JP4528713B2 - フッ素ゴム組成物及びフッ素ゴム架橋体の製造方法 - Google Patents
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Description
ポリオール架橋可能なフッ素ゴムと、第4級アンモニウム塩からなる架橋促進剤と、ポリオール系架橋剤とを含有し、且つ前記ポリオール架橋可能なフッ素ゴム100重量部当り導電性添加剤としてアセチレンブラック又はケッチェンブラックを5〜10重量部配合することを特徴とするフッ素ゴム組成物。
前記架橋促進剤と前記ポリオール系架橋剤との重量比X(第4級アンモニウム塩/ポリオール系架橋剤)が0.40〜0.60であることを特徴とする請求項1記載のフッ素ゴム組成物。
ポリオール架橋可能なフッ素ゴムと、第4級アンモニウム塩からなる架橋促進剤と、ポリオール系架橋剤とを含有し、且つ前記ポリオール架橋可能なフッ素ゴム100重量部当り導電性添加剤としてアセチレンブラック又はケッチェンブラックを5〜10重量部配合したフッ素ゴム組成物を、
予めポリオール架橋した後、
200℃〜300℃の温度範囲で0.1〜48時間熱処理してフッ素ゴム架橋体を製造することを特徴とするフッ素ゴム架橋体の製造方法。
前記架橋促進剤と前記ポリオール系架橋剤との重量比X(第4級アンモニウム塩/ポリオール系架橋剤)が0.40〜0.60であることを特徴とする請求項3記載のフッ素ゴム架橋体の製造方法。
フッ素ゴム架橋体の体積固有抵抗が109Ω・cm以下であることを特徴とする請求項3又は4記載のフッ素ゴム架橋体の製造方法。
フッ素ゴム架橋体の粘着特性の変化が15%以下であることを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載のフッ素ゴム架橋体の製造方法。
フッ素ゴム架橋体のゴム硬度が80ポイント以下であることを特徴とする請求項3〜6の何れかに記載のフッ素ゴム架橋体の製造方法。
HDD内のマグネットフォルダータイプストッパーに用いるポリオール系架橋系のフッ素ゴム架橋体を製造することを特徴とする請求項3〜7の何れかに記載のフッ素ゴム架橋体の製造方法。
本発明のフッ素ゴム組成物は、ポリオール架橋可能なフッ素ゴムと、第4級アンモニウム塩からなる架橋促進剤と、ポリオール系架橋剤と、導電性添加剤を少なくとも含有する。
ポリオール架橋可能なフッ素ゴム(ポリオール架橋系フッ素ゴム)としては、1種又は2種以上の含フッ素オレフィンの重合体又は共重合体を用いることができる。
ポリオール系架橋剤としては、ビスフェノール類が好ましい。具体的には、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン[ビスフェノールAF]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン[ビスフェノールS]、ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホフェート)、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン等のポリヒドロキシ芳香族化合物が挙げられ、好ましくはビスフェノールA、ビスフェノールAF等が用いられる。これらはアルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩の形であってもよい。
本発明において架橋促進剤として用いられる第4級アンモニウム塩は、下記一般式(1)で示される化合物(以下、本発明の第4級アンモニウム塩という)を用いることができる。
本発明に用いる導電性添加剤としては、アセチレンブラック又はケッチェンブラックなどが挙げられるが、中でもアセチレンブラック又はケッチェンブラックが好ましい。なお、アセチレンブラックとケッチェンブラックを併用することもできる。
本発明においては、以上の成分以外に、ゴム配合剤として、例えばカーボンブラック、カーボン繊維等の補強剤;ハイドロタルサイト(Mg6Al2(OH)16CO3)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、チタン酸カリウム、酸化チタン、硫酸バリウム、硼酸アルミニウム、ガラス繊維、アラミド繊維等の充填剤;ワックス、金属セッケン等の加工助剤;水酸化カルシウム、酸化亜鉛等の受酸剤;老化防止剤;熱可塑性樹脂;などのようなゴム工業で一般的に使用されている配合剤を本発明に使用する架橋剤及び架橋促進剤の効果を損なわない範囲で必要に応じて添加できる。
本発明において、本発明の第4級アンモニウム塩とポリオール系架橋剤との重量比X(第4級アンモニウム塩化合物/ポリオール系架橋剤)は、0.40〜0.60の範囲が好ましい。この範囲であれば良好な非粘着特性が得られる。この重量比Xが上記範囲より小さい場合には、架橋促進剤のゴム表層への移行が乏しく、ゴム表層の架橋密度が充分に上がらず、所望の低粘着性が得られない。また、この重量比Xが上記範囲より大きい場合には、ゴム表層の架橋密度は上がるが、得られたフッ素ゴム架橋体(フッ素ゴム成形体)を屈曲させ、また圧縮、変形等させるとクラックが生じる傾向がある。
本発明に係るポリオール架橋可能なフッ素ゴム組成物の調製法としては、例えば、所定量の上記各成分を、インターミックス、ニーダ、バンバリーミキサー等の密閉型混練機またはオープンロールなどゴム用の一般的な混練機で混練する手法や、各成分を溶剤等で溶解して、攪拌機等で分散させる方法などが挙げられる。
<一次加硫(架橋)>
上記のようにして得られたフッ素ゴム組成物は、射出成形機、圧縮成形機、加硫プレス機、オーブンなどを用いて、通常、140℃〜230℃の温度で1〜120分程度加熱(一次加硫)することにより、架橋(加硫)成形できる。
本発明の熱処理方法は、通常の2次加硫と同じであるが、本発明のフッ素ゴム組成物(ポリオール架橋性フッ素樹脂組成物)でなければ、通常の2次加硫を行っても、低粘着性の本発明に係るフッ素ゴム架橋体は得られない。
<配合成分とその配合量>
(1)ポリオール架橋可能なフッ素ゴム;
(デュポン・ダウ・エラストマー社製「バイトンA500」;ポリオール加硫系、ムーニー粘度ML1+10(121℃)45) ・・・100重量部
(2)導電性添加剤:アセチレンブラック
(電気化学工業社製「デンカブラック」) ・・・8重量部
(3)ハイドロタルサイト;
(協和化学社製「DHT−4A」) ・・・3重量部
(4)水酸化カルシウム;
(近江化学工業社製「カルディック#2000」) ・・・3重量部
(5)架橋剤;
ビスフェノールAF
(デュポン・ダウ・エラストマー社製「キュラティブVC#30」;50wt%とフッ素ゴム〔バイトンE−45〕50wt%のマスターバッチ) ・・・4.6重量部
(注:ロール投入)
(6)架橋促進剤;
5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネニウム テトラフルオロボレート ・・・1.0重量部
(注:ロール投入)
以上の各配合成分(加硫成分を除く。)をニーダに投入して20分混練した後、オープンロールにて加硫成分を投入することで組成物を調製した。
ゴム硬度;
JIS K6253に準拠し、タイプAデュロメーターで測定した。通常40〜95(ポイント)が好ましく、60〜80(ポイント)がより好ましい。
図1に示すように下を固定した磁石(永久磁石、形状:厚さ3.6mm、縦3mm×横3mmの角柱)上に、厚さ0.4mm、縦3mm×横3mmの試料ゴムシートを重ねておいた。この試料ゴムシート上に金属棒(SPCC(冷間圧延鋼板)製、重さ:30g、ゴムとの接触部分の形状:3mm×1mmの角棒)を置き、23℃、湿度50%の条件下で、ゴムと金属棒との間の初期粘着力Fを測定した。
<配合成分とその配合量>
(1)ポリオール架橋可能なフッ素ゴム;
(デュポン・ダウ・エラストマー社製「バイトンA500」;ポリオール加硫系、ムーニー粘度ML1+10(121℃)45) ・・・100重量部 (2)導電性添加剤:アセチレンブラック
(電気化学工業社製「デンカブラック」) ・・・8重量部
(3)ハイドロタルサイト;
(協和化学社製「DHT−4A」) ・・・3重量部
(4)水酸化カルシウム;
(近江化学工業社製「カルディック#2000」) ・・・3重量部
(5)架橋剤;
ビスフェノールAF
(デュポン・ダウ・エラストマー社製「キュラティブVC#30」;50wt%とフッ素ゴム〔バイトンE−45〕50wt%のマスターバッチ) ・・・4.6重量部
(注:ロール投入)
(6)架橋促進剤;
5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネニウム テトラフルオロボレート ・・・1.3重量部
(注:ロール投入)
実施例1と同じ
<配合成分とその配合量>
(1)ポリオール架橋可能なフッ素ゴム;
(デュポン・ダウ・エラストマー社製「バイトンA500」;ポリオール加硫系、ムーニー粘度ML1+10(121℃)45) ・・・100重量部
(2)導電性添加剤:ケッチェンブラック
(ライオン社製「ケッチェンブラックEC600JD」) ・・・8重量部
(3)ハイドロタルサイト;
(協和化学社製「DHT−4A」) ・・・3重量部
(4)水酸化カルシウム;
(近江化学工業社製「カルディック#2000」) ・・・3重量部
(5)架橋剤;
ビスフェノールAF
(デュポン・ダウ・エラストマー社製「キュラティブVC#30」;50wt%とフッ素ゴム〔バイトンE−45〕50wt%のマスターバッチ) ・・・4.6重量部
(注:ロール投入)
(6)架橋促進剤;
5−ベンジル−1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネニウム テトラフルオロボレート ・・・1.0重量部
(注:ロール投入)
実施例1と同じ
<配合成分とその配合量>
(1)ポリオール架橋可能なフッ素ゴム;
(デュポン・ダウ・エラストマー社製「バイトンA500」;ポリオール加硫系、ムーニー粘度ML1+10(121℃)45) ・・・100重量部
(2)MTカーボン;
(Huber社製「Huber N-990」;平均粒径500mμ、比表面積6m2/g) ・・・20重量部
(3)酸化マグネシウム
(協和化学工業社製「キョウワマグ#150」) ・・・3重量部
(4)水酸化カルシウム;
(近江化学工業社製「カルディック#2000」) ・・・3重量部
(5)架橋剤;
ビスフェノールAF
(デュポン・ダウ・エラストマー社製「キュラティブVC#30」;50wt%とフッ素ゴム〔バイトンE−45〕50wt%のマスターバッチ) ・・・4.6重量部
(注:ロール投入)
(6)第4級ホスホニウム塩;
デュポン・ダウ・エラストマー社製「キュラティブVC#20」;架橋促進剤33wt%とフッ素ゴム〔バイトンE−45〕67wt%のマスターバッチ)
・・・8.0重量部
(注:ロール投入)
実施例1と同じ
<配合成分とその配合量>
(1)ポリオール架橋可能なフッ素ゴム;
(デュポン・ダウ・エラストマー社製「バイトンA500」;ポリオール加硫系、ムーニー粘度ML1+10(121℃)45) ・・・100重量部
(2)導電性添加剤:ケッチェンブラック
(ライオン社製「ケッチェンブラックEC600JD」) ・・・5重量部
(3)酸化マグネシウム
(協和化学工業社製「キョウワマグ#150」) ・・・3重量部
(4)水酸化カルシウム;
(近江化学工業社製「カルディック#2000」) ・・・3重量部
(5)架橋剤;
ビスフェノールAF
(デュポン・ダウ・エラストマー社製「キュラティブVC#30」;50wt%とフッ素ゴム〔バイトンE−45〕50wt%のマスターバッチ) ・・・4.6重量部
(注:ロール投入)
(6)第4級ホスホニウム塩;
デュポン・ダウ・エラストマー社製「キュラティブVC#20」;架橋促進剤33wt%とフッ素ゴム〔バイトンE−45〕67wt%のマスターバッチ)
・・・8.0重量部
(注:ロール投入)
以上の各配合成分(加硫成分を除く。)をニーダに投入して20分混練した後、オープンロールにて加硫成分を投入することで組成物を調製した。
<配合成分とその配合量>
(1)ポリオール架橋可能なフッ素ゴム;
(デュポン・ダウ・エラストマー社製「バイトンA500」;ポリオール加硫系、ムーニー粘度ML1+10(121℃)45) ・・・100重量部
(2)導電性添加剤:ケッチェンブラック
(ライオン社製「ケッチェンブラックEC600JD」) ・・・10重量部
(3)酸化マグネシウム
(協和化学工業社製「キョウワマグ#150」) ・・・3重量部
(4)水酸化カルシウム;
(近江化学工業社製「カルディック#2000」) ・・・3重量部
(5)架橋剤;
ビスフェノールAF
(デュポン・ダウ・エラストマー社製「キュラティブVC#30」;50wt%とフッ素ゴム〔バイトンE−45〕50wt%のマスターバッチ) ・・・4.6重量部
(注:ロール投入)
(6)第4級ホスホニウム塩;
デュポン・ダウ・エラストマー社製「キュラティブVC#20」;架橋促進剤33wt%とフッ素ゴム〔バイトンE−45〕67wt%のマスターバッチ)
・・・8.0重量部
(注:ロール投入)
以上の各配合成分(加硫成分を除く。)をニーダに投入して20分混練した後、オープンロールにて加硫成分を投入することで組成物を調製した。
<配合成分とその配合量>
(1)ポリオール架橋可能なフッ素ゴム;
(デュポン・ダウ・エラストマー社製「バイトンA500」;ポリオール加硫系、ムーニー粘度ML1+10(121℃)45) ・・・100重量部
(2)導電性添加剤:アセチレンブラック
(電気化学工業社製「デンカブラック」) ・・・8重量部
(3)酸化マグネシウム
(協和化学工業社製「キョウワマグ#150」) ・・・3重量部
(4)水酸化カルシウム;
(近江化学工業社製「カルディック#2000」) ・・・3重量部
(5)架橋剤;
ビスフェノールAF
(デュポン・ダウ・エラストマー社製「キュラティブVC#30」;50wt%とフッ素ゴム〔バイトンE−45〕50wt%のマスターバッチ) ・・・4.6重量部
(注:ロール投入)
(6)第4級ホスホニウム塩;
デュポン・ダウ・エラストマー社製「キュラティブVC#20」;架橋促進剤33wt%とフッ素ゴム〔バイトンE−45〕67wt%のマスターバッチ)
・・・8.0重量部
(注:ロール投入)
実施例1と同じ
表1より、架橋促進剤として、ホスホニウム塩を用い、非粘着効果を出すために架橋促進剤の量を多く配合した場合、この組成物に更にケッチェンブラックを配合してしまうと、比較例2、3に示すように発泡が生じて成形不可能になる。
上記のようして得られたフッ素ゴム架橋体は、低粘着性及び帯電防止性に優れており、中でもHDD内のマグネットフォルダータイプストッパー等に好適に使用でき、その他、ハードディスク(HDD)記憶装置用ヘッド、光ディスク等を用いる車載用ディスク装置やカメラ一体型ビデオレコーダー用ディスク装置等の記憶装置用ヘッド、プリンターヘッド等の衝撃吸収用ストッパー部品;Oリング、パッキン、Vパッキン、オイルシール、ガスケット、角リング、Dリング、ダイアフラム、各種バルブ等の流体(気体等を含む。)漏洩防止用の各種ゴム部品;防振ゴム、ベルト、ゴム引布、ワイパー等の各種ゴム部品等として好適に用いられる。
Claims (8)
- ポリオール架橋可能なフッ素ゴムと、第4級アンモニウム塩からなる架橋促進剤と、ポリオール系架橋剤とを含有し、且つ前記ポリオール架橋可能なフッ素ゴム100重量部当り導電性添加剤としてアセチレンブラック又はケッチェンブラックを5〜10重量部配合することを特徴とするフッ素ゴム組成物。
- 前記架橋促進剤と前記ポリオール系架橋剤との重量比X(第4級アンモニウム塩/ポリオール系架橋剤)が0.40〜0.60であることを特徴とする請求項1記載のフッ素ゴム組成物。
- ポリオール架橋可能なフッ素ゴムと、第4級アンモニウム塩からなる架橋促進剤と、ポリオール系架橋剤とを含有し、且つ前記ポリオール架橋可能なフッ素ゴム100重量部当り導電性添加剤としてアセチレンブラック又はケッチェンブラックを5〜10重量部配合したフッ素ゴム組成物を、
予めポリオール架橋した後、
200℃〜300℃の温度範囲で0.1〜48時間熱処理してフッ素ゴム架橋体を製造することを特徴とするフッ素ゴム架橋体の製造方法。 - 前記架橋促進剤と前記ポリオール系架橋剤との重量比X(第4級アンモニウム塩/ポリオール系架橋剤)が0.40〜0.60であることを特徴とする請求項3記載のフッ素ゴム架橋体の製造方法。
- フッ素ゴム架橋体の体積固有抵抗が109Ω・cm以下であることを特徴とする請求項3又は4記載のフッ素ゴム架橋体の製造方法。
- フッ素ゴム架橋体の粘着特性の変化が15%以下であることを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載のフッ素ゴム架橋体の製造方法。
- フッ素ゴム架橋体のゴム硬度が80ポイント以下であることを特徴とする請求項3〜6の何れかに記載のフッ素ゴム架橋体の製造方法。
- HDD内のマグネットフォルダータイプストッパーに用いるポリオール系架橋系のフッ素ゴム架橋体を製造することを特徴とする請求項3〜7の何れかに記載のフッ素ゴム架橋体の製造方法。
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