JP6611313B2 - 電子レンジ用包装袋 - Google Patents
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Description
ところが、このような方法では、電子レンジでの加熱により発生した水蒸気が直ちに包装袋外へ排出されてしまうために、水蒸気による加熱蒸らし効果が低減し、食味が落ちることがある。
[1]基材層と、熱融着層と、前記基材層と前記熱融着層の間に設けられた中間層とを備え、前記熱融着層が内側になるように対向配置された樹脂フィルム部から形成された筒部を有する電子レンジ用包装袋であって、前記対向配置された樹脂フィルム部のうちの少なくとも一方の樹脂フィルム部の、前記筒部の長さ方向の一端または他端の近傍の中間層には、前記樹脂フィルム部の幅方向に沿って延びる切断線が形成され、前記切断線が形成された位置に、前記対向配置された樹脂フィルム部の熱融着層同士がヒートシールされた仮止めシール部が形成され、かつ、前記切断線が形成された樹脂フィルム部では、該樹脂フィルム部の縁部の一部を含む領域(α)が、前記基材層と前記中間層とが弱接着した易剥離部からなり、前記仮止めシール部は、前記易剥離部に位置している、電子レンジ用包装袋。
[2]前記易剥離部が、樹脂フィルム部の縁部側に形成された第1領域と、該第1領域よりも剥離強度が小さく、該第1領域に連続して形成された第2領域とから構成され、前記仮止めシール部は、前記第2領域に位置している、[1]の電子レンジ用包装袋。
[3]前記易剥離部の剥離強度が0.01〜5N/15mmである、[1]または[2]の電子レンジ用包装袋。
[4]4方シール袋である、[1]〜[3]の電子レンジ用包装袋。
[5]前記筒部の長さ方向の一端に底材が配置されてヒートシールされる底ガゼット袋である、[1]〜[3]の電子レンジ用包装袋。
図1は、本発明の電子レンジ用包装袋(以下、単に「包装袋」ともいう。)の一例を示す外観図、図2は、図1の包装袋の製袋に使用される積層フィルムの層構成を示す断面図である。
図3は、図1のI−I’線に沿う断面図、図4は、図1のII−II’線に沿う断面図である。
なお、図3以降の断面図においては、積層フィルムを構成する層のうち接着剤層を省略している。
なお、本明細書において「矩形」とは、長方形および正方形の総称である。
開口している一端13aは、ここから加熱対象の食品が包装袋10内に収納された後に、ヒートシールにより閉塞される。この例では、図1中、符号Stで示される、筒部13の長さAの領域が、食品が収納された後にヒートシールにより閉塞されるヒートシール予定領域である。
図2の積層フィルム20a,20bは、基材層21と熱融着層23とを有し、これらの層の間に、中間層22が設けられている。中間層22は1層でも多層でもよく、この例では、基材層21側に位置する第1の中間層22aと、熱融着層23側に位置する第2の中間層22bとの2層で構成されている。
熱融着層23は、押出しラミネートにより形成されたポリプロピレンからなる厚さ20μmのシーラント層である。
第1の中間層22aは、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムから形成され、樹脂フィルム部11,12に対して、耐ピンホール性等の強度を付与する層である。
第2の中間層22bは、厚さ50μmの無延伸ポリプロピレンフィルムから形成され、熱融着により熱融着層23と接合している層である。
ここで「筒部の一端の近傍」とは、筒部13の全長を100%としたときに、筒部13の一端13aから30%までの長さBの領域であって、かつ、ヒートシール予定領域Stよりも筒部13の長さ方向の中央側の領域である。「筒部の他端の近傍」も同じ内容を意味する。長さBは、たとえば、10〜50mmの範囲内に設定されることが好ましい。また、長さB>長さAである。
なお、本明細書において剥離強度は、JIS K 6854に準拠した180度剥離試験により測定される値である。
図中、Q1は、樹脂フィルム部11における領域(α)と、該領域(α)以外の領域との境界を示す線である。
そして、仮止めシール部Sは、領域(α)の易剥離部S1に位置している。
詳しくは後述するように、仮止めシール部Sは、食品が収納されてヒートシール予定領域Stが閉塞された後の包装袋10を電子レンジで加熱し、包装袋10の内圧が上昇した場合に、シールが破壊され、内圧を包装袋10の外部へ逃す蒸通部として機能する部分である。この例では、仮止めシール部Sは、筒部13の長さ方向に沿う長径が約6mm、長径に直交する短径が約4mmである楕円形に形成されている。
具体的には、無延伸ポリプロピレンフィルムを用意し、該無延伸ポリプロピレンフィルムの所定位置(筒部13の一端13aの近傍となる位置)に、連続した直線状の切断線を形成し、切断線L2が形成された第2の中間層22bを得る。ついで、切断線L2が形成された第2の中間層22bの片面に、ポリプロピレンを押出しラミネートして熱融着層23を形成し、第2の中間層22bと熱融着層23との積層体(i)を製造する。
そして、二軸延伸ポリアミドフィルムを用意し、該二軸延伸ポリアミドフィルムの所定位置(筒部13の一端13aの近傍となる位置)に連続した直線状の切断線を形成してから、接着剤(接着剤層34に対応)により、上記透明蒸着PETフィルムを接着し、基材層21と第1の中間層22aとの積層体(ii)を製造する。ここでは、透明蒸着PETフィルムの接着阻害被膜21aが形成された側の面が、二軸延伸ポリアミドフィルム側となるように接着する。
その後、積層体(i)の第2の中間層22bと、積層体(ii)の第1の中間層22aとを接着剤(接着剤層35に対応)で接着する。
このようにして、切断線L1,L2が形成されている方の樹脂フィルム部11を構成する積層フィルム20aを製造する。
まず、積層フィルム20aおよび積層フィルム20bを熱融着層23同士が対向するように重ねる。
ついで、ヒートシールにより、積層フィルム20a,20bの周縁のうち、筒部13の一端13aに対応する部分以外の3方を閉塞するとともに、閉塞された箇所以外の所定の位置に、ポイントシールを行って仮止めシール部Sを形成する。これにより、図1の包装袋10を製造できる。
すると、図5に示すように、電子レンジでの加熱により水蒸気等が発生して、内圧が上昇し始める。そして、内圧がある程度上昇すると、袋内で仮止めシール部Sに応力が集中し、仮止めシール部Sにおける熱融着層23同士の熱融着が破壊される。
ここで樹脂フィルム部11の熱融着層23と、樹脂フィルム部12の熱融着層23とは、同じ材質の樹脂からなるため、強固に接合している。そのため、仮止めシール部Sの熱融着が破壊される場合には、図5に示すように、樹脂フィルム部11の熱融着層23と樹脂フィルム部12の熱融着層23との間ではなく、切断線L1,L2が形成されて弱化されている樹脂フィルム部11の第2の中間層22bと、樹脂フィルム部11の熱融着層23との間で剥離する。すなわち、切断線L1,L2が形成されている方の樹脂フィルム部11の熱融着層23が破壊され、切断線L1,L2に対応する部分に位置していた樹脂フィルム部11の熱融着層23が剥ぎ取られ、切断線L1,L2が形成されていない方の樹脂フィルム部12の熱融着層23側に移行した状態となる。
その結果、袋内で生じた水蒸気等は、図5中の矢印で示すように、まず、第2の中間層22bの切断線L2を通過し、さらに、図示略の接着剤層を通過した後、第1の中間層22aの切断線L1を通過し、さらに、図示略の接着剤層を通過する。そして、基材層21を外方に押すように作用し、これにより易剥離部Sにおいて基材層21と第1の中間層22aとの間が剥離する。そして、剥離により形成された隙間を通り、水蒸気等が包装袋10の内部から外部へと排出される。
また、加熱により発生した水蒸気等を直ちに包装袋10外へ排出するのではなく、水蒸気が発生し始めて内圧がある程度上昇してから、外部に自動的に排出するため、水蒸気による加熱蒸らし効果が得られ、食味が優れる。
また、このように内圧を逃すための手段として、仮止めシール部Sを形成する方法では、パンチング装置等で孔を開ける必要がなく、切除片(抜きカス)が発生しない。よって、切除片を回収する手間のかかる作業が不要であり、切除片が製品内に混入するリスクもない。
また、食品入り包装袋の流通時には、易剥離部S1は剥離されていない。そのため、流通時における食品の劣化を抑制できる。また、流通時には、切断線L1,L2が形成されている第1の中間層22aおよび第2の中間層22bを十分に保護できる。
また、図6に示すように、第1領域S1aと第2領域S1bとの境界線Q3の形状を一直線ではなく、V字形状とするなど、境界線Q3の形状を変更することにより、発生した水蒸気等により内圧が高まってから、蒸通が始まるまでに要する時間を変化させることができる。すなわち、境界線Q3の形状をV字形状等に変更することにより、内容物の性状に合せて、蒸通が始まるまでの時間を細かくコントロールすることができる。
(1)第2領域S1bの形成には、接着を阻害する効果がより大きなシリコーン樹脂を含む剥離剤を用い、第1領域S1aの形成には、接着を阻害する効果がシリコーン樹脂よりも小さなアクリル樹脂を含む剥離剤を用いる等、第1領域S1aに使用する剥離剤と第2領域S1bに使用する剥離剤の組合せを調整する。
(2)第1領域S1aの形成と第2領域S1bの形成には、同じ種類の剥離剤を用いる。ただし、接着を阻害する効果がより求められる第2領域S1bにおける剥離剤の塗布量(単位面積当たり)を、第1領域S1aを形成するための剥離剤の塗布量よりも大きくする。
ただし、開封線とは別に切断線を設けて、その切断線上に仮止めシール部を設けてもよい。また、その場合には、切断線は、少なくとも仮止めシール部が設けられる部分に形成されていればよく、樹脂フィルム部11の一方の側端部13cから他方の側端部13dにまで形成されていなくてもよい。
また、1つの仮止めシール部Sの面積は、包装袋10の大きさ、内容物の種類および量等により、適宜設定できるが、0.01〜2cm2の範囲が好ましい。
図7(b)の場合には、切断線L1,L2を通って水蒸気等が外部に排出され、図7(c)の場合には、切断線L3,L4を通って水蒸気等が外部に排出される。
このように両方の樹脂フィルム部11,12に切断線L1,L2,L3,L4を設けておくと、より確実に、水蒸気等を排出できる。
また、この例では、第1の中間層22aと第2の中間層22bには、切断線L1,L2が1本ずつ形成されているが、第1の中間層22aおよび第2の中間層22bに形成される切断線の本数はそれぞれ1本に限定されず、互いに平行な2本以上であってもよい。また、第1の中間層22aと第2の中間層22bに形成される切断線の本数は同じ本数でなくてもよく、たとえば、図8に示すように、第1の中間層22aには1本の切断線L1が形成され、第2の中間層22bには3本の切断線L2が形成されていてもよい。このように第2の中間層22bに複数の切断線L2を形成すると、その部分の熱融着層23との接着強度が、切断線が形成されていない部分の熱融着層23との接着強度に比較してより弱化し、内圧が上昇したときに、樹脂フィルム部11の第2の中間層22bと樹脂フィルム部11の熱融着層23との間がより確実に剥離やすい。
なお、このように第1の中間層22aおよび第2の中間層22bの少なくとも一方に、複数本の切断線を形成する場合には、第1の中間層22aに形成された切断線のうちの少なくとも1本と、第2の中間層22bに形成された切断線のうちの少なくとも1本とは、互いに対応する位置に設けられる必要がある。
また、第1の中間層22aおよび第2の中間層22bの少なくとも一方に、複数本の切断線が形成されている場合、これら複数本の切断線において、隣り合う切断線同士の間隔は、仮止めシール部Sの大きさ等にもよるが、2mm以下であることが好ましい。また、第1の中間層22aに形成される切断線の本数、第2の中間層22bに形成される切断線の本数は、いずれも1〜5本であることが好ましい。
また、基材層21に用いられるフィルムは、強度等の点から、二軸延伸フィルムであることが好ましい。また、金属酸化物が蒸着された蒸着フィルム、エチレンビニルアルコール共重合体等のガスバリア性を有する薄膜層が設けられたバリアフィルム等を用いることもできる。
基材層21を構成するフィルムの厚みは、たとえば6〜50μmが好ましく、9〜30μmがより好ましい。
また、第1の中間層22aに用いられるフィルムは、強度等の点から、二軸延伸フィルムであることが好ましい。また、金属酸化物が蒸着された蒸着フィルム、エチレンビニルアルコール共重合体等のガスバリア性を有する薄膜層が設けられたバリアフィルム等を用いることもできる。
第1の中間層22aを構成するフィルムの厚みは、たとえば6〜50μmが好ましく、9〜30μmがより好ましい。
第2の中間層22bの厚みは、10〜150μmが好ましく、20〜100μmがより好ましい。熱融着層23の厚みは、10〜100μmが好ましく、15〜50μmがより好ましい。
また、上記の実施形態例では、筒部13の開口している一端13aの近傍の中間層22に、切断線L1,L2が形成され、該切断線L1,L2の形成された位置に、仮止めシール部Sが形成されていたが、ヒートシールにより閉塞している筒部13の他端13bの近傍に、切断線が形成され、該切断線の形成された位置に、仮止めシール部が形成されていてもよい。
11,12:樹脂フィルム部
13:筒部
13a:筒部の長さ方向の一端
13b:筒部の長さ方向の他端
21:基材層
23:熱融着層
22:中間層
23a:第1の中間層
23b:第2の中間層
L1〜L4:切断線
S:仮止めシール部
S1:易剥離部
21a:接着阻害被膜
Claims (5)
- 基材層と、熱融着層と、前記基材層と前記熱融着層の間に設けられた中間層とを備え、
前記熱融着層が内側になるように対向配置された樹脂フィルム部から形成された筒部を有する、ボイルまたはレトルト殺菌用途の電子レンジ用包装袋であって、
前記対向配置された樹脂フィルム部のうちの少なくとも一方の樹脂フィルム部の、前記筒部の長さ方向の一端または他端の近傍の中間層には、前記樹脂フィルム部の幅方向に沿って延びる切断線が形成され、
前記切断線は前記熱融着層まで達しておらず、
前記切断線が形成された位置に、前記対向配置された樹脂フィルム部の熱融着層同士がヒートシールされた仮止めシール部が形成され、かつ、
前記切断線が形成された樹脂フィルム部では、該樹脂フィルム部の縁部の一部を含む領域(α)が、前記基材層と前記中間層とが弱接着した易剥離部からなり、
前記仮止めシール部は、前記易剥離部に位置している、電子レンジ用包装袋。 - 前記易剥離部が、樹脂フィルム部の縁部側に形成された第1領域と、該第1領域よりも剥離強度が小さく、該第1領域に連続して形成された第2領域とから構成され、
前記仮止めシール部は、前記第2領域に位置している、請求項1に記載の電子レンジ用包装袋。 - 前記易剥離部の剥離強度が0.01〜5N/15mmである、請求項1または2に記載の電子レンジ用包装袋。
- 4方シール袋である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子レンジ用包装袋。
- 前記筒部の長さ方向の一端に底材が配置されてヒートシールされる底ガゼット袋である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子レンジ用包装袋。
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