JP5509943B2 - 電流出力装置 - Google Patents

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Description

本発明は、設定された基準範囲の電流を出力する電流出力装置に関する。
この種の電流出力装置としては、例えば一端が出力端子に接続されたトランジスタ素子と、一端に駆動電圧が印加され他端はトランジスタ素子の他端に接続された電流検出抵抗と、電流検出抵抗に印加される電圧から出力電流値をリードバックする第1の演算増幅器と、出力電流の設定値と第1の演算増幅器でリードバックした出力電流値の偏差に応じた電圧を出力し、出力電圧をトランジスタ素子の制御端子に与えて出力電流値をフィードバック制御する第2の演算増幅器と、第2の演算増幅器の出力電圧値を検出する電圧検出回路と、第1の演算増幅器でリードバックした出力電流値が所定の基準値以下で、電圧検出回路の検出電圧値が所定の基準値異常である場合は、アナログ信号の出力線に断線が生じていると判断するアナログ信号出力装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
設定された基準範囲の出力電流を、電圧源より出力端を介して外部機器に供給するアナログ出力装置において、前記外部機器を流れるリターン電流を検出するリターン電流検出手段と、このリターン電流検出手段から取得してリードバックされるリターン電流値が、設定された前記出力電流に対して所定の許容範囲外の場合に異常と判断する異常診断手段とを備えたアナログ出力装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−34348号公報 特開2008−107224号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、リードバックした出力電流値と出力電流値をフィードバック制御する第2の演算増幅器の出力電圧値をもとに断線異常を検出することができるものであるが、例えばマルチプレクサの異常によって出力電流値が所定値に張り付いてしまう張り付き異常を検出することはできないという未解決の課題がある。
また、上記特許文献2に記載の従来例にあっては、リターン電流値が設定された出力電流値に対して所定の許容範囲外である場合に異常と判断することができるが、前述したようにマルチプレクサの異常により出力電流値が所定の許容範囲内で張り付いてしまう張り付き異常を検出することはできないという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、出力電流値が所定の許容範囲内で張り付く張り付き異常が生じた場合に、この張り付き異常を低コストで正確に検出することができる電流出力装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の一の形態に係る電流出力装置は、出力電流の電流指令値を出力する電流指令手段と、前記電流指令値に基づいて出力電流を負荷に出力する電流出力手段と、該電流出力手段及び前記負荷間に介挿されて前記出力電流を検出するリターン電流検出手段と、該リターン電流検出手段で検出したリターン電流値でなる基準値と前記電流指令値とから算出される前記出力電流の前記電流指令値に対する精度を表す電流精度が許容範囲外である場合に異常と判断する異常診断手段とを備え、前記異常診断手段は、前記電流精度が前記許容範囲内である場合に、前記電流指令値を前記許容範囲内で設定した電流精度に応じた電流分強制的に変化させ、このときの前記リターン電流値と前記基準値の偏差が設定値未満であるとき及び前記電流精度の符号が変化したときの何れか一方であるときに電流張り付き状態であると判断する電流変化異常診断を行うことを特徴としている。
ここで、前記電流精度は、前記リターン電流値から前記電流指令値を減算した値を当該電流指令値で除した値の百分率として算出される。
この構成によると、異常診断手段で、リターン電流値の基準値と電流指令値とに基づいて算出される電流精度が許容範囲内である場合に、電流精度の許容範囲内で電流指令値を強制的に変化させ、このときのリターン電流値の変化から出力電流の張り付き異常が生じているか否かを判断することができる。
また、本発明の他の形態に係る電流出力装置は、前記リターン電流検出手段と前記負荷との間に介挿された前記負荷への電流出力時にオン状態に制御されるスイッチ回路を有し、
前記異常診断手段は、前記電流精度が前記許容範囲外である場合に、前記常閉スイッチ回路をオフ状態として、その後の前記電流精度が前記許容範囲の下限値以下となるように制御することを特徴としている。
この構成によると、異常診断手段で、電流精度が許容範囲外である場合に、電流精度を許容範囲の下限値以下に制御することができ異常の発生を確認することができる。
本発明によれば、異常診断手段で、リターン電流値が電流指令値に対して所定の許容範囲内である場合に、出力電流値の精度範囲内で電流指令値を強制的に変化させ、このときのリターン電流値の変化から出力電流の張り付き異常が生じているか否かを判断するので、ハードウェアを変更することなく、張り付き異常を正確に検出するとこができ、信頼性の高い電流出力装置を低コストで提供することができるという効果が得られる。
本発明に係る電流出力装置の一実施形態を示すブロック図である。 図1の演算処理装置で実行する異常検出処理手順の一例を示すフローチャートである。 正常時の出力電流精度を示す説明図である。 正常時に強制的に電流を変化させた場合の出力電流精度を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すブロック図である。図中、1はプラント制御システム等に用いられる電流出力装置であって、この電流出力装置1は、電源端子tp及びtnに接続された外部電源2を有し、電源端子tp及びtnに定電圧回路3の入力側が接続されている。この定電圧回路3の出力側に電流出力手段としての定電流回路4と電流検出抵抗5とスイッチ回路6とが直列に接続されている。そして、スイッチ回路6と直列に負荷7が接続されている。
定電流回路4は、NPNトランジスタ11とこのNPNトランジスタをフィードバック制御する演算増幅器12とを備えている。NPNトランジスタ11は、コレクタが電流制限抵抗13を介して定電圧回路3の正極側の電源端子tpに接続され、エミッタが電流検出抵抗5に接続されている。また、演算増幅器12は、反転入力側がNPNトランジスタ11のエミッタ及び電流検出抵抗5との間に接続され、非反転入力側にアナログ電流指令値が入力される。
また、電流検出抵抗5のリターン電流値を表す両端電圧が電流検出用増幅器15で増幅され、さらにマルチプレクサ16を介してA/D変換器17でデジタルリターン電流値Idrに変換されて演算処理装置20に入力されている。ここで、電流検出抵抗5及び電流検出用増幅器15で電流検出手段が構成されている。
演算処理装置20は、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサユニット(MPU)等で構成され、各電流出力部の定電流回路4に対する電流指令値を出力するとともに、定電流回路4、マルチプレクサ16,22の異常診断を行う。
この演算処理装置20には、出力される電流指令値I*をアナログ電流指令値に変換するD/A変換器21が接続され、このD/A変換器21で変換されたアナログ電流指令値Ia*がマルチプレクサ22を介してノイズを除去するローパスフィルタ(LPF)23に供給され、さらに増幅器24で増幅され、その出力側と接地との間に介挿されたコンデンサCでサンプリングホールドされて定電流回路4の演算増幅器12の非反転入力端子に供給される。
また、演算処理装置20は、定電流回路4に対して設定された基準範囲の電流指令値を出力する電流指令手段25と、この電流指令手段25から出力される電流指令値I*とA/D変換器17から入力されるデジタルリターン電流値Idrとに基づいて電流異常診断を行う異常診断手段26とを備えている。
ここで、上記外部電源2、定電圧回路3、定電流回路4、電流検出抵抗5、スイッチ回路6、負荷7、増幅器15、ローパスフィルタ23及び増幅器24で構成される電流出力部が所定数マルチプレクサ16及び22に接続されて、マルチプレクサ22によってアナログ電流指令値Ia*が選択された電流出力部に出力されるとともに、マルチプレクサ16によって選択された電流出力部のアナログ電流検出値IadがA/D変換器17に入力される。
また、演算処理装置20は、図2に示す電流制御処理を実行する。この電流制御処理は、演算処理装置20に電源が投入されたときに実行開始され、ステップS1で、各電流出力部のスイッチ回路6をオン状態に制御し、次いでステップS2に移行してマルチプレクサ16及び22を制御するための変数Nを“0”に設定する。
次いで、ステップS3に移行して、変数Nを例えばBCDコードに変換してマルチプレクサ16及び22に出力する。
次いで、ステップS4に移行して、予め設定されて例えばROMに記憶された変数Nに対応する各電流出力部の電流指令値I*を読込み、次いでステップS5に移行して、読込んだ電流指令値I*をD/A変換器21に出力してからステップS6に移行する。
このステップS6では、電流検出用増幅器15で出力した電流指令値I*を検出可能な所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過していないときには所定時間が経過するまで待機し、所定時間が経過したときにはステップS7に移行する。
このステップS7では、A/D変換器17からデジタルリターン電流値Idrを読込むとともに、読込んだデジタルリターン電流値Idrを基準値Idr(n)としてRAM等に形成した基準値記憶領域に更新記憶し、次いでステップS8に移行して、読込んだデジタルリターン電流値Idrと前記ステップS5で出力した電流指令値I*とに基づいて下記(1)式に従って電流精度Ip[%]を算出してからステップS9に移行する。
Ip=(Idr−I*)×100/I* …………(1)
ステップS9では、算出した電流精度Ipが規定下限値−Ips及び規定上限値+Ipsで規定される許容範囲内であるか否かを判定し、Ip<−Ips又はIp>+Ipであるときには、電流精度Ipが許容範囲を超えている異常状態であると判断してステップS10に移行し、スイッチ回路6をオフ状態に制御する電流遮断信号をスイッチ回路6に出力してからステップS11に移行する。
このステップS11では、変数Nを“1”だけインクリメントし、次いでステップS12に移行して、変数Nが設定値Nsに達したか否かを判定し、N<Nsであるときには前記ステップS3に戻り、N=Nsであるときに前記ステップS2に戻る。
また、ステップS9の判定結果が−Ips≦Ip≦+Ipsであるときには一応正常と判断してステップS13に移行する。このステップS13では、電流精度Ipが正値すなわちIp≧0であるか否かを判定し、Ip≧0であるときには、ステップS14に移行して、現在の電流指令値I*から例えば規定上限値Ipsの半分の値であるIps/(100×2)だけ減算した値(=I*−Ips/(100×2))を新たな電流変更指令値Ic*として算出してからステップS16に移行する。
また、ステップS13の判定結果が、Ip<0であるときにはステップS15に移行して、現在の電流指令値I*に例えば規定上限値Ipsの半分の値であるIps/(100×2)を加算した値(=I*+Ips/(100×2))を新たな電流変更指令値Ic*として算出してからステップS16に移行する。
ステップS16では、ステップS14又はS15で算出した電流変更指令値Ic*をD/A変換器21に出力してからステップS17に移行し、前述したステップS6と同様の所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過していないときにはこれが経過するまで待機し、所定時間が経過したときにはステップS18に移行して、A/D変換器17からデジタルリターン電流値Idrを読込んでからステップS19に移行する。
このステップS19では、基準値記憶領域に記憶されている基準値Idr(n)と今回読込んだデジタルリターン電流値Idrとの偏差の絶対値(|Idr(n)−Idr|)が予め設定された張り付き判断値ΔIdを超えているか否かを判定し、|Idr(n)−Idr|>ΔIdであるときには張り付きのない正常値であると判断してステップS20に移行する。
このステップS20では、変数Nを“1”だけインクリメントし、次いでステップS21に移行して、変数Nが設定値Nsに達したか否かを判定し、N<Nsであるときにはそのまま前記ステップS3に戻り、N=Nsであるときには前記ステップS2に戻る。
また、ステップS19の判定結果が、|Idr(n)−Idr|≦ΔIdであるときには、電流指令値I*の変化に対してデジタルリターン電流値Idrの変化が無く張り付き異常が発生しているものと判断してステップS22に移行して、全ての電流出力部のスイッチ回路6をオフ状態とする電流遮断信号を出力し、次いでステップS23に移行して、警報回路27に対して警報信号を発してから電流制御処理を終了する。
この図2の処理において、ステップS1〜S5の処理が電流指令手段に対応し、ステップS5〜S23の処理が異常診断手段に対応している。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
演算処理装置20に電源が投入されると、図2に示す電流制御処理が実行開始され、先ず、変数Nが“0”に設定されることにより、マルチプレクサ16及び22で第0番目の電流出力部が選択される。
この状態で、第0番目の電流出力部の負荷7に設定されている電流指令値I*を読込み(ステップS4)、読込んだ電流指令値I*をD/A変換器21に出力する(ステップS5)。このため、D/A変換器21で電流指令値I*がアナログ値に変換されてマルチプレクサ22を介してローパスフィルタ23に供給されてノイズ除去され、次いで増幅器24で増幅されてコンデンサCにアナログ電流指令値Ia*がサンプルホールドされて定電流回路4の演算増幅器12の非反転端子に供給される。
このため、演算増幅器12の出力によってNPNトランジスタ11が定電流制御されて演算処理装置20から出力されるデジタル電流指令値I*に対応した出力電流Iが電流検出抵抗5及びスイッチ回路6を介して負荷7に定電流状態で供給される。
この電流検出抵抗5に定電流Iが流れて、その両端電圧が増幅器15から出力される状態となると、これがマルチプレクサ16を介してA/D変換器17に供給され、このA/D変換器17でデジタルリターン電流値Idrに変換される。
このため、図2の電流制御処理で、A/D変換器17で変換されたデジタルリターン電流値Idrを読込むとともに、基準値Idr(n)として基準値記憶領域に記憶し(ステップS7)、読込んだデジタルリターン電流値Idrと電流指令値I*とに基づいて前述した(1)式の演算を行って電流精度Ipを算出する(ステップS8)。
そして、算出した電流精度Ipが予め設定された規定下限値−Ips及び規定上限値+Ipsによる許容範囲内であるか否かを判定し、判定結果がIp<−Ips又はIp>+Ipsであって許容範囲外となるときには、電流系統の断線又は定電流回路4等の異常であると判断してスイッチ回路6をオフ状態とする電流遮断信号を出力する(ステップS10)。このため、定電流回路4及び負荷7を含む電流路が遮断されて負荷7への電流供給が停止される。このように、電流路が遮断状態となると、電流検出抵抗5の両端電圧も“0”となる。このため、電流精度Ipを算出したときに、電流精度Ipが規定下限値−Ip以下となることにより、次に該当する電流出力部に対して電流制御処理を行ったときに、異常発生による遮断状態を確認することができる。
一方、前記ステップS8で算出した電流精度Ipが許容範囲内である場合すなわち−Ips≦Ip≦+Ipsであるときには、一応正常と判断してステップS13に移行する。
このとき、電流精度Ipが図3に示すように、“0”より大きい正値であるものとすると、現在の電流指令値I*から例えば規定上限値+Ips/(100×2)を減算した値を電流変更指令値Ic*として算出し、算出した電流変更指令値Ic*をD/A変換器21に出力する(ステップS16)。
そして、所定時間が経過した後に、A/D変換器17からデジタルリターン電流値Idrを読込み(ステップS18)、読込んだデジタルリターン電流値Idrと前回正常と判断したときのデジタルリターン電流値である基準値Idr(n)との電流偏差の絶対値が設定値ΔId以上であるか否かを判定する(ステップS19)。
このとき、電流偏差の絶対値|Idr(n)−Idr|が設定値ΔId以上であるときには、電流指令値の変更に応じて電流検出値が変化しており、張り付き状態では無く正常状態であると判断してステップS20に移行し、変数Nを“1”だけインクリメントし、次いでステップS21に移行して、変数Nが設定値Ns未満であるので、前記ステップS2に戻って、次の電流出力部に対して電流制御処理を実行する。
ところが、電流偏差の絶対値|Idr(n)−Idr|が設定値ΔId未満であるときには、電流指令値I*を電流変更指令値Ic*に変更したにもかかわらず、出力電流変化が殆どなく、マルチプレクサ16及び22の少なくとも一方に異常が生じて、検出電流が張り付き状態となっているものと判断してステップS22に移行して、全ての電流出力部のスイッチ回路6に対して電流遮断信号を出力し、次いでステップS23に移行して、警報回路27に対して警報信号を出力して警報を発してから電流制御処理を終了する。
すなわち、例えばマルチプレクサ16は正常であるがマルチプレクサ22に異常が生じるか又は逆にマルチプレクサ16に異常が生じているがマルチプレクサ22は正常である場合にはマルチプレクサ22の電流指令値I*の出力先の電流出力部とマルチプレクサ16で選択した電流出力部とが異なることになる。
このとき、異なる電流出力部の電流指令値I*が異なる場合すなわち例えば一方が10mAで他方が20mAである場合には、電流指令値I*として10mAを出力したときに、A/D変換器17から入力されるデジタルリターン電流値Idrは20mA近傍の値となることから、前述したようにステップS8で電流精度Ipを演算したときに、ステップS9で異常と判定される。
ところが、異なる電流出力の電流指令値I*が等しい例えば10mAである場合には、一方の電流出力部に電流変更指令値Ic*を出力しても、他方の電流出力部は反応せず、電流指令値I*(=10mA)に基づいて電流出力を行っているため、電流指令値I*の変化がリターン電流値Idrの変化に反映されず、A/D変換器17から出力されるデジタルリターン電流値Idrは電流変更指令値Ic*を出力する以前の状態を維持することになり、電流張り付き状態となる。
この状態となると、基準値Idr(n)と電流変更指令値Ic*の出力後に読込んだデジタルリターン電流値Idrとに殆ど変化が表れないことになり、前述したステップS17の判定結果は、|Idr(n)−Idr|<ΔIdとなり、張り付き異常として検出されて各電流出力部のスイッチ回路6がオフ状態に制御されるとともに警報回路27から警報が発せられる。
このほか、マルチプレクサ16及び22は正常であるが電流出力部内で何らかの原因で電流指令値I*の変化に対して出力電流Iが変化しない状態となった場合も張り付き異常として検出される。
このように、上記実施形態によると、マルチプレクサ16及び22の少なくとも一方に異常が発生した場合などの電流指令値I*の変化に対して、リターン流値Idrが変化しない張り付き異常が発生した場合に、この張り付き異常を正確に検出することができる。
しかも、張り付き異常を検出するために、特別なハードウェアを必要とすることがなく、ソフトウエアによる処理のみで貼り付き異常を検出することができるので、低コストで張り付き異常を検出することができ、信頼性の高い電流出力装置を得ることができる。
なお、上記実施形態においては、電流変更指令値Ic*を電流指令値I*に対する変化量をIps/(100×2)に設定した場合について説明したがこれに限定されるものではなく、張り付き異常が検出可能な任意の値に設定することができる。
また、上記実施形態においては、電流精度Ipが許容範囲内であるときに、電流変更指令値Ic*を電流精度Ipが正値であるか否かに応じて電流指令値I*の減少値及び増加値を決定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電流精度Ipが規定下限値−Ips又は規定上限値+Ipsに対して余裕がある場合には、電流精度Ipが規定下限値−Ips又は規定上限値+Ipsに近づくようにデジタルリターン電流値Idrより大きな電流変更指令値Ic*に変更するようにしてもよい。この場合には、電流変更指令値Ic*がデジタルリターン電流値Idrを超えて、電流精度Ipが規定下限値−Ips又は規定上限値+Ipsに近づく方向に変更されることになるので、電流張り付き異常が発生してデジタルリターン電流値Idrが変化しない場合には、電流指令値I*を変更する前後で電流精度Ipsの符号が反転することになり、この符号反転が起きるか否かで電流張り付き状態であるか否かを診断することができる。
すなわち、図4に示すように、最初にステップS8で電流精度Ipを算出したときに、破線図示の特性線L1で表される正値の比較的小さい電流精度Ipsが検出され、その後に、電流変更指令値Ic*をデジタルリターン電流値Idrより大きな正値とした場合に、正常である場合には、実線図示の特性線L2で表される正値の電流精度Ipが検出される。
ところが、張り付き異常が発生した場合には、デジタルリターン電流値Idrは破線図示のままであり、Ic*>Idrとなるので、前記(1)式で算出される電流精度Ipは負値となり、張り付き異常を検出することができる。
さらには、許容範囲内で定常と判断された電流精度Ipが例えば正値であるときに電流変更指令値Ic*を規定下限値−Ipsに相当する電流指令値に変更し、電流精度Ipが負値であるときに電流変更指令値Ic*を規定上限値+Ipsに相当する電流指令値に変更することにより、張り付き異常が発生したときに、デジタルリターン電流値Idrと変更した電流変更指令値Ic*とに基づく前記(1)式で算出される電流精度Ipが規定上限値+Ips又は規定下限値−Ipsを超えるように設定するようにしてもよい。
何れにしても、電流変更指令値Ic*を電流精度の範囲内で変更したときの、電流検出値の変化に基づいて張り付き異常を検出するようにすればよいものである。
また、上記実施形態においては、電流検出抵抗5を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、変流器(CT)を適用して電流検出を行うようにしてもよい。
1…電流出力装置、2…外部電源、3…定電圧回路、4…定電流回路、5…電流検出抵抗、6…スイッチ回路、7…負荷、15…増幅器、16…マルチプレクサ、17…A/D変換器、20…演算処理装置、21…D/A変換器、22…マルチプレクサ、23…ローパスフィルタ、24…増幅器、25…電流指令値手段、26…異常診断手段、27…警報回路

Claims (3)

  1. 出力電流の電流指令値を出力する電流指令手段と、
    前記電流指令値に基づいて出力電流を負荷に出力する電流出力手段と、
    該電流出力手段及び前記負荷間に介挿されて前記出力電流を検出するリターン電流検出手段と、
    該リターン電流検出手段で検出したリターン電流値でなる基準値と前記電流指令値とから算出される前記出力電流の前記電流指令値に対する精度を表す電流精度が許容範囲外である場合に異常と判断する異常診断手段とを備え、
    前記異常診断手段は、前記電流精度が前記許容範囲内である場合に、前記電流指令値を前記許容範囲内で設定した電流精度に応じた電流分強制的に変化させ、このときの前記リターン電流値と前記基準値の偏差が設定値未満であるとき及び前記電流精度の符号が変化したときの何れか一方であるときに電流張り付き状態であると判断する電流変化異常診断を行うことを特徴とする電流出力装置。
  2. 前記電流精度は、前記基準値から前記電流指令値を減算した値を当該電流指令値で除した値の百分率として算出されることを特徴とする請求項1に記載の電流出力装置。
  3. 前記リターン電流検出手段と前記負荷との間に介挿された前記負荷への電流出力時にオン状態に制御されるスイッチ回路を有し、
    前記異常診断手段は、前記電流精度が前記許容範囲外である場合に、前記常閉スイッチ回路をオフ状態として、その後の前記電流精度が前記許容範囲の下限値以下となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の電流出力装置。
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