JPH08151550A - 壁紙用コーティング剤 - Google Patents

壁紙用コーティング剤

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JPH08151550A
JPH08151550A JP31930894A JP31930894A JPH08151550A JP H08151550 A JPH08151550 A JP H08151550A JP 31930894 A JP31930894 A JP 31930894A JP 31930894 A JP31930894 A JP 31930894A JP H08151550 A JPH08151550 A JP H08151550A
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JP
Japan
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parts
meth
acrylate
wallpaper
coating agent
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Pending
Application number
JP31930894A
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English (en)
Inventor
Koji Tamori
功二 田守
Fusayoshi Noritake
芳佳 則武
Minoru Kato
稔 加藤
Akio Hiraharu
晃男 平春
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ポリ塩化ビニルなどの壁紙に塗布して汚染除去
性、耐摩擦に優れた塗膜を形成し、しかも水を分散媒と
するために塗工時の作業環境に悪影響を与えない壁紙用
コーティング剤を提供する。 【構成】最低造膜温度、乾燥皮膜と水との接触角が限定
された値以上になるように製造したポリオルガノシロキ
サンと(メタ)アクリレート系重合体を必須成分とする
水系分散体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内装材として使用する
壁紙用のコーティング剤に関するもので、詳しくは、ポ
リ塩化ビニルなどの壁紙に塗布して汚染除去性、耐摩擦
に優れた塗膜を形成し、しかも水を分散媒とするために
塗工時の作業環境に悪影響を与えない壁紙用コーティン
グ剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、内装用の壁紙としては、いわゆる
塩ビ壁紙が広く利用されている。これは、難燃紙、不織
布、ガラス繊維等からなる支持体の上に、ポリ塩化ビニ
ル樹脂と可塑剤、充填剤、発泡剤等からなる配合物をカ
レンダー法、コーティング法等にて積層したものであ
り、発泡後、エンボス加工で柄を施した製品も多い。近
年、生活空間の中で生ずる壁紙への汚れ、すなわち、食
べ物、飲物の飛散による汚れ、あるいは子供のいたずら
書きによるサインペン、クレヨンなどの壁紙上の汚れが
除去されやすいことが要求されるようになった。しかし
ながら、従来の塩ビ壁紙では、これらの要求性能に劣
る。これらの問題点を解決するために、例えば、特開平
5−140345ではエチレン−ビニルアルコール系共
重合体のフィルムを塩ビ壁紙にラミネートする方法が行
われている。しかしながら、この方法は、ラミネートの
ための接着剤が塗布されたフィルム自体が高価なうえ、
エンボス加工の柄が明確にでにくいという欠点があっ
た。また、特開平6−73326で開示されたような有
機溶剤に溶解したポリマーを塗布する方法では乾燥時に
有機溶剤の揮発による作業環境の悪化が問題となる。一
方、特開平3−45628で開示されたポリシロキサン
複合重合体エマルジョンや特開平4−261454で開
示されたポリオルガノシロキサン系エマルジョンは水を
分散媒としており、これらの形成する乾燥皮膜には汚染
除去性に優れたものがある。しかしながら、最低造膜温
度が低い場合は汚染除去性が劣る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の背景
のもとになされたもので、その目的とするところは、ポ
リ塩化ビニルなどの壁紙に塗布して汚染除去性、耐摩擦
に優れた塗膜を形成し、しかも水を分散媒とするために
塗工時の作業環境に悪影響を与えないな壁紙用コーティ
ング剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明はポリオルガノシ
ロキサンと(メタ)アクリレート系重合体を必須成分と
する水系分散体を含み、最低造膜温度が0℃以上、か
つ、乾燥皮膜と水との接触角が70°以上である壁紙用
コーティング剤を提供するものである。以下、本発明を
詳細に説明する。本発明におけるポリオルガノシロキサ
ンと(メタ)アクリレート系重合体を必須成分として含
む水系分散体としては、次の3種類を挙げることができ
る。第1は、(メタ)アクリレートを主原料とするポリ
マーエマルジョン(a)(以下、(a)成分という)に
オルガノシロキサン(b)(以下、(b)成分という)
を吸収させた後、該オルガノシロキサンの重合反応を進
行させることにより製造されるポリシロキサン複合重合
体エマルジョン(I)、第2は、ポリオルガノシロキサ
ン重合体の水性分散体(c)(以下、(c)成分とい
う)の存在下に、(メタ)アクリレートを主成分とする
単量体(d)(以下、(d)成分という)を重合して製
造されるポリオルガノシロキサン系エマルジョン(I
I)、第3はポリオルガノシロキサンエマルジョン
(e)(以下、(e)成分という)と(メタ)アクリレ
ート系共重合体エマルジョン(f)の混合物(III)
である。以下にこれらについて、順に述べる。
【0005】まず、(メタ)アクリレートを主原料とす
るポリマーエマルジョン(a)にオルガノシロキサン
(b)を吸収させた後、該オルガノシロキサンの重合反
応を進行させることにより製造されるポリシロキサン複
合重合体エマルジョン(I)について述べる。(a)成
分は(メタ)アクリレート、または、これと他の単量体
を重合して得られる。ここで、(メタ)アクリレートと
しては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、
(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸
n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)
アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミ
ル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリ
ル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘ
キシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリ
ル酸i−ノニル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロ
ヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリ
ル酸ドデシル、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルのほかに、アミノエチ
ルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、
ブチルアミノエチルアクリレートなどのエチレン系不飽
和カルボン酸のアミノアルキルエステルや、グリシジル
(メタ)アクリレートなどの不飽和脂肪族グリシジルエ
ステルなどを挙げることができる。これらの(メタ)ア
クリレートは、1種単独でも、あるいは2種以上を併用
することができる。(メタ)アクリレートは、得られる
コーティング剤に汚染除去性と耐摩擦を与えるための必
須の成分であり、その割合は、(a)成分(固形分)中
に、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは60
重量%以上である。(メタ)アクリレートとしては、好
ましくは水への溶解度が0.7重量%以上の(メタ)ア
クリレートであり、特に好ましくはメチルメタクリレー
ト、エチルアクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどであ
る。これら(メタ)アクリレートを用いると、特にクレ
ヨン口紅などの油性物質の汚染除去性が向上する。
【0006】また、(a)成分を構成する他の単量体と
しては、例えばイタコン酸、(メタ)アクリル酸、フマ
ル酸、マレイン酸、クロトン酸などのエチレン性不飽和
カルボン酸;1,3−ブタジエン、イソプレン、2−ク
ロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン;ス
チレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳
香族ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルな
どのカルボン酸ビニルエステル;エチレン系不飽和ジカ
ルボン酸の、酸無水物、モノアルキルエステル、モノア
ミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリ
ロニトリルなどのシアン化ビニル化合物などを挙げるこ
とができる。他の単量体としては、好ましくは(メタ)
アクリル酸、スチレン、α−メチルスチレン、メタアク
リロニトリルなどである。これらの他の単量体は、1種
単独でも、あるいは2種以上を併用することができる。
該(メタ)アクリレートを主成分とするポリマーエマル
ジョン(a)は、以上の単量体を乳化重合して得られ
る。この乳化重合に際しては、乳化剤、ラジカル重合開
始剤などが使用される。
【0007】このときの乳化剤としては、陰イオン乳化
剤、非イオン性乳化剤、陽イオン乳化剤、両性イオン乳
化剤などを用いることができ、このうち、特に、乳化剤
分子中にラジカル重合性の不飽和二重結合を有する反応
性乳化剤を使用することが好ましい。陰イオン性乳化剤
としては、例えば高級アルコール硫酸エステルのアルカ
リ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属
塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸のアルカリ
金属塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のア
ルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキル(またはア
ルキルフェニル)エーテルの硫酸エステル塩などの他、
ラテムルS−180A(花王(株)製)、エレミノール
JS−2(三洋化成(株)製)、アクアロンHS−10
(第一工業製薬(株)製)、アデカリアソープSE−1
0N(旭電化工業(株)製)などの反応性乳化剤を挙げ
ることができる。非イオン性乳化剤としては、例えばポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテルなどのほか、アクアロンR
S−20(第一工業製薬(株)製)、アデカリアソープ
NE−20(旭電化工業(株)製)などの反応性乳化剤
を挙げることができる。両性乳化剤としては、ラウリル
ベタインが適当である。陽イオン界面活性剤としては、
アルキルピリジニルクロライド、アルキルアンモニウム
クロライドなどが使用できる。乳化剤の使用量は、通
常、(a)成分を構成する単量体100重量部あたり、
0〜5重量部であるが、後述の接触角の点で、ソープフ
リー系、反応性乳化剤の使用系が好ましい。
【0008】また、ラジカル重合開始剤としては、例え
ばクメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベン
ゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパ
ーオキサイドなどの有機ハイドロパーオキサイド類から
なる酸化剤と含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート
処方、含糖ピロリン酸鉄処方/スルホキシレート処方の
混合処方などの還元剤との組み合わせによるレドックス
系の開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど
の過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−
2,2′−アゾビスイソブチレート、2−カルバモイル
アザイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイル
パーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過
酸化物などを挙げることができ、好ましくは上記過硫酸
塩および上記レドックス系の開始剤である。これらのラ
ジカル重合開始剤の使用量は、使用される単量体成分1
00重量部に対し、通常、0.05〜5重量部、好まし
くは0.1〜2重量部程度である。乳化重合に際して
は、上記乳化剤、ラジカル重合開始剤などのほかに、必
要に応じて各種連鎖移動剤、電解質、pH調整剤などを
併用して、単量体成分100重量部に対して、通常、水
を100〜500重量部と、上記ラジカル重合開始剤、
乳化剤などを上記範囲内の量を使用し、重合温度5〜1
00℃、好ましくは50〜90℃、重合時間0.1〜1
0時間の条件で乳化重合される。また、得られる(a)
成分の重合転化率は、99.5%以上であることが好ま
しい。
【0009】本発明で使用されるポリシロキサン複合重
合体エマルジョン(I)の製造において用いられるオル
ガノシロキサン(b)は、一般式Rn Si(OR1
4-n (式中、Rは炭素数1〜8の有機基、R1は炭素数
1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基、n
は0〜2の整数を示す)で表されるアルコキシシラン、
または、一般式R2 m SiO(4-m)/2 (式中、R2は置換
または非置換の1価の炭化水素基であり、mは0〜3の
整数を示す)で表される構造単位を有する直鎖状、分岐
状または環状構造を有するオルガノシロキサンである。
本発明で使用されるポリシロキサン複合重合体エマルジ
ョン(I)の製造において用いられるオルガノシロキサ
ン(b)は、好ましくは一般式Rn Si(OR14-n
で表されるアルコキシシランである。
【0010】以下、(b)成分として、アルコキシシラ
ンを用いる場合について述べるが、その他のオルガノシ
ロキサンを用いる場合も同様に製造できる。アルコキシ
シランRn Si(OR14-n の式中、Rは、炭素数1
〜8の有機基であり、例えばメチル基、エチル基、n−
プロピル基、i−プロピル基などのアルキル基、そのほ
かγ−クロロプロピル基、γ−クロロプロピル基、ビニ
ル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、γ−グリシ
ドキシプロピル基、γ−メタクリルオキシプロピル基、
γ−メルカプトプロピル基、フェニル基、3,4−エポ
キシシクロヘキシルエチル基、γ−アミノプロピル基な
どが挙げられる。また、式中、R1は、炭素数1〜5の
アルキル基もしくは炭素数1〜4のアシル基であり、例
えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル
基、sec−ブチル基、t−ブチル基、アセチル基など
が挙げられる。
【0011】これらのアルコキシシランの具体例として
は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチル
トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチ
ルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n
−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエト
キシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プ
ロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメ
トキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラ
ン、i−ブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−ト
リフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−ト
リフロロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル
トリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシ
ラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエト
キシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、ジエチルジメトキシシランなどを挙げる
ことができ、好ましくはジメチルジメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラ
ンなどである。これらのアルコキシシランは、1種単独
または2種以上を併用することができ、他の例えばチタ
ン、アルミニウムなどの金属アルコキシドと併用するこ
ともできる。また、必要に応じて公知のシランカップリ
ング剤を併用することもできる。さらに、これらのアル
コキシシランは、必要に応じて有機溶媒に溶解して使用
することもできる。(b)成分の使用量は、(a)成分
100重量部(固形分)あたり、好ましくは0.1〜5
00重量部、さらに好ましくは0.5〜250重量部で
ある。(b)成分の種類と使用量は後述の接触角に関連
し、nが大きいほど、Rの炭素数が多いほど、また、使
用量が多いほど、接触角が大きくなる。
【0012】本発明において、ポリシロキサン複合重合
体エマルジョン(I)を製造するにあたり、(a)成分
のポリマー粒子中に(b)成分を吸収させることが好ま
しく、その方法としては、(a)成分の存在下に(b)
成分を一括もしくは連続もしくは分割して添加し、よく
攪拌することにより達成される。(a)成分のポリマー
粒子に吸収される(b)成分は、使用される全(b)成
分の5重量%以上、好ましくは10重量%以上、さらに
好ましくは30重量%以上である。また、(b)成分の
吸収が充分でない状態で反応が進むのを避けるために、
反応系内はpH4〜10、好ましくはpH5〜9、さら
に好ましくはpH6〜8に調整し、温度は90℃以下、
好ましくは70℃以下、さらに好ましくは50℃以下、
特に好ましくは30℃以下の条件で、(b)成分を添
加、吸収させることが望ましい。(a)成分のポリマー
粒子に吸収された(b)成分の縮合反応は、R1の炭素
数、反応温度および水素イオン濃度を変えることにより
容易に制御され、ポリシロキサンの重合度を調整するこ
とができる。(b)成分の縮合反応は、温度30℃以
上、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは70℃以
上で行うことができる。このようにして得られるポリシ
ロキサン複合重合体エマルジョン(I)の平均粒径は、
好ましくは0.02〜0.5μm、さらに好ましくは
0.03〜0.3μm程度である。この平均粒径の調整
は、(a)成分のポリマー粒子の粒径、(b)成分の吸
収量などを適宜選択することによって行うことができ
る。ポリシロキサン複合重合体エマルジョンの平均粒径
は小さい方がコーヒー、しょう油などの水性物質の汚染
除去性が向上する。
【0013】次に、ポリオルガノシロキサン重合体の水
性分散体(c)の存在下に、(メタ)アクリレートを主
成分とする単量体(d)を重合して製造されるポリオル
ガノシロキサン系エマルジョン(II)について述べ
る。ポリオルガノシロキサン系エマルジョン(II)の
製造で用いられるポリオルガノシロキサン重合体の水性
分散体(c)は、オルガノシロキサンを、アルキルベン
ゼンスルホン酸などの強酸性乳化剤の水溶液中で、ホモ
ミキサーまたは超音波混合機などを用いて混合し、縮合
させることによって製造することができる。このとき、
必要によって公知のグラフト交叉剤を共縮合させてもよ
い。ここで、使用されるオルガノシロキサンは、ポリシ
ロキサン複合エマルジョン(I)で使用されるような一
般式Rn Si(OR14-n で表されるアルコキシシラ
ン、または、例えば一般式R2 m SiO(4-m)/2 (式
中、R2は置換または非置換の1価の炭化水素基であ
り、mは0〜3の整数を示す)で表される構造単位を有
する直鎖状、分岐状または環状構造を有するオルガノシ
ロキサンであるが、好ましくは環状構造を有するオルガ
ノシロキサンである。このオルガノシロキサンの有する
置換または非置換の1価の炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、フェニル
基、およびそれらをハロゲン原子またはシアノ基で置換
した置換炭化水素基などを挙げることができる。オルガ
ノシロキサンの具体例としては、ヘキサメチルシクロト
リシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、
デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシク
ロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロト
リシロキサンなどの環状化合物のほかに、直鎖状あるい
は分岐状のオルガノシロキサンを挙げることができる。
【0014】また、必要によって共重合される上記グラ
フト交叉剤は、例えば、p−ビニルフェニルメチルジメ
トキシシラン、2−(m−ビニルフェニル)エチルメチ
ルジメトキシシラン、1−(m−ビニルフェニル)メチ
ルジメチルイソプロポキシシラン、2−(p−ビニルフ
ェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−(p−ビ
ニルフェノキシ)プロピルメチルジエトキシシラン、3
−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメト
キシシラン、1−(o−ビニルフェニル)−1,1,2
−トリメチル−2,2−ジメトキシジシラン、1−(p
−ビニルフェニル)−1,1−ジフェニル−3−エチル
−3,3−ジエトキシジシロキサン、m−ビニルフェニ
ル−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ジフェニ
ルシラン、〔3−(p−イソプロペニルベンゾイルアミ
ノ)プロピル〕フェニルジプロポキシシラン、ビニルメ
チルジメトキシシラン、テトラビニルテトラメチルシク
ロシロキサン、アリルメチルジメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルメチルジメトキシシランなどを挙げる
ことができるが、好ましくはp−ビニルフェニルメチル
ジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチル
メチルジメトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイロ
キシ)プロピルメチルジメトキシシランであり、さらに
好ましくはp−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン
である。
【0015】以上のグラフト交叉剤の使用割合は、上記
オルガノシロキサン成分とグラフト交叉剤の合計量中、
好ましくは0.1〜50重量%、さらに好ましくは0.
5〜10重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%であ
る。縮合に使用される強酸性乳化剤は、オルガノシロキ
サンの乳化剤として作用するほか、縮合開始剤となる。
この乳化剤の使用量は、オルガノシロキサンおよび必要
に応じて使用されるグラフト交叉剤の合計量に対して、
通常、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量
%程度である。なお、この際の水の使用量は、オルガノ
シロキサンおよび必要に応じて使用されるグラフト交叉
剤の合計量100重量部に対して、通常、100〜50
0重量部、好ましくは200〜400重量部である。ま
た、縮合温度は、通常、5〜100℃である。(c)成
分中のポリオルガノシロキサン重合体粒子の平均粒径
は、上記乳化剤および水の量、縮合温度、ホモミキサー
または超音波混合機などを用いて混合したときの分散の
程度によって容易に制御することができる。(c)成分
中のポリオルガノシロキサンの分子鎖末端は、例えば水
酸基、アルコキシ基、トリメチルシリル基、ジメチルビ
ニルシリル基、メチルフェニルビニルシリル基、メチル
ジフェニルシリル基などで封鎖されていてもよい。
【0016】単量体成分(d)を構成する(メタ)アク
リレートおよび他の単量体は(a)成分の製造に用いら
れる単量体と同様である。水系分散媒中に分散したポリ
オルガノシロキサン重合体粒子(c)の存在下で、単量
体成分(d)を重合する際の仕込み組成は、(c)成分
(固形分)が100重量部に対し、(d)成分が5〜5
00重量部、好ましくは10〜400重量部、さらに好
ましくは20〜300重量部である。ここで、単量体成
分(d)が、5重量部未満では耐摩擦に劣る。ポリオル
ガノシロキサン系エマルジョン(II)は、(c)成分
の存在下に、(d)成分を通常のラジカル重合によって
重合することによって得られる。この際のラジカル重合
法としては、乳化重合によって実施することが好まし
い。乳化重合に際しては、ラジカル重合開始剤、公知の
乳化剤、連鎖移動剤などが使用される。ここで、ラジカ
ル重合開始剤としては、(a)成分の製造で使用される
ものを挙げることができ、好ましくは上記有機過酸化物
および上記レドックス系の開始剤である。これらのラジ
カル重合開始剤の使用量は、使用される単量体成分
(d)100重量部に対し、通常、0.05〜5重量
部、好ましくは0.1〜2重量部程度である。
【0017】また、乳化剤としては、ポリオルガノシロ
キサン重合体粒子(c)を製造する際に加えられたアル
キルベンゼンスルホン酸などの乳化剤がその役割を果た
すが、必要に応じてさらに乳化剤を追加することができ
る。これらの乳化剤としては、(a)成分の製造で述べ
た乳化剤を挙げることができる。乳化重合に際しては、
ラジカル重合開始剤、乳化剤などのほかに、必要に応じ
て、連鎖移動剤、各種電解質、pH調整剤などを併用し
て、単量体成分(d)100重量部に対して、通常、水
を100〜500重量部と、上記ラジカル重合開始剤、
乳化剤などを上記範囲内の量を使用し、重合温度5〜1
00℃、好ましくは50〜90℃、重合時間0.1〜1
0時間の条件で乳化重合される。なお、この乳化重合の
場合は、(c)成分に、直接、(d)成分およびラジカ
ル重合開始剤を加えることによって実施することが好ま
しい。また、得られるエマルジョンの重合転化率は、9
9.5%以上であることが好ましい。なお、ポリオルガ
ノシロキサン系エマルジョン(II)中のポリマー粒子
の平均粒径は、5μm以下、好ましくは0.03〜1μ
m、さらに好ましくは0.03〜0.5μmである。粒
子径分布をこのような範囲にあるようになすと、造膜性
がよく、系の安定性が保たれ、かつ物性のバランスが取
れるという効果を奏する。この粒子径は、上記ポリオル
ガノシロキサン重合体粒子(c)の粒子径を制御するこ
とにより、容易に調整することができる。
【0018】次に、ポリオルガノシロキサンエマルジョ
ン(e)と(メタ)アクリレート系共重合体エマルジョ
ン(f)の混合物(III)について述べる。本発明で
好適に使用されるポリオルガノシロキサンエマルジョン
(e)は、上記(c)成分、または水を分散媒として1
00mPa・s以上の粘度のシリコーンオイルを乳化し
たものである。また、特に本発明で好適に使用される
(メタ)アクリレート系共重合体エマルジョン(f)
は、上記(a)成分と同様である。混合物(III)は
これら(e)成分と(f)成分を単に混合して得られ
る。(e)成分と(f)成分の混合割合は(f)成分1
00重量部に対し、(e)成分が、固形分で通常0.0
5〜50重量部、好ましくは0.1〜40重量部、さら
に好ましくは0.2〜30重量部である。(e)成分が
固形分で0.05重量部未満であると汚染除去性に劣
り、100重量部を越えると耐摩擦に劣る。
【0019】本発明の壁紙用コーティング剤は、前記ポ
リシロキサン複合重合体エマルジョン(I)、ポリオル
ガノシロキサン系エマルジョン(II)およびポリオル
ガノシロキサンエマルジョン(e)と(メタ)アクリレ
ート系共重合体エマルジョン(f)の混合物(III)
のいずれでも使用することができるが、得られる壁紙用
コーティング剤には2つの必要条件がある。第一の必要
条件は乾燥フィルムと水との接触角で、通常70°以
上、好ましくは80°以上、さらに好ましくは90°以
上である。接触角が70°未満であると汚染除去性に劣
る。この接触角は(a)成分、(d)成分または(f)
成分の重合の際に用いる乳化剤の種類と量、及び、
(b)成分(c)成分または(e)成分の種類と量によ
って調整される。第二の必要条件は壁紙用コーティング
剤の最低造膜温度(ASTM D2354)で、通常0
℃以上、好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20
℃以上である。0℃未満では汚染除去性と耐摩擦に劣
る。この最低造膜温度は(a)成分、(d)成分または
(f)成分を構成する単量体の量と種類を選択すること
により調節される。なお、本発明において乾燥皮膜は、
ポリ塩化ビニルシートは塗工量(固形分)6±1g/m
2となるようにバーコーターで塗布し、200℃で2分
間乾燥させたポリマー皮膜である。
【0020】以上、本発明におけるポリオルガノシロキ
サンと(メタ)アクリレート系重合体を必須成分として
含む水系分散体について、3種類を挙げた。これらはい
ずれも本発明の目的とする汚染除去性、耐摩擦に優れた
塗膜を形成するが、ポリシロキサン複合重合体エマルジ
ョン(I)は特に耐摩擦に優れ、ポリオルガノシロキサ
ン系エマルジョン(II)は特に汚染除去性に優れ、混
合物(III)は比較的安価に製造できるという特長が
ある。これらは、1種単独でも、あるいは2種以上を併
用することもできる。
【0021】以上のようにして得られる本発明の壁紙用
コーティング剤には、架橋剤を添加することができる。
ここで、架橋剤としては、アミノ樹脂、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、イソシアネート
化合物、ブロックイソシアネート化合物、アジリジン化
合物などの有機系架橋剤、金属化合物などの無機系架橋
剤などを挙げることができる。これらの架橋剤は、通
常、0〜280℃の硬化温度で使用することができる
が、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ブロックイソシアネ
ート化合物などは、100℃以上の硬化温度で使用する
ことが望ましい。上記アミノ樹脂としては、ヘキサメト
キシメチル化メラミン樹脂などの完全アルキル型メチル
化メラミン樹脂、部分アルキル化メチル化メラミン樹
脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキルエーテル化尿素樹
脂などが挙げられる。上記フェノール樹脂としては、ジ
メチロール樹脂、ポリメチロールフェノール樹脂、フェ
ノールホルムアミド樹脂、メチロールフェノールホルム
アミド樹脂、ジメチロールフェノールホルムアミド樹脂
などが挙げられる。
【0022】上記エポキシ樹脂としては、エチレングリ
コール・ジグリシジルエーテル、ヘキサンジオール・ジ
グリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール・ジグリ
シジルエーテル、グリセリン・ジグリシジルエーテル、
グリセリン・ポリグリシジルエーテル、ジグリセリン・
ポリグリシジルエーテル、ソルビトール・ポリグリシジ
ルエーテル、水添ビスフェノールA・ジグリシジルエー
テルまたはビスフェノールA・ジグリシジルエーテルな
どの多価アルコールのポリグリシジルエーテル、あるい
はp−オキシ安息香酸のグリシジルエーテル、フタル酸
ジグリシジルエステルはたはヘキサヒドロフタル酸・ジ
グリシジルエーテル、さらにはヒダントイン環含有エポ
キシ樹脂、さらには側鎖にエポキシ基を有するビニル系
重合体などが挙げられる。上記イソシアネート化合物お
よびブロックイソシアネート化合物としては、トリレン
ジイソシアネートならびにその水素添加物およびアダク
ト、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその水素
添加物、トリフェニルメタントリイソシアネートおよび
その水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、キ
シリレンジイソシアネートおよびその水素添加物、イソ
ホロンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネー
ト、トリジンジイソシアネート、イソシアネート基をブ
ロック化したブロック化ポリイソシアネートならびにこ
れらの任意の混合物などが挙げられる。
【0023】上記アジリジン化合物としては、トリス−
2,4,6−(1−アジリジニル)−1,3,5−トリ
アジン、トリス〔1−(2−メチル)アジリジニル〕ホ
スフィンオキシド、ヘキサ〔1−(2−メチル)−アジ
リジニル〕トリホスファトリアジンなどが挙げられる。
上記金属化合物としては、亜鉛、ジルコニウム、マグネ
シウム、銅、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、
カドミウム、チタニウムなどの金属の酸化物、もしくは
塩類を、炭酸、酢酸、ギ酸、グルタル酸、安息香酸、シ
ュウ酸などの酸に溶解させるか、あるいはこれらの酸と
多価金属化合物の水溶液を、アンモニア、アミンなどに
より、pH7〜11に調整することによって得られるも
のであり、また金属イオンの形になったものを含めるこ
とができる。この多価金属化合物は、炭酸亜鉛アンモニ
ウム、炭酸アンモニウムジルコネート、亜鉛、ジルコニ
ウムの酸化物または塩である。上記アミンで錯体形成可
能なものは、モルホリン、モノエタノールアミン、エチ
レンジアミン、ジエチルアミノエタノールなどである。
そのほか、一般的な酢化剤、例えばエチレンジアミン四
酢酸などのコンプレクサン、グリシン、アラニンなども
使用できる。架橋剤の使用量は、壁紙用コーティング剤
(固形分)100重量部に対して、0.1〜100重量
部、好ましくは0.5〜80重量部、さらに好ましくは
1〜70重量部である。架橋剤が、100重量部を超え
ると壁紙用コーティング剤の貯蔵安定性が劣る場合があ
る。架橋剤は、本発明の壁紙用コーティング剤の製造工
程で添加してもよく、また製造後に添加してもよく、さ
らに製造工程で一部を添加し、残りを製造後に添加して
もよい。しかしながら、製造時における凝固物の発生を
抑え、重合安定性を保つためには、架橋剤は、製造工程
で添加しないことが望ましい。本発明の壁紙用コーティ
ング剤は意匠性を向上させるため、顔料を配合できる。
顔料のうち好ましくはタルク、マイカ、クレー、シリ
カ、チタンなどの無機顔料、ポリエチレンエマルジョ
ン、スチレンエマルジョンなどの有機系微粒子、ビーズ
顔料などの複合顔料であり、特に好ましくはタルク、ポ
リエチレンエマルジョン、ビーズ顔料である。これらの
顔料は300メッシュのフルイ残分が1重量%未満であ
ることが望ましい。粗大な粒子が多いと汚染除去性が劣
る。顔料の添加量は水系分散体100重量部(固形分)
に対して通常200重量部以下、好ましくは100重量
部以下、さらに好ましくは50重量部以下である。20
0重量部を越えると汚染除去性に劣る。本発明の壁紙用
コーティング剤が塗布できる壁紙は塩ビが好ましいが、
その他、紙、ガラス繊維、化学繊維などの不織布、織布
などがある。
【0024】本発明の壁紙用コーティング剤は塗工性の
向上あるいは顔料の沈降防止を目的として、増粘剤を配
合できる。本発明の壁紙用コーティング剤に使用できる
増粘剤は特に限られたものではなく、天然および合成の
水溶性高分子などが使用される。増粘剤の添加量は水系
分散体100重量部(固形分)に対して通常50重量部
以下、好ましくは30重量部以下、さらに好ましくは2
0重量部以下である。100重量部を越えると汚染除去
性に劣る。さらに本発明の壁紙用コーティング剤は、必
要に応じて本発明の目的を妨げない範囲で、光あるいは
熱に対する安定剤、造膜助剤、レベリング剤、滑剤、帯
電防止剤、着色剤、防カビ剤などが配合される。本発明
の壁紙用コーティング剤の塗工時の粘度は通常500〜
10000mPa・s、好ましくは1000〜5000
mPa・sである。粘度がこのような範囲にあると塗工
したときにハジキが生ずることもなく、かつ、乾燥後に
平滑な塗膜が得られる。
【0025】本発明の壁紙用コーティング剤の塗布およ
び乾燥方法は、特に限られたものではなく、塗布しよう
とする基材に応じて、適宜、選択することができ、例え
ばグラビアコーター、ブレードコーター、バーコータ
ー、エアースプレー、ハケなどの塗布手段を用い、乾燥
には好ましくは50℃以上、さらに好ましくは80〜2
10℃で乾燥させることにより、より耐摩擦に優れ、か
つ汚染除去性が良好な皮膜を得ることができる。ポリ塩
化ビニルの壁紙の製造では、一般に、本コーティング剤
をグラビアコーターで塗布し、ポリ塩化ビニル層の発砲
のための200℃で1分程度の熱風乾燥、およびエンボ
ス加工のための遠赤外線による加熱で十分な性能を持つ
皮膜が形成される。
【0026】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明する。なお、実施例中の部および%は、特に断ら
ない限り重量部および重量%である。また、実施例中、
各種の測定項目は、下記に従った。最低造膜温度 理学工業(株)製熱勾配測定装置(ASTM D 23
54−651T)を用いて、実施例・比較例で作成した
コーティング剤の最低造膜温度を測定した。接触角 実施例・比較例で作成したコーティング剤を、ポリ塩化
ビニル製の壁紙へバーコーター#14を用いて塗布し、
直ちに200℃の熱風式乾燥機にいれて1分間乾燥さ
せ、試験用塗工シートとした。この塗工シートを水平板
に固定し、0.01gの蒸留水をシリンジを用いて滴下
した。塗工シート上の水滴の真横の像をビデオカメラで
取り込み、50倍に拡大した像から分度器を使って接触
角を測定した。汚染除去性 上記の試験用塗工シートに、コーヒー(ネッスル日本
(株)製ネスカフェゴールドブレンド4%水溶液)、醤
油(キッコーマン(株)製濃い口醤油)、クレヨン(サ
クラクレヨン(株)製ふとまき赤)、口紅((株)コー
セー製ヴィセルージュアレーヴルRD−472)、水性
サインペン(ぺんてる(株)製サインペン黒)の5種、
それぞれを用いて、線を付け、JIS Z 8703に
規定する状態で24時間放置した。コーヒー、醤油は蒸
留水で、クレヨン、口紅、水性サインペンは台所用合成
洗剤(ライオン(株)製チャーミーグリーン)で、ガー
ゼを用いて丁寧に拭き取った。さらにJIS Z 87
03に規定する状態で1時間放置後、JIS L 08
05に規定する汚染用グレースケールを用いて、拭き取
れずに残った汚染による色の変化を評価した。色の変化
が汚染用グレースケール5号の場合で良好、4号の場合
でほぼ良好と判定し、全ての汚れについて5号または4
号の場合を本発明の目的とする汚染除去性を有するとし
た。4号未満の汚れ残りが1種でもある場合は、本発明
の目的とする汚染除去性を有さないとした。耐摩擦 上記の試験用塗工シートについてJIS A6921に
規定された耐摩擦試験を行った。
【0027】(実施例1)(メタ)アクリレートを主原料とするポリマーエマルジ
ョン(a)の製造 攪拌機、温度計およびモノマー添加ポンプを備えた内容
積100Lのステンレス製オートクレーブに、加熱機お
よびチッ素ガス導入装置を取り付け、このオートクレー
ブに、イオン交換水200部と、アデカソープSE−1
0N(旭電化工業(株)製)2.0部、過硫酸カリウム
0.3部を仕込み、気相部を15分間チッ素ガスで置換
し、80℃に昇温した。別容器で、イオン交換水30
部、反応性乳化剤であるアデカリアソープSE−10N
(旭電化工業(株)製)1.0部、非イオン性乳化剤で
あるエマルゲン920(花王(株)製)0.5部、単量
体としてメチルメタクリレート50部、スチレン10
部、2−エチルヘキシルアクリレート25部、グリシジ
ルメタクリレート10部およびメタクリル酸5部を混合
攪拌しプレ乳化物を作り、このプレ乳化物を、3時間か
けて前記オートクレーブに連続的に滴下した。滴下中は
チッ素ガスを導入し、オートクレーブの内温を80℃に
保ちながら行った。連続滴下終了後、さらに85〜95
℃で2時間熟成した後、25℃まで冷却し、アンモニア
水でpH7に調整し、ポリマーエマルジョン(a−1)
を得た。ポリシロキサン複合重合体エマルジョン(I)の製造 上記a−1の製造に引き続き、i−ブチルトリメトキシ
シラン30部を入れ、約1時間にわたり強く攪拌し、さ
らに80℃に昇温し、3時間攪拌を続け反応させた。ラ
テックスの固形分濃度は47.2%、アルコキシシラン
の縮合転化率は99%であった。その後冷却し、200
メッシュの金網でろ過し、ポリシロキサン複合重合体エ
マルジョン(I−1)を得た。得られたポリシロキサン
複合重合体エマルジョンの平均粒子径をコールター社製
のナノサイザーを用いて測定したところ、0.05μm
であった。壁紙用コーティング剤の製造と試験 上記の通り製造したI−1の100部(固形分)に、増
粘剤として日本アクリル化学(株)製ASE−60を3
部加えた後、アンモニア水でpHを上げ、粘度を200
0mPa・sに調整して、壁紙用コーティング剤とし
た。この壁紙用コーティング剤について、前記の方法で
試験した最低造膜温度は41℃、接触角は92°であっ
た。この壁紙は光沢を有する外観であった。汚染除去性
は5種全ての汚染について良好で、汚染除去後の塗膜の
状態も良好であった。耐摩擦試験も合格であった。
【0028】(実施例2)(メタ)アクリレートを主原料とするポリマーエマルジ
ョン(a)の製造 イオン交換水30部、反応性乳化剤であるアクアロンH
S−10(第一工業製薬(株)製)2.0部、単量体と
してメチルメタクリレート16部、エチルアクリレート
47部、メタアクリロニトリル30部、ヒドロキシエチ
ルメタクリレート5部、メタアクリル酸2部を混合攪拌
しプレ乳化物を作った以外は、実施例1と同様の装置、
重合条件でポリマーエマルジョン(a−2)を製造し
た。ポリシロキサン複合重合体エマルジョン(I)の製造 上記a−2成分の製造に引き続き、ジメチルジメトキシ
シラン5部を入れ、約1時間にわたり強く攪拌し、さら
に80℃に昇温し、3時間攪拌を続け反応させた。ラテ
ックスの固形分濃度は46.8%、アルコキシシランの
縮合転化率は99%であった。その後冷却し、200メ
ッシュの金網でろ過し、ポリシロキサン複合重合体エマ
ルジョン(I−2)を得た。得られたポリシロキサン複
合重合体ラテックスの平均粒子径をコールター社製のナ
ノサイザーを用いて測定したところ、0.14μmであ
った。顔料分散液の製造 分散剤(花王(株)製エマルゲンPI−20T)1部を
水110部へ溶解し、この溶液をメカニカルスターラー
で攪拌させながら、タルク(富士タルク工業(株)製L
MP−100)100部を数回に分けて投入し、タルク
分散液を製造した。壁紙用コーティング剤の製造と試験 上記の通り製造したI−2の100部(固形分)に水1
00部、架橋剤としてメラミン樹脂(住友化学(株)製
スミマールM−30W)10部、上記タルク分散液50
部、増粘剤(日本カーバイト(株)製ニカゾールVT−
253)10部を加えた後、アンモニア水でpHを上
げ、粘度を4000mPa・sに調整して、壁紙用コー
ティング剤とした。この壁紙用コーティング剤につい
て、前記の方法で試験した最低造膜温度は40℃、接触
角は94°であった。この壁紙は艶なしの外観であっ
た。汚染除去性はサインペンはほぼ良好であり、他4種
の汚染について良好で、汚染除去後の塗膜の状態も良好
であった。耐摩擦試験も合格であった。
【0029】(実施例3)ポリオルガノシロキサン重合体の水性分散体(c)の製
p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン1.5部お
よびオクタメチルシクロテトラシロキサン98.5部を
混合し、これをドデシルベンゼンスルホン酸2.0部を
溶解した蒸溜水300部中に入れ、超音波混合機により
2時間撹拌して乳化分散させた。この混合液を、コンデ
ンサー、チッ素導入口および撹拌機を備えたセパラブル
フラスコに移し、撹拌混合しながら90℃で6時間加熱
し、5℃で24時間冷却することによって縮合を完結さ
せた。得られたポリオルガノシロキサン重合体の水性分
散体を、炭酸ナトリウム水溶液でpH7に中和し、ポリ
オルガノシロキサン重合体の水性分散体(c−1)を得
た。重合体粒子の平均粒径は、0.2μmであった。ポリオルガノシロキサン系エマルジョン(II)の製造 コンデンサー、チッ素導入口および撹拌機を備えたセパ
ラブルフラスコに、c−1を100部(固形分)、メチ
ルメタクリレート20部、スチレン50部、ブチルアク
リレート20部、グリシジルメタクリレート10部、t
−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5
部を仕込み、気相部を15分間チッ素ガスで置換し、8
0℃に昇温させ、80℃の温度に保ちながら、5時間攪
拌を続けたのち、25℃まで冷却し、ポリオルガノシロ
キサン系エマルジョン(II−1)を得た。壁紙用コーティング剤の製造と試験 上記の通り製造したポリオルガノシロキサン系エマルジ
ョン(II−1)の100部(固形分)に、ポリエチレ
ンエマルジョン(岐阜セラック(株)製)40部、増粘
剤として日本アクリル化学(株)製ASE−60を3部
加えた後、アンモニア水でpHを上げ、粘度を2000
mPa・sに調整して、壁紙用コーティング剤とした。
この壁紙用コーティング剤について、前記の方法で試験
した最低造膜温度は5℃、接触角は105°であった。
この壁紙は艶消しの外観であった。汚染除去性は5種全
ての汚染について良好で、汚染除去後の塗膜の状態も良
好であった。耐摩擦試験も合格であった。
【0030】(実施例4)ポリオルガノシロキサンエマルジョンと(メタ)アクリ
レート系共重合体エマルジョンの混合物(III)の製
実施例1で製造したポリマーエマルジョン(a−1)1
00部(固形分)と実施例3で製造したポリオルガノシ
ロキサン重合体の水性分散体(c−1)5部(固形分)
を混合し、混合物(III−1)を得た。壁紙用コーティング剤の製造と試験 上記の通り製造した混合物(III−1)を用いて実施
例1と同様に配合し、壁紙用コーティング剤とした。こ
の壁紙用コーティング剤について、前記の方法で試験し
た最低造膜温度は42℃、接触角は96°であった。こ
の壁紙は鈍い光沢を有する外観であった。汚染除去性は
口紅はほぼ良好、他4種の汚染について良好で、汚染除
去後の塗膜の状態も良好であった。耐摩擦試験も合格で
あった。
【0031】(実施例5)ポリオルガノシロキサンエマルジョンと(メタ)アクリ
レート系共重合体エマルジョンの混合物(III)の製
ポリマーエマルジョン(a−1)100部(固形分)
と、粘度100000mPa・sのシリコーンオイルの
乳化物である東芝シリコーン(株)製YMR7212の
1部を混合し、混合物(III−2)を得た。壁紙用コーティング剤の製造と試験 上記の通り製造したIII−2を用いて実施例1と同様
に配合し、壁紙用コーティング剤とした。この壁紙用コ
ーティング剤について、前記の方法で試験した最低造膜
温度は41℃、接触角は100°であった。この壁紙は
鈍い光沢を有する外観であった。汚染除去性は口紅とサ
インペンがほぼ良好、他3種の汚染について良好で、汚
染除去後の塗膜の状態も良好であった。耐摩擦試験も合
格であった。
【0032】(比較例1)ポリオルガノシロキサンを含
まない例壁紙用コーティング剤の製造と試験 実施例1の通り製造したポリマーエマルジョン(a−
1)をそのまま用いて実施例1と同様に配合し、壁紙用
コーティング剤とした。この壁紙用コーティング剤につ
いて、前記の方法で試験した最低造膜温度は55℃、接
触角は65°であった。この壁紙は光沢を有する外観で
あった。汚染除去性はコーヒーが3号、醤油が4号、ク
レヨンが4号、口紅が2号、水性サインペンが2号であ
り、本発明の目的とする汚染除去性を有さなかった。汚
染除去後の塗膜の状態は良好であった。耐摩擦試験は合
格であった。
【0033】(比較例2)(メタ)アクリレートを含ま
ない例(メタ)アクリレートを主原料としないポリマーエマル
ジョン(a−II)の製造 イオン交換水30部、反応性乳化剤であるアデカリアソ
ープSE−10N(旭電化工業(株)製)1.0部、非
イオン性乳化剤であるエマルゲン920(花王(株)
製)0.5部、単量体としてスチレン98.5部、アク
リル酸1.5部を混合攪拌しプレ乳化物を作った以外
は、実施例1と同様の装置、重合条件でポリマーエマル
ジョン(a−II)を製造した。ポリシロキサン複合重合体エマルジョン(I’)の製造 上記a−Iの製造に引き続き、i−ブチルトリメトキシ
シラン30部を入れ、約1時間にわたり強く攪拌し、さ
らに80℃に昇温し、3時間攪拌を続け反応させた。ラ
テックスの固形分濃度は45.1%、アルコキシシラン
の縮合転化率は99%であった。その後冷却し、200
メッシュの金網でろ過し、ポリシロキサン複合重合体エ
マルジョン(I’−1)を得た。得られたポリシロキサ
ン複合重合体ラテックスの平均粒子径をコールター社製
のナノサイザーを用いて測定したところ、0.13μm
であった。壁紙用コーティング剤の製造と試験 ポリシロキサン複合重合体エマルジョン(I’−1)を
用いて実施例1と同様に配合し、壁紙用コーティング剤
とした。この壁紙用コーティング剤について、前記の方
法で試験した最低造膜温度は110℃、接触角は93°
であった。この壁紙はやや黄色みを帯び、光沢を有する
外観であった。汚染除去性は口紅とサインペンが3号、
他3種の汚染について4号で、本発明の目的とする汚染
除去性を有さなかった。汚染除去後の塗膜の状態は口紅
とクレヨンの場合、ハガレが生じた。耐摩擦試験は乾摩
擦が不合格であった。
【0034】(比較例3)最低造膜温度が0℃未満の例(メタ)アクリレートを主原料とするポリマーエマルジ
ョン(a)の製造 イオン交換水30部、反応性乳化剤であるアデカリアソ
ープSE−10N(旭電化工業(株)製)1.0部、非
イオン性乳化剤であるエマルゲン920(花王(株)
製)0.5部、単量体として、スチレン20部、ブチル
アクリレート78.5部、アクリル酸1.5部を混合攪
拌しプレ乳化物を作った以外は、実施例1と同様の装
置、重合条件でポリマーエマルジョン(a−3)を製造
した。ポリシロキサン複合重合体エマルジョン(I’)の製造 上記ポリマーエマルジョン(a−3)の製造に引き続
き、i−ブチルトリメトキシシラン30部を入れ、約1
時間にわたり強く攪拌し、さらに80℃に昇温し、3時
間攪拌を続け反応させた。ラテックスの固形分濃度は4
4.2%、アルコキシシランの縮合転化率は99%であ
った。その後冷却し、200メッシュの金網でろ過し、
ポリシロキサン複合重合体エマルジョン(I’−2)を
得た。得られたポリシロキサン複合重合体ラテックスの
平均粒子径をコールター社製のナノサイザーを用いて測
定したところ、0.15μmであった。壁紙用コーティング剤の製造と試験 ポリシロキサン複合重合体エマッルジョン(I’−2)
を用いて実施例1と同様に配合し、壁紙用コーティング
剤とした。この壁紙用コーティング剤について、前記の
方法で試験した最低造膜温度は−10℃未満、接触角は
75°であった。この壁紙は光沢を有する外観であっ
た。汚染除去性はコーヒーが3号、醤油が4号、クレヨ
ンが3号、口紅が2号、水性サインペンが2号であり、
本発明の目的とする汚染除去性を有さなかった。汚染除
去後の塗膜の状態は良好であった。耐摩擦試験は乾摩擦
が不合格であった。
【0035】(比較例4)(メタ)アクリレートを含ま
ない例壁紙用コーティング剤の製造と試験 実施例3の通り製造したポリオルガノシロキサン重合体
の分散体(c−1)をそのまま用いて実施例3と同様に
配合し、壁紙用コーティング剤とした。この壁紙用コー
ティング剤について、前記の方法で試験した最低造膜温
度は−10℃未満、接触角は110°であった。この壁
紙は光沢を有する外観であったが、タックがあった。汚
染除去性試験では、拭き取りの際、塗膜が脱落するた
め、評価できなかった。耐摩擦試験は乾摩擦、湿摩擦と
も不合格であった。
【0036】(比較例5)(メタ)アクリレートを含ま
ない例ポリオルガノシロキサン系エマルジョン(II)の製造 実施例3の通り製造したポリオルガノシロキサン重合体
の水性分散体(c−1)を100部、スチレン98部、
アクリル酸2部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート0.5部を仕込み、気相部を15分間チッ
素ガスで置換し、80℃に昇温させ、80℃の温度に保
ちながら、5時間攪拌を続けたのち、25℃まで冷却
し、ポリオルガノシロキサン系エマルジョン(II−
2)を得た。壁紙用コーティング剤の製造と試験 ポリオルガノシロキサン系エマルジョン(II−2)を
用いて実施例3と同様に配合し、壁紙用コーティング剤
とした。この壁紙用コーティング剤について、前記の方
法で試験した最低造膜温度は35℃、接触角は94°で
あった。この壁紙は艶消しの外観であった。汚染除去性
は口紅が3号、他4種の汚染について4号で、本発明の
目的とする汚染除去性を有さなかった。汚染除去後の塗
膜の状態は口紅とクレヨンの場合、ハガレが生じた。耐
摩擦試験は乾摩擦が不合格であった。
【0037】(比較例6)(メタ)アクリレートを含ま
ない例ポリオルガノシロキサンエマルジョンと(メタ)アクリ
レート系でない共重合体エマルジョンの混合物(II
I’)の製造 比較例1のポリマーエマルジョン(a’)100部と実
施例3のポリオルガノシロキサン重合体の水性分散体
(c−1)の5部を混合し、混合物(III’)を得
た。壁紙用コーティング剤の製造と試験 上記の通り製造した混合物(III’)用いて実施1と
同様に配合し、壁紙用コーティング剤とした。この壁紙
用コーティング剤について、前記の方法で試験した最低
造膜温度は120℃、接触角は107°であった。この
壁紙は鈍い光沢を有する外観であった。汚染除去性は口
紅、クレヨンが3号、他3種の汚染について4号で、本
発明の目的とする汚染除去性を有さなかった。汚染除去
後の塗膜の状態は口紅の場合、ハガレが生じた。耐摩擦
試験は合格であった。
【0038】(比較例7)ポリオルガノシロキサンエマルジョンと(メタ)アクリ
レート系共重合体エマルジョンの混合物(III)の製
ポリマーエマルジョン(a−1)の100部(固形分)
と、東芝シリコーン(株)製YMR7212の100部
を混合し、混合物(III−3)を得た。壁紙用コーティング剤の製造と試験 上記の通り製造した混合物(III−3)を用いて実施
例1と同様に配合し、壁紙用コーティング剤とした。こ
の壁紙用コーティング剤について、前記の方法で試験し
た最低造膜温度は−10℃未満、接触角は110°であ
った。この壁紙は鈍い光沢を有する外観であったが、タ
ックがあった。汚染除去性試験では、拭き取りの際、塗
膜が脱落するため、評価できなかった。耐摩擦試験は乾
摩擦、湿摩擦とも不合格であった。
【0039】実施例1〜5は、本発明の範囲の壁紙用コ
ーティング剤を用いた例であり、本発明の目的とする汚
染除去性、耐摩擦に優れた塗膜を形成する壁紙用コーテ
ィング剤が得られており、また、乾燥工程で有機溶剤な
どの異臭がすることもなかった。これに対し、比較例1
は、ポリオルガノシロキサンを含まず、接触角も本発明
の範囲未満の例であり、汚染除去性に劣る。比較例2
は、(メタ)アクリレートを含まない例であり、汚染除
去性と耐摩擦に劣る。比較例3、7は、最低造膜温度が
本発明の範囲未満の例であり、汚染除去性と耐摩擦に劣
る。比較例4は、(メタ)アクリレートを含まず、最低
造膜温度も本発明の範囲未満の例であり、汚染除去性と
耐摩擦に劣る。比較例5は、(メタ)アクリレートを含
まない例であり、汚染除去性と耐摩擦に劣る。比較例6
は、(メタ)アクリレートを含まない例であり、耐摩擦
に劣る。
【0040】
【発明の効果】本発明の壁紙用コーティング剤は汚染除
去性、耐摩擦に優れた塗膜を形成し、しかも乾燥工程で
有機溶剤などの有害物質が揮発することがないので、ポ
リ塩化ビニルなどの壁紙に塗布して防汚性強化壁紙を製
造するのに好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平春 晃男 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリ
    レート系重合体を必須成分とする水系分散体を含み、最
    低造膜温度が0℃以上、かつ、乾燥皮膜と水との接触角
    が70°以上である壁紙用コーティング剤。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007533839A (ja) * 2004-05-07 2007-11-22 ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド 実質的に有機溶媒を含まないフィルム形成組成物、多層複合塗装および関連した方法
JP4507043B2 (ja) * 2000-11-17 2010-07-21 Dic株式会社 壁紙用防汚コート剤組成物
JP2010275540A (ja) * 2009-04-28 2010-12-09 Kansai Paint Co Ltd 漆喰塗布面の艶消し防汚処理材およびそれを用いた防汚仕上げ方法
JP2011213941A (ja) * 2010-04-01 2011-10-27 Asahi Kasei Chemicals Corp 水系塗料組成物及びその製造方法
JP2014109087A (ja) * 2012-11-30 2014-06-12 Dynic Corp 壁紙
JP2018184536A (ja) * 2017-04-26 2018-11-22 株式会社Snt 滑落膜

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