JP5510126B2 - 表面処理剤 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット法などによる印刷手法を用いて、基板上に所定のベタ膜やパターン膜を形成する際に、微細なパターン膜や凹凸の少ないベタ膜を形成することを可能にする表面処理剤に関する。
パターン化された透明膜は、スペーサー、絶縁膜、保護膜など液晶表示素子の多くの部分に使用されている。これまで様々な感光性組成物が、これらの用途に用いられてきた。
また近年、インクジェット法を始めとする印刷手法が使用されてきており、オンデマンドでのパターン形成が可能なインクジェット法は、環境に優しく、コストメリットも期待できることから注目されてきている。
さらに近年では、インクジェット法によってフォトリソグラフィ法で得られるパターンに匹敵する微細なパターンを実現することの要求もあるが、現在のインクジェット法では、インクの着弾後、インクが濡れ広がるため、また一回の吐出における液量が多いために、その要求を実現するのは難しい。
インクジェット法によって基板上に微細パターンを描画するためには、基板の表面処理(撥インク処理)が必要であるが、表面処理の方法として、例えば特許文献1および2に記載の技術が提案されている。これらの文献に記載の技術では、四フッ化メタン等のフルオロカーボン系ガスを使用したプラズマ処理や、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2,テトラヒドロデシルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルシランと基板とを同一の容器に入れて一定期間放置することによって基板の表面処理がなされる。
しかし、前記プラズマ処理法には、しかるべき装置が必要であり、コスト面、また有毒ガスの発生があるなどのプロセス面からも問題があり、また一定期間放置する方法では、表面処理に要する時間が長く、最終製品までの製造効率が悪いという問題がある。そのため、容易に基板を表面処理できる方法が求められている。
なお、特許文献3には、(イ)下記式で表わされるシロキサンマクロモノマーおよび/または特定のシロキサンマクロモノマー1〜40重量%、(ロ)加水分解性アルコキシシリル基含有モノマー5〜50重量%、及び(ハ)これらと共重合可能な他の不飽和モノマー10〜94重量%の共重合により得られる加水分解性アルコキシシリル基含有シロキサンポリマー(A)を必須成分として含有することを特徴とする滑水性表面を形成し得るポリマー組成物が開示されている。
Figure 0005510126
上記式中、Z1は炭素数1〜10のアルキル基を表わし、Z2は炭素数1〜6の二価の炭化水素基を表わし、Z3は水素原子又はメチル基を表わし、yは6〜300の数である。
特許文献3には、前記ポリマー組成物を、ある物体に水が付着した場合に、水を拭き取るなど機械的方法で強制的に除去しなくとも、物体を傾けただけで付着水滴が転がり落ちるようにするために用いることが記載されている。
特開2005−251809号公報 特開2004−6700号公報 特開2000−239601号公報
本発明の課題は、インクジェット法などの印刷手法においても、微細なパターン膜を形成できるように、基板上に容易に撥インク処理を行なうことができる表面処理剤を提供することである。
また、基板を表面処理すると、基板上に表面処理膜ができるが、電子部品を構成する材料によっては、表面処理膜の撥インク性(撥液性)が高すぎて、前記材料の基板(表面処理膜)に対する濡れ性が不足することがある。そのような場合を考慮すると、前記表面処理膜は、濡れ性の低い材料を基板に塗布する際には容易に除去できることが好ましい。本発明は、容易に除去することができる表面処理膜を形成することができる表面処理剤を提供することをも課題としている。
さらに、インクジェット法により基板上にベタ膜を形成する際には、通常はインクジェットヘッドを、基板上を何度か往復させながらインクを吐出することで、ベタ膜が形成される。その場合に、基板上に着弾したインクが濡れ広がると、部分的にインクの重ね塗りが生じることがある。この重ね塗りになっている部分のインク膜厚は、重ね塗りになっていない部分よりも厚いため、結果としてベタ膜に凹凸が生じ、平坦なベタ膜が得られない。
そこで本発明は、基板に撥インク性を付与することで、上記のインクの濡れ広がりを防ぎ、凹凸のない平坦なベタ膜を形成することを可能にする表面処理剤を提供することをも課題としている。
なお本件明細書において、前記ベタ膜とは基板表面全面が電子部品を構成する材料(インク)によって覆われている膜を表し、上記パターン膜とは、基板表面が露出している箇所と電子部品を構成する材料(インク)によって覆われている箇所とが混在している場合における、前記材料から形成されている膜をいう。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ケイ素を含む特定の化合物から誘導される構成単位と、親水性基を有するラジカル重合性モノマーから誘導される構成単位とを有する共重合体、および溶剤を含む表面処理剤が、基板に優れた撥インク性を付与することができ、かつ容易に除去することができる表面処理膜を形成することができることを見出し、発明を完成させた。
本発明は以下の事項を含む。
[1]下記一般式(1)で表される化合物(a)から誘導される構成単位と、親水性基を有するラジカル重合性モノマー(b)から誘導される構成単位とを有する共重合体、および溶剤(e)を含むことを特徴とする、基板に撥インク性を付与するための表面処理剤:
Figure 0005510126
(式(1)中、R1、R2およびR5はそれぞれ独立に、水素または炭素数が1〜30である直鎖もしくは分岐状のアルキルを表し、該アルキルにおいて、任意のメチルはシクロアルキルで置き換えられていてもよく、任意の連続しないメチレンは−O−またはシクロアルキレンで置き換えられていてもよく、任意のメチンはシクロアルカントリイルで置き換えられていてもよく、任意のメタンテトライルはシクロアルカンテトライルで置き換えられていてもよく、R3およびR4はそれぞれ独立に、水素、炭素数が1〜30である直鎖もしくは分岐状のアルキルまたは下記一般式(2)で表される基を表し、前記アルキルにおいて、任意のメチルはシクロアルキルで置き換えられていてもよく、任意の連続しないメチレンは−O−またはシクロアルキレンで置き換えられていてもよく、任意のメチンはシクロアルカントリイルで置き換えられていてもよく、任意のメタンテトライルはシクロアルカンテトライルで置き換えられていてもよく、 nは1〜1,000の整数であり、nが2以上の場合には、複数存在するR3およびR4はそれぞれ同一でも異なってもよく、A1はラジカル重合性官能基を表す);
Figure 0005510126
(式(2)中、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に、水素または炭素数が1〜30である直鎖もしくは分岐状のアルキルを表し、該アルキルにおいて、任意のメチルはシクロアルキルで置き換えられていてもよく、任意の連続しないメチレンは−O−またはシクロアルキレンで置き換えられていてもよく、任意のメチンはシクロアルカントリイルで置き換えられていてもよく、任意のメタンテトライルはシクロアルカンテトライルで置き換えられていてもよく、mは1〜500の整数であり、mが2以上の場合には、複数存在するR6およびR7はそれぞれ同一でも異なってもよい。)。
[2]前記ラジカル重合性モノマー(b)における親水性基が、ヒドロキシル、カルボキシルまたはフェノール性ヒドロキシルであることを特徴とする[1]に記載の表面処理剤。
[3]前記共重合体が、さらに前記ラジカル重合性モノマー(b)以外のラジカル重合性モノマー(c)から誘導される構成単位を有することを特徴とする[1]に記載の表面処理剤。
[4]前記一般式(1)および(2)において、前記直鎖もしくは分岐状のアルキルの炭素数が1〜20であり、A1が(メタ)アクリロイルオキシアルキル、(メタ)アクリルまたはビニルであり、mが1〜300の整数であることを特徴とする[1]に記載の表面処理剤。
[5]前記化合物(a)が、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン又は下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の表面処理剤:
Figure 0005510126
(式(3)中、R9は水素または炭素数が1〜20である直鎖もしくは分岐状のアルキルであり、該アルキルにおいて、任意のメチルはシクロアルキルで置き換えられていてもよく、任意の連続しないメチレンは−O−またはシクロアルキレンで置き換えられていてもよく、任意のメチンはシクロアルカントリイルで置き換えられていてもよく、任意のメタンテトライルはシクロアルカンテトライルで置き換えられていてもよく、nは1〜1000の整数である。)。
[6]前記ラジカル重合性モノマー(b)が、(メタ)アクリル酸または4−ヒドロキシフェニルビニルケトンであることを特徴とする[1]に記載の表面処理剤。
[7]前記ラジカル重合性モノマー(c)が、N−フェニルマレイミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリル酸ブチルであることを特徴とする[3]に記載の表面処理剤。
[8][1]に記載の表面処理剤を用いて基板上に表面処理膜を形成する工程を有する、基板に撥インク性を付与する方法。
[9][8]に記載の方法により撥インク性を付与された基板上に、インクジェット塗布方法により、幅200μm以下のパターン膜を形成する方法。
[10][9]に記載の方法により形成されたパターン膜を有する電子部品。
[11][1]に記載の表面処理剤を用いて基板上に表面処理膜を形成し、該表面処理膜上にベタ膜またはパターン膜を形成する工程を有することを特徴とする電子部品の製造方法。
本発明の表面処理剤から形成された表面処理膜は、インクジェット吐出された液滴に対して撥インク性を示し、それゆえインクジェットにより微細なパターン膜および平坦なベタ膜を形成することが可能である。さらに、不要となった表面処理膜は、アルカリ水溶液等で容易に除去することが可能である。したがって本発明の表面処理剤は、基板上に電子回路パターンを形成する用途等に最適である。
本発明の基板に撥インク性を付与するための表面処理剤(以下単に「本発明の表面処理剤」ともいう)は、上記一般式(1)で表される化合物(a)から誘導される構成単位と、親水性基を有するラジカル重合性モノマー(b)から誘導される構成単位とを有する共重合体、および溶剤(e)を含む。
[一般式(1)で表される化合物(a)]
本発明の表面処理剤に含有される共重合体を構成する、下記一般式(1)で表わされる化合物(a)から誘導される構成単位(以下単に「構成単位(a)」ともいう)は、基板に、微細なパターン膜を形成するのに十分な撥インク性を付与する機能を有する。
Figure 0005510126
式(1)中、R1、R2およびR5はそれぞれ独立に、水素または炭素数が1〜30である直鎖もしくは分岐状のアルキルを表し、該アルキルにおいて、任意のメチルはシクロアルキルで置き換えられていてもよく、任意の連続しないメチレンは−O−またはシクロアルキレンで置き換えられていてもよく、任意のメチンはシクロアルカントリイルで置き換えられていてもよく、任意のメタンテトライルはシクロアルカンテトライルで置き換えられていてもよく、
3およびR4はそれぞれ独立に、水素、炭素数が1〜30である直鎖もしくは分岐状のアルキルまたは下記一般式(2)で表される基を表し、前記アルキルにおいて、任意のメチルはシクロアルキルで置き換えられていてもよく、任意の連続しないメチレンは−O−またはシクロアルキレンで置き換えられていてもよく、任意のメチンはシクロアルカントリイルで置き換えられていてもよく、任意のメタンテトライルはシクロアルカンテトライルで置き換えられていてもよく、
nは1〜1,000の整数であり、nが2以上の場合には、複数存在するR3およびR4はそれぞれ同一でも異なってもよく、
A1はラジカル重合性官能基を表す。
Figure 0005510126
式(2)中、R6、R7およびR8はそれぞれ独立に、水素または炭素数が1〜30である直鎖もしくは分岐状のアルキルを表し、該アルキルにおいて、任意のメチルはシクロアルキルで置き換えられていてもよく、任意の連続しないメチレンは−O−またはシクロアルキレンで置き換えられていてもよく、任意のメチンはシクロアルカントリイルで置き換えられていてもよく、任意のメタンテトライルはシクロアルカンテトライルで置き換えられていてもよく、
mは1〜500の整数であり、mが2以上の場合には、複数存在するR6およびR7はそれぞれ同一でも異なってもよい。
上記式(1)および(2)の説明で記載した「炭素数が1〜30である直鎖もしくは分岐状のアルキル」において、メチンとはメタンから3つの水素が取り除かれた構造であり、アルキルを構成するいずれかの炭素において1つの分岐が形成されている場合に存在し、メタンテトライルとはメタンから4つの水素が取り除かれた構造であり、アルキルを構成する1か所の炭素において2つの分岐が形成されている場合に存在する。
たとえば、前記アルキルがペンチルであり、そのペンチルを構成する一つのメチレンがシクロヘキシレンで置き換えられた構造の例としては、以下のものが挙げられる。なお、以下の構造において、「*」は結合手を表す。
Figure 0005510126
また、前記アルキルが5−プロピルオクチルであり、その5−プロピルオクチルを構成するメチンがシクロヘキサントリイルで置き換えられた構造の例としては、以下のものが挙げられる。なお、以下の構造において、「*」は結合手を表す。
Figure 0005510126
上記シクロアルキル、シクロアルキレン、シクロアルカントリイルおよびシクロアルカンテトライルの炭素数は通常4〜12であり、基板に優れた撥インク性を付与する観点からは、好ましくは5〜10であり、より好ましくは6〜8である。
上記炭素数が1〜30である直鎖もしくは分岐状のアルキルの炭素数は、基板に優れた撥インク性を付与する観点からは、好ましくは1〜25であり、より好ましくは1〜20である。なお、この直鎖もしくは分岐状のアルキルにおいて、該アルキルを構成するメチル等が置き換えられていてもよいシクロアルキル等の炭素数は、前記アルキルが前記「炭素数が1〜30である直鎖もしくは分岐状のアルキル」に該当するかを判断するに当たっては、1とする。すなわち、たとえば下記式で表わされる12−(5−デカニル)シクロデカニルドデカニルは、本発明における炭素数が1〜30である直鎖もしくは分岐状のアルキルに該当する。
Figure 0005510126
上記式において、「*」は結合手を表す。
1、R2およびR5としては、基板に優れた撥インク性を付与する観点から炭素数1〜8のアルキルが好ましく、炭素数1〜4のアルキルがより好ましい。
3およびR4としては、基板に優れた撥インク性を付与する観点から炭素数1〜8のアルキルが好ましく、炭素数1〜4のアルキルがより好ましい。
また、一般式(1)において、nは1〜1000の整数であり、基板に優れた撥インク性を付与する観点からは、好ましくは1〜500の整数であり、より好ましくは1〜300の整数である。
さらに、一般式(1)において、A1はラジカル重合性官能基を表す。「ラジカル重合性」とは、光を照射したり、加熱することで発生したフリーラジカルにより重合を開始する性質である。ラジカル重合性官能基の例としては、(メタ)アクリロイルオキシアルキル、(メタ)アクリルおよびビニルが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイルオキシアルキルが特に好ましい。なお、(メタ)アクリロイルオキシアルキルにおけるアルキルの炭素数は、通常1〜30であり、好ましくは1〜20である。
上記一般式(2)において、R6、R7およびR8としては、基板に優れた撥インク性を付与する観点から炭素数1〜8のアルキルが好ましく、炭素数1〜4のアルキルがより好ましい。
また一般式(2)においてmは1〜500の整数であるが、基板に優れた撥インク性を付与する観点から1〜300の整数であることが好ましく、1〜100の整数であることがより好ましい。
このような化合物(a)の好ましい具体例としては、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランおよび下記一般式(3)で表されるモノメタクリル末端−ジメチルシロキサンが挙げられる。
Figure 0005510126
式(3)中、R9は水素または炭素数が1〜20である直鎖もしくは分岐状のアルキルであり、該アルキルにおいて、任意のメチルはシクロアルキルで置き換えられていてもよく、任意の連続しないメチレンは−O−またはシクロアルキレンで置き換えられていてもよく、任意のメチンはシクロアルカントリイルで置き換えられていてもよく、任意のメタンテトライルはシクロアルカンテトライルで置き換えられていてもよく、nは1〜1000の整数である。
式(3)において、基板に優れた撥インク性を付与する観点からは、R9は好ましくはブチルであり、nは好ましくは1〜100の整数である。
本発明の表面処理剤に含まれる共重合体を製造するにあたっては、上記化合物(a)は一種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、化合物(a)の製造方法は公知であり、市販もされている。
[親水性基を有するラジカル重合性モノマー(b)]
親水性基を有するラジカル重合性モノマー(b)から誘導される構成単位(以下単に「構成単位(b)」ともいう)は、本発明の表面処理剤に含まれる共重合体にアルカリ可溶性を付与し、基板上に本発明の表面処理剤を塗布し、塗膜を乾燥または焼成して形成される表面処理膜をアルカリ水溶液により容易に除去することを可能にする。
ラジカル重合性モノマー(b)は、親水性基を有し、ラジカル重合することができる化合物であれば、特に限定されない。
前記親水性基としては、ヒドロキシル、カルボキシル、フェノール性ヒドロキシルおよびアミノなどが挙げられ、これらの中でも、表面処理膜の除去の容易性、撥インク性付与の観点から、ヒドロキシル、カルボキシルおよびフェノール性ヒドロキシルが好ましい。
このような親水性基を有するラジカル重合性モノマー(b)の具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸およびビニル酢酸等の不飽和カルボン酸部位を有するラジカル重合性モノマー、4−ヒドロキシフェニルビニルケトンおよびヒドロキシスチレン等のフェノール性ヒドロキシルを有するラジカル重合性モノマーが挙げられる。
これらの中でも、本発明の表面処理膜のアルカリ可溶性を高める観点から、(メタ)アクリル酸および4−ヒドロキシフェニルビニルケトンが好ましい。
本発明の表面処理剤に含まれる共重合体を製造するにあたっては、上記ラジカル重合性モノマー(b)は一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
[ラジカル重合性モノマー(b)以外のラジカル重合性モノマー(c)]
本発明の表面処理剤に含まれる共重合体は、必要に応じて、上記構成単位(a)および構成単位(b)以外に、ラジカル重合性モノマー(b)以外のラジカル重合性モノマー(c)から誘導される構成単位(以下単に「構成単位(c)」ともいう)を有してもよい。前記共重合体が構成単位(c)を有することにより、本発明の表面処理剤の基板に対する塗布性が向上する。
ラジカル重合性モノマー(c)は、ラジカル重合性モノマー(b)以外のラジカル重合性モノマーであれば特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリレート、不飽和カルボン酸無水物部位を有するラジカル重合性モノマー、ビニル化合物およびイミド化合物である。前記不飽和カルボン酸無水物部位を有するラジカル重合性モノマーの例としては、無水マレイン酸および無水イタコン酸が挙げられる。
ラジカル重合性モノマー(c)の具体例としては、N−フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、酢酸ビニル、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルおよび(メタ)アクリル酸ブチルが挙げられる。これらの中でも、塗布性向上の観点から、N−フェニルマレイミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸ブチルが好ましい。
本発明の表面処理剤に含まれる共重合体を製造するにあたっては、上記ラジカル重合性モノマー(c)は一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
<共重合体の重合方法>
化合物(a)、ラジカル重合性モノマー(b)および必要に応じて使用するラジカル重合性モノマー(c)の重合方法は特に限定されず、通常のラジカル重合方法を採用することができる。
たとえば、化合物(a)、ラジカル重合性モノマー(b)およびラジカル重合性モノマー(c)の混合物を溶剤中で攪拌、還流することで、ラジカル重合させて本発明の表面処理剤に含まれる共重合体を得ることができる。なお、重合溶媒として使用される前記溶剤は、そのまま後述する溶剤(e)として使用することもできる。
ラジカル重合は、重合開始剤(d)を添加して実施するのが好ましい。重合開始剤(d)は通常熱によりラジカルを発生する化合物であり、その具体例としては、アゾビスイソブチロニトリルおよびジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾ系開始剤、ならびに過酸化ベンゾイル等の過酸化物系開始剤が挙げられる。
重合反応における還流温度は使用した溶剤の沸点であるが、重合開始剤(d)からラジカルが十分発生する温度である必要がある。そのような条件を満たす溶剤の沸点は、通常50〜150℃の範囲である。
還流時間についても特に限定されないが、通常1〜24時間の範囲である。また、当該重合は、加圧、減圧または大気圧のいずれの圧力下でも行なうことができる。
また共重合体の分子量を調整するために、チオグリコール酸等の連鎖移動剤を重合反応系に適量添加してもよい。
<共重合体の組成割合>
上記のようにして製造される、本発明の表面処理剤に含まれる共重合体において、構成単位(a)の組成割合は、表面処理膜の撥インク性を発現する観点から、構成単位(a)および構成単位(b)の合計100重量%に対して、1〜95重量%であることが好ましく、5〜90重量%であることがより好ましく、10〜85重量%であることがさらに好ましい。
また、構成単位(b)の、前記共重合体における組成割合は、表面処理膜のアルカリ水溶液への溶解性を向上させる観点から、構成単位(a)および構成単位(b)の合計100重量%に対して、5〜99重量%であることが好ましく、10〜95重量%であることがより好ましく、15〜90重量%であることがさらに好ましい。
前記共重合体は、構成単位(c)を有してもよいが、その場合、構成単位(c)の組成割合は、共重合体100重量%に対して、10〜90重量%であることが好ましく、20〜87重量%であることがより好ましく、25〜85重量%であることがさらに好ましい。
重合反応における、化合物(a)、ラジカル重合性モノマー(b)およびラジカル重合性モノマー(c)の仕込み量を調節することによって、各化合物から誘導される構成単位の組成割合を上記範囲に調整することができる。
<共重合体の重量平均分子量>
本発明の表面処理剤に含有される共重合体の重量平均分子量に特に制限はないが、通常1000〜100000であり、塗布性の観点から、好ましくは5000〜50000である。なお、本明細書において重量平均分子量とは、GPCにより測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。より詳細には、GPC装置として(株)島津製作所製LC−10ATシステム、RID−6A(RI検出器)、CTO−6A(カラムオーブン)を使用し、カラムとしてPOLYMER Laboratories製THF系カラム(PLgel 5μm MIXED−Dカラム)を使用してGPC法(カラム温度:35℃、流速:1ml/min)により求めたポリスチレン換算での値である。
共重合体の重量平均分子量は、化合物(a)の種類(一般式(1)および(2)におけるnおよびmの数)、還流時間、重合開始剤の添加量等を調整することによって、上記範囲にすることができる。
[溶剤(e)]
本発明の表面処理剤には、当該処理剤の塗布性を高めるため、溶剤(e)が含まれている。溶剤(e)は、化合物(a)およびラジカル重合性モノマー(b)、さらにラジカル重合性モノマー(c)を溶解することができるものであることが好ましい。そのような溶剤を前記共重合体を製造するために用いた場合に、重合反応が終了したときに前記溶剤が残存していれば、それをそのまま溶剤(e)として使用することができるからである。
本発明で用いられる溶剤(e)の沸点は、50℃〜250℃であることが、基板上に塗布された本発明の表面処理剤の乾燥の容易性の観点から好ましい。
沸点が50℃〜250℃である溶剤(e)の具体例としては、メタノール、メチルエチルケトン、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸エチル、キシレン、トルエン、ヘキサン、イソブチルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、アセトン、3−メトキシプロピオン酸メチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
表面処理剤を基板上に塗布した後に、焼成を行わずに表面処理膜として使用する場合は、エタノール、アセトンおよびメチルエチルケトンなどの低沸点溶媒が好ましく用いられる。
本発明で用いられる溶剤(e)は、単一の化合物であっても、2種以上の混合溶剤であってもよい。
また、本発明の表面処理剤において、溶剤(e)は、共重合体および溶剤(e)の総量に対して、固形分である共重合体が0.01〜50重量%となるように配合されることが好ましい。
なお、好ましい固形分濃度は、本発明の表面処理剤の塗布方法によって変化する。たとえば浸漬法で表面処理剤を塗布する場合には、固形分濃度は0.01〜30重量%であることが好ましく、0.05〜20重量%であることがさらに好ましく、布等による塗りこみ法の場合には、固形分濃度は0.01〜20重量%であることが好ましく、0.5〜15重量%であることがさらに好ましく、スピンコート法の場合には、固形分濃度は0.01〜50重量%であることが好ましく、0.05〜40重量%であることがさらに好ましい。
[添加剤]
本発明の基板に撥インク性を付与するための表面処理剤には、塗布均一性、表面処理膜の基板との密着性、アルカリ溶解性等を向上させるために、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、フッ素系またはシリコン系の界面活性剤、シランカップリング剤等の密着性向上剤、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤などを挙げることが出来る。
[表面処理剤の保存]
本発明の基板に撥インク性を付与するための表面処理剤は、温度−30℃〜30℃の範囲で遮光して保存すると、経時安定性が良好であり好ましい。保存温度が−10℃〜20℃であれば析出物もなく一層好ましい。
[本発明の表面処理剤の塗布法]
本発明の表面処理剤による表面処理膜は、インクジェット分野において通常行なわれている方法や、その他の公知の方法により、ガラス等の基板上に表面処理剤を塗布することによって形成することができる。
塗布方法としてたとえば、スピンコート、ロールコート、スリットコート、またはインクジェット法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
本発明の表面処理剤を塗布する基板としては、例えば白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス基板、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂製シート、フィルムまたは基板、アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属板、その他セラミック板、光電変換素子を有する半導体基板等を挙げることができる。
これら基板は平面状である必要はなく、本発明の表面処理剤を塗布できるのであれば、曲面状であってもよい。
また、上記の方法によらず、ウェス、布等に本発明の表面処理剤を含浸させ、それらで基板表面を拭くことで基板上に本発明の表面処理剤を塗布したり、表面処理剤に基板ごと浸漬し、所定時間経過後に取り出すことで塗布することもできる。
上記の方法によって表面処理剤が塗布された基板は、そのまま風乾してもよいし、表面処理膜の基板への密着性や信頼性をより高めるために、焼成してもよい。焼成温度は表面処理剤中の溶剤(e)が乾燥する温度であれば特に限定されないが、好ましくは50〜300℃であり、より好ましくは70〜250℃、さらに好ましくは80〜230℃である。
表面処理された基板には撥インク性が付与されており、基板上(正確には表面処理膜上)に、インクジェット法、スクリーン印刷法等で所望のパターンを描画すると、通常は幅200μm以下、好ましくは幅100μm以下の微細なパターン膜を形成することができる。またインクジェット法でベタ膜を形成する場合には、基板に撥インク性が付与されたことにより、インクが濡れ広がらず、インクジェット法を実施しても重ね塗りになる部分ができず、凹凸のない平坦なベタ膜が得られる。
そしてパターン等を描画した後、不要となった箇所の表面処理部分は、アルカリ水溶液などによって容易に除去することができる。
<不要部分の表面処理膜除去法>
インクジェット法、スクリーン印刷法等によりインクで所望のパターン等を描画した後、表面処理膜への濡れ性が不足している材料をさらに塗布する場合には、材料を塗布する部分に形成された不要な表面処理膜は、アルカリ水溶液で容易に除去することができる。
アルカリ水溶液に含まれるアルカリの具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。
アルカリ水溶液には、アルカリ水溶液に対する表面処理膜の溶解性向上などを目的として、メタノール、エタノールや界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、例えばアニオン系、カチオン系、およびノニオン系から選択される界面活性剤を使用することができる。
アルカリ水溶液の濃度は、特に限定されないが、0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%がより好ましく、0.1〜3重量%がさらに好ましい。また、アルカリ水溶液に基板を浸漬する時間は、不要な表面処理膜が完全に除去できる時間であれば特に限定されないが、30〜120秒が好ましく、40〜100秒がより好ましく、50〜90秒がさらに好ましい。さらにアルカリ水溶液の温度は特に限定されないが、通常15〜35℃であり、好ましくは20〜30℃である。
以上のようにして基板上に微細なパターン膜を形成した後、カラーインクを塗布するなどの所定の製造工程を経て、液晶表示素子といった電子部品が製造される。本発明の表面処理剤で表面処理された基板上には微細なパターン膜を形成することができるので、より小型の電子部品を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
以下では、合成例および比較合成例において使用した化合物(a)、ラジカル重合性モノマー(b)、ラジカル重合性モノマー(c)、重合開始剤(d)および溶剤(e)を、以下のように記号で示すことがある。
<化合物(a)>
a−1:3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン
a−2:α−ブチル−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(上記一般式(3)において、R9がn−ブチル基であり、nが2である化合物)。
<ラジカル重合性モノマー(b)>
b−1:メタクリル酸
b−2:4−ヒドロキシフェニルビニルケトン。
<ラジカル重合性モノマー(c)>
c−1:メタクリル酸ブチル
c−2:N−フェニルマレイミド
c−3:ジメチルアミノエチルアクリレート。
<重合開始剤(d)>
d−1:ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)。
<溶剤(e)>
e−1:メチルエチルケトン。
[合成例1]共重合体(A1)の合成
攪拌器付き四つ口フラスコに、化合物(a)としてα−ブチル−ω−(3−メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(a−2)、ラジカル重合性モノマー(b)としてメタクリル酸(b−1)、ラジカル重合性モノマー(c)としてメタクリル酸ブチル(c−1)、重合開始剤(d)としてジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(d−1)、溶媒(e)としてメチルエチルケトン(e−1)、を下記重量割合で仕込み、80℃で2時間還流を行なった。
a−2 8.100g
b−1 2.025g
c−1 3.375g
d−1 2.025g
e−1 27.0g。
反応混合物を室温まで冷却し、共重合体(A1)を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析(ポリスチレン標準)により共重合体(A1)の重量平均分子量を測定した。その結果、重量平均分子量は15,000であった。
[合成例2]共重合体(A2)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量割合で仕込み、還流を行なった。
a−1 8.100g
b−1 2.025g
c−1 3.375g
d−1 2.025g
e−1 27.0g。
合成例1と同様の処理を行い、得られた共重合体(A2)のGPC分析(ポリスチレン標準)により求めた重量平均分子量は14,800であった。
[合成例3]共重合体(A3)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量割合で仕込み、還流を行なった。
a−1 11.475g
b−1 2.025g
d−1 2.025g
e−1 27.0g。
合成例1と同様の処理を行い、得られた共重合体(A3)のGPC分析(ポリスチレン標準)により求めた重量平均分子量は15,800であった。
[合成例4]共重合体(A4)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量で仕込み、還流を行なった。
a−2 0.27g
b−1 2.025g
c−1 6.75g
c−2 4.455g
d−1 2.025g
e−1 27.0g。
合成例1と同様の処理を行い、得られた共重合体(A4)のGPC分析(ポリスチレン標準)により求めた重量平均分子量は15,200であった。
[合成例5]共重合体(A5)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量割合で仕込み、還流を行なった。
a−1 10.8g
b−2 2.7g
d−1 2.025g
e−1 27.0g。
合成例1と同様の処理を行い、得られた共重合体(A5)のGPC分析(ポリスチレン標準)により求めた重量平均分子量は16,200であった。
[比較合成例1]比較共重合体(B1)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量割合で仕込み、還流を行なった。
b−1 2.025g
c−3 11.475g
d−1 2.025g
e−1 27.0g。
合成例1と同様の処理を行い、得られた比較共重合体(B1)のGPC分析(ポリスチレン標準)により求めた重量平均分子量は13,900であった。
[比較合成例2]比較共重合体(B2)の合成
合成例1と同様にして、下記の成分を下記の重量割合で仕込み、還流を行なった。
b−2 2.7g
c−3 10.8g
d−1 2.025g
e−1 27.0g。
合成例1と同様の処理を行い、得られた比較共重合体(B2)のGPC分析(ポリスチレン標準)により求めた重量平均分子量は16,100であった。
[実施例1〜5、比較例1〜4]
<表面処理膜の形成>
合成例1〜5ならびに比較合成例1および2で得られた共重合体を、メチルエチルケトンで333倍に希釈し、表面処理剤を調製した。
ガラス基板上に、得られた表面処理剤を3000rpmで10秒スピンコートし、そのまま風乾することにより、ガラス基板上に表面処理膜を形成した。なお、比較例3として、表面処理膜が形成されていない、ガラス基板そのものを使用した。さらに比較例4として、特開2004−6700号公報(特許文献2)の実施例1に記載された方法に従って、ガラス基板上にヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリエトキシシランの表面処理膜を形成した。
<表面処理膜の評価方法>
1)接触角測定
得られた表面処理膜またはガラス基板の撥インク性は、協和界面化学社製のDropMaster500にて25℃で、インクジェット用インクの構成成分としてよく使用される(メタ)アクリルモノマーである2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)およびシクロヘキシルメタクリレート(CH)の接触角を測定することにより評価した。着滴1秒後の値を接触角とした。
2)描画評価
(メタ)アクリルモノマーである、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)およびシクロヘキシルメタクリレート(CH)を用いて、インクジェット法により表面処理膜または基板上に描画を行い、表面処理剤の種類及び表面処理の有無による、形成されたラインパターン膜の幅の違いを評価した。
(インクジェット描画条件)
印刷装置:DMP−2831(商品名:FUJIFILM Dimatix社製)
諸設定値:ヘッド温度(30℃)、ピエゾ電圧(19V)、駆動周波数(5kHz)、ヘッド(10pL)
塗布:一回塗り。
3)アルカリ可溶性
前記<表面処理膜の形成>で作成した、表面処理剤またはヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリエトキシシランで表面処理したガラス基板を、0.4重量%TMAH水溶液に25℃で60秒浸漬した後、ガラス基板を取り出し、超純水でリンス、乾燥後、基板表面の、25℃の純水の接触角を測定することにより、表面処理膜が除去されたかを確認した。判定は、接触角が50度未満ならAA、50度以上ならBBとして判定した。
以上の評価の結果を下記表1に示す。
Figure 0005510126
表1に示されたように、ケイ素を含む特定の化合物から誘導される構成単位と、親水性基を有するラジカル重合性モノマーから誘導される構成単位とを有する共重合体、および溶剤を含む表面処理剤から形成された膜(表面処理膜)は、インクジェットインクによく使用されるHEMAやCHの、基板に対する接触角を高めることができ、インクジェット法によって基板上(正確には前記表面処理膜上)に微細なパターン膜を形成することができる。さらに、前記表面処理膜はアルカリ溶液への溶解性が高く、容易に除去できることがわかる。しかもそのような本発明の表面処理剤によれば、簡便で迅速に、従来技術(特許文献2など)と同等レベルの表面処理膜を形成することができる。

Claims (11)

  1. 3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン又は下記一般式(3)で表される化合物である化合物(a)から誘導される構成単位と、ヒドロキシル、カルボキシルまたはフェノール性ヒドロキシルを有するラジカル重合性モノマー(b)から誘導される構成単位とを有する共重合体、および
    溶剤(e)
    を含む表面処理剤であって、
    前記表面処理剤を用いて基板上に表面処理膜を形成し、該表面処理膜上にベタ膜またはパターン膜を形成する工程を有する電子部品の製造方法に用いられ、
    前記表面処理膜が、電子部品を構成するインクジェット用インクに対して撥インク性を示す
    ことを特徴とする表面処理剤:
    Figure 0005510126
    (式(3)中、R 9 は炭素数1〜8のアルキルであり、nは1〜100の整数である。)。
  2. 前記式(3)中、nが1〜2の整数であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理剤。
  3. 前記共重合体が、さらに前記ラジカル重合性モノマー(b)以外のラジカル重合性モノマー(c)から誘導される構成単位を有することを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理剤。
  4. 無機微粒子を含有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理剤。
  5. 前記インクジェット用インクが、(メタ)アクリルモノマーを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理剤。
  6. 前記ラジカル重合性モノマー(b)が、(メタ)アクリル酸または4−ヒドロキシフェニルビニルケトンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表面処理剤。
  7. 前記ラジカル重合性モノマー(c)が、N−フェニルマレイミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリル酸ブチルであることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の表面処理剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理剤を用いて基板上に形成された表面処理膜
  9. 請求項8に記載の表面処理膜を有する基板上に、インクジェット塗布方法により、幅200μm以下のパターン膜を形成する方法。
  10. 請求項9に記載の方法により形成されたパターン膜を有する電子部品。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理剤を用いて基板上に表面処理膜を形成し、該表面処理膜上にベタ膜またはパターン膜を形成する工程を有することを特徴とする電子部品の製造方法。
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