JP5509714B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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また、前記ブロックは、踏み込み側の端部に前記突起部を備えることが好ましい。
また、前記ブロックの接地面には、前記接地面の踏み込み側に、前記突起部が複数設けられることが好ましい。
また、前記複数の突起部の各々の高さは、踏み込み側の端部に近い突起部ほど高いことが好ましい。
また、前記ブロックに設けられる突起部の数は、前記空気入りタイヤの幅方向外側に位置するブロックほど多いことが好ましい。
以下、本実施形態の空気入りタイヤについて、詳細に説明する。
本実施形態の空気入りタイヤは、JATMA YEAR BOOK 2008(日本自動車タイヤ協会規格)のC章に規定されているトラック及びバス用の重荷重用タイヤに適用することができる。重荷重用タイヤの他、A章に規定されている乗用車用タイヤ、B章に規定されている小形トラック用タイヤに適用することもできる。
また、幅方向溝12は、図1に示されるように、タイヤ赤道線CLに直交する方向(タイヤ幅方向)と平行な溝に限定されない。幅方向溝12は、例えば、タイヤ幅方向に対して35度以内の角度で傾斜する溝も含む。また、幅方向溝12の幅は、2mm以上である。
また、本実施形態では、周方向溝10と幅方向溝12の深さは同じとするが、溝の深さを異ならせてもよい。
以下の説明では、ブロック20の接地面のうち、ブロック20を回転方向の前方と後方の領域に2等分したときに、ブロック20が先に接地する側の領域を踏み込み側領域22と呼ぶ。また、ブロック20の接地面のうち、ブロック20を回転方向の前方と後方の領域に2等分したときに、ブロック20が後に接地する側の領域を蹴り出し側領域24と呼ぶ。なお、ブロック20の2等分とは、タイヤ回転方向におけるブロック20の両端の中点を結んでできる中線により分割することをいう。図2において、点線は上述した中線を示す。
上述したように、本実施形態では周方向溝10と幅方向溝12の深さを同じであるため、周方向溝10の底面、又は幅方向溝12の底面のいずれかを高さの基準とする。周方向溝10と幅方向溝12の深さが異なる場合は、深い方の溝の底面を高さの基準とする。
本実施形態によれば、ウェット路面や氷雪路面上でのトラクション性の低下を抑制しつつ、ヒール・アンド・トゥ摩耗を抑制することができる。
図4は、図1に示すA−A線に沿ったブロック20の断面図である。図4には、幅方向溝12を挟んでタイヤ周方向に隣接する2つのブロック20A,20Bが示されている。ブロック20Aは、踏み込み側領域22Aに突起部30Aを備える。また、ブロック20Bは、踏み込み側領域22Bに突起部30Bを備える。
第1の実施形態の変形例1のブロック20の一例を図5(a)に示す。本変形例では、突起部30の幅が、タイヤ幅方向におけるブロック20の幅の半分以上であり、かつ、ブロック20の幅未満である。突起部30の幅がブロック20の幅未満である場合、タイヤ幅方向において突起部30が設けられる位置は特に限定されない。しかし、突起部30が設けられる位置にブロック20の中心が位置するように、突起部30が設けられることが好ましい。
第1の実施形態の変形例2のブロック20の一例を図5(b)に示す。本変形例では、突起部30は、タイヤ幅方向に分断されて設けられる。図5(b)に示す例では、ブロック20の幅の45%の突起部30C、30Dが、所定の間隔を空けてタイヤ幅方向に隣接して設けられる。本変形例の突起部30C,30Dのように、タイヤ幅方向に分断された個々の突起部の幅がブロック20の幅の半分未満であっても、タイヤ幅方向に隣接して設けられる複数の突起部の幅の和がブロック20の幅の半分以上であれば、ヒール・アンド・トゥ摩耗を抑制する効果を有する。そのため、タイヤ幅方向において突起部30が分断されて設けられている場合は、分断された複数の突起部の幅の和が、ブロック20の幅の半分以上であることが好ましい。
本実施形態では、上述したようにタイヤ周方向における突起部30の断面形状は半円形である。しかし、突起部30の形状は特に限定されるものではない。例えば、タイヤ周方向における断面形状が、三角形、長方形、正方形、台形となる突起部30をブロック20に設けてもよい。
また、本実施形態では、上述したようにブロック20は直方体である。しかし、ブロック20の形状は特に限定されるものではない。例えば、ブロック20の接地面が曲率を持つ形状であってもよい。また、ブロック20の接地面の形状は、長方形に限られない。ブロック20の接地面の形状は、例えば、平行四辺形、台形、その他の多角形でもよい。
次に、第2の実施形態のブロック20が備える突起部について詳細に説明する。本実施形態のトレッドパターンの概略は、説明した第1の実施形態と同様である。図6は、本実施形態におけるブロック20の一例を示す図である。本実施形態のブロック20は、踏み込み側領域22に、突起部を複数備える。図6に示されるように、本実施形態では、ブロック20は、踏み込み側領域22に、5つの突起部30〜34を備える。5本の突起部30〜34は、踏み込み側領域22に等間隔に設けられる。ブロック20の踏み込み側領域22に、複数の突起部が設けられることにより、ヒール・アンド・トゥ摩耗をより抑制することができる。
なお、突起部の数は特に限定されるものではないが、3〜10とすることが好ましい。
次に、第3の実施形態の空気入りタイヤのトレッドパターンを説明する。図7は、本実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。図7に示されるように、本実施形態に係る空気入りタイヤは、タイヤ幅方向において外側に位置するブロックほど、多くの突起部を備える。図7に示される例では、タイヤ赤道線CLの最も近くに位置するブロック20は、1つの突起部30を備える。また、次にタイヤ幅方向において次に外側に位置するブロック20は、2つの突起部30,31を備える。また、タイヤ幅方向において最も外側に位置するブロック20は、3つの突起部30,31,32を備える。
このテスト車両を30000km走行させ、走行後に耐ヒール・アンド・トゥ摩耗性を測定した。具体的には、ブロックに発生したヒール・アンド・トゥ摩耗の大きさを測定し、測定した数値を指数化することにより、耐ヒール・アンド・トゥ摩耗性を測定した。より具体的には、踏み込み側端部において、突起部を含まないブロックの高さをD1、蹴り出し側端部におけるブロックの高さをD2とすると、(D1−D2)/D1で定義される段差比率を指数化した。
また、時速60kmにおいてWET制動試験を行い、トラクション性を評価した。具体的には、ウェット路面における制動距離の3回の平均値を指数化することにより、トラクション性を評価した。
まず、従来例、実施例1,2を用いて、突起部30の有無の効果を調べる試験を行った。
図8は、従来例のブロック20を示す図である。図8に示されるように、従来例のブロック20は突起部を備えない点を除いて、以下に説明する実施例と同じである。以下の実施例や比較例における耐ヒール・アンド・トゥ摩耗性(耐H&T摩耗性)を示す指数は、従来例のブロック20を用いた場合の指数を基準とする。従来例のブロック20を用いた場合の耐ヒール・アンド・トゥ摩耗性の指数を100とする。耐ヒール・アンド・トゥ摩耗性の指数が高いほどヒール・アンド・トゥ摩耗が生じにくいことを意味する。
表1の結果から、ブロック20が踏み込み側領域22に突起部30を備えることにより、従来例と比較して、ヒール・アンド・トゥ摩耗を抑制できることが分かった。特に、ブロック20が、踏み込み側端部に突起部30を備えることにより、ヒール・アンド・トゥ摩耗をより抑制できる。
また、表1には記されていないが、従来例と比較して、実施例1,2のトラクション性が低下することはなかった。これは、周方向溝10、幅方向溝12が従来例と実施例1,2とで変わらないためである。
次に、実施例3,4、比較例1を用いて、突起部30の幅Wの効果を調べる試験を行った。
図5(a)は、実施例3のブロック20を示す図である。図5(a)に示されるように、実施例3のブロック20は、踏み込み側端部に突起部30を備える。突起部30の幅Wは、ブロックの幅の半分(50%)である。突起部30の高さH、長さLは、実施例2と同じである。突起部30は、ブロック20の幅方向の中心に位置する。
実施例4の突起部30は、幅Wがブロックの幅の70%である。その他は、実施例3と同じである。
比較例1の突起部30は、幅Wがブロックの幅の40%である。その他は、実施例3と同じである。
表2の結果から、突起部30の幅Wがブロック20の幅の半分以上であることにより、ヒール・アンド・トゥ摩耗をより抑制できることが分かった。特に、実施例2〜4を比較すると、突起部30の幅Wが大きくなるほど、ヒール・アンド・トゥ摩耗を抑制する効果が特に大きくなることが分かった。
また、表2には記されていないが、従来例と比較して、実施例3,4のトラクション性が低下することはなかった。
次に、実施例5,6、比較例2,3を用いて、突起部30の高さHの効果を調べる試験を行った。
比較例2のブロック20は、実施例2と同様に、踏み込み側端部に突起部30を備える。突起部30の高さHは、0.4mmである。突起部30の幅W、長さLは、実施例2と同じである。
実施例5の突起部30は、高さHが0.5mmである。それ以外は、実施例2と同じである。
実施例6の突起部30は、高さHが2.0mmである。それ以外は、実施例2と同じである。
比較例3の突起部30は、高さHが2.5mmである。それ以外は、実施例2と同じである。
表3の結果から、突起部30の高さHが0.5mm以上であることにより、ヒール・アンド・トゥ摩耗をより抑制できることが分かった。突起部30の高さHが0.5mm未満であると、突起部30を設けた位置における接地圧を十分に高めることができず、幅方向溝12を挟んで隣接するブロック20の蹴り出し側領域24の接地圧を低減させる効果が弱まるためである。
また、表3には記されていないが、従来例と比較して、実施例5,6のトラクション性が低下することはなかった。しかし、突起部30の高さHを2.0mmよりも大きくした比較例3においては、従来例と比較してトラクション性が低下した。そのため、突起部30の高さHは、2.0mm以下であることが好ましい。
次に、実施例7〜9、比較例4,5を用いて、タイヤ周方向における突起部30の長さLの効果を調べる試験を行った。
比較例4のブロック20は、実施例2と同様に、踏み込み側端部に突起部30を備える。タイヤ周方向における突起部30の長さLは、0.4mmである。突起部30の幅W、高さHは、実施例2と同じである。
実施例7の突起部30は、タイヤ周方向の長さLが0.5mmである。それ以外は、比較例4と同じである。
実施例8の突起部30は、タイヤ周方向の長さLが2.0mmである。それ以外は、比較例4と同じである。
実施例9の突起部30は、タイヤ周方向の長さLが5.0mmである。それ以外は、比較例4と同じである。
比較例5の突起部30は、タイヤ周方向の長さLが6.0mmである。それ以外は、比較例4と同じである。
表4の結果から、タイヤ周方向の突起部30の長さLが0.5mm以上であることにより、ヒール・アンド・トゥ摩耗をより抑制できることが分かった。タイヤ周方向の突起部30の長さLが0.5mm未満であると、突起部30を設けた位置における接地圧を十分に高めることができず、その結果、幅方向溝12を挟んで隣接するブロック20の蹴り出し側領域24の接地圧を低減させる効果が弱まるためである。
また、表4には記されていないが、従来例と比較して、実施例7〜9のトラクション性が低下することはなかった。しかし、タイヤ周方向の突起部30の長さLが5.0mmよりも大きい比較例5においては、従来例と比較してトラクション性が低下した。そのため、タイヤ周方向の突起部30の長さLは、5.0mm以下であることが好ましい。
次に、実施例10,11を用いて、複数の突起部を設けることの効果を調べる実験を行った。
図6は、実施例10のブロック20を示す図である。図6に示されるように、実施例10のブロック20は、踏み込み側領域22に、5つの突起部30〜34を備える。5本の突起部30〜34は、踏み込み側領域22に等間隔に設けられる。突起部30〜34の幅Wは、いずれもブロックの幅と等しい。また、突起部30〜34の高さHは、いずれも1.0mmである。また、タイヤ周方向における突起部30〜34の長さLは、いずれも2.0mmである。
表5の結果から、ブロック20の踏み込み側領域22に、複数の突起部を設けることにより、ヒール・アンド・トゥ摩耗をより抑制できることが分かった。特に、複数の突起部の各々の高さを踏み込み側端部に近い突起部ほど高くすることにより、ブロックの接地圧分布が適正化され、ヒール・アンド・トゥ摩耗をより抑制できることが分かった。
また、表5には記されていないが、従来例と比較して、実施例10,11のトラクション性が低下することはなかった。
また、他の実施例として、H1=2.0mm、H2=2.0mm、H3=1.5mm、H4=1.5mm、H5=1.0mmとした場合にも、実施例11と同様の効果が確認された。
12 幅方向溝
20 ブロック
22 踏み込み側領域
24 蹴り出し側領域
30,31,32,33,34 突起部
Claims (5)
- タイヤ周方向に延びる複数の周方向溝と、タイヤ幅方向に延びる複数の幅方向溝と、によって画定される複数のブロックをトレッド部に備え、回転方向が定められた空気入りタイヤであって、
前記ブロックの接地面を、先に接地する踏み込み側領域と、後に接地する蹴り出し側領域に2等分したとき、前記接地面の踏み込み側領域に突起部が設けられ、蹴り出し側領域は突起部が形成されていない領域に含まれ、
前記突起部の幅は、タイヤ幅方向における前記ブロックの幅の半分以上であり、
前記ブロックの接地面を基準とした前記突起部の高さは、0.5mm以上2.0mm以下であり、
タイヤ周方向における前記突起部の長さは、0.5mm以上5.0mm以下であり、
前記周方向溝又は前記幅方向溝のうち深い方の溝の底面を基準とした前記突起部の最大突出位置までの高さは、前記ブロックの接地面のうち前記突起部が形成されていない部分までの高さよりも高いことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記ブロックは、踏み込み側の端部に前記突起部を備える、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックの接地面には、前記接地面の踏み込み側に、前記突起部が複数設けられる、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記複数の突起部の各々の高さは、踏み込み側の端部に近い突起部ほど高い、請求項3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックに設けられる突起部の数は、前記空気入りタイヤの幅方向外側に位置するブロックほど多い、請求項3又は4に記載の空気入りタイヤ。
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