JP5508900B2 - 電子レンジ用調理袋 - Google Patents
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Description
電子レンジで加熱調理する用途の調理袋を用いた商品としては、調味液を入れてレトルト殺菌したパウチ食材を開封して、指定の食材を入れて袋のチャックで再封して、レンジでの加熱、加圧時にチャック部から蒸気を逃がす構造の商品が上市されている。
これらの包装体は自立性はなく、チャック部から蒸気を逃がす構造のため、液体特に水や低粘度の調味液を大量に入れて調理することが不可能であった。
また、あらかじめメーカーが指定した調味液を充填した商品なので、当然限定された料理しか使用出来ず、広範囲な料理用として使用出来るものではなかった。
しかしながら、特許文献2と特許文献3に記載の調理用袋体では、電子レンジでの加熱によって内部の水蒸気圧が上昇したときに通蒸した部分から内容物が外部に漏れる危険性を除去することは困難であった。
一面に折り返しによる食材投入部を設けた包装容器が特許文献6において提案されている。
特許文献7では、ヒートシール幅を一部において他より狭く形成して成る電子レンジ用包装体が提案されている。ヒートシール層が離れてヒートシール幅が他よりも狭く、シール強度が弱い部分から内圧(水蒸気)が抜ける。
特許文献8では、ヒートシール部分の一部をパンチングしてパンチング孔を設け、孔の部分のシール強度を低下させて、加熱時に発生する内圧により、このパンチング孔の部分を剥離させて内圧を外に逃すように構成した電子レンジ加熱用包装袋が提案されている。
また、特許文献10では、袋の上辺開口部の内側に線状のファスナーを備えてサイドシールあるいはボトムシール部分に蒸気抜きのための未シール部を設けた解凍用袋が提案されている。
特許文献12では、適度の加熱蒸し調理効果が得られ、繰り返し使用が可能な袋体として両側縁部、底部に設けられる溶着シール部分に未溶着部が存在する電子レンジ加熱用袋体が提案されている。
特許文献14では、電子レンジによる加熱調理時に、内容物から発生する蒸気を排出するための、シール部に介在された易剥離用薄膜を有する蒸気排出手段を備えた電子レンジ用包装袋が提案されている。
すなわち、電子レンジでの加熱時に容器内部に生じる水蒸気の蒸気圧を利用して、容器の破裂を起こすことなく水蒸気を容器外部に放出し、かつ通蒸部を容器上方に形成することによって水蒸気放出位置を押し上げて内容食材の漏出をも防止するという構造を備えていることによって、一度開封して水や低粘度の液体と食材等を充填した後、安全に電子レンジで加熱することができる電子レンジ用調理袋とすることが出来る。
することを防止できる。
また、内容物に液体を大量に使用しない場合であれば三方シールや四方シール等の平置パウチでも適用が可能である。本発明の電子レンジ用調理袋として適用が可能ないくつかの形状例を図12に示した。
図2は図1のX−X’線における断面略図であり、本発明の電子レンジ用調理袋の特徴的な部分を強調して示した図である。
イージーピールテープの幅は、通蒸前にスリットから内容物の漏れることのないようにシールを安定して行うことの出来る幅であれば良く、10mm〜20mm程度の幅が好ましい。
図6は調理袋の通蒸機構の各要素の配置例を示す通蒸部平面説明図である。
図7と図8には本発明の電子レンジ用調理袋の通蒸過程を示す通蒸部の断面説明図を示した。いずれも(1)は加熱開始時の状態を(2)は加熱進行時の状態を模式的に示している。
イージーピールテープ(7)と重ならないヒートシール部(9)の領域においては、紙面手前の本体包装材Aの背面シーラントと本体包装材Bの背面シーラントが熱溶着されている。
調理袋のこの部分ではスリット(6)が設けられた本体包装材A(2)の領域にイージーピールテープ(7)がイージーピール層を接して熱溶着されており、袋裏面の本体包装材B(3)はイージーピールテープ(7)とは熱溶着されていない。
本体包装材A(2)とイージーピールテープ(7)とはスリット(6)の位置に重なる位置でイージーピールテープ(7)の幅に近い幅Leにわたってヒートシールされている。
図4では本体包装材A(2)とイージーピールテープ(7)が熱溶着されており、袋裏面の本体包装材B(3)は熱溶着されていない領域の断面を示したが、ヒートシール部(9)が重なる領域では本体包装材A(2)と本体包装材B(3)はそれぞれの対向するシーラント層(2b)(3b)が熱溶着されており、同時にイージーピールテープ(7)のベース面と本体包装材Bのシーラント(3b)も熱溶着されている。
層構成は前面側から順にスリット(6)を設けた本体包装材A(2)、イージーピールテープ(7)、本体包装材B(3)の順序であり、本体包装材Aは外面が基材(2a)内面がシーラント層(2b)、イージーピールテープ(7)は外面がイージーピール層(7b)内面がベース層(7a、)本体包装材Bは外面が基材(3a)内面がシーラント層(3b)となっている。
層構成は前面側(図の下側)から順に本体包装材A(2)、イージーピールテープ(7)、本体包装材B(3)の順序であり、本体包装材Aは前面が基材(2a)内面がシーラント層(2b)、イージーピールテープ(7)は前面がイージーピール層(7b)内面がベース層(7a、)本体包装材Bは内面がシーラント層(3b)外面が基材(3a)となっている。
この時に、サイドシールによって本体包装材B(3)内面のシーラント(3b)面とイージーピールテープ(7)のイージーピール層(7b)も強固にシールされる。
面が部分的に開口しここからも通蒸が開始される。図では側端部方向への内圧応力をP1の矢印で示した。
通常、PP用チャックは外側から開封するのに必要な力(開口強度)は10〜12N/50mm程度であり、内面部からの開口強度は55〜70N/50mm程度である。したがって、チャックの開口以下の力で開口するための通蒸機構を設ける際には50N/50mm以下の力で剥離する構造が必要になる。
また、この場合の曲率半径Rはたとえば、4.5mmから14mmの凹み形状にヒートがシールすることにより、シール部が急に大きく剥離開口して内容物が飛び出すようなことがなく、シール形状に沿って少しづつ通蒸部分が開口して広がる。
この調理袋を用いた電子レンジでの加熱は自立させた形で行い、通蒸部分はチャックの下部に位置しているので通蒸部分から内容物等が漏れることはない。
これによって通蒸部から食材等の内容物が漏洩噴出することなしに過剰な水蒸気の圧力を放散させて容器の破裂を防止して安全に加熱を行うことが出来る。
中間層(16)が両面に接着剤層(15)を介してラミネートされている。
印刷層(14)と中間層(16)は必要に応じて設けられる層であり、中間層の具体例については後述する。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの延伸又は無延伸樹脂フィルム、ナイロン6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押出しフィルム、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体共押出しフィルムなどのいずれかが使用できる。
またはこれらの2つ以上のフィルムを積層した複合フィルムであっても構わない。
この本体フィルム基材(12)には、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの公知の添加剤を加えることができ、必要に応じて適宜添加される。
さらに、本体フィルム基材(12)の表面にコロナ放電処理、アンカーコート処理等の表面改質を行い、後述するシーラント層等との接着性や印刷適性を向上させることも可能である。
印刷層(14)は、本体フィルム基材(12)の表裏どちらでも形成可能であるが、一般的なプラスチックフィルム袋への印刷の場合と同様に、インキの耐摩擦性、耐候性などを考慮して、基材の容器内面となる面にグラビア印刷方式などで設けることが好ましい。
例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOH)、ポリビニルアルコールフィルム(PVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)ケン化物などのフィルム、或いはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)などのフィルムにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルム、無機酸化物(酸化珪素、酸化アルミニウムなど)の蒸着薄膜層を設けたフィルムやまたこれらフィルムの1種乃至それ以上を組み合わせた積層フィルムを使用することができる。
これらの中でも、電子レンジで加熱ができ、廃棄処分が容易な無機酸化物(酸化珪素、酸化アルミニウムなど)の蒸着薄膜層を設けたガスバリアフィルムが好ましい。これらのガスバリア層は中間層ではなく基材上に設けても構わない。
チャックの開口強度の測定方法は通常チャックの内容物側の末端より5mmの位置のフランジ部を引張り試験機に固定してチャックの内容物側からの開口強度を測定したのち再封止し、続けてチャックの開口側からの開口強度を測定する。。
イージーピールテープ(7)は、電子レンジ用調理袋(1)を加熱して発生する水蒸気等の気体による内圧により易剥離性を示すテープであり、電子レンジ用調理袋内面のシーラント(13)に対して接着性を示すベース層(17)と電子レンジ用調理袋を加熱して発生する水蒸気等の気体による内圧により易剥離性を示すイージーピール層(18)との2層からなる場合が代表的である。イージーピールテープ(7)の厚みは40μmから60μmの範囲が好ましい。
ここで、ブロックポリプロピレン系コポリマーの代表例はポリプロピレン−ポリエチレンブロックコポリマー、ランダムポリプロピレン系コポリマーの代表例はプロピレン−エチレンランダムコポリマーである。
<実施例1>
基材として、二軸延伸ナイロンフィルム15μm厚み(出光ユニテック:TB1010)の片面に、シーラントとしてポリプロピレンフィルム80μm厚み(東レ:ZK93)をドライラミネートにて貼り合せて本体フィルム及び底テープフィルムを作成した。ドライラミネート用の接着剤としては大日本インキ化学工業製:LX703VLを用いて塗布量4g/m2で行った。
イージーピールテープとしてPP系イージーピール材50μm(東レフィルム:9500S)の20mm幅を、チャックとしてPP系のチャック(出光ユニテック:MFP306)を準備した。
(1)200mm高さ250mmの所定の寸法幅の本体フィルムの前面部材と背面部材シーラント面の所定の位置にチャックを挿入して熱圧着する。
(2)本体フィルムの前面部材シーラント面のチャックから下方30mmの位置にチャックと平行に連続的にスリット加工を行う。
(3)さらに20mm幅のイージーピールテープを本体フィルム前面部材シーラント面の内面のスリット加工部分に装入しイージーピールテープのイージーピール面と前面本体フィルムのシーラント面を合わせて120℃±20℃で熱接着を行う。
(4)所定の寸法の本体フィルムの前面部材と背面部材をシーラント面を合わせてそのボトム部分に底テープ(35mm幅)を挿入しパンチ加工を施した後、ボトムシールを上下から行う。
(5)変形サイドシールバーで本体フィルムの前面部材と背面部材をシーラント面を合わせて両サイドの熱接着を行う。
調理袋両端の通蒸部分は熱接着部分の幅が2mmから4mmと狭くなっており、外側にR4.5mmの凹みを設けた形状で、スリット加工部分の通蒸部分は熱接着部分の幅が1mmから3mmと狭くなっており長さ25mmで、外側にR10mmの凹みを設けた形状である。
作成した調理袋の本体包装材同士の熱接着部分の接着強度は100N〜117N/50mm、チャックの内面からの開口強度は60〜70N/50mm、通蒸部分のイージーピール面の開口強度は80℃で40〜50N/50mmであった。
内容物の食材としては、薄切り豚肉200g、ジャガイモ4個、しらたき100g、にんじん1本、玉ねぎ1個に合わせ調味料(だし3カップ、しょうゆ大さじ4、酒大さじ4、砂糖大さじ2、みりん大さじ1)を用いた。
このように、蒸気孔の形成された通蒸部が自立性袋の自立させた上部にあるために内容物が蒸気孔から漏洩噴出することなく加熱調理が安全に完了した。
たとえば、カレー、シチュー調理袋、米飯、混ぜご飯炊飯袋、おでん調理袋、肉じゃが調理袋、ナベ料理用袋等の広い範囲の料理の電子レンジを用いた調理に利用できる。
近年「内食回帰」や「巣ごもり」と呼ばれる生活習慣のブームが続き、健康に配慮した和食や個食の小容量化の増大の傾向が著しい。電子レンジをはじめとする調理家電も広く普及し、レンジの普及率は97%を超えている。
また、内容物は食品だけでなく、水分を含む様々な材料の電子レンジでの加熱が必要な場合にもこの袋が適用出来る。
2…本体包装材A
2a…本体包装材A基材
2b…本体包装材Aシーラント
3…本体包装材B
3a…本体包装材B基材
3b…本体包装材Bシーラント
4…底テープ材
5…チャック
6…スリット
7…イージーピールテープ
7a…ベース層
7b…イージーピール層
8…通蒸部
9…ヒートシール部
9E…イージーピールテープのヒートシール部幅
10…噴出水蒸気
11…本体フィルム
12…本体フィルム基材
13…本体フィルムシーラント
14…印刷層
15…接着剤層
16…中間層
17…ベース層
18…イージーピール層
20…中間層基材
21…プライマー層
22…無機酸化物の蒸着薄膜層
23…ガスバリア性被膜層
H1…チャックから側端部通蒸位置までの距離
H2…チャックからスリットまでの距離
L1…側端部からのシール長さ
L2…スリット下部のシール幅
L3…側端部からのシール幅
L4…サイドシール幅
L7…イージーピールテープ幅
P1…側端部方向内圧応力
P2…上端部方向内圧応力
Le…本体包装材Aとイージーピールテープのシール幅
Claims (9)
- 表裏のフィルムを積層し両側部に熱接着により形成したヒートシール部と、一方に開口部を有する袋であって、前記開口部側に再封性を有するチャックを設け、少なくとも一方のフィルムの前記チャックから中央寄りにスリットを形成するとともに、該スリットの下面を覆うイージーピールテープを積層し、前記袋の側部から延びる前記スリットを含む領域の少なくとも一部を熱接着によりヒートシール部を形成し、かつ前記スリットから中央寄りのヒートシール幅を部分的に狭くし通蒸部を形成したことを特徴とする電子レンジ用調理袋。
- 前記包装体の両側端縁部のヒートシール幅を部分的に狭くし通蒸部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ用調理袋。
- 前記スリットが側端部から所定の長さに形成されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の電子レンジ用調理袋。
- 前記スリットが不連続に形成されてなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理袋。
- 前記イージーピールテープは、少なくともベース層とイージーピール層を積層してなり、フィルム内面との熱接着時にはイージーピール層面と熱接着してなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理袋。
- 側部のヒートシール部分と、スリットに重なるイージーピール層上に形成されるヒートシール部分に、それぞれヒートシール幅が最も狭くなる箇所を設け通蒸部としたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理袋。
- 側部のヒートシール部分からスリットに重なるイージーピール層上に形成されるヒートシール部を凹み形状としたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理袋。
- 前記チャックの開口強度より、前記通蒸部の開口強度が小さいことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理袋。
- 前記通蒸部を少なくとも2箇所以上形成してなることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電子レンジ用調理袋。
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