JP5510328B2 - フッ素ゴム組成物及びフッ素ゴム架橋体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はフッ素ゴム組成物及びフッ素ゴム架橋体の製造方法に関し、詳しくは金属に非粘着でクリーン性の高いフッ素ゴム組成物及びフッ素ゴム架橋体の製造方法に関する。
従来より、フッ素ゴムは、他の汎用ゴムと同様にゴム本来の特性であるゴム弾性を有し、しかも他の汎用ゴムに比べて耐熱性、耐油性、耐薬品性などの特性に優れているので、それらの特性を生かして、例えば、O−リング、パッキン、ガスケットなどに代表される漏洩防止用ゴム部品、防振ゴム、ベルト、ゴム引布などとして、或いはプリンターヘッド、ハードディスク(HDD)装置のヘッド制御部などの衝撃吸収ストッパー部品、より具体的には、HDD装置内の読み取りアームの誤動作抑制等を目的として設置するストッパーなどとして様々な用途に用いられている。
このような従来のフッ素ゴムは、ゴム表面が粘着するため、その製造に際して、架橋ゴム表面に粘着防止剤処理をする場合がある。しかし処理コストが高くなり、また粘着処理剤の脱落による使用部位周辺の汚染等の懸念があり最適な方法とはいえない。
また従来のフッ素ゴムを、例えばHDDヘッド制御部などの衝撃吸収ストッパー部品として用いると、ストッパーとアームの粘着による誤作動が問題となる。
ここで、ストッパーとは、先端に記憶読み取り用ヘッド部を有するアームが待機する際のヘッド部可動範囲の位置(アーム振れ位置)を規定し、さらに、アーム作動後、もしくは待機する際のアーム誤動作抑制のために衝撃吸収等を行うことを目的として設置される部分である。
また近年、このストッパーとしては、ゴム中に磁石を組み込み、磁力によりアームを固定するマグネットフォルダータイプのストッパー、或いはアームの両側にストッパーを配置したクラッシュストップタイプのストッパーが増加している。
さらに近年、電気・電子部品業界全体に、ハロゲン(特に塩素、臭素)低減の動きがあり、HDDヘッド制御部などの衝撃吸収ストッパー部分においてもハロゲン物質の低減が求められている。
これらのことからすると、ストッパー用ゴム架橋体に要求される性能ないし物性としては、
(1)アーム衝突時の衝撃吸収性に優れること、
(2)アーム待機時に磁力などによりゴム/アーム(金属)が圧着されている必要があるが、粘着しない(非粘着性である)こと、
(3)クリーンであること、
(4)ハロゲン物質(塩素)不含有であること、
の4項目が挙げられる。
特許文献1では、ポリオール架橋可能なフッ素ゴムに、架橋剤としてビスフェノールAF、架橋促進剤としてトリフェニルベンジルホスホニウムクロライドを用い、低摩擦化できることを見出している。
しかしながら、この手法は、(1)衝撃吸収性、(2)非粘着性、(3)クリーンであるという点では問題が少ないものの、架橋促進剤に塩素を含有するため要求を満足させることができない。
特許文献2では、ポリオール架橋可能なフッ素ゴムに、架橋剤としてビスフェノールAF、架橋促進剤として5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフルオロボレートを用い、かつ、前記架橋促進剤と前記ポリオール系架橋剤との重量比X(第4級アンモニウム塩/ポリオール系架橋剤)が0.40〜0.60であり、架橋促進剤の配合量がフッ素ゴム100重量部に対して0.95〜20重量部、架橋剤が0.4〜20重量部のフッ素ゴム組成物が提案されている。
しかしながら、この手法は、(1)衝撃吸収性、(4)ハロゲン不含有という点では問題が少ないものの、粘着性のバラツキが大きく、また、HDDの記録密度向上に伴ってHDD関連部材の化学汚染を中心としたコンタミネーションコントロールがますます重要視されている中において、溶出イオン、LPC(Liquid Particle Counter)等のクリーン性の点からみた高レベルの要求を満足させることができなくなってきている。
国際公開第2004/094479号 国際公開第2007/058038号
そこで、本発明の課題は、(1)アーム衝突時の衝撃吸収性に優れ、(2)非粘着であり、(3)クリーンであり、(4)ハロゲン物質(塩素)不含有であるフッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋体の製造方法及び衝撃吸収ストッパーを提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかになる。
上記課題を解決する本発明に係るフッ素ゴム組成物は、フッ素ポリマーからなるポリオール架橋可能なフッ素ゴムと、ポリオール系架橋剤と、カウンターイオンにBF を持つ塩とを含有し、
前記ポリオール系架橋剤を前記フッ素ポリマー100重量部に対して、有効成分として、1.25〜3.0重量部含有し、
前記カウンターイオンにBF を持つ塩を、前記フッ素ポリマー100重量部に対して、0.700〜0.900重量部含有することを特徴とする。
また、上記課題を解決する本発明に係るフッ素ゴム架橋体の製造方法は、上記のフッ素ゴム組成物を、予めポリオール架橋した後、次いで、200℃〜300℃の温度範囲で0.1〜48時間熱処理することにより、架橋体を得ることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、上記の製造方法によって得られた架橋体は、
(1)ホールディングトルク増加率が平均して30%以下であり、
(2)リキッドパーティクルカウンター(残渣塵埃測定器)で測定した微細な塵埃が、6.0k Count/cm以下であり、
又は、(3)イオンクロマトグラフ(残渣イオン測定器)で測定した陰イオン、陽イオンの総量がそれぞれ0.3μg/cm以下である特性を備えていることである。
本発明において、得られた架橋体がこれらの特性を全て備えていることは、さらに好ましいことである。
上記課題を解決する本発明に係る衝撃吸収ストッパーは、上記の製造方法によって得られたフッ素ゴム架橋体を用いて形成されることを特徴とする。
本発明によれば、(1)アーム衝突時の衝撃吸収性に優れ、(2)非粘着であり、(3)クリーンであり、(4)ハロゲン物質(塩素)不含有であるフッ素ゴム組成物、フッ素ゴム架橋体の製造方法、及び衝撃吸収ストッパーを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
〔フッ素ゴム組成物〕
本発明のフッ素ゴム組成物は、フッ素ポリマーからなるポリオール架橋可能なフッ素ゴムと、ポリオール系架橋剤と、カウンターイオンにBF を持つ塩とを含有する。
<ポリオール架橋可能なフッ素ゴム>
ポリオール架橋可能なフッ素ゴム(ポリオール架橋系フッ素ゴム)としては、1種又は2種以上の含フッ素オレフィンの重合体又は共重合体を用いることができる。
含フッ素オレフィンとしては、具体的には、例えば、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニル、パーフルオロアクリル酸エステル、アクリル酸パーフルオロアルキル、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテル等が挙げられる。
このようなポリオール架橋系フッ素ゴムとしては、好ましくは、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン2元共重合体(略称:VDF−HFP)、テトラフルオロエチレン−プロピレン2元共重合体(略称:TFE−P)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン3元共重合体(略称:VDF−HFP−TFE)等が挙げられる。
これらのフッ素ゴムは、従来公知の方法により、溶液重合、懸濁重合または乳化重合させることにより得られ、市販品として入手できる(例えば、デュポン社製「バイトンA500」など)。
<架橋剤>
ポリオール系架橋剤としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン[ビスフェノールAF]が好ましく用いられ、アルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩の形であってもよい。
ポリオール系架橋剤は、原料ゴムとビスフェノールAFとを含む市販のマスターバッチを用いてもよい。市販のマスターバッチとしては、例えばキュラティブVC#30(デュポン・ダウ・エラストマー社製:架橋剤〔ビスフェノールAF〕50wt%含有)等が挙げられる。
<架橋促進剤>
本発明において、架橋促進剤として用いられる「カウンターイオンにBF (テトラフルオロホウ酸イオン)を持つ塩」としては、下記化1で示される第4級アンモニウム塩を用いることができる。
Figure 0005510328


上記式中、Rは炭素数1〜24のアルキル基または炭素数7〜20のアラルキル基を表わし、XはBF 基(テトラフルオロボレート基)を表わす。
好ましい第4級アンモニウム塩としては、5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフルオロボレートが挙げられる。
5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフルオロボレートは、約80℃の融点を有し、ロール、ニーダー、バンバリーなどによる加熱混練時(100℃)に容易に融解するので、分散性に優れる点で好ましい。
本発明において、カウンターイオンにBF を持つ塩は、非粘着性を向上させる効果もある。
本発明に用いるカウンターイオンにBF を持つ塩は、原料フッ素ゴムと第4級アンモニウム塩を含む市販のマスターバッチを使用することもできる。
<その他の配合成分>
本発明においては、以上の成分以外に、ゴム配合剤として、例えばカーボンブラック、カーボン繊維等の補強剤;ハイドロタルサイト(Mg6Al2(OH)16CO3)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、チタン酸カリウム、酸化チタン、硫酸バリウム、硼酸アルミニウム、ガラス繊維、アラミド繊維等の充填剤;ワックス、金属セッケン等の加工助剤;水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の受酸剤;老化防止剤;熱可塑性樹脂;などのようなゴム工業で一般的に使用されている配合剤を本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて添加できる。
<配合比>
ポリオール系架橋剤の配合量は、前記フッ素ポリマー100重量部に対して、有効成分で1.25〜3.0重量部の範囲であり、好ましくは、有効成分で1.75〜2.5重量部の範囲である。
ここで、有効成分と記載しているのは、ポリオール系架橋剤を原料ゴムと混合したマスターバッチとして使用する場合を考慮したものである。
たとえば、ポリオール系架橋剤が、マスターバッチ中に50重量%含まれる場合には、有効成分で1.25〜3.0重量部の範囲にするには、マスターバッチを2.5〜6.0重量部の範囲で配合する。好ましい範囲の有効成分1.75〜2.5重量部の配合の場合には、マスターバッチの配合は、3.5〜5.0重量部の範囲となる。
架橋促進剤であるカウンターイオンにBF を持つ塩の配合量は、前記フッ素ポリマー100重量部に対して、0.700〜0.900重量部の範囲である。0.700重量部より少ないと、架橋物が発泡し、成形できないおそれがある。一方、0.900重量部より多く配合すると、配合量の増加に伴い、ホールディングトルク増加率が、悪化(増加)し、30%以下を満足できず、非粘着性が劣る。またイオンクロマト検出によるイオン量に関しても配合量の増加に伴い悪化(増加)し、0.3μg/cm以下を満足できず、LPCに関しても配合量の増加に伴い悪化(増加)し、LPC 6.0k Count/cm以下を満足できず、いずれもクリーン性が劣る。
<調製>
本発明に係るフッ素ゴム組成物の調製法としては、例えば、所定量の上記各成分を、インターミックス、ニーダー、バンバリーミキサー等の密閉型混練機またはオープンロールなどゴム用の一般的な混練機で混練する手法や、各成分を溶剤等で溶解して、攪拌機等で分散させる方法などが挙げられる。
〔フッ素ゴム架橋体の製造方法〕
<一次架橋(加硫)>
上記のようにして得られたフッ素ゴム組成物は、射出成形機、圧縮成形機、架橋(加硫)プレス機、オーブンなどを用いて、通常、140℃〜230℃の温度で1〜120分程度加熱(一次架橋(加硫))することにより、架橋(加硫)成形できる。
なお、一次架橋(加硫)は、一定の形状を形成(予備成形)するために、形状を維持できる程度に架橋させる工程であり、空気加熱等のオーブンでも一次架橋(加硫)は可能であるが、複雑な形状では、金型により成形されることが好ましい。
本発明では、フッ素ゴム組成物の混練後に被処理物を圧縮成形する場合、上記混練後は、通常、(a)一旦常温に戻し、再び昇温して圧縮成形してもよく、あるいは(b)混練後そのまま昇温を続けて圧縮成形してもよい。通常、圧縮成形機を用いる圧縮工程では、工程上、上記(a)の手法になる。
フッ素ゴム組成物の架橋(加硫)前に、該組成物を一定形状にしておけば、(a)の手法でも(b)の手法でも、低摩擦、低粘着性の成形品を得ることができる。得られるフッ素ゴム架橋体の低粘着化の程度は、その前の熱処理に向けた昇温パターンや昇温曲線の如何には影響されず、熱処理を行う温度と時間に左右される。
<熱処理>
本発明では、一次架橋(加硫)後に熱処理(二次架橋(加硫))を行なう。この熱処理方法は、通常の二次架橋(加硫)と同じであるが、本発明のフッ素ゴム組成物でなければ、通常の二次架橋(加硫)を行っても、クリーン性が高く、かつゴム表面が金属と非粘着であることを実現できるフッ素ゴム架橋体は得られない。
一次架橋(加硫)後の熱処理としては、本発明のフッ素ゴム組成物(一次架橋体)を、200℃〜300℃の温度範囲、好ましくは250℃〜260℃の温度範囲とすることである。熱処理時間は、0.1〜48時間の範囲であり、好ましくは1〜48時間、更に好ましくは10〜48時間の範囲である。
<フッ素ゴム架橋体の物性及び用途>
このようにして得られたフッ素ゴム架橋体は、ホールディングトルク増加率が平均して30%以下であり、金属との粘着性が少ない。
本明細書において、「ホールディングトルク増加率」は、非粘着性に関する指標であり、以下のようにして測定できる。
ストッパー成形品(マグネットホルダータイプ)をHDD実機に装着し、磁力によりストッパーとアームを係止させた後、環境負荷(温度80℃ 相対湿度80%RH)を10時間与えた。アームを回転させストッパーからアームが離れる際の引き剥がし力を環境負荷前後で比較し、環境負荷前の引き剥がし力に対する増加率を以下の式で算出した。
ホールディングトルク増加率(%)=〔(環境負荷後の引き剥がし力−環境負荷前の引き剥がし力)/環境負荷前の引き剥がし力〕×100
本発明で得られる架橋体は、ホールディングトルク増加率が小さいのみならず、その増加率のバラツキ(3σ)が小さく、非粘着性が優れている。
また、本発明で得られる架橋体は、リキッドパーティクルカウンター(残渣塵埃測定器)で測定した微細な塵埃が、6.0k Count/cm以下である特徴があり、クリーン性が高い。
本明細書において、「リキッドパーティクルカウンター(LPC;残渣塵埃測定器)で測定した微細な塵埃」は、クリーン性に関する指標であり、以下のようにして測定できる。
ストッパー成形品をフィルターろ過された純水を入れたガラスビーカーに入れ、1分間超音波洗浄を行い、ビーカー中純水に抽出された0.5μm以上のパーティクル(微粒子)を液中パーティクルセンサーにて測定する。
パーティクル量は少ないほどクリーンな材料であり、LPC 6.0k Count/cm以下であればクリーンな材料と言える。
更に、本発明で得られる架橋体は、イオンクロマトグラフ(残渣イオン測定器)で測定した陰イオン、陽イオンの総量がそれぞれ0.3μg/cm以下である特徴があり、クリーン性が高い。
本明細書において、「イオンクロマトグラフ(残渣イオン測定器)で測定した陰イオン、陽イオンの総量」は、クリーン性に関する指標であり、以下のようにして測定できる。
ストッパー成形品を常温下、超純水に10分間浸漬し、その浸漬液中に含まれるイオンをイオンクロマトにて測定する。
イオン量は、少ないほどクリーンな材料であり、ストッパー1個あたりの検出量が陰イオン(アニオン)、陽イオン(カチオン)ともに0.3μg/cm以下であれば、クリーンな材料と言える。
本発明の架橋体は、(1)アーム衝突時の衝撃吸収性に優れること、(2)アーム待機時に磁力などによりゴム/アーム(金属)が圧着されている必要があるが、粘着しない(非粘着性である)こと、(3)クリーンであること、(4)ハロゲン物質(塩素)不含有であること、の4つの条件をすべて満たしているので、HDD関連部材の化学汚染を中心としたコンタミネーションコントロールがますます重要視されている中において、高レベルの溶出イオン、LPC(Liquid Particle Counter)等のクリーン性が要求されるフッ素ゴム製品に利用でき、特に、ハードディスク装置内のヘッド制御部などの衝撃吸収ストッパー部品として好適に使用できる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されない。
実施例1
フッ素ポリマーからなるフッ素ゴム(デュポン・ダウ・エラストマー社製「バイトンA−500」;ムーニー粘度ML1+10(121℃)45)100重量部
MTカーボン(Huber社製「Huber N−990」;平均粒径500mμ、比表面積6m/g)15重量部
ハイドロタルサイト(協和化学社製「DHT−4A」)3重量部
水酸化カルシウム(近江化学工業社製「カルディック#2000」)3重量部
架橋剤;ビスフェノールAF(デュポン・ダウ・エラストマー社製「キュラティブVC#30」50wt%とフッ素ゴム〔バイトンE−45〕50wt%のマスターバッチ)5重量部(ロール投入)
架橋促進剤;5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフルオロボレート 0.700重量部(ロール投入)
以上の各配合成分(架橋成分除く)をニーダーに投入し、20分混練した後、オープンロールにて架橋成分を投入することで、フッ素ゴム組成物を調製した。
これを170℃、20分プレス架橋(加硫)することで架橋品を成形し、さらにオーブンにて260℃、10時間、二次架橋(加硫)を行い、フッ素ゴム架橋体を製造した。
<評価>
1.ゴム硬度、破断強度及び破断伸び:
得られたフッ素ゴム架橋体の試験サンプルについて、ゴム硬度、破断強度及び破断伸びを以下の方法で測定した。その結果を表1に示す。
ゴム硬度:JIS K6253に準拠し、タイプAデュロメーターで測定した。
破断強度(MPa):JIS K6251に準拠して測定した。
破断伸び(%):JIS K6251に準拠して測定した。
2.非粘着性;粘着試験 ホールディングトルク増加率
ストッパー成形品(マグネットホルダータイプ)をHDD実機に装着し、磁力によりストッパーとアームを係止させた後、環境負荷(温度80℃ 相対湿度80%RH)を10時間与えた。アームを回転させストッパーからアームが離れる際の引き剥がし力を環境負荷前後で比較し、環境負荷前の引き剥がし力に対する増加率を以下の式で算出した。その結果を表1に示す。
ホールディングトルク増加率(%)=〔(環境負荷後の引き剥がし力−環境負荷前の引き剥がし力)/環境負荷前の引き剥がし力〕×100
ホールディングトルク増加率は、値が小さいほど非粘着性が優れていると判断でき、またバラツキ(3σ)が小さいほど非粘着性が優れていると判断でき、30%以下が望ましい。
σとは標準偏差を意味し、その3倍の値を3σと表す。通常、平均値±3σに全測定値の99.7%以上が含まれ、3σの値がバラツキを表す目安となる。
3.クリーン性
3−1.リキッドパーティクルカウンター(LPC;残渣塵埃測定器)による測定
ストッパー成形品をフィルターろ過された純水を入れたガラスビーカーに入れ、1分超音波洗浄を行い、ビーカー中純水に抽出された0.5μm以上のパーティクルを液中パーティクルセンサー(リオン社製「KS−28」)にて測定した。その結果を表1に示す。
パーティクル量は少ないほどクリーンな材料であり、6.0k Count/cm以下であることが望ましい。
3−2.イオンクロマトグラフ(残渣イオン測定器)による測定
ストッパー成形品を常温下、超純水に10分間浸漬し、その浸漬液中に含まれるイオンをイオンクロマト(DIONEX社製「DX−120」)にて測定した。その結果を表1に示す。
イオン量は、少ないほどクリーンな材料であり、ストッパー1個あたりの検出量が陰イオン(アニオン)、陽イオン(カチオン)ともに0.3μg/cm以下が望ましい。
4.ハロゲンの含有の有無
ゴム組成物に基づく事実を表1に示す。
実施例2
実施例1において、架橋促進剤(5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフルオロボレート)の配合量を、0.875重量部に代えた以外は、同様にして、評価した。その結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、架橋促進剤(5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフルオロボレート)の配合量を、0.900重量部に代えた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、架橋促進剤(5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフルオロボレート)の配合量を、0.525重量部に代えた以外は、同様にしたが、促進剤が少ないため、架橋物が発泡し、成形できなかった。その結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、架橋促進剤(5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフルオロボレート)の配合量を、0.950重量部に代えた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
比較例3
実施例1において、架橋促進剤(5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフルオロボレート)の配合量を、1.050重量部に代えた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
比較例4
実施例1において、架橋促進剤(5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフルオロボレート)の配合量を、1.225重量部に代えた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
比較例5
実施例1において、架橋促進剤(5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフルオロボレート)を、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド(デュポン・ダウ・エラストマー社製「キュラティブVC#20」;ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド33wt%とフッ素ゴム〔バイトンE−45〕67wt%のマスターバッチ 9重量部)に代えた以外は、同様にして評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0005510328
実施例1、2、3の結果から、5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフルオロボレートが0.700〜0.900重量部の範囲であれば、ホールディングトルク増加率が30%以下であり、バラツキの小さいストッパーが得られることがわかる。
またクリーン性の指標であるLPCに関しても6.0k Count/cm以下であり、イオンクロマト検出イオン量は陰イオン、陽イオンの総量がそれぞれ0.3μg/cm以下であった。
これに対して、5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフルオロボレートを0.525重量部配合した場合(比較例1)には、促進剤が少ないため、加硫物が発泡し、成形できなかった。
また、5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウムテトラフルオロボレートを0.950重量部配合(比較例2)、1.050重量部配合(比較例3)、1.225重量部配合(比較例4)した場合は、配合量の増加に伴い、ホールディングトルクup率が悪化(増加)し、30%以下を満足できない。イオンクロマト検出イオン量およびLPCに関しても配合量の増加に伴い悪化(増加)し、0.3μg/cm以下、6.0k Count/cm以下を満足できないことがわかる。
比較例5は、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドを架橋促進剤として用いている。ホールディングトルク増加率、イオンクロマト、LPCなど、要求される性質は問題ないものの、架橋促進剤に塩素を含有しており、ハロゲン低減を達成できない。

Claims (1)

  1. フッ素ポリマーからなるポリオール架橋可能なフッ素ゴムと、ポリオール系架橋剤と、カウンターイオンにBF を持つ塩とを含有し、
    前記ポリオール系架橋剤を前記フッ素ポリマー100重量部に対して、有効成分として、1.75〜2.5重量部含有し、
    前記カウンターイオンにBF を持つ塩を、前記フッ素ポリマー100重量部に対して、0.700〜0.900重量部含有するフッ素ゴム組成物を、
    予めポリオール架橋した後、次いで、200℃〜300℃の温度範囲で0.1〜48時間熱処理することにより得られた、
    (1)ホールディングトルク増加率が30%以下であり、かつホールディングトルク増加率のバラツキを表す目安となる3σの値(σは標準偏差)が30%以下であり、
    (2)リキッドパーティクルカウンター(残渣塵埃測定器)で測定した微細な塵埃が、6.0kCount/cm 以下であり、
    且つ、(3)イオンクロマトグラフ(残渣イオン測定器)で測定した陰イオン、陽イオンの総量がそれぞれ0.3μg/cm 以下であるフッ素ゴム架橋体からなることを特徴とする衝撃吸収ストッパー。
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