いる代わりに、ヨウ化オクタン(80.9g、337mmol)を用いたこと以外は同様に操作して目的化合物N,N−ジエチル−N−オクチル−N−トリメチルシリルメチルアンモニウムヨージド(101g、253mmol、79%)を得た。
<N,N−ジエチル−N−オクチル−N−トリメチルシリルメチルアンモニウム ビス(
トリフルオロメタンスルホニル)イミドの合成>
イオン液体2の合成において、N,N−ジエチル−N−ヘキシル−N−トリメチルシリルメチルアンモニウムヨージドを用いる代わりにN,N−ジエチル−N−オクチル−N−トリメチルシリルメチルアンモニウムヨージド(101g、253mmol)を用いたこと以外は同様に操作して目的化合物N,N−ジエチル−N−オクチル−N−トリメチルシリルメチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(131g、2
38mmol、94%)を得た。この化合物の化学式を下記する。
この化合物の化学式を下記する。
この化合物の化学式を下記する。
イオン液体6は、対応するイミダゾール骨格とトリメチルシリルアルキル残基を形成する原料を用い、イオン液体1の製造法に準じて合成した。後述するイオン液体7〜9についても同様である。
表1〜2に示す配合処方により潤滑油組成物を調製し、上記各特性について測定した。その結果を配合処方と合わせて表1〜2に示す。
極圧剤1;トリクレジルフォスフェート
極圧剤2;ジベンジルジサルファイド
防錆剤;モノイソプロパノールアミン
金属不活性化剤;ベンゾトリアゾール
Claims (7)
- 一般式Z+A−(Z+はカチオンを意味し、A−はアニオンを意味する。)で示される化合物からなるイオン液体を含む潤滑油基油であって、
前記Z + が有機ケイ素化合物残基を有し、
前記有機ケイ素化合物残基がトリメチルシリルメチル基、トリメチルシリルプロピル基およびペンタメチルジシロキシメチル基のうちいずれかであることを特徴とする潤滑油基油。 - 請求項1に記載の潤滑油基油において、
前記A−が、BF4 −、PF6 −、CnH(2n+1)OSO3 −、[CnF(2n+1−x)Hx)SO2]2N−、(CnF(2n+1−x)Hx)COO−、NO3 −、CH3SO3 −、(CN)2N−、HSO3 −、C6H5SO3 −、CH3(C6H4)SO3 −、(FSO2)2N−、PF6−y(CnF2n−1)y −、BF4−z(CnF2n−1)z −、FeCl4 −(前記式中、nは1〜8の整数、xは0〜17の整数、yは1〜6の整数、zは1〜4の整数である。)、
および下記式(16)〜(27)で示されるいずれかの構造からなるアニオンであることを特徴とする潤滑油基油。
(式中、R13〜R20は、それぞれ独立して、水素原子、内部にエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜18のアルキル基である。また、アルキル基は、水酸基を有していてもよい。) - 請求項1または請求項2に記載の潤滑油基油において、
前記イオン液体の40℃動粘度が1〜1000mm2/sであることを特徴とする潤滑油基油。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の潤滑油基油において、
前記イオン液体の引火点が200℃以上であることを特徴とする潤滑油基油。 - 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の潤滑油基油において、
前記イオン液体の流動点が0℃以下であることを特徴とする潤滑油基油。 - 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の潤滑油基油において、
前記Z+およびA−のいずれにも有機ケイ素化合物残基を有さない化合物からなるイオン液体を1〜99質量%の範囲で含むことを特徴とする潤滑油基油。 - 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の潤滑油基油に、
酸化防止剤、油性剤、極圧剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、防錆剤、金属不活性化剤および消泡剤の少なくともいずれかを配合したことを特徴とする潤滑油組成物。
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