JP4308624B2 - エンジン制御装置 - Google Patents
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Description
図1は、スロットルセンサを用いたエンジン制御装置の構成を示す図である。
スロットルセンサ1は、スロットルの開度を示すセンサ信号を出力する。センサ信号は、エンジン制御装置としてのECU2に入力される。センサ信号は、ECU2の内部で、2系統に分岐される。
図2において、横軸はスロットル開度(°)、縦軸は入力信号レベル(V)である。入力信号V1、V2は、スロットル開度に応じて図示のように変化をする。スロットル開度が同一であれば、第2系統の入力信号V2のレベルは、第1系統の入力信号V1の4倍となる。マイコン3では、スロットル開度が小さい領域では入力信号2を使用し、大きい領域では入力信号1を使用する。
以上説明したように、1つのセンサ信号をアンプのある系統とない系統との2系統に分岐してマイコン3に入力することにより、スロットルの低開度領域1におけるセンサ信号の変化量を拡大することができ、検出精度を向上させることができる。
また、異常検出装置として、同一の信号を2系統で出力させ、各系統の信号を比較する方法が特許文献3に記載されている。これは、CPUのソフトウエア処理により同一のデータを作成し、異なるポートから出力させて、両出力データの一致性をチェックするものである。ここで両出力データが一致していればCPUに異常はないと判定し、不一致であれば、CPUに異常があると判定する。
図3において、横軸は時間(t)、縦軸は入力信号レベル(V)である。図は、スロットル開度が時間の経過と共に大きくなっていき、入力信号レベルV1、V2が上昇をしていく状況を示している。
これに対して、系統4及び系統5における異常を検出できるようにすれば、上記の問題の発生を防止することができる。
また、本発明は、上記の異常検出装置を使用し、確実な制御を可能としたエンジン制御装置を提供することを目的とするものである。
本発明のエンジン制御装置においては、複数の系統に入力される信号は同一レベルを有するものであるので、各系統から検出した信号レベルは、系統ごとの、信号処理回路の有無及び信号処理回路の処理の相違により異なることになる。したがって、検出した信号レベルを、信号処理回路にて行われた処理を考慮に入れて比較することにより、入力された信号の系統における異常の有無を判定することが可能となる。
本発明のエンジン制御装置においては、スロットルセンサからの信号を2系統に分岐し、一方の系統にアンプを挿入する。エンジン制御に際しては、スロットル開度が小である間はアンプで増幅された信号を利用し、スロットル開度が大である間は、センサ信号を直接利用する。
また、本発明によれば、上記の異常検出装置を使用し、確実な制御を可能としたエンジン制御装置を得ることができる。
図4を用いて、エンジン制御装置の構成を説明する。図4において、既述の図1と共通する部分については、同一の参照符号を付して、重複する説明は省略する。
スロットルセンサ1が出力するセンサ信号がECU2に入力される。センサ信号はECU2内において系統4、5の2系統に分岐され、系統5には信号処理回路としてのアンプ6が挿入される。アンプ6の増幅率は、本例においても4であるとする。系統4、5からの信号が入力信号V1、V2としてマイコン3に入力される。
切替部7は、スロットル開度に応じた切り替えを行う。入力信号V2が所定値より大きくなると入力信号V1側に切り替え、入力信号V1が所定値以下になると入力信号V2側に切り替える。
切替部7から出力された入力信号V1又はV2はマイコン3に出力される。マイコン3は、入力されたセンサ信号に応じて、エンジン制御を行う。
以下、異常検出部9の動作について、実施例ごとに説明する。
図5に示す処理は、割り込み処理により所定時間間隔で開始される。
ステップS1にて、系統4の入力信号V1のレベルと系統5の入力信号V2のレベルとを検出し、次式により偏差ERRを算出する。
ERR=V1×4−V2
ERR>SRとなれば、異常条件が成立したとしてステップ3へ進む。
ステップ3では、カウント値CNTをインクリメントして、ステップ4へ進む。
ステップS2で異常条件が成立しないときは、カウント値CNTをインクリメントせずにステップS4へ進む。
ステップS4でCNT>FTでなければ、図5の処理を終了する。
図6(A)は、時間(t)の経過と共に、入力信号V1、V2が変化する状態を示している。(B)は、カウンタのカウント値CNTを示す。(C)は異常フラグ10の状態を示す。
時点t8でカウント値CNTがあらかじめ設定された基準値FTTを超えると、異常フラグ10がオンされる(図6(C))。その後、カウント値CNTがクリアされる。
また、許容値SRについても、一定値である必要はなく、スロットル開度に応じて変化する値とすることもできる。
そこで、本例では、入力信号V2について学習を行うことにより、より正確な異常検出を可能とする。
図7の処理は、ECU2の出荷時に実行される。
ステップS11で、学習が未完であるか否かが判定される。ここでは、学習フラグの状態が検出される。このフラグは、学習が1度行われるとオンにセットされる。学習フラグがオンであれば学習済みであるので、図7の処理を終了する。学習フラグがオフであれば、ステップS12へ進み、電圧偏差率Aを学習により取得する。ステップS12の詳細は後述する。
ステップS11とステップS13を設けたことにより学習は1回だけ行われることとなる。2回目以降、図7の処理を開始させようとしても、ステップS11からステップS12へは進まないので、2回以上の学習は行われないこととなる。
図8において、横軸はスロットル開度(°)、縦軸は入力信号レベル(V)である。入力信号V1と、入力信号V2の理論値4×V1と、実測値の入力信号V2は、いずれもスロットル開度に比例して変化する。
なお、ここでセットする開度αとしては、入力信号V2の検出が可能な範囲で、開度0°でない位置を選択する必要がある。
A=V1×4/V2 となる。
この電圧偏差率Aが図5のステップS1の偏差ERRの算出に使用される。
偏差ERRの算出に使用する入力信号V2として、実測した入力信号V2に電圧偏差率Aを掛けた値(V2×A)を使用する。
ERR=(実測値のV1×4)−(実測値のV2×電圧偏差率A)
実測値のV2×電圧偏差率A=入力信号V2の理論値V1×4であるから、系統4、5に異常がなければERR≒0となる。異常が発生すれば、前述の理由により、ERRは許容値±SRの範囲を外れることとなる。
以上説明したように、入力信号V2について学習を行うことで、アンプ6の個体差による理論値と実際値の差に関係なく、より正確に異常検出をすることができる。
例えば、学習動作を、イグニッションスイッチがオンされたとき(異常検出部9の電源がオンされたとき)に行っても良い。この場合、図7の処理は、異常検出部9の電源がオンされたことを検出したときに開始されることとする。
さらに、イグニッションスイッチを利用する代わりに、タイマを利用して所定の時間間隔で学習を繰り返すようにすることもできる。
これに対し、本例では、瞬時値(v)と時間(t)との積を検出値として採用することにより、より正確に入力信号V1、V2を検出することを可能とする。
入力信号V1及び入力信号V2を時点t1で検出するとき、信号の瞬時値を所定時間Δt継続して測定し、その積算値Sを入力信号V1、V2として採用する。
図5のステップS1の偏差ERRの算出には、この積算値による入力信号V1、V2を用いる。また、ステップS2における比較対象の偏差許容値SRも、積算値に対応した値を用意する。
以下に説明する例は、カウント値CNTのクリアを、異常条件の成立が否定される都度行うものである。
図10のフローチャートにおける本例の特徴部分は、ステップS2で異常条件が成立していないと判定されると、ステップS21においてカウンタがリセットされる点である。
時点t2、t3で連続して入力信号V2が許容値±SRの範囲から外れると、ステップS2からステップS3へ進んで、カウント値CNTが積算される。時点t4で入力信号V2が許容値±SRの範囲内に戻ると、ステップS2からステップ21へ進んで、カウンタがクリアされ、カウント値CNTは0に戻る。時点t5で再度入力信号V2が許容値±SRの範囲から外れると、カウント値CNTのインクリメントが再開され、カウント値CNTが積算されていく。
本例によれば、異常条件の成立が所定時間連続したときのみ異常があると判定され、所定時間継続する前に異常条件の成立がなくなれば、カウント値CNTはクリアされる。したがって、誤った異常条件の成立が積算されて異常ありと誤判定がされることを防止できる。
例えば、系統の数は2に限定されるものではなく、1つの信号を3以上の系統に分岐した場合、あるいは、アンプ6が挿入された系統の数が2以上ある場合にも本発明は適用可能である。比較対象の入力信号V1、V2のいずれもがアンプ6を通している場合には、両方のアンプの増幅率を考慮に入れて比較をすれば良い。
また、ECU2の内部に設けたアンプ6によって増幅された信号を受けて制御を行うトランスミッションECUの内部に異常検知部9を設けても良い。
2…ECU
3…マイコン
4…第1の系統
5…第2の系統
6…アンプ
7…切替部
8…A/D変換部
9…異常検出部
10…異常フラグ
A…電圧偏差率
CNT…カウント値
ERR…偏差
FT…カウント値の基準値
SR…偏差の許容値
V1…入力信号
V2…入力信号
Claims (9)
- 1つのアナログ信号が、直接エンジン制御装置に入力される第1の系統と、入力された該アナログ信号の値とは異なる値に変換する信号処理回路を介して、エンジン制御装置に入力される第2の系統に分岐され、入力される該第1の系統と該第2の系統からの信号に基づいて所定の制御を行うエンジン制御装置であって、
前記第1の系統から入力される信号レベル及び前記第2の系統から入力される信号レベルを検出する信号レベル検出手段と、
前記信号レベル検出手段によって検出された前記第1の系統の信号レベルと、前記信号レベル検出手段によって検出された前記第2の系統の信号レベルとを、前記第2の系統の信号処理回路にて行われた処理を考慮に入れて比較することにより、入力された信号の系統における異常の有無を判定する判定手段と、を具備し、
前記判定手段が異常ありと判定をしたとき、エンジン制御装置のシステムをダウンさせることを特徴とするエンジン制御装置。 - 前記第1の系統と前記第2の系統とを切り替える切替手段を具備し、前記判定手段が異常ありと判定をしたとき、異常がないと判定された系統に切り替えることを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。
- 前記判定手段は、異常条件が成立したと判定した回数の積算値が所定値を超えたときに、異常が発生したと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン制御装置。
- 前記判定手段は、異常条件が成立したと判定したことが所定期間連続したときに、異常が発生したと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン制御装置。
- 前記信号レベル検出手段は、信号レベルを所定時間検出し、信号レベルと検出時間の積算値を検出信号レベルとして採用することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のエンジン制御装置。
- 前記判定手段は、前記信号処理回路の出力側から検出した信号のレベルを、学習値により修正して使用することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のエンジン制御装置。
- 前記学習値は、エンジン制御装置の出荷時に行われた学習により得られた値であることを特徴とする請求項6に記載のエンジン制御装置。
- 前記学習値は、エンジン制御装置の電源オン時により行われた学習により得られた値であることを特徴とする請求項6に記載のエンジン制御装置。
- 前記信号処理回路はアンプであり、前記判定手段は、アンプの増幅率を考慮に入れて前記の比較をすることを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。
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