JP5509741B2 - 単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
このチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の育成では、シリコンの原料融液に種結晶を浸漬し、この状態から引き上げ速度および原料融液の加熱温度を制御しながら種結晶を引き上げることにより、種結晶の下方に円柱状のシリコン単結晶を育成する。
一方、半導体デバイスの製造工程では、シリコンウェーハ上に各種デバイスを作り込んでいるが、このシリコンウェーハは、育成されたシリコン単結晶から切り出される。
このようなシリコン単結晶の育成においては、円柱状のシリコン単結晶の直径を制御することと、シリコン単結晶の品質に強く影響する引き上げ速度の移動平均を制御することが、製品品質ならびに製造費用の観点から極めて重要となる。
そこで、これを解決する方法として、例えば、平均引き上げ速度とヒータ温度を独立に制御することにより、シリコン単結晶を育成する方法が提案されている(特許文献1)。
この方法は、より具体的には、単結晶の直径に関して目標と実績に偏差がない定常時には、平均引き上げ速度とヒータ温度の両方を一定に固定し、非定常時には、直径偏差に応じて所定時間だけ引き上げ速度を変動させ、かつ、ヒータ温度を変動させる方法である。
そもそも、直径偏差が生じない定常時には直径制御は必要ではなく、直径偏差が生じる非定常時にこそ、直径制御が必要とされるのであるのに対し、前記の方法では、引き上げ速度の変動を所定時間のみに限定するため、平均引き上げ速度の変動が大きくならないことが期待されるものの、所定時間という限定が加わっていることにより、直径偏差をなくすことができない。
また、この直径偏差を補償するべくヒータ温度を操作したとしても、ヒータ温度が直径に影響するまでの時間は、引き上げ速度が直径に影響するまでの時間と比較してもはるかに長く、したがって、適切な直径制御を行うことが難しく、多くの場合、直径偏差が大きくなってしまうという問題点があった。
前記単結晶を引き上げる過程にて、引き上げ速度の操作量の上下限値の設定、前記単結晶の引き上げ長さ毎に予め設定した引き上げ速度の目標値の修正、前記ヒーター温度に対する補正値の適用、のうち、少なくとも1つ以上を適用して、前記単結晶の引き上げ速度の移動平均値を制御する第一工程と、前記単結晶の引き上げ速度、および/または前記ヒータ温度を制御することによって、前記単結晶の直径を制御する第二工程と、を組み合わせ、前記単結晶の直径、および前記単結晶の引き上げ速度の移動平均値に基づいて、前記第一工程と前記第二工程の何れか一方を優先的に適用する判断を行い、前記判断によって前記第一工程を優先的に適用する際には前記第二工程のパラメータを、また前記第二工程を優先的に適用する際には前記第一工程のパラメータを、それぞれリアルタイムで同時に参照しつつ引上げを行い、優先的に適用している工程に対する他方の工程のパラメータが所定の範囲を超えた場合、当該他方の工程を優先的に適用する工程に移行させることを特徴とする。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、単結晶の一例としてシリコン単結晶の製造を例示する。
(1)単結晶の部位別の重点制御方法のデータ読込(SP1)
まず、引上げ速度の移動平均値(以下、移動平均と称することがある)に基づく結晶成長制御か、または、単結晶の直径値に基づく結晶成長制御のどちらを重点的に(主要な制御パラメータとして)用いるかを、引き上げようとするシリコン単結晶の長さ方向(引上げ方向)における、任意の部位ごとに指定されたデータとして読み込む。
予め区画した各部位の先頭に達するごとに、ステップSP1で読み込んだデータを参照して、これから引上げようとする部位の重点制御方法を判別、決定する。例えば、予め定めたある部位までの引上げ(即ち、ある長さまでの引上げ)が完了し、連続して次の部位の引上げを始める際に、ステップSP1で読み込んだデータが、当該部位の重点制御方法として移動平均制御を指定している場合、以後の引上げにおいて、移動平均制御を主体にシリコン単結晶の引上げを行う(第一工程:SP3)。
これら移動平均制御、または直径制御のいずれかを重点制御方法として引上げを行っている際に、常に他方の制御方法のパラメータ、即ち、移動平均制御を重点制御としている場合の結晶直径の変動値、および直径制御を重点制御としている場合の移動平均の変動値も、リアルタイムで同時に参照(監視)しつつ引上げを行う。
また、引き上げ速度のXmm移動平均は、連続するγmmとδmmの引き上げ速度の移動平均として記述することができる。
次いで、引き上げ速度の移動平均値の算出対象の引き上げ長、引き上げ速度の設定値を補正する将来の引き上げ長及び過去の引き上げ速度の移動平均値を用いて、引き上げ速度の設定値の補正量及び引き上げ速度の設定値の修正値を順次算出した。
引き上げ速度の上下限値は、式(1)〜式(8)に基づき算出した。
ここで、式(1)及び式(2)は、引き上げ速度のXmm移動平均値の上下限値を許容割合から算出する計算式である。
PS_X≧(1−α)×PS_pf …(1)
PS_X≦(1+β)×PS_pf …(2)
ただし、PS_X:引き上げ速度のXmm移動平均値
PS_pf:引き上げ速度の設定値
α:負方向の許容割合
β:正方向の許容割合
PS_X=PS_γ×γ/X+PS_δ×δ/X …(3)
ただし、PS_γ:γmm移動平均値
PS_δ:δmm移動平均値
X:移動平均を算出する引き上げ長
γ+β=X …(4)
式(5)及び式(6)は、式(3)から得られる式である。
PS_δ×δ/X=PS_X−PS_γ×(γ/X) …(5)
PS_δ=(PS_X−PS_γ×γ/X)×(X/δ) …(6)
δma_V_LL=((1−α)×PS_pf−PS_γ×γ/X)×(X/δ) …(7)
式(8)は、引き上げ速度の上限値を算出する式であり、式(6)及び式(2)から得られる。
δma_V_UL=((1+β)×PS_pf−PS_γ×γ/X)×(X/δ) …(8)
PS_pf={LP1×PS_LP1+LP2×(PS_pf+PS_pf_r)}/(LP1+LP2) …(9)
PS_pf_r={PS_pf×(LP1+LP2)−LP1×PS_LP1}/LP2−PS_pf …(10)
PS_pf_mod=PS_pf+PS_pf_r …(11)
ただし、LP1:引き上げ速度の移動平均値を算出する過去の引き上げ長(mm)
LP2:引き上げ速度の設定値を補正する将来の引き上げ長(mm)
PS_LC1:過去L1(mm)の引き上げ速度の移動平均値(mm/min)
PS_pf:引き上げ速度の設定値(mm/min)
PS_pf_r:引き上げ速度の設定値の補正量(mm/min)
PS_pf_mod:引き上げ速度の設定値の修正値(mm/min)
これらの図では、引き上げ速度の瞬時値を細線、引き上げ速度の移動平均を太線、引き上げ速度の目標値を二点鎖線、引き上げ速度の移動平均の許容範囲を破線、直径制御の操作変数である引き上げ速度の上下限値を一点鎖線で表してある。
ここでは、許容割合であるαおよびβを、各々3%と設定した。
このように、引き上げ速度の過去の実績を評価し、将来の引き上げ速度の制約条件を時々刻々設定することで、引き上げ速度の移動平均を目標値からの許容割合内に制御することができることが分かる。
Claims (1)
- ヒータによって原材料を溶融し、チョクラルスキー法により単結晶を育成する単結晶の製造方法において、
前記単結晶を引き上げる過程にて、
引き上げ速度の操作量の上下限値の設定、
前記単結晶の引き上げ長さ毎に予め設定した引き上げ速度の目標値の修正、
前記ヒーター温度に対する補正値の適用、
のうち、少なくとも1つ以上を適用して、前記単結晶の引き上げ速度の移動平均値を制御する第一工程と、
前記単結晶の引き上げ速度、および/または前記ヒータ温度を制御することによって、前記単結晶の直径を制御する第二工程と、を組み合わせ、
前記単結晶の直径、および前記単結晶の引き上げ速度の移動平均値に基づいて、前記第一工程と前記第二工程の何れか一方を優先的に適用する判断を行い、
前記判断によって前記第一工程を優先的に適用する際には前記第二工程のパラメータを、また前記第二工程を優先的に適用する際には前記第一工程のパラメータを、それぞれリアルタイムで同時に参照しつつ引上げを行い、優先的に適用している工程に対する他方の工程のパラメータが所定の範囲を超えた場合、当該他方の工程を優先的に適用する工程に移行させることを特徴とする単結晶の製造方法。
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